説明

ビアリール複素環式化合物ならびにその化合物を製造および使用する方法

本発明は、概して、抗感染症薬、抗増殖薬、抗炎症薬および運動促進薬の分野に関する。本発明は、具体的には、薬剤として有用な三環式化合物類の群に関する。本発明は、たとえば、化学療法薬、抗微生物薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬および/または運動促進(胃腸調節)薬などの抗感染症薬および/または抗増殖薬として有用な化合物の群を提供する。本発明はまた、その化合物を合成する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2004年7月28日に出願された米国特許出願第60/591,771号の利益および優先権を主張し、その開示内容は、参考として本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、概して、抗感染症薬、抗増殖薬、抗炎症薬および運動促進薬の分野に関する。特に本発明は、治療薬として有用なビアリール複素環式化合物の群に関する。
【背景技術】
【0003】
1920年代のペニシリンおよび1940年代のストレプトマイシンの発見以来、抗生物質製剤として使用するため、多くの新規な化合物が発見あるいは特に設計されてきている。かつて、このような治療薬の使用によって、感染性疾患を完全に制御または撲滅できると信じられていた。しかし、このような信仰は、現在有効な治療薬に耐性のある細胞または微生物の株が進化し続けているという事実により疑問をもたれている。事実、臨床用に開発されたほとんどすべての抗生物質製剤が、耐性細菌の出現に関連する問題に直面している。たとえば、メチシリン耐性ブドウ球菌、ペニシリン耐性連鎖球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌などのグラム陽性菌の耐性株は進化しており、このような耐性菌に感染した患者に対し、重篤で、致命的でさえもある結果を引き起こす可能性もある。抗生物質マクロライド、すなわち、14〜16員ラクトン環に基づく抗生物質に耐性のある細菌が進化している。また、インフルエンザ菌およびカタラリス菌のようなグラム陰性菌の耐性株も確認されている。たとえば、F.D. Lowry,“Antimicrobial Resistance:The Example of Staphylococcus aureus”,J.Clin.Invest.,vol.111,no9,pp.1265−1273(2003);およびGold,H.S.and Moellering,R.C.,Jr.,“Antimicrobial−Drug Resistance”,N.Engl.J.Med.,vol.335,1445−1453(1996)を参照のこと。
【0004】
ガンの化学療法に用いられる抗増殖薬も耐性に直面しているので、耐性という問題は抗感染症薬の領域に限定されるものではない。したがって、耐性菌およびガン細胞の耐性株の両方に対して有効な、新規抗感染症薬および抗増殖薬の必要性が存在する。
【0005】
抗生物質の分野では、抗生物質耐性の増加に関する問題にもかかわらず、リネゾリドとして公知であり、商標Zyvox(登録商標)(化合物Aを参照)として市販されているオキサゾリジノン環含有抗生物質、N−[[(5S)−3−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−オキソ−5−オキサゾリジニル]メチルアセタミドの2000年の米国における承認以来、新たな主要な分類の抗生物質は臨床用途に対して開発されていない。非特許文献1を参照のこと。
【0006】
【化36】

リネゾリドは、グラム陽性菌に対して活性な抗菌薬としての用途に対して承認された。残念ながら、生物体のリネゾリド耐性株はすでに報告されている。非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4を参照。リネゾリドは、臨床的に有効であり、商業上重要な抗微生物薬でもあることから、研究者らは、他の有効なリネゾリド誘導体を開発するために研究している。
【0007】
上記にかかわらず、新規な抗感染症薬および抗増殖薬に対する必要性が継続して存在する。さらに、多くの抗感染症薬および抗増殖薬は、抗炎症薬としておよび運動促進薬としても有用性があるので、抗炎症薬および運動促進薬として有用な新規な化合物に対する必要性も継続して存在する。
【非特許文献1】RR.C.Moellering,Jr.,“Linezolid:The First Oxazolidinone Antimicrobial”,Annals of Internal Medicine,(2003)vol.138,no2,pp.135−142
【非特許文献2】Tsiodras et al.,Lancet,(2001)vol.358,p.207
【非特許文献3】Gonzales et al.,Lancet,(2001)vol.357,p.1179
【非特許文献4】Zurenko et al.,Proceedings Of The 39th Annual Interscience Conference On Antibacterial Agents And Chemotherapy(ICAAC);San Francisco,CA,USA(1999年、9月26日〜29日)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、たとえば、化学療法薬、抗微生物薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、抗炎症薬および/または運動促進(胃腸調節)薬などの抗感染症薬および/または抗増殖薬として有用な化合物の群を提供する。化合物は、以下の式で表されるもの、またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0009】
【化37】

(式中、AおよびBは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジルおよびピリダジニルからなる群から選択される;Het−CH−Rは、
【0010】
【化38】

からなる群から選択される;Mは、a)−CN、b)それぞれ1個以上の−CN基で置換されている、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル、c)必要に応じて置換されているC2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル、またはd)それぞれ1個以上の炭素がS(O)で置き換えられているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルからなる群から選択される;M−Lは、M−X、M−X−L、M−X−L−X−LおよびM−X−L−Xからなる群から選択される、あるいはM−L中のLは結合である;および可変部L、L、R、R、R、X、m、nおよびpは、後述する詳細な記載に規定する化学部分または整数のそれぞれのグループから選択しうる。)
本発明の化合物の特定の実施形態としては、式:
【0011】
【化39】

(式中、A、L、M、R、Rおよびmは、後述する詳細な記載に定義する化学部分または整数のそれぞれのグループから選ばれる)で表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0012】
さらに、本発明は、前記化合物を合成する方法も提供する。合成の後、抗ガン剤、抗微生物薬、抗生物薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬または抗ウイルス薬として使用するため、または増殖性疾患、炎症性疾患もしくは胃腸運動疾患を治療するために、有効量の1種以上の該化合物を、哺乳動物に投与するための薬学的に受容可能なキャリアとともに製剤化することができる。該化合物または製剤は、たとえば、経口、非経口または局所経路で投与して、哺乳動物に有効量の化合物を提供することができる。
【0013】
以下の詳細な記載および請求の範囲を参照することにより、前述したものおよびその他の本発明の態様および実施形態をより十分に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
【0015】
本発明は、抗増殖薬および/または抗感染症薬として用いることができる化合物の群を提供する。該化合物は、たとえば、抗ガン薬、抗微生物薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬および/または抗ウイルス薬として用いることができるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明は、たとえば、慢性炎症性気管支炎の治療に用いるための抗炎症薬としておよび/または、たとえば、胃食道逆流症、胃不全麻痺(糖尿病性および外科手術後)、過敏性腸症候群および便秘などの胃腸運動障害の治療に用いるための運動促進薬として用いることができる(これらに限定されるものではない)化合物の群を提供する。
1.定義
本明細書で用いる用語「置換された」は、指定された原子上のいずれかの1つ以上の水素が、指定された原子の通常の原子価を越えず、かつ置換が安定な化合物をもたらすという条件で、指示された基から選択された基で置き換えられることを意味する。置換基がケト(すなわち、=0)である場合、原子上の2つの水素が置き換えられる。本明細書で用いる環二重結合は、2つの隣接する環原子間に形成される二重結合(たとえば、C=C、C=NまたはN=N)である。
【0016】
本発明は、本発明化合物に生じる原子のすべての同位体を含むことを意図する。同位体には、同じ原子番号であるが質量数の異なる原子が含まれる。一般例のために、水素の同位体としてトリチウムおよびジュウテリウムが挙げられ、炭素の同位体としてC−13およびC−14が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有する可能性がある。非対称的に置換された原子を含む本発明化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離することができる。ラセミ体の分割または光学活性出発物質からの合成などによって光学活性体を製造する方法は、当業界で周知である。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体もまた本明細書に記載した化合物に存在することができ、そのような安定した異性体は全て本発明に含まれることを企図される。本発明化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載され、異性体混合物または分離された異性体として単離することができる。特定の立体化学または異性体形態が特別に指示されない限り、ある構造のすべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミおよび幾何異性体形態が意図される。本発明化合物を製造するのに用いた全ての工程およびその過程において作成された中間体は、本発明の一部であるとみなされる。示されるかまたは記載された化合物のすべての互変異性体もまた、本発明の一部であるとみなされる。
【0018】
化合物のいずれかの構成部分または式に、可変基(たとえば、R)が1個以上存在する場合、その定義は、存在毎に、他の存在すべての定義とは独立する。したがって、たとえば、1つの基が0〜2個のR部分で置換されることが示されるならば、その基は、場合によって、2個までのR部分で置換することができ、存在毎にRは、Rの定義から独立して選択される。また、置換基および/または可変基の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみ許容される。
【0019】
置換基への結合が、環内で2つの原子を連結している結合を横切るように示される場合、このような置換基は、環内のいずれの原子に結合してもよい。置換基が、このような置換基が所定の式で示される化合物の残りに、その原子を介して結合される原子を指示することなく記載される場合、このような置換基は、このような置換基内のいずれの原子を介して結合してもよい。置換基および/または可変基の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限り許容される。
【0020】
1個以上の窒素原子を含む本発明の化合物を、酸化剤(たとえば、メタクロロパーオキシ安息香酸(m−CPBA)および/または過酸化水素)で処理することによってN−オキシド類に変換して、他の本発明化合物を得ることができる。したがって、すべての記載および請求する窒素含有化合物は、原子価および構造が許す場合、記載の化合物およびそのN−オキシド誘導体(N→OまたはN−Oで表すことができる)の両方を含むものとみなされる。さらに、他の場合、本発明化合物中の窒素原子(複数を含む)をN−ヒドロキシまたはN−アルコキシ化合物に変換することができる。たとえば、m−CPBAなどの酸化剤による親アミンの酸化によって、N−ヒドロキシ化合物を製造することができる。また、すべての記載および請求する窒素含有化合物は、原子価および構造が許す場合、記載の化合物およびそのN−ヒドロキシ(すなわち、N−OH)およびN−アルコキシ〔すなわち、N−OR(式中、Rは置換または非置換C1−6アルキル、アルケニル、アルキニル、C3−14炭素環または3〜14員複素環である)〕誘導体の両方を含むものとみなされる。
【0021】
同様に、1個以上のイオウ原子を含む本発明の化合物を、酸化剤(たとえば、m−CPBAおよび/または過酸化水素)で処理することによってS−オキシド類、すなわち、スルホキシドまたはスルホンに変換して、他の本発明化合物を得ることができる。したがって、すべての記載および請求するイオウ含有化合物は、原子価および構造が許す場合、記載の化合物およびそのS−オキシド誘導体(S(O)(式中、pは1または2である)で表すことができる)の両方を含むものとみなされる。
【0022】
原子または化学的部分が、添字数値範囲付き(たとえば、C1−6)である場合、本発明は、範囲内の各数字ならびにすべての中間領域を含むことを意味する。たとえば、「C1−6アルキル」は、1、2、3、4、5、6、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜6、2〜5、2〜4、2〜3、3〜6、3〜5、3〜4、4〜6、4〜5および5〜6個の炭素を含むアルキル基を包含することを意味する。
【0023】
「アルキル」は、指定数の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。たとえば、C1−6アルキルは、C、C、C、C、CおよびCアルキル基を含むことを意図する。アルキルの例として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書で用いる「アルケニル」は、直鎖または分枝鎖配置のいずれかの炭化水素鎖および鎖に沿っていずれかの安定点を生じる1つ以上の炭素−炭素二重結合を含むことを意図する。たとえば、C2−6アルケニルは、C、C、C、CおよびCアルケニル基を含むことを意図する。アルケニルの例として、エテニルおよびプロペニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書で用いる「アルキニル」は、直鎖または分枝鎖配置のいずれかの炭化水素鎖および鎖に沿っていずれかの安定点を生じる1つ以上の炭素−炭素三重結合を含むことを意図する。たとえば、C2−6アルキニルは、C、C、C、CおよびCアルキニル基を含むことを意図する。アルキニルの例として、エチニルおよびプロピニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
さらに、「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、ジラジカル、すなわち2個の結合点を有する部分を含むことを意図する。その例として、本発明では、Lがこれらの化学基から選択される場合がある。ジラジカルであるそのようなアルキル部分の限定ではない例示として、−CHCH−、すなわち、各末端炭素を介して分子の残基と共有結合するCアルキル基がある。
【0027】
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを言う。「対イオン」は、フルオリド、クロリド、ブロミド、イオダイド、ヒドロキシド、アセテートおよびスルフェートなどの小さい負に帯電した化学種を表すために用いる。
【0028】
本明細書で用いる「炭素環」または「炭素環式環」は、指定数の炭素原子を有する、いずれかの安定な単環式環、二環式環、三環式環またはそれ以上の環式環であって、飽和、不飽和または芳香族のいずれかの環を意味することを意図するが、特定の数の員環を有する環は、二環式環または三環式環ではありえない。たとえば、3員環は単環式環でしかない。たとえば、C3−14炭素環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を有する単、二または三環式環またはそれ以上の環式環を意味することを意図する。炭素環の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、アダマンチル、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アントリル、フェナントリルおよびテトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋環もまた、炭素環の定義に含まれ、たとえば、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカンおよび[2.2.2]ビシクロオクタンが挙げられる。1つ以上の炭素原子が2つの非隣接炭素原子を連結するときに、架橋環が生じる。好ましい架橋は、1つまたは2つの炭素原子である。架橋は常に単環式環を三環式環に変換することが知られている。環が架橋する場合、環のために列挙された置換基が架橋上に存在してもよい。縮合環(たとえば、ナフチルおよびテトラヒドロナフチルなど)およびスピロ環も含まれる。
【0029】
「炭素環」および「炭素環式環」の定義には、当然のことながら、アリール基である、「芳香族炭素環」および「芳香族炭素環式環」が含まれる。二環式芳香族炭素環式環の場合、両方が芳香族であってもよい(たとえば、ナフチル)が、2個の環のうち1個だけは芳香族である必要がある(たとえば、テトラヒドロナフチル)。同様に、三環式あるいはそれ以上の環式の芳香族炭素環式環の場合も、複数の芳香族環を有する三環式またはそれ以上の環式の芳香族炭素環(たとえば、フルオレニル)も含まれるが、1個だけは芳香族である必要がある。芳香族炭素環の例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル、フェナントリル、アントリル、フルオレニル、ペンタレニル、アズリル、クリシル、ピリル、テトラアシル、フルランチル、コロニルおよびヘキサヘリシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書で用いる用語「複素環」または「複素環式」は、飽和、不飽和または芳香族の安定な単環式、二環式または三環式環またはそれ以上の環式環を意味することを意図し(ただし、特定の数の員環を持つ環は、二環式環または三環式環ではありえず、たとえば、3員環は単環式環でしかない)、炭素原子と、窒素、酸素およびイオウからなる群から独立して選択される1個以上のヘテロ原子、たとえば、1または1〜2または1〜3または1〜4または1〜5または1〜6個のヘテロ原子とを含む。二環式または三環式複素環は、1つの環に1個以上のヘテロ原子を位置することができ、あるいはヘテロ原子が複数の環に位置することもできる。窒素およびイオウヘテロ原子は、必要に応じて、酸化されてもよい(たとえば、N→OおよびS(O)(式中、p=1または2))。窒素原子が環に含まれる場合、それは、環内の二重結合に結合するかどうかに応じてNまたはNHのいずれかである(すなわち、窒素原子の三価を維持するために必要ならば水素が存在する)。窒素原子は、置換または非置換であってよい(すなわち、NまたはNR(式中、RはHまたは前述の他の置換基である)。複素環は、いずれのヘテロ原子または炭素原子においてもペンダント基を結合して安定な構造を得ることができる。本明細書に記載した複素環式環は、得られる化合物が安定ならば、炭素原子または窒素原子上に置換することができる。複素環中の窒素は、必要に応じて四級化してもよい。複素環中のSおよびO原子の総数が1を越える場合、これらのヘテロ原子が互いに隣接しないのが好ましい。架橋環もまた複素環の定義に含まれる。1個以上の原子(すなわち、C、O、NまたはS)が2つの隣接しない炭素または窒素原子を連結する場合に架橋環が生じる。好ましい架橋として、1個の炭素原子、2個の炭素原子、1個の窒素原子、2個の窒素原子および炭素−窒素基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋は常に単環式環を三環式環に変換することが知られている。環が架橋する場合、環のために列挙された置換基が架橋上に存在しうる。スピロおよび縮合環も含まれる。
【0031】
本明細書で用いる用語「芳香族複素環」または「ヘテロアリール」は、炭素原子と、窒素、酸素およびイオウからなる群から独立して選択される、たとえば、1または1〜2または1〜3または1〜4または1〜5または1〜6個のヘテロ原子などの1個以上のヘテロ原子とからなる安定な単環式または二環式、それ以上の環式の芳香族複素環を意味することを意図する。たとえば、芳香族複素環またはヘテロアリールは、5、6、7、8、9、10、11または12員の単環式または二環式芳香族複素環であってもよく、ただし、特定の数の員環を持つ環は、二環式芳香族環ではありえず、たとえば、5員環は単環式芳香族環でしかない。二環式複素環式芳香族環の場合、両方が芳香族であってもよいが(たとえば、キノリン)、2つの環の1つだけは芳香族である必要である(たとえば、2,3−ジヒドロインドール)。第2の環もまた、上述したように複素環に縮合または架橋することができる。窒素原子は、置換または非置換であってよい(すなわち、NまたはNR(式中、RはHまたは前述の他の置換基である))。窒素およびイオウヘテロ原子は、必要に応じて、酸化されてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)(式中、p=1または2))。芳香族複素環中のSおよびO原子の総数は一般的に1を越えないことは知られている。
【0032】
複素環の例として、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシンドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書で用いる語句「薬学的に受容可能な」は、妥当な医学的判断の範囲内にある、合理的な受益性/危険性比率に見合った、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題もしくは合併症なしで、ヒトや動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、物質、組成物、キャリアおよび/または投与剤形を言う。
【0034】
本明細書で用いる「薬学的に受容可能な塩」は、開示された化合物の誘導体であって、親化合物は、その酸性または塩基性塩を製造することによって変性された誘導体を言う。薬学的に受容可能な塩の例として、アミン類などの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、またはカルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。薬学的に受容可能な塩には、たとえば、非毒性無機または有機酸などから形成された親化合物の従来の非毒性塩もしくは四級アンモニウム塩が含まれる。このような従来の非毒性塩として、たとえば、2−アセトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコーリアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、パモン酸、パントテイン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、スバセチン酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸およびトルエンスルホン酸から選択される無機または有機酸から誘導される塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明の薬学的に受容可能な塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離の酸または塩基型を、水または有機溶媒またはそれらの混合物中で、化学量論量の適当な塩基または酸と反応させることによって製造することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水溶媒が好ましい。適当な塩のリストが、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.(Mack Publishing Company,1990)にある。たとえば、塩として、本発明の脂肪族アミン含有、ヒロドキシルアミン含有、およびイミン含有化合物の塩酸塩および酢酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物の塩の限定されない例として、実施例28に例示する化合物133の一塩酸塩がある。
【0036】
さらに、本発明の化合物、特に、該化合物の塩は、水和物または非水和物(無水物)、または他の溶媒分子とともに溶媒和物として存在しうる。
水和物の限定されない例として、一水和物、二水和物などが挙げられる。限定されない溶媒和物の例として、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
【0037】
プロドラッグは、薬学的品の多くの望ましい品質(たとえば、溶解性、バイオアベイラビリティ、製造加工など)を増強することが知られているので、本発明化合物をプロドラッグの形で送達してもよい。したがって、本発明は、現在特許請求する化合物のプロドラッグ、その送達方法およびそれを含む組成物を含むことを意図する。「プロドラッグ」は、このプロドラッグが哺乳動物対象に投与されると、インビボで本発明の有効親薬物を放出する共役結合したいずれかのキャリアを含むことを意図する。本発明のプロドラッグは、変性が親化合物に対して慣例の操作またはインビボのいずれかで切断される方法で、化合物に存在する官能基を変性することによって製造される。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノまたはスルフヒドリル基が、本発明のプロドラッグが哺乳動物対象に投与されると切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシル、遊離アミノまたは遊離スルフヒドリル基を形成するいずれかの基に結合する本発明化合物を含む。プロドラッグの例として、本発明化合物中のアルコールおよびアミン官能基の酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な程度の純度へ単離し、有効な治療薬に配合することに耐えるのに十分に強固な化合物を示すことを意味する。
【0039】
本明細書で用いる「治療する」または「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患状態の治療を意味し、(a)哺乳動物に起こりつつある疾患状態を予防すること、特にこのような哺乳動物が疾患状態になりやすいが、まだ疾患であると診断されていない場合に予防すること;(b)疾患状態を抑制すること、すなわち、その発症を阻止すること;および/または(c)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態の緩解を引き起こすこと、を包含する。
【0040】
本明細書で用いる「哺乳動物」は、ヒトおよび非ヒト患者を意味する。
【0041】
本明細書で用いる用語「治療有効量」は、単独または抗増殖薬および/または抗感染症薬と併用して投与する場合に有効な本発明化合物または化合物の組み合わせの量を言う。特に、有効量は、生物活性、たとえば、抗感染症活性(たとえば、抗微生物活性、抗真菌活性、抗ウィルス活性、抗寄生虫活性)および/または抗増殖活性を誘発するのに充分な、レシピエント中または上に存在する化合物の量を言う。必要に応じて化合物の組合わせは、相乗的組合わせのこともある。たとえば、Chou and Talalay,Adv.Enzyme Regul.vol.22,pp.27−55(1984)に記載されたように、組合わせて投与される時の化合物の効果が、単剤として単独で投与される場合の化合物の相加効果よりも大きい場合、相乗効果である。一般に、相乗効果は、化合物の次善最適濃度において最も明瞭に実証される。相乗効果は、より低い細胞毒性、増強された抗増殖および/または抗感染効果、または併用のあるその他の有利な効果という点で個々の成分と比較しうる。
【0042】
本明細書で用いるすべてのパーセンテージおよび比率は、他に特記しない限り重量基準である。
【0043】
明細書を通して、組成物が特定の成分を有する、包含する、または含むと記載される箇所は、該組成物は、述べている成分から本質的になる、またはからなるということも意図する。同様に、方法が特定の方法工程を有する、包含する、または含むと記載される箇所は、該方法は、述べている方法工程から本質的になる、またはからなるということも意図する。さらに、当然のことながら、本発明が実施可能性を維持する限り、工程の順序または特定の行為を実行する順序は重要ではない。さらにそのうえ、2つ以上の工程または行為を同時に行うこともできる。
2.本発明の化合物
1態様では、本発明は、式:
【0044】
【化40】

で表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグを提供する。
[式中、Aは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルからなる群から選択される;
Bは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルからなる群から選択される;
Het−CH−Rは、
【0045】
【化41】

からなる群から選択される;
Mは、以下からなる群から選択される:
a)−CN;
b)i)C1−6アルキル、ii)C2−6アルケニルまたはiii)C2−6アルキニル
ここで、i)〜iii)のいずれかは1個以上の−CN基で置換され、かつ必要に応じて、さらに1個以上のR基で置換される、
c)i)C2−6アルケニルまたはii)C2−6アルキニル
ここで、i)〜ii)のいずれかは、必要に応じて1個以上のR基で置換される、および
d)i)C1−6アルキル、ii)C2−6アルケニルまたはiii)C2−6アルキニル
ここで、i)〜iii)のいずれかの1個以上の炭素は、S(O)で置き換えられ、かつ必要に応じて、さらに残りの炭素の1個以上は、R基で置き換えられる、ただし、
(a)Lに結合する炭素がS(O)で置き換えられている場合は、pは0または1であり、
(b)残りの炭素の1個以上が1個以上のR基で置換されている場合は、Rは=Oまたは=Sを含まない;
M−Lは以下からなる群から選択される:
a)M−X、b)M−X−L、c)M−X−L−X−Lおよびd)M−X−L−X
(式中、Xは存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
i)−O−、ii)−NR−、iii)−N(O)−、iv)−N(OR)−、v)−S(O)−、vi)−NR−N=、vii)=N−NR−、viii)−O−N=、ix)=N−O−、x)−N=、xi)=N、xii)−NR−NR−、xiii)−NR−O−、xiv)−O−NR−、xv)−NRC(O)O−、xvi)−OC(O)NR−、xvii)−NRC(O)NR−、xviii)−NRC(NR)NR−、xix)
【0046】
【化42】

および
xx)
【0047】
【化43】

は、以下からなる群から選択される:
a)C1−6アルキル、b)C2−6アルケニルおよびc)C2−6アルキニル
ここで、a)〜c)のいずれかは、必要に応じて、1個以上のR基で置換される、
は、以下からなる群から選択される:
a)C1−6アルキル、b)C2−6アルケニルおよびc)C2−6アルキニル
ここで、a)〜c)のいずれかは、必要に応じて、1個以上のR基によって置換される、
あるいは、M−L中のLは結合である;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OR、g)−CN、h)−NO、i)−NR、j)−C(O)R、k)−C(O)OR、l)−OC(O)R、m)−C(O)NR、n)−NRC(O)R、o)−OC(O)NR、p)−NRC(O)OR、q)−NRC(O)NR、r)−C(S)R、s)−C(S)OR、t)−OC(S)R、u)−C(S)NR、v)−NRC(S)R、w)−OC(S)NR、x)−NRC(S)OR、y)−NRC(S)NR、z)−NRC(NR)NR、aa)−S(O)、bb)−SONRおよびcc)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OR、g)−CN、h)−NO、i)−NR、j)−C(O)R、k)−C(O)OR、l)−OC(O)R、m)−C(O)NR、n)−NRC(O)R、o)−OC(O)NR、p)−NRC(O)OR、q)−NRC(O)NR、r)−C(S)R、s)−C(S)OR、t)−OC(S)R、u)−C(S)NR、v)−NRC(S)R、w)−OC(S)NR、x)−NRC(S)OR、y)−NRC(S)NR、z)−NRC(NR)NR、aa)−S(O)、bb)−SONRおよびcc)R
は、以下からなる群から選択される:
a)−OR、b)−NR、c)−C(O)R、d)−C(O)OR、e)−OC(O)R、f)−C(O)NR、g)−NRC(O)R、h)−OC(O)NR、i)−NRC(O)OR、j)−NRC(O)NR、k)−C(S)R、l)−C(S)OR、m)−OC(S)R、n)−C(S)NR、o)−NRC(S)R、p)−OC(S)NR、q)−NRC(S)OR、r)−NRC(S)NR、s)−NRC(NR)NR、t)−S(O)、u)−SONRおよびv)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)=O、c)=S、d)=NR、e)=NOR、f)=N−NR、g)−OR、h)−CN、i)−NO、j)−NR、k)−C(O)R、l)−C(O)OR、m)−OC(O)R、n)−C(O)NR、o)−NRC(O)R、p)−OC(O)NR、q)−NRC(O)OR、r)−NRC(O)NR、s)−C(S)R、t)−C(S)OR、u)−OC(S)R、v)−C(S)NR、w)−NRC(S)R、x)−OC(S)NR、y)−NRC(S)OR、z)−NRC(S)NR、aa)−NRC(NR)NR、bb)−S(O)およびcc)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニル、e)−C(O)−C1−6アルキル、f)−C(O)−C2−6アルケニル、g)−C(O)−C2−6アルキニル、h)−C(O)O−C1−6アルキル、i)−C(O)O−C2−6アルケニルおよびj)−C(O)O−C2−6アルキニル
ここで、b)〜j)のいずれかは必要に応じて、1個以上のR基で置換される;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)−OH、b)−OC1−6アルキル、c)−SH、d)−SC1−6アルキル、e)−CN、f)−NO、g)−NH、h)−NHC1−6アルキル、i)−N(C1−6アルキル)、j)−C(O)C1−6アルキル、k)−C(O)OC1−6アルキル、l)−C(O)NH、m)−C(O)NHC1−6アルキル、n)−C(O)N(C1−6アルキル)、o)−NHC(O)C1−6アルキルおよびp)−S(O)1−6アルキル;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニル、e)C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)−C1−6アルキル、h)−C(O)−C2−6アルケニル、i)−C(O)−C2−6アルキニル、j)−C(O)−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1−6アルキル、m)−C(O)O−C2−6アルケニル、n)−C(O)O−C2−6アルキニル、o)−C(O)O−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環およびp)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環
ここで、b)〜p)のいずれかは必要に応じて、1個以上のR基で置換される;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)=O、f)=S、g)=NR、h)=NOR、i)=N−NR、j)−CF、k)−OR、l)−CN、m)−NO、n)−NR、o)−C(O)R、p)−C(O)OR、q)−OC(O)R、r)−C(O)NR、s)−NRC(O)R、t)−OC(O)NR、u)−NRC(O)OR、v)−NRC(O)NR、w)−C(S)R、x)−C(S)OR、y)−OC(S)R、z)−C(S)NR、aa)−NRC(S)R、bb)−OC(S)NR、cc)−NRC(S)OR、dd)−NRC(S)NR、ee)−NRC(NR)NR、ff)−S(O)、gg)−SONRおよびhh)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニル、e)C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3−14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)−C1−6アルキル、h)−C(O)−C2−6アルケニル、i)−C(O)−C2−6アルキニル、j)−C(O)−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1−6アルキル、m)−C(O)O−C2−6アルケニル、n)−C(O)O−C2−6アルキニル、o)−C(O)O−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環およびp)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環
ここで、b)〜p)のいずれかは必要に応じて、i)F、ii)Cl、iii)Br、iv)I、v)−CF、vi)−OH、vii)−OC1−6アルキル、viii)−SH、ix)−SC1−6アルキル、x)−CN、xi)−NO、xii)−NH、xiii)−NHC1−6アルキル、xiv)−N(C1−6アルキル)、xv)−C(O)C1−6アルキル、xvi)−C(O)OC1−6アルキル、xvii)−C(O)NH、xviii)−C(O)NHC1−6アルキル、xix)−C(O)N(C1−6アルキル)、xx)−NHC(O)C1−6アルキル、xxi)−SONH−、xxii)−SONHC1−6アルキル、xxiii)−SON(C1−6アルキル)およびxxiv)−S(O)1−6アルキルからなる群から選択される1個以上の部分で置換される;
mは、0、1、2、3または4である;
nは、0、1、2、3または4である;および
pは、存在毎に独立して、0、1または2である;
ただし、該化合物は、
【0048】
【化44】

【0049】
【化45】

からなる群から選択される式は有さない。]
本発明の特定の実施形態として、式:
【0050】
【化46】

(式中、A、B、L、M、R、R、R、mおよびnは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0051】
他の実施形態として、式:
【0052】
【化47】

(式中、A、B、L、M、R、R、R、mおよびnは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0053】
特定の化合物として、AおよびBが独立して、フェニルおよびピリジルからなる群から選択され、mおよびnが、独立して、0、1または2である化合物を含む。
【0054】
ある実施形態では、A−Bが、
【0055】
【化48】

(式中、A、Rおよびnは前記と同意義である)である。これらの実施形態による特定の化合物として、Rが、HおよびFからなる群から選択され、およびnが0、1または2である化合物が含まれる。特定の実施形態では、A−Bは、
【0056】
【化49】

(式中、Aは前記と同意義である)である。
【0057】
種々の実施形態において、A−Bは、
【0058】
【化50】

(式中、Bは前記と同意義である)である。
【0059】
いくつかの実施形態では、Rは−NRC(O)Rである。他の実施形態では、Rは−NHC(O)Rである。これらの実施形態による特定の化合物は、Rが、必要に応じて、独立してFまたはClから選択される1個以上の置換基で置換されているC1−6アルキルであるものを含む。このようなアルキル基の例として、−CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHCl、−CCl、−CHFCl、−CFClおよび−CFClが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態においては、Rは、
【0060】
【化51】

である。
【0061】
本発明の特定の実施形態は、式:
【0062】
【化52】

(式中、A、B、L、M、R、R、mおよびnは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0063】
本発明の他の実施形態は、式:
【0064】
【化53】

(式中、L、M、R、Rおよびmは前記と同意義であり、Aは、フェニルおよびピリジルからなる群から選択され、Rは、HおよびFからなる群から選択され、nは、0、1または2である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0065】
本発明のさらに他の実施形態は、式:
【0066】
【化54】

(式中、A、L、M、R、Rおよびmは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。これらの実施形態による特定の化合物は、式:
【0067】
【化55】

(式中、A、L、M、Rおよびmは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態は、式:
【0069】
【化56】

(式中、L、MおよびRは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。これらの実施形態による特定の化合物は、式:
【0070】
【化57】

【0071】
【化58】

(式中、LおよびMは前記と同意義である)で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、Lは結合であり、Mは−CNである。他の実施形態では、Lは結合であり、Mは:
【0073】
【化59】

からなる群から選択される。
これらの実施形態による特定の化合物は、Mが:
【0074】
【化60】

からなる群から選択されるものを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、LはX−Lであり、Xは−NRである。これらの実施形態において、Rは、たとえば、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−C(O)C1−6アルキルであってもよい。これらの実施形態による特定の化合物は、Rが、a)H、b)−CH、c)−C(O)CH、d)−CHCH=CH、e)−CHCHCH=CH、f)−CHCHCHCH=CH、g)−CHCH=CHCH、h)−CHC≡CH、i)−CHC≡CCHおよびj)−CHCHCHC≡CHからなる群から選択されるものを含む。
これらの実施形態による化合物は、Lが、C1−6アルキルでありおよび/またはMが、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、NC−CHCH−、NC−CHC(O)−およびNC−CH−からなる群から選択されるものを含む。特に、M−Lは、NC−CHCHNHCH−、NC−CHC(O)NHCH−またはNC−CHNHCH−であってもよい。
【0076】
さらに他の実施形態では、LがX−Lであり、Xが、
【0077】
【化61】

である化合物を含む。
これらの実施形態において、Lは、C1−6アルキルであってもよい。特定の例示として、M−Lが
【0078】
【化62】

である化合物が挙げられる。
【0079】
他の態様では、本発明は、本発明による化合物およびその薬学的に受容可能な塩を合成する方法を提供する。さらに他の態様では、本発明は、有効量の1種以上の前記化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物を提供する。適切な製剤については、以下の第4章に詳細に記載する。
【0080】
また、前記化合物の1種以上を、医療機器に導入することもできる。たとえば、医療ステントのような医療機器は、1種以上の本発明の化合物を含むまたはコーティングすることもできる。
【0081】
さらに他の態様で、本発明は、哺乳動物における、微生物感染、真菌感染、ウイルス感染、寄生虫病、増殖性疾患、炎症性疾患または胃腸運動障害を治療する方法を提供する。該方法は、有効量の1種以上の本発明の化合物または薬学的組成物を、たとえば、経口、非経口または局所経路で投与することを含む。
【0082】
本発明は、哺乳動物に有効量の1種以上の本発明の化合物を投与し、それによって特定の障害の症状を改善する工程を含む、哺乳動物における障害を治療する方法を提供する。このような障害は、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス感染後肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血症、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的予防、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性微生物感染および結核からなる群から選択されうる。
3.本発明の化合物の特性決定
先に記載した方法によって設計、選択および/または最適化した化合物は、製造後、該化合物が生物活性を有するかどうかを決定するため、当業者に公知の種々のアッセイを用いて特性決定することができる。たとえば、化合物は、それらが予測される活性、結合活性および/または結合特異性を有するかどうかを決定するため、後述するアッセイを含む(これらに限定されるものではない)通例のアッセイによって特性決定することができる。
【0083】
さらに、ハイスループットスクリーニングを用いて、このようなアッセイに用いる分析を迅速化することができる。その結果、たとえば、抗ガン剤、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬または抗ウイルス薬としての活性について本明細書に記載の分子を迅速にスクリーニングすることができる。また、どのように化合物がリボソームまたはリボソームサブユニットと相互作用するか、および/または当業界で公知の技術を用いるタンパク質合成の調節剤(たとえば、抑制剤)として有効であるかをアッセイすることも可能である。ハイスループットスクリーニングを行うための一般的方法は、たとえば、Devlin,High Throughput Screening,(Marcel Dekker,1998);および米国特許第5,763,263号明細書に記載されている。ハイスループットアッセイは、後述するアッセイ(これらに限定されるものではない)を含む1種以上の異なるアッセイ技術を用いることができる。
【0084】
(1)表面結合試験。新規な分子をその結合活性についてスクリーニングするのに種々の結合アッセイが有用である。1つのアプローチとして、リボソーム、リボソームサブユニットまたはそのフラグメントに関する対象分子の結合特性を評価するのに用いることができる表面プラズモン共鳴(SPR)が挙げられる。
【0085】
SPR法は、量子力学的表面プラズモンの発生を通してリアルタイムで2つまたはそれ以上の高分子間の相互作用を測定する。1つの装置(BIAcore Biosensor RTM、Pharmacia Biosensor、Piscatawy、N.J.)は、使用者によって調節可能な金箔(ディスポーザブルバイオセンサー「チップ」として提供される)と緩衝コンパートメントとの間の界面に多色灯の収束光を提供する。対象分析物の共有結合固定化のためのマトリックスを提供するカルボキシル化デキストランで構成される100nm厚の「ヒドロゲル」は、金箔に接着される。収束光が金箔の遊離電子雲と相互作用するとき、プラズモン共鳴が増強する。得られる反射光は、共鳴を最適に展開する波長においてスペクトル的に減衰する。反射した多色灯をその成分波長に分離し(プリズムで)、減衰した周波数を決定することによって、BIAcoreは、発生した表面プラズモン共鳴の挙動を正確に伝達する光学的界面を作り出す。上記のように設計される場合、プラズモン共鳴(したがって、減衰スペクトル)は、エバネッセント場(ヒドロゲルの厚みにおおよそ対応する)における質量に敏感である。相互作用ペアの一方の成分がヒドロゲルに固定され、他方が緩衝コンパートメントを通って供給されるならば、エバネッセンス場における質量の蓄積および減衰スペクトルにより測定された対応するプラズモン共鳴の効果に基づいて2つの成分間の相互作用をリアルタイムで測定することができる。このシステムにより、いずれかの成分を標識する必要なく、迅速かつ敏感にリアルタイムで分子相互作用の測定ができる。
【0086】
(2)蛍光偏光。蛍光偏光(FP)は、2つの分子間の会合反応のIC50およびKdを誘導するために、タンパク質−タンパク質、タンパク質−リガンドまたはRNA−リガンド相互作用に容易に適用することができる測定技術である。この技術では、対象分子の1つが、フルオロフォアと複合体を形成する。これは、一般に、システム内で、より小さい分子である(この場合、対象化合物)。リガンド−プローブ複合体と、リボソーム、リボソームサブユニットまたはそのフラグメントとを含むサンプル混合物は、垂直偏光により励起される。光は、プローブフルオロフォアによって吸収され、すぐに再放射される。放射光の偏光の度合いを測定する。放射光の偏光は、複数の因子に依存するが、溶液の粘度およびフルオロフォアのみかけの分子量に最も大きく左右される。適切なコントロールを行うと、放射光の偏光の度合いにおける変化は、フルオロフォアのみかけの分子量における変化のみに依存し、言い換えると、プローブ−リガンド複合体が溶液中で遊離状態であるか、またはレセプターに結合状態であるかに依存する。FPに基づく結合アッセイは、均質平衡条件下でのIC50およびKd、分析速度および自動化への快適性ならびに濁った懸濁液および着色溶液中でスクリーニングする能力などの多くの重要な利点を有する。
【0087】
(3)タンパク質合成。前述の生化学アッセイによる特徴決定に加えて、リボソームまたはリボソームサブユニットの機能的活性の調節剤(たとえば、タンパク質合成の抑制剤)として、対象化合物を特徴決定することもできると考えられる。
【0088】
さらに、生物体、組織、臓器、細胞小器官、細胞そのもの、細胞もしくは細胞内抽出物または精製リボソーム調製品に化合物を投与し、たとえば、タンパク質合成を阻害することに対するその阻害定数(IC50)を決定することによりその薬理学的および阻害特性を観察することによって、より特定のタンパク質合成阻害アッセイを行うことができる。タンパク質合成活性を調査するために、Hロイシンもしくは35Sメチオニンの組み込み、もしくは類似の実験を行うことができる。対象分子の存在下での細胞内におけるタンパク質合成の量または速度の変化は、その分子がタンパク質合成の調節剤であることを示す。タンパク質合成の速度または量の減少は、その分子が、タンパク質合成の抑制剤であることを示す。
【0089】
さらに、細胞レベルでの抗増殖または抗感染症特性について、化合物をアッセイすることができる。たとえば、標的生物体が微生物である場合、対象化合物を含むかまたは含まない培地において対象微生物を成長させることによって、対象化合物の活性をアッセイすることができる。成長抑制は、該分子がタンパク質合成抑制剤として作用していることを示す。さらに詳しくは、ヒト病原体の画定した菌株の成長を阻害する化合物の能力によって、病原菌に対する対象化合物の活性を実証することができる。この目的のために、特徴決定されている耐性メカニズムを有するものなど、種々の目的病原種を含むように細菌株のパネルを組み立てることができる。生物体のこのようなパネルを使用することにより、力価およびスペクトルに関するのみならず、耐性メカニズムを未然に回避する目的でも構造−活性関係を決定することができる。該アッセイは、The National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)guidelines(NCCLS.M7−A5−Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically;Approved Standard−Fifth Edition.NCCLS Document M100−S12/M7(ISBN1−56238−394−9))が公表しているような、従来の方法論にしたがって、マイクロタイタートレイで行うことができる。
【0090】
4.製剤および投与
本発明の化合物は、たとえば、細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症、寄生虫疾患およびガンなどのヒトまたは他の動物の種々の障害の予防または治療に有用である。一旦同定されれば、使用前に本発明の活性分子を適当なキャリアに組み込むことができると考えられる。活性分子の用量、投与モードおよび適当なキャリアの使用は、対象とするレシピエントおよび標的生物体に依存する。本発明の化合物の製剤は、獣医用およびヒト用の両方の医療用途において、代表的には、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた化合物などの化合物を含む。
【0091】
キャリアは、製剤の他の成分と適合しうるものであり、レシピエントにとって有害ではないという意味で「受容可能な」べきである。この点において、薬学的に受容可能なキャリアは、薬学的投与に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤などを含むことを意図する。薬学的に活性のある物質用にこのような媒体および作用剤を使用することは、当業界で公知である。従来の媒体または作用剤が活性化合物に不適合である範囲以外は、組成物におけるその使用を意図する。補足的活性化合物(本発明にしたがって同定または設計されたものおよび/または当業界で公知のもの)を組成物に組み込むこともできる。製剤は、単位投与剤形で存在するのが都合よく、製薬業/微生物学の分野で公知の方法のどの方法によっても、製造することができる。一般に、化合物を液体キャリアもしくは微粉化キャリアまたは両方と混合し、次いで、必要ならば、生成物を目的の製剤に成形することによって製剤を製造するものもある。
【0092】
本発明の薬学的組成物は、その意図する投与経路に適合するように製剤されるべきである。投与経路の例として、経口、または静脈内、皮内、吸入、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与などの非経口が挙げられる。非経口、皮内または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる。注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌薬;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;アセテート、シトレートまたはホスフェートなどの緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節することができる。
【0093】
経口または非経口投与に有用な溶液は、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed. (Mack Publishing Company, 1990)に記載されているような、薬学的業界で周知のいかなる方法によっても製造することができる。非経口投与用の製剤には、バッカル投与用のグリコレート、直腸投与用のメトキシサリチレートまたは膣内投与用のクエン酸も含まれる。非経口製剤は、アンプル、使い捨てシリンジまたはガラスもしくはプラスチック製の複数回用量バイアルに封入することができる。直腸投与用座剤は、薬剤とカカオバター、他のグリセリドまたは室温で固体であり、体温で液体である他の組成物などの非刺激性賦形剤を混合することによって製造することもできる。製剤は、たとえば、ポリエチレングリコール、植物性油および水添ナフタレンなどのポリアルキレングリコールも含みうる。直接投与用製剤は、グリセロールおよび他の高粘度成分を含みうる。これらの薬剤に関し、他の潜在的に有用な非経口キャリアとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、インプラント可能な輸液システムおよびリポソームが挙げられる。吸入投与用製剤は、賦形剤として、たとえば、ラクトースを含んでもよく、または点鼻薬の剤形または鼻腔内に適応するためのゲル剤として、たとえば、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココール酸塩およびデオキシコール酸塩または投与用油性溶液を含む水性溶液であってもよい。停留浣腸は、直腸への送達に用いることもできる。
【0094】
経口投与に適した本発明の製剤は、以下の剤形を取りうる。それぞれ所定の薬物を含むカプセル剤、ゼラチンカプセル、サシェ剤、錠剤、トローチまたはロゼンジなどの個別単位;散剤または顆粒組成物;水性もしくは非水性液の溶液または懸濁液;水中油型乳剤または油中水型乳剤。薬物は、ボーラス、舐剤またはペースト剤の剤形で投与することもできる。錠剤は、必要に応じて、1種以上の補足成分とともに薬物を打錠あるいは成形により作成することができる。打錠錠剤は、粉末または顆粒などの流動形態の薬物を、必要に応じて、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して、適当な機械で打錠することによって製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末薬物および適当なキャリアを、適当な機械で成型することによって製造することができる。
【0095】
一般に、経口組成物は、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。経口治療投与のために、活性化合物を賦形剤と組み合わせることができる。口腔洗浄剤として使用するための液体キャリアを用いて製造された経口組成物は、液体キャリア中に化合物を含み、口に含み、うがいをした後、はき出すか、または飲み込む。薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント物質を組成物の一部に含めることもできる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、いずれかの以下の成分または類似した性質の化合物を含むことができる。微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤;アルギニン酸、プリモゲルまたはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテスなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑走剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーなどの香味剤。
【0096】
注射用途に適した薬学的組成物として、滅菌水溶液(水溶性)または分散液および滅菌注射液または分散液の即席調製用の滅菌粉末が挙げられる。静脈内投与のために、適当なキャリアとして、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。製造および保管の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されるべきである。キャリアは、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒体であることができる。たとえば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散液の場合、必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。多くの場合、組成物中に、たとえば、糖質、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムなどの等張化剤を含むのが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中にたとえば、モノステアリン酸ナトリウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延化する作用剤を含むことによってもたらされる。
【0097】
滅菌注射液は、必要に応じて、先に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに、適当な溶媒に必要量の活性化合物を混合し、次いで、濾過滅菌することによって製造することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒体および先に列挙した成分からの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに活性化合物を混合することによって製造することができる。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、その製造方法は、活性成分および先の滅菌濾過した溶液からのいずれかの目的の成分の粉末が得られる真空乾燥および凍結乾燥を含む。
【0098】
関節内投与に適した製剤は、たとえば、水性微結晶懸濁液などの微結晶体の状態の薬剤の滅菌水性製剤の形態である。リポソーム製剤または生体分解性ポリマーシステムは、関節内および眼内投与の両方のために薬剤を提供するために用いることもできる。
【0099】
眼治療などの局所投与に適した製剤として、リニメント剤、ローション剤、ゲル剤、貼用剤、クリーム剤などの水中油型もしくは油中水型乳剤、軟膏またはペースト剤;または点滴剤などの溶液剤または懸濁液剤が挙げられる。皮膚表面への局所投与用製剤は、ローション、クリーム、軟膏または石けんなどの皮膚科的に受容可能なキャリアに薬剤を分散させることによって製造することができる。適用物を局部に留め、移動を妨げるためには、皮膚上に被膜または層を形成しうるキャリアが特に有用である。内部組織表面への局所投与のために、液体組織接着剤または組織表面への吸着を増進することがわかっている他の物質に作用剤を分散させることができる。たとえば、ヒドロキシプロピルセルロースまたはフィブリノーゲン/トロンビン溶液を用いると有益である。別法として、ペクチン含有製剤などの組織コーティング溶液を用いることができる。
【0100】
吸入治療のために、スプレー缶、ネブライザーまたはアトマイザーで噴霧する粉末の吸入(自力吸入またはスプレー製剤)を用いることができる。このような製剤は、粉末吸入器または自力吸入粉末分配製剤から肺投与用の微粉末の形態であることができる。自力吸入溶液およびスプレー製剤の場合、所望のスプレー特性を有する(すなわち、所望の粒径を有するスプレーを生じさせる能力があること)バルブの選択によるか、またはコントロールされた粒径においての懸濁粉末として活性成分を混合することによるか、のいずれかによって効果を達成することができる。吸入投与のために、たとえば、二酸化炭素などのガスのような適当な噴霧剤を含む加圧容器またはディスペンサーまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で化合物を送達することもできる。
【0101】
全身投与は、経粘膜または経皮手段であることもできる。経粘膜または経皮投与のために、バリアーに対する浸透に適した浸透剤を製剤に用いる。このような浸透剤は、一般に、当業界で公知であり、たとえば、経粘膜投与には、界面活性剤および胆汁酸塩が挙げられる。経粘膜投与は、鼻腔スプレーまたは座剤の使用によって達成することができる。経皮投与には、典型的には、当業界で一般的な公知の方法で、軟膏、膏薬、ゲル剤またはクリーム剤に活性成分を製剤化する。
【0102】
インプラントおよびマイクロカプセル化デリバリーシステムなどの制御放出製剤のように、身体からの急速な排出に対して化合物を保護するキャリアとともに活性化合物を製造することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステルおよびポリ乳酸などの生体分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。このような製剤の製造方法は、当業者には明らかであろう。薬学的に受容可能なキャリアとして、リポソーム懸濁液を用いることもできる。これらは、たとえば、米国特許第4,522,811号明細書に記載されているように、当業者に公知の方法にしたがって製造することができる。
【0103】
経口または非経口組成物は、投与を容易にし、用量を均一にするために、単位投与剤形に製剤することができる。単位投与剤形は、処置される対象に対する単回投与量に適合させた物理的に別個の単位を言い、必要な薬学的的キャリアとともに所望の治療効果を生み出すように計算された所定の活性化合物を含む各単位である。本発明の単位用量剤形のための明細は、活性化合物の独特の特性および達成されるべき特定の治療効果、ならびに個々の治療のためのそのような活性化合物を調剤する技術に内在する制限によって、影響を受け、かつ直接依存する。さらに、投与は、ボーラスの定期的注射によって行うことができるか、または外部貯蔵容器(点滴バッグなど)からの静脈内、筋肉内もしくは腹腔内投与によってより継続的に行うことができる。
【0104】
組織表面への接着が望ましい場合、組成物は、フィブリノーゲン−トロンビン組成物または他の生体接着物質に分散した薬物を含むことができる。次いで、化合物を所望の組織表面に塗布、スプレーあるいは別の方法で適用することができる。別法として、所望の効果を誘発するのに十分な時間、標的組織に薬物の適当な濃度を提供する量などの有効量などで、ヒトまたはその他の動物に対する非経口または経口投与用に薬物を製剤することができる。
【0105】
活性化合物が、移植操作の一部として用いられることになっている場合、ドナーから組織または臓器を移動する前に、移植される生体組織または臓器に提供することができる。化合物をドナー宿主に提供することができる。その代わりに、あるいは、付け加えて、ドナーから除去した時点で、活性化合物を含む保存溶液中に臓器または生体組織を入れることができる。すべての場合、所望組織に活性化合物を、組織への注射などによって直接投与することができ、あるいは本明細書に記載されるか、および/または当業界で公知の方法および製剤のいずれかを用い、経口または非経口投与によって全身投与することができる。薬物が組織または臓器保存溶液の一部である場合、市販の保存液のいずれかを有利に用いることができる。たとえば、当業界で公知の有用な溶液として、コリンズ溶液、ウィスコンシン溶液、ベルザー溶液、ユーロコリンズ溶液および加乳酸リンゲル溶液が挙げられる。
【0106】
本明細書で記載の方法によって同定または設計された活性化合物を個人に投与して、障害を処置(予防的または治療的に)することができる。このような処置と合わせて、薬理ゲノム学(すなわち、個人のゲノム型と外来性化合物または薬物に対する個人の反応との間の関係の研究)を考慮してもよい。治療に関する代謝における差異は、薬理学的活性薬物の用量と血中濃度との関係を変化させることにより、激しい毒性または治療の失敗をもたらしうる。したがって、医師または臨床医は、薬物を投与するかどうか、ならびに薬物の用量および/また治療処方の適合化の決定において、関連の薬理ゲノム学の研究において得られた知識を適用することを考慮することができる。
【0107】
哺乳動物の細菌感染症の治療または駆除において、本発明の化合物またはその薬学的組成物は、濃度を獲得および維持するための用量、すなわち、治療されている動物における抗微生物的に有効な活性成分の量または血中濃度または組織濃度で、経口、非経口および/または局所投与される。一般に、活性化合物の有効用量は、約0.1〜約100、より好ましくは約1.0〜約50mg/体重kg/日の範囲である。投与される量は、おそらく、処置される疾患または適応症の種類および程度、特定の患者の全般的健康状態、送達される化合物の相対的生物学的効率、薬物の製剤化、製剤における賦形剤の存在および種類ならびに投与経路などの可変因子にも依存する。また、当然のことながら、投与される初期用量は、所望の血中濃度または組織濃度に急速に到達するために上記上限を越えて増加されてもよく、初期用量は、最適よりも少ない量であってもよく、1日用量は、特定の状況に応じて治療過程中、漸次増加されてもよい。所望であれば、たとえば、1日用量を1日2〜4回などの多数回用量に分割することもできる。
【実施例】
【0108】
5.実施例
以下の実施例において、核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Bruker Avance300またはAvance500分光計にて得、GE−Nicolet300分光計を使用する場合もあった。通例の反応溶媒は、他に特記しない限り、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードまたはアメリカン・ケミカル・ソサエティー(ACS)グレードのいずれか、および製造者から得た無水物であった。「クロマトグラフィー」または「シリカゲルにより精製」は、他に特記しない限り、シリカゲル(EM Merck、シリカゲル60、230−400メッシュ)を用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーを言う。
【0109】
本発明にしたがって合成された代表的な化合物を表1に列挙する。キラル中心から延びる直線、非ボールドまたは非斜線結合は、置換基が鏡像体、すなわちRまたはS、あるいはそれらの混合物のどちらかであることを示す。波線の結合は、置換基がシスまたはトランス、あるいはそれらの混合物のどちらかであることを示す。さらに、化学名は便宜のために付せられたもので、示された化学構造を限定するものではない。化合物の化学名と構造の間に不一致がある場合、化合物の構造によって決定される。また、慣例および選択肢の幅に応じて、複数の化学名が1個の特定の化学構造体に与えられうる。限定ではない例示として、後に記載する化合物101は、オキサゾリジノン環上のメチルアセタミド置換基に関して示される立体化学で描かれる。化合物101は、アセタミド置換基が結合するキラル炭素中心で“5S”立体化学を示すように命名される。
【0110】
本発明の化合物は、塩、エステル、プロドラッグとして、製造、製剤および送達しうる。便宜上、表1の化合物は、特定の塩、エステルまたはプロドラッグ形体を示さずに一般的に示し、表中では、そのような塩類、エステル類またはプロドラッグ類に限定することなく、一般的に命名する。限定ではない例として、三級アミノ基を有する化合物133は、実施例28における化合物の合成手順から示唆されるように、塩酸塩として製造しうるものではあるが、遊離の塩基性化合物として示す。
【0111】
【表1−1】

【0112】
【表1−2】

【0113】
【表1−3】

【0114】
【表1−4】

【0115】
【表1−5】

【0116】
【表1−6】

【0117】
【表1−7】

【0118】
【表1−8】

【0119】
【表1−9】

【0120】
【表1−10】

【0121】
【表1−11】

【0122】
【表1−12】

【0123】
【表1−13】

【0124】
【表1−14】

以下のスキームは、本発明の化合物の合成に使用可能である、ある代表的な化学反応を示す。しかし、所望の化合物を、当業界で公知であり使用される他の別の化学反応を使用して合成してもよいことは受け入れられることであろう。
【0125】
実施例1−ビアリール前駆体の合成
スキーム1に、本発明における化合物を製造するに有用な種々のビアリール中間体の合成を示す。公知のヨードアリールオキサゾリジノン中間体1(米国特許第5,523,403号および第5,565,571号明細書を参照)を、置換アリールボロン酸(スズキ反応)とカップリングさせて、ビアリールアルコール2を製造する。次いで、当業者に周知の化学反応を用いて、メシレート3、アジド4およびアミン5を合成する。
スキーム1
【0126】
【化63】

アルコール2の合成
N−[3−(3−フルオロ−4−ヨード−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミド(オキサゾリジノン中間体1、14.0g、37mmol)のトルエン(120mL)懸濁液を、25℃にて4−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(7.87g、51.8mmol、1.4当量)、炭酸カリウム(KCO、15.32g、111mmol、3.0当量)、エタノール(EtOH、40mL)および水(HO、40mL)で処理し、得られた混合物をアルゴン定常ストリーム下、25℃にて3回脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh、2.14g、1.85mmol、0.05当量)を反応混合物に加え、得られた反応混合物を再び3回脱気した後、温めて6時間緩やかに還流した。薄層クロマトグラフィー(TLC)およびHPLCが、カップリング反応の完了を示した時点で、反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(240mL)で処理した。次いで、得られた混合物を室温にて10分間攪拌した後、1時間で0〜5℃に冷却した。固体沈澱を濾過により集め、HO(2×100mL)および20%酢酸エチル(EtOAc)/ヘキサン(2×50mL)で洗浄し、真空乾燥した。所望の粗N−[3−(2−フルオロ−4’−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミド(アルコール2、12.50g、94%収率)をオフホワイト固体として得た。HPLCおよびH NMRにより、この物質が本質的に純粋であることが示された。さらなる精製を行うことなく、次の反応に直接用いた。
【0127】
【化64】

メシレート3の合成
アルコール2(12.49g、34.90mmol)の塩化メチレン(CHCl、150mL)懸濁液を25℃にてトリエチルアミン(EtN、7.07g、9.7mL、70mmol、2.0当量)で処理し、得られた混合物を0〜5℃に冷却した後、塩化メタンスルホニル(MsCl、4.80g、3.24mL、41.9mmol、1.2当量)で0〜5℃にて滴下処理した。次いで、得られた反応混合物を0〜5℃にて2時間攪拌した。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物を0〜5℃にてHO(100mL)で処理した。次いで、混合物を真空濃縮して、大部分のCHClを除去し、得られたスラリーをHO(150mL)で処理した。混合物を室温にて10分間攪拌した後、30分間で0〜5℃に冷却した。固体沈澱を濾過により集め、HO(2×100mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2×50mL)で洗浄し、真空乾燥した。所望の粗メタンスルホン酸、4’−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチルエステル(メシレート3、11.84g、78%収率)をオフホワイト固体として得た。これはTLCおよびHPLCにより本質的に純粋であることが示された。さらなる精製を行うことなく、次の反応に直接用いた。
アジド4の合成
メシレート3(9.27g、21.26mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、50mL)溶液を25℃にてナトリウムアジド(NaN、5.53g、85.04mmol、4.0当量)で処理し、得られた反応混合物を70〜80℃にて4時間温めた。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物を室温に冷却し、その後、HO(150mL)で処理した。得られた混合物を室温にて10分間攪拌した後、0〜5℃にて1時間攪拌した。固体沈澱を濾過により集め、HO(2×100mL)および20%EtOAc/ヘキサン(2×50mL)で洗浄し、真空乾燥した。所望の粗N−[3−(4’−アジドメチル−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミド53(アジド4、7.16g、88%収率)をオフホワイト固体として得た。TLCおよびHPLCにより、物質が本質的に純粋であることが示された。さらなる精製を行うことなく、次の反応に直接用いた。
アミン5の合成
アジド4(7.16g、18.69mmol)のテトラヒドロフラン(THF、100mL)溶液を25℃にてトリフェニルホスフィン(PPh、5.88g、22.43mmol、1.2当量)およびHO(3.6g、3.6mL、0.2mmol、11.0当量)で処理し、得られた反応混合物を50〜55℃にて12時間温めた。TLCおよびHPLCが、還元反応の完了を示した時点で、反応混合物を室温に冷却し、その後、溶媒を真空除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜15%メタノール(MeOH)−CHCl勾配溶出)により、残渣を直接精製して、次の反応に直接用いるのに十分な純度である、所望のN−[3−(4’−アミノメチル−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミド(アミン5、5.82g、87%収率)をオフホワイト結晶として得た。
【0128】
【化65】

実施例2−化合物101の合成
スキーム2
【0129】
【化66】

MeOH(25mL)およびHO(25mL)中の1.884g(5.3mmol)の(5S)−N−[3−(2−フルオロ−4’−ホルミル−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミド(アルデヒド6、オキサゾリジノン中間体1と4−ホルミルボロン酸とから実施例1におけるアルコール2の合成と同様にして製造)の懸濁液を、シアン化ナトリウム(NaCN、312mg、6.36mmol)および塩化アンモニウム(NHCl、340mg、6.36mmol)で室温にて処置した。得られた反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後50℃にて1時間暖めた。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物を室温まで冷却し、HO(25mL)で処理した。混合物を室温にて30分間撹拌し、その後1時間で0〜5℃に冷却した。固体を濾過により集め、HO(2×25mL)で洗浄し、真空乾燥し、1.80gの所望の粗(5S)−N−{3−[4’−(アミノ−シアノ−メチル)−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}−アセタミド(化合物101、89%収率)をオフホワイト粉末として得た。HPLCおよびHNMRにより本質的に純粋であることが示された。
【0130】
実施例3−化合物104および105の合成
スキーム3
【0131】
【化67】

アミン5の塩酸塩(0.40g、1.02mmol)をDMF(10mL)およびヒューニッヒ塩基(ジイソプロピルエチルアミン、1mL)に溶解した。この溶液にブロモアセトニトリル7(0.08mL、1.11mmol)を加え、混合物を室温にて1時間撹拌した。溶剤を蒸発させ、粗生成物を希水酸化アンモニウム(NHOH、30mL)とCHCl(30mL)中の15%MeOHとの間で分配した。水層をCHCl中15%MeOHで逆抽出(2×30mL)し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウム(NaSO)で乾燥し、溶剤を蒸発させた。粗生成物をシリカゲル(最初30:1CHCl/MeOHで溶離し、次いで30:1:0.04CHCl/MeOH/NHOHで溶離)で精製した。単離した固体を1:1ジエチルエーテル(EtO)/アセトニトリル(20mL)で粉砕し、濾過して化合物104を白色結晶固体として得た(0.237g、59%収率)。
【0132】
化合物104(0.10g、0.23mmol)と触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)とをDMF(3mL)およびEtN(0.3mL)に溶解した。この溶液に、無水酢酸(0.05mL、0.46mmol)を加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。溶剤を蒸発させ、残渣をCHCl(20mL)に溶解し、溶液をINのHCl(2×20mL)およびHO(10mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、溶剤を蒸発させ、化合物105を白色固体として定量収率で得た。
【0133】
実施例4−化合物107の合成
アミン5(150mg、0.382mmol)の塩酸塩、シアノ酢酸(40mg、0.458mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCl、87.8mg、0.458mmol)のDMF(8mL)懸濁液に、ヒューニッヒ塩基(0.252mL、1.528mmol)を加え、混合物を周辺温度にて一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、エーテルで沈殿させ、このようにして得た個体を10%NHOH水溶液で洗浄した。このようにして得た粗個体をフラッシュクロマトグラフィー(15:1:0.01CHCl/MeOH/NHOH)で精製し、37mgの化合物107を得た。
【0134】
実施例5−化合物109の合成
スキーム4
【0135】
【化68】

2,5−ジブロモピリジン8(25g、105.5mmol)のトルエン(1.24L)溶液を−78℃に冷却し、その後−78℃にてn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン(50.6mL、126.6mmol)2.5M溶液で滴下処理した。得られた反応混合物を−78℃にて1時間撹拌し、その後、−78℃にて、無水DMF(11.6g、12.2mL、158.0mmol)で処理した。さらに反応混合物を−78℃にて1時間撹拌し、6時間で室温まで徐々に暖めた。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物をHO(200mL)で急冷した。2層を分離し、水層をEtOAc(2×50mL)で抽出した。次いで、有機抽出物を合わせ、HO(2×200mL)およびNaCl(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。次いで、溶剤を真空除去し、残渣淡黄色油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜15%EtOAc−ヘキサン勾配溶出)で精製し、所望の5−ブロモ−ピリジン−2−カルバルデヒド9(10.2g、52%収率)を淡黄色固体として得た。
【0136】
オキサゾリジノン中間体1(20.0g、52.8mmol)の無水1,4−ジオキサン(130mL)懸濁液を、室温にて4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン(10.2g、11.6mL、80.0mmol)およびEtN(16.0g、22.4mL、158.4mmol)で処理し、得られた反応混合物をアルゴンの定常ストリーム下で3回脱気し、その後、室温にてジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(Pd(dppf)Cl、1.32g、1.6mmol)で処理した。次いで、反応混合物を再度アルゴンの定常ストリーム下で3回脱気し、その後、7時間加熱還流した。TLCおよびLCMSが反応の完了を示した時点で、反応混合物を室温まで冷却し、その後HO(100mL)およびEtOAc(100mL)で処理した。2層を分離し、水層をEtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これをHO(2×50mL)およびNaCl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。さらに、残渣褐色油状物を真空乾燥し、所望の粗N−{3−[3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}アセタミド(ボロネート10、18.8g、94%)を褐色固体として得た。これは、次の反応に使用するのに充分な純度であった。
【0137】
ボロネート10(11.05g、29.2mmol)および5−ブロモ−ピリジン−2−カルバルデヒド9(4.185g、22.5mmol)のトルエン(150mL)溶液を室温にて固体KCO(9.315g、67.5mmol)、EtOH(50mL)およびHO(50mL)で処置した。得られた反応混合物をアルゴン下で3回脱気し、その後室温にてPd(dppf)Cl(564mg、0.675mmol)で処理した。次いで、反応混合物を再度アルゴン下で3回脱気し、その後、2時間加熱還流した。HPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物を室温まで冷却し、その後HO(200mL)およびEtOAc(100mL)で処理した。2層を分離し、水層をEtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これをHO(2×50mL)およびNaCl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶出)で精製し、所望の(5S)−N−{3−[3−フルオロ−4−(6−ホルミル−ピリジン−3−イル)−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}−アセタミド(アルデヒド11、4.42g、55%収率)を灰色固体として得た。
【0138】
アルデヒド11(180mg、0.5mmol)のTHF(5mL)およびDMF(3mL)溶液を25℃にてアミノアセトニトリルビススルフェート(93mg、0.6mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(NaB(OAc)H、212mg、1.0mmol)で処理し、さらに得られた反応混合物を25℃で4時間撹拌した。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物をHO(5mL)およびEtOAc(20mL)で処理した。2層を分離し、水層をEtOAc(2×10mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これをHO(5mL)およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶出)で精製し、所望の(5S)−N−[3−(4−{6−[(シアノメチル−アミノ)−メチル]−ピリジン−3−イル}−3−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミド(化合物109、169mg、85%)を白色固体として得た。
【0139】
実施例6−化合物112の合成
スキーム5
【0140】
【化69】

D−p−ヒドロキシフェニルグリシン12(23.8g、142.3mmol)およびKCO(39.3g、0.070mL、284.6mmol)のTHF(200mL)およびHO(200mL)溶液を25℃にてジ−tert−ブチルジカルボネート(BOCO、34.14g、156.6mmol)で処理し、得られた反応混合物を25℃にて2時間撹拌した。TLCおよびHPLCが反応の完了を示し、反応混合物をEtOAc(200mL)およびHO(200mL)で処理した。2層を分離し、水溶液をEtOAc(200mL)で抽出した。次いで、水層を2NのHCl水溶液で酸性化しpH4とし、その後EtOAc(2×200mL)で抽出した。次いで、有機抽出物を合わせ、これをHO(2×100mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。さらに白色の固体残渣を真空乾燥し、所望の粗tert−ブトキシカルボニルアミノ−(4−ヒドロキシ−フェニル)−酢酸(Boc−保護中間体13、36.5g、96%収率)を得た。これは本質的に純粋であることが示され、さらなる精製を行うことなく、次の反応に直接用いた。
【0141】
Boc−保護中間体13(4.005g、15mmol)の無水THF(20mL)溶液を0〜5℃にてBH−THFのTHF(30mL、30mmol)1M溶液で滴下処理し、さらに得られた反応混合物0〜5℃にて2時間撹拌した。TLCおよびHPLCが還元反応の完了を示した時点で、反応混合物をHO(50mL)およびEtOAc(50mL)で処理した。次いで混合物を25℃にて30分間撹拌し、その後分離し、水層をEtOAc(2×50mL)で抽出した。次いで有機抽出物を合わせ、これをHO(2×20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶出)で直接精製し、所望の[2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸のtert−ブチルエステル(アルコール14、2.50g、66%収率)を白色粉末として得た。これをさらなる精製を行うことなく、次の反応に直接用いた。
【0142】
アルコール14(670mg、2.65mmol)のCHCl(10mL)懸濁液を25℃にてN−フェニルトリフルオロメタンスルフォンアミド(947mg、2.65mmol)およびEtN(535.3mg、0.74mL、5.3mmol)で処理し、得られた反応混合物をさらに25℃にて2時間撹拌した。TLCおよびHPLCが還元反応の完了を示した時点で、反応混合物をHO(10mL)で急冷し、混合物を室温にて30分間撹拌した。次いで2層を分離し、水層をCHCl(2×20mL)で抽出した。次いで有機抽出物を合わせ、これをHO(2×10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶出)で直接精製し、所望のトリフルオロメタンスルホン酸4−(1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ヒドロキシエチル)フェニルエステル(中間体15、945mg、92%収率)を白色粉末として得た。これはさらなる精製を行うことなく、次の反応に直接用いた。
【0143】
ボロネート10(2.162g、5.72mmol)および中間体15(1.70g、4.4mmol)のトルエン(24mL)溶液を室温にて固体KCO(1.82g、13.2mmol)、EtOH(8.0mL)およびHO(8.0mL)で処理した。得られた反応混合物をアルゴン下3回脱気し、その後室温にてPd(dppf)Cl(184mg、0.22mmol)で処理した。次いで反応混合物を再度アルゴン下3回脱気し、その後2時間加熱還流した。HPLCが反応の完了を示した時点で反応混合物を室温まで冷却し、その後HO(20mL)およびEtOAc(20mL)で処理した。2層を分離し、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これをHO(2×20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶出)で精製し、所望の(1−{4’−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル}−2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸のtert−ブチルエステル(ビアリール中間体16、1.543g、72%収率)を黄色油状物として得た。これを真空下室温で放置し固形化した。
【0144】
ビアリール中間体16(694mg、1.425mmol)の無水CHCl(10mL)懸濁液を0〜5℃にてヒューニッヒ塩基(388mg、0.522mL、2.90mmol)およびMsCl(196mg、0.132mL、1.71mmol)で処理し、得られた反応混合物を0〜5℃にてさらに2時間撹拌した。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で、反応混合物をHO(10mL)で急冷した。2層を分離し、水層をCHCl(2×10mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これをHO(2×10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH−CHCl勾配溶出)で精製し、所望のメタンスルホン酸の2−{4’−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル}−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチルエステル(メシレート17.647mg、80.3%収率)を淡黄色固体として得た。これを次の反応に直接使用した。
【0145】
メシレート17(283mg、0.5mmol)のメチルスルホキシド(DMSO、4.0mL)溶液を室温にてシアン化ナトリウム(NaCN、74mg、1.5mmol)、18−クラウン−6(10mg、触媒)およびヨウ化カリウム(KI、10mg)で処理した。次いで得られた反応混合物を24時間で90〜100℃に暖めた。TLCおよびHPLCが、反応がほとんど完了したことを示した時点で、反応混合物を室温に冷却し、その後HO(10mL)およびEtOAc(20mL)で急冷した。2層を分離し、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これをHO(2×10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。次いで残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜3%MeOH−CHCl勾配溶出)で精製し、所望の(S,S)−(1−{4’−[5−(アセチルアミノ−メチル)−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル]−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル}−2−シアノ−エチル)−カルバミン酸のtert−ブチルエステル(中間体18、139mg、59%収率)を黄色油状物として得た。これを真空下室温で放置し固形化した。
【0146】
中間体18(85mg、0.17mmol)のEtOAc(1.0mL)溶液をHClの4N1,4−ジオキサン(3.0mL)溶液で処理し、得られた反応混合物を室温にて30分間撹拌した。TLCおよびHPLCが反応の完了を示した時点で溶剤を真空で除去し、所望の(S,S)−N−{3−[4’−(1−アミノ−2−シアノ−エチル)−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}−アセタミドの一塩酸塩(化合物112のHCl塩、64.0mg、94.1%収率)を黄色固体として得た。
【0147】
実施例7−化合物113〜116の合成
化合物113の合成
スキーム6は、4−ブロモスチレン19を出発とした化合物113の合成を示す。
スキーム6
【0148】
【化70】

4−ブロモスチレン19(5.00g、26.77mmol)のCHCl(130.0mL)溶液に4−メチルモルフォリンN−オキサイド(NMO、12.90g、107.08mmol、無水)および(1S,2S)−(+)−[1,2−(シクロヘキサノジアミノ−N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−サリシリデン)]マンガン(III)クロライド(850mg、1.34mmol)を加えた。該溶液を−78℃に冷却し、次いでm−CPBA(7.40g、42.83mmol)を加え10分おきに1回4ポーションずつ加えた。混合物を−78℃にて2時間撹拌した。反応物をチオ硫酸ナトリウム水溶液(Na、30mLのHO中10.0g)の添加によって急冷し、次いで冷却浴を取り除き、HO(70mL)および1Nの水酸化ナトリウム(NaOH、60mL)を加えた。水層をCHCl(30mL×3)で抽出し、有機抽出物をNaSOで乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(4:100ジエチルエーテル(EtO)/ヘキサン)によって5.20gのエポキシド20を得た。
【0149】
エポキシド20(500mg、2.51mmol)のEtOH(2.0mL)溶液に55℃にてNaCN(194mg、3.77mmol、HO中1mL)および酢酸(AcOH、166mg、1mLのHO中2.76mmol)を10分かけて加えた。混合物を55〜60℃にて2時間撹拌した。溶剤を真空下除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25:75から35:65EtOAc/ヘキサン)で精製し、53mgの中間体21を得た。
【0150】
中間体21(1当量)、ボロネート10(1当量)、PdCl(dppf)(0.05当量)およびKCO(4当量.)の3:1:1ジオキサン/EtOH/HO懸濁液をアルゴンで脱気した。混合物を90℃にて4.5時間撹拌した。溶剤を真空下除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5:100MeOH/CHCl)により分離し、化合物113(136mg、85.5%収率)を得た。
化合物114の合成
(1R,2R)−(+)−[1,2−(シクロヘキサノジアミノ−N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−サリシリデン)]マンガン(III)塩酸塩を使用し、化合物114を上記の化合物113で記載した合成に従って生成し、113mgの生成物(83%収率)を得た。
化合物115の合成
(1R,2R)−(+)−[1,2−(シクロヘキサノジアミノ−N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−サリシリデン)]マンガン(III)塩酸塩を使用し、化合物115を上記の化合物113で記載した合成に従って生成し、34mgの生成物(69%収率)を得た。
化合物116の合成
4−ブロモ−2−ビニルピリジンから出発し、(1R,2R)−(+)−[1,2−(シクロヘキサノジアミノ−N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−サリシリデン)]マンガン(III)クロライドを使用して、化合物116を化合物113で記載した合成に従って生成し、140mgの生成物(91%収率)を得た。
【0151】
実施例8−化合物117の合成
スキーム7
【0152】
【化71】

アルコール22(5.6g、27.85mmol)、イミダゾール(3.8g、55.7mmol)およびDMAP(触媒)のDMF(55mL)溶液に0℃にて(1,1−ジメチルエチル)−ジフェニルシリルクロライド(TBDPSCl、7.2mL、27.85mmol)を加え、混合物を周辺温度にて72時間撹拌した。反応物を氷水(50mL)で急冷し、エーテル(4×50mL)で抽出した。エーテル層を合わせ、HO(4×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中2%EtOAc)により10.6gのシリル化アルコール23を得た。
【0153】
アルコール23(10.5g、24mmol)のTHF(50mL)溶液に−78℃にてn−BuLi(ヘキサン中2.5M、11.5mL、28.8mmol)加え、混合物を1時間撹拌し、その後ホウ酸トリメチル(3.54mL、31.2mmol)を加えた。溶液を周辺温度にて一晩撹拌した。反応混合物を1MのKHSO(25mL)で急冷し、CHCl(3×50mL)で抽出した。有機層を食塩水(3×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空乾燥した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中25%EtOAc)により5gのボロン酸24を酸および環状無水物の混合物として得た。
【0154】
ボロン酸24(4.7g、11.68mmol)、オキサゾリジノン中間体1(4g、10.6mmol)、KCO(4.4g、31.8mmol)およびPd(PPh(0.613g、5mol%)の混合物にトルエン(90mL)、EtOH(30mL)およびHO(30mL)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下で一晩還流し、真空濃縮し、CHCl(100mL)に再溶解した。有機相を食塩水溶液(2×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空濃縮した。この粗生成物のTHF(70mL)溶液にテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF、20mL、20mmol)を加え、反応混合物を周辺温度にて一晩撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、HO(4×100mL)で洗浄し、3.5gのビアリール中間体25を得た。
【0155】
ビアリール中間体25(1g、2.7mmol)のCHCl(15mL)溶液、DMF(4mL)およびヒューニッヒ塩基(0.75mL、4.05mmol)に0℃にてMsCl(0.315mL、2.7mmol)を加えた。2時間後、反応混合物をCHCl(150mL)に注ぎ入れ、有機層をHO(3×100mL)で洗浄し、乾燥し、真空濃縮して、粗メシレートを得た。粗メシレート(153mg、0.34mmol)およびNaCN(66mg、1.36mmol)の混合物を80℃にてDMF(5mL)中2時間加熱した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(20:1CHCl/MeOH)で精製し、106mgの化合物117を得た。
【0156】
実施例9−化合物118および119の合成
スキーム8
【0157】
【化72】

0.060g(0.17mmol)のアミン5と0.098g(0.67mmol)のジメチルN−シアノジチオイミノカルボネート26との2mlDMF溶液を25℃にて2時間撹拌した。溶剤を真空除去し、残渣を分取TLCで精製し、0.030gの所望の化合物118を得た。
【0158】
0.060g(0.22mmol)の化合物118と1.5mlのメチルアミン(MeNH、40%水溶液)との6mlDMF溶液を25℃にて20時間撹拌した。溶剤を真空除去し、残渣を分取TLCで精製し、0.065gの所望の化合物119を得た。
【0159】
実施例10−化合物121の合成
スキーム9
【0160】
【化73】

N−{3−[4−(6−アミノメチル−ピリジン−3−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}−アセタミド(アミン27、112mg、0.31mmol)のDMF(4.0mL)溶液を室温にてS−メチル−N−シアノ−N’−メチル−カルバミイミドチオエート28(61mg、0.47mmol)で処理し、得られた反応混合物を100℃に暖め、2時間撹拌した。TLCおよびMSが反応の完了を示した時点で反応混合物を真空濃縮し、残渣を直接カラウムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶出)で精製し、所望の(5S)−N−{3−[4−(6−N−(N−メチル−N’−シアノ)グアニルアミノメチル−ピリジン−3−イル)−3−フルオロ−フェニル]−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル}−アセタミド(化合物121、5.2mg、3.8%収率)をオフホワイト固体として得た。
【0161】
実施例11−化合物122の合成
スキーム10
【0162】
【化74】

アルコール29(5g、14.84mmol)のCHCl(80mL)の懸濁液に0℃にてEtN(2.5mL、17.8mmol)およびMsCl(1.4mL、17.8mmol)を加え、該溶液を1時間撹拌した。反応混合物を食塩水(100mL)に注ぎ入れ、水層をCHCl(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、これを食塩水(3×100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、メシレート30を得た。これにNaN(2g、29.7mmol)およびDMF(50mL)を加え、混合物を一晩で80℃に加熱した。該溶液をEtOAc(150mL)およびHO(100mL)の混合物に注ぎ入れた。有機層を分離し、水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、これを食塩水(1×150mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、5.4gのアジド31を得た。
【0163】
アジド31(5.4g、14.84mmol)およびトリメチルシリルアセチレン(TMSアセチレン、10.48mL、74.2mmol)のDMF(20mL)溶液を12時間で90℃に加熱した。反応混合物を真空濃縮し、TBAF(60mL、THF中1M)およびAcOH(2mL、29.7mmol)で処理し、周辺温度にて12時間撹拌した。溶液を濃縮し、飽和NHCl(50mL)、EtOAc(150mL)および食塩水(50mL)の混合物に注ぎ入れた。有機層を分離し、水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、このようにして得た個体をHO(5×200mL)で洗浄して、5.7gのテトラゾール誘導体32を得た。
【0164】
テトラゾール32(5.7g、14.84mmol)、ボロン酸33(2.9g、19.29mmol)、KCO(6.0g、44.52mmol)およびPd(PPh(857mg、5mol%)の混合物にトルエン(120mL)、EtOH(40mL)およびHO(40mL)を加えた。反応混合物を脱気し、アルゴンで洗い、4時間還流した。溶剤を真空濃縮し、このようにして得た残渣をHO(2000mL)に加えた。淡黄色固体を濾過し、40℃にて真空乾燥し、4.76gのアルコール34を得た。
【0165】
アルコール34(4.6g、12.5mmol)およびヒューニッヒ塩基(6.4mL、38.75mmol)のDMF(40mL)およびCHCl(30mL)溶液に0℃にてMsCl(2.9mL、37.5mmol)を加え、得られた溶液を周辺温度にて3時間撹拌した。溶液を濃縮してCHClを除去し、HO(1000mL)に注ぎ入れた。淡黄色固体を濾過し、HO(5×200mL)、ヘキサン中の10%EtOAc(5×100mL)およびヘキサンの50%エーテル(5×100mL)で続けて洗浄した。得られた個体を40℃にて真空乾燥し、4.5gのクロライド35を得た。
【0166】
クロライド35(100mg、0.258mmol)、3−アミノプロピオニトリル(0.330mL、4.48mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.400mL)の混合物をDMF(2mL)中で周辺温度にて一晩撹拌した。反応混合物にCHCl(30mL)、MeOH(3mL)および食塩水(30mL)を加えた。水層を10%MeOH−CHCl(2×30mL)で抽出した。有機層をあわせ、これを無水NaSOで乾燥し、真空濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(30:1:0.01CHCl/MeOH/NHOH)で精製し、55mgの化合物122を得た。
【0167】
実施例12−化合物123の合成
スキーム11
【0168】
【化75】

アジド37およびクロライド38を、ミツノブ条件を使用してアルコール36から合成した。酸HN(NaNおよびHClによって製造される)の形成によって求核試剤としても作用しうるクロライドが生成され、分離不能な37と38との混合物を生成する。該混合物が実施例7で記載した条件下でボロネート10とカップリングした場合、両出発物質は脱離反応を受け、二重結合を形成し、カップリング生成物を分離不能な1:3Z/E混合物として得た。
【0169】
実施例13−化合物129の合成
スキーム12
【0170】
【化76】

クロライド39の合成
アルコール2(3.0g、8.4mmol)51をCHCl(20mL)およびヒューニッヒ塩基(2mL)に溶解した。MsCl(1.4mL、12.6mmol)を滴下し、得られた溶液を室温にて4時間撹拌した。混合物を100mLのNaHCO飽和水溶液に注ぎ入れ、CHCl(3×50mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、これを食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して3.9gの油状黄色固体を得た。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、クロライド39をオフホワイト固体(2.7g、7.2mmol)として得た。
化合物129の合成
クロライド39(753mg、2mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.4mL、2.3mmol)のDMF(5mL)溶液にプロパルギルアミン(220mg、4mmol)のDMF(1mL)溶液を加えた。室温にて24時間撹拌した後、DMFを真空除去した。得られた残渣をTHF(15mL)およびHO(3mL)に溶解した。KCO(345mg、2.5mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(436mg、2mmol)を加え、反応混合物を室温にて2時間撹拌した。THFを真空除去し、50mLのEtOAcを加え、該溶液をHOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で生成し、930mgのBocで保護されたアミン40(94%収率)を得た。
【0171】
Boc保護アミン40(140mg、0.28mmol)のCHCl(5mL)およびMeOH(1mL)溶液に2mlのジオキサン中4.0MHClを加えた。室温にて4時間撹拌した後、反応物を真空濃縮し、EtOAc/MeOHで洗浄して化合物129の一塩酸塩115mg(94%収率)を得た。
【0172】
実施例14−化合物131の合成
アミン5(179mg、0.5mmol)、3−ブロモ−プロペン(60mg、0.5mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.17mL、1mmol)およびKI(10mg)の混合物をDMF(5mL)で70℃にて12時間加熱した。反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/MeOH/NH・HO)で精製し、48mgの所望の化合物131(42%収率)を得た。
【0173】
実施例15−化合物133および134の合成
アミン5(179mg、0.5mmol)、4−ブロモ−1−ブテン(68mg、0.5mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.17mL、1mmol)およびKI(10mg)の混合物をDMF(5mL)中70℃にて12時間加熱した。反応物を2NNaOHで中和し、次いでEtOAc(25mL)を加えた。有機相を分離し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、106mgの化合物133(52%収率)と106mgの化合物134(15%収率)を得た。
【0174】
実施例16−化合物135の合成
アミン5(629mg、1.7mmol)、ブタ−4−イニルトシレート(395mg、1.7mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.6mL、3.5mmol)の混合物をDMF中で50℃にて16時間加熱した。反応物を真空濃縮し、残渣を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、220mgの所望の化合物135(31%収率)を得た。
【0175】
実施例17−化合物136の合成
アミン5(378mg、1.1mmol)、ペンタ−5−イニルトシレート(252mg、1.1mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.35mL、2mmol)の混合物をDMF(6mL)中で50℃にて8時間加熱した。反応物を真空濃縮し、残渣を分取TLC(10:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、140mgの所望の化合物136(41%収率)を得た。
【0176】
実施例18−化合物137の合成
アミン5(179mg、0.5mmol)、5−ブロモ−1−ペンテン(75mg、0.5mmol)、KI(10mg)およびヒューニッヒ塩基(0.17mL、1mmol)の混合物をDMF(2mL)中で70℃にて12時間加熱した。反応物を真空濃縮し、残渣を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、80mgの所望の化合物137(38%収率)を得た。
【0177】
実施例19−化合物138の合成
アミン5(179mg、0.5mmol)、クロチルブロマイド(68mg、0.5mmol)、KI(10mg)およびヒューニッヒ塩基(0.17mL、1mmol)の混合物をDMF(2mL)中で70℃にて12時間加熱した。反応物を真空濃縮し、残渣を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、38mgの所望の化合物138(18%収率)を得た。
【0178】
実施例20−化合物139の合成
アミン5(179mg、0.5mmol)、1−ブロモ−ブタ−2−イン(67mg、0.5mmol)、KI(10mg)およびヒューニッヒ塩基(0.17mL、1mmol)の混合物をDMF(2mL)中で70℃にて5時間加熱した。反応物を真空濃縮し、残渣を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、45mgの所望の化合物139(22%収率)を得た。
【0179】
実施例21−化合物144の合成
アミン5(357mg、1mmol)、1−ブロモ−ブタ−3−エン−2−オール(151mg、1mmol)、KI(20mg)およびヒューニッヒ塩基(0.26mL、1.5mmol)の混合物をDMF(3mL)中で70℃にて24時間加熱した。反応物を真空濃縮し、残渣を分取TLC(10:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、65mgの粗化合物144を得た。粗生成物をTHF(5mL)およびHO(1mL)に溶解し、次いでKCO(41mg、0.3mrnol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(44mg、0.2mmol)を加えた。反応物を室温にて2時間撹拌した。THFを真空除去し、50mLのEtOAcを加えた。溶液をHOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、54mgのBocで保護されたアミンを得た。このBoc保護アミンをCHCl(5mL)およびMeOH(1mL)に溶解し、1mLのジオキサン中4.0MHClを加えた。室温にて4時間撹拌した後、反応物を濃縮し、EtOAc/MeOHで洗浄して化合物144の一塩酸塩45mg(10%収率)を得た。
【0180】
実施例22−化合物145の合成
クロライド35(実施例11の手順に従って合成)(580mg、1.5mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.7mL、4.0mmol)のDMF(5mL)溶液にプロパルギルアミン(275mg、5mmol)のDMF(1mL)溶液を加えた。室温にて20時間撹拌した後、DMFを真空除去した。得られた残渣をTHF(10mL)およびHO(2mL)に溶解し、次いでKCO(276mg、2mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(324mg、1.5mmol)を加えた。反応物を室温にて2時間撹拌し、次いでTHFを真空除去した。50mLのEtOAcを加え、該溶液をHOで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、670mgのBocで保護されたアミン(88%収率)を得た。
【0181】
Boc保護アミン(35mg、0.07mmol)のCHCl(4mL)およびMeOH(0.5mL)溶液に0.5mlのジオキサン中の4.0MHClを加えた。室温にて12時間撹拌した後、反応物を濃縮し、EtOAc/MeOHで洗浄し、化合物145の一塩酸塩26mg(93%収率)を得た。
【0182】
実施例23−化合物148の合成
スキーム13
【0183】
【化77】

5−アミノメチル−3−(4’−クロロメチル−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−オキサゾリジン−2−オンの一塩酸塩(アミン41のHCl塩、180mg、0.54mmol)のCHCl(10.0mL)懸濁液を室温にてジフルオロ酢酸42(118mg、1.2mmol)、EDCIの一塩酸塩(230mg、1.2mmol)およびヒューニッヒ塩基(209mg、1.62mmol)で処理し、得られた反応混合物を室温にて24時間撹拌した。TLCおよびMSが反応の完了を示した時点で反応混合物を真空濃縮し、残渣を直接フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶出)で精製し、所望のN−[3−(4’−クロロメチル−2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−2,2−ジフルオロ−アセタミド(アセタミド43、100mg、44.5%収率)を黄色固体として得た。
【0184】
アセタミド43(190mg、0.46mmol)のDMF(10.0mL)溶液を室温にてプロパルギルアミン(55mg、1.0mmol)およびヒューニッヒ塩基(71.3mg、0.55mmol)で処理し、得られた反応混合物を室温にて24時間撹拌した。TLCおよびMSが反応の完了を示した時点でHOおよび(BOC)Oを加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応溶液を真空濃縮し、残渣を直接フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%MeOH/CHCl勾配溶出)で精製し、所望の(4’−{5−[(2,2−ジフルオロ−アセチルアミノ)−メチル]−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル}−2’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−プロピ−2−イニル−カルバミン酸のtert−ブチルエステル(Boc保護アミン44)(194mg、97.8%収率)をオフホワイト固体として得た。
【0185】
Boc保護アミン44のCHCl溶液を過剰のジオキサン中の4.0MHClで処理し、所望の2,2−ジフルオロ−N−[3−(2−フルオロ−4’−プロピ−2−イニルアミノメチル−ビフェニル−4−イル)−2−オキソ−オキサゾリジン−5−イルメチル]−アセタミドのHCl塩を得た(化合物148)。
【0186】
実施例24−化合物149および150の合成
スキーム14
【0187】
【化78】

クロライド39(149mg、0.395mmol)、2−(メチルチオ)エチルアミン(148mg、1.626mmol)、KCO(55mg、0.395mmol)およびKI(5mg)の混合物をDMF(2mL)中70℃にて2時間加熱した。反応物をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、138mgの所望の化合物149(81%収率)を得た。
【0188】
【化79】

化合物149の混合物(58mg、0.13mmol)およびm−CPBA(70%、33mg、0.13mmol)の混合物をCHCl中で室温にて1時間撹拌した。該CHCl溶液を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、42mgの化合物150(72%収率)を得た。
【0189】
実施例25−化合物151および152の合成
アミン5(357mg、1mmol)、3−メチルチオプロピルメタンスルフォネート(184mg、1mmol)、ヒューニッヒ塩基(0.21mL、1.2mmol)およびKI(10mg)の混合物をDMF(5mL)中で70℃にて48時間加熱した。反応物を2NのNaOHで中和し、次いでEtOAc(25mL)を加えた。有機相を分離し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、70mgの化合物151(16%収率)および25mgの化合物152(9%収率)を得た。
【0190】
実施例26−化合物153の合成
スキーム15
【0191】
【化80】

メチルアミン45(111mg、0.3mmol)、メチルチオエチルクロライド(55mg、0.5mmol)、KCO(41mg、0.3mmol)およびKI(10mg)の混合物をDMF(2mL)中で70℃にて12時間加熱した。反応物をEtOAcで抽出し、有機相を分離し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(25:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、61mgの化合物153(46%収率)を得た。
【0192】
実施例27−化合物154の合成
スキーム16
【0193】
【化81】

クロライド46(109mg、0.25mmol)、2−(メチルチオ)エチルアミン(94mg、1.25mmol)、KCO(41mg、0.30mmol)およびKI(5mg)の混合物をDMF(2mL)中で70℃にて1時間加熱した。反応をEtOAc(25mL)で希釈し、HOで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空濃縮した。粗生成物を分取TLC(15:1:0.05CHCl/MeOH/NH・HO)で精製し、55mgの所望の化合物154(51%収率)を得た。
【0194】
実施例28−化合物133の代わりの合成
スキーム17
【0195】
【化82】

クロライド39(8.28g、22.0mmol)および1−アミノ−3−ブテン塩酸塩(4.73g、44.0mmol)のDMF(50mL)溶液にヒューニッヒ塩基(12.4mL、71.5mmol)を加えた。室温にて3日間撹拌した後、DMFを真空除去した。得られた残渣をTHF(150mL)およびHO(30mL)の混合溶剤に溶解し、KCO(6.9g、50.0mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(5.0g、23.1mmol)を加えた。反応物を室温にて2時間撹拌し、次いでTHFを真空除去した。EtOAc(150mL)を加え、該溶液を0.5NのHCl水溶液、10%NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(25:1:0.05/CHCl:MeOH:NH・HO)で精製し、Bocで保護されたアミン47(6.75g、60%収率)を得た。
【0196】
Boc−保護アミン47(6.75g、13.2mmol)のCHCl(100mL)およびMeOH(10mL)溶液に20mlのHCl溶液(ジオキサン中4.0M)加えた。室温で12時間撹拌した後、反応物を濃縮し、CHCN/MeOH(95:5)で洗浄し、化合物133の一塩酸塩(4.68g、79%収率)を得た。
【0197】
参考としての援用
本明細書で引用された特許文献および科学論文のそれぞれの開示は、その全体をすべての意図について、参考として援用される。
【0198】
等価物
本発明は、本発明の精神または本質的特徴を逸脱することなく他の特定の形態に具体化することができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載された発明における限定というよりもむしろ、あらゆる点で例示的であるとみなされるべきである。このように、本発明の範囲には、前述の記載よりもむしろ添付の請求の範囲によって表示され、請求の範囲の等価性の意味および範囲に入るすべての変化が、その範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

で表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであって、
Aは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルからなる群から選択される;
Bは、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジニルからなる群から選択される;
Het−CH−Rは、
【化2】

からなる群から選択される;
Mは、以下:
a)−CN;
b)i)〜iii)のいずれかは1個以上の−CN基で置換され、かつ必要に応じて、さらに1個以上のR基で置換される、i)C1−6アルキル、ii)C2−6アルケニルまたはiii)C2−6アルキニル、
c)i)〜ii)のいずれかは、必要に応じて1個以上のR基で置換される、i)C2−6アルケニルまたはii)C2−6アルキニル、および
d)i)i)〜iii)のいずれかの1個以上の炭素は、S(O)で置換され、かつ必要に応じて、さらに残りの炭素の1個以上は、1個以上のR基で置換される、C1−6アルキル、ii)C2−6アルケニルまたはiii)C2−6アルキニルであって、
ただし、
(a)Lに結合する炭素がS(O)で置換されている場合は、pは0または1であり、
(b)残りの炭素の1個以上が1個以上のR基で置換されている場合は、Rは=Oまたは=Sを含まない;
からなる群から選択され;
M−Lは以下:
a)M−X、b)M−X−L、c)M−X−L−X−Lおよびd)M−X−L−Xからなる群から選択され、ここで、Xは存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
i)−O−、ii)−NR−、iii)−N(O)−、iv)−N(OR)−、v)−S(O)−、vi)−NR−N=、vii)=N−NR−、viii)−O−N=、ix)=N−O−、x)−N=、xi)=N、xii)−NR−NR−、xiii)−NR−O−、xiv)−O−NR−、xv)−NRC(O)O−、xvi)−OC(O)NR−、xvii)−NRC(O)NR−、xviii)−NRC(NR)NR−、xix)
【化3】

および
xx)
【化4】

は、以下からなる群から選択される:
a)C1−6アルキル、b)C2−6アルケニルおよびc)C2−6アルキニル
ここで、a)〜c)のいずれかは、必要に応じて、1個以上のR基で置換される、
は、以下からなる群から選択される:
a)C1−6アルキル、b)C2−6アルケニルおよびc)C2−6アルキニル
ここで、a)〜c)のいずれかは、必要に応じて、1個以上のR基によって置換される、
あるいは、M−L中のLは結合である;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OR、g)−CN、h)−NO、i)−NR、j)−C(O)R、k)−C(O)OR、l)−OC(O)R、m)−C(O)NR、n)−NRC(O)R、o)−OC(O)NR、p)−NRC(O)OR、q)−NRC(O)NR、r)−C(S)R、s)−C(S)OR、t)−OC(S)R、u)−C(S)NR、v)−NRC(S)R、w)−OC(S)NR、x)−NRC(S)OR、y)−NRC(S)NR、z)−NRC(NR)NR、aa)−S(O)、bb)−SONRおよびcc)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OR、g)−CN、h)−NO、i)−NR、j)−C(O)R、k)−C(O)OR、l)−OC(O)R、m)−C(O)NR、n)−NRC(O)R、o)−OC(O)NR、p)−NRC(O)OR、q)−NRC(O)NR、r)−C(S)R、s)−C(S)OR、t)−OC(S)R、u)−C(S)NR、v)−NRC(S)R、w)−OC(S)NR、x)−NRC(S)OR、y)−NRC(S)NR、z)−NRC(NR)NR、aa)−S(O)、bb)−SONRおよびcc)R
は、以下からなる群から選択される:
a)−OR、b)−NR、c)−C(O)R、d)−C(O)OR、e)−OC(O)R、f)−C(O)NR、g)−NRC(O)R、h)−OC(O)NR、i)−NRC(O)OR、j)−NRC(O)NR、k)−C(S)R、l)−C(S)OR、m)−OC(S)R、n)−C(S)NR、o)−NRC(S)R、p)−OC(S)NR、q)−NRC(S)OR、r)−NRC(S)NR、s)−NRC(NR)NR、t)−S(O)、u)−SONRおよびv)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)=O、c)=S、d)=NR、e)=NOR、f)=N−NR、g)−OR、h)−CN、i)−NO、j)−NR、k)−C(O)R、l)−C(O)OR、m)−OC(O)R、n)−C(O)NR、o)−NRC(O)R、p)−OC(O)NR、q)−NRC(O)OR、r)−NRC(O)NR、s)−C(S)R、t)−C(S)OR、u)−OC(S)R、v)−C(S)NR、w)−NRC(S)R、x)−OC(S)NR、y)−NRC(S)OR、z)−NRC(S)NR、aa)−NRC(NR)NR、bb)−S(O)およびcc)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニル、e)−C(O)−C1−6アルキル、f)−C(O)−C2−6アルケニル、g)−C(O)−C2−6アルキニル、h)−C(O)O−C1−6アルキル、i)−C(O)O−C2−6アルケニルおよびj)−C(O)O−C2−6アルキニル
ここで、b)〜j)のいずれかは必要に応じて、1個以上のR基で置換される;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)−OH、b)−OC1−6アルキル、c)−SH、d)−SC1−6アルキル、e)−CN、f)−NO、g)−NH、h)−NHC1−6アルキル、i)−N(C1−6アルキル)、j)−C(O)C1−6アルキル、k)−C(O)OC1−6アルキル、l)−C(O)NH、m)−C(O)NHC1−6アルキル、n)−C(O)N(C1−6アルキル)、o)−NHC(O)C1−6アルキルおよびp)−S(O)1−6アルキル;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニル、e)C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)−C1−6アルキル、h)−C(O)−C2−6アルケニル、i)−C(O)−C2−6アルキニル、j)−C(O)−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1−6アルキル、m)−C(O)O−C2−6アルケニル、n)−C(O)O−C2−6アルキニル、o)−C(O)O−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環およびp)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、
ここで、b)〜p)のいずれかは必要に応じて、1個以上のR基で置換される;
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)=O、f)=S、g)=NR、h)=NOR、i)=N−NR、j)−CF、k)−OR、l)−CN、m)−NO、n)−NR、o)−C(O)R、p)−C(O)OR、q)−OC(O)R、r)−C(O)NR、s)−NRC(O)R、t)−OC(O)NR、u)−NRC(O)OR、v)−NRC(O)NR、w)−C(S)R、x)−C(S)OR、y)−OC(S)R、z)−C(S)NR、aa)−NRC(S)R、bb)−OC(S)NR、cc)−NRC(S)OR、dd)−NRC(S)NR、ee)−NRC(NR)NR、ff)−S(O)、gg)−SONRおよびhh)R
は存在毎に独立して、以下からなる群から選択される:
a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニル、e)C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、f)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む3−14員飽和、不飽和または芳香族複素環、g)−C(O)−C1−6アルキル、h)−C(O)−C2−6アルケニル、i)−C(O)−C2−6アルキニル、j)−C(O)−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環、k)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、l)−C(O)O−C1−6アルキル、m)−C(O)O−C2−6アルケニル、n)−C(O)O−C2−6アルキニル、o)−C(O)O−C3−14飽和、不飽和または芳香族炭素環およびp)窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子を含む、−C(O)O−3〜14員飽和、不飽和または芳香族複素環、
ここで、b)〜p)のいずれかは必要に応じて、i)F、ii)Cl、iii)Br、iv)I、v)−CF、vi)−OH、vii)−OC1−6アルキル、viii)−SH、ix)−SC1−6アルキル、x)−CN、xi)−NO、xii)−NH、xiii)−NHC1−6アルキル、xiv)−N(C1−6アルキル)、xv)−C(O)C1−6アルキル、xvi)−C(O)OC1−6アルキル、xvii)−C(O)NH、xviii)−C(O)NHC1−6アルキル、xix)−C(O)N(C1−6アルキル)、xx)−NHC(O)C1−6アルキル、xxi)−SONH−、xxii)−SONHC1−6アルキル、xxiii)−SON(C1−6アルキル)およびxxiv)−S(O)1−6アルキルからなる群から選択される1個以上の部分で置換される;
mは、0、1、2、3または4である;
nは、0、1、2、3または4である;そして
pは、存在毎に独立して、0、1または2である;
ここで、該化合物は、
【化5】

【化6】

からなる群から選択される式は有さない、化合物
【請求項2】
式:
【化7】

を有し、ここでA、B、L、M、R、R、R、mおよびnは請求項1に記載されるように定義される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
式:
【化8】

を有し、ここで式中、A、B、L、M、R、R、R、mおよびnは請求項1に記載されるように定義される、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項4】
Aがフェニルおよびピリジルからなる群から選択され、Bがフェニルおよびピリジルからなる群から選択され、mが0、1または2であり、およびnが0、1または2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
A−Bが、
【化9】

であり、A、Rおよびnは請求項1に記載されるように定義される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が、HおよびFからなる群から選択され、nが0、1または2である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
A−Bが、
【化10】

であり、Aは請求項1に記載されるように定義される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
A−Bが、
【化11】

であり、Aは請求項1に記載されるように定義される、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
A−Bが、
【化12】

であり、Bは請求項1に記載されるように定義される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
A−Bが、
【化13】

であり、Bは請求項1に記載されるように定義される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が、−NRC(O)Rである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
が、−NHC(O)Rである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が、必要に応じて、独立してFまたはClから選択される1個以上の置換基で置換されているC1−6アルキルである請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
が、−CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHCl、−CCl、−CHFCl、−CFClおよび−CFCl1−6からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
が、−CHである請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、
【化14】

である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
式:
【化15】

を有し、A、B、L、M、R、R、mおよびnは請求項1に記載されるように定義される、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項18】
式:
【化16】

を有し、L、M、R、Rおよびmは請求項1に記載されるように定義され、Aは、フェニルおよびピリジルからなる群から選択され、Rは、HおよびFからなる群から選択され、nは、0、1または2である、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項19】
式:
【化17】

を有し、A、L、M、R、R、およびmは請求項1に記載されるように定義される、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項20】
式:
【化18】

を有し、A、L、M、R、およびmは請求項1に記載されるように定義される、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項21】
式:
【化19】

を有し、L、MおよびRは請求項1に記載されるように定義される、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項22】
式:
【化20】

を有し、LおよびMは請求項1に記載されるように定義される、請求項21に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項23】
式:
【化21】

を有し、L、MおよびRは請求項1に記載されるように定義される、請求項19に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項24】
式:
【化22】

を有し、LおよびMは請求項1に記載されるように定義される、請求項23に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項25】
式:
【化23】

を有し、A、L、M、R、R、およびmは請求項1に記載されるように定義される、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項26】
式:
【化24】

を有し、A、L、M、Rおよびmは請求項1に記載されるように定義される、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項27】
式:
【化25】

を有し、L、MおよびRは請求項1に記載されるように定義される、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項28】
式:
【化26】

を有し、LおよびMは請求項1に記載されるように定義される、請求項27に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項29】
式:
【化27】

を有し、L、MおよびRは請求項1に記載されるように定義される、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項30】
式:
【化28】

を有し、LおよびMは請求項1に記載されるように定義される、請求項29に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項31】
Lは結合であり、Mは−CNである、請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
Lは結合であり、Mは、
【化29】

からなる群から選択される、請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
Mは、
【化30】

からなる群から選択される、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
LがX−Lであり、Xが−NR−である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
が、a)H、b)C1−6アルキル、c)C2−6アルケニル、d)C2−6アルキニルおよびe)−C(O)C1−6アルキルからなる群から選択される、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
が、a)H、b)−CH、c)−C(O)CH、d)−CHCH=CH、e)−CHCHCH=CH、f)−CHCHCHCH=CH、g)−CHCH=CHCH、h)−CHC≡CH、i)−CHC≡CCHおよびj)−CHCHCHC≡CHからなる群から選択される、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
が、C1−6アルキルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項38】
Mが、a)C2−6アルケニル、b)C2−6アルキニル、c)NC−CHCH−、d)NC−CHC(O)−およびe)NC−CH−からなる群から選択される、請求項34に記載の化合物。
【請求項39】
M−Lが、a)NC−CHCHNHCH−、b)NC−CHC(O)NHCH−およびc)NC−CHNHCH−からなる群から選択される、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
LがX−Lであり、Xが
【化31】

である請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
がC1−6アルキルである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
M−Lが、
【化32】

である、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
M−Lが、
【化33】

である、請求項41に記載の化合物。
【請求項44】
LがX−Lであり、Xが
【化34】

である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
が、C1−6アルキルである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
M−Lが
【化35】

である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
表1に列挙した化合物のいずれか1つに対応する構造を有する化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項48】
表1に列挙した化合物のいずれか1つに対応する化合物の薬学的に受容可能な塩。
【請求項49】
前記塩が一塩酸塩である、請求項48に記載の薬学的に受容可能な塩。
【請求項50】
1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、薬学的組成物。
【請求項51】
哺乳動物における微生物感染を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項52】
哺乳動物における真菌感染を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項53】
哺乳動物における寄生虫病を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項54】
哺乳動物における増殖性疾患を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項55】
哺乳動物におけるウイルス感染を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項56】
哺乳動物における炎症性疾患を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項57】
哺乳動物における胃腸運動障害を治療する方法であって、哺乳動物に有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
【請求項58】
哺乳動物における障害を治療する方法であって、該方法は、該哺乳動物に、有効量の1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を投与し、それによって該障害の症状を改善する工程を包含し、ここで、該障害は、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス感染後肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血症、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的予防、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性感染ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性微生物感染および結核からなる群から選択される、方法。
【請求項59】
前記化合物は、経口投与、非経口投与または局所投与される、請求項51〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を合成する方法。
【請求項61】
1種以上の請求項1〜49のいずれか1項に記載の化合物および/または1種以上のその薬学的に受容可能な塩を含む、医療機器。
【請求項62】
前記機器がステントである、請求項61に記載の医療機器。

【公表番号】特表2008−508271(P2008−508271A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523532(P2007−523532)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/039966
【国際公開番号】WO2006/022794
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(502427253)リブ−エックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】Rib−X Pharmaceuticals, Inc.
【住所又は居所原語表記】New Haven, Connecticut,U.S.A.
【Fターム(参考)】