説明

ヒータ線及びヒータ線を備えた採暖器

【課題】通常運転時の温度検出精度を下げずに、異常発熱時の迅速な安全装置の作動を行えるヒータ線を提供する。
【解決手段】信号線3に、信号線3の信号素線3bより抵抗率の小さい検知線4を直列接続しているため、発熱線の異常発熱によって短絡が発生した場合に、抵抗付き温度ヒューズの抵抗素子RFに大きな電流が流れて速やかに温度ヒューズTFを溶断できるので、迅速な通電遮断を行うことができると共に、検知線4を信号線3の第3の溶断層3cの外周に被覆を設けずに巻回しているので、異常発熱時の短絡発生の速度が上がり、より迅速に温度ヒューズTFを溶断することができる。また、制御基板20は、従来の制御基板から、端子Nの追加と、少しの接続パターンの変更で実現できるため、回路構成を変更する必要がなく、制御基板の変更も最小限に抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ線に係わり、特に、異常発熱時に安全装置が迅速に作動するような構造としたヒータ線に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気毛布や電気カーペット等の電気的に加熱される採暖器に使用されるヒータ線は、少なくとも1本の発熱線と、少なくとも1本の信号線を有し、発熱線と信号線とはある温度を融点とする溶断層によって被覆された構造のものが知られている。このヒータ線を用いた採暖器では、通常運転時は発熱線による発熱を信号線の抵抗値変化によって検出しこれに応じた温度調節を行う。また、発熱線の異常発熱時には、溶断層が溶けることによって発熱線と信号線とが短絡して抵抗素子と温度ヒューズからなる安全装置の抵抗素子に電流が流れ、抵抗素子の発熱によって温度ヒューズが溶断して交流電源との通電を停止する。
【0003】
ヒータ線の構造は、上述したような異常発熱時の確実な安全装置の作動や、通常運転時の発熱線からの漏れ磁界の低減を目的として様々なものが提案されており、例えば、発熱線の外周に溶断層を設け、この溶断層に信号線を巻回する構造のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示されているのは、図8の構成図に示すように、発熱線と信号線とを同軸状に配置したヒータ線100であり、ポリエステルやポリアミド等の樹脂からなる巻芯101の外周に、銅線である第1の発熱素線102を定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂からなる第1の溶断層103を設け、その外周に銅線である第2の発熱素線104を定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂からなる第2の溶断層105を設け、その外周に銅や銅合金からなる信号線106を定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリ塩化ビニル樹脂からなる最外層107を設けたものである。
【0005】
第1の発熱素線102と第2の発熱素線104とは、一端が交流電源に接続され、他端は短絡されている。従って、第1の発熱素線102と第2の発熱素線104には、互いに逆向きの電流が流れることとなるため、発生する磁界も互いに逆向きとなって打ち消しあい、結果漏れ磁束を低減することができる。
【0006】
また、第1の発熱素線102もしくは第2の発熱素線104が異常に発熱した場合は、第1の溶断層103や第2の溶断層105が熱により溶けるが、信号線106はこれら第1の溶断層103や第2の溶断層105の外周に巻回されているため、第1の発熱素線102もしくは第2の発熱素線104と信号線106との短絡が確実に発生し、安全装置を作動させることができる。
【0007】
しかしながら、このようなヒータ線100の信号線106に使用されている銅や銅合金は、抵抗温度係数が小さいため、発熱線による温度上昇によって変化する抵抗の値が小さい。従って、信号線106の抵抗値変化を検出して温度調節を行う際には、その精度に問題があった。
【0008】
また、ヒータ線100を生産する際には、内側から順に、第1の発熱素線102をスパイラル状に巻回しその外周に第1の溶断層103を設ける第1の工程、第1の溶断層103の外周に第2の発熱素線104をスパイラル状に巻回しその外周に第2の溶断層105を設ける第2の工程、第2の溶断層105の外周に信号線106をスパイラル状に巻回する第3の工程、と作業を行う必要があるため、生産効率が悪くなるという問題があった。
【0009】
以上の問題点を解決するため、信号線を銅や銅合金より抵抗温度係数が大きいニッケル線で形成し、発熱線と信号線とを撚り合わせるか又は束ねて最外層を設けて構成したヒータ線が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
特許文献2に開示されているのは、図9(A)の構成図に示すように、2本の発熱線と1本の信号線とを撚り合わせて構成されたヒータ線200であり、アリレート繊維からなる芯線201bに銅線である第1の発熱素線201aを定ピッチでスパイラル状に巻回しその外周にポリアミド(融点175℃)からなる絶縁被膜201cを設けた第1の発熱線201と、銅線を撚り合わせてなる第2の発熱素線202aの外周にエチレン・4フッ化エチレン(融点270℃)からなる絶縁被膜202bを設けた第2の発熱線202と、アリレート繊維からなる芯線203bにニッケル線である信号素線203aを定ピッチでスパイラル状に巻回しその外周にポリアミド(融点175℃)からなる絶縁被膜203cを設けた信号線203とを撚り合わせ、その外周にポリ塩化ビニル樹脂からなる絶縁シース204を設けたものである。
【0011】
ヒータ線200では、上述したように第1の発熱線201と、第2の発熱線202と、信号線203とを個別に構成して撚り合わせているため、各線の生産工程が直列作業とならず、生産効率を上げることができる。また、信号線203の信号素線203aに銅線より抵抗温度係数が大きく直線性も良好なニッケル線を使用しているため、温度変化に対する抵抗値の変動が大きい、つまり発熱線による温度上昇によって変化する抵抗の値が大きいため、この抵抗値の変化を検出して温度調節を行う際の精度を向上させることができる。
【0012】
尚、第1の発熱線201と第2の発熱線202とは、一端が交流電源に接続され、他端は短絡されているため、発生する磁界が互いに逆向きとなって打ち消しあうことによって漏れ磁束を低減している。また、絶縁被膜202bの融点は、絶縁被膜201cや203cの融点より高くしてあるので、第1の発熱線201や第2の発熱線202が異常に発熱した場合でも、先に第1の発熱線201の絶縁被膜201cと信号線203の絶縁被膜203cが溶けて第1の発熱素線201aと信号素線203aとが短絡して安全装置が作動し通電が断たれるので、第1の発熱線201と第2の発熱線202とが短絡することによるスパークの発生、等の不具合発生を防ぐことができる。
【0013】
しかしながら、信号素線203aに使用しているニッケル線は、抵抗温度係数は大きいものの、抵抗率(単位長さ当たりの抵抗値)が大きく、第1の発熱線201もしくは第2の発熱線202が異常に発熱して絶縁被覆201cや203cが溶け、第1の発熱素線201aと信号線203aとが短絡した場合に、安全装置に流れる電流値が小さくなり、安全装置の動作が遅くなるという問題がある。以下に回路図を用いてその動作を説明する。
【0014】
図10は、ヒータ線200を採暖器に備えられている制御基板210に接続した際の回路図を示しており、(A)はヒータ線と安全装置との接続を示す要部回路図を、(B)は短絡発生時の電流の流れを示す電流経路概略図を示している。図10(A)に示すように、制御基板210には、交流電源ACが接続される端子AC1/AC2、第1の発熱素線201aの一端が接続される端子H1、第2の発熱素線202aの一端が接続される端子H2、第1の発熱素線201a及び第2の発熱素線202aの他端が接続される端子Hcom、信号素線203aの両端が接続される端子S1及びS2、の各端子が設けられている。
【0015】
また、制御基板210には、スイッチSW、ダイオードD1、D2、及びD3、安全装置215である抵抗付き温度ヒューズを構成する抵抗素子RFと温度ヒューズTFが実装されている。スイッチSWは、端子AC1と端子H1の間に接続される。また、接地点GNDから順にダイオードD1、ダイオードD2、抵抗素子RF、ダイオードD3、温度ヒューズTFが接続されている。また、端子S1はダイオードD1とダイオードD2の間の接続点212に、端子S2は接地点GNDとダイオードD1の間の接続点213に、端子H2はダイオードD3と温度ヒューズTFの間の接続点214に、それぞれ接続されている。
【0016】
今、第1の発熱線201もしくは第2の発熱線202が異常に発熱し、絶縁被膜201cと203cが溶けて第1の発熱素線201aと信号素線203aが図10(A)に示すように短絡点211で短絡したとすると、この時の電流の流れは図10(B)に示すようになる。ここで、Rh1’は第1の発熱素線201aの抵抗を、Rh2’は第2の発熱素線202aの抵抗を、Rs’は信号素線203aの抵抗をそれぞれ表している。また、信号素線203aの抵抗Rs’は、短絡点211を境に上側(端子S1側)をRsa、下側(端子S2側)をRsbと表している。
【0017】
交流電源ACから供給された主電流L’は、短絡点211で信号素線203aの上側(Rsa)から端子S1を介して接続点212へと流れる分電流L1’と、信号素線203aの下側(Rsb)から端子S2を介して接続点213へと流れる分電流L2’とに分岐する。そして、接続点212で分電流L1’と分電流L2’は合流し、再び主電流L’となって抵抗素子RFへ流れる。
【0018】
抵抗素子RFに電流が流れることによって抵抗素子RFが発熱して温度が上昇し、所定の温度となると温度ヒューズTFが溶断され、端子AC2との接続が遮断され通電が断たれることによって安全装置215が動作するのであるが、信号素線203aはニッケル線であり、抵抗値が大きいため安全装置215を流れる電流が小さく、抵抗素子RFの温度上昇速度が遅くなる。結果として温度ヒューズTFの溶断が遅くなり、迅速な安全装置の作動を妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平10−335046号公報(第3〜4項、第1図)
【特許文献2】特開2005−183018号公報(第4〜5項、第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は以上述べた問題点を解決し、通常運転時の温度検出精度を下げずに、異常発熱時の迅速な安全装置の作動を行えるヒータ線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上述の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、発熱線と、同発熱線の温度を検知する信号線と、前記発熱線の異常発熱時に同発熱線と短絡する検知線とを備えたヒータ線において、前記信号線は、前記検知線より抵抗温度係数が大きい材質で構成され、前記検知線は、前期信号線より抵抗率が低い材質で構成され、前記信号線と前記検知線とは直列接続されることを特徴としている。
【0022】
また、請求項2に記載の発明は、前記発熱線は、芯線と、同芯線の外周にスパイラル状に巻回した発熱素線と、同発熱素線の外周に溶断層とを備え、前記信号線は、芯線と、同芯線の外周にスパイラル状に巻回した信号素線と、同信号素線の外周に溶断層とを備え、前記検知線は、前記信号線の前記溶断層の外周もしくは前記発熱線の前記溶断層の外周にスパイラル状に巻回され、前記発熱線と前記信号線とを撚り合わせるか又は撚り合わせずに束ねた束の周りに絶縁被覆を設けたことを特徴としている。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は、前記発熱線は、芯線と、同芯線の外周にスパイラル状に巻回した発熱素線とを備え、前記検知線は、前記発熱素線の外周に設けられた第1の溶断層と、同第1の溶断層の外周にスパイラル状に巻回した検知素線とを備え、前記信号線は、前記検知素線の外周に設けられた第2の溶断層と、同第2の溶断層の外周にスパイラル状に巻回した信号素線とを備え、前記信号素線の外周に絶縁被覆を設けたことを特徴としている。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は、前記ヒータ線が接続され、同ヒータ線の異常発熱時に通電を遮断する安全装置を備えた制御基板を有することを特徴としている。
【0025】
さらには、請求項5に記載の発明は、前記検知線は、一端を前記制御基板の前記信号線の接続点に接続され、他端を前記安全装置に接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、信号線と検知線とが直列接続されているので、発熱線で異常な発熱が起こって発熱線と検知線とが短絡した場合に、検知線の抵抗率が低いので、検知線に大きな電流を流すことができる。
【0027】
また、請求項2に記載の発明によれば、検知線が信号線の溶断層もしくは発熱線の溶断層に直接巻回されているため、発熱線で異常な発熱が起こって発熱線の溶断層が溶けた際に、発熱線の発熱素線と検知線とが速やかに短絡して検知線に大きな電流を流すことができる。
【0028】
また、請求項3に記載の発明によれば、発熱素線の外周に設けられた第1の溶断層の外周に検知線(検知素線)が巻回されているため、発熱線で異常な発熱が起こって発熱線の溶断層が溶けた際に、発熱線の発熱素線と検知線とが速やかに短絡して検知線に大きな電流を流すことができると共に、発熱線、検知線、信号線を順に同軸上に配設しているのでヒータ線の外径を小さくすることができる。
【0029】
また、請求項4に記載の発明によれば、上述したヒータ線を電気カーペット等の採暖器に備えているため、発熱線で異常な発熱が起こった際に、抵抗率が低い検知線を大きな電流が流れて採暖器の制御基板に搭載された安全装置にも大きな電流が流れることにより迅速に安全装置が作動するので、安全性を高めた採暖器を提供することができる。
【0030】
さらには、請求項5に記載の発明によれば、検知線の接続に際し、既存の制御基板(発熱線と信号線からなるヒータ線が接続できる制御基板)に、検知線を接続する接続点とこの接続点から安全装置へつながるパターンを新設するのみでよいため、制御基板の変更も最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施例であるヒータ線の説明図であり、(A)は構成図、(B)は (A)におけるA−A断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例におけるヒータ線と制御基板の配線図である。
【図3】本発明の第1の実施例における回路図であり、(A)ヒータ線と安全装置とを接続を 示す要部回路図、(B)は短絡発生時の電流の流れを示す電流経路概略図である。
【図4】本発明の第2の実施例であるヒータ線の説明図であり、(A)は構成図、(B)は (A)におけるB−B断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例におけるヒータ線と制御基板の配線図である。
【図6】本発明の第3の実施例であるヒータ線の説明図であり、(A)は構成図、(B)は (A)におけるC−C断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例におけるヒータ線と制御基板の配線図である。
【図8】第1の従来例であるヒータ線の構成図である。
【図9】第2の従来例であるヒータ線の説明図であり、(A)は構成図、(B)は(A)にお けるD−D断面図である。
【図10】第2の従来例における回路図であり、(A)ヒータ線と安全装置とを接続を示す要部 回路図、(B)は短絡発生時の電流の流れを示す電流経路概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、採暖器として面状採暖具である電気カーペットに敷設されるヒータ線を例として説明することとする。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例1】
【0033】
電気カーペットに使用されるヒータ線は、少なくとも1本の発熱線と、少なくとも1本の信号線と、少なくとも1本の検知線とを有している。電気カーペットの通常運転時は発熱線による発熱を信号線の抵抗値変化によって検出しこれに応じた温度調節を行う。また、発熱線の異常発熱時には、発熱線と検知線とが短絡して抵抗素子と温度ヒューズからなる安全装置の抵抗素子に電流が流れ、抵抗素子の発熱によって温度ヒューズが溶断して交流電源の通電を停止する。
【0034】
図1は、本発明によるヒータ線を示しており、(A)はヒータ線の構成図、(B)は(A)におけるA−A断面図をそれぞれ示している。このヒータ線10は、図1に示すように第1の発熱線1と、第2の発熱線2と、信号線3と、検知線4と、絶縁被覆5とで構成されている。
【0035】
第1の発熱線1は、アリレート繊維からなる第1の芯線1aに銅線である第1の発熱素線1bを定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリエステル系樹脂(融点225℃)からなる第1の溶断層1cを設けた構造となっている。また、第2の発熱線2は、アリレート繊維からなる第2の芯線2aに銅線である第2の発熱素線2bを定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂(融点180℃)からなる第2の溶断層2cを設けた構造となっている。
【0036】
第1の発熱線1と第2の発熱線2は、各々の発熱素線(第1の発熱素線1bと第2の発熱素線2b)が一端は交流電源に接続され、他端は互いに接続されているため直列接続となっている。また、第1の発熱素線1bと第2の発熱素線2bは、線径や巻きピッチを変更することによって、要求される発熱量に対応させることができる。
【0037】
信号線3は、アリレート繊維からなる第3の芯線3aにニッケル線である信号素線3bを定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂(融点180℃)からなる第3の溶断層3cを設けた構造となっている。また、検知線4は銅線であり、被覆なしの裸線の状態で信号線3の第3の溶断層3c外周に定ピッチでスパイラル状に巻回されている。尚、図1(B)の破線は、第3の溶断層3c外周にスパイラル状に巻回した検知線4の外形を示している。
【0038】
信号線3の信号素線3bと検知線4は、一端が互いに接続され直列接続となっている。信号素線3bは、線径や巻きピッチを変更することによって、温度検知に要求される抵抗値に対応させることができる。又、検知線4は、線径や巻きピッチを変更することによって、安全装置作動に要求される電流値(を決める抵抗値)に対応させることができる。
【0039】
第1の発熱線1、第2の発熱線2及び検知線4が巻回された信号線3は、図1(A)に示すように撚り合わされ、その外周に塩化ビニル等の絶縁被覆5が設けられている。尚、第1の発熱線1、第2の発熱線2及び検知線4が巻回された信号線3は撚り合わせずに束ねた上で絶縁被覆5を設けるようにしてもよい。
【0040】
図2は、ヒータ線10の制御基板への配線図である。電気カーペットに備えられた制御基板20には、電気カーペットの温度調節やタイマー運転等を行う制御部等が実装されている。図2に示すように、制御基板20には、ヒータ線10の接続端子が6個(H1、H2、Hcom、N,S,Scom)設けられており、端子H1には第1の発熱素線1bの一端が、端子H2には第2の発熱素線2bの一端が、それぞれ接続されている。端子Hcomには、第1の発熱素線1b及び第2の発熱素線2bそれぞれの他端が共通接続されており、これによって第1の発熱線1と第2の発熱線2とが直列接続となっている。
【0041】
また、端子Sには信号素線3bが、端子Nには検知線4が、それぞれ接続されている。端子Scomには、信号素線3b及び検知線4それぞれの他端が共通接続されており、これによって信号線3(信号素線3b)と検知線4とが直列接続となっている。
【0042】
次に、図1、図2及び図3を使用して、発熱線で異常発熱が起こり、発熱線と検知線が短絡した際の具体的な動作について説明する。図3はヒータ線10を制御基板20に接続した際の回路図を示しており、(A)はヒータ線10と制御基板20に実装された安全装置25(抵抗付き温度ヒューズ)との接続状態を示す要部回路図、(B)は短絡発生時の電流の流れを示す電流経路外略図を示している。
【0043】
通常、電気カーペットでは、面積が大きいことからカーペットを複数のブロックに分け、ブロック毎に図3(A)に示すような回路を設けて温度調節等の運転制御を行っている。回路構成は同じであるため、ここではその中の1ブロックの回路について説明する。図3(A)に示すように、制御基板20には、交流電源ACが接続される端子AC1及びAC2、図2で説明したヒータ線10の各線が接続される端子H1、H2、Hcom、N、S、及びScomが設けられている。
【0044】
また、制御基板20には、スイッチSW、ダイオードD1、D2、及びD3、安全装置である抵抗付き温度ヒューズを構成する抵抗素子RFと温度ヒューズTFが実装されている。ここで、抵抗付き温度ヒューズとは、抵抗素子RFと温度ヒューズTFとを1つのセラミックケースに近接するように入れてシリコンセメントで封止したものであり、抵抗素子RFに電流が流れて発熱し、この熱によって温度ヒューズTFが溶断することによって、交流電源ACからヒータ線10への通電を遮断する働きをするものである。
【0045】
スイッチSWは、端子AC1と端子H1の間に接続され、交流電源ACからヒータ線10への通電オン/オフを行う。また、接地点GNDと端子AC2の間には、接地点GNDから順にダイオードD1、ダイオードD2、抵抗素子RF、ダイオードD3、温度ヒューズTFが接続されている。ダイオードD1、D2、及びD3は、整流のために設けられている。
【0046】
また、端子SはダイオードD1とダイオードD2の間の接続点22に、端子Nは接地点GNDとダイオードD1の間の接続点23に、端子H2はダイオードD3と温度ヒューズTFの間の接続点24に、それぞれ接続されている。尚、制御基板20には、上述した素子以外にも制御部や室温検知部等様々な素子が実装されているが、本発明と直接関係がないため記載と説明を省略する。
【0047】
以上のように構成された電気カーペットで、使用者が運転を開始するためにスイッチSWをオンすると、交流電源ACから端子H1もしくは端子H2を介して第1の発熱素線1b及び第2の発熱素線2bに電流が流れ、発熱を開始する。この時、第1の発熱素線1bと第2の発熱素線2bは、一端は交流電源に接続され、他端は互いに接続されているため直列接続となっているので、第1の発熱線1と第2の発熱線2を流れる電流の向きは逆向きとなり、流れる電流により発生する磁界の向きも逆向きとなるために互いに打ち消しあい、結果ヒータ線10からの漏れ磁界を低減している。
【0048】
通常運転時は、第1の発熱線1もしくは第2の発熱線2の発熱によって信号線3の信号素線3bの抵抗値が変化し、制御部がこの抵抗値変化を検出することにより電気カーペットの温度を検出して設定温度と比較し温度制御を行っている。信号素線3bに使用されているニッケル線は、抵抗温度係数が銅線と比べて大きく(ニッケル線の抵抗温度係数は0.675%/℃、銅線の抵抗温度係数は0.433%/℃)、又、抵抗−温度特性の直線性も良いため、精度の高い温度検出を行うことができる。
【0049】
尚、信号素線3bには検知線4が直列接続されているため、抵抗値変化を検出する際は検知線4の抵抗値変化も信号素線3bの抵抗値変化と合わせて検出することとなるが、検知線4に使用されているのは銅線であり、ニッケル線と抵抗温度係数が異なるため、予め制御部の記憶部で銅線の抵抗−温度特性を記憶しておき、検出した抵抗値変化から検知線4の抵抗値変化分を差し引いて温度検出を行うことで、精度の高い温度検出が可能である。
【0050】
一方、第1の発熱素線1bもしくは第2の発熱素線2bが異常に発熱した場合は、まず融点の低い第2の発熱線2の第2の溶断層2cと、信号線3の第3の溶断層3cが溶け始める。第3の溶断層3bの外周には検知線4が巻回されているので、第2の溶断層2cの溶解が進むと第2の発熱素線2bと検知線4とが接触し、図3(A)に示すように短絡点21で短絡する。
【0051】
短絡が発生すると、交流電源ACから流れる主電流L(図3(A)では、端子AC1から流れる場合を示す)は、端子H1から発熱素線1bを通って短絡点21で二手に分流する。一方は短絡点21から検知線4、端子Scom、信号素線3b、端子S、を介して接続点22へと流れる分電流L1、もう一方は短絡点21から検知線4、端子N、接続点23、ダイオードD1を介して接続点22へと流れる分電流L2となる。
【0052】
この時電気カーペットには、図3(B)に示すような経路で電流が流れる。ここで、Rh1は第1の発熱素線1bの抵抗を、Rh2は第2の発熱素線2bの抵抗を、Rsは信号素線3bの抵抗を、Rnは検知線4の抵抗をそれぞれ表している。また、検知線4の抵抗Rnは、短絡点21を境に上側(端子N側)をRna、下側(端子Scom側)をRnbと表している。
【0053】
図3(B)の回路で、分電流L1と分電流L2の大きさを比較すると次のようになる。信号素線3bを構成するニッケル線は検知線4を構成する銅線に比べ抵抗率が大きい(銅線の抵抗率:1.7μΩ・cmに対し、ニッケル線の抵抗率:9.5μΩ・cm)ため検知線4の抵抗Rnは信号素線3bの抵抗Rsに比べて十分小さく、短絡点21より下側の検知線4抵抗Rnbも信号素線3bの抵抗Rsに比べ十分小さい値となる。従って、分電流L2が分電流L1に比べて十分大きい値となり、抵抗素子RFには大きな分電流L2が流れ、抵抗素子RFでの発熱による温度上昇の速度が速くなるため温度ヒューズTFが迅速に溶断し、ヒータ線10への通電が速やかに遮断される。
【0054】
以上説明したように、信号線3に、信号線3の信号素線3bより抵抗率の小さい検知線4を直列接続しているため、発熱線の異常発熱によって短絡が発生した場合に、抵抗付き温度ヒューズの抵抗素子RFに大きな電流が流れて速やかに温度ヒューズTFを溶断できるので、迅速に交流電源ACからヒータ線10への通電を遮断することができる。また、検知線4を信号線3の第3の溶断層3cの外周に被覆を設けずに巻回しているので、異常発熱時に第2の溶断層2cが溶ければ検知線4と第2の発熱素線2bとが短絡するので、早期に短絡が発生しより迅速に温度ヒューズTFを溶断することができる。
【0055】
また、制御基板20は、従来の制御基板(図10(A)の制御基板210)から、端子Nの追加と、少しの接続パターンの変更(図3(A)の端子Nと接続点23の接続及び、図10(A)の端子S2と接続点213の接続解除)で実現できるため、回路構成を変更する必要がなく、また、制御基板の変更も最小限に抑えることができる。
【0056】
また、第2の溶断層2cと第3の溶断層3cは融点が同じ材質で形成しているため、電気カーペットの状態(例えば、一部が折れ曲がっている、湾曲している、等)により検知線4(もしくは検知線4が巻回された信号線3)が第2の発熱線2から離れ、発熱線の異常発熱によって短絡が発生した際に検知線4と第2の発熱素線2bとがすぐに短絡しない場合でも、信号線3の第3の溶断層3cも溶けており信号素線3bと第2の発熱素線2bとも短絡できるので、信号素線3bと直列接続されている検知線4から抵抗付き温度ヒューズの抵抗素子RFに大きな電流が流れて速やかに温度ヒューズTFを溶断でき迅速に交流電源ACからヒータ線10への通電を遮断することができる。尚、検知線4の巻回ピッチを調整して溶断時の第2の発熱素線2bとの短絡が確保できる場合や、第1の発熱線1と第2の発熱線2と信号線3とを互いの密着度を上げて束ねることができる場合(例えば、一定の間隔でバインダ等で3線を固定する、等)は、信号線第3の溶断層3cの材質を第2の溶断層2cの材質より融点の高い材質としてもよい。
【実施例2】
【0057】
次に、本発明による電気カーペットの第2の実施例について説明する。尚、本実施例では、ヒータ線を制御基板に接続した際の回路構成や、発熱線と検知線の短絡発生時の安全装置の動作原理は第1の実施例と同じであるため説明を省略し、ヒータ線の構成と制御基板への配線のみ説明する。第1の実施例と異なるのは、検知線が信号線の溶断層外周ではなく、発熱線の溶断層外周に巻回されていることである。
【0058】
図4は、本発明による第2の実施例であるヒータ線を示しており、(A)はヒータ線の構成図、(B)は(A)におけるB−B断面図をそれぞれ示している。このヒータ線30は、図4に示すように第1の発熱線31と、第2の発熱線32と、信号線33と、検知線34と、絶縁被覆35とで構成されている。
【0059】
第1の発熱線31は、アリレート繊維からなる第1の芯線31aに銅線である第1の発熱素線31bを定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリエステル系樹脂(融点225℃)からなる第1の溶断層31cを設けた構造となっている。また、第2の発熱線32は、アリレート繊維からなる第2の芯線32aに銅線である第2の発熱素線32bを定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂(融点180℃)からなる第2の溶断層32cを設けた構造となっている。
【0060】
第1の発熱線31と第2の発熱線32は、各々の発熱素線(第1の発熱素線31bと第2の発熱素線32b)が一端は交流電源に接続され、他端は互いに接続されているため直列接続となっている。
また、第1の発熱素線31bと第2の発熱素線32bは、線径や巻きピッチを変更することによって、要求される発熱量に対応させることができる。
【0061】
信号線33は、アリレート繊維からなる第3の芯線33aにニッケル線である信号素線33bを定ピッチでスパイラル状に巻回し、その外周にポリアミド系樹脂(融点180℃)からなる第3の溶断層33cを設けた構造となっている。また、検知線34は銅線であり、被覆なしの裸線の状態で第2の発熱線32の第2の溶断層32c外周に定ピッチでスパイラル状に巻回されている。尚、図4(B)の破線は、第2の溶断層32c外周にスパイラル状に巻回した検知線34の外形を示している。
【0062】
信号線33の信号素線33bと検知線34は、一端が互いに接続され直列接続となっている。信号素線33bは、線径や巻きピッチを変更することによって、温度検知に要求される抵抗値に対応させることができる。又、検知線34は、線径や巻きピッチを変更することによって、安全装置作動に要求される電流値(を決める抵抗値)に対応させることができる。
【0063】
第1の発熱線31、検知線34が巻回された第2の発熱線32及び信号線33は、図4(A)に示すように撚り合わされ、その外周に塩化ビニル等の絶縁被覆35が設けられてヒータ線30となる。尚、第1の発熱線31、検知線34が巻回された第2の発熱線32及び信号線33は撚り合わせずに束ねた上で絶縁被覆35を設けるようにしてもよい。
【0064】
図5は、ヒータ線30の制御基板への配線図である。電気カーペットに備えられた制御基板40には、電気カーペットの温度調節やタイマー運転等を行う制御部等が実装されている。図5に示すように、制御基板40には、ヒータ線30の接続端子が6個(H1、H2、Hcom、N,S,Scom)設けられており、端子H1には第1の発熱素線31bの一端が、端子H2には第2の発熱素線32bの一端が、それぞれ接続されている。端子Hcomには、第1の発熱素線31b及び第2の発熱素線32bそれぞれの他端が共通接続されており、これによって第1の発熱線31と第2の発熱線32とが直列接続となっている。
【0065】
また、端子Sには信号素線33bが、端子Nには検知線34が、それぞれ接続されている。端子Scomには、信号素線33b及び検知線34それぞれの他端が共通接続されており、これによって信号線33(信号素線33b)と検知線34とが直列接続となっている。
【0066】
以上説明したように、検知線34を第2の発熱線32の第2の溶断層32cの外周に被覆を設けずに巻回しているので、信号線33の第3の溶断層33cの外周に検知線34を巻回した場合に比べて検知線34が第2の発熱素線32bに物理的に近づくため、異常発熱時に第2の溶断層32cが溶ければ検知線34と第2の発熱素線32bとが短絡するので短絡がより速やかに発生し、実施例1に比べてさらに迅速に温度ヒューズTFを溶断することができる。
尚、以上説明した実施例では、実施例1と同様に第2の溶断層32cと第3の溶断層33cは融点が同じ材質であるが、第3の溶断層33cの材質を第2の溶断層32cの材質より融点の高い材質としてもよい。
【実施例3】
【0067】
次に、本発明による電気カーペットの第3の実施例について説明する。尚、本実施例では、ヒータ線を制御基板に接続した際の回路構成や、発熱線と検知線の短絡発生時の安全装置の動作原理は第1の実施例と同じであるため説明を省略し、ヒータ線の構成と制御基板への配線のみ説明する。第1の実施例と異なるのは、発熱線、検知線、信号線が順に同軸上に配置されていることである。
【0068】
図6は、本発明による第3の実施例であるヒータ線を示しており、(A)はヒータ線の構成図、(B)は(A)におけるC−C断面図をそれぞれ示している。このヒータ線50は、図6に示すように、アリレート繊維からなる巻芯51aの外周に、銅線である第1の発熱素線51bを定ピッチでスパイラル状に巻回して第1の発熱線51を形成し、第1の発熱素線51bの外周にポリエステル系樹脂(融点225℃)からなる第1の溶断層52aを設け、その外周に銅線である第2の発熱素線52bを定ピッチでスパイラル状に巻回して第2の発熱線52を形成している。
【0069】
さらに、ヒータ線50は、第2の発熱素線52bの外周にポリアミド系樹脂(融点180℃)からなる第2の溶断層53aを設け、その外周に銅線である検知素線53bを定ピッチでスパイラル状に巻回して検知線53を形成し、検知素線53bの外周にポリアミド系樹脂(融点180℃)からなる第3の溶断層54aを設け、その外周にニッケル線である信号素線54bを定ピッチでスパイラル状に巻回して信号線54を形成し、その外周にポリ塩化ビニル樹脂からなる絶縁被覆55を設けている。
【0070】
第1の発熱線51と第2の発熱線52は、各々の発熱素線(第1の発熱素線51bと第2の発熱素線52b)が一端は交流電源に接続され、他端は互いに接続されているため直列接続となっている。
また、第1の発熱素線51bと第2の発熱素線52bは、線径や巻きピッチを変更することによって、要求される発熱量に対応させることができる。
【0071】
検知線53の検知素線53bと信号線54の信号素線54bとは、一端が互いに接続され直列接続となっている。信号素線54bは、線径や巻きピッチを変更することによって、温度検知に要求される抵抗値に対応させることができる。又、検知素線53bは、線径や巻きピッチを変更することによって、安全装置作動に要求される電流値(を決める抵抗値)に対応させることができる。
【0072】
図7は、ヒータ線50の制御基板への配線図である。電気カーペットに備えられた制御基板60には、電気カーペットの温度調節やタイマー運転等を行う制御部等が実装されている。図7に示すように、制御基板60には、ヒータ線50の接続端子が6個(H1、H2、Hcom、N,S,Scom)設けられており、端子H1には第1の発熱素線51bの一端が、端子H2には第2の発熱素線52bの一端が、それぞれ接続されている。端子Hcomには、第1の発熱素線51b及び第2の発熱素線52bそれぞれの他端が共通接続されており、これによって第1の発熱線51と第2の発熱線52とが直列接続となっている。
【0073】
また、端子Sには信号素線54bが、端子Nには検知素線53bが、それぞれ接続されている。端子Scomには、信号素線54b及び検知素線53bそれぞれの他端が共通接続されており、これによって信号線54(信号素線54b)と検知線53とが直列接続となっている。
【0074】
以上説明したように、第2の発熱素線52bの外周に設けられた第2の溶断層53aの外周に検知線53(検知素線53b)が巻回されているため、異常発熱時に第2の溶断層53aが溶ければ第2の発熱素線52bと検知素線53bとが速やかに短絡しより迅速に温度ヒューズTFを溶断できると共に、第1の発熱線51、第2の発熱線52、検知線53、信号線54を順に同軸上に配設しているのでヒータ線50の外径を小さくすることができる。
尚、以上説明した実施例では、実施例1と同様に第2の溶断層53aと第3の溶断層54aは融点が同じ材質であるが、第3の溶断層54aの材質を第2の溶断層53aの材質より融点の高い材質としてもよい。
【0075】
以上説明した通り、本発明によれば、信号線と検知線とが直列接続されているので、発熱線で異常な発熱が起こって発熱線と検知線とが短絡した場合に、検知線の抵抗率が低いので、検知線に大きな電流を流すことができる。
【0076】
また、検知線が信号線の溶断層もしくは発熱線の溶断層に直接巻回されているため、発熱線で異常な発熱が起こって発熱線の溶断層が溶けた際に、発熱線の発熱素線と検知線とが速やかに短絡して検知線に大きな電流を流すことができる。
【0077】
また、発熱素線の外周に設けられた第1の溶断層の外周に検知線(検知素線)が巻回されているため、発熱線で異常な発熱が起こって発熱線の溶断層が溶けた際に、発熱線の発熱素線と検知線とが速やかに短絡して検知線に大きな電流を流すことができると共に、発熱線、検知線、信号線を順に同軸上に配設しているのでヒータ線の外径を小さくすることができる。
【0078】
また、上述したヒータ線を電気カーペット等の採暖器に備えているため、発熱線で異常な発熱が起こった際に、抵抗率が低い検知線を大きな電流が流れて採暖器の制御基板に搭載された安全装置にも大きな電流が流れることにより迅速に安全装置が作動するので、安全性を高めた採暖器を提供することができる。
【0079】
さらには、検知線の接続に際し、既存の制御基板(発熱線と信号線からなるヒータ線が接続できる制御基板)に、検知線を接続する接続点とこの接続点から安全装置へつながるパターンを新設するのみでよいため、制御基板の変更も最小限に抑えることができる。
【0080】
以上説明した実施例では、ヒータ線の構成として発熱線が2本、検知線と信号線が各々1本である場合について説明したが、これに限るものではなく、発熱線が1本であってもよく、また、発熱線、検知線及び信号線が各々複数本であってもよい。
【0081】
また、信号素線の材質としてニッケル線を、検知線(検知素線)の材質として銅線を用いた場合について説明したが、信号素線の材質は抵抗温度係数が大きく抵抗−温度特性の直線性が良い材質であればよく、また、検知線(検知素線)の材質は信号素線に使用される材質に比べ抵抗率が小さい材質であればよい。
【符号の説明】
【0082】
1 第1の発熱線
1a 第1の芯線
1b 第1の発熱素線
1c 第1の溶断層
2 第2の発熱線
2a 第2の芯線
2b 第2の発熱素線
2c 第2の溶断層
3 信号線
3a 第3の芯線
3b 信号素線
3c 第3の溶断層
4 検知線
10 ヒータ線
20 制御基板
21 短絡点
22 接続点
25 安全装置(抵抗付き温度ヒューズ)
30 ヒータ線
31 第1の発熱線
31a 第1の芯線
31b 第1の発熱素線
31c 第1の溶断層
32 第2の発熱線
32a 第2の芯線
32b 第2の発熱素線
32c 第2の溶断層
33 信号線
33a 第3の芯線
33b 信号素線
33c 第3の溶断層
34 検知線
40 制御基板
51 第1の発熱線
51a 芯線
51b 第1の発熱素線
52 第2の発熱線
52a 第1の溶断層
52b 第2の発熱素線
53 検知線
53a 第2の溶断層
53b 検知素線
54 信号線
54a 第3の溶断層
54b 信号素線
60 制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱線と、同発熱線の温度を検知する信号線と、前記発熱線の異常発熱時に同発熱線と短絡する検知線とを備えたヒータ線において、
前記信号線は、前記検知線より抵抗温度係数が大きい材質で構成され、
前記検知線は、前記信号線より抵抗率が低い材質で構成され、
前記信号線と前記検知線とは直列接続されることを特徴とするヒータ線。
【請求項2】
前記発熱線は、芯線と、同芯線の外周にスパイラル状に巻回した発熱素線と、同発熱素線の外周に溶断層とを備え、
前記信号線は、芯線と、同芯線の外周にスパイラル状に巻回した信号素線と、同信号素線の外周に溶断層とを備え、
前記検知線は、前記信号線の前記溶断層の外周もしくは前記発熱線の前記溶断層の外周にスパイラル状に巻回され、
前記発熱線と前記信号線とを撚り合わせるか又は撚り合わせずに束ねた束の周りに絶縁被覆を設けたことを特徴とする請求項1記載のヒータ線。
【請求項3】
前記発熱線は、芯線と、同芯線の外周にスパイラル状に巻回した発熱素線とを備え、
前記検知線は、前記発熱素線の外周に設けられた第1の溶断層と、同第1の溶断層の外周にスパイラル状に巻回した検知素線とを備え、
前記信号線は、前記検知素線の外周に設けられた第2の溶断層と、同第2の溶断層の外周にスパイラル状に巻回した信号素線とを備え、
前記信号素線の外周に絶縁被覆を設けたことを特徴とする請求項1記載のヒータ線。
【請求項4】
前記ヒータ線が接続され、同ヒータ線の異常発熱時に通電を遮断する安全装置を備えた制御基板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のヒータ線を備えた採暖器。
【請求項5】
前記検知線は、一端を前記制御基板の前記信号線の接続点に接続され、他端を前記安全装置に接続されていることを特徴とする請求項4記載のヒータ線を備えた採暖器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−54454(P2011−54454A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203275(P2009−203275)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】