説明

ビーズクッション

【課題】 生産性に優れ、使用感が良く、心身にリラックス効果を付与し、清潔感にも優れるビーズクッションを提供する。
【解決手段】 発泡ビーズホッパー内で、発泡スチレンからなる直径約1.0mmの略球状形状の発泡ビーズに、帯電防止剤、ヒノキエキス、エアーを同時に噴霧し吸着させる。次いで、この発泡ビーズを、伸縮性を有するようにかつ袋形状を備えるように編成された中袋内に充填する。さらに、この中袋を、伸縮性を有する生地からなる外袋内に封入する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、枕、抱き枕、腕当て、座布団、敷布団、ソファー等に用いられるビーズクッションに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シートが縫製されて形成される袋体の内部に、発泡ビーズが充填されてなるクッションが提供されている。この種のクッションは、使用時、内部に充填される発泡ビーズが体圧によって流動し、クッション自体が体形に沿うように変形して体圧を分散させるため、接触している身体部位に心地良い感触を与えるという特徴を有している。
【0003】しかし、従来のこの種のクッションにおいては、袋体の内部に充填される発泡ビーズの径が比較的大きいため、袋体の内部でそれら発泡ビーズ同士が互いの流動を妨げ合ってクッション自体が大きく変形できないことから、接触している身体部位に対して十分なフィット感を付与できないという問題点がある。それに加えて、身体部位に接触する発泡ビーズの粒子数が少なくその発泡ビーズ1粒子あたりにかかる体圧が大きくなるため、接触している身体部位に対して硬い感触を付与してしまうという問題点がある。
【0004】このような問題点を解消するものとして、実用新案登録第3081750号公報に開示されたビーズクッションが提案されている。この公報に開示されたビーズクッションによれば、伸縮性を備える袋体の内部に粒子径の比較的小さい発泡ビーズが無数に充填されていることから、その使用時において発泡ビーズは、互いに流動を妨げ合うことなく自由に流動でき、ビーズクッションそのものも体形に沿って大きく変形できるため、接触している身体部位に対してより良いフィット感を付与できるようになっている。さらに、このビーズクッションは身体部位に接触している粒子数が従来に比して多いために、発泡ビーズ1粒子あたりにかかる体圧が小さくなり、接触している身体部位に対して柔らかな感触を付与するという特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述のように粒子径の比較的小さな発泡ビーズを用いた場合には、充填される発泡ビーズの粒子径が小さくなるに従い、この発泡ビーズを袋体内に充填するための製造装置の周辺にその発泡ビーズが漏出し易くなり、この漏出した発泡ビーズが帯電の影響を受けるために、製造装置の周りに大量の発泡ビーズが付着してその製造装置の安定作動を妨げる恐れがある。
【0006】また、前記袋体内に充填される粒子径の小さな発泡ビーズは、袋体そのものにも大量に付着することから、ビーズクッションを出荷の状態(発泡ビーズが付着しない状態)にするために、袋体表面に付着した発泡ビーズを取り除く必要があり、その作業が極めて煩雑であって生産性を著しく低下させてしまうという問題点がある。
【0007】さらに、このビーズクッションを一般家庭で使用する際にも、充填された発泡ビーズが漏出したときには、その発泡ビーズが帯電して、いたるところに付着してしまうため、その使用時の取扱いにも注意を要するという問題点がある。
【0008】本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、粒子径が小さい発泡ビーズを充填する場合であっても、生産性が良く、家庭内での取扱いも容易なビーズクッションを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用・効果】前記目的を達成するために、本発明によるビーズクッションは、袋体内に、帯電防止剤を吸着した発泡ビーズが充填されてなることを特徴とするものである。
【0010】本発明に係るビーズクッションによれば、発泡ビーズに帯電防止剤が吸着されて袋体内に充填されているため、粒子径の小さい発泡ビーズを用いても、またその発泡ビーズが製造装置の周辺に漏出した場合であっても、その漏出した発泡ビーズが製造装置の周りに付着することがない。したがって、従来、製造過程において漏出した発泡ビーズを取り除く作業に費やされていた手間と時間を大幅に削減できるため、生産性を向上させることができる。また、このビーズクッションの使用時において、袋体内部からその発泡ビーズが漏出した場合であっても、簡単に取り除くことができる。そのため、家庭内での取扱いにも優れている。
【0011】本発明において、前記袋体は、ファスナー付きの開口部を有する袋体本体と、この袋体本体の開口部に取り付けられてその開口部を閉鎖する袋状の閉鎖部片とを有し、ファスナーを開けた状態において前記袋体本体の開口部が前記閉鎖部片により閉鎖されるように構成されるのが好ましい。このように構成すれば、使用時においてファスナーを開けても袋体本体の開口部を閉鎖部片によって閉じた状態に維持することができるので、袋体内に充填されている発泡ビーズが不用意に漏出することがなくなり、使用者の利便性をより向上させることができる。
【0012】本発明において、前記袋体は、袋状に編成されたニット地の開口部にファスナーを取り付けて構成されるのが好ましい。こうすることで、ファスナーの取り付け部以外には縫い目の存在しない袋体を形成することができ、その袋体の内部に発泡ビーズが充填された際に発泡ビーズが漏出しにくいビーズクッションを提供することができる。
【0013】前記袋体は伸縮性を備える生地で形成されることが好ましい。こうすることで袋体が伸縮して、袋体内に充填される発泡ビーズの流動範囲が広がり、ビーズクッションの外表面に押圧力を加えた際に、袋体自身が大きく、かつ、接触する身体部位にフィットするように変形するため、広い範囲の身体部位に対して心地よい感触を付与することができる。
【0014】さらに、前記発泡ビーズに芳香効果を有する薬液が吸着されるのが好ましい。このようにすれば、使用者に対してリラックス効果を付与できるビーズクッションを提供することができる。また、前記発泡ビーズに抗菌効果を有する薬液が吸着されるのが好ましい。こうすることで、衛生面に優れたビーズクッションを提供することができる。
【0015】前記発泡ビーズには、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生物質が含有されてなる薬液が吸着されるのが良い。こうすることで、ビーズクッションから直接マイナスイオンを発生させることができ、それによって、リラックス効果、自律神経の機能を向上させる効果、疲労感を軽減する効果、免疫力を向上する効果、呼吸器の機能を向上する効果、血行を促進する効果等、マイナスイオンが有する心身に対して優れた効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明によるビーズクッションの具体的な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0017】図1には、本発明の一実施形態に係るビーズクッションの斜視図が、図2には、図1のA−A線断面図、図3にはビーズクッションを製造する製造装置の概略構成図、図4には使用時におけるビーズクッションの作動説明図がそれぞれ示されている。
【0018】図1および図2で示されるように、本実施形態におけるビーズクッション1は、外袋2の内部に中袋3が封入され、その中袋3の内部に発泡ビーズ4が充填されて構成されている。前記外袋2は、ニット地が縫製されてなる袋体で構成され、伸縮性を備えている。一方、前記中袋3は、伸縮性を有するように、かつ袋形状となるように編成されてなるものであり、従来公知の成型編と丸編とを組み合わせることにより成形される。また、前記中袋3の一側縁には発泡ビーズ4を充填する充填口5が設けられており、この充填口5には、図示されないファスナーが縫合されている。そして、このファスナーを閉じることで内部に充填された発泡ビーズ4が外部に漏出しないようにされている。
【0019】また、前記外袋2は、伸縮性を有するナイロンニットが縫製された袋体であり、その一側縁に前記中袋を封入する封入口6が設けられている。またこの封入口6にはファスナーが縫合され、このファスナーが閉じられて前記中袋3および、その内部に充填される発泡ビーズ4が封入されるようになっている。なお、中袋3の充填口5と外袋2の封入口6とは位置を異ならせて設けられている。
【0020】ここで、中袋3に充填される発泡ビーズ4としては、直径約1.0mmの略球状に加工された発泡スチレンが使用される。この発泡ビーズ4にはさらに、後述の製造過程において帯電防止剤(PEG300:日本油脂株式会社製)および、常温で動物や人の気分をほぐす鎮静作用(芳香効果)を発揮するとともに、抗菌性、抗カビ性、ダニに対する忌避効果(抗菌効果)を発揮するヒノキオイルを液状に加工したヒノキエキスが同時に噴霧されて吸着されている。
【0021】次に、前記ビーズクッション1を製造する製造装置について説明する。
【0022】図3に示されるように、ビーズクッション1を製造する製造装置10は、直径約1.0mmの略球状に加工された発泡ビーズ4を一旦貯留する原料サイロ(図示せず)と、この原料サイロから供給される発泡ビーズ4を袋詰めのために一時貯留する発泡ビーズホッパー11と、この発泡ビーズホッパー11内において発泡ビーズ4に吸着させる帯電防止剤とヒノキエキス(この両者を以下単に「薬液」と示す。)とを貯留する薬液タンク12と、前記発泡ビーズホッパー11内に薬液と共に噴出されるエアーと、前記発泡ビーズホッパー11内に発泡ビーズ4の排出補助のエアーとして噴出されるエアーとを供給するエアーポンプ(図示せず)から構成されている。
【0023】前記原料サイロは、発泡ビーズホッパー11の上端略中央に設けられた導入口11Bに、前記発泡ビーズ送粒配管13を介して接続されており、この発泡ビーズ送粒配管13の途中には原料サイロ内の発泡ビーズを発泡ビーズホッパー11内に送粒する送粒ブロワー14が設けられている。
【0024】前記薬液タンク12は、薬液を加圧する薬液ポンプ15、薬液の逆流を防止する逆止弁16が設けられている薬液供給管17を介して、薬液とエアーとを混合する混合機18に接続されている。また、前記エアーポンプに接続されたエアー供給管19は第1の分岐配管19aと第2の分岐配管19bとに分岐されている。そして第1の分岐配管19aには、エアーの流れ方向に沿って、エアーの流れを電気的に制御する電磁弁20、エアーの逆流を防止する逆止弁21および前記混合機18がそれぞれ設けられている。また、この混合機18は混合流体供給管22を介して、前記発泡ビーズホッパー11内の噴霧ノズル23に接続されている。この噴霧ノズル23は、前記発泡ビーズホッパー11の上部に複数個設けられ、前記混合機18により混合された薬剤とエアーとの混合流体を発泡ビーズ送粒配管13より発泡ビーズホッパー11内に供給される発泡ビーズ4に向けて噴き付ける役目をする。
【0025】一方、前記第2の分岐配管19bは、途中に電磁弁25を介してその先端が発泡ビーズホッパー11の下部に挿入されている。この第2の分岐配管19bの先端にはエアーノズル24が設けられ、このエアーノズル24から発泡ビーズホッパー11の排出口11Aに向けてエアーが噴出される。
【0026】また、前記送粒ブロワー14、薬液ポンプ15および電磁弁20は供給制御装置26からの制御信号によって制御される。この制御を実行するために、前記発泡ビーズホッパー11には、発泡ビーズ4の貯留量を検知し、この貯留量が設定されている下限以下になったときに供給信号を、貯留量が上限以上になったときに供給停止信号を供給制御装置26に対してそれぞれ発信するレベル計27が設けられている。
【0027】また、前記電磁弁25および前記排出口11Aに設けられる電磁弁28は、排出制御装置29からの制御信号によって制御される。この制御を実行するために、発泡ビーズホッパー11の外部には、押圧されたときに排出信号を発信し押圧が解除されたときに排出解除信号を発信する排出ペダル30が設けられている。
【0028】このように構成された製造装置10によれば、発泡ビーズホッパー11内における発泡ビーズ4の貯留量が、予め設定されている下限を下回った際に、前記レベル計27から供給制御装置26に対して供給信号が送信される。この供給信号を受信した供給制御装置26は、前記送粒ブロワー14、薬液ポンプ15に対して作動開始信号を、電磁弁20に対して開信号をそれぞれ送信する。作動信号を受信した送粒ブロワー14、薬液ポンプ15はその作動を開始し、開信号を受信した電磁弁20は開状態になる。
【0029】この状態になると、原料サイロ内に貯留されている発泡ビーズ4は、前記送粒ブロワー14の作動によって発泡ビーズ供給管13および導入口11Bを通り、発泡ビーズホッパー11内へと導入され、これに連動して薬剤タンク12に貯留され薬液ポンプ15によって加圧される薬剤および、エアーポンプによって加圧されるエアーは、前記混合機18にて混合されて混合流体にされた後、前記噴霧ノズル23に供給されて発泡ビーズホッパー11内に噴霧される。
【0030】なお、前記噴霧ノズル23には、薬液とエアーとの混合流体が供給されるため、霧状の薬液を発泡ビーズホッパー11内に噴霧することができる。また、前記発泡ビーズホッパー11に供給される発泡ビーズ4は非常に軽いため、ホッパー内で浮遊した状態にあり、噴霧ノズル23より噴霧される霧状の薬液がその発泡ビーズ4にまんべんなく吸着される。
【0031】このような過程を経て、薬剤が吸着されながら供給し続けられる発泡ビーズ4が、前記レベル計27に予め設定されている上限を越えて発泡ビーズホッパー11に貯留されると、前記レベル計27から供給制御装置26に対して供給停止信号が送信され、この供給停止信号を受信した供給制御装置26から、前記送粒ブロワー14および薬液ポンプ15に対して作動停止信号が、電磁弁20に対して閉信号がそれぞれ送信される。この信号により、送粒ブロワー14および薬液ポンプ15はその作動を停止し、電磁弁20は閉状態となり、発泡ビーズホッパー11への発泡ビーズ4、薬液およびエアーの供給が停止する。
【0032】前記発泡ビーズ4を中袋3に充填するには、充填口5に設けられるファスナーを開封し、発泡ビーズホッパー11の排出口11Aにあてがい、前記排出ペダル30を押圧する。このようにすると排出ペダル30から前記排出制御装置29に対して排出信号が発信され、これを受信した排出制御装置29から、前記第2の分岐配管19bに設けられる電磁弁25および排出口11Aに設けられる電磁弁28に対して開信号が発信される。
【0033】これにより電磁弁25および電磁弁28は開状態となるため、排出口11Aは開かれた状態になるとともに、エアーノズル24からは排出補助用のエアーが噴出される。こうして、発泡ビーズホッパー11内の発泡ビーズ4は、エアーノズル24から噴出されるエアーと発泡ビーズ4自身の自重とによって排出口11Aから排出され、中袋3に充填される。
【0034】排出を止めるためには、前記排出ペダル30への押圧を解除する。すると、この排出ペダル30から前記排出制御装置29に対して排出停止信号が発信される。これにより、排出停止信号を受信した排出制御装置29から前記電磁弁25、30に対して閉信号が送信され、この閉信号を受信した電磁弁25、30はそれぞれ閉作動され、第2の分岐配管19bからのエアーの供給が遮断されるとともに、排出口11Aが閉ざされる。
【0035】次いで、前記中袋3の充填口5に縫合されているファスナーを閉じて中袋3から発泡ビーズ4が漏出しないようにする。そして、前記外袋2の封入口6のファスナーを開き、外袋2の内部に、発泡ビーズ4が充填された中袋3を封入し、封入口6のファスナーを閉じる。
【0036】このようにして製造された、本実施形態に係るビーズクッション1によると、製造装置10から中袋3へ発泡ビーズを充填する過程において、排出口11Aと中袋3に設けられた充填口5との間から、発泡ビーズ4が漏出する場合があったとしても、発泡ビーズ4には帯電防止剤が吸着されているため、この発泡ビーズ4の粒子径が小さい場合であっても、外袋2や中袋3や製造装置10に付着することがない。このため、従来のように静電気にて吸着した発泡ビーズを取り除く作業を行う必要がなく、その作業時間を大幅に短縮でき、生産性を飛躍的に向上させることができる。また、使用時において、発泡ビーズ4が外袋2の外部に漏出した場合であっても、簡単に取り除くことができる。
【0037】前記ビーズクッション1には直径約1.0mmの発泡ビーズ4が充填されているため、このビーズクッション1を使用する際には、使用者の身体部位に対して接触する粒子数が多くなり、ビーズ1つあたりにかかる体圧が小さくなるため、身体部位に対して柔らかな感触を付与することができる。さらに、前記外袋2および中袋3を構成する生地は共に伸縮性を備えているため、図4にて示されているように、中央部にかかる使用者の体圧によって、外袋2および中袋3の上側(身体部位が直接接触している側)が縮められ(図中矢印Aにて示す。)、それに伴い下側の生地が伸ばされて(図中矢印Bにて示す。)、ビーズクッション1がその両側部を持ち上げるように変形し、内部に充填される発泡ビーズ4も体圧がかかる中央部から両側部方向(図中矢印Cにて示す。)に流動し、この発泡ビーズ4の流動が、体圧がかかっている部分(図中ではビーズクッション1の中央部)以外の厚みを増大させて身体部位に広くフィットするようにビーズクッション1を変形させる。したがって、前記ビーズクッション1は、使用者の広い範囲の身体部位に対してフィットさせることができ、その身体部位に対してやわらかい感触を付与することができる。また、袋体内部で発生する発泡ビーズ4はその形状が略球形であるため、ビーズクッション1内の流動がスムーズに行われ、損傷しにくいという特徴もある。
【0038】また、前記ビーズクッション1の内部には、直径約1.0mmという非常に細かい発泡ビーズが充填されているため、流動の際に発する音が極僅かである。したがって、このビーズクッション1は、外表面に圧力が加わったとしても耳障りな音がほとんど無視できる程度にしか発生しない。したがって、枕として用いるのに特に適している。
【0039】また、このビーズクッション1には、前述のヒノキエキスが発泡ビーズ4に吸着され袋体2へ充填されているため、ヒノキの香りを発して使用者にリラックス効果を付与することができる。
【0040】この発泡ビーズ4に吸着されるヒノキエキスは、芳香性だけでなく、抗菌性、抗カビ性をも備えた薬液である。加えて、前記ビーズクッション1は、身体部位に接触する外袋2と中袋3との二重構造が採られており、外袋2が汚れた際には、中袋3を取り出して外袋2だけを洗うことができる。したがって、前記ビーズクッション1は、衛生面に対しても優れた特性を有するものである。
【0041】また、一般に、伸縮性を有する生地が縫合された場合、縫合部に応力が集中して破れや綻びなどが発生しやすく、強度的に難があるとされているが、この中袋3は袋状に編成された袋体であり、ファスナーの縫合部以外に、縫合部が存在しないため、伸縮性を有する生地が縫製された袋体に比して、損傷に対する耐性が強い。したがって、前記ビーズクッション1によれば、中袋3の内部に充填される発泡ビーズ4が外部に漏出する可能性が極めて低い。
【0042】本実施形態においては、外袋2に、裁断された生地を縫製してなる袋体を用いたが、外袋2中袋3共に、袋状に編成されたニット地、すなわち、縫合部がない袋体を用いても構わない。また、中袋を省略して外袋のみとし、この外袋に縫合部がない袋体を用いても良い。勿論、裁断された生地を縫製した袋体内に直接発泡ビーズを封入することも可能である。
【0043】図5には、本発明の他の実施形態に係るビーズクッションの断面図が、図6には、本実施形態に係るビーズクッションの製造過程における断面図がそれぞれ示されている。
【0044】本実施形態に係るビーズクッション1'において、袋体35は、伸縮性を備える生地によって袋状に縫製された袋体本体31と、この袋体本体31の一側縁に設けられ、ファスナー32によって開閉自在にされた開口部33と、伸縮性を備える生地によって縫製され、前記開口部33およびファスナー32の内縁部に縫合されて、前記開口部33を閉鎖するようにされた袋状の閉鎖部片34とを備えて構成されている。そして、前記袋体本体31の内部には、帯電防止剤およびヒノキエキスが吸着され、直径約1.0mmに形成された発泡ビーズ4が充填されている。
【0045】前記閉鎖部片34は、発泡ビーズ4の充填完了後においては、袋形状に形成されているが、発泡ビーズ4の充填時においては、図6に示されるように、その底部が開口されて筒状に形成され、この開口された底部が、前記発泡ビーズ4の充填口34'とされている。
【0046】このように構成されるビーズクッション1'を製造するには、先ず、前記閉鎖部片34の充填口34'を袋体35の外部に突出させ、この充填口34'を前記製造装置10の排出口11Aに接続する。その後、前述と同様の工程で、帯電防止剤およびヒノキエキスが吸着された発泡ビーズ4を前記袋体本体31内に充填する。この発泡ビーズ4の充填後、前記閉鎖部片34の充填口34'を縫合により閉鎖して、その閉鎖部片34を袋状にし、この袋状にされた閉鎖部片34を前記袋体本体31の内部に収め、前記ファスナー32を閉じる。
【0047】以上のような過程を経て製造されるビーズクッション1'においては、先の実施形態に係るビーズクッション1と同様に、帯電防止剤およびヒノキエキスが吸着された直径約1.0mmの発泡ビーズが使用されているため、生産性が良く、しかも使用感にすぐれ、内部の発泡ビーズ4が潰れ難く、使用者にリラックス効果を付与することができ、さらには、衛生面においても優れているという効果を奏する。
【0048】加えて、本実施形態に係るビーズクッション1'は、図5に示されるように、開口部33がファスナー32および閉鎖部片34によって二重に閉鎖されているため、ファスナー32を開いた場合であっても、開口部33が閉鎖部片34によって閉鎖されているので、袋体35内部の発泡ビーズ4が袋体35の外部に漏出することがない。そのため、内部に充填された発泡ビーズ4の袋体35外部への漏出をより確実に防止することができる。
【0049】なお、本実施形態においては、伸縮性を示す生地によって縫製される閉鎖部片34を、前記袋体本体31の開口部33の内縁部に縫合し、前記発泡ビーズ4の充填後、閉鎖部片34の充填口34'を縫合して閉鎖するようにされているが、熱溶融樹脂が混入された生地を筒状に縫製して形成される閉鎖部片によって、前記袋体本体31の開口部33を閉鎖することもできる。このような閉鎖部片を用いる場合、閉鎖部片の一端部の開口を、袋体本体31の開口部33の内縁部にファスナー32を介して固着させ、他端部の開口部を前記発泡ビーズ4の充填口とする。そして、発泡ビーズ4を袋体本体31内部に充填した後、その充填口を縫合あるいは熱融着させることによって封鎖し、前記熱融着樹脂が混入された閉鎖部片を袋状に形成する。また、袋体本体31自身も熱溶着樹脂を混合した生地を用いて、外縁部を熱溶着させることによって袋状に形成しても良い。本実施形態のような構成にすると、先の実施形態のように外袋2と中袋3との二重袋にする必要がない。
【0050】また、前記各実施形態においては、帯電防止剤およびヒノキエキスが吸着された発泡ビーズ4が中袋2または袋体本体31の内部に充填されているが、これらに加えて、マイナスイオン発生物資(マイナスイオンを常時発生する物質)を含有する薬液を、発泡ビーズに吸着させるようにしても良い。
【0051】ここで、マイナスイオンとは、マイナスの電荷を有する微粒子または分子であって、一般に、滝の周辺や、森林など、人間が快適に感じる場所では、そのマイナスイオンの単位体積当たりの個数が多いということが知られている。そして、このマイナスイオン発生物質を含有する薬液を発泡ビーズ4に吸着させることで、ビーズクッション1、1'から、マイナスイオンを直接発生させることができ、それによって、リラックス効果、自律神経の機能を向上させる効果、疲労感を軽減する効果、免疫力を向上する効果、呼吸器の機能を向上する効果、血行を促進する効果等、マイナスイオンが有する心身に対して優れた効果を得ることができる。
【0052】前記マイナスイオン発生物質としては、トリマリン(電気石)、酸化チタン、希土鉱石、炭等が公知であり、また、マイナスイオン発生物質を含有する薬品としても様々なものが知られているが、本実施形態においては、洛東化成工業株式会社から入手可能なセラパール(商品名)を用いることにした。
【0053】前記セパラールを、発泡ビーズに吸着させるには、まず、セパラールを含有する薬液を調製し、その薬液を噴霧ノズル23から前記帯電防止剤およびヒノキエキスとともに、発泡ビーズホッパー11内に噴霧すれば良い。こうすることで、前記帯電防止剤、ヒノキエキスに加えて、マイナスイオン発生物質が含有された薬液を前記発泡ビーズに吸着させることができる。
【0054】前記各実施形態においては、使用者に対してやわらかな感触を付与するために、直径約1.0mmという粒子径の小さい発泡ビーズ4を使用したが、比較的大径の発泡ビーズが用いられる場合であっても帯電防止剤の作用効果が得られ、生産性が向上されることは言うまでもない。
【0055】また、前記各実施形態においては、使用者に対して、リラックス効果を付与し、清潔感を高めるために、芳香性、抗菌性を兼ね備えるヒノキエキスを発泡ビーズに付着させるようにしたが、ヒノキエキスの代わりにラベンダーの香り等、心身をリラックスできる香りを付与できる芳香剤を用い、加えて適当な抗菌剤を用いてもかまわない。
【0056】また、前記各実施形態におけるビーズクッションは、枕、抱き枕、腕当て、座布団、敷布団、ソファー等多様な用途に用いることが可能である。勿論、どのような用途に用いても、本実施形態と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るビーズクッションの斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るビーズクッションのA−A視断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るビーズクッションの製造装置の概略構成図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るビーズクッションの作動説明図である。
【図5】図5は、本発明他の実施形態に係るビーズクッションの断面図である。
【図6】図6は、他の実施形態に係るビーズクッションの製造過程における断面図である。
【符号の説明】
1、1' ビーズクッション
2 外袋
3 中袋
4 発泡ビーズ
5 充填口
6 封入口
31 袋体本体
32 ファスナー
33 開口部
34 閉鎖部片
34' 充填口
35 袋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 袋体内に、帯電防止剤を吸着した発泡ビーズが充填されてなることを特徴とするビーズクッション。
【請求項2】 前記袋体は、ファスナー付きの開口部を有する袋体本体と、この袋体本体の開口部に取り付けられてその開口部を閉鎖する袋状の閉鎖部片とを有し、ファスナーを開けた状態において前記袋体本体の開口部が前記閉鎖部片により閉鎖されるように構成される請求項1に記載のビーズクッション。
【請求項3】 前記袋体は、袋状に編成されるニット地の開口部にファスナーを取り付けて構成される請求項1に記載のビーズクッション。
【請求項4】 前記袋体は伸縮性を備える生地で形成される請求項1乃至3のいずれかに記載のビーズクッション。
【請求項5】 前記発泡ビーズに芳香効果を有する薬液が吸着される請求項1乃至4のいずれかに記載のビーズクッション。
【請求項6】 前記発泡ビーズに抗菌効果を有する薬液が吸着される請求項1乃至5のいずれかに記載のビーズクッション。
【請求項7】 前記発泡ビーズには、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生物質が含有されてなる薬液が吸着される請求項1乃至6に記載のビーズクッション。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−245167(P2003−245167A)
【公開日】平成15年9月2日(2003.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−211483(P2002−211483)
【出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願人】(301076876)
【Fターム(参考)】