説明

ヒンジキャップ

【課題】 打栓時の押圧により変形した上蓋を、押圧が外された際に、速やかに元の形状に戻すとともに、温水シャワー時にキャップ内に温水の侵入を防止するキャップを提供すること。
【解決手段】 キャップ本体と上蓋からなるヒンジキャップにおいて、キャップ本体は蓋係合筒部と外周筒部を具え、上蓋は頂壁と外筒壁を具え、外筒壁の内周下端にはキャップ本体の蓋係合筒部と係合する係合部が設けられ、キャップ本体の外周筒部の上面部、または上蓋の外筒壁の下部に傾斜面が設けられ、傾斜面に対応する上蓋の外筒壁の下面、またはキャップ本体の外筒壁の上面に係合突部が設けられており、打栓時に上蓋が下降してヒンジキャップ内と外との空気の流通路を形成するとともに、係合突部が傾斜面の傾斜に沿って摺動し、打栓終了後に上蓋の外筒壁の復元力および傾斜面と係合突部との係合により上蓋を上方に持ち上げ、ヒンジキャップ内を速やかに密封することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるキャップ本体にヒンジを介して上蓋が連設されたヒンジキャップに関し、とくに容器内に充填した加熱殺菌された内容液によりキャップ内の空気が加熱されたとき、内圧が上昇してキャップの上蓋が開蓋することを防止するとともに、温水シャワーによる冷却時に、温水をキャップ内に吸い込むことを防止するようにしたヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
殺菌のため加熱された内容液を充填するヒンジキャップにおいて、内容液充填後、ヒンジキャップを打栓し、容器内部を殺菌し、次いで容器外部より温水シャワーで洗浄、冷却することは従来より行われている。
【0003】
また、キャップ打栓後に、内容液の熱によりキャップ内の空気の内圧が上昇してキャップの上蓋が開蓋することを防止するために、キャップ内の内圧が上昇すると、上蓋とキャップ本体の間に空気の流通路を形成し、キャップ内の空気を容器外に逃がし、キャップの上蓋内の内圧上昇を防止するようにしたキャップも従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−272648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のヒンジキャップでは、打栓の際に、上蓋の天面から強い力で押圧されることにより、上蓋が変形し、上蓋とキャップ本体との係合部の密封性が外される。
打栓後に、天面からの押圧が外されると、上蓋の復元力により、上蓋とキャップ本体との係合部の密封性が戻されることになるが、キャップの成形品としてのバラツキ、または、打栓時の押圧力のバラツキにより、上蓋の復元が遅くなるものがあり、そのまま温水シャワーで洗浄、冷却すると、キャップ内に温水が侵入することがあった。
【0006】
また、上記特許文献1記載のヒンジキャップでは、キャップ内の空気圧により空気の流通路を形成、または閉鎖しているので、キャップ内の空気圧が高く、空気の流通路が形成されているときに、容器外から温水シャワーで冷却すると、キャップ内の空気圧が低下し、空気の流通路が閉鎖される前に空気と一緒に温水をキャップ内に吸い込むという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、打栓時の押圧により変形した上蓋を、押圧が外された際に、速やかに元の形状に戻すとともに、加熱によるキャップ内の空気の圧力上昇を抑制し、温水シャワー時に温水がキャップ内に侵入することを防止できるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器の口筒部に取着され、キャップ本体と上蓋からなるヒンジキャップにおいて、キャップ本体は、注出筒と、蓋係合筒部と、外周筒部とを具え、上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁に垂設される外筒壁と、頂壁の下面に垂設され、キャップ本体の注出筒の内周に挿入される内筒壁とを具え、外筒壁の内周下端には、キャップ本体の蓋係合筒部と係合する係合部が設けられ、キャップ本体の外周筒部の上面部、または、上蓋の外筒壁の下部に傾斜面が設けられ、傾斜面に対応する上蓋の外筒壁の下面、または、キャップ本体の外筒壁の上面に係合突部が設けられており、打栓時に、上蓋が下降することにより、上蓋の外筒壁が、下方に押圧されながら外方へ変形し、ヒンジキャップ内と外との空気の流通路を形成するとともに、係合突部が、傾斜面の傾斜に沿って摺動し、打栓終了後に、上蓋の外筒壁の復元力、および、傾斜面と係合突部との係合により、上蓋を上方に持ち上げ、ヒンジキャップ内を速やかに密封することを特徴とする構成を採用する。
【0009】
傾斜面と係合突部の実施例として、キャップ本体の外周筒部の上面に、蓋係合凹部が凹設され、蓋係合凹部の底面には、外側から内側に向かって上昇する傾斜とした傾斜底面が形成され、上蓋の外筒壁下面に、キャップ本体の蓋係合凹部に係合する環状の係合突部が垂設されていることを特徴とする構成を採用する。
【0010】
傾斜面と係合突部の別実施例として、キャップ本体の外周筒部の上面に、係合突部が突設され、上蓋の外筒壁の係合部は、キャップ本体の蓋係合筒部と係合する上部係合部と、キャップ本体の係合突部と係合する下部係合部を具え、下部係合部は、上部係合部の下端から外側に向かって傾斜する傾斜内面と、傾斜内面の下端から外側に向かって形成され、キャップ本体の係合突部の上面と係合する上内面と、係合突部の外周と係合する側内面が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0011】
ヒンジキャップ内と外の空気の流通路の実施例として、上蓋の外筒壁下面の所定の位置に、空気逃がし溝が凹設されていることを特徴とする構成、または、係合突部の所定の位置に、上端から下端まで切り欠いた空気逃がし用溝が配設されていることを特徴とする構成を採用する。
【0012】
キャップ本体の注出筒の実施例として、キャップ本体の注出筒の内周の所定の位置に係合リブが配設され、打栓時に、上蓋の内筒壁下端が係合リブに乗り上げ、内筒壁を変形させ、流出筒と内筒壁との間に空気の流通路を形成し、打栓終了後に、上蓋の内筒壁の復元力により、上蓋を上方に持ち上げることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヒンジキャップは、打栓時に、上蓋が下降することにより、上蓋の外筒壁が、下方に押圧されながら外方へ変形され、ヒンジキャップ内と外部との間に空気の流通路を形成して空気を容器外に排出するとともに、上蓋の外筒壁の下端、またはキャップ本体の外周筒部の上端に設けた係合突部の先端が、キャップ本体の外周筒部の係合部または上蓋の外筒壁の係合部に設けた傾斜に沿って摺動することによって、打栓終了後に、上蓋の外筒壁の復元力、および、上蓋の外筒壁の下端、またはキャップ本体の外周筒部の上端に設けた係合突部の先端と、キャップ本体の外周筒部、または上蓋の外筒壁の係合部に設けた傾斜と係合することにより、上蓋を上方に持ち上げるとともに瞬時に元の状態に戻して空気の流通路を密閉し、ヒンジキャップ内を速やかに密封することができる。
【0014】
容器内の空気を排出し、速やかに空気の流路を密閉することによって、ヒンジキャップ内を僅かに負圧にし、加熱によりキャップ内の空気が圧力上昇しても、上蓋が開蓋するまでの圧力上昇が行われず、上蓋が開蓋することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明第1実施例のヒンジキャップの説明図で、(a)は側断面図、(b)は要部拡大図である。
【図2】ヒンジキャップの開蓋時の説明図で、(a)は上面図、(b)は側断面図である。
【図3】打栓時のヒンジキャップの説明図で、(a)は側断面図、(b)は要部拡大図である。
【図4】本発明第2実施例のヒンジキャップの説明図で、(a)は側断面図、(b)は要部拡大図である。
【図5】ヒンジキャップの開蓋時の説明図で、(a)は上面図、(b)は側断面図である。
【図6】打栓時のヒンジキャップの説明図で、(a)は側断面図、(b)は要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1において、Aは容器本体に打栓されるキャップ本体、Bはキャップ本体AにヒンジCを介して一体成形された上蓋である。
【0018】
図1、2に示すように、キャップ本体Aは、底壁1と、底壁1の周縁に立設される注出筒2と、底壁1周縁に連設されるリング状の上壁3と、上壁3の上面に立設される蓋係合筒部4と、上壁3の下面に垂設される内筒5と、上壁3の外縁に連設され、外周上端の所定の位置にヒンジCを連設する外周筒部6とを具えている。
キャップ本体Aは、打栓時に、内筒5外周と外周筒部6内周により、容器本体の口筒部を挟持することによって、容器本体の口筒部に装着される。
【0019】
底壁1には、注出口を開口する薄肉の弱化部10が設けられており、底壁1の上面には、弱化部10の区画内に、注出口の開口時に引上げるプルリング11が支柱を介して立設されている。
【0020】
注出筒2の内周には、ヒンジC側に、下方から所定の高さまで伸びる係合リブ12が突設されている。
【0021】
蓋係合筒部4は、上面は平面に形成され、外周には、拡径された膨出部15が形成されている。
【0022】
外周筒部6の上面には、環状に蓋係合凹部16が凹設されている。
蓋係合凹部16は、外側と内側との間である程度の幅をもって形成され、底面には、外側から内側に向かって上昇する傾斜底面16aが形成されている。
【0023】
上蓋Bは、頂壁20と、頂壁20の周縁に垂設され、外周下端の所定の位置にヒンジCを連設する外筒壁21と、頂壁20下面に垂設され、キャップ本体Aの注出筒2の内周に挿入される内筒壁22とを具えている。
外筒壁21下面には、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16に係合する環状の係合突部23が垂設されている。
【0024】
外筒壁21の外周下端のヒンジCの反対側には、摘み部24が配設されている。
外筒壁21の内周下部は、拡径され、キャップ本体Aの蓋係合筒部4と係合する係合部25が設けられている。
外筒壁21の下面の摘み部24側には、内側から、摘み部24の下面の内方側まで伸びるとともに、係合突部23の一部を下面から切り欠いて凹設される空気逃がし溝26が配設されている。
【0025】
係合部25は、キャップ閉蓋時にキャップ本体Aの蓋係合筒部4の上面に係合する上内面25aと、蓋係合筒部4の外周と係合する側内面25bとから形成されている。
上内面25aの所定の位置には、空気逃がし溝27が凹設され、側内面25bには、蓋係合筒部4の膨出部15と係合する係合凹部28が凹設されている。
【0026】
キャップ本体Aの蓋係合凹部16と上蓋Bの係合突部23は、閉蓋時に、係合突部23が蓋係合凹部16内にあり、また、係合突部23下端の内側が蓋係合凹部16の傾斜底面16aの内方側に当接するように形成されている。
【0027】
次に、本実施例のヒンジキャップの作用効果について説明する。
上蓋Bの外筒壁21の係合部25の係合凹部28とキャップ本体Aの蓋係合筒部4の膨出部15とを係合させ、上蓋Bをキャップ本体Aに閉蓋すると、図1に示すように、ヒンジキャップ内には、係合したキャップ本体Aの注出筒2と上蓋Bの内筒壁22より内側に空気室a、外側に空気室bが形成されている。
【0028】
また、閉蓋時には、キャップ本体Aの蓋係合筒部4の上面に、上蓋Bの係合部25の上内面25a、および、キャップ本体Aの外周筒部6上面に、上蓋Bの外筒壁21の下面が当接するとともに、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16の傾斜底面16aの内方側に、上蓋Bの外筒壁21の係合突部23の内側が当接している。
【0029】
ヒンジキャップの装着にあたっては、まず、容器本体内に加熱された内容液を充填し、容器本体の口筒部に、閉蓋したヒンジキャップを上方から打栓する。
【0030】
打栓前のヒンジキャップ内は、キャップ本体Aの注出筒2内周面と、上蓋Bの内筒壁22外周との係合により、空気室aと空気室bとの空気の流通路が封鎖されている。
また、上蓋Bの外筒壁21の係合部25の側内面25bおよび係合凹部28面と、キャップ本体Aの蓋係合筒部4の外側面および膨出部15面との係合により、空気室b内とヒンジキャップ外との空気の流通路が封鎖されている。
【0031】
打栓時には、ヒンジキャップの上蓋Bの上部より強い押圧力がかかり、上蓋Bがキャップ本体Aに対して押圧され、下降する。
上蓋Bが下降することにより、上蓋Bの内筒壁22の外周下端部が、キャップ本体Aの注出筒2内周面を摺動する。
さらに下降すると、内筒壁22の外周下端部が注出筒2内周に配設した係合リブ12に当接して乗り上げ、内筒壁22の当接部が内方に変形し、僅かな隙間を形成する。
【0032】
このことにより、上蓋Bがキャップ本体Aに対して下降し、押圧された空気室a内の空気が、僅かな隙間を流通路とし、空気室b内に排出される。
【0033】
また、上蓋Bがキャップ本体Aに対して押圧されると、キャップ本体Aの蓋係合筒部4および外周筒部6の上面と、上蓋Bの係合部25および外筒壁21の下面との係合により、上蓋Bの外筒壁21が、下方に押圧されながら外方へ変形される。
【0034】
図3に示すように、上蓋Bの外筒壁21が、下方に押圧されながら外方へ変形されることによって、上蓋Bの外筒壁21の係合突部23の下端が、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16の傾斜底面16aの傾斜に沿って下降しながら外側に向かって摺動し、係合突部23の外側面が、キャップ本体Aの蓋係合凹部16の外側面に当接することにより、外筒壁21の外側に向かう変形が止められる。
【0035】
上蓋Bの外筒壁21が外方へ変形することにより、上蓋Bの係合部25の側内面25bおよび係合凹部28面と、キャップ本体Aの蓋係合筒部4の外周面および膨出部15面との係合が外れ、隙間がつくられる。
【0036】
そして、上蓋Bがキャップ本体Aに対して下降し、押圧された空気室b内の空気は、上蓋Bの係合部25の上内面25aに凹設された空気逃がし溝27を通り、上蓋Bの係合部25の側内面25bとキャップ本体Aの蓋係合筒部4の外周面との隙間を通り、次いで、上蓋Bの外筒壁21の下面に凹設された空気逃がし溝26を通り、容器外に排出される。
【0037】
打栓終了後には、上蓋Bに対するの押圧力が外される。
その際、上蓋Bの内筒壁22の復元力により、内筒壁22の外周下端部が注出筒2内周の係合リブ12から外れるとともに、上蓋Bの外筒壁21の復元力により、上蓋Bの外筒壁21の係合突部23の下端が、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16の傾斜底面16aの傾斜に沿って内側に向かって摺動することにより、上蓋Bを上方に持ち上げようとするので、上蓋Bをキャップ本体Aに対して上昇させ、ヒンジキャップが速やかに元の状態に戻させる。
【0038】
そして、図1に示すように、再び、キャップ本体Aの注出筒2内周面と、上蓋Bの内筒壁22外周下部との係合により、空気室aと空気室bとの空気の流通路が速やかに閉鎖されるため、外気と通じていた空気室a内は僅かに負圧となる。
また、上蓋Bの外筒壁21の係合部25の側内面25bおよび係合凹部28と、キャップ本体Aの蓋係合筒部4の外周面および膨出部15との係合により、空気室b内と容器外との空気の流通路が速やかに密閉されるため、空気室b内も僅かに負圧となる。
【0039】
容器内の加熱された内容液、或いは、温水シャワーにより、ヒンジキャップ内の空気が加熱されても、キャップ内が僅かに負圧となっているため、ヒンジキャップ内の内圧上昇を低く抑えることができる。
このため、ヒンジキャップ内の内圧が上昇したとしても、内圧上昇のためヒンジキャップの上蓋Bがキャップ本体Aに対して開蓋することを防止できる。
【0040】
前述したように、本実施例のヒンジキャップは、打栓時に、上蓋Bの外筒壁21をキャップ本体Aに対して下方に押圧されながら外方へ変形されることによって、上蓋Bの外筒壁21の係合突部23の下端が、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16の傾斜底面16aの傾斜に沿って下降しながら外側に向かって摺動される。
打栓終了後に、上蓋Bの外筒壁21の復元力により、上蓋Bの外筒壁21の係合突部23の下端が、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16の傾斜底面16aの傾斜に沿って移動することにより、外筒壁21を上方に持ち上げ、外筒壁21の係合部25の側内面25bと蓋係合筒部4の外周面との係合状態に速やかに戻させ、空気室bと容器外との空気の流通路が速やかに密閉されるため、空気室b内を僅かに負圧にするとともに、温水シャワーの水などが空気室bより内側に侵入することを防止できる。
【0041】
また、打栓時に、上蓋Bの外筒壁21の係合突部23の外側面が、キャップ本体Aの外周筒部6の蓋係合凹部16の外側面に当接することにより、外筒壁21の外側に向かう変形が止められるので、打栓の強い押圧力により外筒壁21が変形しすぎて、キャップ本体Aの蓋係合筒部4の上面および外周筒部6上面と、上蓋Bの係合部25の上内面25aおよび外筒壁21の下面との係合が外れて上蓋Bが下降しすぎることを防止できる。
【実施例2】
【0042】
次に、第1実施例のキャップ本体の外周筒部と上蓋の外筒部の構成を変えた第2実施例について説明する。
本実施例の第1実施例と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示して詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0043】
図4、5において、Aaは容器本体に打栓されるキャップ本体、Baはキャップ本体AaにヒンジCを介して一体成形された上蓋である。
【0044】
キャップ本体Aaの外周筒部6の上面には、環状に係合突部30が突設されている。
係合突部30のヒンジCの反対側には、上端から下端まで切り欠いた空気逃がし用溝31が配設されている。
【0045】
上蓋Baは、頂壁20と、頂壁20の周縁に垂設され、外周下端の所定の位置にヒンジCを連設する外筒壁35とを具え、外筒壁35の外周下端のヒンジCの反対側には、摘み部24が配設されている
【0046】
外筒壁35の内周下部には、拡径され、キャップ本体Aaの蓋係合筒部4と係合する上部係合部36と、キャップ本体Aaの係合突部30と係合する下部係合部37が設けられている。
【0047】
上部係合部36は、キャップ閉蓋時にキャップ本体Aaの蓋係合筒部4の上面に係合する上内面36aと、蓋係合筒部4の外周と係合する側内面36bとから形成されている。
上内面36aの所定の位置には、空気逃がし溝38が凹設され、側内面36bには、蓋係合筒部4の膨出部15と係合する係合凹部39が凹設されている。
【0048】
下部係合部37は、上部係合部36の側内面36bの下端から外側に向かって傾斜する傾斜内面37aと、傾斜内面37aの下端から外側に向かって形成され、キャップ本体Aaの係合突部30の上面と係合する上内面37bと、係合突部30の外周と係合する側内面37cが形成されている。
【0049】
次に、本実施例のヒンジキャップの作用効果について説明する。
上蓋Baの外筒壁35の上部係合部36の係合凹部39とキャップ本体Aaの蓋係合筒部4の膨出部15とを係合させ、上蓋Baをキャップ本体Aaに閉蓋すると、図4に示すように、ヒンジキャップ内には、係合したキャップ本体Aaの注出筒2と上蓋Baの内筒壁22より内側に空気室a、および外側に空気室bが形成されている。
【0050】
また、閉蓋時には、キャップ本体Aaの蓋係合筒部4に、上蓋Baの外筒壁35の上部係合部36、およびキャップ本体Aaの外周筒部6上面に、上蓋Baの外筒壁35の下面が当接するとともに、キャップ本体Aaの外周筒部6の係合突部30の上面と外側面に、上蓋Baの外筒壁35の下部係合部37の上内面37bと側内面37cが当接している。
【0051】
ヒンジキャップの装着にあたっては、まず、容器本体内に加熱された内容液を充填し、容器本体の口筒部に、閉蓋したヒンジキャップを上方から打栓する。
【0052】
打栓前のヒンジキャップ内は、キャップ本体Aaの注出筒2内周面と、上蓋Baの内筒壁22外周との係合により、空気室aと空気室bとの空気の流通路が封鎖されている。
また、上蓋Baの外筒壁35の上部係合部36の側内面36bおよび係合凹部39面と、キャップ本体Aaの蓋係合筒部4の外側面および膨出部15面との係合により、空気室b内とヒンジキャップ外との空気の流通路が封鎖されている。
【0053】
打栓時には、ヒンジキャップの上蓋Baの上部より強い押圧力がかかり、上蓋Baがキャップ本体Aaに対して押圧され、下降し、押圧された空気室a内の空気が、実施例1と同様に、僅かな隙間を流通路とし、空気室b内に排出される。
【0054】
また、上蓋Baがキャップ本体Aaに対して押圧されると、キャップ本体Aaの蓋係合筒部4の上面と外側面、および外周筒部6の上面と、上蓋Baの外筒壁35の上部係合部36、および外筒壁35の下面との係合により、上蓋Baの外筒壁35が、下方に押圧されながら外方へ変形される。
【0055】
上蓋Baの外筒壁35が、変形することにより、キャップ本体Aaの係合突部30上端に対して、上蓋Baの外筒壁35の下部係合部37の上内面37bが外側に向かって摺動し、さらに変形が進むと、図6に示すように、キャップ本体Aaの係合突部30上端に対して、上蓋Baの外筒壁35の下部係合部37の上内面37bが外れ、外筒壁35の下部係合部37の傾斜内面37aの下端が当接し、係合点は上方に移動していく。
【0056】
上蓋Baの外筒壁35が外方へ変形することにより、上蓋Baの上部係合部36の側内面36bおよび係合凹部39面と、キャップ本体Aaの蓋係合筒部4の外周面および膨出部15面との係合が外れ、隙間がつくられる。
【0057】
そして、上蓋Baがキャップ本体Aaに対して下降し、押圧された空気室b内の空気は、上蓋Baの外筒壁35の上部係合部36の上内面36aに凹設された空気逃がし溝38を通り、上蓋Baの上部係合部36の側内面36bとキャップ本体Aaの蓋係合筒部4の外周面との隙間を通り、キャップ本体Aaの係合突部30の空気逃がし用溝31を通り、容器外に排出される。
【0058】
打栓終了後に、上蓋Baに対する押圧力が外されると、上蓋Baの内筒壁22の復元力により、上蓋Baをキャップ本体Aaに対して上昇させるとともに、上蓋Baの外筒壁35の復元力により、キャップ本体Aaの外周筒部6の係合突部30の上端が、上蓋Baの外筒壁35の下部係合部37の傾斜内面37aを下方に滑動することによって、上蓋Baを上方に持ち上げようとし、上蓋Baをキャップ本体Aaに対して上昇させ、ヒンジキャップを速やかに元の状態に戻させ、容器内と容器外との空気の流通路が速やかに密閉させ、容器内を僅かに負圧とすることができる。
その他の作用効果は、実施例1と同じである。
【0059】
本実施例のヒンジキャップは、打栓時に、上蓋Baの外筒壁35がキャップ本体Aaに対して下方に押圧されながら外方へ変形されることによって、キャップ本体Aaの外周筒部6の係合突部30の上端に当接するのが上蓋Baの外筒壁35の下部係合部37の傾斜内面37aとなり、係合突部30の上端に対して、傾斜内面37aが摺動しながら上蓋Baの外筒壁35が変形することになる。
【0060】
そして、打栓終了後に、上蓋Baの外筒壁35の復元力により、上蓋Baの外筒壁35が内側に移動しようとするので、キャップ本体Aaの外周筒部6の係合突部30の上端が外筒壁35の下部係合部37の傾斜内面37aを滑動して外筒壁35を上方に持ち上げ、外筒壁35の上部係合部36の側内面36bと蓋係合筒部4の外周面との係合状態に速やかに戻させ、空気室bと容器外との空気の流通路が速やかに密閉されるため、空気室b内を僅かに負圧にするとともに、温水シャワーの水などが空気室bより内側に侵入することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ヒンジキャップを容器へ打栓することによって、ヒンジキャップ内を僅かに負圧にし、容器内の内容液、または温水シャワーによりヒンジキャップ内の空気が加熱されてヒンジキャップの上蓋が開蓋することを防止できるとともに、キャップ内に冷却水を吸い込むことを防止できるので、各種の加熱充填する内容液の容器のヒンジキャップとして、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
A、Aa キャップ本体
B、Ba 上蓋
C ヒンジ
a、b 空気室
1 底壁
2 注出筒
3 上壁
4 蓋係合筒部
5 内筒
6 外周筒部
10 弱化部
11 プルリング
12 係合リブ
15 膨出部
16 蓋係合凹部
16a 傾斜底面
20 頂壁
21、35 外筒壁
22 内筒壁
23、30 係合突部
24 摘み部
25 係合部
25a、36a、37b 上内面
25b、36b、37c 側内面
26、27、38 空気逃がし溝
28、39 係合凹部
31 空気逃がし用溝
36 上部係合部
37 下部係合部
37a 傾斜内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口筒部に取着され、キャップ本体と上蓋からなるヒンジキャップにおいて、
キャップ本体は、注出筒と、蓋係合筒部と、外周筒部とを具え、
上蓋は、頂壁と、頂壁の周縁に垂設される外筒壁と、頂壁の下面に垂設され、キャップ本体の注出筒の内周に挿入される内筒壁とを具え、
外筒壁の内周下端には、キャップ本体の蓋係合筒部と係合する係合部が設けられ、
キャップ本体の外周筒部の上面部、または、上蓋の外筒壁の下部に傾斜面が設けられ、
傾斜面に対応する上蓋の外筒壁の下面、または、キャップ本体の外筒壁の上面に係合突部が設けられており、
打栓時に、上蓋が下降することにより、上蓋の外筒壁が、下方に押圧されながら外方へ変形し、ヒンジキャップ内と外との空気の流通路を形成するとともに、係合突部が、傾斜面の傾斜に沿って摺動し、
打栓終了後に、上蓋の外筒壁の復元力、および、傾斜面と係合突部との係合により、上蓋を上方に持ち上げ、ヒンジキャップ内を速やかに密封することを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
キャップ本体の外周筒部の上面に、蓋係合凹部が凹設され、
蓋係合凹部の底面には、外側から内側に向かって上昇する傾斜とした傾斜底面が形成され、
上蓋の外筒壁下面に、キャップ本体の蓋係合凹部に係合する環状の係合突部が垂設されていることを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
キャップ本体の外周筒部の上面に、係合突部が突設され、
上蓋の外筒壁の係合部は、キャップ本体の蓋係合筒部と係合する上部係合部と、キャップ本体の係合突部と係合する下部係合部を具え、
下部係合部は、上部係合部の下端から外側に向かって傾斜する傾斜内面と、傾斜内面の下端から外側に向かって形成され、キャップ本体の係合突部の上面と係合する上内面と、係合突部の外周と係合する側内面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
上蓋の外筒壁下面の所定の位置に、空気逃がし溝が凹設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
係合突部の所定の位置に、上端から下端まで切り欠いた空気逃がし用溝が配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒンジキャップ。
【請求項6】
キャップ本体の注出筒の内周の所定の位置に係合リブが配設され、
打栓時に、上蓋の内筒壁下端が係合リブに乗り上げ、内筒壁を変形させ、流出筒と内筒壁との間に空気の流通路を形成し、
打栓終了後に、上蓋の内筒壁の復元力により、上蓋を上方に持ち上げることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヒンジキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−75687(P2013−75687A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217058(P2011−217058)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】