説明

ヒートショックプロテイン90(hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤

本発明は、抗腫瘍剤等の医薬品として有用な式(I)


(式中、Rは水素またはメチルを表し、R11およびR18は同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表し、R17は水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表す)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショックプロテイン90(hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、抗腫瘍剤や血管新生阻害剤等の医薬品に有用なヒートショックプロテイン90(hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤、およびベンゼノイドテンサマイシン誘導体に関する。
【背景技術】
hsp90ファミリー蛋白質としては、hsp90α蛋白質、hsp90β蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1等が知られている[例えば、“ファーマコロジー&セラピューティクス(Pharmacology & Therapeutics)”,1998年,第79巻,p.129−168および“モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology)”,1999年,第13巻,p.1435−1448参照]。
従来、hsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物としては、ゲルダナマイシン(Geldanamycin)、ハービマイシン(Herbimycin)等のベンゾキノンアンサマイシン系抗生物質および、ラディシコール(Radicicol)が知られている(例えば、“セル・ストレス&シャペロンズ(Cell Stress & Chaperones)”,1998年,第3巻,p.100−108および“ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)”,1999年,第42巻,p.260−266等参照)。これらの化合物はいずれもhsp90ファミリータンパク質に結合し、hsp90ファミリー蛋白質の機能を阻害することにより抗腫瘍活性等の薬理活性を示すことが報告されている。したがって、hsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物は、hsp90ファミリー蛋白質、またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(hsp90 client protein)が関与する疾患の治療薬として有用であると考えられる。
ゲルダナマイシン誘導体(例えば、“インベスティゲーショナル・ニュー・ドラッグス(Investigational New Drugs)”,1999年,第17巻,p.361−373等参照)およびラディシコール誘導体(例えば、“キャンサー・リサーチ(Cancer Research)”,1999年,第59巻,p.2931−2938、“ブラッド(Blood)”,2000年,第96巻,p.2284−2291、“キャンサー・ケモセラピー&ファーマコロジー(Cancer Chemotherapy and Pharmacology)”,2001年,第48巻,p.435−445等参照)は、抗腫瘍効果を示すことが報告されている。

また、ノボビオシン(Novobiocin)およびPU3がhsp90ファミリー蛋白質に結合する化合物として報告されている(例えば、“ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティチュート(Journal of National Cancer Institute)”,2000年,第92巻,p.242−248および“ケミストリー&バイオロジー(Chemistry & Biology)”,2001年,第8巻,p.289−299等参照)。
一方、ベンゼノイドアンサマイシン誘導体としては、レブラスタチン(Reblastatin)、アウトリティミシン(Autolytimycin)および17−O−デメチルレブラスタチン(17−O−Demethylreblastatin)が知られている。Reblastatinは、網膜芽細胞腫(Rb)蛋白質のリン酸化を阻害することにより細胞周期をG1期で停止させると報告されている(例えば、特開平9−286779号公報および“ジャーナル・オブ・アンティバイオティクス(Journal of Antibiotics)”,2000年,第53巻,p.1310−1312等参照)。また、Autolytimycinや17−O−Demethylreblastatinは抗HSV−1剤(例えば、“チャイニーズ・ケミストリー・レターズ(Chinese Chemistry Letters)”,2001年,第12巻,p.903−906等参照)やオンコスタチン(Oncostatin)M阻害剤(例えば、“ジャーナル・オブ・アンティバイオティクス(Journal of Antibiotics)”,2000年,第53巻,p.657−663等参照)として報告されている。

【発明の開示】
本発明の目的は、医薬品として有用なhsp90ファミリー蛋白質阻害剤を提供することにある。より具体的には癌等の予防および/または治療に有用な医薬を提供することが本発明の目的である。本発明のさらに別の目的は、抗腫瘍剤、血管新生阻害剤等といったhsp90ファミリー蛋白質およびhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質に関連する種々の疾患の治療剤や、抗菌剤等の医薬品の有効成分として有用な新規ベンゼノイドアンサマイシン誘導体を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(29)に関する。
(1)式(I)

(式中、Rは水素またはメチルを表し、R11およびR18は同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表し、R17は水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表す)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体[以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である]またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショックプロテイン90(hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤。
(2)R17が水素である前記(1)記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(3)Rが水素である前記(1)または(2)記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(4)Rがメチルであり、R11が置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである前記(1)または(2)に記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(5)R11がヒドロキシである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(6)Rがメチルであり、R11がヒドロキシであり、R17が水素またはヒドロキシであり、R18がヒドロキシである前記(1)に記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(7)R18が置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである前記(1)〜(5)のいずれかに記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(8)R18が置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである前記(1)〜(5)のいずれかに記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(9)式(Ia)

(式中、R2a、R11a、R17aおよびR18aは、それそれR、R11、R17およびR18と同義であるが、R2aがメチルであり、かつR11aおよびR18aの両方がヒドロキシであるとき、Rl7aは水素、ヒドロキシおよびメトキシのいずれでもない)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(10)R2aが水素である前記(9)記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(11)R17aが水素である前記(9)または(10)記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(12)R11aおよびR18aの一方または両方が、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである前記(9)〜(11)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(13)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(14)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
(15)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するhsp90ファミリー蛋白質またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質が関与する疾患の治療剤。
(16)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
(17)化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするhsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
(18)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
(19)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするhsp90ファミリー蛋白質またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質が関与する疾患の治療方法。
(20)前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするhsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
(21)hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(22)抗腫瘍剤の製造のための前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(23)hsp90ファミリー蛋白質またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質が関与する疾患の治療剤の製造のための前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(24)hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(25)式(Ib)

で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体を生産する、ストレプトマイセス属に属する微生物。
(26)ストレプトマイセス・エスピーEH21[Streptomyces sp.EH21、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6 郵便番号305−8566)受託番号FERM BP−08574]株。
(27)前記(25)に記載の微生物を培養し、得られた培養液から産生された化合物を単離する工程を包含する、化合物(Ib)の製造方法。
(28)ストレプトマイセス・エスピーEH21(Streptomyces sp.EH21、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−08574)株を培養し、得られた培養液から産生された化合物を単離する工程を包含する、前記(9)〜(12)のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体の製造方法。
(29)ストレプトマイセス・エスピーEH21(Streptomyces sp.EH21、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−08574)株を培養し、得られた培養液から産生された化合物を単離する工程を包含する、化合物(Ib)の製造方法。
化合物(I)および化合物(Ia)の各基の定義において、低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝状のアルキルまたは炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられる。炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝状のアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられ、炭素数3〜8のシクロアルキルとしては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
低級アルカノイルオキシの低級アルカノイル部分としては、例えば直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイル、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。
置換低級アルコキシおよび置換低級アルカノイルオキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、具体的にはヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ等があげられる。置換位置は、特に限定されない。ここで、低級アルコキシは、前記低級アルコキシと同義であり、置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3のヒドロキシ等があげられる。
化合物(I)および化合物(Ia)の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体が存在し得るものもあるが、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物が本発明のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤に使用できる。また、同様に化合物(Ia)の可能な異性体およびそれらの混合物は本発明の化合物に包含される。
化合物(I)および化合物(Ia)の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される金属塩、アンモニウム塩、酸付加塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。薬理学的に許容される金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン等の付加塩があげられる。
また、化合物(I)および化合物(Ia)ならびにそれらの薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、それらの付加物も本発明のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤に使用できる。また、同様に化合物(Ia)の水または各種溶媒との付加物は本発明の化合物に包含される。
化合物(I)もしくは化合物(Ia)またはその薬理学的に許容される塩はhsp90ファミリー蛋白結合活性を有しており、hsp90ファミリー蛋白が関与している種々の疾患に対して予防および/または治療のための医薬として用いることができる。化合物(I)もしくは化合物(Ia)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物および人に使用されるものである。
hsp90ファミリー蛋白質阻害とは、hsp90ファミリー蛋白質とhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(hsp90 client protein)との結合を阻害することを意味する。hsp90ファミリー蛋白質としては、例えばhsp90α蛋白質、hsp90β蛋白質、grp94、hsp75/TRAP1等があげられる[例えば、“ファーマコロジー&セラピューティクス(Pharmacology & Therapeutics)”,1998年,第79巻,p.129−168および“モレキュラー・エンドクリノロジー(Molecular Endocrinology)”,1999年,第13巻,p.1435−1448参照]。hsp90 client proteinとしては、hsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質であればいずれでもよいが、例えばEGFR、ErbB2、Bcr−Abl、src、Raf−1、AKT、Flt−3、PLK、Wee1、FAK、cMET、hTERT、HIF1−α、変異p53、エストロゲン受容体等があげられる[例えば、“エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Opinion on Biological Therapy)”,2002年,第2巻,p.3−24参照]。
また、前述したように、例えばゲルダナマイシン(Geldanamycin)、ハービマイシン(Herbimycin)等のベンゾキノンアンサマイシン系抗生物質および、ラディシコール(Radicicol)が知られている(例えば、“セル・ストレス&シャペロンズ(Cell Stress & Chaperones)”,1998年,第3巻,p.100−108および“ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)”,1999年,第42巻,p.260−266等参照)。これらの化合物はいずれもhsp90ファミリータンパク質に結合し、hsp90ファミリー蛋白質の機能を阻害することにより抗腫瘍活性等の薬理活性を示すことが報告されている。
ゲルダナマイシン誘導体(例えば、“インベスティゲーショナル・ニュー・ドラッグス(Investigational New Drugs)”,1999年,第17巻,p.361−373等参照)およびラディシコール誘導体(例えば、“キャンサー・リサーチ(Cancer Research)”,1999年,第59巻,p.2931−2938、“ブラッド(Blood)”,2000年,第96巻,p.2284−2291、“キャンサー・ケモセラピー&ファーマコロジー(Cancer Chemotherapy and Pharmacology)”,2001年,第48巻,p.435−445等参照)は、抗腫瘍効果を示すことが報告されている。
したがって、化合物(I)および化合物(Ia)ならびにそれらの薬理学的に許容される塩は、hsp90ファミリー蛋白質、またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質(hsp90 client protein)が関与する疾患の治療薬(例えば、抗腫瘍剤等、具体的には乳癌等の固形癌の治療薬、骨髄性白血病等の血液癌の治療薬等)として有用であると考えられる。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)もしくは化合物(Ia)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくはそれ以上の添加剤と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内等の非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、注射剤等があげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤等は、乳糖等の賦形剤、トウモロコシデンプン等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤等を用いて製造できる。
非経口投与に適当な、例えば注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩溶液とブドウ糖溶液の混合液等を用いて製造できる。
化合物(I)もしくは化合物(Ia)またはその薬理学的に許容される塩の投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度により異なるが、通常経口の場合、成人一人当り0.01mg〜1g、好ましくは0.05〜50mgを1日1回ないし数回投与する。静脈内投与等の非経口投与の場合、成人一人当り0.001〜100mg、好ましくは0.01〜10mgを1日1回ないし数回投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
本発明の化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下に説明する工程に従って製造することができる。
製造法1
化合物(I)のうち、Rが水素であり、R11およびR18がヒドロキシであり、R17が水素である化合物(Ib)は、ストレプトマイセス属に属し式(Ib)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体生産能を有する微生物を培地に培養し、培養物中に化合物(Ib)を生成蓄積させ、該培養物から化合物(Ib)を採取することによって製造される。
式(Ib)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体生産能を有する微生物としては、ストレプトマイセス属に属し、式(Ib)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体生産能を有する菌株であればいずれの菌株でも用いることができる。またこれらの菌株を人工的変異方法、例えば紫外線照射、X線照射、変異誘起剤処理等によって変異させた変異株または自然的に変異した変異株でも、式(Ib)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体生産能を有するものであれば本発明に用いることができる。具体的に好適な例として、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)EH21株があげられる。
本発明者らは、土壌より新たに分離したストレプトマイセス属に属するEH21株が、化合物(Ib)を生産することを見い出した。また、本発明者らは、上記EH21株が、化合物(I)のうちRがメチルであり、R11およびR18がヒドロキシであり、R17が水素、ヒドロキシまたはメトキシである化合物(II)を生産することも見い出した。
化合物(Ib)を生産する代表菌株EH21は、土壌より分離したもので、その菌学的性質は次のとおりである。
土壌より新たに分離したストレプトマイセス属に属する放線菌EH21株の形態、培養性状、生理的性質における特徴を記述する。
1.形態的性質
1)菌糸
気菌糸形成:有
気菌糸の分断および運動性:無
基生菌糸の分断および運動性:無
2)胞子
胞子の形成の有無および着生位置:気菌糸に形成
胞子嚢の形成の有無および着生位置:無
胞子柄上で連鎖する胞子の数:10個以上
多数の胞子が連鎖する場合の形状:コイル状
胞子の特徴
表面構造:シワ状
形状および大きさ:桿形、約1.0〜1.3x1.9μm
運動性および鞭毛の存在:無
3)その他
厚膜胞子:無
集束菌糸:無
疑似胞子嚢:無
菌糸の分裂様式:単純分枝
2.培養的性質
EH21株は、一般に使用されている合成および天然培地で普通もしくは旺盛な生育を示し、基生菌糸はうすい黄色からこい赤みの黄色を示す。培地により黄色系統の可溶性色素が産生されることもある。
各種培地上で28℃、14日間培養したときの生育および色の特徴を下記に示す。なお、色の表示はJIS色名帳(財団法人日本規格協会)による色の分類に従った。
1)シュクロース・硝酸塩寒天培地
生育状態:貧弱
基生菌糸の色調:ごくうすい黄〜黄みの白(7.5Y 9/3〜5Y 9/1)
気菌糸の着生状態とその色調:旺盛、黄みの暗い灰色〜白(5Y 4/1〜N 9.5)
可溶性色素:無
2)グルコース・アスパラギン寒天培地
生育状態:貧弱
基生菌糸の色調:くすんだ黄〜うすい黄(5Y 7.5/7〜5Y 9/6)
気菌糸の着生状態とその色調:普通、白(N9.5)
可溶性色素:無
3)グリセリン・アスパラギン寒天培地
生育状態:普通
基生菌糸の色調:くすんだ赤みの黄〜うすい黄(10YR 7/7〜5Y 9/6)
気菌糸の着生状態とその色調:貧弱、白(N9.5)
可溶性色素:産生(黄色)
4)スターチ・無機塩寒天培地
生育状態:旺盛
基生菌糸の色調:ごくうすい黄〜うすい黄(10YR 9/3〜5Y 9/6)
気菌糸の着生状態とその色調:旺盛、赤み灰色〜白(5R 5.5/1〜N 9.5)
可溶性色素:無
5)チロシン寒天培地
生育状態:普通
基生菌糸の色調:こい赤みの黄〜うすい黄(10YR 5.5/10〜5Y 9/6)
気菌糸の着生状態とその色調:貧弱、明るい灰黄(7.5Y 8/3)
可溶性色素:わずかに産生(黄)
6)栄養寒天培地
生育状態:旺盛
基生菌糸の色調:うすい赤みの黄(10YR 8.5/6)
気菌糸の着生状態とその色調:貧弱、ごくうすい黄(10YR 9/3)
可溶性色素:無
7)イースト・麦芽寒天培地
生育状態:旺盛
基生菌糸の色調:くすんだ黄赤〜灰黄赤(5YR 6/7〜5YR 5/3)
気菌糸の着生状態とその色調:旺盛、灰色〜白(N 5.5〜N 9.5)
可溶性色素:無
8)オートミール寒天培地
生育状態:旺盛
基生菌糸の色調:うすい赤みの黄〜ごくうすい黄(10YR 8.5/6〜10YR 9/3)
気菌糸の着生状態とその色調:旺盛、黄みの暗い灰色〜白(5Y 4/1〜N 9.5)
可溶性色素:無
3.生理学的性質
EH21株の生理的諸性質を以下に示す。生育温度範囲は14日間培養後、その他は28℃、2週間培養後の結果を記述する。
1)生育温度範囲:15.0℃〜43.5℃、最適温度39℃付近。
2)ゼラチンの液化:無
3)スターチの加水分解:有
4)脱脂粉乳の凝固およびペプトン化:ペプトン化有
5)メラニン様色素の生成
a)ペプトン・イースト・鉄寒天培地:無
b)チロシン寒天培地:無
6)炭素源の利用性
基礎培地はプリードハム・ゴトリーブ寒天培地を使用した。
以下、+は利用することを、−は利用しないことを示す。
L−アラビノース:+
D−キシロース :+
D−グルコース :+
シュクロース :+
ラフィノース :+
D−フルクトース:+
ラムノース :+
イノシトール :+
D−マンニトール:+
4.化学分類的性質
1)菌体中のジアミノピメリン酸の光学異性体:LL型
以上、形態的には気中菌糸に胞子鎖が形成されること、胞子嚢の形成が無いこと、および基生菌糸が分断しないこと、化学分類的には細胞壁がI型(LL−ジアミノピメリン酸)であることから、本菌株は放線菌の中でストレプトマイセス属に分類される。
従って、本菌株をストレプトマイセス・エスピーEH21(Streptomyces sp.EH21)と命名し、平成15年(2003年)12月16日付けで独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6 郵便番号305−8566)に受託番号FERM BP−08574として寄託した。
本発明のベンゼノイドアンサマイシン誘導体生産菌の培養に際しては、通常の放線菌の培養法が適用される。培地としては、微生物の資化し得る炭素源、窒素源、無機イオンおよび有機栄養源等より選択されたもの適宜含有する培地であれば合成培地、天然培地いずれでも使用できる。
炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フルクトース、シュクロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、マンニトール、糖蜜等が単独または組合せて用いられる。さらに、菌の資化能によっては炭化水素、アルコール類、有機酸等も用いられる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、さなぎ粉、カザミノ酸等が単独または組合せて用いられる。
そのほか、必要に応じて塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム・8水塩、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅等の無機塩類を加える。さらに、使用菌の生育やベンゼノイドアンサマイシン誘導体の生産を促進する微量成分を適当に添加することができる。
培養法としては、液体培養法、特に深部攪拌培養法が適している。培養は、16〜37℃、好ましくは25〜32℃の温度で、pH4〜10、好ましくはpH6〜8で行われ、培地のpH調整にはアンモニア水や炭酸アンモニウム溶液等が用いられる。培養は通常1〜10日で完了するが、化合物(Ib)または化合物(II)が培養液中および菌体中に生成蓄積され、培養物中の生成量が最大に達したときに培養を停止することが好ましい。
培養物中に蓄積した化合物(Ib)または化合物(II)を培養物から単離精製するに際しては、通常の微生物代謝産物を培養物から単離精製するために常用される方法に従って行われる。例えば、培養物に直接メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトンを加え、活性成分の抽出を行うか、2−ブタノン、tert−ブタノール、n−ブタノールで2層分配抽出を行なうことにより活性成分を抽出する。培養物を濾過により培養濾液と菌体とに分け、菌体からクロロホルム、アセトン、メタノール等の溶剤で菌体成分を抽出する。ついで、抽出液または培養濾液をポリスチレン系吸着剤、例えばダイヤイオンHP−20、HP−20ss(三菱化学社製)等に通塔して活性成分を吸着させ、ついでメタノール、アセトン等で溶出する。次に、例えばセファデックスLH−20、トヨパールHW40等によるゲルろ過やオクタデシル基結合型シリカゲル(ODS)等によるカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー等により、化合物(Ib)または化合物(II)を得る。なお、培養、単離精製操作中の化合物(Ib)または化合物(II)の検出は、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等により行なう。
製造法2
工程1
化合物(Ia)のうち、R11aおよびR18aがヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシであり、R17aが水素、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシであり、R11a、R17aおよびR18aのうち少なくとも1つが置換もしくは非置換の低級アルコキシである化合物(III)は、化合物(IV){前記化合物(Ib)、化合物(II)または化合物(II)より有機合成化学で常用される公知の方法[例えば、R.C.ラロック(Larock)著,“コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)”,アメリカ,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.),1989年参照]によって製造できる}から合成することができる。

(式中、R2aは前記と同義であり、R11−3およびR18−3はヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、R17−3は水素、ヒドロキシまたは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、R11−3、R17−3およびR18−3のうち少なくとも1つは置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、R17−3が水素のとき、R17−4は水素を表し、R17−3がメトキシのとき、R17−4はヒドロキシまたはメトキシを表し、R17−3がメトキシを除く置換もしくは非置換の低級アルコキシまたはヒドロキシのとき、R17−4はヒドロキシを表す)
化合物(III)は化合物(IV)を適当なアルキル化剤を用いて、不活性溶媒中、必要に応じて1〜100当量の塩基存在下、ヒドロキシをアルキル化することにより合成することができる。不活性溶煤としては、例えばメタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルムまたはジクロロメタン等があげられる。塩基としては、例えば水素化ナトリウム、酸化銀、炭酸カリウ厶、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンまたは1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等があげられる。用いられる適当なアルキル化剤は、通常ヒドロキシをアルキル化する方法に用いられるものであればいずれでも良く、例えばトリメチルシリルジアゾメタン、アルキルハライド、アルコキシアルキルハライド、アルカンスルホン酸アルキルエステルまたはトリアルコキシテトラフルオロボレート等があげられる。反応温度は−30℃〜150℃が好ましく、反応時間は通常5分〜150時間である。
化合物(III)のうち、R11−3、R17−3およびR18−3のうち少なくとも1つがヒドロキシである化合物は、反応条件やアルキル化剤の当量を調節することにより、当該ヒドロキシが、置換もしくは非置換の低級アルコキシとなった化合物との混合物として得られる場合があり、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、必要に応じてヒドロキシ基の保護、脱保護[例えば、グリーン(T.W.Greene)著,“プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)”,アメリカ,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.),1981年参照]を行うことにより、目的化合物を選択的に製造することができる。
工程2
化合物(Ia)のうち、R11aおよびR18aがヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシであり、R17aが水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシであり、R11a、R17aおよびR18aの少なくとも1つが置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである化合物(V)は、化合物(VI)[前記化合物(III)または化合物(IV)]から合成することができる。

(式中、R2aは前記と同義であり、R11−5およびR18−5はヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表し、R17−5は水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表し、R11−5、R17−5およびR18−5のうち少なくとも1つは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表し、R11−5が置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたはヒドロキシの場合、R11−6はヒドロキシであり、R11−5が置換もしくは非置換の低級アルコキシの場合、R11−6はR11−5と同じく置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、R17−5が置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたはヒドロキシの場合、R17−6はヒドロキシを表し、R17−5が水素または置換もしくは非置換の低級アルコキシの場合、R17−6はR17−5と同じく水素または置換もしくは非置換の低級アルコキシを表し、R18−5が置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシまたはヒドロキシの場合、R18−6はヒドロキシを表し、R18−5が置換もしくは非置換の低級アルコキシの場合、R18−6はR18−5と同じく置換もしくは非置換の低級アルコキシを表す)
化合物(V)は化合物(VI)を、無溶媒または溶媒中、1当量〜溶媒量の塩基存在下、1〜100当量の適当なアルカノイル化剤を用いて、ヒドロキシをアルカノイル化することにより合成することができる。溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルムまたはジクロロメタン等があげられる。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、エチルジイソプロピルアミンまたは4−ジメチルアミノピリジン等があげられる。用いられるアルカノイル化剤は、通常、ヒドロキシをアルカノイル化する方法に用いられるものであればいずれでも良く、例えば酸無水物よたは酸ハライドがあげられる。反応温度は−30℃〜150℃が好ましく、反応時間は通常5〜150時間である。
また、化合物(V)は化合物(VI)を、溶媒中で、1〜100当量の塩基および1〜100当量の縮合剤存在下、1〜100当量のカルボン酸と反応させることによっても合成できる。溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルムまたはジクロロメタン等があげられる。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、エチルジイソプロピルアミンまたは4−ジメチルアミノピリジン等があげられる。縮合剤としては、例えば1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはカルボニルジイミダゾール等があげられる。反応温度は−30℃〜150℃が好ましく、反応時間は通常5〜150時間である。
さらに必要により、引き続き水、メタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、またはジクロロメタン等の溶媒中、必要に応じて0.1〜1000当量の炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムメチラート等の塩基と反応させることによりアルカノイル化を目的としないヒドロキシがアルカノイル化された化合物において該アルカノイル基を除去することができる。反応温度は−30℃〜150℃が好ましく、反応時間は通常5分〜150時間である。
また、化合物(V)のうち、R11−5、R17−5およびR18−5のうち少なくとも1つがヒドロキシである化合物が、反応条件やアルカノイル化剤の当量を調節することにより、該ヒドロキシが、置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシとなった化合物との混合物として得られる場合があり、工程2と同様に単離精製または選択的に製造することができる。
上記工程1および工程2における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
さらに、有機合成化学で常用される公知の方法[例えば、R.C.ラロック(Larock)著,“コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)”,アメリカ,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.),1989年参照]によって各官能基を変換して種々の化合物(I)および化合物(Ia)を製造することもできる。また、必要に応じて各官能基の保護、脱保護[例えば、グリーン(T.W.Greene)著,“プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)”,アメリカ,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.,1981年参照]を組み合わせ、種々の官能基を持つ目的化合物を製造することができる。
化合物(I)および化合物(Ia)の塩を取得したいとき、化合物(I)および化合物(Ia)が塩の形で得られるときはそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときは、化合物(I)および化合物(Ia)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて単離、精製すればよい。
本発明の活性成分として好適に用いられる化合物(I)の代表的化合物を以下に示し、それらの製造法は後述の参考例に示す。ただし、本発明の活性成分はこれらの化合物に限定されることはない。

次に、代表的な化合物(I)の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
試験例1 hsp90タンパク質結合活性試験
文献[“アーカイブズ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Archives of Biochemistry and Biophysics)”,1990年,282巻,p.290−296参照]に記載の方法に従って、ウシ脳から精製したhsp90蛋白質(純度58%)をトリス緩衝化生理食塩水(TBS、pH7.4)にて1μg/mLになるように希釈し、住友ベークライト社製96穴ELISAアッセイプレートに75μL/ウェルの量で分注後、4℃にて1晩放置して固相化した。上清を除去し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むTBSを300μL/ウェルの量で分注してブロッキングを行なった。ブロッキング液を除去後、0.05%ツィーン20を含むトリス緩衝化生理食塩水(TBST)を500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。被験化合物を、TBSTを用いて最高濃度0.5mmol/Lから10平方根倍で8段階希釈した各溶液を調製した。この被験化合物溶液を、プロテアーゼ阻害剤コンプリートEDTA−フリー(ロシュ社製)およびペファブロック SC(Pefabloc SC,ロシュ社製)をそれぞれ1錠/40mLおよび0.4mmol/Lの濃度で含むTBSTを80μL/ウェルの量であらかじめ分注したアッセイプレートに、20μL/ウェルの量で添加し、室温で1時間放置した。ここで、アッセイのポジティブコントロールとしてジメチルスルホキシド(DMSO)を終濃度1μL/ウェルで、ネガティブコントロールとしてラディシコールを終濃度0.25μmol/Lで、被験化合物と同一プレートに並べて被験化合物と同様の操作を行った。最終濃度0.1μmol/Lになるように、式(A)で示されるビオチン化ラディシコール[“バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー(Bioorganic & Medicinal Chemistry)”,2002年,10巻,p.3445−3454参照]を加え、さらに室温で1時間放置して、固相化したhsp90蛋白質に対する被験化合物の結合の競合反応を行なった。

反応液を除去後、TBSTを500μL/ウエルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。ユーロピウム標識ストレプトアビジン[ワラック・オイ(Wallac Oy)社製]をアッセイ用緩衝液[ワラック・オイ(Wallac Oy)社製]にて最終濃度0.1μg/mLになるように希釈し、100μL/ウェルの量で分注した後、室温で1時間放置して、ビオチン−アビジン結合反応を行なった。反応液を除去後、TBSTを500μL/ウェルの量加えて固相を洗浄する操作を3回繰り返した。蛍光増強溶液[ワラック オイ(Wallac Oy)社製]を100μL/ウェルの量で加え、室温で5分間発色反応を行い、マルチラベルカウンター[ARVOTM、ワラック オイ(Wallac Oy)社製]を用いて、励起波長340nm、測定波長615nmで時間分解蛍光を測定した。ポジティブコントロールの時間分解蛍光の測定値を結合率100%、ネガティブコントロールの測定値を結合率0%として、被験化合物がビオチン化ラディシコールとhsp90との結合を50%阻害する濃度IC50(nmol/L)を算出した。
結果を第2表に示す。

試験例2 ヒト乳癌由来KPL−4細胞に対する増殖阻害試験
96穴マイクロプレート(ヌンク社製)中に、1ウェルあたり2000個のヒト乳癌由来KPL−4細胞をまきこみ、10%牛胎児血清(FCS)を含むダルベッコ変性イーグル培地中(DMEM)、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、24時間前培養を行った。その後、10mmol/Lに調製した各被験化合物のDMSO溶液を、培養用培地で段階的に希釈し、1ウェルあたり合計100μLになるように添加した。その後、37℃でさらに72時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養した。培養終了後、培養用培地で2倍希釈したWST−1{4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−2H−5−テトラゾリオ]−1,3−ベンゼンジスルホン酸(4−[3−(4−Iodophenyl)−2−(4−nitrophenyl)−2H−5−tetrazolio]−1,3−benzene disulfonate)標識混合物(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)}を、1ウェルあたり20μLずつ添加した後、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、1時間培養し、マイクロプレート分光光度計(バイオラッド社製、Model 550)を用い、450nmと655nmでの吸光度を測定した。細胞増殖阻害活性は50%増殖阻害濃度GI50で示した。GI50算出方法を以下に記す。各ウェルの450nmでの吸光度から655nmでの吸光度を減じた値(差吸光度)を算出した。被験化合物未処理の細胞で得られた差吸光度を100%とし、試験濃度の化合物で処理した細胞で得られた差吸光度と比較することにより、細胞の増殖を50%阻害する化合物の濃度を算出し、それをGI50で示した。結果を第3表に示す。第3表によれば、被験化合物は、ヒト乳癌由来KPL−4細胞に対する細胞増殖阻害活性を示し、抗腫瘍剤として有用である。

試験例3 細胞内hsp90クライアント蛋白質Raf−1およびErbB2の消失作用
24穴マイクロプレート(ヌンク社製)中に、1ウェルあたり50000個のヒト乳癌由来KPL−4細胞をまきこみ、10%牛胎児血清(FCS)を含むダルベッコ変性イーグル培地中(DMEM)、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、24時間前培養を行った。その後、10μmol/Lに調製した各被験化合物のDMSO溶液を、培養用培地で段階的に希釈し、試験濃度になるように各ウェルに添加した。その後、37℃でさらに40時間、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養した。冷却した溶解用緩衝液[50mmol/L ヘペス(HEPES)NaOH,pH7.4,250mmol/L食塩(NaCl),1mmol/Lエチレンジアミン四酢酸(EDTA),1%ノニデットP−40(NP−40),1mmol/Lジチオスレイトール(DTT),1mmol/Lフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF),5μg/mLロイペプチン(leupeptin)]を用い、4℃において細胞を30分間溶解した後、20000Gで10分間遠心した。得られた上清の蛋白質濃度を測定し、各レーンあたり同一蛋白質量になるよう試料を調製した後、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により蛋白質の分離を行なった。分離された蛋白質試料は、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜(ミリポア社)に移した後、1次抗体として、抗ErbB2抗体[anti−c−Neu、Ab−3、オンコジーン(Oncogene)社製]、抗Erk−2抗体[anti−Erk2、アップステート・バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)社製]、抗Raf−1抗体[anti−Raf−1(C−12)、サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)社製]を加え、膜上の蛋白質と反応させた。その後、2次抗体として、それぞれの1次抗体と反応する西洋ワサビペルオキシダーゼ(Horseradish Peroxidase)標識2次抗体[抗ウサギIg抗体、または抗マウスIg抗体、アマシャム(Amersham)社]を反応させた。検出はECL試薬[ピアス(PIERCE)社製]を用いて行い、X線フィルム上に得られたバンドを検分し、非hsp90クライアント蛋白であるErk−2を対照に、ErbB2およびRaf−1の消失が検出されはじめた濃度を最小有効濃度とした(第1図)。結果を第4表に示す。第4表によれば、被験化合物は、ヒト乳癌の増殖・悪性化に関与するRaf−1およびErbB2に対する選択的な消失作用を有することから、ヒト乳癌の治療薬として有用であると考えられる。

試験例4 表面マーカーの発現を指標にしたヒト慢性骨髄性白血病細胞K562株に対する分化誘導活性の測定
転座遺伝子産物であるBcr−Ablはヒト慢性骨髄性白血病(CML)の原因遺伝子として知られているが、この蛋白自体がhsp90のクライアント蛋白であり、Bcr−Abl発現ヒト慢性骨髄性白血病細胞K562株に対してradicicolならびにその誘導体、あるいはbenzoquinon ansamycin系化合物(geldanamycin,herbimycin A)等のhsp90阻害剤を作用させるとBcr−Ablの機能を間接的に阻害する結果、抗細胞活性を示すとともに白血病細胞を赤芽球系細胞へと分化させる活性を示すことが報告されている[“ブラッド(Blood)”,2000年,96巻,p.3312−3318参照]。そこで、ベンゼノイドアンサマイシン誘導体のhsp90阻害作用と白血病治療薬としての有用性を明らかにすることを目的として、以下の方法でK562細胞に対する分化誘導活性測定を実施した。
K562細胞(1×10cells/mL)を6well plate(ファルコン社)に各wellに5mLずつ播種後、DMSOにて各濃度に希釈した被験化合物を0.1%添加した。薬剤を添加した細胞を37℃、5%CO条件下にて40時間培養後、抗細胞活性測定用に0.2mLの細胞液をサンプリングして10mLセルパック(東亜医用電気)に懸濁し、自動血球計数装置F−300(東亜医用電気)にて細胞数を測定した。また、残りの細胞液は15mL tube(ファルコン社)に移し1000rpmで10分間の遠心操作後、培地を吸引除去し、更に同様の操作でリン酸緩衝液(PBS)にて細胞を洗浄した。洗浄後遠心操作にて集めた細胞を、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSに縣濁し、赤芽球に特異的な発現が認められる細胞表面マーカー蛋白であるグリコフォリン A[Glycophorin A(GPA)]に対する一次抗体{マウス抗GPA抗体[mouse anti GPA antibody(ファーミンジェン社)]}を最終濃度2.5μg/mLになるように添加した。氷上で30分間反応後、PBSにて再度細胞を洗浄後、再び0.1%BSAを含むPBSに縣濁し、二次抗体としてウサギ抗マウスIgG−FITC共役体[rabbit anti mouse IgG−FITC conjugate(ベクター社)]を最終濃度2μg/mLになるように添加した。氷上で30分間反応後、PBSで洗浄して得られた細胞を、2.5%グルタールアルデヒドを含むPBS溶液にて固定した。得られた細胞サンプルはFACScan(ベクトン ディキンソン社)により、赤芽球系分化度の指標としてGPA表面抗原の発現量(FITCの蛍光波長515−545nm)を10,000細胞について測定した。
第2図に化合物6(化合物1のアセチル体)を用いた実験の結果を示す。対照化合物の式(B)

で表されるRadicicol誘導体[“バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー(Bioorganic & Medicinal Chemistry)”,2002年,10巻,p.3445−3454参照]と同様にK562細胞の増殖阻害を示すとともに、相関して赤芽球系マーカーの増加がみられ、hsp90阻害剤の活性の一つである分化誘導活性を有することが確認できた。第5表に示すように、評価を行った他のベンゼノイドアンサマイシン誘導体にも同様の活性を確認した。
第2図において、抗細胞活性は、培養40時間後における被験化合物未処理細胞の細胞数を100%とした場合の相対値で表した。分化誘導活性は、培養40時間後における被験化合物未処理細胞を2次抗体のみで標識した細胞のGPA発現量(蛍光強度)をベースラインとして10000細胞のうち蛍光強度が増加した細胞の比率として表した。

【図面の簡単な説明】
第1図 Aは化合物1の細胞内Hsp90クライアント蛋白質Raf−1およびErbB2の消失作用を表す図である。同様に、Bは化合物2、Cは化合物4、Dは化合物6について表す図である。
第2図 化合物6およびRadicicol誘導体のK562細胞に対する抗細胞活性および分化誘導活性を示した図である。
【符号の説明】
▲:化合物6の抗細胞活性
△:化合物6の分化誘導活性
●:Radicicol誘導体の抗細胞活性
○:Radicicol誘導体の分化誘導活性
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明の態様を実施例および参考例で説明する。
【実施例1】
ストレプトマイセス・スピーシーズEH21株による化合物4の製造
第一種培地および第二種培地としては、グルコース10g/L、可溶性デンプン10g/L、肉エキス3g/L、酵母抽出物5g/L、トリプトン5g/L、リン酸二水素カリウム1g/Lの組成の培地(pH7.0)を用いた。グリセロール保存した種菌を、70mL容試験管に入れた10mLの第一種培地に0.5mLずつ合計8本に植菌し、28℃で192時間振盪培養を行った。この第一種培養液を、300mL容三角フラスコに入った50mLの第二種培地に2.5mLずつ合計31本に植菌し、28℃で96時間振盪培養した。得られた第二種培養液を、5L容ジャーファーメンターに入れた主発酵培地3Lに75mLずつ12本(合計36L)植菌し、28℃で144時間通気撹拌培養(回転数200rpm)を行った。主発酵培地としては、グルコース10g/L、可溶性デンプン10g/L、さなぎ粉10g/L、ほうじ茶5g/L、酵母抽出物2g/L、ニトロフミン酸0.25g/L、MOPS2g/L、硫酸亜鉛・7水塩10mg/L、硫酸マンガン・5水塩10mg/L、硫酸鉄(II)・7水塩10mg/L、塩化コバルト・6水塩10mg/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.5g/Lの組成の培地(pH6.4)を用いた。
得られた発酵培養液29Lに濾過助剤(ラヂオライト600、昭和化学工業社製)を10%の割合で添加後、吸引濾過を行って、培養濾液と菌体とに分けた。分別した菌体にメタノール16Lを加えて充分に撹拌抽出し、再度吸引濾過機により濾過し、得られたメタノール抽出液を水で3倍希釈して48Lの菌体抽出液とした。培養濾液と菌体抽出液はそれぞれ別々にダイヤイオンHP−20を2L充填したカラムに通塔して活性成分を吸着させた。それぞれのカラムを30%メタノール水溶液で洗浄後、50%および75%メタノール水溶液で活性成分を溶出させた。次にそれぞれの活性画分をダイヤイオンHP−20ssを500mL充填したカラムに通塔して活性成分を吸着させた後、それぞれのカラムを50%メタノール水溶液で洗浄後、60%および70%メタノール水溶液で活性成分を溶出させた。培養濾液由来の活性画分は減圧下で有機溶媒を留去した後、残渣をメタノールに溶解し、そこに35mLのシリカゲルを加え、メタノールを留去することにより活性成分をシリカゲルに吸着させた。次いで、シリカゲル300mLを充填したカラムの上に活性成分を吸着させたシリカゲルを乗せ、メタノール/クロロホルム混液で展開したところ、10%および20%メタノール/クロロホルム画分にそれぞれ活性成分が溶出した。菌体抽出液由来の活性画分も同様に75mLのシリカゲルに吸着させた後、既に充填してある300mLのシリカゲルの上にのせ、メタノール/クロロホルム混液で展開したところ、10%メタノール/クロロホルム画分に活性成分が溶出した。上清由来と菌体抽出液由来の活性画分を混合し、逆相シリカゲルYMC−GEL ODS−AQ 120−S5O 400mL MM column(流速2.5mL/min、移動相55%メタノール水溶液)にて精製をおこない、保持時間260〜325分に溶出する活性画分をさらに分取高速液体クロマトグラフィー(カラムInertsil ODS,φ20×250mm、カラム温度35℃、流速8mL/min、移動相25%アセトニトリル水溶液)で保持時間25〜28分の活性画分を分取した。さらに、分取薄層クロマトグラフィー[メタノール/クロロホルム混液(1:9)]にて精製を行って化合物4を7.2mg得た。
化合物4の物理化学的性質は、以下に示すとおりである。
なお、物理化学的性質は以下の機器により測定した。
FABマススペクトルおよび高分解能FABマススペクトル:日本電子JMS−HX/HX110A型質量分析装置
核磁気共鳴スペクトル:Bruker AM−500(500MHz)
化合物4の物理化学的データ
性状:白色粉末状物質
分子式:C2740
FABマススペクトル(m/z):505[M+H],503[M−H]
高分解能FABマススペクトル(m/z):
実測値 503.2750
理論値 503.2742(C2739として)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(CDOD)
0.84(3H,d,J=6.8Hz),1.00(3H,d,J=6.4Hz),1.02(1H,m),1.32(1H,m),1.34(3H,s),1.44(1H,m),1.64(1H,m),1.97(1H,m),2.30(2H,m),2.32(1H,m),2.35(1H,m),2.82(1H,dd,J=3.7Hz,12.9Hz),3.08(1H,ddd,J=2.7Hz,2.9Hz,10.0Hz),3.28(1H,m),3.32(3H,s),3.40(3H,s),3.46(1H,m),4.87(1H,d,J=8.3Hz),5.23(1H,d,J=11.2Hz),5.96(1H,ddd,J=1.7Hz,2.0Hz,15.6Hz),6.34(1H,m),6.43(1H,dd,J=2.0Hz,2.2Hz),6.52(1H,dd,J=1.5Hz,2.2Hz),6.92(1H,ddd,J=5.1Hz,6.4Hz,15.9Hz)ppm.
13C−核磁気共鳴スペクトル:δ(CDOD)
11.7,18.1,19.3,27.3,29.4,32.1,34.9,36.5,44.1,56.7,60.2,74.3,80.2,82.7,84.6,110.3,116.7,120.9,122.6,131.2,135.8,143.6,146.5,159.0,169.5ppm.
溶解性:メタノールおよびジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶
薄層クロマトグラフィー:Rf値0.12
薄層:シリカゲルTLC(Merck社製)
展開溶媒:メタノール/クロロホルム混液(1:9)
参考例1 化合物1、2、3の製造
実施例1によって得られた発酵培養液29Lに濾過助剤(ラヂオライト600、昭和化学工業社製)を10%の割合で添加後、吸引濾過を行って、培養濾液と菌体とに分けた。分別した菌体にメタノール16Lを加えて充分に撹拌抽出し、再度吸引濾過機により濾過し、得られたメタノール抽出液を水で3倍希釈して48Lの菌体抽出液とした。培養濾液と菌体抽出液はそれぞれ別々にダイヤイオンHP−20を2L充填したカラムに通塔して活性成分を吸着させた。それぞれのカラムを30%メタノール水溶液で洗浄後、50%および75%メタノール水溶液で活性成分を溶出させた。次にそれぞれの活性画分をダイヤイオンHP−20ssを500mL充填したカラムに通塔して活性成分を吸着させた後、それぞれのカラムを50%メタノール水溶液で洗浄後、60%および70%メタノール水溶液で活性成分を溶出させた。培養濾液由来の活性画分は減圧下で有機溶媒を留去した後、残渣をメタノールに溶解し、そこに35mLのシリカゲルを加え、メタノールを留去することにより活性成分をシリカゲルに吸着させた。次いで、シリカゲル300mLを充填したカラムの上に活性成分を吸着させたシリカゲルを乗せ、メタノール/クロロホルム混液で展開したところ、10%および20%メタノール/クロロホルム画分にそれぞれ活性成分が溶出した。菌体抽出液由来の活性画分も同様に75mLのシリカゲルに吸着させた後、既に充填してある300mLのシリカゲルの上にのせ、メタノール/クロロホルム混液で展開したところ、10%メタノール/クロロホルム画分に活性成分が溶出した。上清由来と菌体抽出液由来の活性画分を混合し、逆相シリカゲルYMC−GEL ODS−AQ 120−S50 400mL MM column(流速2.5mL/min、移動相55%メタノール水溶液)にて、保持時間385〜480分、325〜385分および260〜325分の各活性画分(55%メタノール)を得た。保持時間385〜480分の活性画分(55%メタノール)の溶媒を留去後、ジクロロメタンで粉末化を行って化合物1を90.4mg得た。また、保持時間325〜385分の活性画分(55%メタノール)を、さらに分取高速液体クロマトグラフィー(カラムInertsil ODSφ20×250mm、カラム温度35℃、流速8mL/min、移動相30%アセトニトリル水溶液)で保持時間20〜21分の活性画分を分取し、化合物2を23.0mg得た。また、保持時間260〜325分の活性画分(55%メタノール)を、さらに分取高速液体クロマトグラフィー(カラムInertsil ODSφ20×250mm、カラム温度35℃、流速8mL/min、移動相25%アセトニトリル水溶液)で保持時間28〜30分の活性画分を分取し、化合物3を25.4mg得た。
化合物1
FABマススペクトル(m/z):547(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(500MHz,DMSO−d,323K)
0.84(3H,d,J=6.7Hz),0.91(3H,d,J=6.7Hz),1.22(1H,m),1.33−1.44(2H,m),1.47(3H,s),1.54(1H,m),1.69(3H,s),1.76(1H,m),2.13(1H,m),2.21(1H,m),2.38(1H,dd,J=6.5Hz,13.8Hz),2.41(1H,m),2.56(1H,dd,J=6.3z,13.4Hz),3.06(1H,ddd,J=2.8Hz,3.9Hz,9.1Hz),3.23(3H,s),3.28(1H,m),3.32(1H,m),3.34(3H,s),3.65(3H,s),4.15(1H,d,J=5.5Hz),4.89(1H,d,J=7.2Hz),5.33(1H,d,J=9.4Hz),5.90(1H,br,t,J=5.7Hz),6.33(1H,br.s),6.34(2H,br.s),6.91(1H,br.s)9.04(1H,br s)6.91(1H,s)ppm.
13C−核磁気共鳴スペクトル:δ(125MHz,DMSO−d,323K)
11.6,12.8,15.7,20.0,23.6,29.7,31.0,33.5,34.6,35.7,56.3,58.0,59.6,73.9,79.6,80.4,81.1,107.1,114.5,129.6,132.2,133.3,133.5,134.4,142.6,149.6,156.0,170.0ppm.
化合物2
ESIマススペクトル(m/z):517(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(300MHz,CDOD)
0.71(3H,d,J=6.8Hz),0.98(3H,d,J=6.4Hz),1.06−1.30(3H,m),1.40(3H,s),1.58(1H,m),1.77(3H,s),1.92(1H,m),2.08(1H,m),2.23(1H,m),2.31−2.37(2H,m),2.65(1H,dd,J=4.4Hz,13.2Hz),3.04(1H,m),3.30(3H,s),3.39(3H,s),3.55(1H,dd,J=2.7Hz,9.2Hz),5.19(1H,d,J=9.9Hz),5.70(1H,m),6.23(1H,s),6.32(1H,m),6.51(1H,br.s)ppm.
化合物3
ESIマススペクトル(m/z):533(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(300MHz,DMSO−d
0.75(3H,d,J=6.2Hz),0.90(3H,d,J=6.4Hz),1.04−1.25(3H,m),1.38(3H,s),1.60(1H,m),1.66(3H,s),1.79(1H,m),1.99−2.19(2H,m),2.24−2.38(2H,m),2.65(1H,dd,J=6.1Hz,13.4Hz),2.97(1H,m),3.21(3H,s),3.31(3H,s),4.26(1H,br.s),4.83(1H,d,J=7.5Hz),5.21(1H,d,J=9.5Hz),5.70(1H,br.s),6.15(1H,br.s),6.45(2H,br.s),6.67(1H,br.s),7.86(1H,br.s),9.08(1H,br.s),9.212(1H,br.s)ppm.
【実施例2】
化合物5
化合物1、1.3mg(0.0024mmol)をメタノール/アセトニトリル混液(1:9)1mLに溶解し、100μL(0.2mmol)2mol/Lトリメチルシリルジアゾメタン・ヘキサン溶液を添加し室温で攪拌した。2時間15分後に溶媒を留去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー[メタノール/クロロホルム混液(1:9)]で精製し、化合物5を0.3mg(収率23%)得た。
FABマススペクトル(m/z):561(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(300MHz,CDCl
0.84(3H,d,J=6.8Hz),1.05(3H,d,J=6.6Hz),1.85(3H,s),2.00(1H,m),2.25(1H,m),2.35−2.70(4H,m),3.12(1H,m),3.34(3H,s),3.35(1H,m),3.400(3H,s),3.64(1H,m),3.74(3H,s),3.86(3H,s),4.76(2H,br.s),5.18(1H,m),5.37(1H,d,J=9.4Hz),6.03(1H,m),6.40(1H,d,J=2.4Hz),7.90(1H,br.s)ppm.
【実施例3】
化合物6、化合物8
化合物1 1.2mg(0.0022mmol)をピリジン500μLに溶解し、10μL(0.11mmol)の無水酢酸を添加し室温で攪拌した。2時間後に水を加え酢酸エチルで抽出を行なった。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去後分取薄層クロマトグラフィー[メタノール/クロロホルム混液(7:93)]で精製し、化合物6を0.5mg(収率38%)、化合物8を0.5mg(収率36%)得た。
化合物6
FABマススペクトル(m/z):589(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(300MHz,CDCl
0.85(3H,d,J=6.4Hz),1.07(3H,d,J=6.8Hz),1.85(3H,s),2.05(1H,m),2.317(3H,s),2.20−2.60(5H,m),3.14(1H,m),3.34(3H,s),3.40(3H,s),3.64(1H,m),3.72(3H,s),4.80(2H,br s),5.20(1H,m),5.37(1H,m),6.02(1H,m),6.723(1H,d,J=2.9Hz),7.35(1H,br.s),8.05(1H,br.s)ppm.
化合物8
FABマススペクトル(m/z):631(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(300MHz,CDCl
1.00(3H,d,J=6.8Hz),1.08(3H,d,J=6.8Hz),1.878(3H,s),2.098(3H,s),2.312(3H,s),2.72−2.80(2H,m),3.24(1H,m),3.36(3H,s),3.42(3H,s),3.73(3H,s),4.72(2H,br.s),4.91(1H,m),5.06(1H,d,J=6.1Hz)5.33(1H,d,J=9.0Hz),6.08(1H,m),6.69(1H,d,J=2.4Hz),7.75(1H,br.s),8.30(1H,br.s)ppm.
【実施例4】
化合物7
化合物8をメタノール500μLに溶解し、室温で500μLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し攪拌した。20分後にクロロホルム−1mol/L塩酸混液で抽出を行なった。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去後分取薄層クロマトグラフィー[メタノール/クロロホルム混液(1:9)]で精製し、化合物7を1.2mg得た。
FABマススペクトル(m/z):589(M−1)
H−核磁気共鳴スペクトル:δ(300MHz,CDCl
0.95(3H,d,J=6.6Hz),1.06(3H,d,J=6.6Hz),1.12−1.49(4H,m),1.53(3H,s),1.82(1H,m),1.87(3H,s),2.10(3H,s),2.23−2.41(3H,m),2.65−2.70(2H,m),3.25(1H,m),3.36(3H,s),3.42(3H,s),3.76(3H,s),4.70(2H,br s),4.93(1H,m),5.05(1H,d,J=6.4Hz)5.32(1H,d,J=9.0Hz),5.70(1H,s),6.03(1H,m),6.33(1H,m),7.49(1H,br.s),8.08(1H,br.s)ppm.
【実施例5】
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。40gの化合物4と、乳糖286.8gおよびトウモロコシデンプン60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(クリーンプレスコレクト12菊水製作所製)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物4 20 mg
乳糖 143.4mg
トウモロコシデンプン 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200mg
【実施例6】
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。40gの化合物6と、乳糖286.8gおよびトウモロコシデンプン60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(クリーンプレスコレクト12菊水製作所製)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物6 20 mg
乳糖 143.4mg
トウモロコシデンプン 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
200mg
【実施例7】
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。1gの化合物7と、塩化ナトリウム9gを常法により注射用蒸留水で1000mLに溶解する。得られた溶液を0.2μmのディスポーザブル型メンブランフィルターを用いて無菌濾過後、ガラスバイアルに2mLずつ無菌的に充填して、注射剤(1バイアルあたり活性成分2mgを含有する)を得る。
処方 化合物7 2 mg
塩化ナトリウム 18 mg
注射用蒸留水 適量
2.00mL
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、抗腫瘍剤等の医薬品として有用な、ベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するhsp90ファミリー蛋白質阻害剤等が提供される。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

(式中、Rは水素またはメチルを表し、R11およびR18は同一または異なって、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表し、R17は水素、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシを表す)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するヒートショックプロテイン90(hsp90)ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項2】
17が水素である請求の範囲1記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項3】
が水素である請求の範囲1または2記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項4】
がメチルであり、R11が置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである請求の範囲1または2記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項5】
11がヒドロキシである請求の範囲1〜3のいずれかに記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項6】
がメチルであり、R11がヒドロキシであり、R17が水素またはヒドロキシであり、R18がヒドロキシである請求の範囲1記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項7】
18が置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである請求の範囲1〜5のいずれかに記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項8】
18が置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである請求の範囲1〜5のいずれかに記載のhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項9】
式(Ia)

(式中、R2a、R11a、R17aおよびR18aは、それぞれR、R11、R17およびR18と同義であるが、R2aがメチルであり、かつR11aおよびR18aの両方がヒドロキシであるとき、R17aは水素、ヒドロキシおよびメトキシのいずれでもない)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
2aが水素である請求の範囲9記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
17aが水素である請求の範囲9または10記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
11aおよびR18aの一方または両方が、置換もしくは非置換の低級アルコキシまたは置換もしくは非置換の低級アルカノイルオキシである請求の範囲9〜11のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項14】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
【請求項15】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するhsp90ファミリー蛋白質またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質が関与する疾患の治療剤。
【請求項16】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するhsp90ファミリー蛋白質阻害剤。
【請求項17】
請求の範囲1に記載の式(I)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするhsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
【請求項18】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【請求項19】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするhsp90ファミリー蛋白質またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質が関与する疾患の治療方法。
【請求項20】
請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするhsp90ファミリー蛋白質を阻害する方法。
【請求項21】
hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための請求の範囲1に記載の式(I)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項22】
抗腫瘍剤の製造のための請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項23】
hsp90ファミリー蛋白質またはhsp90ファミリー蛋白質が結合する蛋白質が関与する疾患の治療剤の製造のための請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項24】
hsp90ファミリー蛋白質阻害剤の製造のための請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項25】
式(Ib)

で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体を生産する、ストレプトマイセス属に属する微生物。
【請求項26】
ストレプトマイセス・エスピーEH21(Streptomyces sp.EH21、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−08574)株。
【請求項27】
請求の範囲25記載の微生物を培養し、得られた培養液から産生された化合物を単離する工程を包含する、請求の範囲25に記載の式(Ib)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体の製造方法。
【請求項28】
ストレプトマイセス・エスピーEH21(Streptomyces sp.EH21、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−08574)株を培養し、得られた培養液から産生された化合物を単離する工程を包含する、請求の範囲9〜12のいずれかに記載のベンゼノイドアンサマイシン誘導体の製造方法。
【請求項29】
ストレプトマイセス・エスピーEH21(Streptomyces sp.EH21、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受託番号FERM BP−08574)株を培養し、得られた培養液から産生された化合物を単離する工程を包含する、請求の範囲25に記載の式(Ib)で表されるベンゼノイドアンサマイシン誘導体の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/061461
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516542(P2005−516542)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019784
【国際出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】