説明

ビデオ・オーディオ再生装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は記録媒体トラックから再生ビデオ信号及び再生オーディオ信号を得るビデオ・オーディオ再生装置に関し、特にディスク状記録媒体の同心円トラックからスチル画及び対応のオーディオを再生するようにした再生機に用いて好ましいものである。
〔発明の概要〕
トラック別に記録されたスチルビデオ信号と時間圧縮オーディオ信号とを再生する際、一連のオーディオ信号が記録された複数のトラック中の同一ビデオトラックを指示しているものをそのビデオトラックと共に1コマとしてグループ化し、1コマ内の最先オーディオトラックにフラグを付けて、コマ再生の際のトラックアスセスの目標とし、トラックに記録した制御コード読取りの不良又は誤消去が生じても、1コマごとの順次再生で全スチル画面を再生可能にしたビデオ・オーディオの再生装置である。
〔従来の技術〕
第2図に示すフロッピーディスクのような磁気シートディスク1にスチルビデオ信号とオーディオ信号とを記録して再生するようにした録再装置が知られている。ビデオ信号とオーディオ信号とは別々のトラックに記録され、オーディオ信号は、時間圧縮によりディスク1回転(1フィールド期間で1/60秒)につき例えば10秒程度記録できるようになっている。
記録媒体上に形成されるトラックは、ディスクの場合、同心円状であり、一本又は2本のトラックTVに1枚分のスチルビデオ信号をフィールド又はフレーム記録する。このビデオトラックに隣接した一本〜数本のトラックTAに、10秒〜数10秒のオーディオ信号を記録する。各オーディオトラックTAの一部には対応のビデオトラック番地を指示するデータや後続のトラックに続きのオーディオが記録されていることを示す続きトラック番地のデータ等が書込まれる。
再生系には再生オーディオ信号を時間伸長するメモリが設けられていて、まずオーディオトラックを再生してメモリに入れ、次に時間伸長しながら再生音声を出力し、同時に対応関係がつけられているビデオトラックからスチルビデオ信号を繰り返し再生してスチル画をモニタに表示する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上述のように一連(1イベント)として記録されたオーディオ信号は一連として再生されるように再生制御が行われる。しかし一連のオーディオトラックの一本が消去されたり、或いはオーディオトラック中のコントロールコードデータの読取り不良が発生した場合、一連のトラックの脈絡が無くなり、断絶したトラックから後のトラックの再生が困難となる。
本発明はこの問題にかんがみ、誤消去やコントロールコードデータの読取りが困難となるような状況でも、記録された信号を総て再生することができるにすることを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明のビデオ・オーディオ再生装置は、記録ヘッドと記録媒体との相対移動により形成されるトラックの配列に、スチルビデオ信号及び時間圧縮オーディオ信号をトラックごとに記録し、オーディオトラックには対応ビデオトラック番地及び一連のオーディオの先頭のオーディオトラック番地並びに後続のオーディオトラック番地を夫々示す制御コードを書込んである記録媒体の再生装置である。
トラック間の制御コードを比較する手段と、予め全オーディオトラックに対しフラグを付ける手段を設けてある。上記比較手段により、後続オーディオトラック番地を指示している前方オーディオトラックとその後続オーディオトラックとに関し、先頭オーディオトラック番地が同じで、対応ビデオトラック番地が同じである場合に、後続オーディオトラックの上記フラグを消去し、残りのフラグを記憶手段に記憶する。
再生釦の操作ごとに、ヘッドのアクセス手段を起動し、上記フラグの付いたトラック番地からオーディオ再生及び対応ビデオの再生を開始させる。
〔作 用〕
対応ビデオトラックを共通にするオーディオを一まとめにして再生することができる。読取り不良等で或るトラックの制御コードの再生が困難になると、一連オーディオの再生が中断し、後のトラックのビデオ及びオーディオの再生ができなくなるが、ビデオトラックを中心にグループ分けしたコマごとの再生で、制御コードに脈絡が無くなっても、少くともビデオトラックだけは全部再生できる。
〔実施例〕
第1図は本発明を適用したビデオ・オーディオ録再システムのブロック図である。記録媒体としては第2図のような磁気シートディスク1を用いる。シートディスク1を回転させるスピンドルモータ2は、システムコントローラ3からの基準信号REF及びディスクのセンタコアと対面したPGヘッド4の出力のPGパルスに基いて、スピンドルサーボ回路5によって制御される。
録再ヘッド6a、6bはステップモータ7によってディスク1の放射方向に移動され、第2図のような同心円トラックを形成して録再が行われる。ステップモータ7はシステムコントローラ3からのヘッド送り制御信号HSを受けるドライブ回路8により制御される。
ビデオ及びオーディオの入力信号はビデオプロセス回路10及びオーディオプロセス回路11で処理され、変調器12及びヘッドアンプ13を通じてヘッド6a、6bで記録される。ヘッド6a、6bからの再生信号は、ヘッドアンプ13から復調器14を経てビデオ及びオーディオの各プロセス回路10、11に供給され、ここで処理されたビデオ及びオーディオ出力がモニタに導出される。
なおオーディオプロセス回路11には、A/D変換器15、D/A変換器16及びRAM17が附属し、オーディオ信号の時間圧縮、伸長及びビデオとの同時再生をメモリの書込み/読出しにより行っている。RAM17の書込み/読出しアドレスはメモリコントローラ18から供給される。
システムコントローラ3に連なる操作部19には、ビデオ記録を開始させる押釦スイッチ20(V)に、オーディオ記録を開始させる押釦スイッチ21(AS)及びオーディオ記録を終了させる押釦スイッチ22(AE)、フィールド(f)/フレームF)のモード切換用押釦スイッチ24等が記録操作用に設けられている。また再生用押釦スイッチ23(オートプレイ用)及びコマ再生用の押釦スイッチ25等が再生操作用に設けられている。
第2図に示すようにフィールド記録の場合、一本のビデオトラックTV及びそれに隣接して一本又は数本のオーディオトラックTAがディスク1に形成される。一本のオーディオトラックTAには約10秒間のオーディオ信号が時間圧縮記録される。なおオーディオトラックTAは4セクタS1〜S4に分けられ、2.5秒ずつ個々に記録できるようになっている。
第3図は各セクタに記録されるオーディオ信号のフォーマットを示す。時間圧縮されたオーディオ信号Aの前後にスタートフラグSF、エンドフラグEFを付けて記録し、1セクタの区切りが示される。これらのフラグの極性により、セクタ内の情報のタイプ、例えば一連(1シーケンス)のオーディオの先頭又は中間であって同一トラック内の次のセクタに続きのオーディオ信号が記録されている場合、続きのオーディオ信号が別トラックの第1セクタに記録されている場合、該当セクタが一連のオーディオ信号の最後である場合などが示される。
更にオーディオ信号の前にコントロールコードデータCDが付加されている。このコントロールコードデータはヘッドの位置制御に用いられるコードデータで、そのセクタが所属するトラックの絶対番地AD1、セクタ内のオーディオ信号に対応するビデオトラックの番地AD2、一連(一区切り)のオーディオ信号が記録されている先頭のトラック番地AD3、続きのオーディオ信号が記録されているトラック番地AD4などを含む。
コントロールコードデータCDは、システムコントローラ3からの制御コードに基いてコントロールデータ回路27からオーディオプロセス回路11に供給されて、オーディオトラックに記録される。またオーディオ再生信号から分離されたコントロールコードデータCDはコントロールデータ回路27で復号されて、システムコントローラ3に供給され、ヘッドのトラックアクセスの制御データとして使用される。
一方、システムコントローラ3からIDコード回路28にビデオトラック番地、記録の日付データ、ユーザ設定の文字データ等が送られ、形成されたIDコードビットがビデオプロセス回路10に供給され、ビデオ信号に多重記録される。再生時にはIDコード回路28で読取られたIDコードデータがシステムコントローラ3に送られ、トラックアクセスのデータや管面表示のデータとして使用される。
通常の記録モードでは、第4図のタイムチャートに示すようにビデオ記録押釦スイッチ“V"(20)を押すとスチル画の記録が行われ、オーディオ記録スタート押釦スイッチ“AS"(21)及びオーディオ記録エンド押釦スイッチ“AE"(22)を押すとその間の時間巾のオーディオ信号について時間圧縮記録が行われる。オーディオ信号はA1のように1トラックにつき約10秒の最長時間巾Tだけ記録することができるが、10秒以上にわたるときには残りの信号A2が次のトラックに記録される。またオーディオ信号を収録、圧縮記録している間に任意のタイミングでV2、V3のようにビデオ記録釦を押すことができる。
従ってこの一連の操作により第5図のようなトラック配列ができる。なお第5図の実線矢印はオーディオトラックが指示するビデオトラックを示している。また点線矢印は一連オーディオであることを示している。一連オーディオトラックA1〜A7はそのコントロールコードデータCDによって一連に結合されている。従って再生の押釦スイッチ23(PB)によるオートプレイモードでは、ビデオトラックV2、V3の再生に伴ってオーディオトラックA1〜A7が連続して再生される。
第5図のようなトラック配列において、一連のオーディオ及びそのオーディオに対応している一つとスチルビデオの全てを1イベントと称している。第5図の1イベント内のオーディオトラックに記録されるコントロールコードデータCDは第6図のようになる。このコントロールコードを読取りながら再生すると、1イベントについては、先頭オーディオトラック#10から順に#11、#13……ENDとオーディオトラックデータの取込み及び時間伸長再生が行われ、その間に対応ビデオトラック番地AD2が示すビデオトラック#12、#16が並行して再生される。
ところが、例えばオーディオA4のトラック#14消されたり、記録面の損傷等でコントロールコードが読めなくなった場合、後続のオーディオトラック#15が分らないので、再生機はそこで停止し、以後の再生が困難になる。
そこでコマ再生の押釦スイッチ25によるコマ再生モードでこのようなイベント再生の不都合を解消している。即ち、第61図の点線で区分けして示すように、1つ1つのビデオトラックに着目してそれに対応しているオーディオトラックをまとめて1コマとする。第6図の例ではV2とV2に対応するA3〜A5とで1コマとし、V3とV3に対応するA6、A7で1コマとする。また例外として、A1、A2のように対応ビデオが無いオーディオについても一連であれば1コマとする。つまり或るオーディオトラック(A1)に関し、後続トラック(A2)が(a)、オーディオトラックであり、(b)、先頭トラックが同一で且つ(c)、ビデオトラックを指示していなければ、1コマ内とする。同様にオーディオを伴わない1つのビデオトラックがある場合、これも1コマとする。
次に第6図に示すように、コマごとのオーディオの先頭(A1、A3、A6)にスタートフラグ「*」を付ける。このフラグ付けでは、1枚のディスク1の全トラックをサーチして行い、第1図のRAM17にシステムコントローラ3からスタートフラグデータASFを供給して、スタートフラグの付いた絶対トラック番地を予め記憶させておく。
コマ再生モードでは、コマ再生釦25を押すごとに、ヘッドが次のコマのオーディオ・スタートフラグが付いているトラック番地にアクセスし、そこからコマ内のオーディオトラックを順次再生してオーディオデータを取込んで再生すると共に、対応ビデオがあれば、そのトラックを再生してスチル画表示を示す。再生は次のコマ、即ち次のビデオトラックの手前で一旦停止する。
従って例えば第6図において、コマ2のオーディオトラックA4のコントロールデータが破損していても、スタートフラグを基に後続トラックのオーディオ及びビデオの再生が可能となる。
次にオーディオ・スタートフラグの立て方のアルゴリズムを説明する。まずオーディオトラックの総てにフラグを立てる。更に或るオーディオトラックによって指示されている後続オーディオトラックが有って、それが次の条件I〜IIIの全部に当てはまるとき、その後続トラックのフラグを消去する。
I.オーディオトラックである。
II.先頭オーディオトラック番地が同じ。
III.対応ビデオトラック番地が同じ。
なおIIIで、例外として対応ビデオトラックを指示していないオーディオトラックの場合、それが前のオーディオトラックと一連であれば同様にフラグを消去する。
以上の判定を1枚のディスク1の全トラック(例えば50トラック)について行い、スタートフラグの付いたトラック番地をメモリに記憶する。
第6図の例では、まず総てのオーディオトラックにフラグ(○印)を付ける(第6図■)。次にトラック#10のコントロールコードCDを基に、このトラックが指定している後続トラック#11のコントロールコードを検定すると、上記条件I(オーディオトラック)、II(同じ先頭オーディオ)、III(一連のオーディオのみ)を満すので、トラック#11のフラグを消去する(第6図■)。
次にトラック#11のデータを基いて後続として指示されているトラック#13を見ると、条件I、IIは満すが、IIIについては対応ビデオトラックが同一でないので、#13のフラグは残す(第6図■)。
次にトラック#13のデータに対し、後続として指示されたトラック#14のデータは、条件I、II、IIIを満たすから、そのフラグを消す。またトラック#15も同様である(第6図■)。
次にトラック#15のデータを基に後続指定のトラック#17を見ると、対応ビデオトラックが#12と#16で異なるので、条件IIIが満されないから、#17のフラグを残す(第6図■)。
次にトラック#17を基にトラック#18を見ると、条件I〜IIIを満すので、このフラグを消す(第6図■)。
以上の判定を全トラックに関して行い、各コマ内にオーディオ・スタートフラグ(*)を立てることができる。
〔発明の効果〕
本発明は上述のように、スチルビデオとオーディオとをトラック別に混在記録した場合に、スチルビデオトラックに着目して対応したオーディオを一まとめとし、一括再生できるようにしたので、オーディオトラックを一連として再生するための制御コードによる脈絡が、読取り不良等により途絶えても、ビデオを中心としたコマごとの再生で、概ね全部のビデオトラックをオーディオを伴いながら順次再生できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用した磁気シートディスクのビデオ・オーディオ録再系のブロック図、第2図は磁気シートディスクのトラックパターン図、第3図は記録オーディオ信号のフォーマット図、第4図はビデオ・オーディオの記録操作を示すタイムチャート、第5図は第4図のように記録したときのトラック配列図、第6図はコマ再生の区切りとオーディオ・スタートフラグとを示すトラック配列図である。
なお図面に用いた符号において、
1……磁気シートディスク
2……スピンドルモータ
3……システムコントローラ
4……PGヘッド
5……スピンドルサーボ回路
6a,6b……録再ヘッド
7……ステップモータ
8……ドライブ回路
10……ビデオプロセス回路
11……オーディオプロセス回路
12……変調器
13……ヘッドアンプ
14……復調器
15……A/D変換器
16……D/A変換器
17……RAM
18……メモリコントローラ
19……操作部
27……コントロールデータ回路
28……IDコード回路
である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】記録ヘッドと記録媒体との相対移動により形成されるトラックの配列に、スチルビデオ信号及び時間圧縮オーディオ信号をトラックごとに記録し、オーディオトラックには対応ビデオトラック番地及び一連のオーディオの先頭のオーディオトラック番地並びに後続のオーディオトラック番地を夫々示す制御コードを書込んである記録媒体の再生装置であって、トラック間の制御コードを比較する手段と、予め全オーディオトラックに対しフラグを付ける手段と、上記比較手段により、後続オーディオトラック番地を指示している前方オーディオトラックとその後続オーディオトラックとに関し、先頭オーディオトラック番地が同じで、対応ビデオトラック番地が同じである場合に、後続オーディオトラックの上記フラグを消去し、残りのフラグを記憶する手段と、再生釦の操作ごとに、上記フラグの付いたトラック番地からオーディオ再生及び対応ビデオの再生を開始させるヘッドのアクセス手段とを具備するビデオ・オーディオ再生装置。

【第1図】
image rotate


【第2図】
image rotate


【第3図】
image rotate


【第4図】
image rotate


【第5図】
image rotate


【第6図】
image rotate


【特許番号】第2615656号
【登録日】平成9年(1997)3月11日
【発行日】平成9年(1997)6月4日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−213275
【出願日】昭和62年(1987)8月27日
【公開番号】特開平1−55981
【公開日】平成1年(1989)3月2日
【出願人】(999999999)ソニー株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭62−180686(JP,A)