説明

ビタミンD誘導体の前用量投与によってアレンドロネート等のビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法

【課題】ビスフォスフォネートの生体利用効率を高める。
【解決手段】有効な前投与量のビタミンD誘導体、例えばアルファカルシドール又はカルシトリオールを投与し、インターバル時間後に、治療投与量のビスフォスフォネート、例えばアレンドロネートを投与する。本発明は、ビタミンD誘導体及びビスフォスフォスファネートの、骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病等の治療への使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は米国仮特許出願第60/433,685号(2002年12月16日提出)及び第60/460,206号(2003年4月2日提出)の優先権を主張し、それらは両方とも本明細書中、それらの全体が参照によって組み込まれている。
【0002】
本発明は、受容者に対して、治療投与のビスフォスフォネートを投与する6時間以上前に、受容者へαカルシドール(1α−ヒドロキシビタミンD3)の前投与量を投与することによって、アレンドロネートなどのビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法に関連する。
【0003】
本発明は、受容者に対して前投与量のカルシトリオール(1α,25−ジヒドロキシビタミンD3)を投与することによってアレンドロネートなどのビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法に関連し、この方法では当該カルシトリオールは投与後、即時放出から約3〜約5時間放出が遅れており、そして治療投与量のビスフォスフォネートをカルシトリオールの前投与量を投与した約6時間以上後に投与する。
【背景技術】
【0004】
骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット症の治療は、胃放出の制御及び複数投与送達技術の改善をすることにより有利になる。ビスフォスフォネートの 例えば、ナリトウムアレンドロネート、リセドロネート、エチドロネート、ゾレドロン酸及びチルドロネートは、これらの病気を治療するために通常処方されている。それらの利点にもかかわらず、ビスフォスフォネートは経口生体利用効率が非常に欠しい。アレンドロネートは1%未満の生体利用効率を有する(非特許文献1:Gert, B.J., Holland, S.D., Kline, W.F., Matuszewski, B.K., Freeman, A., Quan, H., Lasseter, K.C., Mucklow, J.C., Porras, A.G.“Studies of The Oral Bioavailability of Alendronate,”Clinical Pharmacology & Therapeutics 1995, vol.58, pp.288〜298)。その吸収は水を除いて、食物及び飲料で阻害される(I.d.)。アレンドロネートを摂取している患者が経験する副作用とは胃腸の上 皮粘膜の炎症である(非特許文献2:Liberman, U.A., Hirsch, L.J.;“Esophagitis and Alendronate”N. Engl. J. Med., 1996, vol.335, pp.1069-70)。この刺激により、一層深刻な状態がもたらされる(非特許文献3:Physicians' Desk Reference, Fosamax, Warnings.)。
【0005】
アレンドロネートは上部GI管(十二指腸及び突腸)から最適に吸収される(非特許文献4:Lin, J.H.“Bisphosphonates: A Review of Their Pharmacokinetic Characteristics”Bone, 1996, vol.18, pp.75〜85;非特許文献5:Porras, A.G., Holland, S.D., Gertz, B.J.,“Pharmacokinetics of Alendronate,”Clin. Pharmacokinet 1999, vol.36, pp.315〜328)。アレンドロネートは約6のpHで最適に吸収される(非特許文献6:Gert, B.J., Holland, S.D., Kline, W.F., Matuszewski, B.K., Freeman, A., Quan, H., Lasseter, K.C., Mucklow, J.C., Porras, A.G.“Studies of The Oral Bioavailablity of Alendronate,”Clinical Pharmacology & Therapeutics, 1995, vol.58, pp.288〜298)。同一出願人による米国特許第6,476,006号(特許文献1)中で論じられているように、アレンドロネートの胃放出を調節することで、薬物を、胃の一部である十二指腸及び突腸へ長時間に亘り送達することが可能になり、生体利用効率の向上がもたらされ、そしてそれにより投与量が下げそし て刺激を少なくすることが可能になるだろう。
【0006】
ビスフォスフォネート治療に加え、骨粗鬆症の治療における見解としては、ホルモン代替療法及びカルシウム補充療法が挙げられる(非特許文献7:Kleerekoper, M., Schein, J.R.“Comparative Safety of Bone Remodeling Agents with A Focus on Osteoporosis Therapies,”J. Clin, Pharmacol. 2001, vol.41, p.239)。カルシウム量の増加により、骨粗鬆症の患者の骨の鉱化状態が改善される可能性がありうる。過去30年に亘り、ビタミンD又はビタミンD誘導体の例えば、カルシトリオールと共にカルシウムを補充することが、骨粗鬆症の問題を治療するために選択されて来た(非特許文献8:Cannigia, A., Vattimo, A.“Effects of 1,25 Dihydroxycholecalciferol on Calcium Absorption in Postmenopausal Osteoporosis,”Clin, Endocrinol., 1979, vol.11, p.99;非特許文献9:Riggs, B.L., Nelson, K.L.“Effect of Long Term Treatment with Calcitriol on Calcium Absorption and Mineral Metabolism in Postmenopausal Osteoporosis, J. Clin, Endocrinol. Metab. 1985, vol.61, p.457;非特許文献10:Reid, I.R., Ames, R.W., Evans, M.C., Gamble, G.D., Sharpe, S.J.“Long Term Effects of Calcium Supplementation on Bone Loss and Fracture in Post-menopausal Women, a Randomized Controlled Trial, Am. J. Med., 1995, vol.98, p.331)。カルシトリオール(1,25−ジヒドロキシビタミンD3)は、胃腸管からのカルシウムの吸収を調節することにおいて活性があるビタミンD誘導体である(非特許文献11:Physicians' Desk Reference, Rocaltrol Oral Solution, Description)。カルシトリオールは、ビタミンD3の生物活性代謝物であり、腸のカルシウム輸送を刺激する(非特許文献12:Merck Index, 第13版、1643)。カルシトリオールは腸管から迅速に吸収され、そして摂取後3〜6時間以内にピーク血漿濃度に至る(非特許文献13:Physicians' Desk Reference, Rocaltrol Oral Solution, Pharmacokinetics)。カルシトリオールはカルシウム欠乏症を治療するために使用されている。
【0007】
過去数年に亘り、首尾よいトライアルが行われて来た。それにより、カルシトリオールとビスフォスフェートの併用療法を使用することにおいて相乗効果があることが確かめられた(非特許文献14:Frediani, B., Allegri, A., Bisogno, S., Marcolongo, R.“Effects of Combined Treatment with Calcitriol Plus Alendronate on Bone Mass and Bone Turnover in Postmenopausal Osteoporosis-Two Years of Continuous Treatment,”Clin. Drug Invest. 1998, vol.15, p.223;非特許文献15:Masud, T., Mulcahy, B., Thompson, A.V., Donnolly, S., Keen, R.W., Doyle, D.V., Spector, T.D.,“Effects of Cyclical Etidronate Combined with Calcitriol Versus Cyclical Etidronate Alone on Spine and Femoral Neck Bone Mineral Density in Postmenopausal Women,”Ann. Rheum. Dis., 1998, vol.57, p.346;非特許文献16:Malvolta, M., Zanardi, M., Veronesi, M., Ripamonti C., Gnudi, S.“Calcitriol and Alendronate Combination Treatment in Menopausal Women with Low Bone Mass,”Int. J. Tissue React. 1999, vol.21, p.51;非特許文献17:Nuti, R., Martini, G., Giovani, S., Valenti, R.“Effect of Treatment with Calcitriol Combined with Low-dosage Alendronate in Involutional Osteoporosis,”Clin, Drug Invest., 2000, vol.19, p.56)。併用療法の目的とは、治療結果を向上させ、そして2つの薬物の投与量を下げることである。これらのトライアルにおいて、薬物は個別に、そして同時に投与されている。国際公報WO2001/028564(特許文献2)にはカルシトリオールとアレンドロネートをこの2つの薬物の特定の比の範囲で含む併用療法が開示されている。
【0008】
骨粗鬆症、転移性骨疾患及びパジェット病の治療における併用療法の利点が認識されているが、そして多投与医薬のための制御放出システムにおける進展があるが、併用療法の利点を完全に実現するために、ビスフォスフォネート及びカルシウム輸送刺激物のための、改良された制御放出システム及び改良された投与計画に対する要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,476,006号明細書
【特許文献2】国際公報WO2001/028564
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Gert, B.J., Holland, S.D., Kline, W.F., Matuszewski, B.K., Freeman, A., Quan, H., Lasseter, K.C., Mucklow, J.C., Porras, A.G.“Studies of The Oral Bioavailability of Alendronate,”Clinical Pharmacology & Therapeutics 1995, vol.58, pp.288〜298
【非特許文献2】Liberman, U.A., Hirsch, L.J.;“Esophagitis and Alendronate”N. Engl. J. Med., 1996, vol.335, pp.1069-70
【非特許文献3】Physicians' Desk Reference, Fosamax, Warnings.
【非特許文献4】Lin, J.H.“Bisphosphonates: A Review of Their Pharmacokinetic Characteristics”Bone, 1996, vol.18, pp.75〜85
【非特許文献5】Porras, A.G., Holland, S.D., Gertz, B.J.,“Pharmacokinetics of Alendronate,”Clin. Pharmacokinet 1999, vol.36, pp.315〜328
【非特許文献6】Gert, B.J., Holland, S.D., Kline, W.F., Matuszewski, B.K., Freeman, A., Quan, H., Lasseter, K.C., Mucklow, J.C., Porras, A.G.“Studies of The Oral Bioavailablity of Alendronate,”Clinical Pharmacology & Therapeutics, 1995, vol.58, pp.288〜298
【非特許文献7】Kleerekoper, M., Schein, J.R.“Comparative Safety of Bone Remodeling Agents with A Focus on Osteoporosis Therapies,”J. Clin, Pharmacol. 2001, vol.41, p.239
【非特許文献8】Cannigia, A., Vattimo, A.“Effects of 1,25 Dihydroxycholecalciferol on Calcium Absorption in Postmenopausal Osteoporosis,”Clin, Endocrinol., 1979, vol.11, p.99
【非特許文献9】Riggs, B.L., Nelson, K.L.“Effect of Long Term Treatment with Calcitriol on Calcium Absorption and Mineral Metabolism in Postmenopausal Osteoporosis, J. Clin, Endocrinol. Metab. 1985, vol.61, p.457
【非特許文献10】Reid, I.R., Ames, R.W., Evans, M.C., Gamble, G.D., Sharpe, S.J.“Long Term Effects of Calcium Supplementation on Bone Loss and Fracture in Post-menopausal Women, a Randomized Controlled Trial, Am. J. Med., 1995, vol.98, p.331
【非特許文献11】Physicians' Desk Reference, Rocaltrol Oral Solution, Description
【非特許文献12】Merck Index, 第13版、1643
【非特許文献13】Physicians' Desk Reference, Rocaltrol Oral Solution, Pharmacokinetics
【非特許文献14】Frediani, B., Allegri, A., Bisogno, S., Marcolongo, R.“Effects of Combined Treatment with Calcitriol Plus Alendronate on Bone Mass and Bone Turnover in Postmenopausal Osteoporosis-Two Years of Continuous Treatment,”Clin. Drug Invest. 1998, vol.15, p.223
【非特許文献15】Masud, T., Mulcahy, B., Thompson, A.V., Donnolly, S., Keen, R.W., Doyle, D.V., Spector, T.D.,“Effects of Cyclical Etidronate Combined with Calcitriol Versus Cyclical Etidronate Alone on Spine and Femoral Neck Bone Mineral Density in Postmenopausal Women,”Ann. Rheum. Dis., 1998, vol.57, p.346
【非特許文献16】Malvolta, M., Zanardi, M., Veronesi, M., Ripamonti C., Gnudi, S.“Calcitriol and Alendronate Combination Treatment in Menopausal Women with Low Bone Mass,”Int. J. Tissue React. 1999, vol.21, p.51
【非特許文献17】Nuti, R., Martini, G., Giovani, S., Valenti, R.“Effect of Treatment with Calcitriol Combined with Low-dosage Alendronate in Involutional Osteoporosis,”Clin, Drug Invest., 2000, vol.19, p.56
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの観点において、本発明は、ビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法であって、ビタミンD誘導体、特にカルシトリオール、αカルシドール、24,25−ジヒドロキシビタミンD3及びカルシフェジローの有効前投与量を投与し、そしてあるインターバル時間、特に約6時間〜約14時間後に、治療投与量のビスフォスフォネート、特にアレンドロネート、リセドロネート、エチドロネート、ゾレドロネート、及びチルドロネートを投与することを含む方法を供する。
【0012】
他の観点において、インターバル時間は、ビタミンD誘導体を投与した後に血漿カルシウム量が最大に至るために必要とされる時間量におよそ等しい。本発明は特に、就寝時に投与されるべきビタミンD誘導体の前投与量及び食前に投与されるべきビスフォスフォネートの前投与量を提供する。インターバル時間は、ビタミンD誘導体を投与する時間を変えること、ビスフォスフォネートを投与する時間を変えることによって、そして医薬業界で公知の遅延放出技術を使用することによって達成されてよい。
【0013】
他の観点において、本発明は、骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病を、ビスフォスフォネートを投与する前に有効な前投与量のビタミンD誘導体を投与することによって治療するための医薬を製造するためのビスフォスフォネートの使用に関連する。
【0014】
他の観点において、本発明は、ビタミンD誘導体を投与する後にビスフォスフォネートを投与することによって骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病を治療するための医薬を製造するためのビタミンD誘導体の使用に関連する。
【0015】
更に他の観点において、本発明は、ビタミンD誘導体を、そしてインターバル時間後にビスフォスフォネートを投与することによって骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病を治療する医薬を製造するためのビタミンD誘導体及びビスフォスフォネートの使用に関連する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、ビスフォスフォネートの生体利用効率を高めるための薬物併用療法の方法であって、前投与量のカルシウム輸送刺激物質の特にアルファカルシドールを投与し、しかる後に、当該カルシウム輸送刺激物質を投与した約6時間以上後に、ビスフォスフォネートカルシウム吸収阻害物質を投与する段階を含む方法を供する。本発明は、カルシウム輸送刺激物質が、血中のカルシウムを増加させるという確認されているその利点に加えて、腸のカルシウム濃度を枯渇させる(deplete)という事実を利用する。ビスフォスフォネートとカルシウムの腸における錯体化はカルシウムの吸収を阻害する。カルシウムの枯渇により腸におけるビスフォスフォネートの吸収が改善される。カルシウム輸送刺激物質たるビタミンD誘導体の送達後、ビスフォスフォネートカルシウム吸収阻害物質が上方小腸へと送達された場合、ビスフォスフォネートの吸収は増加するだろう。ビスフォスフォネートは、ビタミンD誘導体の輸送活性により、カルシウムが部分的に枯渇している環境へと入るだろう。従って、この枯渇カルシウム環境により、ビスフォスフォネートのより高い吸収が可能になり、それによって血流に到達した後に生じるビスフォスフォネートとビタミンD誘導体の相乗効果によって投与量の減少が生じることに加えて、投与量を減らすことが可能になる。
【0017】
1つの実施態様にいて、本発明は、ビタミンD誘導体の有効な前投与量を投与し、そして約6時間以上後に、好適には約6時間〜約14時間後に、治療投与量のビスフォスフォネートを投与することによってビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法を供する。この実施態様において、好適なビタミンD誘導体は、アルファカルシドールであり、そして好適なビスフォスフォネートは、アレンドロネートである。
【0018】
他の実施態様において、本発明は、遅延放出有効前投与量のビタミンD誘導体を投与し、そして約6時間以上後に、好適には約6時間〜約14時間後に、治療投与量のビスフォスフォネート投与することによってビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法を供する。好適に、ビタミンD誘導体の放出は、ビタミンD誘導体が投与された後約3〜5時間遅れている。この実施態様において、好適なビタミンD誘導体は、カルシトリオールであり、そして好適なビスフォスフォネートはアレンドロネートである。
【0019】
本明細書中で使用した場合、生体利用効率とは、「ある投与量の薬物がその作用部位又は生物流体(そこから薬物が作用部位にアクセスする)に到達する僅かな程度」、「全身循環に入るように吸収された小量の薬物」を意味するGoodman and Gilman's The Pharmalogical Basis of Therapeutics 5, 18(Joel G. Hardmanら、著、McGraw Hill Pub. 第10th版、2001)。経口生体利用効率は第二の情報(例えば、投与した投与量の%として表した、尿排泄又は変化せずに尿中に排出された量)に基づいて見積もられてよい(Id. 1918)。
【0020】
本発明は、有効な前投与のビタミンD誘導体を投与する段階を伴う。当業者は、前投与量とは、治療投与量のビスフォスフォネートを投与する前に投与するビタ ミンD誘導体の投与量であることを理解するだろう。有効な前投与とは、カルシウム輸送刺激物質が、ビスフォスフォネートの腸吸収の増加(カルシウム輸送刺 激物質を伴わずに投与した等しい投与量のビスフォスフォネートに比較して)をもたらす全ての量において投与されてよいことを意味する。有効な前投与量と は、約0.1μg〜約10μgにおけるビタミンD誘導体投与量である。
【0021】
本発明の実施において有用なビタミンD誘導体はカルシウム輸送刺激物質である。カルシウム輸送刺激物質はカルシウムの腸における吸収を促す(Id. 1728)。本発明の実施において有用なビタミンD誘導体は、ホルモン、ビタミンDの構造類似物である。本発明の実施において有用なビタミンD誘導体の例は、カルシトリオール、アルファカルシドール、24,25−ジヒドドキシビタミンD、及びカルシフェジオールである。1つの実施態様において、好適なビタミンD誘導体とはアルファカルシドールである。アルファカルシドールの好適な投与量範囲は、約0.1μg〜約10μg、一層好適には約0.2μg〜約2μgである。他の実施態様において、好適なビタミンD誘導体はカルシトリオールである。アルファカルシドールの好適な投与量範囲は、約0.1μg〜約10μg、一層好適には約0.2μg〜約2μgである。
【0022】
アルファカルシドール、又は1α−ヒドロキシビタミンD3は、カルシトリオールの合成類似物、ビタミンD3のホルモン形態である。アルファカルシドールは腸のカルシウム吸収、腸から血流中へのカルシウムの輸送を刺激する。アルファカルシドールが腸に入った場合、血液カルシウム量がピークになる前、数時間が経過しなければならない。ビスフォスフォネートを最小カルシウムの環境中へと放出するためには、アルファカルシドール前投与量の投与が、ビスフォスフォスフォネート投与量の投与に数時間のインターバル時間によって先立つべきである。数時間、例えば、約6時間〜約14時間のインターバル時間により、ビスフォスフォネートの最大生体利用効率が可能になる。
【0023】
ビスフォスフォネートの生体利用効率の最大の増加は、アルファカルシドール前投与量とビスフォスフォネート投与量を投与する間のインターバルの時間が、約6時間以上、好適には約6時間〜約14時間、一層好適には約6時間〜約12時間、そして最も好適には約6時間〜約10時間の場合に確認されている。このインターバル時間により、前投与量のアルファカルシドールを午後8〜深夜の間に投与でき、そしてビスフォスフォネートの投与量が、午前6時〜午後10時(起 床後、好適には食事の前)に投与されてよい、都合よい投与計画が可能になる。このような投与方法によりビスフォスフォネートの生体利用効果が高まる。
【0024】
カルシトリオールは投与後約3時間で最大効果を示す。本発明は、遅延放出送達システムによってカルシトリオールを前投与することによって、ビスフォスフォネートの生体利用効率を向上させる方法を供する。本発明は、ビタミンD誘導体前投与量の投与後にビタミンD誘導体の放出を遅延させ、ビタミンDの効果が最大となるようにインターバル時間を延長することにより、カルシウム輸送刺激物質である様々なビタミンD誘導体のカルシウム枯渇化特性の相違を調整する。ビタミンD誘導体がカルシトリオールである場合、カルシトリオール投与は、当業界で公知の腸溶コーティング(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L、EUDRAGIT(登録商標)S、セルロースアセテートフタレート)を伴うカルシトリオール投与形態を供給することによって、約3時間〜約5時間遅延される。かかる腸溶性コーティング物質はpH感受性であり、酸性の胃腸液との長時間の接触に耐えることができる。従って、腸溶性コーティングは、胃を通過する直後までは溶けないが、小腸の弱酸性〜中性環境においてはすぐに溶ける。薬物の放出の開始の所望の遅延を達成するために必要なコーティングの量は、当業者による実験によって容易に決定することができる(例えば、United States Pharmacopeia、第26号レビュー./National Formulary、第21版、2002, <724> Drug Release, Delayed-Release (Enteric-Coated) Articles-General Drug Release Standard, pp.2160〜2161; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, H.C. Ansel, L.V. Allen, Jr., N.G. Popovich (Lippincott Williams & Wilkins, pub., 1999), Modified-Release Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 223, 231-240を参照のこと)。
【0025】
カルシトリオール、又は1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、ビタミンDの一次活性代謝産物である。Goodman and Gilman's The Pharmalogical Basis of Therapeutics, supra, at 1727。アルファカルシドールと同様に、カルシトリオールは、腸内カルシウム吸収を刺激することが報じられている。カルシトリオールの場合、血液カルシウム量は、カルシトリオールが腸に入った後、約3〜約5時間後にピークに至ることが報じられている。ビスフォスフォネートを最小カルシウムの環境中へと放出するために、カルシトリオール前投与量の投与は、ビストリフォスフォネート投与量の投与よりも、数時間のインターバル時間(腸内カルシウム枯渇の速度に依存する)を以って先に行うべきである。カルシトリオールが即時放出から、投与後約3〜約5時間以上遅延される場合、数時間(例えば約6〜約14時間)のインターバル時間を設けることで、ビスフォスフォネートの生体利用効率を最大とすることが可能となる。
【0026】
遅延放出カルシトリオール前投与量を使用する1つの実施態様において、カルシトリオール前投与量の放出は、前投与量の投与後約3〜約5時間遅延される。遅延放出カルシトリオール前投与量とビスフォスフォネート投与とのインターバル時間は、約6時間以上、好適には約6時間〜約14時間、一層好適には約6時間〜約12時間、そして最も好適には約6時間〜約10時間である。この実施態様によれば、カルシトリオール前投与量を午後8〜深夜の間に投与することができ、ビスフォスフォネートを翌朝、好適には食事前、午前6時〜午前10時に投与できるという、都合よい投与計画が供される。この投与方法により、ビスフォスフォネートの生体利用効率が高まる。この都合よい投与法により、患者のコンプライアンスが向上する。
【0027】
本発明の実施態様は、有効な前投与量のビタミンD誘導体の投与と治療投与量のビスフォスフォネートの投与の間のインターバル時間を含む。インターバル時間は、T=t2−t1(式中、Tはインターバル時間であり、t1はビタミンD誘導体が投与される時間であり、そしてt2はビスフォスフォネートが投与される時間である)で表すことができる。インターバル時間は、ビタミンD誘導体を投与した後に血液カルシウム量が最大に至るために必要な時間とおよそ等しくすべきである。インターバル時間を調節することによって、当業者はビスフォスフォネートを、最小カルシウム環境へと放出させ、それによってビスフォスフォネートの生体利用効率を高めることができる。
【0028】
本発明は、治療投与量のビスフォスフォネートを投与する段階を含む。ビスフォスフォネートの治療投与量とは、とりわけ、骨粗鬆症、転移性骨疾患、パジェット病を治療又は改善するビスフォスフォネートの量である。
【0029】
本発明の実施において有用なビスフォスフォネートはカルシウム吸収阻害物質である。本発明の実施において有用なビスフォスフォネートの例としては、アレンドロン酸及びその医薬的に許容できる塩(以降は「アレンドロネート」と総称する)、リセドロン酸及びその許容できる塩(以降は「リセドロネート」と総称する)、エチドロン酸及び医薬的に許容できるその塩(以降は「エチドロネート」と総称する)、ゾレドロン酸及び医薬的に許容できるその塩(以降は「ゾレドロネート」と総称する)、及びチルドロン酸及び医薬的に許容できるその塩(以降は「チルドロネート」と総称する)が挙げられる。当業者は、医薬的に許容できる塩が溶媒和物、例えば水和物として存在できることに気付くだろう。当業者は、これらのビスフォスフォネートはエステルとして提供されてもよいことを認識するだろう。ビスフォスフォネートは、任意の医薬的に許容できる塩又は酸形態において提供されてよく、塩が一般的に好適であり、その理由は、それらは膜刺激性が少ないからだ。アレンドロネートは、好適に一ナトリウム塩一水和物又は三水和物として提供されている。リセドロネートは好適に、一ナトリウム塩ヘミペンタハイドレートとして提供されている。エチドロネート及びチルドロネートは好適に、水和又は無水の二ナトリウム塩として提供されている。ゾレドロネートは好適に、二ナトリウム塩三水和物又は三ナトリウム塩水和物として提供されている。
【0030】
本発明の最も好適なビスフォスフォネートは、アレンドロネートである。アレンドロネートの好適な治療投与量は、約1mg〜100mg、最も好適には約10mg〜約70mgである。
【0031】
薬物併用計画におけるビタミンDの投与は、当業界で公知の任意の手段によってよい。固体投与形態が好適である。
【0032】
薬物併用計画におけるビスフォスフォネートの投与は、当業界で公知の任意の手段によってよい。固体状経口投与形態による投与が好適である。固体経口投与形態は当業界で周知の常用の型のもの(例えば、Fosamax(登録商標))である。
【0033】
本発明の実施において有用なビスフォスフォネート及びビタミンD誘導体は当業界で公知の1又は複数の賦形剤を含む医薬へと製造されてよい。賦形剤の選択と使用するための量は、製剤化学者による実験に基づいてそして当該分野における標準的な手順及び参考技術を考慮することにより容易に決定されてよい。
【0034】
希釈剤は固体状医薬製品の嵩を増やし、そして患者及び介護人の取り扱いを容易にする。希釈剤としては、例えば、微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微細セルロース、ラクトース、デンプン、αデンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキストリン、デキストレート、デキストロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えば、Eudragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末状セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及びタンクが挙げられる。
【0035】
本発明の圧縮投与形態としては、活性成分と他の賦形剤を圧縮後に一緒に結合させるために役立つなどの機能を有する賦形剤である。固体状医薬組成物のための結合剤としては、限定ではないが、カルボマー(例えば、カルボポル)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアールガム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、Methocel(登録商標))、液体セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、デンプン、αデンプン、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸誘導体が挙げられる。
【0036】
圧縮投与形態の患者の胃の中での溶解する速度は、本発明の組成物の超錠剤分解剤に加え、錠剤分解剤又は第2の超錠剤分解剤を加えることによって調節されてよい。かかる更なる錠剤分解剤としては、限定ではないが、アルギン酸、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ナトリウムクロスアルメロース(例えばAc-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、クロスポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアールガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、カリウムポラクリリン、粉末状セルロース、αデンプン、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン(例えばExplotab(登録商標))及びデンプンが挙げられる。
【0037】
流動促進剤は、投与の精度を高めるため及び固体組成物の流動特性を向上させるために加えられてよい。流動促進剤として機能しうる賦形剤としては、限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、タンク及び三塩基性リン酸マグネシウムが挙げられる。
【0038】
投与形態の例えば錠剤が圧縮によって調製される場合、組成物は、せん孔機の圧力及び色素に委ねられる。いくつかの賦形剤及び活性成分が、せん孔機及び色素の表層に対して接着する傾向を有し、それらは、製品に孔食及び他の表層の不均一性を有させる。潤滑剤は、組成物の粘着性を下げ、産物を色素からの放出を容易にするために加えられてよい。潤滑剤としては、限定ではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムグリセロール・モノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、水素化カスター油、水素化植物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸、界面活性剤、タルク、ロウ及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0039】
香味剤及び香味増強剤は、投与形態を患者に対して一層口当りよくする。本発明の投与形態中に含まれてよい、医薬製品のための共通の香味剤及び香味増強剤としては、限定ではないが、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルアルコール、及び酒石酸が挙げられる。
【0040】
投与形態は、製品の見た目をよくするために及び/又は患者による製品及び単位投与量の識別を促すために、任意の医薬的に許容できる着色剤を使用することで着色されていてもよい。
【0041】
投与形態は、活性成分と任意の他の所望の賦形剤の混合、乾燥造粒又は湿式造粒によって通常調製されてよい。
【0042】
乾燥造粒法において、活性成分及び賦形剤は、小塊又はシートへと圧縮され、そして圧縮された顆粒へと粉砕されてよい。粉砕された顆粒は続いて最終投与形態へと圧縮されてよい。小塊化又は他の圧縮、しかる後の粉砕及び最圧縮の方法は、ヒドロゲル、超錠剤分解剤、タンニン酸、及び活性成分相互顆粒化物質(intragranular)を、最終投与形態にすることが理解されるだろう。代わりに、全ての活性成分又は賦形剤は、圧縮された組成物の粉砕化(更に顆粒状されている活性成分又は賦形剤がもたらされる)後に加えられてよい。
【0043】
乾燥造粒に対する代わりとして、混合された組成物は、直接圧縮技術を使用することで、最終医薬投与形態へと直接圧縮されてよい。直接圧縮により、顆粒を伴わない一層均一な錠剤が生産される。従って、活性成分及び他の所望の賦形剤は、直接圧縮錠剤化を使用する前に組成物と混合されてよい。詳細に、直接圧縮錠剤成型に非常に適しているかかる更なる賦形剤としては、微結晶性セルロース、スプレー乾燥ラクトース、リン酸二カルシウム水和物、及びコロイド状シリカが挙げられる。
【0044】
乾燥造粒に代わる更なる方法は、湿式造粒である。賦形剤の混合物は、アルコール又は水及びアルコール混合物を、当業者に公知の標準的な造流技術によって、顆粒化溶媒として使用することで顆粒化され、しかる後に乾燥、篩い分け、製粉及び圧縮して最終投与形態へとされてよい。
【0045】
活性成分は常用の圧縮技術を使用することで圧縮されてよい。
【0046】
従って、本発明は、所定の好適な実施態様を参照に記載されており、それは、以下の限定を意図しない例によって更に例示されている。
【実施例】
【0047】
実施例1:アレンドロネートの生体利用効率を向上させることに関するIn-Vivo研究:
アレンドロネートとの薬物併用計画におけるアルファカルシドールの前投与インターバルを考えることの効果
動物モデルにおけるin vitro研究を、アルファカルシドールを、アレンドロネートとの併用療法において様々な前投与インターバル(時間的インターバル)にて投与した場合、ア レンドロネートの生体利用効率が、アレンドロネートを単独で投与した場合に比べて高まったかどうかを特定するために行った。
【0048】
6匹のメスのビーグル犬(各々約2歳、体重約9kg)がこの研究における動物モデルであった。同動物を、各5つの個別の処置セッション(34〜42時間続く、各セッションの継続時間は、測定する前投与試験インターバルに依存する)で使用した。同じ薬物を同じ投与量において各処理で投与した。即ち、アルファカルシドール(ALPHA D3(登録商標)、1μg ゲルカプセル;TEVA)は、前投与薬物として投与されたビタミンD3誘 導体であり、そしてアレンドロネートナトリウム(Fosalan(登録商標)、10mg錠剤、Merck、Sharp & Dohme)は治療薬として投与したビスフォスフォネートであった。セッションの間のウォシュアウト期間は7日だった。各イヌの臨床状態を、各治療セッ ションより前48時間以内に調べ、そして最後のセッション後に再度調べた。各セッションにおいて、動物には空腹状態(n.p.o 10〜12時間)において投与した。イヌに標準化した餌(缶詰Benzo肉、1缶全部、425g)を、治療投与量のアレンドロネートを投与した4時間後に与えた。
【0049】
各セッションの間、イヌをメタボリックケージに収容した。尿試料をメタボリックケージの底から回収した。各回点で、尿の2つの代表的な試料(各5ml)をキャップしたポリエチレンバイアルに入れ、そしてすぐに−20℃で凍らせた。試料の残りも凍らせて維持した。
【0050】
尿試料を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、蛍光検出(Anapharm, Inc.,Quebe)を伴い分析した。
【0051】
各セッションにおいて、前投与量研究薬物のアルファカルシドールを午前中、空腹状態において、飲み込みを促すために10〜20mlの水道水と共に投与した。各セッションのモニタリング(回収)時間の間、イヌに、各試験セッションを開始する前夕方にその都度、胃食道管を通じて300mlの水道水を与えて水分補給をし、そして150mlの水道水を2時間ごと、最大10時間に亘り、治療投与量のアレンドロネートを治療投与した後に加えた。上記のように、餌を、アレンドロネートを投与した4時間後に与えた。
【0052】
最初の(参照)研究セッションにおいて、前投与量のアルファカルジドール及び治療投与量のアレンドロネートを同時に投与した(飲み込みを促すために、10〜20mlの水道水、直後に、胃腸管を介して250mlの水道水を伴った)。
【0053】
研究セッション2〜5において、前投与量のアルファカルシジロールを10〜20mlの水道水と共に投与した。各連続する研究セッションにおいて、前投与量 のアルファカルシジドールを投与した後、それぞれ1、2、3又は6時間のインターバルにおいて、治療投与量のアレンドロネートを10〜20mlの水道水 で、直後に胃腸管を介して250mlの水道水と共に投与した。
【0054】
試験したアルファカルシドール前投与インターバル時間に関して、尿におけるアレンドロネート濃度の累積量を、治療投与量のアレンドロネートを投与した後 24時間に亘り(回収時間点(アレンドロネート投与する前0時間に始まる及びアレンドロネートを投与した3、6、9及び24時間後に再度)特定した。
【0055】
5つの処置に関する尿中のアレンドロネートの分析の結果を表1A〜1E、及び2に報じている。表1A〜1Eは、各実験セッションに関してイヌの尿中へのア レンドロネートの排泄の結果を示している。表2は、アルファカルシドール投与とアレンドロネート投与の間のインターバル時間の関数として、排泄されたアレ ンドロネートの合計の平均を集めている。表3は、個別の実験において行った、カルシトリオール投与とアレンドロネート投与の間のインターバル時間の関数と して、排泄されたアレンドロネートの合計の平均を集めている。
【0056】
結果は、アレンドロネートの総生体利用効率は、アルファカルシドールの投与6時間後に非常に増加していることを示している。この増加は、アルファカルシジオールの前投与量とその後のアレンドロネートの治療投与量を投与する間のインターバル時間を8、10又は12時間に増やした場合に、続くことが発見される だろうことが期待されている。このイヌモデルにおいて、ビタミンD誘導体を伴わないアレンドロネートの生体利用効率は、約30μg〜50μgであった。アレンドロネートを投与する3時間前に投与したカルシトリオールはこの値を108μgに増やした。アレンドロネート生体利用効率の向上は、2種類のビタミン D誘導体、カルシトリオール及びアルファカルシドールについて類似しているが、前投与量の投与と最大アレンドロネート生体利用効率の間での最適なインター バル時間は、アルファカルシドールの場合には遅延していた。この遅延は、都合よく且つアレンドロネートの生体利用効率を向上させる薬物併用計画を設計する ことにおいて有利に使用することができうる。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
【表6】

【0063】
【表7】

【0064】
実施例2:アレンドロネートの生体利用効率を向上させることに対するin vivo研究:
アレンドロネートとの薬物併用計画におけるカルシトリオールの前投与インターバルを変えることの効果
動物モデルにおけるin vitro研究を、カルシトリオールを、アレンドロネートとの併用療法において様々な前投与インターバル(時間的インターバル)にて投与した場合、カルシ トリオールの生体利用効率が、アレンドロネートを単独で投与した場合に比べて高まるかどうかを特定するために行った。
【0065】
6匹のメスのビーグル犬(各々約2歳、体重約9kg)がこの研究における動物モデルであった。同動物を、各5つの個別の処置セッション(22〜24時間続く、各セッションの継続時間は、測定する前投与試験インターバルに依存する)で使用した。同じ薬物を同じ投与量において各処理で投与した。即ち、カルシトリオール(ROCALTROL(登録商標)、25μgゲルカプセル;ROHCE)は、前投与薬物として投与したビタミンD3誘導体 であり、そしてアレンドロネートナトリウム(Fosamax(登録商標)、10mg錠剤、Merck、Sharp & Dohme)は治療薬として投与したビスフォスフォネートであった。各セッションの間にウォッシュアウト期間7日を設けた。各イヌの臨床状態を、各治療セッションより前48時間以内に調べ、そしてセッション後再度調べた。各セッションにおいて、動物には空腹状態(n.p.o 10〜12時間)において投与した。イヌに標準化した餌(Shur-Gain、Canada、200〜250g)を、治療投与量のアレンドロネートを投与した4時間後に与えた。
【0066】
各セッションの間、イヌをメタボリックケージに収容した。尿試料をメタボリックケージの底から回収した。各回点で、尿の2つの代表的な試料(各15ml)をキャップしたポリエチレンバイアルに入れ、そしてすぐに−20℃で凍らせた。試料の残りも凍らせて維持した。
【0067】
尿試料を、HPLCにより、蛍光検出(Anapharm, Inc.,Quebe)を伴い分析した。
【0068】
各セッションにおいて、前投与研究薬物のカルシトリオールを午前中、空腹状態において、飲み込みを促すために10〜20mlの水道水と共に投与し、しかる後に胃腸管を介して250mlの水道水(pH=2.0に調節した)で水分を補給した。各セッションのモニタリング(回収)時間の間、イヌに、各試験セッションを開始する前に夕方に、胃食道管を通じて200〜250mlの水道水を与えて水分補給をし、そして最大10時間に亘り、アレンドロネートを治療投与量を投与した後に2時間毎に200〜250mlのpH調節水道水を与えた。上記のように、餌を、アレンドロネートを投与した4時間後に与えた。
【0069】
最初の(参照)研究セッションにおいて、治療投与量のアレンドロネートを単独で、胃腸管を介して、pHを調製した250mlの水道水による水分補給を伴い投与した。
【0070】
第2(参照)研究セッションにおいて、前投与量のカルシトリオール及び治療投与量のアレンドロネートを同時に、飲み込みを促すために10〜20mlの水道水、しかる後に250mlのpH調節した水道水と胃腸管を介して投与した。
【0071】
第3〜6の研究セッションにおいて、前投与量のカルシトリオールを10〜20mlの水道水と共に投与した。連続する研究セッションの各々においてカルシトリオールの前投与量の投与後のそれぞれ1、2、3又は6時間のインターバルにおいて、治療投与量のアレンドロネートを10〜20mlの水道水、直後に胃腸管を介して250mlの水道水と共に投与した。
【0072】
カルシトリオールの各試験したインターバル時間に関して、尿中のアレンドロネート濃度の累積量を、治療投与量のアレンドロネートを投与した後12時間に渡 り、回収時間点(アレンドロネート投与する前0時間に始まり、そしてアレンドロネートを投与した3、6、9及び24時間後に再度)特定した。
【0073】
5種類の処置に関する尿中のアレンドロネートの分析の結果を表4に報じている。表4は、カルシトリオール投与とアレンドロネート投与する間でのインターバル時間の関数として、排出されたアレンドロネートの合計の平均を回収している。
【0074】
結果は、アレンドロネート生体利用効率が、カルシトリオールの投与3時間後に非常に増加していることを示している。このイヌモデルにおけるビタミンD誘導体を伴わないアレンドロネートの生体利用効率は、約30μg〜50μgである。アレンドロネートを投与する3時間前に投与したカルシトリオールはこの値を108μgに増やした。カルシトリオール前投与の放出を3〜5時間に亘り遅延させ、そしてビスフォスフォネートを投与する前、数時間のインターバル時間に亘り待つことによって、薬物併用療法は一層効率的且つ好都合となる。
【0075】
【表8】

【0076】
実施例3:アレンドロネートの生体利用効率を向上させることに対するin vivo研究:
アレンドロネートとの薬物併用計画において前投与を変化させることの効果
動物モデルにおけるin vitro研究を、カルシトリオール又はアルファカルシドールを、アレンドロネートとの併用療法において様々な前投与インターバル(時間インターバル)にて投与した場合、アレンドロネートの生体利用効率が、アレンドロネートを単独で投与した場合に比べて高まるかどうかを特定するために行った。
【0077】
例1の方法を使用した。この研究では、フォサラン(登録商標)単独で、前投与量のアルファカルシドールを伴いフォサラン(登録商標)を、6時間、8時間及び10時間の前投与インターバルで、そしてフォサラン(登録商標)をカルシトリオールを伴い3時間の前投与インターバルで比較した。結果を表5に示してい る。
【0078】
【表9】

【0079】
従って、本発明は、様々な好適な実施態様を参照にすることにより記載されているが、当業者は、下の請求の範囲に規定されているように、本発明の精神と範囲から逸脱することの無い例示となる実施態様の変更を理解するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフォスフォネートの生体利用効率を高める方法であって、有効な前投与量のビタミンD誘導体を投与し、インターバル時間の後に、治療投与量のフォスファネートを投与することを含む方法。
【請求項2】
ビタミンD誘導体前投与量の放出が遅延される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビタミンD誘導体が、カルシトリオール、アルファカルシドール、24,25−ジヒドロキシビタミンD3、及びカルシフェジオールからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビタミンD誘導体がアルファカルシジオールである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ビタミンD誘導体がカルシトリオールである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記インターバル時間が、ビタミンD誘導体を投与した後、血液カルシウム量が最大に到達するのに要する時間量におよそ等しい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記インターバル時間が約6時間以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記インターバル時間が約6時間〜約14時間である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ビタミンD誘導体の前投与量が約0.1μg〜約10μgである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記ビスフォスフォネートがアレンドロネート、リセドロネート、エチドロネート、ゾレドロネート、及びチルドロネートからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ビスフォスフォネートがアレンドロネートである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アレンドロネートの投与量が約10mg〜約70mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記前投与量のビタミンD誘導体を就寝時に投与し、所定投与量のビスフォスファネートを食前に投与する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記インターバル時間が空腹時である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記ビタミンD誘導体の遅延放出前投与量が、遅延放出腸溶コーティングを有する投与形態である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記ビタミンD誘導体の放出が、約3〜約5時間以上に亘り遅延される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ビスフォスファネートを投与する前に有効な前投与量のビタミンD誘導体を投与することを含む骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病の治療のための医薬の製造におけるビスフォスフォファネートの使用。
【請求項18】
ビタミンD誘導体を投与した後にビスフォスファネートを投与することを含む骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病の治療のための医薬の製造におけるビタミンD誘導体の使用。
【請求項19】
ビタミンD誘導体を投与し、次いでインターバル時間の後にビスフォスファネートを投与することを含む骨粗鬆症、転移性骨疾患、及びパジェット病の治療のための医薬の製造におけるビタミンD誘導体の使用。

【公開番号】特開2011−241221(P2011−241221A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−169179(P2011−169179)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【分割の表示】特願2005−509984(P2005−509984)の分割
【原出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】