説明

ビデオコンテンツ配信システム

【課題】できるだけ構内情報網を省き、従来のテレビ回線をそのまま流用するようにして、設備にかかるコストを抑えることができるコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】コンテンツ配信システム10は、一台の管理サーバ11、少なくとも一台の入金認証装置12、及び複数の視聴端末機13とからなる。管理サーバと視聴端末機はテレビ回線15で結線されている。デジタルテレビ放送、及び基地局50等から提供されたビデオコンテンツは、テレビ回線を通じて各視聴端末機に配信される。また、該テレビ回線は、課金処理にも使用する。端末特定部34は、有料コンテンツに係る視聴料金を支払った視聴者が使用する視聴端末機を識別フラグで特定する。変調部25は、該識別フラグに係る識別信号をOFDM変調して、テレビ回線を通じて視聴端末機に配信される。各視聴端末機は、識別フラグに含まれる固有番号を照合し、視聴制限を解除するか否か決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテル・旅館等の宿泊施設又は病院或いはこれ等に類する滞在型施設内における館内自主放送のために、当該滞在型施設内に設置したサーバから各部屋に配置したテレビ或いはモニタ又はこれらに類する視聴端末機に対して有料又は無料でビデオコンテンツを配信するビデオコンテンツ配信システムに関し、特に配信するビデオコンテンツのうち、視聴するに際して視聴料金の支払いを要する有料コンテンツについて、当該視聴料金を視聴者に課する課金処理手段を備えたビデオコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホテル・旅館等の宿泊施設又は病院或いはこれ等に類する滞在型施設内では、宿泊客又は入院患者に対して娯楽を提供するために、館内自主放送が行われている。当該館内自主放送において視聴されるビデオコンテンツは、各部屋に設置されているテレビ、モニター等の視聴端末機の近傍に配されているセットトップボックス(以下「STB」という)を介して当該視聴端末機に入力されている。当該STBは、配信するビデオコンテンツのうち有料コンテンツをスクランブル化し、有料コンテンツの購入を確認して、当該スクランブルを解除するという一連の課金処理を行う課金手段を有している。
【0003】
近年、テレビが多機能化されるに伴って、従来のようにテレビの放送時間に拘束されず、視聴者が好きな時間に好きな番組を視聴することができるオンデマンドを利用したビデオコンテンツの配信がなされている。当該配信にあたっては、構内情報網(以下「LAN」という)を利用し、視聴端末から出されたビデオコンテンツの配信要求に応答して、管理サーバがビデオコンテンツを配信するという双方向通信手段が利用されている。
特開2007−104243号公報に開示されているコンテンツ配信システムは、双方向通信手段を有する当該視聴端末に上記の課金手段を組み込み、上記のSTBを省き、コンテンツ配信システムの簡略化と、当該コンテンツ配信システムを構築する際のコストダウンを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−104243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のコンテンツ配信システムは、従来のテレビ放送用の配線に加えて、ビデオコンテンツ配信用の回線、たとえばLANケーブルを新たに配線することを要する。さらに、従来のテレビ受像機に替えて、LANコネクタと、管理サーバと双方向に通信するための双方向通信手段とを有する視聴端末機を新たに設置することを要する。そのため、コンテンツ配信システムを設置するコストが上記の滞在型施設においては大きな負担となっている。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、できるだけ構内情報網を省き、従来のテレビ回線をそのまま流用するようにして、設備にかかるコストを抑えることができるコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムは、ホテル・旅館等の宿泊施設又は病院或いはこれ等に類する滞在型施設に設置され、当該滞在型施設内で視聴されるビデオコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、
該コンテンツ配信システムは、一台の管理サーバと、複数台の視聴端末機とからなり、
前記管理サーバは、
前記ビデオコンテンツに係る映像信号を処理する映像処理手段を有し、
当該映像処理手段は、
前記ビデオコンテンツに係る原信号が入力される入力手段と、
当該原信号を配信に最適な所定の規格に準拠した配信用信号に変換するエンコード処理を行う第1エンコード処理手段と、
当該配信用信号に基づく前記ビデオコンテンツを前記視聴端末に対して出力する出力手段とからなり、
当該出力手段に、
複数の前記ビデオコンテンツに係る前記配信用信号をそれぞれ搬送する複数の搬送波の一部を重ね合せて、所定の狭帯域内に収められた各搬送波を広帯域上で密に並列伝送させるように変調するOFDM変調手段を設けて、
前記管理サーバを始端とし、前記視聴端末機のそれぞれを終端とする樹形状に形成された前記滞在型施設内のテレビ放送回線に、前記配信用信号を伝送させて、該配信用信号に基づく前記ビデオコンテンツを前記視聴端末機のそれぞれに配信するようにしたコンテンツ配信システムにおいて、
前記テレビ放送回線とは別個に設けた構内情報網を介して、前記管理サーバと互いに接続される少なくとも一台の入金認証装置を設け、
前記管理サーバに、前記ビデオコンテンツのうち有料で配信される有料コンテンツに係る課金を処理する課金処理手段を設け、
当該課金処理手段は、
前記ビデオコンテンツに視聴制限をかけるために、前記配信用信号を暗号化するエンコード処理を行う第2エンコード処理手段と、
前記入金認証装置と協働して、当該入金認証装置で徴収した視聴料金に関する入金を確認する入金確認手段とを有し、
当該入金確認手段は、前記視聴料金を支払った視聴者が利用する前記視聴端末機を特定し、当該特定視聴端末機に係る識別フラグを立てる視聴端末特定手段を備え、
前記視聴端末機に、前記識別フラグに係る識別信号を受信したとき、暗号化された前記配信用信号の暗号を解読するデコード処理を行うデコード処理手段を設けて、
前記識別フラグに係る識別信号が、前記OFDM変調手段を介して、前記特定視聴端末機に向かって前記テレビ回線を伝送したとき、
前記特定視聴端末機側で前記有料コンテンツにかけられた視聴制限を解除するようにして、
全てのビデオコンテンツに係る前記配信用信号と、課金に伴う前記特定視聴端末機に係る前記識別フラグに係る識別信号とを前記テレビ回線で伝送させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のコンテンツ配信システムは、請求項1に記載の発明において、前記管理サーバを、インターネットに接続し、
前記デコード処理手段を実行するためのプログラムを、前記インターネットを介して前記ビデオコンテンツを提供する基地局が提供し、
前記プログラムを受け取った前記管理サーバは、当該プログラムに係る信号を前記OFDM変調手段で変調し、前記テレビ回線を通じて前記視聴端末機に提供するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のコンテンツ配信システムは、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、前記視聴端末特定手段は、仮想的に複数のセルが縦横に区画形成された矩形状のマトリクステーブルを有し、
当該マトリクステーブルに、縦方向或いは横方向のいずれか一方に沿って部屋番号を割り当て、他方に前記視聴端末機が備える固有番号を割り当てて、当該視聴端末機が設置された部屋の部屋番号とが合致するセルを空セルにして、
前記入金認証装置で前記視聴者が前記部屋番号のうちの一つを特定して入力したとき、
当該特定部屋番号に該当する前記空セルに前記識別フラグを立てて、前記空セルから照会された前記固有番号を有する前記視聴端末機を特定するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のコンテンツ配信システムは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記入金認証装置に、前記視聴者が入金したとき、当該入金に係る入金信号を前記構内情報網を通じて前記管理サーバに送信する入金手段を設け、
当該入金手段は、ICカード又はこれに類する非接触型カードの接近を検知する近接センサを有し、当該近接センサが前記非接触型カードを検知したとき、前記入金手段が作動するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載のコンテンツ配信システムは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、前記管理サーバとインターネットを介して接続される前記基地局は、
複数の前記滞在型施設にそれぞれ設けられた当該管理サーバ内に設けた前記入金確認手段と、
双方向通信可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムによれば、有料コンテンツに対する課金処理を行う課金処理手段を管理サーバに設け、課金処理を済ました視聴端末機を特定する識別フラグに係る識別信号を、管理サーバに設けたOFDM変調手段を経由させて当該特定視聴端末機に送信し、識別フラグに係る識別信号を受信した特定視聴端末機側で暗号化された有料コンテンツの暗号を解除するようにした。
すなわち、従来のテレビ回線にデジタル信号を伝送させるために入力された信号に係る搬送波を変調するOFDM変調手段を用いて、特定視聴端末機の識別フラグに係る識別信号を、当該テレビ回線上で伝送させることができる。
また、管理サーバと入金認証装置を構内情報網で互いに双方向通信可能に接続し、管理サーバと視聴端末機を従来のテレビ放送回線で接続するようにした。
これにより、コンテンツの配信に際して、構内情報網の配線作業を最小限に抑え、従来のテレビ回線をそのまま流用するようにして、設備にかかるコストを抑えることができる。
【0013】
請求項2に記載のコンテンツ配信システムによれば、視聴端末機側で有料コンテンツにかけられた暗号を解除するためのデコード処理手段に係るプログラムを、ビデオコンテンツを提供する基地局からインターネットを通じて管理サーバに提供し、当該管理サーバから各視聴端末機へ送信するようにした。これは、たとえば、視聴端末機のファームウェアプログラム、或いはデジタル配信された他のビデオコンテンツを当該視聴端末機でデコードするためのプログラムのアップデートプログラムに組み込んで提供することができる。
これにより、従来のテレビ回線をそのまま流用することに加えて、市販のテレビ受像機をそのまま流用することができる。そのため、コンテンツ配信システムにかかるコストを抑えることができる。
【0014】
請求項3に記載のコンテンツ配信システムによれば、管理サーバにマトリクステーブルを備えた視聴端末特定手段を設けて、当該マトリクステーブルを用いて視聴端末機を特定する識別フラグを立てると共に、当該識別フラグが立てられたセルは視聴端末機が使用中であると管理サーバ側で容易に判別できるようにした。
これにより、料金を重ねて徴収する二重取りを防ぐことができる。
また、管理サーバと視聴端末機との間で双方向通信手段を用いて、有料コンテンツの料金支払いに関するやり取りを省略することができる。そのため、管理サーバと視聴端末機とを結ぶLANを構築しなくても良いので、コンテンツ配信システムにかかるコストを抑えることができる。
【0015】
請求項4に記載のコンテンツ配信システムによれば、入金認証装置に設けた入金手段を作動させるために、近接センサと非接触型カードとを用いるようにした。
これにより、テンキー等で部屋番号を間違えて入力するような、人為的なミスを防ぐことができる。
また、視聴端末機で入金操作をしなくても良い。そのため、視聴端末機自身又はその近傍に料金徴収用の装置を設けなくても良くなるので、コンテンツ配信システムにかかるコストを抑えることができる。
【0016】
請求項5に記載のコンテンツ配信システムによれば、管理サーバとビデオコンテンツを提供する基地局とをインターネットで接続し、当該管理サーバの入金確認手段からビデオコンテンツの売上に係る情報が基地局で取得可能にした。
これにより、滞在型施設がビデオコンテンツの売り上げを過少申告する等のごまかしを防ぐことができる。さらに、当該売り上げをインターネットを利用して電子的に決済することができる。そのため、当該売り上げを滞在型施設に訪問して集金していた従来の集金方法を省くことができ、訪問集金に係る人件費を節約することができる。かつ、適正に徴収した有料コンテンツの売り上げから得られる利益を反映させることにより、コンテンツ配信システムのコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例に係るコンテンツ配信システムの構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係るコンテンツ配信システムで、管理サーバが視聴端末機を特定する手段を示す説明図である。
【図3】本実施例に係るコンテンツ配信システムの課金処理の手段をフローチャートで示す説明図である。
【実施例1】
【0018】
本発明のコンテンツ配信システムに係る実施例を添付した図面にしたがって説明する。
図1は、コンテンツ配信システムの構成の概略を示すブロック図である。
【0019】
コンテンツ配信システム10は、一台の管理サーバ11と、少なくとも一台の入金認証装置12と、複数台の視聴端末機13とからなる。
管理サーバ11と入金認証装置12は、構内情報網14(LAN)を介して接続されるている。なお、当該LAN14を、管理サーバ11と入金認証装置12とが相対して接続される専用線としても良い。
一方、管理サーバ11と視聴端末機13は、管理サーバ11を始端とし、各部屋の各視聴端末機13を終端とする樹形状のツリー構造からなる従来のテレビ回線15で接続されている。当該テレビ回線15は、管理サーバ11の後段に設けた第1次分波器16によって、図1に示すように、1階からn階まで各階毎に分岐して配線されている。さらに各階に設けた第2次分波器17によって、同図に示すように、たとえば1階では、101号室からm号室まで各部屋毎に分岐して配線されている。
【0020】
管理サーバ11は、テレビ放送を受信するアンテナ18と、第1次分波器17との間に配置されている。これにより、管理サーバ11は、従来のテレビ放送に係る信号を、たとえばメモリ等の記憶媒体に一時的に記録することができる。また、後述するように、テレビ放送に係る信号と、配信するビデオコンテンツに係る信号の規格を容易に統一して、当該統一信号を同一回線に送出することができる。そのため、視聴端末機13側で映像/音声信号を再生可能に処理することが容易にできる。
【0021】
管理サーバ11は、図1に示すように、映像処理手段20と課金処理手段30とからなる。
映像処理手段20は、テレビ放送及びビデオコンテンツに係る映像を、配信に最適な規格に準拠した信号に基づく映像に処理するように形成されている。
課金処理手段30は、ビデオコンテンツのうち、有料で配信される有料コンテンツに係る視聴料金の課金処理を行うように形成されている。当該課金処理手段30は、所定の間隔でリセットされるように形成されている。当該リセットする所定の間隔は、一日毎、一週間毎、或いはチェックアウトとチェックインの間の所定の時間毎であることが好ましい。これにより、24時間毎、一週間毎、或いは一泊毎に視聴料金を徴収することができる。
【0022】
映像処理手段20は、映像が入力される入力部21と、当該映像に係る原信号を配信に最適な配信用信号に変換処理するエンコーダ部22と、配信用信号をテレビ回線に出力する出力部23とからなる。
本実施例においては、特に映像信号の処理について記述するが、映像信号と併せて音声信号を処理するようにしても良い。
【0023】
入力部21は、テレビ放送或いはビデオコンテンツの映像に係る原信号が入力される入力手段を有し、該入力手段は、各原信号が入力される複数の映像入力端子を備えている。
映像入力端子は、テレビ放送用入力端子21aと、第1ビデオコンテンツ用入力端子21bと、第2ビデオコンテンツ用入力端子21cとからなる。
テレビ放送用入力端子21aは、アンテナ18からテレビ放送の映像に係る原信号が入力されるように形成されている。
第1ビデオコンテンツ用入力端子21bは、広域通信網40(WAN)を介して、ビデオコンテンツを提供している基地局50から提供されたビデオコンテンツに係る原信号が入力されるように形成されている。ここで、基地局50と管理サーバ11とはWAN40の専用回線によって広域にわたる情報網を構築するようにしたが、これに限定されず、インターネットを介して接続するようにしてもよい。なお、第1ビデオコンテンツ用入力端子21bに入力されるビデオコンテンツはWAN40を介して提供されるものに限定されず、衛星放送(BS,CS)を用いて提供されるものであっても良い。
第2ビデオコンテンツ用入力端子21cは、WAN40を介して提供されるビデオコンテンツ以外のビデオコンテンツに係る原信号が入力されるように形成されている。本実施例においては、管理サーバ11の近傍にハードディスクドライブからなる外部記憶媒体24を設置し、当該外部記憶媒体24に記録されたビデオコンテンツが入力されるように形成されている。なお、外部記憶媒体24は、ハードディスクドライブに限定されず、たとえばDVD、ブルーレイディスク、或いはフラッシュディスク等の外部記憶媒体であっても良い。
そして、入力手段は、上記の映像入力端子21a,21b,21cから入力されたビデオコンテンツ或いはテレビ放送の映像に係る原信号を一括して、それぞれチャンネル毎に、エンコード部22へ出力している。
【0024】
エンコード部22は、入力信号を圧縮変換して出力信号を形成するエンコード処理を行う第1エンコード手段を有している。
第1エンコード処理手段は、ビデオコンテンツ或いはテレビ放送の映像に係る原信号を配信に適した規格に準拠した配信用信号に変換する処理を行うように形成されている。たとえば、デジタルテレビ放送に係る原信号は、MPEG−2(Moving Picture Experts Group−2)規格に準拠した映像信号にエンコードされて送信されている。しかし、ビデオコンテンツに係る映像信号は、その他にもたとえば、H.264/MPEG−4規格や、CIF規格等の様々な規格でフォーマットされている。そのため、第1エンコード処理手段は、規格が異なる信号を再度、圧縮変換するエンコード処理を行い、たとえばMPEG−4規格に準拠した配信用信号に統一するように形成されている。
これにより、配信用信号が伝送するテレビ回線15上で同一規格に準拠した信号を伝送させることができるので、テレビ回線15を効率良く使用することができる。
当該第1エンコード処理手段で形成された配信用信号は、出力部23に向けて出力される。
【0025】
出力部23は、変調部25とアンプ部26とからなる。
変調部25は、OFDM変調手段を有している。該OEDM変調手段は、入力された配信用信号をテレビ回線上へ伝送可能に変調するように形成されている。
OFDM変調とは、いわゆる直交波周波数分割多重変調(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)であって、当該直交波周波数分割多重変調とは、エンコード処理後の高速な配信用信号を低速で狭帯域な配信用信号に変換し、当該配信用信号の搬送波を、所定の周波数軸上で並列させると共に当該搬送波の直交性を用いて、当該周波数軸上で複数の搬送波を重ね合せるように変調することをいう。
これにより、配信用信号に係る複数の搬送波が、互いに干渉することを防止することができる。また、狭帯域毎に分割した周波数によって、広帯域伝送を実現することができるので、配信用信号の搬送波に係る周波数の利用効率を上げることができる。
なお、本実施例では、デジタル変調方式としてOFDM変調を用いるのが好ましいが、これに限定されるものではなく、他のデジタル変調方式を用いることもできる。
当該OFDM変調手段で変調された配信用信号は、テレビ回線15を視聴端末機13に向かって伝送するようにアンプ部26で増幅されて出力される。
これにより、従来のテレビ放送、及び独自に入手したビデオコンテンツを用いた自主放送を同一のテレビ回線15を用いて行うことができる。そのため、自主放送を行うために、新たに配線工事をしなくても良いので、コンテンツ配信システム10の導入にあたり、その導入コストを抑えることができる。
また、テレビ回線15は、図1に示すように、管理サーバ11から各視聴端末機13に向かって、第1次分波器16、第2次分波器17を経て樹形状に広がっている。
これにより、テレビ放送とビデオコンテンツの双方或いはいずれか一方の視聴を制限することが、第1次分波器16を用いることで任意の階を容易に指定することができ、第2次分波器17を用いることで任意の部屋を容易に指定することができる。
【0026】
管理サーバ11に設けた課金処理手段30は、映像処理手段20のエンコード部22と出力部23に並設されている。これによって、課金処理手段30は、エンコード部22で再圧縮変換処理された配信用信号に基づくビデオコンテンツのうち、有料で視聴させる有料コンテンツを映像処理手段20から読み出して、課金処理を行った後、当該有料コンテンツを出力部23へ戻し、テレビ回線15を通じて各視聴端末機13に送信することができる。
課金処理手段30は、視聴制限処理部31と、レジスター部32とからなる。
視聴制限処理部31は、有料コンテンツの視聴を制限するために、当該有料コンテンツに係る信号を暗号化するように形成されている。レジスター部32は、有料コンテンツに係る視聴料金を徴収し、視聴料金を支払った視聴者が使用する部屋を特定するように形成されている。
【0027】
視聴制限処理部31は、有料コンテンツを暗号化するエンコード処理を行う第2エンコード処理手段を有している。当該第2エンコード処理手段は、配信するビデオコンテンツのうち、エンコード部22から分岐された有料コンテンツに係る映像信号に、ノイズ信号或いは静止画像信号又はこれに類するスクランブル信号を重畳或いは埋め込んでスクランブル化するように形成されている。これにより、有料コンテンツに係る配信用映像信号は暗号化される。そのため、当該暗号化配信用信号を受信した視聴端末機13側では、視聴料金の支払いをすることなく有料コンテンツを視聴することが制限される。
【0028】
レジスター部32は、金銭授受部33と端末特定部34とからなる。
金銭授受部33は、有料コンテンツに係る視聴料金に関する情報に基づき、当該有料コンテンツの視聴を所望する視聴者から視聴料金を徴収するように形成されている。端末特定部34は、視聴料金を支払った視聴者が使用する視聴端末機13を特定可能に形成されている。
【0029】
金銭授受部33は、視聴者が支払った視聴料金を確認する入金確認手段を有している。
当該入金確認手段は、入金認証装置12に視聴料金が入金されたとき、又は当該入金認証装置12に視聴料金相当額の電子マネーが登録されたとき、当該入金認証装置から送信される入金信号に応答して、入金確認信号を返信するように形成されている。入金信号には、視聴料金に関する情報及び視聴者が使用する視聴端末機13が設置されている部屋番号等の個別情報が含まれている。入金確認信号を返信すると同時に、当該個別情報は端末特定部34に送信される。
【0030】
端末特定部34は、視聴料金を支払った視聴者が使用する視聴端末機13を特定する視聴端末特定手段を有している。
当該視聴端末特定手段は、視聴端末機13を特定したとき、当該視聴端末機13に係る識別フラグを立てるように形成されている。
識別フラグは、複数のセルが縦横に区画形成されたマトリクステーブルからなる仮想的なフィールドに立てられるように形成されている。
当該マトリクステーブルは、図2(a)に示すように、M1からMnまで階層化されている。M1は1階に相当し、Mnはn階に相当する。さらに、図2(b)に示すように、マトリクステーブルM1は、一辺に部屋番号が101号室からm号室まで割り当てられ、他辺に視聴端末機13が有する固有番号(Sn1,Sn2,Sn3…Snm)が割り当てられている。セルCは、各部屋番号に設置されている視聴端末機に対応する交差部分が空室となっており、その他の部分は埋められている。すなわち、視聴者によって入金認証装置12から部屋番号が入力されたとき、当該部屋番号と対応する空セルが自動的に判明し、当該空セルから他辺側へ辿ると、視聴端末機13の固有番号を照会することができる。これによって、視聴制限を解除すべき視聴端末機13を特定することができる。
また、視聴者が部屋にチェックインしたときに使用する部屋の部屋番号が明らかになることから、予め空セルを有効化してスタンバイ状態に移行するようにしても良い。この場合、当該視聴者が入金認証装置12で部屋番号を入力したとき、スタンバイ状態にある空セルに対応する部屋番号であるか、又はスタンバイ状態にない空セルに対応する部屋番号であるか正誤判定が行われるようにしても良い。
当該正誤判定で、スタンバイ状態に無い空セルが反応したときは、部屋番号が誤入力されたものとして視聴者に対して再度部屋番号の入力を求めることができる。
【0031】
空セルに立てられた識別フラグには、特定した視聴端末機13に関する固有番号、また視聴可能時間、視聴可能なチャンネルといった有料コンテンツの課金に関する情報が含まれている。
本実施例において、固有番号は視聴端末機のシリアルナンバーが用いられるがこれに限定されず、コンテンツ配信システム10の導入にあたり、新たに独自の番号を割り当てるようにしても良い。
そして、識別フラグに係る識別信号は、課金処理手段30の端末特定部34から映像処理手段の出力部23の変調部25へ送信される。
変調部25へ入力した識別フラグに係る識別信号は、OFDM変調手段で変調され、テレビ回線15を通じて各視聴端末機13に向けて一斉に送信される。
管理サーバ11は、上記の構成を有し、視聴制限が課せられた有料コンテンツと、視聴端末機13を特定する識別フラグは一斉に視聴端末機13へ配信される。次に、視聴端末機13について説明する。
【0032】
視聴端末機13は、判定部と視聴制限解除部(共に図示略)を有している。
判定部は、識別フラグに含まれる固有番号が視聴端末機13自身に登録されている固有番号と合致するか否かの判定を行うように形成されている。
視聴制限解除部は、有料コンテンツにかけられた視聴制限を解除可能に形成されている。
【0033】
判定部は、管理サーバ11から送信された識別フラグに係る識別信号を受信し、該識別信号に基づく識別フラグを認証するフラグ認証手段を有している。
フラグ認証手段は、識別フラグに係る識別信号を受信したとき、当該識別信号に基づく識別フラグに含まれる固有番号と、当該視聴端末機が備える固有番号とを比較照合し、合致している場合には、識別フラグと共に受信した有料コンテンツに関する視聴制限を解除するための視聴制限解除要請信号を視聴制限解除部に送信する。対して、合致していない場合には、当該視聴制限解除要請信号は送信されないか、又は否信号が送信される。そのため、合致していないときは、視聴端末機13では暗号化されたままの有料コンテンツが放映されることになる。
これにより、視聴料金を支払った視聴者が使用する視聴端末機13のみで有料コンテンツを視聴することができる。
また、管理サーバ11側で有料コンテンツの視聴制限を解除してから、当該有料コンテンツを単独で配信しなくても良いので、テレビ回線の利用効率を上げることができる。
さらに、管理サーバ11が各視聴端末機13に向けて一斉配信した識別フラグは、コンテンツ配信システム10に組み込まれている複数の視聴端末機10のうち、ただ一つの視聴端末機13のみが受け入れることができる。そのため、誤って他の視聴端末機13で有料コンテンツが視聴可能になることを防ぐことができる。
【0034】
視聴制限解除部は、暗号を解読するデコード処理を行うデコード処理手段を有している。
当該デコード処理手段は、管理サーバ11の視聴制限処理部31で暗号化された有料コンテンツに係る暗号化配信用信号の暗号を解読するように形成されている。暗号が解読された配信用信号は、視聴端末機13が有する再生手段でビデオコンテンツに復号されて再生される。
【0035】
本実施例において、フラグ認証手段及びデコード処理手段を実行するためのプログラムは、視聴端末機のファームウェアプログラムと併せて配布される。また、当該ファームウェアプログラムには、配信するビデオコンテンツに係る映像を滞りなく円滑に再生するために、当該ビデオコンテンツ専用の映像再生支援プログラムを含めても良い。
また、ファームウェアプログラムは、WAN40を介して基地局50から配布するように形成されている。基地局50から提供されたファームウェアプログラムは、管理サーバ11に連系している視聴端末機13の数に合わせて、当該管理サーバ11内で複製される。その後当該ファームウェアプログラムは、当該ファームウェアプログラムに係る信号をOFDM変調手段で変調することによって、管理サーバ11から各視聴端末機13に向けて配布される。
これにより、各視聴端末機13で別個にファームウェアプログラムをインストールするより容易に作業することができる。そのため、インストール作業の手間を軽減することができる。
また、テレビ回線15を通じてファームウェアプログラムを配布するようにした。これにより、当該ファームウェアプログラムを配布するために、たとえばLAN或いは専用回線のような別回線を新たに設けなくても良い。そのため、コンテンツ配信システム10にかかるコストを抑えることができる。
なお、ファームウェアプログラムに限定されず、視聴端末機の動作に関するアップデートプログラムやバッチプログラム等に含めて配布するようにしても良い。
また、上記のプログラム配布用に、基地局50と管理サーバ11を結ぶ広域用の専用線であるWAN40に替えてインターネットを用いても良い。
視聴端末機13は、上記の構成を有し、視聴制限が課せられた有料コンテンツは、識別フラグが合致した視聴端末機13のみで視聴することができる。次に、入金認証装置12について説明する。
【0036】
入金認証装置12は、管理サーバ11とLAN14で接続され、現金又は電子マネーによる入金手段を有する。なお、入金認証装置12と管理サーバ11の接続はLAN14に限定されず、専用線で互いに接続するようにしても良い。
入金手段は、視聴者が入金したとき、或いは、入金とみなされる行為を行ったとき、入金信号を、管理サーバの課金処理手段に送信するように形成されている。入金信号は、入金された視聴料金或いは視聴料金相当額と、視聴者が使用している部屋番号からなる入金情報を形成する。
入金手段は、電子マネーによる視聴料金相当額を徴収するための近接センサを有している。
当該近接センサは、ICカード又はこれに類する非接触型カードの接近を検知し、電子マネーの決済をすることができるように形成されている。当該非接触型カードには、部屋番号に係る情報及び貯留された電子マネーの金額に係る情報が含まれている。
非接触型カードを用いることによって、視聴者の部屋番号又は視聴料金を入力する操作で、人為的な入力ミスを防ぐことができる。
なお、非接触型カードに替えて、携帯電話に搭載されている近接感応機能を用いるようにしても良い。また、各部屋に設置されている視聴端末機13のリモコンに同様の近接感応機能を設け、当該リモコンを利用し、入金認証装置12で入金操作をするようにしても良い。この場合は、視聴端末機13の固有の固有番号を管理サーバの課金処理手段へ送信するようにすれば、上記のマトリクステーブルにおいて、視聴端末機13の特定を容易に、かつ、迅速に処理することができる。
【0037】
上記のように、本実施例に係るコンテンツ配信システム10は、管理サーバ11に設けた課金処理手段30と、視聴端末機13に設けた視聴制限解除部が有するデコード処理手段が協働して有料コンテンツの視聴を制限したり、解除したりするようにした。
これにより、視聴端末機13の近傍に有料コンテンツにかけられた視聴制限を解除し、視聴料金の徴収を行うセットトップボックス(STB)を設置する必要がなくなる。そのため、当該STBの設備コストを抑えることができる。また、監視し難い各部屋毎に現金が入ったSTBを設置しておかなくても良く、さらに、電子マネー等で実際に現金のやり取りをせずに課金することができる。そのため、有料コンテンツに係る課金処理を安全に行うことができる。
【0038】
また、管理サーバ11は、WAN40を介してビデオコンテンツを提供する基地局50と接続されている。すなわち、管理サーバ11の課金処理手段30に設けた金銭授受部33が有する入金確認手段は、基地局50と双方向通信可能に接続することができる。これにより、入金確認手段で取得した視聴料金の合計や日毎、週毎の積算、またどのビデオコンテンツが人気であったかという調査結果を各滞在型施設に設置した管理サーバ11から回収して、基地局50で集計することができる。そのため、基地局50側では、視聴料金に係る利用料を滞在型施設から徴収するとき、料金を過少申告されるおそれを防ぐことができる。また、人気のビデオコンテンツを重点的に配信することができるので、より効率よく収益を上げるようにすることができる。
【0039】
上記の構成を有するコンテンツ配信システム10は、以下に示すように使用される。
滞在型施設内の各部屋の利用者、すなわち本実施例のコンテンツ配信システム10を利用し、滞在型施設内の自主放送を視聴する視聴者は、配信されているビデオコンテンツのうち、有料コンテンツの視聴を所望する場合には、入金認証装置12から有料コンテンツに係る視聴料金を入金する。
当該入金には、部屋のカードキー、又は別途購入したICカード或いはこれ等に類する非接触型カードが用いられる。
当該入金認証装置12で入金が完了した旨のレシート等を受領した後、視聴者は自部屋に戻って視聴端末機13を点けると、有料コンテンツに係るチャンネルで放送されている番組を視聴することができる。
【0040】
上記に示した視聴者が有料コンテンツを購入する一連の動作のバックグラウンドでは、コンテンツ配信システム10は次のように作動している。添付した図3に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0041】
ステップS100は、課金処理を開始する処理を行うステップである。
ステップS105乃至ステップS115、及びステップS125は、入金認証装置12に係る課金処理を示したものである。
ステップS105は、入金認証装置12に設けた近接センサが非接触型カードを検知して、当該非接触型カードのICチップに含まれている部屋番号及び金額に係る情報を読み取る処理を行うステップである。非接触型カードは、有料コンテンツの視聴を所望する視聴者によって、入金認証装置12に設けた近接センサへ近づけられる。
ステップS110は、入金認証装置12の入金手段が、非接触型カードから読み取った部屋番号、及び読み取った金額から視聴料金を引き落として、部屋番号と有料コンテンツの視聴料金とからなる入金データを形成する処理を行うステップである。
ステップS115は、当該入金データに係る入金信号を、入金認証装置12から管理サーバ11の課金処理手段30に送信する処理を行うステップである。
ステップS125は、入金認証装置12が、管理サーバ11から返信された入金確認信号に基づいてレシートを発行する処理を行うステップである。
【0042】
ステップS120及びステップS130乃至ステップS145は、管理サーバ11に係る課金処理を示したものである。
ステップS120は、管理サーバ11が、入金認証装置12へ入金確認信号を返信する処理を行うステップである。このとき、課金処理手段30に設けた金銭授受部33が有する入金確認手段は、入金認証装置12から受信した入金信号に基づく入金データを認証する処理を行うように形成されている。
ステップS130は、ステップS120の認証処理と並行して、入金データに含まれる部屋番号に係る情報に基づいて、当該部屋番号を端末特定部34に設けた視聴端末特定手段が有するマトリクステーブル上に反映する処理を行うステップである。マトリクステーブルに入力された部屋番号に基づいて該当する視聴端末機13をピックアップし、視聴料金が支払い済みの視聴端末機と特定する処理が行われる。
ステップS135は、特定した視聴端末機13を有料コンテンツの視聴を許可する処理を行うステップである。当該許可後には、当該特定視聴端末機に係る行と上記の部屋番号に係る列が交差するマトリクステーブル上の空セルに識別フラグを立てる処理を行われる。
ステップS140は、識別フラグに係る識別信号を、出力部23に送信する処理を行うステップである。
ステップS145は、出力部23が有する変調部25のOFDM変調手段で識別信号を変調する処理を行うステップである。当該ステップS145によって処理された識別信号は、テレビ回線15を通じて、上記のマトリクステーブルに登録されている視聴端末機13の全てに一斉送信される。
【0043】
ステップS150乃至ステップS175は、視聴端末機13に係る課金処理を示したものである。
ステップS150は、視聴端末機13が識別信号を受信する処理を行うステップである。
ステップS155は、ステップS150で受信した識別信号に基づき識別フラグを形成する処理を行うステップである。
ステップS160は、ステップS155で形成した識別フラグに含まれる固有番号と、視聴端末機13自身に記録されている固有番号とを照合する処理を行うステップである。
ステップS165は、ステップS160で照合された両固有番号が合致しているか否か判定する処理を行うステップである。両固有番号が合致している場合は、ステップS170へ移行する。両固有番号が合致していない場合は、ステップS175へ移行する。
ステップS170は、視聴制限解除部に設けたデコード処理手段で、有料コンテンツにかけられた視聴制限に係る暗号化配信用信号の暗号を解除する処理を行うステップである。
これにより、有料コンテンツの視聴料金を支払った視聴者が利用する視聴端末機13において、視聴者は有料コンテンツを視聴することが可能となる。
ステップS175は、暗号を解除せずに有料コンテンツを視聴端末機13で再生する処理を行うステップである。したがって、視聴料金を支払っていない視聴者が利用する視聴端末機13においては、スクランブル化された状態の有料コンテンツが表示される。
そして、ステップS180で一連の課金処理は終了する。
【0044】
本実施例のコンテンツ配信システム10によれば、有料コンテンツに係る視聴制限を解除するための識別フラグに係る識別信号を、OFDM変調手段に通して、テレビ回線15へ送出するようにした。これにより、テレビ回線15上を伝送するデジタルテレビ放送波、及び滞在型施設内の自主放送に係るビデオコンテンツに係る信号の搬送波に、識別フラグに係る識別信号の搬送波を合せて送信することができる。
そして、識別フラグを受け取った視聴端末機13側で視聴制限を解除することにより、従来視聴端末機13の近傍に配していた料金徴収装置を省くことができる。そのため、各部屋ごとにコイン或いは現金の回収を行わなくても良いので、料金回収業務の手間を軽減することができる。
また、従来のテレビ回線15を流用して、デジタルテレビ放送、及び館内自主放送に係るビデオコンテンツの配信を行うことができる。これにより、従来視聴端末機13の近傍に配していたSTBを省くことができる。そのため、自主放送のために各部屋にSTBを設置する手間や、導入コストを抑えることができる。
さらに、視聴端末機13側で識別フラグを回収して有料コンテンツに係る暗号を解除するプログラムを、管理サーバ11から一斉に配信するようにした。加えて、視聴端末機11のファームウェアプログラムに当該プログラムを組み込むことにより、自動アップデートで処理することができる。これにより、視聴端末機13を画一的に処理することが容易にできる。
【符号の説明】
【0045】
10…コンテンツ配信システム、
11…管理サーバ、12…入金認証装置、13…視聴端末機、
14…LAN、15…テレビ回線、
16…第1分波器、17…第2分波器、
18…アンテナ、
20…映像処理手段、
21…入力部、21a,21b,21c…映像入力端子、
22…エンコーダ部、
23…出力部、
24…外部記憶媒体、
25…変調部、26…アンプ部、
30…課金処理手段、
31…視聴制限処理部、32…レジスター部、
33…金銭授受部、34…端末特定部、
40…WAN、
50…基地局。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホテル・旅館等の宿泊施設又は病院或いはこれ等に類する滞在型施設に設置され、当該滞在型施設内で視聴されるビデオコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、
該コンテンツ配信システムは、一台の管理サーバと、複数台の視聴端末機とからなり、
前記管理サーバは、
前記ビデオコンテンツに係る映像信号を処理する映像処理手段を有し、
当該映像処理手段は、
前記ビデオコンテンツに係る原信号が入力される入力手段と、
当該原信号を配信に最適な所定の規格に準拠した配信用信号に変換するエンコード処理を行う第1エンコード処理手段と、
当該配信用信号に基づく前記ビデオコンテンツを前記視聴端末に対して出力する出力手段とからなり、
当該出力手段に、
複数の前記ビデオコンテンツに係る前記配信用信号をそれぞれ搬送する複数の搬送波の一部を重ね合せて、所定の狭帯域内に収められた各搬送波を広帯域上で密に並列伝送させるように変調するOFDM変調手段を設けて、
前記管理サーバを始端とし、前記視聴端末機のそれぞれを終端とする樹形状に形成された前記滞在型施設内のテレビ放送回線に、前記配信用信号を伝送させて、該配信用信号に基づく前記ビデオコンテンツを前記視聴端末機のそれぞれに配信するようにしたコンテンツ配信システムにおいて、
前記テレビ放送回線とは別個に設けた構内情報網を介して、前記管理サーバと互いに接続される少なくとも一台の入金認証装置を設け、
前記管理サーバに、前記ビデオコンテンツのうち有料で配信される有料コンテンツに係る課金を処理する課金処理手段を設け、
当該課金処理手段は、
前記ビデオコンテンツに視聴制限をかけるために、前記配信用信号を暗号化するエンコード処理を行う第2エンコード処理手段と、
前記入金認証装置と協働して、当該入金認証装置で徴収した視聴料金に関する入金を確認する入金確認手段とを有し、
当該入金確認手段は、前記視聴料金を支払った視聴者が利用する前記視聴端末機を特定し、当該特定視聴端末機に係る識別フラグを立てる視聴端末特定手段を備え、
前記視聴端末機に、前記識別フラグに係る識別信号を受信したとき、暗号化された前記配信用信号の暗号を解読するデコード処理を行うデコード処理手段を設けて、
前記識別フラグに係る識別信号が、前記OFDM変調手段を介して、前記特定視聴端末機に向かって前記テレビ回線を伝送したとき、
前記特定視聴端末機側で前記有料コンテンツにかけられた視聴制限を解除するようにして、
全てのビデオコンテンツに係る前記配信用信号と、課金に伴う前記特定視聴端末機に係る前記識別フラグに係る識別信号とを前記テレビ回線で伝送させるようにしたことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
前記管理サーバを、インターネットに接続し、
前記デコード処理手段を実行するためのプログラムを、前記インターネットを介して前記ビデオコンテンツを提供する基地局が提供し、
前記プログラムを受け取った前記管理サーバは、当該プログラムに係る信号を前記OFDM変調手段で変調し、前記テレビ回線を通じて前記視聴端末機に提供するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
前記視聴端末特定手段は、仮想的に複数のセルが縦横に区画形成された矩形状のマトリクステーブルを有し、
当該マトリクステーブルに、縦方向或いは横方向のいずれか一方に沿って部屋番号を割り当て、他方に前記視聴端末機が備える固有番号を割り当てて、当該視聴端末機が設置された部屋の部屋番号とが合致するセルを空セルにして、
前記入金認証装置で前記視聴者が前記部屋番号のうちの一つを特定して入力したとき、
当該特定部屋番号に該当する前記空セルに前記識別フラグを立てて、前記空セルから照会された前記固有番号を有する前記視聴端末機を特定するようにしたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
前記入金認証装置に、前記視聴者が入金したとき、当該入金に係る入金信号を前記構内情報網を通じて前記管理サーバに送信する入金手段を設け、
当該入金手段は、ICカード又はこれに類する非接触型カードの接近を検知する近接センサを有し、当該近接センサが前記非接触型カードを検知したとき、前記入金手段が作動するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
前記管理サーバとインターネットを介して接続される前記基地局は、
複数の前記滞在型施設にそれぞれ設けられた当該管理サーバ内に設けた前記入金確認手段と、
双方向通信可能にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンテンツ配信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93682(P2013−93682A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233521(P2011−233521)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(592173434)株式会社日本ビデオセンター (6)
【Fターム(参考)】