説明

ビーズ絵模様製作台

【課題】 ビーズで絵模様を作成する際のビーズ保持トレイを載置するための台であって、ビーズの絵模様の乾燥時間を短くすると共にビーズの飛び散りを防ぐことのできるビーズ絵模様製作台を提供する。
【解決手段】 複数のビーズを相互に接触させて配置可能なビーズ保持トレイを略水平に載置可能なトレイ載置台10、及び該トレイ載置台10の近傍に配置されるトレイ立掛部30を備えるビーズ絵模様製作台1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に接触するビーズを液体により溶解接着させて絵模様を作成するビーズ玩具で使用するビーズ絵模様製作台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりビーズを用いて絵模様を作成するビーズ玩具があり、例えば、ビーズを熱融解して互いを融着することにより模様を作るビーズ玩具や、接着面にビーズを接着させて模様を作るビーズ玩具等がある。
【0003】
また、本願出願人は、液体に接触することにより表面が溶解し乾燥により接着力が活性化する真球形状の樹脂ビーズをビーズ保持トレイに配置して、当該ビーズの表面を湿潤状態とすることにより、隣り合うビーズ同士を接着させてビーズの絵模様を作成するビーズ玩具セットを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3131292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体によりビーズを相互に接着させるビーズ玩具では、ビーズの表面を湿潤状態とするために霧吹き等で水を塗布するが、水を多く塗布してしまった場合、乾燥までに時間がかかるという問題点があった。また、余分な水に溶け込んだ樹脂ビーズの接着成分が乾燥により固まり、滓となってビーズ絵模様に付着することがあった。
【0005】
更に、真球形状のビーズは、作成中に机などの板面に落下すると四方八方に飛び散ってしまい、ビーズの回収に手間がかかったり、ビーズを紛失してしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、相互に接触するビーズの接着を液体により行うビーズ玩具において、絵模様を作成する際に使用するビーズ保持トレイを載置するための台であって、ビーズ絵模様の乾燥時間を短くすることのできるビーズ絵模様製作台を提供することを目的としている。また、ビーズの飛び散りや転がりによる散逸を防ぐことのできるビーズ絵模様製作台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のビーズ絵模様製作台は、複数のビーズを相互に接触させて配置可能なビーズ保持トレイを略水平に載置可能なトレイ載置台、及び該トレイ載置台の近傍に配置されるトレイ立掛部を備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明において、前記トレイ立掛部は直線状の凹部とされ、底部の一部が曲率を有して一方の壁部に連続した形状の断面とされていることが好ましく、該トレイ立掛部はトレイ載置台の横幅よりも長い直線状とされていることがより好ましい。
【0009】
また、前記トレイ立掛部とトレイ載置台との間を含むトレイ載置台の周囲には、トレイ載置台の上面からの高低差を順次大きくするように底部を傾斜させた凹陥路が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のビーズ絵模様製作台によれば、ビーズを配置するビーズ保持トレイを載置するトレイ載置台及び該ビーズ保持トレイを立て掛けるためのトレイ立掛部を備えているため、トレイ載置台でビーズの絵模様を作成し湿潤状態とした後、ビーズ絵模様を載せたビーズ保持トレイを当該トレイ立掛部に立て掛けることによって、余分な水分を取り除きビーズ絵模様の乾燥時間を短くすることができる。
【0011】
そして、トレイ載置台の周囲に一方向に下方傾斜した凹陥路を形成しているため、ビーズ保持トレイ上からビーズがこぼれ落ちた場合であっても凹陥路の傾斜によりビーズを一箇所に集めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るビーズ絵模様製作台は、複数のビーズを相互に接触させて配置可能なビーズ保持トレイを略水平に載置可能なトレイ載置台、及び該トレイ載置台の近傍に配置されるトレイ立掛部を備え、該トレイ立掛部を直線状の凹部として、底部の一部を曲率を有して一方の壁部に連続した形状の断面としている。また、当該トレイ立掛部とトレイ載置台との間を含むトレイ載置台の周囲には、トレイ載置台の上面からの高低差を順次大きくするように底部を傾斜させた凹陥路を形成している。
【実施例】
【0013】
以下、本発明のビーズ絵模様製作台の一実施形態について図面を参照して詳細に説明するが、本発明は、本実施形態に何ら限定されるものではない。尚、本発明において、「上」「下」「前」「後」「左」「右」は、本発明のビーズ絵模様製作台を正面から見たときの方向に従うこととする。
【0014】
図1は本発明に係るビーズ絵模様製作台の斜視図である。図2は本発明に係るビーズ絵模様製作台の平面図であり、図3は図2のA−A断面図である。図4乃至図6は本発明に係るビーズ絵模様製作台の使用形態を示す図である。
【0015】
本発明のビーズ絵模様製作台は、液体に接触することにより表面が溶解し乾燥により接着力が活性化する真球形状のビーズを、上面に複数の窪みが形成されたビーズ保持トレイにイラストシートの図柄に従って配置することにより、ビーズの絵模様を作成するビーズ玩具に使用するためのものである。
【0016】
ビーズ保持トレイは所望肉厚の薄板で、上面には前記ビーズを保持するための窪みが全面に規則的に形成されている。該ビーズ保持トレイは、作成するビーズ絵模様の大きさや使用するイラストシートの形状に対応して、円形状、方形状、矩形状等の種々の形状のものがある。また、ビーズ保持トレイの上面の窪みは複数のビーズを相互に接触させて配置可能とし、球面の一部で形成される底部と該底部に連なる円筒壁とで形成され、その開口径をビーズの直径よりも小さくしてビーズを該窪みの上端周縁部のみで支持するものである。
【0017】
本発明のビーズ絵模様製作台1はビーズ絵模様を作成する際に前記ビーズ保持トレイを載置するために使用されるものであり、図1乃至図3に示したように、角部を面取りにより曲面とした略矩形状の樹脂製肉厚板である。また、上面は前方へ向けて緩やかに下方傾斜し、前端部分を最も薄肉に形成している。
【0018】
ビーズ絵模様製作台1の略中央には略矩形状のトレイ載置台10が設けられており、このトレイ載置台10は、ビーズ絵模様製作台1を机上等に載置したときに上面が略水平となるように形成されており、従って、ビーズ保持トレイを略水平に載置可能としている。また、該トレイ載置台10は、ビーズ保持トレイが載置可能な大きさとされ、本実施形態においては、方形状のビーズ保持トレイを2枚連結して並置可能な大きさとされている。
【0019】
トレイ載置台10の上面前縁部には上方に向けて突起片11が形成されており、その高さはビーズ保持トレイの厚みと略等しい高さとされる。該突起片11はトレイ載置台10に載置されるビーズ保持トレイが台上から落下するのを防ぐと共にイラストシートやビーズ保持トレイの位置決めに利用される。
【0020】
トレイ載置台10の上面には前縁辺及び後縁辺近傍に複数個の係止突起13が設けられている。これはイラストシートやビーズ保持トレイを係止固定するためのもので、イラストシートに該係止突起に外嵌する貫通孔を、ビーズ保持トレイには嵌合穴部をそれぞれ形成しておくと、イラストシート及びビーズ保持トレイを安定してトレイ載置台10に固定することができる。
【0021】
また、トレイ載置台10の上面には略円形の凹部12を形成している。これは、直線部分を有しない円形状のビーズ保持トレイを載置するためであり、凹部12にイラストシートを載置し、その上に円形状のベース保持トレイを載置できるように構成されている。また、凹部12の上面には、トレイ載置台10の前方側であって凹部12の周縁部付近に係止凸部14を設けており、該係止凸部14にイラストシート及びビーズ保持トレイを固定して使用することができるようにしている。
【0022】
そして、トレイ載置台10の後方側近傍には、トレイ立掛部30を備えている。トレイ立掛部30は、ビーズ絵模様の作成において、ビーズ保持トレイ上の湿潤状態のビーズ絵模様を乾燥させるために当該ビーズ保持トレイを立て掛けておくためのものである。
【0023】
前記トレイ立掛部30は直線状の凹部とされ、トレイ載置台10の左右の横幅よりも長い直線溝状として形成されている。これは、トレイ載置台10の横幅よりも長くすることで該トレイ載置台10に載置されるビーズ保持トレイの大きさに対応できるようにしているものであり、トレイ立掛部30がトレイ載置台10の横幅よりも短い場合、ビーズ保持トレイがトレイ載置台10と略同じ大きさであればビーズ保持トレイの向きを変えて立て掛けなければならないが、トレイ載置台10の横幅よりも長く構成しているため、ビーズ絵模様を作成した状態で立て掛けることができると共に、ビーズ保持トレイを移動時に左右に位置がずれても何ら問題なくトレイ立掛部30に立て掛けることができる。
【0024】
また、トレイ立掛部30は、垂直となる前壁部32と後壁部33及び曲部を形成して該後壁部33と連なる底部31を有し、後壁部33はその下端から底部31の曲部を介して該後壁部33の下端よりも下方に位置させた前壁部32の下端に連続させて形成されている。
【0025】
ここで、前記トレイ立掛部30は、ビーズ保持トレイの立て掛け角度が30°〜60°程度になるように、前後方向の幅と深さを定めている。これは、ビーズ保持トレイをビーズ絵模様を載せたまま立て掛けるため、絵模様が落下しないようにするためであり、立て掛け角度が60°より急になるとビーズ絵模様が落下しやすくなり、また、30°よりも緩やかになると余分な水分を取り除くことができず乾燥時間を短縮する効果が得られなくなったり、ビーズ保持トレイがバランスを崩して倒れたりするため、好ましくない。このように、ビーズ保持トレイを斜めにした状態で立て掛けることにより、その傾斜によって余分な水分が下方に流れ、ビーズ絵模様の乾燥時間を短くすることができる。
【0026】
また、トレイ立掛部30の底部31の後方側を、曲率を有して後壁部33に連続するように形成しているため、ビーズ保持トレイは常に正面を向いた状態で立て掛けられる。また、誤って後方側からビーズ保持トレイに接触した場合は、ビーズ保持トレイの底辺部分がトレイ立掛部30の底部31の湾曲に沿って滑らかに移動し、ビーズ保持トレイが前方に倒れることにより、ビーズ保持トレイの破壊を防ぐことができる。
【0027】
そして、本実施形態のビーズ絵模様製作台1には前記トレイ載置台10の周囲に凹陥路20が形成されている。この凹陥路20は、トレイ載置台10の上面からの高低差を順次大きくするように底部を一方向に傾斜させており、本実施形態においては前方中央部分が一番低くなるようにして集球部21を備えて形成されている。また、トレイ載置台10の左右に形成される凹陥路20の傾斜は、前述した製作台の上面の傾斜と略等しい角度で傾斜している。従って、凹陥路20に落ちたビーズは、該凹陥路20の傾斜を転がり集球部21に集まることとなる。この集球部21は、凹陥路20の路幅よりも幅広に形成されており、当該集球部21に集まったビーズを回収しやすくなっている。
【0028】
上記構成のビーズ絵模様製作台1を使用することで、ビーズ絵模様を作成しやすくできると共に、作成後に湿潤状態としたビーズ絵模様をのせたビーズ保持トレイを斜め状態に立て掛けられるのでビーズ絵模様の乾燥を速めることが可能となる。
【0029】
また、ビーズ絵模様を作成中にビーズがビーズ保持トレイの上からこぼれ落ちても、凹陥路20によってビーズが集球部21に集まるので、回収が極めて容易となるものである。
【0030】
次に、本発明のビーズ絵模様製作台1を使用してビーズの絵模様を作成する工程を説明する。
【0031】
図4に示したように、ビーズ絵模様製作台1のトレイ載置台10に、ビーズ3の配置の参考となる丸柄で絵模様が描かれたイラストシート(図示しない)を配置し、その上にビーズ保持トレイ2を重ねる。ここで、イラストシート及びビーズ保持トレイ2をトレイ載置台10の突起片11にそれぞれの所定辺が接触するようにして載置すると、容易にイラストシートとビーズ保持トレイ2とを所定の位置関係とすることができる。
【0032】
次に、イラストシートの丸柄の色及び配置に合わせて、ビーズ3をビーズ保持トレイ2の窪みに配置していく。このとき、ビーズ3は相互に接触して配置される。
【0033】
その後、ビーズ3の上から霧吹きや刷毛等で水を塗布し、ビーズ3の表面を湿潤状態とすると、各ビーズ3の表面から接着成分が溶け出し相互に接着可能となる。そして、ビーズ絵模様をビーズ保持トレイ2上に載置した状態で、図5に示したように、ビーズ保持トレイ2をトレイ立掛部30に立て掛ける。すると余分な水分が下方に流れ、その後、残りの水分が蒸発してビーズ3の表面が乾燥するまで放置することにより、ビーズ3相互を接着固定させてビーズ絵模様を完成させる。
【0034】
以上の工程によりビーズ絵模様を作成すると、ビーズ絵模様を湿潤状態とした後は、トレイ立掛部30にビーズ保持トレイ2を斜め状態で立て掛けるため、余分な水分が下方に流れ落ち、乾燥時間を短くすることができる。また、余分な水分に溶け出した接着成分も除去できるため、外観も美しいビーズ絵模様を作成することができる。
【0035】
また、本発明のビーズ絵模様製作台1には、ビーズを挟持する挟持具等の付属品を収納する付属品収納部40を任意で設けることができる。例えば、ビーズ3を挟持解放するためのビーズ挟持具を備える場合、図1乃至図3に示したように、ビーズ絵模様製作台1の空スペースに該ビーズ挟持具よりも一回り程度大きい凹部を形成する。また、所望に応じてこれら付属品を保持する保持部41を備えても良い。このように付属品収納部40をビーズ絵模様製作台1に備えることで、付属品の紛失等のおそれがなくなる。
【0036】
また、図6に示したように、ビーズ3や、イラストシート、ビーズ保持トレイ2等を収納した収納ケース4をビーズ絵模様製作台1の底部に取り付けることができるように構成してもよい。このように構成することで、ビーズ玩具セットとして持ち運んで使用することができる。
【0037】
本発明において、トレイ立掛部30を浅溝状とし、トレイ立掛部30近傍のビーズ絵模様製作台1の上面に該トレイ立掛部30に沿うように立掛片を突設しておいても良い。このように構成することで、トレイ立掛部30の底部31と立掛片とでビーズ保持トレイを斜め状態に立て掛けることができる。
【0038】
本実施形態では、突起片11をトレイ載置台10の上面前縁部に形成しているが、該突起片11はトレイ載置台10のいずれの辺の縁部に形成しても良く、また、小突起片として複数個配置しても良い。
【0039】
また、本実施形態において、突起片11と係止突起13をトレイ載置台10に設けることとしたが、イラストシート及びビーズ保持トレイを安定してトレイ載置台10上に固定できれば、どちらか一方のみを形成することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るビーズ絵模様製作台の斜視図である。
【図2】本発明に係るビーズ絵模様製作台の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明に係るビーズ絵模様製作台の使用形態を示す図である。
【図5】本発明に係るビーズ絵模様製作台の使用形態を示す図である。
【図6】本発明に係るビーズ絵模様製作台の使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ビーズ絵模様製作台
2 ビーズ保持トレイ
3 ビーズ
4 収納ケース
10 トレイ載置台
11 突起片
12 凹部
13 係止突起
14 係止凸部
20 凹陥路
21 集球部
30 トレイ立掛部
31 底部
32 前壁部
33 後壁部
40 付属品収納部
41 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビーズを相互に接触させて配置可能なビーズ保持トレイを略水平に載置可能なトレイ載置台、及び該トレイ載置台の近傍に配置されるトレイ立掛部を備えることを特徴とするビーズ絵模様製作台。
【請求項2】
前記トレイ立掛部は直線状の凹部とされ、底部の一部が曲率を有して一方の壁部に連続した形状の断面とされていることを特徴とする請求項1に記載のビーズ絵模様製作台。
【請求項3】
前記トレイ立掛部は、トレイ載置台の横幅よりも長い直線状とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビーズ絵模様製作台。
【請求項4】
前記トレイ立掛部とトレイ載置台との間を含むトレイ載置台の周囲には、トレイ載置台の上面からの高低差を順次大きくするように底部を傾斜させた凹陥路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のビーズ絵模様製作台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−5780(P2009−5780A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168245(P2007−168245)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000128234)株式会社エポック社 (21)
【Fターム(参考)】