説明

ビニル芳香族化合物、共役脂肪族ジエン及びエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルからの水性ポリマー分散液の製造方法

水性ポリマー分散液の製造方法であって、その際、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、共役脂肪族ジエン、例えばブタジエン及びエチレン性不飽和カルボン酸ニトリル、例えばアクリロニトリルを水性媒体中で共重合させる方法を記載する。共重合は、分解澱粉及びラジカル形成開始剤の存在下で行われる。エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーの少なくとも一部は、前記エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルを重合体混合物に添加する前に重合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性ポリマー分散液の製造方法に関し、その際、ビニル芳香族化合物、共役脂肪族ジエン及びエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルを、水性媒体中で、分解澱粉及びラジカル形成開始剤の存在下で共重合させ、その際、該エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルを、残りのモノマーの少なくとも一部が重合した時になって初めて添加する。本発明はまた、該方法に従って製造された水性ポリマー分散液及び、該ポリマー分散液の、バインダー、接着剤、繊維用サイズ剤(Schlichtemittel fuer Fasern)としての、被覆(Ueberzuegen)の製造のための又は紙塗工液(Papierstreichmasse)の製造のための使用に関する。
【0002】
EP−A0536597から、天然澱粉又は化学的に変性された澱粉の水相中での加水分解によって製造され、かつ2500〜25000の質量平均分子量Mwを有する少なくとも1つの澱粉分解生成物の存在下での不飽和モノマーのラジカル乳化重合によって得られる水性ポリマー分散液が公知である。不飽和モノマーとして、例えば、アクリル酸及び/又はメタクリル酸と1〜12個の炭素原子を有するアルコール及び/又はスチレンとのエステル50〜100質量%もしくはスチレン及び/又はブタジエン70〜100質量%を含有するモノマー混合物が使用される。ポリマー分散液は、バインダー、接着剤、繊維用サイズ剤又は被覆の製造のために使用される。
【0003】
WO99/09251から、澱粉−コポリマー生成物と該生成物の製造方法が公知である。澱粉−コポリマー生成物は、澱粉と、ラジカル重合可能な少なくとも1つのモノマーとの反応生成物と理解され得る。かかる生成物の水性分散液を製造するために、水溶液中で25℃の温度で0.07〜0.35dl/gの固有粘度を有する分解澱粉の水溶液又は分散液が使用される。重合は、重合温度に加熱された分解澱粉の水溶液又は分散液にまずモノマーとラジカル開始剤の一部を添加し、そして重合の開始後に、さらなる分量のモノマーと開始剤を計量供給し、その際、全体のモノマーの少なくとも75%を、重合開始から1時間を超えた後に添加するように行われる。分散液は、被覆の製造のために、かつ紙製品用のバインダーとして使用される。かかる製品の結合力は、しかしながら十分ではない。
【0004】
WO03/091300から、(a)スチレン及び/又はメチルスチレン0.1〜99.9質量%、(b)ブタジエン−1,3及び/又はイソプレン0.1〜99.9質量%及び(c)その他のエチレン性不飽和モノマー0〜40質量%(その際、モノマー(a)、(b)及び(c)の合計は100質量%である)の、これらの使用されるモノマーに対して10〜40質量%の、500〜40000の分子量Mnを有する少なくとも1つの分解澱粉及び水溶性レドックス触媒の存在下でのラジカル開始共重合によって得られる水性ポリマー分散液が公知である。これらのポリマー分散液は、紙、厚紙及びボール紙用のエンジンサイズ剤及び表面サイズ剤として使用される。それらの結合力は乏しいものであるため、例えば、紙塗工液中でのバインダーとして適していない。
【0005】
ビニル芳香族化合物と脂肪族ジエンとからのコポリマーを基礎とする紙塗工液用の公知のバインダーは、まだあらゆる面で完全に満足のいくものではない。所望されるのは、殊に、高い結合力を有するバインダー及び、バインダーを含有し、良好な表面強度、例えば良好なドライピック強度及び良好なウェットピック強度を有する紙塗工剤である。ビニル芳香族化合物、脂肪族ジエン及びアクリロニトリルとからの水性乳化共重合体の場合、不所望な凝塊形成(Kogulatbildung)が生じる可能性があるため、不安定となる恐れがある。
【0006】
本発明の基礎を成している課題は、ビニル芳香族化合物と共役脂肪族ジエンとからの共重合体を基礎とする水性ポリマー分散液を提供することであり、その際、該分散液は、高い結合力、可能な限り低い凝塊形成及び、紙塗工液中で使用した場合に良好な表面強度と高速機での良好な流動挙動(Laufverhalten)を保証すべきである。
【0007】
該課題は本発明に従って、水性ポリマー分散液の製造方法により解決され、その際、
(a)少なくとも1つのビニル芳香族化合物、
(b)少なくとも1つの共役脂肪族ジエン及び
(c)少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸ニトリル
を水性媒体中で共重合させ、その際、モノマーの共重合を、分解澱粉及びラジカル形成開始剤の存在下で行い、かつ、その際、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーの少なくとも一部を、該エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルを重合混合物に添加する前に重合させる。これは本発明に従って、重合反応の開始時に、重合混合物中に、どんな場合にも、実質的な量のエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルが含まれていないことを意味する。その際、実質的な量は、重合に際して、実質的な量の凝塊、殊に100ppm以上の凝塊が生ずる量である。重合混合物は、装入されたモノマー又は重合容器に供給されたモノマーと、すでに形成されたポリマーとからの混合物である。
【0008】
好ましくは、
(a)少なくとも1つのビニル芳香族化合物19.8〜80質量部、
(b)少なくとも1つの共役脂肪族ジエン19.8〜80質量部、
(c)少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸ニトリル0.1〜19質量部、
(d)少なくとも1つのエチレン性不飽和酸0.1〜10質量部及び
(e)少なくとも1つのその他のモノエチレン性不飽和モノマー0〜20質量部
が使用され、その際、モノマー(a)〜(e)の質量部の合計は100である。
【0009】
水性ポリマー分散液は、例えば、乳化共重合に際して、
(a)スチレン及び/又はメチルスチレン19.8〜80、好ましくは25〜70質量部、
(b)1.3−ブタジエン及び/又はイソプレン19.8〜80、好ましくは25〜70質量部、
(c)アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリル0.1〜19質量部、
(d)少なくとも1つのエチレン性不飽和酸0.1〜10質量部及び
(e)少なくとも1つのその他のモノエチレン性不飽和モノマー0〜20質量部
からのモノマー混合物を使用することによって得られ、その際、モノマー(a)〜(e)の質量部の合計は100である。
【0010】
(a)群のモノマーとして、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン及び/又はビニルトルエンが考慮に入れられる。モノマーのこの群から、好ましくはスチレンが使用される。重合に際して総じて使用されるモノマー混合物100質量部は、例えば、(a)群の少なくとも1つのモノマー19.8〜80質量部、好ましくは25〜70質量部を含有する。
【0011】
(b)群のモノマーは、例えば、ブタジエン−1,3、イソプレン、ペンタジエン−1,3、ジメチルブタジエン−1,3及びシクロペンタジエンである。モノマーのこの群から、好ましくはブタジエン−1,3及び/又はイソプレンが使用される。乳化重合に際して総じて使用されるモノマー混合物100質量部は、例えば、(b)群の少なくとも1つのモノマー19.8〜80質量部、好ましくは25〜70質量部、殊に25〜60質量部を含有する。
【0012】
(c)群のモノマーは、例えばアクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。(c)群のモノマーは、モノマー混合物100質量部につき、0.1〜19質量部、好ましくは2〜12質量部、殊に4〜9質量部の量で使用される。
【0013】
(d)群のモノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸及びビニルホスホン酸である。エチレン性不飽和カルボン酸として、分子中に3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸が使用される。これらの例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸及びビニル乳酸である。エチレン性不飽和スルホン酸として、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート及びスルホプロピルメタクリレートが適している。
【0014】
該酸基を含有する(d)群のモノマーは、重合に際して、遊離酸の形態で、並びに適した塩基で部分的又は完全に中和された形態で使用されることができる。好ましくは、中和剤として、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液又はアンモニアが使用される。乳化重合に際して使用されるモノマー混合物100質量部は、例えば、(d)群の少なくとも1つのモノマー10質量部、好ましくは0.1〜8質量部又は1〜6質量部を含有する。
【0015】
(e)群のモノマーとして、その他のモノエチレン性不飽和化合物が考慮に入れられる。これらの例は、エチレン性不飽和カルボン酸アミド、例えば、殊にアクリルアミド及びメタクリルアミド、飽和C1〜C18−カルボン酸のビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル、並びにアクリル酸及びメタクリル酸と一価のC1〜C18−アルコールとのエステル、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、s−ブチルアクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、飽和カルボン酸のアリルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、エチレン性不飽和カルボン酸のジアルキルエステル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、N−ビニルホルムアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。モノマーのこの群は、場合により、ポリマーの変性のために使用される。乳化重合に際して使用されるモノマー混合物100質量部は、例えば、(d)群の少なくとも1つのモノマー0〜20質量部、又は0.1〜15質量部、殊に0.5〜10質量部を含有する。
【0016】
乳化共重合に際して、例えば、モノマー100質量部につき、分解澱粉15〜60質量部が使用される。本発明により使用されるべき分解澱粉の製造のための基礎澱粉として、全ての天然澱粉、例えばトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、エン麦澱粉、大麦澱粉、米澱粉、キビ澱粉、ジャガイモ澱粉、エンドウ豆澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉又はサゴ澱粉が適している。そのうえ、高いアミロペクチン含有率を有する天然澱粉、例えばワキシーコーン澱粉及びワキシーポテト澱粉が重要である。これらの澱粉のアミロペクチン含有率は、90%を上回り、たいていの場合、95〜100%である。エーテル化又はエステル化によって化学的に変性された澱粉も、本発明によるポリマー分散液の製造のために使用されることができる。かかる製品は公知であり、かつ市販されている。それらは、例えば、無機酸又は有機酸、それらの無水物又は塩化物による天然澱粉又は分解天然澱粉のエステル化によって製造される。特に重要なのは、リン酸化及びアセチル化された分解澱粉である。澱粉をエーテル化するために最も頻繁に用いられている方法は、有機ハロゲン化合物、エポキシド又はスルフェートを用いてアルカリ水溶液中で澱粉を処理することである。公知の澱粉エーテルは、アルキルエーテル、ヒドロキシアルキルエーテル、カルボキシアルキルエーテル及びアリルエーテルである。そのうえ、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドとの反応生成物が適している。特に有利なのは、分解天然澱粉、殊にマルトデキストリンに分解された天然澱粉である。さらに別の適した澱粉は、カチオン変性澱粉、すなわち、アミノ基又はアンモニウム基を有する澱粉化合物である。
【0017】
澱粉の分解は、酵素により、酸化により又は酸あるいは塩基の作用による加水分解により行われることができる。分解澱粉は市販されている。しかしながら、天然澱粉も、例えば、まず酵素により水性媒体中で分解させることができ、かつ酵素分解の停止後に、そのようにして得られた分解澱粉の水溶液もしくは水分散液中で、モノマーの乳化重合を本発明により実施することができる。分解澱粉は、例えば、0.07dl/g未満又は0.05dl/g未満の固有粘度ηiを有する。分解澱粉の固有粘度ηiは、好ましくは、0.02〜0.06dl/gの範囲にある。固有粘度ηiは、23℃の温度でDIN EN1628に従って測定される。
【0018】
乳化重合に際して使用される分解澱粉の量は、重合されるべきモノマー100質量部に対して、好ましくは20〜50質量部、殊に30〜45質量部である。
【0019】
本発明による方法の有利な一実施形態では、分解澱粉の水溶液又は水分散液及び開始剤少なくとも30質量%と一緒に、総じて重合されるべきモノマー1〜10質量が水性媒体中に装入される。好ましくは、装入されたモノマーの場合、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリル、殊にアクリロニトリルは含まれていない。残りのモノマー及び残りの開始剤は、次いで、重合の開始後に重合条件下で、しかしながら、互いに別々に装入物に計量供給される。乳化重合に際して、好ましくは、0.02〜0.06dl/gの固有粘度ηiを有する分解された天然澱粉が使用される。重合条件は、装入物における反応混合物が、重合が進行するのに必要な温度に加熱されていることと理解されるべきである。これらの温度は、例えば80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。重合は、好ましくは加圧下で、例えば15barまでの圧力で、例えば2〜10barで実施される。
【0020】
本発明による方法では、通常、反応条件下でラジカルを形成する開始剤が使用される。適した重合開始剤は、例えば、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸ナトリウム又は過硫酸カリウム、レドックス触媒及びアゾ化合物、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドである。さらに別の適した開始剤の例は、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルピバレート、t−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジアミルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(o−トルイル)ペルオキシド、スクシニルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルマレエート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルオクトエート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチロアミジン)ジヒドロクロリドである。有利なのは、ペルオキソジスルフェート、ペルオキソスルフェート、アゾ開始剤、有機ペルオキシド、有機ヒドロペルオキシド及び過酸化水素の群から選択された開始剤である。特に有利には、水溶性開始剤、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム及び/又はペルオキソ二硫酸アンモニウムが使用される。重合は、高エネルギー放射線、例えば電子線を用いてか又はUV光の照射によっても開始されることができる。
【0021】
開始剤は、例えば、重合されるべきモノマーに対して2質量%までの量で、好ましくは少なくとも0.9質量%、例えば1.0〜1.5質量%の量で使用される。好ましくは、開始剤の少なくとも30質量%が、分解澱粉と一緒に水性媒体中に装入され、かつモノマー並びに残りの開始剤は、この装入物に重合条件下で計量供給される。
【0022】
本発明によるポリマー分散液を製造するために、例えば、混合装置が備え付けられている加熱可能な反応器中に、上記の分解澱粉の水溶液及び、好ましくは少なくとも30質量%の総じて必要な開始剤量が装入される。装入物中の開始剤の量は、好ましくは、総じてモノマーの重合に必要とされる量のせいぜい90質量%、たいていは60質量%を上回らない。分解澱粉は、モノマーの良好な分散と、生ずる微細なポリマーの安定をもたらす。乳化重合に際して、少なくとも部分的に分解澱粉のグラフト化が行われ、それによって、分解澱粉は、生ずるポリマーにしっかりと組み込まれる。
【0023】
水性媒体中でのモノマーの分散を促進するために、通常、分散剤として使用される保護コロイド及び/又は乳化剤を使用してよい。適した保護コロイドの詳細な説明は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,volume XIV/1,Makromolekulare Stoffe,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961,pages 411 to 420に見られる。乳化剤として、その数平均分子量が、通常、2000g/モルを下回る、又は好ましくは1500g/モルを下回る界面活性物質が考慮に入れられ、一方で、保護コロイドの数平均分子量は、2000g/モルを上回り、例えば2000〜100000g/モル、殊に5000〜50000g/モルである。
【0024】
適した乳化剤は、例えば、3〜50のエトキシ化度を有するエトキシ化C8〜C36−脂肪アルコール、3〜50のエトキシ化度を有するエトキシ化モノ−、ジ−及びトリ−C4〜C12−アルキルフェノール、スルホコハク酸のジアルキルエステルのアルカリ金属塩、C8〜C12−アルキルスルフェートのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、C12〜C18−アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩及びC9〜C18−アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。カチオン活性乳化剤は、例えば、少なくとも1個のアミノ基又はアンモニウム基及び少なくとも1個のC8〜C22−アルキル基を有する化合物である。乳化剤及び/又は保護コロイドが助剤としてモノマーの分散のために併用される場合、それに関して使用される量は、例えば、モノマーに対して0.1〜5質量%である。
【0025】
そのうえ装入物は、さらにポリスチレンシード、すなわち、粒径20〜40nmを有する微細なポリスチレンの水性分散液を含有してよい。
【0026】
ポリマーの特性に変更を加えるために、乳化重合は、場合により少なくとも1つの重合調節剤の存在下で実施されることができる。重合調節剤の例は、硫黄を結合した形態で含有する有機化合物、例えばドデシルメルカプタン、チオジグリコール、エチルチオエタノール、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジイソプロピルジスルフィド、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、1,4−メルカプトブタノール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸及びチオ尿素である。さらに別の重合調節剤は、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒド、有機酸、例えばギ酸、ギ酸ナトリウム又はギ酸アンモニウム、アルコール、例えば、殊にイソプロパノール並びにリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムである重合に際して調整剤が使用される場合、そのつど使用される量は、重合に際して使用されるモノマーに対して、例えば0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。該調整剤は、好ましくはモノマーと一緒に装入物に計量供給される。それらは、しかしながら、部分的に又は完全に装入物中に存在していてもよい。それらは、段階的にモノマーに対してずらして計量供給してもよい。
【0027】
乳化重合は水性媒体中で行われる。これは、例えば完全に脱塩された水又は、水及びそれと混和可能な溶媒、例えばメタノール、エタノール又はテトラヒドロフランとから混合物であってよい。モノマーを重合させるために、まず分解澱粉の水溶液が準備される。この溶液は、場合により保護コロイド及び/又は乳化剤を溶解した形で、並びに場合によりポリスチレンシードを含有してよい。装入物として用いられる水溶液は、総じて必要とされる開始剤量の少なくとも30%が装入物に加えられる前に、好ましくは、モノマーの重合が行われるべき温度にか又は、例えば重合温度よ5〜20℃低い温度に加熱される。そのつど所望の重合温度に達するのと同時に、又は重合温度に達してから1〜15分、好ましくは5〜15分の時間内にモノマーの計量供給が開始される。それらは例えば、連続的に、例えば60分〜10時間、たいてい2〜4時間以内に反応器中にポンプ供給してよい。
【0028】
少なくともエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルに関しては、段階的に添加が行われる。その際、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルの添加が開始される前に、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーの少なくとも一部が装入されるか又は装入物に計量供給される。有利な一実施形態において、全てのモノマーの全量に対して、少なくとも10質量%、特に有利には少なくとも20質量%又は少なくとも30質量%の、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーが、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルの添加を始める前に水性媒体中に重合条件下で装入され、かつ/又は重合混合物に重合条件下で添加される。その際、例えば、残留モノマーの供給を始める前に、モノマーの少なくとも1質量%、特に有利には少なくとも3質量%又は少なくとも5質量%を装入してよい。重合混合物は、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルの添加の開始時に、好ましくは、少なくとも10質量部、好ましくは少なくとも20質量部又は少なくとも30質量部が、すでに生じた(カルボン酸ニトリル不含の)ポリマーから成る。殊に、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマー、殊にスチレン及び1,3−ブタジエンの好ましくは少なくとも10質量%、特に有利には少なくとも20質量%又は少なくとも30質量%が、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルの添加を開始する前にすでに重合している。
【0029】
本発明により作製されたポリマー粒子においては、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリル、殊にアクリロニトリルから誘導された単位が、主としてポリマー粒子の表面上又は外側の層に存在していると推測される。ポリマー粒子のコアは、シェルより低い濃度のエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルから誘導された単位を有するものと推測される。
【0030】
段階的に行われるその他のモノマーの添加、殊にモノマーd)の段階的な添加も可能である。本発明による方法の有利な一実施形態において、総じて重合されるべきモノマーの1〜10質量%が装入される。この場合、モノマーが、好ましくは前述の成分と一緒に装入され、次いで反応器の内容物が重合温度に加熱され、その際、開始剤量の少なくとも30質量%が、好ましくは、上記のように重合温度に達する少し前に添加され、次いで残留モノマーが上で示したように計量供給される。装入されたモノマーには、本発明により、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルは含まれていない。これは本発明により、いずれの場合にもエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルの実質的な量が含まれていないことを意味する。その際、実質的な量は、重合に際して、実質的な量の凝塊、殊に100ppm以上の凝塊を生じる量である。
【0031】
重合の完了後、場合により、さらに別の開始剤を反応混合物に添加し、かつ後重合を、主たる重合と同じ温度、主たる重合より低い温度又は高い温度でも実施してよい。重合反応を完全なものにするには、たいていの場合、反応混合物を、全部のモノマーの添加後になお、重合温度で、例えば1〜3時間攪拌するので十分である。
【0032】
pH値は、重合中、例えば1〜5であってよい。重合後にpH値は、例えば6〜7の値に調整される。実際に凝塊不含の水性分散液が得られる。凝塊の量はppmの範囲にあり、かつ好ましくは100ppm未満、殊に50ppm未満である。
【0033】
その分散した粒子が好ましくは80〜150nmの平均粒径を有する水性ポリマー分散液が得られる。ポリマー粒子の平均粒径は、Malvern Instruments社(England)のAutosizer IICを用いて、23℃にて0.005〜0.01質量%の水性ポリマー分散液に対する動的光散乱によって測定されることができる。データは、そのつどISO規格13321に従って測定された自己相関関数の累積評価(累積z平均)の平均直径に関するものである。
【0034】
一実施形態において、本発明による水性ポリマー分散液の固体含有率は、55質量%を上回り、例えば少なくとも60質量%である。相応して高い固体含有率は、例えば、乳化重合に際して使用される水量及び/又はモノマー量の相応する調整によって行われることができる。
【0035】
一実施形態において、乳化重合は、乳化剤不含で、かつ/又はポリマーシードを使用せずに行われる。
【0036】
本発明による水性ポリマー分散液は、バインダー、接着剤、繊維用サイズ剤として、被覆の製造のために又は紙塗工液の製造のために使用される。本発明による水性ポリマー分散液は、紡績繊維のサイジングにも、鉱物繊維、殊にガラス繊維のサイジングにも適している。殊に、コポリマーの低いガラス転移温度(例えば20℃より小さい)をもたらすコモノマーを使用した場合の、その良好な接着力に基づき、そのうえ、それらは接着剤として及び被覆の製造のために使用されることもできる。有利には、本発明による水性ポリマー分散液は、バインダーとして紙塗工液中で使用される。
【0037】
それゆえ本発明の対象はまた、
(i)無機顔料及び
(ii)上記の、本発明による方法に従って得られる水性ポリマー分散液及び、場合によりさらなる添加剤
を含有する紙塗工液である。
【0038】
紙塗工液は、水以外に、一般的に、顔料、バインダー及び助剤、必要なレオロジー特性の調整のために、例えば増粘剤を含有する。顔料は、通常、水に分散されている。紙塗工液は、顔料を、固体全体の含有率に対して、好ましくは少なくとも80質量%、例えば80〜95質量%又は80〜90質量%の量で含有する。考慮に入れられるのは、殊に白色顔料である。適した顔料は、例えば、金属塩顔料、例えば硫酸カルシウム、アルミン酸硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムであり、それらの中で、炭酸塩顔料、殊に炭酸カルシウムが有利である。炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム(GCC、natural ground calcium carbonat)、沈降炭酸カルシウム(PCC、precipitated calcium carbonat)、石灰又は白亜であってよい。適した炭酸カルシウム顔料は、例えば、Covercarb(R)60、Hydrocarb(R)60又はHydrocarb(R)90MEとして入手可能である。さらに別の適した顔料は、例えば、ケイ酸、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、アルミナ、タルク又は二酸化ケイ素である。さらに別の適した顔料は、例えば、Capim(R)MP 50(クレー)、Hydragloss(R)90(クレー)又はTalcum C10である。
【0039】
紙塗工液は、少なくとも1つのバインダーを含有する。本発明により製造されたポリマー分散液は、紙塗工液中で唯一のバインダーとして、又はさらに別のバインダーと組み合わせて使用することができる。紙塗工液中でのバインダーの最も重要な機能は、顔料を紙に結合させ、かつ顔料同士を結合させることと、部分的に顔料粒子間の空洞部を満たすことである。顔料100質量部につき、例えば、有機バインダー1〜50質量部、好ましくは1〜25質量部又は5〜20質量部が使用される(固体、すなわち、水又はそれ以外の21℃、1barで液体の溶媒を含まない)。
【0040】
さらに別のバインダーとして考慮に入れられるのは、天然主成分のバインダー、殊に澱粉系のバインダー並びに本発明により製造される重合体とは異なる合成バインダー、殊に乳化重合によって製造可能な乳化重合体である。澱粉系のバインダーとは、この文脈では、天然の、変性された又は分解された各々の澱粉と解されるべきである。天然の澱粉は、アミロース、アミロペクチン又はそれらの混合物から成ってよい。変性された澱粉は、酸化澱粉、澱粉エステル又は澱粉エーテルであってよい。加水分解によって、澱粉の分子量は低下され得る(分解澱粉)。分解生成物として、オリゴ糖又はデキストリンが考慮に入れられる。有利な澱粉は、穀類澱粉、トウモロコシ澱粉及びジャガイモ澱粉である。特に有利なのは、穀類澱粉及びトウモロコシ澱粉、極めて有利なのは、穀類澱粉である。
【0041】
本発明により製造される重合体とは異なる、さらに別の合成バインダーは、好ましくは少なくとも40質量%が、有利には少なくとも60質量%が、特に有利には少なくとも80質量%が、いわゆる主モノマーから成る。主モノマーは、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、炭素原子20個までを含むカルボン酸のビニルエステル、炭素原子20個までを含むビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ビニルハロゲン化物、炭素原子1〜10個を含むアルコールのビニルエーテル、炭素原子2〜8個及び1個又は2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素又はこれらのモノマーの混合物から選択されている。例えば、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。殊に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。炭素原子1〜20個を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えば、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル及び酢酸ビニルである。ビニル芳香族化合物として、ビニルトルエン、α−及びp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン及び、好ましくはスチレンが考慮に入れられる。ニトリルの例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。ビニルハロゲン化物は、塩素、フッ素又は臭素で置換されたエチレン性不飽和化合物、有利には塩化ビニル及び塩化ビニリデンである。ビニルエーテルとして、例えば、ビニルメチルエーテル又はビニルイソブチルエーテルが挙げられる。炭素原子1〜4個を含むアルコールのビニルエーテルが有利である。炭素原子2〜8個及び1個又は2個のオレフィン性二重結合を有する炭化水素として、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレンが挙げられる。
【0042】
有利な主モノマーは、C1〜C10−アルキル(メタ)アクリレート及びアルキル(メタ)アクリレートとビニル芳香族化合物、殊にスチレンとの混合物、又は2個の二重結合を有する炭化水素、殊にブタジエン、又はこの種の炭化水素とビニル芳香族化合物、殊にスチレンとの混合物である。脂肪族炭化水素(殊にブタジエン)とビニル芳香族化合物(殊にスチレン)との混合物の場合、その比は、例えば、10:90〜90:10、殊に20:80〜80:20であってよい。特に有利な主モノマーはブタジエンであり、またブタジエン及びスチレンの前述の混合物である。
【0043】
主モノマー以外に、バインダーとして適した乳化重合体は、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマーを含有してよい。有利なのはカルボン酸基である。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸が挙げられる。乳化重合体中でのエチレン性不飽和酸の含有率は、一般的に、10質量%より小さく、好ましくは8質量%より小さく、かつ少なくとも0.1質量%又は少なくとも1質量%である。さらに別のモノマーは、例えば、ヒドロキシル基を含むモノマー、殊にC1〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はアミド、例えば(メタ)アクリルアミドでもある。
【0044】
合成ポリマーが使用される場合、天然バインダー、例えば澱粉も併用してよいが、しかしながら、絶対に必須であるというわけではない。
【0045】
本発明による紙塗工液は、付加的に、さらなる添加剤及び助剤、例えば、充填剤、コバインダー及び増粘剤を、粘度及び保水性をさらに最適化するために、蛍光増白剤、分散剤、界面活性剤、滑剤(例えばステアリン酸カルシウム及びワックス)、中和剤(例えば、NaOH又は水酸化アンモニウム)を、pH値調整のために、泡止め剤、脱気剤、保存剤(例えば殺生剤)、均展剤、染料(殊に可溶性染料)等を含有してよい。増粘剤として、合成重合体(例えば架橋ポリアクリレート)以外に、殊にセルロース、好ましくはカルボキシメチルセルロースが考慮に入れられる。蛍光増白剤は、例えば、蛍光色素又はリン光色素、殊にスチルベンである。
【0046】
紙塗工液は、好ましくは、水性紙塗工液であり;それは水を、殊に、すでに構成成分が調製された形態によって含有する(水性ポリマー分散液、水性顔料スラリー);所望の粘度は、さらなる水の添加によって調整されることができる。紙塗工液の通常の固体含有率は、30〜70質量の範囲にある。紙塗工液のpH値は、好ましくは、6〜10の値、殊に7〜9.5に調整される。
【0047】
本発明の一実施形態は、紙塗工液に関し、その際、本発明により製造された水性ポリマー分散液の重合体は、顔料の全量に対して1〜50質量部の量で使用され、かつ、その際、該顔料は、固体全体の含有率に対して80〜95質量部の量で含有されており、かつ硫酸カルシウム、アルミン酸硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、アルミナ、タルク又及び二酸化ケイ素から成る群から選択されており、かつ、その際、該紙塗工液は、付加的に、増粘剤、さらなるポリマーバインダー、コバインダー、蛍光増白剤、充填剤、均展剤、分散剤、界面活性剤、滑剤、中和剤、泡止め剤、脱気剤、保存剤及び染料から成る群から選択された少なくとも1つの助剤を含有する。
【0048】
本発明の対象はまた、本発明による紙塗工液でコーティングされた紙又はボール紙、及び紙又はボール紙を塗工する方法であり、その際、
− 水性分散液が、本発明により製造され;かつ
− このポリマー分散液、少なくとも1つの顔料及び任意のさらなる助剤を用いて紙塗工液が製造され;かつ紙塗工液は、紙又はボール紙の少なくとも1つの表面に施与される。
【0049】
紙塗工液は、好ましくは、未コーティングの原紙又は未コーティングのボール紙に施与される。その量は、1平方メートル当たり、一般的に1〜50g、好ましくは5〜30g(固体、すなわち、水又はそれ以外の21℃、1barで液体の溶媒を含まない)である。コーティングは、通常の施与方法によって、例えば、サイズプレス、フィルムプレス、ブレードコーター、エアブラシ、ナイフコーター、カーテンコーティング方法(curtain coating)又はスプレーコーターを用いて行うことができる。顔料系に応じて、紙塗工液中の水溶性コポリマーの水性分散液は、下塗り用及び/又は上塗り用に使用することができる。本発明による製造方法の場合、凝塊形成が実質的に抑えられる。本発明による紙塗工液は、良好な応用技術的特性を有する。それらは紙加工方法において良好な流動挙動及び高い結合力を有する。コーティングされた紙及びボール紙は、良好な表面強度、殊に非常に高いウェットピック強度及びドライピック強度を有する。それらは、通常の印刷方法、例えば凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、デジタル印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、新聞印刷、活版印刷、昇華印刷、レーザー印刷、電子写真印刷又はこれらの印刷方法の組み合わせにおいて良好に印刷可能である。
【実施例】
【0050】
文脈から他に判明しない限り、パーセント記載のデータは常に質量パーセントを意味する。含有率のデータは、水溶液又は分散液中での含有率に関するものである。
【0051】
固体含有率は、そのつどの水性共重合体分散液の定義された量(約5g)を140℃にて乾燥炉中で恒量になるまで乾燥させることによって測定する。そのつど2回の別々の測定を実施し、かつ平均値を出す。
【0052】
ガラス転移温度の測定は、DIN 53765に従い、Mettler−Toledo Int.Inc社のDSC820装置(TA8000シリーズ)を用いて行った。
【0053】
分散液中の凝塊の量は、その直径が>45μmの粒子に関するものである。該量は、仕上がった分散液を、公知の孔径を有する篩によって濾過することにより測定する。
【0054】
ポリマー粒子の平均粒径は、Malvern Instruments社(England)のAutosizer IICを用いて、23℃にて0.005〜0.01質量%の水性ポリマー分散液に対する動的光散乱によって測定する。測定された自己相関関数(ISO規格13321)の累積評価(累積z平均)の平均直径を示す。
【0055】
固有粘度ηiは、DIN EN 1628に従って、23℃の温度で測定する。
【0056】
実施例では、以下の装入物質を使用した:
乳化剤A:アリールスルホネート(Cognis社のDisponil(R)LDPS 20)
分解澱粉A:0.052dl/gの固有粘度ηiを有する、市販の67%の水性マルトデキストリン
【0057】
例1(比較例、アクリロニトリルを始めから計量供給)
MIG撹拌機及び3つの計量供給装置が備え付けられた6Lの加圧反応器に、室温で、かつ窒素雰囲気下で、脱イオン水320g、33質量%の水性ポリスチレンシード41g(粒径30nm)、乳化剤A16質量部、分解澱粉A1080gを装入し、そのつど5質量%の供給物1A及び1Bを装入した。引き続き、反応器の内容物を、撹拌下(180rpm)で90℃に加熱した。85℃の温度に達したのと同時に、7質量%の過硫酸ナトリウム水溶液128gを添加した。10分後に、同時に開始する形で、供給物1A及び供給物1Bの全量を360分以内に計量供給し、かつ供給物2を390分以内に、変わらない流量で連続的に計量供給した。全体の計量供給時間にわたって、供給物1A及び供給物1Bの流量を、反応器に入る前に均質化した。それに続けて、反応器の内容物をなお、90℃で2時間、後反応させた。その後、反応器の内容物を室温に冷却し、15質量%の水性NaOHでpH値を6.5に調整し、かつ圧力容器を大気圧に放圧した。
【0058】
供給物1A
脱イオン水836g
15質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液12g
アクリル酸72g
イタコン酸9g
からの均質な混合物
供給物1B
スチレン900g
アクリロニトリル126g
t−ドデシルメルカプタン18g
ブタジエン702g
からの均質な混合物
供給物2
3.5質量%の過硫酸ナトリウム水溶液257g
得られた水性分散液(D1)は、後重合時間中に大量に凝塊を形成した。形成された凝塊を、分散液から篩(メッシュ幅 100ミクロン)を介した濾過によって分離除去した。
【0059】
例2(比較例、アクリロニトリルを始めから計量供給)
MIG攪拌機及び3つの計量供給装置が備え付けられた6Lの加圧反応器に、室温で、かつ窒素雰囲気下で、脱イオン水593g、33質量%の水性ポリスチレンシード41g(粒径30nm、Cognis社の乳化剤、Disponil(R)LDPS 20 16質量部を伴う)及び67質量%のマルトデキストリン(Roclys C1967S、Roquette)806g及びそのつど5質量%の供給物1A及び1Bを装入した。引き続き、反応器の内容物を、攪拌下(180rpm)で90℃に加熱し、そして85℃に達したら7質量%の過硫酸ナトリウム水溶液128gを添加した。10分後に、同時に開始する形で、供給物1A及び供給物1Bの全量を360分以内に計量供給し、かつ供給物2を390分以内に、変わらない流量で連続的に計量供給した。全体の計量供給時間にわたって、供給物1A及び供給物1Bの流量を、反応器に入る前に均質化した。それに続けて、反応器の内容物をなお、90℃で2時間、後反応させた。その後、反応器の内容物を室温に冷却し、15質量%の水性NaOHでpH値を6.5に調整し、かつ圧力容器を大気圧に放圧した。
【0060】
供給物1A
脱イオン水837g
15質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液14g
アクリル酸72g
イタコン酸9g
からの均質な混合物
供給物1B
スチレン882g
アクリロニトリル72g
t−ドデシルメルカプタン20g
ブタジエン793g
からの均質な混合物
供給物2
3.5質量%の過硫酸ナトリウム水溶液257g
得られた水性分散液(D2)は、該水性分散液の全質量に対して52.4質量%の固体含有率を有しており、かつ470ppmの凝塊を含んでいた。該分散液は、高い凝塊含有率に基づき濾過可能ではなかった。ガラス転移温度は5℃、かつ平均粒径は160nmと測定された。
【0061】
例3(アクリロニトリルを後から計量供給)
MIG撹拌機及び3つの計量供給装置が備え付けられた6Lの加圧反応器に、室温で、かつ窒素雰囲気下で、脱イオン水320g、33質量%の水性ポリスチレンシード41g(粒径30nm)、乳化剤A16質量部、分解澱粉A1080gを装入し、そのつど5質量%の供給物1A及び1Bを装入した。引き続き、反応器の内容物を、撹拌下(180rpm)で90℃に加熱した。85℃の温度に達したのと同時に、7質量%の過硫酸ナトリウム水溶液128gを添加した。10分後に、同時に開始する形で、供給物1A及び供給物1Bの全量を360分以内に計量供給し、かつ供給物2を390分以内に、変わらない流量で連続的に計量供給した。全体の計量供給時間にわたって、供給物1A及び供給物1Bの流量を、反応器に入る前に均質化した。供給物1Cを、供給物1A及び1Bの供給開始から120分後に初めて、240分にわたり連続的に計量供給する。引き続き、反応器の内容物をなお、90℃で2時間、後反応させた。その後、反応器の内容物を室温に冷却し、15質量%の水性NaOHでpH値を6.5に調整し、かつ圧力容器を大気圧に放圧した。形成された凝塊を、分散液から篩(メッシュ幅 100ミクロン)を介した濾過によって分離除去した。
【0062】
供給物1A
脱イオン水836g
15質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液12g
アクリル酸72g
イタコン酸9g
からの均質な混合物
供給物1B
スチレン900g
t−ドデシルメルカプタン18g
ブタジエン702g
からの均質な混合物
供給物1C
アクリロニトリル126g
供給物2
3.5質量%の過硫酸ナトリウム水溶液257g
得られた水性分散液(D3)は、該水性分散液の全質量に対して52質量%の固体含有率を有しており、かつ21ppmの凝塊を含んでいた。ガラス転移温度は3℃、かつ粒径は140nmと測定された。
【0063】
例4(アクリロニトリルを後から計量供給)
MIG攪拌機及び3つの計量供給装置が備え付けられた6Lの加圧反応器に、室温で、かつ窒素雰囲気下で、脱イオン水593g、33質量%の水性ポリスチレンシード41g(粒径30nm、Cognis社の乳化剤、Disponil(R)LDPS 20 16質量部を伴う)及び67質量%のマルトデキストリン(Roclys C1967S、Roquette)806g及びそのつど5質量%の供給物1A及び1Bを装入した。引き続き、反応器の内容物を、攪拌下(180rpm)で90℃に加熱し、そして85℃に達したら7質量%の過硫酸ナトリウム水溶液128gを添加した。10分後に、同時に開始する形で、供給物1A及び供給物1Bの全量を360分以内に計量供給し、かつ供給物2を390分以内に、変わらない流量で連続的に計量供給した。全体の計量供給時間にわたって、供給物1A及び供給物1Bの流量を、反応器に入る前に均質化した。供給物1Cを、供給物1A及び1Bの供給開始から120分後に初めて、240分にわたり連続的に計量供給する。それに続けて、反応器の内容物をなお、90℃で2時間、後反応させた。その後、反応器の内容物を室温に冷却し、15質量%の水性NaOHでpH値を6.5に調整し、かつ圧力容器を大気圧に放圧した。
【0064】
供給物1A
脱イオン水837g
15質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液14g
アクリル酸72g
イタコン酸9g
からの均質な混合物
供給物1B
スチレン882g
t−ドデシルメルカプタン20g
ブタジエン793g
からの均質な混合物
供給物1C
アクリロニトリル72g
供給物2
3.5質量%の過硫酸ナトリウム水溶液257g
得られた水性分散液(D4)は、該水性分散液の全質量に対して52.4質量%の固体含有率を有しており、かつ12ppmの凝塊を含んでいた。ガラス転移温度は6℃、かつ粒径は155nmと測定された。
【0065】
例5(比較例、アクリロニトリルを用いない)
MIG攪拌機及び3つの計量供給装置が備え付けられた6Lの加圧反応器に、室温で、かつ窒素雰囲気下で、脱イオン水643g、分解澱粉A537g及びそのつど5質量%の供給物1A及び1Bを装入した。引き続き、反応器の内容物を、攪拌下(180rpm)で90℃に加熱し、そして85℃に達したら7質量%の過硫酸ナトリウム水溶液129gを添加した。10分後に、同時に開始する形で、供給物1A及び供給物1Bの残量(そのつど95%)を360分以内に計量供給し、かつ供給物2を390分以内に、変わらない流量で連続的に計量供給した。全体の計量供給時間にわたって、供給物1A及び供給物1Bの流量を、反応器に入る前に均質化した。それに続けて、反応器の内容物を、なお90℃で2時間、後反応させた。その後、反応器の内容物を室温に冷却し、15質量%の水性NaOHでpH値を6.5に調整し、かつ圧力容器を大気圧に放圧した
供給物1A
脱イオン水642g
15質量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液12g
アクリル酸72g
イタコン酸9g
からの均質な混合物
供給物1B
スチレン1026g
t−ドデシルメルカプタン22g
ブタジエン693g
からの均質な混合物
供給物2
3.5質量%の過硫酸ナトリウム水溶液360g
得られた水性分散液(D5)は、該水性分散液の全質量に対して51質量%の固体含有率を有しており、かつ8ppmの凝塊を含んでいた。ガラス転移温度は10℃、そして粒径は137nmと測定された。
【0066】
実施例に従って製造された水性ポリマー分散液を、紙塗工液用のバインダーとして使用する。
【0067】
紙用塗工液の製造
塗工カラーの調製を、撹拌ユニッ中で行い、そこに個々の成分を順次供給する。顔料を、分散された形態(スラリー)で添加する。その他の成分は、顔料の後に添加し、その際、順序は、下で挙げられる塗工カラー処方の順序に相応する。最終的な固体の含有率の調整は、水の添加によって行う。
【0068】
塗工カラー処方:
微細な炭酸塩(Hydrocarb 90、Omya)70部
微細なクレー(Hydragloss 90、Omya)30部
塗工カラー用バインダー(例1〜5の乳化重合体)10部
レオロジー助剤(カルボキシメチルセルロース)0.5部
塗工カラーのデータ:
粘度(ブルックフィールド RVT、スピンドル4、100rpm):1000〜1400mPas
塗工液を、実験用塗工機によって片面で塗工原紙に施与し、かつIRラジエーターによって乾燥した。施与した塗工層の質量は、約10g/m2である。
【0069】
コーティングした紙を、当業者に公知の試験方法により、表面強度について調べた以下の試験方法を用いた:
IGT ドライピック強度
IGT ウェットピック強度
Pruefbau オフセット試験
結果は以下の表にまとめられている。
【0070】
オフセット試験
試験を、"Pruefbau"−校正刷機(Probedruckgeraet)で実施した。試験すべき紙から、サイズ240×46mmのサンプルを縦方向に切り取り、かつ校正刷り支持部に固定する。紙を装置中で、印刷用ローラーにより1m/sの速度で印刷する。その際、インク量は、一体色のインク面が生じるように選択する。印刷した紙テープを、第一の印刷ステップ後に再び元の位置に戻し、そして所定の時間(10秒、30秒)後に再び同じ印刷用ローラーと接触させる。この工程を何度か繰り返し、最大で6回通して行う。各ステップ後に、印刷された面を、裂け傷(ピック)について目視検査する。表には、初めてピックが起こるまでのステップの回数並びにステップの間隔時間が示されている。ピックが起こるまでのステップの回数が多ければ多いほど、それだけ紙はオフセット印刷用により良好に適合している。
【0071】
IGT−校正刷機を用いたドライピック強度(IGT dry)
試験すべき紙から細片に切り取り、そしてIGT校正刷機で印刷した。印刷インクとして、種々の引張力を伝達する、Lorillieux社の特殊な試験用インクを使用する。試験片を、連続的に上昇する速度(最大速度200cm/s)で印刷ユニットに送る。評価に際して、校正刷り細片上で、印刷開始後に紙表面から10個の裂け傷(ピック点)が生じる箇所を決定する。ドライピック強度の基準として、印刷中にこの箇所で存在する速度をcm/秒で、並びに使用した試験用インクを示す。その際、紙表面の品質の評価が良好であればあるほど、それだけ10個目のピック点でのこの印刷速度は高い。
【0072】
IGT校正刷機を用いたウェットピック強度(IGT wet)
試験すべき紙から細片に切り取り、そしてIGT校正刷機で印刷した。印刷機を、試験用細片が印刷ステップ前に水で湿らされるように調えた。印刷インクとして、種々の引張力を伝達する、Lorillieux社の特殊な試験用インクを使用する。印刷を、0.6cm/秒の一定の速度で実施する。紙表面からの裂け傷は、印刷されていない部分として見える。ウェットピック強度の測定のために、インク濃度計(Farbdensitometer)を用いて完全な色調と比較したインク密度を%記載で定める。示されるインク密度が高ければ高いほど、それだけウェットピック強度は良好である。
【0073】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリマー分散液の製造方法であって、その際、
(a)少なくとも1つのビニル芳香族化合物、
(b)少なくとも1つの共役脂肪族ジエン及び
(c)少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸ニトリル
を水性媒体中で共重合させ、その際、モノマーの共重合を、分解澱粉及びラジカル形成開始剤の存在下で行い、かつ、その際、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーの少なくとも一部を、該エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルを重合混合物に添加する前に重合させる、水性ポリマー分散液の製造方法。
【請求項2】
(a)少なくとも1つのビニル芳香族化合物19.8〜80質量部、
(b)少なくとも1つの共役脂肪族ジエン19.8〜80質量部、
(c)少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸ニトリル0.1〜19質量部、
(d)少なくとも1つのエチレン性不飽和酸0.1〜10質量部及び
(e)少なくとも1つのその他のモノエチレン性不飽和モノマー0〜20質量部
を使用し、その際、モノマー(a)〜(e)の質量部の合計が100である、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開始剤の少なくとも30質量%を、前記分解澱粉と一緒に水性媒体中に装入し、かつ前記モノマー並びに残りの開始剤を、重合条件下でこの装入物に計量供給することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
全てのモノマーの全量に対して少なくとも10質量%の、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーを、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルの添加を開始する前に水性媒体中に装入するか又は重合混合物に添加することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
全てのモノマーの全量に対して1〜10質量%の、エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルとは異なるモノマーを水性媒体中に装入することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
0.07dl/g未満の固有粘度ηiを有する分解天然澱粉を使用することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ビニル芳香族化合物が、スチレン、メチルスチレン及びそれらの混合物から選択されており、前記共役脂肪族ジエンが、1,3−ブタジエン、イソプレン及びそれらの混合物から選択されており、前記エチレン性不飽和カルボン酸ニトリルが、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル及びそれらの混合物から選択されており、かつ前記エチレン性不飽和酸が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ビニル乳酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、ビニルホスホン酸及びこれらの酸の塩から成る群の1つ以上の化合物から選択されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
(a)スチレン及び/又はメチルスチレン25〜70質量部、
(b)1,3−ブタジエン及び/又はイソプレン25〜70質量部、
(c)アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリル1〜19質量部、
(d)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ビニル乳酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート及びスルホプロピルメタクリレートから選択される少なくとも1つのエチレン性不飽和酸0.1〜10質量部、及び
(e)少なくとも1つのその他のモノエチレン性不飽和モノマー0〜20質量部
を使用し、その際、モノマー(a)〜(e)の質量部の合計が100である、ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
モノマー100質量部につき、分解澱粉15〜60質量部を使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法に従ったラジカル開始乳化重合によって得られる水性ポリマー分散液。
【請求項11】
固体含有率が55質量%より高いことを特徴とする、請求項10に記載のポリマー分散液。
【請求項12】
バインダー、接着剤、繊維用サイズ剤としての、被覆の製造のための又は紙塗工液の製造のための、請求項10又は11に記載の水性ポリマー分散液の使用。
【請求項13】
(i)無機顔料及び
(ii)請求項10又は11に記載の水性ポリマー分散液
を含有する紙塗工液。
【請求項14】
前記水性ポリマー分散液の重合体が、顔料の全量に対して1〜50質量部の量で使用されること、及び前記顔料が、固体全体の含有率に対して80〜95質量部の量で含有されており、かつ硫酸カルシウム、アルミン酸硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、アルミナ、タルク又及び二酸化ケイ素から成る群から選択されていること、及び前記紙塗工液が、付加的に、増粘剤、さらなるポリマーバインダー、コバインダー、蛍光増白剤、充填剤、均展剤、分散剤、界面活性剤、滑剤、中和剤、泡止め剤、脱気剤、保存剤及び染料から成る群から選択された少なくとも1つの助剤を含有することを特徴とする、請求項13に記載の紙塗工液。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の紙塗工液でコーティングされた紙又はボール紙。
【請求項16】
紙又はボール紙を塗工する方法であって、その際、
− 請求項10又は11に記載の水性ポリマー分散液を準備し;かつ
− 前記ポリマー分散液、少なくとも1つの顔料及び任意のさらなる助剤を用いて紙塗工液を製造し;かつ
− 前記紙塗工液を、紙又はボール紙の少なくとも1つの表面に施与する、紙又はボール紙を塗工する方法。

【公表番号】特表2012−509971(P2012−509971A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537945(P2011−537945)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065535
【国際公開番号】WO2010/060863
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】