説明

ビーム加工装置およびビーム観察装置

【課題】簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能なビーム加工装置を提供すること。
【解決手段】ビーム加工装置は、ビームが通過する第1空間16および第1空間16の周囲に壁部14aを介して配置される第2空間17が形成される局所真空チャンバー9と、第1空間16、第2空間17を真空状態とするための吸気手段とを備えている。ワークに対向する対向部15は、ワークに向けてビームを出射するための出射孔22aを有する第1対向部18と、出射孔22aの外周側に配置される開口部32を有する第2対向部19と、第2対向部19の変形を防止するための変形防止部20、19dとを備えている。第1対向部18と第2対向部19との間には、開口部32を介して局所真空チャンバー9の外部に連通しかつ第2空間17の一部となる対向部間空間17aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームを用いて加工対象物の加工を行うビーム加工装置、および、ビームを用いて観察対象物の観察を行うビーム観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加工対象物(ワーク)に対する加工を行う加工装置として、集束イオンビームでワークを加工する集束イオンビーム加工装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、ワークに対する加工を行う加工装置として、電子ビームでワークを加工する電子ビーム加工装置も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された集束イオンビーム加工装置では、集束イオンビームの散乱を防止するため、真空チャンバー内に配置されたステージ上にセットされたワークに対して集束イオンビームが照射され、ワークの加工が行われる。また、特許文献2に記載された電子ビーム加工装置でも同様に、電子ビームの散乱を防止するため、真空チャンバー内に配置されたステージ上にセットされたワークに対して電子ビームが照射され、ワークの加工が行われる。
【0004】
また、集束イオンビームを用いて観察対象物の観察を行う集束イオンビーム観察装置も知られている(たとえば、特許文献3参照)。また、一般に、電子ビームを用いて観察対象物の観察を行う電子ビーム観察装置も知られている。かかる集束イオンビーム観察装置や電子ビーム観察装置でも、真空チャンバー内に配置されたステージ上にセットされた観察対象物に対して集束イオンビームや電子ビームが照射されて、観察対象物の観察が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開2006−32154号公報
【特許文献2】特開2004−167536号公報
【特許文献3】特開平10−162766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の集束イオンビーム加工装置および特許文献2に記載の電子ビーム加工装置では、ワークがセットされるステージが真空チャンバー内に配置されているため、ステージによるワークの移動範囲には限界がある。すなわち、特許文献1に記載の集束イオンビーム加工装置や特許文献2に記載の電子ビーム加工装置では、大きなワークを広範囲で加工することは困難である。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の集束イオンビーム加工装置や特許文献2に記載の電子ビーム加工装置でも、真空チャンバーを大きくすることで、大きなワークを広範囲で加工することは可能となる。しかしながら、真空チャンバーを大きくすると加工装置が大型化するとともに、加工装置の製造コストおよびランニングコストが嵩む。また、従来の集束イオンビーム観察装置や電子ビーム観察装置においても、同様の問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明の課題は、簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能なビーム加工装置を提供することにある。また、本発明の課題は、簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能なビーム観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のビーム加工装置は、加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する第1空間および第1空間の周囲に壁部を介して配置される第2空間が形成される局所真空チャンバーと、第1空間および第2空間を真空状態とするための吸気手段とを備え、局所真空チャンバーは、加工対象物に対向する対向部を備え、対向部は、加工対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有し第1空間の一端部となる第1対向部と、出射孔の外周側に配置される開口部を有し第2空間の一端部となる第2対向部とを備え、第1対向部と第2対向部との間には、開口部を介して局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、第2空間の一部となる対向部間空間が形成され、対向部は、さらに、第2対向部の変形を防止するための変形防止部を備え、ビーム加工装置は、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物の加工をビームを用いて行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、本発明のビーム観察装置は、観察対象物の観察を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する第1空間および第1空間の周囲に壁部を介して配置される第2空間が形成される局所真空チャンバーと、第1空間および第2空間を真空状態とするための吸気手段とを備え、局所真空チャンバーは、観察対象物に対向する対向部を備え、対向部は、観察対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有し第1空間の一端部となる第1対向部と、出射孔の外周側に配置される開口部を有し第2空間の一端部となる第2対向部とを備え、第1対向部と第2対向部との間には、開口部を介して局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、第2空間の一部となる対向部間空間が形成され、対向部は、さらに、第2対向部の変形を防止するための変形防止部を備え、ビーム観察装置は、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物の観察をビームを用いて行うことを特徴とする。
【0011】
ここで、本明細書において、「局所真空チャンバー」とは、加工対象物あるいは観察対象物の一部分のみを真空状態とするための真空チャンバーをいう。
【0012】
本発明のビーム加工装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物をビーム用いて加工している。そのため、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に配置される所定の移動手段を用いて加工対象物を移動させる簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能になる。また、本発明のビーム観察装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物をビームを用いて観察しているため、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に配置される所定の移動手段を用いて観察対象物を移動させる簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能になる。
【0013】
また、本発明のビーム加工装置では、加工対象物に対向する対向部は、加工対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有する第1対向部と出射孔の外周側に配置される開口部を有する第2対向部とを備え、第1対向部と第2対向部との間には、開口部を介して局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、真空状態になる第2空間の一部となる対向部間空間が形成されている。そのため、吸気手段によって、出射孔の外周側に配置される開口部から局所真空チャンバーの内部に向かって吸気が行われる。したがって、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部に加工対象物が配置される場合であっても、加工対象物の加工部位の周辺の圧力を適切に下げることができ、加工対象物への適切なビームの照射が可能になる。また、本発明のビーム観察装置でも同様に、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部に観察対象物が配置される場合であっても、観察対象物の観察部位の周辺の圧力を適切に下げることができ、観察対象物への適切なビームの照射が可能になる。
【0014】
さらに、本発明のビーム加工装置では、加工対象物に対向する対向部は、第2対向部の変形を防止するための変形防止部を備えている。そのため、加工対象物への適切なビームの照射が可能になるように、第1対向部と第2対向部との間に対向部間空間が形成され、この対向部間空間が真空状態になる場合であっても、第2対向部の変形を防止することが可能になり、対向部と加工対象物との間に適切な隙間を形成することが可能になる。したがって、加工対象物の加工部位の周辺の圧力をより適切に下げることができ、加工対象物へのより適切なビームの照射が可能になる。また、本発明のビーム観察装置でも同様に、観察対象物の観察部位の周辺の圧力をより適切に下げることができ、観察対象物へのより適切なビームの照射が可能になる。
【0015】
本発明において、対向部は、変形防止部として、第1対向部または第2対向部のいずれか一方に取り付けられ、第1対向部または第2対向部のいずれか他方に向かって突出する突出部を備えることが好ましい。このように構成すると、第1対向部または第2対向部のいずれか一方に取り付けられる突出部を第1対向部または第2対向部のいずれか他方に当接させて、第2対向部の変形を確実に防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、対向部は、突出部の突出量を調整可能な突出量調整機構を備えることが好ましい。このように構成すると、突出部の突出量を調整して、第1対向部または第2対向部のいずれか他方に突出部を適切に当接させることが可能になる。
【0017】
本発明において、第1対向部または第2対向部のいずれか他方は、突出部が当接する当接部を備え、当接部は、突出部の突出方向に略直交する平面状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、当接部に当接する突出部の当接力が分散されにくくなるため、第2対向部の変形をより確実に防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、突出部は、ボールプランジャーであることが好ましい。すなわち、突出部は、筒状部材の中に配置された圧縮コイルバネによって付勢されるボールの一部が筒状部材から露出するボールプランジャーであることが好ましい。このように構成すると、圧縮コイルバネの付勢力を利用して、第1対向部または第2対向部のいずれか他方にボールを確実に当接させることが可能になる。
【0019】
本発明において、対向部は、変形防止部として、第2対向部に形成される補強リブを備えることが好ましい。このように構成すると、簡易な構成で、第2対向部の変形を防止することが可能になる。
【0020】
また、上記の課題を解決するため、本発明のビーム加工装置は、加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、ビーム出射源から出射されたビームが通過するビーム通過路を有しビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、ビーム通過路に連通しビーム通過路を通過したビームが通過する第1空間および第1空間の周囲に壁部を介して略同心状に配置される(n−1)個(nは3以上の整数)の空間が形成される局所真空チャンバーと、第1空間および(n−1)個の空間を真空状態とするための吸気手段とを備え、局所真空チャンバーは、加工対象物に対向する対向部を備え、対向部は、加工対象物に向けてビームを出射するための出射孔を有し第1空間の一端部となる第1対向部と、出射孔の外周側に配置される開口部を有し一番外側に配置される空間である第n空間の一端部となる第n対向部と、出射孔の外周側に配置される開口部を有し外側から2番目に配置される空間の一端部となる第(n−1)対向部とを備え、第(n−1)対向部と第n対向部との間には、開口部を介して局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、第n空間の一部となる対向部間空間が形成され、対向部は、さらに、第n対向部の変形を防止するための変形防止部を備え、ビーム観察装置は、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物の加工をビームを用いて行うことを特徴とする。
【0021】
本発明のビーム加工装置では、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される加工対象物をビーム用いて加工しているため、加工対象物を広範囲で加工することが可能になる。また、加工対象物に対向する第n対向部と第(n−1)対向部との間には、開口部を介して局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、真空状態となる第n空間の一部となる対向部間空間が形成されている。そのため、吸気手段によって、出射孔の外周側に配置される開口部から局所真空チャンバーの内部に向かって吸気が行われ、加工対象物の加工部位の周辺の圧力を適切に下げることができる。さらに、加工対象物に対向する対向部は、第n対向部の変形を防止するための変形防止部を備えているため、第n対向部と第(n−1)対向部との間に真空状態になる対向部間空間が形成される場合であっても、第n対向部の変形を防止することが可能になり、対向部と加工対象物との間に適切な隙間を形成することが可能になる。その結果、真空チャンバーおよび局所真空チャンバーの外部に加工対象物が配置される場合であっても、加工対象物の加工部位の周辺の圧力を適切に下げることができ、加工対象物への適切なビームの照射が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のビーム加工装置では、簡易な構成で、加工対象物を広範囲で加工することが可能になる。また、本発明のビーム観察装置では、簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(ビーム加工装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるビーム加工装置1の概略構成を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図1の上を「上」、下を「下」、右を「右」、左を「左」、紙面手前を「前」、紙面奥を「後(後ろ)」とする。また、以下では、左右方向と前後方向とによって形成される平面をXY平面とする。
【0025】
本形態のビーム加工装置1は、所定の加工対象物(ワーク)2の加工を行うためのビームとして、集束イオンビーム(FIB(Focused Ion Beam))を用いて、ワーク2に対して除去加工等の微細な加工を行う加工装置である。このビーム加工装置1は、図1に示すように、FIBを出射するためのビーム出射源3および真空チャンバー4と、ワーク2へ照射されるFIBの拡散を防止するための拡散防止部5と、ワーク2が載置され固定される固定面6aを有する固定部材6とを備えている。なお、ビーム加工装置1は、大気圧中に配置されている。
【0026】
ビーム出射源3は、ガリウム(Ga)等の液体金属をイオン源としてイオンビームを出射する。また、ビーム出射源3は、真空チャンバー4の上端側に取り付けられている。ビーム出射源3から出射されたイオンビームは、真空チャンバー4の内部に形成されたビーム通過路7を通過する。ビーム通過路7には、通過するイオンビームを集束させるための所定のイオン光学系(図示省略)等が配置されている。
【0027】
本形態では、ビーム通過路7を通過したイオンビームは、真空チャンバー4の下端側から下方向に向かってFIBとして出射される。たとえば、20〜30kVに加速されたGaイオンビーム(すなわち、FIB)が出射され、スパッタリング現象を用いて、ワーク2の加工が行われる。なお、本形態のビーム加工装置1は、真空チャンバー4の内部を真空状態とするための真空ポンプ(図示省略)を備えている。
【0028】
拡散防止部5は、真空チャンバー4から出射されたFIBがワーク2に向かって通過する局所真空チャンバー9と、局所真空チャンバー9の内部を真空状態とするための吸気手段としての第1ポンプ10、第2ポンプ11および第3ポンプ12とを備えている。局所真空チャンバー9は、真空チャンバー4の下端側に取り付けられており、真空チャンバー4から出射されたFIBは、局所真空チャンバー9の内部を通過して、拡散防止部5の下側でワーク2に照射される。拡散防止部5の詳細な構成については後述する。
【0029】
固定部材6は、ワーク2を固定するためのチャック等の固定手段(図示省略)を備えている。この固定手段は、固定部材6の上面となる固定面6aに取り付けられている。また、固定部材6は、固定部材6を移動させる移動機構(図示省略)に取り付けられおり、所定方向へ移動可能となっている。本形態の移動機構は、固定部材6を3次元方向に移動させるように構成されており、たとえば、上下方向、左右方向および前後方向のそれぞれに固定部材6を移動させるためのZ方向移動機構(図示省略)、Y方向移動機構(図示省略)およびX方向移動機構(図示省略)を備えるいわゆるXYZステージである。
【0030】
(局所真空チャンバーの構成)
図2は、図1に示す局所真空チャンバー9の平面図である。図3は、図2のE−E断面における局所真空チャンバー9の下端部を示す拡大断面図である。図4は、図2のF−F断面における局所真空チャンバー9の下端部を示す拡大断面図である。図5は、図3に示す第1対向部18の下面図である。図6は、図3に示す第2対向部19の斜視図である。
【0031】
局所真空チャンバー9は、図1に示すように、底部を有する鍔付の略円筒状に形成されている。この局所真空チャンバー9は、略円筒状の本体部14と、底部を形成するとともに隙間G(図1参照)を介してワーク2に対向する対向部15とを備えている。
【0032】
本体部14は、径方向内側に配置された内筒部14aと、内筒部14aの径方向外方に配置された外筒部14bとを有する二重構造となっている。本体部14の上端には、径方向外側へ広がる鍔部14cが形成されている。鍔部14cには、図2に示すように、真空チャンバー4の下端に本体部14を固定するための固定ネジ(図示省略)が挿通される複数の貫通孔14dが形成されている。
【0033】
本形態では、対向部15を構成する後述の第1対向部18と内筒部14a等とによって、局所真空チャンバー9の径方向の中心部に第1空間16が形成され、対向部15を構成する後述の第1対向部18、第2対向部19、内筒部14a、外筒部14b等によって、第1空間16の径方向外方および下方に第2空間17が形成されている。また、第1空間16は、真空チャンバー4のビーム通過路7に連通している。すなわち、局所真空チャンバー9には、ビーム通過路7を通過したFIBが通過する第1空間16と、第1空間16の周囲に壁部となる内筒部14aを介して配置される第2空間17とが形成されている。
【0034】
また、本体部14には、図1に示すように、第1空間16を真空状態とするための排気を行う第1排気孔14eが、外周面から第1空間16に連通するように形成され、第2空間17を真空状態とするための排気を行う第2排気孔14fが、外周面から第2空間17に連通するように形成されている。
【0035】
対向部15は、図3等に示すように、内筒部14aの下端に固定され第1空間16の底部(下端部)となる第1対向部18と、外筒部14bの下端に固定され第2空間17の底部(下端部)となる第2対向部19と、第2対向部19に取り付けられ、第1対向部18に向かって突出する突出部としてのボールプランジャー20とを備えている。本形態では、対向部15は、4個のボールプランジャー20を備えている。
【0036】
第1対向部18は、内筒部14aの下端に固定される第1底面部21と、ワーク2に向けてFIBを出射するための出射孔22aが形成されたビーム出射部22と、第1底面部21に対して、径方向で、ビーム出射部22の位置調整を行って、FIBの進行方向と出射孔22aとの位置合せを行うための位置調整手段23と、ボールプランジャー20の先端部分が当接する当接部としての4枚の当接板24とを備えている。
【0037】
第1底面部21は略円板状に形成され、図3等に示すように、その上面および下面は、径方向外側から内側に向かうにしたがって下方向へ緩やかに傾斜している。第1底面部21の径方向中心位置には、FIBが通過する貫通孔21aが形成されている。また、第1底面部21の下面には、ビーム出射部22および後述の固定部材27が配置される凹部21bが窪むように形成されている。さらに、第1底面部21の下面の凹部21bよりも径方向外側には、当接板24が配置される配置凹部21cが窪むように形成されている。具体的には、図5に示すように、第1底面部21の下面には、略90°ピッチで4箇所に配置凹部21cが形成されている。また、図3に示すように、配置凹部21cは、その底面がXY平面と略平行になるように形成されている。
【0038】
上述のように、第1底面部21は、内筒部14aの下端に固定されており、内筒部14aと第1底面部21との間には、第1空間16からの空気の漏れを防止するシール部材25が配置されている。
【0039】
位置調整手段23は、第1底面部21に固定される略円筒状の固定部材27と、固定部材27の内周側から突出してビーム出射部22の位置調整を行う調整ネジ28とを備えている。固定部材27は、凹部21bの中に配置された状態で、固定ネジ29によって、第1底面部21の下面側に固定されている。調整ネジ28は、頭部を有しない六角穴付止めネジであり、径方向に貫通するように固定部材27に形成されたネジ孔27aに螺合した状態で、固定部材27の内周側から突出している。本形態では、固定部材27には、略90°ピッチで4箇所にネジ孔27aが形成され、それぞれのネジ孔27aに調整ネジ28が螺合している。
【0040】
ビーム出射部22は、上下方向に貫通する出射孔22aと上端側で径方向外側へ広がる鍔部22bとを有する鍔付の略円筒状に形成されている。出射孔22aの上端側の内径は、下端側の内径よりも大きく形成されており、出射孔22aは、第1底面部21の貫通孔21aを介して第1空間16に連通している。このビーム出射部22は、固定部材27の内周側に配置された状態で、凹部21bの中に配置され、第1底面部21と固定部材27との間に鍔部22bが挟まれた状態で、第1底面部21に固定されている。また、第1底面部21と鍔部22bとの間には、第1空間16からの空気の漏れを防止するシール部材30が配置されている。
【0041】
本形態では、ビーム出射部22の外周面に直接あるいは所定の円筒状部材を介して調整ネジ28が当接し、ネジ孔27aへの調整ネジ28のネジ込み量によって、ビーム出射部22の径方向の位置調整が行われる。
【0042】
当接板24は、円板状に形成された薄板であり、ステンレス鋼板等の比較的硬度の高い金属板で形成されている。上述のように、配置凹部21cは、その底面がXY平面と略平行になるように形成されている。そのため、配置凹部21cに配置される当接板24の下面(すなわち、ボールプランジャー20を構成する後述のボール35が当接する面)もXY平面と略平行な平面となっている。
【0043】
第2対向部19は、略円板状に形成されている。この第2対向部19の中心部には、ビーム出射部22の下端側が配置される貫通孔19aが形成されている。また、第2対向部19の上面は、図4、図6に示すように、径方向外側から内側に向かうにしたがって下方向へ緩やかに傾斜する傾斜面19bとなっている。
【0044】
また、第2対向部19には、図6に示すように、傾斜面19bから上方向へ突出するように、補強リブ19cが形成されている。具体的には、第2対向部19には、貫通孔19aから径方向外側に向かって略90°ピッチで4箇所に放射状に補強リブ19cが形成されている。この補強リブ19cは、径方向外側から内側に向かうにしたがって下方向へ緩やかに傾斜するように形成されている。本形態では、補強リブ19cは、第2対向部19の変形を防止するための変形防止部となっている。
【0045】
第2対向部19の径方向における補強リブ19cの略中心位置には、ボールプランジャー20が取り付けられる取付部19dが形成されている。具体的には、上面側が開口する略円筒状の取付部19dが形成されている。この取付部19dの内周側には、図3等に示すように、メネジ19eが形成されている。
【0046】
さらに、第2対向部19の下面は、貫通孔19aの周囲に形成された第1平坦面19fと、第1平坦面19fから径方向外方に向かって上方向へ傾斜するように形成された傾斜面19gと、傾斜面19gから径方向外方に向かって形成された第2平坦面19hとから構成されている。上述のように、第2対向部19は、外筒部14bの下端に固定されており、外筒部14bと第2対向部19との間には、第2空間17からの空気の漏れを防止するシール部材31が配置されている。また、第1対向部18と第2対向部19との間には、第2空間17の一部となる対向部間空間17aが形成されている。
【0047】
貫通孔19aの径は、ビーム出射部22の下端部の外径よりも大きくなっている。また、ビーム出射部22の底面22dと、第1平坦面19fとが同一平面上に配置されている。貫通孔19aにおけるビーム出射部22の径方向外方には、局所真空チャンバー9の底面から第2空間17に連通する吸気口32が形成されている。すなわち、本形態では、出射孔22aの外周側には開口部としての吸気口32が配置されている。また、対向部間空間17aは、吸気口32を介して局所真空チャンバー9の外部に連通している。
【0048】
なお、出射孔22aの径は0.1〜2mmであることが好ましく、ビーム出射部22の下端部の外径は1〜60mmであることが好ましく、吸気口32の外径は5〜100mmであることが好ましく、第1平坦面19fの外径は25〜120mmであることが好ましい。また、本形態では、たとえば、内筒部14aの内径は53mm、内筒部14aの外径は73mm、外筒部14bの内径は100mm、外筒部14bの外径は120mm、第1平坦面19fと第2平坦面19gとの上下方向の距離は3mmとなっている。
【0049】
ボールプランジャー20は、第2対向部19の傾斜面19bから上方向に向かって突出するように第2対向部19に取り付けられている。このボールプランジャー20は、図3に示すように、円筒状に形成された筒状部材33と、筒状部材33の中に配置される圧縮コイルバネ34と、筒状部材33の上端から一部が露出するとともに圧縮コイルバネ34によって上方向へ付勢されるボール35とを備えている。筒状部材33の外周側には、メネジ19eにネジ込まれるオネジが形成されており、ボールプランジャー20は、第2対向部19の上面側から取付部19dに固定されている。メネジ19eに対するボールプランジャー20のネジ込み量は、たとえば、当接板24の当接するボール35によって、圧縮コイルバネ34が初期状態よりも撓むように調整されている。
【0050】
本形態では、当接板24に当接するボールプランジャー20によって、第2対向部19の変形が防止されている。すなわち、ボールプランジャー20は、第2対向部19の変形を防止するための変形防止部となっている。また、筒状部材33に形成されたオネジおよびメネジ19eによって、突出部であるボールプランジャー20の第2対向部19からの突出量を調整する突出量調整機構が構成されている。
【0051】
(拡散防止部の構成)
上述のように、局所真空チャンバー9は、真空チャンバー4の下端側に取り付けられており、ワーク2の加工時には、真空チャンバー4とワーク2との間に配置される。そして、ビーム通過路7を通過したFIBは、第1空間16を通過して、出射孔22aから出射され、微小な隙間G(図1参照)を介してワーク2に集束する。すなわち、本形態では、第1空間16を真空状態にするとともに、隙間Gを介して対向配置された局所真空チャンバー9の下面(具体的には、ビーム出射部22の底面22d等)とワーク2との間に形成される空間37(図1参照。以下、「局所空間37」とする。)も真空状態とすることで、ワーク2へ向かうFIBの拡散を防止している。なお、隙間Gはたとえば、10μmである。この隙間Gは、10μm〜200μmであることが好ましい。
【0052】
FIBの拡散を防止するために、第1空間16および局所空間37を、所定の真空度まで減圧する必要がある。しかしながら、第1空間16のみを真空状態としたのでは、第1空間16および局所空間37を所定の真空度まで減圧することは困難である。そこで、本形態では、第2空間17も真空状態とすることで、第1空間16および局所空間37を所定の真空度まで減圧することを可能としている。すなわち、本形態の拡散防止部5は、いわゆる差動排気式の真空装置である。
【0053】
なお、図1に示すように、加工が行われるワーク2の加工部位を中心とするワーク2の一部分が真空状態となる局所空間37に臨むように配置され、ワーク2のその他の部分は、局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に配置されている。
【0054】
拡散防止部5は、第1空間16を真空状態とするための第1ポンプ10および第2ポンプ11と、第2空間17を真空状態とするための第3ポンプ12とを備えている。また、図1に示すように、第1ポンプ10および第2ポンプ11は、第1排気孔14eに接続された配管38を介して、第1空間16に接続され、第3ポンプ12は、第2排気孔14fに接続された配管39を介して、第2空間17に接続されている。
【0055】
第1ポンプ10は、吸引容量は比較的小さいが、比較的高い真空到達度を得ることが可能な(すなわち、第1空間16を比較的低い圧力まで減圧することが可能な)ポンプであり、たとえば、ターボ分子ポンプである。また、第2ポンプ11および第3ポンプ12は、吸引容量は大きいが、高い真空到達度を得ることができないポンプであり、たとえば、ロータリポンプである。
【0056】
本形態では、ワーク2が、隙間Gを介して局所真空チャンバー9の下面に対向配置された状態で、まず、第3ポンプ12が作動して、第2空間17が減圧される。第2空間17が減圧されると、吸気口32から空気が吸引され、局所空間37も減圧される。そして、第2空間17が所定の真空度まで減圧されると、第2ポンプ11、第1ポンプ10がこの順番で作動する。第3ポンプ12の作用で、局所空間37が減圧されているため、第2ポンプ11および第1ポンプ10によって、第1空間16および局所空間37は、FIBの拡散を防止するために必要な真空度まで短時間で減圧される。
【0057】
なお、本形態では、たとえば、出射孔22aの径が1mm、ビーム出射部22の下端部の外径が5mm、吸気口32の外径が20mm、第1平坦面19fの外径が35mm、隙間Gが10μmである場合、第1空間16の真空度は5×10−3Paとなり、第2空間17の真空度は30Paとなった。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のビーム加工装置1は、局所真空チャンバー9の外部に微小な隙間Gを介して配置されるとともにその大半部分が大気圧中に配置されるワーク2をFIBによって加工している。そのため、固定部材6を移動させる移動機構で、局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に配置されるワーク2を移動させながら、FIBを用いてワーク2に対して広範囲の加工を行うことできる。すなわち、ワーク2が大きい場合であっても、ワーク2の全体(あるいは、ワーク2に加えて固定部材6等)を別途、真空チャンバーで覆う必要がないため、簡易な構成で、ワーク2を移動させながら、FIBを用いてワーク2に対する広範囲の加工を行うことができる。
【0059】
本形態では、出射孔22aの外周側に吸気口32が配置されるとともに、第3ポンプ12によって、吸気口32から局所真空チャンバー9の内部に向かって吸気を行っている。そのため、局所真空チャンバー9の外部(具体的には、局所空間37)にワーク2の加工部位が配置される場合であっても、局所空間37の圧力を適切に下げることができる。その結果、ワーク2に対してFIBを適切に照射することができる。
【0060】
本形態では、第2対向部19の変形を防止するための変形防止部として、対向部15がボールプランジャー20を備えるとともに、第2対向部19に補強リブ19cが形成されている。したがって、吸気口32から局所真空チャンバー9の内部に向かって吸気を行うために、第1対向部18と第2対向部19との間に対向部間空間17aが形成され、対向部間空間17aが真空状態となる場合であっても、また、第2対向部19の構成を簡素化するために、第2対向部19を薄型化する場合であっても、第2対向部19の変形を防止することが可能になり、第2対向部19の下面(具体的には、第1平坦面19fおよび傾斜面19g)とワーク2との間に適切な隙間を形成することが可能になる。また、第2対向部19の変形を防止することで、対向部間空間17aが狭くなるのを防止することができるため、吸気口32から局所真空チャンバー9の内部に向かって適切に吸気を行うことが可能になる。その結果、ワーク2の加工部位の周辺の圧力をより適切に下げることができ、ワーク2へのより適切なFIBの照射が可能になる。
【0061】
本形態では、変形防止部として、対向部15がボールプランジャー20を備えているため、ボールプランジャー20を当接板24に当接させて、第2対向部19の変形を確実に防止することが可能になる。また、本形態では、補強リブ19cを用いた簡易な構成で、第2対向部19の変形を防止することが可能になる。
【0062】
本形態では、メネジ19eに対するボールプランジャー20のネジ込み量によって、傾斜面19bからのボールプランジャー20の突出量が調整可能となっている。また、本形態では、圧縮コイルバネ34の付勢力を利用して、当接板24にボール35を当接させている。そのため、ボール35を当接板24に確実に当接させることができる。
【0063】
本形態では、当接板24の下面は、XY平面と略平行な平面となっており、ボールプランジャー20の突出方向に略直交している。そのため、当接板24に当接するボールプランジャー20の当接力が分散されにくくなる。したがって、ボールプランジャー20によって、第2対向部19の変形をより確実に防止することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態では、拡散防止部5は、第1空間16および第2空間17が形成された二重構造の局所真空チャンバー9を有する差動排気式の真空装置である。この他にもたとえば、拡散防止部5は、三重構造以上の多重構造の局所真空チャンバー9を有する差動排気式の真空装置であっても良い。すなわち、局所真空チャンバー9には、第1空間16の周囲に壁部を介して略同心状に配置される(n−1)個(nは3以上の整数)の空間が形成されても良い。
【0065】
この場合には、対向部15は、第1対向部18を備えるとともに、出射孔22aの外周側に配置される開口部を有しそれぞれの空間の下端部となる(n−1)個の部分対向部を備えている。また、各部分対向部間には、開口部を介して局所真空チャンバー9の外部に連通し、かつ、それぞれの空間の一部となる対向部間空間が形成されている。たとえば、対向部15は、一番外側に配置される空間である第n空間の下端部となる第n対向部と、出射孔22aの外周側に配置される開口部を有し外側から2番目に配置される空間の一端部となる第(n−1)対向部とを備えている。また、第(n−1)対向部と第n対向部との間には、開口部を介して局所真空チャンバー9の外部に連通し、かつ、第n空間の一部となる対向部間空間が形成されている。また、この場合には、対向部15は、第n対向部の変形を防止するための変形防止部を備えている。このように構成される場合であっても上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
上述した形態では、ボールプランジャー20は第2対向部19に取り付けられているが、ボールプランジャー20は第1対向部18に取り付けられても良い。また、上述した形態では、第2対向部19の変形を防止するための変形防止部(突出部)として、対向部15はボールプランジャー20を備えているが、対向部15はボールプランジャー20に代えて、メネジ19eに螺合されるネジを備えていても良い。また、対向部15はボールプランジャー20に代えて、第2対向部19に固定される、あるいは、第2対向部19と一体で形成される突起を備えていても良いし、第2対向部19に取り付けられるシリンダー等を備えていても良い。
【0067】
上述した形態では、対向部15は、変形防止部として、ボールプランジャー20および補強リブ19cを備えているが、対向部15は、ボールプランジャー20または補強リブ19cのいずれか一方のみを備えていても良い。また、上述した形態では、対向部15は、4個のボールプランジャー20を備えているが、対向部15は、3個以下あるいは5個以上のボールプランジャー20を備えていても良い。また、上述した形態では、第2対向部19には、4個の補強リブ19cが形成されているが、第2対向部19には、3個以下あるいは5個以上の補強リブ19cが形成されても良い。
【0068】
上述した形態では、当接板24にボールプランジャー20の先端部分が当接しているが、ボールプランジャー20の先端部分が第1底面部21の配置凹部21cの底面に直接当接しても良い。また、第1底面部21に配置凹部21cが形成されずに、傾斜する第1底面部21の下面にボールプランジャー20の先端部分が当接しても良い。
【0069】
上述した形態では、局所真空チャンバー9は、ビーム出射部22の位置調整を行って、FIBの進行方向と出射孔22aとの位置合せを行うための位置調整手段23を備えているが、局所真空チャンバー9は、位置調整手段23を備えていなくても良い。
【0070】
上述した形態では、ビーム加工装置1は、ワーク2の加工を行うためのビームとしてFIBを用いているが、ビームは電子ビームであっても良い。この場合であっても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。また、上述した形態では、真空チャンバー4内に配置された所定のイオン光学系等によってFIBが生成されているが、ビーム出射源3から出射されるイオンビームがそのままワーク2に向けて出射されても良い。なお、FIBの代わりにレーザビームを用いても良い。この場合には、局所空間37を真空状態にできるため、レーザ加工時におけるワーク2の酸化を抑制することが可能となる。
【0071】
上述した形態では、本発明の実施の形態として、ビーム加工装置1の構成を説明しているが、ビーム加工装置1と同様の構成を、観察対象物の観察を行うビーム観察装置に適用することができる。すなわち、ビーム出射源3、真空チャンバー4および拡散防止部5を用いて、局所真空チャンバー9の外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される観察対象物の観察を行うことが可能である。
【0072】
このように、ビーム加工装置1と同様の構成が適用されるビーム観察装置では、ビーム加工装置1と同様の効果を得ることができる。すなわち、局所真空チャンバー9の外部に配置される移動機構を用いて観察対象物を移動させる簡易な構成で、観察対象物を広範囲で観察することができるといった効果や、局所真空チャンバー9の外部にワーク2の観察部位が配置される場合であっても、ワーク2の観察部位の周辺の圧力を適切に下げて、ワーク2に対してFIBを適切に照射することができるといった効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態にかかるビーム加工装置の概略構成を説明するための模式図。
【図2】図1に示す局所真空チャンバーの平面図。
【図3】図2のE−E断面における局所真空チャンバーの下端部を示す拡大断面図。
【図4】図2のF−F断面における局所真空チャンバーの下端部を示す拡大断面図。
【図5】図3に示す第1対向部の下面図。
【図6】図3に示す第2対向部の斜視図。
【符号の説明】
【0074】
1 ビーム加工装置
2 ワーク(加工対象物)
3 ビーム出射源
4 真空チャンバー
7 ビーム通過路
9 局所真空チャンバー
10 第1ポンプ(吸気手段の一部)
11 第2ポンプ(吸気手段の一部)
12 第3ポンプ(吸気手段の一部)
14a 内筒部(壁部)
15 対向部
16 第1空間
17 第2空間
17a 対向部間空間
18 第1対向部
19 第2対向部
19c 補強リブ(変形防止部)
19e メネジ(突出量調整機構の一部)
20 ボールプランジャー(変形防止部、突出部)
22a 出射孔
24 当接板(当接部)
32 吸気口(開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する第1空間および上記第1空間の周囲に壁部を介して配置される第2空間が形成される局所真空チャンバーと、上記第1空間および上記第2空間を真空状態とするための吸気手段とを備え、
上記局所真空チャンバーは、上記加工対象物に対向する対向部を備え、
上記対向部は、上記加工対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有し上記第1空間の一端部となる第1対向部と、上記出射孔の外周側に配置される開口部を有し上記第2空間の一端部となる第2対向部とを備え、
上記第1対向部と上記第2対向部との間には、上記開口部を介して上記局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、上記第2空間の一部となる対向部間空間が形成され、
上記対向部は、さらに、上記第2対向部の変形を防止するための変形防止部を備え、
上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記加工対象物の加工を上記ビームを用いて行うことを特徴とするビーム加工装置。
【請求項2】
前記対向部は、前記変形防止部として、前記第1対向部または前記第2対向部のいずれか一方に取り付けられ、前記第1対向部または前記第2対向部のいずれか他方に向かって突出する突出部を備えることを特徴とする請求項1記載のビーム加工装置。
【請求項3】
前記対向部は、前記突出部の突出量を調整可能な突出量調整機構を備えることを特徴とする請求項2記載のビーム加工装置。
【請求項4】
前記第1対向部または前記第2対向部のいずれか他方は、前記突出部が当接する当接部を備え、上記当接部は、前記突出部の突出方向に略直交する平面状に形成されていることを特徴とする請求項2または3記載のビーム加工装置。
【請求項5】
前記突出部は、ボールプランジャーであることを特徴とする請求項2から4いずれかに記載のビーム加工装置。
【請求項6】
前記対向部は、前記変形防止部として、前記第2対向部に形成される補強リブを備えることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のビーム加工装置。
【請求項7】
加工対象物の加工を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する第1空間および上記第1空間の周囲に壁部を介して略同心状に配置される(n−1)個(nは3以上の整数)の空間が形成される局所真空チャンバーと、上記第1空間および上記(n−1)個の空間を真空状態とするための吸気手段とを備え、
上記局所真空チャンバーは、上記加工対象物に対向する対向部を備え、
上記対向部は、上記加工対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有し上記第1空間の一端部となる第1対向部と、上記出射孔の外周側に配置される開口部を有し一番外側に配置される上記空間である第n空間の一端部となる第n対向部と、上記出射孔の外周側に配置される開口部を有し外側から2番目に配置される上記空間の一端部となる第(n−1)対向部とを備え、
上記第(n−1)対向部と上記第n対向部との間には、上記開口部を介して上記局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、上記第n空間の一部となる対向部間空間が形成され、
上記対向部は、さらに、上記第n対向部の変形を防止するための変形防止部を備え、
上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記加工対象物の加工を上記ビームを用いて行うことを特徴とするビーム加工装置。
【請求項8】
観察対象物の観察を行うためのビームを出射するビーム出射源と、上記ビーム出射源から出射された上記ビームが通過するビーム通過路を有し上記ビーム出射源が取り付けられる真空チャンバーと、上記ビーム通過路に連通し上記ビーム通過路を通過した上記ビームが通過する第1空間および上記第1空間の周囲に壁部を介して配置される第2空間が形成される局所真空チャンバーと、上記第1空間および上記第2空間を真空状態とするための吸気手段とを備え、
上記局所真空チャンバーは、上記観察対象物に対向する対向部を備え、
上記対向部は、上記観察対象物に向けて上記ビームを出射するための出射孔を有し上記第1空間の一端部となる第1対向部と、上記出射孔の外周側に配置される開口部を有し上記第2空間の一端部となる第2対向部とを備え、
上記第1対向部と上記第2対向部との間には、上記開口部を介して上記局所真空チャンバーの外部に連通し、かつ、上記第2空間の一部となる対向部間空間が形成され、
上記対向部は、さらに、上記第2対向部の変形を防止するための変形防止部を備え、
上記真空チャンバーおよび上記局所真空チャンバーの外部の大気圧中に少なくとも一部が配置される上記観察対象物の観察を上記ビームを用いて行うことを特徴とするビーム観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−50876(P2009−50876A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218490(P2007−218490)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(392015365)株式会社平出精密 (10)
【出願人】(505227043)野村ユニソン株式会社 (25)
【出願人】(501061319)学校法人 東洋大学 (68)
【出願人】(391001619)長野県 (64)
【Fターム(参考)】