説明

ヒートシンク局部の鍍金方法

【課題】半導体デバイスなどの冷却用ヒートシンク局部の鍍金方法を提供する。
【解決手段】 鍍金液材料をヒートシンクの鍍金を必要とする領域111に対応する容器12内に貯留し、鍍金を必要とする領域に接触させて、被鍍金領域に接触する容器壁により囲われた局部に鍍金層を形成する。
めっき液は、下地層としての亜鉛めっき、ニッケルめっきに適用することができると共に、不必要な箇所へのめっきがされないため、めっき材料の損失が無く、生産効率がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスなどの冷却用ヒートシンク局部の鍍金を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の金属ダイカストなどによるヒートシンク構造は、二つの異なる金属材料を相互に結合させるヒートシンク構造からなり、例えば、アルミニム合金のヒートシンク構造を銅の台座との間で、アルミニウム合金のヒートシンク構造を銅の台座と接合する為に、アルミニウム合金のヒートシンク構造と銅の台座の結合面にニッケル層を鍍金し、更にニッケル層にクリーム半田等の接着剤を塗布して、クリーム半田により銅の台座と相互に結合する。
【0003】
上述の公知の構造のニッケル鍍金方法は、ヒートシンク構造全体を亜鉛電解液内に浸漬させ、亜鉛化処理を実行してヒートシンクに亜鉛層を形成し、次いでヒートシンク全体をニッケル電解液に浸漬して、ニッケル鍍金を実施する。ニッケルを鍍金する時、ニッケルはヒートシンク構造の亜鉛層上に電気鍍金して形成する。
【0004】
但し、公知のニッケル鍍金方法は、問題が存在し、ヒートシンクの構造は接合面にだけニッケル鍍金が必要とされており、ヒートシンク構造全体をニッケル電解液内に浸入させることは、加工時間が長くなるだけではなく、余分なニッケル電解液がヒートシンク構造上に残留し、ニッケル槽内のニッケル液の濃度が不必要な面積に対する鍍金により消耗され、コストを増加させると共に、ニッケルの熱伝導性が低い為にヒートシンク構造の冷却効果を低下させ、更に美観も損ねる。
【特許文献1】特開2002−30451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の問題を解決する為に、本考案は、ヒートシンクの冷却効果及び美観に影響を与えないヒートシンク局部の鍍金方法を提供してなることを目的とする。
【0006】
本発明は更に、加工時間の短縮、浪費材料の減少、及び材料の再利用を達成するヒートシンクの鍍金方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成する為、本発明の提供する「ヒートシンク局部の鍍金方法」は、ヒートシンクの鍍金を必要とする領域に対応する容器を使用し、鍍金材料を容器を経由して鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域に鍍金層を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鍍金を必要とする領域にだけ鍍金を実行する方法は、ヒートシンクの鍍金を必要としない面積が鍍金材料に接触しないようにするため、公知の技術における材料浪費によるコスト増加の問題を改善するだけではなく、浪費しない材料を回収して再利用することができ、更に製造工程の時間を短縮すると共に、ヒートシンク本来の冷却効果及び美観を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前述及びその他の技術的内容、特徴、効果に関して、以下に参照図と実施例を用いて詳細に説明する。
【0010】
本発明の鍍金方法は以下のステップより構成される:
ヒートシンクの鍍金を必要とする領域表面を清浄化処理する;
一回目に亜鉛液を鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域に酸化層処理を実施し、こぼれた亜鉛液は回収使用する;
鍍金を必要とする領域に対して硝酸及び水で洗浄する;
二回目に亜鉛液を鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域に酸化層処理を実施し、こぼれた亜鉛液は回収使用する;
鍍金を必要とする領域を水で洗浄する;
ヒートシンクを乾燥させる;
鍍金材料を鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域の表面に鍍金層を形成する;
鍍金を必要とする領域に対する鍍金層を水で洗浄する。
【0011】
上述のステップにおいて亜鉛電解液及び鍍金材料とヒートシンクの鍍金を必要とする領域を接触させる方法は、図2,3,4に示すように、容器12を使用してヒートシンクの鍍金を必要とする領域に対して接触させ、上述のステップの亜鉛液、鍍金材料をそれぞれ容器12内に注入して容器12が亜鉛液及び鍍金材料を貯留し、亜鉛液及び鍍金材料をそれぞれ容器12を通して鍍金を必要とする領域111に流し、それぞれ鍍金を必要とする領域111表面に対して亜鉛の被覆及び鍍金層を形成するステップを実行する。
【0012】
上述の鍍金材料は本実施例ではニッケルめっき液であり、鍍金を必要とする領域111表面に接触してニッケル層を形成する。
【0013】
上述の酸及び水で洗浄するステップは、前述の容器12を利用して硝酸液及び水をそれぞれ容器12を通して鍍金を必要とする領域111に対して供給して洗浄し、或いは前述の容器12を使用せずに直接に鍍金を必要とする領域111をそれぞれ酸及び水を供給して洗浄することも可能である。
【0014】
上述の乾燥させるステップは、ヒートシンク11を高温に一定時間放置し、ヒートシンク11表面上に残留した液体を除去する。前記高温は、本実施例においては、90℃に設定しているが、但しこれに限定するものではなく、ヒートシンク11の体積の大きさ或いは外部環境の温度、湿度等に従い、温度の高低を設定すればよい。
【0015】
容器12の形状は、図に表示する形状に限らず、任意の形状でよく、鍍金を必要とする領域111の一端の面積領域に対応して接触し、鍍金を必要とする領域111を覆うことにより亜鉛めっき液及び鍍金材料が鍍金を必要とする領域111だけに接触するように制限する。更に、ヒートシンク11の鍍金を必要とする領域111は、図ではヒートシンク11の一端面に開設した凹溝であるが、これに限らず、鍍金を必要とする領域111はヒートシンクの一端平面であってもよい。
【0016】
上述の亜鉛液及び鍍金材料とヒートシンクの鍍金を必要とする領域111に接触させる方法は、図5に示すように、容器12を対応するヒートシンク11の鍍金を必要とする領域111に接触させない方法とすることも可能であり、容器12に対応する鍍金を必要とする領域111の一端の面積が凹部を形成して鍍金液を滞留させることができる場合、鍍金を必要とする領域111内に少なくとも一つのヒートシンク11を貫通する通孔112を開設して、上述のステップにおける亜鉛めっき液、鍍金材料をそれぞれ容器12内に注入して、容器12内に亜鉛液及び鍍金材料を貯留し、亜鉛めっき液及び鍍金材料はそれぞれ容器12を通して、鍍金を必要とする領域111に流動供給させ、通孔112を通過して外部に流出する。
通孔112の口径が小さい為、鍍金を必要とする領域111に流入する亜鉛液及び鍍金材料の流量は通孔112から排出する流量より少なくとも当初は大きく、亜鉛液及び鍍金材料は鍍金を必要とする領域111上に滞留して鍍金箇所と接触を持続することができ、亜鉛の置換及び鍍金層の形成がそれぞれ完成した後、亜鉛液及び鍍金材料は通孔112から排出させることができ、鍍金後の亜鉛液及び鍍金材料の排出操作を省略することができる。
【0017】
上述のように、本発明の鍍金を必要とする領域にだけ鍍金を実行するステップは、ヒートシンクの鍍金を必要としない面積が鍍金材料に接触しないようにして、公知の技術における材料浪費によるコスト増加の問題を改善するだけではなく、消費されなかった材料を回収して再利用することができ、更に製造工程の時間を短縮すると共に、ヒートシンク本来の冷却効果及び美観を維持することができる。
【0018】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例のフロー図である。
【図2】本発明の実施例における容器とヒートシンクの立体分解図である。
【図3】本発明の実施例において容器とヒートシンクを対応させ接触させた図であ る。
【図4】本発明の実施例において亜鉛液及び鍍金材料が容器を通過しヒートシンク と接触する断面図である。
【図5】本発明の実施例の他の鍍金方法の操作説明図である。
【符号の説明】
【0020】
11 ヒートシンク
111 鍍金材料を必要とする領域
112 通孔
12 容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクの鍍金を必要とする領域に対応する容器を使用し、鍍金材料を容器に経由して鍍金を必要とする領域と接触させ、鍍金を必要とする領域に鍍金層を形成することを特徴とした、ヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項2】
前記容器は、鍍金を必要とする領域に接触し、鍍金材料は容器内に貯留されて鍍金を必要とする領域と静止的な接触を形成することを特徴とした、請求項1に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項3】
前記容器は、鍍金を必要とする領域に接触せず、鍍金材料は容器内に貯留されて、鍍金を必要とする領域と流動的な接触を形成することを特徴とした、請求項1に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項4】
前記鍍金材料は、ニッケル鍍金液であることを特徴とした、請求項1に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項5】
前記ヒートシンクの鍍金を必要とする領域は、鍍金材料と接触する前に表面の清浄化処理のステップ及び酸化層処理のステップを経過することを特徴とした、請求項1に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項6】
前記酸化層処理のステップは、亜鉛鍍金液と鍍金を必要とする領域を接触させて、亜鉛鍍金液により鍍金を必要とする領域の表面の酸化層を除去することを特徴とした、請求項5に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項7】
前記亜鉛鍍金液は、鍍金を必要とする領域に二回接触させ、一回目の接触後に鍍金を必要とする領域を硝酸及び水で洗浄し、二回目の接触の後に鍍金を必要とする領域を水で洗浄することを特徴とした、請求項6に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項8】
前記亜鉛鍍金液は、容器を経由して鍍金を必要とする領域を接触することを特徴とした、請求項6或いは7に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項9】
前記ヒートシンクの鍍金を必要とする領域は、凹部を形成することを特徴とした、請求項1に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項10】
前記ヒートシンクの鍍金を必要とする領域は、平面であることを特徴とした、請求項1に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項11】
前記容器は、鍍金を必要とする領域に対応して覆うことにより、鍍金を必要とする領域を区画することを特徴とした、請求項1,2,9,10に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項12】
前記容器の鍍金を必要とする領域に対応する面積は、鍍金を必要とする領域の面積より小さいことを特徴とした、請求項1,3,9,10に記載のヒートシンク局部の鍍金方法。
【請求項13】
ヒートシンクの鍍金を必要とする領域表面を清浄化処理し、
一回目に鉛液を鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域を酸化層処理を実施し、こぼれた亜鉛鍍金液は回収使用し、
鍍金を必要とする領域に対し硝酸及び水で洗浄し、
二回目に亜鉛めっき液を鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域を酸化層処理を実施し、こぼれた亜鉛鍍金液は回収使用し、
鍍金を必要とする領域を水で洗浄し、
ヒートシンクを乾燥させ、
鍍金材料を鍍金を必要とする領域に接触させ、鍍金を必要とする領域の表面に鍍金層を形成し、
鍍金を必要とする領域に対する鍍金層を水で洗浄する、
以上のステップより構成されるヒートシンク局部の鍍金方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−302933(P2007−302933A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131196(P2006−131196)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)
【Fターム(参考)】