説明

ヒンジキャップを備える分注ヘッド

【課題】本発明は、容器、特にチューブまたはビンを塞ぐための分注ヘッド(103)であって、出口孔(135)及びその分注ヘッドの孔(135)を塞ぐことのできるヒンジキャップ(104)を備え、該分注ヘッド(103)とヒンジキャップ(104)が一体化された部品を形成する分注ヘッドに関する。
【解決手段】本発明によると、ヒンジキャップ(104)は、分注ヘッド(103)上にオーバーモールドされる。また、材料が相溶性ではないときでも、ヘッド(103)上のキャップ(104)の固定を確実にするために、固定手段(138、144)を備えることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、特にチューブまたはビンを塞ぐための分注ヘッドであって、出口孔及びその分注ヘッドの孔を塞ぐことのできるヒンジキャップを備え、該分注ヘッドとヒンジキャップが一体化された部品を形成する分注ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
そのような分注ヘッドは、化粧品及び準医薬の分野で広く使用されている。それによって、紛失しやすい部品をはずす必要がなく、チューブまたはビンを保持する手でキャップを回転させて、そのチューブを開けることができる。
特許文献1、2及び3のように一つの部品からなる分注ヘッドが公知である。分注ヘッド及びヒンジキャップは、同一の鋳型で一緒に射出成形される。したがって、全体が同じ材料で形成され、同色である。しかしながら、分注ヘッドと別の色または別の材料でヒンジキャップを形成することが有用である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1162154号A1
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第5036889号A
【特許文献3】フランス特許第2731983号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ヒンジキャップを備える分注ヘッドで、これらの二つの要素が単一の部品を形成し、分注ヘッド用及びヒンジキャップ用に異なる色及び/または組成の材料を使用することができるヒンジキャップを備える分注ヘッドを製造することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によると、分注ヘッド上にヒンジキャップをオーバーモールドすることによって達成される。したがって、第一段階で、分注ヘッドを製造し、次に、この分注ヘッド上にヒンジキャップをオーバーモールドする。そのようにして、二つの要素の各々に色の異なる材料を使用することができる。
【0006】
二つの要素に相溶性のない、すなわち、一緒に結合せず、したがって、互いに接着しない材料を使用することを可能にするためには、分注ヘッド上に確実にヒンジキャップを固定するための固定手段を備えることが好ましい。そのように、前もって第一の固定手段を備えるように、第一の材料で分注ヘッドを形成し、次に、分注ヘッドの材料とは非相溶性の材料でヒンジキャップをオーバーモールドすることが可能であり、この第二の材料は第一の固定手段に入り込んで、全体で固定手段を形成する。
【0007】
分注ヘッドが第一の固定手段、好ましくは溝を備え、ヒンジキャップが第二の固定手段、好ましくはその溝に侵入する舌状部材を備えるか、または、その逆が好ましい。さらにより耐久性のある固定を確実にするためには、フックの形状の固定手段を考えることができる。
【0008】
分注ヘッドは、その分注ヘッドが塞ぐべき容器が例えば可撓性のチューブであれば溶接されるか、または、例えばビンを塞ぐのであれば、ねじ切りのような固定手段またはラチェット機構手段を使用して上に固定される。
【0009】
上記に記載したように、ヒンジキャップと分注ヘッドは、同じ色または異なる色の同じ材料でも、同じ色または異なる色の異なる材料でも製造することができ、これらの材料は互いに相溶性でも非相溶性でもよい。
【0010】
チューブが閉まっているとき、そのチューブの内容物のにおいが感じられるのを防止するために、分注ヘッド及び/またはヒンジキャップに、例えば、におい及び/または気体に気密性の挿入物の形状のバリアを組み込むことが好ましい。
【0011】
分注ヘッドに取り外すことができる、及び/または、穴を開けることができる、分注ヘッドの孔を閉じるためのふたを備えることが好ましい。
【0012】
内容物が漏れるのを防止するためには、分注ヘッド上及び/またはヒンジキャップ上に気密手段を備え付け、ヒンジキャップが閉まっているときの容器の気密性を確実にすることが好都合である。
【0013】
ヒンジキャップを容易に開くことを可能にするためには、指でキャップを容易に開けることができるようにするための、特にカスケットの形状の手段を備えることが好ましい。
【0014】
ヒンジキャップが取り外しにくくなるのを防ぎ、かつ容易に開くようにするためには、ヒンジキャップが外部応力を全く受けないとき、ヒンジキャップを大きく開く位置及び/または閉じる位置、または、それらの位置に近接した位置に移動させる手段を備えることが薦められる。
【0015】
特に容器がほとんど空のとき、製品が容易に出るようにするためには、分注ヘッドは、半径方向平面に対して5〜45°の角度、好ましくは15°の角度で傾斜した放射状の防壁を備える。特に、その頂部壁はわずかに傾斜しており、それによって、直角または鋭角になることで製品の流出が妨げられる可能性を排除する。
【0016】
分注ヘッド及び/またはヒンジキャップは、EVOH(エチレン‐ビニルアルコール)、オルガロイ(OrgaloyTM)(ポリアミド及びポリプロピレンの混合物)、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)またはLDPE(低密度ポリエチレン)で製造することが好ましい。
【0017】
以下の添付図面を参照して、本発明を下記に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による分注ヘッドの、キャップが閉じた位置にあるときの第一の実施態様の断面図である。
【図2】キャップが開いた位置にあるときの図1のチューブの断面図である。
【図3】図1及び2の細部Bの拡大図である。
【図4】図1の細部Cの拡大図である。
【図5】図1の細部Dの拡大図である。
【図6】角度αを示す図2の詳細図である。
【図7】本発明による分注ヘッドの第二の実施態様の断面透視図である。
【図8】ヒンジの位置の図7の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の分注ヘッド3、103は、ヒンジ41、141によって分注ヘッドに接続されたキャップ4、104を備える。
【実施例】
【0020】
第一の実施例では、ヒンジは二つのフィルムヒンジ41の形状で形成されており、一方、第二の実施例では、バタフライヒンジである。どちらの場合も、ヒンジのサイズは、外部応力なしに、キャップ4、104が図1の閉じた位置に近い位置か、開く角度を越えるとすぐに図2の大きく開く位置に位置しようとするように、決定される。したがって、キャップ4、104は、例えばそれ自体の重さの作用で、中間位置にあるときに取り外しが困難にならないのは確実である。キャップ4、104は、そのキャップを開くことを容易にするためのカスケット状部材42、142を備える。また、出口孔がキャップ4、104と接するように、分注室32、132の壁内に窪み部分を備えることもできる。
【0021】
本発明によると、キャップ4、104は、ヘッド3、103上にオーバーモールドされる。ヘッド及びキャップには、少なくとも相溶性である同一の材料を使用することができ、また非相溶性の材料を使用することもできる。オーバーモールドによって、分注ヘッド及びキャップに異なる及び/または色の異なる材料を使用することができるという利点がある。いずれにせよ、分注ヘッド3、103及びキャップ4、104は、共に一体化された部品を形成する。
【0022】
分注ヘッド3及びキャップ4に使用する材料が同一または相溶性であるとき、オーバーモールドによって十分に二つの要素の結合及び接着を確実にすることができる。第二の材料は、第一の材料上に接触面で接合される。これは、第一の実施態様で取り上げられたケースである。二つの要素に色の異なる同一の材料か、または、色が同じ又は異なる二つの異なる材料を選択することができる。例えば、PP及びEVOHは、相溶性の材料である。
【0023】
反対に非相溶性である、すなわち、一緒に結合することがなく、ヘッド上にキャップを接着させることができない材料を使用すると、ヘッド103上にキャップ104の固定手段を備える必要がある。これが第二の実施態様のケースである。これらの固定手段によって、ヘッド上にキャップの物理的な固定を確実にする。示した実施例では、これらの固定手段は、ヘッド103上に位置し、そのヘッドの製造時にヘッド内部に形成された溝の形状の第一の固定手段138によって構成される。この円弧の形状の溝138は、好ましくは、ヒンジ141の長さ全体に渡って延びている。オーバーモールドのとき、キャップの材料はこの溝138内に侵入して、第二の固定手段を構成する舌状部材144を形成する。全体の冷却後、材料の収縮作用が生じ、その結果、溝138内の舌状部材144を圧迫する作用が生まれる。したがって、キャップは、その舌状部材144によって溝138内に挟み込まれ、そこから出ることができなくなる。
【0024】
また、固定手段をフックの形状で形成することも可能である。例えば、図8の実施例の溝138/舌状部材144の組に溝138の外部壁に形成された半径方向の複数の孔を補足することができる。キャップのオーバーモールドのとき、第二の材料は、溝138内だけではなく、同様にこれらの孔にも浸入することになる。第二の材料から成る複数の円筒が、第一の材料に形成された孔内に入り込むフックとなる。
【0025】
図7及び8では、ヒンジはキャップ104の側に配置されている。また、それを分注ヘッド103の側に配置することもできることは言うまでもない。同様に、溝138をキャップに、舌状部材144をヘッドに配置することもできる。
【0026】
非相溶性、または、少なくとも相溶性が不十分な材料として、PP及びPEが挙げられる。また、PEでヘッドを製造して、例えば、同様にPE製の可撓性のチューブのスカート部にその溶接を可能にし、PPでキャップを製造し、より堅固な物を得ることは興味深い。現在の作業温度で、PEにPPをある程度密着させることは可能であるが、これは、一般的には、PE製のヘッド上へのPP製のキャップの十分に堅固な接続を確実にするためには十分ではない。固定手段が備えられていないと、キャップはすぐに引き抜かれる恐れがある。
【0027】
実際には、分注ヘッド/ヒンジキャップ全体の形状に対応する鋳型を使用する。中子は、ヒンジに対応する二つの要素間の通路を塞ぐ。固定手段が備えられていれば、この中子によって、ヘッド上の第一の固定手段の形成が確実になる。ヘッドが形成され、一部分が冷却されると、中子は取り外され、キャップがオーバーモールドされる。
【0028】
分注ヘッド3、103は、可撓性のチューブ1のスカート部2に溶接によって固定できる。そのために、誘導また超音波溶接手段、または、当業者に公知の適切な方法のいずれかを使用することができる。溶接は、スカート部2の上部へりと分注ヘッド3、103のフランジ31、131との間で実施される。溶接を簡単にするために、フランジ31、131は防壁37を備えており、その高さは、スカート部2の壁の厚さにほぼ一致する。
【0029】
また、分注ヘッドをねじ切りまたはラチェット構造手段などの物理的手段によってその分注ヘッドが塞ぐべき容器に固定することも可能である。
【0030】
ヘッド3、103は、フランジ31、131、円筒形またはわずかに円錐台形で、場合によってはリブ33によって補強されている分注室32、132を備え、その頂上部分は孔35、135を備える壁34、134で終わり、その孔35、135によって容器の内容物が外に出ることができる。流出効率を向上させるためには、この頂部壁34、134が、半径方向平面に対して、例えば、5〜45°の範囲、ここでは15°の角度αでわずかに傾斜していることが好ましい。
【0031】
孔35、135及びキャップ4、14間の気密性を確実にするためには、気密手段を備えることが好ましい。図5に示した実施例では、キャップ4の底部に配置され、孔35の軸線方向の縁部36に外部から巻きつく外部パッキング43によって、気密性が保証される。この外部パッキングは、特に、歯磨き粉などのペースト状の製品に適している。クリームまたはローションなどのより液体状の製品には、図7の実施例のように、内部パッキングを使用することが好ましい。この場合、外部パッキングに代わって、孔135内に実際に隙間なく入り込む円筒形壁143が使用される。
【0032】
チューブに内蔵された製品のにおいがこのチューブからもれることを防ぐために、PBT製またはEVOH製のバリアを備えることができる。そのとき、ヘッド及びキャップは、このバリア材料の層を少なくとも一つ備える。
【0033】
また、最初に使用するときに取り除いたり、穴を開けたりすることのできるふたを備えることもできる。同様に、チューブが最初の使用時前に開けられていないことを保証する不正開封防止の手段を備えることもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 チューブ
2 スカート部
3、103 分注ヘッド
31、131 フランジ
32、132 分注室
33 リブ
34、134 頂部壁
35、135 孔
36、136 孔の軸方向の縁部
37 フランジの防壁
138 第一の固定手段(溝)
4、104 ヒンジキャップ
41、141 フィルムヒンジ/バタフライヒンジ
42、142 カスケット状部材
43、143 外部/内部パッキング
144 第二の固定手段(舌状部材)
α 分注室の半径方向平面に対して頂部壁によって形成される角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、特にチューブ(1)またはビンを塞ぐための分注ヘッド(3、103)であって、出口孔(35、135)及びその分注ヘッドの孔(35、135)を塞ぐことのできるヒンジキャップ(4、104)を備え、該分注ヘッド(3、103)とヒンジキャップ(4、104)が一体化された部品を形成する分注ヘッドにおいて、ヒンジキャップ(4、104)は分注ヘッド(3、103)上にオーバーモールドされることを特徴とする分注ヘッド(3、103)。
【請求項2】
前記分注ヘッド(103)上への前記ヒンジキャップ(104)の固定を確実にするために、固定手段(138、144)を備えることを特徴とする請求項1に記載の分注ヘッド(103)。
【請求項3】
前記分注ヘッド(103)は第一の固定手段(138)を、前記ヒンジキャップ(104)は第二の固定手段を備え、該第一の固定手段は、好ましくは溝(138)であり、該第二の固定手段はその溝(138)に入り込む舌状部材(144)であるか、または、その逆であることを特徴とする請求項2に記載の分注ヘッド(103)。
【請求項4】
前記固定手段は、フックの形状であることを特徴とする請求項2または3に記載の分注ヘッド。
【請求項5】
前記分注ヘッド(3、103)は、該分注ヘッドが塞ぐべき容器(1)に接合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項6】
前記分注ヘッド(3、103)は、該分注ヘッドが塞ぐべき容器に固定されるための、特にねじ切り、または、ラチェット機構手段の固定手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項7】
前記ヒンジキャップ(4、104)と前記分注ヘッド(3、103)は、同じ色または異なる色の同じ材料でも、同じ色または異なる色の異なる材料でも製造することができ、これらの材料は互いに相溶性でも非相溶性でもよいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項8】
前記分注ヘッド(3、103)及び/またはヒンジキャップ(4、104)内に、例えば、挿入物の形状の、におい及び/または気体に気密性のバリアを組み込むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項9】
取り外すことができる、及び/または、穴を開けることができるふたが、前記分注ヘッド(3、103)の孔(35、135)を閉じることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項10】
前記分注ヘッド(3、103)上及び/またはヒンジキャップ(4、104)上に気密手段(36、43、136、143)を備え、該ヒンジキャップ(4、104)が閉まっているときの容器(1)の気密性を確実にすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、10)。
【請求項11】
前記ヒンジキャップ(4、104)を指で容易に開けることができるようにするための、特にカスケットの形状の手段(42、142)を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項12】
前記ヒンジキャップが外部応力を全く受けないとき、該ヒンジキャップを大きく開く位置及び/または閉じる位置、または、それらの位置に近接した位置に移動させる手段(41、141)を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項13】
前記分注ヘッド(3、103)は、半径方向平面に対して5〜45°の角度、好ましくは角度15°で傾斜した放射状の防壁を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。
【請求項14】
前記分注ヘッド(3、103)及び/またはヒンジキャップ(4、104)は、EVOH(エチレン‐ビニルアルコール)、オルガロイ(OrgaloyTM)(ポリアミド及びポリプロピレンの混合物)、PP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)またはLDPE(低密度ポリエチレン)で製造されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の分注ヘッド(3、103)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−509143(P2010−509143A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535735(P2009−535735)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062090
【国際公開番号】WO2008/055961
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(508332184)リンダル フランス サス (5)
【氏名又は名称原語表記】LINDAL FRANCE SAS
【Fターム(参考)】