説明

ビスホスホネートの経粘膜膣送達用の改善された製剤

ビスホスホネートの経粘膜膣送達用の装置、方法及び改善された製剤。ビスホスホネートの体循環への標的部位送達は、経粘膜送達用の改善されたビスホスホネート製剤を含む膣装置を用いる。膣へビスホスホネートを膣内投与し、ビスホスホネートを全身循環へ経粘膜送達することによって、骨粗鬆症並びに関連した骨及び骨格の病気を治療し、骨の破壊並びに骨量及び骨強度の減少を予防する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスホスホネートの経粘膜膣送達用の改善された製剤に関する。とりわけ、本発明は、約0.01〜約3200mgの選択されたビスホスホネートと、約0.01〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約5〜約25%のエトキシジグリコールと、任意選択で、他の薬剤的に受容可能な賦形剤及び添加剤とを含む改善された製剤に関する。改善された経粘膜膣製剤は、経口で送達できるものよりも60倍を超える多くのビスホスホネートを送達する。
【0002】
本発明は、さらに、骨粗鬆症、パジェット病、非転移性腫瘍性疾患、転移性の骨の癌、及びその他の関連した骨及び骨格の病気の治療方法、並びに骨の崩壊、骨量及び骨強度の減少の予防方法に使用するのに適した、改善された経粘膜膣ビスホスホネート製剤を組み込んだ経粘膜装置に関する。前記病気の治療方法は、体循環へビスホスホネートを送達するために、改善された経粘膜膣製剤を膣へ送達する工程を含む。
【背景技術】
【0003】
骨の崩壊及び骨折を引き起こす骨粗鬆症、及びそれと関連した骨量及び骨強度の減少は、閉経後の女性において大きな医療問題である。
【0004】
この患者群における骨粗鬆症の予防の多くのアプローチが提案されている。これらのアプローチとしては、エストロゲンの投与と同時に高用量のカルシウム及びビタミンDを投与することに加えて、ラロキシフェン、タモキシフェンなどのエストロゲン受容体に結合する合成物質を投与することも挙げられる。
【0005】
骨粗鬆症の予防に関するより新しい研究されたアプローチの1つはビスホスホネートの投与である。ビスホスホネートは、骨の再吸収を妨害し、骨折、特に脊椎と股関節部の骨折を減少させることが分かった。最近の研究では、これらの化合物が、骨の減少を防ぎ、閉経後の女性集団、及び骨パジェット病患者において骨密度を増大させることが示されている(非特許文献1〜4)。
【0006】
累積的に、上記参考文献には、ビスホスホネートが骨の崩壊を防ぎ、骨を強化し、骨量を増加させ、骨折を目に見えて減少させることが示されている。
【0007】
ビスホスホネートは、さらに、例えば、非特許文献5に記載されているように、癌の治療について研究されており、該非特許文献5には、ビスホスホネートで治療した後に、溶骨性の転移を有する骨の癌及び乳癌を含む多発性骨髄腫の患者において骨格の事象の頻度が減少したことが報告されている。非特許文献6に記載されている臨床試験では、ビスホスホネートによる補助的治療によって、危険性の高い初期の乳癌を有する女性において、新しい骨及び内臓への転移の発生及び数が減少したことが示されている。
【0008】
多くのビスホスホネートが治療用に利用されているが、その投与及び送達には問題が残されている。
【0009】
どの薬剤にとっても薬剤送達の最も好ましい形態は、当然、経口投与である。しかしながら、ビスホスホネートの投与のこの形態は、胃腸のビスホスホネートの吸収が低く、胃腸のビスホスホネートの耐容性が全体として低いことによって制限されている。胃腸のビスホスホネートの吸収は非常に乏しく、通常は、投与量の約1%以下しか全体の循環に吸収されない。
【0010】
さらに、経口のビスホスホネートで治療したかなりの数の女性が、食道粘膜の炎症、食道逆流、及び食道炎を患うことが報告されている(非特許文献7、8)。これらの望ましくない副作用を減らすためには、ビスホスホネートの経口投与には、従うのが困難である非常に厳格な投薬計画が必要である。この投薬計画への承諾がないと、治療が失敗する。
【0011】
しかしながら、ビスホスホネートの経口投与に関連した主要な問題は、経口投与後に1%以下のビスホスホネートしか吸収されないことから経口送達の効率が悪いことである(非特許文献9)。
【0012】
利用が制限されるビスホスホネートの経口投与で直面する問題に照らして、これらの薬剤の吸収及び生物学的利用能を増大させ、なおかつ静脈内投与の必要性を回避する新規送達機構は、ビスホスホネートの治療の可能性を達成し、増大させるのに非常に好都合である。
【0013】
2000年7月27日に出願され、許可された米国特許出願番号第09/626,025号には、ビスホスホネートの送達を、経口送達と比べて10〜30倍改善する経粘膜膣組成物が記載されている。しかしながら、該組成物の有効性はまだどちらかと言えば低く、したがって、ビスホスホネート送達の有効性のさらなる改善は、重要な実用的な成果及び経済的な成果である。
【0014】
【非特許文献1】Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism, 82 (1): 265-274 (1997)
【非特許文献2】Journal of Bone and Mineral Research, 12 (10): 1700-1707 (1997)
【非特許文献3】American Journal of Medicine, 106 (5): 513-520 (1997)
【非特許文献4】Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism, 83 (2): 396-402 (1998)
【非特許文献5】New England Journal of Medicine, 335: 1785-1791 (1996)
【非特許文献6】New England Journal of Medicine, 339: 398-400 (1998)
【非特許文献7】Digestive Diseases and Sciences, 43 (9): 1998-2002 (1998)
【非特許文献8】Digestive Diseases and Sciences, 43 (5): 1009-1015 (1998)
【非特許文献9】Drugs, 53 (3): 415-434 (1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、膣へ直接投与するのに適した、又は適切な膣装置に加えるのに適したビスホスホネートの経粘膜膣送達用の改善された製剤に加えて、当該製剤を、骨粗鬆症、パジェット病、及びその他の関連した骨及び骨格の病気を治療するために、又は癌の治療及び予防のために使用する方法を提供することにあり、該製剤は、経口又は先行の製剤で送達したものよりも大量のビスホスホネートを全体の循環へ送達できるようにするものである。
【0016】
引用した総ての参考文献、特許文献及び特許出願の内容を参照により本願に援用する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様は、膣の粘膜を介して体循環へ経粘膜的により多くの量のビスホスホネートを送達するための改善された経粘膜膣製剤である。
【0018】
本発明の別の態様は、適量の選択されたビスホスホネートを、約0.01〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約5〜約25%のエトキシジグリコールと、任意選択で、他の薬剤的に受容可能な賦形剤及び添加剤と混合して含む改善された経粘膜膣製剤である。
【0019】
本発明の別の態様は、骨粗鬆症、パジェット病、及びその他の関連した骨及び骨格の病気、又は転移性もしくは非転移性の腫瘍性疾病の治療のために、ビスホスホネートを体循環へ経粘膜送達するための膣装置に組み入れるのに適した、改善された経粘膜膣製剤である。
【0020】
本発明の別の態様は、体循環へビスホスホネートを送達するための改善された経粘膜膣製剤であり、前記製剤は、効果的な経粘膜吸収のために処方された、アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、オルパドロネート(olpadronate)、リセドロネート、ネリドロネート(neridronate)、インカドロネート、及びミノドロネートから成る群より選択されるビスホスホネートを含み、前記製剤は、骨粗鬆症、パジェット病、その他の骨及び骨格の疾病、並びに癌の予防及び治療に有用である。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、骨粗鬆症、パジェット病、その他の骨及び骨格の疾病、又は癌の治療及び/又は予防のために膣へ送達する、アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、オルパドロネート(olpadronate)、リセドロネート、ネリドロネート(neridronate)、インカドロネート、及びミノドロネートから成る群より選択されるビスホスホネートを一回の投与形態で含む改善された経粘膜膣製剤であり、前記製剤は、有効量のビスホスホネートと、約0.01〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約5〜約25%のエトキシジグリコールとを組み合わせたものを含み、前記製剤は、膣に投与されるか、もしくは本発明の装置に組み入れる、膣の座薬、錠剤、生体付着性錠剤、カプセル、微粒子、生体付着性微粒子、クリーム、ローション、フォーム、フィルム、軟膏、溶液、ゲル、又は徐放性のゲル、錠剤もしくはカプセル、又は徐放性の座薬として製造される。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、体循環へビスホスホネートを送達するための、膣粘膜を介した経粘膜吸収に適した、アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、オルパドロネート(olpadronate)、リセドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、及びネリドロネート(neridronate)、から成る群より選択されるビスホスホネートを含む改善された経粘膜膣製剤を組み込んだタンポン、タンポン様の装置、ペッサリー、リング、スポンジ、ストリップ又はカップなどの膣の装置である。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、骨粗鬆症、パジェット病、骨の転移性もしくは非転移性の癌、その他の骨もしくは骨格の疾病、又は癌の治療、及び骨粗鬆症発症の予防のために、有効量のビスホスホネートを体循環へ送達するのに適した、本発明の改善された経粘膜膣製剤を組み込んだ膣の装置であり、前記装置は、膣のリング、膣のストリップ、膣のタンポン、膣のアプリケーター、吸収性の膣のタンポン、膣のペッサリー、膣のカプセル、又は膣の座薬、又は膣の座薬を含むタンポンもしくはタンポン様装置である。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、骨粗鬆症、パジェット病、転移性の骨の癌、又はその他の骨もしくは骨格もしくは癌の病気を患っているか、又は発症する危険にさらされている女性患者を治療する方法であって、前記方法は、アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、オルパドロネート(olpadronate)、リセドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、及びネリドロネート(neridronate)から成る群より選択される治療に有効な量のビスホスホネートを、約0.01〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約5〜約25%のエトキシジグリコールと、任意選択で、薬剤的に受容可能な賦形剤及び添加剤と混合して含む改善された製剤と膣粘膜を接触させる工程を含み、前記ビスホスホネートは、前記製剤中に、患者の血漿内でビスホスホネートの治療に有効な量を保持するのに充分な量で含まれる。
【0025】
本発明の別の態様は、経粘膜薬用装置を製造する方法であって、該方法は、改善された経粘膜膣のビスホスホネート製剤を含む前記装置を製造すること、又は前記装置に、前記ビスホスホネートの経粘膜膣送達のための前記改善された製剤を組み込むことを含み、前記装置は、タンポンもしくはタンポン様装置、もしくは膣のストリップ、膣のカップ、膣のリング、膣のペッサリー、膣の錠剤、膣の座薬、膣のスポンジ、生体付着性錠剤、微粒子もしくは生体付着性微粒子を含む、膣のタンポン、膣のアプリケーター、膣のストリップ、膣のカプセル、又は容器であり、前記製剤は、クリーム、ローション、フォーム、軟膏、溶液又はゲルとして製造され、前記装置に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(定義)
本明細書に記載されている、“薬剤”、“薬”、“化合物”、“オルパドロネート(olpadronate)”、“インカドロネート”、又は“ミノドロネート”とは、アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、ゾレドロン酸、イバンドロネート、リセドロネート、ネリドロネート(neridronate)、インカドロネート、ミノドロネート、及び既知であるか、又は将来既知となる、本明細書に開示されているビスホスホネートと同様の特性を有するその他のビスホスホネートから成る群より選択されるビスホスホネートを意味する。
【0027】
“BMD”とは、骨密度を意味する。
【0028】
“HPMC”とは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを意味する。
【0029】
“8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリド”とは、例えば、Gattefosse Corp.(Saint Priest、Cedex、France)から商標名SUPPOCIRE(登録商標)の下で市販されている脂肪親和性の担体を意味する。例えば、SUPPOCIRE AS2XなどのSUPPOCIREは、C8〜C18の飽和脂肪酸グリセリドとポリオキシエチレン化脂肪エステルから作られた半合成グリセリドと化学的に定義されている。
【0030】
“粒子送達システム”とは、天然及び/又は合成のポリマーから製造され、溶解、拡散、浸食、及びそれらのいかなる組み合わせも含む薬剤の種々の機構の送達を調整するナノメーターからミリメーターまでの範囲の大きさの粒子を意味する。例えば、マイクロ粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、ナノスフェア、及びリポソームがあるが、これらの例は、これらの送達システムの範囲を限定するものではない。
【0031】
“エトキシジグリコール”とは、例えば、Gattefosse Corp.から商標名TRANSCUTOL(登録商標)の下で市販されている吸収促進剤又は浸透エンハンサーを意味する。
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、概して、体循環への膣粘膜を介したビスホスホネートの経粘膜送達及び投与用の改善された製剤に関する。改善された製剤は、改善されたビスホスホネート含有経粘膜製剤を膣に投与し、続いて、ビスホスホネートが全身の血液循環内へ吸収されることによって送達される。改善された製剤によって、血清中のビスホスホネートの生物学的利用能が実質的に増加する。本発明の改善された製剤を用いるビスホスホネートの経粘膜膣送達は、経口送達後に決定される血漿内のビスホスホネートの平均生物学的利用能と比較して、67%より多いところまで血漿内のビスホスホネートの生物学的利用能を増加させ、米国特許出願第09/626,025号に既に記載されている経粘膜製剤(本願に参照により援用する)と比較して100%以上生物学的利用能を向上させる。
【0033】
従って、本発明は、より低濃度、すなわち、約0.01%から最大5%まで、好ましくは約0.5%〜約3%、最も好ましくは約1.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースによって、膣粘膜を介したビスホスホネートの経粘膜吸収が改善されるという所見に関する。5%〜25%のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む既に記載されている製剤と比較して、改善された製剤の投与後の血清中のビスホスホネートの生物学的利用能は2倍以上になる。
【0034】
従って、本発明の改善された製剤によって、より高い濃度のビスホスホネートの送達が可能となり、該製剤は、骨粗鬆症、パジェット病、並びにその他の骨及び骨格に関連した病気の治療によく適しており、望ましくない有害な副作用を発生させない。ビスホスホネートを用いたこれらの病気の治療は、現在、経口経路を介した患者へのこれら薬剤の投与を困難にする該薬剤の副作用のために、及び胃腸管を介した該薬剤の吸収が乏しいために制限されている。これら薬剤を静脈内投与してもよいが、当該投与は病院又は医院を訪れることを必要とし、浸潤性であると認められることから好都合ではない。
【0035】
本発明は、ビスホスホネートを含む特定の医薬品が、経粘膜的に子宮及び/又は全身の血液循環へ、都合良く、有効に送達され、特に、ビスホスホネートは、この経路を介して実質的に増加した量で送達されるという発明者らの先の発見に基づく。
【0036】
本発明による経粘膜膣送達は、選択されたビスホスホネートを、脂肪親和性の担体、粘膜付着剤、吸収促進剤又は浸透エンハンサーと混合して含む改善された製剤と膣粘膜を接触させることを含む。本発明の改善された製剤は、約0.01〜約3200mgの選択されたビスホスホネートと、約0.01〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約5〜約25%のエトキシジグリコールと、任意選択で、他の薬剤的に受容可能な賦形剤及び添加剤とを含む。
【0037】
本発明の好ましい製剤は、約0.01〜約3200mgの選択されたビスホスホネートと、約1〜約3%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約60〜約70%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約10〜約20%のエトキシジグリコールと、任意選択で、他の薬剤的に受容可能な賦形剤及び添加剤とを含む。
【0038】
本発明の最も好ましい製剤は、約0.06〜約0.6mgの選択されたビスホスホネートと、約1.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約68.5%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、約15%のエトキシジグリコールと、任意選択で、他の薬剤的に受容可能な賦形剤及び添加剤とを含む。
【0039】
本発明の製剤は、例えば、以下の内容物を有する。
アレンドロネート(3mg)製剤:
68.5%SUPPOCIRE(登録商標)(8〜18の炭素の長さのC8〜C18飽和脂肪酸から作られた半合成グリセリド);
15%TRANSCUTOL(登録商標)(エトキシジグリコール);
1.5%METHOCEL(登録商標)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
14.82%WFI(注射用蒸留水、water for injection);及び
0.18%アレンドロネート。
アレンドロネート(1mg)製剤:
68.5%SUPPOCIRE(登録商標)(脂肪酸グリセリドのトリグリセリドとポリオキシエチレン化脂肪エステルとの混合物);
15%TRANSCUTOL(登録商標)(エトキシジグリコール);
1.5%METHOCEL(登録商標)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
14.94%WFI(注射用蒸留水、water for injection);及び
0.06%アレンドロネート。
アレンドロネート(10mg)製剤:
68.5%SUPPOCIRE(登録商標)(8〜18の炭素の長さの脂肪酸のトリグリセリドの混合物);
15%TRANSCUTOL(登録商標)(エトキシジグリコール);
1.5%METHOCEL(登録商標)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
14.41%WFI(注射用蒸留水、water for injection);及び
0.59%アレンドロネート
【0040】
経粘膜膣送達は、本発明の製剤を膣へ直接送達することによって、又は膣の装置に組み込んで本発明の製剤を膣へ送達することによって達成される。製剤又は装置は、膣粘膜と密接に接触するところに、又は膣粘膜の近傍に設置され、ビスホスホネートは、製剤又は装置のいずれかから直接、又は粘膜付着化合物及び/又は浸透エンハンサーもしくは吸収促進剤の作用によって放出され、膣粘膜と接触するか、もしくは膣粘膜に付着し、膣粘膜に浸透し、膣粘膜を介して吸収されるか、もしくは輸送されることによって、全身の血液循環へ経粘膜的に送達される。
【0041】
本発明は、ビスホスホネートの経口送達の間に直面する問題を、改善された経粘膜製剤を用いて、膣粘膜を介して経粘膜的に血液循環へビスホスホネートを送達することによって克服することができるという特有の発見に関する。前記製剤を用いる膣粘膜を介したビスホスホネートの経粘膜送達は、ビスホスホネートの全身の生物学的利用能を著しく向上させ、血漿中のビスホスホネートの濃度を、先行の経粘膜組成物と比較して2倍以上にする。
【0042】
さらに、本発明は、座薬、錠剤、カプセル、マイクロカプセル、ゲル、フォーム、軟膏、もしくはクリームの形態の改善されたビスホスホネート製剤を用いて、又は前記製剤を組み込んだタンポン、タンポン様装置、膣のリング、スポンジ、ストリップ、カップ、又はペッサリーを用いて、ビスホスホネートを体循環へ、好都合に、かつ有効に送達するという発見に関する。経粘膜膣投与に適した薬剤送達のその他の手段も本発明の範囲内である。
【0043】
I. ビスホスホネートの膣送達
従って、本発明は、ビスホスホネートを血液循環へより効率的に送達することに関する。これらの化合物は膣に投与され、経粘膜吸収によって膣粘膜を介して経粘膜的に運搬される。経粘膜吸収は、上記引用特許文献及び特許出願に既に記載されている他の薬剤に関して、静脈内投与に相当する多くの薬剤についての直接的な取り込みと共に示されている。
【0044】
膣の経粘膜アプローチによって、ビスホスホネートは、ゲル、クリーム、フォーム、軟膏、錠剤、カプセル、マイクロカプセル、液体、粉末又は座薬製剤として、直接、又は好ましくは徐放の様式で製剤を放出する経粘膜装置に組み込んで投与することができる。ビスホスホネートは、典型的には、ビスホスホネートの電荷に応じて脂肪親和性又は親水性の担体のいずれかに付着させ、放出された化合物の膣粘膜への付着力を増大させ、かつ膣粘膜との接触を確実にするために粘膜付着剤と組み合わせて処方される。経粘膜を介したビスホスホネートの吸収を増大させるためには、経粘膜的に投与される化合物に対する吸収促進剤又は浸透エンハンサーを別の処方化物質として利用する。
【0045】
(ビスホスホネートの特性)
ビスホスホネートは、骨及びカルシウム代謝の種々の病気に使用する薬剤の最近構築されたクラスを構成する。現在、3世代のビスホスホネートがある。
【0046】
ビスホスホネートは、加水分解に対する耐性を与えるリン−炭素−リンのバックボーンを特徴とするピロリン酸塩の合成アナログである。ビスホスホネートの特性は、リン−炭素−リンのバックボーンの炭素原子における様々な置換基に基づいて異なっている。
【0047】
現在知られているビスホスホネートのグループには、アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、オルパドロネート(olpadronate)、リセドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、及びネリドロネート(neridronate)が含まれる。
【0048】
1.ビスホスホネートの臨床使用
ビスホスホネートは、ピロリン酸塩及びそれと同種のもののアナログであり、骨表面上のハイドロキシアパタイトに強く結合する。ビスホスホネートは安定であり、破骨細胞、骨組織の吸収及び除去において機能する細胞の活性を減少させ、阻害する。
【0049】
ビスホスホネートの臨床使用は、骨の再吸収を阻害する能力に基づいている。従って、その使用に関する主な兆候は、骨パジェット病、骨粗鬆症、転移性の骨の病気、及び悪性及び悪性でない高カルシウム血症などの骨の再構築が高度である病気に関する。
【0050】
ビスホスホネートの主要な効果は、破骨細胞の骨への付着、破骨細胞の前駆体の分化、及び破骨細胞の生存をもたらす細胞の機構を介した骨の再吸収の阻害である。ビスホスホネートの再吸収抑制効果は、また、骨芽細胞への影響によっても仲介される。
【0051】
ビスホスホネートは、骨の表面を改変し、骨の微環境を変化させ、特定の酵素の経路を阻害し、破骨細胞及び腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することによって、抗癌効果を仲介するように思われる。抗ガン剤としてのビスホスホネートの役割は拡大し続けており、新規で、より強力なビスホスホネートが絶えず臨床実施に導入されている。
【0052】
しかしながら、吸収が乏しく、胃腸過敏の可能性があるために、骨の再吸収を阻害するのに必要とされるビスホスホネートの用量は経口で達成するのが困難なものである。従って、その経口使用はむしろ制限される。
【0053】
その経口投与で直面する困難にもかかわらず、ビスホスホネートは、治療用量で送達された場合、非常に強力な薬剤である。ビスホスホネートは、有効性の独特のスペクトラムと作用機構を有する。親化合物のエチドロネートは、初期の骨粗鬆症の治療のための多施設臨床試験に最初に用いられ、該エチドロネートによって骨密度を増加させ、破壊速度を調整するのに成功したことが示された。エチドロネートより強力な薬剤である最近承認された薬剤のアレンドロネートは、骨密度のより大きな増加をもたらし、破壊の数及び重大度を減少させる。経口及び静脈内投与のパミドロネートは、骨密度への同様の正の影響を有する。チルドロネート、リセドロネート、及びクロドロネートでの研究によって、治療剤としての同様の効果が示された。
【0054】
2.経口投与されたビスホスホネートの副作用
上述したように、骨の疾患を治療するのに利益となり得るにもかかわらず、重大な副作用、有効性の不足、及びビスホスホネートの経口投与に必要とされる不都合な投薬計画のために全部の治療の可能性が実現されていない。副作用には、食道及び胃の過敏、潰瘍形成又は炎症が含まれる。有効性の不足は、腸管を介してのビスホスホネートの吸収が乏しく、その結果、投与された経口用量の1%以下の生物学的利用能がもたらされることによって立証されている。ビスホスホネートの経口投与に必要とされる厳格な投与計画によって、患者に大きな不利益が生じ、その結果、多くの患者によってこの治療が放棄されることとなる。
【0055】
経口投与でのこれらの問題が解決されるまで、ビスホスホネートは骨粗鬆症及び関連した骨の病気の治療及び予防に最適な薬剤とならない。本発明は、これらの薬剤を、経口送達されたものよりも60倍以上の量で経粘膜的に血液へ経粘膜的に送達することによって経口投与に代わる方法を提供する。
【0056】
3.ビスホスホネートの経粘膜送達
経粘膜の方法によって、局所の胃腸過敏並びにその結果生じた食道及び胃の潰瘍形成が解消され、該方法は経口投与よりはるかに有効であり、経口送達に必要な食事又は時間の制限を伴わない。
【0057】
ビスホスホネートの経粘膜投与の成功は、pH、粘膜を介した吸収、有効性、及び過敏及び毒性がないことなどのその特有の性質次第である。この点で、ビスホスホネート化合物のpKが膣のpHレベルにとって理想的であることが分かった。他の化合物での薬剤の体循環への大成功な送達をもたらすことが示されている吸収エンハンサー、及び粘膜付着剤と適合することも分かった。これらの薬剤は、ビスホスホネートの吸収の増強に等しく有効であることが分かり、本発明の改善された製剤によって、有効性が実質的に増加する。
【0058】
経粘膜的に送達されたビスホスホネートは、大きな治療の可能性を示し、全部の治療作用を得るのに必要なこれらの薬剤の量が少ない。改善された製剤を用いて経粘膜的に送達されたビスホスホネートは、経口投与されたビスホスホネートよりも60倍以上高い生物学的利用能を有することが分かった。
【0059】
経粘膜送達のための本発明の方法は、活性医薬品、この場合、ビスホスホネートの1種を、約0.01mg〜約3200mg/日の選択されたビスホスホネートを一日に投薬するリザーバーの形で、典型的には、担体、好ましくは脂肪親和性の担体、粘膜付着剤、吸収促進剤及び/又は浸透エンハンサーと組み合わせて処方することを含む。その優れた膣吸収のために、ビスホスホネート製剤を、1週間に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回又は決められたビスホスホネート用に選択された治療投薬計画を支持するその他の適切な時間間隔で投与する。
【0060】
B.ビスホスホネートのタイプ
概して、総てのビスホスホネートは、骨の構造及び形成への特有の影響を示す。既知のビスホスホネートはそれぞれ調査されており、以下の特性が説明されている。
【0061】
1.アレンドロネート
アレンドロネートは、Merck & Co., Inc.(Rahway, NJ)より、製品名FOSAMAX(登録商標)の下でアレンドロン酸ナトリウムとして市販されている。
【0062】
a.アレンドロネートの治療利益
アレンドロネートは、骨密度(BMD)を増加させ、X線撮影により定められる(形態計測の)脊椎骨折を防ぎ、骨量が低い閉経後の女性における形態計測の骨折に加えて臨床的に明らかな骨折に肯定的な影響を及ぼす。
【0063】
b.経口投与の不利益
経口投与した場合、アレンドロネートは、腸管を介して不十分に吸収され、1%以下の生物学的利用能を有することが示されている。5〜40mgの範囲の用量で、一晩絶食した女性に投与し、1日の最初の食事の2時間前に経口で投与した場合、その生物学的利用能は、0.7%と同じ程度に低いことが分かった。男性では、この値は0.59%とさらに低いことが報告されている。
【0064】
化合物を1日の最初の食事の30〜60分前に投与した場合、吸収及び生物学的利用能はさらに40%減少する。食事と同時に、又はその2時間後に投与した場合、吸収及び薬剤の生物学的利用能はごくわずかである。さらに、コーヒー及びオレンジジュースを摂取することによってでも、更に約60%吸収が減少する結果となる。
【0065】
不十分な吸収と生物学的利用能に加えて、アレンドロネートは、上部消化管、特に食道の粘膜の重大な過敏を引き起こし、頻繁な出血と潰瘍形成を発生させる。これらの症状は、少なくとも2カップの水を食事の少なくとも60分前に各錠剤と共に摂取することによって減少する可能性がある。この投薬計画は、当然のことながら患者にとって困難であり、不都合であることが分かる。患者は、また、口腔又は咽頭の潰瘍形成のために、錠剤を噛まないように警告されている。アスピリン及び他のNSAIDと同時に使用することによって、GI症状と潰瘍形成が増加するようである。
【0066】
一年間の高度に制御された臨床試験において10%までの患者が、副作用及び投薬制限のためにFOSMAX(登録商標)を使用するのを中止したことが報告されている。治療を中止した割合は、プロトコールに基づかない薬剤の実際の臨床使用においてさらに大きい(>50%)ことが判明している。
【0067】
上記から明らかなように、アレンドロネートは、骨粗鬆症及びパジェット病の治療に非常に望ましい医薬品であるが、その使用は、その不十分な吸収及び生物学的利用能のために、少なからぬ重大な健康の合併症の発症によって、必然的に制限される。
【0068】
c.アレンドロネートの治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣座薬、フォーム、クリーム、錠剤、カプセル、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態で直接的に、又は膣の装置を介して投与されるように間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤でのアレンドロネートを提供する。経口投与用のアレンドロネートの毎日の投与量は、約5〜約40mg/日であり、必要に応じて、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うためには、薬剤を、迅速な放出及び経粘膜の吸収を目的として処方してもよい。
【0069】
本発明の改善された製剤は、1日当たり0.05〜40mgのアレンドロネートを含有する。
【0070】
2.クロドロネート
クロドロネートは、Roche Diagnostics GmbH(Mannheim,Germany)から市販されている。現在、クロドロネートは、静脈内投与されるか、又は経口投与されている。
【0071】
a.クロドロネートの治療利益
クロドロネートは、骨の再吸収の増加を阻害し、閉経のために及び固定化の間に骨が失われるのを防ぐことが示されている。短期間の及び長期間の研究によって、クロドロネートは脊椎の骨粗鬆症の患者の腰椎での骨の減少を防止することが示されている。クロドロネートを用いる治療によって、特に脊椎での骨量の増加が誘導される。高用量のクロドロネートでさえも骨のミネラル化を低下させず、このことによって、骨粗鬆症に長期間使用するのに適したものとなっている。
【0072】
クロドロネート治療は、骨のターンオーバーを減少させ、癌に関連した骨の病的状態を軽減することも示されている。さらに、再発性乳癌の女性の見かけは冒されていない骨におけるBMDを増加させた。
【0073】
b.経口投与の不利益
上記から明らかであるように、クロドロネートは骨粗鬆症及びパジェット病の治療のための強力な医薬品である。しかしながら、他のビスホスホネートと同様に、不十分な吸収及び生物学的利用能のみならず、食道の被刺激性を示し、そのため、その使用は副作用の発生のために必然的に制限される。
【0074】
c.クロドロネート治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣の座薬、クリーム、フォーム、錠剤、カプセル、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルなどの膣製剤の形態で直接的に、又は前記経粘膜装置を介して投与される本発明の膣の装置に組み込まれた製剤として間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤でのクロドロネートを提供する。経口投与用のクロドロネートの毎日の投与量は、約100〜約3200mg/日であり、必要に応じて、1日、1週間、1ヶ月又は3ヶ月につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うためには、薬剤を、迅速な放出及び経粘膜の吸収を目的として処方してもよい。
【0075】
本発明の改善された製剤は、1日の投与量当たり約1〜3200mgのクロドロネートを含有する。
【0076】
3.エチドロネート
エチドロネートは、Procter & Gamble Pharmaceuticals(Cincinnati,OH)から市販されている。
【0077】
a.エチドロネートの治療利益
エチドロネートは、コルチコステロイド誘導性骨粗鬆症の患者の脊椎骨密度の減少を防ぐので、これらの患者の治療に適している。周期的にエチドロネートとエルゴカルシフェロールとを用いた治療によって、グルココルチコイドによって誘導された骨の減少が抑制され、グルココルチコイド治療を開始する閉経後の女性の腰椎及び大腿骨頸部のBMDが増加した。
【0078】
1年の非盲検での治療後、エチドロネートで以前に治療した患者は、骨量を維持し、総てのグループでの脊椎骨折の発生率がその他の調査期間でのものより低かった。間歇周期的エチドロネート治療によって、脊椎及び寛骨の骨密度の有意な増加がもたらされ、骨折のリスクがより高い患者において脊椎骨折率が有意に減少した。エチドロネートをもう一年継続した場合に骨量の維持と低骨折率が見られた。
【0079】
d.経口投与の不利益
エチドロネートの使用により深刻な副作用は全く見られないが、エチドロネートは、骨粗鬆症及び脊椎の骨密度の減少の予防及び治療用の強力な医薬品であることが分かり、他のビスホスホネートと同様に、エチドロネートは、胃腸管からの吸収及び生物学的利用能が低い。したがって、必然的にその使用は制限され、その生物学的利用能の増加によって、その治療の有用性が向上する。
【0080】
c.エチドロネート治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣座薬、クリーム、錠剤、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態の経粘膜製剤として直接的に、又は以下に記載されている最適な膣装置を介して投与されるという間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤のエチドロネートを提供する。経口投与用のエチドロネートの毎日の投与量は、約5〜約20mg/日であり、必要に応じて、1日、1週間、1ヶ月又は3ヶ月につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態に処方される。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うためには、薬剤を、迅速な放出及び経粘膜の吸収を目的として処方してもよい。
本発明の改善された製剤は、1日の投与量当たり約0.05〜約20mg/kgのエチドロネートを含有する。
【0081】
4.パミドロネート
パミドロネート(アミノヒドロキシプロピリジンビスホスホネート(aminohydroxypropylidine bisphosphonate,APD)、)はNovartis(Basel,Switzerland)から市販されている。
【0082】
a.パミドロネートの治療利益
パミドロネートは、骨パジェット病の治療に有効な薬剤であり、骨粗鬆症の治療にも有効である。経口投与型のパミドロネートを用いた長期の治療によって、骨の減少が克服され、プラシーボに照らして骨量が増加し、該治療はリウマチ様関節炎の患者の治療に適している可能性がある。経口のパミドロネートを用いた骨粗鬆症患者の長期の連続した治療は、腰椎の骨密度(bone mineral content,BMC)の増加を伴い、骨格組織に対し更なる治療効果を伴う。
【0083】
抑制性の投与量(suppressive dose)のパミドロネートを、過剰な破骨細胞の再吸収がある患者に投与した後、血清中のカルシウムが一時的に減少し、副甲状腺ホルモン(PTH)濃度が増加する。したがって、長期に渡るパミドロネート治療によってPTHの分泌が促進される可能性があり、言い換えるとPTHの分泌が骨格へのタンパク同化効果を有することが以前に示されている。
【0084】
b.経口投与の不利益
パミドロネートは、治療した患者に食道炎をもたらすことが知られているが、パジェット病、骨粗鬆症の予防及び治療用の、及び骨量を増加させるための強力な医薬品であり、他のビスホスホネートと同様に、不十分な吸収及び生物学的利用能に加えて食道の過敏及び潰瘍形成を示す。したがって、パミドロネートの臨床使用は静脈内投与に制限されている。
【0085】
c.パミドロネート治療製剤の経粘膜送達
本発明は、経粘膜投与に適した改善された経粘膜膣製剤のパミドロネートを提供する。製剤は、膣座薬、クリーム、錠剤、カプセル、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態で直接的なものとして、又は膣装置を介して投与される間接的なものとして提供される。静脈内注射/静脈点滴によるパミドロネートの毎日の投与量は、約1〜約30mg/日であり、必要に応じて、1日、1週間、1ヶ月又は3ヶ月につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤からパミドロネートの継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、パミドロネートの毎日の供給を行うために、パミドロネートを、迅速な放出及び経粘膜の吸収を目的として処方してもよい。
【0086】
改善された製剤は、1日の投与量当たり約1〜約3000mgのパミドロネートを含有する。
【0087】
5.チルドロネート
チルドロネート(チルドロン酸二ナトリウム塩)は、Sanofi(France)から市販されている。
【0088】
a.チルドロネートの治療利益
チルドロネートは、ミネラル化の欠陥を誘導することなく、いくつかの代謝性の骨の病気における骨の再吸収を減少させるのに有効であることが示されている。骨パジェット病の治療のためのチルドロネートの臨床開発によって、チルドロネートは、骨粗鬆症の治療に同様に適していることが示された。骨粗鬆症は、チルドロネートの主要な指標となる。
【0089】
b.経口投与の不利益
上記から明らかであるように、チルドロネートは骨粗鬆症及びパジェット病の治療のための非常に優れた医薬品であるが、その不十分な吸収及び生物学的利用能のために、少なからぬ副作用の発生によって、その使用は必然的に制限されている。
【0090】
c.チルドロネート治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣の座薬、クリーム、錠剤、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態で直接的に、又は本発明の経粘膜装置に前記製剤を組み込むことによって間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤のチルドロネートを提供する。経口投与用のチルドロネートの毎日の投与量は、約2〜約400mgであり、必要に応じて、1日、1週間、1ヶ月又は3ヶ月につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うためには、薬剤を、迅速な放出及び経粘膜の吸収を目的として処方してもよい。
【0091】
本発明の改善された製剤は、1日の投与量当たり約0.02mg〜約400mg/kgのチルドロネートを含有する。
【0092】
6.イバンドロネート
イバンドロネートは、Roche Diagnostics GmbH(Mannheim,Germany)から市販されている。
【0093】
a.イバンドロネートの治療利益
新規な第3世代のビスホスホネートであるイバンドロネートは、閉経後の骨粗鬆症の治療に優先的に有用である。イバンドロネート治療によって、用量依存的に総ての骨格部位の骨量が増加し、2.5mg/日が最も効果的な用量である。イバンドロネート治療によって、骨のターンオーバーが閉経前のレベルに減少し、該治療はよく容認されている。
【0094】
b.経口投与の不利益
上記から明らかであるように、イバンドロネートは骨粗鬆症及びパジェット病の治療用の強力な医薬品であるが、その不十分な吸収及び生物学的利用能のために、その使用は必然的に制限されている。
【0095】
c.イバンドロネート治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣の座薬、クリーム、錠剤、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態で直接的に、又は膣の装置を介して投与されるという間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤のイバンドロネートを提供する。静脈内注射/静脈点滴又は経口投与によるイバンドロネートの毎日の投与量は約0.05mg〜約50mg/日であり、必要に応じて1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うために、薬剤を、迅速な放出及び経粘膜吸収を目的として処方してもよい。
【0096】
改善された製剤は、1日の投与量当たり約0.01mg〜約50mgのイバンドロネートを含有する。
【0097】
7.ネリドロネート(neridoronate)
ネリドロネート(neridoronate)は市販されている。
【0098】
a.ネリドロネートの治療利益
ネリドロネート(neridoronate)は、骨粗鬆症に加えて膠原病の治療及び予防に有用な第3世代のアミノ−ビスホスホネートである。
【0099】
b.経口投与の不利益
ネリドロネート(neridoronate)は骨粗鬆症及びコラーゲンに関連した病気の治療に効果的な医薬品であるが、その不十分な吸収及び生物学的利用能のために、その使用は静脈内投与に専ら制限されている。
【0100】
c.ネリドロネート(neridoronate)治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣の座薬、クリーム、錠剤、軟膏、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態で直接的に、又は膣の装置を介して投与されるという間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤のネリドロネート(neridoronate)を提供する。静脈内注射/静脈点滴によるネリドロネート(neridoronate)の好ましい毎日の投与量は約0.01mg〜約0.7mg/日であり、必要に応じて1日につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うために、薬剤を、迅速な放出及び経粘膜の吸収を目的として処方してもよい。
【0101】
改善された製剤は、1日の投与量当たり約0.1mg〜約150mgのネリドロネート(neridoronate)を含有する。
【0102】
1.リセドロネート
リセドロネートは、Procter & Gamble Pharmaceuticals(Cincinnati,OH)から市販されている。
【0103】
a.リセドロネートの治療利益
リセドロネートは、骨粗鬆症の治療及び予防に有用な第3世代のビスホスホネートである。
【0104】
b.経口投与の不利益
リセドロネートは骨粗鬆症及び関連した病気の治療に効果的な医薬品であるが、その迅速な吸収のためにその使用が制限され、その結果、生物学的利用能が予測不可能となる。
【0105】
c.リセドロネート治療製剤の経粘膜送達
本発明は、膣の座薬、クリーム、錠剤、軟膏、フィルム、フォーム、ゲルもしくはマイクロカプセルの形態で直接的に、又は膣の装置を介して投与されるという間接的に経粘膜投与するのに適した改善された経粘膜膣製剤のリセドロネートを提供する。経口投与用のリセドロネートの好ましい毎日の投与量は、約5mg〜約30mg/日であり、必要に応じて1日につき1回、2回又は何度も投与される。製剤は、好ましくは、製剤から薬剤の継続的な及び持続的な放出をもたらす徐放性の形態である。しかしながら、薬剤の毎日の供給を行うために、薬剤を、迅速な又は緩慢な放出及び経粘膜吸収を目的として処方してもよい。
【0106】
改善された製剤は、1日の投与量当たり約0.05mg〜約30mgのリセドロネートを含有する。
【0107】
8.その他の現在市販されているビスホスホネート
現在、ゾレドロン酸(Novartis Pharma AG(Basel,Switzerland);毎日の静脈内投与量4mg)、オルパドロネート(olpadronate)(Gador Pharmaceutical Laboratories(Buenos Aires,Argentina);毎日の経口投与量200〜400mg)、インカドロネート(山之内製薬(日本、東京);毎日の静脈内投与量10mg)、ミノドロネート(山之内製薬(日本、東京);臨床データは得られていない)は、他のビスホスホネートについて記載した通り同様の治療使用を目的として開発中である。
【0108】
これらのビスホスホネートを、本発明に従う改善された経粘膜膣製剤として処方する。
【0109】
C.ビスホスホネートの膣送達の薬物動力学
アレンドロネートの膣送達をウサギのモデルで調査した。強力な抗溶骨性のビスホスホネートであるアレンドロネートの全身の生物学的利用能は、経口経路を介して用量を投与した場合、一般に1%以下であるので、本研究の目的の1つは、膣粘膜越しのアレンドロネートの送達がこの薬剤の全身の生物学的利用能を有意に向上させる可能性を有するかどうか決定することにある。別の目的は、改質した経粘膜製剤が、経粘膜膣送達経路によるビスホスホネートの送達を増加させることができるかどうか決定することにある。
【0110】
アレンドロネートの血漿の薬物動力学を、実施例1に従って、静脈内投与、膣投与、及び経口投与(用量=0.14〜0.21mg/kg)した後の麻酔したメスの白色ニュージーランドウサギにて決定した。4つのパラメーター、すなわち、経口投与、静脈内投与、並びに先行の製剤(5%HPMC)及び改善された製剤(1.5%HPMC)を用いる膣投与を調べ、比較した。分析のために、各用量に、トレース量の[14C]アレンドロネートを添加した。モデル依存の薬物動力学のパラメーターをWinNonlinを用いて24時間収集したアレンドロネートの血漿濃度から計算した。結果を図1及び図2及び表1に示す。
【0111】
【表1】

【0112】
薬物動力学のパラメーターを、WinNonlinのモデル依存分析モジュールを用いて血漿薬剤濃度から計算した。
【0113】
表1は、静脈内投与では0.15mg/kg、膣投与では0.15mg/kg、経口経路での投与では0.21mg/kgの用量で、アレンドロネートを静脈内投与、経粘膜膣投与、及び経口投与した後の白色ニュージーランドウサギの血漿中で見られた薬物動力学のパラメーターを記載したものである。2つの製剤、すなわち、先行の製剤(5%HPMC)、及び改善された製剤(1.5%HPMC)を経粘膜膣送達について調べた。表1は、さらに、最大血漿濃度(Cmax)、ng x 時間 x mL-1の曲線下面積(area under the curve,AUC)、見かけの半減期(t1/2/時間)及び生物学的利用能(F)を示す。
【0114】
図1に示すように、アレンドロネートの生理食塩水溶液の静脈内投与後、アレンドロネートは脈管系から迅速に消失し、見かけの半減期は0.3時間であった。これは、様々な他の種での先の観察と一致し、この薬剤の骨への高親和性に関連している。
【0115】
図1に見られるように、5%HPMC(先行のもの)又は1.5%HPMC(改善されたもの)のいずれかで処方した座薬を用いて膣を介して送達した場合、アレンドロネートの血漿濃度は急速に増加して、0.5時間前後には最大に達した。先行の製剤(5%HPMC)における曲線下面積は180mg x 時間 x mL-1であった。改善された製剤における曲線下面積は372.9mg x 時間 x mL-1であった。血漿中濃度時間曲線下面積(area the plasma concentration time curve,AUC)から、経粘膜膣投与を用いた先行の製剤について計算された平均絶対生物学的利用能は30.1%(5%HPMC)であり、改善された製剤では67.1%であった。
【0116】
経口投与後のウサギにおけるアレンドロネートの平均絶対生物学的利用能(F%)は1.8%であった。先行の経粘膜製剤(5%HPMC)の膣投与後の平均絶対生物学的利用能は30.1%であり、改善された経粘膜製剤では67.1%であった。静脈内投与後の生物学的利用能は定義により100%である。
【0117】
はっきりしていることは、アレンドロネートの膣経粘膜送達は経口送達よりもかなり効果的であり、改善された製剤(1.5%HPMC)を用いた経粘膜送達は、先行の経粘膜製剤(5%HPMC)を用いた経粘膜送達の2倍効果的であるということである。経口投与後に測定した薬剤濃度に相当する経粘膜膣投与によるアレンドロネートの血漿濃度に達するためには、約3.5%の経口投与量が膣投与にとって充分である。患者にとっての相当大きな利益として、膣送達によって体循環への吸収が67倍増加するため、経粘膜的に送達されるビスホスホネートを、週1回、月1回、3ヶ月に1回又は決められたビスホスホネートのために選択された治療投薬計画を支持するその他の適切な時間間隔を用いて送達してもよい。アレンドロネートの膣投与は、ビスホスホネートの薬剤のクラスにおいて特徴的である重大な副作用を減少させることができる。
【0118】
図1は、単回投与量のアレンドロネート0.15mg/kg-1を含む先行の製剤


又は改善された製剤


をメスの白色ニュージーランドウサギに膣投与した後の血漿中のアレンドロネートの濃度時間プロファイルを示す。これらの調査は少なくとも3連で行い、得られた値は平均±SEMである。
【0119】
図1から分かるように、先行の製剤


の投与によって、最初の1時間の間に血漿中のアレンドロネートの濃度が約0.03μg/mlに上昇した。そのような増加は相対的に低く、最初の6時間後にはほとんど0のレベルに減少し、その結果、アレンドロネートの生物学的利用能は約30%であった。改善された製剤


の経粘膜膣投与の結果、血漿中のアレンドロネートは急速に増加し、投与後1時間以内にピーク(〜0.1μg/ml)に達し、24時間の間に徐々に減少し、約67.7%の生物学的利用能の値に達した。先行の経粘膜製剤(5%HPMC)で同量のアレンドロネートを膣送達した後の血漿中の利用可能なアレンドロネートのレベルと比較した場合、2倍を超えるより多くのアレンドロネートが、1.5%HPMCで処方した座薬を膣送達した後の血漿中に存在し、利用可能であった。
【0120】
これらの結果は予想外であり、驚くべきものであって、これらの結果によって、経粘膜膣送達の有効性が製剤に依存することが確認された。経口送達中に見られる副作用の除外と相まって、改善された製剤を用いる膣経粘膜送達はビスホスホネートを投与するはるかに優れている方法である。
【0121】
図2は、経口製剤として(1.8%)、膣の先行の製剤として(30%)、膣の改善された製剤として(67.1%)、静脈注射製剤として(100%)アレンドロネートを投与した後に見られた、アレンドロネートの生物学的利用能(67.7%)のグラフを図示したものである。
【0122】
上記の結果から分かるように、膣経粘膜送達は経口送達より明らかに優れており、経口投与に伴って起きる総ての副作用を解消するものである。より低量の粘膜付着剤から構成され、浸透エンハンサー及び不活性脂肪親和性担体が存在する独特の製剤のため、GI粘膜越しの不十分な吸収が克服され、ビスホスホネートを極めて大きい程度まで膣粘膜を介して体循環へ直接送達する。この送達経路は、また、非観血式であるので静脈内経路より好ましい。
【0123】
本発明に従って、改善された製剤で処方した、膣粘膜と接触させるビスホスホネートをより生物学的に利用可能なものとする。ビスホスホネートの経粘膜送達方法は骨粗鬆症、パジェット病、骨及び骨格の他の病気、骨折、並びに骨の転移性及び非転移性の骨の病気の治療に大変適している。
【0124】
II.膣送達のための組成物、製剤及び装置
本発明の主要な目的は、骨粗鬆症並びに骨及び骨格の関連した病気を治療し、かつ予防するために、不十分な生物学的利用能と高レベルの胃腸管毒性を有する一連のビスホスホネートの全身送達を高めることにある。
【0125】
A.ビスホスホネートの経粘膜膣送達用製剤
経粘膜膣投与及び送達用製剤は、典型的には、特定のビスホスホネートに依存して約0.01〜約3200mgで存在するビスホスホネート薬剤と、約40〜95%、好ましくは約60〜85%(重量/重量)、最も好ましくは68.5%を越えて存在する脂肪親和性又は親水性の、好ましくは脂肪親和性の担体と、約0.01〜約5%、好ましくは約1〜3%、最も好ましくは約1.5%(重量/重量)からで存在する粘膜付着剤と、5〜25%、好ましくは約10〜20%、最も好ましくは約15%(重量/重量)の濃度で存在する浸透エンハンサー又は吸収促進剤と、任意選択的に約5〜25%、好ましくは約3〜15%の可溶化剤とを含む。
【0126】
水、注射用蒸留水、生理食塩水、添加剤、充填剤、着色剤、又は他の薬剤的に受容可能な及び/又は治療に効果的な化合物などの他の賦形剤を本発明の製剤に添加してもよい。
【0127】
1.医薬品
経粘膜送達に適した医薬品は、本発明に従う薬剤送達システムで処方してもよい、上記の通り既知であるか、または後に発見された任意のビスホスホネートである。
【0128】
本発明に使用する医薬品は膣粘膜を介して循環システムへ吸収される。医薬品は、好ましくは、アレンドロネート、リセドロネート、クロドネート、パミドロネート、エチドロネート、チルドロネート、ネリドロネート(neridronate)、イバンドロネート、オルパドロネート(olpadronate)、ゾレドロン酸、インカドロネート、及びミノドロネートといったビスホスホネート類から成る群より選択される。
【0129】
2.賦形剤及び担体
経粘膜投与用製剤は、典型的には、選択されたビスホスホネートを処方するのに適した生物学的適合性の賦形剤を含み、該賦形剤としては、脂肪親和性担体、親水性担体、粘膜付着剤、浸透エンハンサー、及び任意選択的に可溶化剤が挙げられる。
【0130】
望ましい薬剤放出を達成するために、活性成分、すなわちビスホスホネートを、薬剤が低親和性を有する賦形剤(すなわち、媒体又は担体)中に組み込む。それ故に、親水性薬剤は脂肪親和性担体中に組み込まれ、脂肪親和性薬剤は親水性担体中に組み込まれる。ビスホスホネートは、主に親水性薬剤であるので、典型的には、脂肪親和性担体に組み込まれる。
【0131】
親水性薬剤と共に使用するのに好ましい脂肪親和性担体としては、例えば、Gattefosse(Westwood,NJ)から市販されている上述したSUPPOCIRE(登録商標) AS2などの飽和脂肪酸、特に炭素数8〜18の脂肪酸の半合成グリセリド、及び他の適した硬脂肪及び担体が挙げられる。脂肪親和性担体は、改善された製剤中に約40〜95%、好ましくは60〜80%、最も好ましくは約68.5%(重量/重量)存在する。
【0132】
本発明のシステムは、好ましくは、溶液中に放出した薬剤を長引かせ、粘膜表面と密着させる粘膜付着剤も含む。粘膜付着剤は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。HPMCは、アルギン酸塩、ペクチン又は他のセルロース誘導体などのポリマーと組み合わせてもよい。本発明の製剤用の粘膜付着剤は、好ましくはHPMCであり、該HPMCは5%以下、好ましくは0.5〜3%、最も好ましくは約1.5%の量で存在する。
【0133】
本発明のシステムは、膣粘膜越しの薬剤の浸透を促進するために、さらに浸透エンハンサー又は吸収促進剤も含んでもよい。好ましい吸収促進剤としては、非イオン性界面活性剤、胆汁酸塩、有機溶媒、内部エステル化(interesterified)石油、とりわけ、例えば、GattefosseからTRANSCUTOL(登録商標)として市販されているエトキシジグリコール、又は例えば、GattefosseからLABRAFIL(登録商標) M 1944CSとして市販されている内部エステル化(interesterified)石油が挙げられる。最も好ましいのはエトキシジグリコールであり、該エトキシジグリコールは5〜25%、好ましくは約15%(重量/重量)で存在する。
【0134】
さらに、任意選択的に、製剤は、Tween、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、シクロデキストリン、ポリオキシエチレンアルキルエステル、モノステアリン酸グリセリン、レシチン、ポロキサマー、ポリオキシエチレンステアリン酸塩、及びソルビタンエステルなどの可溶化剤を含んでもよく、該可溶化剤は約1〜10%で存在する。
【0135】
B.薬剤送達システム
本発明の膣の薬剤送達システムは、膣粘膜越しの体循環への薬剤の有効でかつ時間制御された送達を提供する。
【0136】
1.送達システムの種類
送達システムは、タンポン、タンポン様装置、膣のリング、ストリップ、カップ、ペッサリー、膣のアプリケーター、錠剤又は座薬などの固体送達システムであってもよい。別の方法としては、ペースト、クリーム、軟膏、フィルム、フォーム、懸濁液、溶液、カプセル、マイクロ粒子、ナノ粒子、生体付着性のゲルもしくは膣粘膜との長期に渡る接触を維持するのに充分な厚さを有する、マイクロ/ナノ粒子を含有するカプセルの形態の半固体又は液体製剤であってもよい。別の方法としては、例えば、座薬の壁のコーティング、タンポン・アプリケーターのコーティング、又は溶液、ローションもしくは生体付着性粒子の懸濁液を含む液体薬剤を染みこませたスポンジもしくは他の吸収材料であってもよい。治療剤を膣内皮へ有効に送達する薬剤送達システムのどの形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0137】
本発明の説明を簡素化する目的で、タンポン及び座薬の薬剤送達システムについて以下に説明するが、本発明を制限する意図ではなく、当然、総ての有効な送達システムも本発明の範囲に含まれる。
【0138】
2.徐放性薬剤送達
本発明に従う徐放性薬剤送達システムは、膣粘膜越しの体循環への吸収のために溶液中への薬剤の放出速度を制御することが可能である。放出速度は、薬剤の分配、不活性化、及び除去に適合するように最適化され、故に、薬剤が膣内にある間、ほぼ一定の血漿及び組織レベルが維持される。当業者に既知である適切な賦形剤を望ましい徐放を達成するために加えることができる。例えば、膣腔内のpHが変化するのであれば、送達システムを設計する際にこの事実を考慮しなければならない。吸収を促進する緩衝液を有する薬剤送達システムが本発明に含まれる。さらに、システム、例えばタンポンは容易に除去可能であるべきであり、例えば、糸、アプリケーター又はテープに取り付けられている。
【0139】
3.生体付着システム
生体付着性粒子送達システムは、本発明に使用するのに適したさらに別の経粘膜薬剤送達システムを構成する。
【0140】
生体付着性システムは、セルロース誘導体などの天然ポリマー、ポリアクリル酸などの合成ポリマー又はその組み合わせから構成され、膣腔内に置いた後、数日間に渡ってビスホスホネートの放出を制御する。このシステムは、多層の液体、半固体、又は固体の製剤又はそれらの組み合わせを表し、これらは、最近の座薬製剤のように、膣から漏れない。生体付着性粒子送達システムは、膣の壁に付着し、数時間から数日間までの範囲の制御された期間に渡って薬剤を放出する。これらのシステムの多くは、米国特許第4,756,907号に記載されている鼻の使用のために設計され、当該文献の内容を参照により援用するが、膣において使用するために容易に改変することができる。生体付着性粒子送達システムは、例えば、ビスホスホネートを詰めたマイクロ粒子を含んでもよく、薬剤の体循環への経粘膜輸送を促進する吸収促進剤を含んでもよい。マイクロ粒子は、1〜数百μmの直径を有し、本技術分野で既知である方法に従って、スターチ、ゼラチン、アルブミン、デキストラン、セルロース誘導体、又はポリアクリル酸などの合成ポリマーから製造することができる。
【0141】
C.製剤
本発明の製剤は、本発明の製剤の経粘膜送達に特有のものである。したがって、製剤は、薬剤を膣粘膜と近接させるか、又は接触させ、膣粘膜を介した薬剤の浸透、吸収、移動又は輸送を促進するために必要な、製剤からの薬剤の経粘膜放出の特有の条件に向けられたものである。
【0142】
したがって、典型的には、選択されたビスホスホネートに適した脂肪親和性又は親水性の担体、膣内皮との接触を増加させ、薬剤又は薬剤担体複合体の膣粘膜への付着を可能にする低量の粘膜付着剤で製剤を処方し、さらに、ビスホスホネートの体循環への浸透、吸収、移動又は輸送は本発明に必須であるので、製剤は、粘膜を介したそのような浸透、吸収、移動、又は輸送を可能にする浸透エンハンサー又は吸収促進剤も含む。
【0143】
1.代表的な製剤
以下に記載する製剤を製造し、試験したが、これらの製剤は、本発明の製剤を説明するために記載されているに過ぎない。当該製剤は、本発明を制限するものではなく、上記の範囲内の総ての製剤が本発明の範囲内に含まれる。
【0144】
本発明の一実施態様において、本発明の経粘膜製剤は、約0.01〜10重量%のビスホスホネートと、約60〜90重量%の脂肪親和性もしくは親水性(適切な場合)の担体及び約0.01〜約5重量%の粘膜付着剤及び約5〜25重量%の浸透エンハンサーを有する約90〜99%の賦形剤とを含む。
【0145】
本発明の別の実施態様では、製剤は、約0.01〜10重量%のビスホスホネートと、約60〜80重量%の担体及び約0.1〜3重量%の粘膜付着剤及び約10〜20重量%の浸透エンハンサーを有する約90〜99%の賦形剤とを含む。
【0146】
本発明の最も好ましい実施態様では、製剤は約0.01〜5%のビスホスホネートを含み、約68.5%の脂肪親和性担体SUPPOCIRE(登録商標) AS2及び約1.5%の粘膜付着性ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び約15%の浸透エンハンサーTRANSCUTOL(登録商標)を含む膣座薬となるように処方される。
【0147】
さらに、製剤は、グリセリン、鉱油、ポリカルボフィル、カルボマー 934P、硬化パーム油、グリセリド、水酸化ナトリウム、ソルビン酸、及び純水などの他の生物学的適合を有する賦形剤を含んでもよい。
【0148】
2.他の製剤
ビスホスホネートを、アプリケーターを用いて膣に塗布することが可能であるクリーム、ローション、フォーム、ペースト、軟膏、溶液、懸濁液、及びゲルに加えることができる。クリーム、ローション、フォーム、フィルム、ペースト、軟膏、及びゲル形状の医薬を製造する方法は、文献全体に渡って見ることができる。
【0149】
本発明の製剤に使用するのに適した無毒の薬剤的に受容可能なシステムは当業者に自明である。これには総ての医薬製剤が含まれ、例えば、Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, A.R. Gennaro, Ed., (2000)、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, Lachman, Lieberman and Kanig、及びPharmaceutical Dosage Forms, Liberman and Lachmanに記載されている。
【0150】
適した担体の選択は、望ましい特定の膣の剤型の正確な性質、例えば、活性成分がクリーム、ローション、フォーム、軟膏、ペースト、溶液、懸濁液又はゲルとなるように処方されるかどうかに加えて、活性成分の独自性に依存する。
【0151】
3.ビスホスホネート製剤を製造する方法
アレンドロン酸ナトリウムを水に溶解し、傍らに置く。SUPPOCIRE(登録商標)を50℃の水浴中で融解させる。TRANSCUTOL(登録商標)を攪拌しながら添加し、その後、HPMCを加える。最後に、アレンドロン酸ナトリウム溶液を攪拌しながら添加する。加熱した混合物を座薬の型に注ぎ、冷却する。
【0152】
D.経粘膜薬剤送達装置
本発明の装置は、例えば、タンポン様装置、膣のリング、膣のペッサリー、膣の錠剤、ペースト、膣の座薬、膣のスポンジ、生体付着性錠剤、生体付着性マイクロ粒子の形態であってもよく、ビスホスホネートを含む製剤をこれらに組み入れる。これらのシステムをそれぞれ以下に記載する。
【0153】
1.タンポン又はタンポン様装置
一実施態様では、本発明は、近位端部と遠位端部を有する吸収剤の膣のタンポンを備える、医薬品を膣に送達するためのタンポン装置を提供する。遠位端のカップ形状の多孔性の発泡体部分は、子宮頸部周囲に合い、円蓋領域へ送達する医薬品を含有する。しかしながら、前記製剤は、タンポンの近位端に組み込まれていてもよい。遠位の開口部を有し、かつ多孔性発泡体のカップを介してタンポン内に伸びる非吸収性の軸状のチューブも装置は備える。タンポン装置に連結した回収糸又はテープも備える。吸収剤の膣のタンポンは、上述のビスホスホネートのいずれも含んでもよく、個々の薬剤又は薬剤を組み合わせたものを送達するための仲介タンポンとして使用する。
【0154】
タンポン装置の別の実施態様では、遠位の多孔性発泡体のカップが頸部を包み込むリムを有する。リムは、高濃度の薬剤を有し、膣の粘膜表面へ一方向にビスホスホネートを放出するために向けられたものである。
【0155】
タンポン装置の別の実施態様では、遠位の多孔性発泡体のカップは頸部を包み込むリムを有する。リムは、頸部周囲の円蓋領域に伸びるフィンガーを有し、フィンガーの先端は、膣の粘膜へ一方向にビスホスホネートを送達する高濃度の薬剤を有する。
【0156】
タンポン装置の別の実施態様では、遠位の多孔性発泡体部分が頸部を部分的に包み込むのみであるスコップの形状である。多孔性発泡体のスコップはそれ自体を後部の円蓋に押し込むように設計されたペン先様の形状を有する。多孔性発泡体のスコップは、多孔性発泡体のスコップの長さ全体に沿って膣の壁に薬剤を送達するように設計されている。
【0157】
別の実施態様では、タンポン装置は、プラスチックフィルム、もしくはコーティングしたガーゼなどの薄く、柔軟で、非多孔性の材料、又は別の方法として、スカートのように吸収性のタンポン材料を取り囲み、膣の環境と接触した際に傘のように開くアプリケーターに覆われている。薬剤の一群は、理想的には体温で融解するワックス様の担体に懸濁されており、覆われたタンポンを包み込むか、又は例えばアプリケーターの内側もしくは外側の壁に塗布される。膣の液体と接触させるか、又はタンポンを膨潤させ、スカートを傘のように開かせ、膣の壁にきつく押し付け、薬剤を膣粘膜と接触させる一方で、薬剤がタンポンに吸収されるのを有効に防ぐ。
【0158】
タンポン装置の別の実施態様では、膣表面と接触するタンポンの遠位の繊維が、体循環へ医薬品を送達するための高濃度の医薬品を有する。
【0159】
タンポン装置の別の実施態様では、タンポン装置は打ち抜き穴を有する外側のチュービングを備え、該外側のチュービングは軸方向のチューブの周囲に同心円上にある。装置は、乾燥した状態では外側のチュービング周囲に密接している遠位の多孔性発泡体部分を有する。ブラダーが多孔性発泡体に近接して位置しており、液体の医薬品で満たされている。ブラダーは、外側のチュービングに結合している。外側の鞘がタンポンを覆っている。鞘の遠位端を介してタンポンが発達することによって、ブラダー内の液体を、穴の開いた外側のチュービングを介して多孔性発泡体内へ遠位に出すように、鞘は、ブラダーに対し遠位の環状のくびれを有する。
【0160】
タンポン装置の別の実施態様では、タンポン装置は遠位端周囲に環状の送達製剤を有する。製剤は薬剤送達のために膣内皮と接触する。非吸収性の軸方向のチューブが遠位に開き、多孔性発泡体に近接した吸収材料に膣の分泌物を導くためにタンポン中に伸びる。環状の製剤は座薬、フォーム、ペースト又はゲルであってもよい。
【0161】
本発明の実施態様は、標準の長さのタンポン装置を含むか、又は円蓋領域により近い位置又は接触する位置にタンポン装置を設置するのを容易にするために、標準のタンポンより長くてもよい。
【0162】
当然のことながら、本明細書に記載されている総ての装置が選択されたビスホスホネートを含む改善された経粘膜膣製剤を組み込んでいる。
【0163】
本発明の装置を図3〜21に図示する。
【0164】
図3は、垂直方向に子宮と膣がある女性の生殖器の断面図であり、図4は、その断面側面図である。子宮2は、発生の場(womb)4を包み込み、頸部5で頸管又は頸部の口6を介して開く筋肉器官である。膣8は、小陰唇12及び大陰唇14から頸部5に通じている筋肉の管10で定義される。膣8の壁と結合している局所の脈管構造は、子宮筋の血管系及びリンパ系に通じている(図示せず)。
【0165】
図5は、膣8内の薬剤送達システム16の配置、膣の血管系及びリンパ系によって体循環へ経粘膜的に薬剤を導入する位置を示す図3の断面図である。生理学的には、この概念は、ここで報告される動物実験において立証され、確認された。
【0166】
図6〜14を参照すると、本発明に従って、骨粗鬆症、パジェット病、及び骨及び骨格の他の病気又は癌の予防及び治療のために薬剤を送達するのに使用することができるタンポン様装置の種々の実施態様が描写されている。タンポン様装置を用いた場合、薬剤を装置に組み込むことができる方法が多数ある。例えば、薬剤を、装置上の、又はタンポンにストリップとして取り付けたゲル様の生体付着性リザーバーに組み入れることができる。別の方法として、薬剤を、タンポンの種々の位置に配置することができる。また、例えば薬剤を薬剤的に受容可能な担体に溶解させ、薬剤溶液をタンポンの繊維に吸収させることによって、薬剤をタンポンの繊維に吸収させることもできる。薬剤を、タンポンに塗布されるコーティング材料に溶解させることもできる。別の方法として、薬剤を、タンポンと関連して配置される挿入可能な座薬に組み入れることができる。
【0167】
タンポン様装置は、薬剤送達を改善するように構成することができる。例えば、タンポンを後部の円蓋及び恥骨結合の領域に合うように成形し、広がって、薬剤送達における接触の最大の表面積が得られるように構成することができる。薬剤が装置の表面上のリザーバー内にある場合、装置の形は、最も優れた予測可能な薬剤放出特性のために膣粘膜の方向に向かってリザーバーを維持することができるようなものである。
【0168】
タンポン装置を、可変の吸収プロファイルを有するように構成することもできる。例えば、タンポンの吸収部分に下りるのに対して、薬剤を組織へ強制的に拡散させるために、タンポン装置先端の薬剤領域がより近位の領域のものと異なっていてもよい。別の方法として、薬剤製剤を洗い流すのを最小限に抑えるために、最初の数センチメートルくらいの頸部周辺に非吸収性の通路があってもよい。
【0169】
タンポン装置からの薬剤放出は、タンポン装置の使用の典型的な期間、通常は1〜8時間に渡って薬剤の適切な全身の濃度が得られるように調節されるべきである。
【0170】
図6は、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第1の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。タンポン装置22は、繊維材料、例えば綿から構成される吸収性の円筒型タンポン24を備え、その遠位端26の周囲に環状の送達製剤28を有する。タンポン装置22は、タンポン装置22の遠位端26の周囲に担持される環状の送達製剤28を、環状の製剤28が接触する膣表面を介して送達するために、膣8の上部の内皮18及び後部の円蓋20に対して配置する。環状の製剤28は、適した送達成分から成る環状の座薬、フォーム、ペースト又はゲルであってもよい。
【0171】
図7は、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第2の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。本実施態様では、タンポン装置32は、頸部の口からの排出物を、排出物を吸収するための繊維、例えば綿から構成される吸収性の円筒型タンポン36へ送達するために頸部の口6に通じている非多孔性チューブ34を備える。チューブ34は、排出物が環状の薬剤送達製剤38と接触するのを防ぐ。
【0172】
図8は、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第3の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。図8において、タンポン装置42は、膨張した状態ではカップの形状である遠位の多孔性発泡体部分43を備える。多孔性発泡体部分43の中心には、多孔性発泡体部分43に近接した吸収性タンポン45に排出物を導く非多孔性チューブ44がある。多孔性発泡体は、軟質で、軽量で、生理的に不活性である発泡体材料である、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、(例えば、米国特許第4,309,997号に記載されている)又はコラーゲン(例えば、米国特許第5,201,326号に記載されているようなもの)などの他の材料であるのが好ましい。軸方向のチューブは、ゴム又はプラスチックなどの非吸収性で生理的に不活性な材料であるのが好ましく、その内側の表面上に抗凝血剤を被覆することができる。チューブ44の近位端46は、タンポン装置42を除去するための糸48が連結されているプラスチック・ループ47を有する。カップ型の多孔性発泡体部分43は、子宮2の頸部5周囲に適合し、体循環へ送達される薬剤を含有する。
【0173】
図9Aは、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第4の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。図9Aにおいて、タンポン装置52は、遠位の多孔性発泡体カップ54と近位の吸収性タンポン56を備える。多孔性発泡体カップ54は、頸部5を包み込み、高濃度の薬剤を含有するリム58を有する。多孔性発泡体カップ54のリム58の領域は、排出物の直接の流れから離れている。タンポン装置52は、タンポン装置52の除去のための糸59を備える。図9Bは、図9Aにおいて9Bとラベルした矢印によって示される方向にとった、図9Aに示す実施態様の断面図である。図9Bに図示されているように、リム58の領域は高濃度の薬剤を含有するリングを形成している。別の方法として、図10に示すように、頸部5付近のリング状先端領域59のみならず、多孔性発泡体カップ55全体が薬剤を含有していてもよい。
【0174】
図11Aは、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第5の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。図11Aにおいて、タンポン装置62は、近位の吸収性タンポン64と、液体薬剤を充填した溶解可能な座薬またはゲルカプセル67を含む遠位の部分66を備える。溶解又は液体の放出前の薬剤は、排出物がタンポン64の中心を通過できるようにする”ドーナッツ”形状を有する。タンポン装置62は、タンポン装置62の除去のためにタンポン64に取り付けた糸68を備える。図11Bは、図11Aにおいて11Bとラベルした矢印によって示される方向にとった、図11Aに示す実施態様の断面図であり、ドーナッツ型の薬剤を充填した座薬又はゲルカプセル67を図示する。
【0175】
図12は、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第6の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。図12Aにおいて、タンポン装置72は、頸部5周囲の円蓋領域20に伸びる“フィンガー”76を有するカップの形状である多孔性発泡体の遠位の部分74を備える。フィンガー76の先端は、円蓋領域に送達される高濃度の薬剤を含有する。タンポン装置72は、タンポン装置72の除去のための糸79を備える。図12Bは、多孔性発泡体カップ74の側面図であり、頸部5周囲の円蓋領域20に伸びる(図12A)フィンガー76を図示する。
【0176】
環状の形状を有する薬剤送達装置のキャラクタリゼーションが、円筒の周囲に、及び隣接した膣の壁の内皮に接触して配置された液体又は半固体の薬剤送達装置によって形成される形状のおおよその説明に過ぎず、膣内皮及び外側の頸部表面に適合する総ての形状が用語“環状”に含まれ、該用語によって示されることは当業者に自明である。また、用語“環状”の使用は、本発明を、頸部全体(すなわち360°の角度)を包み込む当該装置の使用に制限するものではない。360°に満たない角度にわたるが、膣の内皮と充分に接触して、充分な量の薬剤を送達する装置は本発明の範囲内である。
【0177】
環状の薬剤送達製剤(図6又は7)は、液体又は体熱の存在下で膨張して、タンポン22、32と膣の内皮18との間の空間を完全に満たす吸収性材料であってもよい。
【0178】
図13は、頸部全体を完全に包み込まない環状形状を有するそのような薬剤装置を図示する。図13は、スコップ型の多孔性発泡体部分85が組み込まれたタンポン装置80の第7の実施態様の設置を示す図4の断面側面図である。図14は、タンポン装置80の側面図であり、図15は、タンポン装置80の正面図である。スコップ型の多孔性発泡体部分85は、形状において環状であるが、頸部5を完全に包み込んでいない。その代わり、スコップ型の多孔性発泡体部分は、後部の円蓋20にそれ自体を押し込むように設計されているペン先形状の先端81を有する。スコップ型の多孔性発泡体部分85は、薬剤を膣の壁にスコップ型の多孔性発泡体部分85の長さ全体に沿って送達するように設計されている。
【0179】
図16は、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第8の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。図16において、タンポン装置82は、吸収性タンポン84を備える。頸部5に対して置かれているタンポン84の部分86は高濃度の薬剤を含有する。繊維が液体を吸収する際に、タンポン84は頸部5の周囲において膨張し、組織へ薬剤を送達する。繊維がこの領域においてより吸収できるようになることから、排出物はタンポン84の近位部分に引き寄せられる。タンポン装置82は、タンポン装置82の除去のための糸88を備える。
【0180】
本発明のタンポンシステムの挿入及び保存を補佐する適した円筒型のカートリッジ容器又はインサーター・チューブは、タンポン構築の分野の当業者に自明である。例として、米国特許第4,3178,447号、第3,884,233号、及び第3,902,493号に記載されているものがある。
【0181】
実際には、本明細書に記載されている薬剤送達タンポン装置を膣内に設置し、挿入したチューブを除去する。タンポン装置は膣の内壁に接触し、浸透エンハンサーと粘膜付着剤が作用して、薬剤の局所の脈管構造への吸収を促進する。この結果、より高濃度の薬剤が体循環へ送達される。
【0182】
図17は、本発明に従うタンポン薬剤送達システムの第9の実施態様を有する、頸部5に隣接した膣領域の断面図である。図17において、タンポン装置92は、乾燥し、覆われた状態では(図18)、穴あきの外側のチューブ94の周囲に密接している遠位の多孔性発泡体部分93を備える。穴あきの外側のチューブ94は、液体薬剤で満たされた近位に位置するブラダー96に連結されている(図示せず)。穴あきの外側のチューブ94内には、多孔性発泡体部分93に近接している吸収性タンポン97に流れる排出物の通路を提供する同心の内側のチューブ95がある。挿入前、タンポン装置92は、多孔性発泡体部分93とブラダー96との間の99で狭くなっている鞘98に包まれており、タンポン装置92が配置され、鞘98がブラダー96上を動く際に、薬剤101が、穴あきの外側のチューブ94を介して多孔性の発泡体部分93内へ押し出される(図19)。タンポン装置92は、タンポン装置92の除去のための糸102を備える。
【0183】
本発明に適した徐放性薬剤送達システムの別の例は膣のリングである。膣のリングは、通常、送達されるビスホスホネートを含有するエラストマーの別の層で被覆した不活性エラストマーのリングから構成される。リングは容易に挿入でき、該リングを望ましい期間留置し、その後使用者によって除去することができる。リングは、薬剤を含有しない第3の、外側の、律速エラストマー層を任意選択的に有する。任意選択的には、第3のリングは、二重の放出リングにおいて第2の薬剤を含有することができる。送達する薬剤のリザーバーとして働くシリコン・エラストマーのリングを通じてポリエチレングリコールに薬剤を組み込むことができる。
【0184】
本発明で使用することができる薬剤送達システムの他の例はペッサリー、錠剤、及び座薬である。これらのシステムは、膣薬剤及びステロイドの送達のために使用され、文献に広範囲に記載されている。
【0185】
送達システムの他の例は膣のスポンジである。文献に記載されているように、望ましいビスホスホネートを、円筒型の薬剤なしのポリウレタン膣スポンジ上に被覆されたシリコンマトリックスに入れることができる。
【0186】
別の薬剤送達システムは生体付着性錠剤である。これらの生体付着システムは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリアクリル酸を使用する。それらは、一旦適切な製剤の状態で設置してから5日間までの期間、ビスホスホネートを放出する。
【0187】
III.骨粗鬆症、パジェット病、並びに関連した骨及び骨格の病気の治療
骨粗鬆症、パジェット病、、骨及び骨格の病気の治療方法は、膣上部には、全身循環につながっている血管が充分に供給されていて、経粘膜送達を介して全身循環へビスホスホネートを優先的に送達することが可能になるという概念に基づく。これによって、経口投与によって達成することができるものよりも高濃度のビスホスホネートを循環及び骨へ送達することが可能になる。
【0188】
さらに、以下に記載する骨粗鬆症又は他の病気の治療は、ビスホスホネートに加えて、エストロゲンを含有する改善された製剤を投与することを更に含んでもよく、又は別の方法としては、膣のビスホスホネート治療と併せてエストロゲンを全身的に投与してもよい。また別の方法としては、装置が、装置から薬剤を放出するための発熱部又は電気刺激装置を備えていてもよい。
【0189】
改善された製剤を用いる本発明に従うビスホスホネートの直接送達によって、望ましくない副作用を伴うことなく、ビスホスホネートの全身の生物学的利用能を大きく増加させる。
【0190】
血液への経粘膜膣送達の概念は、2種の経粘膜膣製剤を利用してウサギのモデルにおいて確認された。ウサギは、膣内の経粘膜薬剤送達を調べるための古典的なモデルであり、ヒトへの推定が一般に利用可能である。
【0191】
実施例3に記載される薬剤アレンドロネートで概念が最も詳細に実証される。
【0192】
A.骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症の現在利用可能な再吸収抑制治療の主な効果は、骨の減少を遅らせるか、又は停止させることである。再吸収抑制治療は骨密度の増加を示すが、効果は通常は一時的なものであり、骨密度の水平状態が通常は1年で現れる。アレンドロネートによる治療を継続した場合、骨密度の安定した改善が2及び3年で起きる。
【0193】
B.閉経後の骨粗鬆症の治療
骨粗鬆症は、骨の再吸収が骨の形成を上回るような骨のターンオーバーの不均衡を特徴とする骨格の脆弱性の障害である。骨の再吸収の加速が、閉経後及び加齢に伴う骨の減少の両方を引き起こす主要な生理的攪乱である。さらに、骨のターンオーバーの増加自身が骨密度と無関係の骨折の危険因子である。エチドロネート、パミドロネート、及びアレンドロネートの最近の研究によって、骨のターンオーバーを抑制し、骨量を維持するか、又は増加させるこれらの薬剤の能力が実証された。アレンドロネートでの大規模な研究及びクロドロネートでの長期研究の両方と、エチドロネートで治療した骨折の危険性が高い患者において、骨折の発生の減少が見られた。アミノビスホスホネートでの上部の胃腸管の不耐性を除いて、これらの薬剤は非常に優れた耐容性を示す。
【0194】
ビスホスホネートは、骨量が減少した患者、特に、深刻な骨粗鬆症を有する患者の治療のためのエストロゲンの有望な代替物である。
【0195】
C.パジェット病の治療
骨パジェット病は、骨の再構築の増加、骨の肥大、及び症状を伴う患者において疼痛及び骨の変形をもたらす異常な骨格を特徴とする局部的で、単発性又は多発性の病気である。合併症は、骨折、腫瘍性の変性又は関節の変形性関節症を含む。治療の短期的目標は、骨の痛みを緩和することにあり、長期的目標は病気の進行を最小限に抑えるか、又は防ぐことである。
【0196】
アレンドロネート及びパミドロネートなどのビスホスホネートを使用し、ビスホスホネートによる治療が成功した患者において、構造において編み込まれているというよりもむしろ層状と思われる新しい骨が治療中に形成される。この組織学的な変化は、患者において、臨床的、生化学的、かつX線写真での主要な改善の徴候を伴う。新規ビスホスホネート薬剤では、病気の活動の抑制が達成可能である。
【0197】
D.乳癌からの転移
最近10年間に渡る臨床的な研究によって、乳癌及び他の悪性腫瘍に次ぐ骨の転移を有する患者の対応においてのみならず、非転移性の骨の癌疾患においてもビスホスホネートの有用な役割が確認された。この役割は、骨髄腫においても拡大している。腫瘍学における現在の臨床的な研究は、悪性腫瘍疾患の骨格の合併症及び骨の転移の発生の予防の可能性に重点を置いているが、基礎研究者らは、より効能が高い、おそらくはより治療効果が高い化合物を開発している。
【0198】
最も初期に研究されたビスホスホネートの1つ、エリドロネートは、悪性高カルシウム血症の対応において有効であることが見出され、経口的に及び断続的に使用した場合、その投与によって骨粗鬆症における骨の減少が緩和された。
【0199】
クロドロネートは、高カルシウム血症の対応において有効な薬剤であることが示されており、この目的において、単回の静脈内投与に使用することができる。クロドロネートは、一部の患者において骨の痛みを減少させ、移動度を改善するのにも有効である。経口的に使用した場合、パミドロネートと同様に、高カルシウム血症、骨折及び骨の痛みなどの乳癌の骨格の合併症を減らすことができる。クロドロネートは、経口のパミドロネートよりも胃腸管の副作用が少ない。ビスホスホネートは骨の転移の臨床的な出現を遅らせるか、又は防ぐのみならず、他の骨格の合併症も減らすという証拠が明らかになっている。
【0200】
E.ビスホスホネートによる経粘膜膣治療の一般方法
概して、本発明の方法は、改善された製剤を膣投与すること、又は骨粗鬆症の治療のために、アレンドロネート、リセドロネート、クロドネート、パミドロネート、エチドロネート、チルドロネート、ネリドロネート(neridronate)、イバンドロネート、オルパドロネート(olpadronate)、及びインカドロネートから成る群より選択されるビスホスホネートを含有する改善された製剤を、膣粘膜を介して血液循環及び骨に薬剤を経粘膜膣送達することを可能にする適した送達装置又はシステムと組み合わせて含む装置を挿入することを含む。
【0201】
本発明のシステム及び方法は、薬剤の経口投与を越えるいくつかの利益を提供する。
【0202】
第1に、改善された製剤により循環に送達される薬剤の濃度が増大する。上記の通り、このことによって、経口投与と比較した場合、経粘膜送達による薬剤の血液での生物学的利用能が高くなる。もう1つは、ビスホスホネートの吸収に対する食物の影響が全くなく、吸収における個人間の変動性を減少させる。
【0203】
第2に、胃腸系を避けることによって肝臓における代謝を減少させる。
【0204】
第3に、本発明は、長期間にわたって継続的かつ中断することなく薬剤を調達できるようにする持続的な薬物の徐放性製剤を提供する。
【0205】
第4に、非常に重要なことには、副作用、特に食道及び胃の粘膜の過敏及び炎症が減少することである。例えば、本明細書に記載されている経口投与と同様に、ビスホスホネートの経口投与で観察され、立証されている胃腸管の副作用が経粘膜投与では生じない。
【0206】
本発明の他の特徴は、以下の本発明を例示する実施態様の実施例の説明によって明らかとなるが、これらの実施態様の実施例は本発明を制限するものではない。
【0207】
(有用性)
ビスホスホネートを投与する現在の経口経路によって、活性医薬品の生物学的利用能が不十分なものとなるか、かつ/又は胃腸管毒性の受容できない副作用が生じる。食物によるその吸収の阻害によって、投薬が非常に不都合なものとなる。
【0208】
ビスホスホネートの経粘膜膣送達方法及び本明細書に記載されている改善された製剤は、膣粘膜に塗布した場合、静脈内送達したビスホスホネート量の約65〜67%を送達することができ、経口送達したビスホスホネート量の65〜67倍の量を送達することができる。また、以前に開示された経膣製剤の少なくとも2倍の効果を有する。
【0209】
(実施例1)
アレンドロネート膣座薬の製造
本実施例では、ウサギに使用する経膣座薬の製造方法について説明する。
【0210】
アレンドロネート(Reddy Cheminor,India)の投与量は、0.15mg/kg体重である。放射標識したアレンドロネート(4〜7μCi)C14を非標識化合物に添加した。
【0211】
各実験の24時間前に膣座薬を処方し、製造した。座薬製造用製剤の3つの基本成分は、脂肪親和性担体SUPPOCIRE(登録商標) AS2(Gattefosse,Westwood,NJ)(69重量%)と、METHOCEL(登録商標) K,HPMC K15MとしてDow Chemical(Midland,MI)から得られる粘膜付着剤ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(1.5重量%)と、Gattefosseから得られる浸透エンハンサーTRANSCUTOL(登録商標)(15重量%)であった。
【0212】
このウサギ研究用の10の座薬を製造するために、2760mgのSUPPOCIRE、60mgのHPMC、600mgのTRANSCUTOL、計算された用量の薬剤、及びその標識した対応物を量り分けた。SUPPOCIREを100mLの使い捨てのポリプロピレンビーカー内で融解させ、50℃の水に懸濁した。完全に融解するまで溶液を攪拌した。次に、HPMC及びTRANSCUTOLを添加し、混合した。最後に、非標識薬剤及び放射標識薬剤を温かい溶液に添加した。Fisher Scientific(Pittsburgh,PA)から市販されているTYGON(登録商標)チュービング鋳型(長さ2cm)に温かい混合物を素早く注いだ。チュービングを氷冷したガラス・スラブ上で垂直の状態に保った。座薬を使用まで冷蔵した。各実験前に座薬の重量を測定して、実際の薬剤投与量を決定し、確認した。
【0213】
これらのウサギ研究に使用するアレンドロネートの座薬の量的な組成は以下の通りである:0.6mg アレンドロン酸ナトリウム(0.16重量%)、276mg SUPPOCIRE(69重量%)、60mg TRANSCUTOL(15重量%)、6mg HPMC(1.5重量%)、及び57.4mg 水(14.3重量%)。
【0214】
(実施例2)
パミドロネート膣座薬の製造
本実施例では、ウサギに使用するパミドロネート含有経膣座薬の製造について説明する。
【0215】
14C−パミドロネートは、Amersham Life Science(Arlington Hts.,IL)から商業的に得た。非標識のパミドロネート(CN Biosciences)の用量は0.2mg/kg体重であった。
【0216】
パミドロネート座薬の製造における総ての他の工程は実施例1と同じであり、アレンドロネートをパミドロネートに置き換えた。
【0217】
他のビスホスホネートを含む座薬を、ビスホスホネートの量を変化させたこと以外は同様にして製造した。
【0218】
(実施例3)
アレンドロネートの薬物動力学研究
本実施例では、本発明の改善された製剤と、以前に記載されている経粘膜膣製剤とを比較した、ウサギにおけるアレンドロネートの経膣送達の薬物動力学研究に使用した手順について説明する。
【0219】
14C−アレンドロネートをDuPont/NEN(Boston,MA)から得た。静脈注射前に、非標識のアレンドロネート(0.15mg/kg体重、i.v.)を0.5mLの生理食塩水に溶解した。次に、標識したアレンドロネート(4〜7μCi)を静脈注射の直前にコールド化合物に添加した。
【0220】
体重が2.8〜3.5kgのメスの白色ニュージーランドウサギをMyrtle Rabbitry(Thompson Station,TN)から得た。ウサギをAALAC(承認された施設)で飼育し、各実験の少なくとも48時間前に環境に慣れさせた。
【0221】
薬剤の薬物動力学研究を、静脈、経口、及び経膣の投与形態によって行った。実験の第1シリーズの間、静脈内投与経路を利用して、100%の生物学的利用能でのアレンドロネートの薬物動力学のパラメーターを決定した。実験の第2シリーズにおいて、静脈注射の薬物動力学のパラメーターを、経口投与後及び膣投与後の対応する値とそれぞれ比較した。
【0222】
簡単に説明すると、18時間夜通し絶食させた後、各ウサギにケタミン(40mg/kg,i.m.)とキシラジン(10mg/kg,i.m.)とアトロピン(0.5mg,i.m.)を予め投薬した。経口投与に使用するウサギに挿管し、麻酔をイソフルレン(1〜3%)で維持した。バイタルサインを、パルスオキシメーターで実験の間中観測した。ウサギの体温を循環電気座布団(recirculating heating pad)で一定に維持した。静脈内へのアクセスを22ゲージのテフロン(登録商標)カテーテルを末梢の耳の静脈に設置することによって達成した。動脈内へのアクセスを22ゲージのテフロン(登録商標)カテーテルを耳の中央の動脈に設置することによって達成した。加熱ランプを用いて耳を暖めて、末梢の血流を促進した。
【0223】
ウサギを麻酔した後、標識薬剤と非標識薬剤とを含有する混合物を耳の静脈を介して10秒間〜2分間に渡って注入した。注入時間に比例して0.1、0.25、0.5、0.75、2、4、6、8、10、12及び24時間の時に血液サンプルを動脈経路を通して引き出した。血液サンプル(1mL)をEDTAを含むポリプロピレンチューブに入れた。血液を2000rpmで10分間遠心し、0.5mLの血漿をシンチレーションバイアルに入れた。
【0224】
溶解可能な組織可溶化剤(solvable tissue solubilizer)0.5mL(Packard(Meridian,CT))を血漿サンプルに添加し、サンプルを30秒間ボルテックスした。10mLのHionic-Fluorシンチレーションカクテル(Packard)を添加し、サンプルを1分間ボルテックスしてから、シンチレーションカウンターに設置した。
【0225】
経粘膜膣実験では、膣座薬を処方し、氷上で維持した。座薬をウサギの膣にプラスチックのホールピペット(Baxter(McGaw Park,IL))のバレルとツベルクリン・シリンジをプランジャーとして用いて導入して、深さ7〜8cmまで膣内に座薬をロードした。血液サンプルを座薬投与に比例して0.1、0.25、0.5、0.7、2、4、6、8、14、20及び25時間の時に採取した。
【0226】
麻酔したウサギにおけるアレンドロネートの経口投与は、2mlの薬剤の生理食塩水溶液の胃管栄養で投与した後に10mlの生理食塩水で濯ぐことによって達成した。血液サンプルを、胃管栄養による投与時間に比例して0.1、0.2、0.25、0.5、1.0、1.5、2.5、3.5、4.0、6.0、8.0、12.0、18.0及び24時間の時に採取した。
【0227】
表1、図1及び図2に示す量のアレンドロネートを経静脈的に、上記のように経膣的に、及び経口的に投与した。上記表1に示すように、経膣投与したアレンドロネートの最大血漿レベルは、経口投与後見られたものよりも少なくとも22倍大きかった。
【0228】
実施例4
経膣塗布用のアレンドロネートを含有するゲルの製造
本実施例では、ヒト患者に使用するためのゲル製剤の製造方法について説明する。
【0229】
250mLの等張生理食塩水を80℃に加熱し、7.5グラムのMETHOCEL(登録商標)及び75グラムのTRANSCUTOL(登録商標)を攪拌しつつ添加した。生じた混合物を、室温で2時間静置した。次に、120mgのアレンドロネートを10mgのTween 80と混合した。アレンドロネート/Tween 80混合物と、総量を500mLにするのに充分な量の等張生理食塩水をゲルに添加し、完全に混合した。
【0230】
ゲルを経粘膜タンポンに組み込んだ。
【0231】
実施例5
経膣塗布用のパミドロネートを含有するローションの製造
本実施例では、ヒト患者に使用するためのパミドロネートを含有するローションの製造について説明する。
【0232】
無水パミドロン酸二ナトリウム(3mg)を1mLの滅菌生理食塩水に溶解し、1mLのJERGENS(登録商標)標準無香料ローションに添加する。パミドロネートがローション内に一様に分配されるまで混合物を攪拌する。
【0233】
実施例6
経粘膜塗布用のクロドロネートを含有するゲルの製造
本実施例では、ヒト患者に使用するためのクロドロネートを含有するゲル製剤の製造について説明する。
【0234】
クロドロネート(Sigma/Aldrich(St. Louis,MO))(200mg)を以下の成分:グリセリン、鉱油、ポリカルボフィル、カルボマー 934P、硬化パーム油、グリセリド、水酸化ナトリウム、ソルビン酸、及び純水から成る1mLのゲルに添加する。
【0235】
生じた製剤を、製剤中に装置を浸すことによってタンポン様装置に組み込んだ。
【0236】
実施例7
ビスホスホネートを含有する膣座薬の製造
本実施例では、ヒトの患者に使用するためのビスホスホネートを含有する膣座薬の製造について説明する。
【0237】
指示された用量の、アレンドロネート、リセドロネート、クロドロネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、及びネリドロネート(neridronate)の各自の薬剤のヒト経粘膜投与のために膣座薬を製造する。薬剤の座薬の製造における総ての工程は放射標識化合物を全く使用せず、ヒトへの使用のための治療量の薬剤を組み込んだこと以外は実施例1と同一である。
【0238】
望ましい用量を送達するのに必要とされる膣の剤型の量は、当然、製剤中の活性成分の濃度に依存する。本発明の製剤の膣投与のための治療投薬量の範囲は患者のサイズ及び苦痛の程度によって変化する。
【0239】
実施例8
膣の薬用タンポンの製造
本実施例では、本発明の薬用装置の製造について説明する。
【0240】
膣の薬用タンポンの製造は基本的には実施例7に記載した通りである。実施例7に記載した薬剤を、ゲル、クリーム、軟膏、粉末、溶液、懸濁液、エマルジョン又は座薬として、タンポンを作る前に、又は予め作られたタンポンを溶液、懸濁液、エマルジョン、もしくは他の液体製剤に浸す前にタンポン材料に添加する。薬剤の量は、膣のタンポンによって投与された用量が、少なくとも実施例8に示したものと同じくらいであり、できる限り、用量直線的に経粘膜的に送達されることが確信されるようなものである。
【0241】
実施例9
膣の軟膏
本実施例では、膣の軟膏の製造について説明する。
【0242】
本発明に従う膣の軟膏はオイルと水相を含む。
【0243】
【表2】

【0244】
軟膏の製造において、アレンドロネート、クロドロネート、チルドロネート、パミドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート(neridronate)、リセドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ゾレドロン酸、オルパドロネート(olpadronate)より成る化合物の群から選択される薬剤を水相に溶解し、オイル相を添加する。両相をきちんと混合する。
【0245】
実施例10
膣のクリーム
本実施例では、ビスホスホネートを含有する膣のクリームの製造について説明する。
【0246】
膣のクリームは、A相成分とB相成分とを含む
【0247】
【表3】

【0248】
メチルパラベン、ホウ砂及びビスホスホネートを水に溶解する。プロピルパラベンをB相の同様に混合した混合物に溶解する。B相をA相に素早く攪拌しながら添加する。
【0249】
実施例11
膣の粉末
本実施例では、本発明の装置に組み入れるか、又はスプレーによって送達するための、ビスホスホネートを含有する膣の粉末の製造について説明する。
【0250】
膣の粉末を、加熱しつつ水にヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶解することによって製造する。混合物を少し冷却し、ビスホスホネートを添加する。混合物を凍結乾燥する。
【0251】
実施例12
膣の錠剤
本実施例では、膣の錠剤の製造について説明する。
【0252】
膣送達用錠剤を、湿式造粒法又は直接圧縮法のいずれかによって製造する。
【0253】
以下の成分を使用する:
微結晶性ヒドロキシプロピルメチルセルロース
無水ラクトース
クロスカルメロースナトリウム
ステアリン酸マグネシウム
ビスホスホネート。
【図面の簡単な説明】
【0254】
【図1】図1は、先行の製剤(5%HPMC)及び改善された製剤(1.5%HPMC)での単回投与量のアレンドロネートから成る膣座薬をメスの白色ニュージーランドウサギに膣投与した後の血漿中のアレンドロネートの濃度時間プロファイル(μg/ml)を示す図である。
【図2】図2は、先行の製剤(5%HPMC)及び改善された製剤(1.5%HPMC)を用いてアレンドロネートを経口で、静脈内へ、又は膣経粘膜で投与した後のメスの白色ニュージーランドウサギの血漿でのアレンドロネートの生物学的利用能(%)の改善を示す図である。
【図3】図3は、垂直方向での子宮と膣を含む女性の生殖器の一部の断面図である。
【図4】図4は、子宮と膣を含む女性の生殖器の一部の断面側面図である。
【図5】図5は、本発明に従う薬剤送達用の本発明の改善された製剤を組み込んだ膣の座薬の設置を示す図3の断面図である。
【図6】図6は、ビスホスホネート製剤を組み込んだタンポンの設置を示す頸部に近接した膣領域の断面側面図である。
【図7】図7は、本発明に従うビスホスホネート送達用タンポンの設置を示す図3の断面図である。
【図8】図8は、遠位の多孔性発泡体部分が組み込まれた薬剤送達用タンポンの設置を示す図3の断面図である。
【図9】図9Aは、遠位の多孔性発泡体のカップが組み込まれた薬剤送達用タンポンの設置を示す図4の断面側面図であり、図9Bは、図9Aにおいて9Bとラベルした矢印によって示される方向に取った図9Aに示す実施態様の断面図である。
【図10】図10は、改善されたビスホスホネート製剤が多孔性発泡体のカップ全体に含まれている図8Aに示す実施態様に代わる実施態様の図である。
【図11】図11Aは、改善された製剤を含有する遠位に設置された座薬又はゲルカプセルが組み込まれた薬剤送達用タンポンの設置を示す図4の断面側面図であり、図11Bは、図11Aにおいて11Bとラベルした矢印によって示される方向に取った図11Aに示す実施態様の断面図である。
【図12】図12Aは、頸部を囲む“フィンガー”を含む遠位の発泡体のカップが組み込まれた薬剤送達用タンポンの設置を示す図4の断面側面図であり、図12Bは、遠位の多孔性の発泡体のカップの側面図である。
【図13】図13は、スコップ型の遠位の多孔性発泡体部分が組み込まれたビスホスホネート送達用タンポンの設置を示す図4の断面側面図である。
【図14】図14は、図13に示す実施態様の側面図である。
【図15】図15は、図13に示す実施態様の正面図である。
【図16】図16は、改善されたビスホスホネート薬剤の製剤を含有する遠位の繊維が組み込まれた薬剤送達用タンポンの設置を示す図4の断面側面図である。
【図17】図17は、遠位の開口部を備える非吸収性チュービングが組み込まれた薬剤送達用タンポンの設置を示す図4の断面側面図である。
【図18】図18は、乾燥し、鞘に覆われた状態の図17のタンポン薬剤送達システムを示す図である。
【図19】図19は、タンポンの配置を図示する図18のタンポン薬剤送達システムを示す図である。
【符号の説明】
【0255】
2 子宮
4 発生の場(womb)
5 頸部
6 頸部の口
8 膣
10 筋肉の管
12 小陰唇
14 大陰唇
16 薬剤送達システム
18 膣上部の内皮
20 後部の円蓋
22 タンポン装置
24 円筒型タンポン
26 タンポン装置の遠位端
28 環状の製剤
32 タンポン装置
34 非多孔性チューブ
36 円筒型タンポン
38 薬剤送達製剤
42 タンポン装置
43 多孔性発泡体部分
44 非多孔性チューブ
45 タンポン
46 チューブの近位端
47 プラスチック・ループ
48 糸
52 タンポン装置
54 多孔性発泡体カップ
55 多孔性発泡体カップ
56 タンポン
58 リム
59 糸
62 タンポン装置
64 タンポン
66 遠位の部分
67 ゲルカプセル
68 糸
72 タンポン装置
74 多孔性発泡体カップ
76 フィンガー
78 タンポン
79 糸
80 タンポン装置
81 ペン先形状の先端
82 タンポン装置
83 タンポン
84 タンポン
85 多孔性発泡体部分
86 タンポンの部分
88 糸
92 タンポン装置
93 多孔性発泡体部分
94 穴あきの外側のチューブ
95 内側のチューブ
96 ブラダー
97 タンポン
98 鞘
99 多孔性発泡体部分とブラダーとの間
101 薬剤
102 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト女性患者において、骨粗鬆症及びパジェット病の治療及び予防のために、並びに転移性の骨の病気の治療のために体循環へビスホスホネートを経粘膜的に送達する方法であって、ビスホスホネートを、経粘膜膣組成物を組み込んだ膣装置から膣粘膜を介して体循環へ送達することを特徴とし、前記方法は、
a)アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート(neridronate)、リセドロネート、ゾレドロン酸、インカドロネート、ミノドロネート、及びオルパドロネート(olpadronate)から成る群より選択される約0.01〜約3200mgのビスホスホネートと、
約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、
アルギン酸塩、ペクチン及びセルロース誘導体から成る群より選択される約0.01〜約5%の粘膜付着剤と、
約5〜約25%のエトキシジグリコールと
から基本的に成り、座薬、クリーム、スプレー、ゲル、フィルム、粉末、フォーム、軟膏、マイクロカプセル、ナノカプセル、又はマイクロ粒子もしくはナノ粒子を含有するカプセルとして処方され、装置に組み込まれている経粘膜膣組成物を用意する工程と、
b)膣のタンポン、膣のリング、膣のストリップ、膣のカプセル、膣の錠剤、膣のペッサリー、膣のカップ又は膣のスポンジである前記膣装置に前記組成物を組み込む工程と、
c)前記装置を膣へ挿入することによって前記組成物を膣粘膜に送達する工程とを有する体循環へビスホスホネートを経粘膜的に送達する前記方法。
【請求項2】
前記組成物は、毎日の投与量で、約0.05〜約40mgのアレンドロネート、約1〜約3200mgのクロドロネート、約0.05〜約20mg/kgのエチドロネート、約1〜約3000mgのパミドロネート、約0.02〜約400mgのチルドロネート、約0.01〜約50mgのイバンドロネート、約0.1〜約150mgのネリドロネート(neridronate)、又は約0.05〜約30mgのリセドロネートと、約60〜約85%の飽和脂肪酸のトリグリセリドと、約0.01〜約5%の粘膜付着剤と、約5〜約20%のエトキシジグリコールとを含有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記粘膜付着剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、約1.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約69%の飽和脂肪酸のトリグリセリドと、約15%のエトキシジグリコールとから基本的に成ることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ビスホスホネートは、前記装置に組み込まれた前記組成物から徐放の様式で放出されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
体循環へビスホスホネートを経粘膜的に送達することによってヒト女性患者において骨粗鬆症、パジェット病を治療及び予防し、かつ転移性の骨の病気を治療する方法であって、経粘膜組成物から、ビスホスホネートを経粘膜へ送達し、膣粘膜を通して吸収し、膣粘膜越しで体循環に送達することを特徴とし、前記方法は、
a)アレンドロネート、クロドネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート(neridronate)、リセドロネート、ゾレドロン酸、インカドロネート、ミノドロネート、及びオルパドロネート(olpadronate)から成る群より選択される毎日の投与量が約0.001〜約3200mgのビスホスホネートと、
約40〜約95%の8〜18の炭素の長さの飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリドもしくはそれらの混合物と、
約0.01〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
約5〜約25%のエトキシジグリコールと
を含有し、座薬、クリーム、ゲル、フォーム、軟膏、カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、又はマイクロ粒子もしくはナノ粒子を含有するカプセルとして処方される経粘膜膣組成物を用意する工程と、
b)膣粘膜へ前記組成物を送達する工程とを有する、ヒト女性患者において骨粗鬆症、パジェット病を治療及び予防し、かつ転移性の骨の病気を治療する前記方法。
【請求項7】
前記組成物は、毎日の投与量で、約0.05〜約40mgのアレンドロネート、約1〜約3200mgのクロドロネート、約0.05〜約20mg/kgのエチドロネート、約1〜約3000mgのパミドロネート、約0.02〜約400mgのチルドロネート、約0.01〜約50mgのイバンドロネート、約0.1〜約150mgのネリドロネート(neridronate)、又は約0.05〜約30mgのリセドロネートと、約60〜約85%の飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドと、約0.5〜約3%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約10〜約20%のエトキシジグリコールとを含有することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースは約1.5%で存在することを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、約1.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約69%の飽和脂肪酸のトリグリセリドと、約15%のエトキシジグリコールとから基本的に成ることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、約5〜約25%の可溶化剤をさらに含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記組成物を、1日に1回、2日に1回、週に1回、月に1回又は3ヶ月に1回投与することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記組成物を、週に1回、月に1回、3ヶ月に1回、又は決められたビスホスホネートの治療投薬計画のために選択されたその他の間隔で投与することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記組成物を膣のタンポンに組み込み、前記タンポンから前記組成物を徐放の様式で放出することによって送達することを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
ビスホスホネートをヒト女性患者に膣送達するための経粘膜膣組成物であって、前記組成物は、約0.05〜約40mgのアレンドロネート、約1〜約3200mgのクロドロネート、約0.05〜約20mg/kgのエチドロネート、約1〜約3000mgのパミドロネート、約0.02〜約400mgのチルドロネート、約0.01〜約50mgのイバンドロネート、約0.01〜約150mgのネリドロネート(neridronate)、及び約0.05〜約30mgのリセドロネートを、
約0.5〜約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、約90〜約95%の飽和脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドと、約15%のエトキシジグリコールと混合して処方したものから基本的に成る前記経粘膜膣組成物。
【請求項15】
前記ビスホスホネートはアレンドロネートであって、該アレンドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約0.05mg〜約40mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項16】
前記ビスホスホネートはパミドロネートであって、該パミドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約1mg〜約3000mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項17】
前記ビスホスホネートはクロドロネートであって、該クロドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約1〜約3200mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記ビスホスホネートはエチドロネートであって、該エチドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約0.05mg〜約20mg/kgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項19】
前記ビスホスホネートはチルドロネートであって、該チルドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約0.02mg〜約400mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項20】
前記ビスホスホネートはネリドロネート(neridronate)であって、該ネリドロネート(neridronate)は、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約0.1mg〜約150mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項21】
前記ビスホスホネートはリセドロネートであって、該リセドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約0.05mg〜約30mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項22】
前記ビスホスホネートはイバンドロネートであって、該イバンドロネートは、1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとの投薬として投与するために約0.01mg〜約50mgの毎日の投与量の範囲内で処方されていることを特徴とする請求項14記載の組成物。
【請求項23】
グリセリン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、鉱油、ポリカルボフィル、カルボマー、硬化パーム油、グリセリド、水酸化ナトリウム、及びソルビン酸から成る群より選択される賦形剤をさらに含む請求項14記載の組成物。
【請求項24】
ビスホスホネートを全身循環へ経粘膜的に送達するための薬用膣内装置であって、前記装置は、膣のタンポン、膣のリング、膣のストリップ、膣のカプセル、膣のアプリケーター、膣の錠剤、膣の生体付着性錠剤、膣のペッサリー、膣のカップ又は膣のスポンジであり、前記装置には、約0.05〜約40mgのアレンドロネート、約1〜約3000mgのクロドロネート、約0.05〜約20mgのエチドロネート、約1〜約3000mgのパミドロネート、約0.02〜約400mgのチルドロネート、約0.01〜約50mgのイバンドロネート、約0.1〜約150mgのネリドロネート(neridronate)、及び約0.5〜約30mgのリセドロネートから成る群より選択されるビスホスホネートと、
約1.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
約69.5%の飽和脂肪酸のトリグリセリドと、
約15%のエトキシジグリコールとから基本的に成る経粘膜組成物が組み込まれていることを特徴とする前記薬用膣内装置。
【請求項25】
前記装置に組み込まれている前記組成物は、座薬、クリーム、ローション、ゲル、軟膏、フィルム、フォーム、カプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、又はマイクロ粒子もしくはナノ粒子を含有するカプセルとして処方されている請求項24記載の装置。
【請求項26】
ヒト女性患者における骨粗鬆症及びパジェット病の治療及び予防、又は転移性の骨の病気の治療のためにビスホスホネートを経粘膜送達するのに適した請求項25記載の装置であって、前記装置は、膣粘膜又は膣内皮と接触させ、該接触を維持するように構成されていることを特徴とする前記装置。
【請求項27】
前記装置は、少なくとも1種のビスホスホネートを含有する経粘膜組成物で満たされている膣のタンポンであることを特徴とする請求項26記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2006−515889(P2006−515889A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502821(P2006−502821)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/000902
【国際公開番号】WO2004/067063
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(503014528)ユーエムディー, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】