説明

ビタミンC誘導体を有する皮膚局所使用組成物

【課題】化粧品に応用される際に、肌の浸透性が優れているビタミンC誘導体を有する皮膚局所使用組成物Nの提供。
【解決手段】一般式:


(式において、Xは前記G、水素原子、直鎖、分岐又は環状のアルキル基からなる群から選択される一つの基であり、nは2〜12の整数を表し、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分岐のアルキル基からなる群から選択される一つの基である)で示されるビタミンC誘導体と、溶媒とを含む皮膚局所使用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンC誘導体を有する皮膚局所使用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンC(L-アスコルビン酸)は様々な化粧品に広く使用されている。ビタミンCは広く知られた水溶性酸化防止剤で、美白効果を有し、プロリン水酸化酵素(prolinehydroxylase)の補助因子としてコラーゲン合成を助長する(参照非特許文献:Quaglino, D. Jr., et al., J. Biol. Chem., p272-345, 1997)。また、ビタミンCは長期酸化防止効果を持つ製品に応用されるが、熱、光、空気等に影響され易いので、ビタミンCの安定性は低い。そして、ビタミンCより安定性が高い化合物の開発を図ることがある。
【0003】
特許文献1には、美白の有効成分として、安定な構造を有するビタミンC誘導体が開示されている。
【0004】
皮膚局所使用組成物は水溶液又は乳状液(エマルジョン)の形態での製品になってもできる。例えば、化粧ケア製品は肌セラム、ローション、クリームなどを挙げる。ビタミンC誘導体が肌に有効に浸透するために、有効成分として、ビタミンC誘導体を均質に混ぜ入れる組成物を提供することは重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,741,496号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Quaglino, D. Jr., et al., J. Biol. Chem., p272-345, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題に対して、本発明は、産業の需要を満たすために、ビタミンC誘導体を有する皮膚局所使用組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般式1:
【化1】

(式1において、Xは前記G、水素原子、直鎖、分岐又は環状のアルキル基からなる群から選択される一つの基であり、nは2〜12の整数を表し、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分岐のアルキル基からなる群から選択される一つの基である)
で示されるビタミンC誘導体と、溶媒とを含む皮膚局所使用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚局所使用組成物は、前記ビタミンC誘導体を均質に混ぜ入れることができるので、化粧品に応用される際に、肌の浸透性が優れている。本発明のビタミンC誘導体は安定な構成成分であり、且つ肌の浸透性も優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の皮膚局所使用組成物について説明する。本発明の好ましい実施例は詳細に説明されるが、本発明は以下の詳細な記述のほかに、広くその他の実施例で実施可能であり、且つ本発明の範囲は以下の説明により制限されず、請求項の記載に準じるものとする。
【0011】
本発明の実施の一形態はビタミンC誘導体を有する皮膚局所使用組成物を開示し、即ち、一般式1:
【化1】

(式1において、Xは前記G、水素原子、直鎖、分岐又は環状のアルキル基からなる群から選択される一つの基であり、nは2〜12の整数を表し、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分岐のアルキル基からなる群から選択される一つの基である)
で示されるビタミンC誘導体と、溶媒とを含む皮膚局所使用組成物である。本実施形態では前記ビタミンC誘導体の含有量が重量比で0.001wt%〜10wt%である。
【0012】
前記ビタミンC誘導体は、その具体例として、例えば、以下の化学式2:
【化2】

で示す化合物である(以下は「化合物(I)」と呼ぶ)。
【0013】
前記ビタミンC誘導体は、その具体例として、例えば、以下の化学式3:
【化3】

で示す化合物である(以下は「化合物(II)」と呼ぶ)。
【0014】
前記ビタミンC誘導体は主に白い粉末の形態がある。前記ビタミンC誘導体を均質に混ぜ入れ、かつより有効な成分にするためには、固体の形態が肌に浸透できないので、ビタミンC誘導体を溶液にすることが必要である。本発明の皮膚局所使用組成物に含まれる溶媒は前記ビタミンC誘導体を溶液にするために添加される。そして、前記構成する溶液はその後の水溶液の調製の際に、基礎成分となる。また、前記溶媒としては極性の溶媒が好ましい。前記溶媒は具体例として、例えば、水、アルコール、エーテル、グリコール、ポリアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒が好ましい。また、前記溶媒は具体例として、アルコール、グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、PEG-8(ポリエチレングリコール−8)、ジプロピレングリコール、グリコールエーテル、分子量が200〜6000のポリエチレングリコール、分子量が200〜6000のポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒がさらに好ましい。
【0015】
本実施形態では、本発明の皮膚局所使用組成物を使用し、他の組成物の調製の際に、さらに他の組成成分も添加することができる。
【0016】
以下の実施例により本発明の皮膚局所使用組成物をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1> 草本美白セラムの調製
【0017】
【表1】

【0018】
上述の調合物(草本美白セラム)の調製方法は、まず、A、B、C組それぞれに独立に組成成分を混ぜし、微晶質セルロースとセルロースガムとを均一に蒸留水に分散させ(A組)、且つクエン酸ナトリウムとクエン酸と重亜硫酸ナトリウムと化合物(I)とを均一に蒸留水に溶解した。次に、B組とC組をA組に添加し、さらにA組とB組とC組の混合物を均一に撹拌した。それから、残ったD組を混合物に添加した。
<実施例2>肌を若々しく保つ美白ローションの調製
【0019】
【表2】

【0020】
上述の調合物(肌を若々しく保つ美白ローション)の調製方法は、まず、油相と水相とをそれぞれに80℃までに加熱した。油相を水相に添加し、得た混合物を均質ミキサーで乳化し、そして、40℃までに冷却した。化合物(I)を水に加え、さらに重亜硫酸ナトリウムを添加した。攪拌しながら、残った組成成分を添加した。
<実施例3>美白保湿クリームの調製
【0021】
【表3】

【0022】
上述の調合物(美白保湿クリーム)の調製方法は、まず、油相と水相とをそれぞれに75℃まで加熱した。油相を水相に添加し、得た混合物を均質ミキサーで乳化し、そして、40℃までに冷却した。化合物(I)を水に加え、さらに重亜硫酸ナトリウムを添加した。攪拌しながら、残った組成成分を添加した。
<実施例4> 美白保湿噴霧剤の調製
【0023】
【表4】

【0024】
剪断混合によってA、B、C組それぞれに独立に組成成分を用意し、そしてB組とC組をA組に添加し、さらに室温下A組とB組とC組の混合物を均一に撹拌し、均質な溶液を得た。
<実施例5> 美白サンスクリーンの調製
【0025】
【表5】

【0026】
上述の調合物(美白サンスクリーン)の調製方法は、まず、油相と水相とをそれぞれに80℃までに加熱した。油相を水相に添加し、得た混合物を均質ミキサーで乳化し、そして、40℃までに冷却した。化合物(I)を水に加え、さらに重亜硫酸ナトリウムを添加した。攪拌しながら、残った組成成分を添加した。
【0027】
結論として、本発明はビタミンC誘導体を有する皮膚局所使用組成物を提供する。本発明によるビタミンC誘導体は組成物中に均一に混ぜ入られることができる。従って、本発明のビタミンC誘導体は化粧品に応用される際に、安定する構成成分であり、肌の浸透性も優れている。
【0028】
以上の実施例は本発明を説明するために提示されたものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の要旨より離脱せずに当業者がなしうる各種の変更或いは修飾をすることは、本発明の請求範囲に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1:
【化1】


(式1において、Xは前記G、水素原子、直鎖、分岐又は環状のアルキル基からなる群から選択される一つの基であり、nは2〜12の整数を表し、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分岐のアルキル基からなる群から選択される一つの基である)
で示されるビタミンC誘導体と、
溶媒とを含む皮膚局所使用組成物。
【請求項2】
前記ビタミンC誘導体が以下の化学式2:
【化2】

を有する請求項1記載の皮膚局所使用組成物。
【請求項3】
前記ビタミンC誘導体が以下の化学式3:
【化3】

を有する請求項1記載の皮膚局所使用組成物。
【請求項4】
前記溶媒が極性の溶媒である請求項1記載の皮膚局所使用組成物。
【請求項5】
前記溶媒が水、アルコール、エーテル、グリコール、ポリアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒である請求項1記載の皮膚局所使用組成物。
【請求項6】
前記溶媒がアルコール、グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール、PEG-8(ポリエチレングリコール−8)、ジプロピレングリコール、グリコールエーテル、分子量が200〜6000のポリエチレングリコール、分子量が200〜6000のポリプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒である請求項1記載の皮膚局所使用組成物。
【請求項7】
前記ビタミンC誘導体の含有量が重量比で0.001wt%〜10wt%である請求項1記載の皮膚局所使用組成物。

【公開番号】特開2011−236213(P2011−236213A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105143(P2011−105143)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(510154028)新▲うぃ▼生技股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】