説明

ビタミンCのバイオアベイラビリティを調節するための栄養組成物

本発明は、個体におけるビタミンCのバイオアベイラビリティを調節することができる組成物に関する。特に、本発明は、ビタミンCトランスポーターの発現を調節することができる化合物を同定するための方法、食物又は食料品における前記化合物の使用、及び疾患組織又はストレスを与えられた組織の治療又は予防のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、個体におけるビタミンCのバイオアベイラビリティを調節する栄養及び医薬組成物に関する。特に、本発明は、ビタミンCトランスポーターの発現を調節することができる化合物を同定する方法、栄養及び医薬組成物における前記化合物の使用、並びに疾患組織又はストレスを与えられた組織の治療又は予防のためのその使用に関する。
【0002】
ビタミンは、身体の代謝機能に多様な役割を果たすものと認識されている。
【0003】
例えば、脂溶性ビタミンA(レチナール)は、代謝されてレチノイドと呼ばれる種々の誘導体をもたらすことが知られている。レチノイドは、夜盲症の治療又は予防に有用である。また、レチノイド又はビタミンAは、日光で損傷した皮膚の外観を改善する治療薬として使用されている。
【0004】
大きな関心を集めている他のビタミンとしてはビタミンC(アスコルビン酸、2,3−ジデヒドロ−L−トレオヘキサノ−1,4−ラクトン)が挙げられる。ビタミンCは、体内で生じている生物学的過程の多元的な構成要素であると考えられる。
【0005】
ビタミンCは、エラスチン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、骨基質、及びエラスチン関連フィブリン、を始めとする結合組織の成分の生合成に関与する多数の酵素反応に必要とされる。ビタミンCは更に、コラーゲン遺伝子の発現及び細胞性プロコラーゲンの分泌に関与すると考えられる。アスコルビン酸は、カルニチン生合成経路における補因子でもあり、鉄の吸収、輸送及び貯蔵の調節に関与している。アスコルビン酸は、第二鉄を第一鉄に還元することにより鉄の腸吸収を助け、また、フェリチン合成を刺激して細胞における鉄貯蔵を促進する。また、アスコルビン酸は、コルチコステロイド及びアルドステロンの生合成、並びにコレステロールから胆汁酸への変換に関与する。
【0006】
とりわけ、ビタミンCはその抗酸化性で知られている。研究により、血清の抗酸化状態の不良が、冠動脈心疾患、癌、及び中枢神経系の酸化ストレスによって引き起こされることの多い神経変性疾患、を始めとする多数の疾患の発生原因となることを示している。
【0007】
明らかに、ビタミンCは、膀胱癌、乳癌、子宮頚癌、結腸直腸癌、食道癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、唾液腺癌、胃癌、白血病及び非ホジキンリンパ腫、を始めとする様々な癌の予防に有効であると考えられる。ビタミンCは、皮膚に及ぼされる有害作用により引き起こされる状態の治療又は予防に重要な役割を果たすことも知られている。
【0008】
ビタミンは、体内では合成されず、一般に、食事と共に外因性の供給源から供給する必要がある。しかし、西洋の食事は通常、脂肪の含有量が過度に多く、他方、ビタミンが不足していることを特徴とするので、ほとんどの場合、多種のビタミンの供給が不足している。このような状況では、サプリメントの形態でビタミンを補給することが通常である。
【0009】
そのようなサプリメントは、1種又は数種のビタミンを含むが、数種のビタミンを含む場合、その製品はマルチビタミン製剤と呼ばれる。また、ビタミンは、疾患の治療又は予防のために、例えばスキンケア製品によって身体の特定の部分に供給されてもよい。
【0010】
現在のビタミンの全ての投与形態の課題は、生体に利用可能な形態、すなわち身体/細胞が容易に吸収できる形態でビタミンを提供することにある。一例として、個体は、例えば化学的手段により生産された所定量のアスコルビン酸を補給されることがあるが、そのうち吸収されるのは一部の量に限られる。上記目的を最大限達成するためには、明らかにアジュバント成分が必要と考えられる。具体的には、このことは、治療に有用な薬力学的作用が発揮されるように、大用量(すなわち過量)のビタミンを障害の治療に使用する必要がある場合に重要となる。
【0011】
そこで、本発明は、個体に生体利用可能な形態でビタミンを送達するための新規な手段を提供することを課題とする。
【0012】
この課題は、細胞におけるビタミンCトランスポーターの転写を調節し、その結果、標的細胞におけるビタミンCの取込みを増加させ、ビタミンCの取込みを能動的に促進又は制御し、或いは標的細胞におけるビタミンCの取込みを減少させる化合物及び/又は栄養及び医薬組成物、の提供により解決された。
【0013】
本発明に至る徹底的な実験研究の過程で、本発明者らは、ある種の化合物が、細胞培養実験でビタミンCの細胞内レベルを調節することを見出した。この最初の発見の後に、細胞を更に研究し、例えば細胞内ビタミンCの低下がビタミンCトランスポーターmRNAのレベル低下を伴うことを明らかにした。いかなる理論にも縛られることを意図していないが、細胞中のビタミンCトランスポーターの転写を調節することができるそのような化合物は、ビタミンCトランスポーター遺伝子の遺伝子転写に作用し、その結果、標的細胞によるビタミンCの取込みを上昇させるか、細胞によるビタミンCの取込みを低減若しくは無能化する効果を有し、上記タンパク質のレベルの増加又は減少を生じさせると考えられている。
【0014】
最近の研究により、ヒトを含む哺乳動物に、2つのナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター(SVCT1及びSVCT2、遺伝子記号:SLC23A1及びSLC23A2)が存在することが明らかとなった。ラット組織を用いたin situハイブリダイゼーションにおいて、SVCT1の発現は腸管、腎臓、肝臓等の上皮表面に限定されたが、他方、SVCT2は、脳、眼、副腎及び脳下垂体、肺、胃及び精巣を含めて広く発現している。SVCT1の大部分は、バルク輸送を行う上皮(身体全体のホメオスタシスに役立つ。)に限定されることが実証されている。これまでのところ、皮膚におけるSVCTの発現は報告されていない。
【0015】
一実施形態において、本発明は、ビタミンCの細胞内レベルを調節することができる化合物を提供する。この化合物は、(a)細胞培養物を調製するステップ、(b)細胞培養物を、適当な量の同定対象化合物及び適当な量のビタミンCに曝露するステップ、(c)組織細胞中のビタミンCレベル又はビタミンCトランスポーターの発現速度のレベルを測定するステップ、及び(d)ビタミンCトランスポーターの発現速度を対照と比較するステップ、を含む方法により得ることができる。
【0016】
一般に、上述の方法を実施するために、任意の種類の生物(例えば、ヒトを始めとする動物)から得られた細胞株又は組織に由来の細胞を用いて細胞培養を行って、初代細胞培養物を得ることができる。細胞は、好ましくは哺乳動物起源であり、更に好ましくはヒト又はペット起源である。一実施形態において、細胞は上皮細胞であり、上皮細胞は、好ましい実施形態において、メラノサイト及び/又はケラチノサイトであり、これらは、細胞培養を容易にするために不死化されていてもよい。
【0017】
細胞は、通常の条件下で、例えばRPMI培地、KGM培地又はダルベッコ変法イーグル培地中で、ある数まで増殖させる。その数は、トーマチャンバー又は当業者に公知の任意の他の適当な方法により測定することができる。
【0018】
続いて、被験化合物を培地に加え、同時又は所定時間後に所定量のビタミンCを加える。細胞培養物に添加するビタミンCの量は、好ましくは0.1μM〜10mM、更に好ましくは0.1μM〜0.5mMであり、他方、被験化合物の量は、純粋な化合物については0.1μM〜100μM、天然物抽出物については0.001%(w/v)〜0.5%(w/v)であり、更に好ましくは、純粋な化合物については1μM〜100μM、天然物抽出物については0.01%(w/v)〜0.5%(w/v)である。抽出物の調製は当業者に公知である。抽出物は、例えば、任意の種類の水性抽出物、又は加水分解されているか加水分解されていない酢酸エチル抽出物である。被験化合物及びビタミンCは、粉末として、又は溶液の形態で添加することができる。
【0019】
次のステップでは、ビタミンCトランスポーターの発現に及ぼす被験物質の作用を測定する。これは、ビタミンCトランスポーターのmRNA若しくはタンパク質のレベル、或いは吸収されたビタミンC又は培養上清に残存するビタミンCの量を測定することにより行うことができる。
【0020】
好ましい実施形態において、被験物質の作用は、ビタミンCトランスポーター、好ましくはビタミンCトランスポーターSVCT1及びSVCT2(遺伝子記号:SLC23A1及びSLC23A2)、の転写を明らかにすることにより測定される。
【0021】
短時間のインキュベーション後に、遠心分離により細胞を培地から分離する。ビタミンCトランスポーターmRNAの発現は、リアルタイムPCR及び/又はノーザンブロットにより可視化する。また、発現は定量化することができる。
【0022】
リアルタイムPCRでは、テンプレートの初期量を、特異的かつ高感度に、また、再現性よく定量する。また、終点で最終増幅産物の量を検出する。終点での検出とは別に、リアルタイムPCRでは、各PCRサイクル間のアンプリコン産生の指標として、反応中に発生した蛍光をモニターする。反応のリアルタイムの進行はいくつかのシステムで見ることができる。リアルタイムPCRはアンプリコンのサイズを検出しないが、SYBR Greenや他の適当な蛍光色素が使用されない限り、非特異的増幅の影響を受けることはない。リアルタイムPCRによる定量では、PCR産物のPCR後のプロセシング(競合RT−PCRでは必要)が排除される。これは、スループットを増加させ、キャリーオーバー汚染の機会を減少させる。通常のPCRに比べ、リアルタイムPCRははるかに広いダイナミックレンジを提供する。アッセイのダイナミックレンジは、標的濃度をどの程度まで変化させ、かつ定量することができるかを決定する。リアルタイムPCRは、試料の高スループットを実現するために96ウェル形式で行うのが好ましい。
【0023】
ノーザンブロットは、mRNAの分子量決定、その識別、及び存在するmRNAの相対量を測定することを可能にする。メッセンジャーRNA(mRNA)は、ゲル電気泳動、通常はアガロースゲルにより最初に分離される。その後、RNAは1枚のブロッティング紙、好ましくはニトロセルロースに移されるが、他の種類の紙又は膜を使用してもよい。RNA分子は、ゲル上と同じ分離パターンを保持する。得られたブロットを、1本鎖DNAのプローブと共にインキュベートする。このプローブは、その相補性RNA配列と塩基対を形成し、結合して二本鎖RNA−DNAハイブリッドを形成するものである。プローブは、放射性標識されるか、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、又は緑色蛍光タンパク質等の蛍光酵素)が結合していない限り、見ることができない。次いで、このプローブを対応する基質と共にインキュベートし、その結果、結合した酵素が、可視色の産物に変化するか、X線フィルム感光性の光を発することによって、プローブの位置を明らかにする。プローブが放射能で標識されているならば、プローブにX線フィルムを直接感光させることができる。その後、得られたバンドを、健常な組織細胞、及び疾病状態の、又はストレスを与えられた組織細胞から得られた対照試料と比較する。特に、バンドのサイズ及び強度が重要であり、それは、視覚的に比較するか、光イメージング装置により定量化することができる。
【0024】
好ましい実施形態において、ビタミンCトランスポータータンパク質は、ヒトナトリウム依存性ビタミンCトランスポーターSVCT1及び/又はSVCT2である。
【0025】
ビタミンCトランスポーターの転写の増加は、細胞によるビタミンCの取込みを増加させる被験物質の能力を示し、他方、ビタミンCトランスポーターの転写の減少は、細胞によるビタミンCの取込みを低下させる被験物質の能力を示す。
【0026】
或いは、細胞によって吸収されるビタミンCの量は、直接、例えば14C標識ビタミンCを用いて、又はビタミンCの還元性により測定することができる。それは、細胞が過剰のビタミンCをある一定時間貯蔵することができることによる。細胞を、機械的方法及び化学的方法を始めとする適当な方法により分解する。続いて、検出を、シンチレーション計数(14C標識ビタミンCを用いた場合)、又はナトリウム2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(dichlorphenolindopenole)(DCPIP、Tillmans Reagent)、フェーリング溶液、ベネディクト溶液若しくはルゴール液の還元、又はヨウ素酸カリウムを用いた滴定、により行う。高性能/高圧液体クロマトグラフ(HPLC)による測定は、波長265nmでのUV−VIS検出、o−フェニルジアミンを用いたデヒドロアスコルビン酸から蛍光産物への誘導体化後の蛍光検出、及び、例えば黒鉛電極を用いた電気化学的検出を含んでもよい。電子常磁性共鳴(EPR)によりフリーラジカルを直接検出することもできる。他の方法としては、質量分析(MS)又はガスクロマトグラフィー(GC)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。各々の結果が陰性対照と比較されることは理解されるであろう。
【0027】
研究対象化合物は、トランスポータータンパク質の発現に影響を与えるか、それを調節することが可能な任意の化学物質を含む。上記化合物は、好ましくは、天然物抽出物、植物化学物質、アミノ酸、脂肪酸、コレステロール、ミネラル及び糖に由来する。
【0028】
一実施形態では、種々の起源に由来するローズマリー抽出物(水起源及び酢酸エチル抽出物(加水分解されたもの及び加水分解されていないもの))が、SVCT1 mRNAの転写が減少して、細胞によるビタミンCの取込みが低下するように、ビタミンCトランスポーターの転写を調節する。SVCTI mRNAの転写をダウンレギュレートすることができる他の化合物としては、スルフォラファン、オールトランスレチノイン酸、及び亜鉛又はその塩、等の一部の植物化学物質が挙げられる。各用途に応じて栄養学的、薬学的又は皮膚科学的に許容可能なZnCl等の塩は、SVCT1 mRNAの発現を有意にダウンレギュレートした。上記化合物は時間依存的に効果を発揮する。これらの知見は、被験化合物の細胞毒性作用によるものではなく、SVCT1 mRNAレベルを低減させる実際のポテンシャルを示すものであることが分かっている。
【0029】
他の実施形態では、鉄又はその塩、すなわち各用途に応じて栄養学的、薬学的又は皮膚科学的に許容可能なFeCl等の塩が、ビタミンCトランスポーターの転写が増加して、細胞によるビタミンCの取込みが増加するように、ビタミンCトランスポーターの転写を調節する。このような特徴を示す他の化合物としては、グルタチオン、N−アセチルシステイン及びリシンが挙げられる。これは、種々の起源の食品化合物が、組織でのアスコルビン酸のバイオアベイラビリティを増大させることができることを示している。驚くべきことに、ビタミンCトランスポーターの転写を増加させることができる上述の化合物を2種以上(例えば、FeCl及びグルタチオンのように)組み合わせることにより、そのような化合物の作用を強化することができることが見出された。
【0030】
他の実施形態において、本発明はまた、ビタミンCトランスポーターの転写を増加又は減少させる、上述の特徴を有する化合物を含有し、随意的にビタミンCを含有する組成物を提供する。
【0031】
基本的に、上記化合物は、任意の栄養組成物、例えば、飲料(例えば、清涼飲料、茶等の冷飲料若しくは温飲料)、又は食品(例えば、ソース)に含まれても、また、スパイス等に含まれてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、上記化合物は、飲料中に提供されるか、若しくは飲料と混合されるか、又は、例えばプディング、トッピング、ソース、ピューレ、調理された穀物、サラダドレッシング等の半固形食品に入れて攪拌されるか、又は他の方法により食品に添加される。特に食事に添加されるカロリーの量を制限することが望ましい場合、上記化合物は、1種又は複数の不活性成分を含んでもよい。例えば、本発明により同定される化合物は、例えばハーブ、ビタミン(アスコルビン酸を除く)、ミネラル、促進剤、着色料、甘味料、着香料、不活性成分等の成分を含有してもよい。そのような成分は、天然由来又は濃縮形態のいずれでもよい。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明で想定される組成物は、牛乳、ヨーグルト、凝乳、チーズ、発酵乳、牛乳ベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物製品、牛乳ベースの粉末、調製粉乳、ペットフード等の栄養組成物である。
【0033】
同様に、上記化合物を医薬組成物及び/又は化粧用組成物に、例えばマルチビタミン錠等の錠剤、サシェ、懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿潤経口サプリメント、乾燥経管栄養、湿潤経管栄養、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤等に製剤化することができる。各形態の医薬組成物及び/又は化粧用組成物が適当な賦形剤及び/又は担体を必要とすることは理解されるであろう。そのような賦形剤及び担体としては、例えば、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、スクロース、植物ゴム、ラクトース、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ等(その混合物を含む。)が挙げられる。好ましい担体としては、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
多様な成分と、賦形剤及び/又は担体とが混合され、通常の方法を用いて所望の形態に製剤化される。本発明の錠剤又はカプセル剤を、約6.0〜7.0のpHで溶解する腸溶性コーティングで被覆してもよい。胃では溶解せず、小腸で溶解する適切な腸溶性コーティングとしては、酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。他の実施形態において、サプリメントは、消費者が食品又は飲料に添加するのに適した粉末又は液体の形で提供される。
【0035】
全ての栄養組成物及び医薬/化粧用組成物は、ビタミンCトランスポーターの発現を増加させることができる化合物に加えて、ビタミンC自体を含有してもよい。
【0036】
他の好ましい実施形態において、組成物に含まれる化合物は、天然物抽出物、植物化学物質、アミノ酸、脂肪酸、コレステロール、ミネラル、糖、又はそれらの混合物、から選択される。
【0037】
一般に、組成物中に、組成物の全重量に対して0.001〜100重量%(後の数字は経口サプリメントの実施形態によって代表される)、好ましくは0.05〜50重量%、更に好ましくは0.1〜50重量%の被験化合物が含有されることが想定されている。
【0038】
他の実施形態において、本発明の化合物及び/又は組成物は、例えば腸、眼、肝臓、骨、関節、皮膚、脳等の組織中のビタミンCのバイオアベイラビリティを改善するために利用することができる。ビタミンCは水に高度に可溶性であることから、細胞に取り込まれる有効量は、摂取される量に比べて低い。一般に、バイオアベイラビリティという用語は、有効成分又は有効部分が組成物製品から吸収され、作用部位で利用可能になる速度及び程度を表す(FDAによる)。経口摂取された薬物のバイオアベイラビリティは、分子の性質、その安定性、及び投与される製剤を始めとする要因、並びに結腸疾患若しくは腸切除による腸表面積の減少、薬物が食事と共に服用されるかどうか、等の患者側の要因によって決定される。バイオアベイラビリティに影響する要因としては、消化管からの吸収不足、肝臓の初回通過効果、並びに循環系に到達する前の薬物の代謝及び分解が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ビタミンCの現在の推奨食事許容量(RDA)も、ビタミンCのバイオアベイラビリティに関わるものであり、成人では60mg/日である。
【0039】
一実施形態において、本発明の組成物は、個体における冠動脈心疾患、癌、神経変性疾患、加齢等、還元能力の低下を伴う疾患の治療又は予防のために使用される。皮膚が、生物の最も広い器官として環境からの有害な影響に曝されることから、本発明は、皮膚に及ぼされたストレスにより引き起こされる状態の治療及び/又は予防のために本発明の化合物を使用することを特に想定している。ストレスは、物理的ストレス(例えば、皮膚への紫外線照射)、化学的ストレス(例えば、化学薬剤、汚染物質又はアレルギー性物質への曝露)又は生物学的ストレス(例えば、アレルギー反応、微生物(病原性細菌、ウイルス、真菌等)への曝露、又は微生物による感染)を包含するものとする。
【0040】
基本的に、そのような状態は、皮膚疾患のような病理過程、或いは一般にフリーラジカルを伴う病理過程を有する。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、疾患過程により直接引き起こされると考えられる組織の物理的変化である一次病変、及び引っ掻き、外傷等の外的要因に起因する二次皮膚病変、又は治癒により生じる変化を含む、特定の組織の疾患又はストレスの治療及び/又は予防に使用される。例えば皮膚に関しては、一次皮膚病変として、アトピー性皮膚炎、乾癬、細菌性皮膚炎、及びウイルス感染により引き起こされる皮膚病変が挙げられる。
【0042】
なお、他の実施形態において、本発明は、ビタミンCトランスポーターの発現が増加又は減少するように、ビタミンCトランスポーターの発現を調節する能力を有する化合物を同定する方法を提供する。「増加」という用語は一般に発現の増加を意味し、「減少」という用語は発現の低下を意味する。ここで、被験化合物の添加は、ビタミンCトランスポーターの発現速度及び/又は組織細胞のビタミンC含有量、の検出可能な変化を引き起こす。
【0043】
以下の実施例は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0044】
遺伝子発現の調節をモニターするための、リアルタイムPCRベースのin vitro試験:
Cambrex Companyの初代成人上皮ケラチノサイト(NHEK)(米国、注文番号:CC−2501)をこの研究に使用した。この細胞を、フィブロネクチン及びI型コラーゲンでコーティングしたプラスチック皿(6ウェル又は12ウェルプレート)の上で、KGM培地(Cambrex Company、米国、注文番号:CC−3101及びCC−4131)中、37℃及び5%COで増殖させて、継代4代目まで拡大させ、この細胞を更なる実験のために使用した。
【0045】
密度5000細胞/cm(光学顕微鏡下でトーマチャンバーにより測定)で、継代4代目のNHEK細胞を6ウェルプレート中に蒔いた。2日毎に培地を交換しながら、5〜6日以内に細胞を100%コンフルエントの状態まで増殖させ、遺伝子発現のためのin vitro試験(図1に示される。)に更に使用した。
【0046】
目的の密度に達した後に、被験化合物[ローズマリー抽出物(種々の起源の水性抽出物、又は加水分解された、若しくは加水分解されていない酢酸エチル抽出物として、0.1%(w/v)及び0.25%(w/v))、10μM イチョウ抽出物、10μM エピガロカテキンガレート(EGCg)、10μM (R,S)−エクオール、10μM ケルセチン、10μM ヘスペレチン、10μM クルクミン、又は10μM ゲニステイン]、又は被験化合物を溶解させるのに使用したのと同量の溶媒(陰性対照の役割を果たす。)をアプライした。被験化合物又は陰性対照がアプライされた細胞を、37℃及び5%COで、更に4時間、8時間、16時間又は24時間インキュベートした。上清除去後に、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Sigma、ドイツ)で細胞を2回すすぎ、1%β−メルカプトエタノール(Sigma、米国)を含有する溶解緩衝液(Buffer RL、Qiagen AG、バーゼル、スイス)350μlで細胞を溶解させ、QIAshredderカラム及びRNeasy(登録商標)Mini Kit(Qiagen AG、バーゼル、スイス)を用いて、細胞溶解物からの全RNAを抽出した。96ウェルプレート上でRibogreen(登録商標)RNA定量キット(Molecular Probes、米国)を用いて、また、蛍光マイクロプレートリーダー(Spectra fluor plus F 129005、Tecan)を用いて、RNA定量を行った。測定は2回行った。試料を、最終体積100μlの1×TE緩衝液で、1:680又は1:3400に希釈した。濃度1μg/ml、0.5μg/ml、0.1μg/ml、0.02μg/ml及び0μg/mlのリボソームRNAの希釈液を標準として用いて、485nm及び538nmでの蛍光分析により測定を行った。次いで、RNA量を、標準曲線と対比させて計算した。アガロースゲル電気泳動(TBE中の1%アガロース;ddHO中の90mM トリス/HCl(pH8.0)、80mM ホウ酸、3mM EDTA)を用いてRNAの完全性を確認した。
【0047】
逆転写のために、pd(N)ランダムヘキサマー(Amersham Biosciences、商品番号:272080、イギリス)2μl及びdNTP(10mM、Amersham Biosciences、商品番号:272050、272060、272070、272080、イギリス)1μlを、ヌクレアーゼフリー水(Ambion、米国)中のRNA2μgに、最終体積が12μlになるように添加した。65℃、5分間のインキュベーション後、試料を直ちに氷上に置いて、速やかに遠心分離した。次いで、5×First−Strand Buffer(250mM NaCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.1%(v/v) NP−40、50%(v/v) グリセロール)4μl、ジチオスレイトール2μl、RNアーゼ阻害剤1μl、及び逆転写酵素SuperScript II RNアーゼH(SUPERase−In、20U/μl、Ambion、商品番号:2694、米国)1μlを添加した(最終体積:20μl)。「酵素の活性化:25℃,10分;逆転写反応:42℃,60分;酵素の阻害:70℃,20分」という温度プログラムを用いて、PCRサイクラー(PTC−100(商標)、Programmable Thermal Controller、MJ Research Inc.、米国)中で逆転写反応を行った。そして、試料は、更に使用するまでフリーザーに入れて−20℃で保存した。
【0048】
Assays−on−Demandプライマー及びプローブ(SVCT1:Hs00195277_m1、SVCT2:Hs00192765_m1、18S−rRNA:4310893E、GAPDH:4310884E、Applied Biosystems、米国)を用いて、96ウェルプレート(96WP)中でTaqMan(登録商標)法によりリアルタイムPCRを行った。分析は、TaqMan(登録商標)2×Universal PCRマスターミックス(Applied Biosystems、米国)43.7μl、Assays−on−Demandプライマー及びプローブ4.4μl、ヌクレアーゼフリー水21.9μl、及びcDNA17.5μl(87.5ng=1連当たり25ng)、を含有するマスターミックス(3.5×)を用いて3回行った。マスターミックス(25μl)3組を、96ウェルABI PRISM反応プレート(Applied Biosystems、米国)にロードし、これを透明な光学接着剤カバーで覆い、1分間、又は全ての気泡が除去されるまで、2000rpmで遠心分離した(遠心分離は3回行った)。次いで、ABI PRISM(登録商標)7000配列検出システム(Applied Biosystems、米国)で、「酵素の活性化:50℃,2分;変性:95℃,10分;並びに40サイクルの標的増幅;95℃,15秒のアニーリング、及び60℃,1分の伸長」という温度プログラムを用いて、PCR反応を行った。増幅プロットの分析を、ABI PRISM(登録商標)ソフトウェアを用いて行った。ベースライン調整を個別に行い(SVCT1:17〜27;SVCT2:6〜15;18S−rRNA:2〜12;GAPDH:8〜18)、他方、全てのプライマーについて手動で閾値を0.2に設定した。遺伝子発現をGAPDH又は18S−rRNAに対して規格化し、ANOVAにより統計解析を行った。
【0049】
ローズマリー抽出物を用いた処理は、リアルタイムPCRにおいて、陰性対照に比べてSVCT1発現の有意な減少を招いたが、SVCT2の発現は変化しなかった(図2参照)。興味深いことに、異なる量(一定のアッセイ条件下で1ウェル当たり0.1%(w/v)及び0.25%(w/v))の上記化合物の添加により、用量に依存した発現減少がもたらされた。しかし、濃度10μMのイチョウ抽出物、(−)エピガロカテキンガレート(EGCg)、エクオール、ケルセチン、ヘスペレチン/ヘスペリジン、クルクミン及びゲニステインの添加は、SVCT1及びSVCT2の発現に全く影響を与えなかった。
【0050】
ビタミンCの取込みをモニターするための、14C標識ビタミンCベースのin vitro試験:
ヒト不死化ケラチノサイト(HaCaT)を、6ウェル又は12ウェルプラスチック皿に20000細胞/cmの密度で蒔き、これを、4500mg/l グルコースを含有し、ペニシリン及びストレプトマイシン(各100U/ml)、10%ウシ胎仔血清、及び0.584g/l グルタミンを補充したダルベッコ変法イーグル培地中、37℃、相対湿度95%、及び5%COで、コンフルエントになるまで増殖させた。培地を2日毎に交換した。
【0051】
1.85MBqの14C標識アスコルビン酸(Amersham Biosciences、イギリス)を、半滅菌条件下で、トランスファーバッファー(140mM NaCl、4.2mM KHCO、5.8mM KCl、1.3mM CaCl、0.5mM MgCl、10mM Hepes、1% ペニシリン−ストレプトマイシン、0.1mM DTT(直前に添加))77μlに溶解させて、14C標識アスコルビン酸の50mM原液を調製した。この原液は直ちに使用し、残った溶液は−20℃で最長2週間保存した。
【0052】
被験化合物(異なる濃度のFeCl水溶液)と共に、又は被験化合物なしで、コンフルエントのHaCaT細胞を18〜24時間インキュベートし、最終的に、50μM メナジオン、500μM H、又はUV照射したHaCaTから得た馴化培地で、更に2時間ストレスを与えた。次いで、細胞をPBSで2回洗浄し、調製した原液を適当な量のトランスファーバッファーで希釈して得た種々の濃度(5μM、50μM又は250μM)の14C標識アスコルビン酸溶液300μl又は400μlと共に、細胞をインキュベートした。37℃で種々の時間(5分間、10分間、30分間、60分間、90分間及び120分間)のインキュベーションを行った後、細胞を直ちに氷上に置き、上清を取り出して凍結させ、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、最後に、細胞スクレーパー及び尿素緩衝液(9.5M 尿素、10mM トリス/HCl(pH8.0)、2mM EDTA(pH8.0))300μl又は400μlを用いて細胞を採取した。次いで、上清及び細胞溶解液中の放射性標識の量を、シンチレーションカクテル9mlに上清50μl又は細胞溶解液200μlを希釈したものについてシンチレーション計数を行うことによって測定した。得られたデータは、インキュベーション時間をアスコルビン酸の取込み(百分率又はナノモル濃度)に対してプロットすることにより分析した。
【0053】
他の化合物も、上記と類似の実験条件を用いた酸化ストレスモデルにおいてアスコルビン酸の取込みを増加させることが見出された。上記特徴を示した化合物は、グルタチオン、N−アセチルシステイン及びリシンである(データは示さず)。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、SVCT遺伝子発現のin vitro試験の実験設定を示す図である。コンフルエントの初代ケラチノサイト(NHEK)を被験化合物又は対照で処理し、37℃で4時間、8時間、16時間又は24時間インキュベートした。細胞の全RNAを単離し、これを、逆転写、並びにSVCT1及びSVCT2のリアルタイムPCR分析のために使用した。18S−rRNA及びGAPDH mRNA分析は内在性コントロール(ハウスキーピング遺伝子)として機能した。
【図2】図2は、2.5%ローズマリー抽出物で処理した初代ケラチノサイトのリアルタイムPCR分析を示す図である。ローズマリー抽出物で処理した初代ケラチノサイト(NHEK)の相対的発現について、GAPDHに対する変化倍率を対照細胞と比較した結果を示す。ドットは、3組ずつの4種の生体試料の平均を表す。4時間の対照細胞を1倍に設定し、目盛り付きの線で表す。信頼区間は、ANOVAを用いて計算した。垂直バーが1倍の線に達しなければ、データは統計的に有意である。
【図3】図3は、アスコルビン酸取込みのin vitro試験の実験設定を示す図である。コンフルエントのHaCaT細胞を被験化合物又は対照で18〜24時間処理し、2つの異なる濃度(5μM及び250μM)の14C標識アスコルビン酸と共に、5分間、10分間、30分間、60分間、90分間及び120分間インキュベートした。細胞を溶解させ、上清及び細胞溶解液中の放射性標識をシンチレーション計数により定量した。
【図4】図4は、2.5%ローズマリー抽出物で処理した初代ケラチノサイト、及び処理していない初代ケラチノサイトにおけるアスコルビン酸の取込みを示す図である。NHEKを、2.5%ローズマリー抽出物(黒丸)又は対照(白丸)で24時間処理し、14C標識アスコルビン酸の取込みを異なる時点で測定し、1ウェル当たりnmolで示した(A:5μM アスコルビン酸、B:250μM アスコルビン酸)。データは、2回の実験の平均を表すが、改めて別途行った実験で再現されている(データは示さず)。
【図5】図5は、酸化ストレスモデルにおけるアスコルビン酸取込みのin vitro試験を示す図である。コンフルエントのHaCaT細胞を、50μM メナジオン(黒菱形)、500μM H(三角)、UV照射HaCaT細胞から得られた馴化培地(四角)、又は対照(灰色菱形)で2時間処理し、次いで、50μM 14C−標識アスコルビン酸と共に、5分間、10分間、30分間、60分間、90分間及び120分間インキュベートした。細胞を溶解させ、上清及び細胞溶解液中の放射性標識をシンチレーション計数により定量した。Aは、実験スケジュールを示すチャートである。Bは、2回ずつ試行した3つの独立した実験の平均を、対応する標準偏差と共に示すデータである。
【図6】図6は、酸化ストレスモデルにおけるアスコルビン酸取込みのin vitro試験を示す図である。コンフルエントのHaCaT細胞を50μM FeCl(三角)又は対照(灰色菱形)で24時間処理し、50μM メナジオン(黒記号)又は対照(白記号)で更に2時間処理した。次いで、細胞を、50μM 14C−標識アスコルビン酸と共に、5分間、10分間、30分間、60分間、90分間及び120分間インキュベートした。細胞を溶解させ、上清及び細胞溶解液中の放射性標識をシンチレーション計数により定量した。Aは、実験スケジュールを示すチャートである。Bは、2回ずつ試行した2つの独立した実験の平均を、対応する標準偏差と共に示すデータである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞におけるビタミンCトランスポーターの発現を調節することができる化合物であって、
(a)細胞培養物を調製するステップ、
(b)細胞培養物を、ある量の同定対象化合物及びある量のビタミンCに曝露するステップ、
(c)組織細胞中のビタミンCトランスポーターのレベルを測定するステップ、及び
(d)ビタミンCトランスポーターの発現速度を対照と比較するステップであって、レベル上昇が、細胞へのビタミンCの吸収を増加させる被験化合物の能力を示すステップ、
を含む方法により得ることができる化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含有し、随意的にビタミンCを含有する、栄養又は医薬組成物。
【請求項3】
ビタミンCトランスポーターの発現を調節することができる化合物が、天然物抽出物、植物化学物質、アミノ酸、脂肪酸、コレステロール、ミネラル、糖、又はそれらの混合物、から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ビタミンCトランスポーターの発現を減少させることにより発現を調節することができる化合物が、ローズマリー抽出物、スルフォラファン、オールトランスレチノイン酸、及び亜鉛又はその塩である、請求項4に記載の組成物。
【請求項5】
ビタミンCトランスポーターの発現を増加させることにより発現を調節することができる化合物が、鉄又はその塩、グルタチオン、N−アセチルシステイン及びリシンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ビタミンCトランスポーターを調節することができる化合物を、当該組成物の全重量に対して0.0001〜100重量%の量で含有する、請求項2又は5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ヨーグルト、牛乳、凝乳、チーズ、発酵乳、牛乳ベースの発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物製品、牛乳ベースの粉末、調製粉乳、錠剤、懸濁液、乾燥経口サプリメント、湿潤経口サプリメント、乾燥経管栄養又は湿潤経管栄養から選択される、請求項2〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
目的の組織、好ましくは腸、眼、肝臓、骨、関節、皮膚及び脳、におけるビタミンCのバイオアベイラビリティを調節するための、前記請求項のいずれか一項に記載の化合物又は組成物の使用。
【請求項9】
目的の組織、好ましくは腸、眼、肝臓、骨、関節、皮膚及び脳、の疾患又はストレスの治療又は予防のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物又は組成物の使用。
【請求項10】
皮膚の疾患又はストレスが、皮膚炎;乾癬;細菌性皮膚炎;及びウイルス感染若しくは引っ掻きにより起こる皮膚病変;外傷;又は治癒により生じる変化である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
真核細胞におけるビタミンCトランスポーターの発現を調節する化合物を同定するための方法であって、
(a)細胞培養物を調製するステップ、
(b)細胞培養物を、ある量の同定対象化合物及びある量のビタミンCに曝露するステップ、
(c)細胞におけるビタミンCトランスポーターの発現速度を測定するステップ、及び
(d)細胞におけるビタミンCトランスポーターの発現速度のレベルを対照と比較するステップであって、レベル上昇が、細胞へのビタミンCの吸収を増加させる被験化合物の能力を示すステップ、
を含む方法。
【請求項12】
細胞培養物の細胞が、腸、眼、肝臓、骨、関節及び/又は皮膚に由来するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ビタミンCトランスポータータンパク質が、ヒトナトリウム依存性ビタミンCトランスポーターSVCT1(遺伝子記号:SLC23A1)及び/又はSVCT2(遺伝子記号:SLC23A2)である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
同定対象化合物が、天然物抽出物、植物化学物質、アミノ酸、脂肪酸、コレステロール、ミネラル及び糖に由来するものである、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−533078(P2008−533078A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501222(P2008−501222)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002370
【国際公開番号】WO2006/097288
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】