説明

ビバリルジンの製造方法

本発明は、収束的5断片合成を介しての、ビバリルジン、即ち、次式の20量体ペプチドの製造方法、およびその幾つかのペプチド中間体に関する:
H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH (I)

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明はビバリルジン、即ち、次式の20量体ペプチドの新規な収束合成に関する:
H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH (I)
本発明は更に、ビバリルジンの合成における中間体としての、幾つかの保護されたペプチドに関する。
【0002】
トロンビンによるタンパク質分解プロセッシングは、凝血の制御における中枢をなしている。潜在的な臨床的トロンビンペプチド阻害剤であるヒルジンは、65のアミノ酸からなっている。しかし、より短いペプチドセグメントもまた、生命を脅かす病状である血栓症の治療に有効であることが示されている。
【0003】
米国特許第5,196,404号は、中でも、これらのより短いペプチドの一つ、即ち、強力なトロンビン阻害剤であるビバリルジンを開示している。ビバリルジンはまた、ヒルログ−8、エフルダン、アンジオマックス(登録商標)またはヒルログ(Hirulog;登録商標)としても知られており、式Iに与えられたアミノ酸配列を有している。WO98/50563は、ビバリルジンを含む種々のペプチドの、組換え技術による調製方法を開示している。この方法は、該ペプチドを融合タンパク質の一部として発現させ、続いてこの融合ペプチドから、アシル受容体により該ペプチドを放出させることを含んでいる。
【0004】
オカムラ等(Okayama et al. Chem. Pharm. Bull. 1996, 44, 1344-1350)およびスタインメッツァー等(Steinmetzer et al. Eur. J. Biochem. 1999, 265, 598-605)は、種々のヒルログのWang樹脂上での固相合成を案出した。Wang樹脂は、濃トリフルオロ酢酸を用いる該樹脂からのペプチドの開裂を必要とする。ビバリルジンの調製のための同様の固相合成アプローチにおいて、WO91/02750は、単一のBoc保護されたアミノ酸をBoc−L−ロイシン−o−ジビニルベンゼン樹脂に結合させ、続いてHF/p−クレゾール/硫酸エチルメチルを使用して同時脱保護および脱離を行い、その後に凍結乾燥および精製を行う逐次的アプローチを開示している。両者の場合、樹脂からのペプチドの開裂には攻撃的な酸性条件が必要とされ、これは同時に全般的な脱保護を生じさせ、アミノ酸残基との望ましくない副反応を生じて、生成物の純度に悪影響を及ぼし易い。更に、固相合成においては、取込みミス、一つのアミノ酸の二重ヒット、および/またはラセミ化により屡々副反応が生じ、目的のペプチドに非常に類似した構造を有する副生成物が生じる。従って、精製が厄介であり、収率の低下をもたらす。特に、より長いペプチドは、未だ固相支持体に結合している間に不規則なコンホメーションを取る傾向があり、これは成長している鎖に追加のアミノ酸を結合させるのを更に困難にする。従って、この問題はペプチドの長さが長くなるに伴って増大する。
【0005】
WO2007/033383は、固相合成、または固相合成および溶液合成の組合せ(混合アプローチ)に基づくビバリルジンの製造方法を開示している。一実施形態において、ビバリルジンペプチド配列は、酸に過度に不安定な樹脂上で調製される。もう一つの実施形態において、ビバリルジンは、側鎖保護されたN末端ペプチド断片と側鎖保護されたC末端ペプチド断片をカップリングさせ、続いて強酸性条件を用いて脱保護することにより調製される。この場合、前記N末端断片および前記C末端断片の前駆体(即ち、ペプチド配列マイナスLeu)は、両者共に固相合成により調製される。この戦略の一つの欠点は、かなりのD−Tyr19−ビバリルジンが形成されることである。この不純物は除去するのが難しく、従って、精製された生成物を得るためには余計な努力およびコストを必要とし、また収率が低下する。加えて、WO2007/033383の実施例で得られた精製ピバリルジンの量は数グラムの範囲にしか過ぎず、このアプローチは良好な純度をもったビバリルジンの大規模製造には適さないことを示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、線型固相合成の既知の欠点を克服し、工業的規模での製造に適したより効率的なビバリルジンの合成を提供することである。この目的は、請求項1に従う方法、請求項19のペプチド断片、および請求項29に従うこれらペプチド断片の使用によって達成された。好ましい実施形態は、従属請求項2〜18および20〜28の主題を構成する。
【0007】
本発明は、収束的アプローチに従う方法、即ち、個々の断片を別々に合成し、次いで溶液相中でカップリングさせて望ましいペプチドを構築する方法に関する。収束合成の困難な問題は、収束合成の既知の欠点を克服するための、適切な断片およびそれらのカップリング順序を見つけることである。これらの欠点は、カップリングおよび単離の際の溶解度の問題、並びに、固相合成と比較したときの低い反応速度、およびカップリングの際の遙かに高いC末端断片のラセミ化のリスクである。ビバリルジンは20のアミノ酸残基からなっているので、莫大な数の可能な断片およびカップリング順序が存在する。加えて、ビバリルジンは7つのアミノ酸残基、即ち、−Arg−、−Asn−、−Asp11−、−Glu13−、−Glu14−、−Glu17−および−Glu18−を含んでおり、これらの全てが適切な保護および脱保護を必要とする反応性側鎖を有している。同じことが、一つの断片のN末端およびC末端の適切な保護および脱保護にも適用され、従って本発明の目的を達成する経路を見出すための困難な問題が増大される。
【0008】
驚くべきことに、出願人は、以下で定義する[(1+2)+(3+{4+5})]戦略によって、式Iのビバリルジンを有利に構築できることを見出した。数字1,2および5は、式V,VIおよびXの三つのペプチド断片を表し、数字3は式XIIIのアスパラギン酸誘導体を表し、数字4は式XIのフェニルアラニン誘導体を表している。本発明は、式Iのビバリルジンの溶液相での製造方法に関し、該方法は下記の工程を含んでいる:
(a)次式の任意に側鎖保護されたペプチドを、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4) (V),
ここでのP1は保護基である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドと反応させて、
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号5)(VI)
ここでのP2は保護基である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号2) (VII)
ここでのP1およびP2は上記で定義した通りである;
(b)工程(a)で製造されたペプチドのP2を除去して、次式の任意に側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (II)
ここでのP1は上記で定義した通りである;
(c)次式の側鎖保護されたペプチドを、
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X),
ここでのP3は保護基である;
次式のフェニルアラニンと反応させて、
P4−Phe12−OH (XI)
ここでのP4は保護基である
次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P4−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号9) (XII)
ここでのP3およびP4は上記で定義した通りである;
(d)工程(c)で製造したペプチドのP4を除去して、対応するN末端が脱保護された式XIIIの側鎖保護されたペプチドを製造する工程と;
(e)工程(d)で製造された式XIIのペプチドを、次式の側鎖保護されたアスパラギン酸と反応させて、
P5−Asp11−OH (XIII)
ここでのP5は保護基である
次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P5−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (XIV)
ここでのP3およびP5は上記で定義した通りである;
(f)工程(e)で製造されたペプチドのP5を除去して、次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
H−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (III)
ここでのP3は上記で定義した通りである;
(g)工程(b)で製造された式IIの任意に側鎖保護されたペプチドを、工程(f)で製造された式IIIの側鎖保護されたペプチドと反応させて、次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号1) (IV)
ここでのP1およびP3は上記で定義した通りである;
(h)工程(g)で製造されたペプチドのP1,P3および側鎖保護基を除去して、式Iのビバリルジンを製造する工程。
【0009】
本発明の方法は、収束的断片合成を介したビバリルジンの非常に効率的な合成を可能にし、これは工業的規模での製造に容易に適合させることができる。
【0010】
C末端保護基P2(ペプチドVIについて)およびP3(ペプチドXについて)は、他の保護基の直交性に準じた如何なる保護基であってもよい。適切な例は、メチル(Me)またはエチル(Et)のような鹸化により除去可能なC末端保護基、或いは接触水素化により除去可能なC末端保護基である。
【0011】
本発明の方法の一実施形態では、工程(a)において、保護基P1は接触水素化に対して安定な保護基であり、また保護基P2は接触水素化により除去可能で且つ任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基であり;工程(c)において、保護基P3は接触水素化により除去可能な保護基であり、また保護基P4は、式Xのペプチドの側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性の保護基であり;工程(e)において、保護基P5は式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性の保護基であり、以下の工程を含んでなる溶液相プロセスを提供する:
(a)次式の任意に側鎖保護されたペプチドを、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4) (V)
ここでのP1は接触水素化に対して安定な保護基である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドと反応させて、
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号5)(VI)
ここでのP2は接触水素化により除去可能で、勝つ任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドを製造する工程、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号2) (VII)
ここでのP1およびP2は上記で定義した通りである:
(b)工程(a)で製造されたペプチドのP2を除去して、次式の任意に側鎖保護されたペプチドを製造する工程、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (II)
ここでのP1は上記で定義した通りである:
(c)次式の側鎖保護されたペプチドを、
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X)
ここでのP3は接触水素化により除去可能な保護基である
次式のフェニルアラニンと反応させて、
P4−Phe12−OH (XI)
ここでのP4は式Xのペプチドの側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性の保護基である
次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程、
P4−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号9) (XII)
ここでのP3およびP4は上記で定義した通りである;
(d)工程(c)で製造されたペプチドのP4を除去して、対応するN末端が脱保護された、式XIIの側鎖保護されたペプチドを製造する工程;
(e)工程(d)で製造された式XIIのペプチドを、次式の側鎖保護されたアスパラギン酸と反応させて、
P5−Asp11−OH (XIII)
ここでのP5は式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性の保護基である
次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程、
P5−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (XIV)
ここでのP3およびP5は上記で定義した通りである;
(f)工程(e)で製造されたペプチドのP5を除去して、次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程、
H−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (III)
ここでのP3は上記で定義した通りである;
(g)工程(b)で製造された式IIの任意に側鎖保護されたペプチドを、工程(f)で製造された式IIIの側鎖保護されたペプチドと反応させて、次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号1) (IV),
ここでのP1およびP3は上記で定義した通りである;
(h)工程(g)で製造されたペプチドのP1,P3および側鎖保護基を除去して、次式のビバリルジンを製造する工程、
H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH(配列番号1) (I)。
【0012】
ここにおいて、および以下において、二つの異なる保護基の挙動を特徴づける属性としての「直交性」の用語は、一つの保護基が、他の保護基には影響しない一定の方法により開裂可能であることを意味すると理解されるべきものである。例えば、「側鎖保護基に対して直交性である保護基」とは、側鎖保護基に影響しない一定の方法により開裂可能である保護基を意味する。
【0013】
この戦略の利点は、それが商業的規模で適用でき、従って、D−Phe12−ビバリルジン、D−Tyr19−ビバリルジン、またはAsp−ビバリルジンのような厄介な不純物の形成を伴うことなく、バッチ当たりキログラム単位の量で、優れた純度を備えたビバリルジンの製造を可能にする。例えば、保護された断片Asp−Phe12を式Xの保護されたペプチド断片にカップリングさせるとき、5%のD−Phe12−ビバリルジンが形成されるが、その形成は本発明に従う方法によって予想外に抑制することができる。本発明による方法において適用される接触水素化は、他の脱保護方法とは異なり、非常にクリーンな反応であるという利点を有しており、カルボカチオンの形成を含まないので、カルボカチオンと目的ペプチドとの間の反応から生じるような望ましくない副生成物は形成されない。比較のために言えば、WO2007/033383に開示された経路では、保護はtert−ブチル(tBu;tert−ブチルエーテルとして、またはtert−ブチルエステルとして)を用いて達成されるが、これは加酸分解(例えば塩酸またはトリフルオロ酢酸を用いて)によってのみ開裂可能な保護基である。この加酸分解はtert−ブチル化チロシンのような副生成物の形成を含んでおり、該副生成物は、その物理化学的性質が最終生成物と類似しているため、最終生成物において除去するのが困難である。加酸分解のもう一つの欠点は、トリフルオロ酢酸のような大量の強酸を取り扱うことが、特に商業的規模においては、製造および環境の両方に関して安全性の問題を生じることである。更なる比較のために言えば、鹸化により除去可能なC末端保護基、例えばEtは、式VIおよび式VIIのペプチドのためのP2として使用され、その塩基性条件下での除去はアスパラギン酸残基(−Asn−)およびアルギニン残基(−Arg−)の実質的な分解を誘起する。たとえ、鹸化が酸でも塩基でもなく、サブチリシン酵素を用いた鹸化のように、酵素反応の更に温和なアプローチで達成されるとしても、アスパラギン残基の分解により生じるAsp−ビバリルジンの実質的な形成が観察される。
【0014】
本発明の一つの反応工程の前、最中および後に、全てのペプチド断片、並びに全てのカップリング生成物は、該分子の物理化学的性質および/または反応条件に応じて、そのままの状態で、または適切な塩の形態で存在してよい。適切な塩は、例えばトリエチルアミン(TEA)、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)、塩酸(HCl)およびトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて形成された塩である。
【0015】
工程(h)において、P1、P3および側鎖保護基は、爾後にまたは同時に除去されてよい。
【0016】
好ましくは、工程(h)においては、最初にP3および側鎖保護基が同時に除去され、その後にP1が除去される。典型的には、工程(a)〜(g)の各工程の後に得られるペプチド断片は、次の工程を受ける前に単離される。出願人は驚くべきことに、工程(h)では、P3および側鎖保護基を同時に除去した後に得られたペプチドの単離は、同様の収量を得ながら且つ純度に対して負の影響を伴わずに、P1を除去する前には省略できることを見出した。通常は、その後の脱保護工程においても反応して目的のペプチドの純度を低下させる副生成物を除去するために単離工程が必須とされるので、これは驚くべきことである。通常、単離は生成物のロスを伴うので、この発見は全体のプロセスのためのコストおよび時間に対して積極的な影響を有し、典型的には、P1を脱保護されたペプチドのより高い収量をもたらす。従って、本発明による方法のより好ましい実施形態においては、工程(h)において、P3および側鎖保護基を同時に除去した後に得られるペプチドは、P1を除去する前には単離されない。
【0017】
接触水素化に対して安定である普通に知られた如何なる保護基も、P1として使用されてよい。適切な例は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、2−(ビフェニル−4−イル)プロパ−2−イルオキシカルボニル(Bpoc)、2−(3,5−ジメトキシフェニル)プロパ−2−イルオキシカルボニル(Ddz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、アダマンチル−1−オキシカルボニル(Adc)、tert−アミルオキシカルボニル(Aoc)、ジフェニルホスフィニル(Dpp)、2−(メチルスルホニル)エトキシカルボニル(Msc)およびフタロイル(Pht)である。好ましくは、P1はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、より好ましくは、P1はBocである。保護基P4およびP5としては、それぞれ、式IIの断片の側鎖保護基およびP3に対して直交性であり(P4について)、式XIIIのアミノ酸および式XIVの断片の側鎖保護基およびP3に対し直交性の(P5について)、普通に知られた適切な如何なる保護基も使用されてよい。好ましくは、P4およびP5は接触水素化に対して安定であり、且つ側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性である。例えば、適切な保護基はBoc、Bpoc、Ddz、Fmoc、Adc、Aoc、Dpp、MscおよびPhtである。好ましくは、P4および/またはP5は、Boc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、より好ましくは、P4および/またはP5はBocである。本発明の方法の好ましい実施形態において、P1、P4およびP5の少なくとも一つはBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり;好ましくは、P1、P4およびP5の少なくとも一つはBocである。
【0018】
保護基P3としては、接触水素化により除去可能な普通に知られた如何なる保護基が使用されてもよい。適切な例は、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシメチル(Bom)、フェナシル(Pac)、4−ニトロベンジル(ONbz)、4−ピリジルメチル(Pic)、および4−スルホベンジルである。好ましくは、P3はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり、但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであれば、P3はBomではない。より好ましくは、P3はBzlである。保護基Bomは酸感受性であり、また保護基Boc、BpocおよびDdzは酸によって開裂可能である。即ち、Bomは、Boc、BpocまたはDdzに対して直交性ではない。ここにおいておよび以下において、この属性は、Bomと保護基Boc、BpocおよびDdzの一つとの同時使用を排除する。
【0019】
保護基P2としては、接触水素化により除去可能で、且つ側鎖保護の場合には、同時に該側鎖保護基に対して直交性であるような、普通の如何なる既知の保護基を使用してもよい。適切な例は、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルである。好ましくは、P2はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり;より好ましくは、P2はBzlである。
【0020】
好ましい実施形態において、P2およびP3の少なくとも一方は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルである。但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであれば、P3はBomではない。好ましくは、P2およびP3の少なくとも一方はBzlである。
【0021】
好ましい実施形態において、P1、P4およびP5の少なくとも一つはBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり;またP2およびP3の少なくとも一方はBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、または4−スルホベンジルである。但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであれば、P3はBomではない。好ましくは、P1、P4およびP5の少なくとも一つはBocであり、P2およびP3の少なくとも一方はBzlである。
【0022】
好ましくは、本発明による方法において、式III、IV、XおよびXII〜XIVの側鎖保護されたペプチド/アミノ酸は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルからなる群から選択される少なくとも一つの側鎖保護基を用いて保護される。但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであれば、側鎖保護基は何れもBomではない。
【0023】
特に、本発明による方法において、式III、IV、X、およびXII〜XIVの側鎖保護されたペプチド/アミノ酸は、側鎖保護基としての少なくとも一つのBzlで保護される。
【0024】
典型的には、式Vのペプチドは、望ましくない副反応を回避するために、ニトロのような適切な側鎖保護基を用いて、アルギニン残基において側鎖保護される。典型的には、式VIのペプチドは、望ましくない副反応を回避するために、特にFmocでのN末端保護については、アスパラギン残基において適切な側鎖保護基で側鎖保護される。特に、FmocでのN末端保護の場合において、適切な例はトリチル(Trt)である。
【0025】
驚くべきことに、出願人は、式VおよびVIのペプチドについては側鎖保護を省略でき、これにより、それらのアセンブリー、並びにそれらのカップリング生成物(即ち、式VIIのペプチド)におけるC末端脱保護の両方が容易になることを見出した。この発見は、C末端保護および側鎖保護の間の直交性を無視して、経路をより単純にすることを可能にする。もう一つの利点は、対応する未保護の出発物質が保護されたものよりも購入が安価なことであり、これは大規模製造のために特に重要である。好ましくは、本発明による方法において、工程(a)では、式VおよびVIの任意に側鎖保護されたペプチドの少なくとも一方は側鎖が未保護である。両方のペプチドが側鎖未保護の場合、工程(a)および(b)における式VIIおよびIIの得られるペプチドもまた、同様に側鎖が未保護である。
【0026】
より好ましくは、本発明による方法では、
工程(a)において、式VおよびVIの両方のペプチドが側鎖未保護である;
工程(c)において、式Xのペプチドは、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルからなる群から選択される少なくとも一つの側鎖保護基、好ましくはBzlで保護される。但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであれば、側鎖保護基は何れもBomではない;
工程(e)において、式XIIIのアスパラギン酸誘導体は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルからなる群から選択される側鎖保護基、好ましくはBzlで保護される。但し、P4またはP5がBoc、Bpoc、またはDdzであれば、側鎖保護基は何れもBomではない。
【0027】
更に好ましくは、本発明による方法では、工程(a)において、式VおよびVIの両方のペプチドが側鎖保護され、また工程(c)および(e)の両方において、少なくとも一つの側鎖保護基がBzlである。
【0028】
本発明による方法の最も好ましい実施形態では、工程(c)において、式Xのペプチドは、四つのグルタミン酸およびチロシンの側鎖を保護する五つの側鎖保護基で側鎖保護されて、次式のペプチドを与える:
H−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号8) (Xb)
ここで、P3は接触水素化により除去可能な保護基であり、好ましくは、P3はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり、より好ましくは、P3はBzlであり;
またP6〜P10の各々は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルからなる群から独立に選択され、好ましくは、P6〜P10の各々はBzlである;また、工程(e)において、側鎖保護された式XIIIのアスパラギン酸は
P5−Asp(OP11)11−OH,
である:
ここで、P5は式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、好ましくは、P5は接触水素化に対して安定で、側鎖保護基に対しておよびP3に対して直交性である;より好ましくは、P5はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P5はBocである;また、P11はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4-スルホベンジルからなる群から選択され、好ましくは、P11はBzlである。
【0029】
ここにおいて、および以下において、C末端および側鎖の両方について、略語「OP(数字)」はエステル(側鎖およびC末端の両方のカルボン酸との反応の後)を示すのに対して、略語「P(数字)」はエーテルを示す。例えば、「OBzl」はベンジルエステル(側鎖またはC末端のカルボキシ基との反応の後)を示すのに対して、略語「Bzl」はベンジルエーテル(例えばチロシンのフェノール性水酸基との反応の後)を示す。
【0030】
好ましくは、本発明による方法において、P1、P4およびP5はBocであり;P2、P3、P6、P7、P8、P9、P10およびP11はBzlである。
【0031】
より好ましくは、P1、P4およびP5はBocであり、P2、P3、P6、P7、P8、P9、P10およびP11はBzlであり、また式VおよびVIのペプチドは側鎖未保護であり、以下の工程を含んでなる溶液相での方法を与える:
(a)Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4)を、
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5)
と反応させて、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2)
を製造する工程;
(b)工程(a)で製造されたペプチドのBzlを除去して、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2)
を製造する工程;
(c)H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8)
を、
Boc−Phe12−OH
と反応させて、
Boc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)
を製造する工程
(d)工程(c)で製造されたペプチドのBocを除去して、N末端が脱保護された対応するペプチドを製造する工程;
(e)工程(d)で製造されたペプチドを、
Boc−Asp(OBzl)11−OH
と反応させて、
Boc−Asp(OBzl)11−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)
を製造する工程;
(f)工程(e)で製造されたペプチドのBocを除去して、
H−Asp(OBzl)11−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)
を製造する工程;
(g)工程(b)で製造されたペプチドを、工程(f)で製造されたペプチドと反応させて、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1)
を製造する工程;
(h)工程(g)で製造されたペプチドのBoc、C末端を保護するBzl、および側鎖を保護する全てのBzlを除去して、式Iのビバリルジンを製造する工程。
【0032】
この好ましい実施形態は非常に単純であり、複雑な保護基戦略を必要としない。
【0033】
好ましくは、工程(h)においては、最初にC末端を保護するBzlおよび全ての側鎖を保護するBzlを同時に除去して、次式のN末端がBocで保護されたビバリルジンを得、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH(配列番号1)、
その後にBocが除去される。
【0034】
好ましくは、C末端を保護するBzlおよび側鎖を保護する全てのBzlを同時に除去した後に得られるN末端がBocで保護されたビバルリジンは、Bocを除去する前に単離されない。
【0035】
C末端保護基P2、P3、並びに側鎖保護基P6〜P11は、それらが接触水素化によって除去可能な場合、当業者に知られた何れかの接触水素化方法によって除去することができる。水素化は、元素状水素によって、或いは蟻酸、蟻酸アンモニウム、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、またはtert−BuNH・BH等のボラン付加物のような適切な水素供与体の使用によって達成されてよい。適切な水素化触媒は、例えば貴金属をベースにする水素化触媒、特に、白金族金属として知られる金属、即ち、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、およびプラチナである。水素化触媒は、木炭のような支持体上にあるのが好都合である。必要な活性に応じて、水素化触媒はその活性を低下させるように「触媒毒入り」、特に硫化されてよい。必要に応じて、水素化をサポートするために適切な助触媒を添加してよい。このような助触媒は、酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、またはモリブデン酸ナトリウム(NaMoO)のような、バナジウム化合物またはモリブデン化合物であってよい。
【0036】
特に好ましい実施形態において、触媒は、製造コストおよび環境の両方に対して積極的な効果を有するようにリサイクルされる。触媒のリサイクルのために、触媒をリサイクルさせるのに適した何等かの処理が適用されてよい。
【0037】
好ましくは、除去工程(b)および(h)の少なくとも一方は、水素ガスおよびパラジウム/炭素(palladium on charcoal)を用いて溶媒中で行われる。溶媒としては、反応物質を溶解できる何れかの不活性な液体溶媒が使用されてよい。適用可能な溶媒には、クロロベンゼンおよびトリフルオロトルエンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンのような水素化炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノールおよびベンジルアルコールのようなアルコール;2,2,2−トリフルオロエタノールのようなハロゲン化アルコール;酢酸のようなカルボン酸;酢酸エチル、酢酸メチルおよびバレロラクトンのようなカルボン酸のエステルおよびラクトン;N−メチルピロリドン(NMP)またはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のようなヘテロ原子を含有する有機溶媒が含まれる。これら溶媒は単独で、溶媒混合物として、または水との混合物として使用することができる。ペプチド断片の溶解度によっては、ニートの水を使用してもよい。従って、工程(b)において、除去は溶媒としてのニートの水の中で達成されてよい。好ましい溶媒は、DMF、アセトン、酢酸、アセトンと水の混合物、および酢酸と水の混合物からなる群から選択される。
【0038】
好ましい実施形態において、除去工程(b)は、DMF、アセトン、水、および、アセトンと水の混合物からなる群から選択される溶媒、特にDMF中で行われる。より好ましくは、除去工程はDMF中で行われる。驚くべきことに、除去工程(b)で使用される溶媒は、最終ビバリルジンの不純物プロファイルに対して影響を有することが分かった。DMFは、例えばアセトンと水の混合物に比較して有利であり、−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−(配列番号2)の二重組込みの後に形成される不純物を抑制できることが観察された。
【0039】
もう一つの好ましい実施形態において、除去工程(h)は、酢酸または酢酸と水の混合物、特に酢酸と水の混合物中で実施される。
【0040】
除去工程(b)および(h)の水素化プロセスは、大気圧または超大気圧において行われてよい。典型的な圧力は、1〜100バールである。有利には、1〜70バール、特に2〜10バールが用いられる。
【0041】
除去工程(b)および(h)の水素化反応は、低音または高温で行ってよい。例示的な温度範囲は−20℃〜70℃である。好ましい温度は0℃〜60℃であり、最も好ましいのは10℃〜40℃の範囲である。
【0042】
本発明の方法のカップリング工程(a)、(c)、(e)および(g)は溶液相で行われ、またペプチド合成技術で既知の反応条件を用いて行うことができる。それぞれの側鎖が脱保護され、または側鎖が保護されたペプチド断片/アミノ酸誘導体のカップリングは、インサイチューのカップリング試薬、例えば、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(6-クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレート(TCTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレート(TATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレート(TBTU)、およびO−[シアノ(エトキシカルボニル)メチレンアミノ]−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレート(TOTU)のようなホスホニウムカップリング試薬もしくはウロニウムカップリング試薬、またはジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、および水溶性カルボジイミド(WSCDI)、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)のようなカルボジイミドカップリング試薬を、任意に塩酸塩のような塩として使用して達成することができる。他のカップリング技術は、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)およびp−ニトロフェノール(HONp)エステルのような、予め形成された活性エステル;N−カルボキシ酸無水物(NCAs)のような予め形成された対称性酸無水物および非対称性酸無水物、並びにフッ化アシルまたは塩化アシルのような酸ハロゲン化物を使用する。好ましいカップリング試薬はカルボジイミドカップリング試薬であり、最も好ましいのはDICまたはEDC、適切にはEDC・HClのようなEDCである。
【0043】
カップリング工程(a)(c)(e)および(g)の反応混合物は、有利には塩基、好ましくは三級アミン塩基を含んでよく、これらはカルボキシ成分を脱プロトン化し、アミン成分の対イオンを中和し、従ってインサイチューの反応を容易にする。適切な塩基は、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)またはトリエチルアミン(TEA)のようなトリアルキルアミン;N,N−ジエチルアニリンのようなN,N−ジアルキルアニリン;2,4,6−トリメチルピリジンのような2,4,6−トリアルキルピリジン;N−メチルモルホリンのようなN−アルキルモルホリンである。特に、該反応混合物は、有利には塩基としてTEA又はDIPEAを含んでいる。
【0044】
カップリング工程(a)(c)(e)および(g)の反応混合物は、望ましくない副反応の抑制における積極的効果の故に、添加物として補助的な求核試薬を更に含有することができる。如何なる既知の補助的求核試薬を使用してもよい。適切な補助的求核試薬の例は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、N−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)、および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)である。好ましくは、該カップリング工程の反応混合物は、追加的にHOBtを含有する。
【0045】
好ましい実施形態において、カップリング工程(a)(c)(e)および(g)の反応混合物は、DIC/HOBt/TEA、EDC/HOBt/DIPEA、およびEDC/HOBt/TEAからなる群から選択される。
【0046】
カップリング工程(a)(c)(e)および(g)の溶媒としては、反応物を溶解できる如何なる不活性液体溶媒を使用してもよい。適用可能なカップリング溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセタミド(DMA)、またはそれらの混合物のような水混和性溶媒;又はジクロロメタン(DCM)、酢酸エチル、またはそれらの混合物;および水混和性溶媒および水非混和性溶媒の何れか適切な混合物(水との混合物を含む)である。
【0047】
工程(d)、(f)および(h)のN末端の脱保護は、ペプチド合成の技術において既知の反応条件を使用して実施することができ、保護基P1、P4およびP5の性質に依存する。保護基がBocである場合に、脱保護は、適切には酸、好ましくはトリフルオロ酢酸によって達成され、これらは無溶媒で、或いはトルエン、THFまたはトルエンとTHFの混合物のような不活性溶媒との混合物として適用されてよい。保護基がFmocである場合、N末端の脱保護は、塩基、好ましくはピペリジンまたはジエチルアミンのような二級アミンとの反応によって達成することができる。典型的には、N末端の脱保護は溶媒中で行われ、該溶媒は、ジクロロメタンのような塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリドンのようなアルキル化アミンおよびラクタム;トルエンのような芳香族炭化水素;THFのようなエーテル、またはそれらの何れかの混合物のような、反応物を妨害しない何れかの溶媒であることができる。好ましくは、N末端のBoc基の脱保護はトルエン中において、或いは、フェノール、トルエンおよびTHFの混合物中において行われる。
【0048】
工程(h)の後に得られる粗製ビバリルジンは、分取HPLCまたは向流分配法のような従来の方法によって精製してよい。精製工程は反復されてよい。工程(a)〜(g)ののちに得られるペプチド断片についても同じことが言える。
【0049】
式Iの最終的なビバリルジンは、沈殿、またはリョフィリゼーションとしても知られる凍結乾燥のような、ペプチド化学で既知の単離方法に従って単離することができる。
【0050】
式VおよびVIの任意に側鎖保護されたペプチド、および式Xの側鎖保護されたペプチドは、従来のペプチド合成方法、例えば溶液相合成(同義語:均一相ペプチド合成、HPPSと略称される)、固相ペプチド合成(SPPS)、または混合合成(同義語:混合相ペプチド合成、MPPSと略称される)と呼ばれるSPPSおよびHPPSの組合せを使用して調製することができる。
【0051】
本発明による方法の一実施形態において、式Vの任意に側鎖保護されたペプチド、式VIの任意に側鎖保護されたペプチド、および式Xの側鎖保護されたペプチドからなる群から選択される少なくとも一つのペプチドは、先行プロセスにおいて溶液相合成により調製される。好ましくは、これらのペプチドは対応するジペプチド、即ち、配列パターン−D−Phe−Pro−、−Arg−Pro−、−Gly−Gly−、−Gly−Gly−、−Asn−Gly−、−Glu13−Glu−、−Ile15−Pro−、−Glu17−Glu−、または−Tyr19−Leu−で出発して組み立てられる。N末端、C末端および側鎖の保護基、並びに反応条件は当業者に既知のものの何れであってもよく、好ましくは上記で述べたのと同一または類似のものである。
【0052】
特に、次式の任意に側鎖保護されたペプチドV、好ましくは側鎖未保護のペプチドVaの溶液相における製造方法は、以下の工程(a)〜(c)を含んでなるものである:
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4) (V),
ここで、P1は保護基であり、好ましくは、P1は接触水素化に対して安定な保護基であり、より好ましくは、P1はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P1はBocである;
(a)任意に側鎖保護された次式のジペプチド、好ましくは側鎖未保護のジペプチドXVIaのP12を除去する工程、
P12−Arg−Pro−OP13 (XVI),
ここで、P12は保護基であり、好ましくは、P12は側鎖保護基およびP13に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P12は接触水素化に対して安定で且つ側鎖保護基およびP13に対して直交性の保護基であり、更に好ましくは、P12はBoc、Bpoc、Ddz、Fmoc、またはMscであり、最も好ましくは、P12はBocであり;また
P13は、Bzl、メチル(Me)またはエチル(Et)のような保護基であり、好ましくは、P13は接触水素化により除去可能で且つ側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P13はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり、最も好ましくはP13はBzlである;但し、P12がBoc、BpocまたはDdzであれば、P13はBomではない:
(b)N末端を脱保護され任意に側鎖保護されたジペプチド、好ましくは工程(a)で製造された側鎖未保護のジペプチドを、次式の任意に側鎖保護されたジペプチド、好ましくは側鎖未保護のジペプチドXVIIaと反応させて、
P1−D−Phe−Pro−OW (XVII)
ここで、P1は上記で定義した通りであり、Wは水素または五フッ化フェニル(Pfp)である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドXV、好ましくは側鎖未保護のペプチドXVaを製造する工程、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OP13(配列番号4) (XV),
ここで、P1およびP13は上記で定義した通りである;
(c)工程(b)で製造された任意に側鎖保護されたペプチド、好ましくは側鎖未保護のペプチドXVaのP13を除去して、式Vの任意に側鎖保護されたペプチド、好ましくは側鎖未保護のペプチドVaを製造する工程。
【0053】
また特に、次式の任意に側鎖保護されたペプチドVI、好ましくは側鎖未保護のペプチドVIaの溶液相における製造方法は、以下の工程(a)〜(c)を含んでなるものである:
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号5)
(VI),
ここで、P2は保護基であり、好ましくは、P2は接触水素化により除去可能で且つ任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P2はBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、または4−スルホベンジルであり、最も好ましくは、P2はBzlである;
(a)次式の任意に側鎖保護されたジペプチドXVIII、好ましくは側鎖未保護のジペプチドXVIIIaのP14を除去する工程、
P14−Asn−Gly10−OP2 (XVIII),
ここで、P14は保護基であり、好ましくは、P14は側鎖保護基およびP2に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P14は接触水素化に対して安定で且つ側鎖保護基およびP2に対して直交性の保護基であり、更に好ましくは、P14はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P14はBocである;
但し、P14がBoc、BpocまたはDdzであれば、P2はBomではない;
(b)工程(a)で製造された、N末端を脱保護され且つ任意に側鎖保護されたジペプチド、好ましくは側鎖未保護のジペプチドを、次式のテトラグリシンIXXと反応させて、
P15−Gly−Gly−Gly−Gly−OH(配列番号10) (IXX),
ここで、P15は保護基であり、好ましくは、P15は式XXのペプチドの側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P15は接触水素化に対して安定で且つ式XXのペプチドの側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、更に好ましくは、P15はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P15はBocである;
次式の任意に側鎖保護されたペプチドXX、好ましくは側鎖未保護のペプチドXXaを製造する工程、
P15−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2
(配列番号5) (XX)
こでで、P2およびP15は上記で定義した通りである;
但し、P15がBoc,BpocまたはDdzであれば、P2はBomではない;および
(c)工程(b)で製造された、任意に側鎖保護された式XXのペプチド、好ましくは側鎖未保護のペプチドXXaのP15を除去して、式VIの任意に側鎖保護されたペプチド、好ましくは側鎖未保護のペプチドVIaを製造する工程。
【0054】
更に特記すれば、次式の側鎖保護されたペプチドX、好ましくは次式のペプチドXbの溶液相における製造方法は、以下の工程(a)〜(c)を含んでなるものである:
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X),
H−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号8) (Xb),
ここで、P3は保護基であり、好ましくは、P3は接触水素化により除去可能な保護基であり、より好ましくは、P3はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり、最も好ましくは、P3はBzlであり;
P6〜P10の各々は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルからなる群から独立に選択される:
(a)次式の側鎖保護されたペプチドVIII、好ましくは次式のペプチドVIIIbのP16を除去する工程、
P16−Glu−Glu−Ty−Leu20−OP3(配列番号6) (VIII),
P16−GLU(OP8)−GLU(OP9)−TYR(P10)−LEU20−OP3(配列番号6) (VIIIB)
ここで、P3およびP8〜P10は上記で定義した通りであり、また
P16は保護基であり、好ましくは、P16は側鎖保護基およびP3に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P16は接触水素化に対して安定で且つ側鎖保護基およびP3に対して直交性の保護基であり、更に好ましくは、P16はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P16はBocである;
但し、P16がBoc、BpocまたはDdzであれば、P3はBomではない;
(b)工程(a)で製造された、N末端が脱保護され且つ側鎖保護された式VIIIのペプチド、好ましくは、対応するペプチドVIIIbを、次式の側鎖保護されたペプチドIX、好ましくは次式のペプチドIXbと反応させて、
P17−Glu−Glu−Ile15−Pro−OH(配列番号7) (IX)、
P17−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−OH(配列番号7) (IXb)
ここで、P6およびP7は上記で定義した通りであり、
P17は保護基であり、好ましくは、P17は側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P17は接触水素化に対して安定で且つ側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、更に好ましくは、P17はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P17はBocである;
次式の側鎖保護されたペプチドXXI、好ましくは次式のペプチドXXIを製造する工程、
P17−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (XXI)
P17−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号8) (XXIb),
ここで、P3、P6〜P10およびP17は上記で定義した通りである;
但し、P17がBoc、BpocまたはDdzであるならば、P3またはP6〜P10の何れかはBomではない;および
(c)工程(b)で製造された、式XXIの側鎖保護されたペプチド、好ましくは対応するペプチドXXIbのP17を除去して、式Xの側鎖保護されたペプチド、好ましくはペプチドXbを製造する工程。
【0055】
本発明による方法の更なる実施形態において、式Vの任意に側鎖保護されたペプチド、式VIの任意に側鎖保護されたペプチド、および式Xの側鎖保護されたペプチドからなる群から選択された少なくとも一つのペプチドは、先行するプロセスにおいて固相合成により調製される。それにより、SPPSビルディングブロックおよびSPPS条件を含む何れかの普通に知られたSPPS方法が用いられてよい。当業者に知られ、且つ保護されたペプチドの調製を可能にする全ての樹脂を適用することができる。ここで、樹脂は広義に解釈されるべきである。従って、「樹脂」の用語は、例えば固体支持体単独、またはリンカーに直接連結された固体支持体(任意に両者の間にハンドルを備える)を意味するように理解されるべきである。該樹脂は、不溶性または可溶性であってよい。可溶性ポリマーのポリエチレングリコール(可溶性PEGポリマー)は、可溶性樹脂の固体支持体の一例であり、従って単一のビルディングブロックのアセンブリー後には可溶性のペプチド−樹脂を形成する。好ましい樹脂は、トリチルまたはブロモベンズヒドリルを備えたポリスチレンをベースとする樹脂である。トリチル樹脂の例は、塩化2−クロロトリチル樹脂(CTC樹脂)、塩化トリチル樹脂、塩化4−メチルトリチル樹脂、および塩化4−メトキシトリチル樹脂である。好ましくは、CTC樹脂は前記ペプチド断片の合成に適用される。
【0056】
本発明のもう一つの目的は、本発明の方法において中間体として有用なペプチドを提供することである。特に、これらペプチドの一つは、下記からなる群から選択されるペプチドである:
(i)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4) (V)
ここで、P1は保護基であり、好ましくは、P1は接触水素化に対して安定な保護基であり、より好ましくは、P1はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P1はBocであり、また
前記ペプチドはアルギニン残基において、ニトロのような適切な側鎖保護基で任意に側鎖保護される;
(ii)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号5) (VI)
ここで、P2は保護基であり、好ましくは、P2は接触水素化により除去可能で且つ前記任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P2はBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、または4−スルホベンジルであり、最も好ましくは、P2はBzlであり、また
前記ペプチドは、アスパラギン残基において、トリチル(Trt)のような適切な側鎖保護基で任意に側鎖保護される;
(iii)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号2) (VII)
ここで、P1、P2および任意の側鎖保護基、並びにP1、P2および任意の側鎖保護基の好ましい意味は、上記で定義した通りである;
(iv)次式の側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIa)
ここで、P1および側鎖保護基、並びにP1および任意の側鎖保護基の好ましい意味は、上記で定義した通りであるが、
Pbfがペンタメチルジヒドロベンゾフランスルホニルであり、Trtはトリチルであるとして、Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−OHは除く;このペプチドは、CTC樹脂上での固相合成の生成物として、WO2007/033383に開示されている;対照的に、本発明によるIIaの側鎖保護されたペプチドは異なる方法、即ち、溶液相合成によって形成される;
(v)次式の側鎖未保護のペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIb)
ここで、P1、並びにP1の好ましい意味は、上記で定義した通りである;
(vi)次式の側鎖保護されたペプチド
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X)
ここで、P3は保護基であり、好ましくは、P3は接触水素化により除去可能な保護基であり、より好ましくは、P3はBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、または4−スルホベンジルであり、最も好ましくは、P3はBzlであり、また
側鎖保護基は、少なくとも一つの適切な側鎖保護基であり、好ましくはBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、および4−スルホベンジルからなる群から選択され、より好ましくはBzlである;
(vii)次式の側鎖保護されたペプチド
P4−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号9) (XII)
ここで、P3および側鎖保護基、並びにP3および任意の側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであり、また
P4は保護基であり、好ましくは、P4は式Xのペプチドの側鎖保護基に対しておよびP3に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P4はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P4はBocであり、
但し、P4がBoc、Bpoc、またはDdzであるならば、P3はBomではなく、またはP4は水素である;
(viii)次式の側鎖保護されたペプチド
P5−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (XIV)
ここで、P3および側鎖保護基、並びにP3および側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであり、また
P5は保護基であり、好ましくは、P5は式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P5はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P5はBocである;但し、P5がBoc、Bpoc、またはDdzであるならば、P3はBocではないが、
Fmoc−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuは除かれ、ここでのtBuはtert−ブチルである。このペプチドは、前駆体ペプチド(即ち、ペプチド配列マイナスLeu)とH−Leu−OtBuとの間の反応生成物として、WO2007/033383に開示されている。該WO2007/033383に開示された前駆体ペプチドは、CTC樹脂上での固相合成によって、先行する工程において既に形成されている。H−Leu−OtBuとの反応の後、該開示されたペプチドは、次の工程を続ける前に単離されることはない。対照的に、本発明による式XIVの側鎖保護されたペプチドは異なった方法、即ち、溶液相合成によって形成され、これはその形成後に単離される。
【0057】
(ix)次式の側鎖保護されたペプチド
H−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (III)
ここで、P3および側鎖保護基、並びにP3および側鎖保護基の好ましい意味は、上記で定義した通りであるが、
H−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuは除かれ、このペプチドはWO2007/033383に開示されている。それは、上記で述べたN末端が脱保護されたペプチドである。従って、上記で説明したように、その形成方法は本発明による式IIIの側鎖保護されたペプチドとは異なっている;および
(x)次式の側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号1) (IV)
ここで、P1、P3および側鎖保護基、並びにP1、P3および任意の側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであるが、
Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuを除く。このペプチドは、WO2007/033383において、両者とも上記で説明したBoc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−OHと、H−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuをカップリングさせた後の生成物として開示されている。従って、そのカップリング生成物に向かう方法は、本発明による式IVの側鎖保護されたペプチドに向かう方法とは異なっている。
【0058】
好ましい実施形態において、式Vのペプチドは側鎖保護され、且つ次式のものであり、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4)
これはビバリルジンのアミノ酸位1〜4の配列を含んでなるものである。
【0059】
もう一つの好ましい実施形態において、式VIのペプチドは側鎖を脱保護され、且つ次式のものであり、
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5)
これはビバリルジンのアミノ酸位5〜10の配列を含んでなるものである。
【0060】
もう一つの好ましい実施形態において、式VIIのペプチドは側鎖を脱保護され、且つ次式のものであり、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2)
これはビバリルジンのアミノ酸位1〜10の配列を含んでなるものである。
【0061】
もう一つの好ましい実施形態において、式IIbの側鎖を脱保護されたペプチドは次式のものであり、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2)
これはビバリルジンのアミノ酸位1〜10の配列を含んでなるものである。
【0062】
もう一つの好ましい実施形態において、式Xの側鎖保護されたペプチドは次式のものであり、
H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8)
これはビバリルジンのアミノ酸位13〜20の配列を含んでなるものである。
【0063】
もう一つの好ましい実施形態において、式XIIの側鎖保護されたペプチドは次式のものであり、
Boc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)、または
H−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9),
これらは両者とも、ビバリルジンのアミノ酸位12〜20の配列を含んでなるものである。
【0064】
もう一つの好ましい実施形態において、式XIVの側鎖保護されたペプチドは次式のものであり、
Boc−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3),
これはビバリルジンのアミノ酸位11〜20の配列を含んでなるものである。
【0065】
もう一つの好ましい実施形態において、式IIIの側鎖保護されたペプチドは次式のものであり、
H−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3),
これはビバリルジンのアミノ酸位11〜20の配列を含んでなるものである。
【0066】
もう一つの好ましい実施形態において、式IVの側鎖保護されたペプチドは次式のものであり、
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1),
これはビバリルジンのアミノ酸位1〜20の配列を含んでなるものである。
【0067】
もう一つの側面において、本発明は、次式のビバリルジン
H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH(配列番号1) (I)
の合成における中間体としての、下記からなる群から選択されるペプチドの使用に関する:
(i)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4) (V),
ここで、P1は保護基であり、好ましくは、P1は接触水素化に対して安定な保護基であり、より好ましくは、P1はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P1はBocであり、また
前記ペプチドはアルギニン残基において、ニトロのような適切な側鎖保護基で任意に側鎖保護され、
好ましくは、ペプチドVは側鎖未保護であり、且つ次式のものである。
【0068】
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4);
(ii)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号5) (VI),
ここで、P2は保護基であり、好ましくは、P2は接触水素化により除去可能で且つ前記任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P2はBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、または4−スルホベンジルであり、最も好ましくは、P2はBzlであり、また
前記ペプチドは、アスパラギン残基において、トリチル(Trt)のような適切な側鎖保護基で任意に側鎖保護され、
好ましくは、ペプチドVIは側鎖未保護であり、且つ次式のものである
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5);
(iii)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号2) (VII)
ここで、P1、P2および任意の側鎖保護基、並びにP1、P2および任意の側鎖保護基の好ましい意味は、上記で定義した通りである;
好ましくは、ペプチドVIIは側鎖未保護であり、且つ次式のものである;
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2);
(iv)次式の側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIa),
ここで、P1および側鎖保護基、並びにP1および任意の側鎖保護基の好ましい意味は、上記で定義した通りであるが、
Pbfがペンタメチルジヒドロベンゾフランスルホニルであり、Trtはトリチルであるとして、Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−OHは除く。このペプチドは、CTC樹脂上での固相合成の生成物として、WO2007/033383に開示されている。対照的に、本発明によるIIaの側鎖保護されたペプチドは異なる方法、即ち、溶液相合成によって形成される;
(v)次式の側鎖未保護のペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIb)
ここで、P1、並びにP1の好ましい意味は、上記で定義した通りであり、
好ましくは、式IIbの側鎖未保護のペプチドは次式のものである
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2);
(vi)次式の側鎖保護されたペプチド
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X)
ここで、P3は保護基であり、好ましくは、P3は接触水素化により除去可能な保護基であり、より好ましくは、P3はBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、または4−スルホベンジルであり、最も好ましくは、P3はBzlであり、また
側鎖保護基は、好ましくはBzl、Bom、Pac、ONbz、Pic、および4−スルホベンジルからなる群から選択され、より好ましくはBzlであり、
好ましくは、式Xの側鎖保護されたペプチドは次式のものである
H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8);
(vii)次式の側鎖保護されたペプチド
P4−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号9) (XII),
ここで、P3および側鎖保護基、並びにP3および任意の側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであり、また
P4は保護基であり、好ましくは、P4は式Xのペプチドの側鎖保護基に対しておよびP3に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P4はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P4はBocであり、
但し、P4がBoc、Bpoc、またはDdzであるならば、P3はBomではなく、またはP4は水素である;
好ましくは、式XIIの側鎖保護されたペプチドは次式のものである
Boc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9),または
H−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9);
(viii)次式の側鎖保護されたペプチド
P5−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (XIV)
ここで、P3および側鎖保護基、並びにP3および側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであり、また
P5は保護基であり、好ましくは、P5は式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基に対して、およびP3に対して直交性の保護基であり、より好ましくは、P5はBoc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、最も好ましくは、P5はBocである;但し、P5がBoc、Bpoc、またはDdzであるならば、P3はBocではないが、
Fmoc−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuを除き、ここでのtBuはtert−ブチルである。このペプチドは、前駆体ペプチド(即ち、ペプチド配列マイナスLeu)とH−Leu−OtBuとの間の反応生成物として、WO2007/033383に開示されている。該WO2007/033383に開示された前駆体ペプチドは、CTC樹脂上での固相合成によって、先行する工程において既に形成されている。H−Leu−OtBuとの反応の後、該開示されたペプチドは、次の工程を続ける前に単離されることはない。対照的に、本発明による式XIVの側鎖保護されたペプチドは異なった方法、即ち、溶液相合成によって形成され、これはその形成後に単離される;
好ましくは、式XIVの側鎖保護されたペプチドは次式のものである
Boc−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−-Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3);
(ix)次式の側鎖保護されたペプチド
H−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (III)
ここで、P3および側鎖保護基、並びにP3および側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであるが、
H−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuは除く。このペプチドは、WO2007/033383に開示されている。それは、上記で述べたN末端が脱保護されたペプチドである。従って、上記で説明したように、その形成方法は本発明による式IIIの側鎖保護されたペプチドとは異なっている;
好ましくは、式IIIの側鎖保護されたペプチドは次式のものである
H−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3);
および
(x)次式の側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号1) (IV)
ここで、P1、P3および側鎖保護基、並びにP1、P3および任意の側鎖保護基の好ましい意味は上記で定義した通りであるが、
Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuは除く。このペプチドは、WO2007/033383において、両者とも上記で説明したBoc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−OHと、H−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuをカップリングさせた後の生成物として開示されている。従って、そのカップリング生成物に向かう方法は、本発明による式IVの側鎖保護されたペプチドに向かう方法とは異なっている;
好ましくは、式IVの側鎖保護されたペプチドは次式のものである
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1)。
【0069】
本発明はまた、式Iのビバリルジンの製造方法に関し、該方法は下記の工程を含んでなるものである:
(a)次式のペプチドを、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIc)
ここでのP1は保護基である;
次式のペプチドと反応させて、
H−Asp(OP11)−Phe−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号3) (IIIc)
ここでのP3およびP6〜P11の各々はBzlである;
次式のペプチドを得る工程
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OP11)−Phe−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号1) (IVc),
ここでのP1、P3およびP6〜P11は上記で定義した通りである;
(b)工程(a)で製造されたペプチドの側鎖保護基およびC末端保護基P3およびP6〜P11を除去する工程;
(c)工程(b)で製造されたペプチドのN末端保護基P1を除去して、式Iのビバリルジンを得る工程。
【0070】
本発明の方法は、収束的断片合成を介してのビバリルジンの非常に効率的な合成を可能にするものであり、これは工業的規模での製造に対して容易に適合させることができる。更に、ビバリルジンを調製するためのこの経路は非常に簡単であり、且つ複雑な保護基戦略を必要としない。加えて、種々のビルディングブロック(断片)は、アセンブリーの際のラセミ化を回避または最小化するように選択される。
【0071】
本発明の反応の前、最中および後に、全ての断片並びに全てのカップリング生成物は、該分子の物理化学的性質および/または反応条件に応じて、そのままの状態で存在してもよく、または適切な塩の形態で存在してもよい。適切な対イオンは、例えば、トリエチルアミン(TEA)、ジシクロヘキシルアミン(DCHA)、塩酸(HCl)およびトリフルオロ酢酸(TFA)の塩形態である。
【0072】
保護基P1としては、接触水素化に対して安定な如何なる保護基も使用することができ、例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、2−(3,5−ジメトキシフェニルl)プロパ−2−イルオキシカルボニル(Ddz)、アダマンチル−1−オキシカルボニル(Adc)、tert−アミルオキシカルボニル(Aoc)、ジフェニルホスフィニル(Dpp)、2−(メチルスルホニル)エトキシカルボニル(Msc)、およびフタロイル(Pht)である。好ましくは、保護基P1はBoc、FmocまたはDdzである。
【0073】
好ましくは、保護基P3およびP6〜P11はベンジル(Bzl)である。ここでは、および以下では、「OBzl」の略語はベンジルエステル(側鎖およびC末端の両方のカルボン酸との反応後)を示すのに対して、「Bzl」の略語はベンジルエーテル(例えばチロシンのフェノール性水酸基との反応後)を示す。
【0074】
工程(a)〜(c)は、ペプチド合成の技術において知られた標準の反応条件を使用して実施することができる。
【0075】
カップリングおよび脱保護工程(a)、(b)および(c)は、好ましくは溶液中で行われる。
【0076】
カップリング工程(a)については、DMFが溶媒として好ましく使用される。第一の脱保護工程(b)は、好ましくは酢酸および/または水の中で行われる一方、第二の脱保護工程(c)は、好ましくはトルエン中で行われる。
【0077】
好ましい実施形態において、カップリング工程(a)は、HOBt、EDC・HCl、およびTEAの組合せを用いて達成される。
【0078】
好ましい実施形態において、第一の脱保護工程(b)は、水素ガスおよびパラジウム/炭素(palladium on charcoal)を用いて実施される。
【0079】
好ましい実施形態において、第二の脱保護工程(c)はTFAを用いて行われる。
【0080】
工程(c)の後に得られた粗生成物は、従来の方法によって、例えば、分取HPLC、向流分配法またはその均等物を用いて精製することができる。工程(a)および(b)の後に得られる中間体についても、もし精製が必要であれば、同じことが言える。
【0081】
保護されたペプチド断片IIcおよびIIIcは、従来のペプチド合成法、例えば溶液相合成(HPPS)または固相合成(SPPS)を使用して調製することができる。SPPSの場合、当業者に既知で且つ保護されたペプチドの調製を可能にする全ての樹脂を適用することができる。ここでの樹脂は広義に解釈されるべきである。従って、「樹脂」の用語は、例えば固体支持体単独、またはリンカーに直接連結されて両者の間に任意にハンドルを備えた固体支持体を意味するように理解されるべきである。該樹脂は不溶性でもよく、または可溶性でもよい。可溶性ポリマーであるポリエチレングリコールは可溶性樹脂の固体支持体の一例である。好ましい樹脂は、トリチルまたはブロモベンズヒドリルを備えたポリスチレンをベースと樹脂である。トリチル樹脂の例は、塩化2−クロロトリチル樹脂(CTC樹脂)、塩化トリチル樹脂、塩化4−メチルトリチル樹脂、および塩化4−メトキシトリチル樹脂である。好ましくは、CTC樹脂は遊離のカルボキシル官能基を含む断片の合成のために適用される。
【0082】
好ましい実施形態において、保護されたペプチド断片IIcおよびIIIcは、溶液相合成を使用して調製される。
【0083】
本発明のもう一つの目的は、本発明の方法における中間体として有用な、保護されたペプチドを提供することである。特に、これらペプチドの一つは式IVcの保護されたペプチドであり、ここでのP1は保護基であり、好ましくは、P1はBocまたはHであり、P3およびP6〜P11はBzlである。
【0084】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式IIcのN末端が保護されたペプチドであり、ここでのP1は保護基であり、好ましくは、P1はBocである。
【0085】
更なる側面において、本発明はまた、N末端が保護された次式のペプチドの製造方法であって、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIc)
ここで、P1はBocである
以下の工程を含んでなる方法に関する:
(a)次式のペプチドのC末端保護基を除去して、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OP13(配列番号4) (Vc)
ここで、P1はBocであり、P13はBzl、メチル(Me)およびエチル(Et)のような保護基であり、好ましくは、P13はBzlである;
N末端が保護され、且つC末端は脱保護されてP13がHである式Vcのペプチドを得る工程;
(b)次式のペプチドのN末端保護基を除去して、
P15−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5) (VIc)
ここで、P15はBocである
C末端が保護され、且つN末端は脱保護されてP15がHである式VIcのペプチドを得る工程;
(c)工程(a)で製造されたP13がHである式Vcのペプチドを、工程(b)で製造されたP15がHである式VIcのペプチドと反応させて、次式のペプチドを得る工程
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2) (VIIc),
ここで、P1はBocである;および
(d)工程(c)で製造されたペプチドのC末端保護基を除去して、式IIcのN末端が保護されたペプチドを得る工程。
【0086】
工程(a)〜(c)は、ペプチド合成の技術において既知の標準の反応条件を使用して実施することができる。
【0087】
カップリングおよび脱保護工程(a)、(b)、(c)および(d)は、好ましくは溶液中で行われる。
【0088】
カップリング工程(c)においては、DMFが溶媒として好ましく使用される。第一の脱保護工程(a)は、好ましくはアセトン中で行われるのに対して、第二の脱保護工程(b)は、好ましくはトルエンおよび/またはTHF中で行われる。第三の脱保護工程(d)は、好ましくは、DMF、アセトン、水、およびアセトンと水の混合物からなる群から選択された溶媒中で行われる。
【0089】
好ましい実施形態において、第一の脱保護工程(a)は、水素ガスおよびパラジウム/炭素(palladium on charcoal)を用いて行われる。
【0090】
好ましい実施形態において、第二の脱保護工程(b)はTFAを用いて行われる。
【0091】
好ましい実施形態において、カップリング工程(c)は、HOBt、DICおよびTEAの組合せを用いて達成される。
【0092】
好ましい実施形態において、第三の脱保護工程(d)は、水素ガスおよびパラジウム/炭素(palladium on charcoal)を用いて行われる。
【0093】
工程(d)の後に得られた粗生成物は、従来の方法によって、例えば、分取HPLC、向流分配法またはその均等物を用いて精製することができる。工程(a)、(b)および(c)の後に得られる中間体についても、もし精製が必要であれば同じことが言える。
【0094】
保護されたペプチド断片VcおよびVIcは、従来のペプチド合成法、例えば溶液相合成(HPPS)または固相合成(SPPS)を使用して調製することができる。SPPSの場合、当業者に既知で且つ保護されたペプチドの調製を可能にする全ての樹脂を適用することができる。ここでの樹脂は広義に解釈されるべきである。従って、「樹脂」の用語は、例えば固体支持体単独、またはリンカーに直接連結され且つ両者の間に任意にハンドルを備えた固体支持体を意味するように理解されるべきである。該樹脂は不溶性でもよく、または可溶性でもよい。可溶性ポリマーであるポリエチレングリコールは可溶性樹脂の固体支持体の一例であり、従って可溶性のペプチド−樹脂接合体を導く。好ましい樹脂は、トリチルまたはブロモベンズヒドリルを備えたポリスチレンをベースと樹脂である。トリチル樹脂の例は、塩化2−クロロトリチル樹脂(CTC樹脂)、塩化トリチル樹脂、塩化4−メチルトリチル樹脂、および塩化4−メトキシトリチル樹脂である。好ましくは、CTC樹脂は遊離のカルボキシル官能基を含む断片の合成のために適用される。
【0095】
好ましい実施形態において、保護されたペプチド断片VcおよびVIcは、溶液相合成を使用して調製される。
【0096】
本発明のもう一つの目的は、式IIcのN末端を保護されたペプチドの製造のための本発明の方法における中間体として有用な、保護されたペプチドを提供することである。特に、これらペプチドの一つは、C末端およびN末端を保護された式Vcのペプチドであり、ここでのP13は保護基、好ましくはBzlである。これらペプチドのもう一つは、N末端を保護されると共に遊離のC末端を備えた式Vcのペプチドである。
【0097】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式VIcのC末端が保護されたペプチドであり、ここでのP15はBocであり、またはP15はHである。
【0098】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、C末端およびN末端が保護された式IIcのペプチドであり、ここでのP1は保護基であり、好ましくは、P1はBocである。
【0099】
ビバリルジンの製造のための方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式IIIcの保護されたペプチドであり、ここでのP3およびP6〜P11はBzlである。
【0100】
更なる側面において、本発明はまた、次式の保護されたペプチドの製造方法であって、
H−Asp(OP11)−Phe−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号3) (IIIc)
ここで、P3およびP6〜P11はBzlである;
以下の工程を含んでなる方法に関する:
(a)次式のペプチドのN末端保護基を除去して、
P16−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号6) (VIIIc)
ここで、P3およびP8〜P10はBzlであり、P16はBocである;
C末端が保護され、N末端が脱保護されてP16がHである式VIIIcのペプチドを得る工程;
(b)工程(a)で製造された、P16がHで、P3およびP8〜P10がBzlである式VIIIcのペプチドを、次式のペプチドと反応させて、
P17−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−OH(配列番号7) (IXc)
ここで、P17はBocであり、P6およびP7はBzlである;
次式のペプチドを得る工程、
P17−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号8) (Xc),
ここで、P17はBocであり、P3およびP6〜P10はBzlである;
(c)P3およびP6〜P10がBzlであり、P17がBocである、工程(b)で製造された式XcのペプチドのN末端保護基を除去して、C末端が保護され、N末端が脱保護された、P3およびP6〜P10がBzlであり、且つP17がHである式Xcのペプチドを得る工程;
(d)P17がHであり、P3およびP6〜P10がBzlである工程(c)で製造された式Xcのペプチドを、次式の保護されたアミノ酸と反応させて、
Boc−Phe12−OH (XI)
次式のペプチドを得る工程
P4−Phe−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号9)
(XIIc),
ここで、P3およびP6〜P10はBzlであり、P4はBocである;
(e)工程(d)で製造された、P3およびP6〜P10がBzlであり、P4がBocである式XIIcのペプチドのN末端保護基を除去して、P3およびP6〜P10がBzlであり、P4がHであるC末端が保護されてN末端が脱保護された式XIIcのペプチドを得る工程;
(f)P4がHであり、P3およびP6〜P10がBzlである工程(e)で製造された式XIIcのペプチドを、次式の保護されたアミノ酸と反応させて、
Boc−Asp(OP11)11−OH (XIIIc)
ここで、P11はBzlである;
次式のペプチドを得る工程;
Boc−Asp(OP11)−Phe−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号3) (XIVc)
ここで、P3およびP6〜P11はBzlである;
(g)工程(f)で製造されたペプチドのN末端保護基を除去して、式IIIcのC末端が保護されたペプチドを得る工程。
【0101】
工程(a)〜(g)は、ペプチド合成の技術において既知の標準的な反応条件を使用して実施することができる。
【0102】
カップリングおよび脱保護工程(a)〜(g)は、好ましくは溶液中で行われる。
【0103】
カップリング工程(b)、(d)および(f)については、DMFが溶媒として好ましく使用される。脱保護工程(a)、(c)、(e)および(g)は、溶媒としてのトルエンおよびTHFの混合物中において好ましく行われる。
【0104】
好ましい実施形態において、カップリング工程(b)、(d)および(f)は、工程(b)についてはHOBt、EDC・HCl、および塩基TEAの組合せを用いて、工程(d)および(f)についてはそれぞれDIPEAを用いて達成される。もう一つの好ましい実施形態において、脱保護工程(a)、(c)、(e)および(g)は、EFAおよびフェノールの使用により行われる。
【0105】
工程(g)の後に得られた粗生成物は、従来の方法によって、例えば、分取HPLC、向流分配法またはその均等物を用いて精製することができる。工程(a)〜(f)の後に得られる中間体についても、もし精製が必要であれば同じことが言える。
【0106】
保護されたペプチド断片VIIIc、IXc、XI、およびXIIIcは、従来のペプチド合成法、例えば溶液相合成(HPPS)または固相合成(SPPS)を使用して調製することができる。SPPSの場合、当業者に既知で且つ保護されたペプチドの調製を可能にする全ての樹脂を適用することができる。ここでの樹脂は広義に解釈されるべきである。従って、「樹脂」の用語は、例えば固体支持体単独、またはリンカーに直接連結されて両者の間に任意にハンドルを備えた固体支持体を意味するように理解されるべきである。該樹脂は不溶性でもよく、または可溶性でもよい。可溶性ポリマーであるポリエチレングリコールは可溶性樹脂の固体支持体の一例である。好ましい樹脂は、トリチルまたはブロモベンズヒドリルを備えたポリスチレンをベースと樹脂である。トリチル樹脂の例は、塩化2−クロロトリチル樹脂(CTC樹脂)、塩化トリチル樹脂、塩化4−メチルトリチル樹脂、および塩化4−メトキシトリチル樹脂である。好ましくは、CTC樹脂は遊離のカルボキシル官能基を含む断片の合成のために適用される。
【0107】
好ましい実施形態において、保護されたペプチド断片VIIIc、IXc、XI、およびXIIIcは、溶液相合成を使用して調製される。
【0108】
本発明のもう一つの目的は、C末端が保護された式IIIcのペプチドの製造のために、本発明の方法における中間体として有用な保護されたペプチドを提供することである。特に、これらペプチドの一つは式XIVcの保護されたペプチドであり、ここでのP3およびP6〜P11はBzlである。
【0109】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式XIIcの側鎖保護されたペプチドであり、ここでのP3およびP6〜P10はBzlであり、P4はBoc保護基であるか、またはP4はHである。
【0110】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式Xcの保護されたペプチドであり、ここでのP3およびP6〜P10はBzlであり、P17はBoc保護基であるか、またはP17はHである。
【0111】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式IXcの保護されたペプチドであり、ここでのP6およびP7はBzlであり、またP17は好ましくはBocである。
【0112】
本発明の方法における中間体として特に有用なもう一つのペプチドは、式VIIIcの保護されたペプチドであり、ここでのP3およびP8〜P10はBzlであり、P16はBoc保護基であるか、またはP16はHである。
【0113】
更なる側面において、本発明はまた、ビバリルジンの合成における中間体としての、上記ペプチドの何れかの使用に関する。
【実施例】
【0114】
以下の非限定的な例によって、本発明の代表的な実施形態を詳細に例証する。
【0115】
<略語>:
Boc tert−ブトキシカルボニル
Bzl ベンジル
DCC 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCHA ジシクロヘキシルアミン
DCU ジシクロヘキシル尿素
DIC ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
EDC・HCl 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩
equiv. 当量
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MTBE メチル・tert−ブチルエーテル
NMM N−メチルモルホリン
HOPfp ペンタフルオロフェノール
OPfp ペンタフルオロフェニルエステル
HOSu N−ヒドロキシスクシンイミド
Su N−スクシンイミジル
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
実施例1:H−Asn−Gly10−OBzl・TFAの調製
Boc−Asn−Gly−OBzl(90.20kg;Hexagon Labs Inc., USA)を、20℃において、TFA(90L)、トルエン(388L)およびTHF(45L)の混合物に加えた。TFA(198L)を、≦22℃において該混合物に徐々に添加した。反応を20℃で完了させた。開裂の完了はHPLCによりモニターした。
【0116】
次いで、THFを徐々に添加し、反応混合物を真空中で蒸発させた。トルエンおよびTHFの混合物を用いて3回の共沸蒸留を行った。H−Asn−Gly10−OBzl・TFAが油状残渣として得られ、これを酢酸エチルで希釈した。該溶液を、次の化学工程において直接使用した(実施例3参照)。収率:100%、純度(HPLCによる):99.3%。
【0117】
実施例2:Boc−Gly−Gly−Gly−Gly−OH・TEA(配列番号10)
の調製
TEA(73.1L)を、20℃において、アセトン(78.44L)およびプロセス水(491L)の混合物中で、Boc−Gly−Gly−Gly−Gly−OEt(配列番号10)[98.11kg;Bonora et al, Gazzetta Chimica Italiana 1980, 110,
503−510、Boc−Gly−Gly−OH(Senn Chemicals, Switzerland)およびH−Gly−Gly−OEt・HCl(Senn Chemicals, Switzerland)から類似の方法で調製した]の懸濁液に徐々に加えた。この反応を20℃において完了させた。鹸化の完了はHPLCでモニターした。該溶液を真空中で蒸発させ、残渣の容積をプロセス水で456Lに調節した。このBoc−Gly−Gly−Gly−Gly−OH・TEA(配列番号10)の溶液を、次の化学工程において直接使用した(実施例3参照)。収率:100%、純度(HPLCによる):99.6%。
【0118】
実施例3:Boc−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl
(配列番号5)の調製
酢酸エチル中のH−Asn−Gly10−OBzl・TFA(573L,実施例1参照)の溶液のpHを、0℃において、TEAを用いて6〜6.5に調節した。実施例2で得られたBoc−Gly−Gly−Gly−Gly−OH(配列番号10)の溶液を0℃に冷却して加え、続いてHOBt(28.52kg)およびEDC・HCl(69.81kg)を添加した。0℃において、TEA(121L)を用いてpHを6〜6.5に調節した。該反応混合物を、室温に達するまで加温した。
【0119】
カップリングが完了したときに(約10時間後、HPLCにより示される)、NaClを反応混合物に加えた。該懸濁液を冷却および濾過して固体残渣を得、これをNaCl水溶液で数回洗浄し、次いで冷却した。得られた固体を真空中で乾燥して、純度97.9%(HPLCによる)を有する130.15kg(100%)のBoc−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5)を得た。
【0120】
実施例4:H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl・TFA(配列番号5)の調製
Boc−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5)(131.20kg、実施例3参照)を、≦22℃の温度において、TFA(131L)、トルエン(525L)およびTHF(105L)の混合物に徐々に加えた。この反応混合物に、≦22℃においてTFA(289L)を徐々に加えた。20℃において、約1.5時間以内に反応を完了させた(HPLCによりモニターした)。
【0121】
反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をジイソプロピルエーテル中に投入した。得られた懸濁液を濾過して固体を得、これをジイソプロピルエーテルで数回洗浄し、次いで真空中で乾燥して、純度97.5%(HPLCによる)を有する130.99kgのH−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl・TFA(配列番号5)を得た。
【0122】
実施例5:H−Arg−Pro−OBzl・2HClの調製
酢酸(380L)中の塩酸(1M)を、≦22℃において、酢酸(190L)およびTHF(19L)中のBoc−Arg−Pro−OBzl・HCl(95.00kg;Hexagon Labs Inc., USA)の懸濁液に徐々に添加した。開裂の完了(約1時間後)をHPLCによりモニターした。
【0123】
反応混合物を真空中で蒸発させた。共沸蒸留を最初は酢酸と共に行い、次いでDMFと共に行った。H−Arg−Pro−OBzl・2HClが油状残渣として得られ、これをDMFで希釈して約380Lの容積を得た。得られた溶液を、次の化学工程において直接使用した(実施例7参照)。収率:100%、純度(HPLCによる):96%。
【0124】
実施例6:Boc−D−Phe−Pro−OPfpの調製
酢酸エチル(10L)中のHOPfp(17.78kg)の溶液を、≦24℃において、酢酸エチル(183L)中のBoc−D−Phe−Pro−OH(33.33kg;Bachem AG, Switzerland)の懸濁液に添加した。酢酸エチル(83.3L)中のDCC(21.44kg)の溶液を、−6℃において徐々に反応混合物に加えた。次いで、該混合物を室温にまで加温した。カップリングの完了(約2時間)をHPLCによりモニターした。
【0125】
DCU塩を濾過により除去し、酢酸エチルで洗浄した。約80Lの残渣容積に到達するまで、濾液を真空中で蒸発させた。トルエンと共に、数回の共沸蒸留を行った。油状残渣を石油エーテル中で沈殿させた。固体を濾過し、石油エーテルで洗浄し、真空中で乾燥させて、純度99.3%(HPLCによる)を有する26.3kg(54%)のBoc−D−Phe−Pro−OPfpを得た。
【0126】
実施例7:Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OBzl・HCl(配列番号4)の調製
H−Arg−Pro−OBzl・2HCl(103.00kg;561L溶液;実施例5参照)の溶液を、20℃においてDMF(360L)で希釈した。DMF(82L)を55℃未満の真空中で蒸発させた。次いで、Boc−D−Phe−Pro−OPfp(121.54kg;実施例6参照)を、20℃において、H−Arg−Pro−OBzl・2HClの溶液に加えた。得られた混合物のpHを、0℃においてTEA(58L)で6.5に調節した。該反応は、HPLCモニタリングで示される通り、0℃において約20時間で完了した。
【0127】
得られた懸濁液の固体画分を濾別し、DMFで洗浄した。濾液を、残渣容積が約385Lになるまで真空中で濃縮した。脱イオン水、NaClおよび酢酸エチルの混合物を添加した。相を分離し、有機相を水性NaHCO、塩水中のHCl溶液、および最後に塩水で連続的に洗浄した。有機相を真空中で濃縮して油状残渣を得、これをトルエンとの共沸蒸留により乾燥し、ジイソプロピルエーテル中において20℃で沈殿させた。得られた懸濁液を濾過して固体を得、これをジイソプロピルエーテルで数回洗浄し、真空中で乾燥して、96%の純度(HPLCによる)を有する106kgのBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OBzl・HCl(配列番号4)を得た。
【0128】
実施例8:Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OBzl・HCl(配列番号4)の調製
アセトン(67L)中のBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OBzl・HCl(配列番号4)(33.58kg,実施例7参照)の溶液のpHを、20℃においてTFA/THF(50/50、v/v、0.03L)の混合物を用いて4に調節した。得られた混合物を、アセトン(17L)中のパラジウム/炭素(palladium on charcoal;3.3kg)の懸濁液に加えた。約3バールの水素圧において、20℃で少なくとも2時間の水素化を行った。水素化の完了はHPLCによりモニターした。
【0129】
この反応混合物をセルロースカートリッジ上で濾過した。濾過ケーキをアセトンで数回洗浄した。合体させた濾液を真空中で濃縮した。得られた油状残渣を、アセトンおよびトルエンの混合物を使用した共沸蒸留により乾燥した。該油状残渣を酢酸エチルで希釈して、ジイソプロピルエーテルの中に投入した。得られた懸濁液を濾過し、沈殿物をジイソプロピルエーテルで数回洗浄し、真空中で乾燥して、純度99.4%(HPLCによる)を有する31.4kgのBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4)を得た。
【0130】
実施例9:Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2)の調製
DMF(504L)および脱イオン水(25L)中のH−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl・TFA(配列番号5)(25.20kg,実施例4参照)の溶液のpHを、≦22℃において、TEA(9L)を用いて6.5〜7に調節した。Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4)(25.46kg、実施例8参照)およびHOBt(1.02kg)を、≦22℃において徐々に加えた。DIC(9.5L)を、≦12℃において反応混合物に添加した。得られた混合物のpHを、≦12℃においてTEA(0.3L)を用いて7〜7.5に調節した。10℃において10日間で、HPLCおよびTLCによりモニターしながら該反応を完了させた。
【0131】
反応混合物を真空中で濃縮して油状残渣を得、これを酢酸エチルおよびジイソプロピルエーテルの混合物中で沈殿させた。上清液を数回除去し、同容量のジイソプロピルエーテルで置換した。該混合物を濾過して固体を得、これをジイソプロピルエーテルで3回洗浄し、真空中で乾燥して、83.4%(HPLCによる)の純度を有する30.50kg(76%)のBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2)を得た。
【0132】
実施例10:Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2)の調製
アセトン(43L)および脱イオン水(9L)の混合物中のBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2)(23.43kgの正味ペプチド重量、実施例9参照)を、パラジウム/炭素(0.75kg)のアセトン(3L)中懸濁液に加えた。約3バールの水素圧において、20℃で11時間の水素化を行った。水素化の完了はHPLCによってモニターした。
【0133】
脱イオン水(36L)を反応混合物に添加し、得られた混合物をセルロースカートリッジ上で濾過した。この濾過ケーキを、脱イオン水およびアセトンの2:8混合物で数回洗浄した。合体させた濾液を真空中で濾過した。得られた濾過を、DMFおよびトルエンの混合物を用いた共沸蒸留により乾燥して、80%の純度(HPLCによる)を有する21.5kgのBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2)を得た。
【0134】
実施例11:Boc−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzlの調製
H−Leu−OBzl・p−トシレート(22.2kg;Bachem AG, Switzerland)を、酢酸エチル(108L)中に懸濁させ、次いでTEA(約7.1L)を室温で加えた。Boc−Tyr(Bzl)−OH(20kg;Senn Chemicals, Switzerland)およびHOBt(7.3kg)を固体として加えた。DMF(40L)中のDCC(12.2kg)の溶液を、−6℃において該混合物に加えた。反応の完了はTLCおよびHPLCによりモニターした。
【0135】
形成されたDCUを濾過により除去した。濾液を、KHSO水溶液および塩水;KHSO水溶液;NaHCO水溶液で、および塩水で連続的に洗浄した。有機相を真空中で蒸発させた。その残渣を酢酸エチル中に溶解し、次いで石油エーテル中で沈殿させた。固体を濾過し、石油エーテルで洗浄し、真空中で乾燥させた。母液を真空中で濃縮し、石油エーテル中で沈殿させた後に、二回目の収穫を得た。固体を濾過し、石油エーテルで洗浄し、真空中で乾燥した。これら二つの収穫物を混合して、97%の純度(HPLCによる)を有する25.9kg(84%)のBoc−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzlを得た。
【0136】
実施例12:H−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFAの調製
TEA(83L)を、20℃において、Boc−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(25.9kg、実施例11参照)、フェノール(1.3kg)、トルエン(104L)およびTHF(21L)の混合物に徐々に添加した。反応を20℃において完了させた。開裂の完了はHPLCによりモニターした。
【0137】
反応混合物を真空中で蒸発させた。トルエンおよびTHFの混合物を用いて共沸蒸留を行った。次いで、酢酸エチルおよび石油エーテルを残渣に加えた。固体を濾過し、酢酸エチルおよび石油エーテルの混合物で洗浄し、次いで石油エーテルで洗浄し、最後に真空中で乾燥して、98%の純度(HPLCによる)を有する23.7kg(89%)のH−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFAを得た。
【0138】
実施例13:Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号6)の調製
Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−OSu(42.90kg、Senn Chemicals, Switzerland)を、H−Tyr(Bzl)−Leu−OBzl・TFA(23.7kg、実施例12参照)のDMF(80L)中溶液に加えた。反応混合物のpHを、0℃において、DIPEAを使用して徐々に7〜7.5に調節した。該混合物の反応を、20℃において完了させた。カップリングの完了はHPLCによりモニターされた。
【0139】
反応混合物を真空中で蒸発させ、油状残渣をプロセス水中に投入した。固体を濾過し、プロセス水で洗浄し、アセトニトリルおよびプロセス水の混合物中で再度スラリー化し、最簿に真空中で乾燥して、92%の純度(HPLCによる)を有する40.3kgのBoc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号6)を得た。
【0140】
実施例14:H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号6)の調製
Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号6)(117.45kg、実施例13参照)を、15℃において、TFA(117L)、フェノール(5.87kg)、トルエン(470L)およびTHF(94L)の混合物に徐々に加えた。該混合物に、≦17℃において追加のTFA(282L)を徐々に添加した。この反応を、15℃において完了させた。開裂の完了(3時間)はHPLCによりモニターした。
【0141】
反応混合物を、真空中において35℃未満で蒸発させた。残留するTFAを、トルエン/THFの混合物を用いて共沸蒸留し、次いでトルエンを用いて共沸蒸留した。油状残渣にMTBE(825L)を加えた。次いで、石油エーテルを添加して懸濁液を得た。冷却した後、固体を濾過し、石油エーテルで数回洗浄した。石油エーテル中に再懸濁させ、濾過した後、固体を石油エーテルで洗浄した。この手順を一度繰り返した。次いで、固体を真空中で乾燥して、96%の純度(HPLCによる)を有する114.86kg(96%)のH−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号6)を得た。
【0142】
実施例15:Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−OH・DCHA(配列番号7)の調製
Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−OSu(62kg、Senn Chemicals, Switzerland)を、H−Ile−Pro−OH・TFA(36kg、Bachem AG, Switzerland)のDMF(433L)中の溶液に徐々に加えた。pHを、0℃においてDIPEAを用いて7〜7.5に調節した。反応の完了をHPLCによりモニターした。
【0143】
反応混合物を真空中で蒸発させ、油状残渣を酢酸エチルで希釈した。この混合物をKHSO水溶液および塩水で洗浄した。有機相を真空中で蒸発し、油状残渣をトルエンとの共沸蒸留により乾燥させた。油状残渣をトルエンで希釈し、pHをDCHAで7〜7.5に調節した。次いで、石油エーテルを該混合物に添加した。こうして得られた固体を濾過し、石油エーテルで洗浄し、真空中で乾燥して、89%の純度(HPLCによる)を有する102kgのBoc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−OH・DCHA(配列番号7)を得た。
【0144】
実施例16:Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8)の調製
Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−OH・DCHA(配列番号7)(98.88kg、実施例15参照)およびHOBt(13.82kg)を、≦24℃において、H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号6)(110.39kg、正味のペプチド重量、実施例14参照)のDMF(451L)中溶液に徐々に加えた。該混合物に、EDC・HCl(22.99kg)を−6℃において小量ずつ加えた。反応混合物のpHを、−6℃においてTEA(12L)で6.5〜7に調節した。HPLCでモニターしながら、カップリングを10℃において16時間で完了させた。
【0145】
塩を濾過により除去した。濾液を真空中で蒸発させた。油状残渣(470L)を、NaHCO溶液中で沈殿させた。固体を濾過し、プロセス水で数回洗浄した。プロセス水中に再懸濁させた後、アセトニトリルを加えた。次いで、該懸濁液を冷却した。固体を濾過し、水で洗浄し、真空中で乾燥して、90%の純度(HPLCによる)を有する160.34kg(88%)のBoc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8)を得た。
【0146】
実施例17:H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号8)の調製
Boc−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8)(72.24kg、実施例16参照)を、≦15℃において、TFA(72L)、トルエン(289L)およびTHF(6L)の混合物に加えた。該混合物に、≦22℃において追加のTFA(159L)を徐々に添加した。20℃において2.5時間で、この反応を完了させた(HPLCによりモニターした)。反応混合物を真空中で蒸発させた。残留TFAを、トルエンおよびTHFの混合物を用いた数回の共沸蒸留により除去した。油状残渣をトルエンで希釈し、ジイソプロピルエーテルの中に投入した。固体を濾過し、ジイソプロピルエーテルで数回洗浄した。アセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルの混合物中に再懸濁させた後、次に固体を濾過し、ジイソプロピルエーテルで数回洗浄し、最後に真空中で乾燥して、88.9%の純度(HPLCによる)を有する61.7kg(87%)のH−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号8)を得た。
【0147】
実施例18:Boc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)の調製
Boc−Phe−OH(10.03kg;Senn Chemicals AG, Switzerland)およびHOBt(4.95kg)を、≦24℃において、H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号8)(61.63kg、実施例17参照)のDMF(264L)中溶液に徐々に加えた。EDC・HCl(8.53kg)を、−5℃において徐々に加えた。反応混合物のpHを、−5℃において、DIPEA(47.5L)を用いて徐々に6.5〜7に調節した。カップリングは10℃において23時間で完了させた(HPLCによりモニターした)。
【0148】
反応混合物を真空中で蒸発させた。油状残渣をNaHCO溶液中に懸濁させた。固体を濾過し、プロセス水で数回洗浄し、真空中で乾燥して、87.9%の純度(HPLCによる)を有する67.64kg(95%)のBoc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)を得た。
【0149】
実施例19:H−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号9)の調製
Boc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)(67.66kg、実施例18参照)を、15℃において、TFA(68L)、フェノール(3.38kg)、トルエン(271L)およびTHF(54L)の混合物に少しずつ加えた。この混合物に、追加のTFA(149)を15℃において加えた。開裂の完了(4.3時間)はHPLCによってモニターした。
【0150】
反応混合物を真空中で蒸発させた。残留TFAを、トルエンおよびTHFの混合物を用いた数回の共沸蒸留により除去した。油状の残渣をトルエンで希釈し、ジイソプロピルエーテルの中に投入した。固体を濾過し、ジイソプロピルエーテルで数回洗浄し、真空中で乾燥して、86.6%の純度(HPLCによる)を有する67.25kg(99%)のH−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号9)を得た。
【0151】
実施例20:Boc−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)の調製
Boc−Asp(OBzl)11−OH(20.22kg)(Senn Chemicals AG, Switzerland)およびHOBt(8.42kg)を、≦20℃において、H−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号9)(60.46kg正味ペプチド重量、実施例19参照)のDMF(370L)中溶液に小量ずつ加えた。この反応混合物に、−5℃において、EDC・HCl(13.38kg)を徐々に加えた。得られた混合物のpHを、−5℃において、DIPEA(27L)で徐々に6.5〜7に調節した。次いで、10℃で35時間、カップリング反応を完了させた(HPLCによりモニターした)。
【0152】
次いで、反応混合物を真空中で濃縮した。得られた油状残渣を、NaHCO水溶液に徐々に添加した。得られた懸濁液を濾過し、脱イオン水の中に再懸濁させた。濾過し、脱イオン水で数回およびアセトニトリルと脱イオン水の混合物で1回の洗浄を行った後、得られた固体を真空中で乾燥させて、81.4%の純度(HPLCによる)を有する64kg(96%)のBoc−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)を得た。
【0153】
実施例21:H−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号3)の調製
Boc−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)(64.00kg、実施例20参照)を、15℃未満の温度で小量ずつ、TFA(64L)、フェノール(3.2kg)、トルエン(265L)およびTHF(51L)の混合物に加えた。この反応混合物に、≦15℃において追加のTFA(141L)を徐々に加えた。開裂は、15℃において4.8時間で行われた(HPLCによりモニターした)。反応混合物を真空中で濃縮した。得られた油状残渣を、20℃での沈殿のためにジイソプロピルエーテルに加えた。得られた懸濁液を濾過し、ジイソプロピルエーテル中に再懸濁させ、再度濾過した。固体をジイソプロピルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥して、77.6%の純度(HPLCによる)を有する61.4kg(正味のペプチド重量)(95%)のH−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号3)を得た。
【0154】
実施例22:Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1)の調製
H−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl・TFA(配列番号3)(104.40kg、実施例21参照)およびHOBt(8.42kg)を、Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2)(65.47kg、実施例10参照)のDMF(345L)中溶液に、≦24℃において少しずつ加えた。EDC・HCl(12.46kg)を−5℃において徐々に加えた。−5℃においてTEA(16.5L)を用い、反応混合物のpHを徐々に6.5〜7に調節した。−5℃において22時間でカップリングを完了させた(HPLCによりモニターした)。
【0155】
反応混合物を脱イオン水で徐々に希釈した。得られた懸濁液を濾過し、脱イオン水で洗浄し、真空中で乾燥して、81.4%の純度(HPLCによる)を有する72kg(50%)のBoc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1)を得た。
【0156】
実施例23:H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH・2TFA(ビバリルジン)(配列番号1)の調製
Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1)(15.00kg、実施例22参照)の酢酸(53L)中の懸濁液を、パラジウム/炭素(palladium on charcoal、1.13kg)および酢酸(5L)の混合物に加えた。3バールの水素圧の下に、≦37℃において水素化を行った(HPLCによりモニターした)。
【0157】
完了(5時間)した後、反応混合物を冷却し、脱イオン水および酢酸で希釈した。得られた混合物をセルロースカートリッジ上で濾過し、これを酢酸およびプロセス水の混合物で数回溶出させた。濾液を真空中で濃縮した。得られた残渣を、カールフィッシャー滴定により、その水含量について試験した(水含量<5.0%)。
【0158】
次いで、油状残渣にトルエンを加え、続いてTFAを添加した。開裂の完了(1時間後)はHPLCによりモニターした。
【0159】
反応混合物を真空中で濃縮した。得られた油状残渣を、沈殿のためにジイソプロピルエーテルに加えた。得られた懸濁液を濾過して固体を得、これをジイソプロピルエーテルで数回洗浄し、真空中で乾燥して、65%の粗製ビバリルジンの純度(HPLCに夜)を有する8.41kg(正味ペプチド重量)(78%)の粗製H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−-Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−H・2TFA(ビバリルジン)(配列番号1)を得た。D−Phe12−ビバリルジン不純物はHPLCにより検出されなかった。即ち、12位におけるラセミ化は起きなかった。
【0160】
この粗製ペプチドを、C18逆相静止相上での分取HPLCによって精製した。第一の工程において、粗製ビバルリジンは、酢酸アンモニウム/水/アセトニトリルを用いた勾配溶出によって精製され、第二の工程では、トリフルオロ酢酸/水/アセトニトリルを用いた勾配溶出によって生成された。純粋な生成物を含有する溶出画分を濃縮し、凍結乾燥して、99%の純度(HPLCによる)を持った白色粉末として、5.89kg(70%粗製ペプチド中のビバリルジン含量に基づく)のH−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−-Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−H・2TFA(ビバリルジン)(配列番号1)を得、またD−Tyr19−ビバリルジンは検出されず、検出された他の不純物の各々は0.2%以下(HPLCによる)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式のビバリルジンを溶液相で製造する方法であって:
H−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OH(配列番号1) (I)
(a)次式の任意に側鎖保護されたペプチドを、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4) (V)、
ここでのP1は、接触水素化に対して安定な保護基である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドと反応させて、
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号5)(VI)
ここでのP2は、接触水素化により除去可能であり、且つ任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基である
次式の任意に側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号2) (VII)
ここでのP1およびP2は上記で定義した通りである;
(b)工程(a)で製造されたペプチドのP2を除去して、次式の任意に側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (II)
ここでのP1は上記で定義した通りである;
(c)次式の側鎖保護されたペプチドを、
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X)
ここでのP3は、接触水素化により除去可能な保護基である
次式のフェニルアラニンと反応させて、
P4−Phe12−OH (XI)
ここでのP4は、式Xのペプチドの側鎖保護基およびP3に対して直交性の保護基である
次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P4−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号9) (XII)、
ここでのP3およびP4は上記で定義した通りである;
(d)工程(c)で製造したペプチドのP4を除去して、対応するN末端が脱保護された式XIIの側鎖保護されたペプチドを製造する工程と;
(e)工程(d)で製造された式XIIのペプチドを、次式の側鎖保護されたアスパラギン酸と反応させて、
P5−Asp11−OH (XIII)
ここでのP5は、式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基およびP3に対して直交性の保護基である
次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P5−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (XIV)
ここでのP3およびP5は上記で定義した通りである;
(f)工程(e)で製造されたペプチドのP5を除去して、次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
H−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (III)
ここでのP3は上記で定義した通りである;
(g)工程(b)で製造された式IIの任意に側鎖保護されたペプチドを、工程(f)で製造された式IIIの側鎖保護されたペプチドと反応させて、次式の側鎖保護されたペプチドを製造する工程と、
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−-Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号1) (IV)、
ここでのP1およびP3は上記で定義した通りである;
(h)工程(g)で製造されたペプチドのP1、P3および側鎖保護基を除去して、式Iのビバリルジンを製造する工程
を含んでなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、P1、P4およびP5の少なくとも一つが、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、2−(ビフェニル−4−イル)プロパ−2−イルオキシカルボニル(Bpoc)、2−(3、5ジメトキシフェニルl)プロパ−2−イルオキシカルボニル(Ddz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)または2−(メチルスルホニル)エトキシカルボニル(Msc)である方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、P1、P4およびP5の少なくとも一つがBocである方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の方法であって、P2およびP3の少なくとも一つがベンジル(Bzl)、ベンジルオキシメチル(Bom)、フェナシル(Pac)、4−ニトロベンジル(ONbz)、4-ピリジルメチル(Pic)、または4−スルホベンジルであり、但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであるならばP3はBomではない方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、P2およびP3の少なくとも一つがBzlである方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の方法であって、式III、IV、XおよびXII〜XIVの側鎖保護されたペプチド/アミノ酸は、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシメチル(Bom)、フェナシル(Pac)、4−ニトロベンジル(ONbz)、4−ピリジルメチル(Pic)、および4−スルホベンジルからなる群から選択される少なくとも一つの側鎖保護基で保護され、但し、P4またはP5がBoc、BpocまたはDdzであるならば側鎖保護基はBomではない方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、式III、IV、XおよびXII〜XIVの側鎖保護されたペプチド/アミノ酸は、少なくとも一つのBzlで保護される方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の方法であって、工程(a)において、式Vおよび式VIの任意に側鎖保護されたペプチドの少なくとも一つは側鎖保護されていない方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法であって、工程(c)において、式Xのペプチドは次式のものである方法:
H−Glu(OP6)−Glu(OP7)−Ile15−Pro−Glu(OP8)−Glu(OP9)−Tyr(P10)−Leu20−OP3(配列番号8) (Xb)
ここで、
P3は接触水素化により除去可能な保護基であり、P6〜P10の各々はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルからなる群から独立に選択され、
また工程(e)において、式XIIIの側鎖保護されたアスパラギン酸は
P5−Asp(OP11)11−OH
であり、
ここで、
P5は、式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基およびP3に対して直交性であり、
またP11はBzl、Bom、Pac、ONbz、Picおよび4−スルホベンジルからなる群から独立に選択される。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、P3は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり、P6〜P10の各々は独立に、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルであり、P5は、Boc、Bpoc、Ddz、FmocまたはMscであり、P11は、Bzl、Bom、Pac、ONbz、Picまたは4−スルホベンジルである方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、P3はBzlであり、P6〜P10の各々はBzlであり、P5はBocであり、P11はBzlである方法。
【請求項12】
請求項9〜11の何れか1項に記載の方法であって、P1、P4およびP5はBocであり、またP2、P3、P6、P7、P8、P9、P10およびP11はBzlである方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の方法であって、工程(h)において、最初にP3および側鎖保護基が同時に除去され、P1はその後に除去される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、P3および側鎖保護基の同時除去の後に得られたペプチドは、P1を除去する前に単離されない方法。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の方法であって、除去工程(b)および(h)の少なくとも一つは、水素ガスおよび活性炭上のパラジウムを用いて溶媒中で行われる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記溶媒は、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトンと水の混合物、酢酸、および酢酸と水の混合物からなる群から選択される方法。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載の方法であって、式Vの任意に側鎖保護されたペプチド、式VIの任意に側鎖保護されたペプチド、および式Xの側鎖保護されたペプチドからなる群から選択される少なくとも一つのペプチドは、先行プロセスにおいて溶液相合成により調製される方法。
【請求項18】
請求項1〜16の何れか1項に記載の方法であって、式Vの任意に側鎖保護されたペプ
チド、式VIの任意に側鎖保護されたペプチド、および式Xの側鎖保護されたペプチドからなる群から選択される少なくとも一つのペプチドは、先行プロセスにおいて固相合成により調製される方法。
【請求項19】
下記からなる群から選択されるペプチド:
(i)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH
(配列番号4) (V)、
ここでのP1は接触水素化に対して安定な保護基である;
(ii)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2
(配列番号5) (VI)
ここでのP2は接触水素化により除去可能であり、且つ任意の側鎖保護基に対して直交性の保護基である;
(iii)次式の任意に側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OP2(配列番号2) (VII)
ここでのP1およびP2は上記で定義した通りである;
(iv)次式の側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIa)
ここでのP1は、Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−OHを除き、上記で定義した通りである;
(v)次式の側鎖保護されていないペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2) (IIb)
ここでのP1は上記で定義した通りである;
(vi)次式の側鎖保護されたペプチド
H−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号8) (X)、
ここでのP3は、接触水素化により除去可能な保護基である;
(vii)次式の側鎖保護されたペプチド
P4−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号9) (XII)
ここでのP3は上記で定義した通りであり、またP4は式Xのペプチドの側鎖保護基およびP3に対して直交性の保護基であるか、またはP4は水素である;
(viii)次式の側鎖保護されたペプチド
P5−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (XIV)
ここでのP5は、式XIIおよびXIIIのペプチド/アミノ酸の側鎖保護基およびP3に対して直交性の保護基であり、P3は、Fmoc−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuを除き、上記で定義した通りである;
(ix)次式の側鎖保護されたペプチド
H−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号3) (III)
ここでのP3は、H−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuを除き、上記で定義した通りである;および
(x)次式の側鎖保護されたペプチド
P1−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile15−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu20−OP3(配列番号1) (IV)
ここでのP1およびP3は、Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly10−Asp(OtBu)−Phe−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ile15−Pro−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Tyr(tBu)−Leu20−OtBuを除き、上記で定義した通りである。
【請求項20】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式Vの任意に側鎖保護されたペプチドは、Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−OH(配列番号4)であるペプチド。
【請求項21】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式VIの任意に側鎖保護されたペプチドは、H−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号5)であるペプチド。
【請求項22】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式VIIの任意に側鎖保護されたペプチドは、Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OBzl(配列番号2)であるペプチド。
【請求項23】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式IIbの側鎖保護されたペプチドは、Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−OH(配列番号2)であるペプチド。
【請求項24】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式Xの側鎖保護されたペプチドは、H−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号8)であるペプチド。
【請求項25】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式XIIの側鎖保護されたペプチドは、
Boc−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)、または
H−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号9)
であるペプチド。
【請求項26】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式XIVの側鎖保護されたペプチドは、Boc−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)であるペプチド。
【請求項27】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式IIIの側鎖保護されたペプチドは、H−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号3)であるペプチド。
【請求項28】
請求項19に記載のペプチドであって、前記式IVの側鎖保護されたペプチドは、Boc−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly10−Asp(OBzl)−Phe−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Ile15−Pro−Glu(OBzl)−Glu(OBzl)−Tyr(Bzl)−Leu20−OBzl(配列番号1)であるペプチド。
【請求項29】
ビバリルジンの合成における中間体としての、請求項19〜28の何れか1項に記載のペプチドの使用。

【公表番号】特表2012−514015(P2012−514015A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543985(P2011−543985)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009080
【国際公開番号】WO2010/075983
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511158650)ロンザ・ブレーヌ・エスエー (1)
【氏名又は名称原語表記】LONZA BRAINE SA
【住所又は居所原語表記】Chaussee de Tubize 297, B−1420 Braine−l’Alleud, Belgium
【Fターム(参考)】