説明

ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸およびこの塩の製造方法

【課題】ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸、およびその塩の簡単かつ安価で、良好な収量で得られる製造方法の提供。
【解決手段】少なくとも、好適な反応媒体中で、少なくとも1種のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたは少なくとも1種のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランをフッ化水素と反応させること(得られた反応混合物を加熱することも含む)でビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸を得て、さらに、アミンなどと中和してその塩を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の製造方法であって、少なくとも、好適な反応媒体中で、少なくとも1種のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたは少なくとも1種のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランをフッ化水素と反応させること、および得られた反応混合物を加熱することを含む、前記方法に関する。本発明はまた、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩およびこの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸は、以前から知られており、種々の化学物質、例えば強力なメチル化試薬である、対応するメチルエステルの製造に適する(N. V. Pavlenko et al., Zh. Obshch. Khim., 59, No. 3 (1989), 534〜537頁)。ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸およびこれらの対応する塩は、さらに、これらの表面活性作用に基づいて(DE-A 22 33 941; N.N. Kalibabchuk et al., Teor. Eksp. Khim., 11, No. 6 (1975), 838〜841頁;N.N. Kalibabchuk et al., Ukr. Khim. Zh., 44, No. 1 (1978), 67〜70頁)、および燃料電池において(T. Mahmood, Inorganic Chemistry, 25 (1986), 3128〜3131頁)用いられる。
【0003】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸のリチウム塩は、リチウム電池における導電性塩として用いるための、高度に有望な候補である(F. Kita et al., Proc. Electrochem. Soc., 99-25 (2000), 480〜484頁;F. Kita et al., J. Power Sources, 90, No. 1 (2000), 27〜32頁)。
【0004】
ビス(トリフルオロメチル)ホスフィン酸は、三塩化ビス(トリフルオロメチル)リンの加水分解により製造され、これは、かろうじてアクセス可能である(H. J. Emeleus et al., J. Chem. Soc. (1955), 563〜574頁)。ビス(トリフルオロメチル)ホスフィン酸の一層高い相同体は、対応するジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランから得られた(V. Ya. Semenii et al., ソ連特許第498,311号)。
【0005】
この文献には、本質的に、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の製造のための2種の異なる方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の方法において、ジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランを、第1の段階において、ヘキサメチルジシロキサンと反応させて、対応するホスフィンオキシドが得られる。次にこれに、第2の段階において、対応するビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸への加水分解が続く。この方法は、加水分解中の温度を制御して極めて精密に調節しなければならず、そして、極めて少量の所望のビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸が、通常得られるにすぎない、という欠点を有する(T. Mahmood, Inorganic Chemistry, 25 (1986), 3128〜3131頁;ソ連特許第498,311号;57〜61頁;T. Mahmood et al., Inorganic Chemistry, 27 (1988), 2913〜2916頁)。
【0007】
他の既知の方法は、ジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランのビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸への直接の加水分解である(T. Mahmood et al, Inorganic Chemistry, 27 (1988), 2913〜2916頁)。この方法において、ホスホラン、特に長いアルキル鎖を有するホスホランの水との極めて乏しい混和性のために、加水分解が、極めてゆっくりと進行するに過ぎず、通常極めて複雑な生成物混合物が得られることは、不利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の目的は、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の簡単であり、安価な製造を、良好な収量で可能にする方法を提供することにあった。ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸は、好ましくは、高純度で得られなければならない。他の目的は、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩を提供することにあった。
【0009】
この目的は、本発明において、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の製造方法であって、少なくとも以下のプロセス段階:
a)少なくとも1種のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたは少なくとも1種のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランをフッ化水素と、好適な反応媒体中で反応させる段階、および
b)a)において得られた反応混合物を加熱する段階
を含む、前記方法により達成された。
【0010】
ジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランおよびトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランは、当業者に知られている慣用の方法により、製造することができる。
これらの化合物を、好ましくは、V. Ya. Semenii et al., Zh. Obshch. Khim., 55, No.12 (1985), 2716〜2720頁;N. Ignatiev, J. of Fluorine Chem., 103 (2000), 57〜61頁およびWO 00/21969に記載されているように、好適な出発化合物の電気化学的フッ素化により製造する。対応する記載を、参照により本明細書中に組み込み、開示の一部とみなす。
【0011】
また、2種もしくは3種以上のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランおよび/または2種もしくは3種以上のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランの混合物を、本発明の方法において用いることが可能である。好ましくは、各々の場合において、1種のみのジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたはトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランを、本発明の方法において用いる。
【0012】
本発明の方法の好ましい態様において、一般式I
(C2n+1PF5−m
式中、1≦n≦8、好ましくは1≦n≦4であり、各々の場合において、m=2または3である、
で表される少なくとも1種のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたは少なくとも1種のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランを用いる。
【0013】
特に好ましいジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホラン化合物は、ジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン、ジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランおよびジフルオロトリス(n−ヘプタフルオロプロピル)ホスホランからなる群から選択することができる。
【0014】
本発明の方法において用いることができる、特に好ましいトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホラン化合物は、トリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランである。
少なくとも1種のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたは少なくとも1種のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランのフッ化水素との、好適な反応媒体中での反応を、好ましくは、DE 101 30 940.6に記載されている方法において、実施する。対応する記載を、参照により本明細書中に組み込み、開示の一部とみなす。
【0015】
プロセス段階a)において得られた反応混合物の、プロセス段階b)における加熱のための温度は、好ましくは、室温〜150℃、特に好ましくは100℃〜145℃および極めて特に好ましくは135〜140℃である。
プロセス段階a)において得られた反応混合物を、好ましくは、プロセス段階b)において、1〜150時間、特に好ましくは10〜25時間および極めて特に好ましくは18〜22時間加熱する。
【0016】
所望であれば、再び、プロセス段階b)における加熱の間に、同一の、または他の反応媒体のいくらかを、反応混合物に加えることは、また有利であり得る。
また、加水分解を促進するために、プロセス段階a)において得られた反応混合物を、好ましくは、密閉された圧密(pressure-tight)装置、例えばオートクレーブ中で、好ましくは140℃〜200℃の高温において加熱することもできる。
【0017】
所望のビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸に加えて、本発明の方法による反応により、フッ化水素および、各々の場合において、他の反応生成物として、対応するモノヒドロパーフルオロアルカンが得られる。
これらの反応生成物は、当業者に精通されている慣用の方法、例えば好適なコールドトラップ中での凝縮により、所望により分離して除去し、所望により採集し、所望により単離することができる。
【0018】
フッ化水素およびモノヒドロパーフルオロアルカンは、これら自体、有用に用いることができる、価値ある化学的原料である。従って、特に、フッ化水素を採集し、再循環させて、これが、プロセス段階a)における反応に有用であるようにすることが可能である。
所要に応じて、本発明の方法によるビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の製造に引き続いて、精製および、所望により、当業者に精通されている慣用の方法によるこれらの化合物の単離をすることができる。
好ましくは精製は、蒸留により行われ、好ましくは減圧下での高温において行われる。
【0019】
ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸のそれぞれの塩を、好ましくは、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の中和により、単離することができる。
塩を、それぞれのビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸から、当業者に知られている少なくとも1種の慣用の塩基との、好ましくは溶液中での反応により、製造する。
【0020】
塩を製造するために、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸を、好ましくは水酸化物、酸化物、水素化物、アミド、炭酸塩、ホスフィンおよびアミンからなる群から選択された塩基を用いて、中和する。
中和の後に、生成した塩を、当業者に知られているようにして精製操作する(work up)。塩を洗浄し、その後乾燥することができる。
【0021】
本出願はまた、部分的にアルキル化された、およびパーアルキル化された(peralkylated)アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウムおよびトリアゾリウム塩からなる群から選択された、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩に関する。好ましいのは、以下のもの
【化1】

式中、R〜Rは、同一であるかまたは異なっており、随意に互いに直接、単結合または二重結合により結合されており、各々個別に、または一緒に、以下のように定義されている:
−H、
−ハロゲン、ここでハロゲンは、Nに直接結合していない、
−部分的に、または完全に他の基、好ましくはF、Cl、N(C(2n+1−x)、O(C(2n+1−x))、SO(C(2n+1−x))、C(2n+1−x)により置換されていることができ、ここで1<n<6および0<x≦2n+1である、アルキル基(C〜C
からなる群から選択されたカチオンを有する、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩の製造である。
【0022】
驚異的なことに、これらの塩を、イオン性液体、相転移触媒または界面活性剤として用いることができることが、見出された。
ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸を製造するための本発明の方法により、これらの化合物の簡単、安価かつ信頼性のある製造が、極めて良好な収率で可能になる。ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸は、通常、さらなる複雑な精製段階を伴わずに、高純度で得られる。塩基との反応により、現在までは入手できなかった塩を、得ることができる。
【0023】
さらに、本発明の方法により得られた副生成物、即ちフッ化水素およびモノヒドロパーフルオロアルカンが、これら自体、有用に用いることができる価値ある原料であることは、有利である。これにより、本発明の方法による反応における環境的な影響を低く保持し、本発明の方法のための費用を減少させることができる。
本発明を、例を参照して、以下に説明する。これらの例は、単に本発明を説明するだけであって、一般的な本発明の思想を限定しない。
【0024】

NMRスペクトルを、以下の周波数において、ブルーカーアバンス(Bruker Avance)300NMR分光計を用いて、記録した:
300.1MHz
19Fについて282.4MHzおよび
31Pについて121.5MHz。
【0025】
例1:
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸(CP(O)OHの合成
a)
3.53gの水(294mmolの混合物中の水の合計量に相当する)を、FEP(フルオロエチレンポリマー)フラスコ中の、2.93gの40重量%のフッ化水素酸(58.6mmolのHFに相当する)に加えた。次に、得られた混合物を、氷浴を用いて冷却した。その後、25.03g(58.7mmol)のジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン(CPFを、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、3分にわたり加えた。ジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランは、さらに3分以内に完全に溶解し、H[(CPFが水に溶解した、無色の透明な溶液が、得られた。
【0026】
得られた溶液を、室温でさらに15分間攪拌し、その後135〜140℃の油浴温度で、14時間還流させた。その後、さらに4.83gの水を、溶液に加え、混合物を、同一の温度でさらに6時間還流させた。室温に冷却した後に、24.81gの透明な溶液が、得られた。
3.95gの2相液体を、ドライアイスで冷却した中間トラップ中で採集した。この液体は、2.11gのCH、1.5gのHFおよび0.34gの出発化合物であるジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランを含んでいた。
【0027】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を単離するために、フッ化水素水溶液を、反応混合物から蒸留して除去し、15.13gの事実上純粋なビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸が得られた。収率は、用いたジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランを基準として、86.5%であった。
さらなる精製のために、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を、125Paの減圧下で蒸留した。沸点は、63〜64℃であった。
【0028】
得られたビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準CClF)
−80.55 s (CF);−125.37 d (CF);JP,F=78.2Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準TMS)
12.71 br.s (OH)
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準85重量%HPO
−0.03 5重線(quin);JP,F=78.3Hz
【0029】
観測された化学シフトの値は、T. Mahmood, Inorganic Chemistry, 25 (1986), 3128〜3131頁により刊行物に開示された値に相当する。
元素分析:
観測値:C 15.76%;H 0.40%
((CP(O)OH)についての計算値:C 15.91%;H 0.33%
【0030】
b)
2.50gの水(166.5mmolの混合物中の水の合計量に相当する)を、FEPフラスコ中の、0.834gの40重量%のフッ化水素酸水溶液(16.7mmolのHFに相当する)に加えた。次に、得られた混合物を、氷浴を用いて冷却した。最後に、7.11g(16.7mmol)のジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン(CPFを、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、3分にわたり加えた。ジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランは、さらに3分以内に完全に溶解し、H[(CPFが水に溶解した、無色の透明な溶液が、得られた。反応混合物を、115℃〜120℃の油浴温度において、108時間還流させた。ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を単離するために、水/HF溶液を、反応混合物から蒸留して除去し、3.97gの事実上純粋なビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸(CP(O)OHが得られた。収率は、用いたジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランを基準として、78.8%であった。得られた生成物を、19F−NMR分光学により特徴づけした。対応するシグナルは、例1aで述べたシグナルに相当した。
【0031】
c)
2.59g(56.2mmol)のエタノールを、FEP容器中で、氷浴を用いて冷却した。先ず、0.49g(24.5mmol)のフッ化水素(HF)を、エタノールに、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、ゆっくりと加え、9.59g(22.5mmol)のジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン(CPFを、さらに3分にわたり、反応混合物に加えた。ホスホランが溶解した後、2.21g(122.6mmol)の水を、溶液に加え、反応混合物を、120℃の油浴温度において、144時間還流させた(2.1gの水を、44時間後に反応混合物に加え、さらに2.0gの水を、94時間後に加えた)。
【0032】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を単離するために、エタノール/水/HF溶液を、反応混合物から蒸留して除去し、5.21gの事実上純粋なビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸(CP(O)OHが得られた。収率は、用いたジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホランを基準として、76.6%であった。得られた生成物を、19F−NMR分光学により特徴づけした。対応するシグナルは、例1aで示したシグナルに相当した。
【0033】
例2:
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸(n−CP(O)OHの合成
a)
4.25gの水(371mmolの混合物中の水の合計量に相当する)を、FEP(フルオロエチレンポリマー)フラスコ中の、4.07gの40重量%のフッ化水素酸(81.4mmolのHFに相当する)に加えた。次に、得られた混合物を、氷浴を用いて冷却した。その後、51.42g(70.8mmol)のジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホラン(n−CPFを、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、10分にわたり加えた。
【0034】
得られた溶液を、室温でさらに20分間攪拌し、その後135〜140℃の油浴温度で、11.5時間還流させた。その後、さらに5.00gの水を、溶液に加え、混合物を、同一の温度でさらに8.5時間還流させた。室温に冷却した後に、46.47gの透明な溶液が、得られた。
【0035】
15.03gの2相液体を、ドライアイスで冷却した中間トラップ中で採集した。この液体は、13.06gのn−CHおよび1.97gのHF(上部相)を含んでいた。
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を単離するために、フッ化水素水溶液を、反応混合物から、145℃の油浴温度において蒸留して除去し、34.62gの事実上純粋なビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸が、固体として得られた。収率は、用いたジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランを基準として、97.4%であった。
【0036】
さらなる精製のために、ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を、125Paの減圧下で蒸留した。沸点は、124℃であった。
冷却中に、得られたビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸は、固化して、103〜104℃の融点を有する固体を生成する。
T. Mahmood, Inorganic Chemistry, 25 (1986), 3128〜3131頁による文献刊行物において、ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸は、非揮発性液体であると記載されており、これは、おそらく、この化合物の水和形態である。
【0037】
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準CClF)
−80.90 t (CF);−120.50 br.s (CF);−121.38 d (CF);−125.58 m (CF);JP,F=79.5Hz、JF,F=9.9Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準TMS)
9.25 br.s (OH)
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準85重量%HPO
1.74 5重線(quin);JP,F=79.0Hz
【0038】
観測された化学シフトの値は、T. Mahmood, Inorganic Chemistry, 25 (1986), 3128〜3131頁により刊行物に開示された値に相当する。
元素分析:
観測値:C 19.05%;H 0.20%
((n−CP(O)OH)についての計算値:C 19.14%;H 0.20%
【0039】
b)
1.45gの水(116.1mmolの混合物中の水の合計量に相当する)を、FEPフラスコ中の、1.08gの40重量%のフッ化水素酸水溶液(21.6mmolのHFに相当する)に加えた。次に、得られた混合物を、氷浴を用いて冷却した。最後に、7.98g(15.2mmol)のトリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホラン(CPFを、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、10分にわたり加えた。反応混合物を、15時間室温で攪拌し、その後110℃の油浴温度において、35時間還流させた(さらに0.6gの水を、17時間後に反応混合物に加え、さらに1.2gの水を、25時間後に加えた)。ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を単離するために、水/HF溶液を、反応混合物から蒸留して除去し、6.34gの事実上純粋なビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸が得られた。収率は、用いたトリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランを基準として、83.2%であった。得られた生成物を、19F−NMR分光学により特徴づけした。対応するシグナルは、例2aで述べたシグナルに相当した。
【0040】
例3:
例1に記載したようにして製造したビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸3.07gを、50cmの水中で7.48gの水酸化テトラエチルアンモニウムの20重量%水溶液を用いて、中和した。その後、水を、蒸発させて除去し、得られた残留物を、120Paの減圧下で、70℃(浴温度)において乾燥した。
100〜102℃の融点を有するビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸テトラエチルアンモニウムの白色固体4.38gが、得られた。収率は、事実上、用いたビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を基準として、定量的である。
【0041】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸テトラエチルアンモニウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準CClF)
−80.23 s (CF);−124.90 d (CF);JP,F=64.8Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準TMS)
1.36 tm(CH);3.48 q(CH);JH,H=7.3Hz
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準85重量%HPO
0.28 5重線(quin)、JP,F=64.5Hz
元素分析:
観測値:C 33.36%;H 4.60%;N 3.22%
(CP(O)ON(Cについての計算値:C 33.42%;H 4.67%;N 3.25%
【0042】
例4:
例1に記載したようにして製造したビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸2.52gを、20cmの水中で0.577gの炭酸カリウムを用いて、中和した。その後、水を蒸発させ、得られた残留物を、120Paの減圧および100℃の浴温度の下で乾燥した。ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸カリウムの白色固体2.83gが、得られた。収率は、事実上、用いたビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を基準として、定量的である。この塩は、203〜205℃の温度において分解した。
【0043】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸カリウムを、19F−および31P−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準CClF)
−80.40 m(CF);−125.11 d(CF);JP,F=67.4Hz
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準85重量%HPO
0.73 5重線(quin);JP,F=67.2Hz
元素分析:
観測値:C 14.6%;
(CP(O)OKについての計算値:C 14.13%
【0044】
例5:
例2に記載したようにして製造したビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸4.00gを、50cmの水中で5.86gの水酸化テトラエチルアンモニウムの20重量%水溶液を用いて、中和した。この方法において、白色沈殿が生成し、これを濾別し、120Paの減圧および70℃の浴温度の下で乾燥した。99〜100℃の融点を有するビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸テトラエチルアンモニウムの白色固体4.93gが、得られた。収率は、用いたビス(n−ノナフルオロエチル)ホスフィン酸を基準として、98%であった。
【0045】
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸テトラエチルアンモニウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準CClF)
−80.75 tt(CF);−120.35 m(CF);−121.17 dm(CF);−125.30 m(CF);JP,F=65.0Hz;JF,F=9.9Hz、JF,F=3.1Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準TMS)
1.37 tm(CH);3.48 q(CH);JH,H=7.3Hz
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準85重量%HPO
1.70 5重線(quin);JP,F=64.9Hz
元素分析:
観測値:C 30.32%;H 3.05%;N 2.10%
(n−CP(O)ON(Cについての計算値:C 30.44%;H 3.19%;N 2.22%
【0046】
例6:
例1に記載したようにして製造したビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸1.93g(6.39mmol)を、50cmの水中で、0.371g(3.19mmol)の1,6−ジアミノヘキサンを15cmの水に溶解した溶液を用いて、中和した。水を蒸発させて除去し、得られた残留物を、120Paの減圧および100℃の浴温度の下で乾燥した。208〜210℃の融点を有する、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ヘキサメチレン−1,6−ジアンモニウムの白色固体2.21gが、得られた。収率は、用いたビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸を基準として、96.1%であった。
【0047】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸ヘキサメチレン−1,6−ジアンモニウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒DMSO−D、基準CClF)
−79.59 m(CF);−124.66ppm d(CF);JP,F=65.6Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒DMSO−D、基準TMS)
1.30 m(2CH);1.51 m(2CH);2.76 m(2CH)、7.53 br.s(2NH
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒DMSO−D、基準物質85重量%HPO
−2.15 5重線(quin);JP,F=65.5Hz
元素分析:
観測値:C 23.61%;H 2.49%;N 4.07%
[(CP(O)O]2−[HN(CHNH2+についての計算値:C 23.35%;H 2.52%;N 3.89%
【0048】
例7:
例2に記載したようにして製造したビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸2.80g(5.58mmol)を、50cmの水中で、0.324g(2.79mmol)の1,6−ジアミノヘキサンを15cmの水に溶解した溶液を用いて、中和した。この方法において、白色沈殿が生成し、これを濾別し、120Paの減圧および100℃の浴温度の下で乾燥した。>250℃の融点を有するビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸ヘキサメチレン−1,6−ジアンモニウムの白色固体2.87gが、得られた。収率は、用いたビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を基準として、92%であった。
【0049】
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸ヘキサメチレン−1,6−ジアンモニウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒DMSO−D、基準CClF)
−80.03 t(CF);−120.46 m(CF);−121.28 dm(CF)、−125.11 m(CF)、JP,F=65.6Hz、JF,F=9.5Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒DMSO−D、基準TMS)
1.29 m(2CH);1.51 m(2CH);2.76 m(2CH)、7.61 br.s(2NH
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒DMSO−D、基準85重量%HPO
−0.76 5重線(quin);JP,F=65.5Hz
元素分析:
観測値:C 23.76%;H 1.58%;N 2.48%
[(CP(O)O]2−[HN(CHNH2+についての計算値:C 25.59%;H 1.62%;N 2.50%
【0050】
例8:
例2に記載したようにして製造したビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸2.23g(4.44mmol)を、50cmの水中で、1.20g(4.45mmol)のトリ−n−ヘキシルアミンを20cmの1:1(容積/容積)の水/エタノール混合物に溶解した溶液を用いて、中和した。その後、15cmのエタノールを加え、混合物を、5分間還流させた。
室温に冷却した後に、白色沈殿が生成し、これを濾別し、120Paの減圧および60℃の浴温度の下で乾燥した。74〜75℃の融点を有するビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸トリ−n−ヘキシルアンモニウムの白色固体3.22gが、得られた。収率は、用いたビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を基準として、93.9%であった。
【0051】
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸トリ−n−ヘキシルアンモニウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけした:
19F−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準CClF)
−80.82 tt(CF);−120.36 m(CF);−121.32 dm(CF)、−125.53 m(CF);JP,F=70.1Hz;JF,F=9.9Hz、JF,F=3.0Hz
H−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準TMS)
0.89 m(3CH);1.35 m(9CH);1.82 m(3CH);3.21 m(2CH);9.62 br.s(NH
31P−NMRスペクトル;δ、ppm:
(溶媒アセトン−D、基準85重量%HPO
1.76 5重線(quin);JP,F=70.1Hz
元素分析:
観測値:C 40.51%;H 5.20%;N 1.80%
(C)P(O)O− +HN(C13についての計算値:C 40.45%;H 5.22%;N 1.82%
【0052】
例9:
15cmの水中の、例2に記載したようにして製造したビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸1.55g(3.09mmol)を、1.20g(3.09mmol)の塩化トリフェニルベンジルホスホニウムを30cmの水に溶解した溶液と混合し、混合物を、室温で5分間攪拌する。この方法において、白色沈殿が生成し、これを濾別し、120Paの減圧および60℃の浴温度の下で乾燥する。138〜139℃の融点を有するビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸トリフェニルベンジルホスホニウムの白色固体2.50gが、得られる。収率は、用いたビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸を基準として、95.1%である。
【0053】
ビス(n−ノナフルオロブチル)ホスフィン酸トリフェニルベンジルホスホニウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学および元素分析により特徴づけする:
19F NMRスペクトル、δ、ppm:
(溶媒:アセトン−D;基準:CClF):
−80.76 t(CF);−120.36 m(CF);−121.21 dm(CF);−125.38 m(CF);JP,F=65.9Hz;JF,F=9.9Hz。
H NMRスペクトル、δ、ppm:
(溶媒:アセトン−D;基準:TMS):
5.22 d(CH,PhCH);7.11−7.17 m(2H,PhCH);7.19−7.27 m(2H,PhCH
7.30−7.37 m(iH,PhCH);7.72−7.87 m(12H,3Ph);7.91−7.99 m(3H,3Ph)、JP,H=15.1Hz。
31P NMRスペクトル、δ、ppm:
(溶媒:アセトン−D;基準:85重量%HPO):
1.78 5重線(quin);25.68 br.s;JP,F=65.8Hz。
元素分析:
観測値:C 46.10%;H 2.48%。
[(CP(O)O][(CCHP]についての計算値:C 46.39%;H 2.60%。
【0054】
例10:
2.08g(11.9mmol)の塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを3cmの水に溶解した溶液を、室温で、15cmの水中の、例4に記載したようにして製造したビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸カリウム4.05g(11.9mmol)に、定常的に攪拌しながら加える。この方法において、油状沈殿物が生成した。水を減圧下で蒸発して除去し、得られた残留物を、120Paの減圧および60℃の浴温度の下で、1時間乾燥する。その後、10cmのイソプロピルアルコールを、残留物に加え、白色沈殿物を濾別し、5cmのイソプロピルアルコールで2回洗浄する。イソプロピルアルコールを、減圧下で蒸発させて除去し、得られた残留物を、120Paの減圧および80℃の浴温度の下で、2時間乾燥する。
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムの油状液体4.99gが、得られる。この収率は、用いたビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸カリウムを基準として、95.4%である。
【0055】
ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムを、19F−、31P−およびH−NMR分光学により特徴づけした:
19F NMRスペクトル、ppm:
(溶媒:アセトニトリル−D;基準:CClF):
−80.19 m(CF);−124.93 d(CF);JP,F=66.9Hz。
H NMRスペクトル、ppm:
(溶媒:アセトニトリル−D;基準:TMS):
0.93 t(3H,CH);1.33 tq(2H,CH);1.83 tt(2H,CH);3.87 s(3H,CH);4.17 t(2H,CH);7.48 dd(1H);7.54 dd(1H);8.99 s(1H);JH,H=1.6Hz;JH,H=7.3Hz;JH,H=7.6Hz。
31P NMRスペクトル、ppm:
(溶媒:アセトニトリル−D;基準:85%HPO):
−1.86 5重線(quin);JP,F=66.8Hz。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸またはこの塩の製造方法であって、少なくとも以下のプロセス段階:
a)少なくとも1種のジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたは少なくとも1種のトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランをフッ化水素と、好適な反応媒体中で反応させる段階、および
b)a)において得られた反応混合物を加熱する段階
を含む、前記方法。
【請求項2】
塩を、後の中和により製造することを特徴とする、請求項1に記載のビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸またはこの塩の製造方法。
【請求項3】
用いられるジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランまたはトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホランが、一般式I
(C2n+1PF5−m
式中、1≦n≦8、好ましくは1≦n≦4であり、各々の場合において、m=2または3である、
で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
用いられるジフルオロトリス(パーフルオロアルキル)ホスホランが、ジフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスホラン、ジフルオロトリス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランおよびジフルオロトリス(n−ヘプタフルオロプロピル)ホスホランからなる群から選択された化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
用いられるトリフルオロビス(パーフルオロアルキル)ホスホラン化合物が、トリフルオロビス(n−ノナフルオロブチル)ホスホランであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
プロセス段階b)における加熱の間の温度が、室温〜150℃、好ましくは100℃〜145℃、特に好ましくは135〜140℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
プロセス段階b)における加熱の継続時間が、1〜150時間、好ましくは10〜25時間、特に好ましくは18〜22時間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
反応媒体が、水または水をベースとする混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
塩基、好ましくは水酸化物、酸化物、水素化物、アミド、炭酸塩、ホスフィンまたはアミンを用いて、塩を製造することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
部分的にアルキル化された、およびパーアルキル化されたアンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウムおよびトリアゾリウム塩からなる群から選択された、ビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩。
【請求項11】
以下のもの
【化1】

式中、R〜Rは、同一であるかまたは異なっており、随意に互いに直接、単結合または二重結合により結合されており、各々個別に、または一緒に、以下のように定義されている:
−H、
−ハロゲン、ここでハロゲンは、Nに直接結合していない、
−部分的に、または完全に他の基、好ましくはF、Cl、N(C(2n+1−x)、O(C(2n+1−x))、SO(C(2n+1−x))、C(2n+1−x)により置換されていることができ、ここで1<n<6および0<x≦2n+1である、アルキル基(C〜C
からなる群から選択されたカチオンを有する、請求項10に記載のビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩。
【請求項12】
請求項10または11に記載のビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩の、イオン性液体としての使用。
【請求項13】
請求項10または11に記載のビス(パーフルオロアルキル)ホスフィン酸の塩の、相転移触媒または界面活性剤としての使用。

【公開番号】特開2010−180211(P2010−180211A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36014(P2010−36014)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【分割の表示】特願2003−584066(P2003−584066)の分割
【原出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】