説明

ヒートポンプ式温水暖房装置

【課題】夏季等運転休止時の電源リレー作動による騒音を低減する。
【解決手段】室外機には外気温センサと室外制御部を、前記循環ポンプユニットには循環ポンプユニット制御部と電源接続部を設け、前記室外制御部の電源はリレーを介して循環ポンプユニット制御部から供給され、運転停止時にはX時間の経過で室外制御部に電源を供給して、前記外気温センサを読込み、読み込まれた外気温Tに応じて前記X時間を変化して外気温検知を行う凍結防止手段を設けることで、外気温Tに応じて外気温検知の間隔を変化させることで、夏季などの暖房休止時には外気温検知の間隔が数日間になり、リレー音による騒音を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温水を複数系列の床暖パネルやファンコンベクタ等に循環して温水暖房を行うヒートポンプ式温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機から作動用電力が供給される室外機と、室内機と室外機の間で水が循環される循環回路とを備え、前記室外機において循環回路内の水を加熱して温水にするとともに、この温水を循環ポンプにより循環回路に循環させ、前記室内機において、循環回路内の温水の熱を放熱する空調運転を行う温水加熱式空調装置であって、空調運転停止時に前記室内機から室外機への電力供給を間欠的に行わせる間欠給電手段と、前記室内機から室外機に電力が供給されたときに室外気温を検出する室外気温検出手段と、この室外気温検出手段の検出温度が所定温度以下のときに前記循環ポンプを作動させる凍結防止運転手段とを設け、前記間欠給電手段は前記室外気温検出手段の検出温度が前記所定温度以下の間は前記室内機から前記室外機への電力供給を継続させるものだった。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3628878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来例の温水加熱式空調装置では夏季等の運転休止中であっても、室外気温を検出するために室内機から1時間間隔で定期的にパワーリレーを作動して電源を供給していたので、室内機が停止しているにも係わらず、1時間間隔で耳障りなリレー音が発生し、使用者に不信感を与えることが有った。
また、このリレー音を防止するために夏季等の配管凍結の心配無い時期には室内機の電源を落としておけば良いのだが、秋季、冬季の暖房時期に、早めに室内機の電源を復帰させることを忘れてしまい、急に外気温が低下した場合には凍結防止運転をすることができず、誤って配管を凍結してしまう危険が有った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、特にその構成を、内部に圧縮機と、水−冷媒熱交換器、膨張弁、蒸発器等を連通した冷凍回路を形成し、冬期間前記蒸発器で発生した霜の除霜水を排水する排水経路の凍結を防止する凍結防止ヒータを備えた室外機と、内部に循環ポンプと温水タンク等と、前記水−冷媒熱交換器の水回路に温水配管で接続した循環ポンプユニットと、この循環ポンプユニットと接続され、循環ポンプユニットから送られる温水で室内の暖房をする端末を備えたヒートポンプ式温水暖房装置に於いて、前記室外機には外気温センサと室外制御部を、前記循環ポンプユニットには循環ポンプユニット制御部と電源接続部を設け、前記室外制御部の電源は室外電源リレーを介して循環ポンプユニット制御部から供給され、運転停止時にはX時間の経過で室外制御部に電源を供給して、前記外気温センサを読込み、読み込まれた外気温Tに応じて前記X時間を変化して外気温検知を行う凍結防止手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、外気温に応じて外気温検知の間隔を変化させることで、夏季などの暖房休止時には外気温検知の間隔が数日間になり、リレー音による騒音を軽減することができる。
また、秋季等で外気温が低下する時期には徐々に外気温検知の間隔を小さくするので、急に外気温が低下した場合でも凍結防止運転を確実に行うことができるものである。
また、頻繁な外気温検知動作を防止することで、消費電力を削減するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明一実施例の概略の説明図。
【図2】同回路構成図。
【図3】同フローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、この発明に係るヒートポンプ式温水暖房装置を図面に示された一実施例で説明する。
1はヒートポンプ式温水暖房装置の室外機で、内部には圧縮機2と、水−冷媒熱交換器3、膨張弁4、蒸発器5を冷媒配管6で連通した冷凍回路7を形成している。前記水−冷媒熱交換器3の水経路は循環ポンプユニット8の温水回路9に接続されるものである。
10は吐出温センサで前記冷凍回路7の圧縮機2出口側の温度を検知するセンサで、11は前記水−冷媒熱交換器3の温度を検知する水−冷媒熱交換器センサ、12は前記蒸発器5の温度を検知する蒸発器センサである。
13は前記蒸発器5に送風する送風ファン、14は除霜運転等の際に前記蒸発器5で発生するドレン水を集めるベースで、このドレン水を排水する排水口15を備えている。16は凍結防止ヒータで、冬期間の除霜運転後にドレン水が凍結して前記排水口15を塞いでしまうことを防止するものである。
17は外気温センサで、サーミスタセンサ等から成り、外気温度を検知して室外制御部18へ信号を発するものである。
前記室外制御部18は吐出温センサ10や蒸発器センサ12等からの信号によって、前記圧縮機2の回転数や膨張弁4の開度等を制御するものである。
【0009】
前記循環ポンプユニット8の内部には温水タンク20と循環ポンプ21と循環ポンプユニット制御部22を備え、前記室外機1の水−冷媒熱交換器3から連通させた往き温水配管23には、室外機1側から往き温度センサ24と前記温水タンク20、循環ポンプ21と、熱動弁等の弁装置25が順次連通させ、床暖房パネル26等の端末27に接続される。前記
【0010】
28は前記循環ポンプユニット8内に備えた戻り温水配管で、前記端末27側から室外機1側へ床暖房パネル26等によって放熱して温度の低下した温水が通過するものであり、端末27側には戻り温度センサ29を備えている。
【0011】
前記端末27は室内に設置される床暖房パネル26やファンコンベクタ30で内部を流れる温水から放熱して室内の暖房を行うものであり、室内には運転停止スイッチ(図示せず)や温度設定スイッチ(図示せず)を備えたリモコン31を備え、このリモコン31が前記循環ポンプユニット8内の循環ポンプユニット制御部22に信号線32で接続されている。
【0012】
前記循環ポンプユニット8の循環ポンプユニット制御部22から室外機1の凍結防止ヒータ16へはヒータリレー33を介して200Vの電源が直接供給されるものであり、室外制御部18等への電源は室外電源リレー34を介して200Vの電源が供給されるものである。前記循環ポンプユニット制御部22には凍結防止ヒータ16、外気温センサ17、ヒータリレー33、室外電源リレー34等を制御して凍結防止運転をする凍結防止手段を備えている。また、電源は循環ポンプユニット8の電源接続部35のみに接続され循環ポンプユニット制御部22から必要によって室外機1やリモコン31に供給されるものである。
【0013】
夏季等の運転停止中における室外気温を検出するための手順について説明すれば、運転停止中には無駄な消費電力を抑えるために室外機1には電力は供給されていないので、循環ポンプユニット8に備えた室外電源リレー34をONすることで室外制御部18が作動し、外気温センサ17にて外気温が検出される。この時室外電源リレー34は比較的大きなリレーなので、「カチン」といういわゆる耳障りなリレー音が発生するものである。
【0014】
図3のフローチャート図によって運転停止時の外気温の読み取り動作ついて説明すれば、暖房待機中(st1)に前記の手順によって外気温Tを読み取り、st2にて外気温Tがt1(例えば20℃)より大きな場合にはYesで、st3とst4にて2回連続で20℃より大きいことが確認されれば、st5にて次回の外気温T読み取り動作をX1時間後(240時間後)とする。
【0015】
st2にてNoの場合には、st6に進み外気温Tがt1(20℃)とt2(15℃)の間に有るかを判断し、Yesであればst7へ進み、次回の外気温T読み取り動作をX2時間後(36時間後)とする。
【0016】
st6にてNoの場合には、st8に進み外気温Tがt2(15℃)より低いかを判断し、Yesであればst9へ進み、次回の外気温T読み取り動作をX3時間後(1時間後)とする。
【0017】
st8にてNoの場合には、st2に戻る。また、st5、st7、st9で次回の外気温T読み取り時間が決まった場合には、それぞれの時間を経過後に外気温の読み取り動作を行うものであり、この図3には示さなかったが、st9に於いて、更に外気温Tが低下して室外機1の排水口15が凍結する可能性のある温度、例えば0℃になれば循環ポンプユニット制御部22によって凍結防止ヒータ16が作動するものである。
【0018】
このように、外気温に応じて外気温検知の間隔を変化させることで、夏季などの暖房休止時には外気温検知の間隔が数日間になり、リレー音による騒音を軽減することができる。
また、秋季等で外気温が低下する時期には徐々に外気温検知の間隔を小さくするので、急に外気温が低下した場合でも凍結防止運転を確実に行うことができるものである。
また、頻繁な外気温検知動作を防止することで、消費電力を削減するものである。
【符号の説明】
【0019】
1 室外機
3 水−冷媒熱交換器
8 循環ポンプユニット
14 ベース
15 排水口
16 凍結防止ヒータ
17 外気温センサ
18 室外制御部
21 循環ポンプ
22 循環ポンプユニット制御部
27 端末
31 リモコン
33 ヒータリレー
34 室外電源リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に圧縮機と、水−冷媒熱交換器、膨張弁、蒸発器等を連通した冷凍回路を形成し、冬期間前記蒸発器で発生した霜の除霜水を排水する排水経路の凍結を防止する凍結防止ヒータを備えた室外機と、内部に循環ポンプと温水タンク等と、前記水−冷媒熱交換器の水回路に温水配管で接続した循環ポンプユニットと、この循環ポンプユニットと接続され、循環ポンプユニットから送られる温水で室内の暖房をする端末を備えたヒートポンプ式温水暖房装置に於いて、前記室外機には外気温センサと室外制御部を、前記循環ポンプユニットには循環ポンプユニット制御部と電源接続部を設け、前記室外制御部の電源は室外電源リレーを介して循環ポンプユニット制御部から供給され、運転停止時にはX時間の経過で室外制御部に電源を供給して、前記外気温センサを読込み、読み込まれた外気温Tに応じて前記X時間を変化して外気温検知を行う凍結防止手段を設けたことを特徴とするヒートポンプ式温水暖房装置。
【請求項2】
前記凍結防止手段は外気温T>第1所定温度t1を連続で検出した場合には、次回の外気温読込時間をX1とし、前記外気温Tが第1所定温度t1よりも低い第2所定温度t2にてt1>Y>t2では、次回の外気温読込時間をX1より小さいX2とし、前記外気温Tが第2所定温度t2より低い第3所定温度t3にてt3>Tでは、次回の外気温読込時間をX2より小さいX3とすることを特徴とするヒートポンプ式温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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