説明

ビーチクリーナ用トレーラ

【課題】車両で牽引するビーチクリーナでゴミを回収できない領域であっても、容易にゴミを回収することができるビーチクリーナ用トレーラを提供する。
【解決手段】上面が開口する箱形状を有し、この箱形状の左右の側壁部202に走行用の車輪15を備え、車両1に牽引されて砂地からゴミを収集するビーチクリーナ20、50とビーチクリーナ20、50で収集したゴミを回収するゴミ回収ステーション40とを積み込んで一括輸送するためのビーチクリーナ用トレーラ13であって、箱形状の左右の側壁部202の上辺16b、16cに開口を挟んで対向する一対のレール部204が設けられ、このレール部上204にレール部204に沿って移動可能なふるい体205を着脱可能に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂地のゴミを収集するビーチクリーナとこのビーチクリーナで収集したゴミを回収する回収ステーションとを積み込んで一括輸送するためのビーチクリーナ用トレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海水浴場等の砂地に散在する様々なゴミを回収するためのビーチクリーナが知られている。このビーチクリーナは、車両に牽引されて砂地上を走行しながら砂とゴミとを一緒に掻き集めるとともに、砂とゴミとを分離して、ゴミだけを収集するものである。また、ビーチクリーナで収集したゴミは、車両に牽引されたままビーチクリーナごと回収ステーションへと運ばれて、この回収ステーションでゴミをトレーラに移す作業が行われる。このトレーラは、上述した車両で牽引可能に構成されており、その収納部にビーチクリーナ及び回収ステーションを積み込んで砂浜へ一括輸送できるようになっている。また、トレーラは、回収ステーションの一部として利用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来において、上述したトレーラを利用してゴミを分離、回収するものはなかった。
【特許文献1】特開2007−303087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のビーチクリーナ及び回収ステーションは、車両が走行可能な砂地にあっては、ゴミを回収するのに利便性を有する。しかしながら、砂地の一部に岩場がある等、車両で走行できない領域ではゴミを回収することができない。そのため、このような領域では、人が手でゴミを仕分けて回収する必要があった。
【0004】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、車両で牽引するビーチクリーナでゴミを回収できない領域であっても、容易にゴミを回収することができるビーチクリーナ用トレーラを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述課題を解決するため、本発明は、上面が開口する箱形状を有し、この箱形状の側壁部に走行用の車輪を備え、車両に牽引されて砂地からゴミを収集するビーチクリーナと前記ビーチクリーナで収集したゴミを回収するゴミ回収ステーションとを積み込んで一括輸送するためのビーチクリーナ用トレーラであって、前記箱形状の側壁部の上辺に前記開口を挟んで対向する一対のレール部が設けられ、このレール部上に当該レール部に沿って移動可能なふるい体が着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
この構成によれば、例えば、ふるい体の上に砂とゴミとをスコップ等で一緒に載せて、ふるい体をレール部上で往復移動させてふるうことができる。
【0006】
また、前記ふるい体に前記車輪の回転動力を伝達し、この回転動力に基づいて前記ふるい体をレール部に沿って往復動作させる駆動機構を備えるようにしてもよい。
この構成によれば、トレーラを走行させて車輪を回転させることにより、ふるい体を往復動作させることができる。
【0007】
さらに、前記駆動機構は、前記車輪の車軸上に配設された駆動輪又はこの駆動輪に対応して回転する被駆動輪と前記ふるい体とがコネクティングロッドによって連結されたクランク機構で構成されるようにしてもよい。
この構成によれば、駆動輪又は被駆動輪の回転動力をふるい体の往復動に容易に変換させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るビーチクリーナ用トレーラでは、前記箱形状の側壁部の上辺に前記開口を挟んで対向する一対のレール部が設けられ、このレール部上に当該レール部に沿って移動可能なふるい体が着脱可能に取り付けられているので、ふるい体の上に砂とゴミとをスコップ等で一緒に載せて、ふるい体をレール部上で往復移動させてふるうことにより、容易に砂とゴミとを分離して、ゴミのみを回収することができる。これにより、ビーチクリーナでゴミを回収できない領域であっても、人が手でゴミを仕分けて回収せずとも、機械的にゴミを分離、回収することができる。
【0009】
また、前記ふるい体に前記車輪の回転動力を伝達し、この回転動力に基づいて前記ふるい体をレール部に沿って往復動作させる駆動機構を備えているので、トレーラを走行させて車輪を回転させることにより、ふるい体をレール部に沿って往復動作させることができる。そのため、ふるい体をふるう作業を機械的に行うことができ、人が手でゴミを仕分けて回収する必要がなくなる。
【0010】
さらに、前記駆動機構は、前記車輪の車軸上に配設された駆動輪又はこの駆動輪に対応して回転する被駆動輪と前記ふるい体とがコネクティングロッドによって連結されたクランク機構で構成されているので、駆動輪又は被駆動輪の回転動力をふるい体の往復動に容易に変換させることができ、簡便な構造でふるい体をふるうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るビーチクリーナ等をトレーラに積載して運搬する際の側面図である。
【0012】
図1に示す車両1は、小型軽量に構成された車体の前後に、比較的大径の低圧バルーンタイヤである左右の前輪2及び後輪3を備え、最低地上高を大きく確保して主に不整地での走破性を高めた所謂ATV(All Terrain Vehicle)として構成される。車両1の車体フレーム4は、車幅方向中央部において前後に長いボックス構造を形成し、該車体フレーム4の略中央部には、車両1の原動機としてのエンジン5が搭載される。
【0013】
エンジン5は例えば水冷式単気筒エンジンであり、クランクシャフトの回転動力をギヤ噛み合い式の変速機を介して前後プロペラシャフト6a,6bに出力する。前後プロペラシャフト6a,6bに出力された回転動力は、前後減速装置7a,7bを介して左右前輪2又は後輪3にそれぞれ出力される。
ここで、車両1は前記変速機のギヤ比を電動により変更可能な所謂セミオート車両であり、例えば遠心クラッチを介することで、クラッチ操作を行わずにチェンジボタン等の操作のみで前記ギヤ比を変更可能である。このような車両1は、ベルト式の変速機を備えた車両と比べて、走行負荷が大きい走行や一定速度での走行にも好適である。
【0014】
左右前輪2は、車体フレーム4の前部に独立懸架式のフロントサスペンション8aを介して懸架され、左右後輪3は、車体フレーム4の後部に例えばスイングアーム式のリアサスペンション8bを介して懸架される。リアサスペンション8bのスイングアーム9の後端部には、トレーラ13牽引用のトレーラヒッチ11が設けられる。なお、図中符号12aは車体フレーム4前部に支持されるフロントキャリアを、符号12bは車体フレーム4後部に支持されるリアキャリアをそれぞれ示す。
【0015】
上記車両1は、後述する第一ビーチクリーナ20及び第二ビーチクリーナ50並びにゴミ回収ステーション40及びふるい体205を運搬するトレーラ13を牽引可能である。
トレーラ13は、上面に開口を有する上下に浅い箱型に形成されており、このトレーラ13の車体前後方向のほぼ中央部に左右一対の車輪15を備えている。この箱形の内部には、積載部16が設けられている。また、このトレーラ13の前部には、下側から前方に向けて牽引アーム17が延出しており、この牽引アーム17の前端部には、前記トレーラヒッチ11に対応するヒッチカプラ17aが設けられる。
【0016】
積載部16内には、ゴミ回収ステーション40を構成する各分割体の一部が収容され、かつ積載部16上には、第一及び第二ビーチクリーナ20,50並びに前記各分割体の一部が載せられる。このような積載状態においてトレーラ13が車両1に牽引されることで、各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40を所定の作業場所まで運搬可能である。以下、前記フレームにおける積載部16左右の上縁部を形成する部位はそれぞれ左右側辺部16b,16cである。
【0017】
なお、図1に示す各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40はトレーラ13への積載状態を示し、図2以降に示す各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40は特に記載がなければ砂地上での使用状態を示す。また、図1に示す如くトレーラ13が両車輪15を接地させて積載部16を所定高さで略水平に保った状態を、以下の説明ではトレーラ13の牽引状態ということがある。
また、図中線GLは地面(砂地上面)を、線CL(図2及び図5)は車両1及びこれに牽引される各ビーチクリーナ20,50並びにこれらを通過させるゴミ回収ステーション40(以下、車両等という)の左右中心を示し、矢印FRは前記車両等の走行方向(前後方向)における前方を、矢印UPは前記車両等の上下方向における上方を、矢印LH(図2及び図5)は前記車両等の左右方向における左方をそれぞれ示す。
【0018】
各ビーチクリーナ20,50は、車両1に牽引されて海岸等の砂地(砂浜)を走行しつつ、該砂地に散在する様々なゴミを回収する。各ビーチクリーナ20,50が集めたゴミは、砂地の所定箇所に設置されたゴミ回収ステーション40においてまとめて回収される。各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40は、例えばステンレス等の複数種の鋼材を溶接等の結合手段を用いて適宜組み立ててなる。なお、各ビーチクリーナ20,50をトラクターで牽引するようにしてもよい。
【0019】
図2は、第一ビーチクリーナ20がゴミ回収ステーション40にリフトアップされた状態を示す平面図であり、図3は、図2の左側面図である。
第一ビーチクリーナ20は、図2に示すように、前記走行方向に沿って延びる複数(例えば十五本)の縦部材21を互いに幅方向(左右方向)にほぼ等間隔に並べてスノコ状のフレーム22を形成し、かつ各縦部材21に下方に突出する複数のサンドピン23を着脱可能に取り付けてなる。なお、第一ビーチクリーナ20は左右対称の構成を有している。
【0020】
縦部材21は、例えば円形鋼管(角形鋼管でもよい)を前後方向に沿って配置し、その前後端部を斜め上前方又は後方に屈曲させてなる。
前後横部材24a,24bは、最外側の縦部材21よりもさらに左右外側に延出し、左右各々における前後横部材24a,24bの端部間には、前記縦部材21と同様に湾曲する側部縦部材21aが渡設される。なお、最外側の縦部材21の前端部又は後端部と、前横部材24a又は後横部材24bの左右外側への延出部分との間には、筋交い状の補助部材21bが渡設される。
【0021】
これら各部材からなるフレーム22は上面視で横長の長方形状をなし、その左右幅は車両1(図1参照)の左右幅及び後述するゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41R,41L間の左右幅よりも広くされる。そして、車両1に牽引された第一ビーチクリーナ20が前記左右側部構造体41R,41L間に進入した際には、そのフレーム22の左右両側部が左右側部構造体41R,41Lに乗り上げることで、第一ビーチクリーナ20が所定高さまでリフトアップされる。なお、左右側部構造体41R,41L間の左右幅は車両1の左右幅よりも大きく、該車両1が左右側部構造体41R,41L間を通過可能である。
このような第一ビーチクリーナ20が砂地を走行することで、散在する比較的大型のゴミ(ロープ、網、流木等)が、各々のサンドピン23に引っ掛かるあるいは絡まるようにして掻き集められる。
【0022】
フレーム22の左右外側端から例えば三本目の縦部材21の前方には、第一ビーチクリーナ20を車両1で牽引するための牽引部37が設けられる。牽引部37は左右方向に直交する厚板状のもので、その前端部には連結孔(不図示)が形成される。連結孔には、車両1のトレーラヒッチ11に一端が連結される牽引ロッド38の他端が連結され、該牽引ロッド38を介して第一ビーチクリーナ20が車両1に牽引される。
【0023】
なお、牽引ロッド38は、トレーラヒッチ11に連結される一端側から左右牽引部37に向けて上面視V字状あるいはY字状に延びるもので、その前記一端側にはトレーラヒッチ11に対応する前記ヒッチカプラ17aが設けられる。
【0024】
図3に示すように、ゴミ回収ステーション40において、前述の如く第一ビーチクリーナ20がリフトアップされた際には、各々のサンドピン23が砂地上面から十分に離間すると共に、該各々のサンドピン23が掻き集めたゴミを砂地上に落下させることができ、もって該ゴミをまとめて回収可能となる。
【0025】
ゴミ回収ステーション40は、図2及び図3に示すように、左右側部構造体41R,41L同士を前後一対の連結部材42により一体的に連結してなるもので、例えば各側部構造体41R,41Lの前後中間部の構造を除き前後対象かつ左右対称の構成を有する。
左右側部構造体41R,41Lは、前後方向に沿う例えば円形鋼管からなる接地部材43上に、側面視で緩やかな山形をなす例えば円形鋼管からなる案内部材44を設け、これら各部材43,44の前後端部を互いに一体に結合することで、側面視台形状に形成される。
【0026】
左右接地部材43の前後端部には、上面視で前側又は後側ほど左右外側に位置するように傾斜するフート部材45が着脱可能に取り付けられる。各フート部材45は、各接地部材43と共に砂地上に接地するもので、これにより、ゴミ回収ステーション40がその接地面積を広げた状態で安定して設置される。
【0027】
連結部材42は、例えば左右方向に沿う円形鋼管からなるもので、その端部が接地部材43の前部又は後部の下側に設けられた連結パイプ46に着脱可能に差し込まれた状態で、左右側部構造体41R,41Lを一体的に連結する。すなわち、ゴミ回収ステーション40は比較的大型であることから、複数の分割体(左右側部構造体41R,41L及び前後連結部材42)に分割可能とされ、さらに左右側部構造体41R,41Lが前後に三つの分割体に分割可能とされる。詳細には、左側部構造体41Lは、前分割体41a、左中間分割体41c、及び後分割体41bに分割可能とされ、右側部構造体41Rは、前記前分割体41a、右中間分割体41d、及び前記後分割体41bに分割可能とされる。
【0028】
接地部材43前後の連結パイプ46は、左右方向に沿う比較的短い円形鋼管からなり、その上部外周を接地部材43下側の切り欠きに整合させるようにしてこれに一体に結合される。すなわち、連結パイプ46は接地部材43下面から下方に突出しており、ゴミ回収ステーション40を砂地上に設置した際には砂中に食い込むことでゴミ回収ステーション40の移動を抑制する。
【0029】
係止ピン47は、連結部材42及び連結パイプ46を貫通してさらに下方に突出して砂中に所定量差し込まれる。すなわち、係止ピン47は、ゴミ回収ステーション40の設置状態における所定位置からの移動を抑制する。そして、係止ピン47を取り外して連結パイプ46から連結部材42を抜き取れば、ゴミ回収ステーション40を左右側部構造体41R,41Lと前後連結部材42とに分割可能である。
【0030】
左右側部構造体41R,41Lにおける前分割体41aは、案内部材44の前傾斜部44a、接地部材43における前傾斜部44aの下方に位置する前水平部43a、前傾斜部44a及び前水平部43aの後端部間に渡る略垂直な前支持部材48aを主としてなる。また、後分割体41bは、案内部材44の後傾斜部44b、接地部材43における後傾斜部44bの下方に位置する後水平部43b、後傾斜部44b及び後水平部43bの前端部の間に渡る略垂直な後支持部材48bを主としてなる。なお、この実施例では前後分割体41a,41bは同一形状を有しており、これらを前後逆に配置することも可能である。
【0031】
そして、この実施例における左中間分割体41cは、前記牽引状態のトレーラ13により構成される。具体的には、牽引状態のトレーラ13における積載部16の右側壁部16cは略水平な単一棒状をなし、該右側壁部16cが案内部材44における略水平な上辺部44cを構成する。また、トレーラ13の牽引状態において、積載部16の右上縁部である右側壁部16cの高さは、ゴミ回収ステーション40の砂地上への設置状態(使用状態)における案内部材44の上辺部44cの高さと略同一とされる。なお、トレーラ13は、不図示の支持脚により前記牽引状態で自立可能とされる。
【0032】
右側壁部16cの前端部には、前分割体41aの前傾斜部44aの後端部を着脱可能とされ、右側壁部16cの後端部には、後分割体41bの後傾斜部44bの前端部を着脱可能とされる。右側壁部16cの前後端部と前後傾斜部44a,44bの前後端部とは、所定の抜け止めを施すことで抜き差し不能に連結されると共に、前記抜け止めを解除すれば、右側壁部16cと前後傾斜部44a,44bとを分割可能である。
このように左側部構造体41Lの一部をトレーラ13の右側壁部16cが構成することで、ゴミ回収ステーション40の設置状態において、その直ぐ左方にトレーラ13が隣接することとなる。
【0033】
一方、右中間分割体41dは、案内部材44の略水平な上辺部44cと、接地部材43における上辺部44cの下方に位置する中間水平部43cと、これら上辺部44c及び中間水平部43cの間に渡る略垂直な複数(この実施例では一対)の中間支持部材48cとを主としてなる側面視ハシゴ状のもので、前記上辺部44cの前端部には、前分割体41aの前傾斜部44aの後端部を着脱可能とされ、上辺部44cの後端部には、後分割体41bの後傾斜部44bの前端部を着脱可能とされる。また、前記中間水平部43cの前端部には、前分割体41aの前水平部43aの後端部を着脱可能とされ、中間水平部43cの後端部には、後分割体41bの後水平部43bの前端部を着脱可能とされる。
【0034】
上辺部44cの前後端部と前後傾斜部44a,44bの前後端部とは、所定の抜け止めを施すことで抜き差し可能に連結されると共に、前記抜け止めを解除すれば、上辺部44cと前後傾斜部44a,44bとを分割可能である。同様に、中間水平部43cの前後端部と前後水平部43a,43bの前後端部とは、所定の抜け止めを施すことで抜き差し可能に連結されると共に、前記抜け止めを解除すれば、中間水平部43cと前後水平部43a,43bとを分割可能である。なお、前記中間水平部43cに相当する部材を左側部構造体41Lに設けるようにしてもよい。
【0035】
ところで、トレーラ13の積載部16における略水平な左側辺部16bは、前記右側辺部16cと同様に案内部材44の上辺部44cとして用いることが可能である。そして、左右側辺部16b,16c間の左右幅は、左右側部構造体41R,41L間の左右幅と略同一とされており、積載部16の左右側辺部16b,16cの後端部にそれぞれ後分割体41bの後傾斜部44bの前端部を連結することで、ゴミ回収ステーション40の設置状態における後半部分と同様の構成を再現することが可能である。
【0036】
これにより、積載部16上に積載された第一ビーチクリーナ20(及び第二ビーチクリーナ50)を、左右案内部材44の上辺部44c及び後傾斜部44bに沿って砂地上に降ろすことが可能となり、かつ砂地上の第一ビーチクリーナ20(及び第二ビーチクリーナ50)を、左右案内部材44の後傾斜部44b及び上辺部44cに沿って積載部16上に持ち上げることも可能となる。以下、前述の如く左右側辺部16b,16cに後分割体41bを連結した状態をトレーラ13の積み降ろし作業状態ということがある。
【0037】
図4は、第二ビーチクリーナ50の車両牽引状態を示す側面図であり、図5は、第二ビーチクリーナ50の平面図である。
第二ビーチクリーナ50は、車両走行方向に沿って延びる複数(例えば三本)の縦部材51と、これらと略直交して幅方向(左右方向)に沿って延びる前後横部材52a,52bとを主として枠型のフレーム53を形成し、該フレーム53の前部には後述のキール54及びスクレーパ55を、後部には後述の網体56をそれぞれ備えてなる。なお、第二ビーチクリーナ50も左右対称の構成を有している。
【0038】
縦部材51は、例えば円形鋼管を前後方向に沿って配置し、その前後中間部を側面視で緩やかなクランク状に屈曲させることで、前部に対して後部をやや上方に変位させてなる。また、縦部材51の前部において、その前後中央部が緩やかに屈曲することで、該前部の前半部がやや前上がりに傾斜して設けられる。以下、縦部材51の前部前半部を前部傾斜部57とする。一方、縦部材51の後端部は上方に向けて湾曲して設けられている。
【0039】
この縦部材51が側面視で重なるように左右に複数並置され、その前端を左右方向に沿って延びる例えば角形鋼管からなる前横部材52aに後方から突き当てて結合されると共に、後端を左右方向に沿って延びる例えば円形鋼管からなる後横部材52bに下方から突き当てて結合される。これら各縦部材51及び横部材52a,52bを主とする前記フレーム53は、上面視で略正方形状に形成される。なお、フレーム53の左右幅はゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41R,41L間の左右幅よりも狭くされる。
【0040】
左右中央の縦部材51と左右両側の縦部材51とのそれぞれの間には、これらの前部傾斜部57と側面視で重なるように傾斜したスクレーパフレーム58が左右に複数(例えば三本)並設される。スクレーパフレーム58は縦部材51と同径の円形鋼管(角形鋼管でもよい)からなり、その前端を前横部材52aに後方から突き当てて結合される一方、後端は何れの部材にも結合されない自由端とされる。なお、各スクレーパフレーム58と左右中央の縦部材51とはほぼ等間隔に並ぶのに対し、左右最外側のスクレーパフレーム58と左右両側の縦部材51とは間隔を狭めて配置される。
【0041】
各縦部材51の前部傾斜部57及び各スクレーパフレーム58には、第二ビーチクリーナ50の牽引走行時に砂及び比較的小さなゴミ(飲料容器、紙屑、タバコの吸殻等)を掻き上げる巻き上げ部としてのキール54及びスクレーパ55が取り付けられる。
キール54は、縦部材51の前部傾斜部57の後部及び各スクレーパフレーム58の後部に着脱可能に取り付けられるもので、前部傾斜部57又はスクレーパフレーム58の下部外面に整合するように湾曲した板状部材61と、側面視で上方に開放するコ字状をなしてその両辺部が板状部材61を貫通するコ字状ピン62と、左右方向と略直交する板状をなして板状部材61の下端縁から下方に向けて延出するキール本体63とを有してなる。
【0042】
キール54(キール本体63)の後端部には、複数のスクレーパ支持孔66が形成され、これら各スクレーパ支持孔66にはスクレーパ55が挿通支持される。スクレーパ55は、例えば左右方向に沿う断面円形の棒状のもので、各キール54に跨って上下スクレーパ支持孔66をそれぞれ貫通した状態でこれらに支持される。スクレーパ55は、砂浜やゴミの状況に合わせて選択的に支持することができ、かつ複数本支持することができる。スクレーパ55の両端部には、各キール54からの脱落を防止するべく所定の係止ピンを差し込む等の抜け止めが施される。なお、スクレーパ55の断面形状は円形に限らず、例えば前下がりの上面を有する半円形状等としてもよい。また、スクレーパ55が一本又は三本以上であってもよく、かつ上下ではなく左右又は斜めに並べて配置してもよい。
【0043】
各キール54及びスクレーパ55は砂中に適量沈み込むように設定され、この状態で第二ビーチクリーナ50が走行することで、各キール54が砂及びゴミを掻き分けると共にこれらを各スクレーパ55が掻き上げ、もってフレーム53後部の網体56内に巻き上げられた砂及びゴミが投入される。
【0044】
フレーム53の左右外側端から例えば二本目のスクレーパフレーム58の前方には、第二ビーチクリーナ50を車両1で牽引するための牽引部67が設けられる。牽引部67は左右方向に直交する厚板状のもので、上下に並ぶ複数(例えば四つ)の連結孔67aが形成される。これら各連結孔67aの何れかには、車両1のトレーラヒッチ11に一端が連結される前記牽引ロッド38の他端が連結され、該牽引ロッド38を介して、第二ビーチクリーナ50が車両1に牽引される。
このとき、前記牽引ロッド38の他端を各連結孔67aの何れに連結するかにより、第二ビーチクリーナ50の地上高等に応じた最適な牽引位置を設定可能である。なお、左右牽引部67間の左右間隔は、前記左右牽引部37間の左右間隔とほぼ同一とされる。
【0045】
また、フレーム53における例えば左右最外側のスクレーパフレーム58の前方には、前スキー脚71を支持する前スキー支持パイプ72が設けられる。前スキー支持パイプ72は、前横部材52aを上下に貫通する例えば角形鋼管からなり、前スキー脚71における同じく角形鋼管からなる脚部材73を挿通支持可能とされる。前スキー脚71は、第二ビーチクリーナ50前部の地上高(砂地上面からの高さ)を所定高さに設定すると共に砂地に対する滑走性を高めるもので、前部が前上がりに湾曲する所定幅の前スキー板74上に脚部材73を立設してなる。
【0046】
前スキー支持パイプ72には左右貫通孔72aが形成されると共に、該左右貫通孔72aに対応する左右貫通孔73aが脚部材73に上下に複数(例えば四つ)形成され、該左右貫通孔73aの何れかを前スキー支持パイプ72の左右貫通孔72aに重ねてこれらに所定の係止ピン等を差し込むことで、前スキー脚71に対するフレーム53前部の高さが決定され、もって第二ビーチクリーナ50前部の地上高が所定高さに設定される。すなわち、脚部材73の何れの左右貫通孔73aに前記係止ピン等を差し込むかによって、第二ビーチクリーナ50前部の地上高を調整可能であり、もって各キール54及びスクレーパ55の砂中への沈み込み量を調整可能である。
【0047】
後横部材52bの後部両側には、後脚76が支持されている。後脚76は、後横部材52bの後部両側から後方に延出するエクステンションフレーム75と、エクステンションフレーム75の後端部に設けられた後脚支持パイプ77と、後脚支持パイプ77に挿通する脚部材78と、脚部材78の上部から後方に延びるアーム100a,及び、アーム100aの後端部から車両内側に延出するアーム100bを有するアーム部材100と、車輪中心Cが車軸108で連結される左右の車輪106と、アーム100bに挿通するとともに、車輪中心Cに対して偏心して取り付けられる回転軸104と、を備えて構成されている。この後脚76は、第二ビーチクリーナ50後部の地上高(砂地上面からの高さ)を所定高さに設定すると共にフレーム53の後部を上下に振動させるためのものである。
【0048】
フレーム53前後の左右外側には、その外側端から左右外方に向けて張り出す前後リフトアーム81a,81bがそれぞれ設けられる。各リフトアーム81a,81bは、例えば上面視で横長の方形状をなす枠型のもので、その左右中間部は略水平とされ、かつ左右内側部が斜め下内側に、左右外側部が斜め下外側にそれぞれ屈曲形成される。これら各リフトアーム81a,81bの外側端間の左右幅は、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41R,41L間の左右幅に対して広く(換言すれば、第一ビーチクリーナ20のフレーム22の左右幅と略同一とされ)、第二ビーチクリーナ50が左右側部構造体41R,41L間に進入した際には、各リフトアーム81a,81bが左右側部構造体41R,41Lに乗り上げることで、第二ビーチクリーナ50が所定量リフトアップされる。
【0049】
ゴミ回収ステーション40において第二ビーチクリーナ50が前述の如くリフトアップされた際には、フレーム53後部の網体56が所定高さまで上昇し、該網体56をその左側のヒンジ82を介して回動させることで、網体56内に集められたゴミの回収作業を容易に行うことが可能となる。このとき、ゴミ回収ステーション40の左方にはトレーラ13が隣接しており、該トレーラ13の積載部16内に前記ゴミが直接投入されることとなる。
【0050】
フレーム53左側の後リフトアーム81bには、網体56の左側部を回動自在に支持するヒンジ82の一部を構成する後ヒンジブラケット83が設けられる。後ヒンジブラケット83は、後リフトアーム81b基端側の前後に渡るものである。網体56左側には、後ヒンジブラケット83に対応して後ヒンジパイプ85が配置され、該後ヒンジパイプ85が前後方向に沿うヒンジ軸82aを介して後ヒンジブラケット83に回動自在に軸支される。
【0051】
また、上記後リフトアーム81bのやや前方には、該リフトアーム81bに対して左右幅を抑えた枠型の支持アーム86が設けられ、該支持アーム86には、前記後ヒンジブラケット83と同様の構成を有する前ヒンジブラケット87が支持される。網体56左側には、前ヒンジブラケット87に対応して前ヒンジパイプ89が配置され、該前ヒンジパイプ89が前後方向に沿うヒンジ軸82aを介して前ヒンジブラケット87に回動自在に支持される。なお、各ヒンジパイプ85,89及びヒンジ軸82aは互いに同軸上に設けられる。
【0052】
網体56は、前方及び上方に開放する箱型をなし、例えば鋼管を主とする枠型のフレームに所定サイズの網目を有する金網を取り付けてなる。この網体56が、前後方向ではフレーム53前後中央よりもやや前方となる位置からフレーム53後端部近傍に至るまで、左右方向ではフレーム53と略同一の左右幅を有するように設けられる。
【0053】
網体56は、上面視で横長の長方形状をなす底壁部92と、該底壁部92の後縁から略垂直に立ち上がる後壁部93と、底壁部92の両側縁から上側ほど左右外側に位置するようにやや傾斜して立ち上がる左右側壁部94とを有してなる。後壁部93及び左右側壁部94は、各キール54及びスクレーパ55が巻き上げたゴミを底壁部92上に収集可能とするべく、底壁部92の周囲を前側のみ開放して取り囲む囲い部91を形成する。
【0054】
底壁部92の前部はやや前下がりに傾斜する傾斜部92aとされ、該傾斜部92aよりも後方となる部位は略水平な水平部とされる。この水平部は、左右方向に沿う横部材を境に前水平部92bと後水平部92cとに区画される。
【0055】
網体56の側壁部94は、底壁部92両側縁の上方に側面視で前後に長い長方形状の側壁本体94aを形成すると共に、該側壁本体94a後側の上方には側面視台形状の後部突出部94bを形成してなる。側壁本体94a及び後部突出部94bの後辺部は側面視略垂直をなして直線状に連なり、これら各後辺部を側辺部として網体56の後壁部93が設けられる。側壁部94(後部突出部94b)の上辺部と後壁部93の上辺部とは略同一高さとされる。
【0056】
網体56の左側壁部94の前後には、その側壁本体94aの中段及び下段のフレーム部材に跨るように前後ヒンジプレート95a,95bが設けられる。各ヒンジプレート95a,95bは側面視略正方形状をなす板状のもので、その外縁部分及び対角線部分を切り残すように適宜肉抜きが施されると共に、その前後縁部が左右内側に屈曲して補強フランジを形成する。各ヒンジプレート95a,95bの外側面には、前後ヒンジパイプ85,89がそれぞれ一体に接合されている。
【0057】
網体56の左側部は、前述の如くフレーム53の左側部に前記ヒンジ82を介して回動自在に連結支持されており、このような網体56の右側を上方に持ち上げるように前記ヒンジ82を介して網体56を回動させ、その底壁部92を略垂直にした起立状態とすれば、網体56内に集めたゴミが左側壁部94上に落下し、該左側壁部94沿いに前記ゴミが網体56外に排出される。
【0058】
このとき、網体56の囲い部91の各部(少なくともヒンジ82と反対側の部位)に持ち手96a,96bを設けることで、網体56を回動させてのゴミの回収作業が容易になる。また、横長の網体56における一短辺側(左側)にヒンジ82を配置したことで、網体56を起立させる際の回動軸(ヒンジ軸82a)から操作部(右側の持ち手96a,96b)までの長さが確保され、網体56の回動操作が容易になる。
【0059】
網体56の左側壁部94(換言すれば囲い部91のヒンジ82側の壁部)は、前記ゴミの排出を良好に行うべく板部材が装着された壁部とされる。網体56の左側壁部94の上縁部は、前記起立状態においてゴミ回収ステーション40の左側部構造体41Lよりも左方に張り出すように設定されており、ゴミ回収ステーション40の左方に隣接するトレーラ13の積載部16に対して、左側壁部94をスロープにして網体56内に収集したゴミが直接投入される。なお、網体56の右側壁部94及び後壁部93は、網体56内に投入されたゴミの脱落を防止するべく、例えば粗めの金網がそれぞれ装着された網部とされる。
【0060】
フレーム53における左右両側の縦部材51上には、網体56左右両側の前後端の位置決めを行う左右前端又は後端ストッパ97a,97bがそれぞれ設けられる。各ストッパ97a,97bは、網体56前端又は後端に当接する略垂直な位置規制面と、その上方に仰向けに傾斜して連なる回動ガイド面とを有し、例えばボルト等を用いて縦部材51に着脱可能に取り付けられる。
【0061】
左右前端ストッパ97aの位置規制面には、使用状態(底壁部92を略水平にしてフレーム53上に当接させた状態)にある網体56の前端両側が当接すると共に、左右後端ストッパ97bの位置規制面には、前記使用状態にある網体56の後端両側が当接し、もって網体56のフレームに対する前後方向での位置決めがなされる。また、網体56を回動させて前記起立状態から使用状態に戻す際には、その前後端両側が各ストッパ97a,97bのガイド面に案内され、フレーム53上の所定位置に網体56がスムースに戻される。なお、各ストッパ97a,97bの縦部材51への取り付け位置を前後に移動可能とし、かつ網体56を前後に移動可能とした構成としてもよい。
【0062】
次に、上記各ビーチクリーナ20,50を用いて砂浜を清掃する際の手順の概略について説明する。
まず、図1に示す如く各ビーチクリーナ20,50及びゴミ回収ステーション40をトレーラ13に積載して所定の清掃作業場所へ運搬する。ここで、各ビーチクリーナ20,50は、それぞれ一体に組み上げられた状態でトレーラ13に積載される一方、ゴミ回収ステーション40は、左右の前後分割体41a,41b、右中間分割体41d、前後連結部材42、及び各フート部材45に分割された状態でトレーラ13に積載される。
【0063】
より詳細には、まず、一組の前後分割体41a,41b(又は一組の前若しくは後分割体)をトレーラ13に載せ(積載部16内に収容し)、その後に各ビーチクリーナ20,50をトレーラ13に載せる。このとき、第一ビーチクリーナ20は、そのフレーム22の前後横部材24a,24bの両側部を積載部16の左右側辺部16b,16c(ゴミ回収ステーション40の案内部材44の上辺部44c)に載せた状態で積載されており、かつ最後列両側のサンドピン23が積載部16の前記ホイルハウス16aの外面に前方から当接することで、第一ビーチクリーナ20の後方への移動が規制される。
【0064】
また、第二ビーチクリーナ50は、そのフレーム53の縦部材51を前記積載状態の第一ビーチクリーナ20の前後横部材24a,24bに載せてやや後下がりに傾斜した状態で積載されており、かつ各キール54が第一ビーチクリーナ20の前横部材24aに前方から当接することで、第二ビーチクリーナ50の後方への移動が規制される。
【0065】
そして、ゴミ回収ステーション40において、他の一組の前後分割体41a,41b(又は一組の前若しくは後分割体)及び右中間分割体41dは、前記積載状態の第二ビーチクリーナ50の各前部傾斜部57及びスクレーパフレーム58の上方に重なるように搭載される。また、各連結部材42は、例えば積載部16の右側に前下がりの状態で搭載され、各フート部材45は、例えば積載部16の後部左側に収容される。
【0066】
なお、ゴミ回収ステーション40の積載状態は上述のものに限らず、前記積載状態の第二ビーチクリーナ50の各前部傾斜部57及びスクレーパフレーム58の上方に右中間分割体41dのみが搭載され、例えば一組の前後分割体41a,41bは第二ビーチクリーナ50の後方において左右方向に沿って並ぶように搭載され、他の一組の前後分割体41a,41bは積載部16内に搭載されてもよい。このとき、各フート部材45は積載部16の後部左右に適宜振り分けて収容される。
【0067】
次いで、前記積載状態の各ビーチクリーナ20,50を地上に降ろす。このとき、トレーラ13の積載部16の左右側辺部16b,16cに後分割体41bを連結することで前記積み降ろし作業状態とし、左右案内部材44に沿って積載状態の各ビーチクリーナ20,50を地上に降ろすことで、これらがそれぞれ一体的に組み上げられた状態にある場合でも、各ビーチクリーナ20,50を比較的容易に地上に降ろすことができ、かつ速やかにゴミ回収作業に移行することができる。
【0068】
次いで、砂浜上の所定位置にてゴミ回収ステーション40の設置作業を行う。これは、まず前記積み降ろし作業状態にあるトレーラ13の積載部16の左側辺部16bから一方の後分割体41bを取り外し、該後分割体41b、右中間分割体41d、及び前分割体41aを連結して右側部構造体41Rを構成する。一方、トレーラ13の積載部16の右側壁部16cに前分割体41aを連結することで左側部構造体41Lを構成する。
【0069】
そして、左右側部構造体41R,41Lを、前後連結部材42を介して連結すると共に、各フート部材45を所定箇所に取り付けることで、ゴミ回収ステーション40が前記設置状態として組み上がる。このとき、比較的大型のゴミ回収ステーション40が複数の分割体等に分割された状態で積載部16上に積載されることで、該ゴミ回収ステーション40のトレーラ13に対する積み降ろし作業を容易にできる。
【0070】
次いで、第一ビーチクリーナ20を車両1により牽引して砂浜上を一定速度で走行させることで、砂浜上の比較的大きなゴミの回収を行う。第一ビーチクリーナ20は、各々のサンドピン23を砂中に食い込ませつつ砂浜上の比較的大きなゴミを回収することから、走行抵抗も比較的大きく、その走行速度は5〜10km/h程の低速に設定される。
【0071】
上述の如く第一ビーチクリーナ20が砂浜上を走行し、そのフレーム22下に所定量のゴミが収集されると、第一ビーチクリーナ20が一旦ゴミ回収ステーション40に戻り、前記集めたゴミの回収作業が行われる。このとき、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41R,41L間を車両1が通過した後に第一ビーチクリーナ20が左右側部構造体41R,41L間に進入すると、そのフレーム22の左右側部が左右側部構造体41R,41Lに乗り上げて第一ビーチクリーナ20が所定量リフトアップされる(図3参照)。そして、第一ビーチクリーナ20が左右側部構造体41R,41Lの案内部材44の上辺部44c上に乗り上がった状態で、車両1及び第一ビーチクリーナ20を停止させ、砂地上に落下させたゴミの回収作業を行った後、再度、車両1及び第一ビーチクリーナ20を走行させて前述のゴミ回収作業を繰り返す。
【0072】
第一ビーチクリーナ20により所定範囲の清掃を行った後には、次に同一範囲に対して第二ビーチクリーナ50を牽引走行させることで、砂浜上の比較的小さなゴミの回収を行う。このように、第一ビーチクリーナ20の後に第二ビーチクリーナ50を用いることで、細かなゴミに対応するキール54、スクレーパ55、及び網体56等の破損が抑えられる。なお、第二ビーチクリーナ50は、その走行時には第一ビーチクリーナ20の作用により砂浜が掘り起こされて柔らかくなっており、かつ各キール54及びスクレーパ55により砂及びゴミを巻き上げる必要があることから、その走行速度は第一ビーチクリーナ20に対してやや速い15〜25km/h程に設定される。
【0073】
第二ビーチクリーナ50が砂浜上を走行することで、比較的小さなゴミが砂と共に各キール54及びスクレーパ55により巻き上げられ、これらがフレーム53後部の網体56内に収集される。このとき、網体56の底壁部92前側から順に金網の網目サイズが細かくなるように設定したことで、収集したゴミが落下し難くかつ金網の目詰まりが抑えられる。
【0074】
上述の如く第二ビーチクリーナ50が砂浜上を走行し、その網体56内に所定量のゴミが収集されると、第二ビーチクリーナ50が一旦ゴミ回収ステーション40に戻り、前記集めたゴミの回収作業が行われる。このとき、ゴミ回収ステーション40の左右側部構造体41R,41L間を車両1が通過した後に第二ビーチクリーナ50が左右側部構造体41R,41L間に進入すると、その前後の左右リフトアーム81a,81bが左右側部構造体41R,41Lに乗り上げて第二ビーチクリーナ50が所定量リフトアップされる。そして、第二ビーチクリーナ50が左右側部構造体41R,41Lの案内部材44の上辺部44c上に乗り上がった状態で、車両1及び第二ビーチクリーナ50を停止させ、網体56を回動させて集めたゴミの回収作業を行った後、再度車両1及び第二ビーチクリーナ50を走行させて前述のゴミ回収作業を繰り返す。
【0075】
ここで、網体56を回動させて集めたゴミの回収作業を行う際には、ゴミ回収ステーション40の左方に隣接するトレーラ13の積載部16に対し、前記ゴミが直接投入されることとなるため、積載部16をゴミ回収容器として利用でき、清掃作業終了後には回収したゴミをトレーラ13で運搬可能であると共に、地上に落下したゴミの回収作業を不要になり、清掃作業工数を削減可能である。
【0076】
図6は、トレーラ13の上側にふるい体205を取り付けた状態を示す側面図、図7は、図6に示す駆動機構の上面図であって、ふるい体205を省略して示す図である。
トレーラ13は、上述の通り浅い箱型形状をなしている。車体フレーム14は上面視方形状をなし、これと上面視でほぼ重なるように積載部16が設けられている。積載部16は、車体前後の側壁部201、左右の側壁部202及び底壁部203によって構成されている。これらの側壁部201、202は、枠状の車体フレーム14に板部材を装着することにより取り付けられている。一方、底壁部203は、車体フレーム14上に載置されており、トレーラ13から着脱自在に構成されている。
また、底壁部203の左右両側には、左右車輪15に対応する位置にホイルハウス16aが上方に膨出形成されている。
【0077】
左右の側壁部202の上辺(左側辺部16b、右側辺部16c)には、車体前後方向に延びるレール部204が車体フレーム14にそれぞれ並設される態様で取り付けられている。このレール部204の上側には、ふるい体205が載置されるようになっている。
このふるい体205は、上面視略矩形状をなしており、外側を構成する外枠部205aと、この外枠部205aに囲まれた網状部材205bとで構成されている。また、ふるい体205の下側の四隅には、上述したレール部204に嵌合し、ふるい体205が前後方向に移動するように案内されるための補助車輪206が設けられている。
【0078】
このレール部204は、例えば、断面丸形状のパイプ部材が車体前後方向に延びる態様で配設されたものであり、このレール部材204に案内される補助車輪206の走行面は、このパイプ部材の上方半円に接するように、車輪の幅方向中央部の径が小さいくびれた形状に形成されたものである。これにより、補助車輪206は、車体幅方向への位置が規制されるとともに、レール部材204上を車体前後方向に移動するようになる。
【0079】
トレーラ13の左右の車輪15は、底壁部203の下面に沿って左右に延びる車軸207によって連結されており、上述した車両1の走行に合わせてトレーラ13が牽引されて従動回転する。この車軸207の左側端部207aとふるい体205の外枠部205aには、図6及び図7に示すように、ふるい体205を前後に移動させるための駆動機構208がそれぞれを連結する態様で設けられている。
【0080】
駆動機構208は、図6に示すように、車軸207に取り付けられた駆動輪210と、トレーラ13に取り付けられた被駆動輪211と、被駆動輪211及びふるい体205とを接続するコネクティングロッド212とを備えている。
【0081】
駆動輪210は、車軸207の左側端部であって、トレーラ13の幅方向の外側に配置されている。この駆動輪210は、車軸207と同心上に取り付けられ、車輪15の回転と同期して回転するようになっている。
被駆動輪211は、トレーラ13の左側壁部202から車体外側に向けて突出する軸213にベアリング等を介して回転可能に取り付けられている。この被駆動輪211及び上述した駆動輪210は、Vベルト214によって巻き掛けられるVプーリであり、被駆動輪211は、駆動輪210とVベルト214の芯が合うように、同一平面に揃えて取り付けられている(図6参照)。これにより、駆動輪210の駆動力は、Vベルト214を介して被駆動輪211へ伝達され、駆動輪210と共に被駆動輪211が回転するようになる。
【0082】
コネクティングロッド212は、その一端212aが、被駆動輪211の回転中心から偏心した位置に回動可能に取り付けられ、他端212bがふるい体205の左後側に位置する補助車輪206の回転軸206aに回動可能に取り付けられている。これにより、被駆動輪211が回転すると、ふるい体205はコネクティングロッド212の長手方向に押され(引かれ)るようになる。このとき、ふるい体205は、コネクティングロッド212の接続端部の回動によってレール部204に沿って車体前後方向に往復移動するようになる。
【0083】
これにより、トレーラ13を牽引することで車輪15を回転させると、ふるい体205は駆動機構208を介して車体前後方向に往復移動するようになる。
なお、ふるい体205を往復移動させてふるい体205をふるうときは、トレーラ13の底壁部203は取り外した状態にしておく。これにより、ふるい体205から落下する砂は、トレーラ13の底部からトレーラ13の外部へ放出され、トレーラ13の内部に砂が溜まることがなくなる。
【0084】
本発明の実施の形態に係るビーチクリーナ用トレーラによれば、上面が開口する箱形状を有し、この箱形状の左右の側壁部202に走行用の車輪15を備え、車両1に牽引されて砂地からゴミを収集するビーチクリーナ20、50とビーチクリーナ20、50で収集したゴミを回収するゴミ回収ステーション40とを積み込んで一括輸送するためのビーチクリーナ用トレーラ13であって、箱形状の左右の側壁部202の上辺(側辺部16b、16c)に開口を挟んで対向する一対のレール部204が設けられ、このレール部上204にレール部204に沿って移動可能なふるい体205を載置する態様で着脱可能に取り付けているので、ふるい体205の上に砂とゴミとをスコップ等で一緒に載せて、ふるい体205をレール部204上で往復移動させてふるうことにより、容易に砂とゴミとを分離して、ゴミのみを回収することができる。これにより、ビーチクリーナ20、50でゴミを回収できない領域であっても、人が手でゴミを仕分けて回収せずとも、機械的にゴミを分離、回収することができる。
また、ふるい体205を着脱可能にしているので、ビーチクリーナ20、50等を運搬する機能と、ゴミ回収ステーション40の一部を構成する機能とを併せ持つビーチクリーナ用トレーラ13として利用することができる。
【0085】
また、ふるい体205に車輪15の回転動力を伝達し、この回転動力に基づいてふるい体205をレール部204に沿って往復動作させる駆動機構208を備えているので、トレーラ13を走行させて車輪15を回転させることにより、ふるい体205をレール部204に沿って往復動作させることができる。そのため、ふるい体205をふるう作業を機械的に行うことができ、人が手でゴミを仕分けて回収する必要がなくなる。
【0086】
さらに、駆動機構208は、車輪15の車軸207と同軸上に配設された駆動輪と前記ふるい体とがコネクティングロッド212によって連結されたクランク機構で構成されているので、車軸207の回転動力をふるい体205の往復動に容易に変換させることができ、簡便な構造でふるい体205をふるうことができる。
【0087】
また、駆動輪210にVベルト214で巻き掛けられる被駆動輪211を設け、この被駆動輪211にコネクティングロッド212の一端部を回動自在に取り付けているので、被駆動輪211の取付位置によってコネクティングロッド212の長さ及びふるい体205の往復移動長さを規制することができ、駆動機構208の設計自由度を向上させることができる。
【0088】
さらにまた、トレーラ13の底壁部203を車体フレーム14に載置しているだけなので、底壁部203を自由に取り外すことができ、ふるい体205で砂とゴミをふるうときに、ふるい体205から下に落下する砂をトレーラ13の下側に落とすことができる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、駆動機構208に被駆動輪211を設けて、駆動輪210とVベルト214で巻き掛けしているが、被駆動輪211を設けないで構成することもできる。例えば、コネクティングロッド212の一端部212aを駆動輪210の車軸207の中心から偏心させた位置に回動自在に取り付けることで、ふるい体205を前後方向に往復移動させるようにすることもできる。これにより、ふるい体205をレール部204上で往復移動させてふるうことにより、容易に砂とゴミとを分離して、ゴミのみを回収することができる。
【0090】
また、駆動輪210と被駆動輪211とをVベルト214を用いて動力伝達させているがこれに限定されない。例えば、チェーンとスプロケットを用いた伝達機構、平歯車を用いた伝達機構、その他、駆動輪210から被駆動輪211に回転動力を伝達できる機構であればかまわない。
【0091】
また、駆動機構208をトレーラ13の左側の位置に設けているが、トレーラ13の右側の位置、または両側に設ける構造であってもかまわない。これにより、ふるい体205をレール部204上で往復移動させてふるうことにより、容易に砂とゴミとを分離して、ゴミのみを回収することができる。
さらに、車輪15の回転駆動力を傘歯歯車等で90度変換させ、ふるい体205を車体幅方向に往復移動させる構造にすることもできる。
【0092】
他方、図8に示すように、トレーラ13に駆動機構208を設けずに、ふるい体205を手動によってふるうようにすることもできる。この場合、レール部204の車体前後方向の両端にはストッパ300が設けられ、このストッパ300によってふるい体205の移動範囲を規制するようにしている。このストッパ300は、図8に示すように、L字形状の支持部材301に弾性体302を被覆したものである。このストッパ300は、弾性体302をふるい体205に向けて配置し、ボルト303によってレール部204に着脱自在にそれぞれ取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態に係るビーチクリーナ用トレーラにビーチクリーナ及びゴミ回収ステーションを積載して運搬する際の側面図である。
【図2】ゴミ回収ステーションを組み立てた状態を示す上面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】第2ビーチクリーナの車両牽引状態(ゴミを収集している状態)の側面図である。
【図5】第2ビーチクリーナの一部上面図である。
【図6】トレーラの上側にふるい体を取り付けた状態を示す側面図である。
【図7】図6に示す駆動機構の上面図であってふるい体を省略して示す図である。
【図8】本発明の変形例であって、トレーラに駆動機構を設けないで構成した場合の側面図である。
【符号の説明】
【0094】
1 ATV(車両)
11 トレーラヒッチ
13 トレーラ
14 車体フレーム
15 車輪
16 積載部
16b 左側辺部
16c 右側辺部
17 牽引アーム
17a ヒッチカプラ
20 第一ビーチクリーナ
37 牽引部
38 牽引ロッド
40 ゴミ回収ステーション
50 第二ビーチクリーナ
67 牽引部
67a 連結孔
201 側壁部
202 側壁部
203 底壁部
204 レール部
205 ふるい体
205a 外枠部
205b 網状部材
206 補助車輪
206a 回転軸
207 車軸
207a 左側端部
208 駆動機構
210 駆動輪
211 被駆動輪
212 コネクティングロッド
213 軸
214 Vベルト
300 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口する箱形状を有し、この箱形状の側壁部に走行用の車輪を備え、車両に牽引されて砂地からゴミを収集するビーチクリーナと前記ビーチクリーナで収集したゴミを回収するゴミ回収ステーションとを積み込んで一括輸送するためのビーチクリーナ用トレーラであって、
前記箱形状の側壁部の上辺に前記開口を挟んで対向する一対のレール部が設けられ、このレール部上に当該レール部に沿って移動可能なふるい体が着脱可能に取り付けられることを特徴とするビーチクリーナ用トレーラ。
【請求項2】
前記ふるい体に前記車輪の回転動力を伝達し、この回転動力に基づいて前記ふるい体をレール部に沿って往復動作させる駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載のビーチクリーナ用トレーラ。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記車輪の車軸上に配設された駆動輪又はこの駆動輪に対応して回転する被駆動輪と、前記ふるい体とがコネクティングロッドによって連結されたクランク機構で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のビーチクリーナ用トレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−77601(P2010−77601A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243936(P2008−243936)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】