説明

ビン等落下騒音低減装置

【課題】廃棄物の処理施設等において、ビン等(ビンおよび/または缶)をシュートからストックヤードに落下させる際に生じる騒音を的確に低減することができるビン等落下騒音低減装置を提供する。
【解決手段】ビン落下騒音低減装置20は、上端がシュート13の出口13aに接続して、高さ方向に伸縮可能な蛇腹構造の案内ダクト(蛇腹ダクト)21と、その蛇腹ダクト21の下端に取り付けられて、蛇腹ダクト21を通過してきたビンを一時的に受け止めるクッション材23と、ストックヤード14内のビンの集積高さに応じて、蛇腹ダクト21を高さ方向に伸縮させるための巻上ワイヤ22とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の処理施設等において、ビン等(ビンおよび/または缶)をシュートからストックヤードに投入する際に生じる落下騒音を低減させるためのビン等落下騒音低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の処理施設等においては、回収されたビンは、例えば特許文献1に記載されているように、色別に選別された後、色毎の受入シュートに入れられ、受入シュートを通過して、ストックヤードに集積される。
【0003】
図3に、そのような廃棄物の処理施設等におけるビンの処理設備の一例を示す。図3に示すように、回収されたビンは、ビン類受入供給コンベヤ11によってビン選別コンベヤ12に搬送され、ビン選別コンベヤ12で搬送されながら色別に選別される。そして、色毎のシュート13に入れられ、シュート13を通過して、ストックヤード14に投入され、集積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3307168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シュート13からビンストックヤード14に投入される際の投入高さは約4mあり、ビンがストックヤード14へ落下する時にストックヤードコンクリート14aへ衝突するため、大きな騒音が発生する。さらに、ビンの投入・集積が継続され、ビンがストックヤードコンクリート14aを敷き詰める状態になっても、敷き詰めたビンに新たに投入されたビンが衝突して、大きな騒音が発生する。例えば、その騒音レベルは約110dBもある。
【0006】
このビンの落下騒音は近傍作業者への作業環境を悪化させるばかりでなく、敷地境界線へも到達する状況もあることから、騒音規制基準を達成するために、ストックヤードの配置にも制約を受ける。
【0007】
この問題は、ビンだけではなく、缶の場合も同様である。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、廃棄物の処理施設等において、ビン等(ビンおよび/または缶)をシュートからストックヤードに落下させる際に生じる騒音を的確に低減することができるビン等落下騒音低減装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
【0010】
[1]ビン等(ビンおよび/または缶)をシュートからストックヤードに投入する際に生じる落下騒音を低減させるためのビン等落下騒音低減装置であって、上端が前記シュートの出口に接続して、高さ方向に伸縮可能な案内ダクトと、その案内ダクトの下端に取り付けられて、案内ダクトを通過してきたビン等を一時的に受け止めるクッション材と、前記ストックヤード内のビン等の集積高さに応じて、前記案内ダクトを高さ方向に伸縮させる伸縮機構とを備えていることを特徴とするビン等落下騒音低減装置。
【0011】
[2]前記案内ダクトは、蛇腹構造であることを特徴とする前記[1]に記載のビン等落下騒音低減装置。
【0012】
[3]前記案内ダクトと前記クッション材とは、伸縮性がある部材によって接続されていることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のビン等落下騒音低減装置。
【0013】
[4]前記クッション材は、斜めに傾斜していることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のビン等落下騒音低減装置。
【0014】
[5]ストックヤードへのビン等の投入位置を水平面内で変更できるようになっていることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載のビン等落下騒音低減装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、廃棄物の処理施設等で、ビン等(ビンおよび/または缶)をシュートからストックヤードに落下させる際に生じる騒音を的確に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態におけるビンの処理設備を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるビン落下騒音低減装置を示す図である。
【図3】ビンの処理設備の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここは、ビンを対象にして述べる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態におけるビンの処理設備を示す図である。前述の図3に示したビンの処理設備とほぼ同様であるが、シュート13の出口にビン落下騒音低減装置20が設置されている点が異なっている。
【0019】
すなわち、回収されたビンは、ビン類受入供給コンベヤ11によってビン選別コンベヤ12に搬送され、ビン選別コンベヤ12で搬送されながら色別に選別された後、色毎のシュート13に入れられ、シュート13を通過し、さらにビン落下騒音低減装置20を経由してから、ストックヤード14に落下し、集積されるようになっている。
【0020】
図2は、そのビン落下騒音低減装置20の詳細を示すものである。図2に示すように、ビン落下騒音低減装置20は、上端がシュート13の出口13aに接続して、高さ方向に伸縮可能な蛇腹構造の案内ダクト(蛇腹ダクト)21と、ストックヤード14内のビンの集積高さに応じて、蛇腹ダクト21を高さ方向に伸縮させるための巻上ワイヤ22と、蛇腹ダクト21の下端に接続部材24、25によって取り付けられて、蛇腹ダクト21を通過してきたビンを一時的に受け止めるクッション材23とを備えている。
【0021】
そして、ストックヤード14へのビンの投入開始時に、ストックヤードコンクリート14aとクッション材23の後端部(下端部)23aとの間隔hを概ね20cm程度に狭くしておき、ストックヤード14内のビンの集積高さが高くなるのに合わせて、最上部のビンとクッション材23の後端部(下端部)23aとの間隔が概ね20cm程度となるように、巻上ワイヤ22によって蛇腹ダクト21を縮める。
【0022】
これによって、この実施形態においては、シュート13を通過したビンが高所からストックヤードコンクリート14aやビンの上に直接落下せず、落下前にクッション材23で一度受け止めることができるとともに、クッション材23の下端部23aからストックヤードコンクリート14aや最上部のビンまでの落下距離を常に20cm程度に短くすることができるので、ビンの落下騒音のレベルを50dB程度に抑えることが可能になる。
【0023】
なお、蛇腹ダクト21とクッション材23とを接続する接続部材24、25は、伸縮性を有するものであることが好ましい。接続部材24、25に伸縮性がないと、クッション材23にビンが落下したときに、跳ね返りにより高所からの落下となり、本来の落下騒音低減効果が損なわれる恐れがあるため、接続部材24、25に伸縮性を持たせることにより、より静かに落下させることができる。
【0024】
また、クッション材23は、図2に示すように、その後端部23aに向けて下方に傾斜していることが好ましい。クッション材23が水平であると、ビンがクッション材23上に滞留し、後から蛇腹ダクト21を通過してきたビンと衝突して、本来の騒音低減効果が損なわれる恐れがあるため、クッション材23を傾斜させることで、クッション材23上のビンを速やかにストックヤード14に吐き出すことができる。
【0025】
そして、この実施形態では、伸縮可能な案内ダクトとして蛇腹構造のものを用いているが、それに限定されるものではなく、例えばテレスコープ構造のものを用いてもよい。
【0026】
また、ビン落下騒音低減装置20からストックヤード14へのビンの投入位置を水平面内で変更できるようにしておけば、ストックヤード14の全面を効率的に使用できるので、より好ましい。
【0027】
なお、上記の実施形態では、対象がビンの場合について述べたが、対象が缶の場合や、ビンと缶が混合している場合でも同様にして実施することができる。
【符号の説明】
【0028】
11 ビン類受入供給コンベヤ
12 ビン選別コンベヤ
13 シュート
13a シュートの出口
14 ストックヤード
14a ストックヤードコンクリート
20 ビン落下騒音低減装置
21 案内ダクト(蛇腹ダクト)
22 巻上ワイヤ
23 クッション材
23a クッション材の後端部(下端部)
24 接続部材
25 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビン等(ビンおよび/または缶)をシュートからストックヤードに投入する際に生じる落下騒音を低減させるためのビン等落下騒音低減装置であって、上端が前記シュートの出口に接続して、高さ方向に伸縮可能な案内ダクトと、その案内ダクトの下端に取り付けられて、案内ダクトを通過してきたビン等を一時的に受け止めるクッション材と、前記ストックヤード内のビン等の集積高さに応じて、前記案内ダクトを高さ方向に伸縮させる伸縮機構とを備えていることを特徴とするビン等落下騒音低減装置。
【請求項2】
前記案内ダクトは、蛇腹構造であることを特徴とする請求項1に記載のビン等落下騒音低減装置。
【請求項3】
前記案内ダクトと前記クッション材とは、伸縮性がある部材によって接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のビン等落下騒音低減装置。
【請求項4】
前記クッション材は、斜めに傾斜していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビン等落下騒音低減装置。
【請求項5】
ストックヤードへのビン等の投入位置を水平面内で変更できるようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のビン等落下騒音低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−173675(P2011−173675A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38117(P2010−38117)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】