説明

ビニルハウス用パイプ

【課題】ビニルハウスの上部から雪の荷重が加わった時にも、雪の荷重に充分に耐えて、ビニルハウスの倒壊を防ぐことのできる、ビニルハウス用パイプを提供する。
【解決手段】角部が曲面で形成された角形パイプであって、4つの側面を有し、地面に水平に設置した時に上下にある2つの側面の各々の中央に、内側方向に曲面で形成された溝(曲面溝2)と、地面に水平に設置した時に左右にある2つの側面の各々に、中央が内側方向に湾曲するように形成された傾斜面3と、を備え、上部に荷重が加わったときに、まず上部に形成された曲面溝2がこの荷重に反発し、より高い荷重が加わったときには、内部で発生する反発力が傾斜面3に作用することにより、ビニルハウス用パイプが荷重に耐える力を増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビニルハウスの骨格を成す、ビニルハウス用パイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビニルハウスは、図1に示すように、下部は地面に垂直に、上部(屋根部)は丸形になるように曲げて、複数の支柱パイプを一定の間隔で地面に固定し、更に、各々の支柱パイプを連結する横パイプを水平方向に設置して骨格を成す。その後、骨格の外側にビニルシートを結合すれば、ビニルハウスが完成する。
【0003】
しかし、このようなビニルハウスは、強風が吹いたり、冬季の大雪が発生したりする場合には、破損のおそれがあるもので、特に冬季の大雪が発生した場合には、ビニルハウスの屋根への積雪によって支柱パイプがビニルハウスに積もった雪の重さに耐えることができず、崩れ落ちる被害が発生していた。そのため、このような被害を防止するためには、太い支柱パイプを使わなければならないが、太い支柱パイプは高価であるので、例えば貧しい農村では、設置し易くない問題点があった。
【0004】
したがって、前記のような問題点を解決するために、特許文献1に示される支柱パイプが用いられた。これは、従来、使用されている断面が円形のパイプに対し、図2(A)のパイプの断面に示すように、パイプを水平に設置した時に、地面に対して垂直方向となるパイプの上下面に、各々、パイプの内側方向に溝が形成された構造のパイプにすることにより、大雪の際にビニルハウスに積もった雪の重さに耐えることができるようにしたものである。
【0005】
また、他の方法としては、特許文献2に示された支柱パイプも用いられた。これは、図2(B)に示したパイプの断面のように、パイプの水平及び垂直方向の四方に突出した突起が形成された構造としたものであり、大雪の際にビニルハウスに積もった雪の重さに耐えることができるようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】大韓民国特許第318813号
【特許文献2】大韓民国実用新案第249943号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1及び2に示されたパイプは、図1に示す断面が円形のパイプよりは、雪の荷重に耐える力が強いものの、特許文献1のパイプの場合には、図2(A)に示すように、積もった雪の荷重がA方向に作用したとき、パイプの内部空気の圧力はB方向に作用をすることになり、パイプの側面を横方向(B方向)に広げる力が作用して、過多な積雪の場合には、雪の荷重を克服することができない問題点があった。また、特許文献2のパイプの場合には、図2(B)に示すように、A方向に雪の荷重が作用したときには、パイプの水平方向に突出した突起の連結部品に集中荷重Cが加わるので、やはり、雪の荷重に対して充分に耐えることができない問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ビニルハウスの上部から雪の荷重が加わった時にも、雪の荷重に充分に耐えて、ビニルハウスの倒壊を防ぐことのできる、ビニルハウス用パイプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ビニルハウスの骨格を成す支柱となるビニルハウス用パイプにおいて、角部が曲面で形成された角形パイプであって、4つの側面を有し、地面に水平に設置した時に上下にある2つの側面の各々の中央に、内側方向に曲面で形成された溝と、地面に水平に設置した時に左右にある2つの側面の各々に、中央が内側方向に湾曲するように形成された傾斜面と、を備えることを特徴とする、ビニルハウス用パイプが提供される。ここで、本発明の角部が曲面で形成された角形パイプとは、例えば断面形状が円形のパイプを圧着した正方形に近い形状のパイプである。
【0010】
こうしてビニルハウス用パイプを、溝が形成されている側面が上側(屋根側)になるようにして用いることによって、上部からの雪の荷重が加わったときには、上下側面の曲面で形成された溝が雪の荷重に対する反発力を発生させるとともに、上部からの荷重によってパイプ内部に発生する水平方向外側に押す力に対しては、横側面の傾斜面のさらに内側に傾斜しようとする力が、外側に押す力を相殺するように作用するため、パイプが圧搾されて破損するのを防止することができる。
【0011】
ここで、傾斜面の傾斜角度θは、溝が形成された側面に垂直な方向に対して2゜〜5゜であることができる。傾斜面をこのような傾斜角度θにすることにより、上部からの荷重によってパイプ内部に発生する水平方向外側に押す力に対して、相殺するように作用する力を効果的に発生させる事ができる。
【0012】
傾斜面の中央及び両側の変曲点は、曲面上に存在することができる。変曲点の存在する箇所が曲面形状であることによって、荷重に対抗する力が円滑に作用でき、また、荷重が除去されたときには、ビニルハウス用パイプの復元力を高める作用を有することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したように本発明によれば、大雪によってビニルハウスの屋根に過量の雪が積もったとき、ビニルハウス用パイプの上下側面に形成された曲面の溝が、荷重による力に反発し、さらに、左右側面に内側に傾斜するように形成された傾斜面が、内部の反発力を相殺するように作用してパイプが圧搾されるのを防ぎ、パイプの強度が高まるので、大雪による荷重に充分に耐えてビニルハウスの崩壊を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
図3は、本実施の形態によるビニルハウス用パイプを示す斜視図である。また、図4には、本実施の形態によるビニルハウス用パイプの断面が示されており、図3での上部からの荷重に対する作用状態を示す説明図である。さらに、図5には、図4のD部の拡大図が示されている。
【0016】
大雪によってビニルハウスの上部に雪が積もることにより、ビニルハウスに荷重が加わると、ビニルハウスの骨格を成し、ビニルハウスを支えるビニルハウス用パイプである支柱パイプ1は、雪の荷重に対して充分に耐えられなければならない。そのため、本実施の形態による支柱パイプ1は、図3及び図4に示すように、角部が曲面で形成された角形パイプであって、4つの側面を有し4つの側面を有して、地面に水平に設置した時に、上下にある2つの側面の中央の各々に、内側方向に曲面で形成された溝(曲面溝2)と、地面に水平に設置した時に、左右にある2つの側面の各々に、中央が内側方向に窪むように形成された傾斜面3と、を備えている。
【0017】
この際、側面に形成される傾斜面3の傾斜角度は、図5に示すように、曲面溝2が形成された側面に垂直な方向に対してθの角度を有することができる。そして、傾斜面3を成すθの角度は、2゜〜5゜であることが好ましい。また、傾斜面3の中央の変曲点aと両側の変曲点bとは、曲面上に存在することが好ましい。このような本実施の形態の作用を説明すれば次のようである。
【0018】
ビニルハウスの上部に、大雪によって多量の雪が積もったとき、積もった雪の荷重が、図4に示すように、支柱パイプ1の上部からA方向に作用する。この際、支柱パイプ1において、まず、上部に形成された曲面溝2が雪の荷重に対する反発力を発生する。次に、上部に形成された曲面溝2の反発力よりさらに高い荷重が支柱パイプ1に加わった場合には、支柱パイプ1の内部にはB方向に反発力が作用する。このような反発力は、支柱パイプ1の左右側面に対して横方向(水平方向)外側に押す力として作用する。したがって、支柱パイプ1の内側から発生するB方向の力は、内側にθの角度に傾いた側面に作用して、支柱パイプ1が圧搾されることを防止する反発力として作用する。
【0019】
これをより詳細に説明すれば、支柱パイプ1にA方向に荷重が加わったとき、支柱パイプ1の内部で内部空間を維持しようとする力がB方向に作用する。このようなB方向の力は、支柱パイプ1の側面の傾斜面3を外側に押す出す力として作用する。したがって、支柱パイプ1の側面の傾斜面3の中央は、内側にθの角度の傾斜を有することにより、傾斜面3が平らになろうとする現象が発生し、このような現象は上部から加わる荷重に対抗する力として作用して、支柱パイプ1の破損を防止する。
【0020】
この際、傾斜面3の各変曲点a、bの存在する箇所は曲面形状となっていることが好ましい。これは、荷重に対抗する力が円滑に作用するようにして、荷重が除去されたとき、支柱パイプ1の復元力を高める作用をするためのものである。
【0021】
こうして、本実施の形態のビニルハウス用パイプによれば、上部に荷重が加わったときに、一次的には、上部に形成された曲面溝2がこの荷重に反発し、二次的には、つまり、より高い荷重が加わったときには、内部で発生する反発力が傾斜面3に作用することにより、ビニルハウス用パイプが荷重に耐える力を増大させて、ビニルハウスの破損を防止することができるものである。
【0022】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ビニルハウスの骨格を成す、ビニルハウス用パイプに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一般的なビニルハウスの構造を示す斜視図である。
【図2】従来のビニルハウス用パイプの断面を示し、上部からの荷重に対する作用状態を示す説明図であり、(A)はパイプの内側方向に溝が形成された構造のパイプであり、(B)は四方に突出した突起が形成された構造のパイプである。
【図3】本実施の形態によるビニルハウス用パイプを示す斜視図である。
【図4】本実施の形態によるビニルハウス用パイプの断面を示し、図3での上部からの荷重に対する作用状態を示す説明図である。
【図5】図4のD部の拡大図である。
【符号の説明】
【0025】
1 支柱パイプ
2 曲面溝
3 傾斜面
a 変曲点
b 変曲点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルハウスの骨格を成す支柱となるビニルハウス用パイプにおいて;
角部が曲面で形成された角形パイプであって、4つの側面を有し、
地面に水平に設置した時に、上下の2つの前記側面の各々の中央に、内側方向に曲面で形成された溝と、
地面に水平に設置した時に、左右の2つの前記側面の各々に、中央が内側方向に湾曲するように形成された傾斜面と、
を備えることを特徴とする、ビニルハウス用パイプ。
【請求項2】
前記傾斜面の傾斜角度θは、前記溝が形成された側面に垂直な方向に対して2゜〜5゜であることを特徴とする、請求項1に記載のビニルハウス用パイプ。
【請求項3】
前記傾斜面の中央及び両側の変曲点は、曲面上に存在することを特徴とする、請求項1または2に記載のビニルハウス用パイプ


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−213355(P2009−213355A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57021(P2008−57021)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(508070150)
【Fターム(参考)】