説明

ビオチンまたはビオチン誘導体との少なくとも一つの共有結合を含み抗血栓活性を有するポリサッカライド

【課題】抗血栓活性を有する合成ポリサッカライド類またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物の提供。
【解決手段】ヘパリンのドメイン-Aドメインに対応する硫酸化およびアルキル化ポリサッカライド誘導体に、ビオチン(ヘキサヒドロ-2-オキソ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-ペンタン酸)またはビオチン誘導体を共有結合させた合成オリゴサッカライド類を有効成分として含有する、ヘパリンの抗凝固および抗血栓薬理活性を有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビオチンまたはビオチン誘導体と少なくとも一つの共有結合を示し、ヘパリンの抗凝固および抗血栓薬理活性を有する新規な合成オリゴ-およびポリサッカライド類に関する。
ヘパリンは、血液凝固カスケードに含まれる2つの酵素、すなわち因子Xaおよび因子IIa(またはトロンビン)の阻害に、とりわけ、抗トロンビンIII(ATIII)を介して触媒作用を及ぼす。低分子量ヘパリン類(LMWHs)を含む製剤は、4〜30のモノサッカライド類を形成する連鎖を含み、トロンビンに関してよりも因子Xaに関して、より選択的な作用特性を有する。
【0002】
因子Xaの阻害は、抗トロンビン-結合ドメイン(ドメイン-A)を介するヘパリンのAT IIIへの付着を必要とし、因子IIa(トロンビン)の阻害はドメイン-Aを介するAT IIIへの付着、および十分に確立していない結合ドメイン(ドメイン-T)を介するトロンビンへの付着を必要とする。
ヘパリンのドメイン-Aドメインに対応する合成オリゴサッカライド類は公知である。それらは、例えば、EP84999およびEP529715特許、WO99/36428として公開された特許出願、ならびに刊行物Bioorg. Med. Chem., 1998, 6, 1509-1516に開示されている。これらの合成オリゴサッカライド類は抗トロンビンIIIを介して、トロンビンに関してどんな作用も有さない凝固因子Xaを選択的に阻害する特性を有する。それらは静脈血栓症における抗血栓活性を発揮する。
【0003】
AT IIIの活性化を介してトロンビンおよび因子Xaを阻害することができる合成オリゴサッカライド類は、WO98/03554およびWO99/36443として公開された特許出願に開示されている。
新規な生物学的に活性な硫酸化およびアルキル化ポリサッカライド誘導体は、これらの特許出願に開示されている。それらは特に抗凝固剤であり、抗血栓剤である。とりわけ、これらの硫酸化およびアルキル化ポリサッカライドは、糖質基幹により保持されているアルキル基および硫酸基の配置に依存して、強力な抗血栓および抗凝固剤であり得ることを示した。より一般的には、ポリサッカライドシークエンスを調製することにより、ヘパリンの抗凝固および抗血栓薬理学的特性を示す非常に活性な物質を得るために、GAGsタイプの活性を正確に調節することが可能であることが見出された。ヘパリンと比較すれば、それらは特異的な構造を有し、血小板因子4、ヘパリンの血小板減少効果の原因と反応しない特長を示す。
【0004】
しかしながら、WO98/03554およびWO99/36443として公開された特許出願ならびにEP529715特許に開示されているいくつかの物質のヒトの治療における使用は、特にこれらの物質が長い半減期を有すれば、問題であることを明らかにしている。上記の物質を用いる血栓症の予防または治療の分野で、もたらされる出血を予防する間、血液の流動性は再度確立されるか、または維持されなければならない。
これは出血が、治療中である患者においてどんな偶発的な原因でも引き起こされ得ることが周知だからである。抗血栓治療中の患者に外科的に介在する必要もある。さらに、抗凝固剤は、いくつかの外科的処置の間に血液凝固を防ぐために、高投与量で用いられてもよく、手術の終了時にはそれらを無効にする必要がある。したがって、いかなるときでも抗血栓剤の活性を停止するために、中和され得る抗血栓剤を有することは有利である。実際に、上記の公知の合成オリゴサッカライド類は、硫酸プロタミンを含むヘパリンまたはLMWHs用の公知の解毒剤により容易に中和され得ない。
【0005】
本発明は、WO98/03554およびWO99/36443として公開された特許出願ならびにEP529715特許に開示されている化合物の構造と類似の構造を有する新規な合成ポリサッカライド類に関する:本発明の主題である合成オリゴサッカライド類の構造は、ビオチン(ヘキサヒドロ-2-オキソ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-ペンタン酸)またはビオチン誘導体と共有結合を示すという意味において修飾されている。驚くべきことに、ビオチンまたはビオチン誘導体の導入は、ポリサッカライド類の薬理学的活性を変更しないと思われる。実際に、本発明の主題である新規なポリサッカライド類は、先行技術のオリゴサッカライド類のものと比較でき得る抗血栓活性を有する。しかしながら、その上、それらは緊急事態において特異的な解毒剤により速やかに中和され得る利点を有する。この特異的な解毒剤は、アビジン(メルクインデックス、第12版、1996、M.N. 920、151-152頁)またはストレプトアビジン(streptavidin)であり、約66000および60000 Daに等しいそれぞれの質量を有する2つの4量体蛋白は、ビオチンに対して非常に高い親和性を有する。
一般に、本発明は、ビオチンまたはビオチン誘導体と少なくとも一つの共有結合を有し、抗血栓活性を有する合成ポリサッカライド類に関する。
【0006】
ビオチン誘導体としては、ピアスカタログ(Pierce catalogue)、1999-2000、62〜81頁に示されているビオチン誘導体、例えば、6-ビオチンアミドヘキサノエート、
【化21】

または6-[6-ビオチンアミドヘキサミド]ヘキサノエート、
【化22】

【0007】
または2-ビオチンアミドエタンチオール、
【化23】

【0008】
または次の式:
【化24】

【0009】
【化25】

【0010】
【化26】

【0011】
【化27】

【0012】
【化28】

【0013】
【化29】

【0014】
【化30】

の化合物が挙げられる。
【0015】
とりわけ、本発明の主題は、式(I):
【化31】

[式中:
− 波線はピラノース環の平面図形の下側または上側に位置する結合を意味し、
【化32】

【0016】
Poは、n個の同一または異なったモノサッカライドユニットを含み、そのアノマー炭素を介してPeに結合しているポリサッカライドを意味し、
【化33】

は、ヘキソース類、ペントース類および対応するデオキシ糖類から選択されるピラノース構造を有するモノサッカライドユニットの図式による表示であり、このユニットはそのアノマー炭素を介してもう一つのモノサッカライドユニットに結合していて、このユニットのヒドロキシ基は同一または異なったR1基により置換されており、R1は以下に定義するとおりであり、
【0017】
− Peは構造:
【化34】

のペンタサッカライドを表し、
− hは1または2に等しく、
− nは整数であり、0〜25のいずれかの値をとることができ、
− R1は-T-Biot連結、(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表し、
− R2は-T-Biot連結、(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表し、
− R3は-T-Biot連結または(C1-C6)アルコキシ基を表し、
− R4は-T-Biot連結、(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表すか、あるいはR4は-O-CH2-架橋を構成し、-CH2-基は同じ環のカルボキシ官能基を有する炭素原子に結合しており;
【0018】
1、R2、R3またはR4置換基の少なくとも一つは-T-Biot基を表すものと理解され、
− Wは酸素原子またはメチレン基を表し、
− Tは:
NH、
【化35】

または
【化36】

[式中、jおよびkは同一または異なって、1〜10のいずれかの値をとり得る整数である]
から選択される連結の一つを表し;
【0019】
-Biotは基:
【化37】

を表す]
のポリサッカライド類およびそれらの医薬的に許容される塩である。
【0020】
上記のように、一般に本明細書中において、波線はピラノース環の平面図形の下側または上側に位置する結合を意味することに注意すべきである。
Poの中にあるモノサッカライド類は、互いに同一または異なっていてもよく、グリコシド間の結合はαまたはβタイプであり得る。
これらのモノサッカライド類は、DもしくはL六単糖類 アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ガロース、イドース、ガラクトースまたはタロース(この場合、h = 2)、あるいはDもしくはL五単糖類 リボース、アラビノース、キシロースまたはリキソース(この場合、h = 2)から有利に選択される。例えば、デオキシ糖類のような、その他のモノサッカライド類も用いられ得る(h = 1 および/または-CH21 = CH3)。
【0021】
ポリサッカライド部分Poは、0〜25のアルキル化およびジ−またはトリスルホン化モノサッカライド単位から構成され得る。
ポリサッカライド部分Poは、0〜25のアルキル化およびモノ−またはジスルホン化モノサッカライド単位からも構成され得る。
ポリサッカライド部分Poは、0〜25の荷電していないおよび/または部分的に荷電したおよび/または完全に荷電した、アルキル化モノサッカライド単位から構成され得る。
荷電したまたは荷電していないユニットは、連鎖またはその他の結合に沿って分散されることができ、一方、それらは荷電した、または荷電していないサッカライドドメインにグループ化され得る。
【0022】
ユニット間の結合は、1、2; 1、3; 1、4; 1、5; 1、6であり、αまたはβタイプであり得る。
本発明において、選択はL-イズロン酸については14コンフォメーションそしてD-グルクロン酸については41コンフォメーションを表すようになされているが、一般に、モノサッカライド単位の溶液におけるコンフォメーションが変動することは周知である。
したがって、L-イズロン酸は、1420または41コンフォメーションを有し得る。
【0023】
その観点の一つによれば、本発明は、式(I.1):
【化38】

[式中:
【化39】

は、(I)で定義したようにそれらのアノマー炭素を介してPeに結合しているポリサッカライド類Poの具体的な群を意味し、
【0024】
【化40】

は、(I)で定義したとおりであり、
− R1基は(I)で定義したとおりであり、同じモノサッカライドについては同一でも異なっていてもよい、
− [ ]mの中にあるモノサッカライドはm回繰り返され、[ ]tの中にあるモノサッカライドはt回繰り返され、[ ]pの中にあるモノサッカライドはp回繰り返され、
− mは1から5まで変化する整数であり、tは0から24まで変化する整数であり、pは0から24まで変化する整数であり、1≦m+t+p≦25であると理解される]
のポリサッカライド、およびそれらの医薬的に許容される塩に関する。
【0025】
これらの式(I.1)のポリサッカライド類の中で、R1、R2、R3またはR4置換基の一つだけが、(I)で定義したとおりのTおよびBiotを有する-T-Biot連結を表すポリサッカライド類およびそれらの医薬的に許容される塩は、本発明のもう一つの観点を構成する。
【0026】
特別な観点によれば、本発明は、式(I.2):
【化41】

[式中:
− Tは:
NH、
【化42】

【0027】
または
【化43】

[式中、jおよびkは同一または異なって、1〜10のいずれかの値をとり得る整数である]
から選択される連結を表し;
− Biotは基:
【化44】

を表し、
【0028】
− Peは構造:
【化45】

[式中:
− R1は(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表し、
− R2は(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表し、
− R3は(C1-C6)アルコキシ基を表し、
− R4は(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表すか、あるいはR4は-O-CH2-架橋を構成し、その-CH2-基は同じ環のカルボキシ官能基を有する炭素原子に結合しており、
− Wは酸素原子またはメチレン基を表す]
のペンタサッカライドを表す]
のヘキサデカサッカライド類、およびそれらの医薬的に許容される塩に関する。
【0029】
もう一つの観点によれば、本発明は、式(I.3):
【化46】

[式中、R1、R2、R3、R4およびWは(I)で定義したとおりである]
のペンタサッカライド類、およびそれらの医薬的に許容される塩に関する。
式(I.3)のこれらのペンタサッカライド類の中で、R1、R2、R3またはR4置換基の一つだけが、(I)で定義したとおりのTおよびBiotを有する-T-Biot連結を表すペンタサッカライド類およびそれらの医薬的に許容される塩は、本発明のもう一つの観点を構成する。
【0030】
式(I.3)のこれらのペンタサッカライド類の中で、本発明のもう一つの主題は、式(I.4):
【化47】

[式中:
− Tは:
NH、
【化48】

または
【化49】

[式中、jおよびkは同一または異なって、1〜10のいずれかの値をとり得る整数である]
から選択される一つの連結を表し;
【0031】
− Biotは基:
【化50】

− R1は(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表し、
− R2は(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表し、
− R3は(C1-C6)アルコキシ基を表し、
− R4は(C1-C6)アルコキシ基または-OSO3-基を表すか、あるいはR4は-O-CH2-架橋を構成し、その-CH2-基は同じ環のカルボキシ官能基を有する炭素原子に結合しており、
− Wは酸素原子またはメチレン基を表す]
のペンタサッカライド類およびそれらの医薬的に許容される塩である。
【0032】
もう一つの観点によれば、本発明は次のポリサッカライド類に関する:
− メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-ビオチンアミド-6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩、
【0033】
− メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-[6-(ビオチンアミド)ヘキサミド]-6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩、
【0034】
− メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-[6-(6-ビオチンアミドヘキサミド)ヘキサミド]-6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩、
【0035】
− メチル (2-ビオチンアミド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩、
【0036】
− メチル (2-[N-(6-ビオチンアミドヘキサノイル)]-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩、
【0037】
− メチル (2-[6-(6-ビオチンアミドヘキサミド)ヘキサミド]-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩。
【0038】
本発明は、それらの酸の形態、またはそれらの医薬的に許容される塩のいずれか一つの形態にあるポリサッカライド類を包含する。酸の形態では、−COO-および−SO3-官能基はそれぞれ−COOHおよび−SO3Hの形態にある。
用語「本発明のポリサッカライド類の医薬的に許容される塩」は、−COO-および/または−SO3-官能基の一以上が、医薬的に許容されるカチオンにイオン的に結合しているポリサッカライドを意味する。
本発明による好ましい塩は、カチオンがアルカリ金属のカチオンから選択されるものであり、よりいっそう好ましくは、カチオンがNa+またはK+であるものである。
【0039】
上記の式(I)の化合物は、一以上の水素または炭素原子がそれらの放射性同位元素、例えばトリチウムまたは炭素-14により置換されたものも含む。そのような標識化合物は、研究、代謝または薬物動態研究および生化学的アッセイにおいて、リガンドとして用いられるものである。
本発明による化合物の製造方法の原理は、文献中に上記のように調製されたジ-またはオリゴサッカライド塩基シントン(synthon)の使用を含む。とりわけ、特許または特許出願、EP300099、EP529715、EP621282およびEP649854ならびに文献 C. van Boeckel, M. Petitou, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1993, 32, 1671-1690が参照される。引き続きこれらのシントンは、発明によるポリサッカライドの完全に保護された等価物を提供するために、互いに結合させられる。この保護された等価物は、引き続き本発明による化合物に変換される。
【0040】
上記の塩基シントンの一つは、その後のビオチンまたはビオチン誘導体の導入を可能にする特別の保護された官能基、例えばアジド基の形態にあるかまたはN-フタルイミド基の形態に保護された、潜在的なアミン官能基を含む。
上記のカップリング反応において、アノマー性の炭素において活性化された「供与体」ジ-またはオリゴサッカライドは、遊離のヒドロキシを有する「受容体」ジ-またはオリゴサッカライドと反応する。
【0041】
本発明は:
第1工程において、硫酸化ポリサッカライドPoの保護された前駆体により、その非還元性末端で延長されたPeドメインの保護された前駆体を含む所望のポリサッカライド(I)の完全に保護された等価物が合成され、これらの前駆体の一つは、とりわけ、ビオチンまたはビオチン誘導体のその後の導入のために好適に保護されたアミン官能基を含む;
第2工程において、マイナスに帯電している基を導入しおよび/または覆いを取る;
第3工程において、アミン官能基を脱保護し、次いでビオチンまたはビオチン誘導体を導入することを特徴とする、式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0042】
Peの合成は、とりわけ、WO98/03554およびWO99/36443として公開された特許出願ならびに文献(上記)に記載の方法に従って行われる。
Poの前駆体であるポリサッカライド部分は、オリゴサッカライド類の合成方法(G.J. Boons, tetrahedron, 1996, 52, 1095-1121、WO98/03554およびWO99/36443)を用いて、当業者に公知の反応に従って合成されるか、またはグリコシド結合供与体であるオリゴサッカライドが、グリコシド結合受容体であるオリゴサッカライドと結合してもう一つのオリゴサッカライドを得る場合には、オリゴサッカライドの大きさは、2つの反応性種の大きさの和に等しい。このシークエンスは式(I)の所望の化合物が得られるまで繰り返される。所望の最終化合物の電荷の特質およびプロフィールは、当業者に周知の規則に従って、合成の種々の工程で用いられる化学的な構成要素の特質を決定する。例えば、C. van BoeckelおよびM. Petitou, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1993, 32, 1671-1690, またはH. Paulsen, “Advances in selective chemical syntheses of complex oligosaccharides”, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 21, 155-173 (1982)を参照することができる。
【0043】
本発明の化合物は、次の一連の反応を用いることにより、完全に保護されたポリサッカライド前駆体から得られる:
− O-スルホ基に変換されるべきアルコール官能基およびカルボン酸は、基幹の調製の間に用いられる保護基を除去することにより脱保護され、次いで、
− 引き続きスルホ基を導入し、
− ビオチンまたはビオチン誘導体の導入を可能にするアミン官能基を脱保護し、
− ビオチンまたはビオチン誘導体を従来のアミノ酸カップリング反応により導入する。
本発明の化合物は、オリゴサッカライドの合成に対する当該技術分野の熟達者に公知の種々の方法を用いることにより当然調製され得る。
【0044】
上記の方法は、本発明の好ましい方法である。しかしながら、式(I)の化合物は、例えばMonosaccharides, their chemistry and their roles in natural products, P.M. CollinsおよびR.J. Ferrier, J. Wiley & Sons, 1995、およびG.J. Boons, tetrahedron, 1996, 52, 1095-1121に記載されている、糖化学において周知のその他の方法により調製され得る。
したがって、ペンタサッカライド類Peは、C. van BoeckelおよびM. Petitouによる刊行物、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1993, 32, 1671-1690に記載の方法のジサッカライドシントンから得ることができる。
【0045】
化合物(I)の調製のための方法で用いられる保護基は、例えばProtective Groups in Organic Synthesis, T.W. Greene, John Wiley & Sons, New York, 1981にあるような、糖化学で通常用いられるものである。
保護基は、例えばアセチル、ハロメチル、ベンゾイル、レブリニル、ベンジル、置換ベンジル、任意に置換されたトリチル、テトラヒドロピラニル、アリル、ペンテニル、tert-ブチルジメチルシリル(tBDMS)またはトリメチルシリルエチル基から有利に選択される。
【0046】
活性基は、例えばG.J. Boons, tetrahedron, 1996, 52, 1095-1121に従って糖化学で通常用いられているものである。これらの活性基は、例えばイミデート、チオグリコシド、ペンテニルグリコシド、キサンテート、ホスファイトまたはハライドから選択される。
ビオチンがオリゴサッカライドに結合される方法およびビオチン誘導体の特性に関して、化学文献は、当業者に周知の保護基の一組で利用されうるその他の可能性を提案している。活性化エステル、マレイミド、ヨードアセチルまたは一級アミンタイプの反応性の基を含むビオチン誘導体と反応するアミン官能基、またはチオール官能基、またはカルボン酸官能基、またはアルデヒド官能基が使用され、反応は、文献(Savageら、Avidin-Biotin Chemistry: A Handbook; Pierce Chemical Company, 1992を参照されたし)に記載の条件に従って起こる。
【0047】
上記の方法は、塩の形態にある本発明の化合物を得ることを可能にする。
対応する酸を得るためには、塩の形態にある本発明の化合物を、酸型のカチオン交換樹脂と接触させる。
所望の塩を得るために、酸の形態にある本発明の化合物を引き続き塩基で中和することができる。式(I)の化合物と医薬的に許容される塩を生じるどんな無機または有機塩基でも、式(I)の化合物の塩の調製のために使用され得る。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムは塩基として好んで用いられる。式(I)の化合物のナトリウムおよびカルシウム塩は好ましい塩である。
【0048】
本発明による化合物は、生化学および薬理学的研究の主題を形成した。
これらの物質およびそれらの中和の包括的な抗血栓活性は、J.-M. Herbertら(Blood, 1998, 91, 4197-4205)により記載されているように、組織因子の注射、次いでラットの大静脈の血行停止を含む静脈血栓症モデルにおいて研究された。このモデルにおいて、化合物0.1〜30 mmol/kgの静脈内注射後に、抗血栓の60%阻害が得られた。
モル比1〜1000でのアビジンの注射は、これらの化合物の抗血栓活性を顕著に減少し、得られる減少は50%より大きいこともあり得る。同様に、化合物の前出血性活性は、上記の投与量でのアビジンの注射により中和される。それに加えて、抗Xa活性および/または抗IIa活性により測定されるオリゴサッカライド類の循環活性は、アビジンの注射により中和される。
【0049】
したがって、本発明のもう一つの主題は、本発明によるポリサッカライド類を中和することを可能にすることを特徴とする、アビジンまたはストレプトアビジンを用いる方法である。アビジンまたはストレプトアビジンは本発明によるポリサッカライド類を中和することを意図する医薬品の製造用に用いられ得る。
それらの生化学的および薬理学的活性の特長によれば、本発明のオリゴサッカライド類は、きわめて有利な医薬品を構成する。それらの毒性は、この用途と完全に適合できる。それらは非常に安定でもあり、したがって特許された医薬物質の有効成分を構成するのに特に好適である。
【0050】
それらは、アテローム性動脈硬化症および糖尿病、例えば不安定狭心症、脳出血、血管形成術後再狭窄、動脈内膜除去または血管内人工装具の挿入に関連する血栓塞栓症障害;あるいは血栓崩壊後再血栓症、梗塞形成、虚血性起源の痴呆、末梢性動脈疾患、血液透析または心房性細動に関連する血栓塞栓症障害、あるいは大動脈冠動脈バイパス用の脈管用人工装具の使用中のような、とりわけ、心臓血管疾患および脳血管系の障害の間に見られる凝固系のホメオスタシスの変異に起因する種々の病状において用いられ得る。その上、これらの物質は、肺塞栓のような静脈起源の血栓塞栓症病状の治療または予防用に用いられ得る。それらは、観察された血栓症合併症、例えば次の外科的手術、腫瘍の成長または細菌性、ウィルス性もしくは酵素性活性剤により誘発される凝固妨害を予防または治療するために用いられ得る。人工装具の挿入の間のそれらの使用の場合において、本発明の化合物は人工装具を覆うことができ、したがって、それらに血液適合性を与える。とりわけ、それらは血管内の人工装具(ステント)に接着され得る。この場合において、それらは、EP649854により開示されているように、適当なウデの非還元性または還元性末端基における導入により、化学的に任意に修飾され得る。
【0051】
本発明の化合物は、ポーラスなバルーンで動脈内膜除去術を行なう間の補助剤としても用いられ得る。
本発明による化合物は、上記の疾病を意図する医薬品の製造において用いられ得る。
したがって、もう一つの観点によれば、本発明の主題は、一以上の不活性で、適当な賦形剤との任意に組み合わせ中に、本発明による合成ポリサッカライドまたはその医薬的に許容される塩の一つを有効成分として含む医薬組成物である。
【0052】
上記の賦形剤は、所望の医薬形態および所望の投与方法(経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、経粘膜、局所または直腸)に従って選択される。
有効成分はシクロデキストリン、例えばα-、β-またはγ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンまたはメチル-β-シクロデキストリンとの複合体の形態中にも存在し得る。
有効成分は、それを含むバルーンにより、または血管内に挿入された血管内伸長器によっても放出され得る。したがって、有効成分の薬理学的有効性は影響を受けない。
各投与量単位において、有効成分は、所望の予防または治療効果を得るために思い描かれる1日投与量に適した量で存在する。
【0053】
各投与量単位は、有効成分0.1〜100mg、好ましくは0.5〜50mgから成り得る。これらの抗凝固化合物の投与は、iv(静脈内)注射、丸薬または輸液による1〜1000mgを範囲とするアビジンまたはストレプトアビジンの投与量により、中和されるかもしれない。
本発明による化合物は、所望の療法で有用な、例えば抗血栓薬、抗凝固剤、例えばジピリダモール、アスピリン、チクロピジンまたはクロピドグレルのような血小板凝集阻害剤、あるいはグリコプロテインIIb/IIIa複合アンタゴニストのような、一以上のその他の有効成分との組合せにおいても用いられ得る。
【0054】
次の方法、製造およびスキームは、本発明によるポリサッカライドの製造に有益な種々の中間体の合成を説明する。
次の略語が用いられる:
Bn: ベンジル; Bz: ベンゾイル; TLC: 薄層クロマトグラフィー; Ts: トシル; Lev: レブリニル; Et: エチル; Ph: フェニル; Me: メチル; Ac: アセチル; SE: トリメチルシリルエチル; ESI: エレクトロンスプレーイオン化; ビオチン: ヘキサヒドロ-2-オキソ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-ペンタン酸; Z: ベンジルオキシカルボニル。
引き続いて、本発明の化合物の合成例をイラストを用いて詳細に説明する。
スキーム 1 − トリサッカライド 9の合成
【0055】
【化51】

【0056】
製造例 1
2-(トリメチルシリル)エチル 4,6-O-ベンジリデン-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (2)
水素化ナトリウム(18 g)を、0℃で、化合物1 (15.8 g、42.8 mmol) (K. Janssonら、J. Org. Chem., 1988, 53, 5629-5647にしたがって調製した)およびヨウ化メチル(20 ml、319 mmol)のテトラヒドロフラン(350 ml)溶液に少しづつ加える。反応混合物室温で4時間撹拌する。過剰の水素化ナトリウムをメタノールで分解し、反応混合物を氷水(1.5 l)に注ぐ。酢酸エチルで抽出後に、有機相を食塩の飽和溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 15/1 (v/v))により精製し、16.8 gの化合物2を得る。
[α]D = -41° (C = 0.69、ジクロロメタン)。
【0057】
製造例 2
2-(トリメチルシリル)エチル 6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (3)
化合物2 (16 g、40.3 mmol)のテトラヒドロフラン(600 ml)溶液に、順次、3Åモレキュラーシーブ粉末(82 g)、メチルオレンジ(変色指示薬)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(34 g、526 mmol)を加え、次いで塩化水素酸のジエチルエーテル飽和溶液を、ピンクの着色が得られるまで滴下する。ろ過後に酢酸エチルで抽出し、有機相を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 3/1 (v/v))により、12.5 gの化合物3を得ることが可能である。
[α]D = -42° (C = 1.2、ジクロロメタン)。
【0058】
製造例 3
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-ベンゾイル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (5)
トルエン (300 ml)中のチオグリコシド4 (16.52 g、16.60 mmol) (WO 99/36443として公開された特許出願の製造例1に従って得られた)、化合物3 (6.0 g、15.05 mmol)および4Åモレキュラーシーブ粉末(16.7 g)の混合物を、アルゴン雰囲気下に、室温で1時間撹拌する。次いで、混合物を-20℃に冷却する。ジクロロメタン/ジオキサン混液(1/1 (v/v)、86 ml)中のN-ヨードコハク酸イミド(3.9 g、17.4 mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.17 ml、1.97 mmol)の溶液を反応混合物に滴下する。10分後に、反応混合物をろ過し、ジクロロメタンで希釈し、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 6/1 (v/v))により精製し、18.8 gのトリサッカライド 5を得る。
[α]D = +34° (C = 1.26、ジクロロメタン)。
【0059】
製造例 4
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (6)
カリウム tert-ブトキサイド(3.15 g)を、メタノール/ジオキサン混液(1/1 (v/v)、140 ml)中の化合物5 (18.7 g、14 mmol)の溶液に加える。反応混合物を室温で2時間撹拌する。それをダウエックス(商標) 50WX4 H+樹脂で中和し、ろ過し、真空下に濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 20/1 (v/v))により精製し、10.0 gの化合物6を得る。
[α]D = +29° (C = 1.11、ジクロロメタン)。
【0060】
製造例 5
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (7)
水素化ナトリウム(5.2 g、216 mmol)を、アルゴン雰囲気下に、無水テトラヒドロフラン(100 ml)中の化合物6 (9.93 g、12.24 mmol)およびヨウ化メチル(9.0 ml、138 mmol)の冷却した(0℃)混合物に、少しずつ加える。混合物を室温で20時間撹拌する。過剰の水素化ナトリウムをメタノールで分解し、反応混合物を氷水(500 ml)に注ぐ。酢酸エチルで抽出後に、有機相を食塩の飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮し、11 gの化合物7を得、精製せずに次の工程で用いる。
TLC: Rf = 0.38、シリカゲル、トルエン/酢酸エチル 3/2 (v/v)。
【0061】
製造例 6
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (8)
化合物7 (11 g)を60% 酢酸 (180 ml)に溶解し、80℃で1時間30分撹拌する。混合物を濃縮し、トルエンと共に蒸発させる。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/アセトン 2/1 (v/v))により精製し、8.46 gの化合物8を得る。
TLC: Rf = 0.36、シリカゲル、トルエン/アセトン 1/1 (v/v)。
【0062】
製造例 7
2-(トリメチルシリル)エチル (6-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (9)
1-ベンゾイルオキシ-1H-ベンゾトリアゾ−ル(5.36 g、22.4 mmol)およびトリエチルアミン(3.32 ml)を、化合物8 (8.41 g、10.6 mmol)のジクロロメタン(110 ml)溶液に加える。混合物を室温で20時間撹拌し、次いでジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液および水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール5/0.5/0.25 (v/v/v))により精製し、8.40 gの化合物9を得る。
[α]D = +15° (C = 2、ジクロロメタン)。
スキーム 2 − ペンタサッカライド14の合成
【0063】
【化52】

【0064】
製造例 8
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-ベンゾイル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (10)
化合物9を製造例3に記載の方法に従って化合物10に変換する。
[α]D = +42° (C = 2、ジクロロメタン)。
【0065】
製造例 9
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (11)
化合物10を製造例4に記載の方法に従って化合物11に変換する。
TLC: Rf = 0.35、シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 10/1 (v/v)。
【0066】
製造例 10
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (12)
化合物11を製造例5に記載の方法に従って化合物12に変換する。
TLC: Rf = 0.11、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル 1/2 (v/v)。
【0067】
製造例 11
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (13)
化合物12を製造例6に記載の方法に従って化合物13に変換する。
TLC: Rf = 0.33、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール 2/0.5/0.5 (v/v/v)。
【0068】
製造例 12
2-(トリメチルシリル)エチル (6-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (14)
化合物13を製造例7に記載の方法に従って化合物14に変換する。
TLC: Rf = 0.16、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール3/0.5/0.5 (v/v/v)。
スキーム 3 − ヘプタサッカライド19の合成
【0069】
【化53】

【0070】
製造例 13
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-ベンゾイル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (15)
製造例3に記載の方法に従って、化合物14とジサッカライド4とのカップリング反応を行い、化合物15を与える。
[α]D = +52° (C = 1.1、ジクロロメタン)。
【0071】
製造例 14
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (16)
製造例 4に記載の方法に従って化合物15を化合物16に変換する。
TLC: Rf = 0.31、シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 10/1 (v/v)。
【0072】
製造例 15
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]2-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (17)
製造例 5に記載の方法に従って化合物16を化合物17に変換する。
TLC: Rf = 0.46、シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 10/1 (v/v)。
【0073】
製造例 16
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (18)
製造例 6に記載の方法に従って化合物17を化合物18に変換する。
TLC: Rf = 0.42、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール1/0.5/0.5 (v/v/v)。
【0074】
製造例 17
2-(トリメチルシリル)エチル (6-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (19)
製造例 7に記載の方法に従って化合物18を化合物19に変換する。
TLC: Rf = 0.25、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール3/0.5/0.5 (v/v/v)。
スキーム 4 − ノナサッカライド 23の合成
【0075】
【化54】

【0076】
製造例 18
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-ベンゾイル-4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-O-ベンゾイル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]2-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (20)
トルエン中のチオグリコシド4 (5.2 g、5.23 mmol)、ヘプタサッカライド19 (4.72 g、2.75 mmol)および4Å モレキュラーシーブ粉末の混合物を、アルゴン雰囲気下に、1時間撹拌する。N-ヨードコハク酸イミド(1.36 g、5.85 mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.140 ml、1.56 mmol)のジクロロメタン/ジオキサン(1/1 (v/v)、32 ml)溶液を、次いで0℃で滴下する。15分後に、反応混合物をろ過し、ジクロロメタンで希釈し、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグライフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール 3/0.5/0.5 (v/v/v))により精製し、7.13 gの化合物20を得る。
[α]D = +65° (C = 1.4、ジクロロメタン)。
【0077】
製造例 19
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]2-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (21)
製造例4に記載の方法に従って化合物20を化合物21に変換する。
TLC: Rf = 0.27、シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 10/1 (v/v)。
【0078】
製造例 20
2-(トリメチルシリル)エチル (4,6-O-ベンジリデン-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (22)
製造例 5に記載の方法に従って化合物21を化合物22に変換する。
TLC: Rf = 0.31、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール5/1/1 (v/v/v)。
【0079】
製造例 21
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (23)
製造例 6に記載の方法に従って化合物22を化合物23に変換する。
TLC: Rf = 0.35、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール2/1/1 (v/v/v)。
スキーム 5 − モノサッカライド29の合成
【0080】
【化55】

【0081】
製造例 22
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3-ジ-O-メチル-6-O-トシル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (24)
化合物23 (1.09 g)をアルゴン雰囲気下に、ピリジン(10 ml)に溶解し、次いでトシルクロライド(1.03 g)を加える。撹拌2時間後に、反応混合物をジクロロメタン(100 ml)で希釈する。有機相を10%硫酸水素カリウム溶液、次いで水で順次洗浄し、乾燥し、蒸発乾固させる。シリカゲルカラムクロマトグライフィー(トルエン/アセトン 2.3/2 (v/v))後に、1.77 gの化合物24を得る。
TLC: Rf = 0.5、シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール 3/1/1 (v/v/v)。
【0082】
製造例 23
2-(トリメチルシリル)エチル (6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (25)
フタルイミドカリウム(225 mg、1.38 mmol)、次いで18-クラウン-6クラウンエーテル(121.5 mg、0.46 mmol)を、4Å モレキュラーシーブ粉末を含む化合物24 (500 mg、0.23 mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(11 ml)溶液に加える。混合物を80℃で4時間撹拌する。冷却後に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、セライトろ過し、濃縮する。残渣をセファデックス(商標)LH20ゲルクロマトグラフィー(3 × 100 cm) (ジクロロメタン/エタノール 1/1 (v/v))、次いでシリカゲルカラムクロマトグライフィー(11/2 (v/v) トルエン/エタノール)により精製し、417.4 mgの化合物25を得る。
TLC: Rf = 0.38、シリカゲル、トルエン/エタノール 11/2 (v/v)。
【0083】
製造例 24
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-ベンジル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (27)
トルエン (33 ml)中のチオグリコシド26 (1.515 g、1.564 mmol) (特許WO 99/36443の製造例36の化合物41に従って製造した)、受容体25 (840 mg、0.391 mmol)および4Å モレキュラーシーブ粉末(2.15 g)の混合物を、アルゴン雰囲気下に、1時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、N-ヨードコハク酸イミド(387 mg)およびトリフルオロメタンスルホン酸(55.4μl)のジクロロメタン/ジオキサン(1/1 (v/v)、7 ml)溶液をそこへ加える。10分後に混合物をろ過し、トルエンで希釈し、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残渣をセファデックス(商標)LH20ゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/エタノール 1/1 (v/v))、次いでシリカゲルカラムクロマトグライフィー(トルエン/アセトン 5/4 (v/v))により精製し、887 mgの化合物27を結果として得る。
[α]D = +70° (C = 0.35、ジクロロメタン)。
【0084】
製造例 25
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (28)
化合物27 (750 mg、0.245 mmol)の酢酸(37 ml)溶液を、10%パラジウム-炭素(750 mg) の存在下に、水素圧(5 bar)下に、2時間30分処理する。ろ過後に、溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグライフィー(トルエン/エタノール 6/1 (v/v))により精製し、728 mgの化合物28を得る。
TLC: Rf = 0.32、シリカゲル、トルエン/エタノール /1 (v/v)。
【0085】
製造例 26
2-(トリメチルシリル)エチル (2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-アセチル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシド (29)
トリエチルアミン(51.1μl、0.368 mmol)、無水酢酸(32.5μl、0.344 mmol)およびジメチルアミノピリジン(6.0 mg、0.049 mmol)を、化合物28 (728 mg、0.245 mmol)のジクロロメタン (10 ml)溶液に加える。1時間撹拌後に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%硫酸水素カリウム溶液、水、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に濃縮する。残渣の精製を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行い、0.618 mgの化合物29を得ることができる。
TLC: Rf = 0.37、シリカゲル、トルエン/エタノール 6/1 (v/v)。
スキーム 6 − オリゴサッカライド31の合成
【0086】
【化56】

【0087】
製造例 27
(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-アセチル-2,3-ジ-O-メチル-D-グルコピラノース (30)
トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン混液(2/1 (v/v)、11.5 ml)中の化合物29 (579 mg、0.192 mmol)の溶液を1時間撹拌する。反応混合物をトルエン/酢酸n-プロピル混液(2/1 (v/v)、69 ml)で希釈し、濃縮し、トルエンと共に蒸発させる。残渣をシリカゲルカラムクロマトグライフィー(トルエン/エタノール 5/1 (v/v))により精製し、523 mgの化合物30を得る。
TLC: Rf = 0.31、シリカゲル、トルエン/エタノール 5/1 (v/v)。
【0088】
製造例 28
(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-6-O-アセチル-2,3-ジ-O-メチル-D-グルコピラノース トリクロロアセトイミデート (31)
トリクロロアセトニトリル(65.5μl、0.85 mmol)および炭酸セシウム(88.4 mg、0.27 mmol)を、化合物30のジクロロメタン(3 ml)溶液に加える。2時間撹拌後に、混合物をろ過し、濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/エタノール 6/1 (v/v) + 0.1%トリエチルアミン)により精製し、477 mgの化合物31を得る。
TLC: Rf = 0.35、シリカゲル、トルエン/エタノール 6/1 (v/v)。
【0089】
【化57】

【0090】
製造例 29
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-アセチル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(ベンジル 2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-(1→4)-(3,6-ジ-O-アセチル-2-O-ベンジル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(ベンジル 2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロネート)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-α-D-グルコピラノシド (33)
イミド体31 (370 mg、0.121 mmol)および化合物32 (336 mg、0.242 mmol) (P. Westerduinら、BioOrg. Med. Chem., 1994、2、1267に従って得られた)を、ジクロロメタン/ジエチルエーテル混液(1/2 (v/v)、5.5 ml)に溶解した。4Å モレキュラーシーブ粉末を加えた後、混合物を-20℃に冷却し、トリメチルシリル トリフルオロメタンスルホネートの0.1Mジクロロメタン(181.5μl)溶液を加える。25分後に、混合物を固形の炭酸水素ナトリウムを加えて中和する。ろ過および濃縮後に、残渣をセファデックス(登録商標)LH20ゲルクロマトグラフィー、次いでシリカゲルカラムクロマトグライフィー(トルエン/アセトン 6/5 (v/v))により精製し、302 mgの化合物33を得る。
[α]D = +86° (C = 1、ジクロロメタン)。
【0091】
製造例 30
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-アセチル-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(3,6-ジ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (34)
化合物33 (104 mg、0.024 mmol)の酢酸 (5 ml)溶液を、10%パラジウム-炭素(104 mg)の存在下、水素圧(4 bar)下に、4時間処理する。ろ過後に、溶液を凍結乾燥し、化合物34 (87 mg)を得、それを精製せずに次の工程で用いる。
【0092】
製造例 31
メチル (α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (35)
ナトリウムメトキサイドの1モルメタノール(140μl)溶液を、3Å モレキュラーシーブ粉末(875 mg)の存在下に、化合物34 (80 mg、0.021 mmol)の無水メタノール(6.9 ml)溶液に加える。室温で20時間後に、反応混合物をろ過し、ろ液を酢酸で中和する。溶液を半分に濃縮し、セファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(3 × 92 cm)に沈着させる。水による溶出および凍結乾燥後に化合物35 (66 mg)を得る。
【0093】
【化58】

【0094】
製造例 32
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-6-フタルイミド-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩 (36)
ポリオール 35 (66.4 mg、0.021 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1.8 ml)に溶解する。三酸化硫黄-トリエチルアミン複合体(320 mg、1.77 mmol)を加え、混合物を55℃で20時間撹拌する。溶液をセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(3 × 92 cm)に沈着させ、0.2M塩化ナトリウム溶液で溶出する。生成物を含む画分を濃縮し、水で溶出する同じカラムを用いて脱塩する。凍結乾燥後に、83 mgの化合物36を得る。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 4968.92; 実測質量 = 4966.52±0.16原子質量単位。
【0095】
製造例 33
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-アミノ-6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩 (37)
化合物36 (83 mg、0.017 mmol)を、エタノール/水混液(2/1 (v/v)、1.67 ml)に溶解する。ヒドラジン水和物(81.2μl、1.67 mmol)を加え、混合物を20時間還流させる。溶液をカラムセファデックス(登録商標)G-25(微細)(3 × 92 cm)に沈着させ、水で溶出する。生成物を含む画分を濃縮後に、残渣をエタノール/水(2/1 (v/v)、5.00 ml)に溶解し、ヒドラジン水和物(81.2μl)を用いる先の条件下で再び処理し、71 mgの化合物37を得る。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 4838.32; 実測質量 = 4814.6±0.70原子質量単位。
スキーム 9 − ペンタサッカライド39の合成
【0096】
【化59】

【0097】
製造例 34
メチル (6-O-アセチル-2-アジド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(ベンジル 2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-(1→4)-(3,6-ジ-O-アセチル-2-O-ベンジル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(ベンジル 2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロネート)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-ベンジル-α-D-グルコピラノシド (39)
6-O-アセチル-2-アジド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α、β-D-グルコピラノース トリクロロアセトイミデート化合物38 (265 mg、0.631 mmol) (J. Bastenら、BioOrg. Med. Chem. Lett. (1992), 2(9), 901に従って得られた)および化合物32 (584 mg、0.420 mmol) (P. Westerduinら、BioOrg. Med. Chem., 1994, 2, 1267に従って得られた)を、ジクロロメタン/ジエチルエーテル混液(1/2 (v/v)、28.5 ml)に溶解する。4Å モレキュラーシーブ粉末を加えた後に、混合物を-20℃に冷却し、トリメチルシリル トリフルオロメタンスルホネートの0.1Mジクロロメタン(94.6 μl)溶液を加える。10分後に、イミデート(53.8 mg)、次いでトリメチルシリル トリフルオロメタンスルホネートの0.1Mジクロロメタン(19.2μl)溶液を再び加える。10分後に混合物を、固形の炭酸水素ナトリウムの添加により中和する。ろ過および濃縮後に、残渣をシリカゲルカラムクロマトグライフィー(トルエン/酢酸エチル 3/1 (v/v))により精製し、499 mgの化合物39を得る。
[α]D = +66° (C = 1.07、ジクロロメタン)。
スキーム 10 − ペンタサッカライド44の合成
方法I
【0098】
【化60】

【0099】
製造例 35
メチル (6-O-アセチル-2-アミノ-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(3,6-ジ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (40)
tert-ブタノール/酢酸エチル混液(5/1 (v/v)、16 ml)中の化合物39 (552.6 mg、0.335 mmol)の溶液を、10%パラジウム-炭素(1.10 g)および1M塩酸(0.336 ml)の存在下、水素圧(10 bar)下に、4時間30分間処理する。ろ過後に、溶液を濃縮し、化合物40を得、それを精製せずに次の工程で用いる。
【0100】
製造例 36
メチル (2-アミノ-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (41)
化合物40 (324 mg、0.300 mmol)をメタノール(8.8 ml)に溶解する。5M水酸化ナトリウム溶液(2.2 ml)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌する。それをダウエックス(商標) 50 H+樹脂で中和し、ろ過する。その溶液を、水で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムに通す。生成物を含む画分を濃縮し、254.2 mgの化合物41を得る。この工程において、保護基(ベンジルおよびアセチル基)が除去されたことをNMRで確認する。
TLC: Rf = 0.26、シリカゲル、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 5/5/1/3 (v/v/v/v)。
【0101】
製造例 37
メチル (2-(ベンジルオキシカルボニル)アミノ-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (42)
化合物41 (241.1 mg、0.253 mmol)を水(12.4 ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(63.7 mg)を加え、次にベンジル クロロホルメート(41μl)を滴下する。12時間撹拌後に、反応混合物を、水で溶出するカラムセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムを通す。生成物を含む画分を濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグライフィー(酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 21/17/3.6/10 v/v/v/v)による生成で、221 mgの化合物42を得る。
TLC: Rf = 0.63、シリカゲル、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 5/5/1/3 (v/v/v/v)。
【0102】
製造例 38
メチル (2-(ベンジルオキシカルボニル)アミノ-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩 (43)
ポリオール 42 (19.6 mg、0.018 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1.62 ml)に溶解する。三酸化硫黄-トリエチルアミン複合体(114 mg)を加え、混合物を、光を遮蔽して55℃で20時間撹拌する。溶液を0.2M塩化ナトリウム溶液で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムに沈着させる。生成物を含む画分を濃縮し、水で溶出する同じカラムを用いて脱塩する。凍結乾燥後に、28.5 mgの化合物43を得る。
[α]D = +48° (C = 2.75、水)。
【0103】
製造例 39
メチル (2-アミノ-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩 (44)
tert-ブタノール(333μl)/水 (500μl)混液中の化合物43 (27.5 mg、0.015 mmol)の溶液を、10%パラジウム-炭素(8.25 mg)の存在下、水素圧(5 bar)下に16時間処理する。ろ過後に、溶液を濃縮し、残渣をセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(3 × 92 cm)に沈着させる。水による溶出および凍結乾燥後に、23.7 mgの化合物44を得る。
[α]D = +58° (C = 1、水)。
スキーム 11 − テトラサッカライド48の合成
【0104】
【化61】

【0105】
製造例 40
メチル (4-O-レブリニル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(3,6-ジ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (46)
酢酸エチル/tert-ブタノール(72 ml、1/1、v/v)混液中の化合物45 (4.50 g、3.02 mmol) (P. Westerduinら、BioOrg. Med. Chem., 1994, 2, 1267に従って得る)の溶液を、10%パラジウム-炭素(9.0 g)の存在下、水素圧(4 bar)下に6時間処理する。ろ過および濃縮後に、得られた化合物46を精製せずに次の工程で直接用いる。
TLC: Rf = 0.54、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 26/22/4.6/17 v/v/v/v。
【0106】
製造例 41
メチル (メチル 4-O-レブリニル-2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(メチル 2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロネート)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシド (47)
炭酸水素カリウム(2.71 g)、次いでヨウ化メチル(3.4 ml)を、化合物46 (2.57
g、2.71 mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(35 ml)溶液に0℃で加える。室温で16時間撹拌後に、反応混合物を0℃に冷却する。ジメチルアミノピリジン(132 mg)、次いで無水酢酸(1.5 ml)を順次連続して加える。混合物を16時間撹拌する。過剰の無水酢酸を中和した後に、混合物を酢酸エチルで希釈する。有機相を10%硫酸水素カリウム溶液、水、次いで炭酸水素ナトリウムの飽和溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、次いで蒸発乾固する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグライフィー[シクロヘキサン/(酢酸エチル/エタノール 1/1) 9/5]により精製し、2.51 gの化合物47を得る。
TLC: Rf = 0.41、トルエン/アセトン 2/1 v/v。
【0107】
製造例 42
メチル (メチル 2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(メチル 2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロネート)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシド (48)
化合物47 (2.5 g、2.56 mmol)をトルエン/エタノール混液(1/1 v/v、500 ml)に溶解する。ヒドラジン酢酸塩(1.01 g)を加える。室温で2時間撹拌後に、反応混合物を濃縮乾固する。残渣をジクロロメタンに溶解する。有機相を2%炭酸水素ナトリウム溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、次いで蒸発乾固させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル 1/4 v/v)後に、2.01 gの化合物48を得る。
TLC: Rf = 0.37、トルエン/アセトン 2/1 v/v。
スキーム 12 ペンタサッカライド49の合成
【0108】
【化62】

【0109】
製造例 43
メチル (6-O-アセチル-2-アジド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(メチル 2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(メチル 2,3,-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロネート)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-アセチル-α-D-グルコピラノシド (49)
イミデート38 (1.18 g、2.81 mmol) (J. Basten ら、BioOrg. Med. Chem. Lett. (1992), 2(9), 901に従って得られた)および化合物48 (1.83 g、1.75 mmol)をジクロロメタン/ジエチルエーテル混液(1/2 (v/v)、126 ml)に溶解する。4Å モレキュラーシーブ粉末の添加後に、混合物を-20℃に冷却し、tert-ブチルジメチルシリル トリフルオロメタンスルホネートの1Mジクロロメタン溶液(421μl)を加える。30分後にイミデート(266 mg)およびtert-ブチルジメチルシリル トリフルオロメタンスルホネートの1Mジクロロメタン溶液(168μl)の更なる量を加える。10分後に、混合物を固形の炭酸水素ナトリウムの添加により中和して、ろ過する。その溶液をジクロロメタンで覆い、2%炭酸水素ナトリウム溶液および水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル 4/3次いで1/1 v/v)により精製し、1.814 gの化合物49を得る。
TLC: Rf = 0.57、トルエン/酢酸エチル 3/1 v/v。
[α]D = +93° (C = 1.15、ジクロロメタン)。
スキーム 13− ペンタサッカライド44の合成
方法 II
【0110】
【化63】

【0111】
製造例 44
メチル (2-アジド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-α-D-グルコピラノシド (50)
30%過酸化水素水(42 ml)を、-5℃で、化合物49 (845.3 mg)のテトラヒドロフラン(104 ml)溶液に加える。5分間撹拌後に、水酸化リチウムの0.7M溶液(19.2 ml)を滴下する。
反応混合物を-5℃で1時間、次いで0℃で4時間、最後に室温で16時間撹拌する。1M塩酸でそれを中和する。
その溶液を、水で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(5 × 1 000 cm)に沈着させる。所期の化合物を含む画分を合わせ、濃縮し、ダウエックスAG 50 WX4 H+樹脂(50 ml)のカラムに沈着させる。化合物を0℃で収集し、濃縮し、618 mgの化合物50を生成させる。
TLC: Rf = 0.56、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 26/22/4.6/17 v/v/v/v。
【0112】
製造例 45
メチル (2-アジド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロネート)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロネート)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩 (51)
化合物50を用いる直前に、N,N-ジメチルホルムアミド(3 × 29 ml)と共に蒸留する。三酸化硫黄-トリエチルアミン複合体(3.84 g)を、化合物50 (612 mg、0.624 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(58 ml)溶液に加える。混合物を光を遮断して、55℃で16時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム(5.33 g)の水(200 ml)溶液に滴下する。混合物を室温で16時間撹拌し、濃縮乾固させる。
残渣を水に溶解し、その溶液を0.2M塩化ナトリウム溶液で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムに沈着させる。生成物を含む画分を濃縮し、水で溶出する同じカラムを用いて脱塩する。凍結乾燥後に、1.06 gの化合物51を得る。
TLC: Rf = 0.5、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 3/5/1/3 v/v/v/v。
【0113】
製造例 46
メチル (2-アミノ-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2、3、-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩 (44)
この加水素分解を2回、そのたびごとに534.4 mgの化合物51について行う。
tert-ブタノール(6.7 ml、12.6 ml/g)/水(10 ml、19 ml/g)混液中の化合物51(534.4 mg)の溶液を、10%パラジウム-炭素(160 mg)の存在下、水素圧(5 bar)下に、40℃で4時間処理する。ろ過(ミリポア(商標)LSWP 5μmろ紙)後に、溶液を濃縮乾固し、530 mgの化合物44を得る。
TLC: Rf = 0.49、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 3/5/1/3 v/v/v/v。
【0114】
【化64】

【0115】
【化65】

【0116】
【化66】

【0117】
【化67】

【0118】
【化68】

【0119】
【化69】

【0120】
実施例 1
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-ビオチンアミド-6-デスオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩
ビオチン スルホスクシンイミド(16.5 mg)を0.5%炭酸水素ナトリウム(1.5 ml)溶液中の化合物37 (18 mg、3.72μmol)の溶液に加える。
室温で16時間撹拌後に、反応混合物を、食塩で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムに沈着させる。
生成物を含む画分を濃縮し、水で溶出する同じカラムで脱塩する。
凍結乾燥後に、15.9 mgの実施例1の化合物を得る。
[α]D = +59° (C = 0.78、水)。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 5065.12; 実測質量 = 5064.18±1.04原子質量単位。
【0121】
実施例 2
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(6-[6-(ビオチンアミド)ヘキサミド]-6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩
6-(ビオチンアミド)ヘキサノエート(16.5 mg)を0.5%炭酸水素ナトリウム(1.5 ml)溶液中の化合物37 (18 mg、3.72μmol)の溶液に加える。室温で16時間撹拌後に、反応混合物を、食塩で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムに沈着させる。
生成物を含む画分を濃縮し、水で溶出する同じカラムで脱塩する。
凍結乾燥後に、17.9 mgの実施例2の化合物を得る。
[α]D = +60° (C = 1.0、水)。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 5178.28; 実測質量 = 5176.3±0.77原子質量単位。
【0122】
実施例 3
メチル (2,3,4,6-テトラ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[6-(6-ビオチンアミドヘキサミド)ヘキサミド]-6-デオキシ-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)-[(2,3,6-トリ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-O-(2,3,6-トリ-O-メチル-β-D-グルコピラノシル)-(1→4)]3-(6-O-スルホナート-2,3-ジ-O-メチル-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩
スルホスクシンイミジル 6-(6-ビオチンアミドヘキサミド)ヘキサノエート(23.6 mg)を、0.5%炭酸水素ナトリウム(1.4 ml)溶液中の化合物37 (17 mg、3.51μmol)の溶液に加える。
撹拌後16時間室温で、反応混合物を食塩で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラムに沈着させる。生成物を含む画分を濃縮し、水で溶出する同じカラムで脱塩する。
凍結乾燥後に、17.4 mgの実施例3の化合物を得る。
[α]D = +64° (C = 1.0、水)。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 5291.44; 実測質量 = 5292.1±0.83原子質量単位。
【0123】
実施例 4
メチル (2-ビオチンアミド-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩
ビオチン N-ヒドロキシスクシンイミド(42 mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(750μl)溶液を、化合物44 (21.2 mg、0.012 mmol)の0.5%炭酸水素ナトリウム(750μl)溶液に加える。室温で16時間撹拌後に、反応混合物をセファデックス(登録商標) G-25 (微細)カラムに沈着させる。
水による溶出および凍結乾燥後に、22.3 mgの実施例4の化合物を得る。
[α]D = +38° (C = 0.15、水)。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 1938.48; 実測質量 = 1937.48±0.11原子質量単位。
【0124】
実施例 5
メチル (2-[N-(6-ビオチンアミドヘキサノイル)]-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩
この反応を、2回、そのたびごとに494.5 mgの化合物44に対して行う。
化合物44 (494.5 mg、0.289 mmol)を炭酸水素ナトリウムの0.5%溶液(116 ml)に溶解する。
炭酸水素ナトリウムの0.5%溶液(12 ml)中のスルホスクシンイミジル 6-ビオチンアミドヘキサノエート(1.46 g、2.63 mmol)の溶液を、そこへ滴下する。室温で16時間撹拌後に、1M水酸化ナトリウム溶液を加え、混合物を1時間撹拌する。反応混合物をセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(5 × 1 000 cm)に沈着させ、食塩で溶出する。
生成物を含む画分をおよび2回の反応に由来するものを合わせる。
凍結乾燥後に、999.2 mgの実施例5の化合物を得る。
TLC: Rf = 0.42、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水 3/5/1/3 v/v/v/v。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 2051.64; 実測質量: 2051.60 ± 0.43原子質量単位。
【0125】
実施例 6
メチル (2-[6-(6-ビオチンアミドヘキサミド)ヘキサミド]-2-デオキシ-3,4-ジ-O-メチル-6-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-β-D-グルコピラノシルウロン酸)-(1→4)-(2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシル)-(1→4)-(2,3-ジ-O-メチル-α-L-イドピラノシルウロン酸)-(1→4)-2,3,6-トリ-O-スルホナート-α-D-グルコピラノシド ナトリウム塩
化合物44 (30.1 mg、17.6 μmol)を炭酸水素ナトリウムの0.5%溶液(7 ml)に溶解する。炭酸水素ナトリウムの0.5%溶液(1 ml)中のスルホスクシンイミジル 6-(6-ビオチンアミドヘキサミド)ヘキサノエート(118 mg、176 μmol) の溶液を、そこへ滴下する。室温で16時間撹拌後に、1M水酸化ナトリウム溶液を加え、混合物を1時間撹拌する。反応混合物をセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(2 × 85 cm)に沈着させ、食塩で溶出する。
生成物を含む画分を合わせ、濃縮し、水で溶出するセファデックス(登録商標)G-25(微細)カラム(2 × 85 cm)で脱塩する。
凍結乾燥後に、26.5 mgの実施例6の化合物を得る。
質量:ESI法、ネガティブモード:化学的質量 = 2164.48; 実測質量: 2164.29±0.38原子質量単位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に1以上の不活性で適当な賦形剤との組合せで、ビオチンまたはビオチン誘導体と少なくとも一つの共有結合を示す、抗血栓活性を有する合成ポリサッカライド類またはそれらの医薬的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物。
【請求項2】
不安定狭心症、脳出血、血管形成術後再狭窄、動脈内膜除去または血管内人工装具の挿入を含むアテローム性動脈硬化症および糖尿病に関連する血栓塞栓症障害、あるいは血栓崩壊後再血栓症、梗塞形成、虚血性起源の痴呆、末梢性動脈疾患、血液透析または心房性細動に関連する血栓塞栓症障害、あるいは肺塞栓のような、静脈起源の血栓塞栓症病状の治療または予防のために用いられ、観察された血栓症合併症、例えば次の外科的手術、腫瘍の成長または細菌性、ウィルス性もしくは酵素性活性剤により誘発される凝固妨害を治療または予防するための大動脈冠動脈バイパス用の脈管用人工装具の使用中のような、とりわけ、心臓血管疾患および脳血管系の障害の間に見られる凝固系のホメオスタシスの変異に起因する病状の治療のための請求項1に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2012−131809(P2012−131809A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27377(P2012−27377)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2002−529162(P2002−529162)の分割
【原出願日】平成13年9月20日(2001.9.20)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】