説明

ビスホスホネート製剤

【課題】ビスホスホネート製剤について多様な服用方法を可能にするために、分散性、安定性及び吸収性に優れたゲル剤、シロップ剤、カプセル充填用組成物の形態のビスホスホネート製剤を提供する。
【解決手段】ビスホスホネート化合物、液体担体及びゲル化剤を含有する、ビスホスホネート化合物を液体担体に分散してなるゲル剤、ビスホスホネート化合物を液体担体に分散してなるシロップ剤、及びビスホスホネート化合物を油性基剤または水性基剤に分散してなるカプセル充填用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビスホスホネート製剤に関する。
【背景技術】
【0002】

ビスホスホネート化合物は、破骨細胞性骨吸収阻害薬としての作用を有することが知られており、種々の骨吸収異常を伴う疾病の予防または治療に使用されている。
【特許文献1】特公平6−62651号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在市販されているビスホスホネート製剤は全て錠剤である。錠剤は、嚥下障害を有する患者にとっては極めて服用しにくい剤形である。嚥下障害の程度によるが、錠剤を全く嚥下できなかったり、誤嚥したり、また、食道の途中に錠剤が留まってしまう場合もある。特に、ビスホスホネート化合物は消化管粘膜刺激性が高いため、食道の途中に錠剤がとどまった場合には深刻な副作用を起こす可能性もある。
【0004】
さらに、現在市販されている錠剤の剤形のビスホスホネート製剤は、ビスホスホネート化合物の食物中の成分とのキレート形成による吸収阻害を防ぐため、また、胃粘膜への刺激による潰瘍の発生を防ぐため、朝食の30分以上前に服用し、服用後、横になることを禁じている。このような服用方法は、患者に負担であり、コンプライアンスの低下の一因となっている。
【0005】
特に、骨粗鬆症は、主に閉経後の女性に発症することが多いため、服用者には高齢者が多く、しかも長期間にわたって服用する必要がある。このため、服用しやすく、コンプライアンスを高めることのできる製剤であることが望ましい。
【0006】
従って、患者の状態に合わせた多様な服用方法を可能にするために、ビスホスホネート製剤を錠剤以外の多様な剤形で製剤化することが望まれている。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、種々の剤形の製剤を提供するために鋭意研究した結果、分散性、安定性及び吸収性に優れたゲル剤、シロップ剤、カプセル充填用組成物の形態のビスホスホネート化合物製剤を開発することに成功した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記のゲル剤に関する。
(1)ビスホスホネート化合物、液体担体及びゲル化剤を含有する、ビスホスホネート化合物を液体担体に分散してなるゲル剤。
【0008】
(2)さらに可塑剤を含有することを特徴とする(1)のゲル剤。
【0009】
(3)破断強度が、5.0×10N/m〜5.0×10N/mであることを特徴とする(1)または(2)のゲル剤。
【0010】
(4)貯蔵弾性率が周波数0.01〜10Hzの範囲において10Pa〜1.0×10Paであることを特徴とする(1)〜(3)のゲル剤。
【0011】
(5)損失弾性率が周波数0.01〜10Hzの範囲において1.0Pa〜1.0×10Paであることを特徴とする(1)〜(4)のゲル剤。
【0012】
(6)前記ビスホスホネート化合物5重量部に対し、前記ゲル化剤1〜200重量部、前記可塑剤1〜1000重量部及び精製水1〜5000重量部を含有する(2)〜(5)のゲル剤。
【0013】
(7)前記ゲル化剤が、ι−カラギーナン及び/またはκ−カラギーナンであることを特徴とする(1)〜(6)のゲル剤。
【0014】
(8)前記可塑剤がD−ソルビトールであることを特徴とする(2)〜(7)のゲル剤。
【0015】
また、本発明は下記のシロップ剤に関する。
(9)ビスホスホネート化合物を液体担体に分散してなるシロップ剤。
【0016】
本発明は、さらに、下記のカプセル充填用組成物に関する。
(10)ビスホスホネート化合物を油性基剤及び/または水性基剤に分散してなるカプセル充填用組成物。
【0017】
(11)ビスホスホネート化合物、油性基剤及び非イオン性界面活性剤を含有する(10)のカプセル充填用組成物。
【0018】
(12)さらに乳化剤を含有する(11)のカプセル充填用組成物。
【0019】
(13)前記非イオン性界面活性剤がHLB8以上の界面活性剤である(11)または(12)のカプセル充填用組成物。
【0020】
(14)前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリソルベートからなる群より選択される界面活性剤、またはそれらの2種またはそれ以上の混合物であることを特徴とする(11)〜(13)のカプセル充填用組成物。
【0021】
(15)前記非イオン性界面活性剤をビスホスホネート化合物5重量部に対して10〜200重量部、好ましくは50〜150重量部の量で含有することを特徴とする(11)〜(14)のカプセル充填用組成物。
【0022】
(16)前記油性基剤が植物油及び/または合成油である(11)〜(15)のカプセル充填用組成物。
【0023】
(17)前記油性基剤が中鎖脂肪酸トリグリセリド及び/またはプロピレングリコール脂肪酸エステルである(11)〜(15)のカプセル充填用組成物。
【0024】
(18)前記油性基剤をビスホスホネート化合物5重量部に対して10〜200重量部、好ましくは50〜150重量部の量で含有することを特徴とする(11)〜(17)のカプセル充填用組成物。
【0025】
(19)前記乳化剤がミツロウ、グリセリン脂肪酸モノエステルまたはそれらの2種またはそれ以上の混合物であることを特徴とする(12)〜(18)のカプセル充填用組成物。
【0026】
(20)前記乳化剤をビスホスホネート化合物5重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部含有することを特徴とする(12)〜(19)のカプセル充填用組成物。
【0027】
(21)前記ビスホスホネート化合物がアレンドロン酸塩であることを特徴とする(10)〜(20)のカプセル充填用組成物。
【0028】
(22)前記(10)〜(21)のカプセル充填用組成物を充填した硬カプセル剤または軟カプセル剤。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、分散性に優れたゲル剤の形態のビスホスホネート製剤が提供される。これにより嚥下障害を有する患者であってもビスホスホネート製剤を服用することが可能となる。また、本発明により分散性に優れたシロップ剤またはカプセル剤の形態のビスホスホネート製剤が提供される。これらの製剤においては、基剤にビスホスホネート化合物が良好に分散した状態で存在するため、ビスホスホネート化合物が高濃度で消化管粘膜に付着する可能性が低い。また、基剤の選択により、溶出速度を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のビスホスホネート製剤が適用される疾病は、骨吸収の異常を伴う疾病であり、例えば、骨粗鬆症、ページェット病、骨髄腫等が挙げられる。
ビスホスホネート化合物の例としては、アレンドロン酸ナトリウム、アレンドロン酸カリウム等のアレンドロン酸塩、イバンドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート等が挙げられる。
本発明のビスホスホネート製剤は、患者の症状、年齢、投与回数等によるが、ビスホスホネート化合物の量として患者の体重あたり0.0001〜100mg/kg、好ましくは0.0005〜20mg/kgの量で投与される。
投与回数は、例えば1日1〜5回、または2〜10日に1回である。
【0031】
(ゲル剤)
本発明は、ビスホスホネート化合物を基剤に分散してなるゲル剤に関する。
該基剤は、好ましくは、液体の担体及びゲル化剤を含有する。さらに好ましくは、該基剤は液体の担体、ゲル化剤及び可塑剤を含有する。また、該基剤は、さらに、増粘剤を含有していてもよい。
液体の担体は、好ましくは水である。
ゲル化剤は、例えば寒天、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン、セルロース、グルコマンナン、ゼラチン、マンナン、グルコマンナン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、修飾デンプン系高分子、デキストリン、大豆タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、卵白アルブミン、カゼイン、フィブリン、エラスチン、ケラチン、キトサン、カードラン、ジェランガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸等が挙げられる。好ましくはκ−カラギーナン、ι−カラギーナンである。
【0032】
可塑剤としては、D−ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、スクロース等が挙げられる。好ましくはD−ソルビトールである。
増粘剤としては、例えばローカストビーンガム、アラビアゴム、トラガント、デキストリン、デキストラン、アラビノガラクタン、プルラン、カルメロースナトリウム、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、コポリドン、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。
【0033】
さらに好ましくは、本発明のゲル剤は、ビスホスホネート化合物5重量部に対して、液体担体10〜5000重量部、好ましくは50〜500重量部、例えばκ−カラギーナン、ι−カラギーナンから選択されるゲル化剤1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部、例えばD−ソルビトール、グリセリンから選択される可塑剤1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部を含有する。
【0034】
本発明のゲル剤は、さらに、医薬品の添加剤として許容され得る成分を含有し得る。そのような成分としては、防腐剤(パラベン等)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等)、矯味剤(アスパルテーム等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、ビタミンE等)、香料等が挙げられる。
【0035】
本発明のゲル剤は、好ましくは破断強度が5.0×10N/m以下であり、貯蔵弾性率が周波数0.01〜10Hzの範囲において10Pa〜1.0×10Paであり、損失弾性率が周波数0.01〜10Hzの範囲において1.0Pa〜1.0×10Paである。なお、破断強度、貯蔵弾性率、損失弾性率は下記の試験例1及び試験例2に記載した方法により測定される。
【0036】
本発明のゲル剤は、例えば、ビスホスホネート化合物、ゲル化剤、可塑剤及び慣用の助剤等を混合した後、加温撹拌することにより製造される。上記の成分のうち、ビスホスホネート化合物以外の成分を予め混合し撹拌しておいてもよい。
【0037】
(シロップ剤)
本発明のシロップ剤は、ビスホスホネート化合物を液体担体に分散させることにより製造することができる。
液体担体は、好ましくは水である。
【0038】
さらに、本発明のシロップ剤は、医薬品の添加剤として許容され得る成分を含有し得る。そのような成分としては、防腐剤(パラベン等)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等)、矯味剤(アスパルテーム等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、ビタミンE等)、香料、分散剤等が挙げられる。
【0039】
例えば、本発明のシロップ剤は、精製水に、ビスホスホネート化合物及び上記医薬品の添加剤として許容される成分を添加した後、溶解するまで撹拌することにより製造される。
【0040】
(カプセル剤)
本発明は、ビスホスホネート化合物を油性または水性基剤に分散してなるカプセル充填用組成物、並びに該組成物を充填したカプセル剤に関する。
カプセル剤は硬カプセル剤でも軟カプセル剤でもよい。本発明において、軟カプセル剤には、シームレスカプセルも含まれる。
本発明のカプセル充填用組成物は、好ましくはビスホスホネート化合物、油性基剤及び非イオン性界面活性剤を含む。本発明のカプセル充填用組成物は、さらに乳化剤を含有していてもよい。
【0041】
非イオン性界面活性剤は、好ましくはHLB8以上の界面活性剤であり、例えば下記の界面活性剤が含まれる:ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、スクロースラウレート、スクロースミリスチレート、スクロースステアレート、スクロースオレート、スクロースリノレート、スクロースベヘネート等のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリルラウレート、ポリグリセリルミリスチレート、ポリグリセリルステアレート、ポリグリセリルオレート、ポリグリセリルリノレート等のポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルステアレート、ポリオキシエチレングリセリルオレート等のポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシラウリルエーテル、ポリオキシセチルエーテル、ポリオキシステアリルエーテル、ポリオキシオレイルエーテル、ポリオキシベヘニルエーテル等のポリオキシアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等。好ましくは、ポリオキシエチレンひまし油、マクロゴール、ポリソルベート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選択される界面活性剤またはその混合物である。
【0042】
乳化剤は、好ましくはミツロウ、グリセリン脂肪酸モノエステル、またはそれらの混合物である。より好ましくはミツロウとグリセリン脂肪酸モノエステルを1:2〜2:1、特に1:1の重量比で混合して用いる。
【0043】
特に好ましい本発明のカプセル充填用組成物は、アレンドロン酸塩5重量部、中鎖脂肪酸トリグリセリドまたはプロピレングリコール脂肪酸エステル1〜100重量部、ポリオキシひまし油1〜100重量部、ミツロウ1〜10重量部、グリセリン脂肪酸モノエステル1〜10重量部を含有する。
この場合、使用する成分及びその量を変化させることにより、胃中でのビスホスホネート化合物の溶出速度を調節することができる。
【0044】
水性基剤は、好ましくはマクロゴール、プロピレングリコール、精製水を含有する。例えば、本発明の水性カプセル充填用組成物は、ビスホスホネート化合物5重量部に対して、マクロゴール400を160〜190重量部、プロピレングリコールを5〜10重量部、精製水を5〜15重量部含有する。
【0045】

さらに、本発明のカプセル充填用組成物は、医薬品の添加剤として許容され得る成分を含有し得る。そのような成分としては、安定化剤、保水剤、分散剤、防腐剤(パラベン等)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等)、矯味剤(アスパルテーム等)、酸化防止剤(アスコルビン酸、ビタミンE等)、香料、ビタミン類が挙げられる。
【0046】
例えば、本発明のカプセル充填用組成物は、各成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で撹拌し、15〜25℃に攪拌冷却することにより製造される。
【実施例】
【0047】
実施例1〜5:ゲル剤の製造
下記の表1に示す組成の成分を混合し、溶解するまで加温撹拌し、ゲル剤を製造した。アレンドロン酸ナトリウムは基剤に溶解した。
【0048】

【表1】

【0049】
試験例1:破断強度
実施例1〜5のゲル剤を直径40mmの容器に高さ15mmに充填し、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置を用いて、直径20mmプランジャーを用い、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで測定した。測定は20℃±2℃で行った。
結果を下記の表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
表2より明らかなように、実施例1〜5のゲル剤は、いずれも高齢者用食品のゲルの条件に適合する物性値を示した。
【0052】
試験例2:動的粘弾性試験
直径25mmパラレルプレートを用いて10%変形時の試料の周波数依存性を測定した。測定は35℃±1℃で行った。貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の結果を図1〜5のグラフに示す。
グラフより明らかなように、実施例1〜5のゲル剤は、いずれもゲル剤として適切な物性値を示した。
【0053】
実施例6:シロップ剤の製造
アレンドロ酸ナトリウム5重量部、精製水750重量部、クエン酸0.5重量部、クエン酸ナトリウム0.3重量部、アスパルテーム1重量部、エチルパラベン0.01重量部、D−ソルビトール10重量部を混合し、溶解するまで撹拌し、シロップ剤を製造した。
【0054】
実施例7:カプセル充填用組成物の製造
下記の表3に示す組成の成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で攪拌し、15〜25℃の温度で攪拌冷却することによりカプセル充填用組成物を製造した。
【0055】
【表3】

【0056】
アレンドロン酸ナトリウムは、基剤に微細に且つ均一に分散した。
【0057】
実施例8:カプセル充填用組成物の製造
下記の表4に示す組成の成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で撹拌し、15〜25℃に攪拌冷却することによりカプセル充填用組成物を製造した。
【0058】
【表4】

【0059】
アレンドロン酸ナトリウムは、基剤に微細に且つ均一に分散した。
【0060】
実施例9:カプセル充填用組成物の製造
下記の表5に示す組成の成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で撹拌し、15〜25℃に攪拌冷却することによりカプセル充填用組成物を製造した。
【0061】
【表5】

【0062】
アレンドロン酸ナトリウムは、基剤に微細に且つ均一に分散した。
【0063】
実施例10:カプセル充填用組成物の製造
下記の表6に示す組成の成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で撹拌し、15〜25℃に攪拌冷却することによりカプセル充填用組成物を製造した。
【0064】
【表6】

【0065】
アレンドロン酸ナトリウムは、基剤に微細に且つ均一に分散した。
【0066】
実施例11:カプセル充填用組成物の製造
下記の表7に示す組成の成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で撹拌し、15〜25℃に攪拌冷却することによりカプセル充填用組成物を製造した。
【0067】
【表7】

【0068】
アレンドロン酸ナトリウムは、基剤に微細に且つ均一に分散した。
【0069】
実施例12:カプセル充填用組成物の製造
下記の表8に示す組成の成分を混合し、1000〜3000rpmのホモジナイザーで15〜120分間、60〜80℃の温度で撹拌し、15〜25℃に冷却することによりカプセル充填用組成物を製造した。
【0070】
【表8】

【0071】
アレンドロン酸ナトリウムは、基剤に微細に且つ均一に分散した。
【0072】
試験例3:
実施例7〜11のカプセル充填用組成物について、6ベッセルにつき溶出試験を実施した。結果を図6のグラフに示す。
グラフに示されるように、本発明のカプセル充填用組成物は、多様な溶出プロファイルを示した。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1のゲル剤の貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の結果を示すグラフである。
【図2】実施例2のゲル剤の貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の結果を示すグラフである。
【図3】実施例3のゲル剤の貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の結果を示すグラフである。
【図4】実施例4のゲル剤の貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の結果を示すグラフである。
【図5】実施例5のゲル剤の貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の結果を示すグラフである。
【図6】実施例7〜11のカプセル充填用組成物の溶出試験の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスホスホネート化合物、液体担体及びゲル化剤を含有する、ビスホスホネート化合物を液体担体に分散してなるゲル剤。
【請求項2】
さらに可塑剤を含有することを特徴とする請求項1記載のゲル剤。
【請求項3】
破断強度が、5.0×10N/m〜5.0×10N/mであることを特徴とする請求項1または2記載のゲル製剤。
【請求項4】
貯蔵弾性率が周波数0.01〜10Hzの範囲において10Pa〜1.0×10Paであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル剤。
【請求項5】
損失弾性率が周波数0.01〜10Hzの範囲において1.0Pa〜1.0×10Paであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲル剤。
【請求項6】
前記ビスホスホネート化合物5重量部に対し、前記ゲル化剤1〜200重量部、前記可塑剤1〜1000重量部及び精製水1〜5000重量部を含有する請求項2〜5のいずれか1項に記載のゲル剤。
【請求項7】
前記ゲル化剤が、ι−カラギーナン及び/またはκ−カラギーナンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のゲル剤。
【請求項8】
前記可塑剤がD−ソルビトールであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のゲル剤。
【請求項9】
ビスホスホネート化合物を液体担体に分散してなるシロップ剤。
【請求項10】
ビスホスホネート化合物を油性基剤及び/または水性基剤に分散してなるカプセル充填用組成物。
【請求項11】
ビスホスホネート化合物、油性基剤及び非イオン性界面活性剤を含有する請求項10記載のカプセル充填用組成物。
【請求項12】
さらに乳化剤を含有する請求項11記載のカプセル充填用組成物。
【請求項13】
前記非イオン性界面活性剤がHLB8以上の界面活性剤である請求項11または12記載のカプセル充填用組成物。
【請求項14】
前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリソルベートからなる群より選択される界面活性剤、またはそれらの2種またはそれ以上の混合物であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項15】
前記非イオン性界面活性剤をビスホスホネート化合物5重量部に対して10〜200重量部の量で含有することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項16】
前記油性基剤が植物油及び/または合成油である請求項11〜15のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項17】
前記油性基剤が中鎖脂肪酸トリグリセリド及び/またはプロピレングリコール脂肪酸エステルである請求項11〜15のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項18】
前記油性基剤をビスホスホネート化合物5重量部に対して10〜200重量部の量で含有することを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項19】
前記乳化剤がミツロウ、グリセリン脂肪酸モノエステルまたはそれらの2種またはそれ以上の混合物であることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項20】
前記乳化剤をビスホスホネート化合物5重量部に対して1〜30重量部含有することを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項21】
前記ビスホスホネート化合物がアレンドロン酸塩であることを特徴とする請求項10〜20のいずれか1項に記載のカプセル充填用組成物。
【請求項22】
請求項10〜21のカプセル充填用組成物を充填した硬カプセル剤または軟カプセル剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−7262(P2009−7262A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168279(P2007−168279)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000222200)東洋カプセル株式会社 (14)
【Fターム(参考)】