説明

ビームフォーミング装置及び方法、これを行う医療画像システム、並びにコンピュータで読取可能な記録媒体

【課題】高解像度の診断画像をより少ない演算量で生成できるビームフォーミング装置及び方法、並びにこれを行う医療画像システムを提供する。
【解決手段】ビームフォーミング装置100は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを保存する保存部110と、保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する加重値算出部120と、保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に算出された加重値を適用し、加重値が適用された信号を合成する合成部130と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームフォーミング方法に係り、より詳しくは、これを行う装置、医療画像システム、並びにコンピュータで読取可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像システムにおいて、固定型ビームフォーミング(Fixed Beamforming)技法又は適応型ビームフォーミング(Adaptive Beamforming)技法が利用できる。固定型ビームフォーミング技法は、入力信号と関係なく、ハミングウィンドウ(Hamming window)又はハニングウィンドウ(Hanning window)を利用する方法であって、データ独立型ビームフォーミング(Data−Independent Beamforming)とも言う。適応型ビームフォーミング技法は、入力信号によるビームフォーミング係数を利用する方法であって、データ依存型ビームフォーミング(Data−Dependent Beamforming)とも言う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、より高解像度の診断画像を、より少ない演算量で生成できるビームフォーミング装置及び方法、並びにこれを行う医療画像システムを提供することである。また、前記方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読取可能な記録媒体を提供することである。また、本発明が解決しようとする課題は、前記のような技術的課題に限定されず、さらに他の技術的課題が、本発明の詳細な説明から明らかになるか、又は、本発明の実施形態を実行することで習得できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するためのビームフォーミング装置は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトル(Basis vector)を保存する保存部と、前記保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する加重値算出部と、前記保存された複数の基底ベクトルを利用して、前記被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成する合成部と、を備える。
【0005】
前記他の課題を解決するための医療画像システムは、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出し、前記被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成するビームフォーミング装置と、前記ビームフォーミング装置から出力された信号を利用して診断画像を生成する診断画像生成部と、を備える。
【0006】
前記さらに他の課題を解決するためのビームフォーミング方法は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出するステップと、前記複数の基底ベクトルを利用して、前記被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成するステップと、を含む。
【0007】
前記さらに他の課題を解決するための前記ビームフォーミング方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読取可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によればエコー信号の次元を低減できるので、リアルタイム高解像度診断画像を獲得するためのビームフォーミングにおいて、処理せねばならない演算量が顕著に減少する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態によるビームフォーミング装置の一例を示す図面である。
【図2】(A)は,本実施形態によるアイゲンベクトル(Eigen vector)の一例を示す図面であり、(B)は、本実施形態による基底ベクトル(Basis vector)の一例を示す図面である。
【図3】図1に示したビームフォーミング装置の他の例を示す図面である。
【図4】本発明の他の実施形態による医療画像システムを示す図面である。
【図5】本実施形態によるビームフォーミングを行う方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
図1は、本実施形態によるビームフォーミング装置100の一例を示した図面である。図1を参照すれば、ビームフォーミング装置100は、保存部110、加重値算出部120及び合成部130で構成される。
【0011】
図1に示したビームフォーミング装置100には、本実施形態に関連する構成要素だけが示されている。従って、当業者ならば、図1に示した構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かるであろう。
【0012】
また、図1に示したビームフォーミング装置100の加重値算出部120及び合成部130は、一つ又は複数のプロセッサに相当する。プロセッサは、複数の論理ゲートのアレイで具現されるか、又は汎用的なマイクロプロセッサと該マイクロプロセッサで実行されるプログラムが保存されたメモリとの組合わせて具現される。また、当業者ならば、他の形態のハードウェアでも具現できることが分かるであろう。
【0013】
ビームフォーミング装置100は、被写体から反射されたエコー信号を利用して受信ビームを形成する装置である。この時、例えば、被写体は人体の腹部、心臓などであり、エコー信号は被写体から反射された超音波信号であるが、これに限定されない。
【0014】
保存部110は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを保存する。この時、ビームフォーミング係数は、チャネル別又はサブアレイ(sub−array)別に適用される加重値(weight)となる。本実施形態によるチャネルは例えば、エコー信号を受信するトランスデューサ(transducer)であり、サブアレイは例えば、複数のトランスデューサを含む副開口(sub−aperture、サブアパーチャ)であるが、これに限定されない。
【0015】
本実施形態における既測定のエコー信号は例えば、所定の被写体から反射されたエコー信号であり、この時、所定の被写体は、ビームフォーミング装置100でビームフォーミングを行うエコー信号に対する被写体と同一であるが、これに限定されない。
【0016】
例えば、保存部110は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数に主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)を行って獲得された複数の基底ベクトルを保存する。
【0017】
さらに詳細に説明すれば、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数は、最小分散法(Minimum variance technique)によって、チャネル別又はサブアレイ別に算出される。この時、最小分散法によって算出されたビームフォーミング係数は、最適加重値(optimal weight)となる。
【0018】
最小分散法によって算出されたビームフォーミング係数を利用して主成分分析を行うことによって、複数のアイゲンベクトル(Eigen vector、固有ベクトル)が獲得され、獲得されたアイゲンベクトルのうち一部が基底ベクトルとして保存部110に保存される。
【0019】
この時、保存部110に保存される基底ベクトルは、主成分分析によって獲得されたアイゲンベクトルのうち、アイゲンバリュー(Eigen value、固有値)が大きい順序による所定数のベクトルとなる。ユーザは、保存部110に保存される基底ベクトルの数を決定し、決定された数だけの基底ベクトルが保存部110に保存される。本実施形態によるビームフォーミング装置100のユーザは例えば、医者、看護婦、医療画像専門家などの医療専門家であるが、これに限定されず、ビームフォーミング装置100の設計者も含まれる。
【0020】
主成分分析によって獲得されるアイゲンベクトル及び基底ベクトルについて、以下、図2(A)及び図2(B)を参照してさらに詳細に説明する。
本実施形態による保存部110は、通常の記録媒体であって、例えば、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)及びメモリカード(Memory Card)を含む記録媒体の何れかである。
【0021】
加重値算出部120は、保存部110に保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する。本実施形態による加重値算出部120によって算出される加重値は、アポダイゼーション(apodization)関数を構成する一つのパラメータとして使われる。また、被写体から反射されたエコー信号は、RF(Radio Frequency)データとなる。
【0022】
本実施形態による加重値算出部120は例えば、保存部110に保存された複数の基底ベクトルを全て利用して加重値を算出するが、これに限定されず、ユーザの決定による所定数の基底ベクトルを利用して加重値を算出する方法もある。
【0023】
また、この時、加重値算出部120で加重値を算出するために利用されるエコー信号は、ビームフォーミングのための時間遅延値が適用されたエコー信号であるが、これに限定されない。本実施形態によるビームフォーミングのための時間遅延値は例えば、焦点(focal_point)とトランスデューサとの距離による誤差を補正する時間遅延値である。
【0024】
以下、被写体から反射されたエコー信号がM個のチャネルから受信される場合を例として説明するが、これに限定されず、被写体から反射されたエコー信号は、M個のサブアレイから受信される方法もある。
【0025】
加重値算出部120は、保存部110に保存された基底ベクトルのうちM個未満の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する。
【0026】
さらに詳細に説明すれば、加重値算出部120は、被写体から反射されたエコー信号を保存部110に保存された複数の基底ベクトルの各々に投影し、投影されたエコー信号を利用して加重値を算出する。これについては、以下、図3の加重値算出部120を参照してさらに詳細に説明する。
【0027】
このように、加重値算出部120で、基底ベクトルに投影されたエコー信号を利用して加重値を算出することによって、エコー信号の次元(dimension)が低減され、加重値を算出する演算量が著しく減少する。
【0028】
合成部130は、保存部110に保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に、加重値算出部120で算出された加重値を適用し、加重値が適用された信号を合成する。この時、合成部130は、ビームフォーミングのための時間遅延値が適用され、且つ、基底ベクトルに投影されたエコー信号に加重値を適用する。
【0029】
本実施形態による合成部130は例えば、保存部110に保存された複数の基底ベクトルを全て利用して加重値を適用するが、これに限定されず、ユーザの決定による所定数の基底ベクトルを利用して加重値を適用する方法もある。
【0030】
これにより、合成部130は、被写体から反射されたエコー信号に、複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルに係わる加重和を適用する。このような場合、基底ベクトルに対する加重和を適用するための加重値は、加重値算出部120で算出された加重値に対応する。
【0031】
また、合成部130は、加重値が適用された信号を合成する。合成部130は、加重値が適用された信号を合成した結果によって形成された受信ビームを出力する。
【0032】
例えば、合成部130は、加重値が適用された信号を合算して一つの受信ビームを形成する。合成部130は、加重値が適用された信号を合算することによって、焦点から反射された超音波信号を推定する。
【0033】
これにより、本実施形態によるビームフォーミング装置100は、演算量を抑制しながら、高解像度診断画像を生成するための受信ビームを形成する。
【0034】
図2(A)及び図2(B)は、本実施形態によるアイゲンベクトル及び基底ベクトルの一例を示した図面である。図2(A)及び図2(B)を参照すれば、アイゲンベクトルを示すグラフ21及び基底ベクトルを示すグラフ22が示されている。
【0035】
以下、説明の便宜上、最小分散法によって算出された64個のチャネルに係わるビームフォーミング係数を利用して主成分分析を行い、40個の基底ベクトルを保存部110に保存する場合を例として説明するが、これに限定されない。
【0036】
アイゲンベクトルを表すグラフ21は、64個のチャネルに係るビームフォーミング係数について主成分分析を行った結果を示す。グラフ21を参照すれば、主成分分析を行った結果によって生成されたアイゲンベクトルが、アイゲンバリューの大きさの順に整列されている。例えば、アイゲンベクトルのインデックスが1である第1アイゲンベクトルのアイゲンバリューが最も大きく、アイゲンベクトルのインデックスが増加するほど、アイゲンバリューが減少する。
【0037】
基底ベクトルを表すグラフ22は、40個の基底ベクトルを示す。グラフ22を参照すれば、アイゲンベクトルのうちアイゲンベクトルのインデックスが40以下である第1乃至第40アイゲンベクトルが示されている。この時、グラフ22に示した第1乃至第40アイゲンベクトルは、保存部110に保存されるべき基底ベクトルに当たる。また、基底ベクトルは、所定の次元を有するように具現され、これにより、グラフ22は、次元インデックスによる基底ベクトルを表す。
【0038】
これにより、保存部110は、40個の基底ベクトルを保存し、加重値算出部120及び合成部130は、ユーザの決定による40個又は40個未満の基底ベクトルを利用して加重値を算出及び適用する。
【0039】
図3は、図1に示したビームフォーミング装置100の他の例を示した図面である。図3を参照すれば、ビームフォーミング装置100は、時間遅延値適用部105、保存部110、投影部115、加重値算出部120、加重値適用部130及び合成部130で構成される。
【0040】
図3に示したビームフォーミング装置100には、本実施形態に関する構成要素だけが示されている。従って、当業者ならば、図3に示した構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれ得ることが分かるであろう。また、図3に示したビームフォーミング装置100の時間遅延値適用部105、投影部115、加重値算出部120及び合成部130は、一つ又は複数のプロセッサに対応する。
【0041】
図3に示したビームフォーミング装置100は、図1に示したビームフォーミング装置100の一実施形態に当たる。これにより、本実施形態によるビームフォーミング装置100は、図3に示したユニットに限定されない。また、図1に関連して記載した内容は、図3に示したビームフォーミング装置100にも適用可能であるので、重複説明は省略する。
【0042】
ビームフォーミング装置100は、被写体から反射されたエコー信号を利用して受信ビームを形成する装置である。例えば、ビームフォーミング装置100は、数式1のような演算を行う。
【数1】

【0043】
数式1で、z[n]は、例えば深さ方向に異なる被写体の第n位置でビームフォーミングされた結果を表す信号である。この時、深さ方向の第n位置は、第n番目の焦点に対応し、ビームフォーミングされた結果によるz[n]は、ビームフォーミングされた結果によって形成された受信ビームに対応する。
【0044】
Mは、ビームフォーミングに関与する受信チャネルの数又はビームフォーミングに関与する受信サブアレイの数となる。以下で、Mは、受信チャネルの数、mは、M個のチャネルのうち第mチャネルを表すが、これに限定されず、Mは、受信サブアレイの数、mは、M個のサブアレイのうち第mサブアレイを表す場合もある。
【0045】
[n]は、第n位置で第mチャネルに適用されるビームフォーミング係数である。この時、ビームフォーミング係数は、アポダイゼーションウィンドウ、又は加重値となり、第mチャネルは、第mトランスデューサとなる。以下、このw[n]を「加重値」という。
【0046】
[n]は、第n位置で反射し、第mチャネルに受信されたエコー信号であり、△[n]は、第n位置から第mチャネルの位置までの距離によって、送信信号又は受信信号が伝達される時に補償される時間遅延値となる。これにより、x[n−△[n]]は、第n位置で反射し、第mチャネルを通じて受信され、時間遅延値が適用されたエコー信号である。
エコー信号の時間軸についてこのように時間遅延値△[n]を考慮することにより、第n位置と第mチャネルの位置との間の距離による時間遅延値に起因する誤差がキャンセルされ、より高解像度の診断画像が得られる。
【0047】
これにより、ビームフォーミング装置100は、複数のチャネルデータに対するエコー信号を利用して、一つのRFスキャンラインを構成する。また、ビームフォーミング装置100は、深さ方向による第n位置の相違を考慮して、被写体から反射されたエコー信号に各チャネル別に時間遅延値を適用し、時間遅延値が適用されたエコー信号に加重値を適用し、加重値が適用されたエコー信号を合成し、合成結果によって所定の位置nで反射する超音波信号を表す受信ビームを推定する。
【0048】
数式1をベクトル形式で表現すれば、数式2のように表現される。
【数2】

【0049】
数式2で、Z[n]は、ビームフォーミングされた結果、W[n]は、加重値、X[n]は、時間遅延値が適用されたエコー信号を表し、上添字Hは、エルミート転置(Hermitian Transpose)、上添字Tは、転置(Transpose)を表す。
【0050】
このように、ビームフォーミング装置100は、被写体から反射されたエコー信号に時間遅延値及び加重値を適用し、受信ビームを形成する。この時、本実施形態によるビームフォーミング装置100は、加重値ベクトル空間の次元を低下することによって、解像度(この時の解像度は、最小分散法によって獲得されるレベルの解像度となる)に影響を殆ど及ぼさず、演算量を著しく減少できる。即ち、ビームフォーミング装置100は、複数の基底ベクトルを利用して加重値を算出するので、加重値ベクトル空間の次元を低減できる。
【0051】
時間遅延値適用部105は、被写体から反射されたエコー信号に時間遅延値を適用する。本実施形態によるビームフォーミングのための時間遅延値は、焦点とトランスデューサとの距離による誤差を補正する時間遅延値となる。
この補正により、焦点とトランスデューサとの距離による時間遅延値に起因する誤差がキャンセルされ、より高解像度の診断画像が得られる。
【0052】
数式1を参照して説明すれば、時間遅延値適用部105は、被写体から反射されたエコー信号x[n]に時間遅延値△[n]を適用して、x[n−△[n]]を出力する。このように、時間遅延値適用部105で時間遅延値が適用されたエコー信号x[n−△[n]]を、被写体の第n位置ごとにベクトル形式で表現すると、数式2のX[n]となる。
【0053】
保存部110は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを保存する。この時、保存部110に保存される複数の基底ベクトルは、基底ベクトルの集合となる。
【0054】
投影部115は、被写体から反射されたエコー信号を保存部110に保存された複数の基底ベクトルのうち、少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影する。この時、被写体から反射されたエコー信号x[n]は、時間遅延値適用部105から出力される時間遅延値が適用されたエコー信号x[n−△[n]]となる。
【0055】
投影部115で投影の対象となる少なくとも一部の基底ベクトルの数は、ユーザによって決定される。保存部110に40個の基底ベクトルが保存されている場合を例として説明すれば、投影部115は、時間遅延値が適用されたエコー信号を、ユーザの決定による40個以下の基底ベクトルの各々に投影する。
【0056】
投影部115でエコー信号を、ユーザの決定による所定数の基底ベクトルに投影することによって、エコー信号の次元が低下される。
投影部115で行われる投影についてさらに詳細に説明すれば、数式2によるビームフォーミング結果は、数式3のように表現される。
【数3】

【0057】
数式3で、Zは、ビームフォーミング結果、Xは、時間遅延値が適用されたエコー信号、Uは、複数の基底ベクトル、αは、基底ベクトルに対する加重値となる。このように、本実施形態によるビームフォーミング装置100における加重値は、Uとαとの積、即ち、基底ベクトルの加重和と定義される。
【0058】
また、数式3は、数式4のように整理される。
【数4】

【0059】
数式4で、X△Uは、時間遅延値が適用され、複数の基底ベクトルに投影されたエコー信号を表す。
さらに詳細に説明すれば、複数の基底ベクトルの集合を表す行列Uは、数式5のように定義される。
【数5】

【0060】
数式5で、Uは、複数の基底ベクトルの集合、Vは、アイゲンベクトル又は基底ベクトル、rは、ユーザによって決定される保存しようとする基底ベクトルの数となる。また、数式5で、基底ベクトルVは、固定型ウィンドウ(Fixed window)として機能する。
【0061】
数式4及び数式5を参照すれば、時間遅延値が適用され、複数の基底ベクトルに投影されたエコー信号X△Uは、複数の基底ベクトルの集合Uに投影される。
【0062】
このように、ビームフォーミング装置100は、時間遅延値が適用され、基底ベクトルに投影されたエコー信号に加重値を積算してビームフォーミングを行う。これについて、副開口の個数が32であるエコー信号を10個の基底ベクトルに投影する場合を例として説明すれば、エコー信号の次数が、32から10に低下するにつれて、加重値を算出するために行われる演算量が著しく減少する。
【0063】
また、投影部115は、ステアリングベクトル(Steering vector)を、保存部110に保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影する。この時、投影部115で投影の対象となる少なくとも一部の基底ベクトルの数は、ユーザによって決定される。これにより、投影部115は、修正されたステアリングベクトルを出力する。これについて、以下の数式6及び数式8を参照して詳細に説明する。
【0064】
このように、ビームフォーミング装置100は、加重値を算出する演算量を減少させるために、時間遅延値が適用されたエコー信号を基底ベクトルに投影し、ステアリングベクトルを基底ベクトルに投影し、投影されたエコー信号及び投影されたステアリングベクトルを利用して加重値を算出する。
【0065】
加重値算出部120は、保存部110に保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する。例えば、加重値算出部120は、投影部115で投影されたエコー信号を利用して加重値を算出する。
【0066】
例えば、加重値算出部120は、数式6のような演算を行って加重値を算出する。
【数6】

【0067】
数式6で、αは、加重値、R△Uは、X△Uの標本共分散行列(Sample Covariance matrix)、eは、修正されたステアリングベクトルとなる。
【0068】
この時、加重値算出部120は、標本共分散行列(R△U)の逆行列である(R△U−1)を算出する際の計算の安定性(Stability)を保証するために、ダイアゴナルローディング(Diagonal Loading)技法又は軸スムージング(Axial smoothing)技法を使用できる。
【0069】
数式6で、R△Uは、数式7によって定義され、eは、数式8によって定義される。
【数7】

【0070】
数式7で、標本共分散行列R△Uは、X△Uと転置したX△Uとの積に係わる期待値と定義される。この時、数式7の標本共分散行列R△Uは、X△Uをサブアレイ単位で処理して平均値を反映することによって、標本共分散行列R△Uを獲得することもできる。
【数8】

【0071】
数式8で修正されたステアリングベクトルeは、ステアリングベクトルeを基底ベクトルの集合Uに投影して獲得される。この時、ステアリングベクトルeは、トランスデューサから被写体に送信される信号の位相を制御するためのものである。これにより、ビームフォーミングに係わる時間遅延値が予め或る方向に対して適用されたと仮定すれば、ステアリングベクトルeは、1で構成される。
【0072】
これにより、加重値算出部120は、投影部115で基底ベクトルに投影されたエコー信号及び基底ベクトルに投影されたステアリングベクトルを利用して加重値を算出するので、演算量が著しく減少する。
【0073】
合成部130は、保存部110に保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に、加重値算出部120で算出された加重値を適用し、加重値が適用された信号を合成する。例えば、合成部130は、投影部115で投影されたエコー信号に、加重値算出部120で算出された加重値を適用する。
【0074】
合成部130での加重値の適用は、数式3及び数式4で表現されたように、時間遅延値が適用され、複数の基底ベクトルに投影されたエコー信号X△Uに、加重値は、αを積算する場合を表すが、これに限定されない。
【0075】
これにより、本実施形態による投影部115でエコー信号を複数の基底ベクトルに投影し、合成部130で投影されたエコー信号に加重値を適用することによって、ビームフォーミング装置100は、被写体から反射されたエコー信号に対してマルチウィンドウィング操作を行う。
【0076】
また、合成部130は、加重値が適用された信号を合成する。合成部130の合成結果によって、数式1及び数式2で表現されたように、ビームフォーミングされた結果によって形成された受信ビームz[n]、即ち、Z[n]が出力される。
【0077】
これにより、本実施形態によるビームフォーミング装置100は、演算量が著しく減少したビームフォーミングを行える。
以下では、被写体から反射されたエコー信号が、M個のチャネルから受信される場合を例として、ビームフォーミング装置100でのビームフォーミングについてさらに詳細に説明するが、これに限定されず、被写体から反射されたエコー信号は、M個のサブアレイから受信される場合も同様である。
【0078】
例えば、被写体から反射されたエコー信号Xは、数式9のように定義される。
【数9】

【0079】
数式9で、Xは、第1チャネルから受信されるエコー信号、Xは、第2チャネルから受信されるエコー信号、Xは、第Mチャネルから受信されるエコー信号となる。
【0080】
時間遅延値適用部105は、被写体から反射されたエコー信号Xに時間遅延値△を適用する。例えば、時間遅延値適用部105で時間遅延値が適用されたエコー信号Xは、数式10のように定義される。
【数10】

【0081】
数式10で、X△1は、時間遅延値△1が適用された第1チャネルから受信されるエコー信号、X△2は、時間遅延値△2が適用された第2チャネルから受信されるエコー信号、X△Mは、時間遅延値△Mが適用された第Mチャネルから受信されるエコー信号となる。
【0082】
保存部110は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを保存する。例えば、保存部110に保存される複数の基底ベクトルは、基底ベクトルの集合となり、基底ベクトルの集合Uは、数式11のように定義される。
【数11】

【0083】
数式11で、Vは、第1基底ベクトル、Vは、第2基底ベクトル、Vは、第r基底ベクトルとなる。この時、rは、ユーザによって決定可能であり、1以上の定数となる。
【0084】
投影部115は、被写体から反射されたエコー信号を保存部110に保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影する。
【0085】
ユーザが保存部110に保存されたr個の基底ベクトルのうち、k個の基底ベクトルを利用してビームフォーミングを行う場合を例として説明する。この時、kは、ユーザによって決定可能であり、1以上の定数となる。また、kは、rより小さいか同じであり、Mより小さい。即ち、本実施形態によって使われる基底ベクトルの数は、チャネルの数より少ない。
【0086】
これにより、投影部115から保存部110に保存された基底ベクトルのうち、k個の基底ベクトルに投影された時間遅延値が適用されたエコー信号X△Uは、数式12のように定義される。
【数12】

【0087】
数式12で、X△U1は、第1基底ベクトルVに投影されたエコー信号、X△U2は、第2基底ベクトルVに投影されたエコー信号、X△Ukは、第k基底ベクトルVに投影されたエコー信号となる。
【0088】
数式10及び数式12を参照すれば、被写体から反射されたエコー信号Xは、M次元を有するが、投影部115によって投影されたエコー信号X△Uは、k次元を有する。数式11及び数式12で説明したように、kは、M未満であるので、投影部115の投影によってエコー信号の次元が低下する。
【0089】
また、投影部115は、ステアリングベクトルを保存部110に保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影する。これにより、投影部115から保存部110に保存された基底ベクトルのうち、k個の基底ベクトルに投影されたステアリングベクトルeは、数式13のように定義される。
【数13】

【0090】
数式13で、em1は、第1基底ベクトルVに投影されたステアリングベクトル、em2は、第2基底ベクトルVに投影されたステアリングベクトル、emkは、第k基底ベクトルVに投影されたステアリングベクトルとなる。
【0091】
加重値算出部120は、投影部115で投影されたエコー信号及び投影部115で投影されたエコー信号ステアリングベクトルを利用して加重値を算出する。例えば、加重値算出部120で算出された加重値は、数式14のように定義される。
【数14】

【0092】
数式14で、αは、第1基底ベクトルVに投影されたエコー信号に適用される加重値、αは、第2基底ベクトルVに投影されたエコー信号に適用される加重値、αは、第k基底ベクトルVに投影されたエコー信号に適用される加重値となる。この時、αは、数式12のX△Uk及び数式13のemkを利用して算出される。
【0093】
合成部130は、時間遅延値が適用され、投影されたエコー信号に算出された加重値αを適用し、加重値αが適用された信号を合成する。例えば、合成部130で時間遅延値が適用され、複数の基底ベクトルに投影されたエコー信号X△Uに加重値αを適用し、加重値αが適用された信号を合算した結果は、数式15のように定義される。
【数15】

【0094】
これにより、合成部130で合算した結果は、ビームフォーミングによって形成された受信ビームとなる。
これにより、本実施形態によるビームフォーミング装置100は、診断画像の解像度を保証しつつも、演算量を低減したビームフォーミングを行える。
【0095】
図4は、本発明の他の実施形態による医療画像システム400を示した図面である。図4を参照すれば、医療画像システム400は、ビームフォーミング装置100、少なくとも一つのトランスデューサ410、診断画像生成部420、表示部430、保存部440及び出力部450で構成される。
【0096】
図4に示したビームフォーミング装置100は、図1及び図3に示したビームフォーミング装置100の一実施形態に当たる。これにより、図1乃至図3について記載した内容は、図4に示した医療画像システム400にも適用可能であるので、重複説明は省略する。
【0097】
本実施形態による医療画像システム400は、被写体に対する診断画像を提供する。例えば、被写体を表す診断画像を表示するか、又は被写体を表す診断画像を表示する外部装置に被写体に対する診断画像を表す信号を出力する。この時、診断画像は例えば、超音波画像となるが、これに限定されない。
【0098】
少なくとも一つのトランスデューサ410は、被写体及び信号を送受信する。本実施形態による少なくとも一つのトランスデューサ410は例えば、1次元アレイトランスデューサ(Array−Transducer)であるが、これに限定されず、2次元アレイトランスデューサ、3次元アレイトランスデューサともなる。
【0099】
少なくとも一つのトランスデューサ410は、被写体に送信信号を送信し、被写体から反射されたエコー信号を受信する。
ビームフォーミング装置100は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出し、被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、加重値が適用された信号を合成する。
【0100】
この時、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルは、ビームフォーミング装置100に保存されるか、又は保存部440に保存される。これにより、ビームフォーミング装置100は、保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部を利用してビームフォーミングする。この時、少なくとも一部の基底ベクトルの数は、ユーザによって決定可能である。
【0101】
このように、ビームフォーミング装置100は、複数の基底ベクトルを利用して加重値を算出し、算出された加重値を適用するので、減少した演算量でビームフォーミングを行える。
【0102】
また、本実施形態による少なくとも一つのトランスデューサ410及びビームフォーミング装置100は、プローブ(Probe)に含まれるが、これに限定されず、ビームフォーミング装置100は、医療画像システム400の本体に含まれ、少なくとも一つのトランスデューサ410だけがプローブに含まれもする。
【0103】
診断画像生成部420は、ビームフォーミング装置100から出力された信号を利用して診断画像を生成する。診断画像生成部420は、DSP(Digital Signal Processor)(図示せず)及びDSC(Digital Scan Converter)(図示せず)を含む。本実施形態によるDSPは、ビームフォーミング装置100から出力された信号に対して所定の信号処理操作を行い、DSCは、所定の信号処理操作が行われた信号を利用して形成された画像データをスキャン変換して、診断画像を生成する。
【0104】
表示部430は、診断画像生成部420で生成された診断画像を表示する。例えば、表示部430は、医療画像システム400に設けられたディスプレイパネル、マウス、LCD(Liquid Crystal Display)画面、モニターなどの出力装置の何れかを含む。
【0105】
但し、本実施形態による医療画像システム400は、表示部430を備えず、診断画像生成部420で生成された診断画像を外部の表示装置(図示せず)に出力するための出力部450を備える場合もあることが当業者であれば理解できるであろう。
【0106】
保存部440は、診断画像生成部420で生成された診断画像及び医療画像システム400の動作中に発生するデータを保存する。本実施形態による保存部440は、通常の記録媒体からなり、保存部440は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)及びメモリカード(Memory Card)を何れかを含むことが当業者であれば理解できるであろう。
【0107】
出力部450は、有無線ネットワーク又は有線直列通信を通じて外部装置とデータを送受信する。この時、ネットワークは、インターネット(Internet)、LAN(Local Area Network)、無線LAN(Wireless LAN)、WAN(Wide Area Network)、PAN(Personal Area Network)を含むが、これに限定されず、情報を送受信する他の種類のネットワークであってもよい。また、外部装置は例えば、遠隔地に位置した他の医療画像システム、汎用コンピュータシステム、ファクシミリの何れかである。
【0108】
また、当業者ならば、本実施形態による保存部440及び出力部450は、画像判読及び検索機能をさらに含み、PACS(Picture Archiving Communication System)のような形態に一体化できることが分かるであろう。
【0109】
これにより、本実施形態によるビームフォーミング装置100で、ビームフォーミングの実行に処理される演算量が多くないので、医療画像システム400は、リアルタイム高解像度診断画像が生成できる。
【0110】
図5は、本実施形態によるビームフォーミング方法を示したフローチャートである。図5を参照すれば、ビームフォーミング方法は、図1、図3及び図4に示したビームフォーミング装置100又は医療画像システム400で時系列的に処理されるステップで構成される。従って、図1、図3及び図4に示したビームフォーミング装置100又は医療画像システム400について説明した内容は以下では省略するけれども、図5のビームフォーミング方法にも適用できることが分かるであろう。
【0111】
501ステップで、加重値算出部120は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する。
【0112】
502ステップで、合成部130は、既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に前記501ステップで算出された加重値を適用し、加重値が適用された信号を合成する。
【0113】
これにより、本実施形態によれば、リアルタイム高解像度診断画像を獲得するためのビームフォーミングを行える。
【0114】
一方、前述した方法は、コンピュータで実行されるプログラムに作成可能であり、コンピュータで読取可能な記録媒体を利用して、前記プログラムを動作させる汎用デジタルコンピュータで具現される。また、前述した方法で使われたデータの構造は、コンピュータで読取可能な記録媒体に複数の手段を通じて記録される。前記コンピュータで読取可能な記録媒体は例えば、マグネチック記録媒体(例えば、ROM(Read Only Memory)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的な判読媒体(例えば、CD−ROM、DVD(Digital Versatile Disk)など)の何れかである。
【0115】
当業者ならば、上述の各種実施形態が前記記載の本質的な特性から離脱しない範囲で変形された形態でも具現できることが分かるであろう。開示した方法は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述した説明にではなく、特許請求の範囲に表現されており、それと同等な範囲内にあるすべての差異は、本発明に含まれていると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、医療関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0117】
21 アイゲンベクトルを示すグラフ
22 基底ベクトルを示すグラフ
100 ビームフォーミング装置
105 時間遅延値適用部
110,440 保存部
115 投影部
120 加重値算出部
130 合成部
400 医療画像システム
410 少なくとも一つのトランスデューサ
420 診断画像生成部
430 表示部
450 出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを保存する保存部と、
前記保存された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出する加重値算出部と、
前記保存された複数の基底ベクトルを利用して、前記被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成する合成部と、を備えることを特徴とするビームフォーミング装置。
【請求項2】
被写体から反射されたエコー信号を前記保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影する投影部をさらに備え、
前記加重値算出部は、前記投影されたエコー信号を利用して加重値を算出し、
前記合成部は、前記投影されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成することを特徴とする請求項1に記載のビームフォーミング装置。
【請求項3】
前記投影部は、ステアリングベクトルを前記保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影し、
前記加重値算出部は、前記投影されたエコー信号及び前記投影されたステアリングベクトルを利用して加重値を算出し、
前記合成部は、前記投影されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成することを特徴とする請求項2に記載のビームフォーミング装置。
【請求項4】
前記少なくとも一部の基底ベクトルの数は、ユーザによって決定可能であることを特徴とする請求項2又は3に記載のビームフォーミング装置。
【請求項5】
前記保存部は、前記既測定のエコー信号のビームフォーミング係数に主成分分析(Principal_Component_Analysis:PCA)を行って獲得された複数の基底ベクトルを保存することを特徴とする請求項1に記載のビームフォーミング装置。
【請求項6】
前記合成部は、前記被写体から反射されたエコー信号に、複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルに対する加重和を適用し、前記加重和が適用された信号を合成することを特徴とする請求項1に記載のビームフォーミング装置。
【請求項7】
既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出し、前記被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成するビームフォーミング装置と、
前記ビームフォーミング装置から出力された信号を利用して診断画像を生成する診断画像生成部と、を備えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項8】
前記医療画像システムは、前記複数の基底ベクトルを保存する保存部をさらに備え、
前記ビームフォーミング装置は、前記保存された複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部を利用してビームフォーミングすることを特徴とする請求項7に記載の医療画像システム。
【請求項9】
前記少なくとも一部の基底ベクトルの数は、ユーザによって決定可能であることを特徴とする請求項8に記載の医療画像システム。
【請求項10】
前記ビームフォーミング装置は、被写体から反射されたエコー信号を、前記複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影し、前記投影されたエコー信号を利用して加重値を算出し、前記投影されたエコー信号に、前記算出された加重値を適用することを特徴とする請求項7に記載の医療画像システム。
【請求項11】
既測定のエコー信号のビームフォーミング係数から獲得された複数の基底ベクトルを利用して、被写体から反射されたエコー信号に適用される加重値を算出するステップと、
前記複数の基底ベクトルを利用して、前記被写体から反射されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成するステップと、を含むことを特徴とするビームフォーミング方法。
【請求項12】
被写体から反射されたエコー信号を、前記複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影するステップをさらに含み、
前記加重値を算出するステップは、前記投影されたエコー信号を利用して加重値を算出し、
前記合成するステップは、前記投影されたエコー信号に前記算出された加重値を適用し、前記加重値が適用された信号を合成することを特徴とする請求項11に記載のビームフォーミング方法。
【請求項13】
ステアリングベクトルを前記複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルの各々に投影するステップをさらに含み、
前記加重値を算出するステップは、前記投影されたエコー信号及び前記投影されたステアリングベクトルを利用して加重値を算出することを特徴とする請求項12に記載のビームフォーミング方法。
【請求項14】
前記少なくとも一部の基底ベクトルの数は、ユーザによって決定可能であることを特徴とする請求項12又は13に記載のビームフォーミング方法。
【請求項15】
前記複数の基底ベクトルは、前記既測定のエコー信号のビームフォーミング係数に主成分分析(PCA)を行って獲得されたことを特徴とする請求項11に記載のビームフォーミング方法。
【請求項16】
前記合成するステップは、前記被写体から反射されたエコー信号に複数の基底ベクトルのうち少なくとも一部の基底ベクトルに対する加重和を適用し、前記加重和が適用された信号を合成することを特徴とする請求項11に記載のビームフォーミング方法。
【請求項17】
請求項11乃至請求項16のうち、何れか1項に記載の方法をコンピュータで実行させるためのコンピュータプログラムを保存することを特徴とするコンピュータで読取可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−106957(P2013−106957A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253498(P2012−253498)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(509183659)翰林大学校 産学協力團 (2)
【Fターム(参考)】