説明

ビスコ−サプリメント組成物および方法

本発明は、ビスコ−サプリメントの送達のための方法およびデポーエマルション組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【クロスレファレンス】
【0001】
本出願は、2004年12月23日付け出願の米国仮出願第60/638,535号、および2005年12月19日付け出願の米国仮出願第 号の利益を主張し、その開示は、その全体を引用することにより本明細書に編入される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ビスコ−サプリメント(visco−supplement)の送達のための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
骨関節症は、軟骨基質の進行性破壊を特徴とする変形性疾患である。これは痛みおよび硬直をもたらし、結局は機能の喪失となる。骨関節症の一つの処理方法は、痛みを和らげるために関節内にビスコ−サプリメントを配置することである。例えば、一つのかかるビスコ−サプリメントは、ヒアルロン酸またはその塩である。リン酸緩衝食塩水中の高度に精製された高分子量(2.4〜3.6百万ドルトン)または軽度に架橋されたヒアルロン酸ナトリウムの溶液が、骨関節症、特には膝関節により起きる痛みを緩和するためのビスコ−サプリメントとして使用されている。ヒアルロン酸塩は、関節をなめらかにしそれにより処置位置のより大きい運動性および屈曲性が得られると考えられる。関節または接合部スペースを灌流する機能もある。
【0004】
しかし、ヒアルロン酸塩の水溶液は身体に急速に吸収される。ある研究では、関節スペース内へのヒアルロン酸塩の注入は、そこに数日間しか留まらないことを示す。これは頻繁な注入を意味し、それは不愉快でありそして時間を無駄にする。
【0005】
従って、必要とされるものは、ビスコ−サプリメントの改善された組成物および送達方法である。本発明はそれら、ならびにその他の重要な目的を目指す。
【発明の開示】
【0006】
要約
本発明は、生分解性ポリマー、溶剤、ビスコ−サプリメント、例えばヒアルロン酸またはその塩、および界面活性剤を含んでなる組成物を記述する。一部の態様では、該組成物はヒアルロン酸またはその塩の持続性送達のための注入可能なデポー(depot)エマルション組成物である。
【0007】
本発明は、ビスコ−サプリメントを含むエマルションの形成、およびそれを必要とする患者内への該エマルションの注入を含んでなる、ビスコ−サプリメントを投薬する方法も記載する。
【0008】
詳細な説明
一つの態様では、本発明は生分解性ポリマー、溶剤、ビスコ−サプリメント、例えばヒアルロン酸またはその塩、および界面活性剤を含んでなる組成物を含む。
【0009】
ビスコ−サプリメントの用語は、特には潤滑をもたらすためのものを関節スペースに投薬するあらゆる公知の化合物を含んでなることを意図する。一つの態様では、ビスコ−サプリメントは、ヒアルロン酸またはその塩である。ヒアルロン酸は、N−アセチルグルコサミンおよびグルコン酸の反復二糖単位から成る多糖類である。ヒアルロン酸は高い粘弾性および潤滑性を有し、そして多数の動物内に見いだされる。それは雄鳥のとさかから単
離されるか、または細菌により発現されて精製されることができる。一つの態様では、その塩はヒアルロン酸ナトリウムである。ヒアルロン酸ナトリウムは、市場でも入手でき、そして多数のビスコ−サプリメント、例えば、ゲンザイム(Genzyme)から入手できるシンビスク(SYNVISC)(R)、フィディア(Fidia)から入手できるヒアルガン(HYALGAN)(R)、およびバイオ−テクノリジー・ジェネラル(Bio−Technology General)から入手できるアルスリーズ(ARTHREASE)(R)中の成分である。
【0010】
一つの態様では、ヒアルロン酸またはその塩は組成物内に約0.1重量%〜約50重量%の範囲内で存在する。
【0011】
一つの態様では、ヒアルロン酸は乾燥形態である。一つの態様では、乾燥形態は、組成物の約0.1〜50重量%、好ましくは組成物の約1〜30重量%である。
【0012】
さらに別の態様では、ヒアルロン酸は水溶液である。ヒアルロン酸の水溶液の一つの態様では、ヒアルロン酸濃度は約0.5〜5重量%であり、一方、組成物内のヒアルロン酸の水溶液は約30〜50重量%である。
【0013】
組成物は各種の方法で形成されてもよいと理解されている。例えば、一つの態様では、生分解性ポリマーゼおよび溶剤が、デポービヒクルを構成する。注入可能の態様では、直径が小さい注射針を介して混合物を容易にそして一定して注入するために安定で均質なエマルションを得ることが重要である。デポービヒクル中の界面活性剤の存在は、均質なエマルションおよびより容易な注入に導くことができる。このような態様中で、デポービヒクルはさらに界面活性剤を含んでもよい。
【0014】
一つの態様では、デポービヒクルはアルザ(ALZA)から入手できるアルザマー(ALZAMER)デポー技術を使用する。デポーポリマー中のポリマーがヒアルロン酸塩の制御された送達のための基質システムを形成できるので、かかるビヒクルは持続性放出を提供する。
【0015】
一部の態様では、生分解性ポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(カプロラクトン)、ポリアンヒドリド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリホスホエステル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、スクシナート、ポリ(リンゴ酸)、およびポリ(アミノ酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマーおよび混合物から成る群から選択される。
【0016】
生分解性ポリマーは、組成物の約15重量%〜約60重量%の範囲内で存在してもよい。
【0017】
一部の態様では、生分解性ポリマーは、乳酸含有ポリマーである。乳酸は、ポリマーの約1重量%〜約100重量%の範囲内で存在してもよい。一部の態様では、乳酸は、ポリマーの約25重量%〜約75重量%の範囲内で存在する。
【0018】
一部の態様では、生分解性ポリマーは、乳酸とグリコール酸とのコポリマーである。乳酸が存在する場合には、グリコール酸はポリマーの約35重量%〜約65重量%の範囲内で存在してもよい。別の態様では、乳酸はポリマーの約45重量%〜約99重量%の範囲内で存在する。
【0019】
一部の態様では、生分解性ポリマーは、乳酸、グリコール酸、およびポリε−カプロラ
クトンのターポリマーである。一部の態様では、生分解性ポリマーは、乳酸5重量%、グリコール酸55重量%、およびポリε−カプロラクトン40重量%のターポリマーである。
【0020】
一つの態様では、溶剤は、芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、クエン酸の低級アルキルエステル、およびそれらの組合せから成る群から選択される。一つの態様では、溶剤は、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、乳酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール、エタノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、ゴマ油、落花生油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチル−ピロリドン、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、炭酸プロピレン、またはそれらの混合物である。一つの態様では、溶剤は、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミル、または安息香酸ベンジルである。一つの態様では、溶剤は安息香酸ベンジルである。一つの態様では、溶剤はベンジルアルコールである。そして別の態様では、溶剤は安息香酸ベンジルおよびベンジルアルコールである。
【0021】
一つの態様では、溶剤は組成物の約15重量%〜約60重量%の範囲内で存在する。
【0022】
一つの態様では、界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはポリマー性界面活性剤である。界面活性剤の例は、アルカノール(ALKANOL)(R)189−S、アルカノール(R)XC、アリルアルコール 1,2−ブトキシラート−ブロック−エトキシラート、硫酸アンモニウム末端キャップしたプロピレングリコール中80重量%溶液、1−デカンスルホン酸ナトリウム塩、98%、4−(2,3−ジヒドロキシプロピル) 2−(2−メチレン−4,4−ジメチルペンチル)スクシナートカリウム塩40重量%水溶液、N,N−ジメチル−N−〔3−(スルホキシ)プロピル〕−1−デカナミニウム(decanaminium)・ヒドロキシド分子内塩、N,N−ジメチル−N−〔3−(スルホキシ)プロピル〕−1−ノナナミニウム(nonanaminium)・ヒドロキシド分子内塩、ジオクチルスルホスクシナート・ナトリウム塩、96%、N−エチル−N−〔(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル〕グリシン・カリウム塩、水/2−ブトキシエタノール中42重量%、グリコール酸エトキシラート 4−t−ブチルフェニルエーテル、平均MN約380、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、平均MN約360、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、平均MN約460、グリコール酸エトキシラートラウリルエーテル、平均MN約690、グリコール酸エトキシラート 4−ノニルフェニルエーテル、平均MN約600、グリコール酸エトキシラート オレイルエーテル、平均MN約410、グリコール酸エトキシラート オレイルエーテル、平均MN約540、グリコール酸エトキシラート オレイルエーテル、平均MN約700、〔3−((((ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル)アミノ)プロピル)〕トリメチルアンモニウム・ヨージド、2−プロパノール/水中42重量%溶液、ポリ(エチレングリコール) 4’−ノニルフェニル 3−スルホプロピルエーテル・カリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、工業用グレード、ドデシル硫酸ナトリウム、70%、ドデシル硫酸ナトリウム、98%、ゾニル(ZONYL)(R)7950、ゾニル(R)FSA蛍光界面活性剤、水:イソプロパノール(37.5:37.5)中25重量%のLiカルボン酸塩、ゾニル(R)FSE蛍光界面活性剤、水:エチレングリコール(62:24)中の14%のゾニル(R)FSP蛍光界面活性剤、ゾニル(R)UR蛍光界面活性剤、アドジェン(ADOGEN)(R)464、アルカノール(R)6112、アリルアルコール 1,2−ブトキシラート−ブロック−エトキシラート、アリルアルコール 1,2−ブトキシラート−ブロック−エトキシラート、ブライ(BRIJ)(R)30、平均MN約362、ブライ(R)35、平均MN約1,198、ブライ(R)52、平均MN約330、ブライ(R)56、平均MN約683、ブライ(R)58、平均MN約1,124、ブライ(R)72、平均MN約359、ブライ(R)76、平均MN約711、ブライ(R)78、平均MN約1,152、ブライ(R)92、平均MN約357、ブライ(R)97平均MN約709、ブライ(R)98、平均MN約1,150、ブライ(R)700、平均MN約4,670、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、98%、エチレンジアミン テトラキス(エトキシラート−ブロック−プロポキシラート)テトロール、平均MN約7,200、エチレンジアミン テトラキス(エトキシラート−ブロック−プロポキシラート)テトロール、平均MN約8,000、エチレンジアミン テトラキス(プロポキシラート−ブロック−エトキシラート)テトロール、平均MN約3,600、エチレンジアミン テトラキス(プロポキシラート−ブロック−エトキシラート)テトロール、平均MN約15,000、イゲパル(IGEPAL)(R)CA−210、平均MN約294、イゲパル(R)CA−520、平均MN約427、イゲパル(R)CA−720、平均MN約735、イゲパル(R)CO−210、平均MN約308、イゲパル(R)CO−520、イゲパル(R)CO−630、平均MN約617、イゲパル(R)CO−720、平均MN約749、イゲパル(R)CO−890、平均MN約1,982 、イゲパル(R)CO−990、平均MN約4,626、イゲパル(R)DM−970、メリポル(MERIPOL)(R)DA界面活性剤、水/イソブタノール(約50:50)中60重量%、メリポル(R)HCS界面活性剤、メリポル(R)LFH界面活性剤、メリポル(R)OJ界面活性剤、メリポル(R)SE界面活性剤、メリポル(R)SH界面活性剤、メリポル(R)A界面活性剤、8−メチル−1−ノナノール プロポキシラート−ブロック−エトキシラート、ポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩、粒径1000μm(99%)、ポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液、平均分子量約2,000、GPCによる、水中60重量%、ポリ〔ジメチルシロキサン−コ−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン〕−グラフト−ポリ(エチレン/プロピレングリコール)、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約1,400、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約920、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約875、ポリエチレン−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約575、ポリ(エチレングリコール) n−アルキル 3−スルホプロピルエーテル カリウム塩、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約1,100、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約1,900、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約2,000、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約2,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約2,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約2,900、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約4,400、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約5,800、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、平均MN約8,400、ポリ(エチレングリコール) 2−〔エチル〔(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル〕アミノ〕エチルエーテル、ポリ(エチレングリコール) 2−〔エチル〔(ヘプタデカフルオロオクチル)スルホニル〕アミノ〕エチルメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ミリスチル獣脂エーテル、平均MN約3,000、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)モノカルボン酸、クロロ末端、平均MN約500
、ポリオキシエチレンソルビタン・テトラオレアート、ポリオキシエチレンソルチトール・ヘキサオレアート、ポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテル、C13イソアルキルが主体のC11〜C14イソアルキルエーテルの混合物、ポリオキシエチレン(12)トリデシルエーテル、C13イソアルキルが主体のC11〜C14イソアルキルエーテルの混合物、ポリオキシエチレン(18)トリデシルエーテル、C13イソアルキルが主体のC11〜C14イソアルキルエーテルの混合物、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN約2,000、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN約2,700、ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、平均MN約3,300、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、テルジトル(TERGITOL)(R)NP−9、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール エトキシラート、平均MN約380、平均分子量約395、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール エトキシラート、平均MN約670、平均分子量約700、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール エトキシラート、平均MN約1,200、平均分子量約1,250、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、(±)とメソとの混合物、98%、トリトン(TRITON)(R)X−100、トリトン(R)X−100、還元(reduced)、トリトン(R)N−101、還元、トリトン(R)X−114、トリトン(R)X−114、還元、99+%、トリトン(R)X−114、還元、トリトン(R)X−405、還元、トリトン(R)X−405、70%水溶液、トリトン(R)SP−135,トリトン(R)SP−190,ツイーン(TWEEN)(R)20、平均MN約1,228、ツイーン(R)20、72重量%水溶液、ツイーン(R)40、平均MN約1,284、ツイーン(R)60、平均MN約1,312、ツイーン(R)80、平均MN約1,310、ツイーン(R)85、平均MN約1,839、プルロニク(PLURONIC)(R)F68、プルロニク(R)F127、プルロニク(R)L61、プルロニク(R)L81、プルロニク(R)L92、プルロニク(R)L121など、ツイーン20、ツイーン80、クレモフォル(CREMOPHOR)(R)EL35、クレモフォル(R)EL40、クレモフォル(R)EL60、ゾニル(ZONYL)(R)FSN、ゾニル(R)FSN−100、ゾニル(R)FSO、およびゾニル(R)FSO−100を含む。
【0023】
一つの態様では、界面活性剤は組成物の約0.01重量%〜約5重量%の範囲内で存在する。一部の態様では、界面活性剤は組成物の約0.04重量%〜約2.0重量%の範囲内で存在する。
【0024】
一つの態様では、界面活性剤は、ポリマー性界面活性剤である。一つの態様では、ポリマー性界面活性剤は組成物の約0.01重量%〜約5重量%の範囲内で存在する。一部の態様では、界面活性剤は組成物の約0.04重量%〜約2.0重量%で存在する。
【0025】
一部の態様では、界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン含有組成物またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックコポリマー、エチレンジアミンへのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドとの付加から誘導されるブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、またはポリ(エチレンオキシド)である。一つの態様では、界面活性剤はツイーン20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)またはツイーン80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)である。
【0026】
一部の態様では、界面活性剤は、式HO−(エチレンオキシド) −(プロピレンオキシド) −(エチレンオキシド)x’−Hのプロピレンオキシドとエチレンオキシド
とのブロックコポリマーである。一つの態様では、xは約2〜約150の範囲内、yは約20〜約70の範囲内そしてx’は約2〜約150の範囲内である。一つの態様では、xは約79であり、yは約28であり、そしてx’は約79である。一つの態様では、界面活性剤はプルロニクF68界面活性剤である。
【0027】
本発明は、上記の組成物を含んでなる、ヒアルロン酸またはその塩の持続性送達のための注入可能のデポーエマルション組成物を提供する。
【0028】
本発明は、上記の組成物を関節内に注入することを含んでなる、患者内の関節痛を改善する方法を提供する。一つの態様では、関節は膝である。
【0029】
本発明は、患者の罹患した関節内に請求項1の組成物を注入することを含んでなる、患者内の骨関節症の症状を改善する方法を提供する。
【0030】
本発明は、ビスコ−サプリメントを含むエマルションを形成し、そしてそれを必要とする患者内に該エマルションを注入することを含んでなるビスコ−サプリメントを投薬する方法を提供する。一つの態様では、エマルションは、ビスコ−サプリメント、生分解性ポリマー、溶剤、および界面活性剤を含んでなる。一つの態様では、ビスコ−サプリメントはヒアルロン酸ナトリウムである。
【0031】
本組成物はさらに以下の実施例で記述される。
実施例
【実施例1】
【0032】
エマルション
ヒアルロン酸ナトリウムの水溶液を含む安定で容易に注入できるエマルションを得るために、該当するエマルションは二部分で形成される。
部分A:50:50レゾマー(RESOMER)(R)RG502(PLGA RG502)、または2004年5月28日付け出願の同時係属米国特許出願第10/857609号(ALZ0540)(その全体は引用することにより編入される)中の実施例1および2中に記載のようにして合成されたポリ(カプロラクトン−グリコール酸−L、乳酸)(PCL−GA−LA)として入手できる、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)を含むデポービヒクルを秤量しそしてキーエンス(Keyence)ハイブリッドミキサーボウル内で調合した。適量の溶剤を秤量しそして混合ボウル内に加えた。混合ボウルをしっかりとシールし、キーエンス・ハイブリッドミキサー(モデルHM−501、キーエンス、日本)中に入れ、そして混合速度(回転数(revolution)2000rpm、および回転(rotation)800rpm)で5〜10分間混合した。この混合物には0.1〜5重量%の量の界面活性剤も含まれていた。および
部分B:ヒアルロン酸ナトリウムの水溶液(高分子量、MW>1000kDまたは軽く架橋したもの)。
【0033】
部分AおよびBをデュアル・ルアー−ロック(LUER−LOK)TMを用いて連結した2個の分離したシリンジ内に入れた。デポービヒクルおよびヒアルロン酸ナトリウム水溶液を両方のプランジャーを20〜100回押し引きして混合して均質なエマルションを生成させた。続いて、エマルションは所望の関節スペース内に21ゲージ、1インチ針を通して注入できた。
【実施例2】
【0034】
部分Aの調製
表1は、種々の溶剤、およびビヒクル内の界面活性剤の種々のレベルを含むデポービヒ
クルを要約する。表1中に記載の割合を生成するために十分な量の生分解性ポリマー、乳酸、グリコール酸、およびポリε−カプロラクトンのターポリマー(PCL−GA−LA(40/55/5))を溶剤である安息香酸ベンジル(BB)またはBBとベンジルアルコール(BA)の混合物中に溶解した。界面活性剤プルロニクF68を0.1〜2重量%の量でポリマー溶液に加えた。
【0035】
【表1】

【0036】
表2は、種々の溶剤、およびビヒクル内の界面活性剤の種々のレベルでのデポービヒクルの表を要約する。表1中に表示した割合を生成するために十分な量の生分解性ポリマー
ポリ(D.L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)(50:50レソマー(R)RG502(PLGA RG502)として入手可能)を溶剤、安息香酸ベンジル(BB)またはBBとベンジルアルコール(BA)との混合物中に溶かした。界面活性剤ツイーン20を0.1〜2重量%の量でポリマー溶液に加えた。
【0037】
【表2】

【0038】
表3は、種々の溶剤、およびビヒクル中の界面活性剤の種々のレベルでのビスコ−サプリメントの表を要約する。表3中に表示の割合を生成するために十分な量の生分解性ポリマー、乳酸、グリコール酸、およびポリε−カプロラクトンのターポリマー(PCL−GA−LA)を溶剤、安息香酸ベンジル(BB)またはBBとベンジルアルコール(BA)との混合物中に溶かした。界面活性剤ツイーン80を0.1〜2重量%の量でポリマー溶液に加えた。
【0039】
【表3】

【実施例3】
【0040】
ヒアルロン酸の水溶液の調製(部分B)
ヒアルロン酸の水溶液(部分B)は,市場で入手できる製品、例えばアルツト(ARZT)(R)、ヒアルガン(HYALGAN)(R)、シンビスク(SYNVISC)(R)、アルスリーズ(ARTHREASE)(R)、オルトビスク(ORTHOVISC)(R)、などから得られることは理解されている。
【0041】
ヒアルロン酸塩の水溶液(部分B)は、ヒアルロン酸ナトリウム(Genzyme,USA)をリン酸緩衝液、pH7.4中に、ヒアルロン酸ナトリウム濃度0.5〜5重量%となるように溶解してでも調製できる。
【実施例4】
【0042】
エマルションの特性試験
実施例2からのビヒクルを用いて、ビクルの約0.5mLを3mLシリンジ中に加え、そしてヒアルロン酸ナトリウムの約0.5mLをルアー−ロックTMコネクター(金属)を介して一緒に結合された他の3mLシリンジ中に加えた。デポービヒクルおよびヒアルロン酸ナトリウムは、双方のプランジャーを100回押し引きして混合して均質な混合物を生成させた。混合の後、エマルションの全内容物を一つのシリンジ内に加え、そして2
1ゲージ1インチ針を取り付けた。続いて、混合物を21ゲージ1インチ針を通して秤量パン中に観察のために注入した。
【0043】
2重量%界面活性剤を含むデポービヒクル(部分A)は、上記の方法に基づいてヒアルロン酸塩水溶液(部分B)と混合すると均質なエマルションを形成した。21G 1”針を通すこの混合物の注入はなめらかでクリーム状、そして均質なエマルションを生成した。さらにこの混合物は容易に注入できた。
【0044】
対照的に、界面活性剤を含まないビヒクルは、混合物中に不均質に分布したポリマー小滴が現れ、そして注入性が良くなかった。
【0045】
デポービヒクル内の界面活性剤、プルロニクF68の含有量が0.5重量%と等しいかそれを越える場合に、なめらかでクリーム状、そして均質なエマルションが生成した。
【0046】
2:1〜1:2の範囲内の部分Aと部分Bとの比率は、界面活性剤が存在する限り均質なエマルションを形成した。
【0047】
一組のエマルションを調製しそして安定性研究のために4℃で保管した。冷蔵温度2〜8℃)で4日間の保管の後、均質なエマルションは明らかな相分離は示さなかった。
【0048】
本明細書中に引用または記載したすべての特許、特許出願、および公開の開示は、引用することによりその全体が本明細書に編入される。
【0049】
本明細書中の記載の他にも、本発明の種々の変更は上記の記述から当該技術分野の熟練者には明白であろう。かかる変更も本特許請求範囲の範囲内にあると考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリマー、
溶剤、
ヒアルロン酸またはその塩、および
界面活性剤
を含んでなる組成物。
【請求項2】
生分解性ポリマーおよび溶剤がデポービヒクルを構成する、請求項1の組成物。
【請求項3】
デポービヒクルがさらに界面活性剤を含んでなる、請求項2の組成物。
【請求項4】
ヒアルロン酸またはその塩が、
a)乾燥形態でありそして組成物の約0.1〜50重量%であるか、または
b)水溶液中にあり、そして該水溶液が組成物の約30〜50重量%である、
請求項1の組成物。
【請求項5】
生分解性ポリマーが、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(カプロラクトン)、ポリアンヒドリド、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリホスホエステル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、スクシナート、ポリ(リンゴ酸)、およびポリ(アミノ酸)、およびそれらのコポリマー、ターポリマーおよび混合物から成る群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項6】
生分解性ポリマーが乳酸を含有するポリマーである、請求項5の組成物。
【請求項7】
乳酸が、ポリマーの約45重量%〜約99重量%の範囲内で存在する、請求項6の組成物。
【請求項8】
ポリマーの約35重量%〜約65重量%の範囲内で存在するグリコール酸をさらに含んでなる、請求項6の組成物。
【請求項9】
生分解性ポリマーが、乳酸、グリコール酸、およびポリε−カプロラクトンのターポリマーである、請求項1の組成物。
【請求項10】
生分解性ポリマーが、乳酸5重量%、グリコール酸55重量%、およびポリε−カプロラクトン40重量%のターポリマーである、請求項9の組成物。
【請求項11】
生分解性ポリマーが、組成物の約15重量%〜約60重量%の範囲内で存在する、請求項1の組成物。
【請求項12】
溶剤が、芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、クエン酸の低級アルキルエステル、およびそれらの組合せから成る群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項13】
溶剤が、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、乳酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール、エタノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、ゴマ油、落花生油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン
、N−メチル−ピロリドン、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、炭酸プロピレン、またはそれらの混合物である、請求項1の組成物。
【請求項14】
溶剤が、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミル、または安息香酸ベンジルである、請求項1の組成物。
【請求項15】
溶剤が、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、または安息香酸ベンジルおよびベンジルアルコールである、請求項1の組成物。
【請求項16】
溶剤が、組成物の約15重量%〜約60重量%の範囲内で存在する、請求項1の組成物。
【請求項17】
界面活性剤が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはポリマー性界面活性剤である、請求項1の組成物。
【請求項18】
界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン含有組成物、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマー、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加から誘導されるブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、またはポリエチレンオキシドである、請求項1の組成物。
【請求項19】
界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタン・モノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタン・モノオレアート、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックコポリマーが式HO−(エチレンオキシド) −(プロピレンオキシド) −(エチレンオキシド)x’−Hであって、式中、xが約79であり、yが約28であり、そしてx’が約79である、請求項1の組成物。
【請求項20】
界面活性剤が、組成物の約0.01重量%〜約5重量%の範囲内で存在する、請求項1の組成物。
【請求項21】
界面活性剤が、組成物の約0.04重量%〜約2.0重量%の範囲内で存在する、請求項1の組成物。
【請求項22】
請求項1の組成物を含んでなる、ヒアルロン酸またはその塩の持続性送達のための注入可能なデポーエマルション組成物。
【請求項23】
請求項1の組成物を関節内に注入する
ことを含んでなる、患者内の関節痛を改善する方法。
【請求項24】
患者の罹患した関節内に請求項1の組成物を注入する
ことを含んでなる、患者内の骨関節症の症状を改善する方法。
【請求項25】
ビスコ−サプリメントを含むエマルションを形成し、そして
それを必要とする患者内に該エマルションを注入する
ことを含んでなる、ビスコ−サプリメントを投薬する方法。
【請求項26】
エマルションが、ビスコ−サプリメント、生分解性ポリマー、溶剤、および界面活性剤を含んでなる、請求項25の方法。

【公表番号】特表2008−525471(P2008−525471A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548444(P2007−548444)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/046446
【国際公開番号】WO2006/071694
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】