説明

ヒンジ機構、およびそれを備えた電子機器

【課題】筐体の回動時にケーブルにかかるテンションの増大を抑えることができ、ケーブルの断線を防ぐ。
【解決手段】シャフト11の柱部11aの中心軸を、シャフト11の回転中心軸に対して偏心させているため、第1の筐体1または第2の筐体2の回動時においてケーブル21がシャフト11に最接近するときにおけるシャフト11とケーブル21との間隙を大きく確保することができる。したがって、第1の筐体1または第2の筐体2の回動範囲において、シャフト11とケーブル21とが接触する可能性が極めて低く、ケーブル21のテンションの増大を防ぐことができるとともに、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことができる。ケーブル21のテンション増大を防ぐことにより、ケーブル21内の電線が破断してしまうことを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ヒンジ機構、およびそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒンジ機構を備えた電子機器としては、ノートパソコン、折りたたみ型携帯電話機、携帯型ゲーム機などがあった。このような電子機器は、ヒンジ機構で回動自在に連結された2つの筐体のそれぞれに、電気回路基板などの電気部品が内蔵されている。例えば、ノートパソコンの場合は、第1の筐体にマザーボード等が内蔵され、第2の筐体に液晶ディスプレイ等が内蔵されている。第1の筐体内の電気部品と第2の筐体内の電気部品とは、ケーブルで電気的に接続されていることが多い。このとき、ケーブルは、ヒンジ機構の近傍に引き回されていることが多い。
【0003】
ヒンジ機構の近傍にケーブルを引き回す場合、第1の筐体及び第2の筐体の回動動作に伴ってケーブルが断線してしまう可能性がある。
【0004】
特開2003−049823号公報は、電子機器の本体部と回転部を支持する回転ヒンジ機構において、電気配線の引き回しの設計自由度を向上させるために回転中心軸から偏心した位置に貫通孔を設けた構成を開示している。
【0005】
特開2003−018263号公報は、第1、第2の筐体とヒンジ部を有する携帯電話において、ケーブルの断線を防止するためケーブルの移動範囲を規制する手段を設けた構成を開示している。
【0006】
特開平06−310874号公報は、2つの筐体とヒンジ部を有する折畳型電子機器において、配線パターンが断線するのを防ぐため目隠しシートを備えた構成を開示している。
【0007】
特開平05−046561号公報は、本体とカバーとヒンジを有する電子機器において、断線等を防止するための改良を施した構成を開示している。
【0008】
特開平06−152491号公報は、折りたたみ式の携帯電話において、ケーブルの断線を防ぐための改良を施した構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−049823号公報
【特許文献2】特開2003−018263号公報
【特許文献3】特開平06−310874号公報
【特許文献4】特開平05−046561号公報
【特許文献5】特開平06−152491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術では、第2の筐体を第1の筐体に対して閉じたときにケーブルのテンションが高くなり、ケーブルが断線することがある。
【0011】
このようなケーブルのテンション増大を抑えるために、ケーブルを長めにしておく方法がある。しかし、ケーブルを長くすると、第2の筐体を第1の筐体に対して開いた状態にしたときに、筐体内でケーブルが大きく弛んでしまう。したがって、筐体内やヒンジ機構の近傍に、弛んだケーブルを配置するための空間が必要となり、電子機器の小型化を阻害してしまう。特に、携帯電話端末などの小型の電子機器においては、ケーブルの配線経路における空間が狭く、弛んだケーブルを配置するための空間を設けることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の電子機器は、電気部品を備えた第1の筐体及び第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回動自在に支持し、ヒンジ中心軸を有するヒンジ部と、前記第1の筐体及び前記第2の筐体それぞれに備える前記電気部品を電気的に接続する信号線とを備えた電子機器であって、前記ヒンジ部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを支持するシャフトを備え、前記信号線は、少なくとも一部が前記シャフトの柱面近傍に位置するように配され、前記第2の筐体が回動するとき、前記第1の筐体の外面の所定の一点と、前記シャフトの前記柱面との距離が変化する。
【0013】
本願のヒンジ機構は、第1の筐体及び第2の筐体を回動自在に支持するシャフトと、前記シャフトの両端近傍を支持し、ヒンジ中心軸を有する一対の支持部とを備え、前記シャフトは、任意の部分における中心軸が前記ヒンジ中心軸に対して偏心した形状を有し、前記第2の筐体が回動するとき、前記第1の筐体の外面の所定の一点と当該シャフトの柱面との距離が変化する。
【発明の効果】
【0014】
本願の開示によれば、筐体の回動時にケーブルにかかるテンションの増大を抑えることができ、ケーブルの断線を防ぐことができる。
【0015】
また、ケーブルを長めに設ける必要がないため、電子機器内に弛んだケーブルを配置するための空間を設ける必要がなく、電子機器の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】実施の形態にかかる電子機器の一例であるノートパソコンの斜視図(第1の状態)
【図1B】実施の形態にかかる電子機器の一例であるノートパソコンの斜視図(第2の状態)
【図2A】ヒンジ部の内部構造を示す模式図(第1の状態)
【図2B】ヒンジ部の内部構造を示す模式図(第2の状態)
【図3A】ヒンジ部の内部構造を示す平面図
【図3B】ヒンジ部の内部構造を示す模式図
【図4A】シャフト及びケーブルの断面図
【図4B】図4AにおけるX−X部の断面図
【図5A】ヒンジ部の内部構造を示す模式図(第1の状態)
【図5B】シャフト及びケーブルの断面図
【図5C】図5BにおけるX−X部の断面図
【図6A】ヒンジ部の内部構造を示す模式図(第2の状態)
【図6B】シャフト及びケーブルの断面図
【図6C】図6BにおけるX−X部の断面図
【図7A】シャフトの変形例を示す側面図
【図7B】図7AにおけるX−X部の断面図
【図8A】切欠面を備えたシャフト及びケーブルの側面図
【図8B】図8AにおけるX−X部の断面図
【図8C】ノートパソコンが第2の状態にあるときのシャフトの断面図
【図9A】シャフトの変形例を示す側面図
【図9B】図9AにおけるX−X部の断面図
【図10】シャフトの変形例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施の形態にかかる電子機器は、電気部品を備えた第1の筐体及び第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回動自在に支持し、ヒンジ中心軸を有するヒンジ部と、前記第1の筐体及び前記第2の筐体それぞれに備える前記電気部品を電気的に接続する信号線とを備えた電子機器であって、前記ヒンジ部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを支持するシャフトを備え、前記信号線は、少なくとも一部が前記シャフトの柱面近傍に位置するように配され、前記第2の筐体が回動するとき、前記第1の筐体の外面の所定の一点と、前記シャフトの前記柱面との距離が変化する。
【0018】
本実施の形態にかかる電子機器において、前記シャフトは、前記信号線に対向する部分における中心軸が、前記ヒンジ中心軸に対して偏心し、前記ヒンジ部回りの開閉動作で前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じた閉状態のとき、前記柱面が前記信号線に対して離隔する構成とすることができる。
【0019】
本実施の形態にかかる電子機器において、前記シャフトは、前記ヒンジ部回りの開閉動作で前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じた閉状態における前記信号線に張力が生じないように、前記柱面に切欠面を備える構成とすることができる。
【0020】
本実施の形態にかかる電子機器において、前記シャフトは、前記ヒンジ部回りの開閉動作で前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じた閉状態における前記柱面と前記信号線との間隙が存在するように、前記柱面に切欠面を備える構成とすることができる。
【0021】
本実施の形態にかかる電子機器において、前記シャフトにおける前記信号線の近傍部分は、その中心軸が、前記回転中心軸を挟んで前記信号線に対向する位置に配されている構成とすることができる。
【0022】
(実施の形態)
〔1.電子機器の構成〕
図1A及び図1Bは、本実施の形態にかかる電子機器の一例であるノートパソコンの外観を示す斜視図である。図1Aは、第1の状態にあるノートパソコンを示す。図1Bは、第2の状態にあるノートパソコンを示す。なお、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、折りたたみ型携帯電話端末、折りたたみ型電子ゲーム機、折りたたみ型電子辞書端末などのように、少なくとも複数の筐体と、複数の筐体を回動自在に支持したヒンジ機構と、複数の筐体に内蔵された電気部品間を電気的に接続する信号線を備えた機器であればよい。
【0023】
図1Aに示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、液晶ディスプレイ4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを回動自在に支持する軸を備えている。なお、ヒンジ部3の詳しい構成については、後述する。第1の筐体1の上面1aにはキーボード5とポインティングデバイス6とを備えている。キーボード5は、ユーザによる各種文字の入力操作を受け付ける。ポインティングデバイス6は、第1の筐体1内に固定され、操作面が第1の筐体1の表面に露出している。ポインティングデバイス6は、その操作面においてユーザによる接触操作を受け付け、液晶ディスプレイ4に表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なデバイスである。なお、第1の筐体1の上面1aとは、ノートパソコンを図1Bに示す第2の状態にしたときに、第2の筐体2に対向する面である。
【0024】
通常、ノートパソコンを使用する際は、図1Bに示す第2の状態から第2の筐体2を矢印Bに示す方向へ回動し、図1Aに示す第1の状態へ移行させる。また、ノートパソコンを折りたたむ場合は、図1Aに示す第1の状態から第2の筐体2を矢印Aに示す方向へ回動し、図1Bに示す第2の状態へ移行させる。第1の状態は、液晶ディスプレイ4が目視可能な状態であり、ノートパソコンを通常使用する状態である。第2の状態は、第2の筐体2を第1の筐体1に対して折りたたんだ状態であり、ノートパソコンを運搬するときなどの不使用状態である。
【0025】
〔2.ヒンジ部3の構成〕
まず、ヒンジ部3の構成の概略について説明する。
【0026】
図2A及び図2Bは、本実施の形態にかかるヒンジ部の概略構成を示す模式図である。図2Aは、図1AにおけるZ−Z部の断面を模式的に示した図である。図2Bは、図1BにおけるZ−Z部の断面を模式的に示した図である。なお、明瞭に図示するために、シャフト11のみにハッチングを付して断面描画し、他の部分については概略描画した。
【0027】
図2A及び図2Bに示すように、ヒンジ部3は、シャフト11を備えている。シャフト11は、略円柱形状であるが、その柱面を形成する母線は曲線となっている。また、シャフト11は、長手方向の一方の端部が第1の筐体1側に回動自在に支持され、他方の端部が第2の筐体2側に固定されている。また、シャフト11は、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させると、その軸方向を回転中心軸として回転する。また、シャフト11は、上述したように柱面を形成する母線が曲線となっているため、柱部11a(図3A参照)の中心軸がシャフト11の回転中心軸に対して偏心している。したがって、シャフト11の柱部11aは、第2の筐体2を図2Aに示す第1の状態にしたとき回転中心軸に対して上面1aに略直交する方向に偏心した位置に位置し、第2の筐体2を図2Bに示す第2の状態にしたとき回転中心軸に対して上面1aの面方向に偏心した位置に位置する。すなわち、シャフト11の柱部11aは、図2Bに示す第2の状態のとき、シャフト11の回転中心軸に対してケーブル21から離間する方向に変位した位置にある。
【0028】
第1の筐体1には、第1のコネクタ22が内蔵されている。第1のコネクタ22は、第1の筐体1内に配された電気回路基板(不図示)に実装されている。第2の筐体2には、第2のコネクタ23が内蔵されている。第2のコネクタ23は、第2の筐体2内に配された液晶ディスプレイ4の駆動回路(不図示)に電気的に接続されている。ケーブル21は、一方の端部が第1のコネクタ22に接続され、他方の端部が第2のコネクタ23に接続されている。すなわち、ケーブル21は、第1のコネクタ22と第2のコネクタ23とを電気的に接続している。
【0029】
図2Aに示すように、ノートパソコンが第1の状態にあるときは、第1のコネクタ22と第2のコネクタ23は図示の位置にあるため、ケーブル21は大きく湾曲していない。したがって、ケーブル21とシャフト11との間には十分な間隙がある。第2の筐体2を、図2Aに示す第1の状態から矢印Aに示す方向へ回動させ、図2Bに示す第2の状態に移行させると、ケーブル21はシャフト11の近傍に位置している部分が湾曲して、シャフト11の柱部11aに近づく。このとき、シャフト11の位置が第1の状態と第2の状態とで変わらない構成では、シャフト11とケーブル21との間隙が小さくなって互いに接触する可能性が高いが、本実施の形態では、シャフト11の柱部11aを回転中心軸から偏心させているため、第2の状態では柱部11aをケーブル21から遠ざけることができるため、シャフト11とケーブル21との間の間隙を大きくすることができる。よって、ケーブル21がシャフト11に接するのを防ぐことができる。
【0030】
以下、ヒンジ部3の具体構成について説明する。
【0031】
図3Aは、ヒンジ部3の内部構造を示す要部平面図である。なお、図3Aは、明瞭に図示するために、第1の筐体1及び第2の筐体2の一部を断面描画している。また、図3Aは、説明の便宜上、第2の筐体2を第1の状態(図1A参照)からさらに矢印Bに示す方向へ回動させて、第1の筐体1に対して約180度開いた状態の図としている。図3Bは、図3AにおけるY−Y部の断面図である。なお、図3Bは、明瞭に図示するために、シャフト11のみにハッチングを付して断面描画し、他の部分については概略描画した。図4Aは、シャフト11及びその周辺機構の側面図であり、図3AにおけるV−V部を矢視した図である。図4Aは、ケーブル21のみ断面描画した。図4Bは、図4AにおけるX−X部の断面図である。
【0032】
図3Aに示すように、ヒンジ部3は、ヒンジ機構10を備えている。ヒンジ機構10は、シャフト11、第1の支持部材12、第2の支持部材13、トルク機構14を備えている。
【0033】
シャフト11は、図4Aに示す線分Cを中心に矢印EまたはF(図3Bまたは図4B参照)に回転可能である。シャフト11は、柱部11aがシャフト11の回転中心軸(線分C)に対して偏心している。具体的には、図4Bにおいて、線分C1と線分C2との交点P1を通りかつ線分C1及びC2に直交する線分は、第1の支持部12a及び第2の支持部13a(後述)の中心軸であるとともに、シャフト11の回転中心軸である(すなわち線分Cと一致)。線分C2と線分C3との交点P2を通りかつ線分C2及びC3に直交する線分は、シャフト11の柱部11aにおける中心軸である。図4Bに示すように、交点P1と交点P2とは位置が一致しておらず、シャフト11の柱部11aの中心軸(交点P2)がシャフト11の回転中心軸(交点P1)に対して偏心していることがわかる。したがって、シャフト11が矢印EまたはFに示す方向に回転した場合、回転中心軸(交点P1)は変位しないが、中心軸(交点P2)は回転中心軸(交点P1)の周囲において変位する。また、シャフト11は、柱部11aの中心軸(交点P2)とシャフト11の回転中心軸(交点P1)とが最も離れている部分、すなわち図3Aに示すアングルでシャフト11を見たときに最も回転中心軸C側に窪んだ部分(以下、最深部11bと称する)において、ケーブル21と交叉している。第2の筐体が回動するとき、前記第1の筐体の外面の所定の一点と、前記シャフトの前記柱面との距離が変化する。なお、シャフト11は、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させるときにかかる力に対する耐性を考慮すると、金属で作製することが好ましい。本実施の形態におけるシャフト11は、軸径が約3〜4mm、軸長が約15mmのステンレス製としたが、寸法及び材料はこれに限定されない。
【0034】
第1の支持部材12は、シャフト11に回転自在に支持されている。第1の支持部材12は、第1の筐体1にネジ16で固定されている。第2の支持部材13は、シャフト11にリベット等により固定されている。第2の支持部材13は、第2の筐体2にネジ15で固定されている。したがって、第2の筐体2を第1の状態(図1A参照)と第2の状態(図1B参照)との間で回動させることにより、シャフト11が第2の筐体2と一体的に回転するとともに、第2の支持部材13が第2の筐体2と一体的にシャフト11の軸周りに回動する。また、第1の支持部材12は、第1の支持部12aが一体的に設けられている。第1の支持部12aは、シャフト11が回転可能に挿通している貫通孔を備えている。第2の支持部材13は、第2の支持部13aが一体的に設けられている。第2の支持部13aは、シャフト11を挿通可能な貫通孔を備えている。シャフト11は、第2の支持部13aの貫通孔に挿通され、リベット等で第2の支持部13aに固定されている。第1の支持部12a及び第2の支持部13aは、図3A〜図4Bに示すように略円筒形状に形成されている。第1の支持部12a及び第2の支持部13aは、図4Bに示す向きに見たときの中心(線分C1及びC2の交点)が、第1の支持部12a及び第2の支持部13aの回転中心軸であるとともに、シャフト11の回転中心軸である。なお、本実施の形態では、図3B及び図4Bに示すように第2の支持部13a側のみ図示したが、第1の支持部12a側も同様の構成である。なお、第1の支持部材12及び第2の支持部材13は、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させるときにかかる力に対する耐性を考慮すると、金属で作製することが好ましく、本実施の形態では例えばステンレス製としたが、これに限定されない。
【0035】
トルク機構14は、複数の円盤状のワッシャやラバーシートなどで構成され、シャフト11に固定されている。本実施の形態では、ワッシャやラバーシートなどにシャフト11を挿通可能な貫通孔を備え、その貫通孔にシャフト11を挿通及び圧入固定させている。したがって、トルク機構14は、第2の筐体2の回動に伴ってシャフト11が回転する際、シャフト11とともに回転する。また、トルク機構14は、第1の支持部材12に圧接している。したがって、第1の支持部材12と接している部分における摩擦により、第2の筐体2に回動負荷を与えることができる。第1の支持部材12とトルク機構14との間の摩擦により、第2の筐体2を、第1の筐体1に対する任意の角度で姿勢を保持させることができる。例えば、図1Aに示す第1の状態における姿勢を保持することができる。なお、本実施の形態におけるトルク機構14の構成は一例であり、少なくともシャフト11の回転あるいは第2の筐体の回動に対して負荷を与えることができれば、他の構成を採用してもよい。
【0036】
ケーブル21は、本実施の形態では電線を絶縁カバーで被覆した同軸ケーブルとした。ケーブル21は、本実施の形態では第1の筐体1内の信号処理回路で生成された表示信号を液晶ディスプレイ4に送るためのケーブルとした。ケーブル21は、第1のコネクタ22から引き出された後、第1の筐体1に形成された孔部1bと第2の筐体2に形成された孔部2bとを挿通して、シャフト11の側面11aに沿ってシャフト11の円周方向に引き回され、第2のコネクタ23に接続されている。
【0037】
以下、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させた時の動作について説明する。本実施の形態では、一例として第1の筐体1の位置は変えず、第2の筐体2を回動させた時の動作について説明する。
【0038】
図5A〜図5Cは、ノートパソコンが第1の状態(図1A参照)にあるときの図である。図6A〜図6Cは、ノートパソコンが第2の状態(図1B参照)にあるときの図である。図5A及び図6Aは、ヒンジ部3の近傍の模式図である。図5B及び図6Bは、ヒンジ機構10におけるシャフト11近傍を図5A及び図6Aの矢印Gに示す方向に見た側面図である。図5C及び図6Cは、図5B及び図6BにおけるX−X部の断面図である。
【0039】
まず、図5Aに示すように、ノートパソコンが第1の状態にあるときは、第1のコネクタ22は、上面1aの面方向に、シャフト11を挟んで第2のコネクタ23の反対側に位置しているため、ケーブル21とシャフト11との間隙は大きい。本実施の形態では、シャフト11の柱部11aの中心軸(図5Cの交点P2)をシャフト11の回転中心軸(図5Cの交点P1)に対して偏心させているため、柱部11aはケーブル21から離間する方向へ変位した位置にある。したがって、シャフト11とケーブル21との間には十分な間隙を確保することができ、ケーブル21とシャフト11とは接触せず、ケーブル21には負荷がかかっていない。
【0040】
次に、図5Aに示す第1の状態から、第2の筐体2を矢印Aに示す方向へ回動させると、第2のコネクタ23の位置も矢印Aに示す方向へ変位する。第2のコネクタ23が第2の筐体2とともに矢印Aに示す方向へ変位することにより、ケーブル21の第2のコネクタ23側の部分も矢印Aに示す方向へ変位し、シャフト11に近づいていく。このとき、本実施の形態では、シャフト11の柱部11aの中心軸をシャフト11の回転中心軸に対して偏心させているため、シャフト11の回転中心軸は変位しないが、柱部11aの中心軸は矢印Eに示す方向へ変位する。
【0041】
次に、図6Aに示すように、ノートパソコンが第2の状態にあるときは、第1のコネクタ22と第2のコネクタ23とが、上面1aの面方向において、シャフト11に対して第1の筐体1側へ変位しているため、ケーブル21は、第1の状態における位置からシャフト11に近い位置へ変位している。
【0042】
このとき、シャフト11の柱部11aの中心軸がシャフト11の回転中心軸と一致している場合(交点P1と交点P2とが一致している場合)は、第2の状態においてシャフト11とケーブル21とが接触する可能性が高い。シャフト11とケーブル21とが接触すると、ケーブル21のテンションが増大し、ケーブル21内の電線が破断してしまう可能性がある。また、第2の状態においてシャフト11とケーブル21とが接触すると、第2の筐体2の回動を繰り返した場合にシャフト11とケーブル21とが繰り返し擦れ合うため、ケーブル21の表面を覆っている絶縁カバーが摩耗し、ケーブル21内の電線が露出してしまう可能性がある。
【0043】
また、ケーブル21は、第1の状態から第2の状態へ移行する際にシャフト11に接していると、湾曲した部分がシャフト11に近づく方向へ引っ張られるため張力が大きくなる。このとき、シャフト11の回転中心軸を偏心させていない構成では、ケーブル21にかかる張力が大幅に増加し、ケーブル21が断線する可能性がある。本実施の形態では、柱部11aの中心軸をシャフト11の回転中心軸に対して偏心させ、なおかつ図5B等に示すようにシャフト11の表面を凹状に形成しているため、ケーブル21の湾曲した部分がシャフト11に近づく方向へ引っ張られた場合、ケーブル21はシャフト11の凹状の表面に沿って最深部11bに変位する。最深部11bは、柱部11aの表面の中で最もシャフト11の回転中心軸に近い部分であるため、ケーブル21にかかる張力を低減させ、断線の発生を抑えることができる。
【0044】
本実施の形態では、図6Cに示すようにシャフト11の柱部11aの中心軸(交点P2)をシャフト11の回転中心軸(交点P1)に対して偏心させている。具体的には、交点P1と交点P2とを結ぶ線分と、第2のコネクタ23に対するケーブル21の引き出し方向とが略一致するように、柱部11aを偏心させている。したがって、第2の状態においては、柱部11aはケーブル21に対して離れる方向へ変位している。これにより、シャフト11とケーブル21との間に間隙を確保することができ、シャフト11とケーブル21とが接触することを防ぐことができる。
【0045】
次に、図6Aに示す第2の状態から、第2の筐体2を矢印Bに示す方向へ回動させると、第2のコネクタ23も矢印Bに示す方向へ変位する。第2のコネクタ23が第2の筐体2とともに矢印Bに示す方向へ変位することにより、ケーブル21の第2のコネクタ23側の部分も矢印Bに示す方向へ変位し、シャフト11から離れていく。このとき、本実施の形態では、シャフト11の柱部11aの中心軸をシャフト11の回転中心軸に対して偏心させているため、シャフト11の回転中心軸は変位しないが、柱部11aの中心軸は矢印Fに示す方向へ変位する。また、図6Aに示す第2の状態では、シャフト11とケーブル21とは離間しているため、第2の筐体2を矢印Bに示す方向へ回動させる際にシャフト11とケーブル21とが擦れ合うことがなく、ケーブル21における絶縁カバーが摩耗することがない。
【0046】
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、シャフト11の柱部11aの中心軸を、シャフト11の回転中心軸に対して偏心させているため、第1の筐体1または第2の筐体2の回動時においてケーブル21がシャフト11に最接近するときにおけるシャフト11とケーブル21との間隙を大きく確保することができる。したがって、第1の筐体1または第2の筐体2の回動範囲において、シャフト11とケーブル21とが接触する可能性が極めて低く、ケーブル21のテンションの増大を防ぐことができるとともに、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことができる。ケーブル21のテンション増大を防ぐことにより、ケーブル21内の電線が破断してしまうことを防ぐことができる。また、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことにより、絶縁カバーにより被覆されている電線が露出することを防ぐことができる。
【0047】
また、シャフト11とケーブル21とが接触することを避けるためにケーブル21を長くしておく必要がないため、ヒンジ部3の内部空間を小さくすることができ、第1の筐体1、第2の筐体、およびそれらを含む電子機器を小型化することができる。すなわち、ケーブル21が長い場合は、ケーブル21が最も弛んだときにケーブル21がシャフト11やその他の部位に接触することを避けるために、ヒンジ部3の内部空間を大きく確保しておく必要がある。この場合、電子機器が大型化してしまう。これに対して本実施の形態では、シャフト11を変位させる構成であるため、ケーブル21を大幅に長くしなくてよく、ヒンジ部3の内部空間を小さくすることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、第1の支持部材12と第2の支持部材13とをシャフト11に結合する構成としたことにより、ヒンジ部3を小型化することができる。すなわち、本実施の形態のヒンジ機構10は、図3Aに示すように、シャフト11に対する第1の支持部材12の結合箇所を1カ所とし、シャフト11に対する第2の支持部材13の支持箇所を1カ所とすることで、第1の筐体1と第2の筐体2とを回動自在に支持する構成である。このような構成とすることにより、ヒンジ機構10及びヒンジ部3を小型化することができるとともに、ヒンジ機構10を構成する部品に多少の歪み等が生じていたとしてもヒンジ機構10を第1の筐体1及び第2の筐体2へ装着する際の作業性が大きく低下することはない。例えば、シャフトに対して第1の支持部材と第2の支持部材とをそれぞれ2カ所ずつ支持する構成とした場合、ヒンジ機構が大型化してしまい、ヒンジ機構を覆っているヒンジカバーが第1の筐体または第2の筐体の側部から突出してしまう可能性がある。ヒンジカバーが第1の筐体または第2の筐体の側部から突出すると、ノートパソコンを鞄などに収納する際にヒンジカバーが鞄の縫製部分等に引っ掛かってヒンジカバーが脱落または破損してしまう可能性がある。また、シャフトに対する第1の支持部材及び第2の支持部材の支持箇所をそれぞれ2カ所とすることにより、ヒンジ機構を構成する部品に歪み等があると、ヒンジ機構を第1の筐体及び第2の筐体への装着が困難になったり、製造歩留まりが低下したりするなどの問題がある。また、歪み等があるヒンジ機構を第1の筐体及び第2の筐体に装着すると、シャフト、第1の支持部材、および第2の支持部材に大きな負荷がかかるため、シャフト、第1の支持部材、および第2の支持部材の強靱性を高める必要があり、コストアップにつながってしまう。
【0049】
なお、本実施の形態では、第2の筐体2の回動動作について説明したが、第1の筐体1を回動させたときも本実施の形態と同様に動作し、同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、ケーブル21は、本実施の形態では電線を絶縁カバーで被覆した同軸ケーブルとしたが、複数の電線をカバーで被覆したフレキシブル配線ケーブルとしてもよい。
【0051】
また、本実施の形態におけるシャフト11は、金型成型により作製することができるが、旋盤などによる切削加工で作製することもできる。但し、柱部11aは、シャフト11の回転中心軸に対して偏心しているため、旋盤による切削加工では形成が極めて困難であるため、まず切削加工によりシャフト11を作製した後に、フライス加工等の別工程で柱部11aを形成することができる。また、柱部11aは、シャフト11の作製後、プレス加工により形成することもできる。
【0052】
また、本実施の形態におけるシャフト11は、図5B等に示すように、回転中心軸に対して直交する方向から見たときの側面形状が湾曲しているが、少なくともケーブル21が近傍配置される部分の中心軸がシャフト11の回転中心軸に対して偏心していればよい。図7Aは、シャフト11の変形例を示す側面図である。図7Bは、図7AにおけるX−X部の断面図である。図7A及び図7Bに示すシャフト11は、柱部11aの中心軸P2がシャフト11の回転中心軸P1に対して偏心させている。柱部11aは、円筒形状である。図7A及び図7Bに示すシャフト11であっても、第1の筐体1または第2の筐体2の回動時においてケーブル21がシャフト11に最接近するときにおけるシャフト11とケーブル21との間隙を大きく確保することができる。したがって、第1の筐体1または第2の筐体2の回動範囲において、シャフト11とケーブル21とが接触する可能性が極めて低く、ケーブル21のテンションの増大を防ぐことができるとともに、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことができる。ケーブル21のテンション増大を防ぐことにより、ケーブル21内の電線が破断してしまうことを防ぐことができる。また、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことにより、絶縁カバーにより被覆されている電線が露出することを防ぐことができる。
【0053】
なお、図7A及び図7Bに示す構成をとる場合は、柱部11aの中心軸P2がシャフト11の径内に位置するように、シャフト11を配置することが好ましい。仮に、柱部11aの中心軸P2がシャフト11の径外に位置するようにシャフト11を配置した場合、すなわちシャフト11を回転中心軸P1から大きく離れた位置に配置した場合、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させる際にシャフト11に対して中心軸P2が曲がる方向あるいは捻れる方向に力が加わり、第1の筐体1または第2の筐体2をスムーズに回動させることが困難となる場合がある。これに対して、柱部11aの中心軸P2がシャフト11の径内に位置するようにシャフト11を配置することにより、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させる際に、シャフト11に中心軸P2が曲がる方向あるいは捻れる方向に力がかかりにくくなり、第1の筐体1または第2の筐体2をスムーズに回動させることができる。
【0054】
また、本実施の形態におけるシャフト11は、図4B等に示すように断面形状を円形としたが、柱部11aに切欠面を備える構成としてもよい。図8Aは、切欠面11cを備えたシャフト11近傍を図5A及び図6Aの矢印Gに示す方向に見た側面図である。図8Bは、図8AにおけるX−X部の断面図である。図8A及び図8Bは、ノートパソコンが第1の状態にあるときの状態を示す。図8Cは、ノートパソコンが第2の状態にあるときのシャフト11及びケーブル21の断面図である。図8A〜図8Cに示すシャフト11は、第2の筐体2に対して回転中心軸P1を介して反対側の柱部11aに、切欠面11cを備えている。また、シャフト11は、第2の筐体2の回動動作に伴って回転中心軸P1の軸周りに回転し、それに伴い切欠面11cが回転中心軸P1の軸周りに変位する。切欠面11cは、図8Cに示すようにノートパソコンが第2の状態にあるときに、ケーブル21に大きなテンションがかからないように設けられている。具体的には、切欠面11cは、ノートパソコンが図8Cに示す第2の状態にあるときにシャフト11とケーブル21との間に間隙を形成するために設けられている。また、切欠面11cは、ノートパソコンが図8Cに示す第2の状態にあるときにシャフト11とケーブル21とが接触していたとしても、ケーブル21に大きなテンションがかからないようにするために設けられている。
【0055】
なお、図8A及び図8Bに示すシャフト11は、第1の支持部12a及び第2の支持部13aの間の部分の全体が回転中心軸P1に対して偏心している構成としたが、少なくともケーブル21が対向配置しうる位置が回転中心軸P1に対して偏心していればよい。「ケーブル21が対向配置しうる位置」とは、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させた際に、ケーブル21が対向配置しうる位置のことである。つまり、ケーブル21が可撓性を有する場合は、第1の筐体1または第2の筐体2を回動させた際に回転中心軸P1の軸方向に変位する場合がある。本実施の形態における「ケーブル21が対向配置しうる位置」とは、このようにケーブル21が変位する可能性がある範囲を含むこととしている。
【0056】
また、図8A及び図8Bに示すシャフト11の切欠面11cは、回転中心軸P1を挟んで第2の筐体2に対して平行となる構成としたが、必ずしも第2の筐体2と切欠面11cとは平行でなくてもよい。すなわち、切欠面11cは、ケーブル21に対向するように形成されていればよい。例えば、図8Bに示す例では、切欠面11cは、線分C2に対して平行となる姿勢になっているが、ケーブル21における湾曲変形した部分に対向するように、例えば線分C2に対して45度に傾いていても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
また、図9A及び図9Bに示すように、シャフト11を第1の支持部12a及び第2の支持部13aの外周部分に接する位置に配置してもよい。このような構成において、第1の支持部12a及び第2の支持部13aが回転運動すると、シャフト11がヒンジ中心軸P1を中心とする円周方向に変位する。したがって、ノートパソコンが図1Aに示す第1の状態、図1Bに示す第2の状態、第1の状態から第2の状態へ移行しているとき、および第2の状態から第1の状態へ移行しているときにおいて、ケーブル21(図8A等参照)がシャフト11から離隔するため、ケーブル21のテンションの増大を防ぐことができるとともに、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことができる。ケーブル21のテンション増大を防ぐことにより、ケーブル21内の電線が破断してしまうことを防ぐことができる。また、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことにより、絶縁カバーにより被覆されている電線が露出することを防ぐことができる。
【0058】
さらに、シャフト11は、図10に示す形状としてもよい。図10に示すシャフト11は、偏心部111a、同心部111b、同心部111c、傾斜部111e、および傾斜部111fを備えている。偏心部111aの中心軸P2は、ヒンジ中心軸P1から偏心している。同心部111b及び111cの中心軸は、ヒンジ中心軸P1に一致している。傾斜部111e及び111fは、ヒンジ中心軸P1または中心軸P2に対して傾斜している。このような構成において、第1の支持部12a及び第2の支持部13aが回転運動すると、シャフト11がヒンジ中心軸P1を中心に回転運動する。シャフト11が回転運動すると、偏心部111aがヒンジ中心軸P1を中心とした円周方向へ変位する。偏心部111aが変位すると、シャフト11がケーブル21に接触しにくくなるため、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を抑制できる。したがって、ノートパソコンが第1の状態から第2の状態へ移行しているとき、および第2の状態から第1の状態へ移行しているときにおいて、ケーブル21(図8A等参照)がシャフト11から離隔するため、ケーブル21のテンションの増大を防ぐことができるとともに、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことができる。ケーブル21のテンション増大を防ぐことにより、ケーブル21内の電線が破断してしまうことを防ぐことができる。また、ケーブル21の絶縁カバーの摩耗を防ぐことにより、絶縁カバーにより被覆されている電線が露出することを防ぐことができる。
【0059】
なお、図10に示したシャフト11の形状は一例である。偏心部111aは、直線状としたが他の形状であってもよい。偏心部111aは、第1の支持部12aと第2の支持部13aとの間の空間内に配置しているが、空間の外に配置してもよい。偏心部111aの中心軸P2方向の長さ、同心部111b及び111cのヒンジ中心軸P1方向の長さは、任意の長さとすることができる。偏心部111aと傾斜部111e及び111fとの結合部は、湾曲形状としたが、その曲率は任意である。偏心部111aと傾斜部111e及び111fとの結合部は、湾曲形状としたが、任意の形状(屈曲形状等)としてもよい。同心部111bと傾斜部111eとの結合部、及び同心部111cと傾斜部111fとの結合部は、湾曲形状としたが、その曲率は任意である。同心部111bと傾斜部111eとの結合部、及び同心部111cと傾斜部111fとの結合部は、湾曲形状としたが、任意の形状(屈曲形状等)としてもよい。上記のようにシャフト11の形状は様々な形状が考えられるが、少なくともケーブル21と干渉しない形状とする必要がある。
【0060】
なお、シャフト11は、軸径が一定で、ヒンジ中心軸P1から離隔する方向へ湾曲させた形状としてもよい。
【0061】
また、本実施の形態における第1の筐体1及び第2の筐体2は、筐体の一例である。本実施の形態におけるヒンジ部3は、ヒンジ部の一例である。本実施の形態におけるケーブル21は、信号線の一例である。本実施の形態におけるシャフト11は、シャフトの一例である。本実施の形態における第1の支持部12aと第2の支持部13aは、一対の支持部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本願の電子機器は、複数の筐体と、複数の筐体を回動自在に支持するヒンジ部と、筐体に内蔵されている電気部品間を電気的に接続する信号線を備えた機器に有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
3 ヒンジ部
10 ヒンジ機構
11 シャフト
11a 中央部
11c 切欠面
21 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を備えた第1の筐体及び第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回動自在に支持し、ヒンジ中心軸を有するヒンジ部と、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体それぞれに備える前記電気部品を電気的に接続する信号線とを備えた電子機器であって、
前記ヒンジ部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを支持するシャフトを備え、
前記信号線は、少なくとも一部が前記シャフトの柱面近傍に位置するように配され、
前記第2の筐体が回動するとき、前記第1の筐体の外面の所定の一点と、前記シャフトの前記柱面との距離が変化する、電子機器。
【請求項2】
前記シャフトは、
前記信号線に対向する部分における中心軸が、前記ヒンジ中心軸に対して偏心し、
前記ヒンジ部回りの開閉動作で前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じた閉状態のとき、前記柱面が前記信号線に対して離隔する、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記シャフトは、前記ヒンジ部回りの開閉動作で前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じた閉状態における前記信号線に張力が生じないように、前記柱面に切欠面を備える、請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記シャフトは、前記ヒンジ部回りの開閉動作で前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じた閉状態における前記柱面と前記信号線との間隙が存在するように、前記柱面に切欠面を備える、請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記シャフトにおける前記信号線の近傍部分は、その中心軸が、前記回転中心軸を挟んで前記信号線に対向する位置に配されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
第1の筐体及び第2の筐体を回動自在に支持するシャフトと、
前記シャフトの両端近傍を支持し、ヒンジ中心軸を有する一対の支持部とを備え、
前記シャフトは、
任意の部分における中心軸が前記ヒンジ中心軸に対して偏心した形状を有し、
前記第2の筐体が回動するとき、前記第1の筐体の外面の所定の一点と当該シャフトの柱面との距離が変化する、ヒンジ機構。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−119698(P2011−119698A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242393(P2010−242393)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】