説明

ビニールハウス用換気装置

【課題】 ビニールハウスを換気するビニールハウス内を換気するビニールハウス用換気装置の改良に関し、開閉シートを斜めに配置して庇とする。
【解決手段】 ビニールハウスに開口を形成する開口枠に対向して取り付けられる開閉シート4と、この開閉シート4の下端に取り付けられる巻き付けシャフト5と、この巻き付けシャフト5を回転駆動する駆動部材Kとを備え、駆動部材Kで上記巻き付けシャフト5を回転することにより、この巻き付けシャフト5に開閉シート4を巻き付けて開口を開くビニールハウス用換気装置Aにおいて、開口枠に上下回転自在に軸支されて先端部62を開口枠の下側フレーム3に遠近させると共に先端部62に巻き付けシャフト5を回転自在に挿通する挿通孔60を有するアーム6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農作物や園芸用植物等を育成するために利用されるビニールハウスの妻面、屋根面、側面等に設けられて、ビニールハウス内を換気するビニールハウス用換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記ビニールハウスは、ビニールハウス内の温度や湿度等を適正に保つと共に害虫や害獣等の侵入を防いで、農作物や園芸用植物等の生育環境を整えるものである。
【0003】
そして、上記ビニールハウスの妻面、屋根面、側面等には、ビニールハウス内を換気するビニールハウス用換気装置が設けられ、このビニールハウス用換気装置として各種提案がなされている。
【0004】
例えは、特許文献1に開示のビニールハウス用換気装置は、図8に示すように、ビニールハウスの妻面に形成される出入り口たる開口に対向して設けられ、上記開口をスライドしながら開閉する開閉扉30の外側に配置される。
【0005】
上記ビニールハウス用換気装置は、上記開口の上端に沿って吊設される矩形の防虫ネットからなる開閉シート40と、この開閉シート40の下端に沿って取り付けられる巻き付けシャフト50と、この巻き付けシャフト50に上記開閉シート40を巻き付ける開閉ベルト51とを備える。
【0006】
上記開閉ベルト51は、上記開閉シート40の表面及び裏面に沿って配置され、上記開閉シート40の下端に取り付けられる巻き付けシャフト50を支点にU字状に折り曲げられる。
【0007】
そして、上記開閉シート40の表面側(ビニールハウスの外方側)に配置される開閉ベルト51の一端側が、上記開閉シート40の上側に設置されるローラ52に巻き付けられる。
【0008】
上記構成を備えることにより、上記ローラ52を回転駆動して上記開閉ベルト51を巻き取ると、上記巻き付けシャフト50が上方に向けて転がりながら上記開閉シート40を巻き取って開口を開くことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−282546号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来のビニールハウス用換気装置を備えることにより、上記開口に取り付けられる開閉扉30を開いたとき、上記開口を上記開閉シート40で閉じて換気すると共に害虫や害獣がビニールハウス内に侵入することを防止することが可能となる。
【0011】
しかしながら、上記従来のビニールハウス用換気装置においては、雨天の際に換気を行うと開閉シート40から雨水が吹き込み、農作物や園芸用植物の生育に悪影響を及ぼす虞がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、雨天の際に換気を行ったとしてもビニールハウス内に雨水が吹き込むことを防止することが可能なビニールハウス用換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段は、ビニールハウスに開口を形成する開口枠に対向して取り付けられる開閉シートと、この開閉シートの下端に取り付けられる巻き付けシャフトと、この巻き付けシャフトを回転駆動する駆動部材とを備え、上記駆動部材で上記巻き付けシャフトを回転することにより、この巻き付けシャフトに上記開閉シートを巻き付けて上記開口を開くビニールハウス用換気装置において、上記開口枠に上下回転自在に軸支されて先端部を上記開口枠の下側フレームに遠近させると共に先端部に上記巻き付けシャフトを回転自在に挿通する挿通孔を有するアームを備えることである。
【0014】
この場合において、ビニールハウス用換気装置が上記アームと上記開口枠との間に介装されて上記アームの先端を上記下側フレームに接近させる方向に附勢する附勢手段を備えることが好ましい。
【0015】
同じく、この場合において、ビニールハウス用換気装置が上記アームの回転を阻止するアーム回転阻止手段を備えることが好ましい。
【0016】
そして、上記アーム回転阻止手段が長孔状に形成される上記挿通孔と、上記開口枠に取り付けられるフックとを備え、上記開口を閉じたとき、上記挿通孔の先端側の一部と上記フックとが重なり、上記挿通孔の他部の縦幅が巻き付けシャフトの直径よりも幅広に形成されることが好ましい。
【0017】
また、上記アーム回転阻止手段が上記巻き付けシャフトと下側フレームとの間に張設されるバンドを備え、このバンドが上記アームの上方向への回転を阻止することが好ましい。
【0018】
また、上記の場合において、上記開口枠を形成する上側フレームと上記下側フレームとの間に外方側に膨出しながら湾曲する複数のアーチ状フレームを架設して、これらアーチ状フレームの間に上記開口よりも幅狭の出窓を形成し、この出窓を上記開閉シートで開閉することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記アームを備えることにより、上記開閉シートを開口枠から斜めに突出する庇とすることが可能となり、雨天の際に開口から雨水が吹き込むことを防止することが可能となる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、附勢手段を備えることにより、アームが容易に回転して巻き付けシャフトがバタつき、開閉シートが辛勝することを防止することが可能となる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、アーム回転阻止手段を備えることにより、アームの回転を更に確実に防止することが可能となる。
【0022】
請求項4、5、6に係る発明によれば、アーム回転阻止手段を備えることにより、開閉シートで開口を閉じた状態に維持することが確実に可能となる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、バンドからなるアーム回転阻止手段を備えることにより、開口を開いて開閉シートを庇としたとき、アームが上方向に回転することを確実に阻止することが可能となる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、出窓を開閉シートで閉じることにより、開口を確実に閉じることが可能となり、また、アーチ状フレームを備えることにより、開閉シートを確実に展張することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置を備えるビニールハウスを部分的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置が開閉シートを閉じた状態を拡大して示す側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置が開閉シートを開いて庇とした状態を拡大して示す側面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置を部分的に拡大して示す側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置における閉時アーム回転阻止手段の第一の変形例を示す斜視図である。(a)は、爪部材が爪受具に係合する前の状態を示す。(b)は、爪部材を爪受具に係合した状態を示す。
【図6】閉時アーム回転阻止手段の第一の変形例における爪受具の他の実施の形態を示す縦断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るビニールハウス用換気装置における閉時アーム回転阻止手段の第二の変形例を示す斜視図である。(a)は、開閉シートが伸びきる前の状態を示す。(b)は、開閉シートが伸びきった状態を示す。(c)は、開閉シートが伸びきった後、更に巻き付けシャフトを回転してポケット部材に係合した状態を示す。
【図8】従来のビニールハウス用換気装置を備えるビニールハウスを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態を示すビニールハウス用換気装置について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたはそれに対応する部品を示す。
【0027】
上記ビニールハウス用換気装置を備えるビニールハウスは、農作物育成用ハウスであり、図1に示すように、列設される複数のアーチ状パイプPと、このアーチ状バイプPに沿って展張される透明若しくは半透明の合成樹脂製のシートSとを備える。
【0028】
そして、上記ビニールハウスは、妻面に配置される左右の縦材1、1とこれら縦材1、1間に架設される上下の横架材2、3とで形成される上下の開口枠(符示せず)を備え、これら開口枠内に開口及び出入り口をそれぞれ設ける。
【0029】
上記左右の縦材1、1と上下の横架材2、3とからなる上側の開口枠には、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置Aが対向して設けられ、上側の開口枠内に開口が形成される。
【0030】
尚、本実施の形態において、本願特許請求の範囲で言うところの開口枠とは上側の開口枠のことであり、下側フレームは下側の横架材3、上側フレームは上側の横架材2をいう。
【0031】
一方、上記左右の縦材1、1と下側の横架材3とからなる下側の開口枠には、スライド自在に開閉扉30が設けられ、作業者がビニールハウス内に出入りするための出入り口が形成される。
【0032】
上記ビニールハウス用換気装置Aは、上記ビニールハウスに開口を形成する上側の開口枠に対向して取り付けられる開閉シート4と、この開閉シート4の下端に取り付けられる巻き付けシャフト5と、この巻き付けシャフト5を回転駆動する駆動部材Kとを備える。
【0033】
そして、上記駆動部材Kで上記巻き付けシャフト5を回転することにより、上記巻き付けシャフト5に上記開閉シート4を巻き付けて上記開口を開く。
【0034】
更に、上記ビニールハウス用換気装置Aは、上記上側の開口枠に上下回転自在に軸支されて先端部62を下側の横架材3に遠近させると共に先端部62に上記巻き付けシャフト5を回転自在に挿通する挿通孔60を有するアーム6を備える。
【0035】
以下に、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置Aの各構成部品について詳細に説明する。
【0036】
ビニールハウスの開口を開閉する開閉シート4は、アーチ状パイプPに展張するシートSと同様の透明または半透明の合成樹脂製のシートであり、矩形に形成される。
【0037】
そして、上記開閉シート4の上端が上側の横架材2に沿って形成される蟻溝に係止線条(符示せず)を介して係止されてなり、上記開閉シート4は上側の横架材2に吊設される。
【0038】
また、上記開閉シート4の下端に沿って巻き付けシャフト5が取り付けられてなり、この巻き付けシャフト5に巻き取られ若しくは巻き出されることにより、上記開口の開口量を変更することが可能となる。
【0039】
そして、上記巻き付けシャフト5は、図2、図3に示すように、上記開口を開閉する際、開閉シート4の内側面に沿って移動する。
【0040】
即ち、巻き付けシャフト5が開閉シート4の先端をビニールハウスの内側に向けて巻き取ることにより、雨水等が展張される開閉シート4と巻き取られた開閉シート4との隙間に溜まることを防止することが可能となる。
【0041】
尚、開口を開閉する際の巻き付けシャフト5が開閉シート4を巻き取る方向は、上記の限りではなく、図7(a)に示すように、巻き付けシャフト5が開閉シート4の先端をビニールハウスの外側に向けて巻き取るとしても良い。
【0042】
上記巻き付けシャフト5を回転駆動する駆動部材Kは、ハンドルK1を回転して上記巻き付けシャフト5を回転すると共に、巻き付けシャフト5側から力が入力されたとしても上記ハンドルK1が回転しないブレーキ機構を内蔵する。
【0043】
上記構成を備えることにより、巻き取った開閉シート4の荷重や風等が巻き付けシャフト5に作用したとしても、上記ハンドルK1が回転して開閉シート4が巻き出されることを防止することが可能となる。
【0044】
尚、本実施の形態における駆動部材Kは、手動で上記ハンドルK1を回転して上記巻き付けシャフト5を回転駆動するものであるがこの限りではなく、モータ等で上記巻き付けシャフト5を回転駆動するとしても良い。
【0045】
また、上記巻き付けシャフト5の両端部は、上側の開口枠に回転自在に取り付けられる左右一対のアーム6、6の挿通孔60に挿通してなり、巻き付けシャフト5は上記一対のアーム6、6、に保持される。
【0046】
上記両アーム6、6は、図2、3に示すように、上側の開口枠に支持材61を介して取り付けられてなり、先端部62に上記挿通孔60を備えると共に、基端部と上記縦材1との間に介装される附勢手段7で先端が下側の横架材3に接近する方向に附勢される。
【0047】
上記アーム6を回転しながら上記開閉シート4を展張することにより、図3に示すように、開口を開いたときに上記開閉シート4が庇となり、開口から雨が吹き込むことを防止することが可能となる。
【0048】
また、上記附勢手段7を備えることにより、上記開閉シート4が開口を閉じる方向、即ち、巻き出される方向に附勢されるため、上記開閉シート4を展張して開閉シート4が撓むことを防止する。
【0049】
また、上記附勢手段7を備えることにより、アーム6が図中上方向に容易に回転して上記開閉シート4がバタつき、開閉シート4が損傷することを防止することが可能となる。
【0050】
尚、本実施の形態においては、上記附勢手段7がアーム6の基端部と縦材1との間に介装されるとしているがこの限りではなく、アーム6の先端部を下側の横架材3に接近させる方向に附勢し得る限りにおいて、適宜構成を選択することが可能である。
【0051】
例えば、上記附勢手段7がアーム6の基端部と上側の横架材2との間に介装されるとしても良い。
【0052】
また、図中には、コイルスプリングからなる附勢手段7を示すがこの限りではなく、附勢手段7をトーションばねや弾性ゴムとする等、附勢手段7の構成を適宜選択することが可能である。
【0053】
本実施の形態においては、上記開閉シート4のバタツキを更に確実に防止するためにアーム回転阻止手段を備えてなり、このアーム回転阻止手段は、開口を閉じたとき(図2)に上記アーム6の回転を阻止する閉時アーム回転阻止手段と、開口を開いて上記開閉シート4を庇としたとき(図3)に上記アーム6の回転を阻止する開時アーム回転阻止手段とからなる。
【0054】
上記閉時アーム回転阻止手段は、図2に示すように、長孔状に形成される上記アーム6の挿通孔60と、縦材1に取り付けられるフック8とを備えてなる。
【0055】
上記挿通孔60が形成されるアーム6の先端部62は、ビニールハウス側にやや傾斜して設けられてなり、アーム6が回転して開口を閉じたとき、上記フック8の内側に配置される。
【0056】
上記挿通孔60は、上記アーム6の先端部61を図1中左右方向に貫通して縦長に形成されてなり、図4に示すように、アーム6が回転して開口を閉じたとき、先端側の一部60aが上記フック8と重なる。
【0057】
このとき、フック8と重ならない挿通孔の他部60aの縦幅が巻き付けシャフト5の直径よりも幅広に形成されてなる。
【0058】
上記構成を備えることにより、開閉シート4が開口を閉じた時点から更に巻き付けシャフト5を回転すると、開閉シート4が更に巻き出されるため、巻き付けシャフト5が挿通孔60の先端側に移動する(図2、図4)。
【0059】
したがって、風等の影響を受けて附勢手段7の附勢力に抗してアーム6が回転しようとしても巻き付けシャフト5がフック8に係合しアーム6の回転を阻止することが可能となる。
【0060】
尚、上記フック8の取り付け位置は上記の限りではなく、下側の横架材3に取り付けるとしても良い。
【0061】
一方、開口を開いたときアーム6の回転を阻止する開時アーム回転阻止手段は、図3中二点鎖線で記載するように、開閉シート4を庇とした状態で下端を下側の横架材3に結合し、上端を巻き付けシャフト5の端部に結合するベルト9からなる。
【0062】
上記ベルト9を備えることにより、風で開閉シート4が図3中下方から煽られたとしても、アーム6がベルト長以上図3中上方に回転することを阻止して、開閉シート4がバタつくことを確実に防止することが可能となる。
【0063】
また、上記ベルト9は、図示しないが、アーム6を回転して開口を閉じるときには巻き付けシャフト5の端部に巻き取られながら収容され、アーム6を回転して開口を開くときには下側の横架材3と巻き付けシャフト5との間に張設されるまで巻き出される。
【0064】
したがって、上記ベルト9を収容する手間がかからず、ベルト9の長さを適宜設定することで任意の開口量に設定することが可能となる。
【0065】
尚、上記ベルト9の取り付け方法は、上記の限りではなく、ベルト6の下端を縦材1に結合するとしても良い。
【0066】
ところで、上側の開口枠には、上側の横架材2と下側の横架材3との間にビニールハウスの外方側に膨出しながら湾曲する三本のアーチ状フレーム20が架設され、両側のアーチ状フレーム20、20の間に開口よりも幅狭の出窓が形成される。
【0067】
上記各アーチ状フレーム20には、外方側に長手方向に沿って蟻溝が形成されてなり、両側のアーチ状フレーム20、20の間に形成される出窓には防虫ネットHが展張され、両側のアーチ状フレーム20、20と左右の縦材1、1との間にはアーチ状パイプPに展張される合成樹脂製のシートSが展張される。
【0068】
そして、上記出窓を開閉シート4で開閉することにより、開口から害虫や害獣が侵入することを防止することが可能となる。
【0069】
また、上記アーチ状フレーム20を備えることにより、出窓を開閉シート4で閉じたとき、開閉シート4がアーチ状フレーム20に沿って展張されて、風雨がビニールハウス内に浸入することを確実に防止することが可能となる。
【0070】
尚、本実施の形態においては、アーチ状フレーム20を三本設け、これらアーチ状フレーム20の間に架設される水平フレーム21を設けて防虫ネットHを展張しているがこの限りではなく、アーチ状フレーム20及び水平フレーム21の数量は適宜選択することが可能である。
【0071】
また、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置Aは、上記構成を備えることにより、ビニールハウスの妻面を構成する縦材1と横架材2、3を利用して取り付けが可能となり、換気装置を備えていないビニールハウスに後付けすることが可能となる。
【0072】
また、ビニールハウス用換気装置Aの構成が簡素であるため、安価に製造及び設置をすることが可能である。
【0073】
次に、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置Aの作用について説明する。
【0074】
まず、ビニールハウス用換気装置Aが開口を開くときの作用について説明する。
【0075】
駆動部材KのハンドルK1を正転して巻き付けシャフト5を回転し開閉シート4を巻き付けシャフト5に巻き取ると、開閉シート4の上端が上側の横架材2に係止されているため、展張されている開閉シート4の縦幅が短くなる。
【0076】
これにより、アーム6の挿通孔60の先端側に保持されていた巻き付けシャフト5が図中上方に移動して、巻き付けシャフト5が挿通孔60の基端側(図4中、他部60b)に移動する。
【0077】
更に駆動部材KのハンドルK1を正転すると、展張されている開閉シート4の縦幅が更に短くなり、附勢部材7の附勢力に抗してアーム6が上方向に回転し、バンド9が既に取り付けられている場合には、バンド9が伸びきるまで開口が開く(図3)。
【0078】
このとき、開閉シート4を斜めに配置して庇とすることにより、雨水が防虫ネットHを介してビニールハウス内に侵入することを防止することが可能となる。
【0079】
尚、バンド9が取り付けられていない場合には、上記開閉シート4が任意の角度となった状態で、巻き付けシャフト5と下側の横架材3との間にバンド9を張設することにより、次回開口を開くとき、開閉シート4を同じ角度に配置して庇とすることが容易に可能となる。
【0080】
次に、ビニールハウス用換気装置Aが開口を閉じるときの動作について説明する。
【0081】
駆動部材KのハンドルK1を逆転して巻き付けシャフト5を回転して開閉シート4を巻き出すと、巻き付けシャフト5及び開閉シート4の荷重及び附勢部材7の附勢力でアーム6が下方向に回転する。
【0082】
開閉シート4が開口を閉じた状態で更にハンドルK1を逆転すると、開閉シート4が巻き出されて巻き付けシャフト5が挿通孔60の先端側(図4中、一部60a)に移動してフック8に係合する。
【0083】
したがって、巻き付けシャフト5と防虫ネットHとの間に風が吹き込んでアーム6が上方向に回転しようとしても、巻き付けシャフト5がフック8に干渉してアーム6の回転を阻止することが可能となる。
【0084】
次に、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置における閉時アーム回転阻止手段の第一の変形例について図5、図6を参照して説明する。
【0085】
尚、図5、図6中には、開閉シート4を省略して示す。
【0086】
当該第一の変形例に係る閉時アーム回転阻止手段は、図5に示すように、巻き付けシャフト5の端部に固定される爪部材80と、下側の横架材3に取り付けられる爪受具81とからなる。
【0087】
そして、上記爪部材80は、巻き付けシャフト5と共に図5(a)中矢印方向に回転し、アーム6が回転して開口を閉じたとき、図5(b)に示すように、上記爪受具81に係合する。
【0088】
したがって、風等の影響を受けて附勢手段7の附勢力に抗してアーム6が回転しようとしても、爪部材80が爪受具81に係合してアーム6の回転を阻止することが可能となる。
【0089】
また、開口を開く場合においては、駆動部材KのハンドルK1を回転して巻き付けシャフト5を図5(a)中の矢印と逆方向に回転することにより、爪部材80と爪受具81との係合を容易に解除することが可能となる。
【0090】
尚、本実施の形態において上記爪受具81が下側の横架材3に取り付けられるとしているがこの限りではなく、縦材1に取り付ける等、爪部材80の取り付け位置に応じて適宜取り付ける場所を選択することが可能である。
【0091】
また、図5中において、上記爪受具81は、矩形枠状とされているがこの限りではなく、図6に示すように、爪部材80に係合する湾曲片82とするとしても良く、適宜形状を選択することが可能である。
【0092】
また、本実施の形態において、アーム6の挿通孔60が縦長に形成された状態を示すがこの限りではなく、本変形例に係る閉時アーム回転阻止手段においては、アーム6が巻き付けシャフト5の回転を許容しながら保持し得る限りにおいて、適宜挿通孔60の形状を選択することが可能である。
【0093】
また、本実施の形態において、開口を開閉する際、巻き付けシャフト5が図5中に示さない開閉シート4の外側(ビニールハウスの外方側)に配置され、巻き付けシャフト5の回転方向が上記図1乃至図4に示す実施の形態と正逆が逆となる。
【0094】
しかしながら、巻き付けシャフト5が開閉シート4を巻き取る方向は、図1乃至図4と同様にしても良く、この場合においては、爪部材80を図5と逆向きに取り付けるとすれば良い。
【0095】
次に、本実施の形態に係るビニールハウス用換気装置における閉時アーム回転阻止手段の第二の変形例について説明する。
【0096】
当該第二の変形例に係る閉時アーム回転阻止手段は、図7に示すように、長孔状に形成されるアーム6の挿通孔60と、下側の横架材3に沿って固定され下方に向けて開口する断面コ字状のポケット部材83とを備えてなる。
【0097】
また、本変形例に係る閉時アーム回転阻止手段を備える場合において、開閉シート4は、開口を閉じたとき伸びきり、巻き付けシャフト5が挿通孔60の先端側に配置される長さに設定される(図7(b))。
【0098】
また、本変形例に係る閉時アーム回転阻止手段を備える場合において、巻き付けシャフト5は、開口を開閉する際、図7(a)に示すように、開閉シート4の外側(ビニールハウスの外方側)に配置され、巻き付けシャフト5の回転方向が上記図1乃至図4に示す実施の形態と正逆が反対となる。
【0099】
上記巻き付けシャフト5は、開口を閉じる際、開閉シート4の内側(ビニールハウスの内方側)に向けて、図7(a)中矢印方向に回転する。
【0100】
そして、開閉シート4で開口を閉じた状態(図7(b))で、更に同方向にハンドルK1を矢印方向に回転すると、図7(c)に示すように、開閉シート4が巻きつけシャフト5の逆側に巻き取られ、巻き付けシャフト5がポケット部材83に係合する。
【0101】
したがって、風等の影響を受けて附勢手段7の附勢力に抗してアーム6が回転しようとしても、巻き付けシャフト5がポケット部材83に係合してアーム6の回転を阻止することが可能となる。
【0102】
また、開口を開く場合においては、駆動部材KのハンドルK1を回転して巻き付けシャフト5を図7中の矢印方向と逆に回転することにより、開閉シート4を巻き出して巻き付けシャフト5とポケット部材83との係合を容易に解除することが可能となる。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0104】
例えば、上記実施の形態においては、ビニールハウス用換気装置Aをビニールハウスの妻面に設けるとしたがこの限りではなく、ビニールハウスの側面や屋根面に設けても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0105】
A ビニールハウス用換気装置
K 駆動部材
H 防虫ネット
S シート
P アーチ状パイプ
1 縦材
2 上側の横架材、上側フレーム
3 下側の横架材、下側フレーム
4、40 開閉シート
5、50 巻き付けシャフト
6 アーム
60 挿通孔
7 附勢手段
8 フック
9 バンド
80 爪部材
81 爪受具
82 湾曲片
83 ポケット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニールハウスに開口を形成する開口枠に対向して取り付けられる開閉シート(4)と、この開閉シート(4)の下端に取り付けられる巻き付けシャフト(5)と、この巻き付けシャフト(5)を回転駆動する駆動部材(K)とを備え、
上記駆動部材(K)で上記巻き付けシャフト(5)を回転することにより、この巻き付けシャフト(5)に上記開閉シート(4)を巻き付けて上記開口を開くビニールハウス用換気装置(A)において、
上記開口枠に上下回転自在に軸支されて先端部(62)を上記開口枠の下側フレーム(3)に遠近させると共に先端部(62)に上記巻き付けシャフト(5)を回転自在に挿通する挿通孔(60)を有するアーム(6)を備えることを特徴とするビニールハウス用換気装置。
【請求項2】
上記アーム(6)と上記開口枠との間に介装されて上記アーム(6)の先端を上記下側フレーム(3)に接近させる方向に附勢する附勢手段(7)を備えることを特徴とする請求項1に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項3】
上記アーム(6)の回転を阻止するアーム回転阻止手段を一または複数備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項4】
上記アーム回転阻止手段が長孔状に形成される上記挿通孔(60)と、上記開口枠に取り付けられるフック(8)とを備え、
上記開口を閉じたとき、上記挿通孔(60)の先端側の一部(60a)と上記フック(8)とが重なり、上記挿通孔(60)の他部(60b)の縦幅が巻き付けシャフト(5)の直径よりも幅広に形成されることを特徴とする請求項3に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項5】
上記アーム回転阻止手段が上記巻き付けシャフト(5)の端部に固定される爪部材(80)と、上記開口枠に固定される爪受具(81)とからなり、
上記開口を閉じたとき、上記爪部材(80)と上記爪受具(81)とが係合することを特徴とする請求項3に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項6】
上記アーム回転阻止手段が長孔状に形成されるアーム(6)の挿通孔(60)と、下側フレーム(3)に沿って固定され下方に向けて開口する断面コ字状のポケット部材(83)とからなり、
上記開閉シート(4)が上記開口を閉じたとき伸びきり、上記巻き付けシャフト(5)が上記挿通孔(60)の先端側に配置される長さに設定されてなり、
上記開閉シート(4)の伸びきり後更に上記巻き付けシャフト(5)を回転したとき、上記巻き付けシャフト(5)が上記開閉シート(4)を巻き取って上記ポケット部材(83)に係合することを特徴とする請求項3に記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項7】
上記アーム回転阻止手段が上記巻き付けシャフト(5)と下側フレーム(3)との間に張設されるバンド(9)を備え、
このバンド(9)が上記アーム(6)の上方向への回転を阻止することを特徴とする請求項3から請求項6の何れかに記載のビニールハウス用換気装置。
【請求項8】
上記開口枠を形成する上側フレーム(2)と上記下側フレーム(3)との間に外方側に膨出しながら湾曲する複数のアーチ状フレーム(20)を架設して、これらアーチ状フレーム(20)の間に上記開口よりも幅狭の出窓を形成し、
この出窓を上記開閉シート(4)で開閉することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のビニールハウス用換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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