説明

ビタミンD受容体活性化剤、及びそのビタミンD受容体活性化剤を配合した皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品

【課題】優れたVDR活性化作用を有し且つ安全性の高いVDRの活性化剤の提供。
【解決手段】エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスから選ばれる1種又は2種以上を含有するビタミンD受容体活性化剤。該ビタミンD受容体活性化剤を配合した皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品。該皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品は、紫外線により引き起こされるDNAの損傷、あるいはサイトカインの産生を抑えることにより、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、くすみを予防、改善し、あるいは皮脂腺細胞からの皮脂の分泌を制御することにより、化粧崩れ、毛穴目立ち、ニキビの予防、改善に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンD受容体を活性化することにより、皮膚における乾燥、肌荒れ、シミ、シワ、乾癬の予防および改善に有効な皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種であり、栄養面で実用に供されているものとしては、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の二種に分類される。
【0003】
消化管からのビタミンDの吸収が低下すると、ビタミンD欠乏症を容易に招くことから、経口による摂取は必須であると考えられているが、ヒトの体内においても、コレステロールの代謝により合成されることが知られている。コレステロールの代謝により生成されたプロビタミンD3(7−デヒドロコレステロール)は、皮膚の表面で紫外線照射を受けることによりビタミンD3へと変化する。また、肝臓、大腸、前立腺、皮膚など多くの組織中で代謝を受けて活性型ビタミンD3へと変換される。
【0004】
このようなビタミンD3生合成過程における紫外線の関与は、紫外線の有害性が大きく取り上げられる中で唯一の利点であるともいわれている。近年のアメリカにおける研究により、紫外線の多い地域では、紫外線の少ない地域に比べて、膀胱ガン、食道ガン、腎臓ガン、肺ガン、膵臓ガン、直腸ガン、胃ガンなど、数種のガンの発症率、死亡率が低下することが報告されており、紫外線により生成されるビタミンD3がガン発症の抑制に効果がある可能性が示唆されている(非特許文献1、2参照)。
【0005】
ヒトにおけるビタミンD3の主な働きは、骨芽細胞と破骨細胞の活性化を通した骨代謝の促進であると考えられており、これにより健康的な骨の形成が進行する。また、そのような働きを維持するために、腎臓や腸管からのカルシウム、リン酸の再吸収を促進し、血中におけるカルシウム、リン酸の濃度を上昇させる働きも有している。
【0006】
また、皮膚が紫外線を浴びることにより線維芽細胞や表皮角化細胞から産生されたサイトカインの一種であるインターロイキン−6は、皮膚の炎症や表皮の肥厚化を引き起こすが、活性型ビタミンD3はインターロイキン−6の産生を抑制することにより、そのような現象を抑えることが知られている。さらには、最近の研究により、紫外線により表皮の細胞に生じるDNAの損傷をビタミンD3が抑制することが明らかにされている(非特許文献3、4参照)。
【0007】
活性型ビタミンD3は、皮脂腺細胞の増殖、機能を制御することが知られている(非特許文献5参照)。このようなビタミンD3の作用は、過剰な皮脂の蓄積が一つの原因とされるニキビや、酸化した皮脂による表皮角化細胞への刺激が細胞の過増殖を誘発し、周辺部位がすり鉢状へと変化することによる毛穴の目立ちの発生を抑える効果へと繋がることが期待出来る。また、美容的な観点からも、顔面における過剰な皮脂産生は、化粧料の保持効果を著しく低下させることから、美しい塗布状態を崩壊させる原因となるが、ビタミンD3の作用がこのような化粧料の効果低下を予防することが十分に予想される。
【0008】
ところで、ビタミンD3の作用は、核内レセプターの一つであるビタミンD受容体(Vitamine D Receptor、以下VDRと略す場合もある)を介して現れると考えられている。VDRは、リガンド誘導型の転写制御因子として働き、リガンドと結合したVDRは、レチノイドXレセプターとヘテロダイマーを形成し、DNA上のVDR認識配列と作用することにより、遺伝子発現を転写レベルで制御している。
【0009】
こうしたことが明らかにされたことから、ニキビや皮膚炎等の疾患への効果を目的として、下記特許文献1の様な特許出願が行われており、表皮角化細胞の増殖を抑制する化合物が報告されている。
【0010】
一方、ビタミンD3の長期連用は安全性上の問題があるため、同様の作用をもつ皮膚外用剤を開発するためには、より安全性の高い成分を提供する必要がある。
【0011】
【非特許文献1】Cancer,94,1867−1875,2002
【非特許文献2】Experimental Dermatology,16,618−625,2007
【非特許文献3】Journal of Cellular Biochemistry,89,663−673,2003
【非特許文献4】Journal of Investigative Dermatology,127,707−715,2006
【非特許文献5】Fragrance Journal,2004年3月号,14−18
【特許文献1】特表2006−524659
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、優れたVDR活性化作用を有し且つ安全性の高いVDRの活性化剤を提供するとともに、紫外線により引き起こされるDNAの損傷、あるいはサイトカインの産生を抑えることにより、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、くすみを予防、改善し、あるいは皮脂腺細胞からの皮脂の分泌を制御することにより、化粧崩れ、毛穴目立ち、ニキビの予防、改善に有用な皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは前記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスが優れたVDRの活性化作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするビタミンD受容体活性化剤を提供するものである。
【0015】
また本発明は、上記のようなVDR活性化剤を有効成分として配合することを特徴とする皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、優れたVDR活性化作用をもつVDR活性化剤を提供することが可能となった。また、このようなVDR活性化剤を配合することにより、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、くすみを改善、予防し、若々しい肌を実現させ、また皮脂分泌の制御により化粧崩れ、ニキビ、毛穴の目立ちを予防、改善し、かつ安全性の高い皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明のVDR活性化剤は、上述のように、エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスから選ばれる1種又は2種以上を含有するものである。ここで「含有する」とは、本発明のVDR活性化剤が、エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスから選ばれる1種又は2種以上からなるものである場合の他、これら以外のものが含有されていてもよいことを意味する。
本発明で用いるエキス等は、ノバラ、ユキノシタ、マジョラムの全草若しくはその葉、茎、根、種子および花のうち一部又は2つ以上の箇所、エイジツ(ノバラの果実の部分)、レイシの子実体、紫根(紫の根の部分)を乾燥し、又は乾燥することなく粉砕した後、低温又は室温ないし加温下に溶媒により抽出するか、又はソックスレー抽出器などの抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液、或いはその乾燥末等のものである。
【0018】
抽出に用いる溶媒としては、通常の植物の抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができる。たとえば、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、含水アルコール類、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等の有機溶媒類等であり、それらは単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤において有効な効果を得るために、エイジツエキス、ユキノシタ、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスの配合量は、通常乾燥固形分として0.0001〜50重量%とすることが好ましい。0.0001重量%未満では本発明の効果が充分に得られない可能性があり、一方、50重量%を超えても、その増量に見合った効果の向上は認められないからである。この観点から、0.001〜20重量%がより好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用剤中には本発明の効果を損なわない範囲において、一般に化粧料で用いられ、あるいは医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる各種任意成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような任意成分として、たとえば、精製水、エタノール、油性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤等を挙げることができる。
【0021】
本発明の皮膚外用剤の形態は、液状、乳液、軟膏、クリーム、ゲル、エアゾール、石けん等皮膚に適用可能な性状のものであれば問うものではなく、必要に応じて適宜基剤成分等を配合して所望の形態の皮膚外用剤を調製することができる。また、本発明の皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品又は化粧品等の多様な分野において適用可能である。
【0022】
本発明のVDR活性化剤は、皮膚の乾燥、肌荒れ、シワ、タルミ、くすみを予防、改善し、若々しい肌を実現させ、また過度の皮脂による化粧崩れ、ニキビ、毛穴の目立ちを予防、改善し、化粧品の効果を保持することが可能であるが、ここに示した効果は例示であり、これらの皮膚症状に本発明のVDR活性化剤、及びそのVDR活性化剤を含有する皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品の適用が限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0024】
(実施例1)
本実施例は、エイジツエキスからなるVDR活性化剤の実施例である。エイジツエキスの調製は次のようにして行う。すなわち、先ずエイジツの果実を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加える。次に、25℃にて5日間抽出を行った後、濾過することによって、エイジツエキスを得た。このとき、乾燥固形物量は、1.34重量%であった。
【0025】
(実施例2)
本実施例は、ユキノシタエキスからなるVDR活性化剤の実施例である。ユキノシタエキスの調製は次のようにして行う。すなわち、ユキノシタの茎葉部を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加え、室温にて一晩抽出を行った後、濾過し、ユキノシタエキスを得た。乾燥固形物量は、1.22重量%であった。
【0026】
(実施例3)
本実施例は、レイシエキスからなるVDR活性化剤の実施例である。レイシエキスの調製は次のようにして行う。すなわち、子実体を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加え、室温にて5日間抽出を行った後、濾過し、レイシエキスを得た。乾燥固形物量は、1.23重量%であった。
【0027】
(実施例4)
本実施例は、ノバラ油からなるVDR活性化剤の実施例である。ノバラ油の調製は次のようにして行う。すなわち、ノバラの果実を乾燥して細かく砕いたもの10gに、エタノール100mlを加え、室温にて5日間抽出を行った後、エタノールを乾燥除去し、ノバラ油を得た。乾燥後重量は、0.53重量%であった。
【0028】
(実施例5)
本実施例は、マジョラムエキスからなるVDR活性化剤の実施例である。マジョラムエキスの調製は次のようにして行う。マジョラムの葉を乾燥して細かく砕いたもの10gに、エタノール100mlを加え、室温にて5日間抽出を行った後、エタノールを乾燥除去し、
マジョラムエキスを得た。乾燥後重量は、1.41重量%であった。
【0029】
(実施例6)
本実施例は、紫根エキスからなるVDR活性化剤の実施例である。紫根エキスの調製は次のようにして行う。紫根を乾燥して細かく砕いたもの10gに、含水濃度50容量%エタノール100mlを加え、室温にて5日間抽出を行った後、濾過し、紫根エキスを得た。乾燥固形物量は、1.42重量%であった。
【0030】
(試験例1)VDR結合活性試験
核内受容体は、リガンドとの結合によりその立体構造が変化し、転写共役因子と相互作用することが知られている。本試験例は、この原理を利用したVDR結合活性測定キットCoA−BAP Systemシリーズ−VDR(有限会社マイクロシステムズ製)を用いたVDR結合活性試験である。
【0031】
96wellプレートの各wellに、VDR溶液を100μl分注し、プレートシールを貼った上、アルミホイルで全体を包み、4℃で一晩静置した。VDR溶液を除去した後、0.5μMのDTTを含むリン酸緩衝生理食塩水(120μl)で3回洗浄した。TIF2−BAP液 100μlを各wellに添加し、下記実施例1乃至6のVDR活性化剤を含む試験溶液及びポジティブコントロールの試験溶液をそれぞれ1μlずつ分注した。4℃で1時間静置した後、リン酸緩衝生理食塩水(120μl)で3回洗浄した。これに基質液(NPPを溶解した1M Tris−HCl(pH8.0))を各wellに100μl分注した。37℃で3時間反応させた後、0.5N NaOHを各wellに25μl加えて反応を停止させ、405nmの吸光度を測定した。
【0032】
試験は、上記実施例1のエイジツエキス、実施例2のユキノシタエキス、実施例3のレイシエキス、実施例4のノバラ油、実施例5のマジョラムエキス、実施例6の紫根エキスの濃度(容量%)を変えて行った。具体的には、試験溶液中でのエイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスの最終濃度が、それぞれ1容量%、0.5容量%、0.25容量%となるように、予めDMSOにて調製し、試験に供した。また、ポジティブコントロールには、1α−25−dihydroxycholecalciferolを100nM、10nM、1nMに調製し、測定に用いた。試験結果を表1に示す。
【0033】
表1からも明らかなように、ポジティブコントロールに比べて実施例1〜6の場合は405nmの吸光度が高く、エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスはいずれもVDR活性化作用を有することが明らかとなった。特に、実施例1〜6のそれぞれのエキスの濃度が高くなるほど、405nmの吸光度が高くなり、VDR活性化作用が高まることがわかった。
【0034】
【表1】

【0035】
(試験例2)IL−6産生抑制試験
本試験例は、正常ヒト新生児包皮皮膚表皮角化細胞NHEK(クラボウ社製)を用いた紫外線UVBによるインターロイキン−6(以下、IL−6)産生の抑制効果を評価した試験である。
【0036】
NHEKの培養には、NHEK培養用基礎培地(KB2、クラボウ)をベースとし、ハイドロコーチゾン (0.5μmol/ml)、インシュリン(5μg/ml)、EGF(上皮細胞成長因子:10ng/ml)、BPE(牛脳下垂体抽出液)、及び抗生物質からなる添加剤セット(クラボウ社製)を添加した表皮細胞培養用培地(KG2)を用いた。
【0037】
35mm組織培養用ディッシュ(IWAKI社製)の各wellに、2.5×10-5(cell/ml)の細胞数でKG2に懸濁したNHEKを2ml播種した。培養は、CO2インキュベーター(95容量%空気、5容量%二酸化炭素)内、37℃の条件下で行った。
【0038】
培養2日目に培地を吸引除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PH7.4)2mlで2回洗浄した。リン酸緩衝生理食塩水(PH7.4)1mlを添加し、ディッシュの蓋を空けた状態で紫外線UVB(ランプ:Filips社製、照射強度:0.1mW/cm2を20mJ/cm2を照射した。PBSを吸引除去し、下記実施例1乃至6のVDR活性化剤を混合したKG2を2ml加え、24時間培養後の培養上清を採取し、ELISA法にて培養上清中のIL−6産生量を測定した。
【0039】
培養上清中のIL−6産生量の測定は、Interleukin−6[(h)IL−6] Human,Biotrak ELISA System(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用い、同説明書に従って行い、96wellマイクロプレート上で行った。
【0040】
すなわち、ビオチン標識したIL−6抗体を各wellに50μl分注し、これに上記
実施例1乃至6のVDR活性化剤を含む培養上清を50μlずつ分注するとともに、スタンダードとして上記Interleukin−6[(h)IL−6] Human,Biotrak ELISA Systemに付属の検量線作成用のIL−6 standard solution(標準溶液)を、各wellに50μl加え、25℃で静置した。2時間静置後、プレート内の溶液を除去した後、Wash buffer (200μL)で3回洗浄した。
【0041】
これにペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン溶液(100μl)を分注し、25℃で静置した。30分後、Wash buffer (200μl)で3回洗浄した。これに、酵素基質溶液(100μl)を分注し、アルミホイルで遮光し、25℃で静置した。30分静置後、反応停止液(100μl)を添加し、450nmにおける吸光度を測定した。スタンダードの各濃度における吸光度から検量線を作成し、それぞれの条件における培養上清中のIL−6産生量を算出した。
【0042】
IL−6の定量と同時に細胞数をカウントし、その計測した細胞数と、上記のように算出したIL−6産生量から、細胞あたりのIL−6産生量として評価し、試料を添加していない時の細胞あたりのIL−6産生量を100とした値で表した。
【0043】
試験は、上記実施例1のエイジツエキス、実施例2のユキノシタエキス、実施例3のレイシエキス、実施例4のノバラ油、実施例5のマジョラムエキス、実施例6の紫根エキスの濃度(容量%)を変えて行った。具体的には、培養液中でのエイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスの最終濃度が、それぞれ1容量%、0.1容量%、0.01容量%となるように、予めKG2を用いて調製し、試験に供した。
【0044】
また、ポジティブコントロールには、試験溶液の代わりに1α−25−dihydroxycholecalciferolを、培養液中での最終濃度が0.2μM、0.1μM、0.05μになるように、予めKG2を用いて調製し、測定に用いた。
【0045】
【表2】

【0046】
試験結果を表2に示す。表2からも明らかなように、KG2のみで培養した場合のIL−6の産生量に比べて、実施例1〜6のVDR活性化剤を混合した場合は、IL−6の産生量が減少しており、エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスを、紫外線UVB照射後の表皮角化細胞の培養液に添加することにより、細胞からのIL−6の産生が抑制されることが分かった。また、一般に優れたIL−6産生抑制効果を示すと認められている1α−25−dihydroxycholecalciferolと比べても、同程度のIL−6産生抑制効果を示した。その一方で、皮膚に対する安全性の確認されていない1α−25−dihydroxycholecalciferolに比べると、実施例1〜6のVDR活性化剤は、植物からの抽出物であるため安全性が高く、IL−6の産生抑制を目的とした皮膚外用剤等として好適に使用することができるものと認められる。
【0047】
(試験例3)肌荒れ改善作用試験
本試験例は、モデル動物における肌荒れ改善作用試験である。上記実施例1、2のVDR活性化剤の肌荒れに対する改善効果を評価するため、肌荒れモデルを作成したモルモットを使用し、試料の適用試験を実施した。尚、試料は実施例1、2にて得られた各抽出物を含水濃度50容量%エタノールで希釈して、固形分濃度0.1%となるように調製した。また比較例1として含水濃度50容量%エタノールのみについても同様に試験を行った。
【0048】
背部を除毛したハートレー系モルモット(雌性、5週齢、1群3匹)に、白色ワセリンにて3重量%に調整したラウリル硫酸ナトリウム(0.2g)を3日間連続解放塗布して肌荒れを作成した。肌荒れ作成部位を4等分し、各試料1.0mLを1日3回、3日間連続塗布し、肌荒れの状態を観察した。肌荒れの度合いは定められた判定基準(スコア)に従って判定し、各群の平均スコアで示した。試験結果を表3に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
尚、本試験例における肌荒れ状態の判定基準は次のとおりである。
肌荒れ状態の判定基準 スコア
紅斑、落屑ともほとんどみられない 1
紅斑を伴わない軽度の落屑 2
紅斑を伴わない中等度の落屑 3
弱い紅斑を伴った落屑 4
中等度の紅斑を伴った落屑 5
著しい紅斑を伴った落屑 6
【0051】
表3からも明らかなように、実施例1及び2のVDR活性化剤ともに、比較例1に比べて平均スコアが小さく、肌荒れ改善作用が優れていることがわかった。
【0052】
(処方例1)
本処方例は、上記実施例1のVDR活性化剤であるエイジツエキスを化粧料の一例としてのクリームに配合した場合の処方例である。
【0053】
クリームの調製は次のようにして行った。すなわち、スクワレン、セチルイソオクタノエートおよびマイクロクリスタリンワックスを加熱溶解後、粘土鉱物およびPOEグリセロールトリイソステアリン酸エステル(界面活性剤)を加え、70℃に調整し、これらを均一に分散、溶解させて油性ゲルを得た。次に、エイジツエキスを所定濃度精製水に溶解し、油性ゲルの中へ、十分に攪拌しながらゆっくりと添加した。ホモミキサーで均一に混合した後、脱気、ろ過し、30℃まで冷却し、クリームを得た。得られた処方例1のクリームの組成および配合比は以下の通りである。
【0054】
組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
エイジツエキス 1.0%
水 残量
【0055】
(処方例2)
本処方例は、上記実施例2のVDR活性化剤であるユキノシタエキスを化粧料の一例としてのクリームに配合した場合の処方例である。クリームの調製は上記処方例1と同様に行った。得られた処方例2のクリームの組成および配合比は以下の通りである。
【0056】
組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
ユキノシタエキス 1.0%
水 残量
【0057】
(比較例2)
クリーム基剤の組成および配合比は処方例1及び2と同じであって、VDR活性化剤であるエイジツエキス又はユキノシタエキスが配合されていないクリームを調製し、比較例2とした。比較例2のクリームの組成および配合比は以下の通りである。
【0058】
組成 配合比(重量%)
スクワレン 20.0%
セチルイソオクタノエート 8.5%
マイクロクリスタリンワックス 1.0%
粘土鉱物 1.3%
POEグリセロールトリイソステリン酸エステル 0.2%
水 残量
【0059】
(試験例4)くすみ改善作用試験
上記のように調製した処方例1及び2のクリームを用いて、くすみ改善試験を行った。すなわち、くすみの気になる女性パネル(22から47歳)90名を選抜し、処方例1、処方例2、および比較例2の被験クリーム1品につき30名を1グループとし、毎日朝と夜の2回、3ヶ月間にわたって適量を顔面に塗布した。塗布によるくすみ改善効果は以下の方法によって評価した。
【0060】
肌色の明るさ及びくすみの目立ちやすさは下記の評価基準に従って目視判定し、同時に肌色の明るさを色彩色差計(ミノルタ社製)で測定した。評価結果は、比較例2のクリームの試験終了後のL*値から試験終了前のL*値を差し引いた値を100として、処方例1および処方例2のクリームのL*値の変化を比で示した。尚、値が高いほど明度が高く、より明るい肌になったことを示す。また、各被験者で任意の5カ所を測定してL*値の平均を算出したところ、試験前の値が試験後を上回る被験者はいなかった。試験結果を表4に示す。
【0061】
尚、本試験例における判定基準は次のとおりである。
有効:肌色が明るくなり、くすみが目立たなくなった。
やや有効:肌色が明るくなったが、くすみは変化なし。
無効:使用前と変化なし。
【0062】
【表4】

【0063】
表4から明らかなように、処方例1及び2は、エイジツエキスもしくはユキノシタエキスを含有しない比較例2に比べて、くすみを改善し、より明るく美しい肌とすることが明らかとなった。
【0064】
(試験例5)シワ改善試験
試験例4の女性パネル90名に対して試験終了後にシワの改善に関するアンケートを実施した。シワの改善度は、以下に示す基準で回答してもらい、処方例1、処方例2、及び比較例2毎にシワが「明らかに改善した」、「改善した」と回答した人数を表5に示した。
【0065】
【表5】

【0066】
尚、本試験例におけるシワの改善に関する評価基準は次のとおりである。
明らかに改善した
改善した
わずかに改善した
変化なし
【0067】
表5から明らかなように、処方例1及び2では、比較例2と比較して、シワが「明らかに改善した」、「改善した」と回答した人数が明らかに多く、皮膚のシワ改善効果が大きいことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エイジツエキス、ユキノシタエキス、レイシエキス、ノバラ油、マジョラムエキス、紫根エキスから選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするビタミンD受容体活性化剤。
【請求項2】
請求項1記載のビタミンD受容体活性化剤を配合したことを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項3】
請求項1記載のビタミンD受容体活性化剤を配合したことを特徴とする化粧料。
【請求項4】
請求項1記載のビタミンD受容体活性化剤を配合したことを特徴とする医薬部外品。

【公開番号】特開2009−242332(P2009−242332A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92741(P2008−92741)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000112266)ピアス株式会社 (49)
【Fターム(参考)】