説明

ヒートポンプ式熱源機

【課題】制御装置をケース体に対して容易に着脱可能にし、修理性やメンテナンス性を高めたヒートポンプ式給湯装置のヒートポンプ式熱源機を提供する。
【解決手段】ヒートポンプ式熱源機3は、ケース体25内に圧縮機20と膨張弁22と外気熱吸収用熱交換器18(蒸発器)と送風機19とを収容し且つ天板40上に配置した凝縮器21を有すると共に、ケース体25内を蒸発器18と送風手段19とが配置された送風室42と、圧縮機20と膨張手段22とが配置された機械室43とに区画する縦向きの仕切り板45と、ヒートポンプ式熱源機3を制御する制御装置24であって放熱部56を有する制御装置24とを備え、制御装置24の放熱部56が送風室42側に臨むように制御装置24が送風室42と機械室43との両方に跨がって配置されると共に制御装置24が仕切り板45の上端部に対してその上端部と平行方向へスライド移動可能に載置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒートポンプ式熱源機に関し、特に制御装置のメンテナンス性の向上を図ったヒートポンプ式熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯式給湯装置として、貯湯式のヒートポンプ式給湯装置が実用に供されている。この給湯装置は、温水を貯留する大容量の貯湯タンクと、ケース体に収容されたヒートポンプ回路を有するヒートポンプ式熱源機とを備え、夜間割引の安価な電力を利用して、貯湯タンク内の湯水を循環させてヒートポンプ式熱源機で加熱して、その加熱された湯水を貯湯タンクに貯留しておき、蛇口や風呂などの所望の給湯先に給湯するものである。
【0003】
上記のヒートポンプ式熱源機のヒートポンプ回路において、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器が冷媒配管を介して接続され、冷媒配管に封入された冷媒を利用して給湯加熱運転が行われる。給湯加熱運転では、蒸発器に外気を導入する送風機が駆動されて外気から冷媒に吸熱し、凝縮器により冷媒と湯水との間で熱交換が行われて湯水が加熱される。
【0004】
ところで、上記の各種機器の動作制御を実行する制御装置もケース体内に収容されている。この種の制御装置は、一般に、箱状のケース部材と、このケース部材に収容され且つ複数の電子部品が実装された制御基板と、各種電子部品からの放熱を外部に放出する為の放熱器等を備えている。放熱器は、ケース部材の開口部を通って外部に露出している。制御装置がケース体内に配置された構造としては、特許文献1のような構造が実用に供されている。
【0005】
例えば、特許文献1のヒートポンプ装置は、各種機器を収容した外装体を備え、この外装体の内部を仕切り板によって送風ファンと空気熱交換器(蒸発器)とを配置した送風室と圧縮機と水冷媒熱交換器(凝縮器)とを配置した機械室とに区画され、制御基板を収容した電装箱の大部分を送風室の上部に配置した構造が記載されている。電装箱の送風室側部分は、外装体の底板から垂直に延び且つ上端部が水平方向に延びる支持金具の上端部に載置され、電装箱の機械室側端部は、仕切り板の上端部に載置されている。
【0006】
一般に、特許文献1のように仕切り板を備えた構造では、ケース体内に制御装置を配置する場合、ケース体の天板を取り付ける前に、水平姿勢の制御装置をケース体内に上方から挿入し、支持金具と仕切り板の上端部に載置して固定する構造が採用される。天板は、制御装置を取り付けた後にケース体に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−38149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヒートポンプ式給湯装置を長期間使用していると、制御装置が故障する場合がある。そのため、修理やメンテナンスを行う必要がある。制御装置の制御基板には、多種多様な精密な電子部品が実装されているので、電子部品単位の修理は難しく、故障時には制御装置ごと交換するのが一般的である。
【0009】
しかし、特許文献1の仕切り板のある構造では、制御装置を交換する為には、ケース体から天板を取り外して、ケース体を上方に開放した状態にし、制御装置を固定しているビス締結を解除してから、制御装置を上方に取り出さなければならず、制御装置を取り外しにくく、修理やメンテナンスに多くの時間とコストがかかる。
【0010】
また、制御装置を上方へ取り出す代わりにケース体の前方へ取り出す構造を採用することも考えられるが、この場合制御装置が仕切り板と干渉する虞があり、制御装置を簡単に着脱可能な構造とはなっていない。従って、上記の特許文献1の装置と同様に、作業が複雑となり、修理やメンテナンスに困難が伴う。
【0011】
本発明の目的は、制御装置をケース体に容易に着脱可能にしてメンテナンス性の向上を図ったヒートポンプ式熱源機を提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1のヒートポンプ式熱源機は、ケース体内に圧縮機と膨張手段と蒸発器と送風手段とを収容し且つ凝縮器を有するヒートポンプ式熱源機において、前記ケース体内を前記蒸発器と前記送風手段とが配置された送風室と前記圧縮機と前記膨張手段とが配置された機械室とに区画する縦向きの仕切り板と、前記ヒートポンプ式熱源機を制御する制御装置であって放熱部を有する制御装置とを備え、前記制御装置の放熱部が前記送風室側に臨むように前記制御装置が前記送風室と前記機械室との両方に跨がって配置されると共に前記制御装置が前記仕切り板の上端部に対してその上端部と平行方向へスライド移動可能に載置されることを特徴としている。
【0013】
請求項2のヒートポンプ式熱源機は、請求項1の発明において、前記凝縮器が、前記ケース体の天板の上面側に配置されたことを特徴としている。
【0014】
請求項3のヒートポンプ式熱源機は、請求項1又は2の発明において、前記仕切り板の上端部を含む鉛直面又はその近傍部における前記制御装置と前記仕切り板との間にシール部材が設けられたことを特徴としている。
【0015】
請求項4のヒートポンプ式熱源機は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記制御装置の外周部の少なくとも一部が、前記ケース体の天板から下方に延びる受止部材に載置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、制御装置が仕切り板の上端部に対してその上端部と平行方向へスライド移動可能に載置されるので、制御装置を仕切り板の上端部に対してその上端部と平行方向へスライド移動させてケース体に着脱可能である。従って、ケース体の天板を着脱する必要がなく、制御装置をケース体に対して容易に着脱自在に装着することができるので、制御装置の修理性やメンテナンス性を著しく高めることができる。
【0017】
また、制御装置の放熱部が送風室側に臨むように制御装置が送風室と機械室との両方に跨がって配置されるので、制御装置内において各種電子部品からの多量の発熱があった場合でも、制御装置の放熱器からの放熱性能を向上させることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、凝縮器をケース体の天板の上面側に配置することで、ケース体内をシンプルに且つコンパクトにすることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、仕切り板の上端部を含む鉛直面又はその近傍部における制御装置と仕切り板との間にシール部材が設けられたので、送風室の雨水や埃等が制御装置と仕切り板との間から機械室へ侵入するのを防止することができ、ケース体の気密性を向上させて機械室内の機器の保護を図ることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、制御装置の外周部の少なくとも一部が、ケース体の天板から下方に延びる受止部材に載置されたので、この受止部材と仕切り板の上端部とで制御装置を安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1に係る貯湯式給湯装置の概略構成図である。
【図2】ヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
【図3】外装ケースの前側板を取り外した状態のヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
【図4】外装ケースの前側板と天板と温水加熱用熱交換と外気熱吸収用熱交換器とを取り外した状態のヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
【図5】外装ケースの前側板と天板と温水加熱用熱交換と外気熱吸収用熱交換器と補助制御装置とを取り外した状態のヒートポンプ式熱源機の斜視図である。
【図6】ヒートポンプ式熱源機の要部拡大正面図である。
【図7】補助制御装置の斜視図である。
【図8】補助制御装置の底面図である。
【図9】補助制御装置の正面図である。
【図10】補助制御装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
先ず、貯湯式ヒートポンプ式給湯装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、貯湯式ヒートポンプ式給湯装置1は、貯湯タンクユニット2と、ヒートポンプ式熱源機3と、配管類6,7,8,9a,9b,10と、主制御装置11などを有する。
【0024】
次に、貯湯タンクユニット2について説明する。
図1に示すように、貯湯タンクユニット2は、縦長筒状の外周面を有する貯湯タンク12と、この貯湯タンク12の外面側を覆う保温材13とを備えている。貯湯タンク12は、ヒートポンプ式熱源機3で加熱された高温の温水を貯留するものであり、耐腐食性に優れたステンレス製の板材で構成されている。
【0025】
貯湯タンク12の下端部には、水道管などの給水管7と温水循環用配管9aに接続される下部配管8が接続されている。給水管7には、貯湯タンク12へ水道水を補充する為の開閉弁15が設けられており、通常は開閉弁15が開弁されていて、水道水を貯湯タンク12内に補充するようになっている。その貯湯タンク12から液送ポンプ16を介して温水(貯留水)が下部配管8、温水循環用配管9aを通りヒートポンプ式熱源機3に送られる。ヒートポンプ式熱源機3で加熱された温水は温水循環用配管9bへ流れる。
【0026】
貯湯タンク12の上端部には、温水循環用配管9bと出湯用配管6に接続される上部配管10が接続されている。上部配管10には開閉弁17が設けられている。通常は開閉弁17が開弁されていて、貯湯タンク12内に貯留された高温の温水(例えば、80〜90℃)を上部配管10に供給することができる。
【0027】
保温材13は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成され、貯湯タンク12の外面側を覆って貯湯タンク12に貯留された温水の温度低下を防ぐ断熱機能を有する。
【0028】
貯湯タンク12には、複数の温度センサ31〜34が高さ方向所定間隔おきの位置に配置されている。温度センサ31〜34は主制御装置11に接続されており、温度センサ31〜34の温度検出信号が主制御装置11に供給される。
【0029】
外装ケース14は、薄鋼板製の箱状に形成され、貯湯タンクユニット2、配管類6,7,8,9a,9b,10、液送ポンプ16、開閉弁15,17、混合弁27、複数の温度センサ28〜30等を収容している。
【0030】
次に、本発明のヒートポンプ式熱源機3について説明する。
図1〜図6に示すように、ヒートポンプ式熱源機3は、蒸発器としての外気熱吸収用熱交換器18と、圧縮機20と、凝縮器としての温水加熱用熱交換器21と、高圧の冷媒を急膨張させて温度と圧力を下げる膨張弁22とを有し、これら機器18,20,21,22が冷媒配管23を介して接続されヒートポンプ回路を構成し、冷媒配管23に収容された冷媒を利用して給湯加熱運転を行う。
ヒートポンプ式熱源機3は、さらに送風モータ19aで駆動される送風機19と、主制御装置11に接続され且つヒートポンプ式熱源機3を制御する補助制御装置24と、これら収納する外装ケース25等を備えている。
【0031】
外気熱吸収用熱交換器18は、外装ケース25の左側板36aと後側板38の内面に沿うように平面視L字状に構成されている。外気熱吸収用熱交換器18は、冷媒配管23に含まれる蒸発器通路部18aを有し、この蒸発器通路部18aは複数のフィンを有し、この外気熱吸収用熱交換器18において、蒸発器通路部18aを流れる冷媒と外気との間で熱交換され、冷媒は外気から吸熱して気化する。
【0032】
送風機19(送風手段に相当する)は、送風モータ19aと、この送風モータ19aによって回動駆動される3枚の羽根部材19bとを有し、支持金具19cを介して、底板41に支持されている。
【0033】
圧縮機20は気相状態の冷媒を断熱圧縮して温度上昇させる公知の密閉型圧縮機である。
温水加熱用熱交換器21は外装ケース25の天板40の上面に配置されている。この温水加熱用熱交換器21は、発泡断熱材(図示略)で覆われ、発泡断熱材の上面側が保護カバー21cで覆われている。
【0034】
温水加熱用熱交換器21は、熱交換器通路部21aと冷媒配管23の一部となる内部通路21bとを有し、この内部通路21bは例えば16MPa以上の耐圧を有する銅管で形成されている。この温水加熱用熱交換器21において、内部通路21bを流れる冷媒と温水循環用配管9aから熱交換器通路部21aに供給される湯水との間で熱交換され、湯水は加熱され冷媒は冷却され液化する。
【0035】
膨張弁22(膨張手段に相当する)は液相状態の冷媒を断熱膨張させ温度低下させる。この膨張弁22は絞り量が可変な制御弁からなる。尚、膨張弁22の代わりに絞り量が一定の膨張弁を採用してもよい。
【0036】
冷媒配管23は、外気熱吸収用熱交換器18と圧縮機20間を接続する冷媒配管23a、圧縮機20と温水加熱用熱交換器21間を接続する冷媒配管23b、温水加熱用熱交換器21と膨張弁22間を接続する冷媒配管23c、膨張弁22と外気熱吸収用熱交換器18間を接続する冷媒配管23d等を備えている。
【0037】
ヒートポンプ式熱源機3において、圧縮機20により高圧に圧縮された加熱状態の冷媒は、温水加熱用熱交換器21に送られ、液送ポンプ16の駆動により貯湯タンク12の下端部から下部配管8と温水循環用配管9aを経て熱交換器通路部21aに流入した温水又は水と熱交換してその温水又は水を暖め、加熱された温水が温水循環用配管9b、上部配管10を通って貯湯タンクユニット2の貯湯タンク12に貯留され、ヒートポンプ式熱源機3を経由する加熱動作を繰り返すことで貯湯タンク12に高温の温水が貯留される。
【0038】
補助制御装置24(制御装置に相当する)は、主制御装置11との間でデータ通信可能であり、主制御装置11からの指令に従ってヒートポンプ式熱源機3の各種機器(送風モータ19a、圧縮機20など)の駆動制御を行う。温水加熱用熱交換器21の出口側部分において、温水循環用配管9bには、温水温度を検知するための温度センサ26が設けられ、その検出信号が主制御装置11に供給されている。補助制御装置24は、温水の加熱温度が主制御装置11から指示された温度となるように、ヒートポンプ式熱源機3を作動させる。
【0039】
図2〜図5に示すように、外装ケース25は、左右1対の側板36a,36bと、前側板37と、後側板38と、天板40と、底板41とで構成されている。上記の右側板36bの下側部分には外側に膨出した形状の膨出部36cが形成されている。この膨出部36c内には、温水循環用配管9a,9bと熱交換器通路部21aとの接続部が収納されている。
【0040】
前側板37には、外装ケース25内の空気を排出する空気排出口としての開口部37aが形成されている。開口部37aの前面には金網状のカバー部材37bが設けられ、前側板37の内面側には空気流をガイドするベルマウスが設けられている。送風機19を駆動すると、後側板38に形成された大きな矩形状の開口部38aや左側板36aに形成された複数の横長のスリット36dから外気が取り込まれ、外気熱吸収用熱交換器18で冷媒と熱交換されて低温の空気となり、前側の開口部37aから外部に排出される(図4,図5参照)。
【0041】
ユーザーが給湯操作を行なうと、貯湯タンク12に貯留された温水が出湯用配管6に流れ、その温水と給水管7から供給される水道水とが混合弁27で混合され、所定の温度となって蛇口などの給湯栓4に給湯される。混合弁27の上流部、下流部、給水管7の途中部には、夫々、温水温度又は入水温度を検知するための温度センサ28〜30が設けられ、これら温度センサ28〜30の検出信号が主制御装置11に供給されている。主制御装置11は、これら温度センサ28〜30で検知された温度検知データに基づいて、混合弁27を制御して温水と水の混合比を調節することで給湯する温水の温度を調整する。
【0042】
主制御装置11は、ユーザーが操作可能な操作リモコン35との間でデータ通信可能であり、操作リモコン35のスイッチ操作により目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度データが操作リモコン35から主制御装置11に送信される。主制御装置11は、給湯動作時には、目標給湯温度データ及び温度センサ31〜34からの温度検知データに基づいて、ヒートポンプ式熱源機3で温水を加熱する加熱温度を決定し、補助制御装置24にその加熱温度を指示する。
【0043】
次に、仕切り板45について説明する。
図3〜図6に示すように、前記外装ケース25内を区画する薄鋼板製で平面視L字状の仕切り板45が設けられている。この仕切り板45は、外装ケース25内を外気熱吸収用熱交換器18と送風機19等が配置された左側の送風室42と、圧縮機20、膨張弁22等が配置された右側の機械室43とに区画している。
【0044】
仕切り板45は、1対の側板36a,36bと平行方向(前後方向)に延びる前側板部46と、この前側板部46の後端から右側板36b近傍まで延びる後側板部47とから一体的に形成されている。前側板部46は、補助制御装置24の厚さ分だけ後側板部47より短く段落ち状に形成され、この前側板部46の上端部で補助制御装置24が支持される。
【0045】
前側板部46は、送風機19の羽根部材19bの回動領域の一部を確保するため、上下両端側部分以外の部分が機械室43側(右方)へ膨らんだ形状に構成されている。前側板部46は、底板41から鉛直に立設された下端板部46aと、この下端板部46aの上端部から右方へ傾斜して延びる下側傾斜板部46bと、この下側傾斜板部46bの上端部から鉛直に上方に延びる中段縦板部46cと、この中段縦板部46cの上端部から左方に傾斜して延びる上側傾斜板部46dと、この上側傾斜板部46dの上端部から鉛直に延びる上端板部46eとを一体形成したものである。
【0046】
前側板部46の上端板部46eの上端部には、L字状受部46fが形成され、このL字状受部46fの上端には、前後方向に延びる水平フランジ46gが形成されている。このL字状受部46fは、補助制御装置24の下面側の後述するレール溝62に前後方向へスライド自在に装着されている。中段縦板部46cの機械室43側の側面には、複数の部材が取り付けられている。
【0047】
後側板部47は前側板部46の後端部から右方へ延びており、この後側板部47は外気熱吸収用熱交換器18の前面との間に隙間を空けて外気熱吸収用熱交換器18の右端側部分の前側に配置されている。後側板部47の右端部は外気熱吸収用熱交換器18の右端面に固定されている。尚、後側板部47は2カ所で折曲した板部材からなる。
【0048】
前側板部46の各板部46a〜46eの前端部と後端部には、複数のフランジ46h,46iが形成され、前側板部46の前端の複数のフランジ46hは前側板37の内面に当接している。前側板部46の後端は複数のフランジ46iを介して後側板部47に接合されている(図5,図6参照)。後側板部47の上端部にも複数のフランジが形成され、これらフランジを介して天板40の下面に固定されている。仕切り板45の下端部も、複数のフランジを介して底板41に固定されている。
【0049】
底板41と仕切り板45の下端部との間はシール部材により封止されている。天板40と後側板部47の上端部との間もシール部材でシールされている。これらのシール部材は図示省略されている。
【0050】
次に、補助制御装置24を支持する為に天板40に設けた受止部材50について説明する。
図4〜図6に示すように、送風室42内において天板40の右側部分の下面には、所定の上下幅の受止部材50が平面視L字状に取り付けられている。この受止部材50には、補助制御装置24の外周部の少なくとも一部、つまり、送風室42側部分の左端部が載置される。受止部材50は薄板部材をプレス成形したものである。
【0051】
受止部材50は、天板40の前端近傍部から後方へ直線的に延びる第1受止部51と、この第1受止部51の後端部から右方へ後側板部47の左端部まで延びる第2受止部52とからなる。第1受止部51は、天板40に固定される固定フランジ部51aと、縦板部51bと、支持板部51cとから一体的に形成されている。
第2受止部52は、天板40に固定される固定フランジ部52aと、縦板部52bとから一体的に形成されている。尚、第2受止部52の右端部は仕切り板45の後側板部47の左端部の上端部に接合されている。
【0052】
次に、補助制御装置24の構成とその支持構造について説明する。
図3〜図10に示すように、補助制御装置24は、外装ケース25内において仕切り板45のL字状受部46fの水平フランジ46gと、受止部材50の第1受止部51の支持板部51cとに載置支持されている。
【0053】
補助制御装置24は、横長矩形の箱形のケース部材54と、このケース部材54内に収容された制御基板55と、この制御基板55で発生した熱を外部に放熱する為の放熱器56(放熱部に相当する)等を備えている。
【0054】
制御基板55は、集積回路、コンデンサ、トランジスタ、抵抗器等の複数の電子部品を基板上に実装したものである。放熱器56は、ケース部材54の底壁の開口部に装着された本体板部(図示略)と、この本体板部の下端から下方へ鉛直に突出した複数の冷却フィン56aを備え、伝熱性に優れたアルミニウム製のものである。
【0055】
ケース部材54は、上側ケース57と、この上側ケース57の下端部が嵌合する下側ケース58とからなり、上側ケース57と下側ケース58は、夫々、耐熱性を有する合成樹脂材で形成されている。上側ケース57は、下方開放状の蓋体に構成されている。上側ケース57の外周部には複数の被係止部57aが形成され、この複数の被係止部57aに下側ケース58の外周部に形成した複数の係止爪部58aを係止することで固定される。
【0056】
下側ケース58は、上方開放状の箱体に構成されている。下側ケース58の内部には、制御基板55を載置する固定台部(図示略)が設けられ、各種電子部品の実装側を下方に向けた状態で、制御基板55を固定台部に載置して複数のビスで固定している。下側ケース58の上端部の外周側には、厚肉の帯状の嵌合部58bが全周に形成されている。
【0057】
上下両側のケース57,58の中央近傍部分の前面部には、縦方向に並んだ複数の仕切り用リブ58cと、半円筒状の溝部58dが形成されている。下側ケース58の右端部には、右方に突出し且つ下方に開口した膨出部58eが形成されている。
【0058】
補助制御装置24の左側部分において、下側ケース58の下端部には前後方向に延びる下方開放の凹部59が形成され、この凹部59の上壁に開口部59a(図8参照)が形成されている。放熱器56は、その本体板部が開口部59aに装着され、複数の冷却フィン56aが下方に送風室42内へ突出するように装着されている。
【0059】
補助制御装置24の中央部分において、下側ケース58の下端部には下面開放状の角溝状のレール溝62を形成するレール溝形成部61が一体的に形成されている。レール溝形成部61は、前後方向に延びる1対の平行なリブ61a,61bと、これらリブ61a,61bを夫々補強する複数の補強リブ61cとで構成されている。1対のリブ61a,61bの間に前後方向に延びかつ下面が開放したレール溝62が形成されている。
【0060】
このレール溝62に仕切り板45のL字状受部46fが係合され、そのL字状受部46fの水平フランジ46gでレール溝62の壁面を支持することで、補助制御装置24の中央近傍部分を下方から支持している。レール溝62は、水平フランジ46gの左右幅より僅かに幅広であるため、補助制御装置24を仕切り板45に対して前後方向(水平フランジ46gと平行方向)にスライド移動させることができる。
【0061】
図8に示すように、左側のリブ61aの前端部はリブ61bの前端よりも僅かに前方へ突出しており、このリブ61aの前端近傍には下端開放状の切欠部61dが縦向きに形成されている。この切欠部61dに左方からビス61eが挿通され、このビス61eをL字状受部46fのネジ穴に締結することで、仕切り板45に載置された補助制御装置24を仕切り板45に固定している。尚、補助制御装置24を前方から装着する際の装着性をよくするため、レール溝62の後半部分の溝幅は前半部分の溝幅より僅かに広く形成されている。
【0062】
補助制御装置24の右側部分において、下側ケース58の前部の前面壁と底壁には、機械室43側に向けて開口する大きな開口部58fが形成されている。制御基板55の電子部品(例えば、トランジスタやコンデンサ)は、ケース部材54内から開口部58fを介して機械室43に露出した状態となるように構成されている。上記の開口部58fを介して、制御基板55から延びる複数のリード線とそのコネクタが開口部58fから導出される。
【0063】
以上説明したように、補助制御装置24の放熱器56が送風室42側に臨むように補助制御装置24が送風室42と機械室43との両方に跨がって配置されると共に、補助制御装置24が仕切り板45の上端部に対してその上端部と平行方向へスライド移動可能に載置されている。そして、下側ケース58の左端部の嵌合部58bが第1受止部51の支持板部51cに載置され、下側ケース58の後端部の嵌合部58bが第2受止部52の縦板部52bに当接して受け止められている。
【0064】
次に、補助制御装置24の外周部を封止するシール構造について説明する。
図7〜図10に示すように、仕切り板45の上端部を含む鉛直面又はその近傍部において補助制御装置24の外周側は以下のようにシール部材で気密に封止されている。
前記レール溝62には、L字状受部46fの水平フランジ46gと下側ケース58間を封止するシール部材63が装着されている。このシール部材63は、レール溝62の壁面に接着にて固定されるか、或いは水平フランジ46gの上面に接着にて固定されている。
【0065】
補助制御装置24の上側ケース57の上壁部には、その上壁部に一体形成されたシール溝形成部材64により浅い角溝状のシール溝65が形成され、そのシール溝65にシール部材66が装着され、このシール形成部材64とシール部材66の前端はリブ58cの前端に対応する位置まで延びている。このシール部材66が天板40の下面に圧接状に当接して上側ケース57と天板40の間を気密に封止している。
【0066】
補助制御装置24の上側ケース57と下側ケース58の後壁部には、その後壁部に一体形成されたシール溝形成部材67により浅い角溝状のシール溝68が形成され、そのシール溝68にシール部材69が装着されている。尚、この溝形成部材67とシール部材69は、上側ケース57と下側ケース58の境界部において分割されている。このシール部材69は後側板部47に圧接状に当接して、上下のケース57,58と後側板部47の間を気密にシールしている。
【0067】
このように、上記のシール構造により、補助制御装置24と仕切り板45との間と、補助制御装置24と天板40との間を気密に封止するので、送風室42内を流れる外気が機械室43側に流入するのを防止することができ、機械室43に雨水や埃が流入するのを防止することができる。
【0068】
尚、上記のシール部材63,66,69は、独立気泡の発泡体で構成されるが、特にこれに限定する必要はなく、他の素材からなるシール部材も適用可能である。また、上下のケース57,58の前面のリブにシール部材を被せて封止してもよい。
【0069】
次に、本発明のヒートポンプ式熱源機3の作用、効果について説明する。
先ず、外装ケース25の前側板37を取り外した状態で、ヒートポンプ式熱源機3の外装ケース25内に補助制御装置24を装着する場合、水平姿勢の補助制御装置24を外装ケース25の前方に保持し、補助制御装置24のレール溝62を、仕切り板45のL字状受部46fに対向させ、補助制御装置24の左端部の嵌合部58bを、受止部材50の第1受止部51の支持板51cに載置可能に対向させ、補助制御装置24を水平に後方移動させてL字状受部46fに対してレール溝62をスライドさせると共に、支持板51cに対して左端部の嵌合部58bをスライドさせて、補助制御装置24の後端を第2受止部52に当接させる。更に、補助制御装置24を前側板部46の上端部にビス61eで締結することで固定し且つリード線のコネクタを接続する。
【0070】
こうして、補助制御装置24を後方へ水平にスライドさせるだけの簡単な操作で簡単に能率的に装着することができる。尚、その後、外装ケース25の前側板37を取り付けて複数のビスで左右の側板36a,36bと天板40と底板41に固定する。
【0071】
次に、補助制御装置24を外装ケース25から取り外す場合、外装ケース25から前側板37を取り外した状態で、前記のビス61eによる締結を解除し且つリード線のコネクタを分離する。次に、補助制御装置24を前方に引き出すと、補助制御装置24が仕切り板45のL字状受部46fに対してスライド移動すると共に補助制御装置24の左端部の嵌合部58bが第1受止部51の支持板51cの上面をスライド移動するため、補助制御装置24を前方へ移動させて外装ケース25から取り外すことができる。
【0072】
このように、外装ケース25の天板40を着脱する必要がなく、外装ケース25に対して補助制御装置24を簡単に着脱することができ、修理性やメンテナンス性を著しく高めることができる。
【0073】
補助制御装置24の放熱器56が送風室42側に臨むように補助制御装置24が送風室42と機械室43との両方に跨がって配置されるので、補助制御装置24内において各種電子部品からの多量の放熱があった場合でも、送風室42内の送風作用により効果的に冷却することができるため、制御基板55の各種電子部品からの放熱を促進することができ、放熱性能を向上させ、補助制御装置24の耐久性を向上させることができる。
【0074】
天板40を取り外すことがなくなったので、温水加熱用熱交換器21(凝縮器)を外装ケース25の天板40の上面側に配置することができ、外装ケース25内をシンプルに且つコンパクトにすることができる。
【0075】
仕切り板45の上端部を含む鉛直面又はその近傍部における補助制御装置24と仕切り板45との間にシール部材63,69を設け、また、補助制御装置24と天板40間にもシール部材66を設けたので、補助制御装置24と仕切り板45や天板40との間から雨水や埃が機械室43に侵入するのを防止することができ、外装ケース25の機械室43の気密性を向上させて機械室43内の機器の保護を図ることができる。
【0076】
補助制御装置24の外周部の少なくとも一部が、外装ケース25の天板40から下方に延びる受止部材50に載置されたので、補助制御装置24を仕切り板45の上端部と受止部材50とで安定的に支持することができる。
しかも、補助制御装置24の外周部にシール部材63,66,69を設けるため、機械室43から振動が制御基板55に伝播しにくくなり、故障しにくくなる。
【0077】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例の仕切り板45の形状は、一例であり、この形状に限定されるものではない。例えば、上下方向に直線状に延びる平板状に構成しても良いし、湾曲状に構成しても良いし、他の種々の形状に構成しても良い。
【0078】
[2]前記実施例の受止部材50は必須ものではなく省略可能なものである。補助制御装置24をL字状受部46fのみで支持する構造の場合でも、補助制御装置24の姿勢は天板40で規制されて水平姿勢を維持するからである。
また、前記受止部材50に代えて、天板40の機械室43側の下端部に受止部材を設けて、補助制御装置24の機械室43側の外周部を載置するようにしても良い。また、天板40の送風室42側及び機械室43側の両方の下端部に受止部材50を設けて、補助制御装置24の外周部が載置されるようにしても良い。
【0079】
[3]前記実施例の補助制御装置24の下端部に形成されたレール溝62は、下側ケース部材58の下端部を上側へ凹入させて、下方開放のレール溝62を凹状に直接形成してもよい。また、前記の前側板37と前側板部46の前端部との間及び前側板37と補助制御装置24の前端部との間にも、シール部材を設けてもよい。
【0080】
[4]前記補助制御装置24のケース部材54の形状は、一例に過ぎず、放熱器56が送風室42に臨むように補助制御装置24が送風室42と機械室43との両方に跨がって配置されるのであれば、種々の形状を採用することができる。
[5]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例の種々の変更を付加した形態で実施可能で、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、給湯装置等に組み込まれるヒートポンプ式熱源機に適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
3 ヒートポンプ式熱源機
21 温水加熱用熱交換器(凝縮器)
24 補助制御装置(制御装置)
25 外装ケース(ケース体)
40 天板
42 送風室
43 機械室
45 仕切り板
46f L字状受部
46g 水平フランジ
50 受止部材
63,66,69 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体内に圧縮機と膨張手段と蒸発器と送風手段とを収容し且つ凝縮器を有するヒートポンプ式熱源機において、
前記ケース体内を前記蒸発器と前記送風手段とが配置された送風室と前記圧縮機と前記膨張手段とが配置された機械室とに区画する縦向きの仕切り板と、前記ヒートポンプ式熱源機を制御する制御装置であって放熱部を有する制御装置とを備え、
前記制御装置の放熱部が前記送風室側に臨むように前記制御装置が前記送風室と前記機械室との両方に跨がって配置されると共に前記制御装置が前記仕切り板の上端部に対してその上端部と平行方向へスライド移動可能に載置されることを特徴とするヒートポンプ式熱源機。
【請求項2】
前記凝縮器が、前記ケース体の天板の上面側に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式熱源機。
【請求項3】
前記仕切り板の上端部を含む鉛直面又はその近傍部における前記制御装置と前記仕切り板との間にシール部材が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートポンプ式熱源機。
【請求項4】
前記制御装置の外周部の少なくとも一部が、前記ケース体の天板から下方に延びる受止部材に載置されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のヒートポンプ式熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−44505(P2013−44505A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184576(P2011−184576)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)