説明

ビデオゲームのプログラム

【課題】
プレイヤが画面に表示されていないオブジェクトを発見しやすいビデオゲームを提供する。
【解決手段】
画面61に表示されるプレイヤキャラクタ200は矢印202の方向に移動しており、プレイヤキャラクタ200の画像は、この移動方向に応じた向きの体を有している。ビデオゲーム装置は、画面61に表示されるプレイヤキャラクタ200から所定の距離以内に検知可能なオブジェクトが存在するか否かを定期的に調べる。検知可能なオブジェクト210が存在すると判断されると、プレイヤキャラクタ200の画像は、オブジェクト210に顔を向けた画像に更新される。オブジェクト210を向くのはプレイヤキャラクタ200の顔だけであり、体は移動方向に応じた向きを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオゲームのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
RPG(Role Playing Game:ロールプレイングゲーム)などのビデオゲームでは、自然物や人工物が配置された仮想世界が表示装置上に表示され、プレイヤが表示装置の画面内で自己のキャラクタを移動できるようになっていることが多い。プレイヤは、画面に表示されるオブジェクトにプレイヤキャラクタを接近させることにより、そのオブジェクトを調べることができる。例えば画面内の建物の中を調べたい場合、プレイヤはキャラクタをその建物の入口まで移動させる。通常は、建物の入口にキャラクタを移動させると画面が更新され、建物の内部を表す画像が表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プレイヤは、画面内に表示されるオブジェクトしかその存在を知ることができず、画面外のオブジェクトは、それが画面からわずかに外れた場所に位置するものであっても、その存在を知ることができない。例えば図7に示される画面61が表示されているとき、プレイヤは、画面61の外周から1キャラクタ分しかずれていない建物オブジェクト310を発見することができない。
【0004】
しかしながら、仮想世界に住むプレイヤキャラクタ300が画面からわずかに外れているに過ぎない建物310に気づかないのは不自然だと考えるプレイヤも存在する。このようなプレイヤは、プレイヤキャラクタが有しているはずの知覚範囲とプレイヤが実際に有する知覚範囲とのギャップに起因して仮想世界内のオブジェクトを発見できないことに不満を感じている。
【0005】
そこで、本願の発明は、プレイヤキャラクタに常識的な視野を与え、画面に表示されていない仮想世界内のオブジェクトをプレイヤが発見しやすくするビデオゲームのプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プレイヤが表示装置上に表示される仮想世界のキャラクタをコンピュータを介して操作することの可能なビデオゲームを提供する。コンピュータは、キャラクタから所定の最大検知距離以内に所定の検知可能オブジェクトが存在するか否かを判断し、キャラクタから最大検知距離以内に検知可能オブジェクトが存在すると判断されると、表示装置上に表示されるキャラクタを検知可能オブジェクト方向を向く画像に更新する。
【0007】
本発明によれば、画面外に位置するオブジェクトや画面に表示しないように設定された隠しオブジェクトなど、画面に表示されていないオブジェクトの方向をキャラクタが向くので、プレイヤはキャラクタが向いている方向からオブジェクトの位置を推測することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画面に表示されていないオブジェクトにキャラクタが顔を向けるので、プレイヤはこのようなオブジェクトを発見しやすく、したがって時間の浪費を抑え、効率良くゲームをプレイすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るビデオゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、キーパッドを示す平面図であり、(b)は、キーパッドを示す背面図である。
【図3】画面外に検知可能オブジェクトが存在するときのゲーム画面の一例を示す図である。
【図4】ビデオゲーム装置によって実行される処理を示すフローチャートである。
【図5】画面内に隠しアイテムが存在するときのゲーム画面の一例を示す図である。
【図6】画面外に検知可能オブジェクトが存在するときのゲーム画面の一例を示す図である。
【図7】従来技術におけるゲーム画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るビデオゲーム装置の全体構成を示すブロック図である。ビデオゲーム装置1は、一例として、ビデオゲーム装置1を制御する制御装置2、ならびに制御装置2に接続された入力装置(例えば、キーパッド)3および出力装置(例えば、テレビジョンセット)6を備えている。ゲーム装置1は、ゲームの途中経過データや環境設定データなどのゲームデータを保存するメモリカード5を更に備えている。
【0011】
制御装置2は、一つのコンピュータである。本例において制御装置2は、家庭用のゲーム機である。ただし、これに限定されるわけではない。
【0012】
図1に示されるように、制御装置2は、その構成の一例として、主制御部11、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)12、インターフェイス部13、サウンド処理部14、グラフィック処理部15、CD−ROMドライブ16、通信インタフェース17、HDD(Hard Disk Drive;ハードディスクドライブ)18およびこれらの構成要素を相互に接続するバス19を備えている。また、CD−ROMドライブ16は、後述するゲームに関する処理を実現するためのプログラムや画像データ、サウンドデータなどを格納した記録媒体であるCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)4を着脱自在に搭載することができるように構成されている。
【0013】
主制御部11は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)、ROM(Read Only Memory;リードオンリーメモリ)等を備える回路であり、CPUは、RAM12(場合によってはROM)に格納されたプログラムに従って制御装置2の各部を制御する。ROMには、制御装置2のブートプログラムやOS(Operating System)等の基本プログラムが記憶されている。また、この主制御部11は、発振器やタイマカウンタ(共に図示せず)を備えており、発振器から所定期間ごとに出力されるタイミング信号に基づいてクロック信号を生成し、このクロック信号をタイマカウンタにより計数することにより時間の計時を行う。
【0014】
RAM12は、主制御部11のCPUがプログラムを実行するために使用する主記憶装置であり、CPUが実行するプログラムやその実行のために必要となるデータが格納される。RAM12は、プログラム実行時におけるワークエリアとしても使用される。
【0015】
インターフェイス部13は、入力装置3およびメモリカード5を着脱自在に接続することができるように構成されている。このインターフェイス部13は、バス19に接続された各部(主に、主制御部11)と入力装置3またはメモリカード5との間のデータ転送を制御する。
【0016】
サウンド処理部14は、ゲームのBGM(Back Ground Music)や効果音などの音声データを再生するための処理を行う回路である。このサウンド処理部14は、主制御部11からの命令に従い、RAM12に記憶されたデータに基づいて音声信号を生成し、これを出力装置6に供給する。
【0017】
グラフィック処理部15は、フレームバッファ(図示せず)を備え、主制御部11からの命令に応じた画像をフレームバッファ上に描画する。また、グラフィック処理部15は、フレームバッファに描画された画像データに所定の同期信号を付加してビデオ信号を生成し、これを出力装置6に供給する。
【0018】
CD−ROMドライブ16は、記録媒体であるCD−ROM4に格納されたデータを読み取る読取装置である。ゲーム装置1は、制御装置2に、CD−ROM4に記録されたゲームプログラムに従った制御を実行させることにより、後述するゲームに関する制御を実現する。
【0019】
通信インタフェース17は、ネットワーク100上の他装置との間で各種データ交換を行う際の通信制御を行う回路であり、必要に応じて通信回線99を介してネットワーク100に接続される。通信インタフェース17は、制御装置2と通信ネットワーク100との間の情報(プログラムやデータ)の授受を制御する。通信インタフェース17および通信回線99を介して外部の通信ネットワーク100からダウンロードされたゲームプログラムおよびデータは、HDD18に格納することができる。
【0020】
HDD18は、主制御部11のCPUがプログラムを実行するために使用する補助記憶装置である。HDD18には、通信インタフェース17を用いてダウンロードした情報やCD−ROM4から読み取った情報など、様々なデータやプログラムを格納することができる。
【0021】
CD−ROM4は、ゲームソフトウェアを格納している。このゲームソフトウェアには、主制御部にコンピュータゲームの実行に必要な処理を行わせるゲームプログラムおよび必要なデータが含まれている。このゲームプログラムには、本実施形態に係る方法をゲーム装置1に実行させるプログラムが含まれている。CD−ROM4に格納されたゲームソフトウェアは、CD−ROMドライブ16を動作させることにより読み取ることができる。
【0022】
なお、ゲーム装置1は、ゲームソフトウェアをHDD18に記憶することもできる。このゲームソフトウェアは、HDD18にプレインストールしてあってもよいし、CD−ROM4からインストールしたり、上述のように通信ネットワーク100上の他装置からダウンロードすることもできる。
【0023】
入力装置3は、ゲームに関する様々な指示を制御装置2に入力するためにプレイヤによって操作される複数の操作具を備えている。入力装置3は、操作具が操作されると、その操作具に応じた指令信号をインターフェース部13を介して制御装置2に送る。本実施形態では、一例として、家庭用ゲーム機に一般的に付属するキーパッド30が入力装置3として用意されている。
【0024】
図2(a)は、キーパッド30を示す平面図であり、(b)は、キーパッド30を示す背面図である。図2(a)に示されるように、キーパッド30には、方向指示を入力するための十字キー31や、各種の指令を制御装置2に入力するための操作キー(例えば、○ボタン32、△ボタン33、□ボタン34、×ボタン35、スタートボタン36、セレクトボタン42)などが操作具として設けられている。また、キーパッド30には、操作具としてジョイスティック37aおよび37bも設けられている。図2(b)に示されるように、キーパッドの背面にも、複数の操作キー(R1ボタン38、R2ボタン39、L1ボタン40、L2ボタン41)が操作具として設けられている。更に、キーパッド30は、バイブレーション(振動)機能を有している。つまり、キーパッド30はモータを内蔵しており、制御装置2から所定の制御信号を受けることでモータが作動し、キーパッド30を全体的に振動させることができるようになっている。
【0025】
メモリカード5は、フラッシュメモリから構成され、制御装置2によって制御されてゲームデータを記憶する補助記憶装置である。メモリカード5へのデータの書込み、およびメモリカード5からのデータの読込みは、インターフェイス部13を介して主制御部11が制御する。
【0026】
出力装置6は、制御装置2からの映像信号や音声信号に基づいてゲーム画像を表示し、音声を出力する。本実施形態では、テレビジョン(TV)セットが出力装置6として用意されている。このテレビジョンセットは、画像表示用の表示画面61および音声出力用のスピーカ62を備えている。テレビジョンセットは、グラフィック処理部15からのビデオ信号に応答して画像を表示画面61に表示するとともに、サウンド処理部14からのサウンド信号に応答してスピーカ62から音声を出力する。したがって、テレビジョンセットは、表示装置および音声出力装置の双方として機能する。
【0027】
主制御部11は、ROMに格納されている基本ソフトウェアやCD−ROMドライブ16によってCD−ROM4から読み出されてRAM12に格納されるゲームソフトウェアに基づいて制御装置2の動作を制御する。例えば、主制御部11は、CD−ROM4からグラフィックデータを読み出してグラフィック処理部15に転送し、グラフィック処理部15に画像の生成を指示する。この指示に応答して、グラフィック処理部15は、グラフィックデータを利用してビデオ信号を生成する。このビデオ信号は、出力装置6に送られる。これにより、出力装置6の表示画面上に画像が表示される。
【0028】
本実施形態では、プレイヤが仮想世界の中でプレイヤキャラクタを動作させることにより進行するビデオゲームが表示装置6の画面61上に表示される。この仮想世界には、自然物、人工物、アイテム、ノンプレイヤキャラクタなど様々なオブジェクトが配置されている。
【0029】
本実施形態の特徴は、プレイヤキャラクタが常識的な視野を有しており、仮想世界のなかで所定のオブジェクトがプレイヤキャラクタから所定の視認可能な距離以内にあるとき、画面61に表示されるプレイヤキャラクタがそのオブジェクトに顔を向けることである。以下では、図3および図4を参照しながら、この特徴点を説明する。
【0030】
図3は、仮想世界を表す画面61の一例を示している。プレイヤは、キーパッド30の十字キー31またはジョイスティック37aもしくは37bを操作することにより、プレイヤキャラクタ200を画面61内で移動させることができる。図3では、矢印202で示される方向にプレイヤキャラクタ200が移動している。
【0031】
図3に示されるように、この仮想世界において画面61に表示される領域の外には建物オブジェクト210が配置されている。プレイヤキャラクタ200の体は矢印202で示される移動方向を向いているが、プレイヤキャラクタ200の顔は、破線204で示されるように、画面外の建物オブジェクト210の方向に向いている。このように、プレイヤキャラクタ200は体の向きとは独立に顔が画面外のオブジェクト210を向くので、プレイヤによるプレイヤキャラクタ200の移動操作を妨げることなくオブジェクト210の存在をプレイヤに知らせることができる。
【0032】
本実施形態では、プレイヤキャラクタ200が顔を向けるオブジェクトと、プレイヤキャラクタ200がオブジェクトに顔を向けることの可能なプレイヤキャラクタ200およびオブジェクト間の最大距離とが予め定められている。以下では、プレイヤキャラクタ200が顔を向けるように設定されたオブジェクトを検知可能オブジェクトと呼び、プレイヤキャラクタ200が検知可能オブジェクトに反応しうる最大距離を最大検知距離と呼ぶことにする。検知可能オブジェクトとして設定されるオブジェクトは、通常、何らかのイベントが関連付けられたオブジェクトである。最大検知距離は、仮想世界においてプレイヤキャラクタ200が視認可能な最大距離と考えることができる。
【0033】
建物オブジェクト210は検知可能オブジェクトとして予め設定されており、プレイヤキャラクタ200から最大検知距離以内に位置している。本実施形態では、画面61の縦幅の2倍に相当する距離が最大検知距離として設定されている。後述するように、プレイヤキャラクタ200から最大検知距離以内に位置する検知可能オブジェクトが複数存在する場合、プレイヤキャラクタ200の顔は最も距離の近い検知可能オブジェクトを向く。
【0034】
図4は、プレイヤキャラクタ200の顔をオブジェクトに向けるためにビデオゲーム装置1が実行する処理を示すフローチャートである。この処理は、CD−ROM4に記憶されたビデオゲームプログラムを制御装置2がそれぞれ実行することにより実施される。なお、ゲームプログラムや必要なデータは、処理の進行状況に応じて順次CD−ROM4から読み出されてRAM12に転送されるが、以下の説明では、CD−ROM4からの読み出し、RAM12への転送などについての詳細な説明を省略することがある。
【0035】
まず、プレイヤキャラクタから最大検知距離以内に検知可能オブジェクトが存在するか否かが判断される(ステップS102)。この判断は、仮想世界における検知可能オブジェクトの配置を指定するオブジェクト配置データを参照し、プレイヤキャラクタから最大検知距離以内に位置する検知可能オブジェクトを検索することにより行われる。なお、オブジェクト配置データは、画面61に仮想世界を表示する際にCD−ROM4からRAM12に格納される。
【0036】
プレイヤキャラクタから最大検知距離以内に検知可能オブジェクトが存在すると判断された場合(ステップS102:YESルート)、プレイヤキャラクタから最も距離の近い検知可能オブジェクトが特定される(ステップS104)。この処理は、RAM12に格納されたプレイヤキャラクタおよび検知可能オブジェクトの位置データを参照することにより行われる。
【0037】
この後、特定された検知可能オブジェクトが位置する方向に応じてプレイヤキャラクタの画像が更新される(ステップS106)。更新後のプレイヤキャラクタ画像は、プレイヤキャラクタから最も距離が近いものとして特定された検知可能オブジェクトが位置する方向に応じた向きの顔を有する。
【0038】
プレイヤキャラクタには、互いに異なる向きの体を有する複数の画像が用意されており、これらの画像はプレイヤキャラクタの移動方向に対応付けて表示される。これに加えて本実施形態では、体の向きは同じでも顔の向きが互いに異なる複数のキャラクタ画像も用意されている。これらの顔の向きは所定の角度範囲にそれぞれ予め対応付けられており、キャラクタ画像が表示されたときに所定の角度範囲内に位置するオブジェクトの方向にプレイヤキャラクタが実質的に顔を向けているように見える。ステップS106では、プレイヤキャラクタの移動方向に対応した向きの体と、検知可能オブジェクトが位置する角度範囲に対応した向きの顔とを有するキャラクタ画像が表示される。
【0039】
図4の処理は、仮想世界が表示されているときに定期的に実行される。したがって、プレイヤキャラクタの移動によって検知可能オブジェクトが位置する角度範囲が変化すると、これに応じてキャラクタ画像の顔の向きが変化する。もちろん、顔の向きを更新させるとともに目の向きも検知可能オブジェクト方向に向けてもよい。
【0040】
このように本実施形態では、プレイヤキャラクタが検知可能オブジェクトの方向に顔を向けるので、プレイヤは画面外のオブジェクトを発見しやすくなり、時間の浪費を抑えてゲームプレイの効率を高めることができる。
【0041】
図3ではプレイヤキャラクタ200から見通しのよい位置に検知可能オブジェクト210が配置されているが、ダンジョンなどで壁がプレイヤキャラクタの視線を遮っているような場合もある。本実施形態では、プレイヤキャラクタの視線が他のオブジェクトに遮られて検知可能オブジェクトまで通らないときは、プレイヤキャラクタはそのオブジェクトの方向に顔を向けない。プレイヤキャラクタが移動して検知可能オブジェクトまで視線が通るようになると、検知可能オブジェクトの方向に顔を向けたプレイヤキャラクタの画像が表示される。これにより、プレイヤキャラクタがいっそう現実に近い視野を有するようになり、ゲームのリアリティを高めることができる。
【0042】
また、本実施形態では、プレイヤキャラクタが「アイテム感知」と呼ばれる能力を身につけると、画面に表示されない隠しアイテムの方向にもプレイヤキャラクタが顔を向けるようになる。この隠しアイテムは、仮想世界内の所定位置に配置されており、通常は画面に表示されず、プレイヤがプレイヤキャラクタにその位置を調べさせることによって発見することができる。本実施形態では、プレイヤキャラクタが「アイテム感知」能力を身につけると、検知可能オブジェクトに隠しアイテムが追加される。これにより、プレイヤキャラクタが最大検知距離以内に存在する隠しアイテムの方向に顔を向けるようになる。
【0043】
図5は、隠しアイテムに顔を向けているプレイヤキャラクタ200を示している。隠しアイテムは画面61内の符号220で示される位置に配置されているが、画面61内には表示されない。プレイヤキャラクタ200は、このような隠しアイテムの配置位置200に顔を向ける。これにより、仮想世界において画面61の表示領域内に配置されているにもかかわらず画面61に表示されない隠しオブジェクトの存在をプレイヤが知り、キャラクタの顔の向きからその位置を推測することができる。
【0044】
プレイヤは、キャラクタが顔を向けている方面を調べることで隠しオブジェクトを発見することができる。したがって、例えば「アイテム感知」能力を有するプレイヤキャラクタがアイテムの隠された部屋に入った場合には、部屋の家具などを順次に調べる必要なく隠しアイテムを発見することができる。これにより、ゲームプレイの効率を高めることができる。
【0045】
なお、プレイヤキャラクタは、「アイテム感知」能力を身につける代わりに、「アイテム探知ロッド」などの特定のアイテムを装備することによって、隠しアイテムに顔を向けるようになっていてもよい。
【0046】
以上、本発明をその実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、本発明に係る方法に伴う複数のステップは、本発明の趣旨または範囲から逸脱しない範囲でその順序を変えることができる。
【0047】
プレイヤキャラクタは、検知可能オブジェクトの方向に顔を向けることに加えて、検知可能オブジェクトとプレイヤキャラクタとの距離に応じた動作を行ってもよい。図6は、検知可能オブジェクト210が最大検知距離に近い距離だけプレイヤキャラクタ200から離れているときにプレイヤキャラクタ200が行う動作を示している。図6に示されるように、プレイヤキャラクタ200は遠く離れたオブジェクト210の方向に顔を向けるとき、ひたいの上に手を掲げて遠くを眺める動作を行う。このように、プレイヤキャラクタと検知可能オブジェクトとの距離に応じて様々な動作をプレイヤキャラクタが行うようにすると、その動作からプレイヤが検知可能オブジェクトの位置を推測しやすくなり、オブジェクトの発見がいっそう容易になる。
【0048】
また、プレイヤキャラクタが顔を向ける検知可能オブジェクトが特定種類のオブジェクトに限定されていてもよい。例えば、プレイヤキャラクタが顔を向けるオブジェクトが、宝のみ、内部に進入可能なオブジェクト(城、ダンジョンなど)のみ、隠しアイテムのみ、あるいは敵キャラクタのみであってもよい。
【0049】
また、プレイヤキャラクタは、検知可能オブジェクトの方向に顔を向けることに加えて、検知可能オブジェクトの種類に応じた動作を行ってもよい。例えば、検知可能オブジェクトが敵キャラクタである場合、その敵キャラクタに顔を向けるときにプレイヤキャラクタが体を震えさせてもよい。検知可能オブジェクトの種類に応じた動作をプレイヤキャラクタが行うことで、プレイヤは、プレイヤキャラクタが顔を向けているオブジェクトの種類を推測し、その種類に応じた行動をプレイヤキャラクタにとらせることができる。例えば、プレイヤキャラクタが体を震えさせているときは敵キャラクタが周囲にいると考えられるので、プレイヤは、プレイヤキャラクタが顔を向けている方向を避けてプレイヤキャラクタを移動させることで敵キャラクタとの戦闘を回避することができる。
【0050】
上記実施形態では、家庭用ゲーム装置との関連で本発明を説明したが、本発明は、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータやアーケードゲーム機などに適用することも可能である。
【0051】
上記実施形態では表示装置および入力装置と制御装置とが分離しているが、表示装置および入力装置と制御装置とが一体化されたビデオゲーム装置に本発明を適用することも可能である。
【0052】
上記実施形態では、ゲームプログラムおよびデータを記録するためのコンピュータ読取り可能な記録媒体としてCD−ROMを用いている。しかしながら、記録媒体はCD−ROMに限定されるものではなく、DVD(Digital VersatileDisc)あるいはROMカードなどコンピュータが読取り可能なその他の磁気的、光学的記録媒体あるいは半導体メモリであってもよい。さらには、ゲーム機やコンピュータの記憶装置にあらかじめプリインストールしておく方式で本発明を実現するためのプログラムやデータを提供してもよい。
【0053】
本発明を実現するためのプログラムやデータは、図1に示される通信インタフェース17により、通信回線99を介して接続されたネットワーク100上の他の機器からHDD18にダウンロードして使用してもよい。また、通信回線99上の他の機器のメモリにプログラムやデータを記録しておき、必要に応じて、このプログラムやデータを通信回線99を介してRAM12に順次に読み込んで使用することも可能である。
【0054】
本発明を実現するためのプログラムやデータの提供形態は、ネットワーク100上の他の機器から、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として提供されるものであってもよい。例えば、制御装置2は、通信インタフェース17から通信回線99を介して通信ネットワーク100上の他の機器にコンピュータデータ信号の送信を要求し、送信されたコンピュータデータ信号を受信してRAM12に格納することにより、本発明を実現できるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ビデオゲーム装置
2 制御装置
3 入力装置
4 CD−ROM
5 メモリカード
6 出力装置
11 主制御部
12 RAM
13 インターフェース部
14 サウンド処理部
15 グラフィック処理部
16 CD−ROMドライブ
17 通信インタフェース
18 ハードディスクドライブ
19 バス
99 通信回線
100 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが表示装置上に表示される仮想世界のキャラクタを操作することの可能なビデオゲームのプログラムであって、
コンピュータに読み取られた際、前記キャラクタから所定の最大検知距離以内に所定の検知可能オブジェクトが存在するか否かを、仮想世界における検知可能オブジェクトの配置を指定するオブジェクト配置データを参照して判断し、
前記キャラクタから最大検知距離以内に前記検知可能オブジェクトが存在すると判断されると、前記キャラクタを前記検知可能オブジェクト方向を向く画像に更新する、
ことを前記コンピュータに実行させるビデオゲームプログラム。
【請求項2】
前記キャラクタを更新することは、前記キャラクタから最大検知距離以内に存在すると判断された検知可能オブジェクトと前記キャラクタとの間に視線を遮るオブジェクトが配置されているか否かを判断し、視線を遮るオブジェクトが配置されていないと判断されたときに、前記キャラクタを前記検知可能オブジェクト方向を向く画像に更新する、
ことを含んでいる、請求項1記載のビデオゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−177594(P2011−177594A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139829(P2011−139829)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【分割の表示】特願2001−52593(P2001−52593)の分割
【原出願日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】