説明

ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからのイソシアヌラート組成物および第三級アミン触媒を含むポリウレタンコーティング組成物

【課題】短時間の硬化で良好な硬度、および耐水性の塗膜を生成し、かつ良好なポットライフを有し、また、有機スズ触媒を含まず、低いVOC含量しか必要としないコーティング組成物を可能にする2コンポーネントポリウレタン組成物を提供する。
【解決手段】一方のコンポーネントとしてビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから製造された1種以上のイソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物、第2のコンポーネントとして1種以上の高固形分ポリオール、並びにいずれかのコンポーネントに1種以上の第三級アミン触媒を含む、高固形分2コンポーネントポリウレタン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方のコンポーネントとして1種以上のイソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物を、および第2のコンポーネントとして1種以上のポリオールを含み、これらコンポーネントの一方が第三級アミン触媒を含む、2コンポーネントポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
周囲温度もしくはわずかに高い温度で硬化されるときに、コーティング後短時間で高い膜硬度および耐水性を提供すると共に、最低限のポットライフ低下の、低揮発性有機化合物(VOC)含有量ポリウレタンコーティングについての必要性が依然としてある。
【0003】
当初の硬度および耐水性を向上させるために使用されるある試みは、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)からの1種以上のイソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物のような従来のポリイソシアナート架橋剤の一部分が、イソホロンジイソシアナート(IPDI)からの1種以上のイソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物のような相対的に硬いかもしくは剛性の材料で置き換えることを伴う。しかし、IPDIから製造されるかもしくはIPDIを含むポリイソシアナートは、HDIから製造されるかもしくはHDIを含むものよりもかなり遅い硬化速度を有する。その結果、これらコーティングは、比較的短い時間で充分な硬度および耐水性を達成するために、有意に高いベーキング温度および/または高濃度の従来の有機スズ触媒、例えば、ジブチルスズジラウラート(DBTDL)に頼らなくてはならない。さらに、高いベーキング温度は屋外(野外)用途では可能ではなく、かつ屋内(店舗もしくは工場)用途に望ましくない。他方では、高いスズ触媒濃度は低減されたポットライフを生じさせ、かつ廃棄安全性問題および潜在的に高い水毒性をもたらす。
【0004】
近年、Huynh−Baへの米国特許第6,780,908B1号は、例えば、IPDIからのイソシアヌラートおよびアクリルポリオールとポリヒドロキシル第三級アミンとのブレンドを含むポリイソシアナートコーティング組成物を開示した。この組成物は塗膜の製造において素早い硬化をもたらす。しかし、Huynh−Baにおけるこの組成物はポットライフの有意義な延長を提供しない。さらに、この組成物は有機スズ触媒を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許米国特許第6,780,908B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、短い硬化時間の後で良好な硬度および耐水性の塗膜を提供し、ポットライフの最小限の低減しか伴わず、一方で、有機スズ触媒を実質的に含まず、かつ既知の組成物よりも低いVOC含量しか必要としないコーティング組成物を同時に可能にする、2コンポーネントポリウレタン組成物を提供することの問題を解決する努力をしてきた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従って、2コンポーネントポリウレタンコーティング組成物は、有機スズ触媒を実質的に含まず、かつ一方のコンポーネントとして、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから製造された、好ましくは、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの混合物から製造された1種以上のイソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物、別個のコンポーネントとして、2以上の第一級ヒドロキシル基を有する1種以上の高固形分ポリオール、好ましくはアクリルポリオールもしくはポリエステルポリオール、並びにいずれかまたは双方のコンポーネント中に1種以上の第三級アミン触媒、好ましくはトリエチレンジアミン(TEDA)を含む。この組成物は、ポットライフを延長させるために、1種以上の亜鉛アミン化合物、例えば、アミジン塩をさらに含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高固形分のポリオールはより低いVOC含量を向上させる。ポリオールの好適な固形分量はポリオールおよび溶媒の全重量を基準にして、60〜100重量%、好ましくは70重量%以上の範囲であり得る。よって、本発明の組成物は479.4g/L以下、好ましくは359.5g/L以下、もしくはより好ましくは300g/L以下の低減された揮発性有機化合物(VOC)含量を有することができる。
【0009】
本発明において使用するのに好適な第三級アミン触媒には、例えば、モノ−、ジ−もしくはトリ−アミンおよびその混合物である、脂肪族および環式脂肪族第三級アミン触媒が挙げられうる。この第三級アミン触媒はトリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセ−7−エン化合物、例えば、6−(ジブチルアミノ)−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンおよび他の第三級アミン化合物から選択されうる。この触媒の量は、トリエチレンジアミンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセ−7−エン化合物については、ポリイソシアナートおよびポリオール固形分の合計を基準にして、0.1〜1重量%、好ましくは0.2重量%以上、もしくは好ましくは0.6重量%以下でありうる。他の第三級アミン化合物については、この量はポリイソシアナートおよびポリオール固形分の合計を基準にして0.2〜4.0重量%、好ましくは1.5重量%以下の範囲であり得る。1種より多い触媒が使用される場合には、この混合物の量はポリイソシアナートおよびポリオールの合計を基準にして0.1重量%以上で、各アミン触媒について上述された上限(この限界は全てのケースについて独立して当てはまる)の範囲であり得る。
【0010】
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌラートのポリイソシアナート組成物は、場合によっては、ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの構造異性体の混合物、例えば、シスおよび/またはトランス1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、並びにシスおよび/またはトランス1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの混合物から形成されうる。
【0011】
ポリイソシアナートを有するコンポーネントにおいては、組成物は、脂肪族ジイソシアナート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)からの1種以上のイソシアヌラートを有する1種以上のポリイソシアナート組成物をさらに含むことができる。ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌラートの1種以上の組成物:脂肪族ジイソシアナートのイソシアヌラートの1種以上の組成物の重量比は10:90〜100:0.0、または25:75〜75:25、または好ましくは40以上:60の範囲であり得る。
【0012】
さらに、本発明は2コンポーネントポリウレタンコーティング組成物を含むコーティング組成物を提供する。この組成物は着色されうるかまたはクリアコート組成物であり得る。
【0013】
別の実施形態においては、本発明はコーティング組成物から製造された塗膜、並びにこの塗膜を有するコーティングされた基体を提供する。コーティングされた基体は、自動車用基体、構造基体、機械部品および重質量部品のようなプラスチック、金属および木材物品から選択されうる。ある実施形態においては、塗膜は、トップコートとして本発明のポリウレタン塗膜、ベースコート、例えば、ポリエステルもしくはアクリル塗膜、例えば、着色コート、並びに、場合によってプライマーコート、例えば、エポキシを含む多層塗膜である。
【0014】
全ての範囲は包括的でありかつ組み合わせ可能である。例えば、0.1〜1重量%、好ましくは0.2重量%以上、もしくは好ましくは0.6重量%以下の重量パーセンテージは、0.1〜0.2重量%、0.1〜0.6重量%、0.2〜0.6重量%、0.2〜1.0重量%、または0.1〜1.0重量%の範囲を包含する。
【0015】
他に示されない限りは、挿入語句を含む何らかの用語は、二者択一的に、括弧が存在しなかったとしてその用語全体、および挿入語句を含まない用語(すなわち、括弧書き内の事項を除く)、並びに二者択一事項のそれぞれの組み合わせをいう。よって、用語「(メタ)アクリル」とはアクリル、メタクリルおよびこれらの混合物のいずれかをいう。
【0016】
他に特定されない限りは、全ての温度単位は室温(〜20−22℃)をいい、全ての圧力単位は標準圧力をいう。
【0017】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、用語「ガラス転移温度」もしくは「Tg」とは、10℃/分の割合で加熱しつつ−90℃〜150℃を走査する示差走査熱量測定(DSC)によって決定される材料のガラス転移温度をいう。Tgは加熱フロー対温度の曲線の変曲点、またはその微分係数のプロットにおける最大値である。
【0018】
本明細書において使用される場合、アクリルポリオールの場合における用語「ヒドロキシル当量(equivalent weight)」はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリオールの数平均分子量(Mn)を得て、そしてこのコポリマーを製造するのに使用されたモノマーの全重量を基準にして、このポリオールを製造するのに使用されたヒドロキシル官能性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの重量分率を掛けて、数平均ヒドロキシル重量分率を得て;次いで、得られた数平均ヒドロキシル重量分率を、1つのヒドロキシル基を含むこのヒドロキシル官能性モノマーの質量で割ることにより計算される。
【0019】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、アクリルポリオール以外のポリオールの「ヒドロキシル当量」の用語は、そのポリオールが無水フタル酸と反応させられて滴定のための1以上のカルボキシル基を形成し、滴定剤としてメタノール中のフェノールフタレイン指示薬を用いるASTM D4274(2005)に従った滴定によって決定される重量をいう。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「ヒドロキシル官能価」とは分子あたり(ポリマー鎖あたり)のヒドロキシの平均数をいい、ポリオールの数平均分子量をそのヒドロキシル当量で割ったものである。
【0021】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、ポリオールの用語「Mn」もしくは「数平均分子量」はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定される。
【0022】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、用語「ポリイソシアナート」とは、2以上のイソシアナート基を有するイソシアナート官能性分子をいう。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語「有機スズ触媒を実質的に含まない」とは、ある組成物が全固形分を基準にして、100万あたり10部(10ppm)未満、または好ましくは1ppm未満しか含まないことを意味する。
【0024】
本明細書において使用される場合、他に示されない限りは、用語「トリマー」とは、1以上のイソシアヌラート、すなわちトリイソシアヌラート、環構造を含む分子をいい、用語「トリマー」は「イソシアヌラート」と同義語である。本発明の目的のために、1つのイソシアヌラート環構造を含むポリイソシアナートは、本明細書においては、「IR1」と称される。2つのイソシアヌラート環構造を含む分子は、本明細書においては、「IR2」と称される。概して、他に特定されない限りは、ポリイソシアナートから製造された2以上のイソシアヌラート環を含む本発明の化合物は「オリゴマー系トリマー」と称される。
【0025】
本発明者は、一方のコンポーネントとしてビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの1種以上のイソシアヌラートのポリイソシアナート組成物、第2のコンポーネントとしてポリオール、並びにいずれかもしくは双方のコンポーネント中に第三級アミン触媒を有する2コンポーネントポリウレタンコーティング組成物は、硬度発現、早期耐水もしくは耐雨性およびポットライフの向上したバランスを有する塗膜を提供する一方で、同時に低VOCコーティング組成物を提供する。さらに、第三級アミン触媒と組み合わせて亜鉛アミン触媒を使用することにより、硬度もしくは耐水性をさらに犠牲にすることなくポットライフは延長されうる。
【0026】
本発明の組成物は周囲温度で、もしくは周囲未満(−5℃)〜150℃の温度範囲で、好ましくは周囲温度〜80℃で硬化されうる。熱感受性プラスチックは120℃以下でコーティングされ、その塗膜が硬化されうるように、硬化温度は基体に応じて変えられうる。さらに、橋、重機械および重質量部品のコーティングおよびメンテナンスコーティングのような場に適用されるコーティングは周囲温度で硬化されうる。硬化時間は概して、高温で30分間から10〜50℃で1〜14日間の範囲であり。この組成物はクリアコート、例えば、自動車コーティング用途のためのおよび重質量部品もしくは基体のための周囲硬化コーティングのためのトップコートの製造に特に有用である。
【0027】
本明細書において開示されたポリイソシアナート組成物は、概して、イソシアヌラート基含有ポリイソシアナート、並びに他のポリイソシアナート、例えば、ダイマーおよびビウレット、並びにイソシアヌラート自体、並びにこれらのいずれかもしくは全てのダイマーおよびオリゴマーを含む。本明細書において使用される場合、用語、「イソシアヌラートのポリイソシアナート組成物」および「トリマー組成物」は同義語である。
【0028】
幾種類かの異なるトリマーを含みうるポリイソシアナート:ポリオールの好適なモル比は既知の割合、例えば、0.7:1.0〜1.4:1.0、または0.8以上:1.0、および1.2以下:1.0の範囲であり得る。
【0029】
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌラートのポリイソシアナート組成物は、0.1〜99.9重量%の1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと0.1〜99.9重量%の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの混合物、または5重量%以上の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、もしくは好ましくは、30〜80重量%の、もしくはより好ましくは、40重量%以上、および70重量%以下の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むこの混合物から製造されうる。一般的には、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから製造されるポリイソシアナートイソシアヌラート組成物はより硬く、より低い可撓性の塗膜を提供し、一方で、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いて製造されたイソシアヌラート組成物は、それから製造された塗膜に可撓性を付与する。
【0030】
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌラートのポリイソシアナート組成物は当該技術分野で知られている方法によって、例えば、(i)1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、または(ii)シス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびトランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選択される2種以上のイソシアナートの異性体混合物を、1種以上のトリマー化触媒、例えば、第三級アミンもしくはホスフィンまたは不均一触媒の存在下で、並びに、所望の場合には、溶媒および/または添加剤、例えば、補助触媒の存在下で、適切に高温で、所望のNCO含量が達成されるまでトリマー化し、次いで無機および有機酸、対応する酸ハロゲン化物およびアルキル化剤を使用して触媒を不活性化し、並びに好ましくは加熱することによる、ダウシン(Daussin)らへの米国特許出願公開第2006/0155095A1号に開示されるように製造されうる。脂肪族ジイソシアナートからのイソシアヌラートを含むポリイソシアナートイソシアヌラート組成物は同様に、1種以上のトリマー化触媒の存在下で脂肪族ジイソシアナートを環化し、次いで触媒を不活性化することにより形成されうる。どのイソシアヌラートも、ウレタン、尿素、ビウレット、アロファナート、イミノ−s−トリアジン、ウレトンイミン、もしくはカルボジイミド部分を含むようにさらに修飾されうる。
【0031】
好適なビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン原料は既知の方法で、例えば、ブタジエンとアクリロニトリルとのディールスアルダー(Diels−Alder)反応、その後のヒドロホルミル化、次いで還元的アミノ化して、アミンである、シス−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トランス−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シス−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、およびトランス−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを形成し、次いで環式脂肪族ジイソシアナート混合物を形成するためのホスゲンとの反応から製造されうる。ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの製造は、例えば、アルジロポーラス(Argyropoulos)らへの米国特許第6,252,121号に記載される。
【0032】
2種以上のビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、またはこれらの1種以上と1種以上の脂肪族ジイソシアナートは、トリマー化工程の前に混合されうるか、または個々のジイソシアナートのトリマー含有ポリイソシアナート混合物が形成され、次いで一緒にブレンドされうる。例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの1,3−および1,4−異性体のトリマー含有混合物は個別に製造されることができ、そして生成物が混合されうるか、またはその1種以上の1,3−異性体および1種以上の1,4−異性体のそれぞれが、トリマー化工程の前に、一緒に存在することができる。同様の方法において、脂肪族ジイソシアナートを含むポリイソシアナートイソシアヌラート組成物は、トリマー化の前にこれらのジイソシアナートを存在させることにより、または個別に製造されそして、1種以上のビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン異性体から製造されたポリイソシアナートイソシアヌラート組成物とブレンドされることにより製造されうる。
【0033】
本発明のポリイソシアナートコンポーネントの少量で使用されるべきこのようなジイソシアナートのイソシアヌラート組成物を製造するのに好適な脂肪族ジイソシアナート組成物には、例えばC2−C8アルキレンジイソシアナート、例えば、テトラメチレンジイソシアナートおよびヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)が挙げられうる。
【0034】
概して、未反応モノマー含量がモノマー原料の全重量を基準にして80重量%以下、好ましくは70重量%以下、または65重量%以下、例えば、20〜40重量%となるまでトリマー化反応が行われる。好ましくは、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアヌラートの組成物は組成物全体の重量を基準にして、30重量%以下、より好ましくは40重量%以下、最も好ましくは50重量%以下のIR1内容物を含む。
【0035】
本発明のポリイソシアナートイソシアヌラート組成物の製造は、好ましくは、有機溶媒の非存在下で行われる。
【0036】
別の形態においては、本発明におけるイソシアヌラートのポリイソシアナート組成物は、例えば、ダウシン(Daussin)らへの米国特許出願公開第2006/0155095A1号に開示されるように、イソシアナートに対して反応性の1種以上の基、例えば、ヒドロキシル、第一級アミン、もしくは第二級アミン基を含む化合物の添加によって修飾されうる。この修飾されたポリイソシアナート組成物は、1種以上のビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または脂肪族ジイソシアナートと、1種以上のモノオール(monol)、例えば、C1〜C8モノオールもしくはアルキルオキシポリアルキレングリコール、ジオール、ジアミン、モノアミンもしくはアミノアルコールと、トリマー化触媒をその場で(in situ)反応させて、アルカン、ポリアルキレンオキシド、ポリエステルもしくはポリテトラメチレンオキシド修飾ポリイソシアナート組成物を生じさせることを含むことができる。ポリイソシアナート組成物がモノオールもしくはイソシアナートと反応性の1つの基を含む他の化合物によって修飾される場合には、部分的もしくは完全にブロックされたイソシアナートもしくはイソシアヌラートが形成され、そしてこれらは加熱して脱ブロックすることにより活性化されうる。典型的なブロッキング基はカプロラクタム、メチルエチルケトンのオキシム、フェノールおよびフェノール系化合物、イミダゾールおよびピラゾールである。
【0037】
修飾されたトリマーは、当業者に知られている様々な手順によってさらに修飾されうる。この修飾の1つはアロファナートもしくはビウレット結合を組み込むことであり、これは最終生成物の分子量をさらに増大させる。アロファナートもしくはビウレット延長トリマーは、例えば、ダウシン(Daussin)らへの米国特許出願公開第2006/0155095A1号に開示されるように、修飾されたトリマーを攪拌下で高温に加熱することにより製造されうる。所望の場合には、アロファナートもしくはビウレット形成を促進する触媒が添加されてもよい。
【0038】
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または脂肪族ジイソシアナートと、モノオール、ジオール、ジアミン、もしくはモノアミンとの反応により形成されるポリイソシアナートプレポリマー組成物は、さらなるイソシアナートの反応によって修飾されることができ、アロファナートもしくはビウレット修飾プレポリマーを形成することができ、次いで、このプレポリマーはトリマー化触媒と混合されることができ、アロファナートもしくはビウレット修飾ポリイソシアナートイソシアヌラート組成物を生じさせることができる。このアロファナートもしくはビウレットプレポリマーの製造と、その後のトリマー化は当該技術分野において知られており、例えば、米国特許第5,663,272号および第6,028,158号を参照。
【0039】
イソシアヌラートと水との反応により2つのイソシアヌラート環尿素が形成されることができ、得られた尿素は残っているイソシアナートとの反応を介して変換されてビウレットを形成することができる。
【0040】
本発明に従って、好適なポリオールはアクリルポリオールおよびポリエステルポリオールを含むことができる。この好適なポリオールには、例えば、ヒドロキシル官能性アクリル付加ポリマー、ポリエステルポリオール、カプロラクトンからのポリエステルポリオール、ポリエステル/ポリエーテルハイブリッドポリオール;並びにポリエステルアミドポリオールが挙げられうる。
【0041】
より良好な反応性およびより速い硬化を可能にするために、本発明に従うポリオールのヒドロキシル官能価は2.5〜5.0、もしくは4.5以下、もしくは好ましくは2.9以上、もしくは好ましくは3.0以上、もしくは好ましくは4.0以下の範囲であり得る。このポリオールのヒドロキシル官能価は低い粘度を確実にするのに充分低くあるべきであり、それにより本発明の組成物のVOCを低下させることを可能にし、同時にこの組成物から形成される塗膜および製品が適切な耐溶媒性および他の特性、例えば、良好な硬度を有することを確実にするのに充分高くあるべきである。
【0042】
好適なアクリルポリオールには、有機溶媒中のアクリルポリオール、例えば、従来の手段、例えば、フリーラジカル開始剤、例えば、過酸もしくはその塩の存在下でのそれぞれの有機溶媒溶液重合などによって形成されるもの、または水性重合およびその後の有機溶媒への溶解によって形成されるものが挙げられうる。このポリオールにおいては、ヒドロキシル官能性はヒドロキシル官能性ビニルもしくはアクリルモノマー、例えば、ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)もしくはアリルアルコールによって提供されうる。
【0043】
好適なアクリルポリオールは−20℃以上、もしくは0℃以上、もしくは好ましくは10℃以上、もしくは30℃以下、もしくは70℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することができる。アクリルポリオールのTgが高すぎる場合には、好適な組成物は、作業性のために過剰な溶媒を必要とする。
【0044】
他の好適なポリオールは、0℃以上のガラス転移温度(Tg)および2.5〜5.0のヒドロキシ官能価を有する芳香族基含有ポリエステル、ポリエステルアミドもしくはポリカルボナートであることができる。このポリオールは、少なくとも幾分かの芳香族反応物質、例えば、テレフタル酸を使用して、二酸および過剰のジオールのバルク重合を介する従来の方法で形成されうる。
【0045】
さらに他の有用なポリエステルポリオールは0℃以下のTgおよび2.5〜5.0のヒドロキシル官能価を有するものを含む。このポリオールは従来の手段によって、例えば、ポリエステル(アミド)を、例えば、二酸もしくは二官能性酸無水物、もしくはこれらの塩と、ヒドロキシル含有反応物質、ポリ(チオ)エーテル、ポリアセタール、ポリカルボナート、もしくはポリアセトンとから形成するバルク重合によって、またはオリゴマー系もしくはポリマー系ポリオールもしくはポリエーテル、例えば、ポリオキシアルキレン、もしくは反応性水素含有ポリオールオリゴマーを、カルボキシル、ラクトン、エステルアミドもしくはカルボナート含有反応物質の存在下で反応させることにより製造されうる。
【0046】
そのガラス転移温度に関係なく、2.5〜5.0のヒドロキシル官能価を有する好適なポリエステルポリオールは、当該技術分野において知られている方法によって、例えば、ポリオールを製造するために使用される全ての反応物質の重量を基準にして少量、例えば、0.1〜4.0重量%のトリオール、もしくはより高次のヒドロキシル官能性反応物質、例えば、グリセロールもしくはトリメチロールプロパンの存在下での重合もしくは反応、例えば、エンドキャッピングによって形成されることができ;または中間体化合物がアミン、ヒドロキシルもしくはチオール官能性である場合には、少量のトリ−もしくはより高次の酸官能性カルボン酸、例えば、クエン酸の存在下で、分岐ポリマーを形成し、次いで、この分岐ポリマーが、例えば、過剰のジオールと反応させられて、ヒドロキシル官能性末端基を確実にする反応によって形成されうる。
【0047】
本発明に従うポリエステルポリオールの別の形態においては、ポリエステルポリオールは、油ベースのポリオール、例えば、非反応性の疎水性ペンダント基、例えば、4〜36個の炭素、好ましくは6個以上の炭素のアルキル基を有する種子油ベースのポリオールでありうる。この油ベースの軟質ポリオールは、2.5以上のヒドロキシル官能価を有することができ、天然もしくは合成の動物および/または植物油、脂肪脂肪酸もしくは脂肪グリセリド、例えば、ダイズおよびヒマシ油から当該技術分野において既知の方法によって製造されうる。この方法は、例えば、国際公開第2004/096882号および第2004/096883号に開示されている。好ましいのは、トリグリセリド中に少なくとも約70パーセントの不飽和脂肪酸を有する植物(種子)油、例えば、ダイズ、キャノーラもしくはヒマワリ油である。このような油ベースのポリオールを製造するために、いくつかの化学的方法、例えば、これに限定されないが、エポキシ化、ヒドロキシル化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化、もしくはアルコキシル化による修飾などが使用されうる。このような修飾は当該技術分野において一般的に知られている。例えば、このような方法のあるものは脂肪酸もしくは脂肪グリセリドを好適なアルコール、例えば、メタノールでエステル交換して、脂肪酸アルキルエステルを形成し、次いで、構成脂肪酸エステルにおける炭素−炭素二重結合の還元的ヒドロホルミル化を行って、ヒドロキシメチル基を形成し、次いでこのヒドロキシメチル化脂肪酸エステルを、ポリオール、例えば、ジオールもしくはトリオール、またはポリアミンである開始剤化合物と反応させることにより、ポリエステルポリオールまたはポリエーテル/ポリエステルを形成する。このプロセスにおいては、ポリオール分子量はモノマーとグリコール開始剤との縮合、およびヒドロホルミル化脂肪酸エステルの自己縮合のいずれによっても増大する。ヒドロホルミル化脂肪酸エステルの平均官能価およびグリコール開始剤に対するその比率を制御することにより、ポリオール分子量および平均官能価の双方は体系的に制御されうる。
【0048】
好適な開始剤には、例えば、2〜36個の炭素原子を有するグリコール、例えば、エチレングリコールおよび1,2−プロピレングリコールなど;ジアミン、例えば、エチレンジアミン;トリオール、例えば、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオールおよびトリメチロールプロパンなど;並びに、他のもの、例えば、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトール、およびジエチレントリアミン;並びにこれらの混合物が挙げられうる。典型的な開始剤は、反応性第一級ヒドロキシル基を含むことができ、例えば、1,6−ヘキサンジオールおよびUNOXOL商標ジオールが挙げられる。UNOXOL商標ジオールは液体環式脂肪族ジオールであり、これは1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの50:50混合物であり、これはシスおよびトランス異性体の混合物である。
【0049】
好適な開始剤は、エチレンオキシドもしくはエチレンオキシドと少なくとも1種の他のアルキレンオキシドとの混合物でアルコキシル化されて、アルコキシル化開始剤を生じさせることができる。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「ペンダント基」とは、油ベースのポリオールの骨格から延びるアルキル官能基をいい、反応性基、例えば、1以上のヒドロキシル基を含まない。ペンダント基は本発明のコーティングが形成された後は互いに自由に会合する。好ましくは、ペンダント基は6〜36個の炭素のアルキル基である。
【0051】
本発明に従う好適なポリエステルポリオールの分子量は、500〜5,000、好ましくは1,000以上、もしくは好ましくは2,000以下の範囲であり得る。ポリエステルポリオールの分子量を制御することは、組成物の粘度のより良好な制御を可能にする。
【0052】
本発明に従って、本発明の2コンポーネントポリウレタン組成物に1種以上の第三級アミン触媒を添加することは、有機スズ触媒の使用を回避するのを可能にする一方で、同等の特性を有する現在の組成物よりも低いVOC含量を有する組成物における周囲もしくは周囲未満温度での素早い硬化、並びに良好なポットライフの維持を提供する。この第三級アミン触媒には、例えば、モノ−、ジ−もしくはトリ−アミンである脂肪族および環式脂肪族第三級アミン触媒が挙げられることができ、並びに例えば、イミダゾール化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンおよびその誘導体などが挙げられうる。
【0053】
1種以上の第三級アミン触媒の量はポットライフ、乾燥速度バランスを向上させ、より速い硬度発現および早期耐水もしくは耐雨性を達成するように選択される。好ましい量のこの触媒は所望の塗膜特性を速なうことなく、より大きな配合の柔軟性を可能にする。
【0054】
ポットライフは亜鉛アミン触媒、例えば、King Industries,Inc(コネチカット州ノルワーク)から入手可能な(K−Kat XK−614)、もしくは金属アミン触媒、例えば、リチウム、マグネシウムもしくはバリウムアミンもしくはアミジンを含ませることによってさらに向上されうる。この触媒の好適な量は、ポリイソシアナートおよびポリマー固形分の合計を基準にして0.1〜2.5重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%の範囲であり得る。
【0055】
本発明の2コンポーネントポリウレタンコーティング組成物は従来の添加剤、例えば、着色剤、顔料および充填剤、光安定化剤、UV吸収性化合物、流動剤、湿潤および分散剤、脱泡剤、レオロジー調節剤などをさらに含むことができる
【0056】
本発明に従う塗膜は従来の手段によって所望の基体に適用されうる。このような塗膜は周囲温度で、もしくは−5℃〜150℃、好ましくは周囲条件から80℃の範囲の温度で硬化されうる。熱感受性プラスチックは120℃以下でコーティングされ、その塗膜が硬化されうるように、硬化温度は基体に応じて変えられうる。さらに、橋、重機械および重質量部品のコーティングおよびメンテナンスコーティングのような場に適用される塗膜は周囲温度で硬化されうる。硬化時間は概して、30分間(高温で)から1〜14日間の範囲である。
【0057】
本発明の2コンポーネントポリウレタン組成物は、塗料およびワニス、並びに塗膜を製造するのに特に有用である。本発明の組成物はトップコートに特に好適である。最終用途には、これに限定されないが、テーブル、キャビネットのような家具;木材床、パイプなどの建築材料;冷蔵庫の取っ手のような電化製品;自動車外装部品および内装部品、並びに消費者用製品、例えば、携帯電話、鞄、およびプラスチックケースが挙げられる。
【0058】
本発明は、前記基体のいずれかの上に2コンポーネントポリウレタンコーティング組成物から製造されたポリウレタン塗膜をさらに提供する。この塗膜はプライマー層上の多層塗膜、および場合によってはベースコートもしくはカラーコートであることができる。
【0059】
本発明に従う塗膜は、ASTM−D4366に従って測定された、70秒以上、好ましくは100秒以上のKonig硬度のいずれかもしくは全てを有しうる。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は本発明を例示するために提供される。この実施例に使用される試験方法は以下に説明される:
塗膜の膜厚さは塗膜厚さゲージ(Positector登録商標6000、Paul N.Gardner Company,Inc.)を用いて決定された。
【0061】
ポットライフは、コーティング材料の粘度がその当初粘度の二倍に増大するのにかかる時間として定義される。粘度はブルックフィールドCAP1000粘度計およびCAP−03スピンドルを用いて25℃でセンチポアズ単位で測定された。許容可能なポットライフは1時間以上であり、好ましくは2時間以上である。
【0062】
指触乾燥(dry to touch)および不粘着時間は、177.8ミクロン(7mil)の開口を有するドローダウンバーを用いてコーティング組成物をアルミニウムパネルに適用し、試験前の設定時間にわたってそれを乾燥させることにより決定された。試験のために、ザポンタックテスター(Zapon Tack Tester)(アトラスパワーカンパニー、スタンフォード、CN;米国特許第2406989に記載される)が膜上に配置され、5グラムの重りがその試験機のベース部分の中央上に配置された。5秒間待った後で、その重りが取り除かれた。5グラムの重りを取り除いた後5秒以内に、その試験機のベース部分が膜面から引っ張って取り除ける場合に、指触乾燥が達成される。許容可能な指触乾燥時間は4時間以下、好ましくは3時間以下である。不粘着時間は同様の方法で決定されるが、ただし100グラムの重りを使用する。許容可能な不粘着時間は8時間以下、好ましくは5時間以下である。
【0063】
早期耐雨性は、177.8ミクロン(7mil)の開口を有するドローダウンバーを用いてコーティング組成物をアルミニウムパネルに適用することにより決定された。その塗膜を6時間もしくは24時間乾燥させた後で、示されるように、室温で、これらパネルはフォグボックスチャンバー内に入れられ、16時間にわたって水スプレーミストに曝露された。この霧吹きされた塗膜を乾燥させた後で、示されるように60°および20°光沢が測定され、同じ塗膜を同じ時間乾燥させたが水のミストに曝露されなかったものの対応する60°および20°光沢と比較された。6時間の乾燥についての許容可能な60°光沢喪失%は20%以下、好ましくは10%以下であり、24時間の乾燥についての許容可能な20°光沢喪失%は20%以下、好ましくは10%以下である。
【0064】
塗膜のKonigもしくはペンデュラム硬度はASTM−D4366(1995)に従って示された乾燥時間の後で、ペンデュラム硬度試験機を用いることにより決定され、秒単位で報告される。塗膜について許容可能な硬度レベルの範囲のKonig硬度は70秒以上、好ましくは100秒以上である。
【0065】
合成例1:トリマー1(すなわちT1)
トリマー1を製造するために、ガスバブラー、機械式攪拌装置、温度計および凝縮器を備えた1.8Lのハステロイ反応器に、各化合物のシス−およびトランス−異性体の混合物を含む1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの1:1(w/w)混合物1600gが入れられる。70℃に加熱されつつ、攪拌された反応混合物に乾燥窒素がバブリングされる。実施例35については、エチレングリコール中炭酸第四級アンモニウムの75パーセント溶液1.9グラムがこの反応混合物に添加される。反応温度は70〜75℃に維持される。反応混合物が30パーセントのNCO含量に到達したときに、0.5gのクロロ酢酸を添加することによりこの反応は停止させられる。過剰なモノマーがショートパス蒸留ユニットにおいて分けられ、透明な生成物を提供する。得られるトリマー含有組成物は酢酸ブチルに溶解され、30重量パーセントの酢酸ブチルを含み、347のNCO当量、および0.5重量パーセント未満の遊離モノマー含量の生成物を得る。オリゴマー分布の分析は、生成物が48パーセントのIR1、22パーセントのIR2および30パーセントの高MWポリイソシアナート(トリマーオリゴマーを含む)を含んでいることを示す。
【0066】
以下の表1は実施例において使用された材料のリストを、その略語もしくは後の表で使用される慣習に従って示す。
【表1】

【0067】
以下の表2Aにおける配合物を製造するために、この表に示された材料Aは等しい重量の砂と混合され、次いで、高速で25分間攪拌された。得られた混合物は塗料用濾過器(ポールN.ガードナーカンパニーインコーポレーティドからのST−9011メディアムメッシュ)を通してろ過され、濾液が集められた。この工程は所望の量の二酸化チタン分散物が得られるまで繰り返された。表2Aに示された材料Bは手作業で30秒間激しく振とうすることによって混合され、次いで、二酸化チタン分散物に添加された。次いで、残りの物質が単に混合することにより添加された。得られたコーティングはクロマート処理されたアルミニウムパネル上に、7mil(178ミクロン)ゲートクリアランスの湿潤膜アプリケータを用いてドローダウンされて、63ミクロンの平均乾燥塗膜厚さをもたらし、室温で乾燥された。
【0068】
【表2】

1.全ての材料はグラム(g)単位であり、括弧内の量は固形分のgである。
【0069】
【表3】

比較例を示す;
1.示された量は、ポリオールおよびポリイソシアナート固形分の合計を基準にした固形分重量%である。
【0070】
上記表2Bに示されるように、実施例1において、ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンからのトリマー1の100%と共に、第三級アミンおよび亜鉛アミン触媒の本発明のブレンドを使用すると、比較例Bと比べて、速い指触乾燥と長いポットライフとの最もよいバランスをもたらし、同時に、早期耐雨性および硬度発現を維持するかもしくはわずかに向上させる。ADI/HDIの50/50ブレンドを使用する場合の比較例Cにおける有機スズ触媒(DBTDL)に対して、実施例2における第三級アミン触媒については、有意な乾燥速度/ポットライフバランスの利点が存在する。対応する比較例BおよびCにおけるDBTDL触媒よりも、実施例1および2のコーティングにおける第三級アミン触媒は非常に延長したポットライフおよびより短い指触乾燥をもたらす。さらに、トリマー1を使用する同じコーティングは実施例1および2におけるコーティングを提供し、これは、比較例AにおけるIPDI/HDIの25/75(w/w)ブレンドを使用する対応するコーティングよりも、長いポットライフおよびより短い指触乾燥を伴う。最終的に、比較例B、CおよびDにおける有機スズ触媒を使用する全てのコーティングは、本発明の触媒ブレンドを使用するコーティングよりも、非常に劣ったポットライフおよびより低いペンデュラム硬度を提供する。
【0071】
【表4】

1.全ての材料はグラム(g)単位であり、括弧内の量は固形分のgである。
【0072】
【表5】

1.ポリオールおよびポリイソシアナート固形分の合計を基準にした重量%固形分
【0073】
上の表3における配合物は、ベンチトップエアパワードミキサーを用いて単に混合することにより混合された。得られたコーティングはクロマート処理されたアルミニウムパネル上に、7mil(178ミクロン)ゲートクリアランスの湿潤膜アプリケータを用いてドローダウンされて、58ミクロンの平均乾燥塗膜厚さをもたらし、室温で乾燥された。
【0074】
下の表4に示されるように、実施例3における本発明のトリマー1のクリアコーティングのための触媒としてトリエチレンジアミン(TEDA)を使用するクリアポリウレタンコーティング配合物は、比較例EにおいてDBTDL触媒を使用する場合よりも、短い指触乾燥時間/長いポットライフおよび良好な硬度発現の望ましい組み合わせを伴う硬質塗膜を提供する。比較例Fにおいて、TEDA触媒を使用し、HDIトリマーをベースにしたクリアウレタンコーティングは、実施例3のコーティングと同様のポットライフを提供するが、より長い指触乾燥時間およびより軟質の膜を提供する。比較例GおよびHに示されるように、TEDAおよびトリマー1の組み合わせを用いて達成されるポットライフ、乾燥速度および硬度の望ましいバランスは、DBDTL触媒とHDIトリマーとを組み合わせることによっては達成できない。
【0075】
【表6】

1.全ての材料はグラム(g)単位であり、括弧内の量は固形分のgである。
【0076】
上記表5における配合物は、ベンチトップエアパワードミキサーを用いて単に混合することにより混合された。得られたコーティングはクロマート処理されたアルミニウムパネル上に、7mil(178ミクロン)ゲートクリアランスの湿潤膜アプリケータを用いてドローダウンされて、61ミクロンの平均乾燥塗膜厚さをもたらし、室温で乾燥された。
【0077】
以下の表6に示されるように、実施例4における、トリマー1から製造された濃い色調の(deeptone)緑色のウレタンコーティングにおける、低濃度のTEDA(ポリオールおよびポリイソシアナート固形分の合計を基準にして0.25重量%固形分)は、比較例Iにおける有機スズ触媒(DBTDL)の同等量の0.02重量%固形分よりも、向上したポットライフおよび不粘着時間を提供するが、早期模擬雨の後でより大きな光沢喪失が存在している。実施例5において、ポリオールおよびポリイソシアナート固形分の合計を基準にして0.5重量%固形分までTEDA濃度を増大させると、比較例Iにおける標準のDBTDL触媒に対して、向上したポットライフ、不粘着時間だけでなく、向上した早期耐雨性も提供する。実施例6における亜鉛アミン触媒も優れた早期耐雨性、向上したポットライフおよび不粘着時間を提供する。
【0078】
【表7】

1.ポリオールおよびポリイソシアナート固形分の合計を基準にした重量%固形分。
【0079】
以下の表7における配合物はベンチトップエアパワードミキサーを用いて単に混合することにより混合された。得られたコーティングはクロマート処理されたアルミニウムパネル上に、7mil(178ミクロン)ゲートクリアランスの湿潤膜アプリケータを用いてドローダウンされて、58ミクロンの平均塗膜厚さをもたらし、室温で乾燥された。
【0080】
以下に示されるように、表7および8は、それぞれ、異なる濃度のTEDAが触媒として使用されるポリウレタンコーティングの配合および特性を提供する。これら配合物は全て非常に高い65%の固形分量を有する。実施例7および8においては、トリマー1から製造されたクリアウレタンコーティングのための触媒として多量のTEDAを使用することが、周囲硬化ウレタン塗膜乾燥速度をさらに向上させ、かつ優れたKonigペンデュラム硬度を伴う塗膜を提供する。しかし、比較例JおよびKにおいては、HDIトリマーから製造されたクリアウレタンコーティングに使用された多量のTEDAが乾燥速度を向上させるが、結果的にかなり低いKonigペンデュラム硬度および非常に延長された不粘着時間の塗膜をもたらす。
【0081】
【表8】

1.全ての材料はグラム(g)単位であり、括弧内の量は固形分のgである。
【0082】
【表9】

【0083】
【表10】

1.酢酸n−ブチル中10%;2.PMAc中2.8%;3.n−BuAc中1%;4.全ての材料はグラム(g)単位でありおよび括弧内の量は固形分gである。
【0084】
【表11】

1.ポリオールおよびポリイソシアナート固形分の合計を基準にした重量%固形分。
【0085】
上記表9における配合物はベンチトップエアパワードミキサーを用いて単に混合することにより混合された。得られたコーティングはクロマート処理されたアルミニウムパネル上に、7mil(178ミクロン)ゲートクリアランスの湿潤膜アプリケータを用いてドローダウンされて、56ミクロンの平均乾燥塗膜厚さをもたらし、室温で乾燥された。
【0086】
上記表9および10は、様々な第三級アミン触媒を含むポリウレタンコーティングの高固形分(60%)配合物および特性を提供する。比較例LにおけるDBTDLと比較して、トリマー1から製造された本発明のウレタン塗膜における第三級アミン触媒のそれぞれは、不粘着時間を向上させ、早期雨曝露の後での光沢を向上させ、およびKonig硬度発現増大させる。実施例11における第三級アミン触媒だけがコーティング組成物のポットライフを向上させなかったが、全ての本発明の実施例は、ポットライフ対不粘着時間の比率を向上させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のコンポーネントとして、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから製造された1種以上のイソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物、別のコンポーネントとして1種以上の高固形分ポリオール、並びにいずれかもしくは双方のコンポーネントに脂肪族第三級アミン、環式脂肪族第三級アミンおよびこれらの混合物から選択される1種以上の第三級アミン触媒を含み、
有機スズ触媒を実質的に含まない2コンポーネントポリウレタン組成物。
【請求項2】
1種以上の亜鉛アミン化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
高固形分ポリオールが2以上の第一級ヒドロキシル基を有するアクリルポリオールもしくはポリエステルポリオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記イソシアヌラートを有するポリイソシアナート組成物が1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの混合物から製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
第三級アミン触媒がトリエチレンジアミン(TEDA)、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン化合物、および他の第三級アミン化合物から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
トリエチレンジアミンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン化合物第三級アミン触媒の量が、ポリイソシアナートおよびポリオール固形分の合計を基準にして0.1〜1重量%の範囲であり、かつ他の第三級アミン触媒の量がポリイソシアナートおよびポリオール固形分の合計を基準にして0.2〜4.0重量%の範囲である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリオールがポリオールおよび溶媒の全重量を基準にして60〜100重量%の範囲の固形分量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ポリイソシアナートを有するコンポーネントにおいて、前記組成物が脂肪族ジイソシアナートから製造されたイソシアヌラートを有する1種以上のポリイソシアナート組成物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
2コンポーネントポリウレタン着色もしくはクリアコートコーティング組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載された組成物から製造された塗膜であって、コーティングされた基体をさらに含む塗膜。

【公開番号】特開2012−111935(P2012−111935A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−231088(P2011−231088)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】