説明

ヒートポンプ式給液装置

【課題】沸上運転の開始当初から速やかに、加熱対象となる液体の温度を沸上温度に係る目標値に到達させる。
【解決手段】ヒートポンプ式給湯機11Aは、ヒートポンプサイクル14および貯湯サイクル16を協調駆動し、低温水を沸き上げて沸上温度に係る目標値の湯を貯湯タンクに貯えて、必要に応じて各所に供給する。ヒートポンプ制御部47Aは、加熱後温度センサ45で検出された原水を加熱後の湯の温度が、沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度、および、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヒートポンプサイクルおよび貯湯サイクルを協調駆動し、低温水を沸き上げて沸上温度に係る目標値の湯を貯湯タンクに貯えて、必要に応じて各所に供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー対策の一環として、例えば深夜電力を用いてヒートポンプサイクルおよび貯湯サイクルを協調駆動し、低温水を沸き上げて沸上温度に係る目標値の湯を貯湯タンクに貯えて、必要に応じて各所に供給するヒートポンプ式給湯機が普及している。こうしたヒートポンプ式給湯機では、ヒートポンプサイクルの圧縮機によって圧縮された高温・高圧のガス冷媒と、貯湯サイクルの貯湯タンクの底部から取り出した低温水とを熱交換器において熱交換させる。この熱交換によって沸き上げた高温水を、貯湯タンクの頂部に戻す。このような沸き上げ(以下、“沸き上げ”を“沸上”と省略する場合がある。)運転を繰り返すことにより、貯湯タンクに沸上温度に係る目標値の湯を貯える。
【0003】
このようなヒートポンプ式給湯機では、貯湯タンク内に沸上温度に係る目標値の湯を貯めるため、熱交換器の加熱能力をその目標値に追従させることが求められる。かかる要請に応えるためのアプローチの一つとして、本願出願人は、外気温度、熱交換器に流入される原水温度、および、沸上温度に係る目標値に基づいて、圧縮機から吐出されるガス冷媒温度の目標値を定めるとともに、圧縮機のケーシング温度を温度センサにより検出し、圧縮機のケーシング温度の検出値をガス冷媒温度の目標値に合わせるように減圧弁の開度制御を行う沸上制御技術を提案している(特許文献1参照)。特許文献1に係る沸上制御技術によれば、熱交換器の加熱能力をその目標値に追従させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−327727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る沸上制御技術では、ヒートポンプサイクルに係る加熱能力の立ち上がりの遅れから、沸上運転の開始当初から速やかに、熱交換器の加熱能力をその目標値に追従させるまでに所定の時間を要する。このため、所定の時間が経過するまでの間は、沸上温度に係る目標値に到達する前のぬるい湯(加熱が不十分の湯)を貯湯タンクに戻してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、前記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、沸上運転の開始当初から速やかに、加熱対象となる液体の温度を沸上温度に係る目標値に到達させるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るヒートポンプ式給液装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機、前記圧縮機から吐出される前記冷媒との熱交換により加熱対象となる液体を加熱する液体・冷媒熱交換器、前記液体・冷媒熱交換器で凝縮された前記冷媒の圧力を調整する圧力調整部、および、前記圧力調整部で減圧された前記冷媒を空気と熱交換させて前記圧縮機に戻す蒸発器を備え、前記圧縮機、前記液体・冷媒熱交換器、前記圧力調整部、および、前記蒸発器のそれぞれを、前記冷媒の流通配管を介して接続してなるヒートポンプサイクルと、前記液体が貯められるタンク、および、前記液体・冷媒熱交換器を備え、前記タンク、および、前記液体・冷媒熱交換器の間を、前記タンクの前記液体を取り出して前記液体・冷媒熱交換器に送り出す往路配管、および、前記液体・冷媒熱交換器で加熱後の前記液体を前記タンクに戻す復路配管を介して接続してなる貯液サイクルと、前記タンクの前記液体を、前記往路配管、前記液体・冷媒熱交換器、および、前記復路配管をそれぞれ介して循環させる循環ポンプと、前記液体・冷媒熱交換器で加熱後の前記液体の加熱後温度を検出する加熱後温度検出部と、前記加熱後温度検出部で検出された前記液体の加熱後温度が、予め定められる沸上温度に係る目標値に到達していない場合、前記液体の加熱後温度が前記沸上温度に係る目標値と一致するように、前記冷媒の循環流量、および、前記液体の循環流量を調整しながら前記液体を沸き上げる沸上運転を行わせるヒートポンプ制御部と、を備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、沸上運転の開始当初から速やかに、加熱対象となる液体の温度を沸上温度に係る目標値に到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置の系統構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の処理の流れを表すフロー図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の加熱後温度の経時変化を表すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の循環流量の経時変化を表すグラフである。
【図5】本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給液装置の系統構成図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の処理の流れを表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の複数の実施形態に係るヒートポンプ式給液装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
(本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置の系統構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置の系統構成図である。以下では、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置について、図1に示すように、ヒートポンプサイクル14および貯湯サイクル16を協調駆動し、低温水を沸き上げて沸上温度に係る目標値の湯を貯湯タンク31に貯えて、必要に応じて給湯系の各所に供給するヒートポンプ式給湯機11Aを例示して説明する。
【0012】
ヒートポンプ式給湯機11Aは、図1に示すように、ヒートポンプユニット13、および、貯湯ユニット15を、同給湯機11の施工現場において、往路配管17aおよび復路配管17bをそれぞれ介して連通接続して構成される。
【0013】
ヒートポンプユニット13は、図1に示すように、圧縮機19、水・冷媒熱交換器(本発明の“液体・冷媒熱交換器”に相当する。)21、電動式の減圧弁23、および、蒸発器25を、封入冷媒(例えば、二酸化炭素)の流通路となる冷媒配管22を介して環状に連通接続したヒートポンプサイクル14と、循環ポンプ33と、ヒートポンプ制御部47Aとを備える。
【0014】
圧縮機19は、不図示の駆動モータを用いて圧縮機構部(不図示)を回転駆動することによって、冷媒を圧縮して吐出する機能を有する。圧縮機19で圧縮された高温・高圧の圧縮冷媒は、冷媒配管22を通して水・冷媒熱交換器21へと吐出される。水・冷媒熱交換器21は、圧縮機19から吐出されてきた高温・高圧の圧縮冷媒が流通する冷媒側伝熱管21a、および、貯湯タンク31から送られてきた水(本発明の“液体”に相当する。)が流通する水側伝熱管21bを備える。水・冷媒熱交換器21は、高温・高圧の圧縮冷媒との熱交換により水を沸き上げる機能を有する。
【0015】
水・冷媒熱交換器21で凝縮された冷媒が流通する減圧弁(本発明の“圧力調整部”に相当する。)23は、中温・高圧の冷媒を減圧し、蒸発し易い低温・低圧の冷媒として蒸発器25へ送る。また、減圧弁23は、冷媒流通路の開度を調整(冷媒配管22内を流通する冷媒の圧力を調整)することにより、ヒートポンプサイクル14内の冷媒循環量を調節する機能や、開度を大きくすることで中温・低圧の冷媒を蒸発器25へ大量に送って霜を溶かす機能を有する。
なお、本発明の“圧力調整部”としては、減圧弁23に代えて、または、加えて、キャピラリチューブを用いてもよい。
【0016】
蒸発器25は、減圧弁23で減圧(膨張)された低温・低圧の冷媒を蒸発させて圧縮機19へと戻す機能を有する。具体的には、蒸発器25は、ファンモータ27aの運転により回転する送風ファン27によって外気を取り入れ空気と冷媒との間で熱交換を行ない、外気から熱を吸収する機能を有する。
【0017】
一方、貯湯ユニット15は、図1に示すように、貯湯タンク(本発明の“タンク”に相当する。)31、および、貯湯ユニット制御部39を備える。貯湯タンク31は、給水源から給水配管35を介して供給される水道水(本発明の“加熱対象となる液体”に相当する。)と、給湯配管37を介して給湯系に供給される湯とを貯える機能を有する。循環ポンプ33は、貯湯タンク31の底部から低温水を吸い込むと共に、吸い込んだ低温水を水・冷媒熱交換器21に吐出させて加熱した湯水を貯湯タンク31の頂部へと戻すように機能する。
【0018】
なお、貯湯タンク31、循環ポンプ33、および、水・冷媒熱交換器21を、湯水の流通路となる往路配管17aおよび復路配管17bをそれぞれ介して環状に連通接続することにより、貯湯サイクル(本発明の“貯液サイクル”に相当する。)16が形成されている。
【0019】
圧縮機19には、図1に示すように、高温・高圧の圧縮冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度センサ(本発明の“吐出冷媒温度検出部”に相当する。)18が設けられている。高温・高圧の圧縮冷媒は、圧縮機19の冷媒吐出口(不図示)を介して吐出される。このため、圧縮機19の筐体(不図示)のうち冷媒吐出口付近の温度は、高温・高圧の圧縮冷媒の温度と強い相関がある。そこで、圧縮機19の筐体のうち冷媒吐出口付近に設けた吐出冷媒温度センサ18によって、圧縮機19の筐体のうち冷媒吐出口付近の温度を、冷媒吐出口から吐出される冷媒の温度として検出する。ただし、前記した検出手段の他に、圧縮機19から吐出された圧縮冷媒の温度を精度よく検出する手段があれば、それを採用してもよい。
【0020】
また、圧縮機19には、冷媒吐出口から吐出される冷媒の圧力を検出する圧縮冷媒圧力センサ20が設けられている。さらに、圧縮機19には、圧縮機構部に係る駆動モータの回転速度を検出する不図示の回転速度検出部が設けられている。水・冷媒熱交換器21の下流側に位置する冷媒配管22には、水・冷媒熱交換器出口側冷媒温度センサ41が設けられている。
【0021】
蒸発器25の近傍には、外気温度を検出する外気温度センサ(本発明の“外気温度検出部”に相当する。)42が設けられている。水・冷媒熱交換器21の上流側に位置する往路配管17aには、水・冷媒熱交換器21に流入する沸上げ前の原水の温度を検出する原水温度センサ(本発明の“原液温度検出部”に相当する。)43が設けられている。また、水・冷媒熱交換器21の下流側に位置する復路配管17bには、水・冷媒熱交換器21から流出する沸上後の湯水の温度を検出する加熱後温度センサ(本発明の“加熱後温度検出部”に相当する。)45が設けられている。これらの各温度センサ(吐出冷媒温度センサ18,水・冷媒熱交換器出口側冷媒温度センサ41,外気温度センサ42,原水温度センサ43,および、加熱後温度センサ45)の検出値、並びに、圧縮冷媒圧力センサ20の検出値は、ヒートポンプ制御部47Aに与えられる。
【0022】
また、貯湯タンク31の内部には、図1に示すように、貯湯タンク31の貯湯温度や貯湯量を検出するための貯湯センサ31a〜31eが設けられている。貯湯センサ31a〜31eの検出値は、貯湯ユニット制御部39に与えられる。
【0023】
貯湯ユニット制御部39およびヒートポンプ制御部47Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えた不図示のマイクロコンピュータ(以下、“マイコン”と省略する。)により構成される。マイコンは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行し、次述する沸上運転を含む各種制御を行うように動作する。
【0024】
ヒートポンプ制御部47Aおよび貯湯ユニット制御部39は、相互に連携して動作することによって、ヒートポンプサイクル14の運転・停止制御、圧縮機19の容量制御、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度制御、減圧弁23の開度調整、ファンモータ27aの回転速度制御、貯湯サイクル16の運転・停止制御、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度制御などを統括して司る。これにより、ヒートポンプ制御部47Aおよび貯湯ユニット制御部39は、沸上運転、除霜運転、給湯運転などを適切に行わせることができるように構成されている。
【0025】
(本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aの動作)
次に、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aに沸上運転を行わせる際の処理の流れについて、図2〜図4を参照して説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の処理の流れを表すフロー図である。図3は、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の加熱後温度の経時変化を表すグラフである。図4は、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の循環流量の経時変化を表すグラフである。
なお、図2に示す処理の流れは、ヒートポンプ制御部47Aが沸上運転の開始指令を発行したタイミングをもって開始される。
【0026】
ここで、原水を沸上温度の目標値に達するまで沸き上げた設定量の湯水を貯湯タンク31に貯める沸上運転は、電気料金が安い深夜時間帯(例えば、午後11時〜午前7時など)に遂行される。電力資源の有効活用、および、経済性の観点から好ましいからである。また、沸上運転の遂行時間帯は、前記の深夜時間帯のうち、実際の利用時間帯に近い後半にシフトさせている。放熱損失の低減を図る趣旨である。
【0027】
沸上運転の遂行時間帯を設定するにあたっては、貯湯ユニット制御部39は、まず、例えば、貯湯センサ31a〜31eから得られる貯湯タンク31の容量(貯湯量)、原水温度(加熱前温度)、および、加熱後温度に基づいて、所要沸上熱量を算出し、この所要沸上熱量と水・冷媒熱交換器21に係る加熱能力とに基づいて、所要沸上時間を算出する。そして、貯湯ユニット制御部39は、深夜時間帯の終了時刻(前記の例では、午前7時)から所要沸上時間を引いた時刻を、沸上運転開始時刻として設定する。貯湯ユニット制御部39は、こうして設定された沸上運転開始時刻のタイミングをもって、ヒートポンプ制御部47Aに沸上運転の開始指令を発行する。
【0028】
ステップS11において、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮機19、減圧弁23、および、循環ポンプ33を、それぞれ初期値で起動する制御を行う。これにより、圧縮機19に係る駆動モータは、初期値として設定された回転速度で駆動する。減圧弁23は、初期値として設定された開度で弁体(不図示)を開く。循環ポンプ33に係る駆動モータは、初期値として設定された回転速度で駆動する。
なお、ヒートポンプ制御部47Aは、循環ポンプ33に係る駆動モータについては、湯水の循環流量が安定するまでの間、初期値として設定された回転速度を維持して運転させる制御を行う。
【0029】
ステップS12において、ヒートポンプ制御部47Aは、外気温度センサ42で検出された外気温度と、原水温度センサ43で検出された原水温度とを取得する。
【0030】
ステップS13Aにおいて、ヒートポンプ制御部47Aは、ステップS12で取得した外気温度および原水温度に基づいて、沸上温度に係る目標値と、吐出冷媒圧力に係る目標値とをセットする。
【0031】
ステップS14において、ヒートポンプ制御部47Aは、ステップS12で取得した外気温度および原水温度、並びに、ステップS13Aでセットした沸上温度に係る目標値に基づいて、水・冷媒熱交換器21に係る所要加熱能力を実現するための圧縮機19に係る駆動モータの回転速度に係る基準値を算出する。
【0032】
ステップS15Aにおいて、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮冷媒圧力センサ20で検出された圧縮機19からの吐出冷媒圧力を取得する。
【0033】
ステップS16Aにおいて、ヒートポンプ制御部47Aは、ステップS15Aで取得した吐出冷媒圧力が、ステップS13Aでセットした吐出冷媒圧力に係る目標値と一致するか否かを判定する。ステップS16Aの判定の結果、ヒートポンプ制御部47Aは、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と一致しない旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS17へと進ませる一方、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と一致した旨の判定が下された場合、処理の流れを直接ステップS18へと進ませる。
【0034】
ステップS17において、ヒートポンプ制御部47Aは、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と一致するように、減圧弁23に係る弁体の開度を調整させる制御を行う。具体的には、ヒートポンプ制御部47Aは、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と比べて低い場合、減圧弁23に係る弁体を絞る(閉じる)ように調整させる制御を行う一方、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と比べて高い場合、減圧弁23に係る弁体を開くように調整させる制御を行う。この冷媒圧力の調整は、予め定められる調整代(例えば、1回の調整毎に0.2MPa調整したり、1回の調整毎に5パルス駆動するなど)を参照して行ってもよいし、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と一致することを狙って算出された圧力値を用いて行ってもよい。その後、ヒートポンプ制御部47Aは、処理の流れを次のステップS18へと進ませる。
【0035】
ステップS18において、ヒートポンプ制御部47Aは、加熱後温度センサ45で検出された原水の加熱後温度を取得する。
【0036】
ステップS19において、ヒートポンプ制御部47Aは、ステップS18で取得した原水の加熱後温度が、ステップS13Aでセットした沸上温度に係る目標値と一致するか否かを判定する。ステップS19の判定の結果、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致しない旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS20へと進ませる一方、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致した旨の判定が下された場合、処理の流れを直接ステップS21へと進ませる。
【0037】
ステップS20において、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度を調整させる制御を行う。具体的には、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と比べて低い場合、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度を増やすように調整させる制御を行う一方、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と比べて高い場合、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度を減らすように調整させる制御を行う。この圧縮機19に係る駆動モータの回転速度調整は、予め定められる調整代(例えば、1回の調整毎に10rpm(revolution per minute)など)を参照して行ってもよいし、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致することを狙って算出された回転速度値を用いて行ってもよい。
【0038】
なお、沸上運転の開始直後では、ヒートポンプサイクルに係る加熱能力の立ち上がりの遅れにより、所望の加熱能力を出力できていないため、通常、原水の加熱後温度は、沸上温度に係る目標値と比べて低い。すると、沸上運転の開始直後では、ヒートポンプ制御部47Aは、一般に、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度を増やすように調整させる制御を行うことになる。この制御によって、圧縮機19から吐出される圧縮冷媒の循環流量、温度および圧力は、調整前と比べて高くなる。その結果、水・冷媒熱交換器21に係る加熱能力も、調整前と比べて高くなるため、加熱後温度を上昇させることができる。
ステップS20における圧縮機19に係る駆動モータの回転速度調整後、ヒートポンプ制御部47Aは、処理の流れを次のステップS21へと進ませる。
【0039】
ステップS21において、ヒートポンプ制御部47Aは、ステップS19と同様に、ステップS18で取得した原水の加熱後温度が、ステップS13Aでセットした沸上温度に係る目標値と一致するか否かを判定する。ステップS21の判定の結果、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と比べて低い旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS22へと進ませる一方、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値以上である旨の判定が下された場合、処理の流れを直接ステップS23へと進ませる。
【0040】
ステップS22において、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を調整させる制御を行う。具体的には、例えば、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と比べて低い場合、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を減らすように調整させる制御を行う。この循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整は、予め定められる調整代(例えば、1回の調整毎に10rpm(revolution per minute)など)を参照して行ってもよいし、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致することを狙って算出された回転速度値を用いて行ってもよい。
【0041】
なお、沸上運転の開始直後では、ヒートポンプサイクルに係る加熱能力の立ち上がりの遅れにより、所望の加熱能力を出力できていないため、通常、原水の加熱後温度は、沸上温度に係る目標値と比べて低い。すると、沸上運転の開始直後では、ヒートポンプ制御部47Aは、一般に、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を減らすように調整させる制御を行うことになる。この制御によって、貯湯サイクル16内を循環する湯水の量は、調整前と比べて少なくなる。その結果、加熱対象となる原水の循環流量が低下することにより、原水の加熱後温度を沸上温度に係る目標値に到達させるために必要な加熱能力を少なくできるため、調整前と比べて、原水の加熱後温度を上昇させることができる。
ステップS22における循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整後、ヒートポンプ制御部47Aは、処理の流れをステップS12へと戻し、以下の処理を行わせる。
【0042】
ステップS23において、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮機19の圧縮機モータ回転速度検出部で取得した圧縮機モータ回転速度が、ステップS14で算出した圧縮機モータ回転速度に係る基準値と一致するか否かを判定する。ステップS23の判定の結果、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮機モータ回転速度が圧縮機モータ回転速度に係る基準値と一致しない旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS24へと進ませる一方、圧縮機モータ回転速度が圧縮機モータ回転速度に係る基準値と一致した旨の判定が下された場合、処理の流れを直接ステップS25へと進ませる。
【0043】
ステップS24において、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮機モータ回転速度が圧縮機モータ回転速度に係る基準値と一致するように、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を調整させる制御を行う。
なお、“圧縮機モータ回転速度が圧縮機モータ回転速度に係る基準値と一致する”とは、“液体・冷媒熱交換器21に係る加熱能力が、予め定められる加熱能力の目標値と一致する”ことを意味する。
【0044】
具体的には、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮機モータ回転速度が圧縮機モータ回転速度に係る基準値と比べて低い場合、換言すれば、ヒートポンプ制御部47Aは、水・冷媒熱交換器21に係る加熱能力が基準値と比べて低い場合、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を増やすように調整させる制御を行う一方、圧縮機モータ回転速度が基準値と比べて高い場合には、循環ポンプ33に係わる駆動モータの回転速度を減らすように調整させる制御を行なう。これにより、沸上運転時の加熱能力を予め定められる加熱能力の目標値と一致させることができる。
ステップS24における循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整後、ヒートポンプ制御部47Aは、処理の流れをステップS25へと進ませる。
【0045】
ステップS25において、ヒートポンプ制御部47Aは、貯湯ユニット制御部39からの沸上運転指令の発行状況を確認することにより、沸上運転を継続すべきか否かを判定する。ステップS25の判定の結果、ヒートポンプ制御部47Aは、沸上運転を継続すべき旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS12へと戻し、以下の処理を行わせる一方、沸上運転を継続すべきでない旨の判定が下された場合、一連の沸上運転を終了させる。
【0046】
(本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aの作用効果)
本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aでは、ヒートポンプ制御部47Aは、加熱後温度センサ45で検出された原水の加熱後温度が、予め定められる沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度、および、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせる構成を採用することとした。
【0047】
本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aによれば、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が、沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度を高速側に調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせるため、圧縮機19から吐出される圧縮冷媒の循環流量、温度および圧力は、調整前と比べて高くなる。その結果、水・冷媒熱交換器21に係る加熱能力も、調整前と比べて高くなるため、原水の加熱後温度を上昇させることができる(図3参照;比較例は、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度調整なし)。
【0048】
また、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aによれば、ヒートポンプ制御部47Aは、原水の加熱後温度が、沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を低速側に調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせる。その結果、加熱対象となる原水の循環流量が低下することにより、原水の加熱後温度を沸上温度に係る目標値に到達させるために必要な加熱能力を少なくできるため、調整前と比べて、原水の加熱後温度を上昇させることができる。(図4参照;比較例は、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整なしのため、循環流量の減少がない)。
【0049】
したがって、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aによれば、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度調整作用、および、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整作用が相まって、沸上運転の開始当初から速やかに、加熱対象となる原水(本発明の“液体”に相当する。)の温度を沸上温度に係る目標値に到達させることができる。
【0050】
また、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aによれば、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値に到達した後は、所要の目標加熱能力を維持して沸上運転を継続させることができる。
【0051】
さらに、本発明の第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aによれば、沸上時間が当初の計画を超えて長くなることを回避することができ、深夜電力を利用できる時間帯の範囲内において必要な温度および量の湯を確保することができる。
【0052】
[第2実施形態]
(本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給液装置の系統構成)
図5は、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給液装置の系統構成図である。以下では、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給液装置について、本発明の第1実施形態と同様、図1に示すように、ヒートポンプサイクル14および貯湯サイクル16を協調駆動し、低温水を沸き上げて沸上温度に係る目標値の湯を貯湯タンク31に貯えて、必要に応じて給湯系の各所に供給するヒートポンプ式給湯機11Bを例示して説明する。
【0053】
なお、図1に示す第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aと、図5に示す第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bとでは、ヒートポンプ制御部47A,47Bの構成を除き、その他の構成は共通である。したがって、第1および第2実施形態間において共通の機能を有する部材については、共通の符号を付してその説明を省略し、前記の相違点に注目して説明を進めることとする。
【0054】
第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aでは、ヒートポンプ制御部47Aは、圧縮機19から吐出される吐出冷媒圧力に係る目標値をセットしておき、圧縮冷媒圧力センサ20から取得した圧縮機19の吐出冷媒圧力が、前記セットしておいた吐出冷媒圧力に係る目標値と一致するか否かを判定し、この判定の結果、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と一致しない旨の判定が下された場合、吐出冷媒圧力が吐出冷媒圧力に係る目標値と一致するように、減圧弁23に係る弁体の開度を調整させる制御を行う。
【0055】
これに対し、第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bでは、ヒートポンプ制御部47Bは、圧縮機19から吐出される吐出冷媒温度に係る目標値をセットしておき、吐出冷媒温度センサ18から取得した圧縮機19の吐出冷媒温度が、前記セットしておいた吐出冷媒温度に係る目標値と一致するか否かを判定し、この判定の結果、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と一致しない旨の判定が下された場合、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と一致するように、減圧弁23に係る弁体の開度を調整させる制御を行う。
【0056】
要するに、第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Aでは、圧縮機19の吐出冷媒圧力を用いて減圧弁23に係る弁体の開度調整制御を行わせるのに対し、第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bでは、圧縮機19の吐出冷媒温度を用いて減圧弁23に係る弁体の開度調整制御を行わせており、減圧弁23に係る弁体の開度調整制御を行わせる際のパラメータが、“圧力”と“温度”で相違している。圧縮機19の吐出冷媒に係る“圧力”および“温度”は、いずれも水・冷媒熱交換器21に係る加熱能力と相関がある点で、その技術的思想が共通である。
【0057】
(本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bの動作)
次に、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bに沸上運転を行わせる際の処理の流れについて、図6を参照して説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給液装置に沸上運転を行わせる際の処理の流れを表すフロー図である。
なお、図6に示す処理の流れは、第1実施形態と同様、貯湯ユニット制御部39がヒートポンプ制御部47Bへ沸上運転の開始指令を発行したタイミングをもって開始される。
【0058】
図6に示す第2実施形態に係る処理の流れは、ステップS13B、S15B、S16Bを除き、図2に示す第1実施形態に係る処理の流れと共通である。そこで、前半部であるステップS11〜S17に係る処理の流れを説明することで、第2実施形態に係る動作説明に代えることとする。
【0059】
ステップS11において、ヒートポンプ制御部47Bは、圧縮機19、減圧弁23、および、循環ポンプ33を、それぞれ初期値で起動する制御を行う。これにより、圧縮機19に係る駆動モータは、初期値として設定された回転速度で駆動する。減圧弁23は、初期値として設定された開度で弁体を開く。循環ポンプ33に係る駆動モータは、初期値として設定された回転速度で駆動する。
なお、ヒートポンプ制御部47Bは、循環ポンプ33に係る駆動モータについては、湯水の循環流量が安定するまでの間、初期値として設定された回転速度を維持して運転させる制御を行う。
【0060】
ステップS12において、ヒートポンプ制御部47Bは、外気温度センサ42で検出された外気温度と、原水温度センサ43で検出された原水温度とを取得する。
【0061】
ステップS13Bにおいて、ヒートポンプ制御部47Bは、ステップS12で取得した外気温度および原水温度に基づいて、沸上温度に係る目標値と、吐出冷媒温度(ステップS13Aとの相違点)に係る目標値とをセットする。
【0062】
ステップS14において、ヒートポンプ制御部47Bは、ステップS12で取得した外気温度および原水温度、並びに、ステップS13Bでセットした沸上温度に係る目標値に基づいて、水・冷媒熱交換器21に係る所要加熱能力を実現するための圧縮機19に係る駆動モータの回転速度に係る基準値を算出する。
【0063】
ステップS15Bにおいて、ヒートポンプ制御部47Bは、吐出冷媒温度センサ18で検出された圧縮機19からの吐出冷媒温度(ステップS15Aとの相違点)を取得する。
【0064】
ステップS16Bにおいて、ヒートポンプ制御部47Bは、ステップS15Bで取得した吐出冷媒温度が、ステップS13Bでセットした吐出冷媒温度に係る目標値と一致するか否かを判定する(ステップS16Aとの相違点)。ステップS16Bの判定の結果、ヒートポンプ制御部47Aは、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と一致しない旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS17へと進ませる一方、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と一致した旨の判定が下された場合、処理の流れをステップS18へと進ませる。
【0065】
ステップS17において、ヒートポンプ制御部47Bは、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と一致するように、減圧弁23に係る弁体の開度を調整させる制御を行う。具体的には、ヒートポンプ制御部47Bは、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と比べて低い場合、減圧弁23に係る弁体を絞る(閉じる)ように調整させる制御を行う一方、吐出冷媒温度が吐出冷媒温度に係る目標値と比べて高い場合、減圧弁23に係る弁体を開くように調整させる制御を行う。その後、ヒートポンプ制御部47Bは、処理の流れを次のステップS18へと進ませる。
【0066】
(本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bの作用効果)
本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bでは、ヒートポンプ制御部47Bは、第1実施形態と同様、加熱後温度センサ45で検出された原水の加熱後温度が、沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度、および、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせる構成を採用することとした。
【0067】
本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bによれば、ヒートポンプ制御部47Bは、第1実施形態と同様、原水の加熱後温度が、沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度を高速側に調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせるため、圧縮機19から吐出される圧縮冷媒の循環流量、温度および圧力は、調整前と比べて高くなる。その結果、水・冷媒熱交換器21に係る加熱能力も、調整前と比べて高くなるため、原水の加熱後温度を上昇させることができる(図3参照;比較例は、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度調整なし)。
【0068】
また、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bによれば、ヒートポンプ制御部47Bは、第1実施形態と同様、原水の加熱後温度が、沸上温度に係る目標値に到達していない場合、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値と一致するように、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度を低速側に調整しながら原水を沸き上げる沸上運転を行わせる。その結果、加熱対象となる原水の循環流量が低下することにより、原水の加熱後温度を沸上温度に係る目標値に到達させるために必要な加熱能力を少なくできるため、調整前と比べて、原水の加熱後温度を上昇させることができる。(図4参照;比較例は、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整なしのため、循環流量の減少がない)。
【0069】
したがって、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bによれば、第1実施形態と同様、圧縮機19に係る駆動モータの回転速度調整作用、および、循環ポンプ33に係る駆動モータの回転速度調整作用が相まって、沸上運転の開始当初から速やかに、加熱対象となる原水(本発明の“液体”に相当する。)の温度を沸上温度に係る目標値に到達させることができる。
【0070】
また、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bによれば、第1実施形態と同様、原水の加熱後温度が沸上温度に係る目標値に到達した後は、所要の目標加熱能力を維持して沸上運転を継続させることができる。
【0071】
さらに、本発明の第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11Bによれば、第1実施形態と同様、沸上時間が当初の計画を超えて長くなることを回避することができ、深夜電力を利用できる時間帯の範囲内において必要な温度および量の湯を確保することができる。
【0072】
[その他の実施形態]
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。従って、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0073】
例えば、本発明の第1および第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機11A,11Bとして、それぞれが別体のヒートポンプユニット13と貯湯ユニット15とを、往路配管17aおよび復路配管17bをそれぞれ介して連通接続して構成する態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。ヒートポンプユニット13と貯湯ユニット15とを一体に構成すると共に、各構成部材13,15間を往路配管17aおよび復路配管17bをそれぞれ介して連通接続したヒートポンプ式給湯機11A,11Bの態様も、本発明の技術的範囲の射程に包含される。
【0074】
また、本発明の“加熱対象となる液体”として、給水源から給水配管35を介して供給される水道水を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明の“加熱対象となる液体”としては、例えば、井戸水を採用してもよい。また、水以外にも、潜熱蓄熱材入りの液体、ブライン、不凍液などを、本発明の“加熱対象となる液体”として採用してもよい。
【0075】
また、本発明の“冷媒の圧力を調整する手段”として、減圧弁23に係る弁体の開度を調整することによって、冷媒の圧力を調整する態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明の“冷媒の圧力を調整する手段”としては、水・冷媒熱交換器21に流入する冷媒の圧力を調整することができれば、いかなるものを採用してもよい。
【0076】
最後に、本発明の“液体の循環流量を調整する手段”として、循環ポンプ33に係る駆動モータを例示し、同駆動モータの回転速度を調整することによって、液体の循環流量を調整する態様を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明の“液体の循環流量を調整する手段”としては、水・冷媒熱交換器21に流入する液体の循環流量を調整することができれば、いかなるものを採用してもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0077】
11A 第1実施形態に係るヒートポンプ式給湯機(ヒートポンプ式給液装置)
11B 第2実施形態に係るヒートポンプ式給湯機(ヒートポンプ式給液装置)
13 ヒートポンプユニット
14 ヒートポンプサイクル
15 貯湯ユニット
16 貯湯サイクル(貯液サイクル)
17a 往路配管
17b 復路配管
18 吐出冷媒温度センサ(吐出冷媒温度検出部)
19 圧縮機
20 圧縮冷媒圧力センサ
21 水・冷媒熱交換器(液体・冷媒熱交換器)
21a 冷媒側伝熱管
21b 水側伝熱管
23 電動式の減圧弁(圧力調整部)
25 蒸発器
27 送風ファン
27a ファンモータ
31 貯湯タンク(タンク)
33 循環ポンプ
35 給水配管
37 給湯配管
39 貯湯ユニット制御部
41 水・冷媒熱交換器出口側冷媒温度センサ
42 外気温度センサ(外気温度検出部)
43 原水温度センサ(原液温度検出部)
45 加熱後温度センサ(加熱後温度検出部)
47A 第1実施形態に係るヒートポンプ制御部
47B 第2実施形態に係るヒートポンプ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機、前記圧縮機から吐出される前記冷媒との熱交換により加熱対象となる液体を加熱する液体・冷媒熱交換器、前記液体・冷媒熱交換器で凝縮された前記冷媒の圧力を調整する圧力調整部、および、前記圧力調整部で減圧された前記冷媒を空気と熱交換させて前記圧縮機に戻す蒸発器を備え、前記圧縮機、前記液体・冷媒熱交換器、前記圧力調整部、および、前記蒸発器のそれぞれを、前記冷媒の流通配管を介して接続してなるヒートポンプサイクルと、
前記液体が貯められるタンク、および、前記液体・冷媒熱交換器を備え、前記タンク、および、前記液体・冷媒熱交換器の間を、前記タンクの前記液体を取り出して前記液体・冷媒熱交換器に送り出す往路配管、および、前記液体・冷媒熱交換器で加熱後の前記液体を前記タンクに戻す復路配管を介して接続してなる貯液サイクルと、
前記タンクの前記液体を、前記往路配管、前記液体・冷媒熱交換器、および、前記復路配管をそれぞれ介して循環させる循環ポンプと、
前記液体・冷媒熱交換器で加熱後の前記液体の加熱後温度を検出する加熱後温度検出部と、
前記加熱後温度検出部で検出された前記液体の加熱後温度が、予め定められる沸上温度に係る目標値に到達していない場合、前記液体の加熱後温度が前記沸上温度に係る目標値と一致するように、前記冷媒の循環流量、および、前記液体の循環流量を調整しながら前記液体を沸き上げる沸上運転を行わせるヒートポンプ制御部と、
を備えることを特徴とするヒートポンプ式給液装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートポンプ式給液装置であって、
前記冷媒の循環流量の調整は、前記圧縮機に係る駆動モータの回転速度を調整することによって遂行される一方、前記液体の循環流量の調整は、前記循環ポンプに係る駆動モータの回転速度を調整することによって遂行される、
ことを特徴とするヒートポンプ式給液装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヒートポンプ式給液装置であって、
前記ヒートポンプ制御部は、前記加熱後温度検出部で検出された前記液体の加熱後温度が、前記沸上温度に係る目標値に到達した後において、前記液体・冷媒熱交換器に係る加熱能力が、予め定められる加熱能力の目標値と一致するように、前記循環ポンプに係る駆動モータの回転速度を調整しながら前記沸上運転を行わせる、
ことを特徴とするヒートポンプ式給液装置。
【請求項4】
請求項2に記載のヒートポンプ式給液装置であって、
前記ヒートポンプ制御部は、前記加熱後温度検出部で検出された前記液体の加熱後温度が、前記沸上温度に係る目標値に到達した後において、前記圧縮機に係る駆動モータの回転速度が、予め定められる回転速度の基準値と一致するように、前記循環ポンプに係る駆動モータの回転速度を調整しながら前記沸上運転を行わせる、
ことを特徴とするヒートポンプ式給液装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のヒートポンプ式給液装置であって、
外気の温度を検出する外気温度検出部と、
前記液体・冷媒熱交換器で沸上前の前記液体の温度を検出する原液温度検出部と、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒の温度を検出する吐出冷媒温度検出部と、
をさらに備え、
前記ヒートポンプ制御部は、前記吐出冷媒温度検出部で検出された前記冷媒の温度が、前記外気温度検出部で検出された外気の温度、前記原液温度検出部で検出された前記液体の温度、または、前記沸上温度に係る目標値のいずれかを用いて算出された前記冷媒の温度に係る目標値と一致するように、前記圧力調整部の圧力を調整しながら前記沸上運転を行わせる、
ことを特徴とするヒートポンプ式給液装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のヒートポンプ式給液装置であって、
外気の温度を検出する外気温度検出部と、
前記液体・冷媒熱交換器で沸上前の前記液体の温度を検出する原液温度検出部と、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒の圧力を検出する冷媒圧力検出部と、
をさらに備え、
前記ヒートポンプ制御部は、前記冷媒圧力検出部で検出された前記冷媒の圧力が、前記外気温度検出部で検出された外気の温度、前記原液温度検出部で検出された前記液体の温度、または、前記沸上温度に係る目標値のいずれかを用いて算出された前記冷媒の圧力に係る目標値と一致するように、前記圧力調整部の圧力を調整しながら前記沸上運転を行わせる、
ことを特徴とするヒートポンプ式給液装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のヒートポンプ式給液装置であって、
前記冷媒は、二酸化炭素である、
ことを特徴とするヒートポンプ式給液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79760(P2013−79760A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219920(P2011−219920)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)