ヒンジドメイン操作による抗体エフェクター機能の調節

【課題】1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR)へのFc領域の結合を変化させ、および/またはFcを介するエフェクター機能を調節する改変されたヒンジをさらに含むFc領域を含む免疫グロブリンを提供する。
【解決手段】少なくとも1個の抗原結合領域と、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR)へのFcの結合を変化させ、および/またはエフェクター機能を調節する改変されたヒンジをさらに含むFc領域とを含む新規分子(Fc変異体)。1個以上のFcγRおよび/またはC1qに対する結合親和性が改変されたFc変異体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、分子、特に、ポリペプチド、より具体的には、結合タンパク質、例えば、限定されるものではないが、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR)へのFc領域の結合を変化させ、および/またはFcを介するエフェクター機能を調節する改変されたヒンジをさらに含むFc領域を含む免疫グロブリン(例えば、抗体)を提供する。本発明はまた、分子(例えば、抗原)に特異的に結合する結合ドメイン、またはその断片および改変されたヒンジをさらに含むFc領域を含む新規融合ポリペプチドにも関する。集合的に、改変されたヒンジを含むか、または組込むFc領域を組込む分子を、以後、「本発明のFc変異体」または「Fc変異体」と呼ぶ。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR)への結合親和性を変化させた。別の実施形態においては、本発明のFc変異体はエフェクター機能を変化させた。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、FcγRIIIAへの結合を増強し、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を媒介する能力を増加させた。別の実施形態においては、Fc変異体は、FcγRIIIAへの結合を低下させ、ADCCを媒介する能力(以後「ADCC活性」と呼ぶ)を減少させた。さらに別の実施形態においては、Fc変異体は、C1qへの結合を増強させ、補体依存的細胞傷害性(CDC)を増加させた。さらに別の実施形態においては、Fc変異体はC1qへの結合を減少させ、CDC活性を低下させた。さらに、本発明は、Fc変異体の適用または使用、特に、治療目的のための方法およびプロトコルを提供する。具体的には、この方法およびプロトコルは、予防上もしくは治療上有効量の1種以上のFc変異体を、単独で、または疾患、障害もしくは感染に関連する1つ以上の徴候、例えば、限定されるものではないが、癌、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療、予防、および軽減にとって有用な1種以上の他の治療の投与と組合わせて投与することを含む。治療目的に用いられるFc変異体を、部分(例えば、治療剤もしくは薬剤)にコンジュゲートさせるか、または融合させてもさせなくてもよい。本発明はまた、Fc変異体に融合されたポリペプチドを含むFc変異体融合タンパク質を作製する方法も提供する。さらに、本発明は、疾患および障害の予防、管理、治療、または軽減における使用のための医薬組成物およびキットを提供する。
【背景技術】
【0002】
2. 発明の背景
抗体は、特定の抗原に結合する免疫学的タンパク質である。ヒトおよびマウスなどの多くの哺乳動物においては、抗体は対になった重鎖および軽鎖ポリペプチドから構築される。それぞれの鎖は、可変(Fv)領域および定常(Fc)領域と呼ばれる、2つの異なる領域から作られる。軽鎖および重鎖Fv領域は、前記分子の抗原結合決定因子を含み、標的抗原の結合に関与する。Fc領域は、抗体(例えば、IgG)のクラス(またはアイソタイプ)を定義し、重要な生化学的事象を引き出すいくつかの天然のタンパク質の結合に関与する。重鎖の定常領域を、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3と呼ばれる4つのより小さいドメインにさらに分割することができる。定常領域の一部であるFc領域は、いくつかの重要な細胞機能に関与する。一般的には、Fc領域は、CH2およびCH3のみを含むものと定義されるが、ヒンジの一部を含んでもよい。ヒンジ領域がこれらの細胞機能において果たす決定的な役割を考慮すれば、本明細書で用いられる「Fc領域」はヒンジ領域またはその一部を含むことが明らかであろう。
【0003】
抗体のFc領域は、いくつかのFc受容体および他のFcリガンドと相互作用し、エフェクター機能と呼ばれる多くの重要な機能的能力を与える。IgGクラスのFc受容体の重要なファミリーは、Fcγ受容体(FcγR)である。これらの受容体は、抗体と細胞性免疫系との間のコミュニケーションを媒介する(Raghavanら、1996, Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220; Ravetchら、2001, Annu Rev Immunol 19:275-290)。ヒトにおいては、このタンパク質ファミリーとしては、FcγRI(CID64)、例えば、アイソフォームFcγRIA、FcγRIB、およびFcγRIC;FcγRII(CD32)、例えば、アイソフォームFcγRIIA、FcγRIIB、およびFcγRIIC;ならびにFcγRIII(CID16)、例えば、アイソフォームFcγRIIIAおよびFcγRIIIBが挙げられる(Jefferisら、2002, Immunol Lett 82:57-65)。典型的には、これらの受容体は、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン、膜貫通領域、および細胞内のいくつかのシグナル伝達事象を媒介することができる細胞内ドメインを有する。これらの異なるFcγRサブタイプは、異なる細胞型上で発現される(Ravetchら、1991, Annu Rev Immunol 9:457-492に総説されている)。例えば、ヒトにおいては、FcγRIIIBは、好中球上にのみ認められるが、FcγRIIIAはマクロファージ、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびT細胞のサブ集団上に認められる。
【0004】
Fc/FcγR複合体の形成は、エフェクター細胞を結合した抗原の部位に補充し、典型的には、細胞内のシグナル伝達事象ならびにその後の重要な免疫応答、例えば、炎症メディエーターの放出、B細胞活性化、エンドサイトーシス、食作用、および細胞傷害性攻撃などをもたらす。細胞傷害性および食作用性エフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的化された細胞を破壊する潜在的な機構である。FcγRを発現する非特異的細胞傷害性細胞が、標的細胞上の結合した抗体を認識した後、標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)と呼ぶ(Raghavanら、1996, Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220; Ghetieら、2000, Annu Rev Immunol 18:739-766; Ravetchら、2001, Annu Rev Immunol 19:275-290)。注目すべきことに、ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIAのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する(Ravetchら、1991、上掲)。表1は、Fc受容体のいくつかの特徴をまとめたものである。
【表1】

【0005】
別の重要なFcリガンドは、補体タンパク質C1qである。C1qへのFc結合は、補体依存的細胞傷害性(CDC)と呼ばれるプロセスを媒介する(Wardら、1995, Ther Immunol 2:77-94に総説されている)。C1qは6つの抗体に結合することができるが、補体カスケードを活性化するには2つのIgGへの結合で十分である。C1qは、C1rおよびC1sセリンプロテアーゼと複合体を形成し、補体経路のC1複合体を形成する。
【0006】
限定されるものではないが、標的に対する特異性、免疫エフェクター機構を媒介する能力、および血清における長い半減期などの抗体のいくつかの重要な特徴により、抗体および関連する免疫グロブリン分子は強力な治療剤になる。多くのモノクローナル抗体が現在開発中であるか、または癌などの様々な症状の治療のために治療的に用いられている。例えば、Vitaxin (登録商標)(MedImmune)、ヒト化インテグリンαvβ3抗体(例えば、PCT公開WO 2003/075957)、Herceptin (登録商標)(Genentech)、乳癌を治療するために認可されたヒト化抗-Her/neu抗体(例えば、米国特許第5,677,171号)、CNTO 95(Centocor)、ヒトインテグリンαv抗体(PCT公開WO 02/12501)、Rituxan(登録商標)(IDEC/Genentech/Roche)、非ホジキンリンパ腫を治療するために認可されたキメラ抗CD20抗体(例えば、米国特許第5,736,137号)およびErbitux(登録商標)、キメラ抗EGFR抗体(例えば、米国特許第4,943,533号)が挙げられる。
【0007】
抗体が腫瘍細胞を破壊するいくつかの可能性のある機構が存在し、例えば、必要とされる増殖経路の遮断を介する増殖防止、アポトーシスを誘導する細胞内シグナル伝達、下方調節および/もしくは受容体の回転の増強、ADCC、CDC、ならびに適応的免疫応答の促進が挙げられる(Craggら、1999, Curr Opin Immunol 11:541-547; Glennieら、2000, Immunol Today 21:403-410)。しかしながら、幅広い使用にも関わらず、抗体は臨床使用のためには最適化されておらず、多くは次善の抗癌効力を有する。かくして、標的化された癌細胞を破壊する抗体の能力を増強する有意な必要性が存在する。ADCCおよびCDCなどの細胞傷害性エフェクター機能を媒介するその能力の増強を介して抗体の抗腫瘍効力を増強する方法は特に前途有望である。抗体の抗癌活性に関するFcγRを介するエフェクター機能の重要性がマウスにおいて証明されており(Clynesら、1998, Proc Natl Acad Sci U S A 95:652-656; Clynesら、2000, Nat Med 6:443-446)、Fcと特定のFcγRとの間の相互作用の親和性は、細胞に基づくアッセイにおいて標的化された細胞傷害性と相関する(Shieldsら、2001, J Biol Chem 276:6591-6604; Prestaら、2002, Biochem Soc Trans 30:487-490; Shields、ら2002, J Biol Chem 277:26733-26740)。これらのデータは共に、特定のFcγRに対するIgG1抗体のFc領域の結合能力を操作することは、患者における癌細胞のより有効な破壊をもたらすエフェクター機能を増強し得ることを示唆している。さらに、FcγRは抗原の取込みおよび抗原提示細胞によるプロセッシングを媒介することができるため、増強されたFc/FcγR親和性も適応的免疫応答を引き出す抗体治療剤の能力を改善することができる。
【0008】
エフェクター機能の増強は標的細胞を破壊する抗体の能力を増加させることができるが、いくつかの抗体治療については、エフェクター機能の低下または排除がより望ましい。これは、Fc/FcγRを介するエフェクター機能が死んだ積載物の近くに健康な免疫細胞をもたらし、標的細胞と共に通常のリンパ組織の枯渇をもたらす場合、標的細胞に薬剤(例えば、毒素およびアイソトープ)を送達するように設計されたこれらの抗体については特に真実である(Hutchinsら、1995, PNAS USA 92:11980-11984; Whiteら、2001, Annu Rev Med 52:125-145)。これらの事例においては、補体またはエフェクター細胞をあまり補充しないFc変異体の使用は非常に有用であろう(例えば、Wuら、2000, Cell Immunol 200:16-26; Shieldsら、2001, J. Biol Chem 276:6591-6604; 米国特許第6,194,551号; 米国特許第5,885,573号およびPCT公開WO 04/029207を参照されたい)。
【0009】
全てのFcγRはIgGサブクラスのFc領域に結合するが、様々な親和性で結合する(例えば、FcγRIIおよびFcγRIIIは低い親和性の結合剤であるが、FcγR1は高い親和性である)。FcγRの間の他の差異は機構的である。例えば、FcγRI、FcγRIIA/C、およびFcγRIIIAは、免疫受容体のチロシンに基づく活性化モチーフ(ITAM)を有することを特徴とする免疫複合体により誘発される活性化の正の調節因子であるが、FcγRIIBは免疫受容体のチロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)を有し、従って阻害的である。かくして、受容体の活性化と阻害の間の平衡は重要な考慮である。例えば、負の調節因子FcγRIIBへのFc結合を未変化のままにするか、またはそれを減少さえさせながら、正の調節因子(例えば、FcγRIIIA)へのFc結合を増強することは、ADCCを介する腫瘍細胞の破壊の増強などのエフェクター機能の最適化をもたらすことができた。別の重要な考慮は、Fc変異体を、FcγRおよび/またはC1qへの結合が所望の様式で調節されるが、それらがその安定性、可溶性、構造的完全性ならびにFcRnおよびスタフィロコッカスのプロテインA、ストレプトコッカスのプロテインGなどの他の重要なFcリガンドと相互作用する能力を維持するように操作するべきであるということである。
【0010】
IgGアイソタイプの抗体は例外的に可撓性の分子である。IgG分子の内部可撓性を主に担う構造は、定常領域の第1(CH1)および第2(CH2)ドメインの間に位置し、ヒンジと呼ぶ。このヒンジを、3つのペプチド領域;それぞれ上側、中央、および下側ヒンジに分割することができる(Brekkeら、1995, Immunol Today 16: 85-90)。いくつかの研究により、ヒンジ領域がIgGによる補体カスケードの活性化にとって必須であることが示唆されている(Kleinら、1981 Proc Natl Acad Sci USA 78: 524-8; Mechaelsenら、1990, Scand J Immunol. 32: 517-28)。他の研究において、あるグループが、下側ヒンジ領域もFcγRとの接触に関与することを証明した(RadaevおよびSun, 2001, Immunology 38:1073-1083)。同様に、ヒンジ領域の性質も、FcγRへの結合ならびにADCC活性に影響する(Redpathら、1998, Human Immunology; 59: 720-7; GilliesおよびWesolowsi, 1990, Hum. Antibod. Hybridomas 1: 47-54)。
【0011】
いくつかの突然変異誘発に関する研究をヒンジドメインに対して実施したが、ヒンジ領域の変化が機能にどのように影響するかに関してはコンセンサスがほとんどない。例えば、いくつかの研究は、一般的には、ヒンジの可撓性または長さの減少が補体の固定/活性化の減少をもたらすことを示唆している(Oiら、1984, Nature 307:136-40; Danglら、1988, EMBO 71989-94)。逆に、他の研究は、ヒンジの可撓性または長さの減少が、補体活性化の増加と直接相関することを示唆しているが(Brekkeら、1993, Nature 363:628-30; Bastida-Corcueraら、1999, Vet Immunol Immunopathol 71:115-123; Redpathら、1998, Human Immunol. 59:720-7; Sandlieら、1989, Eur J Immunol 19:1599-603; Michaelsenら、1994, 米国特許第5,348,876号; Norderhaug、ら1991, Eur J Immunol 21:2379-3284)、第3のセットの研究は、そのような単純な相関の欠如を示唆している(Shopesら、1993, Mol. Immunol. 30:603-9; Brekkeら、1993, Nature 363:628-30; Brekkeら、1995, Immunol. Today 16:85-90; Tanら、1990, PNAS USA 87:162-166; Tanら、1991, PNAS USA 88:5066; Colomaら、1997, J. Immunol. 158:733-40)。1セットの研究は、ヒンジ領域の「開口」状態が役割を果たすことを示唆している(Schauensteinら、1986, Int Arch Allergy Appl Immunol 80:174-9; Schauensteinら、1996, Biochem Mol Biol Int 40:433-446; Stevensonら、1997, J Immunol 158:2242-50)。以前の研究の多くは、ヒンジの構造および機能の間の関係の相反する解釈を与えるようであるが、以前の研究の多くは異なる技術を用いて、多くの場合、異なるIgGサブタイプの分子に対して実施されたものであることを認識することが重要である。かくして、以前の研究の解釈および外挿は困難である。抗体機能の媒介におけるヒンジ領域の重要性を考慮すれば、Fc機能を調節するためにヒンジを特異的に改変する能力は、多くの疾患および障害の治療および予防のための治療剤の開発において有用な道具となるであろう。本発明は、ヒンジ領域の詳細な分析およびFcリガンド結合およびエフェクター機能の調節にとって有用な特定のクラスの改変の同定を提供する。
【0012】
2.1 関連する疾患
限定されるものではないが、標的に対する特異性、免疫エフェクター機構を媒介する能力、および血清における長い半減期などの抗体のいくつかの重要な特徴により、抗体は強力な治療剤になる。多くのモノクローナル抗体が現在開発中であるか、または癌などの様々な症状の治療のために治療的に用いられている。任意の特定の抗体のエフェクター結合および機能を調節する能力は、疾患または障害の治療への抗体の適用において非常に有用であろう。抗体治療剤が特に好適である疾患を以下で説明する。
【0013】
2.1.1 癌
新生物、または腫瘍は、良性または悪性であり得る、異常な制御されない細胞増殖から生じる新生物塊である。良性腫瘍は一般的には、局在化されたままである。悪性腫瘍は、集合的には癌と呼ばれる。一般的には、用語「悪性」とは、腫瘍が近隣の体の構造に侵入し、これを破壊し、遠くの部位に拡散して死を引き起こし得ることを意味する(総説については、RobbinsおよびAngell, 1976, Basic Pathology、第2版、W.B. Saunders Co., Philadelphia, pp. 68-122を参照されたい)。癌は、体の多くの部位で生じ、その起源に応じて示差的に振る舞い得る。癌細胞は、それらが生じる体の部分を破壊した後、それらが新しく増殖を開始し、さらなる破壊を引き起こす体の他の部分に拡散する。
【0014】
120万人を超えるアメリカ人が、毎年癌を発現している。癌は、米国において2番目に多い死因であるが、この傾向が続けば、癌は2010年までに1番目の死因になると予想されている。肺癌および前立腺癌は、米国において男性を殺傷する最も多い癌である。肺癌および乳癌は米国において女性を殺傷する最も多い癌である。米国における2人に1人の男性が、彼の生涯のいくつかの時点で癌を有すると診断されるであろう。米国における3人に1人の女性が、彼女の生涯のいくつかの時点で癌を有すると診断されるであろう。
【0015】
現在、癌治療は、患者における新生物細胞を撲滅させるための外科手術、化学療法、ホルモン療法および/または放射線治療を含む(例えば、Stockdale, 1998,「癌患者管理の原則(Principles of Cancer Patient Management)」、Scientific American: Medicine、第3巻、RubensteinおよびFederman(編)、第12章、第IV節)。近年では、癌治療は生物治療または免疫治療も含む場合がある。これらの手法は全て、患者にとって大きな不利益を課している。例えば、外科手術は、患者の健康によっては禁忌である場合があるか、または該患者には受け入れられない場合もある。さらに、外科手術では、新生物組織を完全に除去できない場合もある。放射線治療は、新生物組織が、正常な組織よりも放射線に対して高い感受性を示す場合にのみ有効であり、また放射線治療は重篤な副作用を引き出すことも多い。ホルモン療法は、単一の薬剤として与えられることは稀であり、有効であるが、他の治療により癌細胞の大部分が除去された後に、癌の再発を予防するか、または遅延させるのに用いられることが多い。生物治療/免疫治療は数が限られており、発疹もしくは腫れ、発熱、寒気および疲労などの流感様徴候、消化管の問題またはアレルギー反応などの副作用をもたらし得る。
【0016】
化学療法に関しては、癌の治療に利用可能な様々な化学療法剤が存在する。大多数の癌の化学療法剤は、直接的にDNA合成を阻害するか、またはデオキシリボヌクレオチド三リン酸前駆体の生合成を阻害することにより間接的にDNA合成を阻害することにより作用して、DNA複製およびそれに付随する細胞分裂を防止する(例えば、Gilmanら、GoodmanおよびGilman:「治療剤の薬学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」、第8版 (Pergamom Press, New York, 1990)を参照されたい)。これらの薬剤としては、ニトロソウレアなどのアルキル化剤、メトトレキサートおよびヒドロキシウレアなどの代謝拮抗剤、ならびにエトポシド、カンパテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシンなどの他の薬剤が挙げられるが、DNA複製に対するその効果のため、必ずしも細胞周期特異的である必要はなく、S期の間に細胞を殺傷する。他の薬剤、具体的にはコルヒチンならびにビンブラスチンおよびビンクリスチンなどのビンカアルカロイドは、微小管集合を阻害し、有糸分裂停止をもたらす。一般的には、化学療法プロトコルは、治療の効果を増加させるための化学療法剤の組合せの投与を含む。
【0017】
様々な化学療法剤の利用可能性にも拘らず、化学療法は多くの欠点を有する(例えば、Stockdale, 1998,「癌患者管理の原則(Principles Of Cancer Patient Management)」、Scientific American Medicine, vol. 3, RubensteinおよびFederman(編)、第12章、第10節を参照されたい)。ほとんど全ての化学療法剤は毒性的であり、化学療法は重大な、およびしばしば危険な副作用、例えば、重篤な吐気、骨髄抑制、免疫抑制などを引き起こす。さらに、化学療法剤の組合せの投与を用いる場合でも、多くの腫瘍細胞は化学療法剤に対して抵抗するか、または耐性を生じる。実際、治療プロトコルにおいて用いられる特定の化学療法剤に対して抵抗するこれらの細胞は、特定の治療において用いられる薬剤の作用機構とは異なる機構により作用する薬剤でも、他の薬剤に対して抵抗性であることが証明されている;この現象は、多面的薬剤耐性または多剤耐性と呼ばれる。かくして、薬剤耐性のため、多くの癌は、標準的な化学療法剤による治療プロトコルに対して難治性であることが証明されている。
【0018】
代替的な癌治療、特に、外科手術、放射線治療、化学療法、およびホルモン療法などの標準的な癌治療に対して難治性であることが証明されている癌の治療の有意な必要性が存在する。前途有望な代替物は、癌細胞を癌抗原特異的抗体により特異的に標的化する免疫治療である。主要な努力は、免疫応答の特異性を利用することに向けられてきたが、例えば、ハイブリドーマ技術により、腫瘍選択的なモノクローナル抗体の開発が可能になり(Green M. C.ら、2000 Cancer Treat Rev., 26: 269-286; Weiner L M, 1999 Semin Oncol. 26(suppl. 14): 43-51を参照)、過去数年、食品医薬品局は癌治療のための最初のMAb:非ホジキンリンパ腫のためのRituxin(抗CD20)および転移性乳癌のためのHerceptin[抗(c-erb/HER-2)]を認可した(Suzanne A. Eccles, 2001, Breast Cancer Res., 3: 86-90)。しかしながら、例えば、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を媒介する抗体エフェクター機能の有効性は、そのような治療にとって障害となる。かくして、そのような免疫治療の効果を改善する方法が必要である。
【0019】
2.1.2 炎症性疾患および自己免疫疾患
炎症は、体の白血球および化合物が、細菌およびウイルスなどの外来物質による感染から我々の体を防御するプロセスである。それは通常、影響を受けた領域の疼痛、腫れ、温覚および発赤を特徴とする。サイトカインおよびプロスタグランジンとして知られる化合物がこのプロセスを制御し、順序付けられ、自己制限するカスケードにおいて、血液または影響を受けた組織中に放出される。この化合物の放出は、損傷または感染の領域への血流を増加させ、発赤および温覚をもたらし得る。いくつかの化合物は、組織への液体の漏出を引き起こし、腫れをもたらす。この防御プロセスは、神経を刺激し、疼痛を引き起こし得る。これらの変化は、関連する領域中で限られた期間に起こる場合、体の利益となるように働く。
【0020】
自己免疫障害および/または炎症性障害においては、免疫系は、戦うべき外来物質が存在しない場合、炎症応答を誘発し、通常は体を防御する免疫系は、自分を間違って攻撃することにより、自分自身の組織に対する損傷を引き起こす。様々な方法で体に影響する多くの様々な自己免疫障害が存在する。例えば、脳は多発性硬化症を有する個体において影響を受け、腸はクローン病を有する個体において影響を受け、ならびに様々な関節の滑膜、骨および軟骨は慢性関節リウマチを有する個体において影響を受ける。自己免疫障害は1つ以上の型の体組織の破壊を進行させるため、器官の異常な成長、または器官機能の変化が起こり得る。自己免疫障害は1つの器官もしくは組織型にのみ影響するか、または複数の器官および組織に影響し得る。自己免疫障害により一般的に影響される器官および組織としては、赤血球、血管、結合組織、内分泌腺(例えば、甲状腺または膵臓)、筋肉、関節、および皮膚が挙げられる。自己免疫障害の例としては、限定されるものではないが、橋本甲状腺炎、悪性貧血、アジソン病、1型糖尿病、慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、皮膚筋炎、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、自己免疫性内耳疾患、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス疾患、自己免疫性肝炎、家族性大腸腺腫症および潰瘍性大腸炎が挙げられる。
【0021】
慢性関節リウマチ(RA)および若年性慢性関節リウマチは、炎症性関節炎の型である。関節炎は、関節における炎症を説明する一般的な用語である。全てではないが、いくつかの型の関節炎は、間違った炎症の結果である。慢性関節リウマチから外れて、炎症と関連する他の型の関節炎としては、以下のもの:乾癬性関節炎、ライター症候群、強直性脊椎関節炎、および痛風性関節炎が挙げられる。慢性関節リウマチは、体の両側(両手、両手首または両膝など)上の関節において発生する慢性関節炎の型である。この対称は、慢性関節リウマチを他の型の関節炎と区別するのに役立つ。関節に影響することに加えて、慢性関節リウマチは皮膚、眼、肺、心臓、血液または神経に影響する場合もある。
【0022】
慢性関節リウマチは、世界の集団の約1%に影響し、潜在的に日常生活に支障を来す。米国においては約290万人が慢性関節リウマチに罹患している。男性よりも女性の方が2〜3倍多く罹患している。慢性関節リウマチが起こる典型的な年齢は、25〜50歳である。71,000人の若いアメリカ人(18歳以下)が若年性慢性関節リウマチに罹患し、少年より少女の方が6倍多く罹患している。
【0023】
慢性関節リウマチは、体の免疫系が、外来物として関節中に潤滑液を分泌する滑膜を不適切に同定する場合の自己免疫障害である。炎症が起こり、関節中および関節周囲の軟骨および組織が損傷されるか、または破壊される。重篤な場合、この炎症は他の関節組織および周囲の軟骨にも及び、骨および軟骨を腐食するか、または破壊し、関節奇形を誘導し得る。体は、損傷された組織を傷組織と置換し、関節内の通常の空間が狭くなり、骨が一緒に融合する原因となる。慢性関節リウマチは、凝り、腫れ、疲労、貧血、体重減少、発熱、およびしばしば、壊滅的な疼痛を引き起こす。慢性関節リウマチのいくつかの一般的な徴候としては、1時間以上も続く寝起きの際の関節の凝り;特定の指または手首の関節における腫れ;関節の周囲の柔組織における腫れ;および関節の両側上での腫れが挙げられる。腫れは、疼痛を伴うか、または伴わずに起こり得るが、進行的に悪くなるか、または進行する前に何年も同じままになり得る。
【0024】
慢性関節リウマチの診断は、例えば、痛い関節の特定の位置および対称、朝における関節の凝りの存在、皮膚の下の瘤および結節の存在(リウマチ性結節)、慢性関節リウマチを示唆するX線試験の結果、ならびに/または血液試験の陽性の結果などの因子(リウマチ因子と呼ばれる)の組合せに基づくものである。慢性関節リウマチを有する、全てではないが、多くの人々は、彼らの血液中にリウマチ因子抗体を有する。リウマチ因子は、慢性関節リウマチを有さない人々に存在してもよい。他の疾患も、リウマチ因子が血液中で産生される原因となる。それが、慢性関節リウマチの診断がいくつかの因子の組合せに基づくものであり、血液中のリウマチ因子の存在のみに基づくものではない理由である。
【0025】
疾患の典型的な経過は、持続的であるが、変動する関節の徴候の1つであり、約10年後には、90%の罹患者が、骨および軟骨に対する構造的損傷を示すであろう。完全に治る短い病気を有する割合は少ないであろうが、多くの関節奇形を有する非常に重篤な疾患を有する割合も別に少なく、疾患の他の徴候を示すこともあろう。炎症プロセスは、関節中の骨および軟骨の腐食および破壊を引き起こす。慢性関節リウマチにおいては、持続的な抗原提示、T細胞刺激、サイトカイン分泌、滑膜細胞活性化、および関節破壊の自己免疫周期が存在する。この疾患は、個人および社会の両方に対して重要な影響を有し、重大な疼痛、機能の損傷および身体障害、ならびに医療費および逸失賃金における数百万ドルの費用の原因となる(例えば、NIHのウェブサイトおよびNIAIDのウェブサイトを参照されたい)。
【0026】
関節炎のために現在利用可能な治療は、抗炎症剤または免疫抑制剤を用いて関節の炎症を減少させることに焦点を当てている。任意の関節炎の治療の第一選択薬は、通常、アスピリン、イブプロフェンなどの抗炎症剤ならびにセレコキシブおよびロフェコキシブなどのCox-2阻害剤である。「第二選択薬」としては、金、メトトレキサートおよびステロイドが挙げられる。これらは関節炎のためのよく確立された治療であるが、これらの治療の選択薬のみに対して寛解する患者は非常に少ない。慢性関節リウマチの病因の理解における最近の進歩は、サイトカインまたは組換え可溶性受容体に対する抗体と組合せたメトトレキサートの使用をもたらした。例えば、腫瘍壊死因子(TNF)-αに対する組換え可溶性受容体が、関節炎の治療においてメトトレキサートと組合わせて用いられてきた。しかしながら、メトトレキサートと、TNF-αに対する組換え可溶性受容体などの抗TNF-α剤との組合せを用いて治療した患者の約50%のみが、臨床的に有意な改善を示す。多くの患者は治療にも拘らず、難治性のままである。困難な治療の問題が、慢性関節リウマチを有する患者にとって依然として残っている。多くの現在の治療は、高い発生率の副作用を有するか、または疾患の進行を完全に防止することができない。今までのところ、理想的な治療はなく、治癒もない。慢性関節リウマチおよび他の自己免疫障害をより有効に治療する新規治療剤が必要である。
【0027】
2.1.3 感染症
疾患を引き起こす感染性因子は、5つの群:ウイルス、細菌、菌類、原虫、および蠕虫(虫)に分類される。非常に多様なこれらの病原体は、適応免疫の2つの決定的な特徴の天然の選択の原因となってきた。第一に、様々な病原体を認識することができる利点は、等しいか、またはより大きい多様性のBおよびT細胞上の受容体の開発を推進してきた。第二に、病原体の異なる生息環境および生活環を、様々な異なるエフェクター機構により対抗させる必要がある。各病原体の特徴は、その伝染の様式、その複製の機構、その病原性またはそれが疾患を引き起こす手段、およびそれが引き出す応答である。
【0028】
天然痘、コレラ、チフス、赤痢、マラリアなどに罹患する人、およびそれらにより引き起こされた死亡の記録は、高位の感染症を確立する。改善された公衆衛生、免疫、および抗微生物治療により提供された制御における顕著な成功にも拘らず、感染症は現代医学の共通かつ重要な問題であり続けている。人類の最も一般的な疾患である、一般的な風邪は感染症であり、恐ろしい現代の疾患であるAIDSも同様である。変性疾患であると以前は考えられていたいくつかの慢性神経疾患は感染性であることが証明されている。将来は感染症を主要な医学的問題として明かすように続くであろうという疑いはほとんどない。
【0029】
多数のヒトおよび動物の疾患は、上記の感染性因子のいずれかに由来する伝染力の強い、日和見感染の結果生じる(Belshe (編) 1984 Textbook of Human Virology, PSG Publishing, Littleton, Mass.を参照されたい)。
【0030】
感染症の1つのカテゴリーは、例えば、ウイルス感染である。気道、CNS、皮膚、尿生殖路、眼、耳、免疫系、胃腸管、および筋骨格系などの様々な組織のウイルス疾患は、あらゆる年齢の膨大な数のヒトに影響している(WyngaardenおよびSmith, 1988, Cecil Textbook of Medicine、第18版、W.B. Saunders Co., Philadelphia, pp.1750-1753の表328-2を参照されたい)。有効な抗ウイルス治療の設計にかなりの努力が注ぎ込まれてきたが、ウイルス感染は世界中で数百万人の生命を脅かし続けている。一般的には、抗ウイルス剤を開発する試みは、いくつかの段階のウイルスの生活環に焦点を当ててきた(例えば、HIVについて考察している、Mitsuyaら、1991, FASEB J. 5:2369-2381を参照されたい)。しかしながら、多くの現在の抗ウイルス剤の使用と関連する共通の欠点は、その有害な副作用、例えば、宿主に対する毒性または特定のウイルス株による耐性などである。
【0031】
本明細書に記載の参考文献の引用または考察は、そのようなものが本発明にとって従来技術であるという承認として解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】WO 2003/075957
【特許文献2】米国特許第5,677,171号
【特許文献3】WO 02/12501
【特許文献4】米国特許第5,736,137号
【特許文献5】米国特許第4,943,533号
【特許文献6】米国特許第6,194,551号
【特許文献7】米国特許第5,885,573号
【特許文献8】WO 04/029207
【特許文献9】米国特許第5,348,876号
【非特許文献】
【0033】
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【非特許文献4】Ravetchら、1991, Annu Rev Immunol 9:457-492
【非特許文献5】Raghavanら、1996, Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220
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【非特許文献45】Stockdale, 1998,「癌患者管理の原則(Principles Of Cancer Patient Management)」、Scientific American Medicine, vol. 3, RubensteinおよびFederman(編)、第12章、第10節
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【非特許文献48】Belshe (編) 1984 Textbook of Human Virology, PSG Publishing, Littleton, Mass.
【非特許文献49】WyngaardenおよびSmith, 1988, Cecil Textbook of Medicine、第18版、W.B. Saunders Co., Philadelphia, pp.1750-1753
【非特許文献50】Mitsuyaら、1991, FASEB J. 5:2369-2381
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0034】
3. 発明の概要
本発明は、改変されたヒンジを含むポリペプチドの詳細な特性評価を提供する。改変されたヒンジ領域は、野生型のヒンジと比較して、限定されるものではないが、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷および疎水性などのヒンジの1つ以上の特徴の変化を示してもよい。本明細書に開示される改変されたヒンジ領域を、例えば、野生型ヒンジに改変を導入することなどの当業界でよく知られた方法により作製することができる。改変されたヒンジ領域を作製するのに用いることができる改変としては、限定されるものではないが、アミノ酸の挿入、欠失、置換、および再配置が挙げられる。開示されるヒンジおよび改変されたヒンジ領域の前記改変を、本明細書では「本発明のヒンジ改変」、「本発明の改変されたヒンジ」、または単純に「ヒンジ改変」もしくは「改変されたヒンジ」と呼ぶ。本明細書に開示される改変されたヒンジ領域を、限定されるものではないが、抗体およびそのフラグメントなどの選択した分子中に組込むことができる。本明細書で証明されるように、改変されたヒンジを含む分子は、例えば、野生型ヒンジを含むこと以外は同じアミノ酸配列を有する分子などの、改変されたヒンジ以外は同じアミノ酸配列を有する分子と比較した場合、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)への結合の変化および/またはエフェクター機能の変化を示してもよい。
【0035】
従って、本発明は、分子、特に、ポリペプチド、より具体的には、改変されたヒンジ以外は同じアミノ酸配列を有する分子と比較した場合、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)へのFc領域の結合を変化させ、および/またはFcを介するエフェクター機能を調節する本発明の改変されたヒンジ組込むFc領域(本明細書で用いられる「Fc領域」および類似する用語は、ヒンジ領域の全部または少なくとも一部を含む任意の重鎖定常領域ドメインを包含する)を含む免疫グロブリン(例えば、抗体)および他の結合タンパク質を提供する。これらの改変された領域を、選択した分子に組込むことができる。本発明の改変されたヒンジを含むFc領域を含む分子を、本明細書では「本発明のFc変異体」または「Fc変異体」と呼ぶ。Fc変異体を、当業者にはよく知られた方法により作製することができることが特に意図される。簡単に述べると、そのような方法としては、限定されるものではないが、所望の特異性を有する可変領域または他の結合ドメイン(例えば、ファージ展示もしくは発現ライブラリーから単離されたか、またはヒトもしくは非ヒト抗体もしくは受容体のリガンド結合ドメインから誘導された可変領域)を、本発明の改変されたヒンジを含むFc領域と組合わせることが挙げられる。あるいは、当業者であれば、当業界でよく知られた方法を用いて、Fc領域を含む分子のヒンジを改変することにより(例えば、アミノ酸の挿入、欠失、置換、または再配置を導入する)Fc変異体を作製して、本発明のFc変異体を作製することができる。
【0036】
本発明は、例えば、野生型ヒンジを含むFc変異体などの、改変されたヒンジについて以外はFc変異体と同じアミノ酸配列を有する分子(本明細書では「比較可能な分子」とも呼ぶ)と比較して、少なくとも1種のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する変化した結合親和性を有するFc変異体を提供する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子(例えば、改変されていないか、もしくは野生型のヒンジ領域を有する抗体)と比較して、活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に対するより高い結合親和性および/または阻害的FcγR(例えば、FcγRIIB)に対する変化していないか、もしくはより低い結合親和性を有する。本発明はさらに、比較可能な分子と比較して、ADCCを媒介する能力(本明細書では「ADCC活性」と呼ぶ)が増強されたFc変異体を提供する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子(例えば、改変されていないか、もしくは野生型のヒンジ領域を有する抗体)と比較して、FcγR親和性における上記変化に加えて、増強されたADCC活性を有する。他の実施形態においては、FcγRに対するより高い結合親和性を有するFc変異体は、比較可能な分子と比較して、有意に変化した抗原結合特異性を有さない。
【0037】
本発明はまた、比較可能な分子(例えば、改変されていないか、もしくは野生型のヒンジ領域を有する抗体)と比較して、活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に対するより低い結合親和性を有し、および/または阻害的FcγR(例えば、FcγRIIB)に対する結合親和性が増加したFc変異体も提供する。本発明はさらに、比較可能な分子と比較して、ADCC機能が低下したFc変異体を提供する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、FcγR親和性における上記変化に加えて、ADCC活性の低下を示す。他の実施形態においては、活性化しているFcγRに対するより低い結合親和性を有するFc変異体は、比較可能な分子と比較して、有意に変化した抗原結合特異性を有さない。
【0038】
本発明はさらに、比較可能な分子(例えば、改変されていないか、もしくは野生型のヒンジ領域を有する抗体)と比較して、補体タンパク質C1qに対する変化した結合親和性を有するFc変異体を提供する。一実施形態においては、前記Fc変異体は、C1qに対する増強された結合親和性を有し、より効率的にCDCを媒介する(本明細書では「CDC活性」とも呼ぶ)。別の実施形態においては、前記Fc変異体は、C1qに対する低下した結合親和性を有し、あまり効率的にCDCを媒介しない。さらに他の実施形態においては、補体タンパク質C1qに対する変化した結合親和性を有するFc変異体は、比較可能な分子と比較して、有意に変化した抗原結合特異性を有さない。
【0039】
本発明の課題は、1種以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対してより大きい親和性で結合するFc変異体を提供することである。一実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍大きい、1種以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する親和性を有する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも約2倍〜約50倍高い1種以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する親和性を有する。他の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約10%〜約200%増加した1種以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する親和性を有する。1つの特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、FcγRIIIAおよび/またはC1qに対するより大きい親和性を有する。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、FcγRIIBに対するより大きい親和性を有する。
【0040】
本発明のさらなる課題は、1種以上のFcγRおよび/またはC1qに対して低下した親和性で結合するFc変異体を提供することである。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも約2倍〜約50倍低い、1種以上のFcγRおよび/またはC1qに対する親和性を有する。他の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約10%〜約200%低下した1種以上のFcγRおよび/またはC1qに対する親和性を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、変化していないか、または低下したFcγRIIBに対する親和性を有する。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、低下したFcγRIIIAおよび/またはC1qに対する親和性を有する。
【0041】
特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約2倍〜約10倍、または約5倍〜約50倍、または約25倍〜約250倍、または約100倍〜約500倍減少した、Fcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する平衡解離定数(KD)を有する。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約10%〜200%、または約10%〜50%、または約50%〜100%、または約100%〜200%減少した、Fcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する平衡解離定数(KD)を有する。さらに別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、ADCC活性が減少し、および増強したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比を有する。
【0042】
別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子(例えば、野生型ヒンジを含む抗体)と比較して、FcγRIIIAに対する減少した親和性、増加したFcγRIIBに対する親和性および低下したADCC活性を有する。さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比および低下したADCC活性を有する。
【0043】
本発明のさらなる課題は、比較可能な分子と比較して、増強されたADCCおよび/またはCDC活性を有するFc変異体を提供することである。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも約2倍大きいADCCおよび/またはCDC活性を有する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも約2倍〜約100倍大きいADCCおよび/またはCDC活性を有する。他の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約10%〜約200%増加したADCCおよび/またはCDC活性を有する。
【0044】
本発明のさらなる課題は、比較可能な分子と比較して、ADCCおよび/またはCDC活性が低下したFc変異体を提供することである。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも約2倍低いADCCおよび/またはCDC活性を有する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも約2倍〜約100倍低いADCCおよび/またはCDC活性を有する。他の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約10%〜約200%低下したADCCおよび/またはCDC活性を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、ADCCおよび/またはCDC活性が少ないか、または全くない。
【0045】
1つの特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加したFcγRIIIAに対する親和性および変化していないか、または低下したFcγRIIBに対する親和性および増強されたADCC活性を有する。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、FcγRIIIAに対する減少した親和性および増加したFcγRIIBに対する親和性および低下したADCC活性を有する。
【0046】
いくつかの実施形態においては、本発明のFc変異体は、いかなるFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)にも結合しないか、または当業者には公知の標準的なアッセイ(例えば、in vitroアッセイ)により決定されるように、比較可能な分子と比較して、低下した親和性で結合する。特定の実施形態においては、本発明は、FcγRIIIAである1種のFcγRにのみ結合するFc変異体を包含する。さらに別の実施形態においては、本発明は、FcγRIIBである1種のFcγRにのみ結合するFc変異体を包含する。さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、C1qに結合しないか、または低下した親和性で結合する。
【0047】
受容体のそのリガンドに対する結合特性を、限定されるものではないが、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)もしくはラジオイムノアッセイ(RIA))、または反応速度論(例えば、BIACORE(登録商標)分析)、ならびに間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)などの他の方法などの当業界でよく知られた様々な方法により決定することができる。これらのおよび他のよく知られた方法は、試験する1つ以上の成分上の標識を利用し、および/または限定されるものではないが、色素、蛍光、発光、またはアイソトープ標識などの様々な検出方法を用いることができる。結合親和性および反応速度論の詳細な説明を、抗体-免疫原相互作用に焦点を当てているPaul, W.E.(編)、Fundamental Immunology、第4版、Lippincott-Raven, Philadelphia (1999)に見出すことができる。
【0048】
特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して、ヒンジの可撓性が変化した(例えば、増加または減少する)改変されたヒンジを含むFc変異体を包含する。可撓性が変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジの可撓性を増加させる改変としては、限定されるものではないが、1個以上のグリシン残基による1個以上のアミノ酸残基の置換、ジスルフィド結合を形成することができないアミノ酸残基(例えば、セリン、アラニン、グリシン)によるジスルフィド結合の形成に関与するシステインの置換が挙げられる。ヒンジの可撓性を減少させる改変としては、限定されるものではないが、1個以上のプロリン残基による1個以上のアミノ酸残基の置換、ジスルフィド結合を形成することができるアミノ酸残基(例えば、システイン)によるジスルフィド結合を形成することができないアミノ酸残基(例えば、セリン、アラニン、グリシン)の置換が挙げられる。
【0049】
特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較してヒンジの長さが変化した(例えば、増加するか、または減少する)改変されたヒンジを含むFc変異体を包含する。ヒンジの長さが変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジの長さを増加させる改変としては、限定されるものではないが、ヒンジ内への1個以上のアミノ酸残基の付加が挙げられる。ヒンジの長さを減少させる改変としては、限定されるものではないが、ヒンジ内の1個以上のアミノ酸残基の欠失が挙げられる。
【0050】
特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して、ヒンジコンフォメーションが変化した改変されたヒンジを含むFc変異体を包含する。ヒンジコンフォメーションが変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジのコンフォメーションを変化させる改変としては、限定されるものではないが、小さい側鎖を有する1個以上のアミノ酸残基(例えば、アラニン、グリシン)の、より大きいかさ高い側鎖を有するもの(例えば、トリプトファン、プロリン)への置換、またはヒンジ内の2個以上のアミノ酸残基の転置が挙げられる。
【0051】
ヒンジの1つ以上の特徴(例えば、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷、疎水性)を変化させるヒンジ改変を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの改変されたヒンジの1つ以上の規定の領域に存在してもよいことが意図される。そのようなヒンジ改変を、それらがヒンジの1つ以上の規定の領域と重複するように、またヒンジを2つ以上の領域中で改変することができるように作製することができることが当業者には明らかであろう。
【0052】
本発明はさらに、限定されるものではないが、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷、疎水性などの2つ以上のヒンジの特徴が変化した改変されたヒンジを含むFc変異体を包含する。
【0053】
本発明のFc変異体を、限定されるものではないが、Fcリガンド結合および/またはエフェクター機能を変化させる改変などの他のFc改変と組合わせることができる。本発明は、本発明のFc変異体を、他のFc改変と組合わせて、抗体またはFc融合物中に追加の、相乗作用的な、または新規の特性を提供することを包含する。本発明のFc変異体は、それらを組合わせる改変されたヒンジの表現型を増強することが意図される。例えば、Fc変異体(すなわち、本発明のヒンジ改変を組込む)を、野生型Fc領域を含む比較可能な分子よりも高い親和性でFcγRIIIAに結合することが知られる突然変異体と組合わせる場合、その組合せはFcγRIIIA親和性のより大きい倍数の富化をもたらす。
【0054】
本発明は、少なくとも1個のFc領域が本発明の改変されたヒンジを組込む、Fc領域のホモダイマーまたはヘテロダイマーを含む分子を包含する。Fc領域を含むヘテロダイマーとは、2個のFc鎖が異なる配列を有する分子を言う。いくつかの実施形態においては、改変されたヒンジおよび/または他のFc改変を組込むFc領域を含むヘテロダイマー分子において、それぞれの鎖は他の鎖とは異なる1つ以上の改変を有する。他の実施形態においては、改変されたヒンジを組込むFc領域を含むヘテロダイマー分子において、一方の鎖は野生型のFc領域を含み、他方の鎖は1つ以上の改変を含む。ヘテロダイマーFc含有分子を操作する方法は当業界で公知であり、本発明の中に包含される。
【0055】
本発明はまた、部分(例えば、治療剤もしくは薬剤)にコンジュゲートされるか、または融合されたFc変異体も包含する。
【0056】
特定の実施形態においては、本発明は、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する親和性が変化したFc変異体である抗体を提供する。そのような抗体としては、Fc変異体を生じるように改変することができるヒンジを含むFc領域を天然に含むIgG分子、または改変されたヒンジを含むFc領域を含むように操作された抗体誘導体が挙げられる。Fc変異体である抗体としては、抗原に結合し、好ましくは、特異的に(例えば、特異的抗原-抗体結合をアッセイするための当業界でよく知られた免疫アッセイにより決定されるように、非特異的結合を競合除去する)結合し、改変されたヒンジを組込むFc領域またはそのフラグメントを含む任意の抗体分子が挙げられる。そのような抗体としては、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、二特異的、多特異的、ヒト、ヒト化、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、ジスルフィド結合Fv、およびVLもしくはVHドメインを含むフラグメントまたはさらに特定の場合、少なくとも1つの本発明の改変されたヒンジを組込むFc領域もしくはその一部を含むように操作されたか、またはそれに融合された抗原に特異的に結合する相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0057】
本発明はまた、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する、Fc領域を含むポリペプチド(例えば、抗体、Fc融合物)の親和性を変化させる方法も提供する。さらに、本発明は、Fc領域を含むポリペプチド(例えば、抗体、Fc融合物)のエフェクター機能(例えば、ADCC、CDC)を変化させる方法を提供する。
【0058】
本発明は、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する前記治療剤の結合親和性を調節する、ヒンジの1個以上のアミノ酸残基の改変(例えば、挿入、欠失、置換、転置)によりヒトまたはヒト化治療抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)を操作することを包含する。一実施形態においては、本発明は、活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に対するFc領域の親和性を増加させる、ヒンジの改変によりヒトまたはヒト化治療抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)を操作することに関する。別の実施形態においては、本発明は、活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に対するFc領域の親和性を増加させ、さらに阻害的FcγR(例えば、FcγRIIB)に対するFc領域の親和性を減少させる、1個以上のアミノ酸残基の改変により、ヒンジ領域中でヒトまたはヒト化治療抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)を操作することに関する。さらに別の実施形態においては、本発明は、C1qに対するFc領域の親和性を増加させる、1個以上のアミノ酸残基の改変により、ヒンジ領域中でヒトまたはヒト化治療抗体を操作することに関する。操作された治療抗体はさらに、当業者には公知の標準的なアッセイにより決定されるように、増強されたエフェクター機能、例えば、増強されたADCC活性、CDC活性、食作用活性などを有してもよい。
【0059】
本発明はまた、単独または他の治療と組合せた、限定されるものではないが、癌、炎症性疾患および自己免疫疾患などの疾患、障害または感染と関連する1つ以上の徴候の予防、管理、治療または軽減のための本発明のFc変異体の使用も包含する。本発明はまた、単独または他の治療と組み合わせた、限定されるものではないが、癌、炎症性疾患および自己免疫疾患の予防、管理、治療または軽減のための、部分(例えば、治療剤もしくは薬剤)にコンジュゲートされたか、または融合された本発明のFc変異体の使用も包含する。本発明のFc変異体を含む抗体(もしくは他の分子)を、単独で、または他の治療と組み合わせて、限定されるものではないが、癌、炎症性疾患および自己免疫疾患などの疾患、障害または感染と関連する1つ以上の徴候の予防、管理、治療または軽減に用いることができる。従って、本発明はさらに、少なくとも1個のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する結合親和性が変化したFc変異体の予防効果または治療効果を増強する治療プロトコルを包含する。
【0060】
本発明は、限定されるものではないが、感染、癌、炎症性疾患および自己免疫疾患などの疾患および障害と関連する1つ以上の徴候の予防、治療、管理、検出、モニタリング、診断または軽減における使用のための、1つ以上の容器中に、検出剤、治療剤もしくは薬剤にコンジュゲートされたか、または融合された1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する結合親和性が改変された1個以上のFc変異体を含む分子を含むキットを提供する。
4. 図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、抗ヒトEphA2抗体12G3H11の可変軽鎖(VL)および重鎖(VH)(それぞれ、配列番号1および2)のアミノ酸配列を示す。囲み領域はCDR(Kabatにより定義されたもの)である。
【図2】図2は、ヒンジ領域の可撓性を増加させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。これらの変異体は全て、C1q結合の低下を示すが、変異体9および10については結合が少し低下し、ならびに変異体3、4、7および8については結合がより大きく低下した。
【図3】図3は、ヒンジ領域の可撓性を減少させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体14は結合における変化を有さず、変異体21はわずかな減少を示したが、変異体17および18はC1qへの結合がわずかに改善された。
【図4】図4は、ヒンジ領域の長さおよび可撓性を増加させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体5および6は共に、C1q結合の低下を示すが、変異体5については結合がより大きく低下した。
【図5】図5は、ヒンジ領域の長さを増加させ、可撓性を減少させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体15および16は、このアッセイによってはC1qへのそれらの結合が実質的に変化しない。
【図6】図6は、ヒンジ領域の長さを減少させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体13の結合は変化しなかったが、変異体11および12はC1qへの結合が大きく低下した。
【図7】図7は、ヒンジ領域のコンフォメーション全体を変化させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体2のC1q結合は実質的に変化しなかったが、変異体19の結合は低下した。変異体1および20は結合の増加を示した。
【図8】図8は、ヒンジ領域の可撓性を増加させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体3、9および10については、FcγRIII結合の変化は認められなかったが、変異体4、7および8については、FcγRIII結合のほんのわずかな低下が認められた。
【図9】図9は、ヒンジ領域の可撓性を減少させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。これらの変異体、14、17、18および21のうちのいずれも、FcγRIII結合の有意な差異を示さなかった。
【図10】図10は、ヒンジ領域の長さおよび可撓性を増加させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体5は、FcγRIII結合の有意な低下を示したが、変異体6は実質的に変化しなかった。
【図11】図11は、ヒンジ領域の長さを増加させ、可撓性を減少させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。これらのFc変異体はいずれも、これらのアッセイにおいてはFcγRIII結合の差異を示さなかった。
【図12】図12は、ヒンジ領域の長さを減少させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。これらのFc変異体は、実質的に変化しない変異体13からわずかに低下したFc変異体11および12までの範囲のFcγRIII結合曲線を示した。
【図13】図13は、ヒンジ領域のコンフォメーション全体を変化させ得る改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。Fc変異体1、2および20については、FcγRIII結合が実質的に変化しなかったが、Fc変異体19については、FcγRIII結合が低下した。
【図14】図14は、A549(ヒト肺癌)標的細胞に対する、野生型12G3H11抗体およびFc変異体5のADCC活性を示す。E:T比は25:1であり、ドナー139に由来するエフェクター細胞であった。Fc変異体5のADCC活性は有意に低下した。いくつかの他のドナーに由来するエフェクター細胞について、同じ結果が見られた(図15および16を参照)。
【図15】図15は、A549(ヒト肺癌)標的細胞に対する、野生型12G3H11抗体およびFc変異体5のADCC活性を示す。E:T比は50:1であり、ドナー168に由来するエフェクター細胞であった。Fc変異体5のADCC活性は有意に低下した。いくつかの他のドナーに由来するエフェクター細胞について、同じ結果が見られた(図14および16を参照)。
【図16】図16は、A549(ヒト肺癌)標的細胞に対する、野生型12G3H11抗体およびFc変異体5のADCC活性を示す。E:T比は25:1であり、ドナー103に由来するエフェクター細胞であった。Fc変異体5のADCC活性は有意に低下した。いくつかの他のドナーに由来するエフェクター細胞について、同じ結果が見られた(図14および15を参照)。
【図17】図17は、野生型12G3H11抗体、無関係の対照抗体およびいくつかのFc変異体(5、7および11)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCT26細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体は全て、CDC活性の低下を示す。同じ結果が、EphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞についても見られた(図18を参照)。
【図18】図18は、野生型12G3H11抗体、無関係の対照抗体およびいくつかのFc変異体(5、7および11)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体は全て、CDC活性の低下を示す。同じ結果が、EphA2をトランスフェクトされたCT26細胞についても見られた(図17を参照)。
【図19】図19は、野生型12G3H11抗体、無関係の対照抗体および2つのFc変異体(1および20)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCT26細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体は、CDC活性の有意な増加を示す。同じ結果が、EphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞およびトランスフェクトされていないKATO III細胞についても見られた(図20および21を参照)。
【図20】図20は、野生型12G3H11抗体、無関係の対照抗体および2つのFc変異体(1および20)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体は、CDC活性の有意な増加を示す。同じ結果が、EphA2をトランスフェクトされたCT26細胞およびトランスフェクトされていないKATO III細胞についても見られた(図19および21を参照)。
【図21】図21は、野生型12G3H11抗体、無関係の対照抗体および2つのFc変異体(1および20)の、トランスフェクトされていないKATO III細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体は、CDC活性の有意な増加を示す。同じ結果が、EphA2をトランスフェクトされたKATO IIIおよびCT26細胞についても見られた(図19および20を参照)。
【図22】図22は、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。Fc変異体「22-Combo 1+20」、27および28は、C1qへの結合の増強を示した。
【図23】図23は、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのC1qの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。Fc変異体24および25は、C1qへの結合の増強を示したが、26および23は相対的に変化しなかった。
【図24】図24は、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。変異体27および28は、FcγRIIIAへの結合のわずかな増加を示したが、Fc変異体22は相対的に変化しなかった。
【図25】図25は、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体を含む精製されたIgGへのFcγRIIIAの結合に関する結合曲線を示す。野生型Fcに対するFc変異体のIgGの光学密度対濃度の比率としてプロットした。Fc変異体23および25のFcγRIIIAへの結合は相対的に変化しなかったが、変異体24および26は結合のわずかな低下を示す。
【図26】図26は、野生型12G3H11抗体、無関係な対照抗体、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体(21、24および25)ならびに2つの以前に分析されたFc変異体(1および20)の、トランスフェクトされていないKATO III細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体はCDC活性の有意な増加を示す。以前に認められたように、Fc変異体1および20はCDC活性の増加を示し、さらに、Fc変異体22、24および25もCDC活性の増加を示した。同じ結果が、EphA2をトランスフェクトされたKATO III、CT26およびCHO細胞について見られた(図27〜30を参照)。
【図27】図27は、野生型12G3H11抗体、無関係な対照抗体、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体(21、24および25)ならびに2つの以前に分析されたFc変異体(1および20)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCT26細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体はCDC活性の有意な増加を示す。以前に認められたように、Fc変異体1および20はCDC活性の増加を示し、さらに、Fc変異体22、24および25もCDC活性の増加を示した。同じ結果が、トランスフェクトされていないKATO III細胞、EphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞およびCHO細胞について見られた(図26、28〜30を参照)。
【図28】図28は、野生型12G3H11抗体、無関係な対照抗体、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体(22、24および25)ならびに2つの以前に分析されたFc変異体(1および20)の、カニクイザルEphA2をトランスフェクトされたCHO細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体はCDC活性の有意な増加を示す。以前に認められたように、Fc変異体1および20はCDC活性の増加を示し、さらに、Fc変異体22、24および25もCDC活性の増加を示した。同じ結果が、トランスフェクトされていないKATO III細胞、EphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞、CT26細胞およびCHO細胞について見られた(図26、27、29〜30を参照)。
【図29】図29は、野生型12G3H11抗体、無関係な対照抗体、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体(22、24および25)ならびに2つの以前に分析されたFc変異体(1および20)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体はCDC活性の有意な増加を示す。以前に認められたように、Fc変異体1および20はCDC活性の増加を示し、さらに、Fc変異体22、24および25もCDC活性の増加を示した。同じ結果が、トランスフェクトされていないKATO III細胞、EphA2をトランスフェクトされたCT26細胞およびCHO細胞について見られた(図26、27〜28、30を参照)。
【図30】図30は、野生型12G3H11抗体、無関係な対照抗体、組合せおよび代替的改変を有するFc変異体(22、24および25)ならびに2つの以前に分析されたFc変異体(1および20)の、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCHO細胞に対するCDC活性を示し、これらFc変異体はCDC活性の有意な増加を示す。以前に認められたように、Fc変異体1および20はCDC活性の増加を示し、さらに、Fc変異体22、24および25もCDC活性の増加を示した。同じ結果が、トランスフェクトされていないKATO III細胞、EphA2をトランスフェクトされたCT26細胞、CHO細胞およびKATO細胞について見られた(図26〜29を参照)。
【図31】図31は、還元的(上のパネル)および非還元的(下のパネル)条件下での精製された12G3H11および選択されたヒンジ変異体の10%SDS-PAGEプロフィールを示す。レーン6および12は分子量標準(SeeBlue Plus 2, Invitrogen, CA)であり、変異体を頂上に沿って示す。H=重鎖、L=軽鎖。
【発明を実施するための形態】
【0062】
5. 発明の詳細な説明
本発明は、特定のアミノ酸残基を含み、および/または特定のアミノ酸残基を欠く改変されたヒンジ領域を提供する。本発明はまた、野生型ヒンジと比較して、限定されるものではないが、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷および疎水性などの1つ以上の特徴の変化を示す改変されたヒンジ領域も提供する。本発明の改変されたヒンジを作製するのに用いることができる改変としては、限定されるものではないが、アミノ酸の挿入、欠失、置換、および再配置が挙げられる。ヒンジの前記改変および改変されたヒンジを、本明細書では一緒に「本発明のヒンジ改変」、「本発明の改変されたヒンジ」、または単に「ヒンジ改変」もしくは「改変されたヒンジ」と呼ぶ。これらの改変されたヒンジを、選択した分子中に組込むことができる。従って、本発明はさらに、分子、特に、ポリペプチド、より具体的には、改変されたヒンジを組込むFc領域(本明細書で用いられる「Fc領域」および類似する用語は、ヒンジ領域の少なくとも一部を含む任意の重鎖定常領域ドメインを包含する)を含む免疫グロブリン(例えば、抗体)および他の結合タンパク質を提供する。改変されたヒンジ(例えば、1個以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換、もしくは再配置を含むヒンジ領域)を含むFc領域を含む分子を、本明細書では「本発明のFc変異体」または「Fc変異体」と呼ぶ。特に、本発明は、前記の改変されたヒンジを含まないFc領域を含む同じ分子(例えば、野生型ヒンジを有するFc領域を含む同じ分子)と比較した場合、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)へのFc結合および/またはFcを介するエフェクター機能を変化させる改変されたヒンジを提供する。さらに、本発明は、野生型ヒンジを含むFc領域と比較した場合、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)への特定の改変されたヒンジ領域を含むFc領域の結合を変化させ、および/またはエフェクター機能を調節する前記ヒンジ領域を提供する。
【0063】
結合親和性が変化した本発明のFc変異体に対するFcリガンドとしては、限定されるものではないが、FcγR、FcRn、C1q、C3、スタフィロコッカスプロテインA、ストレプトコッカスプロテインG、ウイルスFcγRおよびFcに結合する未発見の分子が挙げられる。
【0064】
Fc結合相互作用は、種々のエフェクター機能および抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)活性および補体依存的細胞傷害性(CDC)などの下流のシグナル伝達事象にとって必須である。従って、本発明は、改変されたヒンジについて以外は本発明のFc変異体と同じアミノ酸配列を有する分子(本明細書では「比較可能な分子」と呼ぶ)と比較して、少なくとも1個のFcリガンド(例えば、FcγRIIIA、C1q)に対して変化した結合親和性を示す改変されたヒンジを含むFc変異体を提供する。比較可能な分子の特定例は、未改変の、または野生型のヒンジ領域を有するFc変異体であろう。一実施形態においては、本発明は、C1qへの結合が変化したFc変異体を包含する。別の実施形態においては、本発明は、FcγRIIIAへの結合が変化したFc変異体は、FcγRIIB受容体への結合における付随する変化を有さない。他の実施形態においては、改変されたヒンジの存在は、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)活性が変化したFc変異体を包含する。いくつかの実施形態においては、FcγRIIIAへの結合したFc変異体は、FcγRIIB受容体の結合における付随する変化を有さない。他の実施形態においては、改変されたヒンジの存在は、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)活性が変化したFc変異体をもたらす。さらに他の実施形態においては、本発明のFc変異体は、変化した補体依存的細胞傷害性(CDC)を有する。
【0065】
本発明はさらに、改変されたヒンジを組込むFc領域を含む、少なくとも1個の抗原に特異的に結合するFc変異体を提供する。本発明はまた、元の抗体(すなわち、ヒンジを改変する前の抗体、本明細書では「比較可能な分子」と呼ぶ)または対応抗体(すなわち、ヒンジ中の対応する位置に天然のアミノ酸残基を含む抗体、これも本明細書では「比較可能な分子」と呼ぶ)のものと比較した場合、Fcリガンドに対する結合親和性が変化した改変されたヒンジを組込むFc領域を含む抗体にも関する。
【0066】
本発明のFc変異体を、少なくとも1個の抗原に特異的に結合する可変ドメイン、またはそのフラグメントを、本明細書に開示される改変されたヒンジを含むFc領域と組合わせることにより、「de novo」で製造することができる。あるいは、または必要に応じて、本発明のFc変異体を、抗原に結合するFc領域を含む抗体のヒンジを改変することにより製造することができる。
【0067】
一実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に対するより高い結合親和性を有する。別の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、活性化しているFcγRに対するより高い結合親和性および阻害的FcγR(例えば、FcγRIIB)に対する変化していないか、またはより低い結合親和性を有する。さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体はまた、FcγR親和性における上記変化に加えて、比較可能な分子と比較して、増加したADCC活性を示す。さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、少なくとも1個の抗原に特異的に結合する。
【0068】
本発明はまた、比較可能な分子のものと比較して、阻害的FcγRに対するより高い結合親和性および活性化しているFcγRに対するより低い結合親和性を有するFc変異体に関する。このFc変異体はまた、比較可能な分子と比較して、ADCC活性を媒介する能力の低下を示すことが意図される。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、少なくとも1個の抗原に特異的に結合する。
【0069】
さらに、本発明はさらに、比較可能な分子と比較して、C1qに対する結合が変化した新規Fc変異体を提供する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、C1qに対するより高い結合親和性およびCDC活性の増加を示してもよい。あるいは、本発明のFc変異体は、C1qに対するより低い結合親和性およびCDC活性の低下を示してもよい。C1q結合およびCDC活性が変化したFc変異体はまた、1個以上のFcγRおよび/またはADCC活性に対する結合の変化を示してもよいことが特に意図される。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、少なくとも1個の抗原に特異的に結合する。
【0070】
本明細書で用いられる用語「抗体(複数も可)」とは、モノクローナル抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合したFv(sdFv)、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体など)、ならびに上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを言う。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメント、すなわち、抗原結合部位を含む分子を含み、これらのフラグメントは、限定されるものではないが、Fc領域またはそのフラグメントなどの別の免疫グロブリンドメインに融合されているか、またはされていなくてもよい。本明細書に概略される通り、用語「抗体(複数も可)」としては、具体的には、本明細書に記載のFc変異体、完全長抗体および免疫グロブリンの免疫学的に活性なフラグメントまたは本明細書に記載の他のタンパク質に融合された本明細書に記載の本発明の改変されたヒンジを含むFc領域、またはそのフラグメントを含むFc変異体-融合物が挙げられる。そのようなFc変異体-融合物としては、限定されるものではないが、scFv-Fc融合物、可変領域(例えば、VLおよびVH)-Fc融合物、scFv-scFv-Fc融合物が挙げられる。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってよい。
【0071】
本明細書で用いられる用語「特異的に結合する」および類似する用語は、分子もしくはその断片(例えば、抗原)に特異的に結合するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質および抗体またはそのフラグメントを指す。分子もしくはその断片に特異的に結合するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または抗体は、例えば、免疫アッセイ、BIAcore、または当業界で公知の他のアッセイにより決定されるように、より低い親和性で他の分子に結合してもよい。少なくとも1種の分子もしくはその断片に特異的に結合する抗体またはそのフラグメントは、関連する分子と交差反応してもよい。特に、少なくとも1種の分子もしくはその断片に特異的に結合する抗体またはそのフラグメントは、非特異的に結合する分子を競合除去することができる。本発明は特に、特異的に結合するという定義において、複数の特異性を有する抗体(例えば、2個以上の別の抗原に対する特異性を有する抗体(Caoら、2003, Adv Drug Deliv Rev 55:171; Hudsonら、2003, Nat Med 1:129に概説されている))を包含する。例えば、二特異的抗体は、一緒に融合された2つの異なる結合特異性を含む。最も単純な場合、二特異的抗体は、単一の標的抗原上の2個の隣接するエピトープに結合し、そのような抗体は他の抗原とは交差反応しないであろう(上記の通り)。あるいは、二特異的抗体は、2個の異なる抗原に結合することができ、そのような抗体は2つの異なる分子に特異的に結合するが、他の関連しない分子には結合しない。
【0072】
任意の交差反応性分子よりも高い親和性で分子に特異的に結合するペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質および特に抗体またはそのフラグメントを、当業者には公知の多くの技術により同定することができる。抗体特異性に関する考察については、例えば、Paul(編)、1989, Fundamental Immunology、第2版、Raven Press, New York at pages 332-336を参照されたい。特異的結合および交差反応性を分析するのに用いることができる免疫アッセイとしては、限定されるものではないが、ほんの数例を挙げれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射定量測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイなどの技術を用いる競合的および非競合的アッセイ系が挙げられる。そのようなアッセイは日常的なものであり、当業界ではよく知られている(例えば、Ausubelら(編)、1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照されたい)。
【0073】
いかなる特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、本発明の改変されたヒンジは、タンパク質間相互作用(例えば、受容体-リガンド相互作用および抗体-抗原相互作用)を調節する1個以上の因子を調節することにより、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対するFc領域の親和性を変化させることができる。そのような因子としては、限定されるものではないが、水素結合、疎水性相互作用、イオン性相互作用、ファンデルワールス力および/またはジスルフィド結合などのタンパク質の折畳みまたは三次元配置に影響する因子ならびにアロステリック相互作用、可溶性および共有的改変に影響する因子が挙げられる。
【0074】
いかなる特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、本発明の改変されたヒンジは、限定されるものではないが、Fc領域の、そのFcγRおよびC1qに対する親和性、細胞傷害性エフェクター機能および/もしくは補体カスケード機能を媒介する能力、抗体半減期ならびにエフェクター細胞および/もしくは分子の補充などの、下流のエフェクター機能に影響する1つ以上の因子を変化させることにより、抗体のADCC活性および/またはCDC活性を調節することができる。
【0075】
IgGの重鎖の定常領域を、4個のより小さいドメイン、CH1、ヒンジ、CH2およびCH3に分割することができる。本明細書で用いられる「Fc領域」および類似する用語は、ヒンジ領域の少なくとも一部を含む任意の重鎖定常領域ドメインを包含するが、ヒンジ領域全体を含まなくてもよい。従って、本明細書で定義されるFc領域は、ヒンジ領域またはそのフラグメントを含み、CH1、CH2、CH3などの1個以上の追加の定常領域ドメイン、またはそのフラグメントをさらに含んでもよい。Fcアミノ酸残基の番号は、Kabatら、1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VAに記載のEU指標(EU index)のものであることが理解されるであろう。「Kabatに記載のEU指標」とは、ヒトIgG1 Kabat抗体のEU指標番号を指す。情報目的のために、Kabat指標(Kabat、上掲を参照)を用いるヒトIgG1の通常のヒンジ領域を、EU指標を用いて番号付けされた同じ領域と共に表2に提示する。さらに、Kabat番号を、明確性のために特定のアミノ酸残基に言及する場合にEU番号に加えて提供してもよい。
【0076】
一般的には、「ヒンジ領域」は、ヒトIgG1の216〜238(EU番号付け)または226〜251(Kabatの番号付け)から伸長するものとして定義される。このヒンジを、3つの異なる領域、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジにさらに分割することができる。ヒトIgG1抗体においては、これらの領域は、一般的には以下のように定義される:
上側ヒンジ:216〜225(EU番号付け)または226〜238(Kabatの番号付け)、
中央ヒンジ:226〜230(EU番号付け)または239〜243(Kabatの番号付け)、
下側ヒンジ:231〜238(EU番号付け)または244〜251(Kabatの番号付け)。
【0077】
他のIgGアイソタイプのヒンジ領域を、重鎖間S-S結合を形成する最初のおよび最後のシステイン残基を同じ位置に置くことにより、IgG1配列と共に整列させることができる(例えば、Brekkeら、1995, Immunol. Today 16: 85-90の表1を参照されたい)。
【0078】
本明細書で言及される相補性決定領域(CDR)の残基番号は、Kabatら(1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)のものである。具体的には、軽鎖可変ドメイン中の残基24〜34(CDR1)、50〜56(CDR2)および89〜97(CDR3)ならびに重鎖可変ドメイン中の残基31〜35(CDR1)、50〜65(CDR2)および95〜102(CDR3)である。CDRは抗体によってかなり変化することに留意されたい(また、定義によっては、Kabatのコンセンサス配列とは相同性を示さない場合もあるであろう)。フレームワーク残基の最大のアラインメントは、番号付け系において「スペーサー」残基の挿入をFv領域に用いることを必要とすることが多い。本明細書で言及されるCDRはKabatら、上掲のものであることが理解されるであろう。さらに、任意の所与のKabat部位番号での特定の個々の残基の同一性は、種間多様性または対立遺伝子多様性に起因して抗体鎖間で変化してもよい。
【0079】
一実施形態においては、本発明のFc変異体は、本発明の改変されたヒンジを含む。いくつかの改変されたヒンジのアミノ酸配列を表2に示す。本発明のFc変異体は表2に記載の2個以上の改変されたヒンジに由来する特定のアミノ酸残基を含んでもよく、および/または欠いてもよいことが特に意図される。
【0080】
特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、表3に記載のものから選択される少なくとも1個のアミノ酸残基を含む。別の特定の実施形態においては、Fc変異体は、表3に示されるものから選択される2個以上のアミノ酸残基を含む。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、野生型ヒンジに通常存在する少なくとも1個のアミノ酸を欠いている。本発明のFc変異体から不在になってよい特定のアミノ酸を表3に示す。
【0081】
一実施形態においては、本発明は、ヒンジ領域に改変を導入することを含む、Fcリガンドに対する結合親和性および/またはヒンジ領域を含むFc領域を含むポリペプチドのエフェクター機能を変化させる方法を提供する。特定の実施形態においては、このヒンジを、表2に記載のように改変する。特定の実施形態においては、前記ヒンジを、表2に記載の改変の組合せにより改変する。別の特定の実施形態においては、前記ヒンジを改変して、表3に記載のものから選択される少なくとも1個のアミノ酸残基を組込む。さらに別の特定の実施形態においては、前記ヒンジを改変して、野生型ヒンジに通常存在する少なくとも1個のアミノ酸を除去する。ヒンジ領域から除去することができる特定のアミノ酸を、表3に示す。他の実施形態においては、前記ヒンジを改変して、表3に記載のものから選択される少なくとも1個のアミノ酸残基を組込み、表3に記載のものから選択される少なくとも1個のアミノ酸を除去する。さらに他の実施形態においては、ヒンジを表2に記載のように改変し、さらに改変して、表3に記載のものから選択される少なくとも1個の追加のアミノ酸残基を付加および/または除去する。
【0082】
特定の実施形態においては、Fc領域を含むポリペプチドのFcリガンドに対する結合親和性を変化させる方法は、Fcリガンドに対する結合親和性を改善する。特定の実施形態においては、FcγRIIIAに対する結合親和性を改善する。別の特定の実施形態においては、C1qに対する結合親和性を改善する。他の実施形態においては、Fc領域を含むポリペプチドのFcリガンドに対する結合親和性を変化させる方法は、Fcリガンドに対する結合親和性を減少させる。特定の実施形態においては、FcγRIIIAに対する結合親和性を減少させる。別の特定の実施形態においては、C1qに対する結合親和性を減少させる。
【0083】
特定の実施形態においては、ヒンジ領域を含むFc領域を含むポリペプチドのエフェクター機能を変化させる方法は、該エフェクター機能を改善する。特定の実施形態においては、ADCC活性を改善する。別の特定の実施形態においては、CDC活性を改善する。他の実施形態においては、ヒンジ領域を含むFc領域を含むポリペプチドのエフェクター機能を変化させる方法は、該エフェクター機能を低下させる。特定の実施形態においては、ADCC活性を減少させる。別の特定の実施形態においては、CDC活性を減少させる。
【表2】

【0084】

【0085】
【表3】

【0086】
一実施形態においては、比較可能な分子と比較して、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する結合親和性が変化した、本発明のFc変異体は、少なくとも改変されたヒンジ(例えば、1個以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換、または再配置を含むヒンジ領域)を有するであろう。
【0087】
本発明は、限定されるものではないが、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷および疎水性などのヒンジの1個以上の特徴を変化させるヒンジ改変を組込むFc領域を含むFc変異体を包含する。本発明はまた、限定されるものではないが、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷および疎水性などの、野生型ヒンジと比較して変化した1個以上の特徴を示す改変されたヒンジを含むFc変異体も包含する。本発明の改変されたヒンジを、例えば、野生型ヒンジに改変を導入することなど、当業界でよく知られた方法により作製することができる。改変されたヒンジを作製するのに用いることができるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、1個以上のアミノ酸残基の挿入、欠失、転置および置換が挙げられる。挿入および/または欠失および/または置換の組合せを用いて、本発明の改変されたヒンジを作製することもできることが当業者には理解されるであろう。
【0088】
特定の実施形態においては、本発明は、ヒンジ中の少なくとも1個のアミノ酸残基の挿入であるヒンジ改変を包含する。一実施形態においては、少なくとも1個、または少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも10個、または少なくとも15個のアミノ酸残基を、前記ヒンジに挿入する。一実施形態においては、前記挿入を上側ヒンジに作製する。別の実施形態においては、前記挿入を中央ヒンジに作製する。別の実施形態においては、前記挿入を下側ヒンジに作製する。さらに別の実施形態においては、前記挿入を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1個以上の位置に作製する。
【0089】
他の実施形態においては、本発明は、ヒンジ中の少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失であるヒンジ改変を包含する。一実施形態においては、少なくとも1個、または少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも10個、または少なくとも15個のアミノ酸残基を、前記ヒンジ中で欠失させる。一実施形態においては、前記欠失を上側ヒンジに作製する。別の実施形態においては、前記欠失を中央ヒンジに作製する。別の実施形態においては、前記欠失を下側ヒンジに作製する。さらに別の実施形態においては、前記欠失を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1個以上の位置に作製する。
【0090】
さらに他の実施形態においては、本発明は、ヒンジ中の少なくとも1個のアミノ酸残基の置換であるヒンジ改変を包含する。一実施形態においては、少なくとも1個、または少なくとも2個、または少なくとも3個、または少なくとも4個、または少なくとも5個、または少なくとも10個、または少なくとも15個のアミノ酸残基を、前記ヒンジ中で置換する。一実施形態においては、前記置換を上側ヒンジに作製する。別の実施形態においては、前記置換を中央ヒンジに作製する。別の実施形態においては、前記置換を下側ヒンジに作製する。さらに別の実施形態においては、前記置換を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1個以上の位置に作製する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は中央ヒンジ領域中に少なくとも1個の置換を含み、ここで、該置換はP227WおよびP228Wからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のEU指標のものであるか、または該置換はP240WおよびP241Wからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のKabat指標のものである。さらなる特定の置換を、表2に記載する。表2および3に記載のヒンジ改変の任意の組合せを含むFc変異体が、本発明の実施形態として特に意図される。
【0091】
一実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して、ヒンジの可撓性が変化した(例えば、増加した、または減少した)改変されたヒンジを含むFc変異体を含む分子を包含する。ヒンジの可撓性が変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジの可撓性を増加させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、可撓性を増加させる1個以上のアミノ酸残基(例えば、グリシン)による1個以上のアミノ酸残基の置換、ジスルフィド結合を形成することができないアミノ酸残基(例えば、セリン、アラニン、グリシン)によるジスルフィド結合の形成に関与するシステインの置換、高い程度の局所可撓性を可能にする1個以上のアミノ酸残基(例えば、グリシン)の挿入およびポリペプチドの剛性を増加させる1個以上のアミノ酸残基(例えば、プロリン)の欠失が挙げられる。前記ヒンジの可撓性を減少させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、ポリペプチドの剛性を増加させる1個以上のアミノ酸残基(例えば、プロリン)による1個以上のアミノ酸残基の置換、ジスルフィド結合を形成することができるアミノ酸残基(例えば、システイン)によるジスルフィド結合を形成することができないアミノ酸残基(例えば、セリン、アラニン、グリシン)の置換、ポリペプチドの剛性を増加させる1個以上のアミノ酸残基(例えば、プロリン)の挿入および可撓性を増加させる1個以上のアミノ酸残基(例えば、グリシン)の欠失が挙げられる。
【0092】
ヒンジの可撓性を変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変は、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどのヒンジの1つ以上の規定の領域中に存在してもよいことが意図される。また、ヒンジの可撓性を変化させるヒンジ改変は、該ヒンジの1つ以上の規定の領域と重複してもよい。一実施形態においては、ヒンジの可撓性を変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変を、上側ヒンジ中に作製する。別の実施形態においては、ヒンジの可撓性を変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変を、中央ヒンジ中に作製する。別の実施形態においては、ヒンジの可撓性を変化させるヒンジ改変を、下側ヒンジ中に作製する。さらに別の実施形態においては、ヒンジの可撓性を変化させるヒンジ改変を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1つ以上の位置に作製する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、中央ヒンジ領域中に少なくとも1個の置換を含み、ここで該置換はP227GおよびP228Gからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のEU指標のものであるか、または該置換はP240GおよびP241Gからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のKabat指標のものである。ヒンジの可撓性を変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)さらなる特定のヒンジ改変を表2に列挙する。表2および3に記載のヒンジ改変の任意の組合せを含むFc変異体が、本発明の実施形態として特に意図される。
【0093】
特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して、ヒンジの長さが変化した(例えば、増加したか、または減少した)改変されたヒンジを含むFc変異体を含む分子を包含する。ヒンジの長さが変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジの長さを増加させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、ヒンジ内への1個以上のアミノ酸残基の付加が挙げられる。ヒンジの長さを減少させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、ヒンジ内の1個以上のアミノ酸残基の欠失が挙げられる。
【0094】
ヒンジの長さを変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変は、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどのヒンジの1つ以上の規定の領域中に存在してもよいことが意図される。また、ヒンジの長さを変化させるヒンジ改変は、ヒンジの1つ以上の規定の領域と重複してもよい。一実施形態においては、ヒンジの長さを変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変を、上側ヒンジ中に作製する。別の実施形態においては、ヒンジの長さを変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変を、中央ヒンジ中に作製する。別の実施形態においては、ヒンジの長さを変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変を、下側ヒンジ中に作製する。さらに別の実施形態においては、ヒンジの長さを変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)ヒンジ改変を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1つ以上の位置に作製する。特定の実施形態においては、少なくとも1個のグリシン残基を、中央ヒンジの残基227〜228の間に挿入し、ここでその番号付け系はKabatに記載のEU指標のものであるか、または少なくとも1個のグリシン残基を、中央ヒンジの残基240〜241の間に挿入し、ここでその番号付け系はKabatに記載のKabat指標のものである。別の特定の実施形態においては、中央ヒンジ中の少なくとも1個のプロリン残基を欠失させる。ヒンジの長さを変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)さらなる特定のヒンジ改変を表2に列挙する。表2および3に記載のヒンジ改変の任意の組合せを含むFc変異体が、本発明の実施形態として特に意図される。
【0095】
特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して、ヒンジのコンフォメーションが変化した改変されたヒンジを含むFc変異体を含む分子を包含する。ヒンジのコンフォメーションが変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、小さい側鎖を有する1個以上のアミノ酸残基(例えば、アラニン、グリシン)の、よりかさ高い側鎖を有するもの(例えば、トリプトファン、プロリン)への置換、よりかさ高い側鎖を有する1個以上のアミノ酸残基(例えば、トリプトファン、プロリン)の、小さい側鎖を有するもの(例えば、アラニン、グリシン)への置換、ヒンジ内への1個以上のアミノ酸残基の挿入、大きいか、もしくはかさ高い側鎖を有する1個以上のアミノ酸残基(例えば、トリプトファン、プロリン)の挿入または欠失が挙げられる。さらに、ヒンジの長さおよび/または可撓性を変化させるヒンジ改変(上記を参照)はまた、コンフォメーションの変化をもたらしてもよい。
【0096】
ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変は、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどのヒンジの1つ以上の規定の領域中に存在してもよいことが意図される。また、ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変は、ヒンジの1つ以上の規定の領域と重複してもよい。一実施形態においては、ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変を、上側ヒンジに作製する。別の実施形態においては、ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変を、中央ヒンジに作製する。別の実施形態においては、ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変を、下側ヒンジに作製する。さらに別の実施形態においては、ヒンジのコンフォメーションを変化させるヒンジ改変を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1つ以上の位置に作製する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、上側ヒンジ領域中に少なくとも1個の置換を含み、ここで該置換はK222WおよびT223Wからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のEU指標のものであるか、または該置換はK235WおよびT236Wからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のKabat指標のものである。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、上側ヒンジ中に少なくとも1個の置換を含み、ここで該置換はC(EU番号なし)DおよびD(EU番号なし)Cからなる群より選択され、該置換はヒンジの残基221〜222の間に生じ、その番号付け系はKabatに記載のEU指標のものであるか、または該置換はC233DおよびD234Cからなる群より選択され、該置換はヒンジの残基232〜235の間に生じ、番号付け系はKabatに記載のKabat指標のものである。ヒンジのコンフォメーションを変化させ得るさらなる特定のヒンジ改変を、表2に列挙する。表2および3に記載のヒンジ改変の任意の組合せを含むFc変異体が、本発明の実施形態として特に意図される。
【0097】
別の特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して電荷が変化した改変されたヒンジを含むFc変異体を含む分子を包含する。電荷が変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、中性の電荷を有する1個以上のアミノ酸残基(例えば、バリン、トレオニン)の、電荷を有するもの(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン)への置換、正の電荷を有する1個以上のアミノ酸残基(例えば、リジン、アルギニン)の、中性(例えば、バリン、トレオニン)もしくは負の電荷(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)を有する1個以上のアミノ酸残基の、中性(例えば、バリン、トレオニン)もしくは正の電荷(例えば、リジン、アルギニン)を有するものへの置換および1個以上の荷電したアミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン)の挿入または欠失が挙げられる。
【0098】
ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変は、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどのヒンジの1つ以上の規定の領域中に存在してもよいことが意図される。また、ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変は、ヒンジの1つ以上の規定の領域と重複してもよい。一実施形態においては、ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変を、上側ヒンジに作製する。別の実施形態においては、ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変を、中央ヒンジに作製する。別の実施形態においては、ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変を、下側ヒンジに作製する。さらに別の実施形態においては、ヒンジの電荷を変化させるヒンジ改変を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1つ以上の位置に作製する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、上側ヒンジ領域中に少なくとも1個の置換を含み、該置換はD(EU番号なし)PおよびK222Pからなる群より選択され、その番号付け系はKabatに記載のEU指標のものであるか、または該置換はD234PおよびK235Pからなる群より選択され、該番号付け系はKabatに記載のKabat指標のものである。ヒンジのコンフォメーションを変化させ得るさらなる特定のヒンジ改変を、表2に列挙する。表2および3に記載のヒンジ改変の任意の組合せを含むFc変異体が、本発明の実施形態として特に意図される。
【0099】
別の特定の実施形態においては、本発明は、野生型ヒンジと比較して、疎水性が変化した(例えば、増加した、または減少した)改変されたヒンジを含むFc変異体を含む分子を包含する。疎水性が変化した改変されたヒンジを、野生型ヒンジに特定の改変を組込むことにより作製することができる。ヒンジの疎水性を変化させるヒンジ改変としては、限定されるものではないが、1個以上の疎水性アミノ酸残基(例えば、バリン、ロイシン)の、親水性アミノ酸残基(例えば、セリン、トレオニン、チロシン)への置換、1個以上の親水性アミノ酸(例えば、セリン、トレオニン、チロシン)の、疎水性アミノ酸残基(例えば、バリン、ロイシン)への置換、および1個以上の疎水性もしくは親水性アミノ酸残基(例えば、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、チロシン)の挿入または欠失が挙げられる。
【0100】
ヒンジの疎水性を変化させる(例えば、増加させるか、または減少させる)改変は、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどのヒンジの1個以上の規定の領域中に存在してもよいことが意図される。また、ヒンジの疎水性を変化させるヒンジ改変は、ヒンジの1つ以上の規定の領域と重複してもよい。一実施形態においては、ヒンジの疎水性を変化させるヒンジ改変を、上側ヒンジに作製する。別の実施形態においては、ヒンジの疎水性を変化させるヒンジ改変を、中央ヒンジに作製する。別の実施形態においては、ヒンジの疎水性を変化させるヒンジ改変を、下側ヒンジに作製する。さらに別の実施形態においては、ヒンジの疎水性を変化させるヒンジ改変を、限定されるものではないが、上側ヒンジ、中央ヒンジおよび下側ヒンジなどの1つ以上の位置に作製する。
【0101】
当業者であれば、任意の所与のヒンジ改変がヒンジの2つ以上の特徴を変化させてもよいことを認識するであろう。例えば、ヒンジへの1個以上のプロリン残基の付加は、同時に可撓性を潜在的に減少させながら、ヒンジの長さを増加させるヒンジ改変をもたらす。同様に、アスパラギン酸によるグリシン残基の置換は、ヒンジの電荷および疎水性の両方を変化させることができる。他の組合せは上記されており、さらに他のものは当業者には明らかであろう。
【0102】
任意のヒンジ改変を作製する前に、ヒンジ中に存在するアミノ酸残基の性質を分析するために選択することができることが特に意図される。
【0103】
当業者であれば、いくつかの場合、目的の抗体は、ヒンジの1つ以上の特徴(例えば、可撓性、長さ、コンフォメーション、電荷および疎水性)を野生型ヒンジと比較して変化させるような、該ヒンジ内に好適なアミノ酸配列を既に有するであろうことを理解するであろう。この状況では、さらなる改変が望ましい場合、さらなるヒンジ改変のみを導入してもよい。
【0104】
本発明のFc変異体を、限定されるものではないが、エフェクター機能を変化させる改変などの他のFc改変と組合わせることができる。本発明は、本発明のFc変異体を、他のFc改変と組合わせて、抗体またはFc融合物における追加の、相乗作用的な、または新規の特性を提供することを包含する。本発明のFc変異体は、それらを組合わせる改変の表現型を増強することが意図される。例えば、本発明のFc変異体を、野生型Fc領域を含む比較可能な分子よりも高い親和性でFcγRIIIAに結合することが知られる突然変異体と組合わせる場合、本発明のFc変異体との組合せも同様にFcγRIIIA親和性のより多い倍数の増強をもたらす。
【0105】
一実施形態においては、本発明のFc変異体を、Duncanら、1988, Nature 332:563-564; Lundら、1991, J. Immunol 147:2657-2662; Lundら、1992, Mol Immunol 29:53-59; Alegreら、1994, Transplantation 57:1537-1543; Hutchinsら、1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92:11980-11984; Jefferisら、1995, Immunol Lett. 44:111-117; Lundら、1995, Faseb J 9:115-119; Jefferisら、1996, Immunol Lett 54:101-104; Lundら、1996, J Immunol 157:4963-4969; Armourら、1999, Eur J Immunol 29:2613-2624; Idusogieら、2000, J Immunol 164:4178-4184; Reddyら、2000, J Immunol 164:1925-1933; Xuら、2000, Cell Immunol 200:16-26; Idusogieら、2001, J Immunol 166:2571-2575; Shieldsら、2001, J Biol Chem 276:6591-6604; Jefferisら、2002, Immunol Lett 82:57-65; Prestaら、2002, Biochem Soc Trans 30:487-490); 米国特許第5,624,821号; 第5,885,573号; 第6,194,551号; 米国特許出願第2005/0064514号; 国際特許出願WO 00/42072およびWO 99/58572に開示されたものなどの他の公知のFc変異体と組合わせることができる。
【0106】
上記の、ならびに表2および3に列挙された特定のアミノ酸残基に加えて、いくつかの追加のアミノ酸残基を、前記ヒンジ中で挿入、欠失および/または置換して、該ヒンジの特徴を変化させることができることは当業者には明らかであろう。類似する特性を有するアミノ酸残基のファミリーは当業界で定義されたものであり、いくつかの例を表4に示す。
【表4】

【0107】
保存的アミノ酸置換を、上記のヒンジの前記改変のために作製することができることが特に意図される。「保存的アミノ酸置換」とは、機能的に等価なアミノ酸を置換するアミノ酸置換を指す。保存的アミノ酸変化は、得られるペプチドのアミノ酸配列にサイレントな変化をもたらす。例えば、類似する極性の1個以上のアミノ酸は機能的等価物として作用し、該ペプチドのアミノ酸配列内にサイレントな変化をもたらす。電荷中性であり、ある残基をより小さい残基で置き換える置換も、その残基が異なる群にある場合でも、「保存的置換」であると考えられる(例えば、フェニルアラニンのより小さいイソロイシンでの置換)。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当業界で定義されている。保存的アミノ酸置換のいくつかのファミリーを、表4(上掲)に示す。
【0108】
用語「保存的アミノ酸置換」はまた、アミノ酸類似体または変異体の使用も指す。表現型としてサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する案内は、Bowieら、「タンパク質配列におけるメッセージの解読:アミノ酸置換への寛容(Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions)」、1990, Science 247:1306-1310に提供されている。
【0109】
本発明はさらに、本発明のFc変異体を作製するためにヒンジの改変物中に天然でないアミノ酸を組込むことを包含する。天然でないアミノ酸をタンパク質に組込むことを可能にするための天然の生合成機構を用いるものなどの、そのような方法は当業者には公知であり、例えば、Wangら、2002 Chem. Comm. 1: 1-11; Wangら、2001, Science, 292: 498-500; van Hestら、2001. Chem. Comm. 19: 1897-1904を参照されたい。代替的な戦略は、アミノアシル-tRNAの生合成に関与する酵素に焦点を当てており、例えば、Tangら、2001, J. Am. Chem. 123(44): 11089-11090; Kiickら、2001, FEBS Lett. 505(3): 465を参照されたい。
【0110】
当業者であれば、本発明のFc変異体は変化したFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)結合特性(結合特性の例としては、限定されるものではないが、平衡解離定数(KD)、解離および結合速度(それぞれKoffおよびKon)、結合親和性および/またはアビディティが挙げられる)を有し、また特定の変化が多かれ少なかれ望ましいことを理解するであろう。平衡解離定数(KD)はKoff/Konと定義されることは当業界ではよく知られている。一般的には、低いKDを有する結合分子(例えば、および抗体)が、高いKDを有する結合分子(例えば、および抗体)よりも好ましい。しかしながら、いくつかの例においては、KonまたはKoffの値はKDの値よりも適切であり得る。当業者であれば、どの反応速度パラメーターが所与の抗体適用にとって最も重要であるかを決定することができる。例えば、負の調節因子FcγRIIBに対するFc結合を未変化のままにするか、またはそれを低下さえさせながら、1個以上の正の調節因子(例えば、FcγRIIIA)に対するFc結合を増強する改変されたヒンジは、ADCC活性を増強するのにより有利であろう。あるいは、1個以上の正の調節因子に対する結合を低下させ、および/またはFcγRIIBに対する結合を増強する改変されたヒンジは、ADCC活性を低下させるのに有利であろう。従って、結合親和性(例えば、平衡解離定数(KD))の比は、Fc変異体のADCC活性が増強したか、または減少したかどうかを示唆し得る。例えば、FcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比の減少は、ADCC活性の改善と相関するであろうが、その比の増加はADCC活性の減少と相関するであろう。さらに、C1qに対する結合を増強させた改変されたヒンジは、CDC活性を増強するのに有利であろうが、C1qに対する結合を低下させた改変されたヒンジは、CDC活性を低下させるか、または消失させるのに有利であろう。
【0111】
本発明のFc変異体が、被験体に投与された場合に変化した免疫原性を有し得ることも当業者には明らかであろう。従って、Fc変異体の免疫原性を最小化する改変されたヒンジは、一般的には治療用途にとってより望ましいことが意図される。
【0112】
最初に、FcγRに対する本発明のFc変異体の親和性および結合特性を、Fc-FcγR相互作用、すなわち、FcγRへのFc領域の特異的結合を決定するために当業界で公知のin vitroアッセイ(生化学または免疫学に基づくアッセイ)、限定されるものではないが、ELISAアッセイ、表面プラスモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイ(以下の「特性評価と機能的アッセイ」という表題の節を参照)ならびに間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)などの他の方法を用いて決定する。これらの方法および他の方法は、試験する1種以上の成分上の標識を用い、および/または限定されるものではないが、色素標識、蛍光標識、化学発光標識、もしくはアイソトープ標識などの様々な検出方法を用いることができる。結合親和性および反応速度論に関する詳細な説明を、抗体-免疫原相互作用に焦点を当てているPaul, W.E.(編)、Fundamental Immunology,第4版、Lippincott-Raven, Philadelphia (1999)に見出すことができる。
【0113】
本発明の分子の結合特性はまた、1種以上のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を決定するためのin vitro機能的アッセイ(以下の「特性評価と機能的アッセイ」という表題の節を参照)を特徴とすることが意図される。特定の実施形態においては、本発明の分子は、in vivoモデル(本明細書で説明され、開示されるものなど)において、in vitroに基づくアッセイと類似する結合特性を有する。しかしながら、本発明は、in vitroに基づくアッセイにおいては所望の表現型を示さないが、in vivoでは所望の表現型を示す本発明の分子を排除しない。
【0114】
本発明は、比較可能な分子と比較して、増加した親和性でFcγRIIIAに結合するFc変異体を包含する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加した親和性でFcγRIIIAに結合し、未変化であるか、または低下した結合親和性でFcγRIIBに結合する。さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して低下したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比を有する。
【0115】
また、本発明は、比較可能な分子と比較して、低下した親和性でFcγRIIIAに結合するFc変異体も包含する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、低下した親和性でFcγRIIIAに結合し、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または増加した結合親和性でFcγRIIBに結合する。
【0116】
本発明はさらに、比較可能な分子と比較して、変化した親和性でC1qに結合するFc変異体を包含する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加した親和性でC1qに結合する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、低下した親和性でC1qに結合する。
【0117】
一実施形態においては、前記Fc変異体は、増加した親和性でFcγRIIIAに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍大きいFcγRIIIAに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%増加したFcγRIIIAに対する親和性を有する。
【0118】
別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、約2〜10倍、または約5〜50倍、または約25〜250倍、または約100〜500倍、または約250〜1000倍低下したFcリガンド(例えば、FcγR、C1q)に対する平衡解離定数(KD)を有する。
【0119】
特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍、または少なくとも400倍、または少なくとも600倍低下したFcγRIIIAに対する平衡解離定数(KD)を有する。別の特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも200%低下したFcγRIIIAに対する平衡解離定数(KD)を有する。
【0120】
一実施形態においては、前記Fc変異体は、未変化であるか、または低下した親和性でFcγRIIBに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも1倍、もしくは少なくとも3倍、もしくは少なくとも5倍、もしくは少なくとも10倍、もしくは少なくとも20倍、もしくは少なくとも50倍、もしくは少なくとも100倍低下したFcγRIIBに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも10%、もしくは少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、もしくは少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、もしくは少なくとも150%、もしくは少なくとも200%低下したFcγRIIBに対する親和性を有する。
【0121】
別の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも2倍、もしくは少なくとも3倍、もしくは少なくとも5倍、もしくは少なくとも7倍、もしくは少なくとも10倍、もしくは少なくとも20倍、もしくは少なくとも30倍、もしくは少なくとも40倍、もしくは少なくとも50倍、もしくは少なくとも60倍、もしくは少なくとも70倍、もしくは少なくとも80倍、もしくは少なくとも90倍、もしくは少なくとも100倍、もしくは少なくとも200倍増加したFcγRIIBに対する平衡解離定数(KD)を有する。別の特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも10%、もしくは少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、もしくは少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、もしくは少なくとも150%、もしくは少なくとも200%増加したFcγRIIBに対する平衡解離定数(KD)を有する。
【0122】
さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加した親和性でFcγRIIIAに結合し、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または低下した親和性でFcγRIIBに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも1倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍、増加したFcγRIIIAに対する親和性を有する。別の特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも2倍、もしくは少なくとも3倍、もしくは少なくとも5倍、もしくは少なくとも7倍、もしくは少なくとも10倍、もしくは少なくとも20倍、もしくは少なくとも50倍、もしくは少なくとも100倍低下したFcγRIIBに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、もしくは少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、もしくは少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、もしくは少なくとも150%、もしくは少なくとも200%増加したFcγRIIIAに対する親和性を有し、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも10%、もしくは少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、もしくは少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、もしくは少なくとも150%、もしくは少なくとも200%増加したFcγRIIBに対する親和性を有する。
【0123】
さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して低下したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも1倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低下したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比を有する。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%低下したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比を有する。
【0124】
別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、低下した親和性でFcγIIIAに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも1倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低下したFcγRIIIAに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%低下したFcγRIIIAに対する親和性を有する。
【0125】
さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加した親和性でFcγRIIIAに結合し、未変化であるか、または増加した親和性でFcγRIIBに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも1倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低下したFcγRIIIAに対する親和性を有する。別の特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きいFcγRIIBに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%低下したFcγRIIIAに対する親和性を有し、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%増加したFcγRIIBに対する親和性を有する。
【0126】
さらに別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子のものと比較した場合、少なくとも1倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍増加したFcγRIIIAに対する平衡解離定数(KD)を有する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍または少なくとも100倍低下したFcγRIIBに対する平衡解離定数(KD)を有する。
【0127】
一実施形態においては、前記Fc変異体は、増加した親和性でC1qに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍大きいC1qに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%増加したC1qに対する親和性を有する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍、または少なくとも400倍、または少なくとも600倍低下したC1qに対する平衡解離定数(KD)を有する。別の特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%低下したC1qに対する平衡解離定数(KD)を有する。
【0128】
別の実施形態においては、前記Fc変異体は、低下した親和性でC1qに結合する。特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも1倍、もしくは少なくとも3倍、もしくは少なくとも5倍、もしくは少なくとも10倍、もしくは少なくとも20倍、もしくは少なくとも50倍、もしくは少なくとも100倍低下したC1qに対する親和性を有する。他の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも10%、もしくは少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、もしくは少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、もしくは少なくとも150%、もしくは少なくとも200%低下したC1qに対する親和性を有する。別の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも2倍、もしくは少なくとも3倍、もしくは少なくとも5倍、もしくは少なくとも7倍、もしくは少なくとも10倍、もしくは少なくとも20倍、もしくは少なくとも30倍、もしくは少なくとも40倍、もしくは少なくとも50倍、もしくは少なくとも60倍、もしくは少なくとも70倍、もしくは少なくとも80倍、もしくは少なくとも90倍、もしくは少なくとも100倍、もしくは少なくとも200倍増加したC1qに対する平衡解離定数(KD)を有する。別の特定の実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、未変化であるか、または少なくとも10%、もしくは少なくとも20%、もしくは少なくとも30%、もしくは少なくとも40%、もしくは少なくとも50%、もしくは少なくとも60%、もしくは少なくとも70%、もしくは少なくとも80%、もしくは少なくとも90%、もしくは少なくとも100%、もしくは少なくとも150%、もしくは少なくとも200%増加したC1qに対する平衡解離定数(KD)を有する。
【0129】
本発明はまた、比較可能な分子と比較して、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγRIIA、FcγRIIB、C1q)に対する親和性を変化させる改変されたヒンジを含むFc領域に融合された結合ドメインを含む融合ポリペプチドにも関する。本発明の改変されたヒンジを含む分子を、当業者にはよく知られた方法により作製することができることが特に意図される。簡単に述べると、そのような方法としては、限定されるものではないが、所望の特異性を有する可変領域または結合ドメイン(例えば、ファージ展示もしくは発現ライブラリーから単離されるか、またはヒトもしくは非ヒト抗体または受容体の結合ドメインから誘導された可変領域)を、改変されたヒンジを組込むFc領域と組合わせることが挙げられる。あるいは、当業者であれば、Fc領域を含む分子(例えば、抗体)のFc領域中のヒンジを改変することにより、Fc変異体を作製することができる。
【0130】
一実施形態においては、本発明のFc変異体は、抗体またはFc融合タンパク質である。特定の実施形態においては、本発明は、比較可能な分子と比較して、1個以上のFcリガンド(例えば、FcγRIIA、FcγRIIB、C1q)に対する親和性を変化させる改変されたヒンジを含むFc領域を含む抗体を提供する。そのような抗体としては、Fc変異体を生成するように改変することができるヒンジを含むFc領域を天然に含むIgG分子、または改変されたヒンジを含むFc領域を含むように操作された抗体誘導体が挙げられる。本発明のFc変異体は、好ましくは、改変されたヒンジを組込むFc領域を含む抗原に特異的に結合する(すなわち、特異的抗原-抗体結合をアッセイするのに当業界でよく知られた免疫アッセイにより決定される非特異的結合を競合除去する)任意の抗体分子を含む。そのような抗体としては、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、二特異的、多特異的、ヒト、ヒト化、ジスルフィド結合したFc、およびVLもしくはVHドメインまたは、特定の場合、Fc領域を含むか、もしくはそれに融合されるように操作された抗原に特異的に結合する相補性決定領域(CDR)でさえ含むフラグメントが挙げられる。
【0131】
「抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性」または「ADCC」とは、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌された抗体が、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を担持する標的細胞に特異的に結合した後、細胞毒素を用いて標的細胞を殺傷することができるようにする細胞傷害性の形態を指す。標的細胞の表面に対する特異的高親和性IgG抗体は、細胞傷害性細胞を「武装させ」、そのような殺傷に絶対的に必要である。標的細胞の溶解は細胞外であり、直接的な細胞間接触を必要とし、補体を含まない。
【0132】
ADCCにより標的細胞の溶解を媒介する任意の特定の抗体の能力をアッセイすることができる。ADCC活性を評価するために、目的の抗体を、免疫エフェクター細胞と組合わせて標的細胞に添加し、抗原抗体複合体により活性化し、標的細胞の細胞溶解を得ることができる。一般的には、細胞溶解を、溶解された細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光染料または天然の細胞内タンパク質)の放出により検出する。そのようなアッセイにとって有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。in vitroでのADCCアッセイの特定例は、Wisecarverら、1985, 79:277; Bruggemannら、1987, J Exp Med 166:1351; Wilkinsonら、2001, J Immunol Methods 258:183; Patelら、1995 J Immunol Methods 184:29および本明細書(下記の「特性評価と機能的アッセイ(Characterization and Functional Assays)」という表題の節を参照)に記載されている。あるいは、またはさらに、目的の抗体のADCC活性を、例えば、Clynesら、1998, PNAS USA 95:652に開示されたものなどの動物モデルにおいて、in vivoでアッセイすることができる。
【0133】
本発明のFc変異体を、1個以上のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を決定するためのin vitro機能的アッセイにより特性評価することが意図される(下記の「Fc変異体のエフェクター機能(Effector Function of Fc Variants)」という表題の節を参照)。特定の実施形態においては、本発明の分子は、in vitroに基づくアッセイにおけるものと類似するin vivoモデル(本明細書で説明され、開示されるものなど)における結合特性およびエフェクター細胞機能を有する。しかしながら、本発明は、in vitroに基づくアッセイにおいて所望の表現型を示さないが、in vivoでは所望の表現型を示す本発明の分子を排除しない。
【0134】
本発明はさらに、比較可能な分子と比較して、ADCC機能が増強されたFc変異体を提供する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、増加したADCC活性を有する。別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きいADCC活性を有する。別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%増加したADCC活性を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、増加した親和性でFcγRIIIAに結合し、未変化であるか、または低下した親和性でFcγRIIBに結合し、増強されたADCC活性を有する。
【0135】
特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は増強されたADCC活性を有し、少なくとも1種の抗原に特異的に結合する。また、比較可能な分子と比較して、増強されたADCC活性を有し、低下したFcγRIIIA/FcγRIIB平衡解離定数(KD)の比を有する本発明のFc変異体も意図される。さらに、本発明のFc変異体はADCC活性を有し、高い親和性で活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に結合し、未変化であるか、またはより低い親和性で阻害的にFcγR(例えば、FcγRIIB)に結合し、少なくとも1種の抗原に特異的に結合することが意図される。
【0136】
本発明はまた、比較可能な分子と比較して、低下したADCC機能を有するFc変異体も提供する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、低下したADCC活性を有する。別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低いADCC活性を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、低下した親和性でFcγRIIIAに結合し、未変化であるか、または増加した親和性でFcγRIIBに結合し、低下したADCC活性を有する。別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%低下したADCC活性を有する。
【0137】
特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、低下したADCC活性を有し、少なくとも1種の抗原に特異的に結合する。別の特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、低下したADCC活性を有し、より低い親和性で活性化しているFcγR(例えば、FcγRIIIA)に結合し、未変化であるか、または増加した親和性で阻害的にFcγR(例えば、FcγRIIB)に結合し、少なくとも1種の抗原に特異的に結合する。
【0138】
「補体依存的細胞傷害性」および「CDC」とは、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。補体活性化経路は、分子、例えば、同族抗原と複合体化した抗原への補体系の第1成分(C1q)の結合により開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoroら、1996, J. Immunol. Methods, 202:163に開示されたものなどのCDCアッセイを実施することができる。
【0139】
本発明はさらに、CDC機能が増強されたFc変異体を提供する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、増加したCDC活性を有する。一実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きいCDC活性を有する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きい親和性でC1qに結合する。さらに別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%増加したCDC活性を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、増加した親和性でC1qに結合し、増強されたCDC活性を有し、少なくとも1種の抗原に特異的に結合する。
【0140】
本発明はまた、CDC機能が低下したFc変異体も提供する。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、低下したCDC活性を有する。一実施形態においては、前記Fc変異体は、比較可能な分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低いCDC活性を有する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも1倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低下した親和性でC1qに結合する。別の実施形態においては、Fc変異体は、比較可能な分子と比較して、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも150%、または少なくとも200%低下したCDC活性を有する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、低下した親和性でC1qに結合し、低下したCDC活性を有し、少なくとも1種の抗原に特異的に結合する。
【0141】
本発明のFc変異体は、比較可能な分子と比較して、哺乳動物、特に、ヒトにおける増加したin vivo半減期(例えば、血清半減期)、増加したin vivo(例えば、血清半減期)および/もしくはin vitro(例えば、保存期限)での増加した安定性ならびに/または増加された融点(Tm)などの他の変化した特性を有してもよいことが意図される。一実施形態においては、本発明のFc変異体は、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、または5ヶ月を超えるin vivoでの半減期を有する。別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、15日、30日、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または12ヶ月、または24ヶ月、または36ヶ月、または60ヶ月を超えるin vitroでの半減期(例えば、液体または粉末製剤)を有する。さらに別の実施形態においては、本発明のFc変異体は、約60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃または95℃より高いTm値を有する。
【0142】
本発明のFc変異体は特に、限定されるものではないが、増加した血清半減期、増加した結合親和性、低下した免疫原性、増加した産生、増強されたか、もしくは低下したADCCもしくはCDC活性、変化した糖鎖付加および/もしくはジスルフィド結合ならびに改変された結合特異性などの好ましい特徴を有する抗体をもたらす1個以上のさらなるアミノ酸残基の置換、突然変異および/または改変を含んでもよいことも特に意図される。
【0143】
本発明のFc変異体を、限定されるものではないが、エフェクター機能を変化させる改変などの他のFc改変と組合わせることができる。本発明は、本発明のFc変異体を、他のFc改変と組合わせて、抗体またはFc融合物における追加の、相乗作用的な、または新規な特性を提供することを包含する。そのような改変は、CH1、CH2、もしくはCH3ドメインまたはその組合せ中にあってもよい。本発明のFc変異体は、それらを組合わせる改変の特性を増強することが意図される。例えば、本発明のFc変異体を、野生型Fc領域を含む比較可能な分子よりも高い親和性でFcγRIIIAに結合することが知られる突然変異体と組合わせる場合、本発明の突然変異体との組合せはFcγRIIIA親和性のより高い倍数の増強をもたらす。
【0144】
一実施形態においては、本発明のFc変異体を、Duncanら、1988, Nature 332:563-564; Lundら、1991, J. Immunol 147:2657-2662; Lundら、1992, Mol Immunol 29:53-59; Alegreら、1994, Transplantation 57:1537-1543; Hutchinsら、1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92:11980-11984; Jefferisら、1995, Immunol Lett. 44:111-117; Lundら、1995, Faseb J 9:115-119; Jefferisら、1996, Immunol Lett 54:101-104; Lundら、1996, Immunol 157:4963-4969; Armourら、1999, Eur J Immunol 29:2613-2624; Idusogieら、2000, J Immunol 164:4178-4184; Reddyら、2000, J Immunol 164:1925-1933; Xuら、2000, Cell Immunol 200:16-26; Idusogieら、2001, J Immunol 166:2571-2575; Shieldsら、2001, J Biol Chem 276:6591-6604; Jefferisら、2002, Immunol Lett 82:57-65; Prestaら、2002, Biochem Soc Trans 30:487-490); 米国特許第5,624,821号; 第5,885,573号; 第6,194,551号; 米国特許出願第60/601,634号および第60/608,852号; 国際特許公開WO 00/42072およびWO 99/58572に開示されたものなどの他の公知のFc変異体と組合わせることができる。
【0145】
いくつかの実施形態においては、本発明のFc変異体は、1種以上の操作された糖型、すなわち、Fc領域を含む分子に共有結合させた炭水化物組成物を含む。操作された糖型は、限定されるものではないが、エフェクター機能の増強または低下などの様々な目的にとって有用であり得る。操作された糖型を、例えば、操作されたか、もしくは変異体発現株を用いることにより、1種以上の酵素、例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTI11)との同時発現により、様々な生物もしくは様々な生物に由来する細胞系においてFc領域を含む分子を発現させることにより、またはFc領域を含む分子を発現させた後、炭水化物を改変することによるなど、当業者には公知の任意の方法により作製することができる。操作された糖型を作製する方法は当業界で公知であり、限定されるものではないが、Umanaら、1999, Nat. Biotechnol 17:176-180; Daviesら、20017 Biotechnol Bioeng 74:288-294; Shieldsら、2002, J Biol Chem 277:26733-26740; Shinkawaら、2003, J Biol Chem 278:3466-3473) 米国特許第6,602,684号; 米国特許出願継続第10/277,370号; 米国特許出願継続第10/113,929号; PCT WO 00/61739A1; PCT WO 01/292246A1; PCT WO 02/311140A1; PCT WO 02/30954A1; Potillegent(商標)技術 (Biowa, Inc. Princeton, N.J.); GlycoMAb(商標)糖鎖工学技術 (GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)に記載のものなどが挙げられる。例えば、WO 00061739; EA01229125; US 20030115614; Okazakiら、2004, JMB, 336: 1239-49を参照されたい。さらなる方法は、以下の「本発明の抗体」という表題の節に記載されている。
【0146】
5.1 本発明の抗体
本発明のFc変異体は、可変領域および本発明の改変されたヒンジを組込むFc領域を含む抗体を含むことが意図される。抗体であるFc変異体を、少なくとも1種の抗原に特異的に結合する可変ドメイン、またはそのフラグメントを、本発明の改変されたヒンジを組込むFc領域と組合わせることにより、「de novo」で製造することができる。あるいは、Fc変異体を、抗原に結合する抗体を含むFc領域のヒンジを改変することにより製造することができる。抗体であるFc変異体を、本明細書ではより一般的に「Fc変異体」またはより具体的には、「本発明の抗体」と呼ぶことができる。
【0147】
本発明の抗体としては、限定されるものではないが、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え生産された抗体、イントラボディ(intrabody)、多特異的抗体、二特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、一本鎖FvFc(scFvFc)、一本鎖Fv(scFv)、および抗イディオタイプ(抗-Id)抗体が挙げられる。特に、本発明の方法において用いられる抗体としては、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分が挙げられる。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってよい。
【0148】
本発明の抗体は、鳥類および哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ)などの任意の動物起源に由来するものであってよい。特定の実施形態においては、前記抗体はヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である。本明細書で用いられる「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、またはヒト遺伝子に由来する抗体を発現するマウスから単離された抗体を含む。
【0149】
抗体は、あらゆるポリペプチドと同様、一般的にはポリペプチドが正味の電荷を担持しないpHとして定義される等電点(pI)を有する。タンパク質の溶解性は、典型的には、該溶液のpHがタンパク質の等電点(pI)に等しい場合、最も低いことが当業界で公知である。抗体中のイオン性残基の数および位置を変化させて、pIを調整することにより、溶解性を最大化することができる。例えば、ポリペプチドのpIを、好適なアミノ酸置換を作製することにより(例えば、リジンなどの荷電したアミノ酸を、アラニンなどの非荷電残基に置換することにより)操作することができる。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、抗体のpIの変化をもたらす該抗体のアミノ酸置換は、該抗体の溶解性および/または安定性を改善し得る。当業者であれば、どのアミノ酸置換が所望のpIを達成するために特定の抗体にとって最も好適であるかを理解できるであろう。タンパク質のpIを、限定されるものではないが、分画電気泳動および種々のコンピューターアルゴリズム(例えば、Bjellqvistら、1993, Electrophoresis 14:1023を参照)などの様々な方法により決定することができる。一実施形態においては、本発明のFc変異体のpIは、pH6.2〜pH8.0である。別の実施形態においては、本発明の抗体のpIは、pH6.8〜pH7.4である。一実施形態においては、本発明のFc変異体のpIの変化をもたらす置換は、抗原に対するその結合親和性を有意に減少させないであろう。少なくとも1個のFcリガンド(上記)への結合を変化させる改変されたヒンジも、pIの変化をもたらし得ることが特に意図される。特定の実施形態においては、改変されたヒンジを特異的に選択して、Fcリガンド結合の所望の変化およびpIの任意の所望の変化の両方を得る。
【0150】
本発明の抗体は、一特異的、二特異的、三特異的またはそれ以上の特異性のものであってよい。多特異的抗体は、所望の標的分子の異なるエピトープに特異的に結合するか、または標的分子ならびに異種ポリペプチドもしくは固相支持材料などの異種エピトープの両方に特異的に結合することができる。例えば、国際特許公開WO 94/04690; WO 93/17715; WO 92/08802; WO 91/00360;およびWO 92/05793; Tutt,ら、1991, J. Immunol. 147:60-69; 米国特許出願第4,474,893号、第4,714,681号、第4,925,648号、第5,573,920号、および第5,601,819号;ならびにKostelnyら、1992, J. Immunol. 148:1547を参照されたい。
【0151】
多特異的抗体は、少なくとも2種の異なる抗原に対する結合特異性を有する。そのような抗体は通常、2つの抗原にのみ結合するであろうが(すなわち、二特異的抗体、BsAb)、三特異的抗体などのさらなる特異性を有する抗体も本発明に包含される。BsAbの例としては、限定されるものではないが、腫瘍細胞抗原に対する一方のアームおよび細胞傷害性分子に対する他方のアームを有するものが挙げられる。二特異的抗体を作製する方法は、当業界で公知である。完全長二特異的抗体の伝統的製造は、異なる特異性を有する2個の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づくものである(Millsteinら、1983, Nature, 305:537-539)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の無作為の組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、1種のみが正確な二特異的構造を有する10種の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生する。通常はアフィニティクロマトグラフィー工程により行われる正確な分子の精製はむしろ厄介であり、その生成物の収率は低い。同様の手順は、WO 93/08829、およびTrauneckerら、1991, EMBO J., 10:3655-3659に開示されている。
【0152】
様々な手法に従って、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)を、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合する。この融合物は、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインを含んでもよい。軽鎖結合にとって必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)は、前記融合物の少なくとも1つに存在してもよいことが意図される。免疫グロブリン重鎖融合物および、必要に応じて、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別々の発現ベクターに挿入し、好適な宿主生物中に同時トランスフェクトする。これは、前記構築物において用いられる3つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率を提供する実施形態において、3つのポリペプチド断片の共通の割合の調整において大きい可撓性を提供する。しかしながら、等しい比率での少なくとも2種のポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらす場合、またはその比率が特に有意なものではない場合、1つの発現ベクターに2種もしくは3種全てのポリペプチド鎖のコード配列を挿入することができる。
【0153】
この手法の一実施形態においては、二特異的抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)から構成される。二特異的分子の2分の1のみにおける免疫グロブリン軽鎖の存在が分離の簡単な方法を提供するので、この非対称構造は、望ましくない免疫グロブリン鎖組合せからの所望の二特異的化合物の分離を容易にすることが見出された。この手法は、WO 94/04690に開示されている。二特異的抗体の作製に関するさらなる詳細については、例えば、Sureshら、1986, Methods in Enzymology, 121:210を参照されたい。WO 96/27011に記載の別の手法に従えば、1対の抗体分子を操作して、ヘテロダイマーの割合を最大化し、組換え細胞培養物から回収することができる。意図される1つの接合部分は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法においては、第1の抗体分子の接合部分に由来する1個以上の小さいアミノ酸側鎖を、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と置換する。大きい側鎖と同一であるか、または類似する大きさの代償的「空洞」を、大きいアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えば、アラニンもしくはトレオニン)と置換することにより、第2の抗体分子の接合部分上に作製する。これは、ホモダイマーなどの他の望ましくない最終産物を超えてヘテロダイマーの収率を増加させる機構を提供する。
【0154】
二特異的抗体は、架橋された抗体または「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体の一方をアビジンに結合させ、他方をビオチンに結合させることができる。そのような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対して免疫系細胞を標的化するように(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の治療(WO 91/00360、WO 92/200373、およびEP 03089)について提唱されてきた。ヘテロコンジュゲート抗体を、任意の都合の良い架橋方法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は、いくつかの架橋技術と共に、当業界でよく知られており、米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0155】
本発明の改変されたヒンジを組込む3以上の価数を有する抗体が意図される。例えば、三特異的抗体を調製することができる。例えば、Tuttら、J. Immunol. 147: 60 (1991)を参照されたい。
【0156】
本発明の抗体は、ラクダ化単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(例えば、Muyldermansら、2001, Trends Biochem. Sci. 26:230; Nuttallら、2000, Cur. Pharm. Biotech. 1:253; ReichmannおよびMuyldermans, 1999, J. Immunol. Meth. 231:25; 国際特許公開WO 94/04678 and WO 94/25591; 米国特許第6,005,079号を参照されたい)を包含する。
【0157】
本発明の抗体はさらに、抗体様および抗体-ドメイン融合タンパク質を包含する。抗体様分子は、所望の結合特性を用いて作製した任意の分子であり、例えば、PCT公開WO 04/044011; WO 04/058821; WO 04/003019およびWO 03/002609を参照されたい。抗体-ドメイン融合タンパク質は、Fcドメインまたは可変ドメインなどの1個以上の抗体ドメインを組込んでもよい。例えば、異種ポリペプチドを、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、F(ab)2フラグメント、VHドメイン、VLドメイン、VH CDR、VL CDR、もしくはその断片に融合するか、またはコンジュゲートすることができる。限定されるものではないが、ダイアボディ(dsFv)2(Beraら、1998, J. Mol. Biol. 281:475-83);ミニボディ(scFv-CH3融合タンパク質のホモダイマー)(Pessiら、1993, Nature 262:367-9)、四価ジ-ダイアボディ(Luら、2003 J. Immunol. Methods 279:219-32)、Bs(scFv)4-IgGと呼ばれる四価二特異的抗体(Zuoら、2000, Protein Eng. 13:361-367)などの多くの抗体ドメイン分子が当業界で公知である。Fcドメイン融合物は、免疫グロブリンのFc領域、具体的には、本発明の改変されたヒンジを含むFc領域を、一般的には、限定されるものではないが、リガンド、酵素、受容体のリガンド部分、接着タンパク質、またはいくつかの他のタンパク質もしくはドメインなどのタンパク質であってよい融合パートナーと組合わせる。例えば、Chamowら、1996, Trends Biotechnol 14:52-60; Ashkenaziら、1997, Curr Opin Immunol 9:195-200; Heidaranら、1995, FASEB J. 9:140-5を参照されたい。ポリペプチドを抗体タンパク質に融合させるか、またはコンジュゲートさせるための方法は、当業界でよく知られている。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、および第5,112,946号; 欧州特許第EP 307,434号および第EP 367,166号; PCT公開WO 96/04388およびWO 91/06570; Ashkenaziら、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539; Zhengら、1995, J. Immunol. 154:5590-5600;ならびにVilら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337-11341を参照されたい。
【0158】
特に意図される他の分子は、例えば、免疫ドメインおよび/またはモノマードメインなどの小さく、操作されたタンパク質ドメインである(例えば、米国特許出願公開第2003082630号および第2003157561号)。免疫ドメインは、抗体の少なくとも1個の相補性決定領域(CDR)を含むが、モノマードメインは公知の天然の、非抗体ドメインファミリー、特に、保存された足場および可変結合部位を含むタンパク質細胞外ドメインに基づくものであり、その例はリガンド結合に関与するLDL受容体Aドメインである。そのようなタンパク質ドメインは、例えば、シャペロニンまたは金属イオンの存在とは無関係に、または限定的に援助して正確に折り畳むことができる。この能力は、新しいタンパク質環境に挿入することによって、特定の標的に対するタンパク質ドメインの結合親和性を保存する場合、ドメインの折畳みの誤りを回避する。このタンパク質ドメインの可変結合部位を、例えば、無作為突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発などの様々な多様性生成方法、ならびに、例えば、帰納的変異性PCR、帰納的組換えなどの指向性進化方法を用いて無作為化する。様々な多様性生成方法の詳細については、米国特許第5,811,238号; 第5,830,721号; 第5,834,252号; PCT公開WO 95/22625; WO 96/33207; WO 97/20078; WO 97/35966; WO 99/41368; WO 99/23107; WO 00/00632; WO 00/42561; およびWO 01/23401を参照されたい。次いで、突然変異誘発されたタンパク質ドメインを、例えば、少なくとも1010個の変異体のライブラリーを作製し、その後のパンニングおよびスクリーニングにより意図された標的に対する改善された親和性および効力を有するこれらのタンパク質ドメインの単離を容易にすることができるファージ展示などの展示系を用いて発現させる。そのような方法は、PCT公開WO 91/17271; WO 91/18980; WO 91/19818; WO 93/08278に記載されている。さらなる展示系の例は、米国特許第6,281,344号; 第6,194,550号; 第6,207,446号; 第6,214,553号および第6,258,558号に記載されている。これらの方法を用いて、nM下の結合親和性(Kd)および阻害機能(IC50)を有する高い多様性の操作されたタンパク質ドメインを迅速に作製することができる。一度同定されたら、2〜10個のそのような操作されたタンパク質ドメインを、約4〜15アミノ酸長の天然のタンパク質リンカーを用いて一緒に連結して、結合タンパク質を形成させることができる。個々のドメインは、使用/疾患適応に応じて、1個の型のタンパク質またはいくつかを標的化することができる。次いで、操作されたタンパク質ドメインを、本発明の改変されたヒンジを含むFc領域に連結することができる。
【0159】
いくつかの実施形態においては、本発明の抗体は、1個以上の操作された糖型、すなわち、Fc領域を含む親分子のものと化学的に異なる、Fc領域を含む分子に共有結合された炭水化物組成物を含む。操作された糖型は、限定されるものではないが、エフェクター機能の増強または低下などの様々な目的にとって有用であり得る。操作された糖型を、例えば、操作された発現株もしくは変異体発現株を用いることにより、1種以上の酵素、例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTI11)を用いる同時発現により、種々の生物もしくは種々の生物に由来する細胞系においてFc領域を含む分子を発現させることにより、またはFc領域を含む分子を発現させた後、炭水化物を改変することによるなど、当業者には公知の任意の方法により作製することができる。操作された糖型を作製する方法は当業界で公知であり、限定されるものではないが、Umanaら、1999, Nat. Biotechnol 17:176-180; Daviesら、20017 Biotechnol Bioeng 74:288-294; Shieldsら、2002, J Biol Chem 277:26733-26740; Shinkawaら、2003, J Biol Chem 278:3466-3473)、米国特許第6,602,684号; 米国特許出願継続第10/277,370号; 米国特許出願継続第10/113,929号; PCT WO 00/61739A1; PCT WO 01/292246A1; PCT WO 02/311140A1; PCT WO 02/30954A1; Potelligent(商標)技術(Biowa, Inc. Princeton, N.J.); GlycoMAb(商標)糖鎖工学技術 (GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)に記載のものが挙げられる。例えば、WO 00061739; EA01229125; US 20030115614; Okazakiら、2004, JMB, 336: 1239-49を参照されたい。
【0160】
本発明の抗体は、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、または5ヶ月を超える哺乳動物(例えば、ヒト)における半減期(例えば、血清半減期)を有するものも包含する。哺乳動物(例えば、ヒト)における本発明の抗体の半減期の増加は、該哺乳動物における該抗体もしくは抗体フラグメントのより高い血清力価をもたらし、かくして、該抗体もしくは抗体フラグメントの投与の頻度を減少させ、および/または投与しようとする該抗体もしくは抗体フラグメントの濃度を減少させる。in vivoでの半減期が増加した抗体を、当業者には公知の技術により作製することができる。例えば、in vivoでの半減期が増加した抗体を、FcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与するものとして同定されたアミノ酸残基を改変(例えば、置換、欠失または付加)することにより作製することができる(例えば、国際特許出願公開WO 97/34631; WO 04/029207; 米国特許第6,737056号および米国特許出願公開第2003/0190311号を参照されたい)。
【0161】
既に当業界で記載された抗体への改変されたヒンジの導入も意図される。本発明の改変されたヒンジを導入する抗体は、例えば、限定されるものではないが、KS 1/4パン癌腫抗原(PerezおよびWalker, 1990, J. Immunol. 142: 3662-3667; Bumal, 1988, Hybridoma 7(4): 407-415)、卵巣癌抗原(CA125)(Yuら、1991, Cancer Res. 51(2): 468-475)、前立腺酸性ホスファターゼ(Tailorら、1990, Nucl. Acids Res. 18(16): 4928)、前立腺特異的抗原(HenttuおよびVihko, 1989, Biochem. Biophys. Res. Comm. 160(2): 903-910; Israeliら、1993, Cancer Res. 53: 227-230)、メラノーマ関連抗原p97(Estinら、1989, J. Natl. Cancer Instit. 81(6): 445-446)、メラノーマ抗原gp75 (Vijayasardahlら、1990, J. Exp. Med. 171(4): 1375-1380)、高分子量メラノーマ抗原(HMW-MAA) (Nataliら、1987, Cancer 59: 55-63; Mittelmanら、1990, J. Clin. Invest. 86: 2136-2144)、前立腺特異的膜抗原、癌胎児抗原(CEA) (Foonら、1994, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 13: 294)、多様性上皮ムチン抗原、ヒト乳脂肪球抗原、結腸直腸腫瘍関連抗原、例えば、CEA、TAG-72 (Yokataら、1992, Cancer Res. 52: 3402-3408)、CO17-1A (Ragnhammarら、1993, Int. J. Cancer 53: 751-758); GICA 19-9 (Herlynら、1982, J. Clin. Immunol. 2: 135)、CTA-1およびLEA、バーキットリンパ腫抗原-38.13、CD19 (Ghetieら、1994, Blood 83: 1329-1336)、ヒトBリンパ腫抗原-CD20 (Reffら、1994, Blood 83:435-445)、CD33 (Sgourosら、1993, J. Nucl. Med. 34:422-430)、ガングリオシドGD2 (Salehら、1993, J. Immunol., 151, 3390-3398)、ガングリオシドGD3 (Shitaraら、1993, Cancer Immunol. Immunother. 36:373-380)、ガングリオシドGM2 (Livingstonら、1994, J. Clin. Oncol. 12: 1036-1044)、ガングリオシドGM3 (Hoonら、1993, Cancer Res. 53: 5244-5250)などのメラノーマ特異的抗原、T抗原DNA腫瘍ウイルスおよびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原などのウイルス誘導性腫瘍抗原などの腫瘍特異的移植型の細胞表面抗原(TSTA)、結腸のCEAなどの癌胎児抗原-α-フェトプロテイン、膀胱腫瘍癌胎児抗原(Hellstromら、1985, Cancer. Res. 45:2210-2188)、ヒト肺癌抗原L6、L20などの分化抗原(Hellstromら、1986, Cancer Res. 46: 3917-3923)、線維肉腫の抗原、ヒト白血病T細胞抗原-Gp37 (Bhattacharya-Chatterjeeら、1988, J. of Immun. 141:1398-1403)、新生糖タンパク質、スフィンゴ脂質、EGFR (上皮増殖因子受容体)などの乳癌抗原、HER2抗原(p185HER2)、多様性上皮ムチン(PEM) (Hilkensら、1992, Trends in Bio. Chem. Sci. 17:359)、悪性ヒトリンパ球抗原-APO-1 (Bernhardら、1989, Science 245: 301-304)、胎児赤血球に認められるI抗原、成人赤血球、移植前の胚に認められる一次内胚葉I抗原、胃腸腺癌に認められるI(Ma)、乳房上皮に認められるM18、M39、骨髄細胞に認められるSSEA-1、結腸直腸癌に認められるVEP8、VEP9、Myl、VIM-D5、D156-22、TRA-1-85(血液群H)、結腸腺癌に認められるC14、肺腺癌に認められるF3、胃癌に認められるAH6、Yハプテン、胚性癌細胞に認められるLey、TL5 (血液群A)、A431細胞に認められるEGF受容体、膵臓癌に認められるE1 シリーズ (血液群B)、胚性癌細胞に認められるFC10.2、胃腸腺癌抗原、腺癌に認められるCO-514 (血液群Lea)、腺癌に認められるNS-10、CO-43 (血液群 Leb)、A431細胞のEGF受容体に認められるG49、結腸腺癌に認められるMH2 (血液群ALeb/Ley)、結腸癌に認められる19.9、胃癌ムチン、骨髄細胞に認められるT5A7、メラノーマに認められるR24 、胚性腺癌細胞に認められる4.2、GD3、D1.1、OFA-1、GM2、OFA-2、GD2、およびM1:22:25:8、ならびに4〜8細胞段階の胚に認められるSSEA-3およびSSEA-4などの分化抗原(Feizi, 1985, Nature 314: 53-57)などの癌または腫瘍抗原に特異的に結合することができる。一実施形態においては、前記抗原は皮膚T細胞リンパ腫に由来するT細胞受容体誘導性ペプチドである(Edelson, 1998, The Cancer Journal 4:62を参照)。
【0162】
いくつかの実施形態においては、本発明の改変されたヒンジを、抗フルオレセインモノクローナル抗体、4-4-20(Kranzら、1982 J. Biol. Chem. 257(12): 6987-6995)に導入する。他の実施形態においては、本発明の改変されたヒンジを、B細胞上のCD20細胞表面リンタンパク質を認識するマウス-ヒトキメラ抗CD20モノクローナル抗体2H7に導入する(Liuら、1987, Journal of Immunology, 139: 3521-6)。さらに他の実施形態においては、本発明の改変されたヒンジを、Carterら(1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-9)により記載されたヒト上皮増殖因子受容体2(p185 HER2)に対するヒト化抗体(Ab4D5)に導入する。さらに他の実施形態においては、本発明の改変されたヒンジを、ヒト化抗TAG72抗体(CC49)に導入する(Shaら、1994 Cancer Biother. 9(4): 341-9)。他の実施形態においては、本発明の改変されたヒンジを、リンパ腫を治療するのに用いられるRituxan中に導入する。
【0163】
特定の実施形態においては、本発明は、本発明の改変されたヒンジを、限定されるものではないが、Eph受容体に特異的に結合する任意の抗体などの抗体中に操作することを包含する。Eph受容体は、公知のEph受容体チロシンキナーゼ(RTK)に対する特定の程度の相同性により定義されるタンパク質を含むポリペプチドのファミリーを包含する。Eph受容体としては、限定されるものではないが、EphA1(エフリンA型受容体1としても知られ、エリスロポエチン産生ヘパトーマにより増幅された配列であり、GenBank受託番号NP_005223.2により例示されている)、EphA2(上皮細胞受容体タンパク質チロシンキナーゼとしても知られ、GenBank受託番号NP_004422.2により例示されている)、EphA3(ヒト胚キナーゼ1、eph様チロシンキナーゼ1、TYRO4タンパク質チロシンキナーゼとしても知られ、GenBank受託番号NP_005224.2およびNP_872585.1、それぞれアイソフォーム3aおよび3bにより例示されている)、EphA4(エフリンA型受容体4、TYRO1タンパク質チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ受容体SEK、受容体タンパク質チロシンキナーゼHEK8としても知られ、GenBank受託番号NP_004429.1により例示されている)、EphA5(Ephホモロジーキナーゼ1、エフリンA型受容体5、受容体タンパク質チロシンキナーゼHEK7、チロシンタンパク質キナーゼ受容体EHK-1としても知られ、GenBank受託番号NP_004430.2およびNP_872272、それぞれアイソフォーム5aおよび5bにより例示されている)、EphA6(GenBank受託番号XP_114973.4により例示されている)、EphA7(Ephホモロジーキナーゼ3、エフリンA型受容体7、受容体タンパク質チロシンキナーゼHEK11、チロシンタンパク質キナーゼ受容体EHK-3としても知られ、GenBank受託番号NP_004431.1により例示されている)、Eph8(チロシルタンパク質キナーゼ、タンパク質チロシンキナーゼ、ヒドロキシアリールタンパク質キナーゼ、エフリンA型受容体8前駆体、eph-およびelk-関連チロシンキナーゼ、チロシンタンパク質キナーゼ受容体eekとしても知られ、GenBank受託番号NP_065387.1により例示されている)、EphB1(ephチロシンキナーゼ2としても知られ、GenBank受託番号NP_004432.1により例示されている)、EphB2(ephチロシンキナーゼ3、elk関連チロシンキナーゼ、発生制御されるeph関連チロシンキナーゼとしても知られ、GenBank受託番号NP_059145.1およびNP_004433.2、それぞれアイソフォーム2aおよび2bにより例示されている)、EphB3(ヒト胚キナーゼ2、EPH様チロシンキナーゼ2としても知られ、GenBank受託番号NP_004434.2により例示されている)、EphB4(ヘパトーマ膜貫通キナーゼとしても知られ、GenBank受託番号NP_004435.3により例示されている)ならびにB6(GenBank受託番号NM_004445.1により例示されている)が挙げられる。
【0164】
特定の実施形態においては、本発明は、本発明の改変されたヒンジを、限定されるものではないが、本明細書およびPCT公開WO 04/014292、WO 03/094859および米国特許出願継続第10/863,729号に開示されたものなどの、EphA2および/またはEphA4に特異的に結合する抗体、その誘導体、類似体およびエピトープ結合フラグメントなどの抗体、ならびに表5に列挙された抗体のいずれかに操作することを包含する。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、12G3H11および/もしくは表5に列挙された抗体のいずれかに由来する可変領域(例えば、1種以上のCDR)の全部または一部を含むEphA2および/もしくはEphA4に特異的に結合する抗体である。
【表5】

【0165】
特定の実施形態においては、本発明は、本発明の改変されたヒンジを、限定されるものではないが、LM609 (Scripps)、マウスモノクローナルLM609 (PCT公開WO 89/015155および米国特許第5,753,230号); ヒト化モノクローナル抗体MEDI-522 (a.k.a. VITAXIN(登録商標)、MedImmune, Inc., Gaithersburg, MD; Wuら、1998, PNAS USA 95(11): 6037-6042; PCT公開WO 90/33919およびWO 00/78815); D12 (PCT公開WO 98/40488); 抗-インテグリンαVβ3 抗体PDE 117-706 (ATCCアクセス番号HB-12224)、P112-4C1 (ATCCアクセス番号HB-12225)、P113-12A6 (ATCCアクセス番号HB-12226)、P112-11D2 (ATCCアクセス番号HB-12227)、P112-10D4 (ATCCアクセス番号HB-12228)およびP113-1F3 (ATCCアクセス番号HB-12229)(G.D, Searle & Co., PCT公開WO 98/46264); 17661-37Eおよび17661-37E 1-5 (USBiological)、MON 2032および2033 (CalTag)、ab7166 (BV3)およびab 7167 (BV4) (Abcam)、WOW-1 (Kiossesら、2001, Nature Cell Biology, 3:316-320)、CNTO 95 (Centocor, PCT公開WO 02/12501)などのインテグリンαvβ3に特異的に結合する抗体ならびにその類似体、誘導体、またはフラグメント中に操作することを包含する。
【0166】
いくつかの実施形態においては、本発明の改変されたヒンジを、限定されるものではないが、Erbitux(商標)(IMC-C225としても知られる)(ImClone Systems Inc.)、EGFRに対するキメラ化モノクローナル抗体;転移性乳癌を有する患者の治療のためのヒト化抗HER-2モノクローナル抗体であるHERCEPTIN(登録商標)(Trastuzumab)(Genentech, CA);クロット形成の防止のための血小板上の抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体であるREOPRO(登録商標)(アブシキシマブ)(Centocor);急性腎臓同種移植拒絶の防止のための免疫抑制的なヒト化抗CD25モノクローナル抗体であるZENAPAX(登録商標)(ダクリズマブ)(Roche Pharmaceuticals, Switzerland)などの、癌抗原または細胞表面受容体に特異的な治療的モノクローナル抗体に導入する。他の例は、CD18 F(ab')2 (Genentech); ヒト化抗CD18 F(ab')2であるCDP860 (Celltech, UK); CD4と融合された抗HIV gp120抗体であるPRO542 (Progenics/Genzyme Transgenics); 抗CD14抗体であるC14 (ICOS Pharm);ヒト化抗VEGF IgG1抗体 (Genentech); マウス抗CA125抗体であるOVAREX(商標) (Altarex); マウス抗-17-IA細胞表面抗原IgG2a抗体であるPANOREX(商標)(Glaxo Wellcome/Centocor); キメラ抗EGFR IgG抗体であるIMC-C225 (ImClone System); ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体であるVITAXIN(商標)(Applied Molecular Evolution/MedImmune); ヒト化抗CD52 IgG1抗体であるCampath 1H/LDP-03 (Leukosite); ヒト化抗-CD33 IgG抗体であるSmart M195 (Protein Design Lab/Kanebo); キメラ抗体CD20 IgG1抗体であるRITUXAN(商標) (IDEC Pharm/Genentech, Roche/Zettyaku); ヒト化抗CD22 IgG抗体であるLYMPHOCIDE(商標)(Immunomedics); ヒト化抗HLA抗体であるSmart ID10 (Protein Design Lab); 放射標識されたマウス抗HLA DR抗体であるONCOLYM(商標)(Lym-1) (Techniclone); ヒト化IgG1抗体である抗CD11a (Genetech/Xoma); ヒト化抗ICAM3抗体であるICM3 (ICOS Pharm); 霊長類化抗CD80抗体であるIDEC-114 (IDEC Pharm/Mitsubishi); 放射標識されたマウス抗CD20抗体であるZEVALIN(商標) (IDEC/Schering AG); ヒト化抗CD40L抗体であるIDEC-131 (IDEC/Eisai); 霊長類化抗CD4抗体であるIDEC-151 (IDEC); 霊長類化抗CD23抗体であるIDEC-152 (IDEC/Seikagaku); ヒト化抗CD3 IgGであるSMART抗CD3 (Protein Design Lab); ヒト化抗補体因子5 (C5)抗体である5G1.1 (Alexion Pharm); 霊長類化抗CD4 IgG1抗体であるIDEC-151 (IDEC Pharm/SmithKline Beecham); ヒト抗CD4 IgG抗体であるMDX-CD4 (Medarex/Eisai/Genmab); ヒト化抗TNF-α IgG4抗体であるCDP571 (Celltech); ヒト化抗α4β7抗体であるLDP-02 (LeukoSite/Genentech); ヒト化抗CD4 IgG抗体であるOrthoClone OKT4A (Ortho Biotech); ヒト化抗CD40L IgG抗体であるANTOVA(商標) (Biogen); ヒト化抗VLA-4 IgG抗体であるANTEGREN(商標) (Elan); ヒト抗CD64 (FcγR)抗体であるMDX-33 (Medarex/Centeon); ヒト化抗IgE IgG1抗体であるrhuMab-E25 (Genentech/Norvartis/Tanox Biosystems); 霊長類化抗CD23抗体であるIDEC-152 (IDEC Pharm); マウス抗CD-147 IgM抗体であるABX-CBL (Abgenix); ラット抗CD2 IgG抗体であるBTI-322 (Medimmune/Bio Transplant); マウス抗CD3 IgG2a抗体であるOrthoclone/OKT3 (ortho Biotech); キメラ抗CD25 IgG1抗体であるSIMULECT(商標) (Novartis Pharm); ヒト化抗β2-インテグリンIgG抗体であるLDP-01 (LeukoSite); マウス抗CD18 F(ab')2 である抗-LFA-1 (Pasteur-Merieux/Immunotech); ヒト抗TGF-β2 抗体であるCAT-152 (Cambridge Ab Tech); およびキメラ抗第VII因子抗体であるCorsevin M (Centocor)である。
【0167】
さらに別の実施形態においては、本発明の抗体は、限定されるものではないが、本発明の抗体の可変領域が上記のものなどの公知の治療用抗体のものでないという条件で、該治療用抗体と同じ抗原に特異的に結合する。
【0168】
さらに別の実施形態においては、本発明の抗体は、そのFc領域が、1)1個以上のFcリガンド(例えば、FvγR)へのFcの結合が増加するか、もしくは減少する;および/または2)エフェクター機能が増加するか、もしくは減少するようにFcを改変するように本発明の教示に従ってヒンジ領域において改変された上記の公知の治療用抗体を含む。
【0169】
5.1.1 本発明の特異的抗原および融合パートナー
一般的には、Fc変異体が抗体(本明細書では本発明の抗体と呼ぶ)である場合、本発明の抗体は目的の抗原に特異的に結合する。一実施形態においては、本発明の抗体は、ポリペプチド抗原に特異的に結合する。別の実施形態においては、本発明の抗体は、非ポリペプチド抗原に特異的に結合する。さらに別の実施形態においては、疾患または障害に罹患している哺乳動物への本発明の抗体の投与は、その哺乳動物において治療的利益をもたらし得る。
【0170】
実際には、任意の分子を、限定されるものではないが、以下の一覧のタンパク質、ならびに以下の一覧のタンパク質に属するサブユニット、ドメイン、モチーフおよびエピトープ:レニン;ヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;増殖ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1抗トリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;第VII因子、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子(TF)、およびvon Willebrands因子などの凝固因子;プロテインCなどの抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)などのプラスミノーゲン活性化因子;ボンベシン;トロンビン;造血増殖因子;腫瘍壊死因子-αおよびβ;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化に際して調節され、通常はT細胞により発現され、分泌される);ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-1-α);ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン;Muellerian阻害物質;リラクシンA鎖;リラクシンB鎖;プロリラクシン;マウスゴナドトロピン結合ペプチド;β-ラクタマーゼなどの微生物タンパク質;DNase;IgE;CTLA-4などの細胞傷害性Tリンパ球結合抗原(CTLA);インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);例えば、EGFR、VEGFRなどのホルモンもしくは増殖因子に対する受容体;αインターフェロン(α-IFN)、βインターフェロン(β-IFN)およびγインターフェロン(γ-IFN)などのインターフェロン;プロテインAまたはD;リウマチ因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、4、5もしくは6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)、または神経成長因子などの神経栄養因子;血小板由来増殖因子(PDGF);αFGFおよびβFGFなどの線維芽細胞増殖因子;上皮増殖因子(EGF);TGF-1、TGF-2、TGF-3、TGF-4、もしくはTGF-5を含むTGFαおよびTGFβなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子IおよびII(IGF-IおよびIGF-II);des(1-3
)-IGF-1(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク質;CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD34、CD40、CD40L、CD52、CD63、CD64、CD80およびCD147などのCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;抗毒素;骨形態形成因子(BMP);インターフェロンα、βおよびγなどのインターフェロン;M-CSF、GM-CSF、およびG-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1〜IL-13;TNFα、スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊加速因子;例えば、AIDSエンベロープの一部、例えば、gp120などのウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレッシン;調節タンパク質;LFA-1、Mac1、p150.95、VLA-4、ICAM-1、ICAM-3およびVCAM、a4/p7インテグリン、およびXv/p3インテグリンもしくはそのサブユニット、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、α7、α8、α9、αD、CD11a、CD11b、CD51、CD11c、CD41、αIIb、αIELbなどのインテグリンαサブユニットなどの細胞接着分子;CD29、CD18、CD61、CD104、β5、β6、β7およびβ8などのインテグリンβサブユニット;限定されるものではないが、αVβ3、αVβ5およびα4β7などのインテグリンサブユニットの組合せ;アポトーシス経路のメンバー;IgE;血液群抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;プロテインC;EphA2、EphA4、EphB2などのEph受容体;HLA-DRなどのヒト白血球抗原(HLA);補体受容体CR1、C1Rqなどの補体タンパク質ならびにC3およびC5などの他の補体因子;GpIbα、GPIIb/IIIaおよびCD200などの糖タンパク質受容体;ならびに上記のポリペプチドのいずれかの断片などのFc変異体タンパク質(例えば、抗体、Fc融合タンパク質)により標的化し、および/またはそれに組込むことができる。
【0171】
また、限定されるものではないが、ALK受容体(プレイオトロフィン受容体)、プレイオトロフィン、KS1/4パン-癌腫抗原(PSA);卵巣癌抗原(CA125);前立腺酸ホスファターゼ;前立腺特異的抗原(PSA);メラノーマ結合抗原p97;メラノーマ抗原gp75;高分子量メラノーマ抗原(HMW-MAA);前立腺特異的膜抗原;癌胎児抗原(CEA);多様型上皮ムチン抗原;ヒト乳脂肪球抗原;CEA、TAG-72、CO17-1A、GICA 19-9、CTA-1およびLEAなどの結腸直腸腫瘍結合抗原;Burkittリンパ腫抗原-38.13;CD19;ヒトBリンパ球抗原-CD20;CD33;ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2およびガングリオシドGM3などのメラノーマ特異的抗原;腫瘍特異的移植方細胞表面抗原(TSTA);T抗原、DNA腫瘍ウイルスおよびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原などのウイルス誘導性腫瘍抗原;結腸のCEAなどの癌胎児抗原-α-フェトタンパク質、5T4癌胎児トロホブラスト糖タンパク質および膀胱腫瘍癌胎児抗原;ヒト肺癌抗原L6およびL20などの分化抗原;線維肉腫の抗原;ヒト白血病T細胞抗原-Gp37;新生糖タンパク質;スフィンゴ脂質;EGFR(上皮増殖因子受容体)などの乳癌抗原;NY-BR-16;NY-BR-16およびHER2抗原(p185HER2);多様型上皮ムチン(PEM);悪性腫瘍ヒトリンパ球抗原-APO-1;胎児の赤血球に認められるI抗原などの分化抗原;成人の赤血球に認められる一次内胚葉I抗原;移植前の胚;胃腸腺癌に認められるI(Ma);乳房上皮に認められるM18、M19;骨髄細胞に認められるSSEA-1;VEP8;VEP9;Myl;VIM-D5;結腸直腸癌に認められるD156-22;TRA-1-85(血液群H);精巣および卵巣癌に認められるSCP-1;結腸腺癌に認められるC14;肺腺癌に認められるF3;胃癌に認められるAH6;Yハプテン;胎児癌細胞に認められるLey;TL5(血液群A);A431細胞に認められるEGF受容体;膵臓癌に認められるE1シリーズ(血液群B);胎児癌細胞に認められるFC10.2;胃腸腺癌抗原;腺癌に認められるCO-514(血液群Lea);腺癌に認められるNS-10; CO-43(血液群Leb);A431細胞のEGF受容体に認められるG49;結腸腺癌に認められるMH2(血液群ALeb/Ley);結腸癌に認められる19.9;胃癌ムチン;骨髄細胞に認められるT5A7;メラノーマに認められるR24;胎児癌細胞に認められる4.2、GD3、D1.1、OFA-1、GM2、OFA-2、GD2、およびM1:22:25:8ならびに4〜8細胞段階の胚に認められるSSEA-3およびSSEA-4;皮膚T細胞リンパ腫抗原;MART-1抗原;シアリルTn(STn)抗原;結腸癌抗原NY-CO-45;肺癌抗原NY-LU-12変異体A;腺癌抗原ART1;腫瘍随伴関連脳-精巣-癌抗原(癌神経抗原MA2;腫瘍随伴性神経抗原);神経癌腹部抗原2(NOVA2);肝細胞癌抗原遺伝子520;腫瘍関連抗原CO-029;腫瘍関連抗原MAGE-C1(癌/清掃抗原CT7)、MAGE-B1(MAGE-XP抗原)、MAGE-B2(DAM6)、MAGE-2、MAGE-4a、MAGE-4bおよびMAGE-X2;癌-精巣抗原(NY-EOS-1)ならびに上記のポリペプチドのいずれかの断片などの癌抗原に特異的に結合する本発明の抗体も意図される。
【0172】
5.1.2 抗体コンジュゲートおよび誘導体
本発明の抗体は、改変された(すなわち、共有結合となるように、抗体に任意の型の分子を共有結合させることによる)誘導体を含む。例えば、限定されるものではないが、抗体誘導体としては、例えば、糖鎖付加、アセチル化、PEG付加(pegylation)、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質溶解的切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結などにより改変された抗体が挙げられる。多くの化学的改変のいずれかを、限定されるものではないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などの公知の技術により行うことができる。さらに、この誘導体は1種以上の非古典的アミノ酸を含んでもよい。
【0173】
in vivoでの半減期が増加した抗体またはそのフラグメントを、該抗体または抗体フラグメントを高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子に結合させることにより作製することができる。PEGを、前記抗体もしくは抗体フラグメントのNもしくはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションまたはリジン残基条に存在するε-アミノ基を介して多機能リンカーを用いて、または用いずに該抗体もしくは抗体フラグメントに結合させることができる。生物活性の損失を最小にする線状または分枝状ポリマー誘導体を用いることができる。コンジュゲーションの程度をSDS-PAGEおよび質量分析法により綿密にモニターして、前記抗体へのPEG分子の適切なコンジュゲーションを確保することができる。未反応のPEGを、例えば、サイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーにより抗体-PEGコンジュゲートから分離することができる。
【0174】
さらに、抗体をアルブミンとコンジュゲートさせて、in vivoでより安定であるか、またはin vivoでより長い半減期を有する抗体または抗体フラグメントを作製することができる。その技術は当業界でよく知られており、例えば、国際特許出願公開WO 93/15199、WO 93/15200、およびWO 01/77137;ならびに欧州特許第EP 413,622号を参照されたい。本発明は、限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、模倣物質、合成薬剤、無機分子、および有機分子などの1個以上の部分にコンジュゲートされるか、もしくは融合された抗体または抗体フラグメントを包含する。
【0175】
本発明は、融合タンパク質を作製するために異種タンパク質またはポリペプチド(またはその断片、例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90もしくは少なくとも100アミノ酸のポリペプチド)に組換え的に融合されたか、もしくは化学的にコンジュゲートされた抗体または抗体フラグメントの使用を包含する。融合物は、直接的なものである必要はないが、リンカー配列を介して生じてもよい。例えば、抗体を用いて、該抗体を特定の細胞表面受容体に特異的な抗体に融合するか、もしくはコンジュゲートすることにより、異種ポリペプチドをin vitroまたはin vivoで特定の細胞型に対して標的化することができる。異種ポリペプチドに融合またはコンジュゲートされた抗体を、当業界で公知の方法を用いるin vitro免疫アッセイおよび精製方法において用いることもできる。例えば、国際特許出願公開WO 93/21232;欧州特許第EP 439,095号;Naramuraら、1994, Immunol. Lett. 39:91-99; 米国特許第5,474,981号;Gilliesら、1992, PNAS 89:1428-1432;およびFellら、1991, J. Immunol. 146:2446-2452を参照されたい。
【0176】
本発明はさらに、抗体フラグメントに融合またはコンジュゲートされた異種タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、その異種ポリペプチドを、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、F(ab)2フラグメント、VHドメイン、VLドメイン、VH CDR、VL CDR、もしくはその断片に融合またはコンジュゲートすることができる。ポリペプチドを抗体タンパク質に融合またはコンジュゲートさせる方法は当業界でよく知られている。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、および第5,112,946号; 欧州特許第EP 307,434号および第 EP 367,166号; 国際特許出願公開 WO 96/04388 およびWO 91/06570; Ashkenaziら、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539; Zhengら、1995, J. Immunol. 154:5590-5600; ならびにVilら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337- 11341を参照されたい。
【0177】
例えば、抗原(例えば、上掲)に特異的に結合する抗体のさらなる融合タンパク質を、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エクソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(集合的に「DNAシャッフリング」と呼ぶ)の技術を介して作製することができる。DNAシャッフリングを用いて、本発明の抗体またはそのフラグメントの活性を変化させることができる(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する抗体またはそのフラグメント)。一般的には、米国特許第5,605,793号; 第5,811,238号; 第5,830,721号; 第5,834,252号; および第5,837,458号、ならびにPattenら、1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33; Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16(2): 76-82; Hanssonら、1999, J. Mol. Biol. 287:265-76; ならびにLorenzoおよびBlasco, 1998, Biotechniques 24(2): 308- 313を参照されたい。抗体もしくはそのフラグメント、またはコードされた抗体もしくはそのフラグメントを、組換えの前に変異性PCR、無作為ヌクレオチド挿入または他の方法による無作為突然変異誘発にかけることにより変化させることができる。抗原に特異的に結合する、抗体もしくは抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドの1つ以上の部分を、1種以上の異種分子の1つ以上の成分、モチーフ、断片、部分、ドメイン、フラグメントなどと組み換えることができる。
【0178】
さらに、抗体またはそのフラグメントを、ペプチドなどのマーカー配列に融合させて、精製を容易にすることができる。特定の実施形態においては、マーカーアミノ酸配列は、特に、pQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)中に提供されたタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり、その多くは市販されている。例えば、Gentzら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載のように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質の都合の良い精製を提供する。精製にとって有用な他のペプチドタグとしては、限定されるものではないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質から誘導されたエピトープに対応するヘマグルチニンタンパク質「HA」タグ(Wilsonら、1984, Cell 37:767)および「flag」タグが挙げられる。
【0179】
他の実施形態においては、本発明のFc変異体またはその類似体もしくは誘導体を、診断剤または検出剤にコンジュゲートさせる。そのような抗体は、特定の治療の効力を決定するなどの臨床試験手順の一部として癌の発達もしくは進行をモニターまたは予知するのに有用であり得る。そのような診断および検出を、限定されるものではないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、もしくはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;限定されるものではないが、ストレプトアビジンおよびアビジン/ビオチンなどの補欠分子族;限定されるものではないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルもしくはフィコエリトリンなどの蛍光物質;限定されるものではないが、ルミトールなどの発光物質;限定されるものではないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなどの生物発光物質;限定されるものではないが、ヨウ素(131I, 125I, 123I, 121I,)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In, 113In, 112In, 111In,)、およびテクネチウム(99Tc)、タリウム (201Ti)、ガリウム (68Ga, 67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン (99Mo)、キセノン (133Xe)、フッ素 (18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142 Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Tinなどの放射性物質;種々の陽電子放出断層撮影に用いる陽電子放出金属、非放射性常磁性金属イオン、ならびに放射標識されたか、もしくは特定の放射性アイソトープにコンジュゲートされた分子などの検出可能な物質に前記抗体をカップリングさせることにより達成することができる。
【0180】
本発明はさらに、治療剤にコンジュゲートされた本発明のFc変異体またはそのフラグメントの使用を包含する。
【0181】
抗体またはそのフラグメントを、細胞毒素、例えば、静菌剤もしくは殺菌剤などの治療的部分、治療剤または放射性金属イオン、例えば、α放射体にコンジュゲートさせることができる。細胞毒素または細胞傷害剤としては、細胞に対して有害である任意の薬剤が挙げられる。その例としては、リボヌクレアーゼ、モノメチルラウリスタチンEおよびF、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルチシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシナトラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、エピルビシン、ならびにシクロホスファミドおよびその類似体もしくは相同体が挙げられる。治療剤としては、限定されるものではないが、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに分裂抑制剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられる。治療的部分のより広範囲の一覧を、PCT公開WO 03/075957に見出すことができる。
【0182】
さらに、抗体またはそのフラグメントを、所与の生物応答を改変する治療剤または薬剤部分にコンジュゲートさせることができる。治療剤または薬剤部分は、古典的な化学的治療剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬剤部分は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってよい。そのようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、オンコナーゼ(もしくは別の細胞傷害性RNase)、シュードモナス外毒素、コレラ毒素、もしくはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲン活性化因子、アポトーシス剤、たとえば、TNF-α、TNF-β、AIM I(国際特許出願公開WO 97/33899を参照)、AIM II(国際特許出願公開WO 97/34911を参照)、Fasリガンド(Takahashiら、1994, J. Immunol. 6:1567)、およびVEGI(国際特許出願公開WO 99/23105)、血栓剤もしくは抗血管新生剤、例えば、アンギオスタチンもしくはエンドスタチンなどのタンパク質;または、例えば、リンホカイン(例えば、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」))、もしくは増殖因子(例えば、増殖ホルモン(「GH」)などの生物応答改変剤が挙げられる。
【0183】
さらに、抗体を、放射性金属イオンをコンジュゲートさせるのに有用な放射性物質または大環状キレーターなどの治療部分にコンジュゲートさせることができる(放射性物質の例については上記を参照)。特定の実施形態においては、大環状キレーターは、リンカー分子を介して抗体に結合させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’-四酢酸(DOTA)である。そのようなリンカー分子は当業界で一般的に知られており、Denardoら、1998, Clin Cancer Res. 4:2483; Petersonら、1999, Bioconjug. Chem. 10:553; およびZimmermanら、1999, Nucl. Med. Biol. 26:943に記載されている。
【0184】
抗体に治療部分をコンジュゲートさせる技術はよく知られている。限定されるものではないが、アルデヒド/シッフ結合、スルフヒドリル結合、酸に不安定な結合、シス-アコニチル結合、ヒドラゾン結合、酵素分解性結合などの当業界で任意の方法により、部分を抗体にコンジュゲートさせることができる(一般的には、Garnett, 2002, Adv Drug Deliv Rev 53:171を参照されたい)。治療剤を抗体にコンジュゲートさせる技術はよく知られており、例えば、Arnonら、「癌治療における薬剤の免疫標的化のためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeldら(編), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstromら、「薬剤送達のための抗体(Antibodies For Drug Delivery)」、Controlled Drug Delivery (第2版), Robinsonら(編), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, 「癌治療における細胞傷害剤の抗体担体:概説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」、Monoclonal Antibodies ‘84: Biological And Clinical Applications, Pincheraら(編), pp. 475-506 (1985); 「癌治療における放射標識抗体の治療的使用の分析、結果、および将来の展望(Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy)」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwinら(編), pp. 303-16 (Academic Press 1985)、ならびにThorpeら、1982, Immunol. Rev. 62:119を参照されたい。
【0185】
ポリペプチド部分に抗体を融合またはコンジュゲートさせる方法は、当業界で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号; 第5,622,929号; 第5,359,046号; 第5,349,053号; 第5,447,851号、および第5,112,946号; EP 307,434; EP 367,166; PCT公開WO 96/04388 and WO 91/06570; Ashkenaziら、1991, PNAS USA 88:10535; Zhengら、1995, J 1mmunol 154:5590;ならびにVilら、1992, PNAS USA 89:11337を参照されたい。部分への抗体の融合は直接的なものである必要はないが、リンカー配列を介して生じてもよい。そのようなリンカー分子は当業界で一般的に知られており、Denardoら、1998, Clin Cancer Res 4:2483; Petersonら、1999, Bioconjug Chem 10:553; Zimmermanら、1999, Nucl Med Biol 26:943; Garnett, 2002, Adv Drug Deliv Rev 53:171に記載されている。
【0186】
あるいは、抗体を、第2の抗体にコンジュゲートさせて、Segalらの米国特許第4,676,980号に記載の抗体ヘテロコンジュゲートを形成させることができる。
【0187】
抗体を、標的抗原の免疫アッセイまたは精製にとって特に有用である固相支持体に結合させることもできる。そのような固相支持体としては、限定されるものではないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0188】
本発明のFc変異体にコンジュゲートさせた治療部分または薬剤を、被験体における特定の傷害に対して所望の予防または治療効果を達成するように選択するべきである。医師または他の医療関係者は、どの治療部分もしくは薬剤を本発明のFc変異体にコンジュゲートさせるかを決定する場合に、以下のこと:疾患の性質、疾患の重篤度、および被験体の症状を考慮すべきである。
【0189】
5.1.3 抗体を作製する方法
本発明の抗体(すなわち、本発明の改変されたヒンジを組込む抗体)を、抗体の合成のための当業界で公知の任意の方法、特に、化学的合成または組換え発現技術により製造することができる。
【0190】
特定の抗原を認識するポリクローナル抗体を、当業界でよく知られた種々の手順により製造することができる。例えば、抗原またはその免疫原性断片を、限定されるものではないが、ウサギ、マウス、ラットなどの種々の宿主動物に投与して、抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導することができる。限定されるものではないが、Freundの(完全および不完全)アジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールなどの界面活性物質、ならびにBCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルウム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントなどの種々のアジュバントを用いて、宿主の種に応じて、免疫学的応答を増加させることができる。そのようなアジュバントも当業界でよく知られている。
【0191】
モノクローナル抗体を、ハイブリドーマ、組換え、およびファージ展示技術、またはその組合せの使用などの当業界で公知の様々な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体を、当業界で公知であり、例えば、Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988); Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981)に教示されたものなどのハイブリドーマ技術を用いて製造することができる。本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を介して製造された抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核、原核、またはファージクローンなどの単一のクローンから誘導された抗体を指し、それを製造する方法を指すわけではない。
【0192】
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を製造およびスクリーニングする方法は、日常的であり、当業界でよく知られている。簡単に述べると、マウスを抗原またはその免疫原性断片を用いて免疫し、一度、免疫応答が検出されたら、例えば、投与された抗原に対して特異的な抗体がマウス血清中で検出されたら、マウスの脾臓を収穫し、脾臓細胞を単離する。次いで、脾臓細胞をよく知られた技術により任意の好適な骨髄腫細胞、例えば、ATCCから入手可能な細胞系SP20に由来する細胞に融合させる。さらに、RIMMS(反復免疫、複数部位)技術を用いて、動物を免疫することができる(Kilpatrickら、1997, Hybridoma 16:381-9)。ハイブリドーマを、限界希釈法により選択およびクローニングする。次いで、ハイブリドーマクローンを、本発明のポリペプチドに結合することができる抗体を分泌する細胞について、当業界で公知の方法によりアッセイする。一般的に高レベルの抗体を含む腹水を、陽性のハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫することにより生成させることができる。
【0193】
従って、モノクローナル抗体を、抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することにより作製することができるが、このハイブリドーマを、抗原またはその免疫原性断片を用いて免疫したマウスから単離した脾臓細胞を、骨髄腫細胞と融合した後、投与された抗原に結合することができる抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて、融合物から得られるハイブリドーマをスクリーニングすることにより作製することができる。
【0194】
本発明の抗体(すなわち、Fc変異体)は、そのヒンジ領域中に新規アミノ酸残基を含む。Fc変異体を、当業者にはよく知られた多くの方法により作製することができる。その非限定例としては、抗体コード領域を単離すること(例えば、ハイブリドーマから)および単離された抗体コード領域中に1個以上の本発明のヒンジ改変を導入することが挙げられる。あるいは、可変領域を、本発明の改変されたヒンジを含むFc領域をコードするベクター中にサブクローニングすることができる。さらなる方法および詳細を以下に提供する。
【0195】
抗原を特異的に認識する抗体フラグメントを、当業者には公知の任意の技術により作製することができる。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2フラグメントを、パパイン(Fabフラグメントを製造するため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを製造するため)などの酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質溶解的切断により製造することができる。F(ab’)2フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。さらに、本発明の抗体を、当業界で公知の様々なファージ展示法を用いて作製することもできる。
【0196】
ファージ展示法においては、機能的抗体ドメインを、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上に展示させる。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列を、動物のcDNAライブラリー(例えば、リンパ球組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅させる。VHおよびVLドメインをコードするDNAを、PCRによりscFvリンカーを用いて一緒に組換えて、ファージミドベクター(例えば、pCANTAB6またはpComb 3 HSS)中にクローニングする。このベクターを大腸菌中にエレクトロポレーションし、その大腸菌をヘルパーファージに感染させる。これらの方法において用いられるファージは、典型的にはfdおよびM13などの繊維性ファージであり、通常はVHおよびVLドメインをファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIに組換え的に融合する。目的の抗原エピトープに結合する抗原結合ドメインを発現するファージを、例えば、標識された抗原または固相表面もしくはビーズに結合したか、もしくは捕捉された抗原を用いて、抗原を用いて選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するのに用いることができるファージ展示法の例としては、Brinkmanら、1995, J. Immunol. Methods 182:41-50; Ames ら、1995, J. Immunol. Methods 184:177-186; Kettleborough ら、1994, Eur. J. Immunol. 24:952-958; Persicら、1997, Gene 187:9-18; Burtonら、1994, Advances in Immunology 57:191-280; PCT公開WO 90/02809、WO 91/10737、WO 92/01047、WO 92/18619、WO 93/11236、 WO 95/15982、WO 95/20401、およびWO97/13844;ならびに米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号および第5,969,108号に開示されたものが挙げられる。
【0197】
上記参考文献に記載のように、ファージ選択の後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、ヒト抗体などの全抗体、または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを作製するために使用し、例えば、以下に記載のような哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌などの任意の所望の宿主において発現させることができる。Fab、Fab’およびF(ab’)2フラグメントを組換え生産するための技術を、国際特許出願公開WO 92/22324; Mullinaxら、1992, BioTechniques 12(6): 864-869; Sawaiら、1995, AJRI 34:26-34;およびBetterら、1988, Science 240:1041-1043に開示されたものなどの当業界で公知の方法を用いて使用することもできる。
【0198】
全抗体を作製するために、VHもしくはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者には公知のクローニング技術を用いて、PCR増幅されたVHドメインを、VH定常領域、例えば、ヒトγ定常領域を発現するベクター中にクローニングし、PCR増幅されたVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトκまたはλ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。この定常領域は本発明の改変されたヒンジを含むことが意図される。特定の実施形態においては、VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、プロモーター、分泌シグナル、可変および定常ドメインの両方のためのクローニング部位、ならびにネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHおよびVLドメインを、所望の定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞系に同時トランスフェクトして、当業者には公知の技術を用いて、完全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な、または一過的な細胞系を作製する。
【0199】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。キメラ抗体を製造する方法は当業界で公知である。例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202; Oiら、1986, BioTechniques 4:214; Gilliesら、1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;ならびに米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、第4,8 16397号、および第6,311,415号を参照されたい。
【0200】
ヒトにおける抗体のin vivoでの使用およびin vitro検出アッセイなどのいくつかの使用のためには、ヒトまたはキメラ抗体を用いるのが好ましい。完全なヒト抗体は、ヒト被験者の治療的処理にとって特に望ましい。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン配列から誘導された抗体ライブラリーを用いて、上記のファージ展示法などの当業界で公知の様々な方法により作製することができる。米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびにPCT公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741も参照されたい。
【0201】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域および実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRを含む抗体またはその変異体もしくはフラグメントである。ヒト化抗体は、全て、もしくは実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のものに一致し、全て、もしくは実質的に全てのフレームワーク領域がヒト免疫グロブリン共通配列のものである、実質的に全ての少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、Fv)を含む。特定の実施形態においては、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものも含む。通常、前記抗体は軽鎖ならびに少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含むであろう。この抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含んでもよい。ヒト化抗体を、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEなどの任意のクラスの免疫グロブリン、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などの任意のアイソタイプから選択することができる。通常、前記定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示すのが望ましい場合、補体結合性定常ドメインであり、そのクラスは典型的にはIgGのサブクラス1である。そのような細胞傷害活性が望ましくない場合、前記定常ドメインはIgGサブクラス2のものであってよい。ヒト化抗体は、2個以上のクラスまたはアイソタイプに由来する配列を含み、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは当業者の技術の範囲内にある。ヒト化抗体のフレームワーク領域およびCDR領域は、親配列に正確に一致する必要はなく、例えば、ドナーのCDRまたは共通フレームワークを、少なくとも1個の残基の置換、挿入または欠失により突然変異させて、その部位でのCDRまたはフレームワーク残基が共通または輸入抗体に一致しないようにすることができる。しかしながら、そのような突然変異は広範囲ではないであろう。通常、少なくとも75%、より頻繁には90%、または95%を超えるヒト化抗体残基が、親フレームワーク領域(FR)およびCDR配列のものと一致するであろう。ヒト化抗体を、限定されるものではないが、CDR移植(欧州特許第EP 239,400号; 国際特許出願公開WO 91/09967;ならびに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)もしくは再表面化(resurfacing) (欧州特許第EP 592,106号および第EP 519,596号; Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5): 489-498; Studnickaら、1994, Protein Engineering 7(6): 805-814;およびRoguskaら、1994, PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに、例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、WO 9317105、Tanら、J. Immunol. 169:1119-25 (2002)、Caldasら、Protein Eng. 13(5): 353-60 (2000)、Moreaら、Methods 20(3): 267-79 (2000)、Bacaら、J. Biol. Chem. 272(16): 10678-84 (1997)、Roguskaら、Protein Eng. 9(10): 895-904 (1996)、Coutoら、Cancer Res. 55 (23 Supp): 5973s-5977s (1995)、Coutoら、Cancer Res. 55(8): 1717-22 (1995)、Sandhu JS, Gene 150(2): 409-10 (1994)、およびPedersenら、J. Mol. Biol. 235(3): 959-73 (1994)に開示された技術などの当業界で公知の様々な技術を用いて製造することができる。しばしば、フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させる、好ましくは改善するために、CDRドナー抗体に由来する対応する残基と置換されるであろう。これらのフレームワーク置換を、例えば、CDRとフレームワーク残基の相互作用をモデリングして、抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定すること、および特定の位置の通常ではないフレームワーク残基を同定するための配列比較によるなど、当業界でよく知られた方法により同定する(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、1988, Nature 332:323を参照されたい)。
【0202】
また、ヒト抗体を、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することはできるトランスジェニックマウスを用いて製造することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、マウス胚性幹細胞に無作為に、または相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域を、マウス胚性幹細胞に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、別々に、または相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と同時に非機能的にすることができる。特に、JH領域の同型欠失は、内因性抗体産生を阻害する。改変された胚性幹細胞を増殖させ、線維芽細胞中にマイクロインジェクトして、キメラマウスを作製する。次いで、キメラマウスを育種して、ヒト抗体を発現する同型子孫を作製する。トランスジェニックマウスを、選択された抗原またはその免疫原性断片を用いて、通常の様式で免疫する。前記抗原に対するモノクローナル抗体を、従来のハイブリドーマ技術を用いて、免疫されたトランスジェニックマウスから取得することができる。このトランスジェニックマウスにより担持されたヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞分化の間に再配列した後、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。かくして、そのような技術を用いて、治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を製造することができる。ヒト抗体を製造するためのこの技術の総論については、LonbergおよびHuszar(1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を製造するためのこの技術の詳細な考察およびそのような抗体を製造するためのプロトコルについては、例えば、国際特許出願公開WO 98/24893、WO 96/34096、およびWO 96/33735; ならびに米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318、および第5,939,598号を参照されたい。さらに、Abgenix, Inc. (Freemont, CA)、Genpharm
(San Jose, CA)およびMedarex (Princeton, NJ)などの会社に、上記のものと同様の技術を用いて、選択された抗原に対するヒト抗体を提供するように従事してもらうことができる。
【0203】
さらに、同様に、本発明の抗体を用いて、当業者にはよく知られた技術を用いて受容体を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製することができる(例えば、Greenspan & Bona, 1989, FASEB J. 7(5): 437-444;およびNissinoff, 1991, J. Immunol. 147(8): 2429-2438を参照されたい)。例えば、受容体に結合し、受容体のそのリガンドへの結合を競合的に阻害する本発明の抗体(当業界でよく知られたアッセイにより測定され、上記に開示されるように)を用いて、該リガンドを「模倣」し、結果として、該受容体および/またはそのリガンドに結合し、これを中和する抗イディオタイプを作製することができる。そのような中和抗イディオタイプまたはそのような抗イディオタイプのFabフラグメントを治療計画において用いて、リガンドおよび/またはその受容体を中和することができる。本発明は、本発明の抗体またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの使用を用いる方法を提供する。
【0204】
一実施形態においては、抗原に特異的に結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を取得し、本発明のFc変異体を作製する。このヌクレオチド配列を、ハイブリドーマクローンDNAを配列決定することから取得することができる。特定の抗体またはそのエピトープ結合フラグメントをコードする核酸を含むクローンが入手可能ではないが、その抗体分子またはエピトープ結合フラグメントの配列が公知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸を、化学的に合成するか、または該配列の3’および5’末端にハイブリダイズする合成プライマーを用いるPCR増幅によるか、もしくは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いてクローニングし、例えば、前記抗体をコードするcDNAライブラリーからcDNAクローンを同定することにより、好適な起源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または該抗体を発現する任意の組織もしくは細胞、例えば、抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞から単離された核酸、好ましくはポリA+RNAから作製されたcDNAライブラリー)から取得することができる。次いで、PCRにより生成された増幅した核酸を、当業界でよく知られた任意の方法を用いて、複製可能なクローニングベクター中にクローニングすることができる。
【0205】
前記抗体のヌクレオチド配列が決定されたら、該抗体のヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列の操作に関して当業界でよく知られた方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubelら(編)、John Wiley & Sons (Chichester, England, 1998); Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版、J. Sambrookら(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY, 2001); Antibodies: A Laboratory Manual, E. HarlowおよびD. Lane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY, 1988);ならびにUsing Antibodies: A Laboratory Manual, E. HarlowおよびD. Lane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory (Cold Spring Harbor, NY, 1999)を参照されたい)を用いて操作して、例えば、該抗体の所望の領域に欠失、および/または挿入を導入することにより、異なるアミノ酸配列を有する抗体を作製することができる。
【0206】
一実施形態においては、本発明の1個以上のヒンジ改変を、抗原に特異的に結合することができる抗体のヒンジ内に作製する。このヒンジ改変は少なくとも1個のFcリガンド(例えば、FcγRおよび/またはC1q)への結合を改変し、ADCCおよび/またはCDC機能を変化させることが特に意図される。
【0207】
特定の実施形態においては、1個以上のCDRを、日常的な組換えDNA技術を用いて、フレームワーク領域内に挿入する。このフレームワーク領域は、天然のものでもよく、または限定されるものではないが、ヒトフレームワーク領域などの共通フレームワーク領域であってもよい(例えば、ヒトフレームワーク領域の一覧については、Chothiaら、1998, J. Mol. Biol. 278: 457-479を参照されたい)。該フレームワーク領域とCDRの組合せにより作製されたポリヌクレオチドは、抗原に特異的に結合する抗体をコードすることが意図される。一実施形態においては、上記で考察したように、1個以上のアミノ酸置換を前記フレームワーク領域内に作製し、特定の実施形態においては、そのアミノ酸置換は該抗体のその抗原への結合を改善する。さらに、そのような方法を用いて、鎖内ジスルフィド結合に関与する1個以上の可変領域のシステイン残基のアミノ酸置換または欠失を作製して、1個以上の鎖内ジスルフィド結合を欠く抗体分子を作製することができる。前記ポリヌクレオチドに対する他の変更も本発明により包含され、当業者の技術の範囲内にある。
【0208】
そのようなスクリーニング方法から同定された抗体のヒンジを上記のように改変して、本発明の改変されたヒンジを組込む抗体を作製することができる。新規に同定された抗体のFc変異体は、限定されるものではないが、炎症性疾患、自己免疫疾患、骨代謝関連障害、血管新生関連障害、感染、および癌などの疾患、障害、感染の予防、管理および治療にとって有用であることがさらに意図される。そのような抗体を、本発明の方法および組成物において用いることができる。
【0209】
5.2 ヒンジ改変を含む融合タンパク質
Fc融合タンパク質は、免疫グロブリンのFc領域またはそのフラグメントと、一般的には、任意のタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、または小分子であってよい融合パートナーとを組み合わせたものである。Fc融合タンパク質の非Fc部分、すなわち、融合パートナーの役割は、常にではないが標的結合を媒介することが多く、従って抗体の可変領域と機能的に類似している。従って、本発明は、分子(例えば、細胞表面受容体、ケモカインなど)および本発明のヒンジ改変を組込むFc領域に特異的に結合するポリペプチドを含むFc変異体を包含する。特定の実施形態においては、Fc変異体は、1個以上の上記抗原に特異的に結合し、および/またはそれを組込む(上記の「本発明の抗体」という表題の節を参照)。他の実施形態においては、Fc変異体は1個以上の上記分子に特異的に結合し、および/またはそれを組込む(上記の「本発明の特異的抗原および融合パートナー」という表題の節を参照)。
【0210】
一実施形態においては、分子に特異的に結合するFc変異体は、例えば、Fc領域に融合された分子に特異的に結合するリガンド、受容体またはその断片を含んでもよい。前記融合タンパク質のFc領域が上記のような本発明の改変されたヒンジを含むことが特に意図される。
【0211】
別の実施形態においては、分子に特異的に結合するFc変異体は、少なくとも1個の本発明のヒンジ改変を組込むFc領域に融合された生物活性分子を含む。これらの実施形態に従えば、この生物活性分子は、分子に特異的に結合する。少なくとも1個の本発明のヒンジ改変を組込むFc領域に融合することができる生物活性分子としては、限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、小分子、模倣物質、合成薬剤、無機分子、および有機分子が挙げられる。一実施形態においては、生物活性分子は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個または少なくとも100個の連続するアミノ酸残基を含み、少なくとも1個の本発明のヒンジ改変を組込むFc領域のアミノ酸配列に対して異種性であるポリペプチドである。
【0212】
本発明はまた、ポリペプチドと、精製を容易にするために、限定されるものではないが、ペプチドなどのマーカー配列に融合された、分子に特異的に結合する少なくとも1個の本発明のヒンジ改変を組込むFc領域とを含むFc変異体をも包含する。他の実施形態においては、このマーカーアミノ酸配列は、特に、多くが市販されているpQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)中で提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドである。精製にとって有用な他のペプチドタグとしては、限定されるものではないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質から誘導されたエピトープに対応するヘマグルチニン「HA」タグ(Wilsonら、1984, Cell 37:767)および「flag」タグが挙げられる。
【0213】
本発明はさらに、ポリペプチドと、例えば、静菌剤もしくは殺菌剤などの細胞毒素、潜在的な治療的利益を有する薬剤、または、例えば、α-放出剤などの放射性金属イオンなどの治療的部分にさらにコンジュゲートされた分子に特異的に結合する少なくとも1個の本発明の改変されたヒンジを組込むFc領域とを含むFc変異体を包含する。細胞毒素または細胞傷害性薬剤としては、細胞に対して有害である任意の薬剤が挙げられる。治療的部分および細胞毒素または細胞傷害性薬剤の例は上記に列挙されている(上記の「抗体コンジュゲートおよび誘導体」という表題の節を参照されたい)。
【0214】
本明細書で定義され、記載された種々のリンカーを用いて、Fc領域を融合パートナーに共有結合させ、Fc融合タンパク質を作製することができる。あるいは、ポリペプチド、タンパク質および融合タンパク質を、標準的な組換えDNA技術またはタンパク質合成技術、例えば、ペプチド合成装置の使用により製造することができる。例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または融合タンパク質をコードする核酸分子を、自動化DNA合成装置などの従来の技術により合成することができる。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅を、2個の連続した遺伝子断片間に相補的な突出部を生じるアンカープライマーを用いて行った後、これをアニーリングさせ、再増幅させて、キメラ遺伝子配列を作製することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら(編)、John Wiley & Sons, 1992を参照)。さらに、生物活性分子をコードする核酸を、該生物活性分子がヒンジ改変を組込むFc領域に読み枠を合わせて連結されるように、ヒンジ改変を組込むFc領域またはその断片を含む発現ベクター中にクローニングすることができる。
【0215】
ポリペプチドを、抗体の定常領域に融合するか、またはコンジュゲートさせる方法は、当業界で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、第5,723,125号、第5,783,181号、第5,908,626号、第5,844,095号、および第5,112,946号; EP 307,434; EP 367,166; EP 394,827; 国際特許出願公開WO 91/06570、WO 96/04388、WO 96/22024、WO 97/34631、およびWO 99/04813; Ashkenaziら、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539; Trauneckerら、1988, Nature, 331:84-86; Zhengら、1995, J. Immunol. 154:5590-5600; ならびにVilら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337-11341を参照されたい。
【0216】
生物活性分子およびFcドメインまたはその断片をコードするヌクレオチド配列を、当業者にとって利用可能な任意の情報から取得することができる(すなわち、Genbank、文献から、または日常的なクローニングにより)。インテグリンリガンドをコードするヌクレオチド配列を、例えば、GenBank、文献から、または日常的なクローニングによるなど、任意の利用可能な情報から取得することができる。例えば、Xiongら、Science, 12; 294(5541): 339-45 (2001)を参照されたい。Fc領域またはその断片は、天然のドメインであってもよく、または限定されるものではないが、本明細書に記載のものなどの改変されたヒンジを含んでもよい。天然のFc領域を用いる事象においては、ヒンジ領域を、限定されるものではないが、本明細書に開示されるものなどの当業界で公知の方法を用いて改変して、本発明のFc変異体を作製する。融合タンパク質のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、好適な発現ベクター、すなわち、挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳のための必要なエレメントを含むベクターに挿入することができる。種々の宿主-ベクター系を本発明において用いて、タンパク質コード配列を発現させることができる。これらのものとしては、限定されるものではないが、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)に感染させた哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;酵母ベクターを含む酵母などの微生物;またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換された細菌が挙げられる。ベクターの発現エレメントは、その長さおよび特異性において変化する。用いる宿主-ベクター系に応じて、いくつかの好適な転写および翻訳エレメントのうちのいずれか1つを用いることができる。
【0217】
5.3 Fc変異体の組換え発現
Fc変異体、その誘導体、類似体または断片(例えば、本発明の抗体もしくは融合タンパク質)の組換え発現には、Fc変異体(例えば、抗体、または融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築が必要である。一度、Fc変異体(例えば、抗体、または融合タンパク質)をコードするポリヌクレオチドが得られたら、該Fc変異体(例えば、抗体、または融合タンパク質)の製造のためのベクターを、当業界でよく知られた技術を用いる組換えDNA技術により作製することができる。かくして、Fc変異体(例えば、抗体、または融合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製する方法が本明細書に記載される。当業者にはよく知られる方法を用いて、Fc変異体(例えば、抗体、または融合タンパク質)をコードする配列ならびに好適な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが挙げられる。かくして、本発明は、プロモーターに機能し得る形で連結された、本発明のFc変異体をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域(例えば、国際特許出願公開WO 86/05807; 国際特許出願公開WO 89/01036; および米国特許第5,122,464号)および該抗体の可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んでもよく、またはFc変異体を作製するためのポリペプチドを、完全長抗体鎖(例えば、重鎖もしくは軽鎖)、もしくは非抗体由来ポリペプチドと、少なくとも1個の本発明のヒンジ改変を組込むFc領域との融合物を含む完全なFc変異体の発現のためにそのようなベクター中にクローニングすることができる。
【0218】
前記発現ベクターを、従来の技術により宿主細胞に移した後、トランスフェクトされた細胞を従来の技術により培養して、本発明のFc変異体を製造することができる。かくして、本発明は、異種プロモーターに機能し得る形で連結された、本発明のFc変異体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二本鎖抗体を含むFc変異体の発現のための特定の実施形態においては、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターを、以下に詳述するように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞中で同時発現させることができる。
【0219】
種々の宿主発現ベクター系を用いて、本発明のFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質分子)を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照)。そのような宿主発現系は、目的のコード配列を産生し、続いて精製することができるビヒクルであるが、好適なヌクレオチドコード配列を用いて形質転換またはトランスフェクトした場合、in situで本発明のFc変異体を発現することができる細胞でもある。これらのものとしては、限定されるものではないが、Fc変異体をコードする配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)などの微生物;Fc変異体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス・ピチア(Saccharomyces Pichia));Fc変異体をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;Fc変異体をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させたか、もしくはそれを含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を担持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が挙げられる。特定の実施形態においては、大腸菌などの細菌細胞、または真核細胞を、組換え抗体または融合タンパク質分子であるFc変異体の発現に用いる。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要極初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと組み合わせた、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗体にとって有効な発現系である(Foeckingら、1986, Gene 45:101; およびCockettら、1990, Bio/Technology 8:2)。特定の実施形態においては
、本発明のFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列の発現を、構成的プロモーター、誘導的プロモーターまたは組織特異的プロモーターにより調節する。
【0220】
細菌系においては、いくつかの発現ベクターを、発現させるFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)の意図される使用に応じて有利に選択することができる。例えば、大量のそのようなタンパク質を産生させる場合、Fc変異体の医薬組成物の生成のためには、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指令するベクターが望ましい。そのようなベクターとしては、限定されるものではないが、Fc変異体をコードする配列を、lac Z-融合タンパク質が産生されるように、lac Zコード領域と読み枠を合わせてベクター中に個々に連結することができる大腸菌発現ベクターpUR278 (Rutherら、1983, EMBO 12:1791);pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが挙げられる。また、pGEXベクターを用いて、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般的には、そのようなタンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースへの吸着および結合、次いで遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製することができる。クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から放出することができるように、pGEXベクターを、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計する。
【0221】
昆虫系においては、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多面体ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、外来遺伝子を発現させる。このウイルスは、ヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。Fc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードする配列を、前記ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)中に個々にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0222】
哺乳動物宿主細胞においては、いくつかのウイルスに基づく発現系を用いることができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、目的のFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードする配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三者リーダー配列に連結することができる。次いで、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivoでの組換えにより、アデノウイルスゲノム中に挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入は、感染させた宿主中で生存可能であり、Fc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)を発現することができる組換えウイルスをもたらすであろう(例えば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 1:355-359を参照)。特定の開始シグナルも、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳にとって必要であり得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接する配列を含む。さらに、前記開始コドンを、所望のコード配列の読み枠と同調させて、挿入物全体の翻訳を確実にしなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の、様々な起源のものであってよい。発現の効率を、好適な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの含有により増強することができる(例えば、Bittnerら、1987, Methods in Enzymol. 153: 516-544を参照)。
【0223】
Fc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)の発現を、当業界で公知の任意のプロモーターおよびエンハンサーエレメントにより制御することができる。Fc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードする遺伝子の発現を制御するのに用いることができるプロモーターとしては、限定されるものではないが、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら、1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982, Nature 296:39-42)、テトラサイクリン(Tet)プロモーター(Gossenら、1995, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 89:5547-5551);β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核発現ベクター(Villa-Kamaroffら、1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731)、もしくはtacプロモーター(DeBoerら、1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25; また、「組換え細菌に由来する有用タンパク質(Useful proteins from recombinant bacteria)」、Scientific American, 1980, 242:74-94も参照);ノパリン合成酵素プロモーター領域を含む植物発現ベクター(Herrera-Estrellaら、Nature 303:209-213)もしくはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、1981, Nucl. Acids Res. 9:2871)、および光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、1984, Nature 310:115-120);Gal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母もしくは他の菌類由来のプロモーターエレメント、ならびに組織特異性を示し、トランスジェニック動物において用いられてきた以下の動物転写制御領域:膵臓腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984, Cell 38:639-646; Ornitzら、1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409; MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-515);膵臓β細胞において活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122)、リンパ球細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984, Cell 38:647-658; Adamesら、1985, Nature 318:533-538; Alexanderら、1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436-1444)、精巣細胞、乳腺細胞、リンパ球細胞および脂肪細胞において活性であるマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Lederら、1986, Cell 45:485-495)、肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987, Genes and Devel. 1:268-276)、肝臓において活性であるα-フェトタンパク質遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648; Hammerら、1987, Science 235:53-58);肝臓において活性であるα1-抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987, Genes and Devel. 1:161-171)、骨髄細胞において活性であるβ-グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985, Nature 315:338-340; Kolliasら、1986, Cell 46:89-94);脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987, Cell 48:703-712);骨格筋において活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314:283-286);神経細胞において活性であるニューロン特異的エノラーゼ(NSE)(Morelliら、1999, Gen. Virol. 80:571-83);神経細胞において活性である脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子制御領域(Tabuchiら、1998, Biochem. Biophysic. Res. Com. 253:818-823);アストロサイトにおいて活性であるグリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Gomesら、1999, Braz J Med Biol Res 32(5): 619-631; Morelliら、1999, Gen. Virol. 80:571-83)および視床下部において活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、1986, Science 234:1372-1378)が挙げられる。
【0224】
本発明のFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードする遺伝子の挿入物を含む発現ベクターを、3つの一般的な手法:(a)核酸ハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在もしくは非存在、および(c)挿入された配列の発現により同定することができる。第1の手法においては、発現ベクター中のペプチド、ポリペプチド、タンパク質または融合タンパク質をコードする遺伝子の存在を、それぞれ該ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または融合タンパク質をコードする挿入された遺伝子と相同である配列を含むプローブを用いる核酸ハイブリダイゼーションにより検出することができる。第2の手法においては、組換えベクター/宿主系を、該ベクターへの抗体または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の挿入により引き起こされる特定の「マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、形質転換の表現型、バキュロウイルスにおける封入体形成など)の存在または非存在に基づいて同定および選択することができる。例えば、Fc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列を、前記ベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入する場合、抗体または融合タンパク質をコードする遺伝子を含む組換え体を、該マーカー遺伝子機能の非存在により同定することができる。第3の手法においては、組換え発現ベクターを、組換え体により発現される遺伝子産物(例えば、抗体または融合タンパク質)をアッセイすることにより同定することができる。そのようなアッセイは、例えば、in vitroアッセイ系における前記融合タンパク質の物理的または機能的特性、例えば、抗生物活性分子抗体との結合に基づくものであってよい。
【0225】
さらに、挿入される配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を改変し、加工する宿主細胞株を選択することができる。特定のプロモーターからの発現を、特定の誘導因子の存在下で上昇させることができる;かくして、遺伝子操作された融合タンパク質の発現を制御することができる。さらに、異なる宿主細胞は、翻訳時および翻訳後のプロセッシングおよび改変(例えば、タンパク質の糖鎖付加、リン酸化)に関する特徴的で特異的な機構を有する。好適な細胞系または宿主系を選択して、発現される外来タンパク質の所望の改変およびプロセッシングを確実にすることができる。例えば、細菌系における発現は糖鎖付加されていない産物をもたらし、酵母における発現は糖鎖付加された産物をもたらすであろう。前記遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセッシング(例えば、糖鎖付加、およびリン酸化)のための細胞機構を有する真核宿主細胞を用いることができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、限定されるものではないが、CHO、VERY、BHK,Hala、COS、MDCK、293、3T3、WI38、NS0、および特に、例えば、SK-N-AS、SK-N-FI、SK-N-DZヒト神経芽細胞腫(Sugimotoら、1984, J. Natl. Cancer Inst. 73: 51-57)、SK-N-SHヒト神経芽細胞腫(Biochim. Biophys. Acta, 1982, 704: 450-460)、Daoyヒト小脳髄芽腫(Heら、1992, Cancer Res. 52: 1144-1148)、DBTRG-05MGグリア芽腫細胞(Kruseら、1992, In Vitro Cell. Dev. Biol. 28A: 609-614)、IMR-32ヒト神経芽細胞腫(Cancer Res., 1970, 30: 2110-2118)、1321N1ヒト星状細胞腫(Proc. Natl Acad. Sci. USA, 1977, 74: 4816)、MOG-G-CCMヒト星状細胞腫(Br. J. Cancer, 1984, 49: 269)、U87MGヒトグリア芽細胞腫-星状細胞腫(Acta Pathol. Microbiol. Scand., 1968, 74: 465-486)、A172ヒトグリア芽細胞腫(Olopadeら、1992, Cancer Res. 52: 2523-2529)、C6ラット神経膠腫細胞(Bendaら、1968, Science 161: 370-371)、ニューロ-2aマウス神経芽細胞腫(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1970, 65: 129-136)、NB41A3マウス神経芽細胞腫(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1962, 48: 1184-1190)、SCPヒツジ脈絡叢(Bolinら、1994, J. Virol. Methods 48: 211-221)、G355-5、PG-4ネコ正常アストロサイト(Haapalaら、1985, J. Virol. 53: 827-833)、Mpfフェレット脳(Trowbridgeら、1982, In Vitro 18: 952-960)などの神経細胞系、ならびに例えば、CRL7030およびHs578BstなどのCTX TNA2ラット正常大脳皮質(Radanyら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6467-6471)などの正常細胞系が挙げられる。さらに、様々なベクター/宿主発現系が、様々な程度でプロセッシング反応を行うことができる。
【0226】
組換えタンパク質の長期の高収率な産生のためには、安定な発現が好ましいことが多い。例えば、本発明のFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)を安定に発現する細胞系を操作することができる。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるよりもむしろ、宿主細胞を、好適な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、および選択マーカーにより制御されるDNAを用いて形質転換することができる。外来DNAの導入後、操作された細胞を富化された培地中で1〜2日間増殖させた後、選択用培地に切り替えることができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞は該プラスミドをその染色体に安定に取り込んで増殖して、フォーカスを形成し、次いで、これをクローニングし、細胞系中で増殖させることができる。この方法を有利に用いて、抗原に特異的に結合するFc変異体を発現する細胞系を操作することができる。そのような操作された細胞系は、抗原に特異的に結合するFc変異体(例えば、ポリペプチドまたは融合タンパク質)の活性に影響する化合物のスクリーニングおよび評価において特に有用であり得る。
【0227】
限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2026)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980, Cell 22:817)遺伝子などのいくつかの選択系を、それぞれtk-、hgprt-またはaprt-細胞中で用いることができる。また、代謝拮抗耐性を、メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:3567; O’Hareら、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Colberre-Garapinら、1981, J. Mol. Biol. 150:1);およびヒグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreら、1984, Gene 30:147)遺伝子の選択の基礎として用いることができる。
【0228】
一度、本発明のFc変異体(例えば、抗体、または融合タンパク質)を組換え発現により産生させたら、それをタンパク質の精製に関して当業界で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、特に、プロテインAの後の特異的抗原に対するアフィニティ、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的溶解性、またはタンパク質の精製に関する任意の他の標準的な技術により精製することができる。
【0229】
Fc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)の発現レベルを、ベクター増幅により増加させることができる(総論については、BebbingtonおよびHentschel、「DNAクローニングにおける哺乳動物細胞中でのクローニングされた遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用(The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning)」、Vol.3. (Academic Press, New York, 1987)を参照されたい)。例えば、抗体または融合タンパク質を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルの増加は、該マーカー遺伝子のコピー数を増加させるであろう。増幅された領域は前記抗体遺伝子と関連するため、該抗体または融合タンパク質の産生も増加するであろう(Crouseら、1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
【0230】
前記宿主細胞を、本発明の2つの発現ベクターを用いて同時トランスフェクトすることができる。例えば、第1のベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターは軽鎖由来ポリペプチドをコードする。この2個のベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする同一の選択マーカーを含んでもよい。あるいは、融合タンパク質または重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、それを発現することができる1個のベクターを用いることができる。該融合タンパク質または重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでもよい。
【0231】
5.4 特性評価および機能的アッセイ
本発明のFc変異体(例えば、抗体または融合タンパク質)を、様々な方法で特性評価することができる。特に、本発明のFc変異体を、リガンド(例えば、FcγRIIIA、FcγRIIB、C1q)に特異的に結合する能力についてアッセイすることができる。そのようなアッセイを、溶液中で(例えば、Houghten, Bio/Techniques, 13:412-421, 1992)、ビーズ上で(Lam, Nature, 354:82-84, 1991)、チップ上で(Fodor, Nature, 364:555-556, 1993)、細菌上で(米国特許第5,223,409号)、プラスミド上で(Cullら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:1865-1869, 1992)またはファージ上で(ScottおよびSmith, Science, 249:386-390, 1990; Devlin, Science, 249:404-406, 1990; Cwirlaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378-6382, 1990; およびFelici, J. Mol. Biol., 222:301-310, 1991)行うことができる。次いで、リガンド(例えば、FcγRIIIA、FcγRIIB、C1q)または抗原に特異的に結合する分子を同定して、該リガンドに対するそれらの親和性についてアッセイすることができる。
【0232】
本発明のFc変異体を、当業界で公知の任意の方法により、抗原(例えば、癌抗原)またはリガンド(例えば、FcγR)などの分子に対する特異的結合および他の抗原との交差反応性についてアッセイすることができる。特異的結合および交差反応性を分析するのに用いることができる免疫アッセイとしては、限定されるものではないが、ほんの数例を挙げれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイなどの競合的および非競合的アッセイ系が挙げられる。そのようなアッセイは日常的であり、当業界でよく知られている(例えば、Ausubelら(編)、1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New York)。
【0233】
本発明のFc変異体の、抗原またはリガンド(例えば、FcγR)などの分子への結合親和性および相互作用の解離速度を、競合的結合アッセイにより測定することができる。競合的結合アッセイの1例は、FcγRなどの、増加する量の未標識のリガンドの存在下での、FcγRなどの標識されたリガンド(例えば、3Hもしくは125I)と、目的の分子(例えば、本発明のFc変異体)とのインキュベーション、および標識されたリガンドに結合した分子の検出を含むラジオイムノアッセイである。リガンドに対する本発明の分子の親和性および結合解離速度を、scatchard分析により飽和データから決定することができる。
【0234】
Fc変異体の動的パラメーターを、当業界で公知の任意の表面プラスモン共鳴(SPR)に基づくアッセイ(例えば、BIAcore動的分析)を用いて決定することもできる。SPRに基づく技術の総論については、Mulletら、2000, Methods 22: 77-91; Dongら、2002, Review in Mol. Biotech., 82: 303-23; Fivashら、1998, Current Opinion in Biotechnology 9: 97-101; Richら、2000, Current Opinion in Biotechnology 11: 54-61を参照されたい。さらに、米国特許第6,373,577号; 第6,289,286号; 第5,322,798号; 第5,341,215号; 第6,268,125号に記載のタンパク質間相互作用を測定するための任意のSPR機器およびSPRに基づく方法が、本発明の方法において意図される。
【0235】
当業者には公知の技術のいずれかを用いる蛍光活性化細胞選別法(FACS)を、細胞表面上に発現された分子(例えば、FcγRIIIA、FcγRIIB)へのFc変異体の結合を特性評価するために用いることができる。フロー選別装置は、ライブラリー挿入物を含む多数の個々の細胞(例えば、1時間あたり1000万〜1億個の細胞)を迅速に試験することができる(Shapiroら、Practical Flow Cytometry, 1995)。生物学的細胞を選別し、試験するためのフローサイトメーターは、当業界でよく知られている。公知のフローサイトメーターは、例えば、米国特許第4,347,935号; 第5,464,581号; 第5,483,469号; 第5,602,039号; 第5,643,796号; および第6,211,477号に記載されている。他の公知のフローサイトメーターは、Becton Dickinson and Companyにより製造されたFACS Vantage(商標)系、およびUnion Biometricaにより製造されたCOPAS(商標)系である。
【0236】
本発明のFc変異体を、FcγRを介するエフェクター細胞機能を媒介するその能力により特性評価することができる。アッセイすることができるエフェクター細胞機能の例としては、限定されるものではないが、抗体依存的細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、オプソニン作用、オプソニン食作用、C1q結合、および補体依存的細胞媒介性細胞傷害性(CDC)が挙げられる。エフェクター細胞機能活性を決定するための当業者には公知の任意の細胞に基づくアッセイまたは無細胞アッセイを用いることができる(エフェクター細胞アッセイについては、Perussiaら、2000, Methods Mol. Biol. 121: 179-92; Baggioliniら、1998 Experientia, 44(10): 841-8; Lehmannら、2000 J. Immunol. Methods, 243(1-2): 229-42; Brown E J. 1994, Methods Cell Biol., 45: 147-64; Munnら、1990 J. Exp. Med., 172: 231-237, Abdul-Majidら、2002 Scand. J. Immunol. 55: 70-81; Dingら、1998, Immunity 8:403-411を参照されたい)。
【0237】
特に、本発明のFc変異体を、当業者には公知の任意の標準的な方法を用いて、エフェクター細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞)においてFcγRを介するADCC活性についてアッセイすることができる(例えば、Perussiaら、2000, Methods Mol. Biol. 121: 179-92を参照されたい)。本発明の分子のADCC活性を決定するための例示的アッセイは、標的細胞を[51Cr]Na2CrO4で標識すること(この細胞膜透過性分子は、細胞質タンパク質に結合するが、ゆっくりとした反応速度で細胞から自然発生的に放出され、標的細胞壊死後に大量に放出されるため、標識に一般的に用いられている);標的細胞を本発明のFc変異体でオプソニン化すること;オプソニン化された放射標識された標的細胞と、エフェクター細胞とを、標的細胞とエフェクター細胞の好適な比率でマイクロタイタープレート中で混合すること;細胞の混合物を37℃で16〜18時間インキュベートすること;上清を回収すること;および放射活性を分析すること、を含む51Cr放出アッセイに基づく。次いで、本発明の分子の細胞傷害性を、例えば、以下の式:溶解(%)=(実験的cpm-標的漏出cpm)/(界面活性剤溶解cpm-標的漏出cpm)x100%を用いて決定することができる。あるいは、溶解(%)=(ADCC-AICC)/(最大放出-自然発生的放出)。特異的溶解を、式:特異的溶解=本発明の分子による溶解(%)-本発明の分子の非存在下での溶解(%)を用いて算出することができる。標的:エフェクター細胞の比または抗体濃度を変化させることによりグラフを作成することができる。特定の方法は、下記の「実施例」の表題の節にも開示されている。
【0238】
Fc変異体がC1qに結合し、補体依存的細胞傷害性(CDC)を媒介する能力を特性評価する方法は、当業界でよく知られている。例えば、C1q結合を決定するために、C1q結合ELISAを行うことができる。例示的なアッセイは、以下のことを含んでもよい:アッセイプレートを、コーティングバッファー中、ポリペプチド変異体または出発ポリペプチド(対照)を用いて4℃で一晩コーティングすることができる。次いで、このプレートを洗浄し、ブロッキングすることができる。洗浄後、アリコートのヒトC1qを各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートすることができる。さらに洗浄した後、100μLのヒツジ抗補体C1qペルオキシダーゼ結合抗体を各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートすることができる。再度、このプレートを洗浄バッファーで洗浄し、OPD(O-フェニレンジアミンジヒドロクロリド(Sigma))を含む基質バッファー100μlを、各ウェルに添加することができる。黄色の出現により観察される酸化反応を、30分間進行させて、100μlの4.5 NH2SO4の添加により停止させることができる。次いで、吸光度を(492〜405)nmで読み取ることができる。特定の方法は下記の「実施例」の表題の節にも開示されている。
【0239】
補体活性化を評価するために、補体依存的細胞傷害性(CDC)アッセイを実施することができる(例えば、Gazzano-Santoroら、1996, J. Immunol. Methods 202:163に記載のように)。簡単に述べると、種々の濃度のFc変異体およびヒト補体をバッファーで希釈することができる。Fc変異体が結合する抗原を発現する細胞を、約1 x 106細胞/mlの密度に希釈することができる。Fc変異体、希釈されたヒト補体および前記抗原を発現する細胞の混合物を、平底組織培養96穴プレートに添加し、37℃および5%CO2で2時間インキュベートし、補体を介する細胞溶解を容易にすることができる。次いで、50μLのアラマーブルー(alamar blue)(Accumed International)を各ウェルに添加し、37℃で一晩インキュベートすることができる。吸光度を、530 nmでの励起および590 nmでの放射を用いる96穴蛍光光度計を用いて測定する。その結果を、相対蛍光ユニット(RFU)で表すことができる。サンプル濃度を、標準曲線から算出し、比較可能な分子(すなわち、未改変または野生型のヒンジを有するFc領域を含む分子)と比較した活性(%)を、目的の変異体について報告する。
【0240】
補体アッセイを、モルモット、ウサギまたはヒト血清を用いて実施することができる。標的細胞の補体溶解を、Korzeniewskiら、1983, Immunol. Methods 64(3): 313-20; およびDeckerら、1988, J. Immunol Methods 115(1): 61-9に記載のように、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)など細胞内酵素の放出;または標的細胞を標識するユウロピウム、クロム51もしくはインジウム111などの細胞内標識の放出をモニターすることにより検出することができる。
【0241】
5.5 治療方法
本発明は、疾患、障害、または感染に関連する1つ以上の徴候を予防、治療、または軽減するために、本発明の1つ以上のFc変異体(例えば、抗体)を、動物、特に哺乳動物、具体的には、ヒトに投与することを包含する。本発明のFc変異体は、エフェクター細胞機能(例えば、ADCC、CDC)の効率の変化が望ましい疾患または障害の治療または予防にとって特に有用である。Fc変異体およびその組成物は、原発性または転移性新生物疾患(すなわち、癌)、および感染性疾患の治療または予防にとって特に有用である。本発明の分子を、本明細書に記載のような当業界で公知の製薬上許容し得る組成物中で提供することができる。以下に詳述するように、本発明の分子を、癌(特に、受動的免疫治療において)、自己免疫疾患、炎症性障害または感染性疾患を治療または予防する方法において用いることができる。
【0242】
本発明のFc変異体を、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患または感染性疾患の治療または治療のために、当業界で公知の他の治療剤と組合わせて有利に用いることもできる。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体を、例えば、前記分子と相互作用するエフェクター細胞の数または活性を増加させ、免疫応答を増加させるのに役立つモノクローナル抗体もしくはキメラ抗体、リンホカイン、または造血増殖因子(例えば、IL-2、IL-3およびIL-7など)と組合わせて用いることができる。本発明のFc変異体を、例えば、抗癌剤、抗炎症剤または抗ウイルス剤などの、疾患、障害、または感染を治療するのに用いられる1種以上の薬剤と組合わせて有利に用いることもできる。
【0243】
従って、本発明は、1つ以上の本発明のFc変異体を投与することにより、癌および関連する症状と関連する1種以上の徴候を予防、治療、または軽減するための方法を提供する。いかなる作用機構によっても束縛されることを意図するものではないが、比較可能な分子よりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/もしくはFcγRIIAに結合し、さらに比較可能な分子よりも低い親和性でFcγRIIBに結合する本発明のFc変異体、ならびに/またはエフェクター機能、例えば、ADCC、CDC、食作用、オプソニン作用などが増強された前記Fc変異体は、癌細胞の選択的標的化および効率的破壊をもたらすであろう。
【0244】
本発明はさらに、限定されるものではないが、現在の標準的かつ実験的な化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、免疫療法、放射線療法、または外科手術などの、癌の治療または予防のために、1つ以上の本発明のFc変異体を、当業者には公知の他の療法と組合わせて投与することを包含する。いくつかの実施形態においては、本発明の分子を、癌の治療および/または予防のために、治療上または予防上有効量の1種以上の抗癌剤、治療用抗体または当業者には公知の他の薬剤と組合わせて投与することができる。本発明のFc変異体と組合わせて用いることができる投薬計画および療法の例は当業界でよく知られており、他の場所に詳細に記載されている(例えば、PCT公開WO 02/070007およびWO 03/075957を参照されたい)。
【0245】
本発明の方法および組成物により治療または予防することができる癌および関連する障害としては、限定されるものではないが、以下のもの:白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨および結合組織肉腫、脳腫瘍、乳癌、副腎癌、甲状腺癌、膵臓癌、下垂体癌、眼癌、膣癌、外陰癌、頸部癌、子宮癌、卵巣癌、食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌、肺癌、精巣癌、前立腺癌、陰茎癌(penal cancer)、口腔癌、唾液腺癌、咽頭癌、皮膚癌、腎臓癌、膀胱癌などが挙げられる(そのような障害の総論については、Fishmanら、1985, Medicine、第2版、J.B. Lippincott Co., PhiladelphiaおよびMurphyら、1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., United States of Americaを参照されたい)。
【0246】
本発明はさらに、癌および関連する障害の治療および/または予防のために、当業界で公知の任意の抗体(例えば、上記の「本発明の抗体」の表題の節に列挙された抗体を参照)を、該抗体が本発明のヒンジ改変を組込むFc領域を含むように操作することを意図する。
【0247】
特定の実施形態においては、本発明の分子(例えば、本発明のヒンジ改変を組込むFc領域を含む抗体、または本発明のヒンジ改変を有するように本発明の方法に従って操作された治療用モノクローナル抗体)は、原発性腫瘍の増殖もしくは癌細胞の転移を、本発明の前記分子の非存在下での原発性腫瘍の増殖もしくは転移と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%阻害するか、または減少させる。
【0248】
本発明は、被験体における炎症性障害と関連する1つ以上の徴候を予防、治療、または管理するための、1つ以上の本発明のFc変異体の使用を包含する。いかなる作用機構によっても束縛されることを意図するものではないが、FcγRIIBに対する親和性が増強されたFc変異体は、活性化する受容体の弱体化およびかくして、免疫応答の弱体化を誘導し、自己免疫障害を治療および/または予防するための治療的効力を有するであろう。
【0249】
本発明はさらに、治療上または予防上有効量の1種以上の抗炎症剤と組合わせて、本発明のFc変異体を投与することを包含する。本発明はまた、治療上または予防上有効量の1種以上の免疫調節剤と組合わせて、本発明のFc変異体を前記被験体に投与することをさらに含む、自己免疫疾患と関連する1つ以上の徴候を予防、治療、または管理するための方法も提供する。本発明のFc変異体を投与することにより治療することができる自己免疫障害の例としては、限定されるものではないが、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状紅斑性狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑症(ITP)、IgAニューロパシー、若年性関節炎、扁平苔癬、紅斑性狼瘡、メニエール病、混合型結合組織疾患、多発性硬化症、1型もしくは免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、全身性紅斑性狼瘡、紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、疱疹状皮膚炎脈管炎、白斑、およびヴェーゲナー肉芽腫症などの脈管炎が挙げられる。炎症性障害の例としては、限定されるものではないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解症、および慢性ウイルス感染もしくは細菌感染の結果生じる慢性炎症が挙げられる。いくつかの自己免疫障害は炎症症状と関連し、かくして、自己免疫障害と炎症性障害との間に考えられるものには重複が存在する。従って、いくつかの自己免疫障害を、炎症性障害としても特徴づけることができる。本発明の方法に従って予防、治療または管理することができる炎症性障害の例としては、限定されるものではないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解症、および慢性ウイルス感染もしくは細菌感染の結果生じる慢性炎症が挙げられる。
【0250】
本発明のFc変異体を用いて、炎症性障害を有する動物、特に、哺乳動物により経験される炎症を減少させることもできる。特定の実施形態においては、本発明のFc変異体は、該分子を投与されない動物における炎症と比較して、動物における炎症を少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、または少なくとも10%減少させる。
【0251】
本発明はさらに、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患の治療および/または予防のために、当業界で公知の任意の抗体(例えば、上記の「本発明の抗体」の表題の節に列挙された抗体を参照)を、該抗体が本発明のヒンジ改変を組込むFc領域を含むように操作することを意図する。
【0252】
本発明はまた、治療上または予防上有効量の1つ以上の本発明のFc変異体を投与することを含む、被験体における感染性疾患を治療または予防するための方法も包含する。本発明のFc変異体により治療または予防することができる感染性疾患は、限定されるものではないが、ウイルス、細菌、菌類、原虫、およびウイルスなどの感染性因子により引き起こされる。
【0253】
本発明の方法と組合わせて本発明のFc変異体を用いて治療または予防することができるウイルス疾患としては、限定されるものではないが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-I)、単純ヘルペスII型(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘、エプスタイン・バーウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)、ヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)、およびウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱もしくは天然痘などのウイルス疾患の因子が挙げられる。
【0254】
細菌により引き起こされる、本発明の方法と組合わせて本発明のFc変異体を用いて治療または予防することができる細菌疾患としては、限定されるものではないが、マイコバクテリア、リケッチア、マイコプラズマ、ナイセリア、S.pneumonia、ボレリア・ブルグドフェリ(Borrelia burgdorferi)(ライム病)、バチルス・アントラシス(Bacillus antracis)(炭疽)、破傷風、ストレプトコッカス、スタヒロコッカス、マイコバクテリア、破傷風、百日咳、コレラ、疫病、ジフテリア、クラミジア、S.aureusおよびレジオネラが挙げられる。原虫により引き起こされる、本発明の方法と組合わせて本発明のFc変異体を用いて治療または予防することができる原虫疾患としては、限定されるものではないが、リーシュマニア、コクジディオア(kokzidioa)、トリパノソーマまたはマラリアが挙げられる。寄生虫により引き起こされる、本発明の方法と組合わせて本発明のFc変異体を用いて治療または予防することができる寄生虫疾患としては、限定されるものではないが、クラミジアおよびリケッチアが挙げられる。
【0255】
いくつかの実施形態においては、本発明のFc変異体を、感染性疾患の治療および/または予防のために、治療上または予防上有効量の当業者には公知の1種以上のさらなる治療剤と組合わせて投与することができる。本発明は、限定されるものではないが、抗生物質、抗菌剤および抗ウイルス剤などの、感染性疾患の治療および/または予防のための当業者には公知の他の分子と組み合わせた本発明の分子の使用を意図する。
【0256】
5.6 組成物および投与方法
本発明は、本発明のFc変異体(例えば、抗体、ポリペプチド)を含む方法および医薬組成物を提供する。本発明はまた、有効量の少なくとも1種の本発明のFc変異体、または少なくとも1種の本発明のFc変異体を含む医薬組成物を被験体に投与することによる、疾患、障害もしくは感染に関連する1つ以上の徴候の治療、予防、および軽減のための方法も提供する。一態様においては、前記Fc変異体は実質的に精製されている(すなわち、その効果を制限するか、または望ましくない副作用をもたらす物質を実質的に含まない)。特定の実施形態においては、前記被験体は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(例えば、カニクイザルなどのサルおよびヒト)などの哺乳動物などの動物である。特定の実施形態においては、前記被験体はヒトである。さらに別の特定の実施形態においては、本発明の抗体は、被験体と同じ種に由来するものである。
【0257】
前記組成物の投与経路は、治療しようとする症状に依存する。例えば、リンパ腺癌または転移した腫瘍などの全身性障害の治療にとっては、静脈内注入が好ましい。当業者であれば、投与しようとする組成物の用量を、標準的な用量応答試験と組合わせて、過度の実験を行うことなく決定することができる。これらの決定を行う際に考慮すべき関連する環境としては、治療しようとする症状、投与しようとする組成物の選択、個々の患者の年齢、体重、および応答、ならびに患者の徴候の重篤度が挙げられる。症状に応じて、前記組成物を、経口的、非経口的、鼻内的、経膣的、直腸的、舌的、舌下的、頬的、頬内的、および/または経皮的に前記患者に投与することができる。
【0258】
従って、経口、舌、舌下、頬および頬内投与のために設計された組成物を、例えば、不活性希釈剤または食用担体を用いて、当業界でよく知られた手段により過度の実験を行うことなく作製することができる。前記組成物を、ゼラチンカプセルに封入するか、または錠剤中に圧縮することができる。経口治療的投与のために、本発明の医薬組成物を賦形剤と共に組込み、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハース、チューイングガムなどの形態で用いることができる。
【0259】
錠剤、ピル、カプセル剤、トローチ剤などは、結合剤、受容剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、および/または香料をも含んでもよい。結合剤のいくつかの例としては、微結晶セルロース、トラガカントゴムおよびゼラチンが挙げられる。賦形剤の例としては、スターチおよびラクトースが挙げられる。崩壊剤のいくつかの例としては、アルギン酸、コーンスターチなどが挙げられる。滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カリウムが挙げられる。流動促進剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素である。甘味料のいくつかの例としては、スクロース、サッカリンなどが挙げられる。香料の例としては、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香料などが挙げられる。これらの様々な組成物を調製するのに用いられる材料は、薬学的に純粋であり、用いられる量で非毒性的であるべきである。
【0260】
本発明の医薬組成物を、例えば、静脈内、筋肉内、鞘内および/または皮下注入によるなど、非経口的に投与することができる。非経口投与を、本発明の組成物を溶液または懸濁液に組み入れることにより達成することができる。また、そのような溶液または懸濁液として、注入用の水、塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールおよび/または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤も挙げられる。非経口製剤としては、例えば、ベンジルアルコールおよび/またはメチルパラベンなどの抗細菌剤、例えば、アスコルビン酸および/または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、ならびにEDTAなどのキレート化剤も挙げられる。酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩などのバッファー、ならびに塩化ナトリウムおよびデキストロースなどの等張性の調整のための薬剤を添加することもできる。非経口調製物を、ガラスもしくはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジおよび/または複数用量バイアル中に封入することができる。直腸投与は、直腸および/または大腸に前記組成物を投与することを含む。これを、座剤および/または浣腸剤を用いて達成することができる。座剤製剤を、当業界で公知の方法により作製することができる。経皮投与は、皮膚を介する前記組成物の経皮吸収を含む。経皮製剤としては、パッチ、軟膏(ointment)、クリーム、ゲル、軟膏(salve)などが挙げられる。本発明の組成物を、患者に経鼻投与することができる。本明細書で用いられるように、経鼻的に投与すること、または経鼻投与は、前記組成物を、患者の鼻孔および/または鼻腔の粘膜に投与することを含む。
【0261】
本発明の医薬組成物を、疾患、障害、または感染に関連する1つ以上の徴候を予防、治療、または軽減するために、本発明の方法に従って用いることができる。本発明の医薬組成物は滅菌されており、被験体への投与にとって好適な形態にあることが意図される。
【0262】
一実施形態においては、本発明の組成物は、内毒素および/または関連する発熱物質を実質的に含まない発熱源を含まない製剤である。内毒素としては、微生物の内側に閉じ込められており、該微生物が破壊されるか、または死んだ場合に放出される毒素が挙げられる。発熱物質としては、細菌および他の微生物の外膜に由来する、熱誘導性、温度安定性物質(糖タンパク質)も挙げられる。これらの物質は共に、ヒトに投与した場合、熱、低血圧およびショックを引き起こし得る。潜在的な有害作用のため、少量の内毒素でも、静脈内投与される薬剤溶液から除去することが有利である。食品医薬品局(FDA)は、静脈内薬剤適用について、1回の1時間で体重1キログラムあたりの用量あたり5の内毒素ユニット(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention, Pharmacopeial Forum 26 (1):223 (2000))。治療用タンパク質を体重1キログラムあたり数百または数千ミリグラムの量で投与する場合、モノクローナル抗体を用いる場合と同様、微量の内毒素でさえ除去することが有利である。特定の実施形態においては、前記組成物中の内毒素および発熱源のレベルは、10 EU/mg、または5 EU/mg、または1 EU/mg、または0.1 EU/mg、または0.01 EU/mg、または0.001 EU/mg未満である。
【0263】
本発明は、(a)予防上もしくは治療上有効量の1種以上のFc変異体を含む組成物の用量を、それを必要とする被験体に投与すること、および(b)該Fc変異体の1回以上のその後の用量を投与して、抗原に連続的に結合する、該Fc変異体の血漿濃度を所望のレベル(例えば、約0.1〜約100μg/ml)に維持することを含む、疾患、障害、または感染に関連する1つ以上の徴候を予防、治療、または軽減するための方法を提供する。特定の実施形態においては、Fc変異体の血漿濃度を、10μg/ml、15μg/ml、20μg/ml、25μg/ml、30μg/ml、35μg/ml、40μg/ml、45μg/mlまたは50μg/mlに維持する。特定の実施形態においては、投与するFc変異体の前記有効量は、用量あたり少なくとも1 mg/kg〜8 mg/kgである。別の特定の実施形態においては、投与するFc変異体の前記有効量は、用量あたり少なくとも4 mg/kg〜8 mg/kgである。さらに別の特定の実施形態においては、投与するFc変異体の前記有効量は、用量あたり50 mg〜250 mgである。さらに別の特定の実施形態においては、投与するFc変異体の前記有効量は、用量あたり100 mg〜200 mgである。
【0264】
本発明はまた、Fc変異体を、Fc変異体および/または変異体融合タンパク質以外の療法(例えば、予防剤もしくは治療剤)と組合わせて用いる、疾患、障害、または感染に関連する1つ以上の徴候を予防、治療、または軽減するためのプロトコルも包含する。本発明は、部分的には、本発明のFc変異体が、現在の標準的かつ実験的な化学療法などの他の癌治療の治療効果を高め、それと相乗作用し、その有効性を増強し、その寛容性を改善し、および/またはそれにより引き起こされる副作用を減少させるという認識に基づくものである。本発明の組合せ治療は、相加的有効性、相加的治療効果または相乗効果を有する。本発明の組合せ治療は、疾患、障害、もしくは感染に関連する1つ以上の徴候を予防、治療、もしくは軽減するためにFc変異体と組合わせて用いられる治療(例えば、予防剤もしくは治療剤)の用量を低くすること、ならびに/または疾患、障害、もしくは感染を有する被験体の生活の質を改善し、および/もしくは予防もしくは治療効果を達成するために、該被験体へのそのような予防剤もしくは治療剤の投与頻度を少なくすることを可能にする。さらに、本発明の組合せ治療は、現在の単一薬剤治療および/または存在する組合せ治療の投与に関連する望ましくないか、もしくは有害な副作用を減少させるか、または回避し、次いで、治療プロトコルによる患者のコンプライアンスを改善する。本発明のFc変異体と組合わせて用いることができる多くの分子が、当業界でよく知られている。例えば、PCT公開WO 02/070007; WO 03/075957および米国特許公開第2005/064514号を参照されたい。
【0265】
本発明は、疾患、障害、もしくは感染に関連する1つ以上の徴候をモニターし、診断し、予防し、治療し、または軽減するのに使用するために、1つ以上の容器中に、検出可能な薬剤、治療剤もしくは薬剤にコンジュゲートさせるか、もしくは融合させた抗原に特異的に結合する、FcγRおよび/もしくはC1qに対する結合親和性が変化し、ADCCおよび/もしくはCDC活性が変化した1種以上のFc変異体を含むキットを提供する。
【0266】
本発明はまた、疾患、障害、もしくは感染に関連する1つ以上の徴候をモニターし、診断し、予防し、治療するか、もしくは軽減するのに使用するために、第1のバイアル中に、抗原に特異的に結合する、FcγRおよび/もしくはC1qに対する結合親和性が変化し、ADCCおよび/もしくはCDC活性が変化した1種以上のFc変異体を含み、第2のバイアル中に、Fc変異体以外の、1種以上の予防剤もしくは治療剤を含むキットも提供する。本発明はまた、疾患、障害、もしくは感染に関連する1つ以上の徴候をモニターし、診断し、予防し、治療するか、もしくは軽減するのに使用するために、第1のバイアル中に、治療剤もしくは薬剤にコンジュゲートさせるか、もしくは融合させた抗原に特異的に結合する、FcγRおよび/もしくはC1qに対する結合親和性が変化し、ADCCおよび/もしくはCDC活性が変化した1種以上のFc変異体を含み、第2のバイアル中に、Fc変異体以外の、1種以上の予防剤もしくは治療剤を含むキットも提供する。このキットはさらに、材料および/または説明書を包装することを含んでもよい。
【0267】
6. 特定の実施形態
1. Fc領域を含むポリペプチドであって、該Fc領域は改変されたヒンジを含み、該ポリペプチドは、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、変化した親和性で少なくとも1個のFcリガンドに結合する、前記ポリペプチド。
【0268】
2. 改変されたヒンジが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、可撓性が増加した実施形態1に記載のポリペプチド。
【0269】
3. 改変されたヒンジが少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態1または2に記載のポリペプチド。
【0270】
4. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、E216、P217、K218、S221、D(EU番号なし、Kabat番号234)、K222、T223、H224、T225、C226、P227、P228、C229およびP230からなる群より選択される1個以上の位置に少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態3に記載のポリペプチド。
【0271】
5. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、E216G、E216A、P217G、P217A、K218G、K218A、S221G、S221A、D(EU番号なし、Kabat番号234)G、D(EU番号なし、Kabat番号234)A、K222G、K222A、T223G、T223A、H224G、H224A、T225G、T225A、C226S、C226T、P227G、P227A、P228G、P228A、C229S、C229T、P230GおよびP230Aからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態3に記載のポリペプチド。
【0272】
6. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)各残基がAもしくはGで置換されている、E216、P217、K218およびS221;
(b)各残基がAもしくはGで置換されている、D(EU番号なし、Kabat番号234)、K222、T223、H224およびT225;
(c)各残基がAもしくはGで置換されている、P227およびP228;
(d)P230GもしくはP230A;
(e)C229SもしくはC229T;ならびに
(f)C226SもしくはC226T、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態3、4または5に記載のポリペプチド。
【0273】
7. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)E216G、P217G、K218GおよびS221G;
(b)D(EU番号なし、Kabat番号234)G、K222G、T223G、H224GおよびT225G;
(c)P227GおよびP228G;
(d)P230G;
(e)C229S;ならびに
(f)C226S、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態3、4または5に記載のポリペプチド。
【0274】
8. 改変されたヒンジが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、可撓性が減少した実施形態1に記載のポリペプチド。
【0275】
9. 改変されたヒンジが少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態1または8に記載のポリペプチド。
【0276】
10. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、E216、K218、S221、D(EU番号なし、Kabat番号234)、K222、T223、H224、およびT225からなる群より選択される1個以上の位置に少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態9に記載のポリペプチド。
【0277】
11. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、E216P、K218P、S221P、D(EU番号なし、Kabat番号234)P、K222P、T223P、T223C、H224P、H224CおよびT225P、T225Cからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態9に記載のポリペプチド。
【0278】
12. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)T223C;
(b)H224CおよびT225C;
(c)D(EU番号なし、Kabat番号234)P、K222P、T223P、H224PおよびT225P;ならびに
(d)E216P、K218PおよびS221P、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態9に記載のポリペプチド。
【0279】
13. 改変されたヒンジが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、長さが減少した実施形態1に記載のポリペプチド。
【0280】
14. 改変されたヒンジが少なくとも1個のアミノ酸欠失を含む、実施形態1または13に記載のポリペプチド。
【0281】
15. 改変されたヒンジが、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、T223、H224、P227およびP228からなる群より選択される1個以上の位置に少なくとも1個のアミノ酸欠失を含む、実施形態14に記載のポリペプチド。
【0282】
16. 改変されたヒンジが、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227およびP228;
(b)T223およびH224;ならびに
(c)T223、H224、P227およびP228
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸欠失を含む、実施形態14または15に記載のポリペプチド。
【0283】
17. 改変されたヒンジが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、長さが増加し、可撓性が増加した実施形態1に記載のポリペプチド。
【0284】
18. 改変されたヒンジが、少なくとも1個のアミノ酸挿入を含む、実施形態1または17に記載のポリペプチド。
【0285】
19. 改変されたヒンジが、
(a)少なくとも1個のA残基;
(b)少なくとも1個のG残基;ならびに
(c)少なくとも1個のA残基および少なくとも1個のG残基、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸挿入を含む、実施形態18に記載のポリペプチド。
【0286】
20. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、1〜5アミノ酸残基の挿入である、実施形態18または19に記載のポリペプチド。
【0287】
21. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227およびP228;ならびに
(b)D(EU番号なし、Kabat番号234)およびK222、
からなる群より選択されるアミノ酸残基の間に挿入される、実施形態18、19または20に記載のポリペプチド。
【0288】
22. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227とP228の間の「GGG」;および
(b)D(EU番号なし、Kabat番号234)とK222の間の「GGG」、
からなる群より選択される、実施形態18、19、20または21に記載のポリペプチド。
【0289】
23. 改変されたヒンジが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、長さが増加し、可撓性が減少した実施形態1に記載のポリペプチド。
【0290】
24. ヒンジの改変が、少なくとも1個のアミノ酸挿入を含む、実施形態1または23に記載のポリペプチド。
【0291】
25. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、少なくとも1個のP残基を含む、実施形態24に記載のポリペプチド。
【0292】
26. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、1〜5アミノ酸残基の挿入である、実施形態24または25に記載のポリペプチド。
【0293】
27. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227およびP228;ならびに
(b)D(EU番号なし、Kabat番号234)およびK222、
からなる群より選択されるアミノ酸残基の間に挿入される、実施形態24、25または26に記載のポリペプチド。
【0294】
28. 少なくとも1個のアミノ酸挿入が、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227とP228の間の「PPP」;および
(b)D(EU番号なし、Kabat番号234)とK222の間の「PPP」、
からなる群より選択される、実施形態24、25、26または27に記載のポリペプチド。
【0295】
29. ヒンジの改変が、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、ヒンジのコンフォメーション全体を変化させる、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0296】
30. ヒンジの改変が、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態1または29に記載のポリペプチド。
【0297】
31. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、K218、S221、C(EU番号なし、Kabat番号233)、D(EU番号なし、Kabat番号234)、K222、T223、H224、P227およびP228からなる群より選択される位置に少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態30に記載のポリペプチド。
【0298】
32. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、K218W、K218F、S221C、S221W、221F、C(EU番号なし、Kabat番号233)S、C(EU番号なし、Kabat番号233)E、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222W、K222F、T223W、T223F、H224W、H224F、P227W、P227F、P228WおよびP228Fからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態30に記載のポリペプチド。
【0299】
33. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)各残基がWもしくはFで置換されている、P227およびP228;
(b)各残基がWもしくはFで置換されている、K222およびT223;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)がSもしくはTで置換されている、S221CおよびC(EU番号なし、Kabat番号233);
(d)C(EU番号なし、Kabat番号233)がDもしくはEで置換されている、C(EU番号なし、Kabat番号233)およびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(e)C(EU番号なし、Kabat番号233)がDもしくはEで置換されており、K222およびT222がWもしくはFで置換されている、C(EU番号なし、Kabat番号233)、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222およびT223;
(f)K222WもしくはK222F;
(g)T223WもしくはK222F;
(h)各残基がWもしくはFで置換されている、K222およびT223;
(i)各残基がWもしくはFで置換されている、K222、T223およびH224;
(j)各残基がWもしくはFで置換されている、D(EU番号なし、Kabat番号234)およびK222;ならびに
(k)各残基がWもしくはFで置換されている、K218およびS221、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態30に記載のポリペプチド。
【0300】
34. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227WおよびP228W;
(b)K222WおよびT223W;
(c)S221CおよびC(EU番号なし、Kabat番号233)S;
(d)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(e)C(EU番号なし、Kabat番号233)D、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222WおよびT223W;
(f)K222W;
(g)T223W;
(h)K222FおよびT223F;
(i)K222W、T223WおよびH224W;
(j)D(EU番号なし、Kabat番号234)WおよびK222W;ならびに
(k)K218WおよびS221W、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態30に記載のポリペプチド。
【0301】
35. Fc領域を含むポリペプチドであって、該Fc領域は改変されたヒンジを含み、該ポリペプチドは野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、変化した親和性で少なくとも1個のFcγRに結合する、前記ポリペプチド。
【0302】
36. 変化した親和性が、増加した親和性である、実施形態35に記載のポリペプチド。
【0303】
37. FcγRがFcγRIIIAである、実施形態36に記載のポリペプチド。
【0304】
38. 親和性が、約10%〜100%増加する、実施形態37に記載のポリペプチド。
【0305】
39. 親和性が、約2倍〜100倍増加する、実施形態37に記載のポリペプチド。
【0306】
40. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、約2倍〜100倍増加したADCC活性を有する、実施形態37、38または39に記載のポリペプチド。
【0307】
41. 変化した親和性が、減少した親和性である、実施形態35に記載のポリペプチド。
【0308】
42. FcγRがFcγRIIIAである、実施形態41に記載のポリペプチド。
【0309】
43. 親和性が約10%〜100%減少する、実施形態42に記載のポリペプチド。
【0310】
44. 親和性が、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、約2倍〜100倍減少する、実施形態42に記載のポリペプチド。
【0311】
45. 前記ポリペプチドが、約2倍〜100倍減少したADCC活性を有する、実施形態42、43または44に記載のポリペプチド。
【0312】
46. 前記改変されたヒンジが、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227とP228の間の少なくとも1個のGもしくはAの挿入;
(b)P227および/もしくはP228の欠失;ならびに
(c)各残基がWもしくはFで置換されている、P227およびP228の置換、
からなる群より選択される少なくとも1個の改変を含む、実施形態42、43、44、または45に記載のポリペプチド。
【0313】
47. 前記改変されたヒンジが、Kabatに記載のEU番号付け系を用いて、
(a)P227とP228の間の少なくとも1個のGの挿入;
(b)P227およびP228の欠失;ならびに
(c)P227WおよびP228Wの置換、
からなる群より選択される少なくとも1個の改変を含む、実施形態42、43、44、または45に記載のポリペプチド。
【0314】
48. Fc領域を含むポリペプチドであって、該Fc領域は改変されたヒンジを含み、該ポリペプチドは野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、変化した親和性で少なくともC1qに結合する、前記ポリペプチド。
【0315】
49. C1qに対する変化した親和性が、増加した親和性である、実施形態48に記載のポリペプチド。
【0316】
50. 親和性が約10%〜100%増加する、実施形態49に記載のポリペプチド。
【0317】
51. 親和性が約2倍〜100倍増加する、実施形態49に記載のポリペプチド。
【0318】
52. 前記改変されたヒンジが少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態49、50または51に記載のポリペプチド。
【0319】
53. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、C(EU番号なし、Kabat番号233)、D(EU番号なし、Kabat番号234)、K222、T223およびH224からなる群より選択される位置に少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態52に記載のポリペプチド。
【0320】
54. 改変されたヒンジが、指示された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、C(EU番号なし、Kabat番号233)D、C(EU番号なし、Kabat番号233)E、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、D(EU番号なし、Kabat番号234)W、D(EU番号なし、Kabat番号234)F、K222W、K222F、T223W、T223F、H224WおよびH224Fからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態52に記載のポリペプチド。
【0321】
55. 改変されたヒンジが、注記された以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)CもしくはC(EU番号なし、Kabat番号233)EおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(b)各残基がWもしくはFで置換されている、K222およびT223;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)がDもしくはEで置換されており、K223およびT223がそれぞれWもしくはFで置換されている、C(EU番号なし、Kabat番号233)、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222およびT223;
(d)K222WもしくはK222F;
(e)T223WもしくはT223F;
(f)各残基がWもしくはFで置換されている、K222、T223およびH224;ならびに
(g)各残基がWもしくはFで置換されている、D(EU番号なし、Kabat番号234)およびK222、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態52に記載のポリペプチド。
【0322】
56. 改変されたヒンジが、注記された以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(b)K222WおよびT223W;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)D、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222WおよびT223W;
(d)K222W;
(e)T223W;
(f)K222W、T223WおよびH224W;ならびに
(g)D(EU番号なし、Kabat番号234)WおよびK222W、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む、実施形態52に記載のポリペプチド。
【0323】
57. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、CDC活性が約2倍〜100倍増加した、実施形態49、50、51、52、53、54、55または56に記載のポリペプチド。
【0324】
58. 変化した親和性が、減少した親和性である、実施形態48に記載のポリペプチド。
【0325】
59. 親和性が約10%〜100%減少する、実施形態58に記載のポリペプチド。
【0326】
60. 親和性が約2倍〜100倍減少する、実施形態58に記載のポリペプチド。
【0327】
61. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、CDC活性が約2倍〜100倍減少した、実施形態58、59または60に記載のポリペプチド。
【0328】
62. 前記改変されたヒンジが、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)位置C226、P227、P228、C229、P230での少なくとも1個のアミノ酸残基の置換;
(b)P227とP228の間の少なくとも1個のアミノ酸の挿入;ならびに
(c)位置P227および/またはP228での少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失;
からなる群より選択される少なくとも1個の改変を含む、実施形態58、59、60または61に記載のポリペプチド。
【0329】
63. 前記置換が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、C226S、C226T、P227G、P227A、P227W、P227F、P228G、P228A、P228W、P228F、C229S、C229T、P230GおよびP230Aからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸残基の置換である、実施形態62に記載のポリペプチド。
【0330】
64. アミノ酸挿入が、1〜5アミノ酸残基の挿入である、実施形態62に記載のポリペプチド。
【0331】
65. アミノ酸挿入が、少なくとも1個のA残基、少なくとも1個のG残基および少なくとも1個のA残基および少なくとも1個のG残基からなる群より選択される、実施形態62または63に記載のポリペプチド。
【0332】
66. アミノ酸挿入が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、P227とP228の間に挿入される、実施形態62、63または64に記載のポリペプチド。
【0333】
67. 前記改変されたヒンジが、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227GおよびP228Gの置換;
(b)P230Gの置換;
(c)C229Sの置換;
(d)C226Sの置換;
(e)P227とP228の間の少なくとも1個のGの挿入;
(f)P227およびP228の欠失;ならびに
(g)P227WおよびP228Wの置換、
からなる群より選択される少なくとも1個の改変を含む、実施形態58、59、60または61に記載のポリペプチド。
【0334】
68. Fc領域を含むポリペプチドであって、該Fc領域は改変されたヒンジ領域を含み、該改変されたヒンジ領域は、216G、216A、216P、217G、217A、218G、218P、218W、218F、221G、221A、221C、221W、221F、(EU番号なし、Kabat番号233)D、(EU番号なし、Kabat番号233)E、(EU番号なし、Kabat番号233)S、(EU番号なし、Kabat番号233)T、(EU番号なし、Kabat番号234)G、(EU番号なし、Kabat番号234)A、(EU番号なし、Kabat番号234)P、(EU番号なし、Kabat番号234)C、(EU番号なし、Kabat番号234)S、(EU番号なし、Kabat番号234)T、(EU番号なし、Kabat番号234)D、(EU番号なし、Kabat番号234)E、(EU番号なし、Kabat番号234)W、(EU番号なし、Kabat番号234)F、222G、222A、222P、222W、222F、223G、223A、223C、223P、223W、223F、224G、224A、224P、224C、224W、224F、225G、225A、225C、225P、226S、226T、227G、227A、227W、227F、228G、228A、228W、228F、229S、229T、230Gおよび230Aからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸残基を含む、前記ポリペプチド。
【0335】
69. Fc領域を含むポリペプチドであって、該Fc領域は改変されたヒンジ領域を含み、該改変されたヒンジ領域は、指示された以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)216G、217G、218G、221G;
(b)(EU番号なし、Kabat番号234)G、222G、223G、224Gおよび225G;
(c)227Gおよび228G;
(d)230G;
(e)(EU番号なし、Kabat番号234)と222の間に挿入された「GGG」;
(f)227と228の間に挿入された「GGG」;
(g)(EU番号なし、Kabat番号234)と222の間に挿入された「GGG」;
(h)227と228の間に挿入された「PPP」;
(i)229S;
(j)226S;
(k)223T;
(l)224Cおよび225T;
(m)(EU番号なし、Kabat番号234)P、222P、223P、224Pおよび225P;
(n)216P、218Pおよび221P;
(o)222Wもしくは223W;
(p)222Wおよび223W;
(q)221Cおよび(EU番号なし、Kabat番号233)S;
(r)(EU番号なし、Kabat233)Dもしくは(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(s)(EU番号なし、Kabat233)Dおよび(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(t)(EU番号なし、Kabat233)D、(EU番号なし、Kabat番号234)C、222Wおよび223W;
(u)222W;
(v)223W;
(w)224W;
(x)222Fおよび223F;
(y)222W、223Wおよび224W;
(z)(EU番号なし、Kabat234)Wおよび222W;ならびに
(aa)218Wおよび221W、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸残基を含む、前記ポリペプチド。
【0336】
70. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、変化した親和性で少なくとも1個のFcγRに結合する、実施形態68または69に記載のポリペプチド。
【0337】
71. 前記FcγRがFcγRIIIAである、実施形態70に記載のポリペプチド。
【0338】
72. 親和性が増加する、実施形態71に記載のポリペプチド。
【0339】
73. 親和性が約10%〜100%増加する、実施形態72に記載のポリペプチド。
【0340】
74. 親和性が約2倍〜100倍増加する、実施形態72に記載のポリペプチド。
【0341】
75. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、ADCC活性が約2倍〜100倍増加する、実施形態71、72、73または74に記載のポリペプチド。
【0342】
76. 前記親和性が減少する、実施形態71に記載のポリペプチド。
【0343】
77. 親和性が約10%〜100%減少する、実施形態75に記載のポリペプチド。
【0344】
78. 親和性が約2倍〜100倍減少する、実施形態75に記載のポリペプチド。
【0345】
79. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、ADCC活性が約2倍〜100倍減少する、実施形態76、77または78に記載のポリペプチド。
【0346】
80. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、変化した親和性で少なくともC1qに結合する、実施形態68または69に記載のポリペプチド。
【0347】
81. 親和性が増加する、実施形態80に記載のポリペプチド。
【0348】
82. 親和性が約10%〜100%増加する、実施形態81に記載のポリペプチド。
【0349】
83. 親和性が約2倍〜100倍増加する、実施形態81に記載のポリペプチド。
【0350】
84. 前記ポリペプチドが、野生型ヒンジを有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、CDC活性が約2倍〜100倍増加した、実施形態81、82または83に記載のポリペプチド。
【0351】
85. 前記ポリペプチドが抗原結合ドメインをさらに含む、実施形態1〜84のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0352】
86. 前記ポリペプチドが抗体である、実施形態1〜85のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0353】
87. Fc領域が追加の改変をさらに含む、実施形態1〜86のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0354】
88. 実施形態1〜87のいずれか1つに記載のポリペプチドを含む組成物。
【0355】
89. 実施形態1〜87のいずれか1つに記載のポリペプチドをコードする核酸配列。
【0356】
90. 実施形態89に記載の核酸配列を含むように操作された細胞。
【0357】
91. 実施形態90に記載の細胞中で、改変されたヒンジを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む、前記ポリペプチドを製造する方法。
【0358】
92. ヒンジ領域中に改変を導入することを含む、ヒンジ領域を含むFc領域を含むポリペプチドのFcリガンドに対する結合親和性を変化させる方法。
【0359】
93. FcリガンドがC1qである、実施形態92に記載の方法。
【0360】
94. 結合親和性が増加する、実施形態93に記載の方法。
【0361】
95. 親和性が約10%〜100%増加する、実施形態94に記載の方法。
【0362】
96. 親和性が約2倍〜100倍増加する、実施形態94に記載の方法。
【0363】
97. 前記改変が、注記された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)CもしくはC(EU番号なし、Kabat番号233)EおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(b)各残基がWもしくはFで置換されている、K222およびT223;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)がDもしくはEで置換され、K222およびT223がそれぞれWもしくはFで置換されている、C(EU番号なし、Kabat番号233)、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222およびT223;
(d)K222WもしくはK222F;
(e)T223WもしくはT223F;
(f)各残基がWもしくはFで置換されている、K222、T223およびH224;ならびに
(g)各残基がWもしくはFで置換されている、D(EU番号なし、Kabat番号234)およびK222、
を含む群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換である、実施形態94、95または96の方法。
【0364】
98. 前記改変が、注記された場合以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(b)K222WおよびT223W;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)D、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222WおよびT223W;
(d)K222W;
(e)T223W;
(f)K222W、T223WおよびH224W;ならびに
(g)D(EU番号なし、Kabat番号234)WおよびK222W、
を含む群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換である、実施形態94、95または96に記載の方法。
【0365】
99. 結合親和性が減少する、実施形態93に記載の方法。
【0366】
100. 親和性が約10%〜100%増加する、実施形態99に記載の方法。
【0367】
101. 親和性が約2倍〜100倍増加する、実施形態99に記載の方法。
【0368】
102. 前記改変が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)位置C226、P227、P228、C229、P230での少なくとも1個のアミノ酸残基の置換;
(b)P227とP228の間での少なくとも1個のアミノ酸の挿入;ならびに
(c)位置P227および/もしくはP228での少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失;
からなる群より選択される、実施形態99、100または101に記載の方法。
【0369】
103. 前記置換が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、C226S、C226T、P227G、P227A、P227W、P227F、P228G、P228A、P228W、P228F、C229S、C229T、P230GおよびP230Aからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸残基の置換である、実施形態102に記載の方法。
【0370】
104. アミノ酸挿入が、1〜5アミノ酸残基の挿入である、実施形態102に記載の方法。
【0371】
105. アミノ酸挿入が、少なくとも1個のA残基;少なくとも1個のG残基および少なくとも1個のA残基および少なくとも1個のG残基からなる群より選択される、実施形態102または104に記載の方法。
【0372】
106. アミノ酸挿入が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、P227とP228の間に挿入される、実施形態102、104または105に記載の方法。
【0373】
107. 前記改変が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227GおよびP228Gの置換;
(b)P230Gの置換;
(c)C229Sの置換;
(d)C226Sの置換;
(e)P227とP228の間での少なくとも1〜3個のG残基の挿入;
(f)P227およびP228の欠失;ならびに
(g)P227WおよびP228Wの置換、
からなる群より選択される、実施形態99、100または101に記載の方法。
【0374】
108. Fc領域を含むポリペプチドのCDC活性を変化させる方法であって、該Fc領域はヒンジ領域を含み、該方法は該ヒンジ領域中に改変を導入することを含む、前記方法。
【0375】
109. CDC活性が増加する、実施形態108に記載の方法。
【0376】
110. 前記改変が、注記された以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)CもしくはC(EU番号なし、Kabat番号233)EおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(b)各残基がWもしくはFで置換されている、K222およびT223;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)がDもしくはEで置換されており、K222およびT223がそれぞれWもしくはFで置換されている、C(EU番号なし、Kabat番号233)、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222およびT223;
(d)K222WもしくはK222F;
(e)T223WもしくはT223F;
(f)各残基がWもしくはFで置換されている、K222、T223およびH224;ならびに
(g)各残基がWもしくはFで置換されている、D(EU番号なし、Kabat番号234)およびK222、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換である、実施形態109に記載の方法。
【0377】
111. 前記改変が、注記された以外はKabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)C(EU番号なし、Kabat番号233)DおよびD(EU番号なし、Kabat番号234)C;
(b)K222WおよびT223W;
(c)C(EU番号なし、Kabat番号233)D、D(EU番号なし、Kabat番号234)C、K222WおよびT223W;
(d)K222W;
(e)T223W;
(f)K222W、T223WおよびH224W;ならびに
(g)D(EU番号なし、Kabat番号234)WおよびK222W、
からなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸置換である、実施形態109に記載の方法。
【0378】
112. CDC活性が減少する、実施形態108に記載の方法。
【0379】
113. 前記改変が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)位置C226、P227、P228、C229、P230での少なくとも1個のアミノ酸残基の置換;
(b)P227とP228の間での少なくとも1個のアミノ酸の挿入;ならびに
(c)位置P227および/もしくはP228での少なくとも1個のアミノ酸残基の欠失、
からなる群より選択される、実施形態112に記載の方法。
【0380】
114. 前記置換が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、C226S、C226T、P227G、P227A、P227W、P227F、P228G、P228A、P228W、P228F、C229S、C229T、P230GおよびP230Aからなる群より選択される少なくとも1個のアミノ酸残基の置換である、実施形態113に記載の方法。
【0381】
115. アミノ酸挿入が、1〜5アミノ残基の挿入である、実施形態113に記載の方法。
【0382】
116. アミノ酸挿入が、少なくとも1個のA残基;少なくとも1個のG残基および少なくとも1個のA残基および少なくとも1個のG残基からなる群より選択される、実施形態113または115に記載の方法。
【0383】
117. アミノ酸残基が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、P227とP228の間に挿入される、実施形態113、115または116に記載の方法。
【0384】
118. 前記改変が、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いて、
(a)P227GおよびP228Gの置換;
(b)P230Gの置換;
(c)C229Sの置換;
(d)C226Sの置換;
(e)P227とP228の間での少なくとも1〜3個のG残基の挿入;
(f)P227およびP228の欠失;ならびに
(g)P227WおよびP228Wの置換、
からなる群より選択される、実施形態113に記載の方法。
【0385】
119. 前記ポリペプチドが抗原結合ドメインをさらに含む、実施形態91〜118のいずれかに記載の方法。
【0386】
120. 前記ポリペプチドが抗体である、実施形態91〜119のいずれかに記載の方法。
【0387】
121. Fc領域が追加の改変をさらに含む、実施形態91〜120のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0388】
7. 実施例
ここで、本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は、例示のみの目的で提供され、本発明はいかなる意味においてもこれらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ本明細書に提供される教示の結果として明らかになる任意かつ全ての変更を包含すると解釈されるべきである。
【0389】
7.1 新規Fc変異体の構築および発現
ヒト受容体チロシンキナーゼEphA2(Kinchら、2003, Clin. Exp. Metastasis 20: 59-68)に対するヒトモノクローナル抗体(以後、mAb 12G3H11と呼ぶ、図1を参照)を、モデルとして用いた。mAb 12G3H11の可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)遺伝子のアミノ酸配列を、図1に示す(それぞれ、配列番号1および2)。12G3H11の可変領域を、ヒトサイトメガロウイルス主要極初期(hCMVie)エンハンサー、プロモーターおよび5'-非翻訳領域をコードする哺乳動物発現ベクター中に個別にクローニングした(Boshartら、1985, Cell 41: 521-530)。この系においては、ヒトγ1鎖は、ヒトκ鎖と共に分泌される(Johnsonら、1997, J. Infect. Dis. 176: 1215-1224)。ヒンジの長さ、可撓性およびコンフォメーションを変化させた改変(表2を参照)を作製し、いくつかのFcリガンドへのそれらの結合について特性評価した。1個以上のFcリガンドへの結合に対する劇的な影響を有したいくつかのヒンジ改変を同定した(考察については以下を参照)。
【0390】
7.1.1 材料および方法
Fc変異体抗体構築物の作製:種々のヒンジ改変(「1-CD Invert」、「2-SC Invert」、「3-C to S low」、「4-C to S Middle」、「5-GGG Insert Low」、「6-GGG Insert High」、「7-P to G Low」、「8-PP to GG Low」、「9-DKTHT to GGGGG」、「10-EPKS to GGGG」、「11-4 AA Delete」、「12-2 AA Delete Low」、「13-2 AA Delete Mid」、「14-T to C Middle」、「15-PPP Insert Low」、「16-PPP Insert High」、「17-DKTHT to PPPPP」、「18-EPKS to PPPP」、「19-PP to WW Low」、「20-KT to WW Mid」および「21-HT to CC Middle」と命名し、また、それぞれ1〜21の番号で単純に呼ぶ)を、抗EphA2 mAb 12G3H11の重鎖のヒンジ領域に導入した。これを、重複伸長(Hoら、1989, Gene 77:51-59)によるPCRを用いる部位特異的突然変異誘発により行い、オリゴヌクレオチドを表6に列挙した(全て5'から3'の方向で示し、配列、次いでプライマー名の順で示した)。各Fc変異体(1〜21)のヒンジ領域の全長アミノ酸配列を、表2に列挙する。
【表6】

【0391】

【0392】

【0393】

【0394】
より正確には、以下のオリゴヌクレオチド(配列情報および対応する配列番号については表6を参照)の組合せを、PCR反応に用いた。
【0395】
-「1-CD Invert」最終PCR断片を作製するために、それぞれ1/2および3/4(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで5/6(鋳型として、1/2および3/4のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0396】
-「2-SC Invert」最終PCR断片を作製するために、それぞれ7/8および9/10(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで11/12(鋳型として、7/8および9/10のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0397】
-「3-C to S low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ13/14および15/16(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで17/18(鋳型として、13/14および15/16のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0398】
-「4-C to S Middle」最終PCR断片を作製するために、それぞれ19/20および21/22(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで23/24(鋳型として、19/20および21/22のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0399】
-「5-GGG Insert Low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ25/26および27/28(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで29/30(鋳型として、25/26および27/28のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0400】
-「6-GGG Insert High」最終PCR断片を作製するために、それぞれ31/32および33/34(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで35/36(鋳型として、31/32および33/34のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0401】
-「7-P to G Low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ37/38および39/40(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで41/42(鋳型として、37/38および39/40のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0402】
-「8-PP to GG Low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ43/44および45/46(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで47/48(鋳型として、43/44および45/46のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0403】
-「9-DKTHT to GGGGG」最終PCR断片を作製するために、それぞれ49/50および51/52(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで53/54(鋳型として、49/50および51/52のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0404】
-「10-EPKS to GGGG」最終PCR断片を作製するために、それぞれ55/56および57/58(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで59/60(鋳型として、55/56および57/58のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0405】
-「11-4 AA Delete」最終PCR断片を作製するために、それぞれ61/62および63/64(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで65/66(鋳型として、61/62および63/64のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0406】
-「12-2 AA Delete Low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ67/68および69/70(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで71/72(鋳型として、67/68および69/70のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0407】
-「13-2 AA Delete Mid」最終PCR断片を作製するために、それぞれ73/74および75/76(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで77/78(鋳型として、73/74および75/76のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0408】
-「14-T to C Middle」最終PCR断片を作製するために、それぞれ79/80および81/82(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで83/84(鋳型として、79/80および81/82のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0409】
-「15-PPP Insert Low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ85/86および87/88(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで89/90(鋳型として、85/86および87/88のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0410】
-「16-PPP Insert High」最終PCR断片を作製するために、それぞれ91/92および93/94(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで95/96(鋳型として、91/92および93/94のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0411】
-「17-DKTHT to PPPPP」最終PCR断片を作製するために、それぞれ97/98および99/100(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで101/102(鋳型として、97/98および99/100のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0412】
-「18-EPKS to PPPP」最終PCR断片を作製するために、それぞれ103/104および105/106(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで107/108(鋳型として、103/104および105/106のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0413】
-「19-PP to WW Low」最終PCR断片を作製するために、それぞれ109/110および111/112(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで113/114(鋳型として、109/110および111/112のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0414】
-「20-KT to WW Mid」最終PCR断片を作製するために、それぞれ115/116および117/118(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで119/120(鋳型として、115/116および117/118のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0415】
-「21-HT to CC Middle」最終PCR断片を作製するために、それぞれ121/122および123/124(鋳型として、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで125/126(鋳型として、121/122および123/124のオリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。このFc変異体のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0416】
次いで、これらの21個の最終PCR断片を、上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクター中に個別にクローニングした。これにより、21個の異なるヒンジ改変された対応物による、12G3H11の野生型重鎖定常部分の置換が得られた。この配列を、ABI 3100配列決定装置を用いて検証した。
【0417】
種々のFc変異体抗体の発現および精製:ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞を、リポフェクタミンおよび標準的なプロトコルを用いて、90 mm皿中、種々の抗体構築物(上記を参照)で一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの72および144時間後に、上清を2回収穫し、プールした。分泌された可溶性ヒトIgG1を、製造業者の説明書(APBiotech, Inc., Piscataway, NJ)に従って、1 mlのHiTrapプロテインAまたはプロテインGカラム上で直接的に条件化培地から精製した。精製されたヒトIgG1(典型的には、SDS-PAGEにより判定されるように、95%を超える均一性)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して透析し、瞬間凍結し、-70℃で保存した。
【0418】
FLAG-タグ付ヒトFcγRIIIA構築物のクローニング、発現および精製:ヒトFaγRIIIAのFLAG-タグ付細胞外ドメインを、以下のようにクローニングし、発現させた:簡単に述べると、EA1/EA2(表6を参照)オリゴヌクレオチドの組合せを用いて、鋳型としてヒト骨髄のcDNAライブラリー(Clontech, CA)を用いてヒトFcγRIIIAの細胞外ドメインをPCR増幅した。次いで、PCR産物を、XbaI/NotI断片として上記の哺乳動物細胞発現ベクター中にクローニングした。ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞を、リポフェクタミンおよび標準的なプロトコルを用いて、この構築物で一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの72、144および216時間後に上清を3回収穫し、プールした。分泌された可溶性ヒトFLAG-タグ付FcγRIIIAを、製造業者の説明書(Sigma)に従って、抗FLAG M2アガロースカラム上で直接的に条件化培地から精製した。次いで、FLAG-タグ付FcγRIIIAをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して透析し、-70℃で保存した。
【0419】
ヒトFcγRIIIA/ストレプトアビジン融合タンパク質のクローニング、発現および精製:ストレプトアビジンと融合させたヒトFcγRIIIAの細胞外ドメインを、以下のようにクローニングし、発現させた:簡単に述べると、SA1/SA2およびA1/A2(表6を参照)オリゴヌクレオチドの組合せを用いて、それぞれストレプトアビジンおよびヒトFcγRIIIの細胞外ドメインをPCR増幅した。ヒト骨髄のcDNAライブラリー(Clontech, CA)およびストレプトミセス・アビジニ(Streptomyces avidinii)のゲノムDNA(ATCC, VA)を、それぞれFcγRIIIAおよびストレプトアビジンの増幅のための鋳型として用いた。次いで、A1/SA2オリゴヌクレオチドの組合せを用いる重複PCRを用いて、FcγRIII/ストレプトアビジン融合タンパク質を集合させた後、NcoI/NheI断片としてpET-28a発現ベクター(Novagen, CA)中にクローニングした。FcγRIII/ストレプトアビジン融合タンパク質を、記載のように発現させ、再折畳みさせた(Gaoら、1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 11777-82)。次いで、再折畳みされた材料を、製造業者の説明書(Pierce, IL)に従ってイムノビオチンカラムを用いて精製し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して透析し、-70℃で保存した。
【0420】
7.2 FcリガンドへのFc変異体の結合分析
2つの異なるFcリガンド、FcγRIIIA(F158アロタイプ)およびC1qに結合する各Fc変異体の能力をアッセイした。多くのFc変異体について、ELISAおよびBIAcore分析の両方を実施した。
【0421】
Fc変異体のC1qへの結合に対する種々のヒンジ改変の効果をここでまとめ、図2〜7に示す。ヒンジ領域の可撓性を増加させる結果を、図2に示す。それらはわずかに(Fc変異体9、10)から非常に(Fc変異体3、4、7、8)有害まで変化する。ヒンジ領域の可撓性を減少させる結果(図3に示す)は、結合をわずかに減少させる(21)から効果なし(14)まで、結合をわずかに改善する(Fc変異体17、18)まで変化する。
【0422】
ヒンジの可撓性における変化と関連するヒンジの長さを増加させるC1q結合に対する効果を、図4および5に示す。ヒンジ領域の長さを増加させることは、それがその中央部分の全体の可撓性の増加と関連する場合、劇的な負の効果のみを有する(Fc変異体5、図4を参照)。追加の可撓性成分をヒンジのより高い部分に移植する場合(Fc変異体6、図4を参照)、負の効果が依然として認められるが、有意に弱体化される。ヒンジ領域の可撓性の減少と関連する長さの増加(Fc変異体15、16、図5)は、追加の剛性成分を導入した場合にも拘らず、有意な結果を有さなかった。
【0423】
ヒンジ領域の長さを減少させることは、欠失を作製する場合に依存して異なる効果を有する(図6を参照)。より正確には、ヒンジの中央部分における2個のアミノ酸欠失(Fc変異体12)は、C1qへの結合のノックアウトをもたらすが、ヒンジの上側部分における2個のアミノ酸欠失はC1q結合に対する有意な効果を有さなかった(Fc変異体13)。ヒンジの上側および中央部分の両方における2個のアミノ酸欠失(Fc変異体11)は、ヒンジの中央部分のみにおける2個のアミノ酸欠失(Fc変異体12)よりもC1q結合に対して大まかに同じ効果を有する。
【0424】
図7は、ヒンジ領域のコンフォメーション全体を変化させるヒンジ改変の効果を示す。これらのヒンジ改変は、ヒンジ領域の特性に対するより不確かな効果を有し、強い負の効果(Fc変異体19)、正の効果(Fc変異体1、20)または有意でない効果(Fc変異体2)をもたらす。ヒンジ領域の上側または中央部分における疎水性でかさ高いトリプトファンにより同一のアミノ酸置換を導入する効果を比較する場合、C1qに対する結合が後者の改変により負の影響を受けることに留意することは興味深い(Fc変異体19および20を比較)。
【0425】
いくつかのFc変異体(1、5、8、11、17、18、19および20)のC1q結合を、BIAcoreにより分析した。決定されたKDは表7に報告されており、一般的にはELISAデータと良好に一致する。C1qへの結合の喪失が、ELISAにより決定された最も激しいものの1つである変異体11は、その野生型対応物(12G3H11)と比較した場合、C1qに対する結合親和性における約7倍の減少を示した。ELISAシグナルが変異体11と比較可能であった変異体5は、約3倍のみのC1qに対する結合親和性の喪失を示した。この差異は、異なる形式のアッセイに起因するようである。ELISAおよびCDCアッセイにより認められたものと違って(以下を参照)、「増強された」変異体1は、BIAcoreを用いて12G3H11と比較した場合、C1q結合の有意な増加を示さなかった(表7)。ここで再び、これはおそらくアッセイの形式および/または感度における差異を反映したものである。
【表7】

【0426】
FcγIIIAへのFc変異体の結合に対する種々のヒンジ改変の効果を、ここでまとめ、図8〜13に示す。ヒンジ領域の可撓性を増加させる結果(図8に示す)は、わずかに有害(Fc変異体4、7、8)から効果なし(Fc変異体3、9、10)まで変化するようである。ヒンジの可撓性を減少させる結果(図9を参照、Fc変異体14、17、18、21)は、FcγRIII結合が関与する限り、有意な効果を有さないようである。
【0427】
ヒンジ領域の長さを増加させることは、それがその中央部分の全体の可撓性の増加に関連する場合のみ、FcγRIII結合に対する劇的な「ノックアウト」効果を有する(Fc変異体5、図10)。追加の可撓性成分をヒンジのより高い部分に移植する場合(Fc変異体6、図10)、FcγRIII結合に対する負の効果は減少してほとんど正常まで戻る。可撓性の減少と関連する長さの増加(Fc変異体15、16、図11)は、追加の剛性成分を導入する場合にも拘らず、FcγRIII結合に関する有意な結果を有さない。
【0428】
FcγRIII結合に対するヒンジの長さを減少させる効果を、図12に示す。ヒンジ領域の長さを減少させることは、欠失を作製する場合の機能において異なる効果を有する。より正確には、ヒンジの中央部分における2個のアミノ酸欠失(Fc変異体12)は、FcγRIIIへの結合に関する小さい減少をもたらすが、ヒンジの上側部分における2個のアミノ酸欠失はFcγRIII結合に対する有意な効果を有さない(Fc変異体13)。ヒンジの上側および中央部分の両方における2個のアミノ酸欠失(Fc変異体11)は、ヒンジの中央部分のみにおける2個のアミノ酸欠失(Fc変異体12)よりも大まかに同じ効果を有する。
【0429】
C1q結合について認められるように、ヒンジのコンフォメーション全体を変化させる改変は、FcγRIII結合に対するより不確かな効果を有する(図13)。これらの型のヒンジ改変は、FcγRIII結合に対する強い負の効果(Fc変異体19)または有意でない効果(Fc変異体1、2、20)をもたらす。ヒンジ領域の上側または中央部分において同一のアミノ酸置換を導入する効果を比較する場合、FcγRIIIへの結合は、後者における改変により、より大きい程度まで影響を受けることに留意することは興味深い(Fc変異体19および20を比較)。
【0430】
いくつかのFc変異体(5、8および11)のFcγRIIIA結合を、BIAcoreにより分析して、KDを決定した(表7)。BIAcoreにより決定された解離定数は、ELISAデータと一致する。変異体5は、ELISAによるとFcγRIIIAへの結合の最も劇的な減少を示し、これを翻訳すると、その野生型対応物と比較した場合、FcγRIIIAに対する結合親和性の約7倍の減少を示す。また、ELISA測定から予想されるように、変異体11は、FcγRIIIAに対する結合親和性のわずかな減少を示したが(約2倍)、変異体8についてはその結合特性の有意な変化は認められなかった。
【0431】
7.2.1 材料および方法
ELISAによる12G3H11およびそのFc変異体へのヒトC1q結合の分析:ヒトC1qへの表2に列挙された種々のヒトIgG1 Fc変異体の結合を特性評価するために、以下のELISAを行った:簡単に述べると、96穴Maxisorp Immunoplateの個々のウェルを、20〜0.31μg/mlの濃度で2倍連続希釈されたサンプル(精製された12G3H11またはそのヒンジFc変異体、上記参照)50μlで、4℃にて一晩被覆した後、37℃で2時間3%BSA/PBSでブロッキングした。12G3H11「野生型」を、個々のアッセイプレート上で系統的に被覆した。次いで、プレートを100μlの2μg/mlヒトC1q(Quidel, CA)と共に37℃で1時間、およびヒツジ抗ヒトC1q(BioDesign, ME; 1/1000希釈)と共に37℃で1時間、連続的にインキュベートした。次いで、ロバ抗ヒツジIgG西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(Serotec, NC; 1/10000希釈)と共に室温で1時間インキュベートした。西洋ワサビぺルオキシダーゼ活性を、TMB基質(KPL, MD)を用いて検出し、反応を1%H2SO4でクエンチした。プレートを450 nmで読み取った。各ヒトIgG1濃度について、サンプルの平均OD450:同じプレート上の12G3H11「野生型」により示される平均OD450の比を算出した。少なくとも2つの独立した一連の実験の典型的な結果を、図2、3、4、5、6、7、22および23に示す。
【0432】
ELISAによる12G3H11およびそのFc変異体へのヒトFcγRIIIAの結合の分析:ヒトFcγRIIIへの表2に列挙された種々のヒトIgG1 Fc変異体の結合を特性評価するために、以下のELISAを行った:簡単に述べると、96穴Maxisorp Immunoplateの個々のウェルを、25 ngのプロテインA/G(Pierce, IL)を用いて4℃で一晩被覆し、3%BSA/PBSを用いて37℃で2時間ブロッキングし、50μlの10〜0.156μg/mlの濃度の2倍連続希釈されたサンプル(精製された12G3H11またはそのヒンジFc変異体、上記参照)と共に37℃で1時間インキュベートした。12G3H11「野生型」を、個々のアッセイプレート上で系統的に被覆した。次いで、プレートを100μlの2.5μg/mlヒトFcγRIII/ストレプトアビジン(上記参照)およびビオチン西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(Pierce, IL; 1/1000希釈)と共に37℃で1時間、連続的にインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ活性を、TMB基質(KPL, MD)を用いて検出し、反応を1%H2SO4でクエンチした。プレートを450 nmで読み取った。各ヒトIgG1濃度について、サンプルの平均OD450:同じプレート上の12G3H11「野生型」により示される平均OD450の比を算出した。少なくとも2つの独立した一連の実験の典型的な結果を、図8、9、10、11、12、13、24および25に示す。
【0433】
BIAcoreによる12G3H11およびそのFc変異体へのヒトC1qの結合の分析:可溶性ヒトC1q(Quidel, CA)と、固定された12G3H11(「野生型」)、「1-CD Invert」、「5-GGG Insert Low」、「8-PP to GG Low」、「11-4 AA Delete」、「17-DKTHT to PPPPP」、「18-EPKS to PPPP」、「19-PP to WW Low」および「20-KT to WW Mid」ヒンジFc変異体との相互作用を、BIAcore 3000装置(Pharmacia Biosensor, Uppsala, Sweden)を用いる表面プラズモン共鳴検出によりモニターした。タンパク質濃度を、ビシンコニン酸法により算出した。種々のヒトIgG1を、4830〜9221 RUの表面密度で、記載のように(Johnssonら、1991, Anal. Biochem. 198: 268-77)Amine Coupling Kitを用いて、CM5センサーチップ(Pharmacia Biosensor)のデキストランマトリックスにカップリングさせた。過剰の反応性エステルを、70μlの1.0 M塩酸エタノールアミン、pH 8.5の注入によりクエンチした。ヒトC1qを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)バッファーに対してバッファー交換し、5〜10μL/分の流速で750〜12 nMの濃度で、平衡結合実験において用いた。希釈および結合実験を、0.01 M HEPES pH 7.4、0.15 M NaCl、3 mM EDTAおよび0.005% P-20を含む50 mM HBSバッファー中で行った。データを約50分間回収し、2回の1 M NaCl/50 mM NaOHの1分パルスを用いて、表面を再生した。ヒトC1qを、被覆されていない細胞上で流出させ、これらのブランクランに由来するセンサーグラムを、IgG1結合チップについて得られたものから差し引いた。GraphPad Prism (GraphPad Software, Inc., CA)を用いて、結合等温線を1部位結合モデルに適合させることにより、解離定数(KD)を決定し、表7に記録する。
【0434】
BIAcoreによる12G3H11およびそのFc変異体へのヒトFcγRIIIAの結合の分析:可溶性ヒトFcγRIIIAと、固定された12G3H11(「野生型」)、「5-GGG Insert Low」、「8-PP to GG Low」および「11-4 AA Delete」ヒンジFc変異体との相互作用を、BIAcore 3000装置(Pharmacia Biosensor, Uppsala, Sweden)を用いる表面プラズモン共鳴検出によりモニターした。タンパク質濃度を、ビシンコニン酸法により算出した。種々のヒトIgG1を、7765〜8385 RUの表面密度で、記載のように(Johnssonら、1991, Anal. Biochem. 198: 268-77)Amine Coupling Kitを用いて、CM5センサーチップ(Pharmacia Biosensor)のデキストランマトリックスにカップリングさせた。過剰の反応性エステルを、70μlの1.0 M塩酸エタノールアミン、pH 8.5の注入によりクエンチした。Flagタグ付ヒトFcγRIIIA(上記参照)を、5〜10μL/分の流速で20000〜9.8 nMの濃度で、平衡結合実験において用いた。希釈および結合実験を、0.01 M HEPES pH 7.4、0.15 M NaCl、3 mM EDTAおよび0.005% P-20を含む50 mM HBSバッファー中で行った。データを約50分間回収し、1回の5 mM HClの30秒パルスを用いて、表面を再生した。Flagタグ付ヒトFcγRIIIAを、被覆されていない細胞上で流出させ、これらのブランクランに由来するセンサーグラムを、IgG1結合チップについて得られたものから差し引いた。GraphPad Prism (GraphPad Software, Inc., CA)を用いて、結合等温線を1部位結合モデルに適合させることにより、解離定数(KD)を決定し、表7に記録する。
【0435】
7.3 Fc変異体のエフェクター機能
上記の結合データに基づいて、いくつかのFc変異体をさらなる分析のために選択した。変異体のADCCおよび/またはCDC活性を、以下に記載のように決定した。
【0436】
Fc変異体「5-GGG insert low」は一貫して、その野生型対応物(12G3H11)と比較した場合、ADCC活性の有意な低下を示した。3人の独立したドナーから得た代表的なデータを、図14、15および16に示す。これは対応する結合データに一致する(表7、図10)。
【0437】
Fc変異体「5-GGG insert low」、「7-P to G low」および「11-4 AA delete」は一貫して、その野生型対応物(12G3H11)と比較した場合、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCT26細胞およびヒトEphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞の両方の上でのCDC活性の有意な低下を示した。代表的なデータを、それぞれ図17および18に示す。これらのデータは、対応する結合データと一致する(表7、図2、4および6)。
【0438】
Fc変異体「1-CD invert」および「20-KT to WW mid」は一貫して、その野生型対応物(12G3H11)と比較した場合、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCT26細胞およびヒトEphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞の両方の上でのCDC活性の有意な増強を示した。代表的なデータを、それぞれ図19および20に示す(以下も参照)。興味深いことに、Fc変異体「1-CD invert」および「20-KT to WW mid」も、その野生型対応物(12G3H11)のみがわずかな活性を示した条件においては、トランスフェクトされていないKATO III細胞上でCDC活性の有意な増強を示した。代表的なデータを図21に示す。ここ再び、これらのデータは、対応する結合実験と一致する(表7、図7)。
【0439】
7.3.1 材料および方法
12G3H11および種々のヒンジ変異体のADCC活性:ヒト血液サンプルを、ヘパリン処理したシリンジを用いて、8人の独立した健康なボランティア(そのFcγRIIIAアロタイプについて遺伝子型決定されていない)から回収し、2倍量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、Lymphoprep勾配(ICN, Irvine, CA)上で層状にし、室温で30分間、400 gで遠心分離した。末梢血単核細胞(PBMC)を境界から収穫し、PBSで3回洗浄し、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補給したL-グルタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含むRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地中に再懸濁した。次いで、40 ng/mlの組換えヒトIL-2(R&D Systems, Minneapolis, MN)をPBMCに添加した。次いで、T-175フラスコ(BD Biosciences, Bedford, MA)中、37℃で一晩インキュベートした。算出されたA549(ヒト肺癌)細胞を続く日に収穫し、2 x 105細胞/mlの密度で、5%FBS(アッセイバッファー)を補給したRPMI1640中に再懸濁した。次いで、これらを、アッセイバッファー(上記参照)中、50μl/ウェルの種々の濃度の抗体と共に、50μl/ウェルで、96穴丸底組織培養プレート(BD Biosciences, Bedford, MA)に添加し、37℃で30分間予備インキュベートした。次いで、PBMCをその一晩のインキュベーションから収穫し、アッセイバッファー(上記参照)中に、5 x 106細胞/ml(50:1のエフェクター(E):標的(T)比について)および2.5 x 106細胞/ml(25:1のE:T比について)で再懸濁し、100μl/ウェルでアッセイプレートに添加した。25μl/ウェルの9%Triton X-100(Promega, Madison, WI)を、完全な溶解のための対照として添加した。プレートを300Xgで3分間遠心分離し、37℃でのインキュベーションを4時間継続した。次いで、プレートを300Xgで10分間遠心分離し、各ウェルから50μlの上清をMaxisorp96穴プレート(BD Biosciences, Bedford, MA)に移した。次いで、50μlの再構成された基質ミックス(CytoTox 96 Non-Radioactive Cytotoxity Assayキット、Promega, Madison, WI)を全てのウェルに添加し、暗室中、室温にて30分間インキュベートした。50μlのStop溶液(Promega, Madison, WI)を各ウェルに添加し、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出を、490 nmでの吸光度を測定することにより定量した。細胞傷害性(%)を、以下の式:細胞傷害性(%)=(実験-自然発生エフェクター-自然発生標的)/(最大標的-自然発生標的)x 100(式中、「実験」は上記の目的の条件の1つにおいて測定されたシグナルに対応し、「自然発生エフェクター」はPBMCのみの存在下で測定されたシグナルに対応し、「自然発生標的」はA549細胞のみの存在下で測定されたシグナルに対応し、および「最大標的」は界面活性剤により溶解されたA549細胞の存在下で測定されたシグナルに対応する)
を用いて算出した。
【0440】
12G3H11および種々のヒンジ変異体のCDC活性:3つの異なる細胞系を用いて、12G3H11および種々のヒンジ変異体:(i)KATO III(ヒト胃癌)細胞、(ii)ヒトEphA2を一過的にトランスフェクトされた(リポフェクタミン)KATO III細胞、(iii)ヒトEphA2を安定にトランスフェクトされたCT-26(マウス結腸癌)細胞(MedImmune, Inc)、(iv)リポフェクタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)および標準的なプロトコルを用いてヒトEphA2を一過的にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞ならびに(v)カニクイザルEphA2を安定にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のCDC活性を評価した。典型的には、これらの細胞を、酵素を含まない細胞解離バッファー(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて個々に収穫し、96穴プレート中、50μl/ウェルのアッセイバッファー(RPMI/0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)/20 mM HEPES)中で50,000細胞/ウェルで塗布した。次いで、細胞を、種々の濃度の抗体(0.1、1.0、10または50μg/ml)と共に氷上で1時間インキュベートした。25μl/ウェルの9%Triton X-100(Promega, Madison, WI)を、完全な溶解のための対照として添加した。正常なヒト血清補体(Quidel, San Diego, CA)を、トランスフェクトされた、およびトランスフェクトされていないKATO III細胞については1:5ならびにCT-26細胞については1:3でアッセイバッファー(上記参照)中に希釈した。50μl/ウェルの希釈された血清を、細胞に添加した。次いで、37℃で2時間のインキュベーションを行った。次に、50μl/ウェルのアラマー・ブルー(BioSource, Camarillo, CA)を添加し、インキュベーションを一晩継続した。それぞれ530および590 nmに設定された励起波長および放射波長を用いるSpectraMax Fluorometerを用いて、蛍光を読み取った。細胞傷害性(%)を、0(細胞、血清、抗体なし)と100%(細胞、血清、抗体なし、Triton X-100)の間での直線回帰を用いて算出した。
【0441】
7.4 組合せおよび代替Fc変異体
上記のFc変異体の特性評価に基づいて、いくつかのさらなるFc変異体(「22-Combo 1+20」、「23-F2」、「24-W3」、「25-W2 variant」、「26-WW upper」、「27-W first」および「28-W second」と命名され、また、それぞれ22〜28の番号でも呼ばれる)を、既に作製された改変を組合わせるか、または既に試験されたいくつかの上側ヒンジ位置の代替的な改変を作製することにより作製した(表2、「組合せおよび代替的改変」の表題の節を参照)。エフェクター分子(例えば、C1qおよびFcγRIIIA)に結合するこれらの変異体の能力を試験し、これらの変異体のCDC活性を上記のように決定した。
【0442】
Fc変異体22、24、25、27および28は、C1qに対する結合の増加を示したが(図22および23を参照)、Fc変異体26および23は有意に変化したそのC1q結合能力を有さなかった(図23)。しかしながら、Fc変異体1と20の組合せ(Fc変異体22)は、相加効果または相乗効果を示さず、変異体19および21と類似するC1q結合特性を示す分子が得られた(図7と22を比較する)。
【0443】
Fc変異体28は、ヒトFcγRIIIAへの結合におけるわずかな増加を示したが(図24を参照)、Fc変異体22、23、24、25、26および27のみが、FcγRIIIA結合におけるわずかな増加もしくは減少を示したか、または変化を示さなかった(図24および25)。
【0444】
Fc変異体1、20、22、24および25は一貫して、その野生型対応物(12G3H11)と比較した場合、KATO III細胞、ヒトEphA2をトランスフェクトされたCT26細胞およびカニクイザルEphA2をトランスフェクトされたCHO細胞上でのCDC活性の有意な増強を示した。代表的なデータを、それぞれ図26、27および28に示す。ヒトEphA2をトランスフェクトされたKATO III細胞およびヒトEphA2をトランスフェクトされたCHO細胞を用いる場合、Fc変異体1、20、22、24および25は依然として一貫して、CDC活性の有意な増加を示した(それぞれ図29および30)。以前に認められたように、これらのデータは、対応する結合実験と一致する(表7、図7、22および23)。
【0445】
7.4.1 材料および方法
組合せおよび代替的Fc変異体抗体構築物の作製:種々のヒンジ改変(表2に列挙、「組合せおよび代替的改変」の表題の節)を、本質的には上記のように、重複伸長によるPCRを用いる部位特異的突然変異誘発により、mAb 12H3H11の重鎖のヒンジ領域中に導入した。以下のオリゴヌクレオチド(配列情報および対応する配列番号については、表6を参照)の組合せを、PCR反応に用いた:
-「22-combo 1+20」最終PCR断片を作製するために、それぞれ127/128および129/130(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで131/132(鋳型として127/128および129/130オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0446】
-「23-F2」最終PCR断片を作製するために、それぞれ145/146および147/148(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで149/150(鋳型として145/146および147/148オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0447】
-「24-W3」最終PCR断片を作製するために、それぞれ151/152および153/154(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで155/156(鋳型として151/152および153/154オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0448】
-「25-W2 variant」最終PCR断片を作製するために、それぞれ157/158および159/160(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで161/162(鋳型として157/158および159/160オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0449】
-「26-WW-upper」最終PCR断片を作製するために、それぞれ163/164および165/166(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで167/168(鋳型として163/164および165/166オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0450】
-「27-W first」最終PCR断片を作製するために、それぞれ133/134および135/136(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで137/138(鋳型として133/134および135/136オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0451】
-「28-W second」最終PCR断片を作製するために、それぞれ139/140および141/142(鋳型として上記の12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクターを用いる)、次いで143/144(鋳型として139/140および141/142オリゴヌクレオチドの組合せにより作製されたPCR断片を用いる)。この突然変異のアミノ酸配列については表2を参照されたい。
【0452】
次いで、これらの7つの最終PCR断片を、上記のように12G3H11/重鎖コード哺乳動物発現ベクター中に個別にクローニングした。これにより、これらの7つの異なるFc変異体対応物による12G3H11の重鎖定常部分の置換が得られた。ABI 3100配列決定装置を用いて、配列を検証した。
【0453】
7.5 リガンド結合
C1q/FcγRIIIA結合における有意な変化を示したヒンジ変異体(上記参照)は、12G3H11と類似する同族抗原(ヒトEphA2)に対する見かけの結合親和性を有していた(データは示さない)。その見かけの解離速度はBIAcoreの感度限界(約5 x 10-6s-1)に近いか、またはそれを超えるものであったので、これらの変異体のうち、それらのエフェクター機能の減少をも示したものを、KinExa装置を用いてより正確に特性評価した。再度、ヒトEphA2に対する対応する親和性は、12G3H11と非常に類似していた(表8)。これは、プロテインAまたはGにより精製しようとするこれらのIgGの能力と共に(材料および方法を参照)、エフェクター機能に対するこれらの効果が主要な構造的変化により引き起こされるものではないことを示唆していた。
【表8】

【0454】
KinExaによる12G3H11およびそのヒンジ変異体へのヒトEphA2結合の分析:固定されたヒトEphA2-Fcと、可溶性12G3H11、変異体3、4、5、6、11、13、14および18との相互作用を、KinExA 3000装置(Sapidyne Instruments, Boise, ID)を用いてモニターした。タンパク質濃度を、BCA法により算出した。典型的には、ヒトEphA2-Fcを、製造業者の説明書(Sapidyne Instruments, Boise, ID)に従って、0.05 M NaHCO3、pH 9.0中、100μg/mlの濃度で、4℃で1〜2時間、Azlactoneビーズ上で被覆した。次いで、被覆されたビーズを、穏やかなパルススピンを用いて未反応のEphA2-Fcから分離し、1 M Tris, pH 8.0、ウシ血清アルブミン10 mg/mLを用いて、室温で約2時間、ブロッキングした。次いで、ビーズを30 mLの泳動バッファー(PBS、pH 7.4 - 0.02%NaN3)中に再懸濁し、カラム中に詰めた。典型的には、ヒトIgGを、10、25および/または50 pMの濃度で調製した。次いで、ヒトEphA2-Fcを、それぞれ39 fM〜80 pMおよび156 fM〜400 pMの濃度でこれらのIgG溶液を横切って力価測定し、室温で3〜7日間インキュベートした。サンプル中の遊離IgGの量は、Cy5標識されたヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(典型的には、0.5〜2μg/ml;Jackson ImmunoResearch Laboratories, West Grove, PA)をカラムに通過させた後に得られた蛍光シグナルに由来していた。KinExA Pro 1.0.3.ソフトウェアを用いて、個々の平衡力価測定データを1:1結合モデルに適合させることにより、解離定数(KD)を決定した。
【0455】
7.6 構造分析-鎖対形成
Fc変異体27および28について以外は、表2に記載の変異体を、還元的または非還元的条件下でのSDS-PAGEによりさらに特性評価した。還元的条件下では、全ての変異体は、それぞれ重鎖および軽鎖ポリペプチド鎖に対応する約60および30 kDaの2つの主要なバンドとして移動した(図31、上のパネル、データは示さない)。非還元的条件では、変異体4、5、8、11、12および19は、約200および100 kDaの2つの主要なバンドとして移動した(図31、左下パネル)。200 kDaのバンドは、完全長IgGに対応する。12G3H11と比較した場合、有意により高いレベルで存在する100 kDaのバンドは、非共有結合した重鎖の割合を増加を示す、共有結合した重鎖および軽鎖からなるダイマー半構造に対応する。これらの2つの種の相対比率の範囲を観察したところ、ほとんど半分のIgG(変異体5および19)から、同様の量の完全長および半分のIgG(変異体11および12)、ほとんど完全長のIgG(変異体4および8)まで変化した。全ての他のFc変異体は、12G3H11と比較した場合、100 kDa種の有意により大きい比率を示さず、約200 kDaの完全長IgGに対応するバンドを示した。これらのFc変異体のCDC活性上に認められる少なくともいくつかの効果が、両方の重鎖間の示差的相互作用の直接的結果である可能性があるが、変異体4、5、7および8のサイズ排除クロマトグラフィーは、有意な解離を示さなかった(データは示さない)。さらに、非還元的条件下で、Fc変異体1、2、20、22、23、24、25および26について、有意でない量の対を形成しなかった軽鎖が観察されたが、これは上側ヒンジを介する共有結合が依然として全ての場合において形成していたことを示唆している。
【0456】
鎖対形成:各変異体を、還元的条件(図31、上のパネル)または非還元的条件(図31、下のパネル)下でのSDS-PAGEにより特性評価した。
【0457】
本発明の特定の実施形態を説明の目的で上記してきたが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明から逸脱することなく、その詳細の多くの変更を行うことができることが、当業者には明らかであろう。
【0458】
本明細書に記載の全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許または特許出願が、参照により本明細書に組み入れられるように特異的および個々に示唆される場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられるものとする。さらに、2005年4月26日に出願された米国特許仮出願第60/674,674号、2005年9月6日に出願された同第60/713,711号および2005年11月10日に出願された同第60/735,169号は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fc領域を含むポリペプチドであって、該Fc領域は改変されたヒトIgG1ヒンジ領域を有し、該ポリペプチドは、野生型ヒトIgG1ヒンジ領域を有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、低下した親和性で少なくともC1qに結合し、該改変されたヒトIgG1ヒンジ領域が以下の(a)-(e)のいずれかを含む、前記ポリペプチド;
(a)アミノ酸置換P227WおよびP228W;
(b)アミノ酸置換P227GおよびP228G;
(c)アミノ酸残基P227とP228の間に「GGG」の挿入;
(d)アミノ酸残基P227およびP228の欠失;あるいは
(e)アミノ酸残基T223、H224、P227およびP228の欠失
(ただし、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いる)。
【請求項2】
親和性が10%〜100%または2倍〜100倍低下する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、野生型ヒンジ領域を有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、少なくとも10%低下したCDC活性を有する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、野生型ヒトIgG1ヒンジ領域を有する以外は同じアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、低下した親和性でC1qおよびFcγRIIIaに結合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記改変されたヒトIgG1ヒンジ領域が以下の(a)-(d)のいずれかを含む、請求項4に記載のポリペプチド;
(a)アミノ酸置換P227WおよびP228W;
(b)アミノ酸残基P227とP228の間に「GGG」の挿入;
(c)アミノ酸残基P227およびP228の欠失;あるいは
(d)アミノ酸残基T223、H224、P227およびP228の欠失
(ただし、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いる)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1または5に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項8】
請求項7に記載の核酸を含むように操作された宿主細胞。
【請求項9】
Fc領域を含むポリペプチドのC1qに対する結合親和性を低下させる方法であって、該Fc領域はヒトIgG1ヒンジ領域を含み、該方法は該ヒンジ領域中に、以下の(a)-(e)からなる群から選択される改変を導入することを含む、前記方法;
(a)アミノ酸置換P227WおよびP228W;
(b)アミノ酸置換P227GおよびP228G;
(c)アミノ酸残基P227とP228の間に「GGG」の挿入;
(d)アミノ酸残基P227およびP228の欠失;ならびに
(e)アミノ酸残基T223、H224、P227およびP228の欠失
(ただし、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いる)。
【請求項10】
Fc領域を含むポリペプチドのC1qおよびFcγRIIIaに対する結合親和性を低下させる方法であって、該Fc領域はヒトIgG1ヒンジ領域を含み、該方法は該ヒンジ領域中に、以下の(a)-(d)からなる群から選択される改変を導入することを含む、前記方法;
(a)アミノ酸置換P227WおよびP228W;
(b)アミノ酸残基P227とP228の間に「GGG」の挿入;
(c)アミノ酸残基P227およびP228の欠失;ならびに
(d)アミノ酸残基T223、H224、P227およびP228の欠失
(ただし、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いる)。
【請求項11】
前記C1qに対する親和性が、未改変のポリペプチドと比較して、10%〜100%または2倍〜100倍低下する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記FcγRIIIaに対する親和性が、未改変のポリペプチドと比較して、10%〜100%または2倍〜100倍低下する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
Fc領域を含むポリペプチドのCDC活性を低下させる方法であって、該Fc領域はヒトIgG1ヒンジ領域を含み、該方法は該ヒンジ領域中に、以下の(a)-(e)からなる群から選択される改変を導入することを含む、前記方法;
(a)アミノ酸置換P227WおよびP228W;
(b)アミノ酸置換P227GおよびP228G;
(c)アミノ酸残基P227とP228の間に「GGG」の挿入;
(d)アミノ酸残基P227およびP228の欠失;ならびに
(e)アミノ酸残基T223、H224、P227およびP228の欠失
(ただし、Kabatに記載のEU指標番号付け系を用いる)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−78327(P2013−78327A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−259745(P2012−259745)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2008−508981(P2008−508981)の分割
【原出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(504333972)メディミューン,エルエルシー (108)
【Fターム(参考)】