説明

ビットレート設定装置

【課題】可変ビットレート方式の符号化装置に対し動画像の全ての符号を記録媒体に記録できるようなビットレートを設定できるようにする。
【解決手段】累積符号量計算部14は累積符号量Dを出力する。残存容量計算部15は、記録媒体容量Cから累積符号量Dを減じ、残存容量(C−D)を得る。符号化済記録時間長取得部16は、符号化済記録時間長Nを取得する。残存記録時間長計算部17は、動画像記録時間長Mから符号化済記録時間長Nを減じ、残存記録時間長(M−N)を得る。ビットレート計算部18は、残存容量(C−D)を残存記録時間長(M−N)で除し、ビットレートKを得る。ビットレート設定部19は、ビットレートKに等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変ビットレート方式の符号化装置に対し動画像の全ての符号を記録媒体に記録できるようなビットレートを設定できるビットレート設定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、例えば、映画などの動画像を符号化する符号化装置の1つとして、可変ビットレート方式の符号化装置が知られている。
【0003】
図6において、符号化装置2は、外部から設定されるビットレートBRに応じた総符号量が得られるように動画像Vを符号化すべく動画像Vの符号化対象部分のデータ量に応じてビットレートBRより大きいまたは小さいビットレートで当該符号化対象部分を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置である。
【0004】
符号化装置2は、例えば、動画像記憶装置3から送信される動画像Vを可変ビットレート方式で符号化し、符号を符号蓄積装置4に送信し、蓄積する。
【0005】
符号化装置2は、動画像Vを符号化する符号化部21と、符号化部21から符号化対象部分のデータ量を取得し、データ量が大の場合は、例えば、激しい動きが連続する符号化対象部分の場合は、ビットレートBRより大きいビットレートを計算し、一方、データ量が小の場合は、例えば、静止画である符号化対象部分の場合は、ビットレートBRより小さいビットレートを計算し、そのビットレートを符号化部21に与えるビットレート計算部22を有し、符号化部21は、与えられるビットレートで符号化対象部分を符号化する。
【0006】
これにより、符号化装置2は、ビットレートBRに応じた総符号量が得られるように動画像Vを符号化できるようになっている。
【0007】
総符号量に対応する全ての符号は、符号蓄積装置4から読み出され、例えば、記録媒体(DVDディスクなど)に記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−156857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7は、符号化の過程での総符号量の変化の様子を示す図である。横軸は動画像Vの記録時間上で時刻の推移を示し、縦軸は符号量を示す。
【0010】
仮に、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定で、且つ、ビットレートBRに等しいビットレートが符号化部21に常に与えられるなら、符号化当初から任意のタイミングまでの期間での総符号量は、目標符号量P0つまり当該ビットレートの当該期間での定積分に等しく、ビットレートBRに等しい一定の傾きで増加する。
【0011】
しかし、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量は、通常は一定でなく、実際の総符号量D2は、例えば、データ量が増すと、目標符号量P0より大きくなることがある。
【0012】
そのため、総符号量は、最終的に、記録媒体の容量より大きくなり、全ての符号が、記録媒体に記録できないことがある。
【0013】
そこで、符号化装置2に対し、全ての符号を記録媒体に記録可能とすべく、機能を追加することが考えられる。
【0014】
しかし、符号化装置2は、例えば、他社製で内部が非公開であることや、既に集積化されていることがあり、実際には機能追加は困難である。
【0015】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、可変ビットレート方式の符号化装置に対し動画像の全ての符号を記録媒体に記録できるようなビットレートを設定できるビットレート設定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、第1の本発明に係るビットレート設定装置は、外部から設定されるビットレートに応じた総符号量が得られるように動画像を符号化すべく当該動画像の符号化対象部分のデータ量に応じて当該ビットレートより大きいまたは小さいビットレートで当該符号化対象部分を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置に対し当該動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングでビットレートを設定するビットレート設定装置であって、符号化された動画像が記録される記録媒体に記録可能な最大符号量である記録媒体容量が予め記憶される記録媒体容量記憶部と、前記動画像の記録時間長である動画像記録時間長が予め記憶される動画像記録時間長記憶部と、前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量である累積符号量を計算する累積符号量計算部と、前記累積符号量が計算されたなら、前記記録媒体容量記憶部から記録媒体容量を読み出し、当該記録媒体容量から当該累積符号量を減じた残存容量を計算する残存容量計算部と、前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長を取得する符号化済記録時間長取得部と、前記符号化済記録時間長が取得されたなら、前記動画像記録時間長記憶部から動画像記録時間長を読み出し、当該動画像記録時間長から当該符号化済記録時間長を減じた残存記録時間長を計算する残存記録時間長計算部と、前記残存容量と前記残存記録時間長が計算されたなら、当該残存容量を当該残存記録時間長で除したビットレートを計算するビットレート計算部と、前記ビットレートが計算されたなら、当該ビットレートに等しいビットレートを前記符号化装置に設定するビットレート設定部とを備えることを特徴とする。
【0017】
第2の本発明に係るビットレート設定装置は、外部から設定されるビットレートに応じた総符号量が得られるように動画像を符号化すべく当該動画像の符号化対象部分のデータ量に応じて当該ビットレートより大きいまたは小さいビットレートで当該動画像を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置に対し当該動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングでビットレートを設定するビットレート設定装置であって、符号化された動画像が記録される記録媒体に記録可能な最大符号量である記録媒体容量が予め記憶される記録媒体容量記憶部と、前記動画像の記録時間長である動画像記録時間長が予め記憶される動画像記録時間長記憶部と、前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量である累積符号量を計算する累積符号量計算部と、前記累積符号量が計算されたなら、前記記録媒体容量記憶部から記録媒体容量を読み出し、当該記録媒体容量から当該累積符号量を減じた残存容量を計算する残存容量計算部と、前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長を取得する符号化済記録時間長取得部と、前記符号化済記録時間長が取得されたなら、前記動画像記録時間長記憶部から動画像記録時間長を読み出し、当該動画像記録時間長から当該符号化済記録時間長を減じた残存記録時間長を計算する残存記録時間長計算部と、前記残存容量と前記残存記録時間長が計算されたなら、当該残存容量を当該残存記録時間長で除したビットレートを計算するビットレート計算部と、1回目に計算されたビットレートである初期ビットレートが記憶される初期ビットレート記憶部と、2回目以降の最も新しく計算されたビットレートである最新ビットレートが記憶される最新ビットレート記憶部と、前記最新ビットレートが計算されたなら、前記初期ビットレート記憶部から初期ビットレートを読み出し、当該最新ビットレートが、当該初期ビットレートより小さいか否かを判定するビットレート判定部と、前記符号化装置に対しビットレートを設定する各タイミングにおいて予め定めた時間長を遡った期間のみの符号化済みの符号量である最新累積符号量を計算する最新累積符号量計算部と、前記最新ビットレートが計算されたなら、当該最新ビットレートと前記予め定めた時間長と予め定めた係数とを互いに乗じた最新累積符号量閾値を計算する最新累積符号量閾値計算部と、前記最新累積符号量、前記最新累積符号量閾値が計算されたなら、当該最新累積符号量が当該最新累積符号量閾値より小さいか否かを判定する最新累積符号量判定部と、前記ビットレート判定部による判定結果が肯定的であり、且つ、前記最新累積符号量判定部による判定結果が肯定的であるなら、前記初期ビットレート記憶部から初期ビットレートを読み出し、当該初期ビットレートに等しいビットレートを前記符号化装置に設定する一方、前記ビットレート判定部による判定結果、または、前記最新累積符号量判定部による判定結果が否定的であるなら、前記最新ビットレート記憶部から最新ビットレートを読み出し、当該最新ビットレートに等しいビットレートを前記符号化装置に設定するビットレート設定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るビットレート設定装置によれば、可変ビットレート方式の符号化装置に対し動画像の全ての符号を記録媒体に記録できるようなビットレートを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係るビットレート設定装置の構成と利用形態を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における累積符号量が理想的には記録媒体容量に等しくなる仕組みを説明するための図である。
【図3】第1の実施の形態における実際の累積符号量の変化の様子を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るビットレート設定装置の構成と利用形態を示す図である。
【図5】第2の実施の形態における累積符号量が理想的には記録媒体容量に等しくなる仕組みを説明するための図である。
【図6】従来における符号化装置の構成と利用形態を示す図である。
【図7】従来における符号化の過程での総符号量の変化の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るビットレート設定装置の構成と利用形態を示す図である。
【0022】
ビットレート設定装置1は、符号化装置2に対し、ビットレートBRを設定する装置である。
【0023】
符号化装置2は、ビットレート設定装置1から設定されるビットレートBRに応じた総符号量が得られるように動画像Vを符号化すべく動画像Vの符号化対象部分のデータ量に応じてビットレートBRより大きいまたは小さいビットレートで符号化対象部分を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置である。
【0024】
符号化装置2は、例えば、動画像記憶装置3から送信される動画像Vを可変ビットレート方式で符号化し、符号を符号蓄積装置4に送信し、蓄積する。
【0025】
符号化装置2は、動画像Vを符号化する符号化部21と、符号化部21から符号化対象部分のデータ量を取得し、データ量が大の場合は、例えば、激しい動きが連続する符号化対象部分の場合は、ビットレートBRより大きいビットレートを計算し、一方、データ量が小の場合は、例えば、静止画である符号化対象部分の場合は、ビットレートBRより小さいビットレートを計算し、そのビットレートを符号化部21に与えるビットレート計算部22を有し、符号化部21は、ビットレート計算部22から与えられるビットレートで符号化対象部分を符号化する。
【0026】
これにより、符号化装置2は、ビットレート設定装置1から設定されるビットレートBRに応じた総符号量が得られるように動画像Vを符号化できるようになっている。
【0027】
ビットレート設定装置1は、このような符号化装置2に対し動画像Vの符号化が終了するまでの複数のタイミングで、例えば、10秒ごとに、ビットレートBRを設定する装置である。
【0028】
ビットレート設定装置1は、符号化された動画像が記録される記録媒体(DVDディスクなど)に記録可能な最大符号量である記録媒体容量C(例えば、4.7ギガバイト)が予め記憶される記録媒体容量記憶部11と、動画像Vの記録時間長(再生時間長ともいう)である動画像記録時間長M(例えば、動画像Vが映画の場合の2時間といった時間長)が予め記憶される動画像記録時間長記憶部12と、各タイミングにタイミング信号tを出力するタイマー13と、例えば、符号を監視して累積の符号量を継続的に計算しておき、タイミング信号tを受信したタイミングで、最新の計算値である累積符号量Dを出力する累積符号量計算部14と、累積符号量Dが出力されたなら、記録媒体容量記憶部11から記録媒体容量Cを読み出し、記録媒体容量Cから累積符号量Dを減じた残存容量(C−D)を計算する残存容量計算部15と、タイミング信号tを受信したタイミングで、例えば、符号化装置2から、符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長Nを取得する符号化済記録時間長取得部16と、符号化済記録時間長Nが取得されたなら、動画像記録時間長記憶部12から動画像記録時間長Mを読み出し、動画像記録時間長Mから符号化済記録時間長Nを減じた残存記録時間長(M−N)を計算する残存記録時間長計算部17と、残存容量(C−D)と残存記録時間長(M−N)が計算されたなら、残存容量(C−D)を残存記録時間長(M−N)で除したビットレートK(=(C−D)÷(M−N))を計算するビットレート計算部18と、ビットレートKが計算されたなら、ビットレートKに等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定するビットレート設定部19と、図示しない入力部とを備える。
【0029】
(第1の実施の形態の動作)
第1の実施の形態では、入力部から記録媒体容量C及び動画像記録時間長Mが入力され、記録媒体容量Cは、記録媒体容量記憶部11に、動画像記録時間長Mは動画像記録時間長記憶部12に記憶される。
【0030】
タイマー13は、例えば、符号化装置2へ動画像Vが送信開始される以前のタイミングを含め、10秒ごとの各タイミングにタイミング信号tを出力する。
【0031】
累積符号量計算部14は、まず、1回目のタイミング信号tを受信したタイミングで、累積符号量Dであるゼロを出力する。
【0032】
残存容量計算部15は、累積符号量Dであるゼロが出力されたなら、記録媒体容量記憶部11から記録媒体容量Cである、例えば、4.7ギガバイトを読み出し、記録媒体容量Cからゼロを減じ、残存容量(C−D)である4.7ギガバイトを得る。
【0033】
符号化済記録時間長取得部16は、まず、1回目のタイミング信号tを受信したタイミングで、例えば、符号化装置2から、符号化済記録時間長Nであるゼロを取得する。
【0034】
残存記録時間長計算部17は、符号化済記録時間長Nが取得されたなら、動画像記録時間長記憶部12から動画像記録時間長Mである、例えば2時間を読み出し、動画像記録時間長Mから符号化済記録時間長N(ゼロ)を減じ、残存記録時間長(M−N)である、例えば2時間を得る。
【0035】
ビットレート計算部18は、例えば、残存容量(C−D)である4.7ギガバイトと残存記録時間長(M−N)である2時間が計算されたなら、残存容量(C−D)を残存記録時間長(M−N)で除し、ビットレートK(=(C−D)÷(M−N))つまり初期ビットレートK0を得る。
【0036】
ビットレート設定部19は、初期ビットレートK0が計算されたなら、初期ビットレートK0に等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する。
【0037】
ビットレート計算部22は、符号化部21から符号化対象部分のデータ量を取得し、データ量が大の場合は、例えば、激しい動きが連続する符号化対象部分の場合は、初期ビットレートK0より大きいビットレートを計算し、一方、データ量が小の場合は、例えば、静止画である符号化対象部分の場合は、初期ビットレートK0より小さいビットレートを計算し、そのビットレートを符号化部21に与える。
【0038】
符号化部21は、ビットレート計算部22から与えられるビットレートで符号化対象部分を符号化し、符号を符号蓄積装置4に送信し、蓄積する。
【0039】
次に、ビットレート計算部22は、符号化部21から次の符号化対象部分のデータ量を取得し、同様にビットレートを計算し、そのビットレートを符号化部21に与える。
【0040】
符号化部21は、ビットレート計算部22から与えられるビットレートで符号化対象部分を符号化し、符号を符号蓄積装置4に送信し、蓄積する。
【0041】
同様な処理が続く間、累積符号量計算部14は、符号を監視し、累積符号量Dを継続的に計算し記憶しておく。
【0042】
タイマー13は、例えば、1回目のタイミングの10秒後に、2回目のタイミング信号tを出力する。
【0043】
累積符号量計算部14は、2回目のタイミング信号tを受信したタイミングで、累積符号量Dを出力する。累積符号量Dは、勿論、前回の累積符号量Dよりも多い。
【0044】
残存容量計算部15は、2回目の累積符号量Dが出力されたなら、記録媒体容量記憶部11から記録媒体容量Cを読み出し、記録媒体容量Cから2回目の累積符号量Dを減じ、残存容量(C−D)を得る。
【0045】
符号化済記録時間長取得部16は、2回目のタイミング信号tを受信したタイミングで、例えば、符号化装置2から、符号化済記録時間長Nを取得する。符号化済記録時間長Nは、勿論、前回の符号化済記録時間長Nよりも長い。
【0046】
残存記録時間長計算部17は、符号化済記録時間長Nが取得されたなら、動画像記録時間長記憶部12から動画像記録時間長Mを読み出し、動画像記録時間長Mから符号化済記録時間長Nを減じ、残存記録時間長(M−N)を得る。
【0047】
ビットレート計算部18は、残存容量(C−D)と残存記録時間長(M−N)が計算されたなら、残存容量(C−D)を残存記録時間長(M−N)で除し、ビットレートKつまり2回目のビットレートKを得る。
【0048】
ビットレート設定部19は、2回目のビットレートKが計算されたなら、ビットレートKに等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する。
【0049】
ビットレート計算部22は、符号化部21から符号化対象部分のデータ量を取得し、データ量が大の場合は、例えば、激しい動きが連続する符号化対象部分の場合は、2回目のビットレートKより大きいビットレートを計算し、一方、データ量が小の場合は、例えば、静止画である符号化対象部分の場合は、2回目のビットレートKより小さいビットレートを計算し、そのビットレートを符号化部21に与える。
【0050】
符号化部21は、ビットレート計算部22から与えられるビットレートで符号化対象部分を符号化し、符号を符号蓄積装置4に送信し、蓄積する。
【0051】
次に、ビットレート計算部22は、符号化部21から次の符号化対象部分のデータ量を取得し、同様にビットレートを計算し、そのビットレートを符号化部21に与える。
【0052】
符号化部21は、ビットレート計算部22から与えられるビットレートで符号化対象部分を符号化し、符号を符号蓄積装置4に送信し、蓄積する。
【0053】
同様な処理が続く間、累積符号量計算部14は、符号を監視し、累積符号量Dを継続的に計算し記憶しておく。
【0054】
これ以降は、2回目のタイミング信号tが出力されたときと同様の処理がなされ、符号蓄積装置4に符号が蓄積されていく。
【0055】
図2は、第1の実施の形態における累積符号量Dが理想的には記録媒体容量Cに等しくなる仕組みを説明するための図である。横軸は動画像Vの記録時間上での時刻の推移を示し、縦軸は符号量を示す。
【0056】
1回目のタイミングT0において、符号化装置2には、初期ビットレートK0に等しいビットレートBRが設定される。
【0057】
仮に、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定であり、そのビットレートBRに等しいビットレートが符号化部21に常に与えられるならば、その場合の目標符号量P0つまり符号化部21に与えられるビットレートについてのタイミングT0から任意のタイミングまでの期間における定積分は、ビットレートBRに等しい一定の傾きで増加し、最終的に記録媒体容量Cに等しくなる。この場合、目標符号量P0は、常に累積符号量Dに等しく、全ての符号は、例えば、記録媒体(DVDディスクなど)に記録できるのである。
【0058】
第1の実施の形態では、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定でなくても、全ての符号を記録媒体(DVDディスクなど)に記録できる。その仕組みは以下の通りである。
【0059】
タイミングT0から、2回目のビットレートBRが設定されるタイミングT1までの期間において、例えば、動画像Vの符号化対象部分のデータ量が増加すると、累積符号量Dが目標符号量P0より大きくなる。
【0060】
これにより、タイミングT1では、残存容量(C−D)がより大きく減少することとなるので、ビットレートBRが低減される。以降、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定なら、その場合の目標符号量P1つまり符号化部21に与えられるビットレートについてのタイミングT1から任意のタイミングまで期間における定積分は、当該ビットレートBRに等しい一定の傾きで増加し、最終的に記録媒体容量Cに等しくなる。
【0061】
低減後のビットレートBRは、目標符号量P1の傾きに等しく、目標符号量P0の傾きよりも小さい。
【0062】
逆に、タイミングT1から、3回目のビットレートBRが設定されるタイミングT2までの期間において、例えば、動画像Vの符号化対象部分のデータ量が減少すると、累積符号量Dが目標符号量P1より小さくなり、さらに、目標符号量P0より小さくなることがある。
【0063】
これにより、タイミングT2では、残存容量(C−D)の減りが少なくなるので、ビットレートBRは増加する。以降、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定なら、その場合の目標符号量P2つまり符号化部21に与えられるビットレートについてのタイミングT2から任意のタイミングまで定積分は、当該ビットレートBRに等しい一定の傾きで増加し、最終的に記録媒体容量Cに等しくなる。
【0064】
増加後のビットレートBRは、目標符号量P2の傾きに等しく、目標符号量P1の傾きよりも大きい。
【0065】
これにより、タイミングT2以降においては、累積符号量Dが目標符号量P2に近づき、理想的には、記録媒体容量Cに等しくなるのである。つまり、全ての符号は、理想的には、記録媒体(DVDディスクなど)に記録できるのである。
【0066】
図3は、第1の実施の形態における実際の累積符号量Dの変化の様子を示す図である。横軸は動画像Vの記録時間上で時刻の推移を示し、縦軸は符号量を示す。比較例として、従来における総符号量D2と目標符号量P0の変化の様子を示す。
【0067】
例えば、動画像Vの符号化対象部分のデータ量が増加すると、総符号量D2は、目標符号量P0より大きくなり、最終的に、4.7ギガバイトを超えてしまう可能性がある。
【0068】
しかし、第1の実施の形態では、動画像Vの符号化対象部分のデータ量が増加し、累積符号量Dが、目標符号量P0より大きくなると、残存容量(C−D)がより大きく減少し、ビットレートBRが低減される。その結果、累積符号量Dは目標符号量P0に近づき、最終的に、記録媒体容量C以下、かつ、少ない誤差に収めることができる。
【0069】
したがって、第1の実施の形態に係るビットレート設定装置1は、外部から設定されるビットレートBRに応じた総符号量が得られるように動画像Vを符号化すべく当該動画像の符号化対象部分のデータ量に応じて当該ビットレートより大きいまたは小さいビットレートで当該符号化対象部分を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置2に対し当該動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングでビットレートBRを設定するビットレート設定装置であって、符号化された動画像が記録される記録媒体に記録可能な最大符号量である記録媒体容量Cが予め記憶される記録媒体容量記憶部11と、動画像の記録時間長である動画像記録時間長Mが予め記憶される動画像記録時間長記憶部12と、動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量である累積符号量Dを計算する累積符号量計算部14と、累積符号量が計算されたなら、記録媒体容量記憶部から記録媒体容量を読み出し、当該記録媒体容量から当該累積符号量を減じた残存容量(C−D)を計算する残存容量計算部15と、動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長Nを取得する符号化済記録時間長取得部16と、符号化済記録時間長が取得されたなら、動画像記録時間長記憶部から動画像記録時間長を読み出し、当該動画像記録時間長から当該符号化済記録時間長を減じた残存記録時間長(M−N)を計算する残存記録時間長計算部17と、残存容量と残存記録時間長が計算されたなら、当該残存容量を当該残存記録時間長で除したビットレートK,K0を計算するビットレート計算部18と、ビットレートが計算されたなら、当該ビットレートに等しいビットレートBRを符号化装置に設定するビットレート設定部19とを備えるので、可変ビットレート方式の符号化装置に対し動画像の全ての符号を記録媒体に記録できるようなビットレートを設定することができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係るビットレート設定装置の構成と利用形態を示す図である。
【0071】
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明済みの装置やその構成要素には、同一符号を付与し、重複説明を適宜省略する。
【0072】
ビットレート設定装置1Aは、符号化装置2に対し動画像Vの符号化が終了するまでの複数のタイミングで、例えば、符号化装置2へ動画像Vが送信開始される以前のタイミングとその10秒後のタイミングを含め、以降、0.5秒ごとに、ビットレートBRを設定する装置である。
【0073】
ビットレート設定装置1Aは、記録媒体容量記憶部11と、動画像記録時間長記憶部12と、タイマー13と、累積符号量計算部14と、残存容量計算部15と、符号化済記録時間長取得部16と、残存記録時間長計算部17と、ビットレート計算部18と、例えば、2回目のビットレートKが計算されたタイミングの0.5秒後を含め、0.5秒ごとにタイミング信号t1を出力するタイマー100と、初期ビットレートK0が記憶される初期ビットレート記憶部101と、2回目の以降のタイミング信号tの出力により計算された最も新しいビットレートKである最新ビットレートKiが記憶される最新ビットレート記憶部102と、最新ビットレートKiが計算されたなら、初期ビットレート記憶部101から初期ビットレートK0を読み出し、最新ビットレートKiが、初期ビットレートK0より小さいか否かを判定するビットレート判定部103と、例えば、符号を監視して、予め定めた時間長L(例えば、0.5秒間)を遡った期間のみの符号化済みの符号量である最新累積符号量Hを継続的に計算し、タイミング信号t1が出力されたなら、そのときの最新累積符号量Hを出力する最新累積符号量計算部104と、最新ビットレートKiが計算されたなら、最新ビットレートKiと時間長Lと予め定めた係数α(例えば、0.5)とを互いに乗じた最新累積符号量閾値Gを計算する最新累積符号量閾値計算部105と、時間長Lと係数αが予め記憶されるパラメータ記憶部106と、最新累積符号量Hが出力され、最新累積符号量閾値Gが計算されたなら、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値Gより小さいか否かを判定する最新累積符号量判定部107と、ビットレート判定部103による判定結果が肯定的であり、且つ、最新累積符号量判定部107による判定結果が肯定的であるなら、初期ビットレート記憶部101から初期ビットレートK0を読み出し、初期ビットレートK0に等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する一方、ビットレート判定部103による判定結果、または、最新累積符号量判定部107による判定結果が否定的であるなら、最新ビットレート記憶部102から最新ビットレートKiを読み出し、最新ビットレートKiに等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定するビットレート設定部108と、図示しない入力部とを備える。
【0074】
(第2の実施の形態の動作)
第2の実施の形態では、入力部から記録媒体容量C、動画像記録時間長M、時間長L、係数αが入力され、記録媒体容量Cは記録媒体容量記憶部11に、動画像記録時間長Mは動画像記録時間長記憶部12に、時間長L、係数αは、パラメータ記憶部106に記憶される。
【0075】
第2の実施の形態では、2回目のビットレートKが計算されるまでの動作は、ビットレート計算部18が初期ビットレートK0を初期ビットレート記憶部101に記憶させ、ビットレート設定部108が、その初期ビットレートK0を直ちに読み出し、ビットレート計算部22に設定することを除いては、第1の実施の形態と同様なので、説明を省略する。
【0076】
第2の実施の形態では、タイマー100が、2回目のビットレートK(この時点での最新ビットレートKi)が計算されたなら、タイミング信号t1を出力し、以降、0.5秒ごとにタイミング信号t1を出力する。
【0077】
ビットレート計算部18は、2回目のビットレートK(この時点での最新ビットレートKi)が計算されたなら、最新ビットレートKiを最新ビットレート記憶部102に記憶させる。
【0078】
ビットレート判定部103は、最新ビットレートKiが計算されたなら、初期ビットレート記憶部101から初期ビットレートK0を読み出し、最新ビットレートKiが初期ビットレートK0より小さいか否かを判定する。ビットレート判定部103は、最新ビットレートKiが初期ビットレートK0より小さいなら、ビットレート設定部108に肯定的な判定結果を与え、一方、最新ビットレートKiが初期ビットレートK0以上なら、ビットレート設定部108に否定的な判定結果を与える。
【0079】
最新累積符号量計算部104は、タイミング信号t1が出力されたなら、そのときの最新累積符号量Hを出力する。
【0080】
最新累積符号量閾値計算部105は、最新ビットレートKiが計算されたなら、パラメータ記憶部106から時間長Lと係数αを読み出し、最新ビットレートKiと時間長Lと係数αとを互いに乗じ、最新累積符号量閾値Gを得て、出力する。
【0081】
最新累積符号量判定部107は、最新累積符号量H、最新累積符号量閾値Gが出力されたなら、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値Gより小さいか否かを判定する。最新累積符号量判定部107は、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値Gより小さいなら、ビットレート設定部108に肯定的な判定結果を与え、一方、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値G以上なら、ビットレート設定部108に否定的な判定結果を与える。
【0082】
例えば、最新累積符号量Hは、この最新累積符号量Hに対応する動画像Vの部分が静止画である場合には小さい値となる。すなわち、最新累積符号量判定部107は、最新累積符号量Hに対応する動画像Vの部分が静止画であるか否かを判定しているともいえる。
【0083】
ビットレート設定部108は、ビットレート判定部103による判定結果が肯定的であり、且つ、最新累積符号量判定部107による判定結果が肯定的であるなら、初期ビットレート記憶部101から初期ビットレートK0を読み出し、初期ビットレートK0に等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する。
【0084】
ビットレート設定部108は、一方、ビットレート判定部103による判定結果、または、最新累積符号量判定部107による判定結果が否定的であるなら、最新ビットレート記憶部102から最新ビットレートKiを読み出し、最新ビットレートKiに等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する。
【0085】
図5は、第2の実施の形態における累積符号量Dが理想的には記録媒体容量Cに等しくなる仕組みを説明するための図である。横軸は動画像Vの記録時間上で時刻の推移を示し、縦軸は符号量を示す。
【0086】
第1の実施の形態と同様に、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定であり、初期ビットレートK0に等しいビットレートが符号化部21に常に与えられたならば、目標符号量P0は、初期ビットレートK0(=ビットレートBR)に等しい一定の傾きで増加し、最終的に記録媒体容量Cに等しくなる。この場合、目標符号量P0は、常に累積符号量に等しく、全ての符号は、例えば、記録媒体(DVDディスクなど)に記録できる。
【0087】
また、第1の実施の形態と同様に、タイミングT0からタイミングT1までの間において、例えば、動画像Vの符号化対象部分のデータ量が増加すると、累積符号量Dが目標符号量P0より大きくなる。
【0088】
これにより、第1の実施の形態と同様に、タイミングT1では、残存容量(C−D)がより大きく減少することとなるので、ビットレートBRが低減される。第1の実施の形態と同様に、以降、動画像Vの各符号化対象部分のデータ量が一定なら、目標符号量P1は、当該ビットレートBRに等しい一定の傾きで増加し、最終的に記録媒体容量Cに等しくなる。
【0089】
第1の実施の形態と同様に、低減後のビットレートBRは、目標符号量P1の傾きに等しく、目標符号量P0の傾きよりも小さい。つまり、低減後のビットレートBRは、初期ビットレートK0よりも低い。
【0090】
ここで、ビットレート設定部108が、この低減後のビットレートBRを、つまり、常に最新ビットレートKiをビットレート計算部22に設定すると仮定すると、累積符号量Dは、参照符号量D1で示すように変化し、タイミングT1、T2間で参照符号量D1の傾きが小さくなり、ビットレートが低くなることがある。この場合、全ての符号を記録媒体に記録できるのだが、符号を再生したときには、タイミングT1、T2間で画質が低くなってしまう。
【0091】
しかし、ビットレート設定部108は、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値Gより小さい場合には、最新ビットレートKiでなく、それより大きい初期ビットレートK0に等しいビットレートBRを符号化装置2のビットレート計算部22に設定する。
【0092】
つまり、ビットレート設定部108は、最新ビットレートKiが初期ビットレートK0よりも小さい、かつ、最も新しく符号化された部分が静止画なら、例えば、それ以降の映画のシーンにおいても最新ビットレートKiが初期ビットレートK0よりも小さい、かつ、静止画が続くような場合、より大きいビットレートBRを符号化装置2に設定する。
【0093】
例えば、タイミングT1から、タイミングT2より前のタイミングT1’までの期間で最新ビットレートKiが初期ビットレートK0よりも小さい、かつ、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値Gより小さいと判定されたなら、ビットレート計算部22には、初期ビットレートK0に等しいビットレートBRつまり少なくとも最新ビットレートKi以上のビットレートBRが設定され、累積符号量Dは、参照符号量D1よりも多くなる。よって、この期間の画質が向上する。
【0094】
仮に、タイミングT1’以降、最新ビットレートKiが初期ビットレートK0よりも小さい、かつ、最新累積符号量Hが最新累積符号量閾値G以上と判定された場合であっても、タイミングT1、T1’間で累積符号量Dを多くしたことで、符号を再生した場合の画質を向上させることができる。さらに、タイミングT1、T1’間で累積符号量Dを多くしたにも関わらず、全ての符号を記録媒体に記録することができる。すなわち、全ての符号の記録媒体への記録と、画質向上の両方を満たすことができる。
【0095】
したがって、第2の実施の形態に係るビットレート設定装置1Aは、外部から設定されるビットレートBRに応じた総符号量が得られるように動画像を符号化すべく当該動画像の符号化対象部分のデータ量に応じて当該ビットレートより大きいまたは小さいビットレートで当該動画像を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置2に対し当該動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングでビットレートBRを設定するビットレート設定装置であって、符号化された動画像が記録される記録媒体に記録可能な最大符号量である記録媒体容量Cが予め記憶される記録媒体容量記憶部11と、動画像の記録時間長である動画像記録時間長Mが予め記憶される動画像記録時間長記憶部12と、動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量である累積符号量Dを計算する累積符号量計算部14と、累積符号量が計算されたなら、記録媒体容量記憶部から記録媒体容量を読み出し、当該記録媒体容量から当該累積符号量を減じた残存容量(C−D)を計算する残存容量計算部15と、動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長Nを取得する符号化済記録時間長取得部16と、符号化済記録時間長が取得されたなら、動画像記録時間長記憶部から動画像記録時間長を読み出し、当該動画像記録時間長から当該符号化済記録時間長を減じた残存記録時間長(M−N)を計算する残存記録時間長計算部17と、残存容量と残存記録時間長が計算されたなら、当該残存容量を当該残存記録時間長で除したビットレートK,K0、Kiを計算するビットレート計算部18と、1回目に計算されたビットレートである初期ビットレートK0が記憶される初期ビットレート記憶部101と、2回目以降の最も新しく計算されたビットレートである最新ビットレートKiが記憶される最新ビットレート記憶部102と、最新ビットレートが計算されたなら、初期ビットレート記憶部から初期ビットレートを読み出し、当該最新ビットレートが、当該初期ビットレートより小さいか否かを判定するビットレート判定部103と、符号化装置に対しビットレートを設定する各タイミングにおいて予め定めた時間長Lを遡った期間のみの符号化済みの符号量である最新累積符号量Hを計算する最新累積符号量計算部104と、最新ビットレートが計算されたなら、当該最新ビットレートと予め定めた時間長Lと予め定めた係数αとを互いに乗じた最新累積符号量閾値Gを計算する最新累積符号量閾値計算部105と、最新累積符号量、最新累積符号量閾値が計算されたなら、当該最新累積符号量が当該最新累積符号量閾値より小さいか否かを判定する最新累積符号量判定部107と、ビットレート判定部による判定結果が肯定的であり、且つ、最新累積符号量判定部による判定結果が肯定的であるなら、初期ビットレート記憶部から初期ビットレートを読み出し、当該初期ビットレートに等しいビットレートを符号化装置に設定する一方、ビットレート判定部による判定結果、または、最新累積符号量判定部による判定結果が否定的であるなら、最新ビットレート記憶部から最新ビットレートを読み出し、当該最新ビットレートに等しいビットレートを符号化装置に設定するビットレート設定部108とを備えるので、可変ビットレート方式の符号化装置に対し動画像の全ての符号を記録媒体に記録できるようなビットレートを設定でき、符号を再生した場合の画質を向上させることができる。
【0096】
なお、各実施の形態において、記録媒体容量Cとして言及した4.7ギガバイト、動画像Vの記録時間長として言及した2時間、タイミング信号tの間隔として言及した10秒、タイミング信号t1の間隔として言及した0.5秒、時間長Lとして言及した0.5秒、係数αとして言及した0.5は、それぞれ、説明の便宜上使用した例示であり、他の数値を用いてもよい。
【0097】
また、符号化済記録時間長Nは、符号化装置2から取得したが、例えば、動画像記憶装置3で符号化済記録時間長Nが得られる場合には、動画像記憶装置3から取得してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1、1A…ビットレート設定装置
2…符号化装置
3…動画像記憶装置
4…符号蓄積装置
11…記録媒体容量記憶部
12…動画像記録時間長記憶部
13、100…タイマー
14…累積符号量計算部
15…残存容量計算部
16…符号化済記録時間長取得部
17…残存記録時間長計算部
18、22…ビットレート計算部
19、108…ビットレート設定部
21…符号化部
101…初期ビットレート記憶部
102…最新ビットレート記憶部
103…ビットレート判定部
104…最新累積符号量計算部
105…最新累積符号量閾値計算部
106…パラメータ記憶部
107…最新累積符号量判定部
α…係数
BR…ビットレート
C…記録媒体容量
D…累積符号量
D1…参照符号量
D2…総符号量
G…最新累積符号量閾値
H…最新累積符号量
K…ビットレート
K0…初期ビットレート
Ki…最新ビットレート
L…時間長
M…動画像記録時間長
N…符号化済記録時間長
P0、P1、P2…目標符号量
V…動画像
T0、T1、T1’、T2…タイミング
t、t1…タイミング信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から設定されるビットレートに応じた総符号量が得られるように動画像を符号化すべく当該動画像の符号化対象部分のデータ量に応じて当該ビットレートより大きいまたは小さいビットレートで当該符号化対象部分を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置に対し当該動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングでビットレートを設定するビットレート設定装置であって、
符号化された動画像が記録される記録媒体に記録可能な最大符号量である記録媒体容量が予め記憶される記録媒体容量記憶部と、
前記動画像の記録時間長である動画像記録時間長が予め記憶される動画像記録時間長記憶部と、
前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量である累積符号量を計算する累積符号量計算部と、
前記累積符号量が計算されたなら、前記記録媒体容量記憶部から記録媒体容量を読み出し、当該記録媒体容量から当該累積符号量を減じた残存容量を計算する残存容量計算部と、
前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長を取得する符号化済記録時間長取得部と、
前記符号化済記録時間長が取得されたなら、前記動画像記録時間長記憶部から動画像記録時間長を読み出し、当該動画像記録時間長から当該符号化済記録時間長を減じた残存記録時間長を計算する残存記録時間長計算部と、
前記残存容量と前記残存記録時間長が計算されたなら、当該残存容量を当該残存記録時間長で除したビットレートを計算するビットレート計算部と、
前記ビットレートが計算されたなら、当該ビットレートに等しいビットレートを前記符号化装置に設定するビットレート設定部と
を備えることを特徴とするビットレート設定装置。
【請求項2】
外部から設定されるビットレートに応じた総符号量が得られるように動画像を符号化すべく当該動画像の符号化対象部分のデータ量に応じて当該ビットレートより大きいまたは小さいビットレートで当該動画像を符号化する可変ビットレート方式の符号化装置に対し当該動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングでビットレートを設定するビットレート設定装置であって、
符号化された動画像が記録される記録媒体に記録可能な最大符号量である記録媒体容量が予め記憶される記録媒体容量記憶部と、
前記動画像の記録時間長である動画像記録時間長が予め記憶される動画像記録時間長記憶部と、
前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量である累積符号量を計算する累積符号量計算部と、
前記累積符号量が計算されたなら、前記記録媒体容量記憶部から記録媒体容量を読み出し、当該記録媒体容量から当該累積符号量を減じた残存容量を計算する残存容量計算部と、
前記動画像の符号化が終了するまでの複数のタイミングにおいて符号化済みの累積の符号量に対応する動画像部分の記録時間長である符号化済記録時間長を取得する符号化済記録時間長取得部と、
前記符号化済記録時間長が取得されたなら、前記動画像記録時間長記憶部から動画像記録時間長を読み出し、当該動画像記録時間長から当該符号化済記録時間長を減じた残存記録時間長を計算する残存記録時間長計算部と、
前記残存容量と前記残存記録時間長が計算されたなら、当該残存容量を当該残存記録時間長で除したビットレートを計算するビットレート計算部と、
1回目に計算されたビットレートである初期ビットレートが記憶される初期ビットレート記憶部と、
2回目以降の最も新しく計算されたビットレートである最新ビットレートが記憶される最新ビットレート記憶部と、
前記最新ビットレートが計算されたなら、前記初期ビットレート記憶部から初期ビットレートを読み出し、当該最新ビットレートが、当該初期ビットレートより小さいか否かを判定するビットレート判定部と、
前記符号化装置に対しビットレートを設定する各タイミングにおいて予め定めた時間長を遡った期間のみの符号化済みの符号量である最新累積符号量を計算する最新累積符号量計算部と、
前記最新ビットレートが計算されたなら、当該最新ビットレートと前記予め定めた時間長と予め定めた係数とを互いに乗じた最新累積符号量閾値を計算する最新累積符号量閾値計算部と、
前記最新累積符号量、前記最新累積符号量閾値が計算されたなら、当該最新累積符号量が当該最新累積符号量閾値より小さいか否かを判定する最新累積符号量判定部と、
前記ビットレート判定部による判定結果が肯定的であり、且つ、前記最新累積符号量判定部による判定結果が肯定的であるなら、前記初期ビットレート記憶部から初期ビットレートを読み出し、当該初期ビットレートに等しいビットレートを前記符号化装置に設定する一方、前記ビットレート判定部による判定結果、または、前記最新累積符号量判定部による判定結果が否定的であるなら、前記最新ビットレート記憶部から最新ビットレートを読み出し、当該最新ビットレートに等しいビットレートを前記符号化装置に設定するビットレート設定部と
を備えることを特徴とするビットレート設定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−199473(P2011−199473A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62513(P2010−62513)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】