説明

ビアリール置換4−アミノ酪酸またはその誘導体の製造方法およびNEP阻害剤の製造におけるそれらの使用

本発明は、式(i)
【化1】


〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩の製造方法であって、式(ii)
【化2】


〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩と水素を、遷移金属触媒およびキラル配位子の存在下で反応させることを含み、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される、方法に関する。さらに、本発明は、該方法により得ることができる生成物およびNEP阻害剤の製造におけるそれらの使用に関する。さらに、本発明は、NEP阻害剤またはそのプロドラッグの製造における遷移金属触媒の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(i)
【化1】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩の製造方法であって、式(ii)
【化2】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩と水素を、遷移金属触媒およびキラル配位子の存在下で反応させることを含み、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される、方法を提供する。
【0002】
さらに、本発明は該方法により得ることができる生成物およびNEP阻害剤の製造におけるそれらの使用に関する。さらに、本発明は、NEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤の製造における遷移金属触媒の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
心房性ナトリウム利尿因子(ANF)とも呼ばれる内因性心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、哺乳動物において利尿性、ナトリウム利尿性および血管弛緩性機能を有する。天然ANFペプチドは、特に、例えばエンケファリンの代謝性不活性化も担う酵素中性エンドペプチダーゼ(NEP, EC 3.4.24.11)に相当すると認識されている酵素による分解により、代謝的に不活性となる。
【0004】
当分野では、ビアリール置換ホスホン酸誘導体が、哺乳動物における中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤として、例えばANF分解酵素の阻害剤として有用であり、従って、活性の低い代謝物へのそれらの分解を阻害することにより、哺乳動物におけるANFの利尿性、ナトリウム利尿性および血管拡張剤特性を延長および増強することが知られている。NEP阻害剤は、それ故に、特に中性エンドペプチダーゼ(EC 3.4.24.11)の阻害に応答する状態および障害、特に心血管障害、例えば高血圧、浮腫および塩貯留を含む腎機能不全、肺浮腫および鬱血性心不全の処置に有用である。
【0005】
NEP阻害剤の製造方法は既知である。これらの方法は、通常、炭素上のパラジウム触媒を用いる水素化工程を含む:
US5217996は、哺乳動物における中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えばANF分解酵素の阻害剤として有用な、ビアリール置換4−アミノ−酪酸アミド誘導体を記載する。US5217996は、好ましい態様としてN−(3−カルボキシル−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルを記載する。該化合物の製造において、N−t−ブトキシカルボニル−(4R)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2−メチル−2−ブテン酸エチルエステル1(ii−a)(4.2g)を、パラジウム/炭の存在下で水素化して、N−t−ブトキシカルボニル−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2−メチルブタン酸エチルエステルをジアステレオマー1(i−a):1(i−b)の80:20混合物として得る。
【化3】

【0006】
US5250522は、NEP阻害活性を示すホスホノメチル−ビアリール置換アミノ酸誘導体を記載する。好ましい態様は、(S)−5−(ビフェニル−4−イル)−4−[(ジメチルホスホノメチル)−アミノ]−2−ペンテン酸エチルエステルである。該NEP阻害剤の製造の中間工程において、(S)−4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ビフェニル−4−イル)−ペンテン酸エチルエステルを、炭素上のパラジウム触媒で水素化して、(S)−4−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ビフェニル−4−イル)−ペンタン酸エチルエステルを得る。
【0007】
数種のジカルボン酸ジペプチド中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤が、G.M. Kasander et al., J. Med. Chem. 1995, 38, 1689-1700, “Dicarboxylic Acid Dipeptide Neutral Endopeptidase Inhibitors”に記載されている。該阻害剤の製造において、パラジウム触媒水素化が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
NEP阻害剤またはそのプロドラッグの製造の方法における別の水素化工程を提供するのが本発明の目的であり、特にNEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤の製造における中間体として使用できる、式(i)の化合物またはその塩の製造のための別の方法を提供することが本発明の目的であった。
不均一系の担体の使用を避けることができることも本発明の目的であった。
【0009】
好ましくは88:12を超える高いジアステレオマー比を有する、R1、R1'およびR2が上記で定義の通りである式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩の製造方法を提供することもさらなる目的であった。
【化4】

【0010】
式(i−a)の化合物またはその塩の、式(i−b)の化合物またはその塩に対する高い;好ましくは88:12より高い;より好ましくは90:10より高いジアステレオマー比を得るための方法を提供することもなおさらに目的であった。式(i−b)の化合物またはその塩を完全に無くすことができ、式(i−a)の化合物またはその塩を純粋な形態で提供できる方法を提供することも目的であった。
【0011】
式(i−b)の化合物またはその塩の、式(i−a)の化合物またはその塩に対する88:12より高い、好ましくは90:10より高いジアステレオマー比を得るための方法を提供することがなおさらなる目的であった。式(i−a)の化合物またはその塩を完全に無くすことができ、式(i−b)の化合物またはその塩を純粋な形態で提供できる方法を提供することも目的であった。
【0012】
高い、好ましくは88:12を超えるジアステレオマー比を有する、R1、R1'およびR2が上記で定義の通りである式(i−c)および(i−d)の化合物またはその塩の製造方法を提供することもなおさらなる目的であった。
【化5】

【0013】
式(i−c)の化合物またはその塩の式(i−d)の化合物またはその塩に対する、高い、好ましくは90:10より高いジアステレオマー比を得るための方法を提供することもさらなる目的であった。式(i−c)の化合物またはその塩を完全に無くすことができ、式(i−d)の化合物またはその塩を純粋な形態で提供できる方法を提供することも目的であった。
【0014】
NEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を有するNEP阻害剤を製造するための方法における水素化工程を提供することも他の目的であり、ここで、該水素化工程は、好ましくは高収率を有し、好ましくは高純度の生成物、好ましくは88:12より高いジアステレオマー比の生成物に至る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、NEP阻害剤、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤の製造中の水素化工程において、特異的触媒および特異的キラル配位子を使用することにより達成できる。好ましくは、特異的触媒および特異的キラル配位子を、式(ii)の化合物またはその塩の水素化反応、特に式(ii−a)
【化6】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩の水素化反応において使用する。
【0016】
さらなる態様において、特異的触媒および特異的キラル配位子を、式(ii−b)
【化7】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩の水素化反応において使用する。
【0017】
それ故、本発明の主題は、式(i)
【化8】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩の製造方法であって、式(ii)
【化9】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩と水素を、遷移金属触媒およびキラル配位子の存在下で反応させることを含み、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される、方法を提供する。
【0018】
式(i)および(ii)において、記号
【化10】

は共有結合を意味し、ここで、本結合の立体化学は、このようなキラル中心の(S)配置としてまたは(R)配置として決定される。
【0019】
その結果、式(ii)の化合物またはその塩はキラル化合物であり、式(ii−a)の化合物またはその塩、または式(ii−b)の化合物またはその塩と呼ぶ。
従って、式(i)の化合物またはその塩はキラル化合物であり、式(i−a)、(i−b)、(i−c)および(i−d)の化合物またはその塩と呼ぶ。
【0020】
本発明は、式(ii)の化合物を、遷移金属触媒およびキラル配位子の存在下水素でジアステレオ選択的に水素化する方法に関する。式(ii)の出発物質はキラルであり、それ故、基質および配位子両方のキラリティーが、“重複ジアステレオ分化(double diastereodifferentiation)”、(“マッチ”および“ミスマッチ”重複不斉誘導)と呼ばれる現象においてジアステレオ(diasteo)選択性に影響する。
【0021】
何らかの他のキラル要素の不存在下での式(ii)のキラル化合物の水素化において観察される面選択性の程度は、基質コントロールの程度である。
【0022】
基質の面選択性が配位子の面選択性とマッチするならば(“マッチ”重複不斉誘導)、遷移金属触媒およびキラル配位子存在下での水素による水素化のジアステレオ選択性は増加することが期待される。しかし、基質の面選択性が配位子の面選択性とマッチしないならば(“ミスマッチ”重複不斉誘導)、高ジアステレオ選択性は期待されない。
【0023】
本発明の方法を用いることにより、式(ii)の化合物の水素化が、基質コントロールの程度とは無関係に、高ジアステレオ選択性で達成できることが、本発明により発見された。それ故、基質コントロールの程度が高くても(例えば80対20までのジアステレオマー比)、本発明の方法は、任意の可能なジアステレオマー生成物を高ジアステレオ選択性で得る手段を提供する。それ故、有利に、本発明は、式(ii)の出発化合物の立体化学とは無関係に、式(ii)の化合物の立体制御された水素化を可能にする。ここに記載の方法は、それ故、高ジアステレオマー過剰で、(i−a)、(i−b)、(i−c)および(i−d)の何れかを提供できる。従って、本発明の方法を用いることにより、式(ii−a)の化合物の水素化は、(i−a)および(i−b)の両方を、高ジアステレオマー過剰で導くことができる。同様に、式(ii−b)の化合物の水素化は、(i−c)および(i−d)の両方を、高ジアステレオマー過剰で導くことができる。
【0024】
式(i)の化合物は、γ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸骨格を有する。N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸のような、γ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸骨格を有する既知NEP阻害剤が存在する。それ故、本発明は、NEP阻害剤の製造に向けた、新規不斉アプローチを提供する。より重要なことに、このアプローチは高立体選択性で進行する。
【0025】
式(i)および(ii)において、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基である。
R1がアミン保護基であるのが好ましい。R1'が水素であるのがさらに好ましい。これは、好ましい態様において、R1が以下に記載する好ましいアミン保護基の一つであり、そしてR1'が水素であることを意味する。あるいは、R1およびR1'は、一体となって環状構造を形成できる(そしてそれ故二官能性環状アミン保護基を形成する)。
【0026】
用語“アミン保護基”は、可逆性にアミノ官能基を保護できる全ての基を含む。適当なアミン保護基は、ペプチド化学において慣習的に使用されており、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Fourth edition, Wiley, New York 2007、“The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981および“Methoden der organischen Chemie” (Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974のような標準参考書に記載されている。
【0027】
好ましい保護基は、例えば、フェニルで一、二または三置換されたC−C−アルキル、例えばベンジル、(または)ベンズヒドリルまたはトリチルを含み、ここで、該フェニル環は、非置換であるか、または1個以上、例えば2個または3個の、例えばC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、およびCF;フェニル−C1−C2−アルコキシカルボニル;およびアリルまたはシンナミルから成る群から選択される残基で置換されている。とりわけ好ましいのは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシメチル(BOM)、ピバロイル−オキシ−メチル(POM)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)であるが、ベンジル、クミル、ベンズヒドリル、トリチル、アリル、C1−10アルケニルオキシカルボニル、例えばalloc(アリルオキシカルボニル)であってもよい。本保護基はまたシリル、例えばトリアルキル(alkly)シリル、とりわけトリメチルシリル、tert−ブチル−ジメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメチルシリル(sily)エトキシメチル(SEM)であってもよく、そしてまたスルホニル、例えばメタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニルおよびベンジルスルホニル、またはスルフェニル、例えばベンゼンスルフェニルであってもよい。
【0028】
R1および/またはR1'はまた、スクシンイミジル基またはアセタール基でもあり得る。
R1および/またはR1'の例は、さらに、C1−10アルケニルオキシカルボニル、C6−10アリール−C1−6アルキル、およびC1−6アルキル−カルボニル、C6−10アリール−カルボニル、C1−6アルコキシ−カルボニル、およびC6−10アリール−C1−6アルコキシカルボニルを含む。好ましい態様において、R1はC6−10アリール−C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシ−カルボニル、アリルオキシカルボニルまたはC6−10アリール−C1−6アルキル、例えばベンジル、t−ブトキシカルボニル(BOC)である。
【0029】
特に好ましい態様において、R1はt−ブトキシカルボニル(BOC)である。R1がt−ブトキシカルボニル(BOC)であり、そしてR1'が水素であるのがより好ましい。
他の特に好ましい態様において、R1および/またはR1'は、独立して水素であるか、またはベンジル基、スクシンイミジル(succinimdyl)基、アセタール基、シリル基またはオキシカルボニル基から選択される。
【0030】
さらに別の特に好ましい態様において、R1および/またはR1'は、独立して水素であるか、またはC6−10アリールで一、二または三置換されたC1−6アルキルから成る群から選択されるアミン保護基であり、ここで、該アリール環は、非置換であるか、またはC1−7アルキル、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノおよびCF;C6−10アリール−C1−6アルキル、クミル、フェニル−C1−C2−アルコキシカルボニル、アリル、シンナミル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシメチル(BOM)、ピバロイルオキシメチル(POM)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、C1−10アルケニルオキシカルボニル、シリル、スルホニル、スルフェニル、スクシンイミジル、C2−6アルカノイル、C6−10アリール−カルボニル、C1−6アルコキシ−カルボニルおよびC6−10アリール−C1−6アルコキシカルボニルからなる群から選択される1個、2個または3個の残基で置換されている。
【0031】
式(i)および(ii)において、用語“エステル基”は、当分野で既知の全てのカルボキシル基のエステルを含む;例えば基−COOR3であり、ここで、R3は:C1−6アルキル、例えばメチル、エチルまたはt−ブチル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、ヘテロシクリル、例えばテトラヒドロフラニル、C6−10アリールオキシC1−6アルキル、例えばベンジルオキシメチル(BOM)、シリル、例えばトリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、シンナミル、アリル、C1−6アルキル(これはハロゲン、シリル、シアノまたはC1−6アリールで一、二または三置換されており、ここで、該アリール環は非置換であるか、またはC1−7アルキル、C1−7アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノおよびCFから成る群から選択される1個、2個または3個の残基で置換されている);または9−フルオレニルで置換されたC1−2アルキル置換である。
【0032】
好ましい態様において、R2は−COOR3であり、ここで、R3はCアルキル残基である。特に、R3はエチル基である。
特に好ましい態様においてR2はCOOHである。
【0033】
さらに、好ましい態様においてR1はt−ブトキシカルボニルである。他の好ましい態様において、R1はt−ブトキシカルボニルである。両方の好ましい態様において、R1'は好ましくは水素である。
【0034】
R1、R1'およびR2についての上記の定義は、また式(i−a)、(i−b)、(i−c)、(i−d)、(ii−a)および(ii−b)に適用される。
【0035】
式(ii)の化合物またはその塩と水素の反応は、遷移金属触媒の存在下で行い、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される。それ故、本遷移金属触媒は、例えば、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)および/またはイリジウム(Ir)を含む。
【0036】
好ましい態様において、本遷移金属触媒はロジウム、イリジウムまたはルテニウムを含む。より好ましい態様において、本遷移金属触媒はロジウムまたはルテニウムを含む。特定の好ましい態様において、本遷移金属触媒はルテニウムを含む。
【0037】
一般に、本遷移金属触媒は、上記の金属原子の1個以上および適当な配位子を含む、有機金属錯体である。
【0038】
本有機金属錯体に適当な配位子は、一般にσ−ドナー配位子、σ−ドナー/π−アクセプター配位子またはσ,π−ドナー/π−アクセプター配位子である。適当な配位子の種類は、とりわけ、一酸化炭素、ハライド、ホスフィン、アルケニル、アルキニル、アリールおよびこれらの混合物である。
【0039】
本有機金属錯体のための好ましい配位子は:ノルボルナジエン(nbd)、シクロオクタジエン(cod)、シメン、特にp−シメン、およびアイオダイドである。
【0040】
本錯体は、一遷移金属を含み得る。好ましい態様において、本錯体は2個以上の遷移金属を含んでよく、所望により金属−金属結合を含む。好ましい態様において、2個の金属原子が2個のハライドを介して架橋している。
【0041】
好ましい遷移金属触媒の例は、[RuI(p−シメン)]、[Rh(nbd)BF]および[Ir(cod)Cl]である。より好ましいのは、[RuI(p−シメン)]および[Rh(nbd)BF]である。
【0042】
特に好ましい遷移金属触媒は[Rh(nbd)BF]{=ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート}である。
【0043】
他の特に好ましい遷移金属触媒は、[RuI(p−シメン)](=ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体):
【化11】

である。
【0044】
一般に、用語“キラル配位子”は、有機金属錯体を構築するのに適当であり、キラル中心を含む全ての配位子を含む。
好ましい態様において、キラル配位子はキラルホスフィンを含む。
【0045】
キラル配位子がキラルフェロセンを含むのがさらに好ましい。キラル配位子が、フェロセンのCp−配位子がキラル基で置換されているフェロセン構造を含むのもまた好ましい。
【0046】
好ましい態様において、本キラル配位子はJosiphos配位子、Walphos配位子、Taniaphos配位子、Solphos配位子、Mandyphos配位子、Butiphane配位子またはこれらの混合物から選択される。Josiphos配位子、Walphos配位子、Taniaphos配位子およびMandyphos配位子は、以下の式のものである:
Josiphos
【化12】

Walphos
【化13】

Taniaphos
【化14】

Solphos
【化15】

Mandyphos
【化16】

〔式中、RおよびR'は、WO2006/003196、EP−B1−612758、WO2006/017045、WO2006/117369および特にここの実施例に示す通りである。〕。
【0047】
適当なキラル配位子の例は、以下の通りである:
Mandyphos構造を有するキラル配位子:
SL-M001-1:
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(別名(R)−(S)−NMe2−PPh2−Mandyphos)
【化17】

【0048】
SL-M004-1:
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(別名(R)−(S)−NMe2−P(3,5−Me−4−MeOPh)2−Mandyphos)
【化18】

【0049】
SL-M004-2:
(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(別名(S)−(R)−NMe2−P(3,5−Me−4−MeOPh)2−Mandyphos)
【化19】

【0050】
Josiphos構造を有するキラル配位子:
【化20】

【化21】

【0051】
Walphos構造を有するキラル配位子:
【化22】

【0052】
さらなる適当なキラル配位子の例は、以下である:
【化23】

【化24】

【0053】
配位子(S)-C4-TunaPhosの製造はJ. Org. Chem., 2000, 65, 6223(実施例4)に記載されている。配位子(R)−(+)−BINAPはAldrichのような商業的供給源から購入できる。他の全ての上記配位子(Mandyphos、Josiphos、Walphos、Solphosなど)は、Solvias AG(Basel, Switzerland)から市販されている。
【0054】
好ましいキラル配位子は:
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(=Mandyphos SL-M001-1)、
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-1)、
(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-2)、
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン(=SL-M002-1)、
(R)−N,N'−ジメチル−7,7'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3,3',4,4'−テトラヒドロ−8,8'−ビ−2H−1,4−ベンゾオキサジン(=Solphos SL-A001-1)、
(R)−1−[(S)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]−エチルジシクロヘキシルホスフィン(=SL-J003-1)、
(R)−1−[(S)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン(=SL-J009-1)、
(S)−1−[(S)−2−(2'−ジフェニルホスフィノフェニル)フェロセニル]エチルジ(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン(=SL-W001-2)、
(R)−1−[(R)−2−(2'−ジフェニルホスフィノフェニル)フェロセニル]−エチルジシクロヘキシルホスフィン(=SL-W003-1)、
(R)−1−[(S)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン(=Josiphos SL-J002-1)および/または
(R)−1−[(R)−2−(2'−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)フェロセニル]エチルジ(ビス−(3,5−トリフルオロメチル)フェニル)−ホスフィン(=Walphos SL-W008-1)
である。
【0055】
より好ましいキラル配位子は:
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(=Mandyphos SL-M001-1)、
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-1)、
(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-2)、
(R)−1−[(S)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン(=Josiphos SL-J002-1)および/または
(R)−1−[(R)−2−(2'−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)フェロセニル]エチルジ(ビス−(3,5−トリフルオロメチル)フェニル)−ホスフィン(=Walphos SL-W008-1)
である。
【0056】
よりさらに好ましいキラル配位子は:
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(=Mandyphos SL-M001-1)、
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-1)および/または
(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-2)
である。
【0057】
最も好ましいキラル配位子は:
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(=Mandyphos SL-M001-1)および/または
(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-1)である。
【0058】
キラル配位子としてとりわけ好ましいのは、(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-1)である。
【0059】
一つの態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ロジウム触媒とMandyphos、Walphos、JosiphosまたはSolphos配位子;より好ましくはRh(nbd)BFとMandyphos、Walphos、JosiphosまたはSolphos配位子;さらに好ましくはロジウム触媒とMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1、Walphos SL-W008-1またはSolphos SL-A001-1;なおさらに好ましくはRh(nbd)BFとMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1、Walphos SL-W008-1またはSolphos SL-A001-1である。
【0060】
他の態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ロジウム触媒とWalphos SL-W008-1;さらに好ましくはRh(nbd)BFとWalphos SL-W008-1。遷移金属触媒とキラル配位子のこれらの組合せを使用するとき、式(ii−a)の化合物またはその塩を反応させることにより、(i−a)対(i−b)のモル比が少なくとも88:12である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造される。
【0061】
他の態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ロジウム触媒およびMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1またはSolphos SL-A001-1;さらに好ましくはRh(nbd)BFおよびMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1またはSolphos SL-A001-1。遷移金属触媒とキラル配位子のこれらの組合せを使用するとき、式(ii−a)の化合物またはその塩を反応させることにより、(i−b)対(i−a)のモル比が少なくとも65:35、より好ましくは少なくとも73:27である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造される。
【0062】
他の態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ロジウム触媒とMandyphosまたはWalphos配位子;より好ましくは[Rh(nbd)BF]とMandyphosまたはWalphos配位子ならびにロジウム触媒とSL-M004-2またはSL-W008-1;最も好ましくは[Rh(nbd)BF]およびSL-M004-2または[Rh(nbd)BF]とSL-W008-1。
【0063】
さらなる態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ルテニウム触媒とMandyphosまたはJosiphos配位子;より好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphosまたはJosiphos配位子;さらに好ましくはルテニウム触媒とSL-M001-1、SL-M002-1、SL-M004-1、SL-M004-2またはSL-J002-1;さらに好ましくは[RuI(p−シメン)]とSL-M001-1、SL-M002-1、SL-M004-1、SL-M004-2またはSL-J002-1。
【0064】
他の態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ルテニウム触媒およびMandyphos SL-M004-2またはSL-M002-1;好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphos SL-M004-2またはSL-M002-1。遷移金属触媒とキラル配位子のこれらの組合せを使用するとき、式(ii−a)の化合物またはその塩を反応させることにより、(i−b)対(i−a)のモル比が少なくとも65:35、より好ましくは少なくとも73:27、最も好ましくは少なくとも94:6である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造される。
【0065】
さらに別の好ましい態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の組合せは:ルテニウム触媒とMandyphos SL-M001-1、Mandyphos SL-M004-1またはJosiphos SL-J002-1;好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphos SL-M001-1、Mandyphos SL-M004-1またはJosiphos SL-J002-1である。遷移金属触媒とキラル配位子のこれらの組合せを使用するとき、式(ii−a)の化合物またはその塩を反応させることにより、(i−a)対(i−b)のモル比が少なくとも88:12、より好ましくは少なくとも98:2である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造される。
【0066】
なお別の好ましい態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の組合せは:ルテニウム触媒とMandyphos SL-M004-1;好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphos SL-M004-1である。遷移金属触媒とキラル配位子のこれらの組合せを使用するとき、式(ii−b)の化合物またはその塩を反応させることにより、(i−c)対(i−d)のモル比が少なくとも88:12、より好ましくは少なくとも92:8である式(i−c)および(i−d)の化合物またはその塩を含む組成物が製造される。
【0067】
なおさらなる態様において、遷移金属触媒とキラル配位子の以下の組合せが好ましい:ルテニウム触媒とMandyphosまたはJosiphos配位子;より好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphosまたはJosiphos配位子ならびにルテニウム触媒とSL-M001-1、SL-M004-1またはSL-J002-1;最も好ましくは[RuI(p−シメン)]とSL-M001-1、SL-M004-1またはSL-J002-1。
【0068】
特に、[RuI(p−シメン)]とMandyphos SL-M004-1の組合せが好ましい。
【0069】
本発明の方法の反応条件は、好ましくは、本反応が均一系触媒作用として実施されるように選択する。一般に、用語“均一系触媒作用”は、触媒が反応体と同じ相(例えば固体、液体およびガス)にある触媒反応を言う。
【0070】
本発明の方法は、好ましくは不均一系触媒作用としては行わない。一般に、用語“不均一系触媒作用”は、触媒が反応体と異なる相にある触媒反応を言う。不均一系触媒作用は、通常、化学反応を行うための表面を提供する。
【0071】
本発明において、一般に当分野で既知の溶媒を使用できる。好ましくは、遷移金属触媒およびキラル配位子を溶解できる溶媒を使用する。好ましくは、極性溶媒、例えば一価アルコールを使用する。より好ましくは、溶媒はメタノールまたはエタノールである。より好ましくは、エタノールを使用する。用いる溶媒の量は、反応体の濃度が1〜30%w/v(重量/体積)、好ましくは3〜25%w/v、さらに10〜25%w/v、最も好ましくは20〜25%w/vの範囲であるようなものでよい。
【0072】
好ましい態様において、水素化を、0℃〜80℃、好ましくは室温〜80℃、より好ましくは室温〜60℃、さらに好ましくは室温〜45℃、最も好ましくは室温〜35℃の温度で行う。
【0073】
水素化は、通常、0℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃、より好ましくは35℃〜45℃の温度で行う。
【0074】
適用される水素圧は、通常5バール〜30バール、好ましくは10バール〜25バール、より好ましくは12バール〜20バールの範囲である。反応時間は、通常1時間〜25時間、より好ましくは6時間〜24時間、さらに好ましくは5時間〜20時間の範囲である。最も好ましくは、反応時間は、通常1時間〜25時間、好ましくは5時間〜20時間の範囲である。
【0075】
好ましい態様において、水素圧は5バール〜25バール、好ましくは5バール〜20バール、より好ましくは10バール〜20バール、さらに好ましくは15〜20バールであり、最も好ましくは水素圧は20バールである。
【0076】
典型的に本方法において用いる基質(ii)に対する遷移金属触媒の量は、0.001〜5%mol、好ましくは0.001〜1%mol、より好ましくは0.003〜0.3%mol、さらに好ましくは0.005〜0.1%mol、最も好ましくは0.01〜0.05%molの範囲であり得る。
【0077】
通常、本発明の方法において、基質対触媒比(=S/C比)は100以上、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上である。好ましい態様においてS/C比の上限は25000、より好ましくは30000である。
【0078】
本発明において用語“基質対触媒比”は、式(ii)の出発化合物またはその塩対“活性触媒”(遷移金属触媒とキラル配位子の混合により形成)のモル比を意味する。
【0079】
通常、活性触媒は、0.9〜1.2、好ましくは1.0〜1.1、より好ましくは1.0〜1.05モルのキラル配位子と、遷移金属触媒に包含された1.0モルの遷移金属原子の混合により形成する。例えば、二量体遷移金属触媒を用いるならば、“活性触媒”を形成させるために、好ましくは2モルのキラル配位子を1モルの遷移金属触媒と混合する。
【0080】
キラル配位子は、典型的に、反応に使用するのと同じ溶媒で製造した溶液で、反応混合物に添加する。
【0081】
本発明の方法において、好ましくは光学活性形態の式(ii)の化合物またはその塩を反応させる。これは、本発明の方法において、式(ii−a)
【化25】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩、または式(ii−b)
【化26】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩を出発化合物として使用できることを意味する。
【0082】
好ましくは、化合物(ii−a)、またはその塩を出発化合物として使用する。式中、R1がBOCであり、R1'は水素であり、そしてR2がCOOEtである出発化合物(ii)、またはその塩の合成は当分野で既知である。
【0083】
R1がBOCであり、R1'が水素であり、そしてR2がCOOHである出発化合物(ii−a)、またはその塩の可能な合成の例を、以下の反応スキームに示す:
【化27】

【0084】
化合物(ii−a)、またはその塩を出発化合物として使用するならば、式(i−a)
【化28】

の化合物、および式(i−b)
【化29】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩を得ることができる。
【0085】
化合物(ii−b)、またはその塩を出発化合物として使用するならば、式(i−c)
【化30】

の化合物、および式(i−d)
【化31】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩を得ることができる。
【0086】
各々式(i−a)対(i−b)の化合物および式(i−c)対(i−d)の化合物またはその塩の比は、通常選択した反応条件、例えば遷移金属触媒、キラル配位子、S/C比および/または溶媒による。
【0087】
好ましくは、本発明の方法において、式(i−a)の化合物またはその塩を製造する。
【0088】
本発明の方法の一つの好ましい態様において、式(i−a)の化合物またはその塩対式(i−b)の化合物またはその塩のモル比が、少なくとも88:12、好ましくは90:10、より好ましくは99対1である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造される。最も好ましくは式(i−a)の化合物またはその塩対式(i−b)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも88:12、好ましくは90:10〜99.9:0.1である。好ましい態様において、本発明の方法は、R1およびR1'が、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2がCOOHである式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を提供する。
【0089】
結果として、本発明のさらなる対象は、モル比(i−a)対(i−b)が少なくとも88:12、好ましくは90:10、より好ましくは99:1である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物である。最も好ましくは本組成物は、モル比(i−a)対(i−b)が少なくとも88:12、好ましくは90:10〜99.9:0.1である式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む。好ましい態様において、本組成物は、R1およびR1'が、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2がCOOHである式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む。
【0090】
本発明の方法の一つの好ましい態様において、式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−a)の化合物またはその塩対式(i−b)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも88:12、好ましくは少なくとも90:10、より好ましくは少なくとも99:1であり、
− 遷移金属触媒とキラル配位子の組合せが上記の通り、好ましくは:ロジウム触媒とMandyphos、Walphos、JosiphosまたはSolphos配位子;より好ましくはRh(nbd)BFとMandyphos、Walphos、JosiphosまたはSolphos配位子;さらに好ましくはロジウム触媒とWalphos配位子;さらに好ましくはロジウム触媒とWalphos SL-W008-1;最も好ましくはRh(nbd)BFとWalphos SL-W008-1である。
【0091】
本発明の方法の他の好ましい態様において、式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−a)の化合物またはその塩対式(i−b)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも88:12、好ましくは少なくとも90:10、より好ましくは少なくとも99:1であり、
− 遷移金属触媒とキラル配位子の組合せが上記の通り、好ましくは:ルテニウム触媒とMandyphosまたはJosiphos配位子;より好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphosまたはJosiphos配位子;さらに好ましくはルテニウム触媒とSL-M001-1、SL-M004-1またはSL-J002-1;さらに好ましくは[RuI(p−シメン)]とSL-M001-1、SL-M004-1またはSL-J002-1、最も好ましくはRuI(p−シメン)]とSL-M001-1またはSL-M004-1である。
【0092】
本発明の方法の一つの態様において、式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−b)の化合物またはその塩対式(i−a)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも65:35、より好ましくは少なくとも73:27、最も好ましくは少なくとも94:6である。
【0093】
本発明の方法の好ましい態様において、式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−b)の化合物またはその塩対式(i−a)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも65:35、より好ましくは少なくとも73:27、最も好ましくは少なくとも94:6であり、
− 遷移金属触媒とキラル配位子の組合せが上記の通り、好ましくは:ロジウム触媒とMandyphos、Walphos、JosiphosまたはSolphos配位子;より好ましくはRh(nbd)BFとMandyphos、Walphos、JosiphosまたはSolphos配位子;さらに好ましくはロジウムとMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1、またはSolphos SL-A001-1;さらに好ましくはRh(nbd)BFとMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1、またはSolphos SL-A001-1;最も好ましくはRh(nbd)BFとMandyphos SL-M004-1、Walphos SL-W001-2、またはSolphos SL-A001-1である。
【0094】
本発明の方法の他の好ましい態様において、式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−b)の化合物またはその塩対式(i−a)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも65:35、より好ましくは少なくとも73:27、最も好ましくは少なくとも94:6であり、
− 遷移金属触媒とキラル配位子の組合せが上記の通り、好ましくは:ルテニウム触媒とMandyphosまたはJosiphos配位子;より好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphosまたはJosiphos配位子;さらに好ましくはルテニウム触媒とMandyphos配位子;さらに好ましくはルテニウム触媒とSL-M002-1またはSL-M004-2;なおさらに好ましくは[RuI(p−シメン)]とSL-M002-1またはSL-M004-2;最も好ましくは[RuI(p−シメン)]とSL-M004-2である。
【0095】
本発明の方法の一つの態様において、式(i−c)および(i−d)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−c)の化合物またはその塩対式(i−d)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも88:12、好ましくは少なくとも90:10、より好ましくは少なくとも92:8である。
【0096】
本発明の方法の好ましい態様において、式(i−d)および(i−c)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、ここで:
− 式(i−c)の化合物またはその塩対式(i−d)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも88:12、好ましくは少なくとも90:10、より好ましくは少なくとも92:8であり、
− 遷移金属触媒とキラル配位子の組合せが上記の通り、好ましくは:ルテニウム触媒とMandyphosまたはJosiphos配位子;より好ましくは[RuI(p−シメン)]とMandyphosまたはJosiphos配位子;さらに好ましくはルテニウム触媒とMandyphos配位子;さらに好ましくはルテニウム触媒とSL-M004-1;最も好ましくは[RuI(p−シメン)]とSL-M004-1である。
【0097】
本発明の方法は、式(i−a)の化合物またはその塩を結晶化の手段により上記組成物から分離する付加的な所望の工程を含み得る。
【0098】
結晶化工程の好ましい態様において、式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物[好ましくは少なくとも88:12の(i−a)対(i−b)のモル比を有する]を、適当な極性第一溶媒、例えば一価アルコール、好ましくはエタノールまたはエステル、好ましくは酢酸イソプロピルに溶解する。さらなる態様において、その後適当な低極性第二溶媒を添加してよい。好ましくは、炭化水素、例えばヘプタンを第二溶媒として使用する。それ故、第一および第二溶媒を含む好ましい系は、酢酸イソプロピル/ヘプタンである。
【0099】
本結晶化工程は、式(i−a)の化合物またはその塩を結晶形態で生じる。それ故、本発明の対象は、結晶形態の式(i−a)化合物またはその塩である。加えて、また結晶形態の式(i−b)、(i−c)および(i−d)の化合物またはその塩は本発明の対象である。
【0100】
好ましい態様において、本発明の結晶化生成物は、単斜晶系結晶系を含む。さらに好ましくは、本発明の結晶化生成物は、空間群P21を含む。好ましい態様において、本発明の結晶化生成物は、100Kの温度で測定して、以下の単位格子寸法を有する:
a=6−7Å、好ましくは6.8−6.9Å α=90°
b=14−15Å、好ましくは14.3−14.5Å β=105−106°、好ましくは105.4−105.5°
c=11−12Å、好ましくは11.3−11.5Å γ=90°。
【0101】
一般に、本発明の方法について上記のものと同じ好ましい態様を、本発明の全ての化合物および組成物に適用する。これは、特に本発明の方法の式(i)および(ii)の残基R1、R1'およびR2に適用される。
【0102】
それ故、R2がCOOHまたはRCOOEtである、特にR2がCOOHである結晶形態の式(i−a)の化合物またはその塩が好ましい。さらに、R1が、好ましくはBOCであり、そしてR1'が好ましくは水素である。
【0103】
さらに、本発明の対象は、式(i−a)
【化32】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。ただしR1がBOCであり、そしてR1'が水素であるならば、R2はCOOEtではない。〕
の化合物またはその塩である。好ましくは、R2がCOOHである。
【0104】
加えて、本発明の対象は、R1およびR1'が、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2がカルボキシル基またはエステル基である式(i−b)、(i−c)および/または(i−d)の化合物またはその塩である。好ましくは、R2がCOOHまたはCOOEtであり;より好ましくはR2がCOOHである。
【0105】
本発明の方法の生成物は、NEP阻害剤またはそのプロドラッグの合成において使用でき、特にそれらは、γ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤の合成に使用できる。
【0106】
用語“NEP阻害剤”は、酵素中性エンドペプチダーゼ(NEP、EC 3.4.24.11)の活性を阻害する化合物を言う。
【0107】
用語“プロドラッグ”は、不活性(または低活性)形態で投与する薬理学的物質を言う。投与されたら、該プロドラッグは、体内でインビボで活性化合物へと代謝される。
【0108】
それ故、本発明の方法の態様は、式(i)の化合物またはその塩をさらに反応させて、NEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤またはそのプロドラッグを得る、1個以上の付加的工程を含む。
【0109】
本発明において、用語“NEP阻害剤”または“NEP阻害剤プロドラッグ”は、それ自体、またはその塩、好ましくは薬学的に許容されるその塩に関する。例はナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたはアンモニウム塩である。カルシウム塩が好ましい。
【0110】
好ましくは式(i−a)の化合物またはその塩を、さらに反応させて、NEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤またはそのプロドラッグを得る。特に好ましいのは、R1がBOCであり、R1'が水素であり、そしてR2がCOOHである式(i−a)の化合物またはその塩である。
【0111】
好ましい態様において、式(i−a)の化合物またはその塩をさらに反応させて、NEP阻害剤プロドラッグN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル(AHU 377として当分野で既知)またはその塩を得る。
【化33】

【0112】
一般に、本発明は、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルの全ての薬学的に許容される塩を含み、ここで、カルシウム塩が好ましい。
【0113】
NEP阻害剤プロドラッグN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルを、所望によりさらに反応させて、活性NEP阻害剤N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸を得てよい。
【0114】
本発明の好ましい態様において、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルの合成は式(i−a)の化合物またはその塩から出発し、好ましくは、本合成は、R1が好ましくはBOCであり、R1'が好ましくは水素であり、そしてR2が好ましくはCOOHである式(i−a)の化合物から出発する。好ましくは、該反応は以下の工程:
【化34】

および所望により以下の付加的工程:
【化35】

を含む。
【0115】
上記の通り、本発明の方法は、NEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤またはそのプロドラッグの合成に使用できる。それ故、本発明のさらなる対象は、NEP阻害剤またはそのプロドラッグ、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤の合成における、遷移金属触媒およびキラル配位子の使用であって、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される。
【0116】
一般に、本発明の方法について上記のものと同じ好ましい態様を、本発明の使用に適用する。これは、特に好ましい遷移金属触媒、キラル配位子およびそれらの組合せに関する開示に適用される。
【0117】
好ましくは、遷移金属触媒およびキラル配位子を、NEP阻害剤、特にγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤またはそのプロドラッグの合成における水素化工程において使用する。好ましい態様において、本水素化工程は、少なくとも88:12、より好ましくは90:10〜99.9:0.1のジアステレオマー比を有する2個のジアステレオマーを生じる。好ましい態様において、本水素化工程は、少なくとも88:12、より好ましくは90:10〜99.9:0.1のジアステレオマー比を有する式(i−a)および(i−b)の2個のジアステレオマーを生じる。他の好ましい態様において、本水素化工程は、少なくとも88:12、好ましくは少なくとも90:10、より好ましくは少なくとも99:1のジアステレオマー比を有する、R1およびR1'が上記で定義の通りである式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩の2個のジアステレオマーを生じる。
【0118】
他の好ましい態様において、上記で定義の遷移金属触媒およびキラル配位子を、NEP阻害剤プロドラッグN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステルまたはその塩の合成に使用する。
【0119】
上記および下記で使用する一般的定義は、異なって定義されていない限り、以下の意味を有する:
アルキルは、直鎖状または分枝鎖状(1個所、または望むのであればまたは可能であれば、それ以上)炭素鎖であるラジカルまたはラジカルの一部であり、とりわけC−C−アルキル、好ましくはC−C−アルキルである。
【0120】
用語“C−C−”は、最大7個(7個を含む)、とりわけ最大4個(4個を含む)の炭素原子の部分を定義し、該分子は分枝鎖(一個所以上)または直鎖状であり、末端または非末端炭素を介して結合している。
アリールは、例えばC6−10アリールであり、好ましくは単または多環式、とりわけ6〜10個の炭素原子の単環式、二環式または三環式アリール部分である。
【0121】
非置換または置換ヘテロシクリルは、好ましくは3〜22個(より好ましくは3〜14個の)環原子および窒素、酸素、硫黄、S(=O)−またはS−(=O)から独立して選択される1個以上、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有する、単または多環式、好ましくは単、二または三環式、最も好ましくは単環式の、不飽和、部分的飽和、飽和または芳香属の環系であり、そして非置換であるか、または好ましくはシクロアルキルについて上記の置換基から独立して選択される1個以上、例えば3個までの置換基で置換されている。ヘテロシクリルが芳香環系であるとき、それはヘテロアリールとも呼ぶ。
【0122】
ハロまたはハロゲンは好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、最も好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモである。
ハロ−アルキルは、例えば、ハロ−C−Cアルキルであり、特にハロ−C−Cアルキル、例えばトリフルオロメチル、1,1,2−トリフルオロ−2−クロロエチルまたはクロロメチルである。好ましいハロ−C−Cアルキルはトリフルオロメチルである。
【0123】
アルコキシは、例えば、C−C−アルコキシであり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシでありまた対応するペンチルオキシ、ヘキシルオキシおよびヘプチルオキシラジカルも含む。C−Cアルコキシが好ましい。
【0124】
アルカノイルは、例えば、C−C−アルカノイルであり、例えば、アセチル[−C(=O)Me]、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルまたはピバロイルである。C−C−アルカノイル、とりわけアセチルが好ましい。
アセチルは−C(=O)C−Cアルキル、好ましくは−C(=O)Meである。
【0125】
アルコキシアルキルは直鎖でも分枝鎖でもよい。アルコキシ基は、好ましくは1〜4個、とりわけ1個または2個のC原子を含み、アルキル基は、好ましくは1〜4個のC原子を含む。例はメトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、5−エトキシペンチル、6−エトキシヘキシル、プロピルオキシメチル、ブチルオキシメチル、2−プロピルオキシエチルおよび2−ブチルオキシエチルである。
【0126】
シリルは、−SiRR'R''(ここで、R、R'およびR”は、互いに独立してC1−7アルキル、アリールまたはフェニル−C1−4アルキルである)である。
【0127】
スルホニルは、C−C−アルキルスルホニル、例えばメチルスルホニル、(フェニル−またはナフチル)−C−C−アルキルスルホニル、例えばフェニルメタンスルホニル、[C−C−アルキル−、フェニル−、ハロ−C−C−アルキル−、ハロ、オキソ−C−C−アルキル−、C−C−アルキルオキシ−、フェニル−C−C−アルコキシ−、ハロ−C−C−アルキルオキシ−、フェノキシ−、C−C−アルカノイルアミノ−、C−C−アルキルスルホニル、シアノおよび/またはC−C−アルキルスルホニル−]−(一、二または三)置換)(フェニル−またはナフチル)−C−C−アルキルスルホニルまたは(非置換または[C−C−アルキル−、フェニル−、ハロ−低級アルキル−、ハロ、オキソ−C−C−アルキル−、C−C−アルキルオキシ−、フェニル−C−C−アルコキシ−、ハロ−C−C−アルキルオキシ−、フェノキシ−、C−C−アルカノイルアミノ−、C−C−アルキルスルホニル、シアノおよび/またはC−C−アルキルスルホニル−]−(一、二または三)置換)(フェニル−またはナフチル)−スルホニル(ここで、1個を超える置換基が存在するとき、これらの置換基は記載のものから独立して選択される)である。とりわけ好ましいのは、C−C−アルキルスルホニル、例えばメチルスルホニル、および(フェニル−またはナフチル)−C−C−アルキルスルホニル、例えばフェニルメタンスルホニルである。
【0128】
スルフェニルは、(非置換または置換)C6−10アリール−C−C−アルキルスルフェニルまたは(非置換または置換)C6−10アリールスルフェニルであり、ここで、1個を超える置換基、例えば1〜4個の置換基が存在するならば、これらの置換基は、ニトロ、ハロ、ハロ−C−CアルキルおよびC−C−アルキルオキシから独立して選択される。
【0129】
アルケニルは、二重結合を含み、好ましくは2〜12個のC原子を含む、直鎖でも分枝鎖でもよいアルキルであり、2〜8個のC原子がとりわけ好ましい。特に好ましいのは、直鎖C2−4アルケニルである。アルキル基のいくつかの例は、エチルおよびプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタシル(octacyl)およびエイコシルの異性体であり、その各々二重結合を含む。とりわけ好ましいのはアリルである。
【0130】
塩は、とりわけここに記載の中間体のいずれかの薬学的に許容される塩であるか、または一般に塩であり、ここで、塩は、当業者が容易に理解する化学的理由では除外されない。それらは、塩形成基、例えば塩基性または酸性基が存在するとき形成でき、それは、例えば4〜10のpH範囲の水性溶液中、少なくとも部分的に解離した形態で存在でき、またはとりわけ固体、とりわけ結晶形態で単離できる。
【0131】
このような塩は、例えば、好ましくは有機または無機酸との、酸付加塩として、塩基性窒素原子(例えばイミノまたはアミノ)を有するここに記載の化合物または全ての中間体と形成され、とりわけ薬学的に許容される塩である。適当な無機酸は、例えば、ハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸、またはリン酸である。適当な有機酸は、例えば、カルボン三、ホスホン三、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン−またはエタン−スルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−またはN−プロピル−スルファミン酸、または他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸である。
【0132】
負に荷電したラジカル、例えばカルボキシまたはスルホの存在下で、塩はまた塩基と形成でき、例えば金属またはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩、またはアンモニアまたは適当な有機アミン、例えば3級モノアミン、例えばトリエチルアミンまたはtri(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環塩基、例えばN−エチル−ピペリジンまたはN,N'−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩である。
【0133】
塩基性基および酸基が同じ分子内に存在するとき、ここに記載の全ての中間体は、分子内塩も形成できる。
【0134】
ここに記載の全ての中間体の単離または精製目的で、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することも可能である。
【0135】
化合物および中間体の遊離形とその中間体として、例えば、化合物またはその塩の精製または同定に使用できる塩を含むその塩の形の密接な関係の観点から、前記および後記の“化合物”、“出発物質”および“中間体”への言及は、また、適当であり、好都合であるとき、そして他のことが明らかに記載されていない限り、1個以上のその塩または対応する遊離化合物、中間体または出発物質と1個以上のその塩の混合物にも言及するものであることを理解すべきであり、この各々はまたこれらの1個以上のいずれかの全ての溶媒和物または塩を含むことを意図する。異なる結晶形態が得られる可能性があるならば、また包含する。
【0136】
化合物、出発物質、中間体、塩、医薬製剤、疾患、障害等について複数表現を使用しているとき、それは、1個(好ましい)または1個以上の化合物、塩、医薬製剤、疾患、障害等を意味することを意図し、単数表現を使用するとき、これは複数を除外することを意図せず、好ましいのは“1個”であることのみを意味する。
本発明を以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0137】
実施例1:
(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸
【化36】

(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸エチルエステル(CAS# 149709-59-1)を、水酸化リチウムを使用してエタノール中で加水分解して、(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸を白色固体とし得る。δH (400 MHz;DMSO)1.31 (9H, s, (CH3)3), 1.59 (3H, s, 1-CH3), 2.68 (1H, dd, J 6.8, 13.2, 5-HA), 2.86 (1H, m, 5-HB), 4.44 (1H, m, 4-H), 6.51 (1H, d, J 9.2, 3-H), 7.16 (1H, d, J 8.0, NH), 7.26 (2H, d, J 8.0, Ar-ortho-H(Ph)), 7.31 (1H, t, J 7.6, Ar-(Ph)-para-H), 7.40 (2H, t, J 8.0, Ar-(Ph)-meta-H), 7.54 (2H, d, J 8.0, Ar-meta-H(Ph), 7.60 (2H, d, J 7.6, Ar-(Ph)-ortho-H), 12.26 (1H, s, CO2H);m/z (+ESI)404 ([MNa]+, 17%), 382 ([MH]+, 2), 326 (10), 264 (100), 167 (13)。
【0138】
実施例2:
結晶形態の(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸[2(i−a)]
【化37】

(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸[2(ii−a)](200g、524.3mmol)の脱気エタノール(900ml)中の懸濁液に、40℃で、ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体(0.052g、0.0524mmol)および(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-1)(0.116g、0.110mmol)の脱気エタノール(100ml)溶液を添加する。溶液を真空を使用して脱気し、20バール水素圧を適用する。混合物を40℃で6時間撹拌する。次いで、容器を窒素でパージする。エタノール(700ml)を蒸留により除去する。酢酸イソプロピル(600ml)を添加する。溶媒(600ml)を蒸留により除去する。酢酸イソプロピル(600ml)を添加する。溶媒(600ml)を蒸留により除去する。酢酸イソプロピル(300ml)を添加し、溶液を加熱還流する。ヘプタンフラクション(1200ml)を添加し、混合物を室温に冷却する。固体を濾過により回収し、ヘプタンフラクション−酢酸イソプロピル2:1混合物(360ml)で洗浄する。固体を、一晩、50℃で1−50mbar真空下で乾燥させて、表題化合物を白色/オフホワイト色固体として得る[比2(i−a):2(i−b)99:1、HPLC分析で決定]。Mpt 146−147℃;δH (500 MHz;DMSO)1.07 (3H, d, J 7.0, 1-CH3), 1.34 (9H, s, (CH3)3), 1.38 (1H, m, 3-HA), 1.77 (1H, m, 3-HB), 2.43 (1H, m, 2-H), 2.70 (2H, d, J 7.0, 5-H), 3.69 (1H, m, 4-H), 6.74 (1H, d, J 9.0, NH), 7.27 (2H, d, J 8.0, Ar-ortho-H(Ph)), 7.36 (1H, t, J 7.0, Ar-(Ph)-para-H), 7.46 (2H, t, J 7.5, Ar-(Ph)-meta-H), 7.57 (2H, d, J 8.0, Ar-meta-H(Ph), 7.64 (2H, d, J 7.5, Ar-(Ph)-ortho-H), 12.01 (1H, s, CO2H);δC (500 MHz, DMSO)18.1 (1-CH3), 28.3 [(CH3)3], 35.9 (2-C), 37.9 (3-C), 40.7 (5-C), 50.0 (4-C), 77.4 [(C(CH3)3], 126.3, 126.5, 127.2, 128.9, 129.8 (Ar-CH), 137.7 (Ar-ipso-C(Ph)), 138.3 (Ar-para-C(Ph)), 140.1 (Ar-(Ph)-ipso-C), 155.2 (NCO), 177.2 (CO2H);m/z (+ESI)406 ([MNa]+, 6%), 384 ([MH]+, 31), 328 (100), 284 (19);実測値:[MH]、384.21691。C2330NOはMH 384.21693を必要とする。
【0139】
図1は、x線回折で測定した結晶(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸の構造を示す。結晶は、100Kで測定して、以下の単位格子寸法を有する:
a=6.876(2)Å α=90°
b=14.399(3)Å β=105.458(10)°
c=11.383(3)Å γ=90°
【0140】
2(i−a)製造のための別法(方法1〜5):
方法1〜5の一般的プロトコール
(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸[2(ii−a)](300mg、0.79mmol)の脱気エタノールまたはメタノール(6ml)中の懸濁液に、室温で、遷移金属触媒(S/C比100)およびキラル配位子(S/C比100;1.05当量/金属)を、脱気エタノールまたはメタノール(4ml)中で添加する。溶液を、真空を使用して脱気し、10または15バール水素圧を24時間適用する。次いで、溶媒を真空で除去して、対応する生成物を得る。
【0141】
方法1:キラル配位子{(R)−1−[(R)−2−(2'−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)−フェロセニル]エチルジ(ビス−(3,5−トリフルオロメチル)フェニル)ホスフィン=SL-W008-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)89:11(HPLC分析で決定)。
【0142】
方法2:キラル配位子{(R)−1−[(R)−2−(2'−ジシクロヘキシルホスフィノフェニル)−フェロセニル]エチルジ(ビス−(3,5−トリフルオロメチル)フェニル)ホスフィン=SL-W008-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;10バール;比2(i−a):2(i−b)89:11(HPLC分析で決定)。
【0143】
方法3:キラル配位子{(R)−1−[(S)−2−ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン=SL-J002-1};遷移金属触媒{ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体};EtOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)90:10(HPLC分析で決定)。
【0144】
方法4:キラル配位子{(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]フェロセン=SL-M004-1};遷移金属触媒{ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体};EtOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)99:1(HPLC分析で決定)。
【0145】
方法5:キラル配位子{(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ]フェロセン=SL-M001-1};遷移金属触媒{ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体};EtOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)98:2(HPLC分析で決定)。
【0146】
(2S,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸[2(i−b)]
【化38】

(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸[2(ii−a)](10g、26.1mmol)の脱気エタノール(90ml)中の懸濁液に、ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体(0.156g、0.16mmol)および(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-2)(0.348g、0.33mmol)の脱気エタノール(30ml)中の溶液を5日間の全反応時間にわたり少しずつ添加する。溶液を真空を使用して脱気し、5.5バール水素圧を適用する。混合物を60℃に加熱し、その温度で5日間撹拌する。次いで、容器を窒素でパージする。溶媒を真空で除去する。得られた固体を酢酸イソプロピル(34ml)に溶解し、加熱還流する。ヘプタンフラクション(68ml)を添加し、混合物を室温に冷却する。固体を濾過により回収し、ヘプタン−酢酸イソプロピル2:1混合物(20ml)で洗浄する。固体を、一晩50℃で1−50mbar真空で乾燥させて、表題化合物[比2(i−a):2(i−b)6:94、HPLC分析で決定]を灰色固体として得る。δH (500 MHz;DMSO)1.06 (3H, d, J 7.0, 1-CH3), 1.32 (9H, s, (CH3)3), 1.42 (1H, m, 3-HA), 1.78 (1H, m, 3-HB), 2.39 (1H, m, 2-H), 2.73 (2H, d, J 7.0, 5-H), 3.73 (1H, m, 4-H), 6.75 (1H, d, J 9.5, NH), 7.29 (2H, d, J 8.0, Ar-ortho-H(Ph)), 7.35 (1H, t, J 7.0, Ar-(Ph)-para-H), 7.46 (2H, t, J 7.5, Ar-(Ph)-meta-H), 7.57 (2H, d, J 8.0, Ar-meta-H(Ph), 7.64 (2H, d, J 7.5, Ar-(Ph)-ortho-H), 12.01 (1H, s, CO2H);δC (500 MHz, DMSO)16.2 (1-CH3), 28.2 [(CH3)3], 35.7 (2-C), 37.9 (3-C), 40.7 (5-C), 49.2 (4-C), 77.4 [(C(CH3)3], 126.3, 126.5, 127.2, 128.9, 129.7 (Ar-CH), 137.8 (Ar-ipso-C(Ph)), 138.4 (Ar-para-C(Ph)), 140.1 (Ar-(Ph)-ipso-C), 155.3 (NCO), 177.6 (CO2H);m/z (+ESI)406 ([MNa]+, 4%), 384 ([MH]+, 44), 328 (100), 284 (22);実測値:[MH]、384.21696。C2330NOはMH 384.21693を必要とする。
【0147】
(2S,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸[2(i−b)](方法2)
【化39】

(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸[2(ii−a)](20g、52mmol)の脱気エタノール(100ml)中の懸濁液に、ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体(0.215g、0.22mmol)および(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]フェロセン(=Mandyphos SL-M004-2)(0.50g、0.47mmol)の脱気エタノール(15ml)溶液を添加する。溶液を真空を使用して脱気し、20バール水素圧を適用する。混合物を25℃で15時間撹拌する。次いで、容器を窒素でパージする。溶媒を真空で除去する。得られた固体を、一晩50℃で1−50mbar真空で乾燥させて、表題化合物を得る[比2(i−a):2(i−b)7:93、HPLC分析で決定]。
【0148】
2(i−b)の製造のための別法(方法1'〜8'):
方法1'〜8'の一般的プロトコール
(E)−(R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸[2(ii−a)](300mg、0.79mmol)の脱気エタノールまたはメタノール(6ml)中の懸濁液に、室温で、遷移金属触媒(S/C比100)およびキラル配位子(S/C比100;1.05当量/金属)を、脱気エタノールまたはメタノール(4ml)中で添加する。溶液を真空を使用して脱気し、15バール水素圧を24時間適用する。次いで溶媒を真空で除去して、対応する生成物を得る。
【0149】
方法1':キラル配位子{(R)−N,N'−ジメチル−7,7'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−3,3',4,4'−テトラヒドロ−8,8'−ビ−2H−1,4−ベンゾオキサジン=Solphos SL-A001-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)26:74(HPLC分析で決定)。
【0150】
方法2':キラル配位子{(R)−1−[(S)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]−エチルジシクロヘキシルホスフィン=SL-J003-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};EtOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)34:66(HPLC分析で決定)。
【0151】
方法3':キラル配位子{(R)−1−[(S)−2−ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン=SL-J009-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)35:65(HPLC分析で決定)。
【0152】
方法4':キラル配位子{(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]フェロセン=SL-M004-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)27:73(HPLC分析で決定)。
【0153】
方法5':キラル配位子{(S)−1−[(S)−2−(2'−ジフェニルホスフィノフェニル)フェロセニル]エチルジ(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン=SL-W001-2};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)27:73(HPLC分析で決定)。
【0154】
方法6':キラル配位子{(R)−1−[(R)−2−(2'−ジフェニルホスフィノフェニル)フェロセニル]−エチルジシクロヘキシルホスフィン=SL-W003-1};遷移金属触媒{ビス(ノルボルナジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート};MeOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)33:67(HPLC分析で決定)。
【0155】
方法7':キラル配位子{(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセン=SL-M002-1};遷移金属触媒{ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体};EtOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)25:75(HPLC分析で決定)。
【0156】
方法8':キラル配位子{(αS,αS)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(R,R)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]フェロセン=SL-M004-2};遷移金属触媒{ジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体};EtOH;15バール;比2(i−a):2(i−b)6:94(HPLC分析で決定)。
【0157】
実施例3
(2S,4R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸[3(i−d)]
【化40】

(E)−(S)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸3(ii−b)(10g、26.2mmol)およびトリエチルアミン(3.6ml、26.2mmol)の酢酸イソプロピル中の懸濁液に、パラジウム/炭素(1g、10%負荷)を添加する。次いで、水素雰囲気を5時間適用する。触媒の濾取により、溶媒を真空で除去して、表題化合物を得る{再結晶化により、3(i−d):3(i−c)80:20比;3(i−d):3(i−c)99.9:0.1比;HPLC分析で決定}。
【0158】
再結晶化:94.5gの3(i−d):3(i−c)の80:20混合物を酢酸イソプロピル(190ml)に懸濁し、加熱還流して溶液を得る。ヘプタンフラクション(378ml)を添加し、混合物を室温に冷却する。物質を濾過により回収し、180ml ヘプタン/酢酸イソプロピル(2:1)で洗浄して、3(i−d):3(i−c)の91.7:8.3混合物を得る。この混合物を再び酢酸イソプロピル(280ml)に溶解し、加熱還流する。ヘプタンフラクション(560ml)を添加し、混合物を室温に冷却する。物質を濾過により回収し、180ml ヘプタン/酢酸イソプロピル(2:1)で洗浄して、3(i−d):3(i−c)の99.9:0.1混合物を得る。δH (400 MHz;DMSO)1.07 (3H, d, J 7.1, 1-CH3), 1.34 (9H, s, (CH3)3), 1.37 (1H, m, 3-HA), 1.76 (1H, m, 3-HB), 2.43 (1H, m, 2-H), 2.69 (2H, d, J 6.8, 5-H), 3.68 (1H, m, 4-H), 6.72 (1H, d, J 8.8, NH), 7.25 (2H, d, J 8.2, Ar-ortho-H(Ph)), 7.34 (1H, m, Ar-(Ph)-para-H), 7.45 (2H, m, Ar-(Ph)-meta-H), 7.57 (2H, d, J 8.2, Ar-meta-H(Ph), 7.64 (2H, d, J 7.9, Ar-(Ph)-ortho-H), 11.97 (1H, s, CO2H);m/z (+ESI)384 ([MH]+, 66%), 328 (100), 284 (12)。
【0159】
(2R,4R)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペンタン酸[3(i−c)]
【化41】

(E)−(S)−5−ビフェニル−4−イル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メチルペント−2−エン酸3(ii−b)(10g、26.2mmol)の脱気エタノール(80ml)中の懸濁液に、40℃でジヨード(p−シメン)ルテニウム(II)二量体(125mg)および(αR,αR)−2,2'−ビス(α−N,N−ジメチルアミノフェニルメチル)−(S,S)−1,1'−ビス[ジ(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン]−フェロセン(290mg)の脱気エタノール(20ml)溶液を添加する。溶液を真空を使用して脱気し、5.5バール水素圧を適用する。混合物を40℃で24時間撹拌する。次いで、容器を窒素でパージする。溶液を真空で濃縮して、表題化合物を得る{3(i−d):3(i−c)8:92比;HPLC分析で決定}。
δH (400 MHz;DMSO)1.04 (3H, d, J 8.0), 1.32 (9H, s), 1.41 (1H, m), 1.76 (1H, m), 2.36 (1H, m), 2.70 (1H, m), 2.72 (1H, m), 3.70 (1H, m), 6.69 (1H, d, J 8.0), 7.23 (2H, d, J 8.0), 7.32 (1H, m), 7.43 (2H, t, J 8.0), 7.54 (2H, d, J 8.0), 7.60 (2H, d, J 8.0), 12.01 (1H, s);m/z (-ESI)382 ([M-H]-, 100), 308 (8)。
【0160】
HPLC条件:
カラム:HP Hypersil、BDS−C 18、5μm、125×4.6mm。移動相A(HO+0.1%トリフルオロ酢酸);移動相B(アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸)。勾配:0分(99%A;1%B);10分(100%B);12分(100%B)。流速:1ml/分。波長:254nm。
【表1】

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(i)
【化1】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩の製造方法であって、式(ii)
【化2】

〔式中、R1、R1'およびR2は上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその塩を遷移金属触媒およびキラル配位子の存在下で水素と反応させることを含み、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される、方法。
【請求項2】
反応を均一系触媒作用として行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遷移金属触媒がロジウムまたはルテニウムを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
遷移金属触媒が二量体錯体、好ましくは二量体ルテニウム錯体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
遷移金属触媒が[RuI(p−シメン)]を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
遷移金属触媒がRh(nbd)BFを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
キラル配位子がキラルホスフィンである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
キラル配位子がキラルフェロセンである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
キラル配位子がMandyphos配位子、Walphos配位子、Josiphos配位子またはSolphos配位子である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
キラル配位子がMandyphos SL-M001-1、Mandyphos SL-M002-1、Mandyphos SL-M004-1、Mandyphos SL-M004-2、Josiphos SL-J002-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1、Walphos SL-W008-1またはSolphos SL-A001-1から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
遷移金属触媒がロジウムを含み、ここで、キラル配位子がMandyphos SL-M004-1、Josiphos SL-J003-1、Josiphos SL-J009-1、Walphos SL-W001-2、Walphos SL-W003-1、Walphos SL-W008-1またはSolphos SL-A001-1から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
遷移金属触媒がRh(nbd)BFを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
キラル配位子がWalphos SL-W008-1である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
遷移金属触媒がルテニウムを含み、ここで、キラル配位子がMandyphos SL-M001-1、Mandyphos SL-M002-1、Mandyphos SL-M004-1、Mandyphos SL-M004-2またはJosiphos SL-J002-1から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
遷移金属触媒が[RuI(p−シメン)]を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
キラル配位子がMandyphos SL-M001-1、Mandyphos SL-M004-1またはJosiphos SL-J002-1から選択される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
キラル配位子がMandyphos SL-M004-2である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
キラル配位子がMandyphos SL-M004-1である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項19】
式(ii)の化合物またはその塩対“活性触媒”のモル比(S/C)が100以上、好ましくは1000〜30000である、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
5バール〜25バールの水素圧を適用する、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
R1およびR1'が、独立して水素または、C6−10アリールで一、二または三置換されているC1−6アルキルから成る群から選択されるアミン保護基であり、ここで、該アリール環が非置換であるか、またはC1−7アルキル、ヒドロキシ、C1−7アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノおよびCF;C6−10アリール−C1−6アルキル、クミル、フェニル−C1−C2−アルコキシカルボニル、アリル、シンナミル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシメチル(BOM)、ピバロイルオキシメチル(POM)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、C1−10アルケニルオキシカルボニル、シリル、スルホニル、スルフェニル、スクシンイミジル、C2−6アルカノイル、C6−10アリール−カルボニル、C1−6アルコキシ−カルボニルおよびC6−10アリール−C1−6アルコキシカルボニルから成る群から選択される1個、2個または3個の残基で置換されている、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
R1がt−ブトキシカルボニル基である、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
R2が−COOHまたは−COOR3であり、ここで、R3がC1−6アルキルである、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
式(ii−a)
【化3】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩を反応させる、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
式(i−a):
【化4】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩を製造する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
式(i−b):
【化5】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩を製造する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、そして、ここで式(i−a)の化合物対式(i−b)の化合物のモル比が少なくとも88:12である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
式(i−a)および(i−b)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、そして、ここで式(i−b)の化合物またはその塩対式(i−a)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも65:35である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
式(i−a)の化合物またはその塩を結晶化の手段により組成物から分離する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
酢酸イソプロピルおよびヘプタンを溶媒として使用する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
式(ii−b):
【化6】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩を反応させる、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
式(i−c):
【化7】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩を製造する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式(i−d):
【化8】

〔式中、R1およびR1'は、独立して水素またはアミン保護基であり、そしてR2はカルボキシル基またはエステル基である。〕
の化合物またはその塩を製造する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
式(i−c)および(i−d)の化合物またはその塩を含む組成物が製造され、そしてここで、式(i−c)の化合物またはその塩対式(i−d)の化合物またはその塩のモル比が少なくとも88:12である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
式(i)の化合物またはその塩を、NEP阻害剤またはそのプロドラッグを得るためにさらに反応させる、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
式(i)の化合物またはその塩を、γ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を含むNEP阻害剤またはそのプロドラッグを得るためにさらに反応させる、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
NEP阻害剤がN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸または塩またはそのプロドラッグである、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
NEP阻害剤プロドラッグがN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルまたはその塩である、請求項35または36に記載の方法。
【請求項39】
NEP阻害剤またはそのプロドラッグの合成における遷移金属触媒およびキラル配位子の使用であって、ここで、該遷移金属が周期表の第7族、第8族または第9族から選択される、使用。
【請求項40】
NEP阻害剤またはそのプロドラッグがγ−アミノ−δ−ビフェニル−α−メチルアルカン酸、または酸エステル骨格を有する、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
遷移金属触媒およびキラル配位子を水素化工程で使用する、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
該反応が、少なくとも88:12のジアステレオマー比を有する2個のジアステレオマーを生じる、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
NEP阻害剤プロドラッグがN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはその塩である、請求項40〜42のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2010−503628(P2010−503628A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527735(P2009−527735)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007913
【国際公開番号】WO2008/031567
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】