説明

ビシクロアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法およびその製造中間体

【課題】エステル基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体の安全な製造方法を提供する。
【解決手段】
式1:
【化1】


(式中R1は、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害活性を融資、II型糖尿病などのDPP-IVが関与する疾患の予防および/または治療に有用なアミノアセチルピロリジンカルボニトリルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ジペプチジルペプチダーゼIV(以下、DPP- IV)阻害剤が糖尿病(特にII型糖尿病)の治療薬として注目を集め、DPP-IV阻害作用を有する数多くの誘導体が報告されている。中でもアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体は優れた血糖低下作用を示すことから、抗糖尿病薬としていくつかの有望な化合物がいくつか報告されている(非特許文献1〜2、特許文献1〜11)。本願出願人はアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体として下記構造式(式5)で表される化合物を開示した(特許文献9)。
【0003】
式5:
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、XはCH2,
CHFまたはCF2を示し;
は置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、置換されていてもよいC〜Cのシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族ヘテロ環を示し;
nは1また2を示す。)
【0006】
式5に示した誘導体は1−(2−クロロアセチル)ピロリジン−2−カルボニトリル誘導体あるいは1−(2−ブロモアセチル)ピロリジン−2−カルボニトリル誘導体と対応するアミンを塩基の存在下で反応させることにより製造されている(特許文献9)。そして、原料に使用されている1−(2−クロロアセチル)ピロリジン−2−カルボニトリル誘導体あるいは1−(2−ブロモアセチル)ピロリジン−2−カルボニトリル誘導体はブロモアセチルクロリドあるいはクロロアセチルクロリドとピロリジン誘導体の反応により製造されている(特許文献1〜9)。
【0007】
1−(2−クロロアセチル)ピロリジン−2−カルボニトリル誘導体あるいは1−(2−ブロモアセチル)ピロリジン−2−カルボニトリル誘導体を使用しない合成法としてN-置換アミノ酢酸誘導体とプロリンエステル誘導体を縮合し、次いでプロリンエステル部分を加水分解してカルボン酸とし、これをアミド化してプロリンアミド誘導体に変換した後、アミドを脱水してシアノ誘導体を得る方法が開示されている(特許文献10、11)。
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry、46巻、2774頁(2003年)
【非特許文献2】Bioorganic &Medicinal Chemistry、12巻、6053頁(2004年)
【特許文献1】特表 2000-511559号公報
【特許文献2】特表 2002-531547号公報
【特許文献3】特開 2002-356471号公報
【特許文献4】特表 2004-500321号公報
【特許文献5】特表 2005-529078号公報
【特許文献6】特表 2004-503531号公報
【特許文献7】US 2002/019339
【特許文献8】WO04/099185 パンフレット
【特許文献9】WO 05/075421 パンフレット
【特許文献10】WO 06/043595 パンフレット
【特許文献11】WO 04/026822 パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題はDPP-IV阻害剤として有用な、式5に示したアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体を安全に製造する方法および新規な製造中間体を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、式5に示したアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法を鋭意検討した結果、ビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体とプロリン誘導体またはその塩、プロリンアミド誘導体またはその塩、またはピロリジンカルボニトリル誘導体を反応させることにより、安全な製造が達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)
式1:
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体、
【0013】
(2)
式1:
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体に、
式2:
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、XはCH2、CHFまたはCF2を示す)で表されるプロリン誘導体またはその塩を反応させ、
式3:
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、R1、R2、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体を製造し、得られたアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体のカルボキシル基をカルバモイル基に変換し、
式4:
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、R1、R2、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造し、さらに得られたアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体のカルバモイル基を脱水し、必要ならば窒素原子の保護基を除去して、
式5:
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアセチルアミノピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法、
【0024】
(3)
式1:
【0025】
【化8】

【0026】
(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体に、
式6:
【0027】
【化9】

(式中、XはCH2、CHFまたはCF2を示す)で表されるプロリンアミド誘導体またはその塩を反応させ、
式4:
【0028】
【化10】

(式中、R1、R2、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造し、さらに得られたアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体のカルバモイル基を脱水し、必要ならば窒素原子の保護基を除去することによる、
式5:
【0029】
【化11】

【0030】
(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアセチルアミノピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法、
【0031】
(4)
式1:
【0032】
【化12】

【0033】
(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体に、
式7:
【0034】
【化13】

【0035】
(式中、XはCH2、CHFまたはCF2を示す)で表されるピロリジンカルボニトリル誘導体またはその塩を反応させ、必要ならば窒素原子の保護基を除去することによる、
式5:
【0036】
【化14】

【0037】
(式中R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリルの製造方法、
【0038】
(5)
式8:
【0039】
【化15】

【0040】
(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロエステルアミン誘導体またはその塩に、
式9:
【0041】
【化16】

【0042】
(式中、R3は水素原子、置換されていてもよいtert−ブチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基またはテトラヒドロピラニル基を、Yはハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基またはトルエンスルホニルオキシ基を示す)で表される酢酸誘導体を反応させ、必要に応じて窒素原子の保護とエステルの除去を行うことによる、
式1:
【0043】
【化17】

【0044】
(式中R1、nは前記定義と同じ;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0045】
ブロモアセチルクロリドやクロロアセチルクロリドのような腐食性があり有毒な試薬の使用を避けて、ビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体を用いてアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体およびアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を中間体として経由することにより、式5で示す誘導体の安全性が高い製造方法を確立した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本明細書中に表される「置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基」とはハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C〜Cのアルキルカルボニル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、C〜Cのアルキルチオ基、アミノ基、モノまたはジ置換のC〜Cのアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C〜Cのアルキルカルボニルアミノ基、C〜Cのアルコキシカルボニルアミノ基、C〜Cのアルキルスルホニルアミノ基及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよいC〜Cのアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、ブチル基、t−ブチル基またはヘキシル基など)を意味する。
【0047】
本明細書中に表される「置換されていてもよいC〜Cのシクロアルキル基」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C〜Cのアルキルカルボニル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、C〜Cのアルキルチオ基、アミノ基、モノまたはジ置換のC〜Cのアルキルアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C〜Cのアルキルカルボニルアミノ基、C〜Cのアルコキシカルボニルアミノ基、C〜Cのアルキルスルホニルアミノ基及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよいC〜Cのシクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基など)を意味する。
【0048】
本明細書中に表される「置換されていてもよいアリールメチル基」とは、ハロゲン原子、置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C〜Cのアルキルカルボニル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、C〜Cのアルキルチオ基、アミノ基、モノまたはジ置換の置換されていてもよいC〜Cのアルキルアミノ基、置換されていてもよいアリールアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C〜Cのアルキルカルボニルアミノ基、C〜Cのアルコキシカルボニルアミノ基、C〜Cのアルキルスルホニルアミノ基及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよいアリールメチル基(フェニルメチル基、ナフチルメチル基、ピリジルメチル基、キノリルメチル基またはインドリルメチル基など)を意味する。
【0049】
本明細書中に表される「置換されていてもよいアリールエチル基」とは、ハロゲン原子、置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、C〜Cのアルキルカルボニル基、C〜Cのアルコキシカルボニル基、C〜Cのアルキルチオ基、アミノ基、モノまたはジ置換の置換されていてもよいC〜Cのアルキルアミノ基、置換されていてもよいアリールアミノ基、1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜9員の環状アミノ基、ホルミルアミノ基、C〜Cのアルキルカルボニルアミノ基、C〜Cのアルコキシカルボニルアミノ基、C〜Cのアルキルスルホニルアミノ基及び置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよいアリールエチル基(フェニルエチル基、ナフチルエチル基、ピリジルエチル基、キノリルエチル基またはインドリルエチル基など)を意味する。
【0050】
本明細書中に表される「置換されていてもよい芳香族炭化水素」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキルチオ基及びC〜Cのジアルキルアミノ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素(ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環など)を意味する。
【0051】
本明細書中に表される「置換されていてもよい芳香族へテロ環」とは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基及び、C〜Cのアルキルチオ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよい芳香族へテロ環(窒素原子、酸素原子、硫黄原子の中から任意に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む5員または6員の芳香族単環式複素環、あるいは9員または10員の芳香族縮合複素環、例えばピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、アクリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環またはベンゾオキサゾール環など)を意味する。
【0052】
本明細書中に表される「置換されていてもよい脂肪族へテロ環」とは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C〜Cのアルコキシ基及びC〜Cのアルキルチオ基などから選ばれた1〜5個の置換基を有していてもよい脂肪族へテロ環(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子の中から任意に選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員の脂肪族単環式複素環、あるいは9員または10員の脂肪族縮合複素環、例えばアゼチジン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ピペリジン環、モルホリン環またはピペラジン環など)を意味する。
【0053】
本明細書中に表される「ハロゲン原子」とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
【0054】
本明細書中に表される「窒素原子の保護基」とは、その保護基を除去する際に化合物中の官能基、特にアルコキシカルボニル基、シアノ基に影響を与えない反応条件で除去できる保護基であればいずれでもよく、好ましくはベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリクロロエチルオキシカルボニル基、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、トリフルオロアセチ基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基が挙げられ、さらに好ましくはベンジルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0055】
本明細書中に表される「プロリン誘導体またはその塩」「プロリンアミド誘導体またはその塩」「ピロリジンカルボニトリル誘導体またはその塩」および「ビシクロエステルアミン誘導体またはその塩」の「その塩」とは、アミン塩として許容されるものであればどのようなものでもよいが、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩;メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;酢酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩等のカルボン酸塩が挙げられる。
【0056】
上記一般式(2)〜(7)で表される本発明化合物には1個以上の不斉中心に基づく複数の光学異性体が存在しうるが、本発明はこれら光学異性体もしくはジアステレオ異性体のいずれをも含み、またそれらの任意の比率を示す混合物またはラセミ体を含むものである。さらには上記一般式(1)および(3)〜(5)で表される本発明化合物には互変異性体や回転異性体が存在しうるものがあるが、それぞれの異性体およびそれらの任意の比率を示す混合物も本発明に含まれる。
【0057】
(製造方法)
【0058】
ビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体の製造方法製造方法は以下のように示すことができる(スキーム1)。
【0059】
【化18】

【0060】
スキーム1中の工程1は、一般式(8)(式中、R1、nは前記定義と同じ)で表されるビシクロエステルアミン誘導体またはその塩に、塩基の存在下あるいは非存在下で一般式(9)(式中、R3、Yは前記定義と同じ)で表される酢酸誘導体を反応させ、窒素原子の保護を行った後、エステルを除去することにより式(10)(式中、R4は窒素原子の保護基を示し、R1は前記定義と同じ)で表されるアミノ基に保護基を有するビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体を製造する工程である。
【0061】
本反応に塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのアルカリ炭酸塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレンなどの3級アミン類が挙げられ、好ましくは炭酸カリウムが上げられる。本縮合反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタンなどを用いることができ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0062】
窒素原子の保護基としてはベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、トリクロロエチルオキシカルボニル基、2−トリメチルシリルエチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、トリフルオロアセチル基などのアシル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基などのアリールメチル基が挙げられる。
【0063】
エステルの除去は公知の方法で実施することができる。例えばR3がtert−ブチル基、2−テトラヒドロピラニル基の場合は塩酸、トリフルオロ酢酸などの酸やモンモリロナイトKSFのような酸性粘土鉱物を用いることで、R3がベンジル基、ジフェニルメチル基の場合はパラジウム炭素と水素やパラジウム炭素とギ酸アンモニウムの組み合わせによる方法で容易に除去することができる。
【0064】
スキーム1中の工程2は、式(10)(式中、R1、R4は前記定義と同じ)で表されるアミノ基に保護基を有するビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体を脱保護することによる式(11)(式中、R1は前記定義と同じ)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体の製造方法である。
【0065】
保護基の除去は公知の方法によって実施することができる。例えば、R4がベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基の場合はパラジウム炭素と水素やパラジウム炭素とギ酸アンモニウムの組み合わせによる方法で、R4がtert−ブトキシカルボニル基、トリフェニルメチル基の場合は塩酸、トリフルオロ酢酸などの酸を用いることで、R4が9−フルオレニルメチルカルボニル基の場合は、ピペリジン、モルホリンなどの二級アミンやフッ化テトラブチルアンモニウムのようなフッ化4級アンモニウム塩などを用いることにより、R4がトリフルオロアセチル基の場合は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアなどを用いることにより容易に除去することができる。
【0066】
本発明におけるアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法は以下のように示すことができる(スキーム2)。
【0067】
【化19】

【0068】
スキーム2中の工程3は、一般式(10)(式中、R4は窒素原子の保護基を示し、R1、nは前記定義と同じ)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体と縮合剤の存在下で、一般式(2)(式中、Xは前記定義と同じ)で表されるプロリン誘導体またはその塩と縮合し、一般式(12)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体を製造する工程である。
【0069】
上記工程の縮合剤としては3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)ジメチルイミダゾリニウムクロリド(DMC)、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸イソブチル、塩化ピバロイルなどが挙げられ、これらは固体状、液体状または適当な溶媒に溶かした溶液として添加される。本縮合反応に塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのアルカリ炭酸塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレンなどの3級アミン類が例示できる。本縮合反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタンなどが用いられる。
【0070】
上記縮合反応は−20〜150℃で円滑に進行する。また本縮合反応は1−イミダゾリル基、4−ニトロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、コハク酸イミドイルオキシ基または1−ベンゾトリアゾリルオキシ基(または1−ベンゾトリアゾリル 3−オキシド基)を有する活性エステルを経由しても実施することができ、この活性エステルは単離精製して次工程に用いることも、単離せずに粗製のまま次工程に用いることもできる。
【0071】
スキーム2中の工程4aおよび4bは、一般式(13)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護を有するアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造する工程である。
【0072】
工程4aは一般式(12)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体のカルボニル基を縮合剤の存在下でアンモニアと反応させることにより、あるいは塩化チオニル、塩化オキサリル等を反応させて一旦、酸クロリドに変換した後、アンモニアを反応させてアミド化することにより、一般式(13)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護を有するアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造する方法である。本工程は、工程3において記載した何れかの縮合剤、塩基、反応温度を用いることができ、工程3において記載した条件の範囲の反応条件で行うことができる。
【0073】
また工程4bは、一般式(10)(式中、R1、R4、nは前記定義と同じ)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体と縮合剤の存在下で、一般式(6)(式中、Xは前記定義と同じ)で表されるプロリンアミド誘導体またはその塩と縮合し、一般式(13)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造する方法である。本工程は、工程3において記載した何れかの縮合剤、塩基、反応温度を用いることができ、工程3において記載した条件の範囲の反応条件で行うことができる。
【0074】
スキーム2中の工程5aおよび5bは、一般式(14)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造する工程である。
【0075】
工程5aは一般式(13)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体の保護基を除去し、一般式(14)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造する工程である。
【0076】
保護基の除去は公知の方法によって実施することができる。例えばR4がベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基の場合はパラジウム炭素と水素やパラジウム炭素とギ酸アンモニウムの組み合わせによる方法で、R4がtert−ブトキシカルボニル基、トリフェニルメチル基の場合は塩酸、トリフルオロ酢酸などの酸を用いることで、R5が9−フルオレニルメチルカルボニル基の場合は、ピペリジン、モルホリンなどの二級アミンやフッ化テトラブチルアンモニウムのようなフッ化4級アンモニウム塩などを用いることにより、R4がトリクロロエチルオキシカルボニル基の場合は、亜鉛で処理することにより、R4が2−トリメチルシリルエチルオキシカルバモイル基の場合は、トリフルオロ酢酸などの酸やフッ化テトラブチルアンモニウムのようなフッ化4級アンモニウム塩などを用いることにより、R4がアリルオキシカルボニル基の場合はテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムで処理することにより、R4がトリフルオロアセチル基場合は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアなどを用いることにより容易に除去できる。
【0077】
工程5bは一般式(11)(式中、R1、nは前記定義と同じ)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体と縮合剤の存在下で、一般式(6)(式中、Xは前記定義と同じ)で表されるプロリンアミド誘導体またはその塩と縮合し、一般式(14)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造する工程である。本工程は、工程3において記載した何れかの縮合剤、塩基、反応温度を用いることができ、工程3において記載した条件の範囲の反応条件で行うことができる。
【0078】
スキーム2中の工程6aおよび6bは、一般式(15)(式中、R1、R4、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体を製造する工程である。
【0079】
工程6aは、一般式(13)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体のカルバモイル基を脱水し、一般式(15)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体を製造する工程である。
【0080】
上記工程の脱水剤としては、五酸化二リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、チオニルクロリド、オキサリルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、イソシアン酸クロロスルホニル、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。本反応に塩基を用いる場合には、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのアルカリ炭酸塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンまたは1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレンなどの3級アミン類が例示できる。
【0081】
上記反応に用いる溶媒としては反応に関与しない不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルエーテル、ジメトキシエタン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、などが用いられる。本脱水反応は−78〜150℃で円滑に進行する。
【0082】
工程6bは、一般式(10)(式中、R1、R4、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するビシクロアルキルアミノ酢酸に一般式(7)(式中、Xは前記定義と同じ)で表されるピロリジンカルボニトリル誘導体またはその塩と縮合剤の存在下で、一般式(15)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体を製造する工程である。本工程は、工程3において記載した何れかの縮合剤、塩基、反応温度を用いることができ、工程3において記載した範囲の反応条件で行うことができる。
【0083】
スキーム2中の工程7a、7bおよび7cは、一般式(5)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリルを製造する工程である。
【0084】
工程7aは一般式(14)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体のカルバモイル基を脱水し、一般式(5)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリルを製造する工程である。本工程は、工程6aにおいて記載した何れかの脱水剤、塩基、溶媒を用いることができ、工程6aに記載した範囲の反応条件で行うことができる。
【0085】
工程7bは一般式(15)(式中、R1、R4、X、nは前記定義と同じ)で表される保護基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体の保護基を除去し、一般式(5)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体を製造する工程である。本工程は、工程5aに記載した範囲の反応条件で行うことができる。
【0086】
工程7cは一般式(11)(式中、R1、nは前記定義と同じ)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体と縮合剤の存在下で、一般式(7)(式中、Xは前記定義と同じ)で表されるピロリジンカルボニトリル誘導体またはその塩と縮合し、一般式(5)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体を製造する工程である。本工程は、工程3において記載した何れかの縮合剤、塩基、反応温度を用いることができ、工程3において記載した範囲の反応条件で行うことができる。
【0087】
ブロモアセチルクロリドやクロロアセチルクロリドのような腐食性の液体試薬は、工業的に使用するには取り扱いが困難な場合がある。またこれらの化合物は不安定で、水と激しく反応し、塩化水素などの腐食性ガスを発生する。さらに、人体に対しても、接触により火傷を起こしたり、吸引により肺水腫を起こすなど、高い毒性を有する。本製造方法によれば、クロロアセチルクロリドやブロモアセチルブロミドを使用せず、反応中間体としてビシクロビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体からアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を経由して、DPP-IV阻害剤として有用なアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体をより安全に製造することができる。
【0088】
また、特許文献10、11記載の方法は、式(5)(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるのような、プロリンエステルと同様に加水分解を受けるエステル基を有する化合物の合成には使用できないが、本発明の方法によりエステル基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体の合成も可能となった。
【0089】
(実施例)
【0090】
次に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0091】
N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸の合成
第一工程:
N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチルの合成
【0092】
4−アミノビシクロ[2.2.2]オクタン−1−カルボン酸エチル(6.22g)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(90mL)に溶解し、炭酸カリウム(4.57g)を加えた後、ブロモ酢酸tert−ブチル(4.65mL)の脱水N,N−ジメチルホルムアミド(12mL)溶液を35分かけて滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(150mL)に溶解し、飽和食塩水(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチル(8.89g)を得た。
【0093】
MS (EI) m/z: 311 (M+).
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.22 (t, J=7.3 Hz, 3H),
1.46 (s, 9H), 1.53−1.57 (m, 6H), 1.83−1.88 (m, 6H), 3.25 (s, 2H), 4.08 (q, J=7.3Hz, 2H).
【0094】
第二工程:
N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチルの合成
【0095】
N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチル(8.88g)をジオキサン(100mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(4.96mL)を加え、氷水浴上で冷却しながらクロロギ酸ベンジル(4.07mL)を滴下した後、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(200mL)に溶解した。酢酸エチル溶液を飽和食塩水(3×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチル(11.8g)を得た。
【0096】
MS (FAB+) m/z: 446 (M++H).
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.22 (t, J=7.3 Hz, 3H),
1.45 (s, 9H), 1.86−1.90 (m, 6H), 2.04−2.08 (m, 6H), 3.88 (br s, 2H), 4.08 (q, J=7.3Hz, 2H), 5.09 (br s,
2H), 7.29−7.36
(m, 5H).
【0097】
第三工程:
N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸の合成
【0098】
A法:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチル(900mg)を4mol/L塩化水素−ジオキサン溶液(10mL)に溶解し、室温で10時間後、さらに一夜放置した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解し、水洗(2×20mL)し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(477mg)を得た。
【0099】
B法:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸tert−ブチル(9.05g)を脱水アセトニトリル(100mL)に溶解し、モンモリロナイトKSF(9.05g)を加え、撹拌しながら3時間加熱還流した。反応液中の不溶物を濾去し、不溶物を酢酸エチル(100mL)で洗浄後、濾液と洗浄液を合わせ減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1→酢酸エチル/メタノール=10/1)で精製し、N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(5.57g)を得た。
【0100】
MS (EI) m/z: 389 (M+).
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.22 (t, J=7.3 Hz, 3H), 1.86−1.90 (m, 6H), 2.03−2.07 (m, 6H), 4.09 (q,
J=7.3Hz, 2H), 4.14 (s, 2H), 5.12 (s, 2H), 7.27−7.36 (m, 5H).
【実施例2】
【0101】
N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸の合成
【0102】
N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(584mg)をエタノール(10mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(60.0mg)を加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物中のパラジウム炭素をセライトパッドを通じて濾去し、パラジウム炭素とセライトパッドをエタノール−ジクロロメタン混液で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて減圧濃縮し、残渣を減圧乾燥してN−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(375mg)を得た。
【0103】
MS (EI) m/z: 255 (M+).
元素分析値:C13H21NO4・0.25 H2Oとして
計算値:C, 60.10; H, 8.34; N, 5.39
実測地:C, 60.00, H: 8.47; N, 5.38
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.23 (t, J=7.3 Hz, 3H),
1.82−2.00 (m,
12H), 3.35 (s, 2H), 4.10 (q, J=7.3Hz, 2H).
【実施例3】
【0104】
(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボン酸の合成
【0105】
N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(500mg)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(236mg)、次いで3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(295mg)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物に(2S,4S)−4−フルオロピロリジン−2−カルボン酸塩酸塩(260mg)次いでトリエチルアミン(0.43mL)を加え、室温で一夜放置した。反応混合物中の不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、水(2×5mL)次いで飽和食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボン酸(553mg)を得た。
【0106】
MS (ESI+) m/z: 505 (M++H).
HRMS (ESI+) for C26H34FN2O7
(M++H): calcd, 505.23500; found, 505.23400.
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.22 (t, J=7.3 Hz, 3H),
1.87−1.90 (m,
6H), 2.03−2.18
(m, 7H), 2.56-2.72 (m, 1H), 3.58-4.13 (m, 6H), 4.70-5.22 (m, 4H), 7.29−7.37 (m, 5H).
【実施例4】
【0107】
(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【0108】
A法:(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボン酸(447mg)を脱水アセトニトリル(8mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンズトリアゾール1水和物(163mg)次いで3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(204mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に25%アンモニア水(0.5mL)を加え、室温で1時間撹拌した後、反応混合物中の不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解し、水(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×10mL)、飽和食塩水(10mL)の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=20/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(279mg)を得た。
【0109】
B法:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(80.0mg)及び(2S,4S)−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(34.6mg)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、トリエチルアミン(60.0μL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(33.0mg)、次いで3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(42.0mg)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物中の不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(10mL)に溶解し、水(2×2mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3×2mL)、飽和食塩水(2mL)の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=20/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(92.4mg)を得た。
【0110】
MS (ESI+) m/z: 504 (M++H).
HRMS (ESI+) for C26H35FN3O6
(M++H): calcd, 504.25099; found, 504.25217.
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.22 (t, J=7.3 Hz, 3H),
1.61 (br, 2H), 1.87−1.91 (m, 6H), 2.05−2.10 (m, 7H), 2.50-2.88 (m, 1H), 3.48-4.32 (m, 6H), 4.65-5.28 (m,
4H), 7.30−7.38
(m, 5H).
【実施例5】
【0111】
(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミドの合成
【0112】
A法:(S2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(450mg)をエタノール(10mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(45.0mg)を加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応混合物中のパラジウム炭素をセライトパッドを通じて濾去した後、パラジウム炭素とセライトパッドをエタノールで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて減圧濃縮し、残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして濾取し、(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(316mg)を得た。
【0113】
B法:N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(200mg)および(2S,4S)−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(132mg)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(126mg)、3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(158mg)次いでトリエチルアミン(0.23mL)を加え、室温で5時間撹拌した。反応混合物中の不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×2mL)次いで飽和食塩水(2mL)で洗浄した。洗浄液をすべて合わせ、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出し、ジクロロメタン抽出液をすべて合わせ無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(166mg)を得た。
【0114】
MS (FAB+) m/z: 370 (M++H).
HRMS (FAB+) for C18H29FN3O4
(M++H): calcd, 370.2142; found, 370.2134.
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.23 (t, J=7.3Hz, 3H),
1.53−1.95 (m,
12H), 2.07−2.52
(m, 1H), 2.69-2.99 (m, 1H), 3.34-3.44 (m, 2H), 3.63-4.02 (m, 2H), 4.47 (d,
J=9.8Hz, 0.3H), 4.74 (d, J=9.8Hz, 0.7H), 5.21-5.41 (m, 1H), 5.47, 5.59, 6.35,
6.66 (each br, total 2H).
【実施例6】
【0115】
(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリルの合成
【0116】
A法:(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(350mg)を脱水テトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、氷水浴上で冷却しながらトリエチルアミン(0.21mL)を加え、次いでトリフルオロ酢酸無水物(0.15mL)を滴下した後、さらに1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(50mL)に溶解した。酢酸エチル溶液を飽和食塩水(2×10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(297mg)を得た。
【0117】
B法:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(150mg)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(76.6mg)、次いで3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(96.0mg)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に(2S,4S)−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリルp−トルエンスルホン酸塩(116mg)及びトリエチルアミン(140μL)を加え、室温で4.5時間撹拌後、さらに一夜放置した。反応混合物中の不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(30mL)に溶解し、水(5mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)、飽和食塩水(5mL)の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(158mg)を得た。
【0118】
MS (FAB+) m/z: 486 (M++H).
HRMS (FAB+) for C26H33FN3O5
(M++H): calcd, 486.2404; found, 486.2442.
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.22 (t, J=7.3Hz, 3H),
1.88-1.92 (m, 6H), 2.05-2.14 (m, 7H), 2.55 (t, J=15.3Hz, 1H), 3.50-4.27 (m,
6H), 4.83-5.28 (m, 4H), 7.29-7.37 (m, 5H).
【実施例7】
【0119】
(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリルの合成
【0120】
A法:N,N−ジメチルホルムアミド(32.0μL)を脱水ジクロロメタン(2mL)に溶解し、氷水浴上で冷却しながら塩化オキサリル(36.0μL)を滴下した。この溶液に氷水浴上で冷却しながら(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボキサミド(100mg)の脱水ジクロロメタン(0.5mL)溶液、次いでトリエチルアミン(38.0μL)を加え、室温で30分撹拌した。反応混合物に水(0.5mL)を加え、10%水酸化ナトリウム水溶液で中和(pH7.0)後、ジクロロメタン(2mL)を加え、ジクロロメタン層を分取した。分取したジクロロメタン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(酢酸エチル/メタノール=10/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(35.8mg)を得た。
【0121】
B法:(2S,4S)−1−[[N−ベンジルオキシカルボニル−N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(150mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、10%パラジウム炭素(90.0mg)加え、食塩―氷浴上で冷却しながらギ酸アンモニウム(390mg)を加えた後、−12℃〜−10℃で30分、さらに3℃〜4℃で1時間撹拌した。反応混合物中のパラジウム炭素を、セライトパッドを通じて濾去した後、パラジウム炭素とセライトパッドをN,N−ジメチルホルムアミドで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:酢酸エチル/メタノール=15/1)で精製し、(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(94.6mg)を得た。
【0122】
C法:N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ酢酸(120mg)および(2S,4S)−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリルp−トルエンスルホン酸塩(135mg)を脱水N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、トリエチルアミン(150μL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(75.4mg)、次いで3−エチル−1−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(94.4mg)を加え、室温で21時間撹拌した。反応混合物中の不溶物を濾去し、濾液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×2mL)、次いで飽和食塩水(2mL)の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートして濾取し、(2S,4S)−1−[[N−(4−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)アミノ]アセチル]−4−フルオロピロリジン−2−カルボニトリル(82.5mg)を得た。
【0123】
MS (ESI+) m/z: 352 (M++H).
HRMS (ESI+) for C18H27FN3O3
(M++H): calcd, 352.20364; found, 352.20256.
1H−NMR (in CDCl3):δ 1.23 (t, J=7.3Hz, 3H),
1.56-1.62 (m, 6H), 1.85-1.89 (m, 6H), 2.22−2.51 (m, 1H), 2.64-2.74 (m, 1H), 3.30-4.03 (m, 4H), 4.09 (q,
J=7.3Hz, 2H), 4.95 (d, J=9.2Hz, 0.7H), 5.16 (d, J=8.6Hz, 0.3H), 5.27-5.50 (m,
1H).

【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明はエステル基を有するアミノアセチルピロリジンカルボニトリル誘導体(例えば式5で示す化合物)の製造方法に関する。本発明によりクロロアセチルクロリドなどを用いることを回避でき、安全な製造方法を提供することができ、産業上有用である。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

(式中R1は、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体。
【請求項2】
式1:
【化2】

(式中R1は、置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体に、
式2:
【化3】

(式中、XはCH2、CHFまたはCF2を示す)で表されるプロリン誘導体またはその塩を反応させ、
式3:
【化4】

(式中、R1、R2、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体を製造し、得られたアミノアセチルピロリジンカルボン酸誘導体のカルボキシル基をカルバモイル基に変換し、
式4:
【化5】

(式中、R1、R2、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造し、さらに得られたアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体のカルバモイル基を脱水し、必要ならば窒素原子の保護基を除去することによる、
式5:
【化6】

(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアセチルアミノピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法。
【請求項3】
式1:
【化7】

(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体に、
式6:
【化8】

(式中、XはCH2、CHFまたはCF2を示す)で表されるプロリンアミド誘導体またはその塩を反応させ、
式4:
【化9】

(式中、R1、R2、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体を製造し、さらに得られたアミノアセチルピロリジンカルボキサミド誘導体のカルバモイル基を脱水し、必要ならば窒素原子の保護基を除去することによる、
式5:
【化10】

(式中、R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアセチルアミノピロリジンカルボニトリル誘導体の製造方法。
【請求項4】
式1:
【化11】

(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示し;
nは1または2を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体に、
式7:
【化12】

(式中、XはCH2、CHFまたはCF2を示す)で表されるピロリジンカルボニトリル誘導体またはその塩を反応させ、必要ならば窒素原子の保護基を除去することによる、
式5:
【化13】

(式中R1、X、nは前記定義と同じ)で表されるアミノアセチルピロリジンカルボニトリルの製造方法。
【請求項5】
式8:
【化14】

(式中、R1は置換されていてもよいC1〜C6のアルキル基、置換されていてもよいC3〜C6のシクロアルキル基、置換されていてもよいアリールメチル基、置換されていてもよいアリールエチル基、置換されていてもよい芳香族炭化水素、置換されていてもよい芳香族へテロ環、または置換されていてもよい脂肪族へテロ環を示し;nは1または2を示す)で表されるビシクロエステルアミン誘導体またはその塩に、
式9:
【化15】

(式中、R3は水素原子、置換されていてもよいtert−ブチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基またはテトラヒドロピラニル基を、Yはハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基またはトルエンスルホニルオキシ基を示す)で表される酢酸誘導体を反応させ、必要に応じて窒素原子の保護とエステルの除去を行うことによる、
式1:
【化16】

(式中、R1、nは前記定義と同じ;
R2は水素原子または窒素原子の保護基を示す)で表されるビシクロアルキルアミノ酢酸誘導体の製造方法。


【公開番号】特開2008−239543(P2008−239543A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81813(P2007−81813)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】