説明

ビスグアニジン化合物とそのポリマー固定化複合体

【課題】反応生成物との分離とリサイクルについて、カチオンの捕捉能をより一層高めることのできるグアニジン化合物に係わる新しい技術手段を提供する。
【解決手段】次式(1)


で表わされるビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル(再利用)可能な固相カチオン捕捉剤等として有用なビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体とその合成中間体並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機合成に係わる金属カチオンやプロトン等の捕捉のための塩基性化合物の検討が進められており、近年では、医薬品をはじめとする各種化成品の不斉合成の触媒系を構成するものとして、また、金属イオンの回収等の水質浄化に係わる環境技術手段としてもこれらの捕捉剤化合物が注目されている。
【0003】
このような背景において、本発明者らは、カチオン捕捉機能やその触媒への利用等の観点から、有機塩基性化合物としてのグアニジン化合物に注目し、その合成法や捕捉能、触媒等についての検討を行ってきている(非特許文献1−4、特許文献1)。
【0004】
また、これらグアニジン化合物をポリマー固定化することも試みている(非特許文献5)。
【0005】
ただ、発明者らによるこれまでの検討からは、捕捉剤として利用する場合の反応系、特に反応生成物との分離、そしてリサイクル(再利用)についての簡便性、経済性を高め、なおかつ、カチオン捕捉機能をより一層高めることが望まれていた。
【非特許文献1】J. Org. Chem., 2000, 65, 7770-7773
【非特許文献2】Chem. Eur. J., 2002, 8, 552-557
【非特許文献3】有機合成化学協会誌 2003, 61, 60−68
【非特許文献4】第48回日本薬学会関東支部大会(千葉)、2004, 10, 9
【非特許文献5】Molecular Diversity, 2005, 9, 321-331
【特許文献1】PCT/JP2005/00930
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のとおりの背景から、これまでの発明者らの検討を踏まえて、反応系、特に反応生成物との分離とリサイクル(再利用)についての簡便性、経済性をさらにたかめることができ、なおかつ、カチオンの捕捉能をより一層高めることのできるグアニジン化合物に係わる新しい技術手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものとして以下のことを特徴としている。
【0008】
第1:次式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中のXはO、SまたはNRcを示し、Raは炭化水素鎖を示し、Rbは炭化水素鎖または含酸素炭化水素鎖を示し、Rcは炭化水素原子または炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよく、Polは固体状ポリマーを示す。)
で表わされるビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体。
【0011】
第2:Rbは、次式
−(CH2m−〔(CH2n−Y〕k−(CH2l
(式中のYは、O、SまたはNRdを示し、Rdは、水素原子または炭化水素基を示し、mは1以上の正の整数を、n、k、lは各々、0または1以上の正の整数を示す。)で表わされる上記第1のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体。
【0012】
第3:次式(2)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中のZはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基を示しRaは炭化水素鎖を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物。
【0015】
第4:次式(3)
【0016】
【化3】

【0017】
(式中のWは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基、−ReORfまたは−ReCOORfを示し、Reは炭化水素鎖を示し、Rfは炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異に炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物。
【0018】
第5:次式(1)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中のXはO、SまたはNRcを示し、Raは炭化水素鎖を示し、Rbは炭化水素鎖または含酸素炭化水素鎖を示し、Rcは水素原子または炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよく、Polは固体状ポリマーを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体の製造方法であって、
次式(2)
【0021】
【化5】

【0022】
(式中のZはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基を示し、Raは炭化水素鎖を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物を、次式
Pol−Rb−V
(Polは固体状のポリマーを示し、Rbは前記のものを示し、Vは反応性基を示す。)で表わされるポリマー化合物と反応させることを特徴とするビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体の製造方法。
【0023】
第6:次式(3)
【0024】
【化6】

【0025】
(式中のWは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基、−ReORfまたは−ReCOORfを示し、Reは炭化水素鎖を示し、Rfは炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異に炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物を前記の式(2)で表わされる化合物に変換してポリマー化合物と反応させる上記第5のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体の製造方法。
【0026】
第7:上記第1または第2のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体を少くともその構成の一部としていることを特徴とするカチオン捕捉剤。
【0027】
第8:上記第1または第2のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体を少くともその構成の一部としていることを特徴とする酸捕捉剤。
【発明の効果】
【0028】
上記のとおりの本発明においては、二つの強い塩基性グアニジン官能基をカニやエビのハサミのように同時に作用させることでカチオン捕捉能をより一層高めることを可能としており、また、高い効率での酸の捕捉も可能としている。しかも、この高い機能を固体状ポリマーへの固定においても実現している。そして、固体状ポリマーへの固定によって、反応系、特に生成物からの分離やリサイクル(再利用)を簡便に効率的なものとし、経済性を高めてもいる。
【0029】
また、本発明の合成中間体としてのビスグアニジン化合物とそれを用いたポリマー固定化複合体の製造方法によれば、効率的で経済的なポリマー固定化複合体の取得が可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0031】
本発明のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体は前記の式(1)で表されるものであるが、符号R1、R2、R3、R4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、脂肪族、脂環式、あるいは芳香族、芳香脂肪族の、飽和もしくは不飽和の各種の炭化水素基であってよい。より具体的には、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基等が例示される。また、R3とR4は、結合して式(1)中の二つの窒素原子と共に環を形成してもよく、たとえば−(CH22−、−(CH23−、−CH2−O−CH2−、−CH2−NH−CH2−等であってよい。
【0032】
上記の炭化水素基は合成上、あるいはカチオン捕捉能等の機能上許容される限りにおいて適宜な置換基、たとえばアルキル基、アリール基等の炭化水素基や、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィド基、エステル基、アミノ基、アミド基等を有していてもよい。
【0033】
符号Raは炭化水素鎖であり、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の炭化水素鎖であってよい。好適には、炭素数1〜10のアルキレン、アルケニレン、アリールアルキレン鎖等が考慮される。Rbも同様の炭化水素鎖であってよく、あるいは炭素鎖上に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。たとえば、Rbとしては、前記のとおりの、次式;
−(CH2m−〔(CH2n−Y〕k−(CH2l
(Yは、O、SまたはNRdを示し、Rdは、水素原子または上記同様の炭化水素基を示し、mは1以上の正の整数を、n、k、lは、各々、0または1以上の正の整数を示す。)で表わされるものとしてもよい。ここで、たとえば、YはO(酸素原子)であり、m=1〜4、n=1〜3、k=1〜10、l=1〜4のものを好適なものの一つとして考慮することができる。
【0034】
式(1)中の符号XはO、SまたはNRcであって、Rcは上記Rdと同様のものとして考慮することができる。また、Polは、固体状のポリマーであって、各種のものでよく、たとえばポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・アクリル共重合体、その他従来より固相触媒や固定化用として用いられているポリマーの各種のものから選択されてよい。その形状は、ビーズ等としての粒状や、バルク状、メッシュ状、板状等の各種であってよく、本発明の複合体の用途に応じて定めることができる。これらは市販品としても利用してもよい。たとえばシグマアルドリッチ社製のもの等を市販品として用いることができる。
【0035】
以上のような本発明のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体は、前記の式(2)(3)を原料もしくは合成中間体とすることによって合成することができる。たとえば式(2)のビスグアニジン化合物を用いてポリマーに固定する方法等である。前記のとおりにPol−Rb−Vで表わされるポリマー化合物と式(2)の化合物とを反応させる方法や、Pol(ポリマー)とRb反応成分とを用いて式(2)の化合物を反応させる方法等が適宜に考慮される。
【0036】
そして式(2)のビスグアニジン化合物は、前記の式(3)のビスグアニジン化合物から導くことができる。このための方法は、たとえば後述の実施例において例示している方法等によることができる。なお、式(3)のWにおけるReとしては、上記Rにおいて例示した炭化水素鎖などが挙げられ、Rfとしては、上記R1等において例示した炭化水素基などが挙げられる。
【0037】
本発明のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体は、高いカチオン捕捉能と酸捕捉能を有し、これを用いて有機合成の触媒系を構成することや、金属カチオンの捕捉のための水質浄化剤等として用いることもできる。
【0038】
なお、本発明のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体における酸捕捉剤としての機能は、グアニジン化合物の塩基部位と、捕捉対象の酸化合物のプロトンとの酸−塩基相互作用によるものである。本発明の酸捕捉剤により捕捉可能な酸化合物の具体例としては、H3AsO4、H3PO4などが挙げられる。本発明の酸捕捉剤は、有機塩基触媒などの用途にも利用可能である。
【0039】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【実施例】
【0040】
<実施例1>
(ポリマー固定化ビスグアニジンの合成)
次の反応スキームに従ってポリマー固定化ビスグアニジン(9)の合成を実施した。なお、式中のPSはポリスチレンポリマーを示している。
【0041】
【化7】

【0042】
1,2−Diacetylaminobenzene(1)
o-Phenylenediamine(0.25g,1.89mM)とAc2O(0.39mL,4.13mM)の混合物を室温にて30min攪拌後、後処理を行い、1を無色板状晶(0.340g,94%),mp 191−192℃、として得た。
【0043】
4−Bromo−1,2−diacetylaminobenzene(2)
1(5.89g,30.6mM)をAcOH(26mL)に溶解し、Br2(1.4mL,27.3mM)を加え、70℃にて1.5h攪拌後、後処理を行い、2を無色針状晶(4.51g,61%),mp 218−220℃、として得た。
【0044】
【表1】

【0045】
4−Bromo−1,2−diacetylaminobenzene(3)
2(1.00g,3.70mM)と15%NaOH(47.5mL)の混合物を80℃にて14h攪拌後、後処理を行い、3を無色プリズム晶(0.524g,76%),mp 59−60℃、として得た。
【0046】
【表2】

【0047】
4−Bromo−1,2−bis(1,3−dimethyl−1,3−ethyeneguanidino)benzene(4)
3(0.188g,1.01mM),DMC(0.526g,2.49mM),そしてEtaN((0.75mL,5.38mM)をCH2Cl2(16mL)に溶解し、0℃にて1h攪拌後、後処理を行い、4を無色プリズム晶(0.323g,84%),mp 91−92℃、として得た。
【0048】
【表3】

【0049】
4−Formyl−1,2−bis(1,3−dimethyl−1,3−ethyeneguanidino)benzene(5)
4(2.01g,5.30mM)をTHF(40mL)に溶解し、n−BuLiの1.27M hexane(14.0mM)を78℃で加えた後、DMF(1.2mL、15.5mM)THF(5mL)に溶解した溶液を加える。反応液は同温度で1.5h攪拌後、後処理を行い、5を無色オイル(1.48g,85%)として得た。
【0050】
【表4】

【0051】
4−(2−Ethoxycarbonylvinyl)−1,2−bis(1,3−dimethyl−1,3−ethyeneguanidino)benzene(6)
5(4.14g,12.6mM),ethyl diethylphosphorylacetate(5.0mL,25.2mM),60%NaH(1.04g,0.267mM)をTHF(145mL)に溶解し、室温にて4.5h攪拌後、後処理を行い、6を黄色オイル(4.64g,92%)として得た。
【0052】
【表5】

【0053】
4−(2−Ethoxycarbonylvinyl)−1,2−bis(1,3−dimethyl−1,3−ethyeneguanidino)benzene(7)
6(3.10g,7.79mM)および10%Pd−C(0.316g)を含むEtOH(84mL)溶液を30℃にて24h接触還元後、後処理を行い、7を黄色オイル(2.7g,87%)として得た。
【0054】
【表6】

【0055】
4−(3−Hydroxypropyl)1,2−bis(1,3−dimethyl−1,3−ethyeneguanidino)benzene(8)
7(3.48g,8.69mM)および18−crown−6(0.3g,1.13mM)をTHF(70mL)に溶解し、red−Al(3.8mL,13.1mM)を加え、氷−食塩冷却(内温・17・14℃)下、2h攪拌した。そのさらにred−Alを同量加えて、2h攪拌後、後処理を行い、8を黄色粉末(2.49g,80%)として得た。
【0056】
【表7】

【0057】
Polymer-supported bisguanidine(9)
8(0.52g,1.46mM)、Hypo−Gel Br(登録商標)(0.63g,0.51mM;loading 0.8mM/g)、NaH(0.24g,5.02mM)の混合物をDMF(10mL)中、超音波照射下、90h攪拌した。不溶物を遠心分離にてろ別し、水、メタノール、エタノールにて洗浄し、残渣(0.58g)を得た。IR(ATR)v:1649cm-1
<実施例2>
(金属カチオンの捕捉)
次のスキームによりCo(コバルト)を捕捉した。
【0058】
【化8】

【0059】
ポリマー固定化ビスグアニジン型化合物(9)(0.20g,0.043mM)に、CoCl2・6H2O(0.011g,0.044mM)を水(0.5mL)に溶解した溶液(赤紫色)を加え、1h攪拌した。不溶物をろ過し、緑色固体(0.2g)を得た。IR(ATR)v:1635cm-1
この固体は、ICP−MSにより、コバルトを約1400ppb含有し、コバルトを添加しない場合のポリマー固定化ビスグアニジン化合物(9)に比べて200倍のコバルトを取込んでいることを確認した。
<実施例3>
(酸の捕捉)
次のスキームによりヒ酸(H3AsO4)を捕捉した。
【0060】
【化9】

【0061】
ポリマー固定化ビスグアニジン型化合物(9)(0.21g,0.04mM)に、市販の60% H3AsO4水溶液(0.1mL)を水(4.9mL)で希釈して調製したH3AsO4水溶液(5.0mL)を加え、室温にて0.5h攪拌した。不溶物をろ過し、水、メタノールで洗浄後、黄色粉末(0.23g)を得た。
【0062】
この固体は、ICP−MSにより、ヒ素を約3157ppb含有し、その捕捉割合は54%と計算され、ポリマー固定化ビスグアニジン型化合物(9)がH3AsO4を捕捉することを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(1)
【化1】

(式中のXはO、SまたはNRcを示し、Raは炭化水素鎖を示し、Rbは炭化水素鎖または含酸素炭化水素鎖を示し、Rcは水素原子または炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよく、Polは固体状ポリマーを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体。
【請求項2】
bは、次式
−(CH2m−〔(CH2n−Y〕k−(CH2l
(式中のYは、O、SまたはNRdを示し、Rdは、水素原子または炭化水素基を示し、mは1以上の正の整数を、n、k、lは各々、0または1以上の正の整数を示す。)で表わされる請求項1記載のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体。
【請求項3】
次式(2)
【化2】

(式中のZはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基を示しRaは炭化水素鎖を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物。
【請求項4】
次式(3)
【化3】

(式中のWは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基、−ReORfまたは−ReCOORfを示し、Reは炭化水素鎖を示し、Rfは炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異に炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物。
【請求項5】
次式(1)
【化4】

(式中のXはO、SまたはNRcを示し、Raは炭化水素鎖を示し、Rbは炭化水素鎖または含酸素炭化水素鎖を示し、Rcは水素原子または炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよく、Polは固体状ポリマーを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体の製造方法であって、
次式(2)
【化5】

(式中のZはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基を示し、Raは炭化水素鎖を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異な炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物を、次式
Pol−Rb−V
(Polは固体状のポリマーを示し、Rbは前記のものを示し、Vは反応性基を示す。)で表わされるポリマー化合物と反応させることを特徴とするビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体の製造方法。
【請求項6】
次式(3)
【化6】

(式中のWは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、アルデヒド基、−ReORfまたは−ReCOORfを示し、Reは炭化水素鎖を示し、Rfは炭化水素基を示し、R1、R2、R3およびR4は、各々、同一または別異に炭化水素基を示し、R3とR4は結合して環を形成してもよいことを示す。)で表わされるビスグアニジン化合物を前記の式(2)で表わされる化合物に変換してポリマー化合物と反応させる請求項5記載のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体の製造方法。
【請求項7】
請求項1または2記載のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体を少くともその構成の一部としていることを特徴とするカチオン捕捉剤。
【請求項8】
請求項1または2記載のビスグアニジン化合物のポリマー固定化複合体を少くともその構成の一部としていることを特徴とする酸捕捉剤。

【公開番号】特開2007−332362(P2007−332362A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129861(P2007−129861)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【出願人】(591105993)東京化成工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】