説明

ビニルエステル系樹脂組成物及びその製造方法

【課題】 ハイドロタルサイトを高濃度で配合しても、ハイドロタルサイト粒子が凝集せずに微分散したビニルエステル系樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 製品となるビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒に、ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂を溶解させた、ビニルエステル樹脂の製造途中で生成されるビニルエステル系樹脂溶液にハイドロタルサイトを配合する工程;及び前記溶媒を乾燥除去する工程を含む。ケン化前又はケン化反応途中のビニルエステル系樹脂溶液を使用した場合、ハイドロタルサイト配合後、ケン化を行なってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルエステル系樹脂粒子中にハイドロタルサイトが高濃度に含有されていても微分散することができるビニルエステル系樹脂組成物の製造方法及び当該製造方法で得られるビニルエステル系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
EVOH系樹脂やPVA系樹脂などのビニルエステル系樹脂が有するアセチル基等のエステル基が製造時や加工時に分離して、カルボン酸(酢酸)を発生する場合がある。成形時、加工時に発生するカルボン酸は、生産現場の環境悪化の原因となったり、また酸性条件下で溶融成形が行なわれた場合に、ビニルアルコール系樹脂の分子鎖間でケタール化やアセタール化等のゲル化の原因となる反応が進行するためか、ビニルエステル系樹脂の劣化の原因となったり、ビニルエステル系樹脂の各種成形物やフィルムにおいて臭いや着色、フィッシュアイ等を引き起こしたりして、成形物や被包装物の品質低下をもたらすことが知られている。ハイドロタルサイトは、ビニルエステル系樹脂における、このような問題を解決するための配合剤として広く利用されている。
【0003】
ハイドロタルサイト粒子は層状構造をしていて、粒子同士が凝集しやすいという性質を有しており、たとえ、層間はく離により細分化しても、再び、これらの粒子同士が凝集した状態で樹脂中に存在している場合が多い。しかし、ハイドロタルサイトの配合効果を高めるためには、平均粒径が小さいハイドロタルサイトの粒子、換言すると表面積が大きい状態で均一分散させることが好ましい。表面積が大きい状態とは、上述の粒子同士が互いに離れて分散している状態、および粒子を形成する層が剥がれ、粒子自身が小さくなる状態をいう。
【0004】
ここで、ハイドロタルサイトを配合してなるPVA系樹脂組成物の製造方法としては、PVA系樹脂組成物の場合であるが、特開平6−166786の段落番号9に記載のように、(a)PVAとハイドロタルサイトを粉末状態で混合する方法、(b)両者を溶融混練してペレットにする方法、(c)ハイドロタルサイトを水分散液にしてPVA粉末またはペレットに噴霧吸着させる方法などが挙げられる。
【0005】
しかしながら、上記の樹脂とハイドロタルサイトを粉末状態で混合する方法(a)では、樹脂とハイドロタルサイトの比重の違いによりハイドロタルサイトが均一に分散することができず、結局、再び、ハイドロタルサイト粒子同士が凝集した状態のままで混合したものが多く含まれることになる。また、樹脂とハイドロタルサイトを溶融混練してペレットにする方法(b)では、ハイドロタルサイト粒子を分散させる効果が弱いばかりでなく、粒子が凝集しやすくなって、ひどい場合にはハイドロタルサイトが塊になってしまうこともある。さらに(c)の方法では、樹脂粉末表面にハイドロタルサイトが単に付着した状態であり、樹脂中にハイドロタルサイトが分散した状態ではないため、高い吸着除去効果を得にくい。
【0006】
【特許文献1】特開平6−166786
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハイドロタルサイトを高濃度で配合しても、ハイドロタルサイト粒子が凝集せずに微分散したビニルエステル系樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ビニルエステル系樹脂の製造段階で得られる樹脂溶液中にハイドロタルサイトを分散させた後、溶媒を乾燥除去することにより、ハイドロタルサイト粒子同士の凝集を防止して、ハイドロタルサイトを粒子状態で分散させたビニルエステル樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明のビニルエステル系樹脂組成物の製造方法は、ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂にハイドロタルサイトが分散してなるビニルエステル系樹脂組成物の製造方法であって、ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂を、前記ビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒に溶解してなるビニルエステル樹脂の製造途中で生成されるビニルエステル系樹脂溶液に、ハイドロタルサイトを配合する工程;及び前記溶媒を乾燥除去する工程を含む。
【0010】
そして、本発明のビニルエステル系樹脂組成物は、ケン化度0モル%以上〜65モル%以下のビニルエステル系樹脂粒子中にハイドロタルサイトが分散している樹脂組成物において、前記ハイドロタルサイトの90%以上の粒子の粒径が600nm以下にて分散していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、ハイドロタルサイトの粒子同士の凝集を防止した状態で分散させ、しかもビニルエステル系樹脂の製造過程でハイドロタルサイトを配合しているので、高濃度であっても90%以上の粒子の粒径が600nm以下でハイドロタルサイトが微分散している本発明のビニルエステル系樹脂組成物を、効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〔ビニルエステル系樹脂組成物の製造方法〕
はじめに、本発明のビニルエステル系樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のビニルエステル樹脂組成物の製造方法は、ビニルエステル系樹脂溶液に、ハイドロタルサイトを添加する工程及び脱溶媒工程を含む。
【0013】
本発明で原料として使用するビニルエステル系樹脂、あるいは生産物であるビニルエステル系樹脂組成物の主体を構成するビニルエステル系樹脂は、ケン化度0モル%以上、65モル%以下のものである。以下、本明細書において、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0モル%)と、ケン化により得られるビニルエステル系樹脂を区別する必要があるときは、前者をビニルエステル系樹脂(ケン化度0)、後者をビニルエステル系樹脂(ケン化物)といい、単に「ビニルエステル系樹脂」というときは、ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)及びビニルエステル系樹脂(ケン化物)の双方をいう。
【0014】
本発明の製造方法に用いるビニルエステル系樹脂溶液は、原料として使用するビニルエステル系樹脂を、製品に含まれるビニルエステル系樹脂の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒に溶解したものであり、所望のケン化度のビニルエステル系樹脂を溶解した溶液又は所望のケン化度のビニルエステル系樹脂を製造する途中の溶液が該当する。いずれの場合でも、ハイドロタルサイトの配合が液相で行なわれることになるので、ハイドロタルサイトを良好に分散させることができる。本発明の製造方法に用いるビニルエステル系樹脂溶液としては、製品(ビニルエステル系樹脂組成物)に含まれるビニルエステル系樹脂を製造する途中で生成されるビニルエステル系樹脂溶液であることが好ましい。所望のケン化度のビニルエステル系樹脂を製造する途中の溶液を使用することにより、樹脂組成物の製造工程の簡略化を図ることができるからである。
【0015】
本発明で用いられるビニルエステル系樹脂溶液に溶質として含まれるビニルエステル系樹脂は、下記ビニルエステル系モノマーの単独重合体、共重合体、さらに目的を阻害しない範囲において共重合性成分として含まれ得る不飽和単量体との共重合体(これらの重合体はケン化度0)、又はこれらの重合体のケン化度65モル%以下のケン化物である。製造しようとする樹脂組成物の種類、ハイドロタルサイトの配合時期に応じて、使用するビニルエステル系樹脂の種類、ケン化度は適宜選択される。また、ビニルエステル系樹脂の重合度は、特に限定しないが、得ようとするビニルエステル系樹脂の重合度は、JIS K6726により測定される重合度として通常100〜4000(より好ましくは150〜3000、さらに好ましくは200〜2600)であることから、原料となるビニルエステル系樹脂の重合度も上記範囲内に調節することが好ましい。重合度が高くなりすぎるとケン化物内にハイドロタルサイトが取り込まれにくくなる傾向にある。
【0016】
上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、これらのうち酢酸ビニルが好ましく用いられる。
【0017】
得ようとする樹脂組成物の目的を阻害しない範囲において共重合性成分として含んでもよい不飽和単量体としては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のαーオレフィン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩;アルキルビニルエーテル類;ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0018】
更に、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有単量体、アセトアセチル基含有単量体、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等を共重合することもできる。
【0019】
更に、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン等のジヒドロキシアルケン類;3−アシロキシ−4−ヒドロキシー1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ1−ブテン等のヒドロキシアシロキシアルケン類;3,4−ジアシロキシ−1ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−アシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等のジアシロキシアルケン類;グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル等のグリセリンモノ不飽和アルキルエーテル類;2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン等のアセトキシ基含有アリルオキシプロパン類;ビニルエチレンカーボネート等のエチレンカーボネート類;2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等のアセタール基含有ビニル化合物等も共重合可能である。
【0020】
本発明の製造方法に用いるビニルエステル系樹脂溶液は、先に述べたように、生産物であるビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂を溶解した溶液(換言すると所望のケン化度のビニルエステル系樹脂を溶解した溶液)又は目的のビニルエステル系樹脂を製造する途中の溶液(換言すると所望のケン化度のビニルエステル系樹脂を製造する途中の溶液)であるから、そこに用いられる溶媒は、溶質となる原料のビニルエステル系樹脂及び最終的に得ようとするビニルエステル系樹脂の双方を溶解できる溶媒であり、且つ生産物たるビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂(ケン化度0)又はビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解点よりも低い沸点を有する有機溶剤である。ビニルエステル系樹脂の分解温度は、通常210〜400℃程度であるので、当該分解温度よりも低い沸点の溶媒としては、例えば、200℃以下、好ましくは150℃以下のものが用いられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4の低級アルコールが揮発性にすぐれているので、好ましく用いられる。
【0021】
ハイドロタルサイトの配合する時期は、使用するビニルエステル系樹脂溶液に溶質として含まれているビニルエステル系樹脂のケン化度、最終的に得ようとするビニルエステル系樹脂のケン化度に応じて異なり、(i)〜(iv)に大別することができる。
(i)ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)組成物を製造する場合
(ii)ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化度物)を組成物を製造する場合
(iii)ケン化反応途中のビニルエステル系樹脂溶液を使用して、さらにケン化度を上げて所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)の組成物を製造する場合
(iv)ケン化反応が終了した所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化物)の組成物を製造する場合
【0022】
上記(i)〜(iv)のうち、(ii)の場合には、ハイドロタルサイトの配合後、ハイドロタルサイトの存在下でケン化が行なわれ、(iii)の場合、ケン化反応の一部がハイドロタルサイトの存在下で行なわれることになる。以下、各場合について、詳述する。
【0023】
(i)ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)組成物を製造する場合
ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液とは、ビニルエステル系モノマーの重合、及び必要に応じて配合される他の不飽和モノマーとの共重合により得られた溶液である。ビニルエステル系モノマーの重合、必要に応じて配合される他の不飽和モノマーとの共重合は、通常、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合等の公知の方法により行なうことができるが、溶液重合が好ましく行われる。
【0024】
溶液重合は、目的生産物であるビニルエステル系樹脂(ケン化度0)の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒、すなわち、前述の炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類を溶媒として行なうことが好ましい。これにより、溶液重合で得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液に、直接、ハイドロタルサイトを配合することができ、樹脂組成物の製造の簡略化が図れるからである。尚、溶液重合で得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液をそのまま利用する場合だけに限定されず、適宜溶媒を添加し、希釈した溶液、さらに必要に応じて他の配合剤、添加剤を配合した樹脂溶液を使用してもよい。一方、ハイドロタルサイトの添加混合に先立って、未反応モノマーを系外に除去しておくことが好ましい。
【0025】
ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液にハイドロタルサイトを添加、混合後、脱溶媒工程に供する。
【0026】
(ii)ビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化物)の組成物を製造する場合
使用するビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液は、上述のビニルエステル系樹脂(ケン化度0)組成物を製造する場合と同様である。すなわち、目的生産物であるビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒(炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類など)を溶媒とする溶液重合により得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液が好ましく用いられる。溶液重合後に、適宜溶媒を添加し、希釈した溶液、さらに必要に応じて他の配合剤、添加剤を配合した溶液を用いてもよい。未反応モノマーはハイドロタルサイトの配合前に除去されていることが好ましい。
【0027】
続いてケン化を行なう。ハイドロタルサイトが配合されたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液に、ケン化触媒を添加することにより開始される。重合溶液にケン化触媒を添加してケン化を開始させる場合には、ケン化に先だって、未反応モノマーを系外に除去しておくことが好ましい。
【0028】
ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒;硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択される。ケン化反応の反応温度は特に限定されないが、通常、10〜60℃であり、より好ましくは20〜50℃である。
【0029】
所望のケン化度にまでケン化して得られたビニルエステル系樹脂(ケン化物)溶液を、次工程である、脱溶媒工程に供する。ケン化後、所望により、ケン化物中のOH基をウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化、アセトアセチル化等、公知の後変性処理により変性してもよく、変性後に、脱溶媒工程に供してもよい。
【0030】
(ii)の方法では、ハイドロタルサイトの存在下でケン化反応を行なっている。すなわち、製品となるビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂(ケン化物)の製造途中でハイドロタルサイトを添加しているので、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0031】
(iii)ケン化反応途中のビニルエステル系樹脂溶液を使用して、さらにケン化度を上げて所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化度物)を組成物を製造する場合
ケン化反応の途中のビニルエステル系樹脂溶液とは、重合により得られたビニルエステル系樹脂(ケン化度0)溶液に、適宜溶媒を添加、希釈し、ケン化触媒を添加してケン化を開始した溶液である。溶媒としては、上述のように、目的とするビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解温度よりも低い沸点を有する有機溶剤、具体的には炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類が用いられる。ケン化反応はケン化触媒の添加により開始され、使用するケン化触媒としては、(ii)で列挙したような触媒を使用できる。
【0032】
ハイドロタルサイトの添加時期は、ケン化反応途中のいずれでもよく、一括に配合してもよいし、ケン化反応進行中に連続的に配合してもよいし、ケン化反応の適宜段階に分割して配合してもよい。所望のケン化度にまでケン化して得られたビニルエステル系樹脂(ケン化物)溶液は、次いで、脱溶媒工程に供される。ケン化後、所望により、ケン化物に含まれるOH基をウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化、アセトアセチル化等、公知の後変性処理により変性してもよく、このような変性樹脂の場合には、変性後の溶液を、脱溶媒工程に供する。
【0033】
(iii)の方法では、ケン化反応途中、すなわち製品となるビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂(ケン化物)の製造途中でハイドロタルサイトを添加しているので、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0034】
(iv)ケン化反応が終了した所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)溶液を使用して、ビニルエステル系樹脂(ケン化度物)の組成物を製造する場合
ケン化が終了したビニルエステル系樹脂(ケン化物)の溶液の溶媒としては、当該ビニルエステル系樹脂(ケン化物)の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒、すなわち上述の炭素数1〜4の低級アルコールやケトン類が用いられる。ケン化反応時の溶媒として、これらの溶媒が、用いられていることが好ましい。これにより、所望のケン化度を有するビニルエステル系樹脂(ケン化物)の一連の製造工程に続いてハイドロタルサイトを配合することができる。このことは、ケン化反応終了後に、溶媒置換や固液分離等の作業を行なうことなく、ハイドロタルサイトを添加すればよいことを意味し、樹脂組成物の製造工程の簡略化を図ることができる。尚、ケン化物に含まれるOH基を後変性する場合、ハイドロタルサイトの配合前に行なうことが好ましい。
【0035】
ここで、ハイドロタルサイトとは、化学式MgAl(OH)16CO・4HOで表される天然鉱物の呼称であるが、最近では、上記天然鉱物と基本的に近似な構造を有する下記一般式で表される複水酸化物の総称としても、一般に使用されている。
〔M2+1−x3+(OH)〕(Ax/n・mHO)
式中、M2+は、Mg、Fe、Zn、Ca、Cu、Co等の2価の金属イオンを表し、好ましくはMg、Zn又はCaであり、より好ましくはMgである。また、M3+は、Al、Ce、Fe、Mn、In、Cr等の3価の金属イオンを表し、好ましくはAl、Ceであり、より好ましくはAlである。xは0.2〜0.33の数であり、またmは0より大きい実数で、脱水の程度により変わるが、一般に0〜2の整数である。Aは炭酸イオン(CO2−)、HPO2−、飽和脂肪族モノカルボン酸であり、好ましくは炭酸イオンである。なお、nはAの価数である。
【0036】
特に好ましい組み合わせは、下記一般式であらわされるハイドロタルサイト類である。
Mg1−xAl(OH)(CO)x/2・mH
また、Aが飽和脂肪族モノカルボン酸イオンであるものとしては、特開2006−274385等に開示されたハイドロタルサイト類を挙げることができる。かかるハイドロタルサイト類は、炭酸イオンを内包するハイドロタルサイトを、飽和脂肪族モノカルボン酸塩水溶液中でイオン交換して得られたもので、良好な層間剥離性を有することから、好ましく用いられる。
【0037】
本発明におけるハイドロタルサイトは、上記のようなハイドロタルサイト類である。以上のようなハイドロタルサイト類は、M2+(OH)のM2+の一部がM3+で置換されたことにより生じる正電荷八面体層をホスト層とし、この正電荷を補償するアニオンと層間水からなるゲスト層が、ホスト層と交互に積層した層状構造を有している。
【0038】
本発明に用いられるハイドロタルサイトは、ステアリン酸等の表面処理がされたものであってもよいが、PVA系樹脂等のビニルエステル系樹脂による微分散の点からは、ステアリン酸等の表面処理されていないハイドロタルサイトが好ましく用いられる。
【0039】
ハイドロタルサイトは、粒子の平均粒径が400〜600nm程度の粉末を使用する。粉末状態において、粒子が凝集して凝集粒子となったものも含まれるが、凝集粒子を含んだまま用いることができる。ハイドロタルサイトは、ビニルエステル系樹脂溶液に、粉末のまま直接配合してもよいし、予め、ハイドロタルサイトを、水や炭素数1〜4の低級アルコール等の溶媒に分散させた分散液を調製し、この分散液を配合混合してもよい。また、ハイドロタルサイトの配合方法としては、滴下、一括仕込み、分割仕込みなどいずれであってもよい。また、攪拌しながら、配合することが好ましい。
【0040】
ハイドロタルサイトの配合量は、最終的に得ようとするビニルエステル系樹脂組成物中に含有させたいハイドロタルサイト量に応じて選択される。最終的に得ようとするビニルエステル系樹脂中に含有させたいハイドロタルサイト量は、ビニルエステル系樹脂100重量部に対して、通常0.01〜100重量部である(より好ましくは0.1〜60重量部、更に好ましくは0.5〜40重量部)ことから、ビニルエステル系樹脂に対して、上記範囲となる量のハイドロタルサイトを配合することが好ましい。
【0041】
以上のようにして得られた、目的のビニルエステル系樹脂を含む樹脂組成物溶液を乾燥して溶媒除去する。
乾燥は、樹脂の重合度、ケン化度、溶剤の種類、樹脂濃度にもよるが、通常180℃で、30分間程度、薄膜状にした樹脂組成物を加熱等することにより行なうことが好ましい。
【0042】
溶媒除去により、ハイドロタルサイトを含有したビニルエステル系樹脂組成物の塊が得られる。この塊を粉砕すると、ハイドロタルサイト粒子が微分散したビニルエステル系樹脂組成物の粉末が得られる。
【0043】
以上のような製造方法によれば、ハイドロタルサイトを樹脂溶液中で配合しているので凝集粒子状態となっていたものもばらばらになり、凝集せずに粒子状態にて均一に分散させることができる。さらには、層状構造にあるハイドロタルサイト粒子の層間はく離も溶液中でおこり、配合に用いたハイドロタルサイト粒子よりも小さい粒径450nm以下の粒子の割合を増加させることができる。そして、ケン化反応中、ハイドロタルサイトが存在していることから、生成するビニルエステル系樹脂粒子中にハイドロタルサイトの粒子を均一に取り込ませることができる。
【0044】
〔ビニルエステル系樹脂組成物〕
本発明のビニルエステル系樹脂組成物は、上記本発明の製造方法により製造されるものであり、具体的には、ビニルエステル系樹脂粉末にハイドロタルサイトが分散している粉末状の組成物であって、前記ハイドロタルサイトの90%以上の粒子の粒径が600nm以下で分散しているものである。
【0045】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物に含まれるビニルエステル系樹脂は、上記本発明の製造方法でビニルエステル系モノマーの重合により得られたビニルエステル系樹脂、又は必要に応じて65モル%以下でケン化したビニルエステル系樹脂である。すなわち、本発明のビニルエステル系樹脂組成物に含まれるビニルエステル系樹脂のケン化度は、0モル%以上〜65モル%以下(好ましくは10〜62モル%、より好ましくは20〜60モル%)である。ケン化度0モル%とは、ビニルエステル系モノマーの重合により得られるビニルエステル系ポリマーである。ケン化度は、ビニルエステル系樹脂組成物の用途に応じて、適宜選択できる。いずれの場合もポリビニルエステルとして特性を発揮することができるので、本発明のビニルエステル系樹脂組成物は油溶性を示す。
【0046】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物に含まれるビニルエステル系樹脂を構成するモノマーは、上述の樹脂組成物の製造方法で例示したビニルエステル系モノマー又はそのケン化物、及び所望により含まれる他の不飽和モノマーである。ケン化物の場合、ケン化物中のOH基が、後変性により、適宜ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化、アセトアセチル化等の公知の後変性処理で変性されていてもよい。
【0047】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物に含まれるビニルエステル系樹脂の平均重合度(JIS K6726に基づいて測定)は、通常、100〜4000であり、より好ましくは150〜3000、更に好ましくは200〜2600である。重合度が低すぎると、粉末状にしたビニルエステル系樹脂組成物がブロック化しやすくなり、重合度が高くなりすぎるとハイドロタルサイトがビニルエステル系樹脂粒子中に分散しにくくなる。
【0048】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物粉末の平均粒径(JIS Z 8801の標準網篩により測定)は、樹脂の種類、製造方法(ケン化条件など)により異なるが、通常、5.0〜0.01mmである。当該粉末を構成しているビニルエステル系樹脂粒子中に、ハイドロタルサイトが粒子状態で分散している。具体的には、ハイドロタルサイトは、90%以上の粒子の粒径が600nm以下であり、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは450nm以下で分散している。また、粒径800nm以上のハイドロタルサイト粒子の割合は5%以下である。ここでいうハイドロタルサイト粒子の粒径は、ビニルエステル系樹脂組成物粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察により測定した値である。
【0049】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物中、ビニルエステル系樹脂100重量部に対して、ハイドロタルサイトを、通常0.01〜100重量部の範囲で含有させることができる。従って、ビニルエステル系樹脂組成物の用途に応じて、上記範囲で、ハイドロタルサイトの含有率を適宜選択すればよい。均一分散の観点からは、ビニルエステル系樹脂組成物中、ビニルエステル系樹脂100重量部に対して、ハイドロタルサイトを0.1〜80重量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜60重量部である。
【0050】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物は、ビニルエステル系樹脂ペレットとして、それ自体、成形に供することができるし、配合剤として、熱可塑性樹脂に適宜配合することができる。配合剤として配合された本発明のビニルエステル系樹脂組成物は、溶融によりビニルエステル系樹脂粒子中に良好に分散されていたハイドロタルサイトが流出して、熱可塑樹脂組成物中でも凝集せずに均一に分散することができる。従って、本発明のビニルエステル系樹脂組成物を使用することにより、熱可塑性樹脂組成物中に、通常のハイドロタルサイト単独の混合方法では困難であった粒径600nm以下という、凝集しない粒子状態で分散させることができ、さらには粒子の平均粒径を小さくすることも可能となって、未反応モノマーやその分解物、ビニルエステル系樹脂から発生するカルボン酸臭などを効率よく吸着除去することができる。また、本発明のビニルエステル系樹脂組成物をマスターバッチとして使用する場合でもハイドロタルサイトの良好な分散性を維持することができ、同様の効果が得られる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、下記例において、「部」「%」とあるのは、断りのない限り、重量基準を意味する。また、ケン化度は残存酢酸ビニル構造単位の加水分解に要するアルカリ消費量から求めた値であり、重合度はJIS K6726に基づいて測定した値である。
【0052】
〔実施例1〕
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル800部、メタノール960部、アゾビスイソブチロニトリル0.07モル%(対仕込み酢酸ビニル)を投入し、攪拌しながら、窒素気流下で温度を上昇させて重合を開始した。
重合開始から2時間後、6時間後に、0.07モル%のアゾビスイソブチロニトリルを追加投入し、酢酸ビニルの重合率が98%となった時点で、m−ジニトロベンゼン及び希釈・冷却用メタノールを添加して重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。
【0053】
このポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を、メタノールで希釈して濃度42%に調整し、そのうちの500部をニーダーに仕込み、水15部を加えて混合後、溶液温度を35℃に保ち、攪拌しながら水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1モルに対して5ミリモルとなる割合で加えることにより、ケン化を開始した。ケン化反応2時間後、酢酸により中和を行ない、得られたビニルエステル系樹脂(ケン化物)のメタノール溶液を100部を抜き取り、ケン化物を分析したところ、ビニルエステル系樹脂のケン化度は38.0モル%、重合度は650であった。
【0054】
残ったビニルエステル系樹脂(ケン化物)のメタノール溶液をニーダーで攪拌しながらハイドロタルサイト(数平均粒径500nm)13.7部を添加し、さらに2時間攪拌してビニルエステル系樹脂組成物を得た。この樹脂組成物はメタノール溶液である。この樹脂組成物溶液中のハイドロサルタイトの含有量は、ビニルエステル系樹脂(ケン化物)に対して10%であった。また、この樹脂組成物溶液を、メタノールで希釈して0.1%溶液とし、ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製のDLS−700)で、ハイドロタルサイトの数平均粒径を測定したところ、150nmであった。
【0055】
次いで、得られたビニルエステル樹脂組成物溶液を180℃で30分間、オーブンにいれて、脱溶剤することにより、ビニルエステル系樹脂組成物の粉末を得た。当該粉末について、SEM(日本電子社製のJSM−6060LA)によりハイドロサルタイトの粒径を測定したところ、90%以上の粒子の粒径が450nm以下で分散されていることが確認された。また、粒径800nm以上のハイドロタルサイト粒子は認められなかった。
【0056】
〔比較例1〕
ハイドロサルタイトを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、乾燥させたビニルエステル系樹脂の粉末を得た。
得られたビニルエステル系樹脂粉末100部とハイドロタルサイト10部とを、ブラベンダーで200℃で10分間混練後、冷却して、ビニルエステル樹脂組成物の塊を得た。得られた塊状物を粉砕してビニルエステル系樹脂組成物の粒子を得た。この樹脂組成物粒子について、SEM(日本電子社製のJSM−6060LA)によりハイドロサルタイトの粒径を測定したところ、90%以上の粒子が粒径1000nm以上であった。従って、配合時よりもハイドロタルサイト粒子同士が凝集して、肥大化していることがわかる。また、この樹脂組成物粒子を、メタノールに溶解させて、0.1%メタノール溶液を調製し、ダイナミック光散乱光度計(大塚電子社製のDLS−700)でハイドロタルサイトの粒径を測定したところ、数平均粒径は600nmであった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のビニルエステル系樹脂組成物は、それ自体単独で成形原料として用いることができ、また、他の熱可塑性樹脂の特性改善のために配合する配合剤としても利用できる。本発明のビニルエステル系樹脂組成物の製造方法によれば、高温で溶融混練等しなくても、ハイドロタルサイト系化合物が凝集せずに良好に分散したビニルエステル系樹脂組成物を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂にハイドロタルサイトが分散してなるビニルエステル系樹脂組成物の製造方法であって、
前記ビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の分解温度よりも低い沸点を有する溶媒に、ケン化度0モル%以上から65モル%以下のビニルエステル系樹脂が溶解してなるビニルエステル系樹脂溶液に、ハイドロタルサイトを配合する工程;及び
前記溶媒を乾燥除去する工程
を含むビニルエステル系樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記ビニルエステル系樹脂溶液が、前記ビニルエステル系樹脂組成物を構成するビニルエステル系樹脂の製造の途中で生成される溶液である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ビニルエステル系樹脂溶液は、ビニルエステル系モノマーを含む溶液重合により得られる溶液である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ハイドロタルサイトの存在下でビニルエステル系樹脂溶液をケン化する工程をさらに含み、
前記乾燥除去工程は、ケン化後のビニルエステル系樹脂溶液の溶媒を乾燥除去する工程である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記ビニルエステル系樹脂溶液は、ケン化終了後のビニルエステル系樹脂を含む溶液である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記溶媒が、炭素数1〜4の低級アルコールである請求項1〜5のいずれかに記載のビニルアルコール系樹脂の製造方法。
【請求項7】
ケン化度0モル%以上〜65モル%以下のビニルエステル系樹脂粒子中にハイドロタルサイトが分散している樹脂組成物において、
前記ハイドロタルサイトの90%以上の粒子の粒径が600nm以下にて分散していることを特徴とするビニルエステル系樹脂組成物。
【請求項8】
前記ビニルエステル系樹脂100重量部に対して、前記ハイドロタルサイトが0.01〜100重量部含有されている請求項7に記載のビニルエステル系樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−260916(P2008−260916A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60932(P2008−60932)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】