説明

ビルエネルギー管理システム及びビルエネルギー管理方法

【課題】より適切なビルのエネルギーの浪費の削減を可能とすることを目的とする。
【解決手段】ビルのエネルギー管理システムであって、ビルに係るセンサーを介した入力に基づき、時系列に変化するビル内外情報をリアルタイムで保持、管理する管理手段と、ビル内外情報に基づいて、時系列に変化するビルの消費エネルギーの目標計算値を計算する計算手段と、計算手段で計算された時系列に変化するビルの消費エネルギーの目標計算値と、ビルのビル内外情報に含まれる時系列に変化するビルの実際の消費エネルギーの実測値と、を比較可能なグラフとして出力する出力手段と、を有することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルエネルギー管理システム及びビルエネルギー管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BEMS(登録商標)と言われるビル管理システムが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。なお、BEMSは、Bulding and Energy Management Systemの略である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“BEMS”、[online]、[平成22年8月17日検索]、インターネット<URL:http://www.jsrae.or.jp/annai/yougo/123.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のBEMSは、ビル内の温湿度やエネルギー消費及び機器の状態等を計測しデータ(以下「実測情報」と言う)を蓄積するが、「実測情報」を解析し、運転状態の善し悪しの判断を自動で行うものはなく、ビルの現状の運転状態を示すのみである。したがって、ビルの管理者等は、現状の状態における理想的な目標値を知らずBEMSが示す情報等からでは、現状の運転状態が、ビルの条件等において理想的な運転状態と差があることを判断することはできなかった。よって、ビルの管理者等は、機器の性能がより高められることを知らずビルのエネルギーの無駄や改善の余地に気付かずいたためエネルギーの浪費が継続していた。
一方、ビルの内外情報に基づきエネルギー消費量を計算するソフトウェアとしてESUMがあるが、従来はオフラインで内外情報等を設定して計算する目的で利用されているに過ぎなかった。したがって、理想的な目標値の計算は、オフラインで検討したデフォルト条件に基づき構築されたシミュレーションモデルで求めたものであり、現状の状態に即応してオンライン、かつ、リアルタイムで計算したものではなく、必ずしも真の目標値ではなかった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、より適切なビルのエネルギーの浪費の削減を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ビルのエネルギー管理システムであって、前記ビルに係るセンサーを介した入力に基づき、時系列に変化するビル内外情報をリアルタイムで保持、管理する管理手段と、前記ビル内外情報に基づいて、時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算する計算手段と、前記計算手段で計算された時系列に変化するビルに関する消費エネルギーの目標計算値と、前記ビルのビル内外情報に含まれる時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの実測値と、を比較可能なグラフとして出力する出力手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より適切なビルのエネルギーの浪費の削減を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ビルエネルギー管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】実施形態1の管理部の機能構成の一例を示す図である。
【図4】ビル内外情報の一例を示す図である。
【図5】実施形態1の計算部の機能構成の一例を示す図である。
【図6】出力部による出力結果の一例を示す図(その1)である。
【図7】出力部による出力結果の一例を示す図(その2)である。
【図8】実施形態2の管理部の機能構成の一例を示す図である。
【図9】実施形態3の管理部の機能構成の一例を示す図である。
【図10】実施形態4の計算部の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<実施形態1>
図1は、ビルエネルギー管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示されるように、ビルエネルギー管理システムは、情報処理装置(コンピュータ)3で構成される。情報処理装置3は、管理部1と、計算部2と、を含む。
管理部1は、ビルの内外に設置されているセンサーを介して入力された時系列に変化するビル内外情報を保持、管理すると共に、例えば、入力されたビル内外情報を計算部2に渡す。計算部2は、ビル内外情報を受け取ると、ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算し、計算結果である目標計算値を管理部1に返す。管理部1は、目標計算値を計算部2より受け取ると、目標計算値と、ビル内外情報に含まれる(又はビル内外情報に含まれる情報より計算した)ビルに関する消費エネルギーの実測値と、を出力する。
【0011】
図2は、情報処理装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、情報処理装置3は、入力装置11と、出力装置12と、制御装置13と、記憶装置14と、を含む。
入力装置11は、例えば、マウスやキーボードであって、ビル管理者等(又はオペレータ)の入力操作に応じて、操作情報等を入力する。出力装置12は、例えば、ディスプレイやプリンターであって、後述するようなグラフ等を出力する。制御装置13は、例えば、CPUである。制御装置13が、記憶装置14に記憶されたプログラムに基づいて動作することによって、管理部1や計算部2等が実現される。記憶装置14は、例えば、RAM及び/又はROM及び/又はHDD等であって、プログラムを記憶すると共に、制御装置13がプログラムに基づいて動作する際に必要とされる情報等を記憶する。例えば、記憶装置14は、ビルのセンサーを介して入力されたビル内外情報を記憶する。
【0012】
図3は、実施形態1の管理部1の機能構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、管理部1は、ビル内外情報受信部51と、ビル内外情報管理部52と、選択部53と、入力データ送信部54と、計算結果受信部55と、出力部56と、を含む。
ビル内外情報受信部51は、ビルの内外に設置されたセンサー等からリアルタイムでビル内外情報を受信する。ここで、ビル内外情報の一例を図4に示す。図4に示すように、ビル内外情報は、ビルに設置されている機器に関する機器情報と、ビルの施設又は設備等に関する運用情報と、ビルのエネルギー情報と、ビルの気象情報と、が含まれているものとする。なお、図4に示されるような情報以外に、例えば、機器情報として、部屋温度や照明時間、湿度上限、送風量等が含まれていてもよい。
ビル内外情報管理部52は、ビル内外情報受信部51で受信されたビル内外情報を記憶装置14に記憶し、管理する。
【0013】
選択部53は、ビル内外情報管理部52で管理されているビル内外情報から計算部2に渡す情報を選択する。選択部53は、予め定められた設定に基づき、ビル内外情報管理部52で管理されているビル内外情報の全てを選択してもよいし、ビル内外情報管理部52で管理されているビル内外情報の内の一部を選択してもよい。また、選択部53は、入力装置11を介したビル管理者からの選択要求に基づいて、ビル内外情報管理部52で管理されているビル内外情報から計算部2に渡す情報を選択してもよい。以下、本実施形態では、説明の簡略化のため、選択部53は、入力装置11を介したビル管理者からの選択要求に基づいて、ビル内外情報管理部52で管理されているビル内外情報から計算部2に渡す情報を選択するものとして説明を行う。
入力データ送信部54は、選択部53で選択された情報を計算部2に入力する入力データとして計算部2に送信する。
計算結果受信部55は、計算部2より計算結果である目標計算値を受信する。
出力部56は、後述する図6〜図8に示されるように、目標計算値と、ビル内外情報に含まれる、及び/又はビル内外情報に含まれる情報より計算部2によって計算された、ビルに関する消費エネルギーの値(以下、計算された値も含めて単に実測値という。)と、を出力する。
ここで、ビルの内外情報に含まれるビルに関する消費エネルギーの実測値とは、例えば、後述する図6に示す空気熱源ヒートポンプの冷房運転の実態エネルギー出力等である。一方、計算部2によって計算されたビルに関する消費エネルギーの実測値とは、例えば、壁から伝熱で逃げていく熱エネルギー等がある。
【0014】
図5は、実施形態1の計算部2の機能構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、計算部2は、入力データ受信部61と、計算部62と、計算結果送信部63と、を含む。
入力データ受信部61は、入力データ送信部54から送信された入力データを受信する。計算部62は、入力データ受信部61で受信された入力データに基づき、ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算する。なお、より具体的に説明すると、計算部62は、<http://www.eccj.or.jp/audit/esumt/index.html>で公開されている原単位管理ツールの技術を利用するとよい。原単位管理ツールは、ビルの細部をモデル化し、気象変動、使用条件変動、設定値変更、運転制御方法変更等におけるエネルギー消費シミュレーションを行うツールである。計算部62は、オフラインで構築されたシミュレーションモデルにより設備別エネルギー消費、部門別エネルギー消費、機器の運転効率・消費電力・熱消費等が室別や機器別に出力する原単位管理ツールの技術を利用して、管理部1から入力されたデータに対してリアルタイムでビルに関する消費エネルギー等の目標計算値を計算する。
つまり、計算部62は、オフラインで構築(又は入力等)されたデフォルト条件(デフォルトの制約条件等)でのシミュレーションモデルに管理部1から渡されたビルの内外情報をリアルタイムで入力して目標値を計算する。
なお、計算部62は、ビル管理者等が検討した結果、入力した条件(入力した制約条件等)でのシミュレーションモデルに管理部1から渡されたビルの内外情報をリアルタイムで入力して目標値を計算するようにしてもよい。また、計算部62は、ビル管理者等からの入力に基づいて、オフラインで構築(又は入力等)されたデフォルト条件とビル管理者等が入力した制約条件とでのシミュレーションモデルに管理部1から渡されたビルの内外情報をリアルタイムで入力して目標値を計算するようにしてもよい。また、ビル管理者等は、シミュレーションモデル自体のパラメータの値等を、画面を介して変更するようにしてもよい。そして、計算部62は、変更されたシミュレーションモデルに管理部1から渡されたビルの内外情報をリアルタイムで入力して目標値を計算するようにしてもよい。
また、計算部62は、入力データに基づいて、個別の電力計が設置されていない機器等のエネルギー消費(例えば、上述した壁から伝熱で逃げていく熱エネルギー等)を、予め定められたビル内外情報(例えば、前記壁に係る部屋の温度情報や湿度情報等)及び/又は設定された値(例えば、前記壁の厚さや材質等)を予め構築されたモデル等に入力し、推算(計算)するようにしてもよい。
つまり、計算部62は、所定の計測器(例えば、電力計)が設置されていない機器の消費エネルギーを出力するよう画面を介してビル管理者等から操作等で指示された場合には、前記機器の消費エネルギーを前記ビル内外情報に基づいて、計算する。そして、出力部56は、計算部62で計算された、前記機器の消費エネルギーと、前記機器に関する消費エネルギーの目標計算値と、を比較可能なグラフとして出力する。
計算結果送信部63は、計算部62で計算された目標計算値等を計算結果として管理部1に送信する。
なお、本実施形態では、管理部1が選択部53を有する構成を説明したが、計算部2が選択部53を有する構成としてもよい。即ち、管理部1は、センサーを介して入力されたビル内外情報を保持、管理すると共に、例えば、リアルタイムで入力されたビル内外情報を計算部2に送信し、計算部2の選択部53が、受信されたビル内外情報から予め定められた設定に基づき、計算部62に入力する入力データを選択してもよいし、ビル管理者等からの選択要求に基づいて、計算部62に入力する入力データを選択してもよい。
【0015】
図6は、出力部56による出力結果の一例を示す図(その1)である。
図6には、ビルの機器の一例として、空気熱源ヒートポンプのある一日の冷房運転の一日の実態電力消費及び実態エネルギー出力(つまり、実測値)と、目標計算値である電力消費及びエネルギー出力と、が示されている。通常、実態電力消費及び実態エネルギー出力しか提示されないため、ビル管理者は、目標とする運転状態に気がつかず、運転を続けることになる。目標値との乖離に気がつけば、ビル管理者、又はビル管理者に指示されたエンジニア等は、冷温水流量やその温度、機器の電力消費等を調査し、改善点を見出すことができる。
【0016】
図7は、出力部56による出力結果の一例を示す図(その2)である。
図7には、左側に目標計算値が、右側に実測値が表示されている月別の建物全体のエネルギー消費が示されている。ビル管理者等は、目標計算値と、実測値と、の差が大きい場合、運転手法等に何らかの問題があると考え、改善点等を見出すことができる。従来、右側のエネルギー実測値は電力、ガス等あり、その消費先内容は不明であったがビル内のエネルギー消費を空調や照明といった消費先別や、事務室や飲食店といった部門別に計測を細かくすれば、左の計算値と比較し、どの部分が大きいか小さいかが明確となり、対策が明確になる。
つまり、本実施形態の計算部2は、例えば、現状のエネルギー消費の分析(部門別や系統別、機械別のエネルギー消費等)を行うと共に、デフォルト条件及び/又はビル管理者等によって入力された条件でのシミュレーションモデル(又はビル管理者等によって変更されたシミュレーションモデル)に管理部1から渡されたビルの内外情報をリアルタイムで入力して目標値等を計算する。管理部1は、現状のエネルギー消費の分析の結果と、計算された目標値と、をビル管理者等が比較可能にグラフ等で表示する。
以上、本実施形態によれば、ビルエネルギー管理システムが、ビルの管理者等に、消費エネルギー等の目標計算値と、ビルに関する消費エネルギーの実測値と、をグラフ化し、比較可能に出力することによって、ビルの管理者等は、目標とする値を認識し、どの項目に低下がみられるか、改善が可能であるかを判断でき、機器の運転方法や設定パラメータの値を変更する等で改善することができ、ビルの省エネルギー化や省コスト化を行うことができる。
【0017】
<実施形態2>
図8は、実施形態2の管理部1の機能構成の一例を示す図である。
実施形態2の管理部1の機能構成は、実施形態1の管理部1の機能構成に加えて、フィードバック部57が新たに加えられている。
フィードバック部57は、出力部56で出力された目標計算値と、実測値と、の差を小さくするために変更した前記ビル内外情報に含まれる情報に関する少なくとも1つ以上の制御パラメータの値をビルの機器に送信する。なお、フィードバック部57は、ビル管理者からの要求に応じて表示した画面等を介したビル管理者からの設定指示に基づき前記制御パラメータの値を変更してもよいし、設定に基づき、自動的に前記制御パラメータの値を変更してもよい。変更される制御パラメータの値の一例としては、例えば、熱源の台数、ポンプの台数、冷温水流量、送風量、部屋の温度、湿度、照明時間、等がある。
本実施形態によれば、自動、又は管理者等の設定指示に基づいて、ビルの機器の制御パラメータの値を出力部56で出力された目標計算値と、実測値と、の差を小さくするよう変更し、前記機器に送信し、前記値を変更することができる。したがって、出力部56で出力された目標計算値と、実測値と、に応じて、ビルの省エネルギー化や省コスト化を行うことができる。
なお、フィードバック部57に、ビルのシミュレーション機能を設けるようにしてもよい。このように構成することによって、直接、ビルの機器等の制御パラメータの値を変更するのではなく、変更した値で機器の動作等をシミュレーションし、シミュレーションした結果の値を実測値とする。出力部56が、前記実測値と、前記目標計算値と、を表示することによって、ビル管理者等は、前記実測値と、前記目標計算値と、の差が小さくなることを確認した後、実際のビルの機器の制御パラメータを変更することができる。
また、フィードバック部57は、前記実測値としたシミュレーションの結果を再び、計算部2に送信するようにしてもよい。そして、フィードバック部57は、シミュレーションの結果で計算された実測値と、前記実測値に基づき計算された目標計算値と、を出力部56に渡すようにしてもよい。
また、フィードバック部57は、自動的に前記制御パラメータの値を変更する場合、設定に基づき、複数の制御パラメータの値を試験的に変更し、計算部2にて試験的な計算をさせ、最も省エネルギー効果がある制御パラメータの値を最終的に変更するようにしてもよい。また、フィードバック部57は、変更候補に係る複数の制御パラメータの入力画面等を介してビル管理者等に表示し、入力された複数の制御パラメータの値等を計算部2に入力し、計算部2にて試験的な計算をさせ、計算結果を画面に表示し、ビル管理者等に最終的に変更する制御パラメータの値を選択させるようにしてもよい。
つまり、フィードバック部57は、実際に値を変更する前に、計算部2にて試験的に計算させ、例えば、事前に効果があるか否かをビル管理者等に確認させてから、実際に値を変更するようにしてもよい。
【0018】
<実施形態3>
図9は、実施形態3の管理部1の機能構成の一例を示す図である。
実施形態3の管理部1の機能構成は、実施形態1の管理部1の機能構成に加えて、最適化部59が新たに加えられている。
上述した実施形態で示したように、目標値の計算は、(1)予めオフラインで省エネメニューとして構築したデフォルト条件により計算する方法、(2)ビル管理者等がリアルタイムで検討し、試行を計画する条件の下で計算するという方法がある。しかしながら、これら目標値と実測値との評価をビル管理者等の判断により行うと、遅れが出たり、ハンチングしたりする。したがって、これを自動的に制御する技術は、例えば圧力制御等のような単純なパラメータについてはPID制御等が公知技術として知られている。しかしながら目標値を固定して、そこに向かって収束させていくという方法では、必ずしも最適な目標値にならない場合がある。
したがって、このような技術に代えて、本実施形態の管理部1は、複数のパラメータに関し、種々のケースを自動生成し、最適化部59に適用させることで、最適値をリアルタイムで知り、制御することができる。
最適化部59は、出力部56で出力された目標計算値と、実測値と、の差を小さくするために前記内外情報に含まれる情報の少なくとも1つ以上の制御パラメータの値の最適解を求める。最適化部59は、最適化した前記制御パラメータの値をビルの機器に送信するようにしてもよい。なお、最適化部59には、HEEDS等の技術を用いるとよい。
このような構成とすることによって、最適な設定値(制御パラメータの値)をビルの機器等に渡すことができる。
なお、最適化部59は、予め、エネルギーを最適(最小)にするのか、コストを最適(最小)にするのか、どの室内環境(温度、湿度、気流、照度、騒音等)を優先するのか、又は犠牲にするかを含めて、設定しておいてもよいし、ビル管理者等の画面を介した設定に応じて、何を最小にするのか切り替え可能にしてもよい。
【0019】
<実施形態4>
図10は、実施形態4の計算部2の機能構成の一例を示す図である。
実施形態4の計算部2の機能構成は、実施形態1の計算部2の機能構成に加えて、最適化部64が新たに加えられている。実施形態3では、管理部1が最適化部を有する構成を示したが、実施形態4では、計算部2が最適化部を有する。
最適化部64は、計算部62で計算された目標計算値から実測値となる内外情報に含まれる情報の少なくとも1つ以上の制御パラメータの値の最適解を求める。つまり、例えば、最適化部64は、目標計算値の一例である総エネルギーから最適な部屋温度等を求める。
最適化部64は、求めた最適解を計算結果送信部63に渡してもよいし、再び計算部62に渡して目的とする総エネルギーになったか確認した後、最適解を計算結果送信部63に渡してもよい。
なお、最適化部64は、予め、エネルギーを最適(最小)にするのか、コストを最適(最小)にするのか、どの室内環境(温度、湿度、気流、照度、騒音等)を優先するのか、又は犠牲にするかを含めて、設定しておいてもよいし、ビル管理者等の画面を介した設定に応じて、何を最小にするのか切り替え可能にしてもよい。
なお、実施形態4のような構成の場合、管理部1を有さず、計算部と、最適化部と、の構成だけであっても、目標を達成するために最適なビル内の設定や制御方法を自動的に提示する等の機能を提供することができる。
【0020】
<実施形態5>
また、計算部2に、学習機能を持たせるようにしてもよい。より具体的に説明すると、計算部2は、ビル内外情報に含まれる複数のパラメータの値から他のパラメータの値を計算する機能を有している。計算部2は、この機能を用いて、計算部2が計算した前記他のパラメータの値と、実際の前記他のパラメータの実測値と、を比較し、この差が最小となるようにする。このようにすることによって、計算部2を、リアルタイムで改良することができる。つまり、計算部62は、前記差が最小となるよう、デフォルト条件の条件や、シミュレーションモデル(シミュレーションモデルの変数等)を自動で修正することができる。計算部2をリアルタイムで改良することによって、より高い精度でエネルギーの無駄や、改善の余地をビル管理者等のビル管理者等が知ることができる。また、用途や形態が大きく異なるビル等に計算部2を適用する際も、学習機能により、適切な計算部2を準備することができるため、より広範囲の省エネルギーに貢献することができる。
更に、ビルの用途や形態が変更になった場合や、新技術や新製品、新機種が導入された場合も学習機能により、精度を確保することができる。
【0021】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、説明の簡略化のため、ビルエネルギー管理システムが直接、ビルの機器等に変更した制御パラメータの値等を送信するものとして説明を行ったが、ビル等に、ビルの機器を制御、管理する中央監視システム等が設けられている場合、ビルエネルギー管理システムは、中央監視システム等に対して、対象とする機器を指定し、前記制御パラメータの値等を送信するようにしてもよい。
また、このような構成の場合、ビル内外情報は、中央監視システム等からビルエネルギー管理システムに送られてくる。中央監視システム等と、ビルエネルギー管理システムと、はネットワークを介して接続されているものとする。
【0022】
以上、上述した各実施形態によれば、より適切なビルのエネルギーの浪費の削減を可能とすることができる。
つまり、上述した各実施形態によれば、ビルの運用時の省エネルギー性を定量的に評価することができる。また、ビルの空調設備等が省エネルギー運転になっているか、どこに無駄な運転や異常があるか分かるため、これらの異常等を短時間で改善することにより、省エネルギー化や省コスト化を図ることができる。
【0023】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 管理部
2 計算部
3 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルに係るセンサーを介した入力に基づき、時系列に変化するビル内外情報をリアルタイムで保持、管理する管理手段と、
前記ビル内外情報に基づいて、時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算する計算手段と、
前記計算手段で計算された時系列に変化するビルに関する消費エネルギーの目標計算値と、前記ビルのビル内外情報に含まれる時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの実測値と、を比較可能なグラフとして出力する出力手段と、
を有するビルエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記計算手段は、予め定められたシミュレーションモデルに、前記ビル内外情報を入力し、時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算する、及び/又は、オペレータの入力に基づいて変更されたシミュレーションモデルに、前記ビル内外情報を入力し、時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算する請求項1記載のビルエネルギー管理システム。
【請求項3】
所定の計測器が設置されていない機器の消費エネルギーを出力するよう操作された場合、
前記計算手段は、所定の計測器が設置されていない機器の消費エネルギーを前記ビル内外情報に基づいて、計算し、
前記出力手段は、前記計算手段で計算された、前記機器の消費エネルギーと、前記機器に関する消費エネルギーの目標計算値と、を比較可能なグラフとして出力する請求項1又は2記載のビルエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記ビル内外情報は、ビルの機器ごとの実際の消費エネルギーの実測値と、ビルの機器に係るセンサーを介して入力された機器情報と、を含み、
前記計算手段は、前記ビル内外情報に基づいて、時系列に変化する前記ビルの機器ごとの消費エネルギーの目標計算値を計算し、
前記出力手段は、前記計算手段で計算された時系列に変化するビルの機器ごとの消費エネルギーの目標計算値と、前記ビルのビル内外情報に含まれる時系列に変化する前記ビルの機器ごとの実際の消費エネルギーの実測値と、を比較可能なグラフとして出力する請求項1記載のビルエネルギー管理システム。
【請求項5】
画面を介したビル管理者による操作に基づいて、前記ビル内外情報に含まれる情報に関する少なくとも1つ以上の制御パラメータの値の変更を受け付け、前記制御パラメータの値を、前記制御パラメータに関する前記ビルの機器に送信するフィードバック手段を更に有する請求項1記載のビルエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記出力手段で出力された、前記計算手段で計算された時系列に変化するビルに関する消費エネルギーの目標計算値と、前記ビルのビル内外情報に含まれる時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの実測値と、の差を小さくするために前記ビル内外情報に含まれる情報の少なくとも1つ以上の制御パラメータの値の最適解を求める最適化手段を更に有する請求項1記載のビルエネルギー管理システム。
【請求項7】
ビルエネルギー管理システムにおけるビルエネルギー管理方法であって、
前記ビルに係るセンサーを介した入力に基づき、時系列に変化するビル内外情報をリアルタイムで保持、管理する管理ステップと、
前記ビル内外情報に基づいて、時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの目標計算値を計算する計算ステップと、
前記計算ステップで計算された時系列に変化するビルに関する消費エネルギーの目標計算値と、前記ビルのビル内外情報に含まれる時系列に変化する前記ビルに関する消費エネルギーの実測値と、を比較可能なグラフとして出力する出力ステップと、
を有するビルエネルギー管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−103811(P2012−103811A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250206(P2010−250206)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(599002320)財団法人 省エネルギーセンター (1)