説明

ヒールサポート付きミッドソールを有する靴

ヒールサポート付きミッドソールを有する靴を開示する。この靴は効率的な靴製造方法およびシステムを利用して容易に生産できるように特別に設計する。各実施形態では靴アッパーをフラット成形プロセスによって設計する。また、各実施形態ではアッパー型材と2重硬度ミッドソール構造体とを結合させることによりヒールサポートを提供し、靴アッパーにおけるヒールカウンターの必要性を排除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年9月26日に出願した米国仮特許出願第61/194,302号(名称:「SHOE HAVING A MIDSOLE WITH HEEL SUPPORT」)の恩典を主張する。
【0002】
本発明は運動靴に関するものである。より詳細には、本発明はヒールサポート付きミッドソールを有する靴に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の靴、特に靴アッパーは比較的多数の3次元構成要素から組み立てられている。構成要素の多さとそれらの3次元性の故に一足の靴を組み立てるのにも多大な労力が必要とされている。靴の製造に要する労力を有意な量だけ軽減することは標準的な靴設計では不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は着用者のヒールサポートを提供するように構成したミッドソールを有する靴に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるミッドソールによれば、アッパーにおけるヒールカウンターを排除または減縮することができ、またさらにはアッパーとミッドソールの取り付けも容易にすることができる。これらの靴設計および/または製造方法は、靴生産に要する専門的な個人労力を軽減するとともに、高度に自動化した製造機器に関連する高額なコストを回避するものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】本発明によるアッパー作製のための初期レイヤリング(層配列)ステップを示す図である。
【図1B】図1Aに示したレイヤリングステップに関連する本発明によるアッパー構成要素の例を示す図である。
【図2】本発明によるアッパー作製のための熱プレスステップを示す図である。
【図3】本発明によるパターン周縁の切り抜きを含むアッパー作製ステップを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による靴のユニボディ構成用に設計したアッパー構成要素の頂面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるミッドソールユニットのフランジに対するアッパー構成要素の取り付けを含むユニボディ靴構成ステップを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるアッパー構成要素のヒール形成およびミッドソールユニットのフランジに対するアッパー構成要素の取り付けを含むユニボディ靴構成ステップを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態によるアッパー構成要素のヒール形成およびミッドソールユニットのフランジに対するアッパー構成要素の取り付けのためのステップを示す図である。
【図8A】本発明の一実施形態による完成したユニボディ構成ランニングシューズの斜視図である。
【図8B】本発明の一実施形態による完成したユニボディ構成ランニングシューズの斜視図である。
【図9A】本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズの一例の側面図である。
【図9B】本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズの一例の側面図である。
【図9C】本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズの一例の側面図である。
【図9D】本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズの一例の側面図である。
【図9E】本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズのミッドソールおよびアウトソールセクションの側面図である。
【図10】本発明の一実施形態による完成したユニボディ構成バスケットボールシューズの側面図である。
【図11A】図10に示したバスケットボールシューズに関連するソールユニットの断面図である。
【図11B】図10に示したバスケットボールシューズに関連するソールユニットの外側側面図である。
【図11C】図10に示したバスケットボールシューズに関連するアウトソールの平面図である。
【図11D】図10に示したバスケットボールシューズに関連するソールユニットの内側側面図である。
【図11E】図10に示したバスケットボールシューズに関連するソールユニットのフォアフット部分の断面図である。
【図11F】図10に示したバスケットボールシューズに関連するソールユニットのミッドフット部分の断面図である。
【図11G】図10に示したバスケットボールシューズに関連するソールユニットのヒール部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明による靴はカスタマイズシューズの効率的な製造を可能にするように設計する。本発明による靴モデルオプションとしては例えばランニングシューズモデルおよびバスケットボールシューズモデルが挙げられるが、本発明による他の靴を構成することもできる。本発明に従って靴のアッパー型材(upper form)をフラット成形構成プロセスによって製造する。このフラット成形構成プロセスは、アッパーパターンをアッパー組み立て期間の大部分にわたって2次元形状に維持し、その後アッパー組み立ての最終段階で3次元型材(three-dimensional form)にステッチング(縫着)、接着、成形または他の方法で貼着するものである。本発明によるヒールサポートを提供するミッドソールを有する靴は、複数のピースから製作される従来のアッパーを利用することもできるが、本明細書に記載する具体例はさらに、構成効率の向上を達成するフラット成形アッパーも含む。フラット成形プロセスは、3次元アッパー型材を組み立てる上で従来必要とされてきた、労力の大きいステッチングのような労力を最小限に抑える。
【0008】
その後、アッパー型材をミッドソール構造体と結合させる。これらの構造体は効率的な靴生産を可能にするように設計する。ユニボディミッドソール構造体は2重硬度ファイロン(dual-hardness phylon)で構成することができ、ヒールサポートを提供するように設計した3次元形状に成形することができる。このユニボディミッドソール設計を用いるとアッパー型材にヒールカウンターを組み込む必要がなくなり、それにより3次元アッパー型材の組み立てに従来必要とされていたプロセス数が減少する。このユニボディミッドソールはアッパー型材の取り付けを可能にする1つまたはそれ以上のフランジも有するように設計する。この1つ(またはそれ以上)のフランジはアッパーを2次元型材から3次元型材に変換するのに役立てることができる。
【0009】
次に図1Aについて説明する。図1Aは、本発明によるアッパー作製のための初期レイヤリング(層配列)ステップ100を示す。ステップ100で、靴アッパー構成要素およびホットメルトフィルム(図示せず)を裁断し、ライニング層105と外部層110の間に配置することができる。ライニング層105と外部層110の間にレイヤリングするアッパー構成要素は、内部フォーム(発泡体)115、117、119と、ライニングフォーム(発泡体)120と、補強ピース125、127、129とを含むことができる。ライニング層105は湿気放出生地を含むことができ、足を直接取り囲む領域から過剰な水分を排除することができる。ライニング層105に適した材料としてはポリエステルおよびリサイクルポリエステルが挙げられる。ライニング層105に適した他の材料は本開示の利益を享受する当業者には容易に理解されるであろう。
【0010】
ステップ100で、図1Aに示したような様々な形状および寸法を有する内部フォーム115、117、119をライニング層105の上に配置することができる。内部フォーム115、117、119は従来の靴設計に従う形状に裁断することができ、カラー、バンプ、クォーターおよびタンを含むことができる。内部フォーム要素115、117、119はアッパーの構造を強化し快適性を高め、ポリウレタンフォームのような材料で形成することができる。
【0011】
ライニングフォーム120はステップ100で内部フォーム115、117、119を覆うようにレイヤリング(層配列)する。ライニングフォーム120はライニング層105と外部層110との間のバリヤを形成し、靴の快適性を高め3次元型材を強化する。本発明の代替的な実施形態では、ライニングフォーム120を成形フォームに置き換えること、または靴アッパー製造で従来使用されている他の補強材に置き換えることができる。
【0012】
ステップ100で、図1Aに示したような様々な形状および寸法を有する補強ピース125、127、129をライニングフォーム120上に配置することができる。補強ピース125、127、129は従来の靴設計に従う形状に裁断することができ、バンプおよびアイステー補強材を含むことができる。外部層110はレイヤリングステップ100で補強ピース125、127、129の上方に配置することができる。外部層110はアッパーの外面を形成し、耐摩耗性および通気性を備えた生地要素を含むことができる。顧客がアッパーの外観をカスタマイズできるようにするために、外部層110は様々な染色、デジタル印刷、エンボス加工および刺繍技術によって変更できる。外部層110に適した材料としては合成皮革およびポリエステルメッシュが挙げられるが、本発明によれば天然材料を含めた他の材料を使用することもできる。外部層110に適した他の材料は本開示の利益を享受する当業者には容易に理解されるであろう。
【0013】
ステップ100で、アッパー構成要素の中でもとりわけホットメルトフィルム(図示せず)をライニング層105と外部層110の間にレイヤリングすることができる。これらのフィルムは熱プレスしたときにライニング層105と外部層110との間のアッパー構成要素を接合するように作用する。ホットメルトフィルムは熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルムのような材料で構成することができる。TPUフィルムはライニング層105および/または外部層110のような他の層の1つまたはそれ以上の側面と一体化させることができる。
【0014】
次に図1Bについて説明する。図1Bは、レイヤリングステップ100に関連する様々なアッパー構成要素の例を示す。これらのアッパー構成要素は全体的に参照符号150で示す。アッパー構成要素150は、従来の靴設計に従う形状に裁断することができ、カラー、バンプ(つま皮)、クォーター(腰皮)およびタンを含むことができる。本発明に関連するユニボディ2重硬度ミッドソールは、アッパー型材におけるヒールカウンター不要にするのに十分なヒールサポートを備えるので、アッパー構成要素150は従来のプラスチック、熱可塑性樹脂、TPUまたはナイロン製のヒールカウンター要素を含まなくてもよい。
【0015】
次に図2について説明する。図2は、本発明によるアッパー作製のための熱プレスステップ200を示す。熱プレスステップ200では、ステップ100で得た各層を共に熱プレスにかけてベース積層アッパー型材(basic laminated upper form)を形成することができる。この型材全体を参照符号205で示す。アッパー型材205はステップ100で得た各層を圧力下で加熱して形成する。アッパー型材の積層に必要となる特定の温度、圧力および時間は処理対象となるアッパー構成要素に応じて変更し得る。例えば、クォーターアッパー構成要素の適切な積層は、25バール(2500kPa)の圧力、135℃で30秒間処理したときに得ることができ、タンアッパー構成要素の適切な積層は、25バール(2500kPa)の圧力、130℃で45秒間処理したときに得ることができる。
【0016】
次に図3について説明する。図3は、本発明によるアッパー作製のための3つ目のステップ300を示す。ステップ300では、ベース積層アッパー型材205のパターン周縁を切り抜いてアッパー構成要素305を形成することができる。ステップ300は任意のタイプの裁断装置、例えば切断ダイスや剪断機等を使用して実行することができる。
【0017】
次に図4について説明する。図4は、本発明の一実施形態による靴のユニボディ構成用に設計したアッパー構成要素の頂面図である。これらのアッパー構成要素は全体的に参照符号400で示す。アッパー構成要素400はタン405とアッパー型材410とを含む。アッパー型材410およびタン405は図1〜図3に示すレイヤリングステップ100、熱プレスステップ200および切り抜きステップ300によって作製することができる。ステップ100、200および300の無縫製技術はアッパー型材410およびタン405のフラット構成を容易にする。タン405をアッパー型材410に取り付けてアッパー構成要素400を作製することができる。この取り付けはステッチング(縫着)、化学接着剤、溶接(RFもしくは超音波)または他の任意の取り付け手法もしくは技術によって実行することができる。アッパー構成要素400はカスタマイズ要件に従って完成させることができる。例えば、アッパー構成要素400は特定の顧客が要望するエンボス加工および印刷意匠(デザイン)をすべて含むことができる。
【0018】
次に図5について説明する。図5は、ユニボディ靴構成ステップ500を示す。このステップは、本発明の一実施形態によるミッドソールユニットのフランジに対するアッパー構成要素の取り付けを含む。ステップ500で、アッパー構成要素400をミッドソールユニット505に整列させることができる。ステップ500で、アッパー構成要素400をミッドソールユニット505のフランジ510に取り付けることができる。例えば、フランジ510に対するアッパー構成要素400の取り付けは、従来の靴製造技術、例えばステッチングもしくは接着またはそれらの組み合わせを使用して行うことができる。取り付けフランジ510はミッドソール505の全周を包囲する、またはミッドソール505の周縁における複数のポイントまたは領域に配置することができる。フランジ510はミッドソールユニット505の他の部分と異なる硬度を有することができる。
【0019】
ミッドソールユニット505の設計は、アッパー構成要素400にヒールカウンターを組み込む必要性を排除する。ミッドソール505の内部ヒール領域507における深さがヒール領域における剛性または半剛性領域を形成し、これによって足を所定の位置に保持することができる。ヒール領域507は、着用時位置において、すなわち着用者が靴を履いているときに着用者の踵の少なくとも一部分を取り囲むように延在させることができる。したがって、ミッドソール505のヒール領域507によってもたらされる構造的支持によりアッパー構成要素400における内部ヒールカウンターの必要性を排除することができる。ヒール領域507は、例えばミッドソールユニット505の残部よりも硬くすることができる。アッパー構成要素400における内部ヒールカウンターが存在しないことにより、従来のようなヒールカウンターの形成に使用するプラスチックまたは他の材料を成形するステップ、成形したプラスチックを冷却してヒールカウンターを硬化させるステップ、および合成皮革のようなアッパー材料の外部層をヒールカウンター上にステッチングするステップが省略される。したがって、ミッドソール505はアッパー形成に通常必要となる労力の大きいステップ、特にヒール形成ステップが少なくなる。
【0020】
次に図6について説明する。図6は、ユニボディ靴構成ステップ600を示す。このステップは、本発明の一実施形態によるアッパー構成要素のヒール形成およびミッドソールユニットのフランジに対するアッパー構成要素の取り付けを含む。ステップ600では、アッパー構成要素605をミッドソールユニット620のフランジ625に取り付けることができる。例えば、フランジ625に対するアッパー構成要素605の取り付けは、接着、ステッチング(縫着)または溶接によって行うことができる。アッパー構成要素605はヒール要素610および615を含む。ヒール要素610および615は方法100、200および300を使用して積層アッパー構成要素605の一部として形成することができる。ステップ600で、ヒール要素610を図6に示すように畳み込んでミッドソール620のフランジ625に取り付けることができる。ヒール形成ステップ600とミッドソールに対するアッパー構成要素の取り付けステップ500とを組み合わせることにより、3次元ヒール構成要素の形成に従来使用されているステッチングの量が減少し、その結果より効率的な靴生産が可能となる。さらに、図6に示したように、ミッドソールユニット620は着用時位置において、すなわち着用者が実際に靴を履いているときに着用者の足のほぼ下側に延在する。着用者の足の下側に延在するミッドソールのこの部分は、ヒール領域を含めたミッドソールの他の部分と異なる硬度を有することができる。例えば、着用者の足の下側に延在するミッドソール部分の硬度を、ヒール領域の硬度よりも低くすることができ、逆も同様に可能である。次に図7について説明する。図7は、本発明の一実施形態によるアッパー構成要素のヒール形成およびミッドソールユニットのフランジに対するアッパー構成要素の取り付けのための他のステップ700を示す。ステップ700では、アッパー構成要素をミッドソール要素720(例えばミッドソールベッド領域)に取り付ける。アッパー構成要素705はヒール要素710および715を含み、ヒール要素710は図6に示した場合と同様にソールユニット720に取り付けてある。ステップ700で、ヒール要素715を図7に示すようにヒール要素710上に折り重ねる。ヒール要素715はヒール要素710およびソールユニット720に取り付けることができる。この取り付けはステッチング、接着または溶接によって行うことができる。本開示の利益を享受する当業者であればアッパー構成要素705をミッドソール要素720に取り付ける他の方法が容易に理解できるであろう。
【0021】
次に図8Aについて説明する。図8Aは、本発明の一実施形態による完成したユニボディ構成ランニングシューズの斜視図である。このランニングシューズは全体的に参照符号800で示す。ランニングシューズ800はソールユニット810に取り付けたアッパー805を含む。ソールユニット810はアウトソール820に取り付けたミッドソール815で構成する。アウトソール820は、アッパー側とは反対側でミッドソールに貼着することができる。
【0022】
図6〜図8Aには、図6のヒール要素610および615として明示したように一方のヒール要素を他方のヒール要素に(例えば第1のヒール要素を第2のヒール要素に)巻き付けるアッパー805を示したが、図8Bには、2つのヒール要素を互いに共面整列構成(flush)とすることにより、ステッチングまたは他の方法を利用してこれら2つのヒール要素を互いに固定することを可能にする一実施形態を示す。この状況を参照符号865で示す。ランニングシューズ850はソールユニット860に取り付けたアッパー855を含む。ソールユニット860は、アウトソール875に取り付けたミッドソール870で構成する。
【0023】
次に図9A〜図9Dについて説明する。図9A〜図9Dは、それぞれ本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズの4つの側面図である。各ランニングシューズは全体的に参照符号900、910、920および930で示す。図9A〜図9Dはそれぞれ本発明に従って利用可能な異なるオプションを示す。例えば、靴は図9Aに示したような標準的なグラフィックデザインを含むことも図9Bに示したような大学チームのデザインで装飾することもできる。
【0024】
次に図9Eについて説明する。図9Eは、本発明の一実施形態によるユニボディランニングシューズのミッドソールおよびアウトソールセクションの側面図である。これらのセクションは全体的に950で示す。ソールユニット950はミッドソール955とアウトソール970とを含む。ミッドソール955は硬質層960および軟質層965で構成する。ミッドソール955に適した材料としては2重硬度ファイロンを挙げることができるが、他の材料をミッドソール1010に使用することもできる。アウトソール970に適した材料としてはカーボンラバーまたはブローンラバー(blown rubber)を挙げることができるが、他の材料をアウトソール970に使用することもできる。ミッドソール955の2層構造はミッドソールのバリエーションを可能にする。例えば、ミッドソール955は青色の硬質層960(例えば上側ミッドソール部分)と、白色の軟質層965(例えば下側ミッドソール部分)とを有することができる。ミッドソール955の色に加えて、特定の靴設計または靴タイプに応じて異なるミッドソールの硬度を変更して性能を向上させることもできる。例えば、ランニングシューズは緩衝(クッション)性を高めるためにより軟らかいミッドソールが必要とされるが、バスケットボールシューズは安定性をもたらすためにより硬くすることができる。
【0025】
様々な図面、特に図9Aに示した靴と同様の靴を製造するには、それだけに限らないが、上側ミッドソール部分を下側ミッドソール部分に固定するステップを含めた複数のステップが必要となる。上述のとおり、これらの異なる部分は互いに異なる硬度を有することができ、各硬度は靴タイプ、靴設計、性能問題等の相違点(variance)を考慮に入れて定めることができ、これらの相違点はすべて靴の購入者がカスタマイズすることができる。その後でアッパー構成要素をミッドソール構成要素に整列させることができる。アッパー構成要素は、1つまたはそれ以上のヒール要素(例えば第1のヒール要素および第2のヒール要素)を含むことができ、ミッドソール構成要素は、上述したように着用者の踵の少なくとも一部分を取り囲むように延在するヒール領域を有することができる。その後、アッパー構成要素をミッドソール構成要素に貼着することができ、ヒール要素を互いに固定することができる。これらのヒール要素はヒール領域の少なくとも一部分を覆うことができる。一実施形態では、一方のヒール要素を他方のヒール要素に巻き付けるまたは重ねる。別の実施形態において、2つのヒール要素は靴のヒールの中央で出会い、したがって第2のヒール要素は第1のヒール要素と重ならず、これらのヒール要素は互いにステッチングまたは他の方法で固定する。本実施形態では、ヒール要素を図8Bの参照符号865で示したように互いに共面整列構成とする。
【0026】
次に図10について説明する。図10は、本発明の一実施形態による完成したユニボディ構成バスケットボールシューズの側面図である。このバスケットボールシューズは全体的に参照符号1000で示す。バスケットボールシューズ1000はアッパー1030に取り付けたソールユニット1005を含むことができる。ソールユニット1005はミッドソール1010およびアウトソール1025を含むことができ、ミッドソール1010は第1の層1015および第2の層1020で構成することができる。ミッドソール1010は2重硬度ファイロンを使用して形成することができるが、他の材料をミッドソール1010に使用することもできる。アッパー1030はソール1005に取り付けることができる。この取り付けは、図10に示したステッチングまたは接着によって行うことができる。アッパー1030はタン1035およびカラー締め付け要素1040を含む。カラー締め付け要素1040はアッパー1030を足に固定する。
【0027】
次に図11B〜図11Dについて説明する。図11B〜図11Dの3つの図面は、それぞれ本発明の一実施形態による図10に示したユニボディバスケットボールシューズに関連するソールユニット1100を示す。ソールユニット1100はアウトソール1105およびミッドソール1110を含み、ミッドソール1010は第1の層1115および第2の層1120で構成する。第2の層は着用時位置において第1のミッドソール層の下側に位置させることができる。ミッドソール1110は複数個の予形成ファイロンビスケットを熱処理することによって形成することができる。複数個のビスケットは射出プロセスにおいて形成することができる。この射出プロセスは、ファイロンペレットを溶融するまで加熱するステップと、それらのファイロンペレットを射出成形型に入れたプリフォーム(pre-form)(例えば成形キャビティ)に射出するステップとを有する。典型的には、複数個のビスケットは少なくとも第1の密度を有する第1のビスケットおよび第2の密度を有する第2のビスケット、すなわち第1の色および第2の色を含む。本方法はさらに、ビスケットを熱プレス機の受け取り領域(例えば成形キャビティ)内に収容するステップと、熱プレス機を作動させることにより複数のビスケットを一体化させてミッドソールを形成するステップとを有することができる。したがって、ミッドソール層1115は第2のミッドソール層1120と異なる硬度および/または色を有することができる。例えば、図11A〜図11Gに示したように、ミッドソール層1115は軟質の射出ファイロンで構成し、ミッドソール層1120は硬質の射出ファイロンで構成する。
【0028】
次に図11Aおよび図11E〜図11Gについて説明する。図11Aおよび図11E〜図11Gの4つの図面は、それぞれ本発明の一実施形態による図10に示したユニボディバスケットボールシューズに関連するソールユニットの断面図である。ソールユニットのフォアフット1125、ミッドフット1130およびヒール1135の各領域における2重密度ファイロン層1115および1120の分布を図11E〜図11Gに示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の注文に合わせてカスタマイズされた靴を製造するシステムを容易化するように設計した靴であり、アッパーと、前記アッパーに貼着するミッドソールであって、着用時位置において着用者の踵の少なくとも一部分を取り囲むように延在して第1の硬度を有するヒール領域、および着用時位置において着用者の足のほぼ下側に延在し第2の硬度を有するミッドソールベッド領域を有するミッドソールと、前記アッパー側とは反対側で前記ミッドソールに貼着したアウトソールとを備えることを特徴とする靴。
【請求項2】
請求項1に記載の靴であり、前記アッパーは、フラット成形プロセスによって製造し、前記フラット成形プロセスは前記アッパーの製造中に前記アッパーを2次元形状に維持することを特徴とする靴。
【請求項3】
請求項1に記載の靴であり、前記ヒール領域の硬度は、前記ミッドソールベッド領域の硬度よりも高いことを特徴とする靴。
【請求項4】
請求項1に記載の靴であり、前記アッパーは、第1のヒール要素と、前記第1のヒール要素に巻き付けて所定の位置に固定する第2のヒール要素とを含むことを特徴とする靴。
【請求項5】
請求項1に記載の靴であり、前記ミッドソールベッド領域の硬度は、靴タイプに依存することを特徴とする靴。
【請求項6】
請求項1に記載の靴であり、前記ミッドソールベッド領域は、複数個の予形成ファイロンビスケットを熱処理することによって形成されることを特徴とする靴。
【請求項7】
請求項1に記載の靴であり、前記ミッドソールベッド領域は、第1の硬度を有する上側ミッドソール部分および第2の硬度を有する下側ミッドソール部分で構成し、前記上側ミッドソール部分および前記下側ミッドソール部分を貼着することを特徴とする靴。
【請求項8】
ヒールサポート付きミッドソールを有する靴であり、第1の硬度を有する上側ミッドソール部分を第2の硬度を有する下側ミッドソール部分に固定するステップと、第1のヒール要素および第2のヒール要素を有するアッパー構成要素を、前記上側ミッドソール部分および前記下側ミッドソール部分ならびに着用者の踵の少なくとも一部分を取り囲むように延在するヒール領域を有するミッドソール構成要素に整列させるステップと、前記アッパー構成要素を前記ミッドソール構成要素に貼着するステップと、前記第1のヒール要素を前記第2のヒール要素に固定し、前記第1のヒール要素および前記第2のヒール要素が前記ヒール領域の少なくとも一部分を覆うようにするステップとを有する方法によって製造されることを特徴とする靴。
【請求項9】
請求項8に記載の靴であり、前記ミッドソール構成要素は、前記ミッドソール構成要素に固定されたフランジによって前記アッパー構成要素に貼着することを特徴とする靴。
【請求項10】
請求項9に記載の靴であり、前記フランジは、前記ミッドソール構成要素の周縁を少なくとも部分的に取り囲むように延在することを特徴とする靴。
【請求項11】
請求項9に記載の靴であり、前記フランジは、前記ミッドソール構成要素の他の部分と異なる硬度を有することを特徴とする靴。
【請求項12】
請求項8に記載の靴であり、前記ヒール領域は、前記ミッドソール構成要素の他の部分よりも高い硬度を有することを特徴とする靴。
【請求項13】
請求項8に記載の靴であり、前記第1のヒール要素は、前記第2のヒール要素の少なくとも一部分と重なり合うことを特徴とする靴。
【請求項14】
請求項8に記載の靴であり、前記第1のヒール要素および前記第2のヒール要素は互いに重ならず、したがって共面整列構成となり、1つまたはそれ以上のステッチングによって固定することを特徴とする靴。
【請求項15】
請求項8に記載の靴であり、前記ミッドソール構成要素は、2重硬度ファイロンで作製されることを特徴とする靴。
【請求項16】
請求項8に記載の靴であり、前記方法は、さらに前記ミッドソール構成要素をアウトソール構成要素に固定するステップを有することを特徴とする靴。
【請求項17】
顧客の注文に合わせてカスタマイズされた靴を製造するシステムを容易にするように設計した靴であり、前記靴はアッパーに貼着したミッドソールを備え、前記ミッドソールは、着用時位置において着用者の踵の少なくとも一部分を取り囲むように延在するヒール領域を含む第1のミッドソール層と、前記第1のミッドソール層に貼着し、かつ着用時位置において前記第1のミッドソール層の下側に位置する第2のミッドソール層と、前記第1のミッドソール層における周縁の少なくとも一部分を覆い、かつ着用時位置において前記第1のミッドソール層の上側に位置する取り付けフランジとを備えることを特徴とする靴。
【請求項18】
請求項17に記載の靴であり、前記第1のミッドソール層は第1の硬度を有し、前記第2のミッドソール層は第2の硬度を有することを特徴とする靴。
【請求項19】
請求項17に記載の靴であり、前記ヒール領域の硬度は前記ミッドソールにおける他の領域の硬度よりも高いことを特徴とする靴。
【請求項20】
請求項17に記載の靴であり、前記アッパーは、接着、ステッチングまたは溶接のうちの1つまたはそれ以上によって前記取り付けフランジに貼着することを特徴とする靴。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B−11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【公表番号】特表2012−504025(P2012−504025A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529321(P2011−529321)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058624
【国際公開番号】WO2010/037033
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】