説明

ビデオカメラ

【課題】所定の操作ボタンを押すだけの簡単な操作によって、電源が自動的に入って、操作することができるようにしたビデオカメラを提供する。
【解決手段】記録ボタン22が1秒以上長押しされたか否かを判定する(ステップ100、ステップ105)。そして、1秒以上長押しされた場合、ビデオカメラの電源がオンになる(ステップ110)。続いて、前回記録した際の解像度、画質、録画スピードの組み合せや、記録モードの設定で記録手段が起動する(ステップ115)。ここで、メモリーカードが装置本体のカードスロットにセットされているか否かを判断する(ステップ120)。メモリーカードがカードスロットにセットされていれば、記録が開始される(ステップ130)。このようにして、記録ボタン22を1秒以上長押ししたとき、すぐに記録を開始することができるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラに関し、特に電源スイッチを操作した後に記録・再生等の各種操作を行うように構成したビデオカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
映像及び音声を記録する記録手段、記録された該映像及び該音声を再生する再生手段が設けられ、携帯可能なビデオカメラ等は、前記記録手段や前記再生手段を機能させるために、先ず電源を入れて該ビデオカメラを起動させた後、続いて、前記記録手段や前記再生手段の操作をするように構成されている。
【0003】
さらに、上記のビデオカメラ等の電源スイッチには、勝手に電源が入ったり或いは切れたりしないように、該電源スイッチをオフ側の端部或いはオン側の端部で固定保持するホールドが設けてあることがある。そして、電源スイッチをホールドすることにより、電池等の消耗を防ぎ、また使用者が意図しない記録・再生が実行されることを防ぐことができるようにされている。
【特許文献1】引用なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のビデオカメラは、先ず電源を入れて起動させてから、次に記録・再生等の操作を行う2段階の操作が必要となる。また、電源スイッチがホールドされていれば、さらに、ホールドされている状態を解除する操作が上記の操作に加えられる。そのため、迅速に操作することが難しい。したがって、撮影のタイミングを逃してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、所定の操作ボタンを押すだけの簡単な操作によって、電源が自動的に入って、操作することができるようにしたビデオカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のビデオカメラは、少なくともメモリーカードへカメラにより撮影した映像を記録する記録手段と、該メモリーカードに記録された前記映像がモニタ画面に再生表示されるようにした再生手段とを具備し、装置本体に前記記録手段若しくは前記再生手段を作動させる操作ボタンを備えた操作部を設け、制御回路等の回路及び制御プログラム等が記録保管された内部メモリを備えた基板を内蔵したビデオカメラであって、前記装置本体に設けた電源スイッチを操作して、該ビデオカメラを起動させた後、前記操作ボタンを操作することによって、前記記録手段若しくは前記再生手段が実行されるようにしたビデオカメラにおいて、
前記装置本体の制御回路に、前記操作部の所定の前記操作ボタンを所定時間長押ししたとき、前記ビデオカメラの電源が自動的に入り、前記記録手段若しくは前記再生手段を実行するようにしたプログラムを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載のビデオカメラは、請求項1に記載の発明において、前記装置本体の制御回路に、前記操作部の前記操作ボタンのうち、前記記録手段を作動させるための記録ボタンを所定時間長押ししたとき、前記ビデオカメラの電源が自動的に入り、記録が開始される手順を実行させるためのプログラムを設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載のビデオカメラは、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、前記装置本体の制御回路に、前記メモリーカードが、前記装置本体にセットされているか否かを判断する手順と、該メモリーカードが前記装置本体にセットされているときに、撮影を開始する手順と、該メモリーカードが前記装置本体にセットされていないときに、前記モニタ画面に、エラーメッセージを表示する手順とを実行させるためのプログラムを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載のビデオカメラによれば、操作部の所定の操作ボタンを所定時間長押しするだけで、自動的にビデオカメラの電源が入り、記録手段若しくは再生手段が実行されるようにした。そのため、該ビデオカメラの記録手段、若しくは再生手段を実行するための操作に先立って、電源スイッチを入れ、ビデオカメラを予め起動させる必要が無いことから、素早く記録手段若しくは再生手段を実行することができる。
また、操作ボタンを所定時間長押しするようにしたことで、手が当ったとき等、不意にビデオカメラが作動して、記録手段若しくは再生手段が実行されてしまうことを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載のビデオカメラによれば、操作部の操作ボタンのうち、記録手段を機能させるための記録ボタンを所定時間長押しするだけで、ビデオカメラの電源が自動的に入り、続いて記録が開始されるようにした。そのため、記録開始に先立って、ビデオカメラを起動させる必要が無く、素早く記録を開始することができる。
【0011】
請求項3に記載のビデオカメラによれば、メモリーカードが装置本体にセットされていないときには、撮影が開始されないようにした。そのため、電源スイッチをホールドしていなくても、袋等に入れて持ち運ぶ際に収納されているものが互いに押し合い、記録ボタンが押圧されたとき等に、誤って撮影が開始され、電池が消耗してしまうことを防ぐことができる。
【実施例1】
【0012】
本発明のビデオカメラの記録方法に係る実施例を、添付した図面にしたがって説明する。図1には、ビデオカメラの一形式であるヘッド分離型ビデオカメラを示す。
【0013】
ヘッド分離型ビデオカメラ10は、装置本体11と、カメラユニット13にケーブル14の一端14aをコネクタで接続して形成したカメラヘッド12とからなり、ケーブルの他端14bを分離可能に該装置本体11にコネクタ接続して構成される。
装置本体11は、前面部にモニタ画面21、記録ボタン22、セレクトキー23a,23bを配設し、側面部に、電源スイッチ24、メニューキー25、エンターキー26が配設されている。
カメラユニット13は、複数枚の凹レンズ又は凸レンズを組み合わせたレンズユニットとCCD等の撮像素子とから構成されている。
また、該ヘッド分離型ビデオカメラ10は、図2に示したブロック図のように、装置本体11に電源回路30、制御回路31、映像処理回路32、CCD駆動回路33等の回路が設けられ、記録手段、記録設定等が記憶保管される内部メモリ34と、メモリーカード35からなる外部記憶媒体が設けられている。
【0014】
また、図示は省略するが、装置本体11の後面部に衣服の襟部等を挟持するベルトクリップを設け、底面部にはメモリーカード35を挿入するカードスロットを設けた。
【0015】
モニタ画面21には、カメラヘッド12で撮影した映像や、メモリーカード35に記録されている映像が表示される。
記録ボタン22は所定時間押下することで撮影の開始又は終了を制御することができる。
セレクトキー23a,23bは、モニタ画面21に、設定画面や、再生リスト等が表示されたとき、セレクトキー23aを押すことによって選択された項目を上方に移動させ、セレクトキー23bを押すことによって選択された項目を下方に移動させることができる。
【0016】
電源スイッチ24はスライド構造を有し、電源がオンになる側と反対方向に、該電源スイッチ24を固定保持するホールドが設けられている。
メニューキー25は、押下すると各種設定や、記録、再生等を選択することができる。
エンターキー26は、押下することでセレクトキー23a,23bで選択した項目を決定をすることができる。また、記録終了の際に所定時間押下すると、モニタ画面21に再生リストを表示し、記録終了後に記録したファイルをすぐに確認することができるように構成されている。
【0017】
カメラヘッド12で撮像された映像は、装置本体11にセットしたメモリーカード35へ時系列毎にフレーム単位で記録される。そのため、1秒当りのコマ数(フレーム数)を所定の値に設定することで録画スピードを調節することができる。また、撮像素子は、映像処理回路で所定の解像度に設定することができ、また画質を設定することができる。
したがって、録画スピード、解像度、画質を組み合わせることで、高画質で短時間録画された映像から、低画質で長時間録画された映像まで、任意に設定した映像を記録することができる。
また、映像のみの記録、映像及び音声の記録、音声のみの記録と、3つの記録モードを選択可能に設定した。
上記の選択した録画スピード、解像度、画質の組合せや、記録モードの設定は、一度設定すると、再度選択するまで、装置本体11に設けられた内部メモリ34に記録保管される。
【0018】
上記のように構成したヘッド分離型ビデオカメラ10を用いた本発明に係るビデオカメラの記録・再生等の各種処理の概略のフローチャートを図3に示す。
【0019】
従来、ヘッド分離型ビデオカメラ10を使用するためには、図3の一点鎖線で囲われた部分に示したように、先ず電源スイッチ24を入れて、ヘッド分離型ビデオカメラを起動させなければならない。
【0020】
ステップAで電源スイッチ24が入れられると、ステップBで、ホールドされているか否か判断される。ホールドされている場合は電源は入らず、されていない場合に電源が入る。
【0021】
電源がオンになると、ヘッド分離型ビデオカメラは起動し、モニタ画面21に起動画面等が表示された後、メモリーカード35へ記録済みのファイルのファイル名が表示される(ステップC)。
【0022】
そして、メニューキー25を押すと、メニューが選択され、各設定画面に移行する(ステップD)。また、セレクトキー23a,23bを押してファイルを選択し(ステップE)、さらにエンターキー26を押して再生するファイルを選択する(ステップF)と、メモリーカード35に記憶保管されている記録ファイルのうちの一つを選択して再生することができる。
【0023】
ここで、ステップGは、記録ボタン22を押して、記録手段を起動させる手順である。記録ボタン22を押すと続いてステップHで、該記録ボタン22が1秒以上押されたか否かが判断される。1秒以上でない場合、起動した記録手段が一時的に停止した状態である記録スタンバイとなる(ステップI)。そして、再度記録ボタン22を押下する(ステップJ)と、メモリーカード35が装置本体11にセットされているか否か判断する後述するステップ120を経て、記録が開始される。また、ステップHで記録ボタン22が1秒以上押された場合、上記ステップIとステップJの操作を省略し、ステップ120を経て、すぐに記録を開始することができる。
【0024】
一方、本実施例に係るビデオカメラは、以下の手順にしたがって、電源スイッチ24を操作することなく、記録ボタン22のみの操作により素早く映像・音声の記録を開始することもできる。
ステップ100で、ヘッド分離型ビデオカメラ10の前面部に配した記録ボタン22を押下する。
ステップ105は、記録ボタン22が1秒以上長押しされたか否かを判定する手順である。そして、1秒以上長押しされた場合、ヘッド分離型ビデオカメラ10の電源がオンになる(ステップ110)。
このようにすると、記録ボタン22に手が当ったとき等、瞬間的に記録ボタン22が押された場合に、ヘッド分離型ビデオカメラ10の電源が不意に入ってしまうことを防ぐことができる。
【0025】
ステップ110で、ヘッド分離型ビデオカメラ10の電源がオンになると、続いてステップ115で前回記録した際の解像度、画質、録画スピードの組み合せや、記録モードの設定で記録手段が起動する。このとき、前回の撮影時の設定をそのまま利用することにより、記録手段が起動する時間を短縮することができる。
【0026】
ステップ120は、メモリーカード35が装置本体11のカードスロットにセットされているか否かを判断する手順である。本実施例で用いるヘッド分離型ビデオカメラ10で撮影された映像等は、メモリーカード35に記録される。そのため、カードスロットにメモリーカード35がセットされていない場合、ステップ125でエラーメッセージが、モニタ画面21に表示される。
【0027】
ステップ120で、メモリーカード35が装置本体11のカードスロットにセットされている場合、ステップ130で記録が開始される。
【0028】
上記のように記録ボタン22を押すだけで、ヘッド分離型ビデオカメラが起動し、すぐに記録が開始されるように構成した。そのため、タイミングを逃さずに撮影することができる。また、ワンタッチで映像・音声の記録を開始することができるので、従来の電源を入れて起動させてから操作する場合と比べて、操作を容易にすることができる。さらに、記録開始直前まで電源を入れなくて済むので、バッテリーの消費を抑えることができる。
【0029】
上記のステップ100からステップ130に示したように、本実施例の記録手段は、記録ボタン22を1秒以上長押しすることにより素早く記録を開始することができる。次に、該記録手段は以下のように終了し、その記録終了の手順は、エンターキー26又は録画ボタン22が押されることによって始まる。
ステップ135は、エンターキー26が2秒以上押されたか否か判断する手順である。エンターキー26を長押しすることによって、瞬間的に記録ボタン22若しくはエンターキー26が押された場合に、誤って撮影が終了してしまうことを防ぐことができる。
2秒以上エンターキー26が押されると、次のステップ140に移行する。一方、2秒以上エンターキー26が押されていない場合、ステップ145に移行する。
【0030】
ステップ145では、記録ボタン22が2秒以上押されたか否か判断する。
記録ボタン22もまた、2秒以上押されていない場合は、撮影は停止せず、記録は続行される。しかし、記録ボタン22が2秒以上押された場合は、撮影が一時的に停止し、記録スタンバイに移行する。その後、再度記録ボタン22を押下すれば、記録を続行することができる。
【0031】
ステップ140では、カメラによる撮影が停止する。
ステップ150は、メモリーカード35に記録された映像・音声からなるファイルに、保存用のファイル名をつけて、記録ファイルを完成させる手順である。そして、ステップ155で、記録が終了する。
完成した記録ファイルは、モニタ画面21にファイル名が再生リストとして表示され、撮影後すぐに確認することができる。
【0032】
上記のように、ヘッド分離型ビデオカメラ10は、装置本体11の前面部に設けた記録ボタン22を1秒以上長押しするだけで、該ヘッド分離型ビデオカメラ10の電源が自動的に入り、すぐに記録を開始することができるように構成した。
そのため、例えば、ヘッド分離型ビデオカメラ10のカメラユニット13を自動車のダッシュボード上、或いはバイクのタンク上やライダーのヘルメットに固定し、装置本体11を衣服に取付固定して、臨場感あふれるオンボード映像を撮影するような場合、手袋をしていて細かい作業ができないときでも、記録ボタン22を1秒以上長押しするだけで、容易に撮影を開始することができる。
【0033】
さらに、従来の手順で記録を開始するためには、先ず電源スイッチ24を入れて、ヘッド分離型ビデオカメラ10を起動させなければならなかった。しかし、本実施例では、最初に記録ボタン22を1秒以上長押しするという簡単な操作で直接記録手段を起動させて、ヘッド分離型ビデオカメラ10の起動時間を省略することができる。そのため、迅速にヘッド分離型ビデオカメラ10の電源が入り、すぐに記録を開始することができる。
また、上記の記録方法はヘッド分離型ビデオカメラ10に限定されるものではなく、記録手段を具備し、先ず電源を入れて機器を起動させた後、各種操作を行うように構成されているビデオカメラ、オーディオプレイヤー等の携帯型電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施例に係るビデオカメラであるヘッド分離型ビデオカメラを示す斜視図である。
【図2】本実施例に係るビデオカメラであるヘッド分離型ビデオカメラの回路構成の概略を示す説明図である。
【図3】本実施例に係るビデオカメラの記録・再生等の各種処理の概略をフローチャートで示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10…ヘッド分離型ビデオカメラ、11…装置本体、12…カメラヘッド、13…カメラユニット、14,14a,14b…ケーブル、
21…モニタ画面、22…記録ボタン、23a,23b…セレクトキー、24…電源スイッチ、25…メニューキー、26…エンターキー、
30…電源回路、31…制御回路、32…映像処理回路、33…CCD駆動回路、34…内部メモリ、35…メモリーカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともメモリーカードへカメラにより撮影した映像を記録する記録手段と、該メモリーカードに記録された前記映像がモニタ画面に再生表示されるようにした再生手段とを具備し、装置本体に前記記録手段若しくは前記再生手段を作動させる操作ボタンを備えた操作部を設け、制御回路等の回路及び制御プログラム等が記録保管された内部メモリを備えた基板を内蔵したビデオカメラであって、前記装置本体に設けた電源スイッチを操作して、該ビデオカメラを起動させた後、前記操作ボタンを操作することによって、前記記録手段若しくは前記再生手段が実行されるようにしたビデオカメラにおいて、
前記装置本体の制御回路に、
前記操作部の所定の前記操作ボタンを所定時間長押ししたとき、前記ビデオカメラの電源が自動的に入り、前記記録手段若しくは前記再生手段を実行するようにしたプログラムを設けたことを特徴とするビデオカメラ。
【請求項2】
前記装置本体の制御回路に、
前記操作部の前記操作ボタンのうち、前記記録手段を作動させるための記録ボタンを所定時間長押ししたとき、前記ビデオカメラの電源が自動的に入り、記録が開始される手順を実行させるためのプログラムを設けたことを特徴とする請求項1に記載のビデオカメラ。
【請求項3】
前記装置本体の制御回路に、
前記メモリーカードが、前記装置本体にセットされているか否かを判断する手順と、
該メモリーカードが前記装置本体にセットされているときに、撮影を開始する手順と、
該メモリーカードが前記装置本体にセットされていないときに、前記モニタ画面に、エラーメッセージを表示する手順と
を実行させるためのプログラムを設けたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のビデオカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−60196(P2009−60196A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223511(P2007−223511)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】