ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる超音波システムおよび方法
【課題】ビームプロファイル(beam profile)に基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる超音波システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】本発明における超音波システムは、複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルを格納するための格納部と、前記少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成するプロセッサと備える。
【解決手段】本発明における超音波システムは、複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルを格納するための格納部と、前記少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成するプロセッサと備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波システムに関し、特に、ビームプロファイル(beam profile)に基づいて超音波映像の画質を改善させる超音波システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、生体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
超音波システムは、超音波プローブを用いて超音波信号を生体に送信する。超音波プローブから送信された超音波信号は、超音波ビーム(beam)として生体に送信される。一方、超音波システムは、超音波プローブを用いて生体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信し、その受信された超音波エコー信号に基づいて生体の超音波映像を形成する。最近、超音波システムは、超音波映像の解像度を向上させるために、複数の超音波映像を空間合成(spatial compound)して超音波空間合成映像を形成する。
【0004】
一般に、超音波ビームは、集束点を基準にして、そこからの隔たりが近距離または遠距離方向に離れるほどビームの拡散(ビーム幅)が大きくなる。これによって、生体内の同一のサイズのポイントターゲット(target point)に対しても、超音波映像における深さによってポイントターゲットのサイズが異なるブラーリング(blurring)が発生して、生体内の対象体の本来の形態とサイズに対応する超音波映像を提供することができないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−237187号公報
【特許文献2】特開2003−190157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ビームプロファイル(beam profile)に基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる超音波システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における超音波システムは、複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルを格納するための格納部と、前記少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成するプロセッサとを備える。
【0008】
また、本発明における超音波空間合成映像画質改善方法は、a)複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する段階と、b)少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する段階と、c)前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成する段階とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、超音波映像に対するビームプロファイルに基づいて、超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正することができるため、生体内の対象体の本来の形態とサイズに対応する超音波空間合成映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における複数のステアリング角度に対応する複数の超音波映像を示す例示図である。
【図4】本発明の実施例におけるビームプロファイルを示す例示図である。
【図5】本発明の第1実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施例におけるブラーリング量を示す例示図である。
【図7】本発明の第1実施例における超音波空間合成映像を示す例示図である。
【図8】本発明の第2実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施例におけるウィンドウを示す例示図である。
【図10】本発明の第2実施例におけるピクセル値の変化を示す例示図である。
【図11】本発明の実施例における逆ブラーリング(inverse blurring)処理による超音波空間合成映像の画質改善を示す例示図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、超音波システム100は、超音波データ取得部110を備える。
【0013】
超音波データ取得部110は、超音波信号を生体に送信し、生体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信して超音波データを取得する。
【0014】
図2は、本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、超音波データ取得部110は、超音波プローブ210を備える。
【0015】
超音波プローブ210は、電気的信号と超音波信号を相互変換する複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)(図示せず)を備える。超音波プローブ210は、複数のスキャンラインのそれぞれに沿って超音波信号を送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して受信信号を形成する。受信信号は、アナログ信号である。超音波プローブ210は、コンベックスプローブ(convex probe)、リニアプローブ(linear probe)などを含む。
【0016】
超音波データ取得部110は、送信部220をさらに備える。送信部220は、超音波信号の送信を制御する。また、送信部220は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を得るための送信信号を形成する。超音波映像は、Bモード(brightness mode)映像を含む。しかし、超音波映像は、必ずしもこれに限定されない。送信部220は、送信信号形成部(図示せず)、送信遅延時間情報メモリ(図示せず)、送信ビームフォーマ(図示せず)などを備える。
【0017】
本実施例において、送信部220は、図3に示すように、スキャンラインSi(1≦i≦N)の第1ステアリング角度に対応する第1超音波映像F1を得るための第1送信信号を形成する。従って、超音波プローブ210は、送信部220から提供される第1送信信号を超音波信号に変換して生体に送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して第1受信信号を形成する。第1ステアリング角度は、0゜である。しかし、第1ステアリング角度は、必ずしもこれに限定されない。
【0018】
また、送信部220は、図3に示すように、スキャンラインSi(1≦i≦N)の第2ステアリング角度θ2に対応する第2超音波映像F2を得るための第2送信信号を形成する。従って、超音波プローブ210は、送信部220から提供される第2送信信号を超音波信号に変換して生体に送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して第2受信信号を形成する。第2ステアリング角度θ2は、第1ステアリング角度に対する角度である。しかし、第2ステアリング角度θ2は、必ずしもこれに限定されない。
【0019】
また、送信部220は、図3に示すように、スキャンラインSi(1≦i≦N)の第3ステアリング角度θ3に対応する第3超音波映像F3を得るための第3送信信号を形成する。従って、超音波プローブ210は、送信部220から提供される第3送信信号を超音波信号に変換して生体に送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して第3受信信号を形成する。第3ステアリング角度θ3は、第1ステアリング角度に対する角度である。しかし、第3ステアリング角度θ3は、必ずしもこれに限定されない。
【0020】
超音波データ取得部110は、受信部230をさらに備える。受信部230は、超音波プローブ210から提供される受信信号をアナログデジタル変換してデジタル信号を形成する。また、受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、デジタル信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。受信部230は、受信信号増幅部(図示せず)、アナログデジタル変換部(図示せず)、受信遅延時間情報メモリ(図示せず)、受信ビームフォーマ(図示せず)などを備える。
【0021】
本実施例において、受信部230は、超音波プローブ210から提供される第1受信信号をアナログデジタル変換して第1デジタル信号を形成する。受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、第1デジタル信号を受信集束させて第1受信集束信号を形成する。また、受信部230は、超音波プローブ210から提供される第2受信信号をアナログデジタル変換して第2デジタル信号を形成する。受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、第2デジタル信号を受信集束させて第2受信集束信号を形成する。また、受信部230は、超音波プローブ210から提供される第3受信信号をアナログデジタル変換して第3デジタル信号を形成する。受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、第3デジタル信号を受信集束させて第3受信集束信号を形成する。
【0022】
超音波データ取得部110は、超音波データ形成部240をさらに備える。超音波データ形成部240は、受信部230から提供される受信集束信号を用いて複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを形成する。超音波データは、RFデータを含む。しかし、超音波データは、必ずしもこれに限定されない。また、超音波データ形成部240は、超音波データを形成するのに必要な様々な信号処理(例えば、利得(gain)調節等)を受信集束信号に行うこともできる。
【0023】
本実施例において、超音波データ形成部240は、受信部230から提供される第1受信集束信号を用いて、第1ステアリング角度の第1超音波映像F1に対応する第1超音波データを形成する。また、超音波データ形成部240は、受信部230から提供される第2受信集束信号を用いて、第2ステアリング角度θ2の第2超音波映像F2に対応する第2超音波データを形成する。また、超音波データ形成部240は、受信部230から提供される第3受信集束信号を用いて、第3ステアリング角度θ3の第3超音波映像F3に対応する第3超音波データを形成する。
【0024】
前述した実施例では、3つのステアリング角度それぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得するものとして説明したが、必ずしもこれに限定されない。
【0025】
再び図1を参照すると、超音波システム100は、格納部120をさらに備える。格納部120は、少なくとも1つの集束点(focusing point)に対応する少なくとも1つのビームプロファイルを格納する。本実施例において、格納部120は、複数の集束点のそれぞれに対して、集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示すビームプロファイルを格納する。一例として、格納部120は、図4に示すように、集束点FPを基準に深さ(depth)による超音波ビームの拡散程度を示すビームプロファイルを格納する。集束点FPを基準にそこからの隔たりが近距離または遠距離方向に大きくなるほど超音波ビームの拡散(ビーム幅)が大きくなり、図4に示すように、生体内の同一のポイントターゲットPTに対しても超音波映像UIでポイントターゲットPTのサイズが異なる副作用(artifact)、即ち超音波映像UIが鮮明でないブラーリング(blurring)が発生する。
【0026】
前述した実施例では、格納部120にビームプロファイルを格納するものとして説明したが、他の実施例では、格納部120にビームプロファイルに対応するブラーリング量を格納することもできる。
【0027】
超音波システム100は、プロセッサ130をさらに備える。プロセッサ130は、超音波データ取得部110および格納部120に連結される。プロセッサ130は、ビームプロファイルに基づいて超音波映像に対して深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、超音波データおよびブラーリング量に基づいて超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って、超音波空間合成映像の画質を改善させる。プロセッサ130は、CPU(central processing unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、GPU(graphic processing unit)などを含む。
【0028】
図5は、本発明の第1実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。図5を参照すると、プロセッサ130は、格納部120に照会して集束点に対応するビームプロファイルを抽出する(S502)。
【0029】
プロセッサ130は、抽出されたビームプロファイルに基づいて超音波映像に対する深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する(S504)。本実施例において、プロセッサ130は、ビームプロファイルに基づいて、図6に示すように、第1〜第3超音波映像F1〜F3に対して集束点FPを基準に深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する。ブラーリング量は、ビームプロファイル(即ち、超音波ビームの拡散程度)と同一の値であってもよい。また、第1〜第3超音波映像F1〜F3は、スキャンラインSi(1≦i≦N)のステアリング角度のみ異なるだけで、ビームプロファイルが同一であるので、第1〜第3超音波映像F1〜F3のそれぞれに対するブラーリング量は同一である。従って、プロセッサ130は、第1〜第3超音波映像F1〜F3に対して1つのブラーリング量を設定することができる。
【0030】
プロセッサ130は、設定されたブラーリング量に基づいて、超音波データ取得部110から提供される超音波データに超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのデータ処理(即ち、フィルタリング処理)を行う(S506)。ブラーリングを補正するためのデータ処理は、ブラインドデコンバージョン(blind deconversion)、インバースフィルタリング(inverse filtering)などを含む。
【0031】
本実施例において、プロセッサ130は、設定されたブラーリング量に基づいて、超音波データ取得部110から提供される第1超音波データ〜第3超音波データのそれぞれに、超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのデータ処理を行う。
【0032】
プロセッサ130は、データ処理された超音波データを用いて、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を形成する(S508)。プロセッサ130は、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する(S508)。超音波空間合成映像は、公知となった多様な方法を用いて形成されることができるので、本実施例では詳細に説明しない。
【0033】
本実施例において、プロセッサ130は、データ処理された第1超音波データ〜第3超音波データを用いて、図7に示すように、第1〜第3超音波映像F1〜F3を形成し、第1〜第3超音波映像F1〜F3を空間合成して超音波空間合成映像SCIを形成する。
【0034】
図8は、本発明の第2実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。図8を参照すると、プロセッサ130は、格納部120に照会して集束点に対応するビームプロファイルを抽出する(S802)。
【0035】
プロセッサ130は、抽出されたビームプロファイルに基づいて超音波映像に対する深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する(S804)。本実施例におけるブラーリング量を設定する方法は、第1実施例におけるブラーリング量を設定する方法と同一であるので、本実施例では詳細に説明しない。
【0036】
プロセッサ130は、超音波データ取得部110から提供される超音波データを用いて、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を形成する(S806)。超音波映像は、公知となった多様な方法を用いて形成されることができるので、本実施例では詳細に説明しない。
【0037】
プロセッサ130は、前記設定されたブラーリング量に基づいて超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を複数の超音波映像のそれぞれに行う(S808)。
【0038】
本実施例において、プロセッサ130は、図9に示すように、第1超音波映像F1のピクセルP0,1を基準に予め設定されたサイズのウィンドウWを設定する。ウィンドウWは、たとえば、1×3のサイズを有する。
【0039】
プロセッサ130は、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0、1、P0、2のそれぞれに対応するピクセル値(即ち、輝度値)を検出する。プロセッサ130は、検出されたピクセル値を比較してウィンドウWに該当するピクセルのピクセル値の変化を検出する。
【0040】
検出されたピクセル値の変化が図10に示すように、ピクセル値の増加(PC1の実線)またはピクセル値の減少(PC2の実線)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0,1に対応する深さのブラーリング量に基づいて、ピクセルP0、1のピクセル値を減少させるフィルタリング処理(PC1またはPC2の点線)を行う。
【0041】
一方、検出されたピクセル値の変化が図10に示すように、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0,1、P0,2の中で中央にあるピクセルP0、1のピクセル値が最大(PC3の実線)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0、1に対応する深さのブラーリング量に基づいてピクセルP0、1のピクセル値を増加させるフィルタリング処理(PC3の点線)を行う。
【0042】
一方、検出されたピクセル値の変化が図10に示すように、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0、1、P0、2の中で中央にあるピクセルP0、1のピクセル値が最小(PC4の実線)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0、1に対応する深さのブラーリング量に基づいてピクセルP0、1のピクセル値を減少させるフィルタリング処理(PC4の点線)を行う。
【0043】
一方、検出されたピクセル値の変化が図10に示すように0(即ち、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0、1、P0、2のピクセル値が同一)(PC5)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0、1に対してフィルタリング処理を行わない。
【0044】
プロセッサ130は、ウィンドウWを1ピクセルずつ移動させながら前記のようなフィルタリング処理を第1〜第3超音波映像F1〜F3のそれぞれの全てのピクセルに行う。
【0045】
プロセッサ130は、フィルタリング処理された複数の超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する(S810)。
【0046】
再び図1を参照すると、超音波システム100は、ディスプレイ部140をさらに備える。ディスプレイ部140は、プロセッサ130で形成された超音波空間合成映像を表示する。また、ディスプレイ部140は、プロセッサ130で形成された複数の超音波映像を表示する。
【0047】
このように、逆ブラーリング(inverse blurring)処理された複数の超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成することによって、図11に示すように、超音波空間合成映像のポイントターゲットのサイズが本来のポイントターゲットのサイズと類似して、超音波空間合成映像の画質が改善される。
【0048】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 超音波システム
110 超音波データ取得部
120 格納部
130 プロセッサ
140 ディスプレイ部
210 超音波プローブ
220 送信部
230 受信部
240 超音波データ形成部
S1〜SN スキャンライン
F1〜F3 超音波映像
SCI 超音波空間合成映像
FP 集束点
PT ポイントターゲット
W ウィンドウ
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波システムに関し、特に、ビームプロファイル(beam profile)に基づいて超音波映像の画質を改善させる超音波システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、無侵襲および非破壊特性を有しており、生体内部の情報を得るために医療分野で広く用いられている。超音波システムは、対象体を直接切開して観察する外科手術の必要がなく、対象体の内部組織を高解像度の映像で医師に提供することができるため、医療分野で非常に重要なものとして用いられている。
【0003】
超音波システムは、超音波プローブを用いて超音波信号を生体に送信する。超音波プローブから送信された超音波信号は、超音波ビーム(beam)として生体に送信される。一方、超音波システムは、超音波プローブを用いて生体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信し、その受信された超音波エコー信号に基づいて生体の超音波映像を形成する。最近、超音波システムは、超音波映像の解像度を向上させるために、複数の超音波映像を空間合成(spatial compound)して超音波空間合成映像を形成する。
【0004】
一般に、超音波ビームは、集束点を基準にして、そこからの隔たりが近距離または遠距離方向に離れるほどビームの拡散(ビーム幅)が大きくなる。これによって、生体内の同一のサイズのポイントターゲット(target point)に対しても、超音波映像における深さによってポイントターゲットのサイズが異なるブラーリング(blurring)が発生して、生体内の対象体の本来の形態とサイズに対応する超音波映像を提供することができないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−237187号公報
【特許文献2】特開2003−190157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ビームプロファイル(beam profile)に基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる超音波システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における超音波システムは、複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルを格納するための格納部と、前記少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成するプロセッサとを備える。
【0008】
また、本発明における超音波空間合成映像画質改善方法は、a)複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する段階と、b)少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する段階と、c)前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成する段階とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、超音波映像に対するビームプロファイルに基づいて、超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正することができるため、生体内の対象体の本来の形態とサイズに対応する超音波空間合成映像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例における複数のステアリング角度に対応する複数の超音波映像を示す例示図である。
【図4】本発明の実施例におけるビームプロファイルを示す例示図である。
【図5】本発明の第1実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施例におけるブラーリング量を示す例示図である。
【図7】本発明の第1実施例における超音波空間合成映像を示す例示図である。
【図8】本発明の第2実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施例におけるウィンドウを示す例示図である。
【図10】本発明の第2実施例におけるピクセル値の変化を示す例示図である。
【図11】本発明の実施例における逆ブラーリング(inverse blurring)処理による超音波空間合成映像の画質改善を示す例示図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例における超音波システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、超音波システム100は、超音波データ取得部110を備える。
【0013】
超音波データ取得部110は、超音波信号を生体に送信し、生体から反射される超音波信号(即ち、超音波エコー信号)を受信して超音波データを取得する。
【0014】
図2は、本発明の実施例における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、超音波データ取得部110は、超音波プローブ210を備える。
【0015】
超音波プローブ210は、電気的信号と超音波信号を相互変換する複数の電気音響変換素子(transducer element:以下単に変換素子と呼ぶ)(図示せず)を備える。超音波プローブ210は、複数のスキャンラインのそれぞれに沿って超音波信号を送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して受信信号を形成する。受信信号は、アナログ信号である。超音波プローブ210は、コンベックスプローブ(convex probe)、リニアプローブ(linear probe)などを含む。
【0016】
超音波データ取得部110は、送信部220をさらに備える。送信部220は、超音波信号の送信を制御する。また、送信部220は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を得るための送信信号を形成する。超音波映像は、Bモード(brightness mode)映像を含む。しかし、超音波映像は、必ずしもこれに限定されない。送信部220は、送信信号形成部(図示せず)、送信遅延時間情報メモリ(図示せず)、送信ビームフォーマ(図示せず)などを備える。
【0017】
本実施例において、送信部220は、図3に示すように、スキャンラインSi(1≦i≦N)の第1ステアリング角度に対応する第1超音波映像F1を得るための第1送信信号を形成する。従って、超音波プローブ210は、送信部220から提供される第1送信信号を超音波信号に変換して生体に送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して第1受信信号を形成する。第1ステアリング角度は、0゜である。しかし、第1ステアリング角度は、必ずしもこれに限定されない。
【0018】
また、送信部220は、図3に示すように、スキャンラインSi(1≦i≦N)の第2ステアリング角度θ2に対応する第2超音波映像F2を得るための第2送信信号を形成する。従って、超音波プローブ210は、送信部220から提供される第2送信信号を超音波信号に変換して生体に送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して第2受信信号を形成する。第2ステアリング角度θ2は、第1ステアリング角度に対する角度である。しかし、第2ステアリング角度θ2は、必ずしもこれに限定されない。
【0019】
また、送信部220は、図3に示すように、スキャンラインSi(1≦i≦N)の第3ステアリング角度θ3に対応する第3超音波映像F3を得るための第3送信信号を形成する。従って、超音波プローブ210は、送信部220から提供される第3送信信号を超音波信号に変換して生体に送信し、生体から反射される超音波エコー信号を受信して第3受信信号を形成する。第3ステアリング角度θ3は、第1ステアリング角度に対する角度である。しかし、第3ステアリング角度θ3は、必ずしもこれに限定されない。
【0020】
超音波データ取得部110は、受信部230をさらに備える。受信部230は、超音波プローブ210から提供される受信信号をアナログデジタル変換してデジタル信号を形成する。また、受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、デジタル信号を受信集束させて受信集束信号を形成する。受信部230は、受信信号増幅部(図示せず)、アナログデジタル変換部(図示せず)、受信遅延時間情報メモリ(図示せず)、受信ビームフォーマ(図示せず)などを備える。
【0021】
本実施例において、受信部230は、超音波プローブ210から提供される第1受信信号をアナログデジタル変換して第1デジタル信号を形成する。受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、第1デジタル信号を受信集束させて第1受信集束信号を形成する。また、受信部230は、超音波プローブ210から提供される第2受信信号をアナログデジタル変換して第2デジタル信号を形成する。受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、第2デジタル信号を受信集束させて第2受信集束信号を形成する。また、受信部230は、超音波プローブ210から提供される第3受信信号をアナログデジタル変換して第3デジタル信号を形成する。受信部230は、変換素子、集束点およびステアリング角度を考慮して、第3デジタル信号を受信集束させて第3受信集束信号を形成する。
【0022】
超音波データ取得部110は、超音波データ形成部240をさらに備える。超音波データ形成部240は、受信部230から提供される受信集束信号を用いて複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを形成する。超音波データは、RFデータを含む。しかし、超音波データは、必ずしもこれに限定されない。また、超音波データ形成部240は、超音波データを形成するのに必要な様々な信号処理(例えば、利得(gain)調節等)を受信集束信号に行うこともできる。
【0023】
本実施例において、超音波データ形成部240は、受信部230から提供される第1受信集束信号を用いて、第1ステアリング角度の第1超音波映像F1に対応する第1超音波データを形成する。また、超音波データ形成部240は、受信部230から提供される第2受信集束信号を用いて、第2ステアリング角度θ2の第2超音波映像F2に対応する第2超音波データを形成する。また、超音波データ形成部240は、受信部230から提供される第3受信集束信号を用いて、第3ステアリング角度θ3の第3超音波映像F3に対応する第3超音波データを形成する。
【0024】
前述した実施例では、3つのステアリング角度それぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得するものとして説明したが、必ずしもこれに限定されない。
【0025】
再び図1を参照すると、超音波システム100は、格納部120をさらに備える。格納部120は、少なくとも1つの集束点(focusing point)に対応する少なくとも1つのビームプロファイルを格納する。本実施例において、格納部120は、複数の集束点のそれぞれに対して、集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示すビームプロファイルを格納する。一例として、格納部120は、図4に示すように、集束点FPを基準に深さ(depth)による超音波ビームの拡散程度を示すビームプロファイルを格納する。集束点FPを基準にそこからの隔たりが近距離または遠距離方向に大きくなるほど超音波ビームの拡散(ビーム幅)が大きくなり、図4に示すように、生体内の同一のポイントターゲットPTに対しても超音波映像UIでポイントターゲットPTのサイズが異なる副作用(artifact)、即ち超音波映像UIが鮮明でないブラーリング(blurring)が発生する。
【0026】
前述した実施例では、格納部120にビームプロファイルを格納するものとして説明したが、他の実施例では、格納部120にビームプロファイルに対応するブラーリング量を格納することもできる。
【0027】
超音波システム100は、プロセッサ130をさらに備える。プロセッサ130は、超音波データ取得部110および格納部120に連結される。プロセッサ130は、ビームプロファイルに基づいて超音波映像に対して深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、超音波データおよびブラーリング量に基づいて超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って、超音波空間合成映像の画質を改善させる。プロセッサ130は、CPU(central processing unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、GPU(graphic processing unit)などを含む。
【0028】
図5は、本発明の第1実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波空間合成映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。図5を参照すると、プロセッサ130は、格納部120に照会して集束点に対応するビームプロファイルを抽出する(S502)。
【0029】
プロセッサ130は、抽出されたビームプロファイルに基づいて超音波映像に対する深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する(S504)。本実施例において、プロセッサ130は、ビームプロファイルに基づいて、図6に示すように、第1〜第3超音波映像F1〜F3に対して集束点FPを基準に深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する。ブラーリング量は、ビームプロファイル(即ち、超音波ビームの拡散程度)と同一の値であってもよい。また、第1〜第3超音波映像F1〜F3は、スキャンラインSi(1≦i≦N)のステアリング角度のみ異なるだけで、ビームプロファイルが同一であるので、第1〜第3超音波映像F1〜F3のそれぞれに対するブラーリング量は同一である。従って、プロセッサ130は、第1〜第3超音波映像F1〜F3に対して1つのブラーリング量を設定することができる。
【0030】
プロセッサ130は、設定されたブラーリング量に基づいて、超音波データ取得部110から提供される超音波データに超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのデータ処理(即ち、フィルタリング処理)を行う(S506)。ブラーリングを補正するためのデータ処理は、ブラインドデコンバージョン(blind deconversion)、インバースフィルタリング(inverse filtering)などを含む。
【0031】
本実施例において、プロセッサ130は、設定されたブラーリング量に基づいて、超音波データ取得部110から提供される第1超音波データ〜第3超音波データのそれぞれに、超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのデータ処理を行う。
【0032】
プロセッサ130は、データ処理された超音波データを用いて、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を形成する(S508)。プロセッサ130は、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する(S508)。超音波空間合成映像は、公知となった多様な方法を用いて形成されることができるので、本実施例では詳細に説明しない。
【0033】
本実施例において、プロセッサ130は、データ処理された第1超音波データ〜第3超音波データを用いて、図7に示すように、第1〜第3超音波映像F1〜F3を形成し、第1〜第3超音波映像F1〜F3を空間合成して超音波空間合成映像SCIを形成する。
【0034】
図8は、本発明の第2実施例によって、ビームプロファイルに基づいて超音波映像の画質を改善させる順序を示すフローチャートである。図8を参照すると、プロセッサ130は、格納部120に照会して集束点に対応するビームプロファイルを抽出する(S802)。
【0035】
プロセッサ130は、抽出されたビームプロファイルに基づいて超音波映像に対する深さによる超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する(S804)。本実施例におけるブラーリング量を設定する方法は、第1実施例におけるブラーリング量を設定する方法と同一であるので、本実施例では詳細に説明しない。
【0036】
プロセッサ130は、超音波データ取得部110から提供される超音波データを用いて、複数のステアリング角度のそれぞれに対応する超音波映像を形成する(S806)。超音波映像は、公知となった多様な方法を用いて形成されることができるので、本実施例では詳細に説明しない。
【0037】
プロセッサ130は、前記設定されたブラーリング量に基づいて超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を複数の超音波映像のそれぞれに行う(S808)。
【0038】
本実施例において、プロセッサ130は、図9に示すように、第1超音波映像F1のピクセルP0,1を基準に予め設定されたサイズのウィンドウWを設定する。ウィンドウWは、たとえば、1×3のサイズを有する。
【0039】
プロセッサ130は、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0、1、P0、2のそれぞれに対応するピクセル値(即ち、輝度値)を検出する。プロセッサ130は、検出されたピクセル値を比較してウィンドウWに該当するピクセルのピクセル値の変化を検出する。
【0040】
検出されたピクセル値の変化が図10に示すように、ピクセル値の増加(PC1の実線)またはピクセル値の減少(PC2の実線)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0,1に対応する深さのブラーリング量に基づいて、ピクセルP0、1のピクセル値を減少させるフィルタリング処理(PC1またはPC2の点線)を行う。
【0041】
一方、検出されたピクセル値の変化が図10に示すように、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0,1、P0,2の中で中央にあるピクセルP0、1のピクセル値が最大(PC3の実線)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0、1に対応する深さのブラーリング量に基づいてピクセルP0、1のピクセル値を増加させるフィルタリング処理(PC3の点線)を行う。
【0042】
一方、検出されたピクセル値の変化が図10に示すように、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0、1、P0、2の中で中央にあるピクセルP0、1のピクセル値が最小(PC4の実線)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0、1に対応する深さのブラーリング量に基づいてピクセルP0、1のピクセル値を減少させるフィルタリング処理(PC4の点線)を行う。
【0043】
一方、検出されたピクセル値の変化が図10に示すように0(即ち、ウィンドウWに該当するピクセルP0、0、P0、1、P0、2のピクセル値が同一)(PC5)であると判断されれば、プロセッサ130は、ピクセルP0、1に対してフィルタリング処理を行わない。
【0044】
プロセッサ130は、ウィンドウWを1ピクセルずつ移動させながら前記のようなフィルタリング処理を第1〜第3超音波映像F1〜F3のそれぞれの全てのピクセルに行う。
【0045】
プロセッサ130は、フィルタリング処理された複数の超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成する(S810)。
【0046】
再び図1を参照すると、超音波システム100は、ディスプレイ部140をさらに備える。ディスプレイ部140は、プロセッサ130で形成された超音波空間合成映像を表示する。また、ディスプレイ部140は、プロセッサ130で形成された複数の超音波映像を表示する。
【0047】
このように、逆ブラーリング(inverse blurring)処理された複数の超音波映像を空間合成して超音波空間合成映像を形成することによって、図11に示すように、超音波空間合成映像のポイントターゲットのサイズが本来のポイントターゲットのサイズと類似して、超音波空間合成映像の画質が改善される。
【0048】
本発明は、望ましい実施例によって説明および例示をしたが、当業者であれば添付した特許請求の範囲の事項および範疇を逸脱することなく、様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 超音波システム
110 超音波データ取得部
120 格納部
130 プロセッサ
140 ディスプレイ部
210 超音波プローブ
220 送信部
230 受信部
240 超音波データ形成部
S1〜SN スキャンライン
F1〜F3 超音波映像
SCI 超音波空間合成映像
FP 集束点
PT ポイントターゲット
W ウィンドウ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、
少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルを格納するための格納部と、
前記少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成するプロセッサと
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記ブラーリング量は、前記ビームプロファイルと同一の値であることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記ブラーリング量に基づいて前記超音波データに前記フィルタリング処理を行い、
前記フィルタリング処理された超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成し、
前記複数の超音波映像を空間合成して前記超音波空間合成映像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記フィルタリング処理は、ブラインドデコンバージョンまたはインバースフィルタリングを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成し、
前記ブラーリング量に基づいて前記複数の超音波映像のそれぞれに前記フィルタリング処理を行い、
前記フィルタリング処理された複数の超音波映像を空間合成して前記空間合成映像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記複数の超音波映像は、それぞれ、ピクセル値を有する複数のピクセルを含み、
前記プロセッサは、
前記複数の超音波映像のそれぞれに対して前記複数のピクセルのそれぞれを基準に予め設定されたサイズのウィンドウを設定し、
前記ウィンドウに該当する前記ピクセルに対応する前記ピクセル値を検出し、
前記検出されたピクセル値を比較して前記ウィンドウに該当する前記ピクセルの前記ピクセル値の変化を検出し、
前記ブラーリング量に基づいて前記検出されたピクセル値の変化に応じて前記複数のピクセルのそれぞれに前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ピクセル値の増加または前記ピクセル値の減少であると判断されれば、前記複数のピクセルのそれぞれに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記複数のピクセルのそれぞれの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最大であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を増加させる前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最小であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波システム。
【請求項10】
a)複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する段階と、
b)少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する段階と、
c)前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項11】
前記ブラーリング量は、前記ビームプロファイルと同一の値であることを特徴とする請求項10に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項12】
前記段階c)は、
前記ブラーリング量に基づいて前記超音波データに前記フィルタリング処理を行う段階と、
前記フィルタリング処理された超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成する段階と、
前記複数の超音波映像を空間合成して前記超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項13】
前記フィルタリング処理は、ブラインドデコンバージョンまたはインバースフィルタリングを含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項14】
前記段階c)は、
c1)前記超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成する段階と、
c2)前記ブラーリング量に基づいて前記複数の超音波映像のそれぞれに前記フィルタリング処理を行う段階と、
c3)前記フィルタリング処理された複数の超音波映像を空間合成して前記空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項15】
前記複数の超音波映像は、それぞれ、ピクセル値を有する複数のピクセルを含み、
前記段階c2)は、
c21)前記複数の超音波映像のそれぞれに対して前記複数のピクセルのそれぞれを基準に予め設定されたサイズのウィンドウを設定する段階と、
c22)前記ウィンドウに該当する前記ピクセルに対応する前記ピクセル値を検出する段階と、
c23)前記検出されたピクセル値を比較して前記ウィンドウに該当する前記ピクセルの前記ピクセル値の変化を検出する段階と、
c24)前記ブラーリング量に基づいて前記検出されたピクセル値の変化に応じて前記複数のピクセルのそれぞれに前記フィルタリング処理を行う段階と
を備えることを特徴とする請求項14に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項16】
前記段階c24)は、
前記検出されたピクセル値の変化が前記ピクセル値の増加または前記ピクセル値の減少であると判断されれば、前記複数のピクセルのそれぞれに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記複数のピクセルのそれぞれの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行う段階
を備えることを特徴とする請求項15に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項17】
前記段階c24)は、
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最大であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を増加させる前記フィルタリング処理を行う段階
を備えることを特徴とする請求項15に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項18】
前記段階c24)は、
前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最小であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行う段階
を備えることを特徴とする請求項15に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項1】
複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する超音波データ取得部と、
少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルを格納するための格納部と、
前記少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定し、前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成するプロセッサと
を備えることを特徴とする超音波システム。
【請求項2】
前記ブラーリング量は、前記ビームプロファイルと同一の値であることを特徴とする請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記ブラーリング量に基づいて前記超音波データに前記フィルタリング処理を行い、
前記フィルタリング処理された超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成し、
前記複数の超音波映像を空間合成して前記超音波空間合成映像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記フィルタリング処理は、ブラインドデコンバージョンまたはインバースフィルタリングを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の超音波システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成し、
前記ブラーリング量に基づいて前記複数の超音波映像のそれぞれに前記フィルタリング処理を行い、
前記フィルタリング処理された複数の超音波映像を空間合成して前記空間合成映像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記複数の超音波映像は、それぞれ、ピクセル値を有する複数のピクセルを含み、
前記プロセッサは、
前記複数の超音波映像のそれぞれに対して前記複数のピクセルのそれぞれを基準に予め設定されたサイズのウィンドウを設定し、
前記ウィンドウに該当する前記ピクセルに対応する前記ピクセル値を検出し、
前記検出されたピクセル値を比較して前記ウィンドウに該当する前記ピクセルの前記ピクセル値の変化を検出し、
前記ブラーリング量に基づいて前記検出されたピクセル値の変化に応じて前記複数のピクセルのそれぞれに前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ピクセル値の増加または前記ピクセル値の減少であると判断されれば、前記複数のピクセルのそれぞれに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記複数のピクセルのそれぞれの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最大であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を増加させる前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最小であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の超音波システム。
【請求項10】
a)複数のステアリング角度のそれぞれの超音波映像に対応する超音波データを取得する段階と、
b)少なくとも1つの集束点を基準に深さによる超音波ビームの拡散程度を示す少なくとも1つのビームプロファイルに基づいて前記深さによる前記超音波ビームの拡散に対応するブラーリング量を設定する段階と、
c)前記超音波データおよび前記ブラーリング量に基づいて前記超音波ビームの拡散によるブラーリングを補正するためのフィルタリング処理を行って超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項11】
前記ブラーリング量は、前記ビームプロファイルと同一の値であることを特徴とする請求項10に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項12】
前記段階c)は、
前記ブラーリング量に基づいて前記超音波データに前記フィルタリング処理を行う段階と、
前記フィルタリング処理された超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成する段階と、
前記複数の超音波映像を空間合成して前記超音波空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項13】
前記フィルタリング処理は、ブラインドデコンバージョンまたはインバースフィルタリングを含むことを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項14】
前記段階c)は、
c1)前記超音波データを用いて前記複数の超音波映像を形成する段階と、
c2)前記ブラーリング量に基づいて前記複数の超音波映像のそれぞれに前記フィルタリング処理を行う段階と、
c3)前記フィルタリング処理された複数の超音波映像を空間合成して前記空間合成映像を形成する段階と
を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項15】
前記複数の超音波映像は、それぞれ、ピクセル値を有する複数のピクセルを含み、
前記段階c2)は、
c21)前記複数の超音波映像のそれぞれに対して前記複数のピクセルのそれぞれを基準に予め設定されたサイズのウィンドウを設定する段階と、
c22)前記ウィンドウに該当する前記ピクセルに対応する前記ピクセル値を検出する段階と、
c23)前記検出されたピクセル値を比較して前記ウィンドウに該当する前記ピクセルの前記ピクセル値の変化を検出する段階と、
c24)前記ブラーリング量に基づいて前記検出されたピクセル値の変化に応じて前記複数のピクセルのそれぞれに前記フィルタリング処理を行う段階と
を備えることを特徴とする請求項14に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項16】
前記段階c24)は、
前記検出されたピクセル値の変化が前記ピクセル値の増加または前記ピクセル値の減少であると判断されれば、前記複数のピクセルのそれぞれに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記複数のピクセルのそれぞれの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行う段階
を備えることを特徴とする請求項15に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項17】
前記段階c24)は、
前記プロセッサは、前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最大であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を増加させる前記フィルタリング処理を行う段階
を備えることを特徴とする請求項15に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【請求項18】
前記段階c24)は、
前記検出されたピクセル値の変化が前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値が最小であると判断されれば、前記ウィンドウの中央にあるピクセルに対応する前記深さの前記ブラーリング量に基づいて、前記ウィンドウの中央にあるピクセルの前記ピクセル値を減少させる前記フィルタリング処理を行う段階
を備えることを特徴とする請求項15に記載の超音波空間合成映像画質改善方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−101073(P2012−101073A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245800(P2011−245800)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(597096909)三星メディソン株式会社 (269)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(597096909)三星メディソン株式会社 (269)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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