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ビタミンD類似体および溶媒と界面活性剤の混合物を含む皮膚組成物
説明

ビタミンD類似体および溶媒と界面活性剤の混合物を含む皮膚組成物

3成分界面活性剤−溶媒混合物に溶解したビタミンD誘導体または類似体を活性成分として含む医薬組成物は、皮膚疾患または状態の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬学的に許容される添加物中に治療的活性成分としてのビタミンD類似体および溶媒と界面活性剤の混合物を含む皮膚の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
乾癬は、過角化症に起因する紅斑状の乾燥した鱗屑斑として顕在化する慢性の炎症性の皮膚疾患である。鱗屑斑は肘、膝および頭皮に多発するが、より広範囲な病変は他の身体の他の部位、特に腰仙部に現われ得る。軽度から中程度の乾癬の最も一般的な治療は、活性成分としてコルチコステロイドを含む組成物の局所適用を含む。有効ではあるが、コルチコステロイドには皮膚萎縮、皮膚線条、ざ瘡様発疹、口囲皮膚炎、皮膚真菌および細菌の過成長、有色皮膚の色素脱落および酒さのような多くの副作用による不利益がある。
【0003】
しかしながら、長年、乾癬の有利な非ステロイド性処置には、カルシポトリオールが溶液として含まれる軟膏組成物(LEO PharmaのDaivonex(登録商標)またはドボネックス(登録商標)軟膏として販売)またはカルシポトリオールが懸濁液として含まれるクリーム組成物(LEO PharmaのDaivonex(登録商標)またはドボネックス(登録商標)クリームとして販売)として製剤されたビタミンD類似体化合物であるカルシポトリオールでの局所処置がある。軟膏組成物の溶媒は、皮膚への活性成分の浸透性を高め、効果の増強をもたらすとの利点を有するが、また皮膚刺激物としても作用することが知られているプロピレングリコールである。それ故に、局所製剤においてプロピレングリコールの含有が頻繁に患者に接触性皮膚炎を起こす(12.5%のプロピレングリコールに対する多くの刺激応答を発表する一つの実験、M. Hannuksela et al., Contact Dermatitis 1, 1975, pp. 112-116参照)。プロピレングリコールを高濃度で使用したとき刺激反応の数を増やす(J. Catanzaro and J. Graham Smith, J. Am. Acad. Dermatol. 24, 1991, pp. 90-95によりレビュー)ことが報告されている。とりわけプロピレングリコールの存在により生じる皮膚へのカルシポトリオールの増加された浸透のために、Daivonex(登録商標)軟膏は、Daivonex(登録商標)クリームよりも乾癬病変の処置に有効であるが、また相当な割合の乾癬患者に皮膚刺激をもたらすことが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、Daivonex(登録商標)軟膏と匹敵する皮膚浸透性および生物学的活性を有するが、溶媒としてプロピレングリコールを含まない、ビタミンD誘導体または類似体を活性成分として含む局所製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要約
ヒトの皮膚、特に外層である角質層は、微生物の病原体および有毒化学物質の浸透に対する有効なバリアを提供する。皮膚のこの特性は一般に有益であるが、皮膚疾患を有する患者の皮膚上で適用された、大部分ではないにしても、相当量の活性成分が、活性を発揮する皮膚の生存可能層に浸透し得ない点で、医薬の経皮投与を複雑にする。真皮および表皮への活性成分の適切な浸透を保証するために、典型的にアルコール、例えばエタノールまたはジオール、例えばプロピレングリコールの形の溶媒存在下に、溶解された状態で活性成分を含むことが一般的には好ましい。プロピレングリコールはよく知られた浸透促進剤、すなわち、角質層に浸透することができ、媒体中の治療活性成分である低分子成分を表皮中へ「引き込む」物質である。プロピレングリコールは、それ自体が顕著な皮膚刺激を起す可能性があり、媒体中の低分子で刺激物である可能性のある成分を表皮に「引き込む」ことができ、プロピレングリコールを含めて慣用の媒体の全体的刺激作用を誘発する。このため、炎症性皮膚疾患を処置しようとする組成物中に溶媒として含まれるプロピレングリコールが、炎症反応を悪化させることがある。
【0006】
本発明に至る研究において、驚くべきことに、過剰の水の存在下で自己乳化し、マイクロエマルジョンを形成するある種の3成分界面活性剤−溶媒混合物が、皮膚適用のための局所製剤への添加に適することが判明した。その混合物は、またビタミンD誘導体および類似体のようなわずかに水溶性の有効成分の溶解において良好な可溶化能を示す。組成物は容易に延展し、従って患者コンプライアンスを改善する可能性があり、適切な物理的および化学的安定性を示す。ビタミンD誘導体または類似体を含む本発明の組成物は、下の実施例7に記載する生物アッセイにおいて標的遺伝子カテリシジンの極めて高度な活性化をもたらすことが驚くべきことに判明し、本活性成分が組成物が適用される角化細胞によって内在化され、ビタミンDレセプターを通常よりも高度に活性化することが示唆される。如何なる特定の理論にも縛られることを望まないが、現在、3成分界面活性剤−溶媒混合物が、皮膚生存層に透過するときにビタミンD誘導体または類似体が細胞によってより容易に取り込まれるような態様で角質細胞の表面を修飾するとの仮説が立てられている。細胞表面修飾の結果であると推定される高い生物学的活性が皮膚刺激の増加を導くであろうことは予測されるが、本発明の組成物をミニブタ(実施例8参照)またはヒトのボランティアにおいて局所耐容性試験で試験したときこれは明らかではなかった。
【0007】
従って、本発明は、
(a)親水性または親油性非イオン性界面活性剤;
(b)親油性非イオン性共界面活性剤;
(c)両親媒性または非両親媒性であってもよいC6−22アシルグリセリド;
の等方性の溶媒混合物を含む、皮膚適用のための実質的に無水の医薬組成物に関し、
該等方性の溶媒混合物は過剰の水の存在下でマイクロエマルジョンを形成することができ;
本組成物はさらに該等方性の溶媒混合物に溶解または可溶化されたビタミンD誘導体または類似体および
薬学的に許容される、実質的に無水の脂質担体を含む。
【0008】
本組成物に含まれるタイプの溶媒混合物は文献に記載されている。例えば、米国特許5,645,856は、疎水性薬物、消化可能油、親水性界面活性剤および親油性界面活性剤を含む医薬組成物を開示する。その組成物は、油−界面活性剤混合物が胃液中で自己乳化し、マイクロエマルジョンの形成をもたらし、薬物のより速く、かつより十分な吸収をもたらすことが主張されている点で、経口投与中の疎水性薬物の溶解度を増加させることが意図されている。米国特許5,645,856に開示された溶媒混合物が皮膚適用を意図した組成物に含まれ得るとの示唆はない。
【0009】
米国特許5,948,825は、油相、水相および親水性および親油性界面活性剤の組合わせを含む油中水マイクロエマルジョンを開示し、マイクロエマルジョンの分散した油小滴は0.4〜100nmの粒径を有する。該マイクロエマルジョンは、水相に溶解した薬学的に活性なタンパク質の全身送達または低分子薬物の生物学的利用能を改善することを意図する。米国特許5,948,825に示されたマイクロエマルジョンが皮膚適用を意図した組成物に含まれ得るとの示唆はない。
【0010】
米国特許6,267,985は、トリグリセリド、2種の親水性界面活性剤または1種の親水性界面活性剤と1種の親油性界面活性剤ならびにトリグリセリドまたはトリグリセリド−界面活性剤混合物に可溶化された活性成分を含む組成物を開示する。本組成物は、1:100の比率で水と混合したとき、透明水性分散液を形成する。本組成物は経口投与が意図され、胃腸管において活性成分の改善された吸収を提供する。本組成物を、皮膚適用が適切とされる添加剤と混合する示唆はない。
【0011】
M. Grove et al., European Journal of Pharmaceutical Sciences 28, 2006, pp. 233-242は、脂質、界面活性剤および共界面活性剤ならびに活性成分としてビタミンD類似体(セオカルシトール)を含む薬物送達システムを開示する。水で希釈したとき、本システムは30nmの滴サイズのマイクロエマルジョンを形成した。ラットへの経口投与においては、セオカルシトールの生物学的利用能が脂質のみの製剤よりも改善されておらず、そして化学的安定性は40℃/75% RHで3ヶ月後に許容限界未満まで減少した。Grove et al.に示された薬物送達システムが皮膚適用を意図した組成物への取り込みに適当であるまたはかかる組成物に含まれたビタミンD類似体の適切な化学的安定性を得ることが可能であり得るとの示唆はない。
【0012】
発明の組成物は、皮膚適用が意図されることおよび皮膚の使用に適している1種以上の添加剤を含む点でこれらの文献で開示されたものと異なる。特に、実質的に無水の脂質担体が組成物は、適用される皮膚表面上で、皮膚から蒸発したまたは分泌された湿気が皮膚表面と閉塞性の層の間に蓄積するように閉塞性の層を提供すると期待される。上に記載した文献で開示されるように、湿気の量が等方性の溶媒混合物を自己乳化性させてマイクロエマルジョンを形成させるのに十分であるとは予測されないとき、存在する水の量によって、可溶化または溶解された活性成分を含む液晶、ラメラ層またはミセルのような規則構造(ordered structure)の形成がもたらされると推定される。組成物において、界面活性剤および共界面活性剤の存在は、界面活性剤が細胞膜をビタミンD誘導体または類似体のような小分子成分の浸透性を増加させるように調節し得るため、活性成分の浸透に貢献し得る。
【0013】
他の面において、発明は、皮膚疾患または状態の予防または治療に使用するための、本願明細書に記載の医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、MCTとCremophor RH40およびAkoline MCMを含む等方性の溶媒混合物用の三成分相ダイアグラムである。実線は、1グラムの混合物への250mlの水の添加によりマイクロエマルジョンが生成される領域を表わし、点線は、混合物が単相である領域を表わす。
【図2】図2は、LCTとCremophor RH40およびPeceolを含む等方性の溶媒混合物用の三成分相ダイアグラムである。実線は、1グラムの混合物への250mlの水の添加によりマイクロエマルジョンが生成される領域を表わし、点線は、混合物が単相である領域を表わす。
【図3】図3は、下の実施例6に記載する本発明の組成物からのカルシポトリオールの皮膚への浸透および皮膚を通る流動を示すグラフである。図から、相当量のカルシポトリオールが皮膚の生存層へ浸透し、一方少量のみが皮膚を経てレセプター液に流入することを示している。
【図4】図4は、ヒトの角化細胞におけるビタミンD3によるカテリシジンをコードする遺伝子の活性化の模式図である。カテリシジン遺伝子活性化の機構は、下の実施例7に詳細に記載するカテリシジンを活性化するために、本発明のカルシポトリオール含有組成物が適用される再構築されたヒト表皮(ヒトの皮膚に特有の表皮の層を形成するように培養されたヒトの角化細胞)を用いる、生物アッセイで用いられる。
【図5】図5は、総臨床スコア(TCS)の変化として測定した、29日間、1日1回乾癬斑に適用した本発明の組成物(組成物1A)とDaivonex(登録商標)の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
定義
この文脈において、用語「非イオン性界面活性剤」は、親水性および疎水性部分を含む界面活性剤を示すことが意図され、ここで、親水性部分が電荷を担持しないが、その表面活性はポリオキシエチレン基のような高度に極性の基から誘導される。本目的のため、親水性界面活性剤は、10〜18のHLB(親水性−親油性バランス)値を有する水中油界面活性剤であり、親油性界面活性剤は、2〜9、特に3〜7のHLB値を有する油中水界面活性剤である。
【0016】
用語「等方性の溶媒混合物」は、ビタミンD誘導体または類似体を可溶化または溶解し、その物性は方向に依存しない、溶媒および/または界面活性剤の混合物を示すことが意図される。
【0017】
用語「ビタミンD誘導体」は、カルシトリオールのようなビタミンD3の生物学的に活性な代謝物またはアルファカルシドールのようなかかる代謝物質の前駆体を示すことが意図される。
【0018】
用語「ビタミンD類似体」は、側鎖修飾および/または骨格自体の修飾を有するビタミンD骨格を含む合成化合物を示すことが意図される。類似体は、ビタミンDレセプター上で天然に存在するビタミンD化合物に匹敵する生物活性を示す。
【0019】
「カルシポトリオール」は式
【化1】

のビタミンD類似体である。
【0020】
カルシポトリオールは、2つの結晶性形態、すなわち無水物および一水和物で存在することが判明している。カルシポトリオール一水和物およびその製造はWO94/15912に開示される。
【0021】
用語「貯蔵安定性」は、組成物が、少なくとも12ヶ月、特に少なくとも18ヶ月および好ましくは少なくとも2年のような、組成物が商業的価値があるとするに十分な期間、冷蔵で、好ましくは室温で組成物の貯蔵を可能にする化学的および物理的安定性特性を表すことを示すことが意図される。
【0022】
用語「化学的安定性」または「化学上的に安定している」は、10%を超えない、好ましくは6%を超えないビタミンD誘導体または類似体が、典型的に2年の製品の貯蔵寿命中に分解されることを示すことが意図される。室温の化学的安定性の近似値は40℃で組成物を加速安定性試験に付することにより得られる。40℃で3ヶ月後の分解が被験物質の約10%未満であるとき、通常、これは室温で2年の貯蔵寿命に対応すると解釈される。特に、カルシポトリオールに関して、「化学的安定性」は、カルシポトリオールが、最終医薬品において24−エピカルシポトリオールまたは他の分解産物に経時的に有意に分解しないことを意味することを意図する。
【0023】
用語「C6−22アシルグリセリド」は、C6−22脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリドの混合物またはモノ−、ジ−およびトリ−グリセリドを示すことが意図される。
【0024】
用語「中鎖トリグリセリド」は、6〜12個の炭素原子の鎖長の脂肪酸のトリグリセリドエステルを示すことが意図される。かかる中鎖トリグリセリドの現時点で好ましい例は、例えば、商品名Miglyol 812の下で利用可能なカプリル酸(C)およびカプリン酸(C10)トリグリセリドの混合物である。
【0025】
用語「物理的安定性」または「物理的に安定している」は、本組成物が製品の貯蔵寿命にわたりその巨視的および微視的な外観を保持すること、例えば、ビタミンD誘導体または類似体が溶媒相から沈殿しないことまたは肉眼で見える溶媒相と担体相の二相分離がないことを意味することが意図される。それ故に、等方性の溶媒混合物が脂質担体と完全に混和性の組成物および等方性の溶媒混合物の微視的な小滴が脂質担体の中で均質的に分配される組成物は両方とも、この文脈で物理的に安定していると考えられる。
【0026】
用語「実質的に無水」は、親油性添加物または媒体の自由水の含量が添加物または媒体の、約2重量%未満、好ましくは約1重量%未満、例えば0.5重量%未満であることを意味することが意図される。
【0027】
用語「可溶化能」は、ここに開示された等方性の溶媒混合物が、ある物質を溶解する能力(物質の完全な可溶化を行うのに必要な量として示す)を示すことが意図される。
【0028】
用語「生物学的活性」は、本発明の組成物中の皮膚に適用したときのビタミンD誘導体または類似体の活性を意味することが意図される。組成物の生物学的活性は、下の実施例7に詳細に記載する、培養されたヒト角化細胞に関する、再構築されたヒト表皮モデルにおいてバイオマーカーであるカテリシジンを発現する標的遺伝子の活性化を測定するインビトロアッセイで決定される。
【0029】
用語「皮膚浸透」は、種々の皮膚の層、すなわち角質層、表皮、真皮への活性成分の拡散を意味することが意図される。
【0030】
用語「皮膚透過」は、皮膚を介する体循環へのまたは下の実施例2に記載するインビトロ実験の場合には、実験で用いられるFranzセル装置のレセプター液への活性成分の流動を意味することが意図される。
【0031】
発明の態様
一つの態様において、発明の組成物は、カルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトールおよびアルファカルシドールから成る群から選択されるビタミンD誘導体または類似体を含む。現時点で好ましい態様において、本組成物はビタミンD類似体としてカルシポトリオールまたはカルシポトリオール一水和物を含む。
【0032】
一つの態様において、等方性の混合物における非イオン性界面活性剤の量は、混合物の約5〜約90重量%、約10〜約70重量%、特に約30%〜約60重量%、例えば約40〜約50重量%である。
【0033】
現在好ましい態様において、非イオン性界面活性剤は>9のHLB値を有する親水性界面活性剤である。親水性界面活性剤は、例えば、少なくとも20モルのエチレンオキシド基/1モルのグリセリドを含む植物油のポリエチレングリコールエステルであり、かかるエステルは、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、例えば、PEG20、30、35、38、40、50または60ヒマシ油またはPEG20、25、30、40、45、50、60または80硬化ヒマシ油、PEG20または60トウモロコシグリセリド、PEG20または60アーモンドグリセリドまたはPEG40パーム核油から成る群から選択される。
【0034】
一つの態様において、等方性の混合物中の非イオン性共界面活性剤の量は、約5〜約90重量%または約10〜約50重量%、特に約20〜約40重量%、例えば約25〜約30重量%である。
【0035】
他の現在好ましい態様において、界面活性剤および共界面活性剤の両方とも<9のHLB値の親油性界面活性剤である。
【0036】
親油性界面活性剤は、C6−22脂肪酸のモノグリセリドエステル、例えばグリセリルモノカプリレート、グリセリルモノカプレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノベヘナート、C6−22脂肪酸のジグリセリドエステル、例えば、グリセリルジラウレート、C6−22脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリドエステル、例えばカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドまたはグリセリルモノ−およびジ−リシノレート、C6−22脂肪酸エステルのプロピレングリコールエステル、例えばプロピレングリコールモノカプリレートまたはプロピレングリコールモノラウレート、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリグルセリルC6−22脂肪酸エステル、例えば、ポリグルセリル−3−ジイソステアレート、4〜8モルのエチレンオキシド基/1モルのグリセリドを含むトリグリセリド/植物油のポリエチレングリコールエステル、例えばPEG−6トウモロコシ油、PEG−6扁桃油、PEG−6杏仁油、PEG−6オリーブオイル、PEG−6落花生油、PEG−6パーム核油水素と化合したパーム核油、PEG−6トリオレインまたはPEG−8トウモロコシ油またはポリソルベート、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60またはポリソルベート80から成る群から選択され得る。
【0037】
界面活性剤および共界面活性剤の両方が親油性界面活性剤である態様において、界面活性剤および共界面活性剤は、好ましくは異なった化学界面活性剤群から選ばれる。
【0038】
一つの態様において、等方性の溶媒混合物におけるC6−22アシルグリセリドの量は、混合物の約5〜約90重量%、約10〜約70重量%、例えば、約15〜約40重量%、例えば約20〜約30重量%である。C6−22アシルグリセリドは、例えば0、1またはそれ以下の酸価を有する、すなわち、遊離脂肪酸のような酸性反応性物質をほとんどまたは全く含まない極めて純粋な植物油から成る群から選択される非両親媒性のC6−22脂肪酸グリセリド、例えば、医薬等級の中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリドまたはヒマシ油またはカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドおよびカプリル酸/カプリン酸モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドから成る群から選択される両親媒性のC6−22アシルグリセリドであってよい。
【0039】
第1の界面活性剤:第2の界面活性剤:C6−22アシルグリセリドの比率は、この比率が図1および2に示される単相のシステムの形成をもたらし得るため、好ましくは約2:1:1であり得る。単相システムの形成は、かかるシステムが一般に物理的に安定している、すなわち、二相分離をもたらす可能性が低いために、有利であると見なされる。
【0040】
文献から、皮膚組成物への大量の界面活性剤の添加が、有意な皮膚刺激を起こすことは知られている。本発明の組成物に含まれた等方性の溶媒混合物は、ビタミンD誘導体または類似体のような難溶性の化合物の溶解に驚くほど有効である。混合物が、混合物の個々の成分よりも活性成分の溶解に有効である高い可溶化能は、少量の界面活性剤の使用を可能にし、従って、高い生物学的活性を保持しながら皮膚刺激の危険を減少させる。このように、上に記載した文献で示された経口使用のための組成物と異なり、等方性の溶媒混合物は組成物のほんのわずかな割合を占めるのみであり、脂質担体および場合により他の添加剤が組成物の残りを構成する。このように、等方性の溶媒混合物は、組成物の約1〜20重量%、例えば約5〜15重量%または約8〜12重量%または約9〜11重量、例えば約10重量%を構成し得る。
【0041】
特に好ましい発明の組成物において、C6−22アシルグリセリドが中鎖トリグリセリドであり、界面活性剤がポリオキシル40硬化ヒマシ油であり、共界面活性剤がカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドであるかまたはC6−22アシルグリセリドが長鎖トリグリセリドであり、界面活性剤がポリオキシル40硬化ヒマシ油であり、共界面活性剤がカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジグリセリドであるかまたはC6−22アシルグリセリドがカプリル酸/カプリン酸モノ−、ジ−またはトリグリセリドであり、界面活性剤がPEG−6パーム核油であり、共界面活性剤がポリグルセリル−3ジイソステアレート、PEG−6トウモロコシ油、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノラウレートまたはプロピレングリコールモノカプリレートである。
【0042】
脂質担体は、CからC60の範囲の鎖長を有する炭化水素または炭化水素の混合物であり得る。頻繁に用いられている軟膏基剤は、約C40−44がピークの種々の鎖長の炭化水素から成るペトロラタムまたは白色軟パラフィンまたはペトロラタムと流動パラフィン(C28−40がピークの種々の鎖長の炭化水素から成る)の混合物であり得る。ペトロラタムは処置された皮膚表面を閉塞させ、水分の経皮的な損失を減少させ、組成物中の活性成分の治療効果を強めるが、適用後にかなり長い間持続する、脂っぽいおよび/またはべとつく感触を有する傾向があり、延展が容易ではない。従って、いくぶん短い鎖長の炭化水素から成るパラフィン類、例えば、C14−16、C18−22、C20−22、C20−26がピークの鎖長を有する炭化水素またはその混合物から成るパラフィン類(パラフィン類の炭化水素組成物はガスクロマトグラフィーにより決定)を使用することが好ましいことがある。かかるパラフィン類が、適用時にそれほどべとつかずおよび/または脂っぽくなく、より容易に延展可能であるために、美容上許容可能であることが判明した。従って、それらは患者コンプライアンスを改善すると予測される。ペトロラタム・ゼリーと名付けられたこのタイプの適当なパラフィン類は、Sonnebornによって製造され、商品名Sonnecone、例えばSonnecone CM、Sonnecone DM1、Sonnecone DM2およびSonnecone HVの下に市販されている。これらのパラフィン類は、引用によって本願明細書に組込まれるWO2008/141078にさらに開示され、特徴づけられる。
【0043】
本組成物に所望の粘性を与えるために、好適には蝋のような親油性増粘成分を加え得る。蝋は、高分子量炭化水素、例えば飽和C35−70アルカン、例えば微結晶蝋の混合物からできている鉱蝋であり得る。あるいは、蝋は、植物または動物蝋、例えばC14−32脂肪酸のエステルおよびC14−32脂肪族アルコール、例えば蜜蝋であり得る。増粘成分の量は成分の粘性化する(viscosifying)力により変わり得るが、典型的には組成物の約1〜20%の範囲内であり得る。増粘成分が微結晶蝋であるときに、それは典型的に組成物の約5〜15重量%の範囲、例えば約10%の量で存在する。
【0044】
本組成物は、乾癬斑の厚くなった表皮を柔らかくするために作用し得る皮膚軟化剤をさらに含んでよい。本組成物への包含に適している皮膚軟化剤は、シリコンの存在が皮膚へのカルシポトリオールの浸透を助けることがさらに判明したため、シリコン蝋または揮発性シリコン油であり得る。シリコン油含有組成物は、皮膚刺激が少ないことも判明した。本組成物への包含に適しているシリコン油はシクロメチコン、ジメチコンから選択され得る。本組成物に包含されるシリコン油の量は、典型的に組成物の約1〜約10重量%の範囲、例えば約5重量%である。
【0045】
Daivonex(登録商標)軟膏において、プロピレングリコールの存在は、多くの患者が経験する皮膚刺激の主な原因物質であると考えられる。しかしながら、カルシポトリオール自体が一部の患者において僅かに刺激性であり得ることが判明している(A. Fullerton and J. Serup, Br. J. Dermatol. 137, 1997, pp. 234-240 and A. Fullerton et al., Br. J. Dermatol. 138, 1998, pp. 259-265)。従って、抗刺激性化合物、例えばグリセリン、ブチレングリコール、ソルビトール、スクロース、サッカリン、メントールまたはニコチンアミドを本組成物に含ませることは有利であり得る。グリセリンは、刺激性の物質から皮膚を防御することができる物質であると記載され(J. Bettinger et al., Dermatology 197, 1998, pp. 18-24)、我々は、IL−1αの放出を用量依存的態様で低下させることを見出した:このように、カルシポトリオール軟膏への15重量%のグリセリンの添加が、10重量%のグリセリンを含むものよりIL−1α放出レベルを著しく減少させ、そして、それはまた、5重量%のグリセリンを含むものよりIL−1α放出レベルを著しく減少させることが判明した。
【0046】
しかしながら、抗刺激性効果に加えて、カテリシジンの発現(下の実施例7に記載のアッセイ)が、組成物中の少量のグリセリンによって増強される点で(すなわち、グリセリンの量が、それぞれ10重量%または15重量%あるときと比較して、5重量%であるとき、より多くのカテリシジンが発現される)点で、グリセリンはカルシポトリオールの生物学的活性を強めることができることが驚くことに判明した。これは、グリセリンの包含に関して、好ましい抗刺激性効果と好ましい生物活性亢進効果の間でバランスをとらなければならないことを示唆する。我々は、本組成物への約5〜10重量%のグリセリンの添加が、顕著な抗刺激性効果とカルシポトリオールの生物学的活性の顕著な亢進をもたらすことを発見した。
【0047】
カルシポトリオールは、カルシポトリオールの急速分解に関与する酸性条件(水性組成物において約7.0より下のpHまたは非水性の組成物において酸性の活性物質)に極めて感受性であることが知られている物質である。組成物の貯蔵寿命を通して物質の適切な化学的安定性を保証するために、組成物の添加物の1種以上に存在し得、カルシポトリオールの化学的安定性に有害な酸性不純物を中和することができる化合物を加えておくことが望ましい可能性がある。酸を中和する化合物は、好ましくはリン酸緩衝液のような緩衝液から選択され得て、それは組成物の約0.025〜0.1重量%の量で含まれ得る。酸中和化合物は、またトリエタノールアミン、トロメタモール、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンのような第三級アミンであり得て、それは、組成物に約0.1〜2重量%の量で含まれ得る。
【0048】
特定の態様において、本組成物は:
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール一水和物
2〜3%w/w 中鎖または長鎖トリグリセリド
2〜3%w/w カプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリド
4〜6%w/w PEG40硬化ヒマシ油
0.5〜1.5%w/w トリエタノールアミン
85〜95%のw/wパラフィン担体
を含む。
【0049】
他の特定の態様において、本組成物は:
0.003〜0.008%w/w カルシポトリオール一水和物
0.5〜1.5%w/w カプリル酸/カプリン酸モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド
10〜20%w/w PEG〜6トウモロコシ油
5〜15%のw/w ポリグルセリル−3−ジイソステアラート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピレングリコールモノラウレートまたはモノカプリレート
0.5〜1.5%w/w トリエタノールアミン
75〜80%w/w パラフィン担体
を含む。
【0050】
本組成物は、また皮膚製剤に一般的に使用される他の成分、例えば酸化防止剤(例えばα−トコフェロール)、防腐剤、エデト酸ナトリウム、顔料、皮膚無痛化剤、皮膚治癒剤および尿素、アラントインまたはビサボロールのような皮膚コンディショニング剤も含んでよい(CTFA Cosmetic Ingredients Handbook, 2nd Ed., 1992参照)。
【0051】
本発明の組成物は、治療を必要とする患者に、本発明の組成物の有効量を局所投与することにより、乾癬、脂漏性乾癬、手掌足底膿疱症、皮膚炎、魚鱗癬、酒さおよびざ瘡および関連する皮膚疾患の治療に使用し得る。該方法は、好ましくは該組成物の1日1〜2回の治療上十分な量の局所投与を含む。この目的のために、本発明の組成物は、好ましくはビタミンD誘導体または類似体を、約0.001〜0.5mg/g、好ましくは約0.002〜0.25mg/g、特に0.005〜0.05mg/g含む。本組成物がこれらの皮膚疾患の維持処置、すなわち、目に見える症状の消失後の症状の再発を遅らせるための継続的処置に有利に使用し得ることは意図される。
【0052】
急性期の乾癬および他の皮膚状態の有効な処置を提供するために、本組成物に1種以上のさらなる治療上活性な成分を包含させることは望ましいことがある。かかるさらなる活性成分の例はコルチコステロイドのような抗炎症剤、例えば、ベタメタゾンおよびそのエステル、例えば吉草酸またはジプロピオン酸エステル、クロベタゾールまたはそのエステル、例えばプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾンまたはそのエステル、例えば酢酸エステル;ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、ロルノキシカムまたはナブメトンのような非ステロイド性抗炎症剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤(例えばWO2008/077404、WO2008/104175、WO2008/128538またはWO2010/069322に示されたPDE4阻害剤)またはp38MAPキナーゼ阻害剤(例えばWO2005/009940またはWO2006/063585に示されたp38MAPキナーゼ阻害剤)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
本発明は、次の実施例によってさらに説明するが、それらは如何なる意味においても、特許請求されている本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0054】
実施例1
本発明の組成物
【表1】

組成物1Aは、中鎖トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸グリセリドおよびポリオキシル40硬化ヒマシ油を混合し、該混合物を磁気撹拌機で50℃で15分間撹拌することにより製造した。カルシポトリオール一水和物を磁気撹拌機を15分間用いて、40℃で混合物に溶解した。白色軟パラフィンを80℃で溶解し、トリエタノールアミンを融解パラフィンに溶解した。カルシポトリオール含有3成分界面活性剤−溶媒混合物を融解パラフィンに添加し、軟膏混合物を均質になるまで撹拌した。均質化された軟膏を、撹拌しながら30℃に冷却し、15gのアルミニウム・チューブに充填した。組成物1Bは、カプリル酸/カプリン酸グリセリドの代わりに共界面活性剤としてグリセリンモノオレアート40を用いた以外、同様の方法で製造した。
本組成物を3ヶ月の間、40℃で化学的安定性に関して試験した。結果は、この試験条件下でのカルシポトリオールの満足な安定性を示した。
【0055】
実施例2
本発明の組成物
【表2】

組成物2A−2Fは、組成物1Aに準じて、界面活性剤、共界面活性剤および溶媒を上記の表に示す通り適切に置き換えて製造した。
本組成物を3ヶ月の間、40℃で化学的安定性に関して試験した。結果は、この試験条件下でのカルシポトリオールの満足な安定性を示した。
【0056】
実施例3
発明の組成物
【表3】

組成物3A−3Hを、実施例1に記載するとおり、上記の表に示す通り適当量の溶媒、界面活性剤および共界面活性剤を用いて製造した。
【0057】
実施例4
発明の組成物
【表4】

【表5】

組成物4A−4Lを、実施例1に記載するとおり、上記の表に示す通り適当量の溶媒、界面活性剤および共界面活性剤を用いて製造した。
【0058】
実施例5
発明の組成物
【表6】

組成物5A−5Gを、実施例1に記載するとおり、上記の表に示す通り適当量のペトロラタム・ゼリー白色を用いて製造した。
【0059】
実施例6
浸透試験
発明の組成物からのカルシポトリオールの皮膚浸透および透過を試験するために、皮膚拡散実験を行なった。豚耳からの十分な厚さの皮膚を本実験で用いた。耳を使用前は−18℃に凍結した。実験の前日、耳を緩速解凍のために冷蔵庫(5±3℃)に入れた。実験日に、獣医用ヘア・トリマーを用いて毛を切除した。メスを用いて皮膚から皮下脂肪を除去し、2片の皮膚を各耳から切断し、平衡の順でFranz拡散セルにマウントした。
【0060】
実質的にT.J. Franz, “The finite dose technique as a valid in vitro model for the study of percutaneous absorption in man”, in Current Problems in Dermatology, 1978, J.W.H. Mall (Ed.), Karger, Basel, pp. 58-68に記載の方法で、3.14cmの利用可能な拡散面積と8.6〜11.1mlの範囲のレセプター体積を用いる静的Franzタイプ拡散セルを使用した。各セルについて特定の容積を測定し、登録した。磁気棒を各セルのレセプター・コンパートメントに設けた。皮膚を取り付けた後に、生理食塩水(35℃)を皮膚の水和のために各レセプターチャンバーに充填した。セルを、400rpmにセットされた磁気撹拌機に上に置かれた、熱的に制御された水浴に入れた。水浴の循環水を35±1℃に維持し、皮膚表面の温度を約32℃にした。1時間後、食塩水をレセプター媒体、4%のウシ血清アルブミン含有0.04Mの等張リン酸緩衝液、pH7.4(35℃)に置換えた。沈降条件を、試験期間中常に維持し、すなわち、レセプター液中の活性化合物の濃度は、媒体中の化合物の溶解度の10%未満であった。
【0061】
各試験組成物のインビトロの皮膚透過を6複製(すなわちn=6)で試験した。各試験組成物を意図した4mg/cm用量で0時間に皮膚膜に適用した。ガラス・スパチュラを適用に用い、組成物の残量を皮膚に実際に適用された組成物の量を得るために決定した。
【0062】
皮膚浸透試験を21時間進行させた。その後、次のコンパートメントからサンプルを集めた:
角質層を、D-Squame(登録商標)テープ(直径22mm、CuDerm Corp., Dallas, Texas, USA)を用いて、10回のテープ剥離で集めた。各テープ片を、試験領域に標準圧力を5秒間適用し、1回の穏やかな、連続的動作で試験領域から剥がした。繰り返しの皮剥離について、剥がす方向を変えた。その後、表皮生存層および真皮を同様の方法で皮膚からサンプリングした。
拡散セルにあるレセプター液のサンプル(1ml)を回収し、分析した。
サンプルのカルシポトリオール濃度をLC質量分析法で決定した。
添付する図3の結果が示すように、それは、皮膚生存層(真皮と表皮)およびレセプター液に見られるカルシポトリオールの量を適用量の%で示す。レセプター液には適用したカルシポトリオールはほんのわずかしか見られず、インビボでの本組成物の適用に際し、ほんの少量の活性成分しか皮膚を通って体循環に入らず、それにより全身性副作用のリスクが最小限になることを示唆する。
【0063】
実施例7
本組成物の生物学的活性
下の図4に示す通り、カテリシジンはヒトの角化細胞で発現される抗菌ペプチドである。カテリシジンの発現は、皮膚の感染または皮膚バリアの崩壊で強く誘発される。乾癬において、カテリシジンのレベルは乾癬患者の皮膚病変で増加する。ビタミンDレセプターへの結合を介して、カテリシジンをコードする遺伝子の発現が、ビタミンD3またはカルシポトリオールのようなビタミンDの類似体によって誘発され得ることが判明した(TT Wang et al, J. Immunol. 173(5), 2004, pp. 2909-2912; J Schauber et al., Immunology 118(4), 2006, pp. 509-519; Schauber and Gallo, J. Allergy Clin Immunol 122, 2008, pp. 261-266; M. Peric et al., PloS One 4(7), July 22, 2009, e6340)。この発見は、ヒト角化細胞における試験組成物からのカルシポトリオールの取り込みおよび生物学的活性が、カテリシジンをコードする遺伝子の誘発レベルの測定により決定されるアッセイの開発に利用されている。
本アッセイにおいて、上記の実施例1に記載の通り製造した組成物1Aを、10μlの量で、0.5cmポリカーボネート・フィルター(SkinEthic(登録商標) Laboratories, Nice, Franceから入手可能)上に12日間培養された正常なヒトの角化細胞から成る、再構築されたヒト表皮に局所的に3回適用した。組織を2日間処置し、ポリカーボネート・フィルターからの表皮の分離のために、液体窒素で急速冷凍した。RNAを細胞から抽出し、cDNAを慣用の手順によって合成した。その後定量的リアルタイムPCR(qPCR)をApplied Biosystemsからの次のアッセイを用いて行なった:cAMP Hs0018038_m1およびGAPDH Hs99999905_m1。カテリシジンの発現レベルをGAPDHに対して標準化し、相対的な定量化をDaivonex(登録商標)軟膏との比較により行った。
【0064】
連続3回の実験をこの方法で行った。最初の2回の実験の結果は、Daivonex(登録商標)軟膏で得られたものに比較してカテリシジンの生物学的活性化の6.2倍および5.7倍の増加をそれぞれ示したが、3回目の実験の結果は12.9倍の増加を示した。
組成物1B(上の実施例1に記載の通り製造)を、このアッセイで試験したとき、2回の実験の結果は、Daivonex(登録商標)軟膏で得られたものに比較してカテリシジンの生物学的活性化の2.7倍および1.5倍の増加をそれぞれ示した。
下の表1に、組成物3A、3H、3Gおよび4A−Fをこのアッセイで試験したときに得た結果を記載する:
【表7】

表1 本発明の化合物の生物学的活性
【0065】
実施例8
ミニブタにおける局所刺激性試験
実施例1の組成物1Aの局所的耐用性を、4週間ミニブタに毎日皮膚適用したときに評価した。毎日、動物を8時間試験物質に暴露させた。
実験は10匹のメスGoettingen SPFミニブタで行なわれた。各動物に6個所適用し、1つの個所当たり250mgの試験製剤の量を適用した。臨床的症状を毎日記録し、適用部位の皮膚反応を、紅斑および浮腫に関して投与開始前に1日1回およびさらに剖検日に採点した。餌消費量を毎日記録し、体重を毎週記録した。治療期間の終わりに、一般的剖検を全ての動物で行ない、皮膚サンプルを病理組織試験により集めた。
結果は、負の処置関連臨床的症状が実験の間に観察されなかったことを示す。紅斑に関してのスコアは組成物1Aでは観察されなかった。結果は、本発明の組成物がヒト患者で同様によく許容されることを示唆する。
【0066】
実施例9
乾癬患者における感染斑試験
化合物1Aを乾癬斑試験で試験した。試験は、スクリーニング来院、必要であればウオッシュ・アウト期間、29日間の治療期間および適切ならば追跡来院から成る。処置前15日以内に、対象の実験適格性のためのスクリーニング来院を行った。対象が抗乾癬処置または他の関連投薬により処置されているならば、1日目(来院2)の前にウオッシュ・アウト期間(15日以内)を終了させた。処置製品である治験品および参照品(Daivonex(登録商標)クリーム)を、4週間、週に6日(日曜日以外)適用した。対象は、前もって定義した2cmの直径の乾癬病変の選択した試験部位に治験投薬を受けた。処置相中、週に二回臨床評価を行なった。更に、皮膚層の厚さの超音波測定を、1日目(基線)、治験中3回および治療期間の終わりに行なった。
【0067】
一次応答基準は、基線と比較した、治療期間の終わりの臨床症状の総臨床のスコア(TCS)(紅斑、鱗屑および浸潤の合計)の絶対的な変化であった。基線と比較した、処置の最後および各評価に超音波によって測定された総病変厚の変化も決定した。
図5に示す結果は、乾癬プラークを組成物1Aで処理したとき、Daivonex(登録商標)クリームで処置したときよりもTCSの改善が亢進され、発現が速いことを示す。
【0068】
実施例10
本発明の組成物
【表8】

【表9】

【表10】

PDE4化合物を付加した以外、実施例1に記載の通り組成物6A、6Bおよび6Cを製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)親水性または親油性非イオン性界面活性剤;
(b)親油性非イオン性共界面活性剤;
(c)両親媒性でも非両親媒性でもよいC6−22アシルグリセリド;
の等方性の溶媒混合物を含む、皮膚適用のための実質的に無水の医薬組成物であって、
該等方性の溶媒混合物は過剰の水が存在する状態でマイクロエマルジョンを形成することができ;
さらに該等方性の溶媒混合物に溶解または可溶化されたビタミンD誘導体または類似体および
薬学的に許容される、実質的に無水の脂質担体を含む、
組成物。
【請求項2】
ビタミンD誘導体または類似体がカルシポトリオール、カルシトリオール、タカルシトール、マキサカルシトール、パリカルシトールおよびアルファカルシドールから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ビタミンD類似体がカルシポトリオールまたはカルシポトリオール一水和物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
等方性の混合物における界面活性剤の量が混合物の約5〜約90重量%または約10〜約70重量%、特に約30重量%〜約60重量%、例えば約40〜約50重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤が>9のHLB値を有する親水性界面活性剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
親水性界面活性剤が少なくとも20モルのエチレンオキシド基/1モルのグリセリドを含む植物油のポリエチレングリコールエステルであり、かかるエステルは、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、例えば、PEG20、30、35、38、40、50または60ヒマシ油またはPEG20、25、30、40、45、50、60または80硬化ヒマシ油、PEG20または60トウモロコシグリセリド、PEG20または60アーモンドグリセリドまたはPEG40パーム核油から成る群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
等方性の混合物における非イオン性共界面活性剤の量が、混合物の約5〜約90重量%または約10〜約50重量%、特に約20〜約40重量%、例えば約25〜約30重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
界面活性剤および共界面活性剤が両方とも<9のHLB値を有する親油性界面活性剤である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
親油性界面活性剤がC6−22脂肪酸のモノグリセリドエステル、例えばグリセリルモノカプリレート、グリセリルモノカプレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノベヘナート、C6−22脂肪酸のジグリセリドエステル、例えば、グリセリルジラウレート、C6−22脂肪酸のモノ−およびジ−グリセリドエステル、例えばカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドまたはグリセリルモノ−およびジリシノレート、C6−22脂肪酸エステルのプロピレングリコールエステル、例えばプロピレングリコールモノカプリレートまたはプロピレングリコールモノラウレート、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリグルセリルC6−22脂肪酸エステル、例えば、ポリグルセリル−3−ジイソステアレート、4−8モルのエチレンオキシド基/1モルのグリセリドを含むトリグリセリド/植物油のポリエチレングリコールエステル、例えばPEG−6トウモロコシ油、PEG−6扁桃油、PEG−6杏仁油、PEG−6オリーブオイル、PEG−6落花生油、PEG−6パーム核油水素と化合したパーム核油、PEG−6トリオレインまたはPEG−8トウモロコシ油またはポリソルベート、例えばポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60またはポリソルベート80から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
界面活性剤および共界面活性剤が異なった化学界面活性剤群から選択される親油性界面活性剤である、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
等方性の溶媒混合物におけるC6−22アシルグリセリドの量が、混合物の約5〜約90重量%または約10〜約70重量%、例えば約15〜約40重量%、例えば約20〜約30重量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
6−22アシルグリセリドが中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリドまたはヒマシ油のような極めて純粋な植物油から成る群から選択される非両親媒性のC6−22アシルグリセリドまたはカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドおよびカプリル酸/カプリン酸モノ−、ジ−およびトリグリセリドから成る群から選択される両親媒性のC6−22アシルグリセリドである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤:共界面活性剤:C6−22アシルグリセリドの比率が2:1:1である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
等方性の溶媒混合物が組成物の約1〜20重量%、例えば約5〜15重量%または約8〜12重量%または約9〜11重量、例えば約10重量%を構成する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
6−22アシルグリセリドが中鎖トリグリセリドであり、界面活性剤がポリオキシル40硬化ヒマシ油であり、共界面活性剤がカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドであるかまたはC6−22アシルグリセリドが長鎖トリグリセリドであり、界面活性剤がポリオキシル40硬化ヒマシ油であり、共界面活性剤がカプリル酸/カプリン酸モノ−およびジ−グリセリドであるかまたはC6−22アシルグリセリドがカプリル酸/カプリン酸モノ−、ジ−またはトリ−グリセリドであり、界面活性剤がPEG−6パーム核油であり、共界面活性剤がポリグルセリル−3ジイソステアレート、PEG−6トウモロコシ油、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノラウレートまたはプロピレングリコールモノカプリレートである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
脂質担体が、CからC60の鎖長であって、C14−16、C18−22、C20−22、C20−26がピークの鎖長を有する炭化水素またはその混合物から成るパラフィン類(ガスクロマトグラフィーにより決定)から選択される少なくとも一個のパラフィンを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
増粘成分をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
増粘成分が蝋である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
シリコン蝋または揮発性シリコン油をさらに含む請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
揮発性シリコン油がシクロメチコンまたはジメチコンである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
さらに抗刺激性化合物を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
抗刺激性化合物がグリセリン、ブチレングリコール、ソルビトール、スクロース、サッカリン、メントールまたはニコチンアミドである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ビタミンD誘導体または類似体の化学的安定性に有害な酸性不純物を中和することができる化合物をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
該化合物がトリエタノールアミン、トロメタモール、モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンのようなアミンである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
約0.001〜0.5mg/g、好ましくは約0.002〜0.25mg/g、特に0.005〜0.05mg/gのビタミンD誘導体または類似体を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
さらに1種以上の治療上活性な成分を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
さらなる活性成分がコルチコステロイドのような抗炎症剤、例えば、ベタメタゾンおよびそのエステル、例えば吉草酸またはジプロピオン酸エステル、クロベタゾールまたはそのエステル、例えばプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾンまたはそのエステル、例えば酢酸エステル;ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナク、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカムまたはナブメトンのような非ステロイド性抗炎症剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤またはp38MAPキナーゼ阻害剤から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
皮膚の疾患または症状の治療で使用される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
皮膚疾患または状態が乾癬、脂漏性乾癬、手掌足底膿疱症、皮膚炎、魚鱗癬、酒さまたはざ瘡である、請求項28に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−515018(P2013−515018A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545090(P2012−545090)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/DK2010/000182
【国際公開番号】WO2011/076207
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(508069752)レオ ファーマ アクティーゼルスカブ (22)
【Fターム(参考)】