説明

ヒートポンプ装置

【課題】凝縮器および蒸発器をコンパクトに設置でき、且つ凝縮器の熱交換効率が低下することのないヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】圧縮機4、凝縮器5、減圧器6、蒸発器7を筐体内に備え、凝縮器5および蒸発器7をプレート式熱交換器で構成し、凝縮器5を収納した凝縮器断熱材30と蒸発器7を収納した蒸発器断熱材32とを隣り合うように配置して、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を跨いで一体的に筐体に固定する固定具36で固定するようにしたヒートポンプ装置であって、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との互いに隣り合う面において、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との少なくとも一方の断熱材30は、一方の断熱材30から他方の断熱材32に向かって突出し他方の断熱材32に当接する突出部34を有し、突出部34によって、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に空気層37を形成するようにしたようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、凝縮器および蒸発器をプレート式熱交換器で構成したヒートポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のヒートポンプ装置においては、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路を筐体内に備え、凝縮器および蒸発器をプレート式熱交換器で構成し、前記蒸発器において、蒸発器の冷媒流路を流通する低温の冷媒と蒸発器の流体流路を流通する循環液とが熱交換され、冷媒側に熱が汲み上げられ、前記凝縮器において、凝縮器の冷媒流路を流通する高温の冷媒と凝縮器の流体流路を流通する循環液とが熱交換され、冷媒側の熱が循環液側に放熱され、加熱された循環液を利用して暖房運転等を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、プレート式熱交換器で構成される凝縮器あるいは蒸発器において、凝縮器あるいは蒸発器からの自然放熱防止・防振の観点から、凝縮器あるいは蒸発器の周囲を断熱材で覆うようなものがあった(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−315476号公報
【特許文献2】特願2008−196776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この従来のヒートポンプ装置のプレート式熱交換器で構成される凝縮器および蒸発器は、暖房運転等の運転状態において、凝縮器側は熱く蒸発器側は冷たいというように温度帯が異なり、凝縮器および蒸発器を近接して配置すると、凝縮器と蒸発器との間での熱伝導が生じ、凝縮器側の熱が奪われ、凝縮器の熱交換効率の低下が懸念され、そのままでは近接して配置することができないが、凝縮器の周囲を凝縮器断熱材で覆い、蒸発器を蒸発器断熱材で覆うことで、近接して配置することが可能となる。
【0006】
しかし、図6(a)に示すように、凝縮器101および蒸発器102が隣り合うように、凝縮器101を収納した凝縮器断熱材103および蒸発器102を収納した蒸発器断熱材104を密着させて配置した場合、1つの固定具105で凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を同時に固定でき、固定のための手間やコストを削減することができるが、凝縮器断熱材103と蒸発器断熱材104との互いに隣り合う面、すなわち、蒸発器断熱材104に密着する側の凝縮器断熱材103の一側面、および、凝縮器断熱材103に密着する側の蒸発器断熱材104の一側面が肉薄だと、凝縮器101と蒸発器102との間での熱伝導が生じやすく、凝縮器101の熱交換効率が低下するおそれがあった。
【0007】
そこで、図6(b)に示すように、蒸発器断熱材104に密着する側の凝縮器断熱材103の一側面、および、凝縮器断熱材103に密着する側の蒸発器断熱材104の一側面を肉厚にした場合、図6(a)に比べて凝縮器101と蒸発器102との間で熱伝導が生じにくくなり、凝縮器101の熱交換効率が低下することがなく、1つの固定具105で凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を同時に固定できるが、装置内における凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104の占有するスペースが大きくなり、装置全体の大型化を招くことになってしまうものであった。
【0008】
また、図6(c)に示すように、凝縮器101および蒸発器102が隣り合うように、凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を少し離して配置した場合、凝縮器断熱材103と蒸発器断熱材104との間に、熱伝導率が極めて小さい空気の隙間ができ、凝縮器101と蒸発器102との間での熱伝導が生じにくくなり、凝縮器101の熱交換効率が低下することがない。しかし、1つの固定具105で凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を同時に固定しようとすると、凝縮器断熱材103と蒸発器断熱材104との間が少し離れているため、安定性がなく、ぐらつきが生じ、振動に対しても弱くなってしまう。よって、凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を安定して固定するためには、図6(c)のように、凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を別々に固定具105で固定しなければならず、凝縮器断熱材103および蒸発器断熱材104を固定するための手間や部品が増えてしまうものであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路を筐体内に備え、前記凝縮器および前記蒸発器をプレート式熱交換器で構成し、前記凝縮器を収納した凝縮器断熱材と、前記蒸発器を収納した蒸発器断熱材とを隣り合うように配置して、前記凝縮器断熱材および前記蒸発器断熱材を跨いで一体的に前記筐体に固定する固定具で固定するようにしたヒートポンプ装置であって、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との互いに隣り合う面において、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との少なくとも一方の断熱材は、一方の断熱材から他方の断熱材に向かって突出し他方の断熱材に当接する突出部を有し、前記突出部によって、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との間に空気層を形成するものとした。
【0010】
また、請求項2では、前記凝縮器断熱材および前記蒸発器断熱材は同一形状の断熱材であって、一方の断熱材を他方の断熱材の上下左右が反転するように180°回転させた状態で、双方の断熱材を隣り合うように配置して、前記突出部によって、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との間に前記空気層を形成するものとした。
【発明の効果】
【0011】
この発明の請求項1によれば、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との互いに隣り合う面において、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との少なくとも一方の断熱材は、一方の断熱材から他方の断熱材に向かって突出し他方の断熱材に当接する突出部を有し、突出部によって、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との間に空気層を形成するようにしたことで、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材を固定具によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との間で断熱材同士の接する部分が突出部のみと少なく、且つ、突出部によって、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との間に、熱伝導率が極めて小さい空気層を形成しているので、暖房運転等の運転状態において、凝縮器と蒸発器との間での熱伝導が生じにくく、凝縮器の熱交換効率が低下することがないものである。
【0012】
その上、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材は、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材を跨いで一体的に筐体に固定する固定具によって固定されるので、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材を固定のための手間や部品を抑えることができ、コンパクトに設置できるものである。
【0013】
また、請求項2によれば、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材は同一形状の断熱材なので、成形された断熱材を凝縮器断熱材と蒸発器断熱材のどちらにも用いることができ、製造コストを安価にでき、さらに、成形された断熱材毎の誤差が極僅か、またはゼロで、突出部の大きさもほぼ等しく、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材を隣り合うように配置した時に、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との間に形成される空気層の寸法をほぼ設計寸法通りに確保することができ、凝縮器の熱交換効率が低下することがない寸法の空気層を確実に確保することができるものである。
【0014】
その上、一方の断熱材を他方の断熱材の上下左右が反転するように180°回転させた状態で、双方の断熱材を隣り合うように配置して、突出部によって、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との間に空気層を形成するので、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材を固定具によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材と蒸発器断熱材との双方で形成される断熱材の中心に対して、対称的に凝縮器断熱材の突出部と蒸発器断熱材の突出部とが位置しているので、凝縮器断熱材および蒸発器断熱材のぐらつきがなく、安定性があり、防振の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態のヒートポンプ装置の概略構成図。
【図2】同一実施形態の凝縮器および蒸発器構成図。
【図3】同一実施形態の凝縮器断熱材および蒸発器断熱材構成図。
【図4】同一実施形態の凝縮器断熱材及び蒸発器断熱材の設置状況を説明する説明図。
【図5】(a)同一実施形態の他の凝縮器断熱材及び蒸発器断熱材の設置状況を説明する説明図。 (b)同一実施形態のさらに他の凝縮器断熱材及び蒸発器断熱材の設置状況を説明する説明図。
【図6】(a)課題を説明するための第1説明図。 (b)課題を説明するための第2説明図。 (c)課題を説明するための第3説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の一実施形態のヒートポンプ装置としての地中熱ヒートポンプ装置を図面に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の地中熱ヒートポンプ装置は、大きく分けてヒートポンプユニット1と、地中熱交換部2と、負荷熱交換部3とから構成されるものである。
【0017】
前記ヒートポンプユニット1は、その筐体内に、冷媒を圧縮する能力可変の圧縮機4と、圧縮機4から吐出された高温冷媒を流通させ、この高温冷媒と負荷熱交換部3の負荷側の流体との熱交換を行う凝縮器5と、凝縮器5から流出する冷媒を減圧する減圧器としての膨張弁6と、膨張弁6からの減圧した低温冷媒を流通させ、この低温冷媒と地中熱交換部2の熱源側の流体と熱交換を行う蒸発器7と、これらを冷媒配管8で環状に接続しヒートポンプ回路9を備えているものである。なお、ヒートポンプユニット1の冷媒としては、二酸化炭素冷媒やHFC冷媒等の任意の冷媒を用いることができるものである。
【0018】
前記地中熱交換部2は、蒸発器7と、蒸発器7の冷媒を加熱する熱源として地盤中に埋設され互いに並列に接続された複数の地中熱交換器10と、蒸発器7と地中熱交換器10との間を熱媒配管11で環状に接続する地中熱循環回路12と、地中熱循環回路12に熱媒である不凍液を循環させる回転数可変の地中熱循環ポンプ13とを備えているものである。
【0019】
前記負荷熱交換部3は、負荷側に熱を与える凝縮器5と、被空調空間を加熱する床暖房パネル等の負荷端末14と、凝縮器5と負荷端末14との間を循環液配管15で環状に接続する負荷側循環回路16と、負荷側循環回路16に加熱用循環液を循環させる負荷側循環ポンプ17と、負荷端末14毎に分岐した負荷側循環回路16に各々設けられ、その開閉により負荷端末14への加熱用循環液の供給を制御する熱動弁18(18a、18b)とを備えているものである。
【0020】
なお、前記負荷端末14によって加熱される被空調空間には、リモコン(図示せず)が各々設置されており、このリモコンにより被空調空間の加熱の指示がなされると、圧縮機4及び及び地中熱循環ポンプ13及び負荷側循環ポンプ17の駆動が開始され、地中熱交換部2では、地中熱交換器10によって地盤中から地中熱を採熱し、その熱を帯びた不凍液が地中熱循環ポンプ13により蒸発器7に供給され、蒸発器7において、冷媒と不凍液とが対向して流れて熱交換が行われ、地中熱交換器10にて採熱された熱が冷媒側に汲み上げられ、また、負荷側熱交換部3では、凝縮器5において、冷媒と加熱用循環液とが対向して流れて熱交換が行われ、冷媒側の熱が加熱用循環液側に放熱され、加熱された加熱用循環液が負荷側循環ポンプ17によって負荷端末14に供給され、負荷端末14にて放熱することでリモコンにより指示された被空調空間を加熱する暖房運転を行うものである。
【0021】
19はヒートポンプユニット1内の各種センサ(図示せず)からの入力信号や前記リモコンからの指示を受けて各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを有する制御手段である。
【0022】
ここで、凝縮器5および蒸発器7について図2に基づいて説明すると、凝縮器5および蒸発器7は同一の大きさのプレート式熱交換器で構成され、プレート式熱交換器は複数の伝熱プレートが積層され、冷媒を流通させる冷媒流路と流体を流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
【0023】
前記凝縮器5は、その前面に冷媒配管8および循環液配管15が接続される凝縮器配管接続面20を有しており、凝縮器配管接続面20には上部に冷媒配管8が接続される冷媒流入口21および循環液配管15が接続される循環液流出口22が、下部に冷媒配管8が接続される冷媒流出口23および循環液配管15が接続される循環液流入口24が設けられており、上部の冷媒流入口21から流入した冷媒は下部の冷媒流出口23から流出し、下部の循環液流入口24から流入した加熱用循環液は上部の循環液流出口22から流出することで、冷媒と加熱用循環液とが対向して流れて熱交換が行われるものである。
【0024】
前記蒸発器7は、その前面に冷媒配管8および熱媒配管11が接続される蒸発器配管接続面25を有しており、蒸発器配管接続面25には上部に冷媒配管8が接続される冷媒流出口26および熱媒配管11が接続される不凍液流入口27が、下部に冷媒配管8が接続される冷媒流入口28および熱媒配管11が接続される不凍液流出口29が設けられており、下部の冷媒流入口28から流入した冷媒は上部の冷媒流出口26から流出し、上部の不凍液流入口27から流入した不凍液は下部の不凍液流出口29から流出することで、冷媒と不凍液とが対向して流れて熱交換が行われるものである。
【0025】
また、図3に示すように、30は凝縮器配管接続面20以外を囲繞して凝縮器5を収納する凝縮器収納部31を有する前面を開口した箱状の凝縮器断熱材であって、凝縮器5の保温・断熱を行う耐熱性発泡ポリスチレンからなる発泡断熱材であり、32は蒸発器配管接続面25以外を囲繞して蒸発器7を収納する蒸発器収納部33を有する前面を開口した箱状の蒸発器断熱材であって、蒸発器7の保温・断熱を行う耐熱性発泡ポリスチレンからなる発泡断熱材である。なお、ここでは、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32の材質をポリスチレンとしたが、ポリエチレンやウレタン等でもよいものである。
【0026】
前記凝縮器断熱材30には、凝縮器配管接続面20以外の一側面の一部を外方に突出した突出部34が一体形成されており、この実施形態では、突出部34は凝縮器断熱材30の開口を有する前面側の上部から相対する背面側の上部にかけて直線的に延びる突条としているものである。
【0027】
前記蒸発器断熱材32には、蒸発器配管接続面25以外の一側面の一部を外方に突出した突出部35が一体形成されており、この実施形態では、突出部35は蒸発器断熱材32の開口を有する前面側の下部から相対する背面側の下部にかけて直線的に延びる突条としているものである。
【0028】
ここで、前記凝縮器断熱材30および前記蒸発器断熱材32は、同一の金型で成形された同一形状の断熱材であって、蒸発器断熱材32は、凝縮器断熱材30の上下左右が反転するように、凝縮器断熱材30の開口面に垂直な軸を回転軸として180°回転させた形状となっており、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を隣り合うように配置すると鉤括弧(『』)状となるものである。
【0029】
次に、図4に基づいてヒートポンプユニット1内の凝縮器5および蒸発器7の設置について説明する。
まず、凝縮器5を、凝縮器断熱材30の凝縮器収納部31に嵌め込んで収納すると共に、蒸発器7を、凝縮器断熱材30の上下左右が反転するように180°回転させた状態の蒸発器断熱材32の蒸発器収納部33に嵌め込んで収納する。続いて、凝縮器5を収納した凝縮器断熱材30と蒸発器7を収納した蒸発器断熱材32とを隣り合うように並列に配置するものであるが、この時、凝縮器断熱材30の突出部34は蒸発器断熱材32側に位置させ、蒸発器断熱材32の突出部35は凝縮器断熱材30側に位置させる。
【0030】
そして、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を跨いで一体的にヒートポンプユニット1の筐体に固定するコの字状の固定具36を、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32の上から覆うように被せて、固定具36をビス止めによって筐体に固定するものであるが、凝縮器5を収納した凝縮器断熱材30および蒸発器7を収納した蒸発器断熱材32を隣り合うように配置して、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30の突出部34の突出端が蒸発器断熱材32の上部に当接し密着していると共に、蒸発器断熱材32の突出部35の突出端が凝縮器断熱材30の下部に当接し密着しており、突出部34および突出部35によって凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に空気層37が形成されるものである。
【0031】
このように、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間で断熱材同士の接する部分が突出部34、突出部35のみと少なく、且つ、凝縮器断熱材30の突出部34および蒸発器断熱材32の突出部35によって、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に、熱伝導率が極めて小さい空気層37を形成していることで、暖房運転等の運転状態において、凝縮器5と蒸発器7との間での熱伝導が生じにくくなり、凝縮器5側の熱が蒸発器7側に奪われず、凝縮器5の熱交換効率が低下することがないものである。
【0032】
また、固定具36は、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を跨いで一体的にヒートポンプユニット1の筐体に固定するので、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定のための手間や部品を抑えることができ、コンパクトに設置できるものである。
【0033】
また、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30の突出部34が蒸発器断熱材32を、蒸発器断熱材32の突出部35が凝縮器断熱材30を押す方向に力が作用すると共に、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との双方で形成される外形が直方体状の断熱材の中心に対して、対称的に凝縮器断熱材30の突出部34と蒸発器断熱材32の突出部35とが位置しているので、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32のぐらつきがなく、安定性があり、防振の効果を奏するものである。
【0034】
また、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32は、同一の金型で成形された同一形状の断熱材なので、成形された断熱材を凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32のどちらにも用いることができ、製造コストを安価にでき、さらに、成形された断熱材毎の誤差が極僅か、またはゼロで、突出部34と突出部35の大きさもほぼ等しく、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を隣り合うように配置した時に、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に形成される空気層37の寸法をほぼ設計寸法通りに確保することができ、凝縮器5の熱交換効率が低下することがない寸法の空気層37を確実に確保することができるものである。
【0035】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものでなく、本実施形態では、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32とが互いに隣り合う一側面において、凝縮器断熱材30の突出部34の突出端が蒸発器断熱材32に当接し密着していると共に、蒸発器断熱材32の突出部35の突出端が凝縮器断熱材30に当接し密着しており、突出部34および突出部35によって凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に空気層37を形成するようにしたものであるが、図5(a)に示すように、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との互いに隣り合う一側面において、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との少なくとも一方の断熱材(ここでは、凝縮器断熱材30とする)は、一方の断熱材(凝縮器断熱材30)から他方の断熱材(蒸発器断熱材32)に向かって突出し他方の断熱材(蒸発器断熱材32)に当接する突出部34を有し、突出部34によって、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に空気層37を形成するようにしてもよいものであり、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能である。
【0036】
また、本実施形態では、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30の突出部34の突出端が突出部35以外の蒸発器断熱材32に当接し密着していると共に、蒸発器断熱材32の突出部35の突出端が突出部34以外の凝縮器断熱材30に当接し密着しており、突出部34および突出部35によって凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に空気層37を形成するようにしているが、図5(b)に示すような同一の金型で成形された同一形状の断熱材を凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32とし、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定したときに、凝縮器断熱材30の一部である突出部34と蒸発器断熱材32の一部である突出部35との突出端同士が当接して密着し、突出部34および突出部35によって凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32との間に、空気層37を形成するようにしてもよいものである。
【0037】
また、本実施形態では、突出部34は凝縮器断熱材30の開口を有する前面側上部から相対する背面側上部にかけて直線的に延びる突条とし、突出部35は蒸発器断熱材32の開口を有する前面側下部から相対する背面側下部にかけて直線的に延びる突条としたが、突出部34および突出部35は、突条の中間部分を切り欠いた突出片としてもよいものであり、突出部の形状は本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能である。
【0038】
また、本実施形態では、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32とを左右に並べて隣り合うように配置しているが、凝縮器断熱材30と蒸発器断熱材32とを上下に重ねて隣り合うように配置してもよいものである。
【0039】
また、本実施形態では、固定具36は、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32の上から覆うように被せて、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を一体的に固定するようにしているが、固定具36は、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32の前面側から凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を跨ぐように被せて、固定具36をビス止めして凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を一体的にヒートポンプユニット1の筐体に固定するようにしてもよいものである。
【0040】
また、本実施形態では、凝縮器配管接続面20および蒸発器配管接続面25は断熱材に覆われていないが、凝縮器配管接続面20および蒸発器配管接続面25を覆う蓋体の断熱材を設けてもよいものである。
【0041】
また、本実施形態では、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32を固定具36によって筐体に固定しているが、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32の前後方向のずれを防止するために、凝縮器断熱材30および蒸発器断熱材32の前面側または背面側に補助的に固定具を追加してもよいものである。
【0042】
また、本実施形態では、ヒートポンプ装置として地中熱ヒートポンプ装置を採用したが、それに限定されず、圧縮機4、凝縮器5、減圧器6、蒸発器7を冷媒配管8で環状に接続したヒートポンプ回路9を筐体内に備え、凝縮器5および蒸発器7をプレート式熱交換器で構成したヒートポンプ装置であればよいものである。
【符号の説明】
【0043】
4 圧縮機
5 凝縮器
6 減圧器
7 蒸発器
8 冷媒配管
9 ヒートポンプ回路
30 凝縮器断熱材
32 蒸発器断熱材
34 突出部
35 突出部
36 固定具
37 空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を冷媒配管で環状に接続したヒートポンプ回路を筐体内に備え、前記凝縮器および前記蒸発器をプレート式熱交換器で構成し、前記凝縮器を収納した凝縮器断熱材と、前記蒸発器を収納した蒸発器断熱材とを隣り合うように配置して、前記凝縮器断熱材および前記蒸発器断熱材を跨いで一体的に前記筐体に固定する固定具で固定するようにしたヒートポンプ装置であって、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との互いに隣り合う面において、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との少なくとも一方の断熱材は、一方の断熱材から他方の断熱材に向かって突出し他方の断熱材に当接する突出部を有し、前記突出部によって、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との間に空気層を形成するようにしたことを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記凝縮器断熱材および前記蒸発器断熱材は同一形状の断熱材であって、一方の断熱材を他方の断熱材の上下左右が反転するように180°回転させた状態で、双方の断熱材を隣り合うように配置して、前記突出部によって、前記凝縮器断熱材と前記蒸発器断熱材との間に前記空気層を形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−127551(P2012−127551A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277845(P2010−277845)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)