説明

ビフェニルアセトアミド誘導体からなる医薬

【課題】部分発作及び/又は全般発作の種々てんかん発作に対する治療薬若しくは予防薬として有用な化合物からなる医薬の提供。
【解決手段】式(I)の化合物からなる医薬[式中R1、R2及びR3は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル、フッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ等を表し、R4及びR5は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル、フッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ等を表し、R6及びR7は、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル、水酸基等を表し、R8及びR9は、水素原子、C1-6アルキル等を表す]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、てんかんの治療薬として有用な新規ビフェニルアセトアミド誘導体からなる医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、脳神経細胞の過剰興奮に由来する発作性の運動、意識、知覚の異常及び行動異常が反復する慢性疾患である。そして、この疾患の3例に1例が既存薬治療に抵抗を示す難治性てんかんである。てんかん発作は、部分発作(Partial seizure)及び全般発作(Generalized seizure)に大きく分類される。部分発作は、片側大脳半球の限局した部位を発作起始とする行動異常と脳波像の異常を示す。部分発作は、さらに単純部分発作(Simple partial seizure)、複雑部分発作(Complex partial seizure)ならびに二次性全般化強直・間代発作(Secondarily generalized tonic-clonic seizure)に分類される。一方、全般発作は、限局した発作起始部を示さず、症状が両側大脳半球同期性に現れる発作である。全般発作の通常の臨床症状は、意識消失を伴う特徴的な全身の運動症状である。また、発作時の脳波は両側同期性である。欠神発作(Absence seizure)、非定型欠神発作(Atypical absence seizure)、ミオクロニー発作(Myoclonic seizure)、強直発作(Tonic seizure)、間代発作(Clonic seizure)、強直間代発作(Tonic-clonic seizure)、脱力発作(Atonic seizure)、ウェスト症候群(West syndrome)及びレノックス−ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome)などが全般発作に分類される。
【0003】
これら種々てんかん発作の治療は薬物治療が中心であり、古くから種々の抗てんかん薬が処方されているにも拘らず未だ、部分発作及び全般発作(特に欠神発作やミオクロニー発作)に対し広範囲に有効性を示す抗てんかん薬はバルプロ酸のみである。しかしながら、バルプロ酸は効果及び副作用の面で十分に満足できる薬剤ではなく、更に未だ既存治療薬で効果が期待できない難治患者が存在する。したがって、部分発作及び/又は全般発作に広範に高い有効性、治療抵抗性への効果を示し、また安全性面においても優れた治療薬の開発が望まれている。
【0004】
抗てんかん薬の多くは明確な作用機序が特定されておらず、多彩なメカニズムが複合的に作用して効果を発揮しているものと考えられている。従って、これまで抗てんかん薬として開発されてきた薬剤の幾つかは、複数の神経疾患、精神疾患に汎用されている現実がある(Pawel,D.Z ら、Non-epilepsy use of antiepileptic drugs, Pharmacological Reports, 2006, 58, 1-12)。例えば、躁状態とうつ状態を繰り返し、気分変調を来たす双極性障害(躁うつ病)は特異な治療薬が殆どないが(リチウムのみ)、幾つかの抗てんかん薬で気分安定的な効果(mood stabilizer)が認められており、流用されている。最初にカルバマゼピンが使用され(Brambilla, P., Barrale, F., Soares, J.C., Perspectives on the use of anticonvulsants in the treatment of bipolar disorder, International Journal of Neuropsychopharmacology, 2001, 4, 421-446)、続いて、バルプロ酸が使用されるに至っている。特にバルプロ酸は、双極性躁状態への第一選択薬としてリチウムと同様に臨床において多く用いられている(Angel, I and Horovitz, T., Bipolar disorder and valproic acid)。しかしながら、一方の双極性うつ状態に対する治療薬は未だ十分な薬剤がなく、躁・うつ共に高い有用性を発揮する新たな薬剤は待望されている。
【0005】
特許文献1には、抗不整脈作用を有する下記一般式で表されるビフェニルアルキルアミン類が記載されている。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Xは水素又はハロゲンであり;R1は水素、水酸基、CN、CONH2又はCOOR5であり、ここにおいて、R5は水素又は低級アルキルであり;
2は水素又はC1-3アルキルであり;Zは−(CH2n−又は
【0008】
【化2】

【0009】
であり、ここにおいて、nは2、3又は4であり;R3とR4は各々水素、低級アルキル、低級アルケニル、フェニルアルキル、又は窒素原子と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ及びモルフォリノから選ばれる環状構造を形成している基である。)
該化合物は、ビフェニルとアミノ基が3以上の炭素原子を介して結合しており、後記式(I)で表される化合物と化学構造が異なる。
【0010】
特許文献2には、Hsp90ファミリー蛋白質阻害剤として有用な下記一般式で表されるベンゼン誘導体が記載されている。
【0011】
【化3】

【0012】
[式中、nは0〜10の整数を表し、
1は水素原子、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、ハロゲン、置換若しくは非置換の低級アルキル、−CONR78(式中、R7及びR8は同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換の低級アルキル等)等を表し;R2は置換若しくは非置換の低級アルキル、置換若しくは非置換の低級アルケニル、置換若しくは非置換の低級アルキニル、置換若しくは非置換のアリール等を表し;R3及びR5は同一又は異なって、水素原子、置換若しくは非置換の低級アルキル等を表し;R4及びR6は同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアリール等を表す。]
該化合物は、ベンゼン環上の必須の置換基として水酸基あるいはアルコキシ基が存在するので、後記式(I)で表される化合物と化学構造が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,277,471号明細書
【特許文献2】欧州特許第1,704,856号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、抗てんかん薬として有用な新規化合物からなる医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記式(A)で表される新規化合物が強い抗痙攣作用を示すことを見出し、本発明を完成した。本発明によれば、下記式(A)で表されるビフェニルアセトアミド誘導体(以下、「本発明にかかわる化合物」と称することもある。)からなる医薬が提供される。
【0016】
[項1]下記式(A):
【0017】
【化4】

【0018】
[式中、
1、R2、R3、Ra及びRbは、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な任意の炭素原子に1つずつ結合し、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−又はシアノを表し、該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、ここにおいて、R1、R2、R3、Ra及びRbのうちいずれか2つの基が、2’−メチル及び3’−メチルのときは、残りの基のうちいずれか1つは水素原子以外の基であり、
4、R5、Rc及びRdは、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な任意の炭素原子に1つずつ結合し、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−、シアノ又はニトロを表し、該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル、水酸基若しくはC1-6アルコキシを表すか(ただし、一方が水酸基の場合、他方はフッ素原子、水酸基またはC1-6アルコキシではない)、又はそれらに結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキルを構成し、該メチル、エチル、アルコキシ及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルを表し、該アルキル、シクロアルキル−アルキル及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
nは、0〜2の整数を表すが、
ただし、R1、R2、R3、R4、R5、Ra、Rb、Rc及びRdがすべて水素原子であって、R6及びR7が共に水素原子のときは、R8及びR9のいずれか一方は水素原子であり、
1、R2、R3、R4、R5、Ra、Rb、Rc及びRdがすべて水素原子であって、R6及びR7のいずれか一方がアルコキシのときは、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1-3アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルである。]
で表される化合物、またはその水和物もしくは溶媒和物からなる医薬。
[項2]下記式(I):
【0019】
【化5】

【0020】
[式中、
1、R2及びR3は、それらが結合するベンゼン環上の置換可能ないずれかの任意の炭素原子に1つずつ結合し、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−又はシアノを表し、該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、ここにおいて、R1、R2及びR3のうちいずれか2つの基が、2’−メチル及び3’−メチルのときは、残りの基は水素原子以外の基であり、
4及びR5は、それらが結合するベンゼン環上の置換可能ないずれかの任意の炭素原子に1つずつ結合し、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−、シアノ又はニトロを表し、該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル、水酸基若しくはC1-6アルコキシを表すか(ただし、一方が水酸基の場合、他方はフッ素原子、水酸基またはC1-6アルコキシではない)、又はそれらに結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキルを構成し、該メチル、エチル、アルコキシ及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルを表し、該アルキル、シクロアルキル−アルキル及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
nは、0〜2の整数を表すが、
ただし、R1、R2、R3、R4及びR5がすべて水素原子であって、R6及びR7が共に水素原子のときは、R8及びR9のいずれか一方は水素原子であり、
1、R2、R3、R4及びR5がすべて水素原子であって、R6及びR7のいずれか一方がアルコキシのときは、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1-3アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルである。]
で表される化合物、またはその水和物もしくは溶媒和物からなる医薬。
【0021】
[項3]R8及びR9が、同一又は異なって、水素原子、C1-3アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、該アルキル、シクロアルキル−アルキル及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、ここにおいて、R1、R2、R3、R4及びR5がすべて水素原子のときは、R8及びR9のいずれか一方は水素原子である、
項2に記載の医薬。
【0022】
[項4]R1、R2及びR3が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-3アルキル−S(O)n−又はシアノであり、該アルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい、
項2又は項3に記載の医薬。
【0023】
[項5]R1、R2及びR3が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである、
項2又は項3に記載の医薬。
【0024】
[項6]R9が、水素原子である、項2〜5のいずれかに記載の医薬。
【0025】
[項7]R4及びR5が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-3アルキル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである、
項2〜6のいずれかに記載の医薬。
【0026】
[項8]R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、メチル、エチル、水酸基又はC1-3アルコキシである(ただし、一方が水酸基の場合、他方は水酸基またはC1-3アルコキシではない)、
項2〜7のいずれかに記載の医薬。
【0027】
[項9]R1、R2及びR3が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、
4及びR5が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、
6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、メチル、水酸基又はメトキシであり(ただし、一方が水酸基の場合、他方は水酸基またはメトキシではない)、
8が、水素原子、メチル又はエチルであり、
9が水素原子である、
項2に記載の医薬。
【0028】
[項10]R1、R2、R3、R4及びR5がすべて水素原子ではない、項2又は項9に記載の医薬。
【0029】
[項11]以下の化合物から選択されるビフェニルアセトアミド誘導体またはその水和物もしくは溶媒和物からなる項2に記載の医薬:
N,N−ジメチル−2−[4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例3)、
2−[3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例4)、
N−メチル−2−[3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例5)、
N−メチル−2−[2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例7)、
N−エチル−2−[2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例8)、
2−(3’,4’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例21)、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例22)、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例23)、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例26)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例28)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド(実施例30)、
N−メチル−2−(3’−メチルビフェニル−2−イル)−アセトアミド(実施例31)、
2−(5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例39)、
2−(4−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例45)、
2−(2’,4−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例46)、
2−(2’,4−ジフルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例47)、
2−(3’−クロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例48)、
2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例49)、
2−(ビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例50)、
2−(3’−ブロモビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例52)、
2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例53)、
2−(ビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例54)、
2−(ビフェニル−2−イル)プロパンアミド(実施例56)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルプロパンアミド(実施例58)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例59)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例60)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド(実施例61)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド(実施例62)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド(実施例63)、
2−(2’,3’,5’−トリクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例64)、
2−(4’−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例68)、
2−[3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例70)、
2−[3’−フルオロ−5’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例73)、
2−[4’−クロロ−3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例75)、
2−[4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例76)、
2−(2’,4’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例78)、
2−[3’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例79)、
2−[2’−フルオロ−5’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例83)、
2−[2’−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例84)、
2−(2’−クロロ−3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例86)、
2−(5’−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例87)、
2−(2’,3’,4’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例89)、
2−[2’−フルオロ−5’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例93)、
2−(2’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例95)、
N−メチル−2−[3’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例99)、
2−(2’−フルオロ−5−ニトロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例113)、
2−(3−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例118)、
2−(3−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例119)、
2−(5−クロロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例124)、
2−(5−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例125)、
2−(5−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例126)、
2−[4−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例142)、
2−[3’−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例149)、
2−(3’,5’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例150)、
2−(3’,5’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例153)、
1−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルシクロプロパンカルボキシアミド(実施例157)、
1−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルシクロプロパンカルボキシアミド(実施例159)、
2−フルオロ−2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例160)、
2−フルオロ−2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例165)、
2−フルオロ−2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例166)、
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)−2−フルオロアセトアミド(実施例167)、
2,2−ジフルオロ−2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例170)、
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(実施例171)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(実施例174)、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)プロパンアミド(実施例175)、
2−(5−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例181)、
2−(3’,5−ジフルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例182)、
2−(3’,5’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例184)、
2−(3’,4−ジフルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例188)、
2−(3’,5’−ジクロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例189)、
2−(5’−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例194)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド(実施例200)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシ―N―メチルアセトアミド(実施例201)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド(実施例202)、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド(実施例203)、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド(実施例205)、及び
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド(実施例206)。
【0030】
[項12]以下の化合物から選択されるビフェニルアセトアミド誘導体またはその水和物もしくは溶媒和物からなる項2に記載の医薬:
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例1)、
N−メチル−2−[4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例2)、
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例13)、
2−(2’−クロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例16)、
2−(2’,3’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例20)、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例25)、
2−(2’,5−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例41)、
2−(4−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例44)、
2−(ビフェニル−2−イル)−N−メチルプロパンアミド(実施例57)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例59)、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例60)、
2−(2’,3’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例67)、
2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例71)、
2−(3’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例80)、
2−(2’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例88)、
2−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例90)、
2−[5’−クロロ−2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド(実施例91)、
2−(4,4’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例109)、
2−(4,4’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例114)、
2−(4,4’−ジフルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(実施例115)、
2−(3,3’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例140)、
2−(2’,5’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例152)、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−フルオロアセトアミド(実施例162)、
2−フルオロ−2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例164)、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例178)、
2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例183)、
2−(2’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例185)、
2−(4−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例186)、
2−(2’−クロロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例190)、
2−(3’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(実施例191)、及び
2−ヒドロキシ−2−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(実施例193)。
【0031】
[項13]項1〜12のいずれか1項に記載の医薬、及び医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【0032】
[項14]抗てんかん薬又は双極性障害に対する気分安定化薬である項1〜12のいずれか1項に記載の医薬。
【0033】
[項15]てんかん及び/又は双極性障害の治療薬又は予防薬である項1〜12のいずれか1項に記載の医薬。
【0034】
項2の式(I)の化合物におけるR1〜R9及びnの好ましい具体例としては、以下のものが例示される。
1〜R3は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシが好ましく、更に好ましくは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、あるいは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、または塩素原子である。
4及びR5は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシが好ましく、更に好ましくは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子であり、あるいは両方が水素原子である。
6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル、水酸基又はメトキシが好ましく、更に好ましくは、同一又は異なって、水素原子、メチル、水酸基又はメトキシであり、あるいは同一又は異なって、水素原子、又は水酸基であり、あるいは両方が水素原子である。
8は、水素原子、メチル又はエチルが好ましく、R9は、水素原子が好ましい。更に好ましくは、R8は、水素原子、又はメチルであり、R9は、水素原子である。
nは、2が好ましい。
上記R1〜R9及びnの好ましい具体例は、それらの一つ又は任意の複数の組み合わせで、前記各項の化合物を限定してもよく、これらで限定された式(I)の化合物も本願発明の一つの態様になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明にかかわる化合物は、抗てんかん薬の評価に用いられる複数のモデル動物においていずれにも均等に強く抗痙攣活性を示すので、広範な治療スペクトルを示す抗てんかん薬(例えば、単純部分発作、複雑部分発作及び二次性全般化発作等の部分発作、欠神発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作、West症候群及びLennox−Gastaut症候群等の全般発作に対する予防薬及び/又は治療薬)として有用である。そして、これら本発明の一群の化合物は従来の薬物治療が奏功しない難治性てんかん発作に対する予防薬及び/又は治療薬としても期待される。また、本発明にかかわる化合物は、双極性障害の病態背景となる躁状態、うつ状態のモデル動物において抗痙攣活性を示す用量と同等の用量で、それぞれの病態改善効果を発揮することから、双極性障害に対する気分安定化薬として期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明にかかわる化合物は、水和物及び/又は溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物もまた本発明にかかわる化合物に包含される。
【0037】
また、本発明にかかわる化合物は、1個又は場合によりそれ以上の不斉炭素原子を有する場合があり、また幾何異性や軸性キラリティを生じることがあるので、数種の立体異性体として存在することがある。本発明においては、これらの立体異性体、それらの混合物及びラセミ体は本発明の式(A)および式(I)で表される化合物に包含される。
【0038】
本発明の式(A)の化合物におけるR1、R2、R3、Ra及びRbの置換位置は、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な5つの炭素原子の任意の炭素原子に1つずつ結合し、また、R4、R5、Rc及びRdの置換位置は、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な4つの炭素原子の任意の炭素原子に1つずつ結合する。
【0039】
一方、本発明の式(I)の化合物におけるR1、R2及びR3の置換位置は、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な5つの炭素原子のうち、いずれかの任意の炭素原子3つに1つずつ結合し、また、R4及びR5の置換位置は、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な4つの炭素原子のうち、いずれかの任意の炭素原子2つに1つずつ結合する。
本発明の式(I)の化合物におけるR1、R2及びR3の置換位置番号は、下記式(I’)で表される。例えば、R1、R2及びR3のうちいずれか2つの基が、2’−メチル及び3’−メチルとは、下記式(I’)の2’及び3’の位置に2つのメチルが置換していることを意味する。
【0040】
【化6】

【0041】
つぎに、本明細書における用語について以下に説明する。
「アルキル」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素を意味し、例えば、「C1-3アルキル」又は「C1-6アルキル」とは炭素原子数が1〜3又は1〜6の基をそれぞれ意味する。その具体例として、「C1-3アルキル」の場合には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等が、「C1-6アルキル」の場合には、前記に加えて、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0042】
「C3-6シクロアルキル」とは、炭素原子数が3〜6の単環式飽和炭化水素を意味する。その具体例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル等が挙げられる。
【0043】
「C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル」とは、炭素数が3〜7の単環式飽和炭化水素が、炭素数1〜3の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素の任意の炭素原子上に結合するアルキル基を意味する。その具体例としては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、1−シクロプロピルエチル、2−シクロプロピルエチル、1−シクロプロピルプロピル、2−シクロプロピルプロピル、1−シクロブチルエチル、2−シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0044】
「C1-6アルコキシ」とは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数が1〜6のアルコキシを意味する。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
【0045】
「1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ」とは、上記アルコキシの1個ないし3個の置換可能な任意の水素原子がフッ素原子で置換されたものを意味する。具体的には、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、3,3,3−トリフルオロプロポキシ、4−フルオロブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ等が挙げられる。
【0046】
「C1-6アルキル−S(O)n−」とは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数が1〜6のアルキルが結合した−S(O)n−基を意味する。ここで、nが0のときはアルキルチオ(例えば、メチルチオ、エチルチオ等)、nが1のときはアルキルスルフィニル(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等)、nが2のときはアルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル等)をそれぞれ意味する。
【0047】
1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル(メチル、エチルを含む)、アルキル−S(O)n−、アルコキシ、シクロアルキル及びシクロアルキル−アルキルとは、該アルキル、アルコキシ、シクロアルキルおよびシクロアルキル−アルキルの任意の炭素上の1個ないし5個の置換可能な任意の水素原子がフッ素原子で置換されたものを意味し、その具体例としては、トリフルオロメチル、フルオロエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメタンスルホニル、トリフルオロメトキシ、2−フルオロシクロプロピル、(2−フルオロシクロプロピル)メチル等が挙げられる。なお、アルキルの炭素数が1のときは、置換されてもよいフッ素原子の数は、3以下である。
【0048】
1〜R3、Ra、及びRbとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−又はシアノが挙げられるが(該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、nは0〜2の整数を表す)、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、メタンスルホニル又はシアノが挙げられる。より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はシアノが挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子又はトリフルオロメチルが挙げられ、特に好ましくは、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル、あるいは水素原子、フッ素原子又は塩素原子が挙げられる。
【0049】
4、R5、Rc、及びRdとしては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−、シアノ又はニトロが挙げられるが(該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、nは0〜2の整数を表す)、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルチオ、メタンスルホニル又はシアノが挙げられる。より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はシアノが挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシが挙げられ、特に好ましくは、水素原子又はフッ素原子が挙げられる。
【0050】
6及びR7としては、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル、水酸基若しくはC1-6アルコキシ、又はR6、R7及びそれらに結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキルを構成する基が挙げられるが(該メチル、エチル、アルコキシ及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい)、好ましくは、水素原子、メチル、エチル、水酸基、メトキシ又はエトキシが挙げられる。特に好ましくは、水素原子、メチル又は水酸基が挙げられる。
【0051】
8及びR9としては、水素原子、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルが挙げられる(該アルキル、シクロアルキルアルキル及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい)。R8として好ましくは、水素原子、メチル、エチル又はシクロプロピルが挙げられる。特に好ましくは、水素原子又はメチルが挙げられる。R9として好ましくは、水素原子、メチル又はエチルが好ましい。特に好ましくは、水素原子又はメチルが挙げられる。
【0052】
nとしては、0〜2の整数が挙げられるが、好ましくは、0又は2が挙げられる。特に好ましくは、2が挙げられる。
【0053】
本発明におけるてんかんとは、脳神経細胞の過剰興奮に由来する発作性の運動、意識、知覚の異常及び行動異常が反復する慢性疾患を意図し、単純部分発作、複雑部分発作及び二次性全般化発作等の部分発作、欠神発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作、West症候群及びLennox−Gastaut症候群等の全般発作が含まれる。また本発明における抗てんかん薬とは上記疾患の予防薬及び/又は治療薬を意図し、てんかんの治療方法とは上記疾患の予防及び/又は治療方法を意図する。
【0054】
本発明における双極性障害とは、躁状態とうつ状態を繰り返し、気分変調を来たす疾患を意味し、本発明における双極性障害に対する気分安定化薬とは上記疾患の予防薬及び/又は治療薬を意図し、双極性障害の治療方法とは上記疾患の予防及び/又は治療方法を意図する。
【0055】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。p−:para−、t−:tert−、s−:sec−、THF:テトラヒドロフラン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DME:エチレングリコールジメチルエーテル、DMSO:ジメチルスルホキシド、CDCl3:重クロロホルム、DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド、TFA:トリフルオロ酢酸、MeCN:アセトニトリル
【0056】
本願発明の式(I)の化合物は、以下の手順により合成することができる。なお、式(A)の化合物についても、出発原料に置換基Ra〜Rdを導入することで、下記と同様の手順を行うことで合成・精製できる。
【0057】
[製造法1]
6及びR7が水酸基以外の基である式(I)の化合物[下記式(Ia)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0058】
【化7】

【0059】
(式中、R1〜R5、R8及びR9は項1の定義に同じであり、R61及びR71は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル又はC1-6アルコキシを表すか、又はR61、R71及びそれらに結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキルを構成する。)
化合物(II)をアミド化すると、化合物(Ia)が得られる。
【0060】
化合物(II)のアミド化反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は化合物(II)を反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル、活性エステル、酸無水物、酸ハライド等)に変換し、アンモニア又は各種アミンと反応させることによって達成される。活性エステルの具体例としては、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル等が挙げられる。酸無水物の具体例としては、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、イソ吉草酸、ピバリン酸等との混合酸無水物が挙げられる。
【0061】
また、化合物(Ia)は、化合物(II)とアンモニア又は各種アミンとを縮合剤の存在下で反応させることによっても製造される。縮合剤の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・1塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。これらの縮合剤は単独で、又は、これら縮合剤と、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のペプチド合成試薬とを組み合わせて用いることができる。
【0062】
化合物(II)とアンモニア又は各種アミンとの反応は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。なお、アンモニア又は各種アミンは、水溶液又は塩酸塩等の酸付加塩の形で使用され、反応系中で遊離塩基を生成させてもよい。本反応は通常塩基の存在下で行われることもあり、使用される塩基の具体例としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、又は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、約−30℃〜約150℃、好ましくは約−10℃〜約70℃である。
【0063】
[製造法2]
6及びR7の少なくとも一方が水酸基である式(I)の化合物[下記式(1b)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0064】
【化8】

【0065】
(式中、R1〜R5、R8及びR9は項1の定義に同じであり、R62及びR72は、いずれか一方が水酸基であり、他方が、水素原子、メチル又はエチルを表し、R10はC1-6アルキルである。)
化合物(III)とアンモニア又は各種アミンを反応すると、化合物(Ib)が得られる。
【0066】
化合物(III)とアンモニア又は各種アミンとの反応は、溶媒中又は無溶媒下に行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO、メタノール、エタノール、エチレングリコール等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。反応温度は、用いられる原料化合物の種類等により異なるが、通常、約−30℃〜約150℃、好ましくは約−10℃〜約70℃である。
【0067】
[製造法3]
6及びR7が水酸基以外の基である式(I)の化合物[下記式(Ic)の化合物]は、下記製造法により製造することができる。
【0068】
【化9】

【0069】
(式中、R1〜R5、R8及びR9は項1の定義に同じであり、R61及びR71は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル又はC1-6アルコキシを表すか、又はR61、R71及びそれらに結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキルを構成し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフレート(CF3SO3−)である。)
化合物(VI)を各種置換フェニルボロン酸とカップリングすると、化合物(Ic)が得られる。
【0070】
化合物(Ic)は、適当な溶媒中で、化合物(VI)と各種置換フェニルボロン酸[PhB(OH)2]等のホウ素試薬、各種置換フェニルジンククロリド等の有機金属試薬等を、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムに代表されるパラジウム触媒等の遷移金属触媒下、クロスカップリング反応を行うことで得られる。これらカップリング反応においては、上記試薬の他に炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)やリン酸カリウム等の無機塩基、あるいはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、さらには塩化リチウム、フッ化セシウム等の無機塩共存下で行うこともできる。
【0071】
化合物(VI)とカップリング反応で用いられる各種ホウ素試薬、あるいは有機金属試薬は、市販されているか、あるいは市販試薬から公知の方法に従って調整される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0072】
上記製造法1、2、及び3で製造される式(Ia)、(Ib)及び(Ic)の化合物は、クロマトグラフィー、再結晶等通常の方法により単離・精製することができる。
【0073】
次に、上記製造法1、2、及び3で用いられる原料化合物は下記の方法により製造することができる。
【0074】
前記製造法1で用いられる化合物(II)は、下記反応式で示される方法に従って製造される。
【0075】
【化10】

【0076】
(式中、R1〜R5、R61及びR71は、製造法1の定義に同じであり、R10はC1-6アルキルであり、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフレート(CF3SO3−)である。)
【0077】
[工程1]:化合物(IV)をエステル化すると、化合物(V)が得られる。
工程1のエステル化反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中で酸性又は塩基性条件下に化合物(IV)と各種アルコール又はハロゲン化アルキルとを接触させることにより行われる。又は、化合物(IV)とジアゾメタン、トリメチルシリルジアゾメタン等のジアゾ化合物とを反応させることによっても合成できる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、DME、アセトン、アセトニトリル、DMF、トルエン又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される酸の具体例としては、塩酸、硫酸及びフッ化水素酸等の鉱酸及びトリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。また、使用される塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、t−ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸アルカリ金属が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃である。
【0078】
[工程2]:化合物(IIIa)は、適当な溶媒中で、化合物(V)と各種置換フェニルボロン酸[PhB(OH)2]等のホウ素試薬、各種置換フェニルジンククロリド等の有機金属試薬等を、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムに代表されるパラジウム触媒等の遷移金属触媒下、クロスカップリング反応を行うことで得られる。これらカップリング反応においては、上記試薬の他に炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)やリン酸カリウム等の無機塩基、あるいはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、さらには塩化リチウム、フッ化セシウム等の無機塩共存下で行う場合もある。また、R61及びR71がフッ素である化合物(IIIa)は、公知の方法或いは、それに準じた方法を用いて合成することもできる。(WO2009013963、US2004254166、Tetrahedron Letters、27、6103−6106(1986))
【0079】
工程2で用いられる各種ホウ素試薬、あるいは有機金属試薬は、市販されているか、あるいは市販試薬から公知の方法に従って調整される。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類や用いる試薬の種類に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、THF、ジオキサン、DME、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、DMF又はメタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することが出来る。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜200℃、好ましくは60〜150℃である。
【0080】
[工程3]:化合物(IIIa)を加水分解すると、化合物(II)が得られる。
工程3の加水分解反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中で酸性又は塩基性条件下に化合物(IIIa)と水とを接触させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばTHF、ジオキサン、DME、アセトン、アセトニトリル、DMF、DMSO又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される酸の具体例としては、塩酸、硫酸等の鉱酸が挙げられる。また、使用される塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、t−ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸アルカリ金属が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃である。
なお、本製造法において化合物(II)は、工程2及び工程3を経ずに化合物(IV)を工程1と同様の反応に付すことで製造することもできる。
【0081】
前記製造法2で用いられる化合物(III)は、上記反応式で示される方法と同様に製造される。
【0082】
上記方法で用いられるR61及び/又はR71がC1-6アルキル又はフッ素原子である化合物(IIIa)[下記式(IIIc)の化合物]は、下記反応式で示される方法に従って製造される。
【0083】
【化11】

【0084】
(式中、R1〜R5は項1の定義に同じであり、R63及びR73は少なくともいずれか一方が水素原子又は水酸基であり、一方のみが水素原子又は水酸基のときは、もう一方は項1のR6及びR7の定義に同じであり、R64及びR74は少なくともいずれか一方がC1-6アルキル又はフッ素であり、もう一方は項1のR6及びR7の定義に同じであり、R10はC1-6アルキルである。)
化合物(IIIb)をアルキル化又はフッ素化すると、化合物(IIIc)が得られる。
【0085】
上記アルキル化又はフッ素化反応は、常法に従って行うことができる。例えば、この反応は適当な溶媒中で中性又は塩基性条件下に化合物(IIIb)とハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド、ビス(2−メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド等を接触させることにより行われる。溶媒の具体例としては、原料化合物の種類等に従って選択されるべきであるが、例えばトルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、DME、アセトン、アセトニトリル、DMF又はメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類及び水等が挙げられ、単独あるいは混合溶媒として使用することができる。使用される塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等のアルコキシアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸アルカリ金属、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等の金属アミド、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基が挙げられる。反応温度は、用いられる原料化合物及び試薬の種類等によって異なるが、通常−78〜150℃、好ましくは−20〜70℃である。
【0086】
化合物(IIIb)は、化合物(IIIa)の製造方法と同様の方法で製造される。また、化合物(II)は、化合物(IIIa)から化合物(II)へと誘導する方法(工程3)と同様の方法でも化合物(IIIc)から製造することができる。化合物(IV)は、市販の化合物であるか、又は公知の化合物から公知の方法に従って製造することができる。
【0087】
前記製造法3で用いられる化合物(VI)は、例えば、化合物(IV)を、製造法1または2でのアミド化反応して得ることができる。
【0088】
前記各製法により生成する式(I)の化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の常法により単離・精製することができる。また、式(I)の化合物がラセミ体である場合は、光学活性カラムを用いたクロマトグラフィーによる光学分割方法、優先晶出法、ジアステレオマー法等の常法に従って、それぞれの光学活性体へと分離・精製することができる。
【0089】
本発明の新規ビフェニルアセトアミド誘導体は、後述のとおり、抗てんかん薬として有用である。本発明にかかわる化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、哺乳動物1kg体重当たり通常1〜200mg、好ましくは5〜100mg、さらに好ましくは10〜70mg、ヒトの場合、通常50〜5000mg、好ましくは100〜4000mg、さらに好ましくは500〜3000mgを1〜数回に分けて投与することができる。静注等の非経口投与の場合は、哺乳動物1kg体重当たり通常0.1〜100mg、好ましくは1〜10mg、さらに好ましくは4〜5mg、さらにヒトでは通常50〜1000mg、好ましくは100〜400mg、さらに好ましくは200〜300mgを投与することができる。
【0090】
本発明にかかわる化合物は、上記のごとき医薬用途に使用する場合、通常、製剤用担体と混合して調製された製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明にかかわる化合物と反応しない無毒性の物質が用いられる。具体的には、例えばクエン酸、グルタミン酸、グリシン、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、ソルビトール、シクロデキストリン、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、エタノール、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、水等が挙げられる。
【0091】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、注射剤、坐剤、点眼剤、軟膏剤、塗布剤、貼付剤、吸入剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また、錠剤及び顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。さらに、これらの製剤は治療上価値ある他の成分を含有してもよい。
【実施例】
【0092】
以下に参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル(400MHz 1H−NMR等)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
【0093】
明細書の記載を簡略化するために実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。
【0094】
NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、及びbrはなだらか(broad)を意味する。
【0095】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]をMH+で、保持時間をRt(min)で示す。minは分を示す。
検出機器:APIシリーズ用Agilent 1100シリーズ(applied Biosystems社製)
HPLC:API150EX LC/MS system (applied Biosystems社製)
Column:YMC CombiScreen ODS−A (S− 5μM, 12 nm, 4.6x50mm)
条件A(以下、実施例表中で特に記載のないものは、本条件での測定である。)
Solvent:A液:0.05%TFA/H2O、B液:0.035%TFA/MeCN
Gradient Condition:0.0−0.5min A 90%, 0.5−4.2min Linear gradient from A 90% to 1%, 4.2−4.4min Linear gradient from A 1% to 99%
Flow rate:3.5mL/min
UV:220nm
条件B(以下、実施例表中で*の記載のあるものは、本条件での測定である。)
Solvent:A液:0.05%TFA/H2O、B液:0.035%TFA/MeOH
Gradient Condition:0.0−1.0min A 60%, 1.0−4.7min Linear gradient from A 60% to 1%, 4.7−5.7min Linear gradient from A 1% to 60%
Flow rate:1.8mL/min
UV:220nm
【0096】
参考例1:
(2’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
【0097】
【化12】

【0098】
[工程1]:2−ブロモフェニル酢酸(12.8g)と炭酸カリウム(16.4g)のDMF(50ml)溶液に、0℃でヨウ化エチル(5.7ml)のDMF(20ml)溶液を滴下し、室温まで昇温し終夜攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エチル (2−ブロモフェニル)アセテート(13.3g)を油状物として得た。
【0099】
[工程2]:エチル (2−ブロモフェニル)アセテート(4.01g)、2−フルオロフェニルボロン酸(3.46g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.95g)、炭酸カリウム(6.82g)のジオキサン−水(10:1) (44ml)混合液を窒素気流下110℃で8時間加熱還流した。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エチル (2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(3.87g)を油状物として得た。
【0100】
[工程3]:エチル (2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(1.00g)のTHF(5.0ml)溶液に、水酸化リチウム・一水和物(0.19g)の水(5.0ml)溶液及びメタノール(5.0ml)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液にAMBERLITE(登録商標)IR−120 PLUS(H)を加え、溶液をpH4とした後、濾過し濾液を濃縮した。析出した結晶を濾取し、(2’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸(0.89g)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.57 (s, 2H), 7.13 (t, 1H), 7.18 (t, 1H), 7.23−7.28 (m, 3H), 7.34−7.40 (m, 3H).
【0101】
参考例2−26:
対応する原料化合物を用い、参考例1に記載の方法と同様に反応・処理して表1に示す化合物を得た。
【0102】
【表1−1】

【0103】
【表1−2】

【0104】
参考例27:
2−(ビフェニル−2−イル)プロパン酸
【0105】
【化13】

【0106】
[工程1]:エチル ビフェニル−2−イルアセテート(2.50g)のTHF(25ml)溶液に、−78℃でナトリウムヘキサメチルジシラジド(1.9M THF溶液)(7.2ml)を滴下後、同温で0.5時間攪拌した。反応液にヨウ化メチル(0.78ml)を滴下後、−40℃で2.5時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、エチル 2−(ビフェニル−2−イル)プロパノエート(2.57g)を得た。
【0107】
[工程2]:エチル 2−(ビフェニル−2−イル)プロパノエート(1.20g)のTHF(5.0ml)溶液に、水酸化リチウム・一水和物(0.24g)の水(5.0ml)溶液及びメタノール(5.0ml)を加え、室温で12時間攪拌した。AMBERLITE(登録商標)IR−120 PLUS(H)を加え、溶液をpH4とした後、濾過し、濾液を濃縮した。析出した結晶を濾取し、2−(ビフェニル−2−イル)プロパン酸(1.03g)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.38 (d, 3H), 3.93 (q, 1H), 7.24−7.28 (m, 2H), 7.29 (dd, 1H), 7.34−7.45 (m, 7H).
【0108】
参考例28:
メチル ビフェニル−2−イル(ヒドロキシ)アセテート
【0109】
【化14】

【0110】
[工程1]:(2−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)酢酸(7.00g)をトルエン(20ml)とメタノール(20ml)の混液に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(2mol/l ヘキサン溶液)(23ml)を滴下後、室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、メチル (2−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)アセテート(4.12g)を油状物として得た。
【0111】
[工程2]:メチル (2−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)アセテート(613mg)、フェニルボロン酸(457mg)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(1:1)(204mg)、リン酸カリウム(1.59g)のジオキサン(10ml)溶液を窒素気流下終夜加熱還流した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、メチル ビフェニル−2−イル(ヒドロキシ)アセテート(190mg)を油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.37 (d, 1H), 3.71 (s, 3H), 5.25 (d, 1H), 7.30− 7.34 (m, 1H), 7.39− 7.45 (m, 8H).
【0112】
参考例29:
メチル(2’−フルオロビフェニル−2−イル)(ヒドロキシ)アセテート
対応する原料化合物を用い、参考例28に記載の方法と同様に反応・処理して下記に示す化合物を得た。
【0113】
【化15】

【0114】
参考例30:
ビフェニル−2−イル(メトキシ)酢酸
【0115】
【化16】

【0116】
[工程1]:メチル ビフェニル−2−イル(ヒドロキシ)アセテート(4.79g)、ヨウ化メチル(2.5ml)のDMF(50ml)溶液に、氷冷下で水素化ナトリウム1.11gを加え、30分間攪拌、さらに室温で1時間攪拌した。氷水に反応液を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄、続いて無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、メチル ビフェニル−2−イル(メトキシ)アセテート(3.64g)を結晶として得た。
【0117】
[工程2]:メチル ビフェニル−2−イル(メトキシ)アセテート(1.61g)をTHF(10ml)溶液に、水酸化リチウム・一水和物(0.49g)の水(10ml)溶液及びメタノール(10ml)を加え、室温で終夜攪拌した。10%クエン酸水溶液を加え、反応溶液のpHを3に調整後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してビフェニル−2−イル(メトキシ)酢酸(1.52g)を油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.19 (s, 3H), 4.94 (s, 1H), 7.31− 7.35 (m, 1H),7.40− 7.51(m, 8H).
【0118】
参考例31:
1−(ビフェニル−2−イル)シクロプロパンカルボン酸
【0119】
【化17】

【0120】
[工程1]:1−(2−ブロモフェニル)シクロプロパンカルボン酸(2.00g)、フェニルボロン酸(1.52g)をN,N−ジメチルホルムアミド(48ml)に溶解し、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン錯体(0.34g)、2N−炭酸ナトリウム水溶液(12ml)を加え窒素置換後、80℃加熱下で40時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣に2N−水酸化ナトリウム水溶液を加え、不溶物をセライト濾過により除去した。濾液を酢酸エチルで洗浄後、濃塩酸を加えpH 1に調整した。酢酸エチルで抽出し飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−(ビフェニル−2−イル)シクロプロパンカルボン酸(1.58g)を白色結晶として得た。
1H−NMR (DMSO−d6)δ:0.77(br,2H),1.20(br,2H),7.19−7.21(m,1H),7.30−7.44(m,8H).
【0121】
参考例32および33:
対応する原料化合物を用い、参考例31に記載の方法と同様に反応・処理して表2に示す化合物を得た。
【0122】
【表2】

【0123】
参考例34:
フルオロ(3’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
【0124】
【化18】

【0125】
[工程1]:窒素雰囲気下で(3’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸 エチルエステル(1.50g)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、−78℃でリチウムヘキサメチルジシラジド(1Mトルエン溶液)(6.4ml)を加え、10分間攪拌した。N−フルオロ−N−(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(3.36g)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液を滴下後、1時間かけて室温へ戻し一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エチル フルオロ(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(1.46g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.25(t,3H),4.15−4.29(m,2H),5.81(d,1H),7.09−7.22(m,3H),7.34−7.48(m,4H),7.57−7.59(m,1H).
【0126】
[工程2]:エチル フルオロ(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(1.46g)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、水酸化リチウム・一水和物(0.67g)の水(10ml)溶液、メタノール(10ml)を加え室温で6時間攪拌した。10%クエン酸水溶液を加え反応液をpH 3に調整後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してフルオロ(3’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸(1.32g)を白色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:5.88(d,1H),7.09−7.17(m,2H),7.19−7.22(m,1H),7.34−7.53(m,4H),7.59−7.62(m,1H).
【0127】
参考例35:
フルオロ(ビフェニル−2−イル)酢酸
対応する原料化合物を用い、参考例34に記載の方法と同様に反応・処理して下記に示す化合物を得た。
【0128】
【化19】

【0129】
参考例36:
フルオロ(2’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
【0130】
【化20】

【0131】
[工程1]:メチル (2’−フルオロビフェニル−2−イル)ヒドロキシアセテート(1.70g)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、氷冷下で[ビス(2−メトキシエチル)−アミノ]サルファー トリフルオリド(2.0ml)を加え、室温で一晩攪拌した。氷水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、メチル フルオロ(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(1.33g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.69(s,3H),5.72(d,1H),7.16−7.25(m,2H),7.34−7.44(m,3H),7.47−7.49(m,2H),7.60(br,1H).
【0132】
[工程2]:メチル フルオロ(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(1.33g)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、水酸化リチウム・一水和物(0.64g)の水(10ml)溶液、メタノール(10ml)を加え室温で6時間攪拌した。2N−塩酸を加えpH 3に調整後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してフルオロ(2’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸(1.33g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:5.76(d,1H),7.15−7.23(m,2H),7.37(br,3H),7.49−7.50(m,2H),7.62(br,1H).
【0133】
参考例37:
フルオロ(4’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸
対応する原料化合物を用い、参考例36に記載の方法と同様に反応・処理して下記に示す化合物を得た。
【0134】
【化21】

【0135】
参考例38:
フルオロ(3’−クロロビフェニル−2−イル)酢酸
【0136】
【化22】

【0137】
[工程1]
エチル 2−ブロモフェニル−ヒドロキシアセテート(1.74g)をジクロロメタン(20ml)に溶解し、氷冷下で[ビス(2−メトキシエチル)−アミノ]サルファー トリフルオリド(2.1ml)を加え、室温で1時間攪拌した。氷水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エチル 2−ブロモフェニル−フルオロアセテート(1.20g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.27(t,3H),4.18−4.36(m,2H),6.20(d,1H),7.24−7.30(m,1H),7.35−7.40(m,1H),7.49−7.52(m,1H),7.60−7.64(m,1H).
【0138】
[工程2]:エチル 2−ブロモフェニル−フルオロアセテート(1.20g)、3−クロロフェニルボロン酸(1.08g)を1,4−ジオキサン(20ml)に溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.27g)、3−クロロフェニルボロン酸(1.08g)、炭酸カリウム(1.91g)、水(2ml)を加え窒素置換後、80℃加熱下で一晩攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、フルオロ(3’−クロロビフェニル−2−イル)酢酸(540mg)を褐色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:5.86(d,1H),7.31−7.50(m,7H),7.59−7.61(m,1H).
【0139】
参考例39:
ビフェニル−2−イル(ジフルオロ)酢酸
【0140】
【化23】

【0141】
[工程1]:
エチル ビフェニル−2−イル(ジフルオロ)アセテート(1.59g)をテトラヒドロフラン(10ml)に溶解し、水酸化リチウム・一水和物(0.72g)の水(10ml)溶液、メタノール(10ml)を加え室温で一晩攪拌した。10%クエン酸水溶液を加え反応液をpH 3に調整後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去してカルボン酸(1.53g)を無色油状物として得た。
1H−NMR (DMSO)δ:7.21−7.24(m,2H),7.28(d,1H),7.37−7.39(m,3H),7.54−7.62(m,2H),7.71−7.73(m,1H),14.5(br,1H).
【0142】
参考例40:
(2’−フルオロビフェニル−2−イル)ジフルオロ酢酸
【0143】
【化24】

【0144】
[工程1]:窒素雰囲気下、エチル (2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセテート(1.5g)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解し、−78℃へと冷却後、ナトリウム ヘキサメチルジシラジド(1.06M トルエン溶液)(12.1ml)を加え、そのままの温度で20分間攪拌した。N−フルオロ−N−(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド(4.03g)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液を−78℃で滴下後、ゆっくりと室温へ戻し一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酸性にした後、水、酢酸エチルを加えた。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エチル (2’−フルオロビフェニル−2−イル)ジフルオロアセテート(973mg)を無色油状物として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.17(t,3H),3.98−4.06(m,2H),7.08−7.39(m,4H),7.35−7.41(m,1H),7.50−7.56(m,2H),7.80−7.84(m,1H).
【0145】
[工程2]:エチル (2’−フルオロビフェニル−2−イル)ジフルオロアセテート(973mg)をテトラヒドロフラン(5ml)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(416mg)の水(5ml)溶液、メタノール(5ml)を加え室温で6時間攪拌した。10%クエン酸水溶液を加えpH 3に調整後、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して(2’−フルオロビフェニル−2−イル)ジフルオロ酢酸(792mg)を白色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:7.00−7.10(m,2H),7.16−7.23(m,1H),7.28−7.32(m,2H),7.52−7.57(m,2H),7.79−7.80(m,1H).
【0146】
参考例41及び42:
対応する原料化合物を用いて参考例40と同様に反応・処理し、表3に示す化合物を得た。
【0147】
【表3】

【0148】
参考例43−71:
対応する原料化合物を用い、参考例1に記載の方法と同様に反応・処理して表4に示す化合物を得た。
【0149】
【表4−1】

【0150】
【表4−2】

【0151】
参考例72−73:
対応する原料化合物を用い、参考例27に記載の方法と同様に反応・処理して表5に示す化合物を得た。
【0152】
【表5】

【0153】
参考例74−86:
対応する原料化合物を用い、参考例28に記載の方法と同様に反応・処理して表6及び表7に示す化合物を得た。
【0154】
【表6】

【0155】
【表7】

【0156】
参考例94−97:
対応する原料化合物を用い、参考例30に記載の方法と同様に反応・処理して表8に示す化合物を得た。
【0157】
【表8】

【0158】
実施例1:
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド
【0159】
【化25】

【0160】
参考例1で得られた(2’−フルオロビフェニル−2−イル)酢酸(0.96g)をジクロロメタン(8.0ml)に懸濁し、DMF(0.05ml)、オキサリルクロリド(0.43ml)を加えた後に、室温で1時間攪拌し、濃縮した。得られた淡黄色結晶をTHF(3.0ml)に溶解し、28%アンモニア水溶液(2.0ml)を加え、室温で終夜攪拌した。生成した固形物を濾過後乾燥し、2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド(0.93g)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.50 (s, 2H), 5.24 (br, 2H), 7.13−7.44 (m, 8H)
MS(m/z)230(MH+),Rt= 2.88 min.
【0161】
実施例2−48:
対応する原料化合物を用いて実施例1と同様に反応・処理し、表9に示す化合物を得た。
【0162】
【表9−1】

【0163】
【表9−2】

【0164】
【表9−3】

【0165】
【表9−4】

【0166】
【表9−5】

【0167】
【表9−6】

【0168】
【表9−7】

【0169】
【表9−8】

【0170】
実施例49:
2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)アセトアミド
【0171】
【化26】

【0172】
参考例15で得られた2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)酢酸(391mg)、炭酸水素アンモニウム(148mg)、二炭酸ジ−t−ブチル(351mg)をピリジン(0.5ml)及びジオキサン(10ml)の混液に溶解し、室温で終夜攪拌した。反応液に水を加えた後、濃縮し生じた結晶を濾取し、2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)アセトアミド(356mg)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.52 (s, 2H), 5.33 (br, 2H), 7.17−7.21 (m, 2H), 7.26−7.39 (m, 4H), 7.53−7.56 (m, 2H).
MS(m/z)290(MH+),Rt= 3.26 min.
【0173】
実施例50−52:
対応する原料化合物を用いて実施例49と同様に反応・処理し、表10に示す化合物を得た。
【0174】
【表10】

【0175】
実施例53:
2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド
【0176】
【化27】

【0177】
参考例15で得られた2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)酢酸(391mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩(515mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・一水和物(363mg)、メチルアミン塩酸塩(272mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.70ml)のDMF(10ml)溶液を室温で終夜攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣にヘキサンを加え析出した結晶を濾取し、2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド(353mg)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:2.73 (d, 3H), 3.50 (s, 2H), 5.25 (br, 1H), 7.13−7.16 (m, 2H), 7.25−7.36 (m, 4H), 7.52−7.55 (m, 2H).
MS(m/z)304(MH+),Rt= 3.32 min.
【0178】
実施例54−55:
対応する原料化合物を用いて実施例53と同様に反応・処理し、表11に示す化合物を得た。
【0179】
【表11】

【0180】
実施例56:
2−(ビフェニル−2−イル)プロパンアミド
【0181】
【化28】

【0182】
参考例27で得られた2−(ビフェニル−2−イル)プロパン酸(1.03g)をジクロロメタン(8.0ml)に懸濁し、DMF(0.05ml)、オキサリルクロリド(0.51ml)を加えた後に、室温で1時間攪拌し、濃縮した。得られた淡黄色結晶をTHF(2.0ml)に溶解し、28%アンモニア水溶液(1.5ml)を加え、室温で終夜攪拌した。生成した白色固形物を濾過後乾燥し、2−(ビフェニル−2−イル)プロパンアミド(0.31g)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:1.47 (d, 3H), 3.74 (q, 1H), 5.17 (br, 2H), 7.25−7.53 (m, 9H)
MS(m/z)226(MH+),Rt= 3.09 min.
【0183】
実施例57−58:
対応する原料化合物を用いて実施例56と同様に反応・処理し、表12に示す化合物を得た。
【0184】
【表12】

【0185】
実施例59:
2−(ビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド
【0186】
【化29】

【0187】
参考例28で得られたメチル ビフェニル−2−イル(ヒドロキシ)アセテート(190mg)をアンモニアの7mol/lメタノール溶液(10ml)に溶解し、室温で60時間攪拌した。反応液に水(20ml)を加え、メタノールを減圧留去した。析出した結晶を濾取し、水で洗浄後乾燥して、2−(ビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド(86mg)を結晶として得た。
1H−NMR (DMSO−d6)δ:4.92 (d, 1H), 6.02 (d, 1H), 7.24−7.26 (m, 1H), 7.33−7.50 (m, 8H), 7.57−7.60 (m, 2H).
MS(m/z)228(MH+),Rt= 2.52 min.
【0188】
実施例60:
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド
参考例29で得られた原料化合物を用いて実施例59と同様に反応・処理し、下記に示す化合物を得た。
【0189】
【化30】

【0190】
1H−NMR (DMSO−d6)δ:4.74 (br, 1H), 6.04 (d, 1H), 7.22−7.53 (m, 10H).
MS(m/z)246(MH+),Rt= 2.56 min.
【0191】
実施例61:
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド
【0192】
【化31】

【0193】
参考例30で得られたビフェニル−2−イル(メトキシ)酢酸(506mg)をジクロロメタン(10ml)に溶解し、DMF(0.05ml)、2Mオキサリルクロリドのジクロロメタン溶液(2.1ml)を加えた後に、室温で1時間攪拌し、濃縮した。得られた褐色結晶をTHF(10ml)に溶解し、28%アンモニア水溶液(2ml)を加え、室温で2日間攪拌した。反応液に10%クエン酸水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド(475mg)を結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.06 (s, 3H), 4.83 (s, 1H), 5.81 (br, 1H), 6.76 (br, 1H), 7.26−7.51 (m, 9H).
MS(m/z)242(MH+),Rt= 3.05 min.
【0194】
実施例62−63:
対応する原料化合物を用いて実施例61と同様に反応・処理し、表13に示す化合物を得た。
【0195】
【表13】

【0196】
実施例64:
2−(2’,3’,5’−トリクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド
【0197】
【化32】

【0198】
2−ブロモアセトアミド(3.84g)、2,3,5−トリクロロフェニルボロン酸(6.04g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.12g)、2N 炭酸ナトリウム水溶液(27ml)、水酸化バリウム・八水和物(1.12g)、エタノール(24ml)をトルエン(84ml)に加え窒素置換後、20時間加熱還流した。水を加え酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2−(2’,3’,5’−トリクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド(640mg)を白色結晶として得た。
1H−NMR (CDCl3)δ:3.36 (d, 1H), 3.47 (d, 1H), 5.25 (br, 1H), 5.33 (br, 1H), 7.17-7.19 (m, 2H), 7.36-7.46 (m, 3H), 7.53 (d, 1H).
MS(m/z)314(MH+),Rt=4.41 min*
【0199】
実施例65−108:
対応する原料化合物を用いて実施例64と同様に反応・処理し、表14に示す化合物を得た。
【0200】
【表14−1】

【0201】
【表14−2】

【0202】
【表14−3】

【0203】
【表14−4】

【0204】
【表14−5】

【0205】
【表14−6】

【0206】
【表14−7】

【0207】
実施例109−173:
対応する原料化合物を用いて実施例1と同様に反応・処理し、表15に示す化合物を得た。
【0208】
【表15−1】

【0209】
【表15−2】

【0210】
【表15−3】

【0211】
【表15−4】

【0212】
【表15−5】

【0213】
【表15−6】

【0214】
【表15−7】

【0215】
【表15−8】

【0216】
【表15−9】

【0217】
【表15−10】

【0218】
実施例174:
対応する原料化合物を用いて実施例49と同様に反応・処理し、表16に示す化合物を得た。
【0219】
【表16】

【0220】
実施例175−177:
対応する原料化合物を用いて実施例56と同様に反応・処理し、表17に示す化合物を得た。
【0221】
【表17】

【0222】
実施例178−198:
対応する原料化合物を用いて実施例59と同様に反応・処理し、表18及び表19に示す化合物を得た。
【0223】
【表18−1】

【0224】
【表18−2】

【0225】
【表19−1】

【0226】
【表19−2】

【0227】
実施例199−206:
対応する原料化合物を用いて実施例61と同様に反応・処理し、表20に示す化合物を得た。
【0228】
【表20−1】

【0229】
【表20−2】

【0230】
実施例207及び208:
2−(ビフェニル−2−イル)−2R−ヒドロキシアセトアミド及び2−(ビフェニル−2−イル)−2S−ヒドロキシアセトアミド
【0231】
【化33】

実施例59の化合物をダイセル製CHIRALPAK IA(移動相:Hex-EtOH-MeOH)で分取し、前ピーク(エナンチオマーA)及び後ピーク(エナンチオマーB)を得た。
実施例207(エナンチオマーA):保持時間 4.13分 Chiral HPLC (Chiralpak IA, 0.46 cmI.D. x 25 cmL, 移動相:Hex/EtOH/MeOH=60/20/20、流量:1.0ml/min、温度:40℃、波長:260nm )、[α]D20.4 =+127.0°(c 0.521、CH3OH)
実施例208(エナンチオマーB):保持時間 6.99分 Chiral HPLC (Chiralpak IA, 0.46 cmI.D. x 25 cmL, 移動相:Hex/EtOH/MeOH=60/20/20、流量:1.0ml/min、温度:40℃、波長:260nm )、[α]D20.4 =−125.8°(c 0.985、CH3OH)
【0232】
実施例209−214:
対応する原料化合物を用いて実施例207及び208と同様に反応・処理し、表21に示す化合物を得た。
【0233】
【表21】

【0234】
実施例215及び216:
2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)−2R−ヒドロキシアセトアミド及び2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)−2S−ヒドロキシアセトアミド
【0235】
【化34】

【0236】
[工程1]:実施例183(2.62g)をトルエン34mlに溶解し、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸(22mg)、(S)−アリル−2−オキサビシクロ[3,3,0]オクト−8−エン(2.66g)を加え、室温で1時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を終了させた後に、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで洗浄後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーでジアステレオマーを分割し、第1溶出物(1.74g)、第2溶出物(1.66g)をそれぞれ白色結晶として得た。
第1溶出物:1H−NMR (CDCl3)δ:1.48−1.68(m,6H),1.75−1.81(m,1H),1.90−1.94(m,1H),2.12−2.17(m,1H),2.29−2.34(m,1H),3.04(dd,1H),3.50−3.56(m,1H),5.07−5.14(m,2H),5.20(s,1H),5.43(br,1H),5.78−5.88(m、1H),6.63(br,1H),7.18(dd,1H),7.29−7.40(m,3H),7.48(d,1H),7.53(d,2H).
第2溶出物:1H−NMR (CDCl3)δ:0.94−1.03(m,1H),1.37−1.52(m,5H),1.70−1.77(m,1H),1.93−1.98(m,1H),2.09−2.14(m,1H),2.21−2.26(m,1H),3.71−3.77(m,1H),3.82−3.87(m,1H),5.06−5.14(m,2H),5.30(s,1H),5.47(br,1H),5.75−5.85(m、1H),6.74(br,1H),7.20−7.22(m,1H),7.32−7.42(m,3H),7.48−7.51(m,1H),7.54(br,2H).
【0237】
[工程2]:上記第1溶出物であるエーテル(1.74g)をメタノール(20ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸・一水和物(74mg)を加え、室温で8時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を終了させた後に、クロロホルムで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、アルコール(896mg)を白色アモルファスとして得た。
実施例215(エナンチオマーA):保持時間 13.3分 Chiral HPLC (ダイセル社製Chiralpak AD-H, 0.46cmI.D. x 25 cmL, 移動相:Hex/EtOH=90/10、流量:1.0ml/min、温度:30℃、波長:254nm ).
【0238】
上記第2溶出物であるエーテル(1.74g)をメタノール(20ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸・一水和物(71mg)を加え、室温で8時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を終了させた後に、クロロホルムで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、アルコール(783mg)を白色アモルファスとして得た。
実施例216(エナンチオマーB):保持時間 14.2分 Chiral HPLC (ダイセル社製Chiralpak AD-H, 0.46cmI.D. x 25 cmL, 移動相:Hex/EtOH=90/10、流量:1.0ml/min、温度:30℃、波長:254nm ).
【0239】
実施例217−220:
対応する原料化合物を用いて実施例215及び216と同様に反応・処理し、表22に示す化合物を得た。
【0240】
【表22】

【0241】
試験例
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0242】
抗てんかん薬の評価には、代表的に臨床予測性の高い最大電撃痙攣モデル(MES)評価、皮下注射ペンテトラゾールモデル(最小痙攣モデル、scPTZ)評価及びラット扁桃核キンドリングモデル評価が用いられる。これらのモデル何れかにおいて抗痙攣活性を示す化合物は、臨床においても確かな抗てんかん活性を示す薬剤として期待される。更に、MES評価とscPTZ評価双方において均等な抗痙攣活性を示す化合物は、臨床においてバルプロ酸様に部分発作及び全般発作に対して幅広く有効性を示す広域抗てんかんスペクトルが期待される。また、既存の抗てんかん薬に抵抗性を示す6Hz 精神運動発作モデル(Psychomotor seizure model)が新たな抗てんかん薬評価に用いられており、本モデルにおいて抗痙攣活性を示す化合物は既存の抗てんかん薬に治療抵抗性を示す患者に対し有効性を示すことが期待される。このように、抗MES活性、抗scPTZ活性、抗6Hzモデル活性を同等に示す化合物は、既存剤では稀な臨床有用性をもつ治療薬となり得る。
また、双極性障害への改善効果を評価するに際し臨床予測性の高い妥当な動物モデルは未だ報告されていないが、本疾患の背景にある「躁状態」、「うつ状態」それぞれの病態を捉えた動物モデルは幾つか報告されており、それぞれの代表的モデルとしてメタンフェタミンとクロルジアゼポキシドを併用投与した際に認められる過剰な運動亢進状態(躁状態)、強制水泳時に見られる無動状態(うつ状態)を指標にした改善評価が一般的に用いられている。これら両モデルに対し改善活性を示す化合物は本病態の躁うつ分裂的な気分変動を安定化させる効果として期待できる。
【0243】
試験例1:最大電撃痙攣モデル(MES)評価
本試験は、薬物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、全般性強直間代発作や二次性全般化部分発作の表現系である。Slc:ddY系雄性マウス(一群3匹、体重20〜30g)に被験化合物50及び100 mg/kgを経口投与し、1時間後に角膜より電気刺激(60Hz,25mA,0.2秒間)を与え、誘発される後肢の強直性伸展痙攣の発現抑制を観察した。なお、コントロールは0.5%トラガント液あるいは0.5%メチルセルロース液を投与した。結果を以下の表19に示す。
【0244】
試験例2:皮下注射ペンテトラゾールモデル(最小痙攣モデル、scPTZ)評価
本試験は、試験例1と同様に薬物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、試験例1の表現系とは異なり、全般性の欠神発作やミオクロニー発作の表現系である。Slc:ddY系雄性マウス(一群3匹、体重20〜30g)に被験化合物50及び100 mg/kgを経口投与し、1時間後にペンテトラゾール85 mg/kgを皮下投与した。その後、30分間における間代性痙攣の発現の有無を観察した。なお、コントロールは0.5%トラガント液あるいは0.5%メチルセルロース液を投与した。結果を以下の表23に示す。
【0245】
【表23−1】

【0246】
【表23−2】

【0247】
【表23−3】

【0248】
【表23−4】

【0249】
【表23−5】

【0250】
【表23−6】

【0251】
【表23−7】

【0252】
表23に示すように、本発明にかかわる化合物は経口投与で最大電撃痙攣モデル(MES)評価及び/又は皮下注射ペンテトラゾールモデル(最小痙攣モデル、scPTZ)評価において抗痙攣作用を示した。実施例1,13,16,20,25,41、57、67、71、80、88、90、91、109、140、152、162、178、183、185、186、190、207、209、210、211及び212の化合物は、両評価において強い抗痙攣作用を示した。
【0253】
試験例3:ラット扁桃核キンドリングモデル評価
本試験は、マウスに加え、ラットにおける薬物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデル(キンドリングモデル)は、焦点性の単純部分発作、複雑部分発作及び二次性全般化部分発作の臨床所見に類似するモデルであり、極めて臨床予測性が高いことが知られている。Slc:Wistar系雄性ラット(体重250〜300g)の大脳皮質(前、後)ならびに扁桃核に慢性電極を留置し、術後1週間目より扁桃核へ1日1回、2週間前後にわたり電気刺激(50Hz,400μA,1秒)を与えた。刺激条件は、Loscherらの方法[Epilepsy Res., 40:63−77(2000)]に従った。また、Racineらの方法[Motor seizure. Electroenceph. Clin. Neurophysiol., 32:281−294(1972)]に基づいた発作重症度においてstage5の発作が連続10回発現するまで刺激を継続し、キンドリングモデルを完成させた。完成したモデルに、試験化合物を各々100mg/kgで経口投与し、投与1時間後に、発作が誘発される閾値刺激電流(発作閾値)、脳波上に認められる後発射の持続時間(後発射時間)及び発作重症度(stage score 1〜5)を指標に評価した。発作閾値ならびに後発射時間は試験化合物投与前の各値に対する変化率を平均で表した。なお、コントロールは0.5%トラガント液を投与した。結果を表24に示す。マイナスは減少あるいは短縮を意味する。
【0254】
【表24】

【0255】
表24に示すように、実施例1及び25の化合物は100mg/kgの経口投与でラット扁桃核キンドリングモデルにおける各指標に対して高い有効性を示した。
【0256】
試験例4:6Hz精神運動発作モデル(6Hz psychomotor seizure model)評価
本試験は、試験例1ならびに試験例2と同様に薬物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、試験例1ならびに試験例2とは異なり、既存の抗てんかん薬に治療抵抗性を示す発作の表現系である。Slc:ddy系雄性マウス(一群5匹、体重20〜30g)に被験化合物100 mg/kgを経口投与し、30分あるいは1時間後に角膜より電気刺激(6Hz,32mA,3秒間)を与え、誘発される前肢の間代性痙攣、挙尾反応、無動状態の発現の有無を観察した。なお、コントロールは0.5%トラガント液、0.5%メチルセルロース液、或いは、Olive oilを投与した。結果を表25に示す。
【0257】
【表25−1】

【0258】
【表25−2】

【0259】
表25に示すように、実施例1、25、91、185、190及び207の化合物は100mg/kgの経口投与で6Hz精神運動発作モデルに対して高い有効性を示した。
【0260】
試験例5:ローターロッド評価
本試験は、薬物の協調運動能抑制作用を評価する試験である。Slc:ddy系雄性マウス(体重20〜30g)を試験前日にローターロッド装置(直径4cmの円柱棒を回転させる装置、13回転/分)で3分間落下しないで歩行できるように訓練する。一群10匹に被験化合物を経口投与し、1時間後に上記同様にローターロッド装置に乗せ、100秒間歩行状態を観察した。100秒以内に協調運動障害にて落下した動物を陽性としてカウントした。なお、コントロールは0.5%メチルセルロース液を投与した。結果を表26に示す。
【0261】
【表26】

【0262】
試験例6:抗うつ評価
本試験は、薬物の抗うつ作用を評価する代表的な試験である(Porsoltら、Nature,266:730-732、1977,Porsolt ら、 Eur . J. Pharmacol .,47 : 379- 391 、 1978)。Crl:CD(SD)系雄性ラット(1群12匹、体重200〜250g)を後肢が底面に接触できない深さ(205 mm)まで水を溜めた直径200 mmの水槽で15分間強制的に水泳を行わせ、水泳終了15分後に被験化合物を経口投与した。翌日、同用量の被験化合物を投与し、前日と同時刻に5分間水槽に移して、水泳行動を行わない無動時間を測定した。コントロール群に対する無動時間の短縮度合いにより抗うつ作用を評価した。コントロール群は0.5%メチルセルロース液を投与した。なお、上記条件において双極性障害に適応を持つLamotrigineは用量依存的に無動時間を短縮した。結果を表27に示す。
【0263】
【表27】

【0264】
試験例7:抗躁評価
本試験は、薬物の抗躁作用を評価する試験である。本評価系は、統合失調症治療薬とは異なる気分安定化薬として臨床で使用されている抗躁病薬で有効性が確認できる試験系である(Arbanら、Behav. Brain Res.,158:123-132、2005、Foreman ら、 Pharmacol. Biochem. Behav. ,89 : 523-534 、 2008)。Slc:C57BL/6J 系雄性マウス(1群8匹、体重20〜26g)に被験化合物を経口投与し、30分後にメタンフェタミン(4mg/kg)及びクロルジアゼポキシド(10mg/kg)を腹腔内投与した。その後90分間アクリル製ケージ(内寸:W360mm×D230mm×H310mm)の中で自由行動させ、動物の移動距離をEthovision software(Ver.3.1)を用いて測定した。新規環境馴化時間30分を除いた後半60分間の移動距離を測定値として用いた。コントロール群に対する短縮度合いにより抗躁作用を評価した。なおコントロール群は0.5%メチルセルロース液を投与した。なお、上記条件において、双極性障害に臨床適応を持つLamotrigineは用量依存的に移動距離を短縮した。結果を表28に示す。
【0265】
【表28】

【0266】
製剤実施例1:錠剤の製造
実施例1の化合物(250g)、コーンスターチ(54g)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(40g)、結晶セルロース(50g)及びステアリン酸マグネシウム(6g)を、常法により混合、造粒し、1錠あたり400mgで打錠し、1000錠を製する。
【0267】
製剤実施例2:散剤の製造
実施例1の化合物(500g)、乳糖(470g)、ヒドロキシプロピルセルロース(25g)及び軽質無水ケイ酸(5g)を、常法により混合した後、散剤に製する。
【産業上の利用可能性】
【0268】
以上で説明したように、本発明のビフェニルアセトアミド誘導体は、抗てんかん薬の代表的評価モデルである最大電撃痙攣モデル(MES)評価、皮下注射ペンテトラゾールモデル(最小痙攣モデル、scPTZ)評価、6Hz精神運動発作モデル評価及び/又はラット扁桃核キンドリングモデル評価全てにおいて強い抗痙攣作用を示す。したがって、本発明にかかわる化合物は抗てんかん薬(例えば、単純部分発作、複雑部分発作及び意識消失を伴う持続的な二次性全般化発作を含む部分発作、欠神発作、ミオクロニー発作、間代発作、強直発作、強直間代発作、脱力発作、ウェスト症候群及びレノックス−ガストー症候群等の全般発作に対する予防薬及び/又は治療薬)として有用である。加えて、これら本発明の一群の化合物は未だ薬物治療が奏功しない難治性てんかん発作に対する予防及び/又は治療薬としても期待される。更に抗うつ評価及び抗躁評価において有効性を示すので、本発明にかかわる化合物は抗うつ薬、抗躁病薬及び/又は双極性障害の治療薬及び/又は予防薬としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A):
【化1】

[式中、
1、R2、R3、Ra及びRbは、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な任意の炭素原子に1つずつ結合し、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−又はシアノを表し、該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、ここにおいて、R1、R2、R3、Ra及びRbのうちいずれか2つの基が、2’−メチル及び3’−メチルのときは、残りの基のうちいずれか1つは水素原子以外の基であり、
4、R5、Rc及びRdは、それらが結合するベンゼン環上の置換可能な任意の炭素原子に1つずつ結合し、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-6アルキル、1〜3個のフッ素原子で置換されたC1-6アルコキシ、C1-6アルキル−S(O)n−、シアノ又はニトロを表し、該アルキル又はアルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル、水酸基若しくはC1-6アルコキシを表すか(ただし、一方が水酸基の場合、他方はフッ素原子、水酸基またはC1-6アルコキシではない)、又はそれらに結合する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルキルを構成し、該メチル、エチル、アルコキシ及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルを表し、該アルキル、シクロアルキル−アルキル及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、
nは、0〜2の整数を表すが、
ただし、R1、R2、R3、R4、R5、Ra、Rb、Rc及びRdがすべて水素原子であって、R6及びR7が共に水素原子のときは、R8及びR9のいずれか一方は水素原子であり、
1、R2、R3、R4、R5、Ra、Rb、Rc及びRdがすべて水素原子であって、R6及びR7のいずれか一方がアルコキシのときは、R8及びR9は、同一又は異なって、水素原子、C1-3アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルである。]
で表される化合物、またはその水和物もしくは溶媒和物からなる医薬。
【請求項2】
a、Rb、RcおよびRdがいずれも水素原子である請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
8及びR9が、同一又は異なって、水素原子、C1-3アルキル、C3-7シクロアルキル−C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、該アルキル、シクロアルキル−アルキル及びシクロアルキルは、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよく、ここにおいて、R1、R2、R3、R4及びR5がすべて水素原子のときは、R8及びR9のいずれか一方は水素原子である、
請求項2に記載の医薬。
【請求項4】
1、R2及びR3が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-3アルキル−S(O)n−又はシアノであり、該アルキル−S(O)n−は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい、
請求項2又は請求項3に記載の医薬。
【請求項5】
1、R2及びR3が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである、
請求項2又は請求項3に記載の化合物、またはその水和物もしくは溶媒和物。
【請求項6】
9が、水素原子である、請求項2〜5のいずれかに記載の医薬。
【請求項7】
4及びR5が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-3アルキル、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシである、
請求項2〜6のいずれかに記載の医薬。
【請求項8】
6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、メチル、エチル、水酸基又はC1-3アルコキシである(ただし、一方が水酸基の場合、他方は水酸基またはC1-3アルコキシではない)、
請求項2〜7のいずれかに記載の医薬。
【請求項9】
1、R2及びR3が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、
4及びR5が、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、
6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、メチル、水酸基又はメトキシであり(ただし、一方が水酸基の場合、他方は水酸基またはメトキシではない)、
8が、水素原子、メチル又はエチルであり、
9が水素原子である、
請求項2に記載の医薬。
【請求項10】
1、R2、R3、R4及びR5がすべて水素原子ではない、請求項2又は請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
以下の化合物から選択されるビフェニルアセトアミド誘導体またはその水和物もしくは溶媒和物からなる請求項2に記載の医薬:
N,N−ジメチル−2−[4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
N−メチル−2−[3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
N−メチル−2−[2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
N−エチル−2−[2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(3’,4’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド、
N−メチル−2−(3’−メチルビフェニル−2−イル)−アセトアミド、
2−(5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(2’,4−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’,4−ジフルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(3’−クロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’−ブロモビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)プロパンアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルプロパンアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N−メチルアセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド、
2−(2’,3’,5’−トリクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4’−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−[3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[3’−フルオロ−5’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[4’−クロロ−3’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(2’,4’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−[3’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[2’−フルオロ−5’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[2’−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(2’−クロロ−3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(5’−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’,3’,4’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−[2’−フルオロ−5’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(2’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
N−メチル−2−[3’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(2’−フルオロ−5−ニトロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(5−クロロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(5−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(5−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−[4−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−[3’−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(3’,5’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’,5’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
1−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルシクロプロパンカルボキシアミド、
1−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルシクロプロパンカルボキシアミド、
2−フルオロ−2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−フルオロ−2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−フルオロ−2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)−2−フルオロアセトアミド、
2,2−ジフルオロ−2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)プロパンアミド、
2−(5−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(3’,5−ジフルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(3’,5’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(3’,4−ジフルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(3’,5’−ジクロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(5’−クロロ−2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシ―N―メチルアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド、
2−(4’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド、及び
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)−2−メトキシアセトアミド。
【請求項12】
以下の化合物から選択されるビフェニルアセトアミド誘導体またはその水和物もしくは溶媒和物からなる請求項2に記載の医薬:
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
N−メチル−2−[4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(3’−クロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’−クロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’,3’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’,5−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−N−メチルプロパンアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(2’,3’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−[5’−クロロ−2’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]アセトアミド、
2−(4,4’−ジクロロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4,4’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(4,4’−ジフルオロビフェニル−2−イル)−N−メチルアセトアミド、
2−(3,3’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(2’,5’−ジフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(ビフェニル−2−イル)−2−フルオロアセトアミド、
2−フルオロ−2−(2’−フルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド、
2−(3’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(3’,5’−ジクロロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(2’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(4−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(2’−クロロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、
2−(3’−クロロ−5’−フルオロビフェニル−2−イル)−2−ヒドロキシアセトアミド、及び
2−ヒドロキシ−2−(3’,4’,5’−トリフルオロビフェニル−2−イル)アセトアミド。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬、及び医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項14】
抗てんかん薬又は双極性障害に対する気分安定化薬である請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項15】
てんかん及び/又は双極性障害の治療薬又は予防薬である請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬。

【公開番号】特開2012−1537(P2012−1537A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111242(P2011−111242)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】