説明

ビタミン、金属塩、およびインスリンまたは成長ホルモンを含有する治療用の組成物

【課題】天然産物を含有する組成物およびその治療、特に遺伝病(遺伝的傷害)、ウイルス疾患、癌およびAIDSの治療用組成物の提供。
【解決手段】皮膚疾患の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。特に、該皮膚疾患が乾癬、強皮症および天疱瘡から選択され、癌の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用とAIDSの治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。さらに、RNAもしくはDNAウイルス、またはレトロウイルスによって引き起こされる疾患の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物を使用した組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として天然産物を含有する組成物およびその治療、特に遺伝病(遺伝的傷害)、ウイルス疾患、癌およびAIDSの治療における使用に関する。該組成物は化粧品としの用途も有する。
【背景技術】
【0002】
10年間におよぶ研究にも拘わらず癌治療は依然として不十分である。手術は固形癌の除去に使用しうるが、癌の転移や再発は一般的である。薬物による治療または化学療法は一般に非特異的であり、免疫システムの損傷などの望ましくない副作用を伴う。細胞毒性薬物による細胞破壊は一次反応速度論に従う、すなわち、癌細胞の減少は数について一定ではなく、割合(%)について一定である。このように癌細胞を108から107に減少するに必要な用量と同一の用量が103から102に減少するのに必要である。従って、どのような腫瘍であっても、副作用なしに化学療法単独で最終部分を全滅させることは困難である。
【0003】
放射線治療はより局所的かもしれないが、患者にとっては依然として危険であり、再発を避け得ない。治療が極めて局在性であるとは、たとえ健常細胞の損傷を避けることができても、影響されない癌または前癌細胞が多く存在することを意味する。手術、放射線治療、および化学療法のいずれも治療完了後に残留腫瘍組織が残る。放射線治療および化学療法のいずれも患者の免疫系を抑制するので、結果的にどの治療も効果が減少する。
【0004】
同様にAIDSの治療も不充分である。薬物治療はいくらかの症候の寛解をもたらし得るが、副作用を伴いがちである。このように、長期的に有効な治療はない。さらに、AIDS患者が免疫不全状態であることが従来の治療法の大きい問題として残っている。
【0005】
癌およびAIDSのほかに、薬物の非特異性に起因した副作用を伴う化学療法でのみ処置される、多くの症状がある。これらの症状は乾癬、強皮症および天疱瘡等の皮膚疾患を含む。さらに、ニューカッスル病のような、有効な治療の存在しない獣医学的な症状がある。
【0006】
上記に例示したタイプの症状は、例えば、遺伝子がインビボでタンパク質に翻訳されるプロセスにおける何らかの失敗(不履行)のような、遺伝病と関係している可能性が有る。タンパク質中で唯1個のアミノ酸変化でも疾患に関連することが知られている(例、鎌状赤血球貧血)。中でも増殖性疾患および癌は、遺伝子のタンパク質生産に向けての組織化から導かれる一連の事象におけるエラーに関連している可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は一つ以上の天然産物、すなわちインビボで生体内に存在するか、生体により充分許容される物質が、上記の各タイプの疾患の治療に有効であるとの驚くべき発見に基づく。上記のような該物質の性質により、新規な薬物は大きい副作用なしに全身投与できる。とはいうものの、さらに他の物質を用いることによって薬物の効果を一層高め、または補強しうる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従い、薬物は以下の構成要素(成分:component)の一つ以上を含有する。
(i)抗酸化剤またはビタミン;
(ii)金属イオン;および
(iii)細胞が、細胞外の成分(構成要素)を取込む能力を高める物質。
後述するデータから明らかなように、所定の成分全てを一緒に用いることは治療に極めて有用である。当業者ならば、これらの成分の効果が独立か相互依存性であり、それがこれまでの発見された性質と矛盾しないことを理解するであろう。すなわち、本発明の治療に用いるのに有効な薬剤は、特定の成分(i)、(ii)および(iii)のうち、1個のみまたは任意の組合せ(すなわち、(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)または(1)、(ii)と(iii))を含有していても良いことが理解できるであろう。代替的に(alternatively)、または付加的に、これらの成分の1またはそれ以上を本明細書に記載の任意の他の成分と一緒に含有していても良い。
【0009】
本発明は、遺伝子突然変異の回避と、突然変異した細胞の迅速な増殖の阻止を目的とする。
理論に拘束されることを意図しないが、本発明に用いる成分の効果は、たとえば、免疫無防備細胞における、腫瘍における、またはさもなくば異常な作用をする細胞における、タンパク質発現に至る工程(ステップ)の制御および/または訂正でありうる。それは、たとえば、成分(i)のような一つの成分が、たとえば、おそらく分化遺伝子を訂正するか異常な細胞を溶解する遺伝子を活性化することにより、細胞を「正常化」することであってよい。本発明に従い、この成分は冒された細胞に作用しうる形で提供される。細胞が正常化される可能性は、既に正常な細胞は影響されずに維持される(すなわち、副作用がない)ことの理由、および組成物の使用で癌細胞は変化(肉眼で観察される)せず良性になることの理由、および転移が阻止されることの理由、の釈明の助けとなるだろう。
【0010】
癌においては、毒性物質が間接的に遺伝子に作用し、結果的に核酸翻訳におけるエラー、さらに細胞におけるエラーをもたらしうる。 (i) 項の成分は細胞またはその成分を正常に機能せしめる。分化を担う遺伝子が訂正されるかもしれないし、訂正されなくても、自殺遺伝子が暴かれ(覆いを取られ)て腫瘍細胞を溶解する。
【0011】
他の遺伝的傷害、たとえば、ウイルス感染症によって引き起こされる病気では、異物が細胞の膜やレセプターと相互作用するか、細胞に入り、局所的な化学的または物理的変化を起こす。遺伝的傷害が導入されているかもしれず、遺伝的異常が存在するかもしれない。本発明によればウイルスが細胞膜を貫通することを阻止するか、ウイルスを破壊し得る。膜またはレセプターにおける異常を訂正できる。正常化された細胞はウイルスに感受性でなく、該ウイルスはオプソニン作用によって刺激され活性化された食作用によって破壊される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明組成物の特定の成分のうち、第一の成分は抗酸化剤である。この成分の機能はシステイン残基の酸化によるS−S結合の形成阻止であろう。ジスルフィド結合は多くの酸化剤によって引き起こされ、酵素活性の損失を招く。代替的にまたは付加的に、抗酸化剤は正常な代謝の副産物としての酸素ラジカル(フリーラジカル)の生産を阻止する。これらの酸素ラジカルは細胞膜、タンパク、脂質およびDNAに対して非常に破壊的である。酸化による損傷は加齢と共に蓄積され、老化および変性疾患(例、癌、心血管疾患、免疫系の衰退など)の主たる原因と考えられている。
【0013】
本発明に使用するのに適当な抗酸化剤はビタミンC、AおよびE等の低分子物質である。それらの化合物の適当な前駆体(例、βカロチン)も使用し得ることが理解されるであろう。本発明に用いる好ましい抗酸化剤はビタミンC(例、アスコルビン酸)である。この成分の適当な用量は1-500mg/kg/日である。
【0014】
代替的にまたは付加的に、本発明の薬物の必須成分である第一の物質は、通常、ビタミンBの成分を1つ以上含有する。多くの酵素がそれらの基質の反応を特異的な非タンパク分子(すなわち補酵素)の存在下でのみ触媒する。しばしば、補酵素はその構造の一部としてビタミンBを含有している。ビタミンB1(塩酸チアミン)、B2(リン酸リボフラビンナトリウム)、PP(ニコチンアミド)、B6(塩酸ピリドキシン)、およびB5(パンテノール(dexpanthenol))の1つ以上を使用することができる。そのような各成分の量は、例えば、0.1-50mg/kg/日である。
【0015】
本発明の薬物の必須成分である第2の物質は、インビボで金属イオンを与えることができる金属塩である。陰イオンの性質は決定的なものでなく、一般に非毒性であり適当な溶解性、またはその他薬物の他の成分との適当な適合性があるものを選択する。多くの金属イオンが積極的(ポジティブ)なモディファイアとして作用し、ある種の酵素は完全な活性のために金属イオンの存在を必要とする。金属イオンの機能は補酵素の補完であろう。イオンは、例えば、Na、KまたはCu、Fe、Mo、Mg、Mn、Ca、Zn、Cu、Co等の多価イオンでありうる。これは塩であってよく、例えばHClまたはHSOのような無機酸や、酢酸、クエン酸、グルコン酸、マレイン酸またはコハク酸との塩の形であってよい。この型の好ましい成分はグルコン酸カルシウムである。この成分の典型的な投与量は1−1000mg/kg/日である。
【0016】
本発明の薬物の必須成分である第3の物質は細胞膜の透過性を増大する、または輸送を高める物質(例えば受容体への作用により)である。この物質は、処置が必要な細胞が、新規な薬物、特にヒトの治療における薬物、に含有されている可能性のある他の活性物質または活性物質類を受け取る能力を高めるかもしれない(これは獣医学分野での薬物には必要でないかもしれない)。この型の好ましい成分はインスリンまたは成長ホルモンである。この成分の典型的な投与量は1−1000IU/kg/日である。
【0017】
本発明の薬物は第3の必須成分となりうる物質(material)として、抗ヒスタミン物質をも含有しうる。そのような物質は異常な反応、特にアレルギー反応を防止または減少するのみならず、輸送を阻止する物質(substance) (例えば、細胞膜受容体への結合により)の蓄積をも防止する。
【0018】
当業者に既知であるが、抗ヒスタミン剤(物質)は肥満細胞または好塩基球により放出されるヒスタミンと、眼、鼻、気道の粘膜および皮膚のヒスタミン受容体を拮抗することにより作用する。抗ヒスタミン物質は受容体と結合しヒスタミンの結合を阻害することにより組織におけるヒスタミンの作用を阻止する。抗ヒスタミン物質はアレルギー反応および風邪の際のヒスタミン産生の生理学的効果を弱める。
【0019】
抗ヒスタミン剤は古典的抗ヒスタミン類と非鎮静抗ヒスタミン類に分類される。そのような成分には次のように多数の例がある。アクリバスチン(acrivastine)、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン(brompheniramine)、カルビノキサミン、セチリジン(cetirizine)、クロルフェニラミン、クレマスチン・フマル酸エステル、シプロヘプタジン、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ヒドロキシジン、フェキソフェナジン(fexofenadine)、ロラタジン(loratadine)、メクリジン、フェニンダミン(phenindamine)、プロメタジン、ピリラミンおよびトリポリジン(tripolidine)。
【0020】
本発明に用いるのに好ましい物質はクロルフェニラミン・マレイン酸塩である。そのような成分の適切な用量は0.1-50mg/kg/日である。
【0021】
医薬における慣例として、本発明の薬物は目的とする効果、製剤(処方)の性質、投与経路、および当業者に既知の他の因子に応じて、他の成分を含有していても良い。例えば、薬物は水中で製剤化しても良い(例えば注射に適した水溶液または懸濁液を得る)。そのような製剤には、有機または極性溶媒のような、活性成分(active ingredient)の溶解または懸濁化を助ける、付加的な物質を1つ以上含有させることが望ましいかもしれない。組成物は、例えばフェノール(保存剤として作用する)等の慣用の賦形剤を含有していてよい。
【0022】
かゆみ止めを含有させることが望ましいかもしれない。これらの効果は天然物質(例えば、キク科植物カモミール(Matricaria chamomile)の乾燥頭状花、またはそれに含有される1つ以上の物質(例、精油、アゾレン(azolene)、アンセミン酸(anthemic acid)、アポゲニン(apogenin)、グリコシドおよび他の物質等)のいずれを用いても達成されることが分かっている。アゾレンは抗消炎性を有し、アレルギー反応を抑制し、再生プロセスを強化する。アピゲニン(Apigenin, 4',5,7-トリヒドロキシフラボン)は強力な鎮痙作用を有する。フラボン類は毛細血管の脆弱性を逆転させる。そのような成分は異常な化学伝達物質を阻害することができる。
【0023】
本発明の組成物は当業者既知の方法で製剤化することができる。薬学的に許容される成分を使用すべきである。「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」という語句は、患者にとっては薬理学的/毒物学見地から許容しうること、製薬化学者にとっては処方、安定性、患者の許容性およびバイオアベイラビリティー等に関する物理学的/化学的見地から許容しうる性質および/または物質を指す。
【0024】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性散剤または顆粒剤、エマルション、硬または軟カプセル、またはシロップまたはエリキシルなどの経口用途に適した剤形であってよい。そのような組成物は、医薬として洗練された口当たりの良い製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色料、および保存剤からなる群から選択される1つ以上の物質を含有していても良い。錠剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム等の不活性な希釈剤;例えばコーンスターチまたはアルギン酸等の顆粒化または崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア等の結合剤;および例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク等の潤滑剤、などの非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して活性成分を含有する。錠剤はコーティングされていないか、胃腸管内での分解を遅らせより長期的に持続的作用が得られるように、既知の方法でコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等の遅延化材料を用いることができる。それらは放出制御用の浸透性治療用錠剤を形成するためにコーティングすることができる。
【0025】
経口用途のための製剤はまた、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン等の不活性固形希釈剤と混合された活性成分を含有するゼラチン硬カプセル、または水、またはピーナッツ油、液状パラフィンまたはオリーブ油等の油と混合された活性成分を含有するゼラチン軟カプセルとして提供しうる。
【0026】
水性懸濁液は、活性物質と適当な賦形剤との混合物を含有する。そのような賦形剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴム等の懸濁化剤;分散または湿潤剤、例えば、レシチン等の天然に存在するリン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン等のアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、ヘプタデカエチレンオキシセタノール等のエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、ソルビタンモノオレイン酸ポリオキシエチレン等のエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール(ポリオキシエチレン等)から導かれる部分エステルまたは脂肪酸とヘキシトール無水物から導かれる部分エステルとの縮合産物が挙げられる。水性懸濁剤はまた、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n-プロピル等の保存剤を1つ以上、着色料を1つ以上、香味料を1つ以上、蔗糖やサッカリン等の甘味料を1つ以上を含有することができる。
【0027】
油性懸濁剤は活性性成分を植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、ココナッツ油等)または液状パラフィンのような鉱油に懸濁することにより製剤化される。油性懸濁剤は贈粘剤(ミツ蝋、固形(硬)パラフィンまたはセチルアルコール等)を含有していても良い。甘味料(上記の通り)と香味料を、口当たりの良い経口製剤を提供するため添加してもよい。これらの組成物は抗酸化剤(アスコルビン酸等)を加えて保存することができる。
【0028】
水を加えて水性懸濁剤を調製するのに適した分散性粉剤または顆粒剤は、活性成分と、分散または湿潤剤、懸濁剤、および一つ以上の保存剤との混合物を含有する。適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤の例は上記の通りである。甘味剤、香味剤、および着色剤も含まれていて良い。
【0029】
本発明の医薬組成物はO/Wエマルションの剤形であってよい。油相はオリーブ油、ラッカセイ油等の植物油または鉱物油(液体パラフィン)またはこれらの混合物であってよい。適当な乳化剤は天然に存在するゴム(例、アカシアゴム、トラガカントゴム)、天然に存在するリン脂質(例、大豆、レシチン)、および脂肪酸とヘキシトール無水物から導かれるエステルおよび部分エステル(例えばソルビタンモノオレイン酸)および該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例、ソルビタンモノオレイン酸ポリオキシエチレン)であってよい。エマルションは甘味料および香味料を含有していても良い。
【0030】
シロップおよびエリキシル剤は甘味料(例、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたは蔗糖)を用いて処方しうる。そのような処方には緩和薬、保存剤、および香味および着色料も含有させることができる。医薬組成物は無菌注射用水性または油性懸濁剤の剤形であってよい。この懸濁剤は上記で例示した、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて製剤化することができる。無菌注射用製剤は、また非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例、1,3−ブタンジオール中の溶液)中の無菌注射用溶液または懸濁液であってよい。許容されるビヒクルおよび溶媒のうち、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液が使用可能である。加えて、従来から、懸濁用媒体として無菌の不揮発性油が用いられている。この目的には、合成されたモノグリセリドまたはジグリセリド等の任意の無菌の不揮発性油を使用することができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸を注射用剤の調製に使用しうる。
【0031】
組成物はまた薬物の直腸適用のための坐剤の剤形で投与することができる。そのような組成物は薬物と、常温では固形であるが直腸内の温度では液状であり、直腸内で融解して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合することにより調製しうる。そのような物質はココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0032】
局所使用のために適当な組成物の剤形は、例えば、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液である。本明細書の目的から局所適用は口内洗浄液およびうがい薬を含む。
【0033】
上記の通り本発明の組成物は注射により投与することができる。任意の非経口投与が適するが、筋肉内注射が好ましい。
【0034】
また、組成物を経口的に投与することも好ましい。この場合、透過-増強剤を使用する場合、インスリンを経口製剤に含有させない方がよい。経口投与は獣医学分野の医薬として、特に好ましい。
【0035】
他の活性物質をも対象に与えることができる。さらなる物質の必要性を確信するわけでないが、ある種のステロイド類、ビタミン類、通常経口的に投与されるものは薬物の効果を支援または強化することが知られている。適当なステロイドホルモンは、ビタミンおよびアミノ酸等の必須代謝物の補助のもと、ある種のシストロンを暴くことで特異的なタンパクの合成を増大させうる。適当なステロイド類の例としてエストラジオール、ナンドロロン、およびエストリオールが挙げられる。ビタミンA、Dおよび/またはEのようなビタミン類も使用しうる。ビタミンAの機能は上皮組織のインテグリティー(完全さ)を保全すること、タンパク合成における役割を担うこと、および細胞膜および亜細胞膜を安定化することであろう。
【0036】
本発明組成物は、それを医薬として用いると、毛髪の成長が回復または増進されることから、化粧品としての用途を有する。この目的のためには局所用組成物が好ましい。
【0037】
本発明組成物の治療用用途には、上記の症状の治療(および予防も含みうる)を含む。これらのおよび他のものには、乾癬、強皮症および天疱瘡等の局所状態、感染性気管支炎、肉腫(例、カポジ肉腫)を含む癌、白血病、皮膚癌、およびその治療法が以下に詳述されている悪性腫瘍、並びにAIDSを含む。白血病の治療には組成物を成長ホルモンの投与によって補充する。より一般的には、増殖性およびウイルス性症状、特にDNAまたはRNAウイルスに関連した症状の治療に用いうる。RNAウイルスへの作用は直接的であるかもしれないが、DNAウイルスおよび癌への作用は、少なくとも漸進的であろう。医薬はまた、運動神経疾患および多発性硬化症等の遺伝病の治療にも有用であろう。
【0038】
癌治療において、薬物は必ずしも腫瘍サイズを減少しなくても患者のQOL(生活の質)を高め得ることも分かった。例えば、以下の段階を有する治癒過程(healing process)を促進する。
(i) 転移および腫瘍増殖の中止(および腫瘍塊が縮小し始める);および
(ii) 腫瘍が線維化工程を経て一貫して硬くなり、周囲の正常組織から隔離され外科的に摘出しやすくなる。
【0039】
薬物は体細胞を正常化することにより免疫系に間接的に影響するように思われる。明らかに抗ウイルス活性に関して直接および間接作用の両方を有し、それは非常に迅速なRNAウイルスに対する直接作用と、DNAウイルスおよび癌に対する直接および間接的な作用によって証明されている。それは、さもなくば異常な遺伝的物質を正常化するようであり、その効果は化学的および機能的の両方である。さらに、細胞成分の大部分、特に細胞表面受容体および遺伝的物質が本薬物の標的になりうると考えられる。細胞への影響にも拘わらず、18ヶ月以上の癌患者への治療後にも副作用は検出されていない。
【0040】
AIDSの治療について言えば、患者はヒトレトロウイルス(HRV)を有するだろう;これは当業者にとっては明らかなことであるが、I型ヒト免疫不全ウイルスまたはその株であって、多くのヒトレトロウイルスと同様に、同じウイルスファミリーに属してヒトに対し同じ生理学的効果を生じるものであることを意味する。
【0041】
治療を受けるべき患者は(1)血清中の測定可能なウイルス抗体または抗原の存在によって決定される、1以上のヒトレトロウイルス株に感染しており、および(2)AIDSと定義される以下の(a)-(e)の症候を有するか末梢血中のCD4リンパ球の絶対的なカウント数が200/mm2以下である個体。前記症候は(a)播種型ヒストプラズマ症、(b)イソスポーラ症(isopsoriasis)、(c)カリニ肺炎を含む気管支および肺カンジダ症、(d)非ホジキンリンパ腫または(e)カポジ肉腫。
【0042】
HIV陽性であるが無症候性である患者は通常、低用量で治療される。ARC(AIDS-関連複合)およびAIDS患者は通常、高用量で治療される。
【0043】
本発明で使用する成分は他の抗ウイルス剤(AZT、ddI、ddC、3TC、d4Tまたは非ヌクレオシド抗AIDS薬)と一緒に(同時に、随伴的に、または連続的に)投与することが望ましい可能性がある。
【0044】
本明細書に記載の通り、AIDSの治療はHIVウイルスの阻害を意味し、感染した個体によって異なる。HIV-陽性(感染)であるが無症候の患者に対しては、薬物は症状の発現を遅延または阻止しうる。HIV-陽性(感染)であり症候性の患者、AIDSまたはARCの予備患者、に対しては、薬物は「完璧なAIDS」の発現を遅延しうる。「完璧なAIDS」を有する患者に対しては、薬物は少なくともこれらの患者の生存を相当に延命化する。
【0045】
薬物はまた他のウイルス性病状を治療するのに使用しうる。例えば、ウイルスは、SARSS(severe acute respiratory syndrome)の場合のようにコロナウイルスでありうる。さらに、上記のごとくニューカッスル病や鶏痘などに対する、獣医学分野の医薬(例、家禽類の疾患)としても有用である。
【0046】
ある物質に関して適切な用量が指示されているが、正確な用量と投与頻度は幾つかの因子に依存する。これらの因子には、当業者も既知のとおり、用いる特定の成分、治療される特定の症状、症状の重篤性、患者の年齢、体重および全身の身体状況、および個体が使用している可能性のある他の薬物等が含まれる。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例1 薬物
以下の物質を処方した。
1.キク科植物カモミール(Matricaria chamomile)の乾燥頭状花 100 g
2.発熱物質不含の蒸留水 2.0 L
3.フェノール 7.5 ml
4.アスコルビン酸(ビタミンC) 27500 mg
5.グルコン酸カルシウム(イオン化カルシウム) 75625 mg
6.(インスリン)生合成インスリンの中性溶液 750 IU
7. クロルフェニラミン・マレイン酸塩 1250 mg
8.ビタミンB1(チアミン塩酸塩) 1250 mg
9.ビタミンB2(リン酸リボフラビンナトリウム) 683.75 mg
10.ビタミンPP(ニコチンアミド) 5000 mg
11.ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩) 500 mg
12.ビタミンB5(dexpanthenol、パンテノール) 750 mg
【0048】
発熱物質不含の蒸留水(2.0 L)を、予め清浄化し発熱物質不含蒸留水で洗浄しておいた大きいビーカーに注ぎ、オーブン中、125℃で1時間滅菌した。
【0049】
キク科植物カモミール(Matricaria chamomile)の乾燥した頭状花を発熱物質不含の冷蒸留水で充分に洗浄した。洗浄した頭状花をビーカー内の水に加え、加熱し温度を95℃に達するまで撹拌した。
【0050】
温度が35℃に近づいた時点でビーカー内容物を3層の濾紙(予め無水エタノールで洗浄済み)でろ過した。ろ液を別の滅菌した発熱物質不含ビーカーに集めた。グルコン酸カルシウムとアスコルビン酸(ビタミンC)をビーカーに加えて撹拌した。再度、ビーカーの内容物を3層の濾紙(予め無水エタノールで洗浄済み)でろ過した。65℃に予備加熱したフェノール(石炭酸、7.5ml、融点63℃)をビーカーの内容物に加え、充分に撹拌した。温度が10℃に近づいたとき、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンPP、ビタミンB6、ビタミンB5(Becozyme)、クロルフェニラミン・マレイン酸塩(Allerfin)、および生合成インスリンをビーカーの内容物に加えてよく撹拌した。
【0051】
得られた薬物を5.0mlの小さいバイアルまたはアンプル、または大きいバイアルまたは瓶、または静脈内(点滴)として用いられる100mlまたは500mlのタイプのものに注入した。この薬物を注射用として適していた。
【0052】
カモミールエキスの好ましい調製法は以下の通りである。
適当な品質(即ち、乾燥しすぎていない)カモミールの花を穏やかに850mmのふるいに通し、粉塵を除き、青い葉を除去する。粉塵と粒子を除去した後、ふるいに残った頭状花を手でこすり、頭状花から黄色い粒子を放出させる。次いで、粒子を850mmのふるいに通して望ましくない大きい頭状花の破片を除き、再度、850mmのふるいで、端から端へと激しく揺すりながら3回通し、軽くて望ましくない断片を後方へ残す。得られた画分(フラクション)は黄色で僅かに光沢がある。
きれいなガラスビーカー(3L)中、100gの画分に発熱物質不含の注射用滅菌水約2Lを加え、撹拌混合する。生成物をホットプレートを用いて95℃に加熱した後、約35℃まで冷却する。抽出混合物を355mmのふるいに通し、粒子を除去する。ろ過物を0.2μmの滅菌フィルターに通し、所望の液状カモミールエキスを得る。
【0053】
治療例
上記の薬物を、平均体重75kg(対象の体重50-100Kg)に対し、用量5mlで筋肉内に1日2回(12時間ごとに5ml)投与した。用量は、体重に応じて、0.072ml/kg/日、2回に従い計算した。
【0054】
エストラジオール(5mg)とビタミンA(40000IU)を毎週、別個に投与した。さらに、別途、エストリオール(0.5 mg)を毎日患者に与えた。最後に、デカン酸ナンドロン(Deca durabolin)(25 mg)を別途、患者に20日ごとに投与した。
【0055】
様々な健常な動物およびヒトモデルでは、このレジメは安全であることが証明されている。本発明に従って、治療は数多くの症例で成功であった。それらには以下の型が含まれる。
a.末期癌患者。
b.種々の型のウイルス疾患の患者。
c.遺伝的な異常疫学(癌以外)の疾患の患者、例えば、乾癬、天疱瘡、進行性全身性硬化症、子供における亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、および運動神経疾患の患者。
【0056】
治療された具体的な10名の別々の患者は以下の症状を有していた。
(1)膵臓頭部の腺癌であり、局所リンパ節および肝臓への転移を伴い、膵臓体部の大きい嚢胞(100x 125 mm)を有する;骨格領域の大部分への転移;皮膚全体に及ぶ湿った滲出性鱗屑を有し、これはヘルペス性湿疹と診断された。
(2) 右の腸骨への転移を伴う甲状腺の濾胞状癌; 治療後、転移は右テーマ(thema)の大きい転子(転節)、頭蓋および左脊椎骨を含む骨格の他の部分を含む部位へ進行。
(3) 下顎骨の未分化型扁平上皮細胞癌。
(4) リンパ型の未分化型悪性リンパ腫またはリンパ肉腫。
(5) 小脳星状細胞腫(充分に分化した低グレード小脳星状細胞腫、組織学的グレード1−2)。
(6) 骨格の至る所に転移した膀胱の乳頭状移行上皮癌。
(7) 天疱瘡
(8) 肝臓内または外の胆管閉塞を伴う、門(門脈)内に多発性の転移を有する膵頭部の癌。
(9) 進行性全身性硬化症(強皮症)。
(10) 喉頭蓋の咽頭表面および前庭(空)ひだの扁平上皮細胞癌(咽頭蓋周囲空間および喉頭蓋谷に広がる、声門上皮領域の侵襲性の扁平上皮細胞癌);右声帯の動きの制限(以前に左側開胸術)。
【0057】
強皮症の患者の場合、抗細胞核抗体試験(免疫蛍光法を使用)によって治療前は陽性であったが、後には陰性になった。以下に完全な症例報告を示す。
実施例A
患者は41歳、男性であった。彼の執刀医の治療報告によると、患者は閉塞性黄疸と進行性の体重減少、脚の浮腫、腹水を伴う明白な膀胱および腹水腫瘍を呈していた。超音波診断で肝臓の肥大と、胆嚢に加えて肝臓内および肝臓外への胆管の拡張が認められた。患者の手術で以下の所見を得た。膵臓頭部の進行癌(直径50-75mm)、局所的なリンパ節での続発を伴う大きい膵臓嚢胞(直径100x 125 mm)、および肝臓右葉の後部表面に位置する塊(20x20 mm)と拡張した胆嚢および胆管。緩和的な工程が実施された(T字管副木(splint)を用いる側と側での総胆管十二指腸吻合術および結腸後方の胃空腸吻合術)。リンパ節の病理学的報告は、転移性腺癌であった。化学療法が行われたがなんら利点はなく、転移病巣は拡大し、健康の悪化と重篤な憔悴を伴った。
【0058】
本発明に従って治療すると、患者は次第に回復し膵臓、肝臓、リンパ節、他の内臓、骨、および他の体部分の腫瘍が全部消失した。2ヶ月以内に腹水が消滅し皮膚は正常になった。患者は治療から15ヶ月後に完治した。
【0059】
実施例B
患者は8歳の男児であった。脳の後頭部に腫瘍が診断された。腫瘍を切除し、組織病理学的に検査したところ、充分に分化した低グレード(級)小脳星状細胞腫(組織学的グレード1−2)であった。腫瘍の切除後、脳室内空間にドレナージのために頭蓋内カテーテルを挿入した。患者を次いで退院させ、X腺深部療法を適用したが、全身健康状態が悪化した。死亡が予見された。
【0060】
本発明に従って治療すると、子供の全身健康が次第に回復し頭皮の毛髪が再成長してきた。1年後、全試験および検査の結果は患者が完治したことを示していた。5年後、彼は正常であった。
【0061】
実施例C
患者は45歳の女性であった。放射線写真で寛骨臼(acetabulum)の直ぐ上の右腸骨に発見された骨病巣の手術を受けた。病巣から採種したサンプルの組織病理学的な検査は、甲状腺を原発とする骨の転移性濾胞腺癌であることを示していた。ヨウ素放射線療法で治療したが、その後、右大腿骨部の大きい転子および頭蓋にも転移巣が出現した。甲状腺摘出術では原発巣は認めなかった。原発部が潜在化したと結論された。
【0062】
本発明に従って治療した後、病巣が徐々に退化し、腫瘍の退化後あらゆる場所で病巣の骨マトリックスが再生した。新らしい骨のマトリックスが再形成され、石灰化が再現され、患者は完治した。4年以上再発はなく患者は現在良好な健康状態にある。
【0063】
実施例D
男性患者(62歳)は、下顎の歯茎の腫れと、増大する切歯の動きに気づいた。診断の後、両顎から全歯の抜歯を受けた。切歯の病巣部の腫れた組織から得た生検の組織病理学的検査で、未分化の扁平上皮細胞癌が認められた。放射線学的に、骨全体に骨溶解性病巣が多数見いだされたので、下顎の下顎骨の切除が決定された。患者は人工(プラチナ)下顎骨の挿入を拒否した。
【0064】
本発明に従う治療の開始後、患者の健康状態は徐々に改善された。骨溶解性病巣は退化し、手術と骨溶解性病巣に起因する骨欠陥が自然の骨によって再形成された。治療開始約5ヶ月後の放射線写真は、骨溶解性病巣の残存を示していなかった。全身の骨検査、胸部X線、腹部および骨盤内臓の超音波検査、血液の全血液学的および生化学的検査により正常であることが分かった。6ヶ月以内に完全に回復した。
【0065】
実施例E−G
3名のAIDS患者を治療した。
第1の患者は長年にわたって頑固な全身性リンパ節腫脹(PGL);重篤な体重減少;潰瘍性大腸炎に端緒を有する、寛解と悪化の10年にわたる慢性血液性下痢の病歴;数メーターも歩けない位重篤な疲労;および嚥下障害のような重篤な咽頭のカンジダ症症候を伴う頬の幾つかの丘疹を伴う、顕著な口内および舌の鳶口瘡(カンジダ口内炎)。
【0066】
これらの所見は以下のサインおよび症候を伴っていた;液体であっても飲み込み時に起こる重篤な咽頭の痛みに起因する恐食症に加えて、食欲の喪失;不能を伴う性欲の欠乏;悪液質の外観;悪質な痒みを伴う左腕と両脚の真菌感染;爪白癬感染によって汚く、分厚く、鱗状で悪化してもろい状態の指の爪;2年以上に及ぶ痛く感じやすい肝腫脹(肝臓は右肋骨下縁から下方に約4指拡張);両乳房領域の呼吸に際する中程度の胸痛、液体さえ、飲み込み時の胸骨裏の痛み;および不眠を伴う心理的な悪感情。
【0067】
患者は抗ウイルス剤であるレトロビル(Retrovir)、他の抗ウイルス剤および多くの抗生物質で治療されていた。彼は短期的には抗ウイルス剤で何らかの効果を得ていた。そのような治療中に全身症状の再発が起こった。
【0068】
第2の患者は以下の症状を示していた:数年に及ぶPGL;慢性の漿液血液状の尿道分泌物;ペニスの帯状ヘルペス(帯状疱疹)、これは大きい病巣と瘻孔の形成に至る;性欲の減退:および心理状態の悪化。
【0069】
第3の患者は以下の症状を呈していた:呼吸困難(何らかの呼吸の困難);疲労;涙管を超えて右目内眼角の10mm下方までの右鼻側の慢性膿瘍。この膿瘍は局所および全身性の抗生物質投与や局所殺菌では溶解や治療不能。
【0070】
本発明に従う治療4週間後、幾つかの例外を除いて全部の上記サインおよび症候が消失した。即ち、リンパ節は完全に溶解しなかったが、そのサイズは約1/3に減少し、それらは弾性でなく柔らかくなり、下部組織に固定化されず移動するようになった。悪化していた指の爪は完全に正常化しなかったが、新たに伸びた爪は真菌感染していなかった。ペニスの帯状疱疹は小康状態となり2回だけ再発したが、痛みがなく、再発することなく完全に消失した。
【0071】
10週間後、リンパ節は完全に消失した。爪の真菌感染は消失しており新たに成長した部分がたいそうきれいで、健康的であり輝いていた(局所薬物治療なしに)。帯状疱疹は消失し再発しなかった。
【0072】
血液学
治療前の好中球/リンパ球比は1:2であった。この比を治療中監視し、その比は3名の患者でほぼ許容しうる2:1になった。
好中球およびリンパ球に関する全計数値は3名の患者でいずれも正常範囲に戻った。
全WBC数、全T−リンパ球数、およびT4リンパ球数はすべて正常レベルに上昇した。
【0073】
全身の生化学
治療後、酵素GOT(AST)、GPT(ALT)、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、および血清アミラーゼはすべて正常レベルまで減少した。
イムノグロブリン、特にIgGおよびIgAは、その正常範囲まで減少した。
【0074】
抗体血清レベル
3名の患者の血清中HIV抗体レベルを、異なる日にアッセイした。患者の閾値(相対的蛍光値)は下記のごとく連続的に減少した。
【表1】

【0075】
HIV−RNA
HIV−RNAの量を評価するために、治療直前および治療開始後多くの時点で3名の患者から得た血液試料をRT−PCRを用いて検査した。
治療開始70日後、HIV−1陽性コントロールバンドと同じ位置にHIVバンドが検出された。結果的に、1名の患者において、ウイルス性RNA濃度が非常に低レベルまで大きく減少し、その時点で該バンドはほとんど認められなかった。他の2名の患者では、ウイルス負荷は、治療開始時の約50%の減少にすぎなかった。ウイルスRNA濃度は大きく減少した。
【0076】
一回投与急性毒性試験はラットを用いて実施した。雄性および雌性ラットを無作為に25μlの筋肉内一回注射に供した。20頭の動物を研究した。5ラット/性/群で服用させた。彼らを注射から24時間後、および14日後に犠牲にした。
【0077】
投与レベルは、これまで治療されてきた患者で用いた用量に倣って選択した。毒性症状は研究したどの動物でも報告されなかった。この急性段階で死亡は報告されなかった。どの動物においても、剖検で巨視的な器官の変化または損傷は認められなかった。動物の体重は薬物の影響を受けなかった。
【0078】
分析
予備的な結果は以下のことを示していた。腫瘍細胞増殖アッセイで薬物はガン細胞系の増殖を、濃度−依存的な方法で阻止した(平均IC70:1.1 vol%)。肺癌、乳ガン、およびメラノーマ癌細胞系に関して選択的であることが示された。
【0079】
腫瘍幹細胞アッセイにおいて、薬物は外移植したヒト腫瘍細胞の増殖を濃度−依存的な方法(平均IC70:1.6 vol%)で阻害した。肺癌、乳ガン、およびメラノーマ癌細胞系に関して選択的であることが示され、増殖阻害アッセイの結果を確証した。さらに、膵臓腫瘍で2/3、胃の腫瘍で1/2、そして直腸の腫瘍で1/4の重要な腫瘍増殖阻害が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚疾患の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。
【請求項2】
該皮膚疾患が乾癬、強皮症および天疱瘡から選択される、請求項1に記載の使用
【請求項3】
癌の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。
【請求項4】
AIDSの治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。
【請求項5】
RNAもしくはDNAウイルス、またはレトロウイルスによって引き起こされる疾患の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。
【請求項6】
コロナウイルスによって引き起こされる疾患の治療用医薬の製造のための、カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の使用。
【請求項7】
当該疾患が家禽類の疾患である、請求項5または6に記載の使用。
【請求項8】
カモミールまたはその有効成分、好ましくはカモミール水性抽出物の化粧品としての使用。

【公開番号】特開2009−143947(P2009−143947A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29418(P2009−29418)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【分割の表示】特願2004−508834(P2004−508834)の分割
【原出願日】平成15年5月27日(2003.5.27)
【出願人】(503194808)インシグニオン・ホールディングズ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】INSIGNION HOLDINGS LIMITED
【出願人】(503194819)ベリトロン・リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】VERITRON LIMITED
【Fターム(参考)】