説明

ビススルホンイミド構造を持つポリマー及びこれを含む電極ならびに電池

【課題】リチウムイオン電池において、電極活物質を結着させながらリチウムイオン電導性を持つバインダー、このバインダーを含む電極ならびに電池を提供すること。
【解決手段】電極活物質を結着させるバインダーとして、ビススルホンイミド構造を持つポリマーを用い、このポリマーを電極活物質存在下で対応するモノマーの重合により得ることで電極を作製し、この電極から電池を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なビススルホンイミド構造を持つポリマー、及びこれを用いたリチウムイオン電池のバインダー、並びにこれを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は活物質を含む電極を持つが、活物質を結着させるためにポリビニリデンフルオリドのようなバインダーを用いる。しかしながら、これらのバインダーは一般にリチウムイオン伝導性ないしは導電性をもたないため、内部抵抗となるために電池性能を低下させる。この性能の低下を極力抑えるためにアセチレンブラックなどの導電助剤の添加が行われている。電極を作製するにあたっては、水ないしは有機溶媒に活物質、バインダー、導電助剤からなるスラリーを塗布し、これを乾燥及び圧縮する方法が一般的である。内部抵抗の低減のために、最近ではアルカリ金属カルボン酸塩構造を持つバインダーも開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−210667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極の内部で活物質同士を結着させる必要があるためには、バインダーを1%程度の少量に抑えなければならない。しかしそれにより、無機粉末同士を強固につなぎ止めて巻き取りや衝撃に耐えうる強度をもたせるには、配合が非常に困難である。上記の提案は、これらの解決には有効であったが、スラリーの調製に用いた水ないしは有機溶媒は残存すると電池性能を低下させるため、厳密に除去する必要があるという課題については十分に解決できない。よって、本発明は、リチウムイオン電池において、絶縁抵抗とならずに結着性をもたせるバインダー、このバインダーを含む電極、及びこの電極を用いた電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、リチウムイオン電池の電解質と類似の構造であるビススルホンイミド構造を導入することで、バインダーにリチウムイオン伝導性が付与されることを見出した。さらに、当該バインダーを調製する際に、対応するモノマーの重合を活物質の存在下で行うことで、塗布と硬化のみで電極を作製できることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(1):
【化1】


(式中、
は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、炭素数1〜20のフッ化アルキル、置換若しくは無置換の炭素数7〜15のアラルキル、炭素数2〜10の直鎖若しくは分岐鎖アルケニル、スチリル、(メタ)アクリロイルオキシ、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルであり、
は、水素、リチウム、ナトリウム、又はカリウムであり、
は、炭素数2〜10の直鎖若しくは分岐鎖アルケニル、スチリル、(メタ)アクリロイルオキシ、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルである)
で表される化合物に関する。
また、本発明は、前記に記載の一般式(1)で表される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させることにより得られる硬化物に関する。
さらに、本発明は、前記硬化物、電極活物質、電解質及び溶媒を含むスラリーを集電体上に塗布し、そして当該スラリーを集電体上で乾燥及び圧縮して得られる電極に関する。
好ましい実施形態において、本発明は、前記に記載の一般式(1)で表される化合物、及び電極活物質を含む、電極用組成物に関する。
さらに好ましい実施形態において、本発明は、更に、ビニル型化合物及び開始剤を含む、前記に記載の電極用組成物に関する。
異なる実施形態において、本発明は、前記に記載の電極用組成物を硬化させることにより得られる硬化物に関する。
さらに異なる実施形態において、本発明は、前記に記載の組成物を、集電体上に塗布し、硬化させて得られる電極に関する。
さらになお異なる実施形態において、本発明は、前記に記載の電極を含む電池に関する。
【発明の効果】
【0007】
リチウムイオン電池の電極バインダーにリチウムイオン伝導性を持つスルホンイミド構造を導入することで、従来のバインダーの問題であった絶縁抵抗とならずに結着性をもたせるという課題を解決できる。また、本発明の好ましい実施形態では、本発明に係る化合物を電極活物質の存在下で重合させることで、リチウムイオン電池用電極をより簡便に作製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.一般式(1)で示される化合物
本発明のバインダーに用いるモノマーは、一般式(1):
【化2】


(式中、R、R及びRは、上記で定義されたとおりである)
で示される化合物である。
【0009】
炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、イソプロピル、及びt−ブチルなどが挙げられ、メチルが好ましい。
【0010】
炭素数1〜20のフッ化アルキルは、前記アルキルの一部ないしは全ての水素原子がフッ素原子に置き換えられたアルキルであり、トリフルオロメチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、及びヘプタフルオロプロピル等が挙げられ、トリフルオロメチルが好ましい。
【0011】
炭素数7〜15のアラルキルは、ベンジル、フェニルエチル、及び3−フェニルプロピルなどあげられる。また、炭素原子数7〜15のアラルキルの置換基として、炭素原子数1〜20の直鎖または分岐鎖アルキル及び炭素数1〜20のフッ化アルキルが挙げられる。
【0012】
炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖アルケニルは、ビニル、アリル、3−ブテニル、4−ペンテニル、及び2−メチル−2−ブテニルなどが挙げられ、末端に二重結合を有する直鎖アルケニルが好ましく、ビニル及びアリルがより好ましい。
【0013】
(メタ)アクリロイルオキシアルキルは、(メタ)アクリロイルオキシ基で置換された上記した炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキルであり、(メタ)アクリロイルオキシメチル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、及び3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルが挙げられる。本発明において、(メタ)アクリロイルオキシは、アクリロイルオキシ及びメタクリロイルオキシの両方の意味を有する。
【0014】
一般式(1)で示される化合物として、N−メタンスルホニルビニルスルホンアミド及びリチウムN−メタンスルホニルビニルスルホンアミドが好ましい。
【0015】
2.一般式(1)で示される化合物の製造方法
次に本発明の一般式(1)で示される化合物の製造方法について説明する。
本発明の一般式(1)で示される化合物であって、Rが水素原子である化合物は、二重結合を有さないR基又は2−クロロエチル基(−CHCHCl)を有するスルホンアミドと2−クロロエチル基を有するスルホニルクロリドとを、塩基存在下で反応させる工程を含む方法により得られる。また、本発明の一般式(1)で示される化合物であって、Rが、リチウム、ナトリウム、及びカリウムである化合物は、Rが水素原子である一般式(1)の化合物に相当する一般式(1a)で示される化合物と、アルカリ金属水酸化物とを反応させる工程を含む方法により得られる。ここで、二重結合を有さないR基は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、炭素数1〜20のフッ化アルキル、及び置換若しくは無置換の炭素数7〜15のアラルキルである。
【0016】
具体的には、本発明の一般式(1)で示される化合物は、下記工程(1A)〜(1B):
(1A)一般式(2)で示される二重結合を有さないR基又は2−クロロエチル基を有するスルホンアミド化合物及び一般式(3)で示される2−クロロエチル基を有するスルホニルクロリド化合物を、塩基の存在下で反応させて、Rが水素原子である一般式(1)で示される化合物に相当する一般式(1a)で示される化合物を得る工程と、
(1B)さらに、一般式(1a)で示される化合物を、アルカリ金属水酸化物と反応させて、Rが水素以外の基である一般式(1)で示される化合物に相当する、一般式(1b)で示される化合物を得る工程と
を含む方法により得られる。
【0017】
【化3】


(式中、
及びRは、上記で定義されたとおりであり、
1aは、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、炭素数1〜20のフッ化アルキル、置換若しくは無置換の炭素数7〜15のアラルキル、2−クロロ−2−フェニルエチル、3−クロロプロピオニルオキシ、3−クロロ−2−メチルプロピオニルオキシ、3−クロロプロピオニルオキシアルキル、3−クロロ−2−メチルプロピオニルオキシアルキル、又は−X−CHCHClであり、
3aは、2−クロロ−2−フェニルエチル、3−クロロプロピオニルオキシ、3−クロロ−2−メチルプロピオニルオキシ、3−クロロプロピオニルオキシアルキル、3−クロロ−2−メチルプロピオニルオキシアルキル、又は−X−CHCHClであり、
Xは、直接結合又は炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖アルキレンである)
【0018】
【化4】


(式中、
及びRは、上記で定義されたとおりであり、
2aは、リチウム、ナトリウム、又はカリウムである)
【0019】
(1)工程(1A)
工程(1A)は、一般式(2)で示される二重結合を有さないR基又は2−クロロエチル基を有するスルホンアミド化合物及び一般式(3)で示される2−クロロエチル基を有するスルホニルクロリド化合物を塩基の存在下で反応させて、ビススルホンイミド化合物を得る工程である。ここで、2−クロロエチル基の塩素の脱離反応により不飽和結合が生成し、Rが水素である、一般式(1)で示される化合物に相当する、一般式(1a)で示される化合物が得られる。
【0020】
目的とする一般式(1)で示される化合物におけるR及びRが二重結合を有する基である場合、一般式(2)及び(3)で示される化合物におけるR1a及びR3aは、目的とするR及びRに応じて、適宜選択することができる。ここで、R及びRがスチリルであるとき、R1a及びR3aとして、2−クロロ−2−フェニルエチルが選択され、R及びRがアクリロイルオキシであるとき、R1a及びR3aとして、3−クロロプロピオニルオキシが選択され、R及びRがメタクリロイルオキシであるとき、R1a及びR3aとして、3−クロロ−2−メチルプロピオニルオキシが選択され、R及びRがアクリロイルオキシアルキルであるとき、R1a及びR3aが、3−クロロプロピオニルオキシアルキルが選択され、R及びRがメタクリロイルオキシアルキルであるとき、R1a及びR3aとして、3−クロロ−2−メチルプロピオニルオキシアルキルが選択され、R及びRが直鎖又は分岐鎖アルケニルである場合は、R1a及びR3aとして、−X−CHCHCl(式中、Xは、直接結合又は炭素原子数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖アルキレンである)で示される基が選択される。ここで、炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキレンとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、及び2−エチルブチレン等が挙げられる。
【0021】
塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、及びピリジンのようなアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び水酸化マグネシウムのようなアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が使用できるが、トリエチルアミンが特に好ましい。
【0022】
塩基の使用量は、一般式(2)及び(3)で示される化合物における、2−クロロエチル基の合計1モルに対して、1〜10モルであり、2〜4モルが好ましい。1モル未満の量では反応が十分に進行せず、10モルを超える量では目的物の精製が困難となる。
【0023】
本発明の工程(1A)は、溶媒の存在下で行うことができる。この反応の溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチルのようなエステル類、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、及びメチルイソブチルケトンなどのケトン類、クロロホルム、及びジクロロメタンのようなハロゲン化アルキル、さらにアセトニトリル、及びジメチルスルホキシドなどが挙げられ、ジクロロメタン及びアセトニトリルが好ましい。
【0024】
本発明において、溶媒の使用量は、反応に用いられる一般式(2)及び一般式(3)で示される化合物の合計1gに対して、5ml〜30mlが好ましく、10〜25mlがより好ましい。
【0025】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に限定されず、好ましくは−30〜100℃であり、より好ましくは0〜40℃である。このような温度であれば、反応が暴走する危険性はなく、十分に進行することができる。
【0026】
本発明において、工程(1A)で得られた目的生成物を、塩酸などの酸を加えて、ジエチルエーテルなどの溶媒で抽出することにより、精製することができる。
【0027】
(2)工程(1B)
工程(1B)は、工程(1A)で得られた、一般式(1a)で示される化合物及びアルカリ金属水酸化物を反応させて、R基がリチウム、カリウム、又はナトリウムである一般式(1)で示される化合物に相当する一般式(1b)で示される化合物を得る工程である。
【0028】
アルカリ金属水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが挙げられる。また、水酸化リチウム一水和物のような前記アルカリ金属水酸化物の水和物を用いることもできる。なお、工程(1A)において、塩基として水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを用いた場合は、Rがナトリウム及びカリウムである一般式(1)の化合物を一つの工程で製造することができる。
【0029】
アルカリ金属水酸化物の使用量は、一般式(1b)で示される化合物1モルに対して、0.5〜100モルであり、1〜2モルが好ましい。0.5モル未満の量では反応が十分に進行せず、100モルを超える量では目的物の精製が困難となる。
【0030】
本発明の工程(1B)は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類が挙げられ、メタノールが好ましい。溶媒の使用量は、反応に用いられる一般式(1a)で示される化合物及びアルカリ金属水酸化物の合計1gに対して、5ml〜100mlが好ましく、10〜50mlがより好ましい。
【0031】
反応温度は、反応が進行する温度であれば特に限定されず、好ましくは−30〜80℃であり、より好ましくは0〜30℃である。このような温度であれば、反応が十分に進行し、かつ副反応が進行しない。
【0032】
本発明において、Rがビニルである一般式(1)で示される化合物は、好ましくは、下記(2A)〜(2B):
(2A)一般式(2)で示されるスルホンアミド化合物と2−クロロエチルスルホニルクロリドを塩基存在下で反応させて、式(1c)で示されるスルホニルビニルスルホンイミドを得る工程と、
(2B)さらに、式(1c)で示されるスルホニルビニルスルホンイミドと、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムとを反応させて、式(1d)で示されるアルカリ金属スルホニルビニルスルホンイミドを得る工程と
を含む方法により得られる。
【0033】
【化5】


(式中、R及びR1aは上記に定義されたとおりである)
【0034】
【化6】


(式中、R及びR2aは上記に定義されたとおりである)
【0035】
3.本発明の一般式(1)で示される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させて得られる硬化物
本発明の一般式(1)で示される化合物は、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させることができ、これにより硬化物が得られる。
【0036】
本発明において、一般式(1)で示される化合物の重合は、他のコモノマーの非存在下又は存在下で行うことができる。このようなコモノマーとしてビニル型化合物が挙げられる。
【0037】
ビニル型化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水メタクリル酸、アクリル酸リチウム、メタクリル酸リチウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸リチウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、ジビニルベンゼン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、及びメチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。これらのビニル型化合物は、これらは単独もしくは複数をあわせて用いることができる。
【0038】
本発明の硬化物を、後述するバインダー樹脂として使用する際に、電解質溶媒に溶解せず、柔軟性、結着性、及びリチウムイオンとの親和性を付与するために、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの多官能性ビニル型化合物とポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどの単官能性ビニル型化合物をあわせて用いることが好ましい。
【0039】
本発明において、ビニル型化合物の含有量は、本発明の一般式(1)で示される化合物100重量部に対して、0〜200重量部であるのが好ましく、0.001〜200重量部であるのがより好ましく、0.01〜10重量部であるのがさらに好ましい。
【0040】
本発明において、一般式(1)で示される化合物の重合は、無溶媒又は溶媒の存在下で行うことができる。
溶媒として、水、メタノール、及びエタノールなどのアルコール類、エチルメチルケトン、及びシクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、及びテトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、1,2−ジメトキシエタン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、及びカルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、及びデカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、及びソルベントナフサ等の石油系溶剤、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどのカーボネート類が挙げられる。前記した溶媒に加えて、必要に応じて、ポリビニルビロリドン、ポリビニルアルコール、ドデシルスルホン酸ナトリウム、及びシリコーンオイルなどの更なる溶媒を添加し、生成する樹脂を粒子状とすることができる。これらの溶媒は、単独もしくは複数をあわせて用いることができる。
【0041】
本発明において、溶媒の使用量は、一般式(1)で示される化合物及び場合により存在するコモノマーの合計100重量部に対して、0〜300重量部であるのが好ましく、0〜200重量部であるのがより好ましい。
【0042】
本発明において、重合は、開始剤の存在下ないしは非存在下で行うことができる。開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、及びアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ開始剤、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、及びt−ブチルヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物、過酸化水素塩化鉄(II)、及び過硫酸アンモニウム−テトラエチルエチレンジアミンなどのレドックス開始剤、並びにトリエチルボランなどを用いることができるが、過酸化ベンゾイル及び過酸化t−ブチルが好ましい。
【0043】
開始剤の使用量は、一般式(1)で示される化合物及び場合により存在するコモノマーの総モル数、すなわち重合に用いられるモノマー化合物の総モル数に対して、0.01〜10モル%が好ましく、0.5〜4モル%がより好ましい。このような範囲であれば、十分に硬化させることができ、また、硬化時に過度の発熱が起きず、発泡が生じない。
【0044】
本発明において、重合は熱や光により進行させることができる。熱による重合の場合は、本発明の一般式(1)で示される化合物を、30℃〜100℃に加熱することにより行うことができる。また、光による重合の場合は、本発明の一般式(1)で示される化合物に対して、波長230nm〜800nmの光、エネルギー500J/cm〜3000J/cmの光を照射することにより行うことができる。
【0045】
本発明の一般式(1)で示される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させて得られる硬化物の形状は特に限定されない。得られる硬化物が粒子状である場合は、粒径は、3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。なお、粒径はレーザー回折法・散乱法により求めたメジアン径である。
【0046】
本発明の一般式(1)で示される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させることにより得られる硬化物は、電池、好ましくはリチウムイオン二次電池用のバインダー樹脂として用いることができ、より好ましくはリチウムイオン二次電池の負極活物質用のバインダー樹脂として用いることができる。
【0047】
4.電極用組成物
本発明の一般式(1)で示される化合物と電極活物質とを含む組成物は、電極を構成するために用いることができる。
【0048】
電極活物質としては、正極活物質及び負極活物質が挙げられ、正極を製造するために正極活物質を用い、負極を製造するために負極活物質が用いられる。
【0049】
正極活物質としてはコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、ニッケル酸リチウム、フッ化リン酸鉄リチウム、クロム酸リチウム、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、及びリン酸バナジウム酸リチウム等が挙げられ、これらは単独もしくは複数をあわせて用いることができる。
【0050】
負極活物質としては、炭素、チタン酸リチウム、スズ−リチウム合金、ゲルマニウム−リチウム合金、及びケイ素−リチウム合金等が挙げられ、これらは単独もしくは複数をあわせて用いることができる。本発明において、負極活物質の粒子径は、1〜100μmであるのが好ましく、3〜50μmであるのがより好ましい。
【0051】
本発明の電極用組成物における一般式(1)の化合物の含有量は、0.01〜99質量%であり、0.01〜90質量%であるのが好ましく、0.05〜80質量%であるのがより好ましい。0.01質量%未満では十分な結着性が得られず、99質量%を超える量では電池容量が低下してしまう。また、電極用組成物における電極活物質の含有量は、1〜99.99質量%であり、1〜99.5質量%であるのが好ましく、10〜99質量%であるのがより好ましく、25〜99質量%であるのがさらに好ましい。1質量%未満では十分な電池容量が得られず、99.99質量%を超える量では十分に結着できずに電極がもろくなりすぎてしまう。
【0052】
本発明の電極用組成物は、更に、ビニル型化合物、開始剤、電解質溶媒、及び電解質を含むことができる。
【0053】
ビニル型化合物としては、好ましいものを含め、上記に例示された化合物が挙げられる。ビニル型化合物の含有量は、電極用組成物の0〜90質量%であり、好ましくは0.005〜80質量%である。このような範囲であれば、電池容量が低下せずに、加工性、すなわちシート成型性が良好であり、十分な強度が得られる。
【0054】
開始剤としては、好ましいものを含め、上記に例示された開始剤が挙げられる。開始剤の含有量は一般式(1)で示される化合物及び場合により存在するコモノマーの総モル数、すなわち重合に用いられるモノマー化合物の総モル数に対して、0.01〜10モル%が好ましく、0.5〜4モル%がより好ましい。このような範囲であれば、十分に硬化させることができ、また、硬化時に過度の発熱が起きず、発泡が生じない。
【0055】
電解質溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられ、これらは単独もしくは複数をあわせて用いることができる。電解質溶媒の含有量は、電極用組成物の0〜80質量%であり、好ましくは1〜70質量%である。このような範囲であれば、塗布性及び硬化性が良好であり、また、十分に電極活物質が結着でき、電池性能が低下しない。
【0056】
電解質としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、及びリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン等が挙げられ、優れたイオン伝導性を有することから、ヘキサフルオロリン酸リチウムおよび本発明の一般式(1)で示される化合物と類似の構造を有するリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。これらは単独もしくは複数をあわせて用いることができる。電解質の含有量は、電極用組成物の0〜80質量%であり、好ましくは1〜70質量%である。このような範囲であれば、塗布性及び硬化性が良好であり、電極活物質が結着でき、電池性能が低下しない。
【0057】
5.電極
本発明の一般式(1)で示される化合物を用いた電極は、電極の集電体上に、本発明の一般式(1)で示される化合物及び電極活物質を必須成分として含む電極用組成物を硬化させて得られる層を備えた電極であるか、電極の集電体上に、本発明の一般式(1)で示される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させて得られる硬化物であるバインダー、電極活物質、電解質溶媒及び電解質を含むスラリーを塗布し、そして、当該スラリーを集電体上で乾燥及び圧縮して得られる電極である。
【0058】
本発明の電極用組成物を硬化させて得られる層を備えた電極は、一般式(1)で示される化合物及び電極活物質を含む電極用組成物を、集電体上に塗布し、硬化させる方法により得られるか、前記電極用組成物を、プラスチック上に塗布し、硬化させて、硬化物層を得て、次いで硬化物層を剥離した後に別途用意した集電体に貼り付ける方法により得られる。また、本発明の一般式(1)で示される化合物を硬化させて得られる硬化物であるバインダー及び電極活物質を含むスラリーを硬化させて得られる層を備えた電極は、従来法のように上記した本発明の一般式(1)で示される化合物を硬化させることにより得られる硬化物であるバインダー、電極活物質、電解質溶媒、及び電解質を含むスラリーを、集電体上に塗布して、乾燥および圧縮する方法により得られる。本発明において、電極が塗布及び硬化の2つの工程により簡便に製造できることから、前者の方法が好ましい。
【0059】
電極の集電体を構成する材料に特に制限はない。例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された樹脂が挙げられる。具体的には、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、及び銅などの金属、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが挙げられる。これらの金属は、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる金属箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、銅が好ましい。集電体の形状は特に限定されない。電極が薄膜状である場合、薄膜の厚さは、特に限定されないが、例えば5〜30μmである。
【0060】
本発明の一般式(1)で示される化合物及び電極活物質を含む電極用組成物を硬化させる方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物を硬化させることにより得られる硬化物を得る方法において説明した硬化方法、つまり重合方法が挙げられる。
【0061】
また、本発明の一般式(1)で示される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させて得られる硬化物であるバインダー、電極活物質、電解質溶媒及び電解質を含むスラリーを用いた電極の製造方法においては、スラリーを集電体上に塗布した後、当該スラリーを集電体上で乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、圧縮することにより、電極活物質層を形成させて電極を得ることができる。
【0062】
スラリーにおける電極活物質、電解質溶媒、及び電解質としては、好ましいものを含め、電極用組成物において例示された各成分が挙げられる。スラリーの溶媒としては、上記した一般式(1)で示される化合物の重合のための溶媒が挙げられる。また、乾燥温度は、60℃〜200℃であるのが好ましく、80℃〜195℃であるのがより好ましい。
【0063】
本発明の電極を含む電池を作製するにあたっては、上で述べた方法により作製した正極と負極とを、セパレーターを介して貼り合わせることで作製できる。
【0064】
セパレーターとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質膜、電解質溶媒に膨潤したポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチルなどのゲル、電解質溶媒に膨潤した一般式(1)の化合物とビニル型化合物から得られたゲルなどが挙げられる。
【0065】
電池の形態は、特に限定されず、当該分野で公知の形態とすることができる。例えば、シリンダータイプ及びコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。また、電池を組み立てる手順は、特に限定されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てることができる。例えば、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレーターを設け、さらに負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明の実施例によって説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない
【0067】
実施例1 N−メタンスルホニルビニルスルホンアミドの合成
ナスフラスコ中にMSA(メタンスルホンアミド)(0.952g, 10.0mmol)とトリエチルアミン(1.38mL, 10.0mmol)を入れた。系を氷冷しながら、アセトン(50mL)に溶解したCESC(2−クロロエチルスルホニルクロリド)(1.63g, 10.0mmol)を緩やかに滴下した。滴下終了後、一時間攪拌した後に、再びトリエチルアミン(2.76mL, 20.0mmol)を加え、常温(25℃)にて攪拌した。反応終了後、溶媒を留去したのち残留物を5M塩酸(50mL)に溶解した。これをジエチルエーテルで3回抽出した。得られた有機層の溶媒を留去して標題の目的物を得た(1.85g, 収率 28.8%)。
【0068】
実施例2 リチウムN−メタンスルホニルビニルスルホンアミドの合成
ナスフラスコに、実施例1で合成したN−メタンスルホニルビニルスルホンアミド(0.463g, 2.50mmol)とエタノール(25ml)を入れた。そこに水酸化リチウム一水和物(0.115g, N-メタンスルホニルビニルスルホンアミドに対して1.1当量)加え、室温(25℃)で24時間撹拌し、標題の目的物を得た(0.403g, 収率84.4%)。
【0069】
実施例3 N−メタンスルホニルビニルスルホンアミドの架橋共重合
重合管にN−メタンスルホニルビニルスルホンアミド(0.093g, 0.50mmol)と過酸化ベンゾイル(7.50mg, モノマーに対して3.00mol%)を入れ、系内をN雰囲気下とした。その後ポリエチレングリコールジアクリレート(0.50mmol)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1.0mol/L)を含むプロピレンカーボネート溶液(0.75ml)を加えた後、脱気して封管した。これを100℃で24時間撹拌し、共重合体を得た。
【0070】
実施例4 リチウムN−メタンスルホニルビニルスルホンアミドの架橋共重合
重合管にリチウムN−メタンスルホニルビニルスルホンアミド(0.096g, 0.50mmol)と過酸化ベンゾイル(7.50mg, モノマーに対して3.00mol%)を入れ、系内をN雰囲気下とした。その後ポリエチレングリコールジアクリレート(0.50mmol)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1.0mol/L)を含むプロピレンカーボネート溶液(0.75ml)を加えた後、脱気して封管した。これを100℃で24時間撹拌し、共重合体を得た。
【0071】
実施例5 グラファイト存在下でのN−メタンスルホニルビニルスルホンアミドの共重合による電極の作製
N−メタンスルホニルビニルスルホンアミド(MSVSA, 0.027 g, 0.14mmol)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA, 0.043g, 0.07mol)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート(PEGMA, 0.036g, 0.07mol)、過酸化ベンゾイル(BPO、2.10mg)を混合し、0.3mLのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)の1Mプロピレンカーボネート(PC)溶液を滴下し、溶解させた。ここにグラファイトを245 mg加え、スラリーとした。これをナフロン(登録商標)板(ニチアス製 TOMBO9000-S 厚さ 2mm)に塗布し、窒素雰囲気下としたガラスチューブオーブン中にて100℃で1時間加熱した。その後、ホットプレート上で10kgの負荷をかけながら12時間加熱し、黒色のシート状の電極を得た。さまざまな配合比での電極の導電性の有無は以下の表1に示す通りである。加工性が○であるものはシート状に成形ができたものであり、×であるものはもろくシート状に成形できなかったものである。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例6 グラファイト存在下でのリチウムN−メタンスルホニルビニルスルホンアミドの共重合による電極の作製(典型例)
リチウムN−メタンスルホニルビニルスルホンアミド(LMSVSA, 0.027g, 0.14mmol)、PEGDA(0.043g, 0.07mol)、PEGMA(0.036g, 0.07mol)、BPO(2.10mg)を混合し、0.3mLのLiTFSIの1MPC溶液を滴下し、溶解させた。ここにグラファイトを245mg加え、スラリーとした。これをナフロン(登録商標)板(ニチアス製 TOMBO9000-S 厚さ 2mm)に塗布し、窒素雰囲気下としたガラスチューブオーブン中にて100℃で1時間加熱した。その後、ホットプレート上で10kgの負荷をかけながら12時間加熱し、黒色のシート状の電極を得た。さまざまな配合比での電極の導電性の有無は以下の表2に示す通りである。加工性が○であるものはシート状に成形ができたものであり、×であるものはもろくシート状に成形できなかったものである。
【0074】
【表2】

【0075】
本発明の一般式(1)で示されるモノマーは、ビススルホンイミド構造を有するため、一般式(1)で示されるモノマーを重合させることにより得られる硬化物は、絶縁抵抗とならずに、活物質同士を結着することができるバインダーとして有用である。よって、本発明の一般式(1)で示される化合物は、電池のバインダー用の原料モノマーとして工業的にきわめて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化7】


(式中、
は、炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル、炭素数1〜20のフッ化アルキル、置換若しくは無置換の炭素数7〜15のアラルキル、炭素数2〜10の直鎖若しくは分岐鎖アルケニル、スチリル、(メタ)アクリロイルオキシ、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルであり、
は、水素、リチウム、ナトリウム、又はカリウムであり、
は、炭素数2〜10の直鎖若しくは分岐鎖アルケニル、スチリル、(メタ)アクリロイルオキシ、又は(メタ)アクリロイルオキシアルキルである)
で表される化合物。
【請求項2】
請求項1記載の一般式(1)で表される化合物を、単独で又はビニル型化合物及び開始剤とともに重合させることにより得られる硬化物。
【請求項3】
請求項2に記載の硬化物、電極活物質、電解質溶媒及び電解質を含むスラリーを集電体上に塗布し、そして当該スラリーを集電体上で乾燥及び圧縮して得られる電極。
【請求項4】
請求項1記載の一般式(1)で表される化合物、及び電極活物質を含む、電極用組成物。
【請求項5】
更に、ビニル型化合物及び開始剤を含む、請求項4記載の電極用組成物。
【請求項6】
請求項4又は5記載の電極用組成物を硬化させることにより得られる硬化物。
【請求項7】
請求項4又は5記載の電極用組成物を、集電体上に塗布し、硬化させて得られる電極。
【請求項8】
請求項7記載の電極を含む電池。

【公開番号】特開2013−105676(P2013−105676A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250031(P2011−250031)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(304036754)国立大学法人山形大学 (59)
【Fターム(参考)】