説明

ビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料

【課題】
本発明は、ビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料の苦味を矯味することを目的とする。
【解決手段】
ココアパウダーに糖類、乳製品、香料などの可食物を加えて調整して飲みやすくした粉末飲料である調整ココアパウダーに、ビタミンB群に属するビタミンを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ココアパウダーを配合することを特徴とするビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料の風味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンは、体内で必要な量を作り出せない微量な栄養素で、食物などから
摂らなければならない必須の有機化合物であり、不足すると様々な体の変調をきたすことになる。ビタミンが不足する原因としては
、食生活の乱れ、飲酒、喫煙、ストレス等があげられる。不足するビタミンを補うことを目的とした、各種ビタミン強化加工食品が市販されている。その中でも、飲料は、液状であるため摂取し易い食品である。一方粉末飲料は、粉乳や糖類などを予め混合し、
飲用時に熱湯もしくは水で溶解するだけで飲料を提供するものであり、飲料
の摂取し易いという長所に加え、乾燥状態であるため保存性とビタミンの安定
性にも優れている。従って、ビタミン強化加工食品の中でも粉末飲料は特に優
れた形態であるといえる。
【0003】
ビタミン強化加工食品において、強化するビタミンの量は、「日本人の栄養所要量第6次改定」を基準に決められるが、ビタミン強化加工食品の1日の摂取回数を考慮すると、個人差があるとしても、加工食品1回分で1日の所要量の1/3以上摂取できる方が望ましい。しかしながら、ビタミンB群に属するビタミンのうち、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、チアミンナフタレン1,5-ジスルホン酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンセチル硫酸塩、ビスベンチアミンなどのビタミンB1類、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムは苦味が強く、加工食品1回分あたり、1日の所要量の1/3以上を添加すると、その加工食品が持つ本来の風味が損なわれるという問題があった。
【0004】
ビタミンB群に属するビタミンの苦味の矯味方法として、コーヒー抽出液及び/又はコーヒー香料を添加する方法が特開平05−146253で開示されている。確かにコーヒーの苦味によってビタミンの苦味が矯味されるが、コーヒーの苦味が苦手な人には向かない。
【特許文献1】特開平05−146253公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のこのような問題点の解決を目的したものであり、コーヒーによる矯味に頼らずに、おいしく飲める、ビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意研究した結果、ココアパウダーにビタミンB群に属するビタミンの苦味を矯味する効果があることを見出し、ココアパウダーに糖類、乳製品、香料などの可食物を加えて調整して飲みやすくした粉末飲料である、調整ココアパウダーにビタミンB群に属するビタミンを配合することにより上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
ビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料において苦味を矯味する
ことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料は、調整ココアパウダーに苦味の強いビタミンB群に属するビタミン(ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、チアミンナフタレン1,5-ジスルホン酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンセチル硫酸塩、ビスベンチアミン、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムから選ばれた1種類以上のビタミン)を必須の成分として含有させれば、特に制限がない。
【0009】
本発明におけるココアパウダーは、カカオ豆を原料として製造される。まず、カカオ豆を選別、焙焼、破砕して表皮などを除去した後に、カカオミル、ボールミル、ロールリファイナーなどで磨砕してカカオマスが得られる。このカカオマスをココアプレスによりココアバターを圧搾して得られた圧搾粕がココアケーキで、これを粉砕機で粉砕したものがココアパウダーである。
【0010】
本発明における、粉末飲料の製造方法は、ビタミンが著しく減少しない限りは、特に制限はない。各原料を粉体混合するだけでもよいし、噴霧乾燥、流動層造粒、撹拌造粒などの処理を行ってもよい。
【0011】
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、その内容に制限されるものではない。
【実施例】
【0012】
(実施例1)
ココアパウダー(ココアバター22〜24%)4g、脱脂粉乳3g、全粉乳1.5g、砂糖8g、チアミン塩酸塩1mg、ピリドキシン塩酸塩1.83mg、ニコチン酸アミド15mg、パントテン酸カルシウム5.46mgを200ml用ビーカーに計量し、90℃の熱湯120mlで溶解した。
【0013】
(実施例2)
ココアパウダー(ココアバター22〜24%)2.0g、脱脂粉乳1.5g、全粉乳0.75g、砂糖8g、チアミン塩酸塩1mg、ピリドキシン塩酸塩1.83mg、ニコチン酸アミド15mg、パントテン酸カルシウム5.46mgを200ml用ビーカーに計量し、90℃の熱湯120mlで溶解した。
【0014】
(比較例1)
脱脂粉乳3g、全粉乳1.5g、砂糖8g、チアミン塩酸塩0.34mg、ピリドキシン塩酸塩0.61mg、ニコチン酸アミド5mg、パントテン酸カルシウム1.82mgを200ml用ビーカーに計量し、90℃の熱湯120mlで溶解した。
【0015】
(比較例2)
砂糖8g、チアミン塩酸塩0.34mg、ピリドキシン塩酸塩0.61mg、ニコチン酸アミド5mg、パントテン酸カルシウム1.82mgを200ml用ビーカーに計量し、90℃の熱湯120mlで溶解した。
【0016】
実施例1〜2、比較例1〜2について、それぞれ風味の評価を表1の基準に従って行った。その結果を表2に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
実施例1、2は、いずれもビタミンの苦味が感じられず風味良好で、比較例1ではビタミンの苦味がやや感じられあまり好ましくなく、比較例2では、ビタミンの苦味が強く好ましくなかった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明により、おいしく、手軽にビタミンB群を摂取することができる粉末飲料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココアパウダーを配合することを特徴とするビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料。
【請求項2】
ビタミンB群に属するビタミンが、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンラウリル硫酸塩、チアミンナフタレン1,5-ジスルホン酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンセチル硫酸塩、ビスベンチアミン、ピリドキシン塩酸塩、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムから選ばれた1種類以上である請求項1に記載のビタミンB群に属するビタミンを強化した粉末飲料。