説明

ビス−DMTDの調製方法

【課題】ビス(ジメルカプトチアジアゾール)(またはビス−DMTD)、さらに詳細には5,5’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−2−チオール)の環境をより重視する、収率が改善された調製方法の提供。
【解決手段】塩基性媒質中にヒドラジンおよび二硫化炭素を出発材料として導入し、反応媒質の酸性化と酸化を行い、中間体DMTDの単離を行わず、最終生成物であるビス−DMTDを回収する単一反応器で実施される合成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス(ジメルカプトチアジアゾール)(またはビス−DMTD)、さらに詳細にはこの互変異性型の5,5’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−チオン)とも呼ばれる5,5’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−2−チオール)の改良された調製方法であって、前記方法は、環境をより重視する、収率が改善された調製を可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビス−DMTDの調製は長年知られており、例えば特許出願CN−A−101096366に記載されている。
【0003】
したがって、ビス−DMTDの合成は、例えば過酸化水素を用いて、次の反応スキーム:
【0004】
【化1】

に従って2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(またはDMTD、CAS番号1072−71−5)を酸化することによって実施され、この反応は、
【0005】
【化2】

と書くことも可能であり、互変異性型を明らかにする。
【0006】
この反応は、とりわけビス−DMTDを選択的に得ること、すなわち同時に環状ダイマーの生成またはオリゴマー、実際にはさらにポリマーの生成を最小限に抑制することが困難であることを示す、例えば2006年に公開された特許出願US2006/0168741においてなど、多数の研究で取り上げられてきた。
【0007】
しかし、これらの研究はすべて、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(DMTD)の出発材料としての使用に基づいている。
【0008】
実際には、DMTD合成反応によって、水性廃液が生じ、それには無視できない量のDMTDが溶解していることがよく知られている。DMTDの水中での溶解性は、温度およびpH条件に応じて約8g/lから30g/lであり、収量の損失だけでなく、一般におよそ15g/lから60g/l程度である化学的酸素要求量(COD)によって測定された非常に高い含有量の酸化性有機物質を低減するために特に高価な廃液処理も招く。
【0009】
これは、DMTDの合成が、一般にヒドラジンおよび二硫化炭素を出発物として水溶液中で、次の反応スキーム:
【0010】
【化3】

に従って実施されるからであり、続いて、DMTDのナトリウム塩(DMTD−Na)を酸性水溶液、例えば水溶液の硫酸によって酸性にすると、DMTDが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国特許出願公開第101096366号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0168741号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、選択的で、既存の方法と比べて環境をより重視する、ビス−DMTDの調製方法に関するニーズが現在も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の第1の目的は、可能な限り高い収率で、可能な限り選択的である、ビス−DMTDの合成方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、環境を可能な限り重視するビス−DMTDの合成方法、特に生成する廃液が、有機生成物の負荷が少なくなり、したがって前記廃液の処理に必要なコストが低減する合成方法を提供することである。
【0015】
今回、本出願人会社は、本明細書の以下の説明において詳述される本発明の方法に基づいて、上記の目的をすべてまたは少なくとも部分的に実現することを可能にする方法を発見した。
【0016】
本発明は、水中で懸濁液(上記の通り、温度およびpH条件に応じて溶解性は約8g/lから30g/l)として得られた合成中間体DMTDを単離せず、したがって高いCODの生成元であるDMTDの負荷が高い水性廃液を生成しないビス−DMDTの調製方法に関する。
【0017】
したがって、本発明の方法は、唯一の反応器(ワンポット反応)中で出発材料(ヒドラジンおよび二硫化炭素)の導入および最終生成物であるビス−DMTDの回収によって実施される。
【0018】
驚くべきことに、中間体DMTDの単離を行わない本発明による方法では、ワンポット合成が好まれない最新の技術と比べて、ビス−DMTDが良好な収率および高選択性で得られる。さらに、得られた最終生成物は高純度であるが、第1の段階で生成した不純物が除去されないこのようなワンポット合成においてはめったにないことである。
【0019】
さらに具体的には、本発明は、ビス−DMTDの調製方法であって、少なくとも以下の反応段階を含む方法に関する。
【0020】
a)塩基性媒質中におけるヒドラジンNと二硫化炭素CSとの反応;
b)反応媒質の酸性化;
c)反応媒質の酸化;
d)生成されたビス−DMTDの回収および場合による精製。
【0021】
段階a)は、水相、例えば水中で実施される。水相/有機相の使用が想定され得るが、反応の終わりにこれらの水性/有機廃液および有機廃液を処理するのが困難であることおよび環境へのこれらの影響のため好ましくない。
【0022】
使用されるヒドラジンは、いずれのタイプでもよいが、ヒドラジン一水和物N.H0を使用することが好ましい。同様に、使用される二硫化炭素CSの性質に関して、この製品の使用に関連した普通の作業上の注意以外に特定の勧告は存在しない。
【0023】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法において使用される出発材料には、可能な限り低い含有量の溶解金属しか含まれず、実際にはさらに、溶解金属がない。さらに特に好ましい実施形態によれば、出発材料中の溶解金属の含有量は300ppm未満、有利には200ppm未満、非常に有利には100ppm未満である。
【0024】
二硫化炭素/ヒドラジン(CS/N)のモル比は、幅広い割合の範囲内で異なってもよく、有利には1.8から4.0の間、好ましくは2.0から3.0の間、より好ましくは2.0から2.5の間、完全に好ましくは約2.2から2.4の間である。
【0025】
ヒドラジンと二硫化炭素との反応のこの第1段階は、塩基性媒質中、例えば無機または有機強塩基、好ましくは無機強塩基の存在下で実施される。より好ましくは、無機塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物であり、水酸化ナトリウムが、特に低コストであるため好ましい。
【0026】
反応媒質中の塩基の量も、幅広い割合の範囲内で異なってもよい。一般に、塩基/ヒドラジンのモル比は、およそ0.8から1.5の間、好ましくはおよそ1.0から1.2の間である。
【0027】
好ましい態様によれば、塩基性のヒドラジン水溶液に、20℃から45℃の間、好ましくは例えば40℃近くの温度で二硫化炭素をゆっくりと添加した。
【0028】
二硫化炭素を添加した後、特に所望の反応速度論に従って、反応温度を調整することができる。したがって、反応温度を0℃から100℃の間、例えば98℃近くの値に設定することができる。
【0029】
この第1段階は、一般に大気圧で実施されるが、加圧下またはわずかな真空下で行うことも除外されない。特に有利には、このステップ、その上プロセス全体も、不活性雰囲気、例えば窒素中で実施される。
【0030】
ヒドラジンと二硫化炭素との反応によって、DMTD塩が形成され、硫化水素が放出される。DMTD塩は単離せず、硫化水素は、有利には当業者に周知の任意の方法に従って、例えば水酸化ナトリウム水溶液を入れたトラップに捕捉できる。
【0031】
段階a)によって生じた反応媒質を冷却した後、DMTD塩を同じ合成反応器中で酸性化して、DMTDを得る。
【0032】
この酸性化段階b)は、酸、一般に強酸の作用下で実施される。この酸は、無機酸または有機酸、好ましくは例えば硫酸、硝酸または塩酸などの無機酸、好ましくは硫酸である。
【0033】
この段階を実施する際に、好ましくは酸の水中溶液が使用される。酸濃度は、段階a)で使用される塩基の性質および反応媒質のpHに応じて、幅広い割合の範囲内で異なってもよい。
【0034】
好ましくは、反応媒質に添加する酸の量は、媒質のpHが5未満、好ましくは4未満、さらに具体的には0から4の間になるような量である。
【0035】
代替の形態によれば、添加される酸の量は、次式によって示すように、遊離の−SH官能基および−SX官能基を含むDMTD一塩:
【0036】
【化4】

(式中、Xは、段階a)において使用される塩基の対イオンを表す)としてDMTDが形成されるのを維持しながら、反応媒質を酸性化するのに必要十分な量である。
【0037】
例として、段階a)において使用される塩基が水酸化ナトリウムであるとき、Xはナトリウム原子Naを表す。段階c)の酸化において上記の一塩を使用して、下記で定義されたビス−DMTDを得ることによって、DMTDダイマーの生成に対する選択性を改善すると同時に、高級ポリマーおよび環状ダイマーの生成のリスクを低減することを可能にする、特許出願US2006/0168741に記載の利点が示される。
【0038】
段階b)は、一般に周囲温度で実施され、酸溶液の添加時に周囲温度近くの温度を維持するために反応媒質を冷却することが必要となることがあるが、強制的ではない。
【0039】
この酸性化段階の終わりに、大部分が水中で懸濁液および一部分が水中で溶液のDMTDを主に含む反応媒質が、中間体DMTDの単離または乾燥を行うことなく、やはり同じ反応器中で使用され、DMTDの酸化の段階c)において、ビス−DMTDが得られる。
【0040】
このようにするには、当該分野で一般に使用される任意のタイプとすることができる酸化剤の所定量を反応媒質に添加する。酸化剤は、例えば過酸化水素(過酸化水素水溶液)などの過酸化物、有機または無機の過酸、特に過酢酸およびこれら同士の混合物または強酸との混合物、例えば過酸化水素/強酸の混合物から選択され、強酸は硫酸または塩酸とすることができる。
【0041】
過酸化水素を酸化剤として使用することが好ましい。過酢酸を使用すると、反応後に酢酸が廃液中に放出され、この場合にはCOD負荷量が増加する。しかし、酢酸の存在によるこのCOD負荷量は、通常の廃液処理(例えば、処理プラント)によって容易に減少させることができる。言うまでもなく、酢酸が負荷されたこの廃液処理は、先行技術の周知の通常の方法で観察されたDMTDが負荷された廃液の処理よりはるかに容易である。
【0042】
本発明の方法に好ましい酸化剤は、濃度30重量%から70重量%の間、例えば約35重量%の過酸化水素水溶液(過酸化水素)である。
【0043】
酸化剤/DMTDのモル比は、一般に0.35:1から0.65:1の間である。好ましくは、モル比は0.45:1から0.55:1の間である。0.45:1未満のモル比は、DMTDの可能な限り完全な変換を実現して、副生成物を生じることなくビス−DMTDを与えるには不十分となり得る一方、0.55:1を超えるモル比は、DMTDの重合による生成物など、望ましくない副生成物の生成をもたらす恐れがある。
【0044】
酸化段階では、段階b)によって生じた反応媒質に、酸化剤を添加し、酸化反応を一般に10℃から100℃の間、好ましくは35℃から65℃の間、極めて特に好ましくは50℃から55℃の間の温度で実施する。
【0045】
それより前の段階については、酸化段階を好ましくおよび有利には大気圧、好ましくは不活性雰囲気中で実施する。
【0046】
生成されたビス−DMTDは、微細粒子の形で存在する。最終粉末の粉の性質を限定し、したがってこの使用を容易にすることを可能にすることによって、ビス−DMTD沈殿物のより容易な回収を可能にする加工助剤を、反応媒質に、酸化反応中またはその後に添加することも有利となり得る。
【0047】
加工助剤は、任意のタイプとすることができ、当業者に周知である。特に適切な加工助剤は、例えば油、有利にはナフテン系またはパラフィン系油タイプの油、特にTotalの油「85 Neutral Solvent」である。
【0048】
加工助剤の量は、幅広い割合の範囲内で異なってもよく、当業者は、この量を、実施される合成によって生ずる特定の要件に調整する方法を知っている。通則として、加工助剤の量は、予想されるビス−DMTD生成重量に対して0.01重量%から10重量%の間である。好ましくは、特に加工助剤が上記に示す油であるとき、添加量(重量による)は、予想されるビス−DMTD重量の0.1%から5%の間、より好ましくは1%から3%の間である。
【0049】
本発明による方法は、例えばDow Chemicals製のTergitol(商標)15−S−5など、少なくとも1種の界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤の存在下で有利に実施できる。
【0050】
界面活性剤の量は、予想されるビス−DMTD重量の一般に0.01重量%から10重量%の間、好ましくは0.1%から5%の間、より好ましくは0.1%から1%の間である。
【0051】
したがって、水相、実際にはさらに水相/有機相である反応媒質中で沈殿物の形の予想される最終生成物は、例えば次の操作:沈降、濾過、遠心、排水、圧搾などによる分離のうちの1つまたは複数から選択される当該分野で周知の通常の方法に従って回収される。
【0052】
特にスルファートやヒドロゲンスルファートなど、水溶性不純物を除去する目的で、固体の形で得られたビス−DMTDを、続いて水で洗浄できることが有利である。望むならまたは必要なら、当業者に周知の任意の通常の精製方法に従って、例えば1種または複数の適切な溶媒からの再結晶によって、ビス−DMTDを精製することができる。
【0053】
最後に、特に最終製品の貯蔵および輸送のために場合によって包装する前に、ビス−DMTDを、例えば真空下または空気流下で、有利には50℃から150℃の間、好ましくは60℃から110℃の間、より好ましくは70℃から90℃の間の温度と場合によって組み合わせて乾燥することが有利である。
【0054】
本発明の方法は、酸化反応において、懸濁液としての固体DMTDと水に可溶性のDMTDとを含み、DMTDの変換度が事実上完全であり、反応によって生ずる廃液にDMTDを排出することなくまたは非常に少量しか排出しない利点を示す。
【0055】
さらに、ビス−DMTDが水に事実上不溶であるので、本発明の方法の間にこのようにして生成した廃液は、回収によって生ずる水性の母液を含めて、DMTDもビス−DMTDも含まずまたはこれらの生成物の微量しか含まない。この結果として、これらの廃液中の有機物質の量(COD)が、廃液中のCOD量が一般に15g/lより高い値に達する2段階で実施される通常の方法とは対照的に非常に少なく、一般に10g/l未満、より一般に5g/l未満、実際にはさらに2g/l未満である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
水の化学的酸素要求量(COD)は、水中で酸化性物質を酸化するための所与の操作条件下で消費された二クロム酸ナトリウムの重量に等しい酸素の重量/体積と定義される。CODの測定は、当業者に周知の任意の方法、特にISO 15705:2002の基準方法に従って実施することができる。
【0057】
したがって、本発明の方法によって、DMTDが負荷された廃液の排出を回避し、その結果、合成中間体の損失を回避することが可能になる。これによって、収率は、先行技術の合成に対して有意に増加し、中間体として生成されたDMTDはすべて、酸化反応において使用され、ビス−DMTDを生じる。
【0058】
したがって、使用される反応媒質の濃度に応じて、開始時に関与するヒドラジンのモル数に対する生成ビス−DMTDのモル数に基づく収率の増加は、5から10%程度およびそれよりはるかに高い。
【0059】
したがって、本発明による方法は工業生産に完全に適しており、これは、前記ワンポット方法によって、一般に96%を超え、より一般に98%を超え、実際にはさらに99%を超える高純度のビス−DMTDを得ることが可能になるので、なおさら真実である。
【0060】
本発明の方法に従って調製されたビス−DMTDは、特にこの耐摩耗特性および高い温度と圧力に対するこの良好な耐性のため、多くの分野で用途がある。
【0061】
したがって、ビス−DMTDは、例えばエンジンオイル、熱伝達流体または金属加工用油、より一般には高い温度および/または圧力を受けやすい任意のタイプの油向けの潤滑剤中の耐摩耗剤として使用できることが有利である。
【0062】
ビス−DMTDは抗酸化特性も示し、したがって多数の用途で使用することができる。それらのうちほんの一部を挙げれば、例えば上記で定義されたもの、さらにはコーティング、特に塗料、ラッカー、ワニスおよび他の皮膜形成性製品、特に水系のもの、特に金属部品(建造物、扉および窓枠、金属製品、鉄製部品)のコーティングおよび電池(充電式化学電池、燃料電池など)、蓄電池、蓄電器、電解セルまたは電気めっきセルなどの電気化学デバイスの生産などであるが、これらに限定するものでは全然ない。
【0063】
次に、次の実施例によって、本発明を説明するが、これは本発明の範囲という点から見ると限定するものではなく、範囲は添付の特許請求の範囲で定義される。
ビス−DMTD合成の例
段階a)
4000リットルの水、800kgのヒドラジン一水和物および1300kgの50重量%水酸化ナトリウム水溶液を、予め窒素で不活性にし、撹拌装置が設けられている16mの琺瑯引き反応器またはステンレス鋼製反応器に添加する。温度は約30℃に上がる。
【0064】
続いて、2900kgの二硫化炭素を、36℃から40℃の間の温度で約10時間かけて添加する。反応中に放出された硫化水素は、水酸化ナトリウム水溶液で吸収/反応させることによって捕捉する。
【0065】
反応媒質を約98℃まで徐々に加熱し、この温度で、窒素を用いてストリッピングを5時間実施する。続いて、反応媒質を20℃に冷却し、次いで2000lの水を添加する。
段階b)
やはり撹拌しながら窒素下で、2200kgの42%硫酸を、温度を20℃で維持しながら添加する。
段階c)
次いで、770kgの35%過酸化水素水溶液(H)を、50℃から55℃の間の温度を維持しながら添加し、次いで撹拌を50℃で2時間維持する。
段階d)
次いで、36kgの85 Neutral Solvent油(Total社製)を添加し、次いで生成物を遠心濾過する。生成物を水で洗浄し、次いで70℃で真空乾燥する。2240kgのビス−DMTDを回収する。この生成物は、融点162℃から164℃の間および純度98%(収率=92%)である。
【0066】
ビス−DMTDを濾過した後、DR/5000分光光度計(Hach−Lange)を用いて、水性の母液のCOD(化学的酸素要求量)を測定する。COD測定値は5g/l以下である。
【0067】
本発明の方法で生じた廃液の毒性が低いこと、観察された収率が良好であることによって、前記方法が工業レベルでビス−DMTDを製造するのに完全に適切となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の段階:
a)塩基性媒質中におけるヒドラジンNと二硫化炭素CSとの反応;
b)反応媒質の酸性化;
c)反応媒質の酸化;
d)生成されたビス−DMTDの回収および場合による精製
を含む、ビス−DMTDの調製方法。
【請求項2】
CS/Nのモル比が、1.8から4.0の間、好ましくは2.0から3.0の間、より好ましくは2.0から2.5の間、完全に好ましくは約2.2から2.4の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階a)が水相で実施される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階a)が、塩基性媒質中において、好ましくは強塩基の存在下、より好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物の存在下で実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
塩基/ヒドラジンのモル比が、およそ0.8から1.5の間、好ましくはおよそ1.0から1.2の間である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
段階a)が、界面活性剤、好ましくはノニオン性界面活性剤の存在下で実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
酸性化段階が、酸、好ましくは無機または有機の強酸、より好ましくは無機強酸、好ましくは硫酸の作用下で実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
酸化段階c)が、酸化剤の反応媒質への添加によって実施され、前記酸化剤が、過酸化水素などの過酸化物、有機または無機の過酸、特に過酢酸およびこれら同士の混合物または強酸との混合物、例えば過酸化水素/強酸の混合物から選択され、強酸が硫酸または塩酸であり、酸化剤が好ましくは過酸化水素である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
酸化剤/DMTDのモル比が、0.35:1から0.65:1の間であり、好ましくはモル比が0.45:1から0.55:1の間である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加工助剤が、段階d)において反応媒質に添加され、前記加工助剤が、好ましくは油であり、有利にはナフテン系またはパラフィン系油タイプである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
固体の形で回収されたビス−DMTDが、水で洗浄され、次いで50℃から150℃の間、好ましくは60℃から110℃の間、より好ましくは70℃から90℃の間の温度で乾燥されることが有利である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
反応廃液中に溶解している有機物質の量が非常に少なく、化学的酸素要求量(COD)値が、10g/l未満、より一般に5g/l未満、実際にはさらに2g/l未満になる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。